JP2010167692A - バイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂 - Google Patents

バイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた物性や特性を有するバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスを含む水または有機媒体懸濁液を、液状の三次元硬化性樹脂プレポリマーに混合し、硬化反応させることによりバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂を製造することを特徴とする。ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスは、高圧対向衝突処理又は高圧ホモゲナイザー処理により得ることもでき、また、バイオマスと、液化調整剤である一価アルコール類と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコールと、酸触媒であるプロトン酸或いはフェノールスルフォン酸とを混合し、加熱することにより得られる液化バイオマス中に残存する繊維状不溶解残渣から得ることもできる。
【選択図】なし

Description

本発明は、物性と加工性に優れたバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂の製造方法及びバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂に関する。
熱硬化性樹脂は、低分子量の粉末状又は液状の樹脂を単独または第2の物質を加えて加熱することにより三次元構造又は網状構造となり硬化する樹脂である。熱硬化性樹脂には、室温程度の低い温度でも三次元構造又は網状構造となり硬化する樹脂も含まれる。熱硬化性樹脂は、古くから工業生産され、広く使用されており、その代表的なものとしてエポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。
従来の熱硬化性樹脂は、その原料のほぼ100%が石油製品であったが、近年、バイオマス液化物から熱硬化性樹脂を調製するいくつかの方法が提案されている。バイオマス液化物を原料とする熱硬化性樹脂の開発は、石油資源の枯渇問題を解決する点で非常に意味がある。
例えば特許文献1は、ベンジル化やアセチル化等、化学的に修飾された木材質を液化対象とし、それらを多価アルコール媒体と酸触媒存在下で処理する技術を開示する。また、木材質をそのままフェノール類またはビスフェノール類の存在下で液化する技術(特許文献2)、多価アルコール類の存在下で、木材質をはじめとするバイオマスを液化させて成形物、接着剤、発泡体の調製を試みた技術(特許文献3)も提案されている。さらに本発明者らは、バイオマスの液化に広く用いられている硫酸を主とするプロトン酸を、一価低級アルコール類である液化調整剤と反応させて得られるプロトン酸エステルが、バイオマスの効果的な液化触媒として機能し得ることを見出している(特許文献4)。それらは熱硬化性樹脂のオリゴマーとして広く利用しうることが知られてきている。
特開昭61−171701号公報 特開昭61−261358号公報 特許2060161号 特開2007−92008号公報
熱硬化性樹脂の原料の少なくとも一部を石油原料由来原料からバイオマス液化物由来の原料に置き換えることは、石油の枯渇問題の解決を図る点で意味がある。また、バイオマス液化物由来の熱硬化性樹脂製品は、環境適応性を高めた製品作りを志向する時代の要請に応えるものとなる。しかし、そのためには、原料をバイオマス液化物に置き換えた場合でも、熱硬化性樹脂本来の物性や特性を損なわないことが要求される。
本発明が解決しようとする課題は、優れた物性や特性を有するバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂及びその製造方法を提供することである。
本発明は、バイオマスナノ繊維を補強材として三次元硬化性樹脂に組み込むことにより、環境適応性を高め、且つ、物性・特性を高めることができることを見出し、なされたものである。ここで、「三次元硬化性樹脂」とは、単独又は第2の物質を加えて硬化反応させることにより三次元構造又は網状構造をとる樹脂をいう。三次元硬化性樹脂はネットワークポリマー(Network polymer)とも称され、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の他、室温下で硬化するウレタン樹脂等を含む。
具体的には、本発明は、ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスを含む水または有機媒体懸濁液を、液状の三次元硬化性樹脂プレポリマーに混合し、硬化させることによりバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂を製造する方法及びこの方法により得られるバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂である。
バイオマスナノ繊維は、目的に応じて適宜量を含有することができる。
バイオマスナノ繊維には必要に応じて反応性の側鎖が導入される。また、本発明のバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂には、硬化性を高める添加剤、バイオマスナノ繊維との界面の接着性を高める添加剤等を適宜含有することができる。
ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスは、高圧対向衝突処理又は高圧ホモゲナイザー処理により得ることができる。
また、バイオマスと、液化調整剤である一価アルコール類と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコールと、酸触媒であるプロトン酸或いはフェノールスルフォン酸とを混合し、加熱することにより得られる液化バイオマス中に残存する繊維状不溶解残渣をナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスとすることも可能である。
さらに、液状の三次元硬化性樹脂プレポリマーを、バイオマスと、液化調整剤である一価アルコール類と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコールと、酸触媒であるプロトン酸或いはフェノールスルフォン酸とを混合し、加熱することにより得られる液化バイオマスとすると、三次元硬化性樹脂の原料の多くをバイオマスに置換することができる。
本発明によれば、バイオマスナノ繊維を用いることによる環境適応性の向上と共に、成形物などの物性に優れた、比較的安価な三次元硬化性樹脂及び成形物を提供することができる。
近年、カーボンニュートラルで環境負荷の低減に寄与する高性能ナノファイバーとして、バイオマスナノファイバー、特にセルロースナノファイバーに関心が集まっている。セルロースナノファイバーは、紙の原料である木材パルプなどの植物繊維をさらに微繊維化して得られる天然ナノファイバーである。セルロース分子鎖が伸びきり鎖となり、さらに水素結合で強固に結晶化しているため、鋼鉄の5倍の強度、ガラスの1/10以下の線熱膨張係数を示す。バイオナノファイバーは、木材等、植物資源の50%以上を占める、ほぼ無尽蔵の持続型資源であるといってよい。日本では、このようなバイオナノファイバーを安価に製造する技術の開発とナノコンポジットの開発が世界に先駆けて始まっている。
本発明者らは、高圧ホモゲナイザーによりバイオマスを溶媒とともに処理して得られたバイオマス由来成分が分散した液状組成物の製造方法に関し研究開発し、2005年に特許出願を行った。この特許出願は既に公開されている(特開2006−289164号公報)。これは、バイオマス微粉末を、水を中心とする溶媒に懸濁させた後、245MPaという超高圧で対向衝突させる手法によりナノ材料化するというものであり、該水スラリー中でのバイオマスの反応アクセシビリテイの顕著な増大、及び走査電子顕微鏡鏡査により得られたモルフォロジー変化から、その効果は明らかとなった。本発明は、水スラリーからのナノコンポジットの開発の一つとして位置づけられる。
また、バイオマスの液化に用いるバイオマス種や液化条件を工夫、選択することにより、液化物中にナノ繊維状の不溶解残渣を生成し得る。これらの不溶解残渣はろ別して廃棄されることも多いが、これらをそのまま用いることによっても本発明の目的を達することが出来る。本発明者らは、バイオマス液化の際に、低級の一価アルコールを液化調整剤として合目的的に用いることにより、液化残渣としてのナノ繊維を意識的に調製する方法を見い出した。
本発明に用いられるバイオマスは、大きく陸域系と水域系とに分類される。
陸域系バイオマスの大部分は木質系及び草本系で占められる。水域系のものの代表は海藻類、キチン系のものが挙げられる。本発明では、バイオマスを構成する成分であって工業的に利用されうる物質すべてをバイオマス由来成分ということとする。
木質系のバイオマスとしては、落葉、林地残材、建築廃材、工場残廃材等が挙げられる。草本系のバイオマスとしては、トウモロコシ、サトウキビ、稲わら、もみがら、野菜くず等が挙げられる。
このような木質系や草本系のバイオマス由来成分のうち主成分であるセルロースは、紙・パルプ産業界で広く利用されている。また、木質系や草本系のバイオマス由来成分のうち多糖類(セルロース、ヘミセルロース、リグニン等)は、酵素により単糖や少糖に分解したものをエタノール発酵菌によりエタノール化したり、メタン生成菌により発酵させてメタンガスを得るとともに肥料を得たりすることが実用化の段階にきている。またイチョウ葉から抽出されるフラボノイドやテルペノイド系のバイオマス由来成分は、人体の健康改善に効果を有するものとして健康補助食品としての利用が図られている。
一方、水域系のバイオマスとしては、カニ、エビ等の甲殻類やイカ等の外皮等に含まれるキチン系、及び昆布類等の海産系等が挙げられる。これらのうち甲殻類の外皮等に多く含まれるキチン・キトサン等のバイオマス由来成分は、免疫強化作用、脂質排出作用等を有することから、人体の健康改善に効果を有する健康補助食品として着目されている。
また、バイオマスには、繭から得られるフィブロイン、セリシン、羊毛から得られるコラーゲンなどのタンパク質系のバイオマスがある。これらのうち繭から得られるフィブロインやセリシンは高分子タンパク質として分離可能であり、特にフィブロインは食品、化粧品などの広い分野に用いられている。また、フィブロインは、その微粒子化による感触の改良及びチロシン水酸基の封鎖等が期待されている。
羊毛はタンパク質を主体にした複合材料であるが、ホモゲナイザー処理により羊毛材料組成の再編成が可能である。コラーゲンは、本来はかなり分子量の大きな高分子化合物であり、この状態での分離、再編成にホモゲナイザーを用いることは有効である。
これらのバイオマスは粉末化してそのまま用いられる他、加圧ニーダーなどを用いる混練反応により、無水マレイン酸のような不飽和、あるいは無水コハク酸のような飽和二塩基酸無水物とアリルグリシジルエーテルのようなモノエポキシドあるいはエチレングリコールのようなポリオールを用いたオリゴエステル化を予め行ってのち用いられる場合とがある。
上記不飽和二塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸等が使用される。上記飽和二塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水オルソフタル酸、無水イソフタル酸、無水テレフタル酸、無水アジピン酸、無水コハク酸、無水テトラクロロフタル酸、無水ヘット酸等が挙げられる。モノエポキシ化合物としては、分子中に1個のエポキシ基を含む化合物であればよく、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテール、スチレンオキサイド、アクリル酸グリシジル、オクチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記ポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
本発明に用いられるスラリー用の溶媒としては、水、親水性の溶媒、または両親媒性の溶媒が挙げられる。ところで、微粒子化したいバイオマス物質の多くは分子間相互作用が強く働いており、この相互作用の多くは静電相互作用、水素結合、双極子相互作用、分散力等の分子間結合の集積による。そこで、ホモゲナイザー処理により物理的に引き離された分子間に溶媒が割り込んで、再結合しないよう安定化させる必要がある。このような役割を果たすことが本発明に用いられる溶媒には求められる。
このようにして得られたバイオマスナノ繊維スラリーを石油系及びバイオマス系の熱硬化性樹脂オリゴマーに添加し、攪拌や混練など各様の方法で混合し、必要に応じスラリー媒体を留去や混練装置のベント機構の活用により除去する。
なお、水は最も利用しやすい溶媒であるが、媒体として不適切な場合もある。また、親水性及び疎水性両者を分子内に持つ溶媒は両親媒性溶媒と呼ばれ、分子間凝集力に打ち勝って溶解させる溶媒として多用され、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グライム系溶媒などが挙げられる。活性プロトンを有するアルコール、アミン、カルボン酸、アセチルアセトン等の溶媒及びその誘導体も親水性溶媒として用いられる。
他方で、バイオマス液化に用いるバイオマス種や液化条件を工夫、選択することにより液化物中に不溶解残渣としてナノ繊維状のものを生成しうる。これらの不溶解残渣はろ別して廃棄されることも多いが、これらをそのまま用いることによっても本発明の目的を達することが出来る。
次に本発明の具体的な実施例を比較例と共に説明する。これら実施例及び比較例で使用される木粉は、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)を、セルロースはKC-フロックW-400G(日本製紙ケミカル(株)製)を、それぞれ一度真空乾燥し、デシケーター中に保存したものである。澱粉は食品用市販品をそのまま使用した。先ず、下記の製造例1、比較製造例1の方法によりバイオマスナノ繊維或いはその対照材料を調製した。
[製造例1]
(株)スギノマシン製湿式微粒化装置(スターバースト(旧アルティマイザー)HJP-25080)を用いてセルロース、あるいは、オリゴエステル化セルロース(OEC)のメカノケミカル処理(245MPaでの対向衝突処理)を行い、それぞれの乳化水懸濁液を得た。すなわち、セルロース粉末(日本製紙ケミカル(株)製KC-フロックW-400G)、あるいは二軸エクストルーダーまたは加圧型ニーダーを用いる混練反応で得たそのオリゴエステル化物(無水マレイン酸とアリルグリシジルエーテルを等モルでセルロース重量の25%量仕込み、反応した)をそれぞれ水に懸濁させ(セルロース系試料/脱イオン水=1 / 20 [w/w])、245MPaの超高圧で10回繰り返し対向衝突させるスターバースト処理を行い、乳白色の安定なセルロース系微分散液を得た。これらのセルロース系微分散液にさらに水又はメタノールを加え、望ましい濃度とした上で、再びスターバースト処理したり、プライミクス(株)製のT.K.ホモミクサー処理をしたりすることによりナノ繊維含有三次元硬化性樹脂プレポリマーへの誘導が可能である。
[比較製造例1]
セルロースあるいはオリゴエステル化セルロースのスターバースト処理を行わず、セルロース(日本製紙ケミカル(株)製KC-フロックW-400G)又はオリゴエステル化セルロース粉末を直接用いる以外は製造例1と全く同様にしてナノ繊維含有三次元硬化性樹脂プレポリマー製造のための対照材料を製造した。
実施例1では、メチルアルコール50gを100ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で30mlの硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。
その上で、メチルアルコール50g、フェノール85.5gと、あらかじめ上記のように調製した硫酸エステル7.2g(使用フェノール量の3%相当の硫酸を含む) をマグネチック回転子を挿入した300ml容のテフロン(登録商標)内筒密閉容器TAF-SR300(耐圧硝子工業(株))に秤りとり、直ちに混合し、引き続いて上記乾燥木粉、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)30gを上から加えた(木粉の4.7倍重量量の媒体(メチルアルコール+フェノール)を加える;液比 4.7)。
なお、最初に用いたメチルアルコール50gは触媒調製を目的としているのに対して、後で用いたメチルアルコール50gは液化改良剤として配合されたものである。つまり、液化調整剤として用いられるメチルアルコールであっても、最初に加えられたメチルアルコールと、後で加えたメチルアルコールとは使用目的が異なる。
密封後直ちに150℃の油浴に沈めて、60分反応させた。その際、最初の約25分間は自然放置し、木粉が媒体に沈み込む時間をとった後、マグネチックスターラーによる攪拌を開始した。そのさいテフロン(登録商標)内筒密閉容器は油浴内の定められた箇所に垂直に立て、容器がすべて完全に油浴内に沈むようにした。
60分の液化実験終了後、油浴から引き上げ氷入り冷却水中で、十分冷却した。反応容器の外部を洗い、よくぬぐった後、解栓し、先ず下記に示すようにその一部をとって、粘度測定した後、そのすべてを300ml容のビーカーにメチルアルコールで洗い出し、全量を約300mlとして、約1時間攪拌した。次いでガラス繊維濾紙(TOYO "GA100")を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメチルアルコールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は2.51%と低く、ほとんど完全に液化が実現されたといえる値であった。
他方、製造例1で予めスターバーストによる高圧対向衝突処理をしたセルロース分0.2%メタノールスラリー10重量部をセルロースのフェノール液化物(残渣量2.51%)100重量部に加え、よく混合後、メタノールを留去してバイオマスナノ繊維含有ノボラック樹脂様プレポリマーを調製した。このものを100部取り、ヘキサミン15部、水酸化カルシウム5.6部、ステアリン酸亜鉛2.6部及びセルロシン128部を混合よく混練し、金型で曲げ試験片を成形した。このノボラック樹脂様成形物の曲げ強度はJIS規格要求値以上の123MPaという値を示した。
[参考例1]
比較製造例1で製造した予めスターバーストによる高圧対向衝突処理をしない、セルロースメタノールスラリーを用いる以外は実施例1に準じてノボラック樹脂様成形物を調製した。成形物の曲げ強度は101MPaであり実用には耐えるものの、実施例1の結果と比べ強度の劣るものであった。
[参考例2]
スターバーストによる高圧対向衝突処理セルロースを欠く以外は実施例1に準じてノボラック樹脂様成形物を調製した。成形物の曲げ強度は98MPaであり、実施例1の結果と比べ強度の劣るものであった。
セルロースの液化を液化調整剤メタノールを加えずに、総液化時間40分と短くするほかは実施例1に準じて行い、不溶解残渣18%という液化結果を得た。この不溶解残渣を過剰のメタノール中でよく攪拌洗浄した後、ベンゼンに溶媒置換し、液体窒素中に液滴状に添加、瞬時に凍結させた後、凍結乾燥し、示差走査顕微鏡観察したところ、ナノ繊維状になっていることを確認できた。このものを含んだままで液化物全量を使って、実施例1に準じてノボラック樹脂様成形物を調製した。成形物の曲げ強度は118MPaであり、不溶解残渣ナノ繊維の寄与が確認できた。
ここでは、バイオマス由来ポリオールの調製に関する事例を取り上げる。先ず、液化触媒であるが、実施例1で説明したものと同じ手法で調製した。すなわち、メチルアルコール50gを100ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で30mlの硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ、硫酸ジメチルエステルを主体とする硫酸メチルエステルに変換させた。
その上で、液化改良剤としてのメチルアルコール50g、PEG400とエチレングリコール8:2混合液87gとあらかじめ上記のように調製した硫酸エステル7.2g(使用多価アルコール量の3%相当の硫酸を含む)をマグネチック回転子を挿入した300ml容のテフロン(登録商標)内筒密閉容器TAF-SR300(耐圧硝子工業(株))に秤りとり、直ちに混合し、引き続いてKC-フロックW-400G(日本製紙ケミカル(株)製セルロース粉末)30gを上から加えた(セルロースの4.7倍重量量の媒体(メチルアルコール+多価アルコール)を加える;液比 4.7)。
密封後直ちに150℃の油浴に沈めて、90分反応させた。その際、最初の約30分間は自然放置し、木粉が媒体に沈み込む時間をとった後、マグネチックスターラーによる攪拌を開始し、きめられた手順に従い段階的に速度を速めた。そのさいテフロン(登録商標)内筒密閉容器は油浴内の定められた箇所に垂直に立て、容器がすべて完全に油浴内に沈むようにした。
90分の液化実験終了後、油浴から引き上げ氷入り冷却水中で、十分冷却した。反応容器の外部を洗い、よくぬぐった後、解栓し、メタノールでビーカーへの洗い出しを行なった。次いでガラス繊維濾紙(TOYO "GA100")を用いて上記の希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメチルアルコールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不溶解残渣率を求めた。
得られた不溶解残渣率は16.1%であるが、一見微粉末状であった。
同じ実験を繰り返し、この不溶解残渣を過剰のメタノール中でよく攪拌洗浄した後、ベンゼンに溶媒置換し、液体窒素中に液滴状に添加、瞬時に凍結させた後、凍結乾燥し、示差走査顕微鏡観察したところ、ナノ繊維状になっていることを確認できた。このものを含んだままの液化物をポリオールとして用いた。得られたセルロース由来ポリオールの水酸基価は416mgKOH/gであった。
このセルロース由来ポリオールを50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを5〜7に調整したもの100質量部に対して、触媒としてジアミン系触媒のKL31(花王(株)製)を3重量部、整泡剤としてポリオキシアルキレン/ジメチルポリジメチルシロキサン コポリマー(日本ユニカー(株)製、商品名「L5421」)を3重量部混合して、ポリオール組成物を得た。水分は発泡剤となるので、前記ポリオール組成物中の水分量は、発泡体の密度が30〜35kg/m3 になるように調整した。
次いで、このポリオール組成物の全活性水素100モルに対してNCO基105モルとなるようにPAPI135(ダウ・ポリウレタン日本(株)製、ポリイソシアネート)を液温25℃で混合して撹拌し、200mm×200mm×200mmの組み立て式の木製のボックス内に投入して発泡させた。得られた発泡体の表面及びコア部の状態を観察すると共に、コア部からサンプリングをし、密度及び独立気泡率を測定した。その結果フォーム密度33.0、独立気泡率85%の外観の優れた硬質発泡体が得られた。次の参考例3で調製された発泡体より独立気泡率が高く、触感的にも粘りを感じる靭性の高いものであった。
[参考例3]
液化後、不溶解残渣をろ過により取り除くほかは、実施例3に準じてポリオールを調製し、発泡体を得た。その結果フォーム密度32.6、独立気泡率72%の外観には優れた硬質発泡体が得られた。先の実施例3で調製された発泡体より独立気泡率が低く、触感的にも粘りがやや不足で、その分靭性に劣るものであった。
液化物を得、中和後製造例1で予めスターバーストによる高圧対向衝突処理をしたオリゴエステル側鎖分8%のオリゴエステル化セルロース0.2%メタノールスラリー10重量部を新たに加えるほかは、実施例3に準じてポリオールを調製し、発泡体を得た。その結果フォーム密度33.2、独立気泡率90%の外観にも優れた硬質発泡体が得られた。先の実施例3で調製された発泡体より独立気泡率が高く、触感的にも粘りが感じられ、靭性に優れたものが得られた。

Claims (7)

  1. ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスを含む水または有機媒体懸濁液を、液状の三次元硬化性樹脂プレポリマーに混合し、硬化させることによりバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂を製造する方法。
  2. ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスは、高圧対向衝突処理又は高圧ホモゲナイザー処理により得られることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂の製造方法。
  3. ナノ繊維化したバイオマス及び/またはオリゴエステル化バイオマスは、バイオマスと、液化調整剤である一価アルコール類と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコールと、酸触媒であるプロトン酸或いはフェノールスルフォン酸とを混合し、加熱することにより得られる液化バイオマス中に残存する繊維状不溶解残渣であることを特徴とする請求項1に記載のバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂の製造方法。
  4. 前記水懸濁液を前記三次元硬化性樹脂プレポリマーに混合した後、水分を蒸発させることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂の製造方法。
  5. 液状の三次元硬化性樹脂プレポリマーは、バイオマスと、液化調整剤である一価アルコール類と、液化媒体であるフェノール類、又は多価アルコールと、酸触媒であるプロトン酸或いはフェノールスルフォン酸とを混合し、加熱することにより得られる液化バイオマスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの製造方法で得られるバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂
  7. ナノ繊維化したバイオマス及び又はオリゴエステル化バイオマスを含むことを特徴とするバイオマスナノ繊維含有三次元硬化性樹脂。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015189820A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 三菱自動車工業株式会社 重合体組成物の製造方法及び重合体組成物用添加剤の製造方法
WO2015178483A1 (ja) * 2014-05-22 2015-11-26 国立大学法人 九州工業大学 バイオマスナノ繊維を含む高分子樹脂複合体及びバイオマスナノ繊維の製造方法並びに同高分子樹脂複合体の製造方法
JP2018119035A (ja) * 2017-01-24 2018-08-02 富山県 シルクナノファイバーの製造方法、複合材料、およびシルクナノファイバーフィルム

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