JP2010156629A - 化学処理用カートリッジおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリダイゼーション後にシグナル強度を低下させることなく測定を行うことができる化学処理用カートリッジおよびその使用方法を提供する。
【解決手段】外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジ1である。カートリッジ1には、マイクロアレイが収容されるウェル16と、ウェル16に流路を介して接続され、核酸物質が収容されるウェル14と、ウェル16に流路を介して接続され、核酸物質を洗浄するための洗浄液が収容されるウェル11〜13と、が設けられる。
【選択図】図1
【解決手段】外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジ1である。カートリッジ1には、マイクロアレイが収容されるウェル16と、ウェル16に流路を介して接続され、核酸物質が収容されるウェル14と、ウェル16に流路を介して接続され、核酸物質を洗浄するための洗浄液が収容されるウェル11〜13と、が設けられる。
【選択図】図1
Description
本発明は、外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジおよびその使用方法に関する。
蛍光物質等の標識が固定化されたプローブDNAが配列されたDNAチップ(マイクロアレイ)を用いてハイブリダイゼーションを行わせ、DNAを検出する場合には、以下の手順での作業が必要となる。
(1)カバーガラス等でDNAチップとプローブDNAの間に空間を作る。
(2)カバーガラスとスライドのギャップにターゲットDNA溶液を導入し、プローブDNAと接触させる。ターゲットDNAは、ハイブリダイゼーションが起こりやすい環境の溶媒、例えば、5×SSC(standard saline citrate)の溶媒中に溶解している。
(3)恒温槽内にて、例えば、40℃、30分間程度静置させる。これにより、プローブDNAと相補的なターゲットDNAがハイブリダイズして二本鎖を形成する。
(4)カバーガラスを外し、複数用意された洗浄液中で、高い濃度から順に未反応のターゲットDNAを洗い流す。DNAチップの乾きムラを防止するために、最終的に0.05〜0.2×SSC程度の、反応時よりも大幅に低い塩濃度の洗浄液で洗浄し、乾燥させる。
(5)乾燥後のDNAチップを蛍光読取装置等の検出器で測定することで、ハイブリダイゼーション後に洗い流されなかったターゲットDNAを検出する。
再公表特許公報 W02006/083040号公報
特開2004−226068号公報
(1)カバーガラス等でDNAチップとプローブDNAの間に空間を作る。
(2)カバーガラスとスライドのギャップにターゲットDNA溶液を導入し、プローブDNAと接触させる。ターゲットDNAは、ハイブリダイゼーションが起こりやすい環境の溶媒、例えば、5×SSC(standard saline citrate)の溶媒中に溶解している。
(3)恒温槽内にて、例えば、40℃、30分間程度静置させる。これにより、プローブDNAと相補的なターゲットDNAがハイブリダイズして二本鎖を形成する。
(4)カバーガラスを外し、複数用意された洗浄液中で、高い濃度から順に未反応のターゲットDNAを洗い流す。DNAチップの乾きムラを防止するために、最終的に0.05〜0.2×SSC程度の、反応時よりも大幅に低い塩濃度の洗浄液で洗浄し、乾燥させる。
(5)乾燥後のDNAチップを蛍光読取装置等の検出器で測定することで、ハイブリダイゼーション後に洗い流されなかったターゲットDNAを検出する。
従来の方法では、ハイブリダイゼーション反応後、測定の前にDNAチップを乾かす必要がある。その際に、正確な測定を行うためには乾かしムラを防止しなければならない。しかし、前記の塩濃度の液を乾燥させると、DNAチップ表面に塩が析出してしまい、大きな乾かしムラとなる。そのため、一般にハイブリダイゼーション反応時よりも1/10以下の塩濃度の洗浄液により洗われた後にDNAチップを乾かす。しかし、低い塩濃度の洗浄液での洗浄時に、プローブDNAとハイブリダイゼーションしていたターゲットDNAが一部脱落してしまう場合があり、検出シグナルの強度が低下してしまうことがある。
本発明の目的は、ハイブリダイゼーション後にシグナル強度を低下させることなく測定を行うことができる化学処理用カートリッジおよびその使用方法を提供することにある。
本発明の化学処理用カートリッジは、外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジにおいて、マイクロアレイが収容された第1のウェルと、前記第1のウェルに流路を介して接続され、核酸物質が収容される第2のウェルと、前記第1のウェルに流路を介して接続され、前記核酸物質を洗浄するための洗浄液が収容される第3のウェルと、が設けられることを特徴とする。
この化学処理用カートリッジによれば、洗浄液による洗浄後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定することができるので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
この化学処理用カートリッジによれば、洗浄液による洗浄後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定することができるので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
本発明の化学処理用カートリッジの使用方法は、外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジの使用方法において、前記化学処理用カートリッジに外力を与えることにより、マイクロアレイが収容された前記化学処理用カートリッジの第1のウェルに、前記第1のウェルに流路を介して接続された前記化学処理用カートリッジの第2のウェルから、当該流路を介して核酸物質を導入するステップと、前記核酸物質が導入された前記第1のウェル内において、前記マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションを行わせるステップと、前記ハイブリダイゼーションの後、前記化学処理用カートリッジに外力を与えることにより、前記第1のウェルに、前記第1のウェルに流路を介して接続された前記化学処理用カートリッジの第3のウェルから、当該流路を介して洗浄液を導入するステップと、前記洗浄液の導入後、前記マイクロアレイを前記化学処理用カートリッジの外部から測定するステップと、を備えることを特徴とする。
この化学処理用カートリッジの使用方法によれば、洗浄液の導入後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定するので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
この化学処理用カートリッジの使用方法によれば、洗浄液の導入後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定するので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
前記洗浄液の一価の陽イオン濃度が100mM以上であってもよい。
前記洗浄液として0.5倍濃度以上のSSC溶液を用いてもよい。
前記洗浄液に界面活性剤が含まれていてもよい。
本発明の化学処理用カートリッジによれば、洗浄液による洗浄後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定することができるので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
本発明の化学処理用カートリッジの使用方法によれば、洗浄液の導入後、マイクロアレイを化学処理用カートリッジの外部から測定するので、乾燥によるムラを防止できるとともに、低い塩濃度の洗浄液によるターゲットDNAの脱落を防止できる。
以下、本発明による化学処理用カートリッジの一実施形態について説明する。
図1(a)は本実施形態の化学処理用カートリッジの構成を示す平面図、図1(b)は図1(a)におけるIb−Ib線断面図である。
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施形態の化学処理用カートリッジ1は、基板1Aと、基板1Aよりも柔軟なシリコンゴム等の弾性体からなるカバー1Bとから構成される。基板1Aおよびカバー1Bは所定の接着パターンで互いに接着され、非接着部分における基板1Aおよびカバー1B間の内部空間として、後述するウェルおよび流路が形成される。
図1(a)に示すように、ウェル11〜13は、流路を介して順次、直列に接続されるとともに、ウェル16にはウェル13およびウェル14が、それぞれ流路を介して接続されている。また、ウェル16およびウェル15も流路を介して互いに接続されている。
図1(a)および図1(b)に示すように、ウェル16にはDNAチップ2が収容されている。DNAチップ2の表面には、蛍光物質等の標識が固定化されたプローブDNAのサイト21が配列されている。
化学処理用カートリッジ1の内部空間に内容物が存在する領域では、内容物による内圧によりカバー1Bが弾性変形し、図1(b)に示すようにカバー1Bの一部が基板1Aから離れる。例えば、図1(b)では、ウェル16およびウェル15の領域に内容物が存在する場合を示している。内容物がなくなるとカバー1Bが元の形状に戻り、カバー1Bが基板1Aに密着する。図1(b)は送液を行っている状態を示しており、ウェル16、および流路15に液体が存在しているため、その領域でカバー1Bが基板1Aから離れている。
次に、本実施形態の化学処理用カートリッジの使用例を説明する。
図2(a)は、ウェル11〜13のそれぞれに洗浄液として1×SSC溶液を、ウェル14にターゲットDNAをそれぞれ導入した状態を示している。ウェル11〜13への洗浄液の導入およびウェル14へのターゲットDNAの導入は、それぞれ注射針等を用いて化学処理用カートリッジ1の側面から行うことができる。注射針等を通す細孔を予めカートリッジ1に形成してもよい。ただし、ウェル11〜13への洗浄液の導入は注射針等によらず、カートリッジ1の製造時に予め行ってもよい。
ターゲットDNAは、5×SSC中に分散させた状態で導入される。5×SSC溶液は、150mMの塩化ナトリウムと、15mMのクエン酸三ナトリウムとを含んでいる。一価陽イオン濃度は、Na+:195mMに相当する。
次に、図2(b)に示すように、ローラ3等をカートリッジ1に押し付けた状態で右方向に移動させることでカバー1を変形させ、ウェル14に収容されたターゲットDNAを5×SSC溶液とともにウェル16に導入する。
次に、40℃の条件下、30分間、カートリッジ1を静置してハイブリダイゼーションを行わせる。
次に、図2(c)に示すように、ローラ4等をカートリッジ1に押し付けた状態で右方向に移動させることで、ウェル11に収容された洗浄液をウェル12に移動させる。このとき、ウェル12に収容されていた洗浄液はウェル13に、ウェル13に収容されていた洗浄液はウェル16に、それぞれ移動する。また、余分な溶液は洗浄液とともに廃液としてウェル15に移動する。
続いて、図3(a)に示すように、ローラ4等をカートリッジ1に押し付けた状態で右方向に移動させることで、ウェル12に収容された洗浄液をウェル13に移動させる。このとき、ウェル13に収容されていた洗浄液はウェル16に移動し、さらに余分な洗浄液等は廃液としてウェル15に移動する。
さらに、図3(b)に示すように、ローラ4等をカートリッジ1に押し付けた状態で右方向に移動させることで、ウェル13に収容された洗浄液をウェル16に移動させる。さらに余分な洗浄液等は廃液としてウェル15に移動する。
次に、カートリッジ1をマイクロアレイ読取り装置にセットし、カートリッジ1の外部からDNAチップ2の画像を取得し、DNAの測定を行う。
このように、本実施例の化学処理用カートリッジを使用することで、ハイブリダイゼーションからDNAチップの洗浄、測定まで溶液中で処理が実行でき、DNAチップを乾燥させる必要がない。このため乾燥に起因するムラの発生を防止できる。また、乾燥させないため、測定前に低塩濃度洗浄液を使用する必要がない。このため低塩濃度洗浄に起因するターゲットDNAの脱落が起きないため、ハイブリダイゼーション後におけるシグナル強度の低下を防止できる。
図4は洗浄液の塩濃度とシグナル強度との関係を示す図である。
図4に示すように、Na+濃度(一価の陽イオン濃度)が100mM以上であれば、シグナル強度の低下を防止できる。Na+濃度(一価の陽イオン濃度)が100mM未満の場合には、急激にシグナル強度が低下する。
この値は、0.5×SSC(75mM NaCl+7.5mM Na3(C6H5O7))にほぼ相当することが、式(1)により判る。
75+7.5×3=97.5mM ・・・式(1)
上記実施形態では、1種類の洗浄液を用いているが、複数種類の0.5×SSC相当以上の塩濃度の異なる溶液をウェル11〜13のそれぞれに導入することで、DNAチップを異なる洗浄液で順次、洗浄することができ、洗浄力の向上を図ることができる。
この場合、途中で低塩濃度の洗浄液を入れることでミスハイブリを除去できる効果もあるが、その場合でも、必ず最後の洗浄液、つまり測定前の洗浄液は100mM以上の高塩濃度である必要がある。
この場合、途中で低塩濃度の洗浄液を入れることでミスハイブリを除去できる効果もあるが、その場合でも、必ず最後の洗浄液、つまり測定前の洗浄液は100mM以上の高塩濃度である必要がある。
また、洗浄液にSDS、Triton、Tweenなどの界面活性剤を添加することにより、DNAチップ表面に非特異吸着したターゲットDNAを洗い流し易くし、バックグラウンド光量を低下させてもよい。
また、洗浄液に退色防止剤を添加することにより、測定の安定化を図ることもできる。一般に、蛍光分子に強い励起光を照射すると活性酸素種が生じ、光退色が起こるが、退色防止剤によりそれを防止することで、励起光の強さが異なる複数の測定条件下でも常に正しい蛍光画像が得られる。例えば、SlowFade(Invitrogen社の商標名)などの退色防止キットなどを使用してもよい。
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジおよびその使用方法に対し、広く適用することができる。
1 化学処理用カートリッジ
2 DNAチップ(マイクロアレイ)
11〜16 ウェル
2 DNAチップ(マイクロアレイ)
11〜16 ウェル
Claims (5)
- 外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジにおいて、
マイクロアレイが収容される第1のウェルと、
前記第1のウェルに流路を介して接続され、核酸物質が収容される第2のウェルと、
前記第1のウェルに流路を介して接続され、前記核酸物質を洗浄するための洗浄液が収容される第3のウェルと、
が設けられることを特徴とする化学処理用カートリッジ。 - 外部から与えられた力による変形により内容物を封止又は移動させて化学処理を行わせる化学処理用カートリッジの使用方法において、
前記化学処理用カートリッジに外力を与えることにより、マイクロアレイが収容された前記化学処理用カートリッジの第1のウェルに、前記第1のウェルに流路を介して接続された前記化学処理用カートリッジの第2のウェルから、当該流路を介して核酸物質を導入するステップと、
前記核酸物質が導入された前記第1のウェル内において、前記マイクロアレイに対するハイブリダイゼーションを行わせるステップと、
前記ハイブリダイゼーションの後、前記化学処理用カートリッジに外力を与えることにより、前記第1のウェルに、前記第1のウェルに流路を介して接続された前記化学処理用カートリッジの第3のウェルから、当該流路を介して洗浄液を導入するステップと、
前記洗浄液の導入後、前記マイクロアレイを前記化学処理用カートリッジの外部から測定するステップと、
を備えることを特徴とする化学処理用カートリッジの使用方法。 - 前記洗浄液の一価の陽イオン濃度が100mM以上であることを特徴とする請求項2に記載の化学処理用カートリッジの使用方法。
- 前記洗浄液として0.5倍濃度以上のSSC溶液を用いることを特徴とする請求項2に記載の化学処理用カートリッジの使用方法。
- 前記洗浄液に界面活性剤が含まれていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の化学処理用カートリッジの使用方法。
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JP2008335708A JP2010156629A (ja) | 2008-12-29 | 2008-12-29 | 化学処理用カートリッジおよびその使用方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012037363A (ja) * | 2010-08-06 | 2012-02-23 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 生体関連分子の検出方法、検出用キット、及び検出システム |
JP2017113009A (ja) * | 2014-01-31 | 2017-06-29 | 凸版印刷株式会社 | バックグラウンド低下剤及びその使用 |
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JP2012037363A (ja) * | 2010-08-06 | 2012-02-23 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 生体関連分子の検出方法、検出用キット、及び検出システム |
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