以下、図面を参照して、この発明の一実施の形態に係るデジタル情報記録再生システムを説明する。
この発明に係るデジタル情報記録再生システムの代表的な一実施の形態として、MPEG2に基づきエンコードされた動画を可変ビットレートで記録・再生する装置、たとえばDVDデジタルビデオレコーダがある。(このDVDデジタルビデオレコーダの具体的な構成例については後述する。)
図1は、上記DVDデジタルビデオレコーダに使用される記録可能な光ディスク(DVDーRAM/DVD−RWディスク等)10の構造を説明する斜視図である。
図1に示すように、この光ディスク10は、それぞれ記録層17が設けられた一対の透明基板14を接着層20で貼り合わせた構造を持つ。各基板14は0.6mm厚のポリカーボネートで構成することができ、接着層20は極薄(たとえば40μm厚)の紫外線硬化性樹脂で構成することができる。これら一対の0.6mm基板14を、記録層17が接着層20の面上で接触するようにして貼り合わすことにより、1.2mm厚の大容量光ディスク10が得られる。
なお、記録層17はROM/RAM2層構造を持つことができる。その場合、読み出し面19側からみて近い方にROM層/光反射層(エンボス層)17Aが形成され、読み出し面19側からみて遠い方にRAM層/相変化記録層17Bが形成される。
光ディスク10には中心孔22が設けられており、ディスク両面の中心孔22の周囲には、この光ディスク10を回転駆動時にクランプするためのクランプエリア24が設けられている。中心孔22には、図示しないディスクドライブ装置に光ディスク10が装填された際に、ディスクモータのスピンドルが挿入される。そして、光ディスク10は、そのクランプエリア24において、図示しないディスククランパにより、ディスク回転中クランプされる。
光ディスク10は、クランプエリア24の周囲に、ビデオデータ、オーディオデータその他の情報を記録することができる情報エリア25を有している。
情報エリア25のうち、その外周側にはリードアウトエリア26が設けられている。また、クランプエリア24に接する内周側にはリードインエリア27が設けられている。そして、リードアウトエリア26とリードインエリア27との間にデータ記録エリア28が定められている。
情報エリア25の記録層(光反射層)17には、記録トラックがたとえばスパイラル状に連続して形成されている。その連続トラックは複数の物理セクタに分割され、これらのセクタには連続番号が付されている。このセクタを記録単位として、光ディスク10に種々なデータが記録される。
データ記録エリア28は、実際のデータ記録領域であって、記録・再生情報として、映画等のビデオデータ(主映像データ)、字幕・メニュー等の副映像データおよび台詞・効果音等のオーディオデータが、同様なピット列(レーザ反射光に光学的な変化をもたらす物理的な形状あるいは相状態)として記録されている。
光ディスク10が片面1層で両面記録のRAMディスクの場合は、各記録層17は、2つの硫化亜鉛・酸化シリコン混合物(ZnS・SiO2)で相変化記録材料層(たとえばGe2Sb2Te5)を挟み込んだ3重層により構成できる。
光ディスク10が片面1層で片面記録のRAMディスクの場合は、読み出し面19側の記録層17は、上記相変化記録材料層を含む3重層により構成できる。この場合、読み出し面19から見て反対側に配置される層17は情報記録層である必要はなく、単なるダミー層でよい。
光ディスク10が片面読み取り型の2層RAM/ROMディスクの場合は、2つの記録層17は、1つの相変化記録層(読み出し面19からみて奥側;読み書き用)と1つの半透明金属反射層(読み出し面19からみて手前側;再生専用)で構成できる。
光ディスク10がライトワンスのDVDーRである場合は、基板としてはポリカーボネートが用いられ、図示しない反射膜としては金、図示しない保護膜としては紫外線硬化樹脂を用いることができる。この場合、記録層17には有機色素が用いられる。この有機色素としては、シアニン、スクアリリウム、クロコニック、トリフェニルメンタン系色素、キサンテン、キノン系色素(ナフトキン、アントラキノン等)、金属錯体系色素(フタロシアン、ボルフィリン、ジチオール錯体等)その他が利用可能である。
このようなDVD−Rディスクへのデータ書き込みは、たとえば波長650nmで出力6〜12mW程度の半導体レーザを用いて行うことができる。
光ディスク10が片面読み取り型の2層ROMディスクの場合は、2つの記録層17は、1つの金属反射層(読み出し面19からみて奥側)と1つの半透明金属反射層(読み出し面19からみて手前側)で構成できる。
読み出し専用のDVDーROMディスク10では、基板14にピット列が予めスタンパーで形成され、このピット列が形成された基板14の面に金属等の反射層が形成され、この反射層が記録層17として使用されることになる。このようなDVD−ROMディスク10では、通常、記録トラックとしてのグルーブは特に設けられず、基板14の面に形成されたピット列がトラックとして機能するようになっている。
上記各種の光ディスク10において、再生専用のROM情報はエンボス信号として記録層17に記録される。これに対して、読み書き用(またはライトワンス用)の記録層17を持つ基板14にはこのようなエンボス信号は刻まれておらず、その代わりに連続のグルーブ溝が刻まれている。このグルーブ溝に、相変化記録層が設けられるようになっている。読み書き用DVDーRAMディスクの場合は、さらに、グルーブの他にランド部分の相変化記録層も情報記録に利用される。
なお、光ディスク10が片面読み取りタイプ(記録層が1層でも2層でも)の場合は、読み出し面19から見て裏側の基板14は読み書き用レーザに対して透明である必要はない。この場合は裏側基板14全面にラベル印刷がされていても良い。
後述するDVDデジタルビデオレコーダは、DVDーRAMディスク(またはDVD−RWディスク)に対する反復記録・反復再生(読み書き)と、DVDーRディスクに対する1回の記録・反復再生と、DVDーROMディスクに対する反復再生が可能なように構成できる。
図2は、図1の光ディスク(DVDーRAM等)10のデータ記録エリア28とそこに記録されるデータの記録トラックとの対応関係を説明する図である。
ディスク10がDVD−RAM(またはDVD−RW)の場合は、デリケートなディスク面を保護するために、ディスク10の本体がカートリッジ11に収納されるようになっている。DVD−RAMディスク10がカートリッジ11ごと後述するDVDビデオレコーダのディスクドライブに挿入されると、カートリッジ11からディスク10が引き出されて図示しないスピンドルモータのターンテーブルにクランプされ、図示しない光ヘッドに向き合うようにして回転駆動される。
一方、ディスク10がDVDーRまたはDVDーROMの場合は、ディスク10の本体はカートリッジ11に収納されておらず、裸のディスク10がディスクドライブのディスクトレイに直接セットされるようになる。
図1に示した情報エリア25の記録層17には、データ記録トラックがスパイラル状に連続して形成されている。その連続するトラックは、図2に示すように一定記憶容量の複数論理セクタ(最小記録単位)に分割され、この論理セクタを基準にデータが記録されている。1つの論理セクタの記録容量は、1パックデータ長と同じ2048バイト(あるいは2kバイト)に決められている(図24参照)。
データ記録エリア28には、実際のデータ記録領域であって、管理データ、主映像(ビデオ)データ、副映像データおよび音声(オーディオ)データが同様に記録されている。
なお、図4を参照して後述するが、図2のディスク10のデータ記録エリア28は、リング状(年輪状)に複数の記録エリア(複数の記録ゾーン)に分割することができる。各記録ゾーン毎にディスク回転速度は異なるが、各ゾーン内では線速度または角速度を一定にすることができる。この場合、各ゾーン毎に予備の記録エリアすなわちスペアエリア(フリースペース)を設けることができる。このゾーン毎のフリースペースを集めて、そのディスク10のリザーブエリアとすることができる。
図3は、図1の2層貼合せ光ディスク10を読書両用とする場合の、データ記録部をデフォルメして示す部分断面図である。ここでは、金(Au)または硫化亜鉛(ZnS)と酸化シリコン(SiO2)との混合物(ZnS・SiO2)で、厚さがたとえば20nmの読出専用情報記録層(ROM層17A)を形成している。
また、アルミニウム(Al)またはアルミニウム・モリブデン合金(Al・Mo)を用いた光反射膜と紫外線硬化性樹脂接着層20との間に、2つの硫化亜鉛・酸化シリコン混合物ZnS・SiO2(92、94)で相変化記録材料層90(Ge2Sb2Te5あるいはGeAnTe等)を挟み込んだ3重層(90〜94)が、設けられている。この3重層が、読み書き可能な情報記録層(RAM層17B)を形成している。
アルミニウムまたはアルミニウム・モリブデン合金反射膜の厚さはたとえば100nm程度に選ばれ、ZnS・SiO2混合物層94の厚さはたとえば20nm程度に選ばれ、Ge2Sb2Te5相変化記録材料層90の厚さはたとえば20nm程度に選ばれ、ZnS・SiO2混合物層92の厚さはたとえば180nm程度に選ばれる。
RAM層17Bに対する書込レーザ光WLは、基板14側から半透明のROM層17Aを貫通して、相変化記録材料層90に入射するようになっている。
RAM層17Bに対する読出レーザ光RLは、基板14側から半透明のROM層17Aを貫通して相変化記録材料層90に入射し、そこで書込状態(結晶質か非結晶質か)に応じた反射をするようになっている。
一方、ROM層17Aに対する読出レーザ光RLは、基板14側から入射し半透明のROM層17Aの凹凸(エンボス)状態に応じた反射をするようになっている。ROM層17Aを読むかRAM層17Bを読むかは、どちらの層に光ピックアップのフォーカスを結ばせるかで切り換えることができる。
なお、読出専用の情報がエンボス信号として記録されている基板14に対して、読み書き用の基板にはこのようなエンボス信号は刻まれておらず、その代わりに連続のグルーブ溝が刻まれている。このグルーブ溝に、相変化記録材料層90が設けられるようになっている。
図4は、図1の2層光ディスクのRAM層のデータトラック構成例(交替処理用スペアエリアSA00〜SA23が各ユーザエリアUA00〜UA23の外側に配置された構成)を説明する図である。
毎秒回転数(Hz)がN00のユーザエリアUA00の外側同心状に、毎秒回転数(Hz)がN00のスペアエリアSA00(ユーザエリアUA00で生じた欠陥部分の交替処理用)が設けられている。同様に、毎秒回転数(Hz)がN01のユーザエリアUA01の外側に毎秒回転数(Hz)がN01のスペアエリアSA01が同心状に設けられ、毎秒回転数(Hz)がN23のユーザエリアUA23の外側に毎秒回転数(Hz)がN23のスペアエリアSA23が同心状に設けられる。
この同心状エリア構成において、各回転ゾーン00(UA00+SA00)〜23(UA23+SA23)間での記録密度を平均化してディスク全体で大きな記録容量を確保するために、各定回転ゾーン毎の回転数をN00>N01>…>N23としている。
なお、ここでは同心状のゾーン数を24個(ゾーン00〜ゾーン23)としてあるが、このゾーン数24以外でもこの発明を実施できる。
図4の構成の光ディスク10において、ユーザエリアUA00に書込を行うときは、その管理(ユーザエリアUA00のどこからどこまでに該当データが書き込まれるか等)および欠陥発生時の交替処理は同じ回転数ゾーン内で行なう。同様に、ユーザエリアUA01での書込管理・欠陥管理は同じ回転数ゾーン内で行ない、ユーザエリアUA23での書込管理・欠陥管理は同じ回転数ゾーン内で行なう。
このようにすれば、書込管理処理中あるいは交替処理中にディスク10の回転速度を切り換える必要がなくなるから、書込処理および交替処理を高速化できる。
図5は、図1の2層光ディスクのRAM層のレイアウトを説明する図である。
すなわち、ディスク内周側のリードインエリア27は、光反射面が凹凸形状をしたエンボスゾーン、表面が平坦(鏡面)なミラーゾーンおよび書替可能ゾーンで構成される。エンボスゾーンは基準信号ゾーンおよび制御データゾーンを含み、ミラーゾーンは接続ゾーンを含む。
書替可能ゾーンは、ディスクテストゾーンと、ドライブテストゾーンと、ディスクID(識別子)ゾーンと、欠陥管理エリアDMA1およびDMA2を含んでいる。
ディスク外周側のリードアウトエリア26は、欠陥管理エリアDMA3およびDMA4と、ディスクID(識別子)ゾーンと、ドライブテストゾーンと、ディスクテストゾーンを含む書替可能ゾーンで構成される。
リードインエリア27とリードアウトエリア26との間のデータエリア28は、24個の年輪状のゾーン00〜ゾーン23に分割されている。各ゾーンは一定の回転速度を持っているが、異なるゾーン間では回転速度が異なる。また、各ゾーンを構成するセクタ数も、ゾーン毎に異なる。具体的には、ディスク内周側のゾーン(ゾーン00等)は回転速度が早く構成セクタ数は少ない。一方、ディスク外周側のゾーン(ゾーン23等)は回転速度が遅く構成セクタ数が多い。このようなレイアウトによって、各ゾーン内ではCAVのような高速アクセス性を実現し、ゾーン全体でみればCLVのような高密度記録性を実現している。
図6は、図5のレイアウトにおけるリードイン部分およびリードアウト部分の詳細を説明する図である。
エンボスデータゾーンの制御データゾーンには、適用されるDVD規格のタイプ(DVD−ROM・DVD−RAM・DVD−R等)およびパートバージョンと、ディスクサイズおよび最小読出レートと、ディスク構造(1層ROMディスク・1層RAMディスク・2層ROM/RAMディスク等)と、記録密度と、データエリアアロケーションと、バーストカッティングエリアの記述子と、記録時の露光量指定のための線速度条件と、読出パワーと、ピークパワーと、バイアスパワーと、媒体の製造に関する情報が記録されている。
別の言い方をすると、この制御データゾーンには、記録開始・記録終了位置を示す物理セクタ番号などの情報記憶媒体全体に関する情報と、記録パワー、記録パルス幅、消去パワー、再生パワー、記録・消去時の線速などの情報と、記録・再生・消去特性に関する情報と、個々のディスクの製造番号など情報記憶媒体の製造に関する情報等が事前に記録されている。
リードインおよびリードアウトの書替可能データゾーンには、各々の媒体ごとの固有ディスク名記録領域と、試し記録領域(記録消去条件の確認用)と、データエリア内の欠陥領域に関する管理情報記録領域が設けられている。これらの領域を利用することで、個々のディスクに対して最適な記録が可能となる。
図7は、図5のレイアウトにおけるデータエリア部分の詳細を説明する図である。
24個のゾーン毎に同数のグループが割り当てられ、各グループはデータ記録に使用するユーザエリアと交替処理に使用するスペアエリアをペアで含んでいる。各グループのユーザエリアおよびスペアエリアは同じ回転速度のゾーンに収まっており、グループ番号の小さい方が高速回転ゾーンに属し、グループ番号の大きい方が低速回転ゾーンに属する。低速回転ゾーンのグループは高速回転ゾーンのグループよりもセクタ数が多いが、低速回転ゾーンはディスクの回転半径が大きいので、ディスク10上での物理的な記録密度はゾーン全体(グループ全て)に渡りほぼ均一になる。
各グループにおいて、ユーザエリアはセクタ番号の小さい方(つまりディスク上で内周側)に配置され、スペアエリアはセクタ番号の大きい方(ディスク上で外周側)に配置される。このセクタ番号の割り当て方は、図4のディスク10上におけるユーザエリアUAとスペアエリアSAとの配置方法に対応する。
次に、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク10等)上に記録される情報の記録信号構造とその記録信号構造の作成方法について説明する。なお、媒体上に記録される情報の内容そのものは「情報」と呼び、同一内容の情報に対しスクランブルしたり変調したりしたあとの構造や表現、つまり信号形態が変換された後の“1”〜“0”の状態のつながりは「信号」と表現して、両者を適宜区別することにする。
図8は、図5のデータエリア部分に含まれるセクタの構造を説明する図である。図8の1セクタは図7のセクタ番号の1つに対応し、図2に示すように2048バイトのサイズを持つ。各セクタはディスク10にエンボスで刻まれたヘッダを先頭に、同期コードと変調後の信号(ビデオデータその他)を交互に含んでいる。
次に、DVD−RAMディスク10におけるECCブロック処理方法について説明する。
図9は、図5のデータエリア部分に含まれる情報の記録単位(エラーコレクションコードのECC単位)を説明する図である。
パーソナルコンピュータ用の情報記憶媒体(ハードディスクHDDや光磁気ディスクMOなど)のファイルシステムで多く使われるFAT(ファイルアロケーションテーブル)では、256バイトまたは512バイトを最小単位として情報記憶媒体へ情報が記録される。
それに対し、CD−ROMやDVD−ROM、DVD−RAMなどの情報記憶媒体では、ファイルシステムとしてUDF(ユニバーサルディスクフォーマット;詳細は後述)を用いており、ここでは2048バイトを最小単位として情報記憶媒体へ情報が記録される。この最小単位をセクタと呼ぶ。つまりUDFを用いた情報記憶媒体(光ディスク10)に対しては、図9に示すようにセクタ501毎に2048バイトずつの情報を記録して行く。
CD−ROMやDVD−ROMではカートリッジを使わず裸ディスクで取り扱うため、ユーザサイドで情報記憶媒体表面に傷が付いたり表面にゴミが付着し易い。情報記憶媒体表面に付いたゴミや傷の影響で特定のセクタ(たとえば図9のセクタ501c)が再生不可能(もしくは記録不能)な場合が発生する。
DVDでは、そのような状況を考慮したエラー訂正方式(積符号を利用したECC)が採用されている。具体的には16個ずつのセクタ(図9ではセクタ501aからセクタ501pまでの16個のセクタ)で1個のECC(エラーコレクションコード)ブロック502を構成し、その中で強力なエラー訂正機能を持たせている。その結果、たとえばセクタ501cが再生不可能といったような、ECCブロック502内のエラーが生じても、エラー訂正され、ECCブロック502のすべての情報を正しく再生することが可能となる。
図10は、図5のデータエリア内でのゾーンとグループ(図7参照)との関係を説明する図である。
図5の各ゾーン00〜23は、図4に示すようにディスク10上に物理的に配置されるもので、実際に使用されるデータエリア(ユーザエリア+スペアエリア)の他に、ゾーン間のデータ使用エリアを区分けするガードエリアを持っている。これに対して、図7のグループは実際に使用されるデータエリア(ユーザエリア+スペアエリア)に対して割り当てられる。
すなわち、図10においてガードエリア711で区切られたグループ00はディスク10の物理セクタ番号031000hから始まるユーザエリアUA00およびスペアエリアSA00を含み、ガードエリア711とガードエリア712で区切られたグループ01はユーザエリアUA01およびスペアエリアSA01を含む。以下同様に、ディスク10の最外周側のガードエリア713で区切られたグループ23はディスク10の最終物理セクタ番号で終わるユーザエリアUA23およびスペアエリアSA23を含んでいる。
図10の構成を持つ図4の光ディスク(DVDーRAMディスク)10が図示しないディスクドライブにかけられているときは、ガードエリア通過中にディスク10の回転速度を切り替える処理を行なうことができる。たとえば、図示しない光ヘッドがグループ00からグループ01にシークする際に、ガードエリア711を通過中にディスク10の回転速度がN00からN01に切り替えられる。
図11は、図5のデータエリア内での論理セクタの設定方法を説明する図である。物理的には図10に示すようなガードエリアがディスク10上に設けられているが、論理的には(つまり書込制御を行なうソフトウエアからみれば)、各グループ00〜23が密に並んでいる。このグループ00〜23の並びは、グループ番号の小さい方(物理セクタ番号の小さい方)がディスク10の内周側(リードイン側)に配置され、グループ番号の大きい方(物理セクタ番号の大きい方)がディスク10の外周側(リードアウト側)に配置される。
この配置において、同一グループ内のスペアエリアの論理セクタ番号は事前には設定されておらず、ユーザエリアの欠陥発生時に、交替処理前のユーザエリアの欠陥位置での論理セクタ番号が、交替処理後の対応するスペアエリア位置に移される。ただし、物理セクタ番号については、ユーザエリアもスペアエリアも始めから設定されている。
次に、ユーザエリアで生じた欠陥を処理する方法を幾つか説明する。その前に、欠陥処理に必要な欠陥管理エリア(図5または図6のDMA1〜DMA4)およびその関連事項について説明しておく。
[欠陥管理エリア]
欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)はデータエリアの構成および欠陥管理の情報を含むもので、たとえば32セクタで構成される。2つの欠陥管理エリア(DMA1、DMA2)は光ディスク(DVDーRAMディスク)10のリードインエリア27内に配置され、他の2つの欠陥管理エリア(DMA3、DMA4)は光ディスク10のリードアウトエリア26内に配置される。各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の後には、適宜予備のセクタ(スペアセクタ)が付加されている。
各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)は、2つのECCブロックからなる。各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の最初のECCブロックには、ディスク10の定義情報構造(DDS; Disc Definition Structure)および一次欠陥リスト(PDL; Primary Defect List)が含まれる。各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の2番目のECCブロックには、二次欠陥リスト(SDL; Secondary Defect List)が含まれる。4つの欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の4つの一次欠陥リスト(PDL)は同一内容となっており、それらの4つの二次欠陥リスト(SDL)も同一内容となっている。
4つの欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の4つの定義情報構造(DDS)は基本的には同一内容であるが、4つの欠陥管理エリアそれぞれのPDLおよびSDLに対するポインタについては、それぞれ個別の内容となっている。
ここでDDS/PDLブロックは、DDSおよびPDLを含むECCブロックを意味する。また、SDLブロックは、SDLを含むECCブロックを意味する。
光ディスク(DVDーRAMディスク)10を初期化したあとの各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の内容は、以下のようになっている:
(1)各DDS/PDLブロックの最初のセクタはDDSを含む;
(2)各DDS/PDLブロックの2番目のセクタはPDLを含む;
(3)各SDLブロックの最初のセクタはSDLを含む。
一次欠陥リストPDLおよび二次欠陥リストSDLのブロック長は、それぞれのエントリ数によって決定される。各欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)の未使用セクタはデータ0FFhで書き潰される。また、全ての予備セクタは00hで書き潰される。
[ディスク定義情報]
定義情報構造DDSは、1セクタ分の長さのテーブルからなる。このDDSはディスク10の初期化方法と、PDLおよびSDLそれぞれの開始アドレスを規定する内容を持つ。DDSは、ディスク10の初期化終了時に、各欠陥管理エリア(DMA)の最初のセクタに記録される。
[パーティショニング]
ディスク10の初期化中に、データエリアは24の連続したグループ00〜23に区分される。最初のゾーン00および最後のゾーン23を除き、区分された各ゾーンの頭には複数のバッファブロックが配置される。各グループは、バッファフロックを除き1つのゾーンを完全にカバーするようになっている。
各グループは、データセクタ(ユーザエリア)のフルブロックと、それに続くスペアセクタ(スペアエリア)のフルブロックを備えている。
[スペアセクタ]
各データエリア内の欠陥セクタは、所定の欠陥管理方法(後述する検証、スリッピング交替、スキッピング交替、リニア交替)により、正常セクタに置換(交替)される。この交替のためのスペアセクタのブロックは、図7の各グループのスペアエリアに含まれる。
光ディスク10は使用前に初期化できるようになっているが、この初期化は検証の有無に拘わらず実行可能となっている。
欠陥セクタは、スリッピング交替処理(Slipping Replacement Algorithm)、スキッピング交替処理(Skipping Replacement Algorithm)あるいはリニア交替処理(Linear Replacement Algorithm)により処理される。これらの処理(Algorithm)により前記PDLおよびSDLにリストされるエントリ数の合計は、所定数、たとえば4092以下とされる。
[初期化]
ディスク10の初期化において、そのディスクの最初の使用よりも前に、4つの欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)が前もって記録される。データエリアは24グループ(図7のグループ00〜23)にパーティションされる。各グループは、データセクタ(ユーザエリア)用に多数のブロックと、それに続く多数のスペアブロック(スペアエリア)を含む。これらのスペアブロックは欠陥セクタの交替用に用いることができる。
初期化時は各グループの検証(サーティファイ)を行なうこともできる。これにより、初期化段階で発見された欠陥セクタは特定され、使用時にはスキップされるようになる。
全ての定義情報構造DDSのパラメータは、4つのDDSセクタに記録される。一次欠陥リストPDLおよび二次欠陥リストSDLは、4つの欠陥管理エリア(DMA1〜DMA4)に記録される。最初の初期化では、SDL内のアップデートカウンタは00hにセットされ、全ての予約ブロックは00hで書き潰される。
[検証/サーティフィケーション]
ディスク10を検証する場合は、各グループ内のデータセクタ(ユーザエリア)およびスペアセクタ(スペアエリア)を検証することになる。この検証は、各グループ内セクタの読み書きチェックにより行なうことができる。
検証中に発見された欠陥セクタは、たとえばスリッピング交替により処理される。この欠陥セクタは、読み書きに使用してはならない。
検証の実行中にディスク10のゾーン内スペアセクタを使い切ってしまったときは、そのディスク10は不良と判定し、以後そのディスク10は使用しないものとする。
なお、ディスク10をコンピュータのデータ記憶用に用いるときは上記初期化+検証が行われるが、ビデオ録画用に用いられるときは、上記初期化+検証を行うことなく、いきなりビデオ録画することもあり得る。
図12は、図5のデータエリア内での交替処理(スリッピング交替法)を説明する図である。
検証が実行されたときは、データエリア内の各グループ全てに対してスリッピング交替処理が個別に適用される。
検証中に発見された欠陥データセクタ(たとえばm個の欠陥セクタ731)は、その欠陥セクタの後に続く最初の正常セクタ(ユーザエリア723b)と交替(あるいは置換)される(交替処理734)。これにより、該当グループの末端に向かってmセクタ分のスリッピング(論理セクタ番号後方シフト)が生じる。同様に、その後にn個の欠陥セクタ732が発見されれば、その欠陥セクタはその後に続く正常セクタ(ユーザエリア723c)と交替される。最後のデータセクタ(ユーザエリア723c)欠陥がある場合については、そのグループのスペアセクタ(スペアエリア724のうち論理セクタ番号の小さい方の記録使用領域743から順に)にスリッピングする。
欠陥セクタのアドレスは一次欠陥リスト(PDL)に書き込まれる。欠陥セクタは、ユーザデータの記録に使用してはならない。もし検証中に欠陥セクタが発見されないときは、PDLには何も書き込まない。
最後のデータセクタ(ユーザエリア723c)を超えてスペアエリア724にスリッピングすることがあれば、検証中に欠陥が発見されたスペアセクタのアドレスは、PDLに書き込まれる。この場合、使用可能なスペアセクタ(スペアエリアの不使用領域736のセクタ)の数は減少する。
該当グループのユーザエリア中でm+n個の欠陥セクタが発見されたときは、m+nセクタ分がスペアエリア724の記録使用領域743にスリッピングし、その結果、スペアエリア724の不使用領域726はm+nセクタ分減少する。
もしあるグループのスペアエリア724のセクタを検証中に交替処理で使い切ってしまったときは、検証失敗とみなす。
検証が成功した場合、欠陥セクタのないユーザエリア723a〜723cとスペアエリアの記録使用領域743がそのグループの情報記録使用部分(論理セクタ番号設定領域735)となり、この部分に連続した論理セクタ番号が割り当てられる。
図13は、図5のデータエリア内での他の交替処理(スキッピング交替法)を説明する図である。
スキッピング交替処理は、ディスク10の使用中の反復読み書きにより発生した欠陥または劣化に適用できる。このスキッピング交替処理は、16セクタ単位、すなわちECCブロック単位(1セクタが2kバイトなので32kバイト単位)で実行される。
たとえば、正常なECCブロックで構成されるユーザエリア723aの後に1個の欠陥ECCブロック741が発見されれば、この欠陥ECCブロック741に記録予定だったデータは、直後の正常なユーザエリア723bのECCブロックに代わりに記録される(交替処理744)。同様に、k個の欠陥ECCブロック742が発見されれば、これらの欠陥ブロック742に記録する予定だったデータは、直後の正常なユーザエリア723cのk個のECCブロックに代わりに記録される。
こうして、該当グループのユーザエリア中で1+k個の欠陥ECCブロックが発見されたときは、(1+k)ECCブロック分がスペアエリア724の記録使用延長領域743にスキッピングする。その結果、スペアエリア724の不使用領域726は(1+k)ECCブロック分減少し、残りの不使用領域746は小さくなる。そしてスペアエリア724の不使用領域726はm+nセクタ分減少する。
もし該当グループのスペアエリア724を検証中に交替処理で使い切ってしまったときは、検証失敗とみなす。
検証が成功した場合、欠陥ECCブロックのないユーザエリア723a〜723cがそのグループの情報記録使用部分(論理セクタ番号設定領域725)となる。そして、欠陥ECCブロック741および742の論理セクタ番号設定位置がスペアエリア724の延長領域743に平行移動する。このとき、欠陥ECCブロックのないユーザエリア723a〜723cは、欠陥の有無に拘わらず、欠陥がないときに割り振られた論理セクタ番号のまま不変に保たれている。
上記論理セクタ番号設定位置の平行移動745により、延長領域743にスキッピングされた(1+k)個のECCブロックを構成するセクタの論理セクタ番号が、欠陥ECCブロック741とk個の連続ECCブロックに事前に割り振られた論理セクタ番号を担うことになる。
このスキッピング交替処理法では、ディスク10が事前に検証(サーティファイ)されていなくても、ECCブロック単位でエラーが発見されたら、即、交替処理を実行して行ける。
図14は、図5のデータエリア内でのさらに他の交替処理(リニア交替法)を説明する図である。
リニア交替処理は、検証以後の反復読み書きにより発生した欠陥セクタおよび劣化セクタの双方に適用できる。このリニア交替処理も、16セクタ単位、すなわちECCブロック単位(32kバイト単位)で実行される。
リニア交替処理では、欠陥ECCブロック751は、該当グループ内で最初に使用可能な正常スペアブロック(スペアエリア724の最初の記録使用領域753)と交替(置換)される(交替処理758)。もしそのグループにスペアブロックが残っていないなら、つまりそのグループ内に残っているセクタが16セクタ未満のときは、その旨は二次欠陥リスト(SDL)に記録される。そして、欠陥ブロックは、他のグループ内で最初に使用可能な正常スペアブロックと交替(置換)される。欠陥ブロックのアドレスおよびその最終交替(置換)ブロックのアドレスは、SDLに書き込まれる。
上述したように、該当グループにスペアブロックがないときは、その旨はSDLに記録される。グループ00にスペアブロックがないということは、SDLの所定ビットに“1”をセットすることで示される。この所定ビットが“0”にセットされているときは、そのグループ00内にまだスペアブロックが残っていることを示す。この所定ビットはグループ00に対応して設けられる。グループ01に対しては別の所定ビットが対応する。以下同様にして、24個の個別所定ビットが24個のグループ00〜23それぞれに対応するようになっている。
検証後、もしデータブロック(ECCブロック)に欠陥が発見されたときは、そのブロックは欠陥ブロックとみなし、その旨はSDLの新エントリとしてリストされる。
SDLにリストされた交替ブロックが、後に欠陥ブロックであると判明したときは、ダイレクトポインタ法を用いてSDLに登録を行なう。このダイレクトポインタ法では、交替ブロックのアドレスを欠陥ブロックのものから新しいものへ変更することによって、交替された欠陥ブロックが登録されているSDLのエントリが修正される。
上記二次欠陥リストSDLを更新するときは、SDL内の更新カウンタを1つインクリメントする。
[検証されないディスク]
スキッピング交替処理あるいはリニア交替処理は、検証されていないディスク10で発見された欠陥セクタに対しても適用できる。この交替処理は、16セクタ単位(すなわち1ECCブロック単位)で実行される。
たとえばリニア交替処理の場合、欠陥ブロックは、該当グループ内で最初に使用可能な正常スペアブロックと交替(置換)される。もしそのグループにスペアブロックが残っていないなら、その旨が二次欠陥リスト(SDL)に記録される。そして、欠陥ブロックは、他のグループ内で最初に使用可能な正常スペアブロックと交替(置換)される。欠陥ブロックのアドレスおよびその最終交替(置換)ブロックのアドレスは、SDLに書き込まれる。
該当グループにスペアブロックがないときは、その旨がSDLに記録される。グループ00にスペアブロックがないということは、そのグループの所定ビットに“1”をセットすることで示される。この所定ビットが“0”にセットされているときは、グループ00内にまだスペアブロックが残っていることを示す。
もし、一次欠陥リスト(PDL)内に欠陥セクタのアドレスリストが存在するなら、たとえそのディスクが検証されていなくても、これらの欠陥セクタはディスク使用時にスキップされる。この処理は、検証されたディスクに対する処理と同様である。
[書込処理]
あるグループのセクタにデータ書込を行うときは、一次欠陥リスト(PDL)にリストされた欠陥セクタはスキップされる。そして、前述したスリッピング交替処理にしたがって、欠陥セクタに書き込もうとするデータは次に来るデータセクタに書き込まれる。もし書込対象ブロックが二次欠陥リスト(SDL)にリストされておれば、そのブロックへ書き込もうとするデータは、前述したリニア交替処理またはスキッピング交替処理にしたがって、SDLにより指示されるスペアブロックに書き込まれる。
なお、パーソナルコンピュータの環境下では、パーソナルコンピュータファイルの記録時にはリニア交替処理が利用され、AVファイルの記録時にはスキッピング交替処理が利用される。
[一次欠陥リスト;PDL]
一次欠陥リスト(PDL)は常に光ディスク10に記録されるものであるが、その内容が空であることはあり得る。
欠陥セクタのリストは、ディスク10の検証以外の手段によって得ても良い。
PDLは、初期化時に特定された全ての欠陥セクタのアドレスを含む。これらのアドレスは、昇順にリストされる。PDLは必要最小限のセクタ数で記録するようにする。そして、PDLは最初のセクタの最初のユーザバイトから開始する。PDLの最終セクタにおける全ての未使用バイトは、0FFhにセットされる。このPDLには、以下のような情報が書き込まれることになる:
バイト位置 PDLの内容
0 00h;PDL識別子
1 01h;PDL識別子
2 PDL内のアドレス数;MSB
3 PDL内のアドレス数;LSB
4 最初の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号;MSB)
5 最初の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号)
6 最初の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号)
7 最初の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号;LSB)
・ ・
x−3 最後の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号;MSB)
x−2 最後の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号)
x−1 最後の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号)
x 最後の欠陥セクタのアドレス(セクタ番号;LSB)
*注;第2バイトおよび第3バイトが00hにセットされているときは、第3バイトはPDLの末尾となる。
なお、マルチセクタに対する一次欠陥リスト(PDL)の場合、欠陥セクタのアドレスリストは、2番目以降の後続セクタの最初のバイトに続くものとなる。つまり、PDL識別子およびPDLアドレス数は、最初のセクタにのみ存在する。
PDLが空の場合、第2バイトおよび第3バイトは00hにセットされ、第4バイトないし第2047バイトはFFhにセットされる。
また、DDS/PDLブロック内の未使用セクタには、FFhが書き込まれる。
[二次欠陥リスト;SDL]
二次欠陥リスト(SDL)は初期化段階で生成され、サーティフィケーションの後に使用される。全てのディスクには、初期化中にSDLが記録される。
このSDLは、欠陥データブロックのアドレスおよびこの欠陥ブロックと交替するスペアブロックのアドレスという形で、複数のエントリを含んでいる。SDL内の各エントリには、8バイト割り当てられている。つまり、その内の4バイトが欠陥ブロックのアドレスに割り当てられ、残りの4バイトが交替ブロックのアドレスに割り当てられている。
上記アドレスリストは、欠陥ブロックおよびその交替ブロックの最初のアドレスを含む。欠陥ブロックのアドレスは、昇順に付される。
SDLは必要最小限のセクタ数で記録され、このSDLは最初のセクタの最初のユーザデータバイトから始まる。SDLの最終セクタにおける全ての未使用バイトは、0FFhにセットされる。その後の情報は、4つのSDL各々に記録される。
SDLにリストされた交替ブロックが、後に欠陥ブロックであると判明したときは、ダイレクトポインタ法を用いてSDLに登録を行なう。このダイレクトポインタ法では、交替ブロックのアドレスを欠陥ブロックのものから新しいものへ変更することによって、交替された欠陥ブロックが登録されているSDLのエントリが修正される。その際、SDL内のエントリ数は、劣化セクタによって変更されることはない。
このSDLには、以下のような情報が書き込まれることになる:
バイト位置 SDLの内容
0 (00);SDL識別子
1 (02);SDL識別子
2 (00)
3 (01)
4 更新カウンタ;MSB
5 更新カウンタ
6 更新カウンタ
7 更新カウンタ;LSB
8〜26 予備(00h)
27〜29 ゾーン内スペアセクタを全て使い切ったことを示すフラグ
30 SDL内のエントリ数;MSB
31 SDL内のエントリ数;LSB
32 最初の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号;MSB)
33 最初の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号)
34 最初の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号)
35 最初の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号;LSB)
36 最初の交替ブロックのアドレス(セクタ番号;MSB)
37 最初の交替ブロックのアドレス(セクタ番号)
38 最初の交替ブロックのアドレス(セクタ番号)
39 最初の交替ブロックのアドレス(セクタ番号;LSB)
・ ・
y−7 最後の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号;MSB)
y−6 最後の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号)
y−5 最後の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号)
y−4 最後の欠陥ブロックのアドレス(セクタ番号;LSB)
y−3 最後の交替ブロックのアドレス(セクタ番号;MSB)
y−2 最後の交替ブロックのアドレス(セクタ番号)
y−1 最後の交替ブロックのアドレス(セクタ番号)
y 最後の交替ブロックのアドレス(セクタ番号;LSB)
*注;第30〜第31バイト目の各エントリは8バイト長。
なお、マルチセクタに対する二次欠陥リスト(SDL)の場合、欠陥ブロックおよび交替ブロックのアドレスリストは、2番目以降の後続セクタの最初のバイトに続くものとなる。つまり、上記SDLの内容の第0バイト目〜第31バイト目は、最初のセクタにのみ存在する。
また、SDLブロック内の未使用セクタには、FFhが書き込まれる。
図15は、図1の2層光ディスクにおけるROM層部分の論理セクタの設定方法を説明する図である。ここでは、リードインエリアからリードアウトエリアまでの間のボリュームスペースにおいて、レイヤ0のデータエリアの物理セクタ番号PSNおよび論理セクタ番号LSNを、1:1で対応させている。このROM層のセクタ構造は1層構造のDVDーROMディスクにも適用できる。
図16は、図1の2層光ディスクにおけるROM層/RAM層の論理セクタの設定方法を説明する図である。リードインエリアからリードアウトエリアまでの間のボリュームスペースにおいて、物理セクタ番号PSNの小さな方(ボリュームスペースの前半)にレイヤ0のデータエリア(再生用ROM層)を配置し、物理セクタ番号PSNの大きな方(ボリュームスペースの後半)にレイヤ1のデータエリア(記録用RAM層)を配置している。ここでは、前半のROM層の物理セクタ番号PSN+後半のRAM層の物理セクタ番号PSNを、単一のボリュームスペースの論理セクタ番号LSNに対応させている。
図17は、図1の2層光ディスクにおけるROM層/RAM層の論理セクタの他の設定方法を説明する図である。ボリュームスペースの前半にROM層を配置し、後半にRAM層を配置している点は図16の場合と同じであるが、ROM層とRAM層のつなぎ目の物理的な位置が違っている。
すなわち、図16ではレイヤ0のROM層もレイヤ1のRAM層もディスクの内周から外周に向かって物理セクタ番号PSN増えるようになっている。一方、図17の場合、レイヤ0のROM層ではディスクの内周から外周に向かって物理セクタ番号PSN増えるようになっているが、レイヤ1のRAM層ではディスクの外周から内周に向かって物理セクタ番号PSN増えるようになっている。しかし、ROM層の物理セクタ番号PSN+RAM層の物理セクタ番号PSNは、単一のボリュームスペースの論理セクタ番号LSNに対応している。
なお、図15の例は1層構造(レイヤ0)のディスク1枚の場合を示し、図16および図17の例では2層構造(レイヤ0とレイヤ1)のディスク1枚の場合を示している。図示はしないが、3層(レイヤ0〜レイヤ2)あるいは4層(レイヤ0〜レイヤ3)のディスク1枚の全部のレイヤを1つの連続したボリュームスペースとすること、すなわち各レイヤの物理セクタ番号PSNを全て繋ぎ合わせて1つの連続した論理セクタ番号LSNに対応させることは、当然可能である。
また、複数のディスクを連続的に扱えるディスクチェンジャ(あるいはディスクパック)を採用する場合は、全てのディスクの各レイヤの物理セクタ番号PSNをトータルに繋ぎ合わせて1つの連続した論理セクタ番号LSNに対応させることもできる。
このように複数ディスクの複数レイヤの物理セクタ番号を全て包含するボリュームの論理セクタ番号LSNはかなり大きな数値になりやすいが、そのアドレス管理は、32kバイトのECCブロック単位(後述するAVアドレス単位)を採用することで、無理なく行うことができる。
図18は、たとえば図2の光ディスク(とくにDVD−RAMまたはDVD−RWディスク)10に記録される情報の階層構造の一例を説明する図である。
リードインエリア27は、光反射面が凹凸形状を持つエンボスデータゾーンと、表面が平坦(鏡面)なミラーゾーンと、情報の書き替えが可能な書替可能データゾーンとを含んでいる。
データ記録エリア(ボリュームスペース)28は、ユーザによる書き替えが可能なボリューム/ファイル管理情報70およびデータエリアDAで構成されている。
リードインエリア27とリードアウトエリア26の間に挟まれたデータエリアDAには、コンピュータデータとAVデータの混在記録が可能になっている。コンピュータデータとAVデータの記録順序、各記録情報サイズは任意で、コンピュータデータが記録されている場所をコンピュータデータエリア(DA1、DA3)と呼びAVデータが記録された領域をAVデータエリア(DA2)と名付ける。
ボリューム/ファイル管理情報70には、ボリューム全体に関する情報、ボリュームスペース28に含まれるコンピュータデータ(パーソナルコンピュータのデータ)のファイル数およびAVデータに関するファイル数、記録レイヤ情報などに関する情報が記録されている。
とくに記録レイヤ情報としては、以下のものが含まれる:
*構成レイヤ数(たとえばROM/RAM2層ディスク1枚は2レイヤとされ、ROMだけの2層ディスク1枚も2レイヤとされ、片面1層ディスクn枚はROMでもRAMでもnレイヤとされる);
*各レイヤ毎に割り付けた論理セクタ番号範囲テーブル(各レイヤ毎の容量を示す);
*各レイヤ毎の特性(DVDーRAMディスク、ROM/RAM2層ディスクのRAM部、DVD−R、CDーROM、CDーR等);
*各レイヤ毎のRAM領域でのゾーン単位での割り付け論理セクタ番号範囲テーブル(各レイヤ毎の書替可能領域容量の情報も含む);および
*各レイヤ毎の独自のID情報(多連ディスクパック内のディスク交換を発見するため)。
上記内容を含む記録レイヤ情報により、多連ディスクパックやROM/RAM2層ディスクに対しても、連続した論理セクタ番号を設定して1個の大きなボリュームスペースとして取り扱えるようになる。
データエリアDAには、コンピュータデータ、ビデオデータ、オーディオデータなどが記録される。ボリューム/ファイル管理情報70には、データエリアDAに記録されたオーディオ・ビデオデータのファイルまたはボリューム全体に関する情報が記録される。
リードアウトエリア26も、情報書き替えが可能なように構成されている。
リードインエリア27のエンボスデータゾーンには、たとえば以下の情報が事前に記録されている:
(1)DVD−ROM、DVD−RAM(またはDVDーRW)、DVD−R等のディスクタイプ;12cm、8cm等のディスクサイズ;記録密度;記録開始/記録終了位置を示す物理セクタ番号、その他の、情報記憶媒体全体に関する情報;
(2)記録パワーと記録パルス幅;消去パワー;再生パワー;記録・消去時の線速度、その他の、記録・再生・消去特性に関する情報;および
(3)製造番号等、個々の情報記憶媒体の製造に関する情報。
また、リードインエリア27およびリードアウトエリア26の書替可能ゾーンは、それぞれ、たとえば以下の領域を含んでいる:
(4)各情報記憶媒体毎の固有ディスク名を記録する領域;
(5)試し記録領域(記録消去条件の確認用);および
(6)データエリアDA内の欠陥領域に関する管理情報を記録する領域。
上記(4)〜(6)の領域には、DVD記録装置(DVDビデオレコーダ専用機あるいはパーソナルコンピュータにDVDビデオ処理ボードと処理ソフトウエアをインストールしたもの等)による記録が可能となっている。
データエリアDAには、オーディオ・ビデオデータDA2とコンピュータデータDA1、DA3が混在して記録できるようになっている。
なお、コンピュータデータとオーディオ・ビデオデータの記録順序および記録情報サイズ等は任意である。データエリアDAにコンピュータデータだけを記録することも、オーディオ・ビデオデータだけを記録することも、可能である。
オーディオ・ビデオデータエリアDA2は、制御情報DA21、ビデオオブジェクトDA22、ピクチャオブジェクトDA23およびオーディオオブジェクトDA24を含んでいる。
オーディオ・ビデオデータエリアDA2の最初の位置には、制御情報DA21の記録位置を示す情報を持ったアンカーポインタAPが存在する。情報記録再生システムでこのオーディオ・ビデオデータエリアDA2の情報を利用する場合には、まず最初にアンカーポインタAPから制御情報DA21の記録位置を調べ、そこにアクセスして制御情報DA21を読み取る。
ビデオオブジェクトDA22は、記録されたビデオデータの中身(コンテンツ)の情報を含んでいる。
ピクチャオブジェクトDA23は、スチル画、スライド画、検索・編集時に用いるビデオオブジェクトDA22の中身を代表する縮小画像(サムネールピクチャ)等の静止画情報を含んでいる。
オーディオオブジェクトDA24は、記録されたオーディオデータの中身(コンテンツ)の情報を含んでいる。
なお、オーディオ・ビデオデータの再生対象(コンテンツ)の記録情報は、後述する図19のビデオオブジェクトセットVOBSに含まれる。
制御情報DA21は、AVデータ制御情報DA210、再生制御情報DA211、記録制御情報DA212、編集制御情報DA213および縮小画像制御情報DA214を含んでいる。
AVデータ制御情報DA210は、ビデオオブジェクトDA22内のデータ構造を管理しまた情報記憶媒体(光ディスク等)10上での記録位置に関する情報を管理する情報と、制御情報の書替回数を示す情報CIRWNsを含む。
再生制御情報DA211は再生時に必要な情報を含むもので、プログラムチェーンPGCの繋がりを指定する機能を持つ。具体的には、PGCを統合した再生シーケンスに関する情報;この情報に関連して情報記憶媒体10をたとえば1本のテープ(デジタルビデオカセットDVCやビデオテープVTR)とみなし「擬似的記録位置」を示す情報(記録された全てのセルを連続して再生するシーケンス);異なる映像情報を持つ複数画面同時再生に関する情報;検索情報(検索カテゴリ毎に対応するセルIDとそのセル内の開始時刻のテーブルが記録され、ユーザがカテゴリを選択して該当映像情報へ直接アクセスすることを可能にする情報)等が、再生制御情報DA211に含まれる。
この再生制御情報DA211により、AVファイルのファイル名と、ディレクトリ名のパスと、PGCのIDと、セルIDを指定することができる。
記録制御情報DA212は、記録(録画および/または録音)時に必要な制御情報(番組予約録画情報等)を含む。
編集制御情報DA213は、編集時に必要な制御情報を含む。たとえば、各PGC単位の特殊編集情報(該当時間設定情報、特殊編集内容等のEDL情報)やファイル変換情報(AVファイル内の特定部分を図23のAVIファイル等に変換し変換後のファイル格納位置を指定する情報等)を含むことができる。
縮小画像制御情報DA214は、ビデオデータ内の見たい場所の検索用または編集用の縮小画像(サムネールピクチャ;Thumbnail Picture)に関する管理情報および縮小画像データを含んでいる。
縮小画像制御情報DA214は、ピクチャアドレステーブルおよび縮小画像データ等を含むことができる。縮小画像制御情報DA214はまた、ピクチャアドレステーブルおよび縮小画像データの下層情報として、メニューインデックス情報、インデックスピクチャ情報、スライドおよびスチルピクチャ情報、インフォメーションピクチャ情報、欠陥エリア情報および壁紙ピクチャ情報等を含むことができる(図示せず)。
AVデータ制御情報DA210は、アロケーションマップテーブルAMTと、プログラムチェーン制御情報PGCCIと、セル時間制御情報CTCIを含む。
アロケーションマップテーブルAMTは、情報記憶媒体(光ディスク10等)上の実際のデータ配置に沿ったアドレス設定、既記録・未記録エリアの識別等に関する情報を含む。図18の例では、このアロケーションマップテーブルAMTは、ユーザエリアアロケーション記述子UAD、スペアエリアアロケーション記述子SADおよびアドレス変換テーブルACTを含んでいる(アロケーションマップAMTの別の例は図65を参照)。
プログラムチェーン制御情報PGCCIは、ビデオ再生プログラム(シーケンス)に関する情報を含む。
また、セル時間制御情報CTCIは、ビデオ情報の基本単位(セル)のデータ構造に関する情報を含む。このセル時間制御情報CTCIは、セル時間制御一般情報CTCGIと、セル時間検索情報CTSIと、m個のセル時間検索情報CTI#1〜CTI#mを含む。
セル時間制御一般情報CTCGIは、個々のセルに関する情報を含む。セル時間検索情報CTSIは、特定のセルIDが指定された場合それに対応するセル時間情報の記載位置(AVアドレス)を示すマップ情報である。
各セル時間検索情報(CTI#m)は、セル時間一般情報CTGI#mと、セルVOBUテーブルCVT#mで構成される。このセル時間検索情報(CTI#m)の詳細については、図26を参照して後述する。
図18の概要は上記のようになるが、以下に個々の情報に対しての補足説明をまとめる。
<1>ボリューム/ファイル管理情報70には、以下の情報が含まれる:
ボリュームスペース28全体に関する情報;
ボリュームスペース28に含まれるコンピュータデータ(DA1、DA3)のファイル数およびオーディオ・ビデオデータ(AVデータDA2)に関するファイル数;
情報記憶媒体(DVDーRAMディスク、DVDーROMディスクあるいはDVDーROM/RAM多層ディスク)の記録レイヤ情報;その他。
ここで、上記記録レイヤ情報としては、
構成レイヤ数(例:RAM/ROM2層ディスク1枚は2レイヤ、ROM2層ディスク1枚も2レイヤ、片面ディスクn枚はnレイヤとしてカウント);
各レイヤ毎に割り付けた論理セクタ番号範囲テーブル(各レイヤ毎の容量に対応);
各レイヤ毎の特性(例:DVD−RAMディスク、RAM/ROM2層ディスクのRAM部、CD−ROM、CD−R など)
各レイヤ毎のRAM領域でのゾーン単位での割付け論理セクタ番号範囲テーブル(各レイヤ毎の書替可能領域容量情報も含む);
各レイヤ毎の独自のID情報(たとえば多連ディスクパック内のディスク交換を発見するため);その他
が記録され、多連ディスクパックやRAM/ROM2層ディスクに対しても連続した論理セクタ番号を設定して1個の大きなボリュームスペースとして扱えるようになっている。
<2>再生制御情報DA211には、
PGCを統合した再生シーケンスに関する情報;
上記PGCを統合した再生シーケンスに関連して、情報記憶媒体10をビデオテープレコーダVTRやデジタルビデオカセットDVCのように一本のテープと見なした「擬似的記録位置を示す情報」(記録された全てのセルを連続して再生するシーケンス);
異なる映像情報を持つ複数画面同時再生に関する情報;
検索情報(検索カテゴリー毎に対応するセルIDとそのセル内の開始時刻のテーブルが記録され、ユーザがカテゴリーを選択して該当映像情報への直接アクセスを可能にする情報);
などが記録されている。
<3>記録制御情報DA212には、
番組予約録画情報;
などが記録されている。
<4>編集制御情報DA213には、
各PGC単位の特殊編集情報(該当時間設定情報と特殊編集内容が編集ライブラリ(EDL)情報として記載されているもの);
ファイル変換情報(AVファイル内の特定部分を、AVIファイルなどPC上で特殊編集を行えるファイルに変換し、変換後のファイルを格納する場所を指定する情報);
などが記録されている。
図19は、図18の情報階層構造においてビデオオブジェクトのセル構成とプログラムチェーンPGCとの対応例を例示する図である。この情報階層構造において、ビデオオブジェクトDA22はビデオオブジェクトセットVOBSにより構成される。このVOBSは各々が異なる方法でセル再生順序を指定した1以上のプログラムチェーンPGC#1〜#kに対応した内容を持つ。
ビデオオブジェクトセット(VOBS)は、1以上のビデオオブジェクト(VOB)の集合として定義されている。ビデオオブジェクトセットVOBS中のビデオオブジェクトVOBは同一用途に用いられる。
たとえばメニュー用のVOBSは、通常、1つのVOBで構成され、そこには複数のメニュー画面表示用データが格納される。これに対して、タイトルセット用のVOBSは、通常、複数のVOBで構成される。
ここで、タイトルセット用ビデオオブジェクトセット(VTSTT_VOBS)を構成するVOBは、あるロックバンドのコンサートビデオを例にとれば、そのバンドの演奏の映像データに相当すると考えることができる。この場合、VOBを指定することによって、そのバンドのコンサート演奏曲目のたとえば3曲目を再生することができる。
また、メニュー用ビデオオブジェクトセットVTSM_VOBSを構成するVOBには、そのバンドのコンサート演奏曲目全曲のメニューデータが格納され、そのメニューの表示にしたがって、特定の曲、たとえばアンコール演奏曲目を再生することができる。
なお、通常のビデオプログラムでは、1つのVOBで1つのVOBSを構成することができる。この場合、1本のビデオストリームが1つのVOBで完結することとなる。
一方、たとえば複数ストーリのアニメーション集あるいはオムニバス形式の映画では、1つのVOBS中に各ストーリに対応して複数のビデオストリーム(複数のプログラムチェーンPGC)を設けることができる。この場合は、各ビデオストリームが対応するVOBに格納されることになる。その際、各ビデオストリームに関連したオーディオストリームおよび副映像ストリームも各VOB中で完結する。
VOBには、識別番号(VOB_IDN#i;i=0〜i)が付され、この識別番号によってそのVOBを特定することができる。VOBは、1または複数のセルから構成される。通常のビデオストリームは複数のセルで構成されるが、メニュー用のビデオストリームは1つのセルで構成される場合もある。各セルには、VOBの場合と同様に識別番号(C_IDN#j)が付されている。
図20は、図2の光ディスクのリードインエリアに記録される情報(表現方法は違うが図6のリードインデータ部分に対応)の論理構造を説明する図である。
ディスク10が図示しないDVDビデオレコーダ(または図示しないDVビデオプレーヤ)にセットされると、まずリードインエリア27の情報が読み取られる。このリードインエリア27には、セクタ番号の昇順に沿って、所定のリファレンスコードおよび制御データが記録されている。
リードインエリア27のリファレンスコードは、所定のパターン(特定のシンボル“172”の反復パターン)を含み、2つのエラー訂正コードブロック(ECCブロック)で構成されている。各ECCブロックは16セクタで構成される。この2つのECCブロック(32セクタ)は、スクランブルデータを付加して生成されるようになっている。スクランブルデータが付加されたリファレンスコードを再生したときに、特定のデータシンボル(“172”)が再生されるよう再生側のフィルタ操作等を行って、その後のデータ読み取り精度を確保するようにしている。
リードインエリア27の制御データは、192個のECCブロックで構成されている。この制御データの部分には、各ブロック内の16セクタの内容が、192回繰り返し記録されている。
図21は、図20のリードインエリアに記録される制御データの内容の一例を説明する図である。16セクタで構成されるこの制御データは、最初の1セクタ(2048バイト)に物理フォーマット情報を含み、その後にディスク製造情報およびコンテンツプロバイダ情報を含んでいる。
図22は、図21の制御データに含まれる2048バイトの物理フォーマット情報(表現方法は違うが図6の制御データゾーン部分に対応)の内容の一例を説明する図である。
最初のバイト位置「0」には、記録情報がDVD規格のどのバージョンに準拠しているのかを示す「ブックタイプ&パートバージョン」が記載される。
2番目のバイト位置「1」には、記録媒体(光ディスク10)のサイズ(12cm、8cm、その他)および最小読出レートが記載される。読出専用DVDビデオの場合、最小読出レートとしては、2.52Mbps、5.04Mbpsおよび10.08Mbpsが規定されているが、それ以外の最小読出レートもリザーブされている。たとえば、可変ビットレート記録が可能なDVDビデオレコーダにより2Mbpsの平均ビットレートで録画が行われた場合、上記リザーブ部分を利用することにより、最小読出レートを、1.5〜1.8Mbpsに設定することができる。
3番目のバイト位置「2」には、記録媒体(光ディスク10)のディスク構造(記録層の数、トラックピッチ、記録層のタイプなど)が記載される。この記録層のタイプにより、そのディスク10が、何層構造のDVDーROMなのかDVDーRなのかDVDーRAM(またはDVDーRW)なのかを識別することができる。
4番目のバイト位置「3」には、記録媒体(光ディスク10)の記録密度(リニア密度およびトラック密度)が記載される。リニア密度は、1ビット当たりの記録長(0.267μm/ビットあるいは0.293μm/ビットなど)を示す。また、トラック密度は、隣接トラック間隔(0.74μm/トラックあるいは0.80μm/トラックなど)を示す。DVDーRAMあるいはDVD−Rのリニア密度およびトラック密度として、別の数値が指定できるように、4番目のバイト位置「3」には、リザーブ部分も設けられている。
5番目のバイト位置「4〜15」には、記録媒体(光ディスク10)のデータエリア28の開始セクタ番号および終了セクタ番号等が記載される。
6番目のバイト位置「16」には、バーストカッティングエリア(BCA)記述子が記載される。このBCAはDVDーROMディスクだけにオプションで適用されるもので、ディスク製造プロセス終了後の記録情報を格納するエリアである。
7番目のバイト位置「17〜20」には、記録媒体(光ディスク10)の空き容量が記述される。たとえばディスク10が片面1層記録のDVDーRAMディスクである場合、ディスク10のこの位置には、2.6Gバイト(またはこのバイト数に対応したセクタ数)を示す情報が記載される。ディスク10が両面記録DVDーRAMディスクである場合は、この位置に、5.2Gバイト(またはこのバイト数に対応したセクタ数)を示す情報が記載される。
8番目のバイト位置「21〜31」および9番目のバイト位置「32〜2047」は、別目的に利用できるようリザーブされている。
図23は、図2の光ディスク等に記録される情報(データファイル)のディレクトリ構造の一例を説明する図である。
コンピュータの汎用オペレーティングシステムが採用している階層ファイル構造と同様に、ルートディレクトリの下に、ビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリと、オーディオタイトルセットATSのサブディレクトリと、オーディオ・ビデオ情報AVIのサブディレクトリと、ビデオRAMファイルのサブディレクトリが繋がっている。
そして、ビデオタイトルセットVTSのサブディレクトリ中に、種々なビデオファイル(VMGI、VMGM、VTSI、VTSM、VTS等のファイル)が配置されて、各ファイルが整然と管理されるようになっている。特定のファイル(たとえば特定のVTS)は、ルートディレクトリからそのファイルまでのパスを指定することで、アクセスできる。
パーソナルコンピュータにDVD処理ボードと処理ソフトウエアをインストールしたシステムでは、パーソナルコンピュータで扱うビデオファイルをAVIディレクトリに格納することができ、管理情報を含むAVファイルをビデオRAMディレクトリに格納することができる。
このようなパーソナルコンピュータシステムにおいて、AVファイル内のPGC列(図19のPGC#1〜PGC#kのようなもの)をDVDビデオのフォーマットに変換し、それをビデオタイトルセットVTSディレクトリ内のVTSファイルに保存することもできる。
AVIディレクトリおよびビデオRAMディレクトリ内のデータ(ファイル)へのアクセス方法は、パーソナルコンピュータでの通常ファイル(データ)に対するアクセス方法と同様に行なうことができる。一般的にはルートディレクトリから目的のファイル(データ)までのパスを指定することでアクセスされるが、ハイパーテキスト構造を採用したシステムソフトウエアがインストールされたパーソナルコンピュータでは、たとえばAVIディレクトリ内からビデオRAMディレクトリ内のデータに直接アクセスすることも可能である。あるいは、ビデオRAMディレクトリからビデオタイトルセットVTSにアクセスすることも可能である。これにより、ROM/RAM2層ディスク10を用いてRAM層に録画をしている際にROM層内のDVDビデオのセルをRAM層への録画にインサートすることも可能になる。
図1または図2に示すようなDVDーRAMディスク(またはDVDーRディスク)10は、図23のディレクトリ構造を持つようにプリフォーマットしておき、このプリフォーマット済みディスク10をDVDビデオ録画用の未使用ディスク(生ディスク)として市販することができる。
たとえば、プリフォーマットされた生ディスク10のルートディレクトリは、ビデオタイトルセットまたはオーディオ・ビデオデータというサブディレクトリを含むことができる。このサブディレクトリは、所定のメニュー情報を格納するためのメニューデータファイル(VMGM、VTSMまたは縮小画像制御情報DA214等)をさらに含むことができる。
あるいは、ディスク10がROM/RAM2層ディスクの場合は、図23のディレクトリ構造を持つシステムソフトウエアおよび必要なアプリケーションソフトウエアをROM層に予めエンボス記録しておき、ユーザがディスクを使用するときに、ROM層のシステムソフトウエアの必要部分をRAM層にコピーしてそのディスク10を使用するようにもできる。
あるいは、図23のディレクトリ構造を図18のボリューム/ファイル管理情報70に予め記録しておくこともできる。そして、RAM層の初期化時にボリューム/ファイル管理情報70のディレクトリ構造情報をRAM層にコピーして利用することができる。
図24は、図19のビデオオブジェクトDA22に含まれる情報の階層構造を例示する図である。
図24に示すように、ビデオオブジェクトDA22を構成する各セル(たとえばセル#m)は1以上のビデオオブジェクトユニット(VOBU)により構成される。そして、各ビデオオブジェクトユニットは、ビデオパック、副映像パック、オーディオパックおよびダミーパックの集合体(パック列)として構成されている。
これらのパックは、いずれも2048バイトのサイズを持ち、データ転送処理を行う際の最小単位となる。また、論理上の処理を行う最小単位はセル単位であり、論理上の処理はこのセル単位で行わる。
上記ビデオオブジェクトユニットVOBUの再生時間は、ビデオオブジェクトユニットVOBU中に含まれる1以上の映像グループ(グループオブピクチャ;略してGOP)で構成されるビデオデータの再生時間に相当し、その再生時間は0.4秒〜1.2秒の範囲内に定められる。1GOPは、MPEG規格では通常約0.5秒であって、その間に15枚程度のフレーム画像を再生するように圧縮された画面データである。
ビデオオブジェクトユニットVOBUがビデオデータを含む場合には、ビデオパック、副映像パック、オーディオパック等から構成されるGOP(MPEG規格準拠)が配列されてビデオデータストリームが構成される。しかし、このGOPの数とは無関係に、GOPの再生時間を基準にしてビデオオブジェクトユニットVOBUが定められる。
なお、ビデオを含まないオーディオおよび/または副映像データのみの再生データであっても、ビデオオブジェクトユニットVOBUを1単位として再生データが構成される。たとえば、オーディオパックのみでビデオオブジェクトユニットVOBUが構成されいる場合、ビデオデータのビデオオブジェクトの場合と同様に、そのオーディオデータが属するビデオオブジェクトユニットVOBUの再生時間内に再生されるべきオーディオパックが、そのビデオオブジェクトユニットVOBUに格納される。
各ビデオオブジェクトユニットVOBUを構成するパックは、ダミーパックを除き、同様なデータ構造を持っている。オーディオパックを例にとると、図24に例示するように、その先頭にパックヘッダが配置され、次にパケットヘッダが配置され、その次にサブストリームIDが配置され、最後にオーディオデータが配置される。このようなパック構成において、パケットヘッダには、パケット内の最初のフレームの先頭時間を示すプレゼンテーションタイムスタンプPTSの情報が書き込まれている。
ところで、図24に示すような構造のビデオオブジェクトDA22を含むビデオタイトルセットVTS(またはビデオプログラム)を光ディスク10に記録できるDVDビデオレコーダでは、このVTSの記録後に記録内容を編集したい場合が生じる。この要求に答えるため、各VOBU内に、ダミーパックを適宜挿入できるようになっている。このダミーパックは、後に編集用データを記録する場合などに利用できる。
図24に示した各セル#1〜セル#mに関する情報は、図18のセル時間制御情報CTCI内に記録されており、その中味は、図18に示したように
セル時間情報CTI#1〜CTI#m(各セル個々に関する情報);
セル時間検索情報CTSI(特定のセルIDが指定された場合、それに対応するセル時間情報の記載位置(AVアドレス)を示すマップ情報);および
セル時間制御一般情報CTCGI(セル情報全体に関する情報)
となっている。
また、各セル時間情報(たとえばCTI#m)は、それぞれ、セル時間一般情報(CTGI#m)およびセルVOBUテーブル(CVT#m)を含んでいる。
次に、ビデオオブジェクトDA22内のデータ構造の説明を行う。
映像情報の最小基本単位をセルと呼ぶ。ビデオオブジェクトDA22内のデータは図24に示すように1以上のセル#1〜#mの集合体として構成される。
ビデオオブジェクトDA22での映像情報圧縮技術としてはMPEG2(あるいはMPEG1)を利用している場合が多い。MPEGでは、映像情報をおよそ0.5秒刻みでGOPと呼ばれるグループに分け、このGOP単位で映像情報の圧縮を行っている。このGOPとほぼ同じサイズでGOPに同期してビデオオブジェクトユニットVOBUという映像情報圧縮単位を形成している。
この発明では、このVOBUサイズをECCブロックサイズ(32kバイト)の整数倍に合わせている(この発明の重要な特徴の1つ)。
さらに、各VOBUは2048バイト単位のパックに分けられ、それぞれのパック毎に、生の映像情報(ビデオデータ)、音声情報(オーディオデータ)、副映像情報(字幕データ・メニューデータ等)、ダミー情報等が記録される。それらが、ビデオパック、オーディオパック、副映像パックおよびダミーパックの形で記録されている。
ここで、ダミーパックは、
録画後に追加記録する情報の事後追加用(アフターレコーディング情報をオーディオパックの中に入れてダミーパックと交換するメモ情報を、副映像情報として副映像パック内に挿入してダミーパックと交換する等);
VOBUのサイズをECCブロックサイズ(32kバイト)の整数倍にぴたり合わせるため、32kバイトの整数倍から不足するサイズを補う;
などの使用目的で各VOBU内に挿入されている。
各パック内には、オブジェクトデータ(オーディオパックならオーディオデータ)の前方に、パックヘッダ、パケットヘッダ(およびサブストリームID)が、この順で配置されている。
DVDビデオ規格では、オーディオパックおよび副映像パックが、パケットヘッダとオブジェクトデータとの間にサブストリームIDを含んでいる。
また、パケットヘッダ内には、時間管理用のタイムコードが記録されている。オーディオパケットを例にとれば、このタイムコードとして、そのパケット内での最初のオーディオフレームの先頭時間が記録されているPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)情報が、図24に示すような形で挿入されている。
図25は、図24のダミーパックの内容(ダミーパック1パック分)の構造を示す。すなわち、1パックのダミーパック89は、パックヘッダ891と、所定のストリームIDを持つパケットヘッダ892と、所定のコード(無効データ)で埋められたパディングデータ893とで、構成されている。(パケットヘッダ892およびパティングデータ893はパティングパケット890を構成している。)未使用ダミーパックのパディングデータ893の内容は、特に意味を持たない。
このダミーパック89は、図2のディスク10に所定の録画がなされたあと、この録画内容を編集する場合に、適宜利用することができる。また、ユーザメニューに利用される縮小画像データを格納することにも、ダミーパック89を用いることができる。さらには、AVデータDA2内の各VOBUを32kバイトの整数倍に一致させる(32kバイトアライン)目的にも、ダミーパック89を用いることができる。
たとえば、ポータブルビデオカメラで家族旅行を録画したビデオテープをDVDーRAM(またはDVD−RW)ディスク10に録画し編集する場合を考えてみる。
この場合、まず1枚のディスクにまとめたいビデオシーンだけを選択的にディスク10に録画する。このビデオシーンは図24のビデオパックに記録される。また、ビデオカメラで同時録音された音声は、オーディオパックに記録される。
これらのビデオパック、オーディオパック等を含むVOBUは、必要に応じて、その先頭にDVDビデオで採用されているナビゲーションパック(図示せず)を持たせることができる(通常は、図24に示すように、DVDビデオRAMではナビゲーションパックは使用しない)。このナビゲーションパックは、再生制御情報PCIおよびデータ検索情報DSIを含んでいる。このPCIあるいはDSIを利用して、各VOBUの再生手順を制御できる(たとえば飛び飛びのシーンを自動的に繋いだり、マルチアングルシーンを記録することができる)。
あるいは、DVDビデオ規格のナビゲーションパック程複雑な内容を持たせずに、単にVOBU単位の同期情報を持たせた同期ナビゲーションパック(SNV_PCK;図示せず)を持たせることもできる。
ビデオテープからDVDーRAMディスク10に編集録画したあと、各シーンにVOBU単位で音声・効果音等をアフターレコーディングする場合あるいはバックグラウンドミュージックBGMを追加する場合に、アフターレコーディング音声またはBGMをダミーパック89に記録できる。また、録画内容の解説を追加する場合には、追加の文字、図形等の副映像をダミーパック89に記録できる。さらに追加のビデオ映像をインサートしたい場合には、そのインサートビデオをダミーパック89記録することもできる。
上述したアフターレコーディング音声等は、オーディオパックとして利用するダミーパック89のパディングデータ893に書き込まれる。また、上記追加の解説等は、副映像パックとして利用するダミーパック89のパディングデータ893に書き込まれる。同様に、上記インサートビデオは、ビデオパックとして利用するダミーパック89のパディングデータ893に書き込まれる。
さらに、録画・編集後の各パック列を含む各VOBUのサイズがECCブロックサイズ(32kバイト)の整数倍にならない場合に、このVOBUサイズが32kバイトの整数倍になるような無効データをパディングデータ893として含むダミーパック89を、各VOBU中に挿入することもできる。
このように各VOBUがECCブロックの整数倍になるようなダミーパック(パディングパック)を録画・編集後の各VOBUに適宜挿入することにより、全てのVOBUを、常にECCブロック単位で書き替えることができるようになる。あるいは、ディスク10のRAM層に欠陥が生じた場合にその欠陥部分だけをECCブロック単位で交替処理できるようになる。さらには、ECCブロック単位をAVアドレス単位として各VOBUを容易にアドレス変換できるようになる。
つまり、ダミーパック89は、使用目的によってオーディオパックにも副映像パックにもビデオパックにもパディングパックもなり得る、ワイルドカードのようなパックである。
図26は、図18のセル時間情報CTIの内部構造を説明する図である。
図18の説明でも触れたが、各セル時間検索情報(CTI#m)はセル時間一般情報CTGI#mとセルVOBUテーブルCVT#mで構成されている。
セル時間一般情報は、図26の上半分に図示するように、
(1)セルデータ一般情報と、
(2)タイムコードテーブルと、
(3)後天的欠陥情報と、
(4)セルビデオ情報と、
(5)セルオーディオ情報と、
(6)セル副映像情報と
を含んでいる。
(1)のセルデータ一般情報は、セルIDと、そのセルの合計時間長と、セルデータ集合体の数と、セルデータ集合体記述子と、セル時間物理サイズと、そのセルの構成VOBU数の情報を含んでいる。
ここで、セルIDは各セル毎の独自のIDである。合計時間長はそのセル内の再生に要する全所要時間を示す。
セルデータ集合体数は、そのセル内でのセルデータ集合体記述子の数を示す。
セルデータ集合体記述子については、図33を参照して後述する。
セル時間物理サイズは、先天的欠陥場所も含めたセルが記録された情報記憶媒体上の記録位置サイズを示す。このセル時間物理サイズと合計時間長の情報を組み合わせることにより、そのセル内での先天的欠陥領域の大きさが分かり、実質的な転送レートの予想をすることができる。このセル時間物理サイズは、連続再生を保証できるセルの記録位置候補を定めるときに利用できる。
構成VOBU数は、そのセルを構成するVOBUの数を示す。
(2)のタイムコードテーブルは、そのセルを構成するVOBUのピクチャ番号#1〜#nと、そのセルを構成するVOBUのECCブロック番号#1〜#nを含んでいる。
このテーブルのタイムコードは、該当セル内のVOBU毎のピクチャ数(ビデオフレーム数;1バイトで表現)と、上記セルデータ集合体記述子で示される媒体上の記録位置でのVOBU毎の使用ECCブロック数(1バイト表現)との組で表記される。この表記方法を採用することにより、(NTSCでいえば毎秒30枚あるフレーム毎にタイムコードを付す場合に比べて)タイムコードを非常に少ない情報量で記録することが可能になる。
このタイムコードを用いたアクセス方法については、図36を参照して後述する。
(3)の後天的欠陥情報は、そのセル中での後天的欠陥の数と後天的欠陥のアドレスの情報を含んでいる。
後天的欠陥の数は、そのセル内で後天的欠陥(図28参照)が発生したECCブロック数を示す。また、後天的欠陥アドレスは、後天的欠陥の存在位置をECCブロック毎にAVアドレス値で示したものである。セル再生時に欠陥が発生すると(つまりECCのエラー訂正に失敗すると)、その都度、欠陥ECCブロックのAVアドレスが、後天的欠陥アドレスに逐次登録される。
(4)のセルビデオ情報は、そのセルのビデオ情報の種類(NTSCかPALか等)、圧縮方式(MPEG2かMPEG1かモーションJPEGか等)、ストリームIDおよびサブストリームID(主画面か副画面か;複数画面同時記録・再生時に利用)、最大転送レートなどの情報を含んでいる。
(5)のセルオーディオ情報は、オーディオ信号の種類(リニアPCMかMPEG1かMPEG2かドルビーAC−3か等)、標本化周波数(48kHzか96kHzか)、量子化ビット数(16ビットか20ビットか24ビット)などの情報を含んでいる。
(6)のセル副映像情報は、各セル内の副映像ストリームの数およびその記録場所を示す情報を含んでいる。
一方、セルVOBUテーブルは、図26の下半分に図示するように、そのセルを構成するVOBU情報#1〜#nを含んでいる。各VOBU情報は、VOBU一般情報と、ダミーパック情報と、オーディオ同期情報を含んでいる。
図26において、セル時間情報(CTI#m)内の個々の情報内容を改めてまとめると、以下のようになる:
(1)セルデータ一般情報(個々のセルに関する一般的情報で、以下の内容を含む);
(1.1)セルID(各セル毎の独自の識別子)
(1.2)合計時間長(セル内の再生に要する全所用時間)
(1.3)セルデータ集合体数(セル内でのセルデータ集合体記述子数
(1.4)セルデータ集合体記述子(記述例は図33を参照して後述)
(1.5)セル時間物理サイズ(先天的欠陥場所も含めたセルが記録された情報記憶媒体上の記録位置サイズを示す。前述の「合計時間長」と組み合わせることによりセル内での先天的欠陥領域の大きさがわかり、実質的な転送レ−トの予想が付く。この情報は、別項で説明する「連続再生を保証できるセルの記録位置候補を定める」時に利用する。)
(1.6)構成VOBUの数(セルを構成するVOBU数)
(2)タイムコードテーブル(詳細は後述);
(3)後天的欠陥情報(セル内に検出された後天的欠陥情報で、以下の内容を含む);
(3.1)後天的欠陥数(セル内で後天的欠陥が発生したECCブロックの数)
(3.2)後天的欠陥アドレス(図28に示す後天的欠陥の存在位置をECCブロック毎にAVアドレス値で示す。セルの再生時に欠陥が発生する毎に逐次登録して行く。)
(4)セルビデオ情報(以下の内容を含む);
(4.1)映像信号種類(NTSCか、PALか)
(4.2)圧縮方式(MPEG2か、MPEG1か、モーションJPEGか)
(4.3)ストリームIDおよびサブストリームIDの情報(主画面か副画面か→複数画面同時記録・再生用)
(4.4)最大転送レート
(5)セルオーディオ情報(以下内容を含む);
(5.1)信号種類(リニアPCMか、MPEG1か、MPEG2か、ドルビーAC−3か)
(5.2)標本化周波数
(5.3)量子化ビット数
(6)セル副映像情報(各セル内の副映像情報のストリーム数やその記録場所を示す。)
上記「タイムコードテーブル」は、図26の上方に示すように、セル内のVOBU毎のピクチャ数(フレーム数:1バイト表現)#1〜#nと、前記「セルデータ集合体記述子」に示されるところの情報記憶媒体上記録位置でのVOBU毎の使用ECCブロック数(1バイト表現)#1〜#nの組で表わされている。
この表記方法を用いることにより、タイムコードを非常に少ない情報量で記録することができる。以下にこのタイムコードを用いたアクセス方法に付いて説明する(図36の中身については別項で説明する)。
1.図36の録画再生アプリケーションからアクセスしたいセルIDとその時間が指定される;
2.図36の映像管理レイヤはこの指定された時間から対応するピックチャー(ビデオフレーム)のセル開始位置からのピクチャ番号(フレーム番号)を割り出す;
3.図36の映像管理レイヤは図26に示したセル先頭からのVOBU毎のピクチャ数(フレーム数)を順次累計計算し、図36の録画再生アプリケーションが指定したピクチャ(フレーム)が先頭から何番目のVOBU内の更に何番目のピクチャ(フレーム)に該当するかを割り出す;
4.図26のセルデータ集合体記述子と図18のアロケーションマップテーブルAMTからセル内の全データの情報記憶媒体上の記録位置を割り出す;
5.上記「3.」で割り出したVOBU番号(#n)まで図26のVOBU(#n)のECCブロック数(#1〜#n)の値を加算し、該当するVOBU先頭位置でのAVアドレスを調べる;
6.上記「5.」の結果に基づき直接該当するVOBU先頭位置へアクセスし、上記「3.」で求めた所定のピクチャ(フレーム)に到達するまでトレースする;
7.この時、アクセス先のVOBU内のIピクチャ記録最終位置情報が必要な場合には、図27のIピクチャ終了位置の情報を利用する。
図27は、図26のセルVOBUテーブル(VOBU情報)の内部構造を説明する図である。
オーディオ情報に関する時間管理情報(PTS)は、図24に示すように、パケットヘッダの中に記録されている。しかし記録位置が管理階層の深い所に記録されているため、この情報を取り出すためにはオーディオパックの情報を直接再生する必要があり、セル単位での映像情報の編集時には非常に時間がかかる。
この「セル単位編集時に時間がかかる」という問題に対処するために、図18のAVデータ制御情報DA210内に、オーディオ情報に対する同期情報を持たせている。この同期情報が、図27のオーディオ同期情報である。
図27において、VOBU情報は、MPEGエンコードされた映像情報のIピクチャの終了位置を示すもので、Iピクチャの最終位置のVOBUの先頭位置からの差分アドレスで表現される(1バイト)。
ダミーパック情報は、各VOBU内に挿入されたダミーパック(図25)の数を示すダミーパック数(1バイト)と、そのVOBUの先頭からダミーパック挿入位置までの差分アドレス(2バイト)および個々のダミーパック数(2バイト)を含むダミーパック分布(ダミーパックの番号X2バイト)とで表現される。
オーディオ同期情報は、オーディオストリームのチャネル数を示すオーディオストリームチャネル番号(1バイト)と、Iピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオパックが含まれるECCブロックのVOBU先頭からの差分アドレス値を示すIピクチャオーディオ位置#1、#2、…(各1バイト;最上位ビットで同時刻オーディオパックが含まれる位置の方向を指定…“0”で後方、“1”で前方)と、ECCブロック内においてIピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオサンプル位置のサンプル番号を全オーディオパックの連番で係数表示したIピクチャ開始オーディオサンプル番号#1、#2、…(各2バイト)と、オーディオストリームとビデオストリームとの間の同期情報の有無を示すオーディオ同期情報フラグ#1、#2、…(各1バイト)と、このオーディオ同期情報フラグが「同期情報有」を示すときだけに各オーディオ同期情報フラグに付加されるもので対応VOBUに含まれるオーディオサンプル数を示すオーディオ同期データ(2バイト)とで表現される。
図27のIピクチャ開始のオーディオ位置#1、#2、…により、Iピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオパックが含まれるECCブロックの、該当VOBUの先頭からの差分アドレス値が示される。
さらに、図27のIピクチャ開始オーディオサンプル番号#1、#2、…により、Iピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオサンプル位置の上記ECCブロック内サンプル番号が、全オーディオパックの連番で計数表示される。
たとえばビデオ編集時にセル内のAV情報が分割される場合において、そのセル内のVOBUが更に2分割されてそれぞれ分割された情報が再エンコードされる場合、図27の上記情報(Iピクチャ開始のオーディオ位置#1とIピクチャ開始オーディオサンプル番号#1)を用いることにより、再生音の途切れや再生チャネル間で位相ずれのない分割をすることが可能となる。この点について、以下に具体例を挙げて説明する。
通常のデジタルオーディオ録音機器の基準クロックの周波数ずれ量はおよそ0.1%程度と言われている。すると、たとえばデジタルビデオテープ(DAT)レコーダによりデジタル録音した音源情報をデジタルコピーにより既に録画したビデオ情報に重ね記録する場合、ビデオ情報とオーディオ情報間の基準クロックずれが0.1%程度ずれる可能性がある。この基準クロックのずれはデジタルコピー(あるいはパーソナルコンピュータ等を利用したノンリニア編集)を繰り返して行くうちに無視できない大きさとなり、再生音の途切れあるいは再生チャネル間での位相ずれとなって現れる。
この発明での一実施の形態では、オーディオ情報の基準クロックがずれてもビデオ情報とオーディオ情報を同期して再生できるように(あるいはマルチチャネル音声のチャネル間位相同期が取れるように)、オプションで同期情報も記録できる形をとっている。
すなわち図27のオーディオ同期情報において、オーディオストリームとビデオストリーム間の同期情報の有無が、各オーディオストリームID(#1、#2、…)毎に設定できるようになっている。
このオーディオ同期情報がある場合には、その中のオーディオ同期データ内に、各VOBU単位でオーディオサンプル数が記載されている。この情報(オーディオサンプル数)を利用して、再生時に、オーディオストリーム毎にVOBU単位でビデオ情報とオーディオ情報の同期あるいはマルチチャネルオーディオのチャネル間同期をとることができるようになる。
図28は、図26の欠陥情報に関連して欠陥の種類(先天的欠陥と後天的欠陥)を説明する図である。
情報記憶媒体10上の欠陥に対しては、欠陥の発生時期に合わせて欠陥の種類を分け、それぞれの欠陥に応じて異なる位置に欠陥情報を記録している。
情報記憶媒体上の欠陥領域検出方法としては、以下のものがある。
*検証(サーティファイ) … 情報の記録前に検査領域にダミーデータを記録し、そこを再生してECCエラーチェックを行って欠陥箇所を検出する。
*事前の再生チェック … 情報の記録前に検査領域を再生する。情報記憶媒体表面にゴミや傷が付くと再生信号の検出量が減少するので、たとえば図54のアンプ213出力を検出し、特定レベル以下の場所を欠陥領域と見なすことで、チェックを行なう。
*記録時のIDエラー … 図8に示すように1セクタの最初にはエンボス構造のヘッダーが存在する。記録時にはまずこのヘッダーの情報を再生し、物理セクタ番号を確認後、同期コードおよび変調後信号を記録する。このときヘッダが再生できない場合をIDエラーと呼び、情報記憶媒体上の欠陥の一種とする。
*再生時のエラー … 記録完了後に再生し、ECCブロック内でのエラー訂正が不可能な領域を欠陥箇所と見なす。
情報記憶媒体10上で映像情報を記録もしくは情報の更新を行う場合には、ECCブロック単位の事前の再生とECCブロック内の変更・再書き込みを行わず、新たな情報もしくは更新すべき情報をECCブロック(AVアドレス)単位で直接上書きする。
記録前に事前に場所が分かっている欠陥箇所もしくは記録中に発見されたIDエラー箇所のことを、ここでは「先天的欠陥」と呼んでいる。この先天的欠陥の領域に対しては図13に示したスキッピング交替処理を行い、記録情報の保護を行う。
これに対し、
*記録時の記録条件の不適合によりきちんと情報記憶媒体上に記録されなかった;または
*記録は正確に行われたが、その後除法記憶媒体表面にゴミ付着、傷発生が生じて情報再生が不可能になった
などの原因から、記録後の再生時にECCエラー訂正が不能になる場所が発生することもある。
この状態で発生した欠陥を「後天的欠陥」と呼ぶ。この後天的欠陥箇所に対しては情報の保護・補償は不可能となる。これに対してはユーザに映像を表示する側では、
*欠陥画面の前の画面を再度表示する;
*欠陥画面前後の画面を用いて間の画面を補間生成して表示する;
*欠陥画面の前の複数画面の表示速度を局所的に遅らせて欠陥画面の間引き表示をする
などの補間処理が必要となる。
図28は、上述した先天的欠陥および後天的欠陥に対する定義とその対処方法を表にしてまとめたものである。
図29は、図23のビデオRAMファイルに含まれるAVファイルのアドレス(すなわちAVアドレス;AVA)と、図2の光ディスクの論理ブロック番号(LBN)・論理セクタ番号(LSN)・物理セクタ番号(PSN)との対応関係を説明する図である。
情報記憶媒体10上の全記録領域は、2048バイト(2kバイト)を最小単位とする論理セクタに分割され、全論理セクタには論理セクタ番号(LSN)が連番で付けられている。情報記憶媒体10上に情報を記録する場合にはこの論理セクタ単位で情報が記録される。情報記憶媒体10上での記録位置はこの情報を記録した論理セクタの論理セクタ番号(LSN)で管理される。
図29のAVアドレスがECCブロックサイズ32kバイトを最小単位としている理由については、図34を参照して後述する。
図29において、物理セクタ番号PSN、論理セクタ番号LSN、論理ブロック番号LBNおよびAVアドレスAVAは、以下の内容を持つ:
*物理セクタ番号PSNは、最小単位が物理セクタサイズの2kバイト(2048バイト)であり、ディスク10のリードインのリファレンス信号ゾーン(図5の基準信号ゾーン)から開始する。欠陥発生時は欠陥箇所でPSNの欠番が生じる。欠陥発生の有無に拘わらずPSNはその媒体上で不変とされる。また欠陥に対する交替処理と連動してPSNが変わることもない。PSNは媒体の内周側(リードイン側)から外周側(リードアウト側)に向かって順次増加するよう付番される。このPSNは、記録再生装置(ディスクドライブ)内のマイクロコンピュータ(MPU)により認知される。
*論理セクタ番号LSNは、最小単位が物理セクタサイズの2kバイトであり、ディスク10のデータエリア(図20の030000h)から開始する。欠陥発生時の交替処理によりLSNに欠番あるいは重複番号が生じることはなく、その開始番号および最終番号は不変とされる。また欠陥に対する交替処理と連動して媒体上の対応番号付加位置が適宜変更される。また欠陥に対する交替処理と連動して番号付加位置が変化する。LSNはDMA情報(図6のDMA1〜DMA4)に対応し、PSNに対して変化する。このLSNは、ファイルシステム(図36のUDF等)および記録再生装置(ディスクドライブ)内のMPUにより認知される。
*論理ブロック番号LBNは、最小単位が物理セクタサイズの2kバイトであり、ディスク10上のファイル構造開始位置から始まる。欠陥発生時の交替処理によりLBNに欠番あるいは重複番号が生じることはなく、その開始番号および最終番号は不変とされる。また欠陥に対する交替処理と連動して媒体上の対応番号付加位置が適宜変更される。また欠陥に対する交替処理と連動して番号付加位置が変化する。LBNはLSNの平行移動により番号変換される(LBN=LSNーLSNfs;LSNfsはLBN開始位置でのLSN)。このLBNは、ファイルシステム(図36のUDF等)および記録再生装置(ディスクドライブ)内のMPUにより認知される。
*AVアドレスAVAは、最小単位がECCブロックサイズの32kバイト(=16セクタ)であり、ディスク10上のAVデータ(図18のDA2)開始位置から始まる。欠陥発生時の交替処理によりAVAに欠番あるいは重複番号が生じることはなく、その開始番号および最終番号は不変とされる。また欠陥に対する交替処理と連動して媒体上の対応番号付加位置が適宜変更される。また欠陥に対する交替処理と連動して番号付加位置が変化する。AVAはLBNに対応して番号変換される(AVA=(LBNーLBNav)÷16;LBNavはAVA開始位置でのLBN)。このAVAは、映像管理レイヤ(図36を参照して後述)により認知される。
図30は、図2の光ディスクに欠陥が発生した場合のAVアドレスの設定とエクステント(ECCデータの集合体)記述子の記述方法を説明する図である。
ユーザエリア集合体記述子の記述例が図30に示されている。この例では、個々のユーザエリア集合体記述子を情報記憶媒体10上の配置順に合わせて並べて記述してある。このユーザエリア集合体記述子では、AVアドレスとして
0,1,2,3,7,8,9,D,E,F
が登録されており、4,5,6,A,B,Cが欠番になっている。
ここでの欠番位置が「先天的欠陥」の存在する場所である。これにより、情報記憶媒体10上の欠陥位置や欠陥長さや使用済み(既使用)のAVアドレス番号と未使用状態のAVアドレスの分布がわかる。
この発明では、AVアドレス単位とECCブロック単位を一致させているが、それに拘わらず、たとえば論理ブロック番号で記録位置あるいは欠陥位置を記述することも可能であり、その場合もこの発明内容に含まれる。
図30の例で分かるように、スペアエリア724内での情報記憶媒体10上の配列に従ったAVアドレス番号は
A,B,6,C,4,5
と順不同の並び方をしている。
このため、スペアエリアアロケーション記述子SAD(図18)の各エクステント(集合体)の記述方法は、ユーザエリア集合体記述子UADのようにつながりのサイズと開始アドレスの組で表現するのでなく、その代わりに、情報記憶媒体10上の配列に沿ったAVアドレス個々を並べて記述する。この方が記述に必要なバイト数が少なくて済むからである。
したがって、スペアエリア724内でAVアドレスの設定を行ったECCブロックに対しては、スペアエリア集合体記述子として、図31に示すように、AVアドレス番号のみを「3バイト」で表現する。
またユーザエリア集合体記述子と同様に、3バイト領域の最上位ビットにフラグを付加し、最上位ビットが“0”であるエクステント(集合体)は既に使用されているエクステントとみなす。これにより、最上位ビットが“1”の未使用エクステントを使用済みのエクステントから区別(識別で)きるるようになる。
なお、スペアエリア724内ではAVアドレス番号は順不同の並び方をしているため、AVアドレスの並びを見ただけでは欠陥位置を特定することはできない。そのためECCブロック毎に先天的欠陥集合体記述子DED(図30)を配置し、先天的欠陥集合体記述子DEDの識別子として3バイトの値を
FFFFFF
と設定する。
ところで、先天的欠陥に対して図13のスキッピング交替処理に合わせて情報記憶媒体10上のAVアドレス設定位置が移動すると、情報記憶媒体10上で多数欠陥が生じた場合、AVアドレスの番号設定順が情報記憶媒体10上の配置順に対して異なってしまう現象が生じる。
たとえば、図30の例において、
1)映像情報新規記録前にAVアドレスの後方3ECCブロック分欠陥を発見 → スペアエリア724にA,B,C分AVアドレス位置を移動;
2)映像情報重ね書き前に更にAVアドレスの後方3ECCブロック分欠陥を発見 → スペアエリア724に4,5,6分AVアドレス位置を移動;
3)最後に、映像情報の重ね書きをする前に、スペアエリア724内のAVアドレスC,4,5位置に新たに3ECCブロック分欠陥領域発生を発見 → スペアエリア724内のAVアドレスBの後方3ECCブロック分のAVアドレス設定位置を、AVアドレス6の後ろ側にずらす;
と言うように、時間的にずれて複数回、先天的欠陥が発生した場合には、情報記憶媒体上の並びに沿って見たときのAVアドレスは
0,1,2,3,7,8,9,D,E,F,A,B,6,C,4,5
の順番に設定されてしまう。
この情報に対して更に新たな映像情報を上書きする場合、記録・再生の連続性を確保するために、記録可能箇所を情報記憶媒体10上での配置順に従って記録する必要性が生じる。従って、情報記憶媒体上の配置順に従ったAVアドレス設定マップが必要になる。このAVアドレス設定マップが、図18のアロケーションマップテーブルAMTであり、これが情報記憶媒体10に記録される。
このアロケーションマップテーブルAMTは、図18に示すように、ユーザエリアアロケーション記述子UAD、スペアエリアアロケーション記述子SADおよびアドレス変換テーブルACTという3つの領域に区分されている。
図30から分かるように、AVアドレスの配置順は、ユーザエリア723内では情報記憶媒体10上の配列順に一致し、スペアエリア724内では情報記憶媒体10上の配置順と一致していない。従って、ユーザエリア723内ではAVアドレス配置情報を圧縮して記録することができる。
すなわち欠陥領域も含めてAVアドレス設定位置が連続して続く領域をエクステント(集合体)と言う一つのまとまりとみなし、ユーザエリア集合体記述子UED(*,*)で表現する。これは
(イ)連続したAVアドレス設定数(連続したECCブロック数に一致)を2バイトで表現し;
(ロ)エクステント(集合体)先頭のAVアドレス番号を3バイト表現し;
(ハ)上記2種類の情報(イ)(ロ)を1組として並べて記述する
というもので、記述方法は、別項(図39)で述べるアロケーション記述子(AD)の表記方法と一致している。
上記の表現方法を用いることにより、ユーザエリア723内で欠陥場所が少ない場合には、各AVアドレス毎に分布を個々に記述する場合に比べて記述に必要なビット数が少なくて済み、図18のアロケーションマップテーブルAMTの記述に必要な情報量が少なくなる。そうすると、情報記憶媒体10のトータル容量は決まっているので、各オブジェクト(図18のDA22〜DA24)に対する情報記憶媒体10の記憶容量が、相対的に増加する。
また、ユーザエリア723内ではAVアドレスの配置順と情報記憶媒体配列順が一致しているので、ユーザエリア集合体記述子(図31の所で改めて説明)内で指定された以外のAVアドレス番号位置に先天的欠陥が存在することが分かる。
図31は、各種エクステント記述子(集合体記述子)の対応関係を説明する図である。
ユーザエリア集合体記述子に対しては、AVアドレス単位で「使用済み(既使用)」か「未使用」かの判別用フラグが付いている。すなわち、図31の「既使用・未使用の判別情報」記載欄にあるように、ユーザエリア集合体記述子内先頭アドレスを記述する3バイト領域の最上位ビットにフラグを付加し、最上位ビットが“0”であるエクステント(集合体)は既に使用されているエクステントとみなし、最上位ビットが“1”のエクステント(集合体)は未使用のエクステントと識別される。
ところで、図24に示したように映像情報の最小単位はセル単位になっており、また図7に示したようにDVD−RAMディスクでは各ゾーンの間にはガードエリアが存在する。このため、セル情報を2ゾーン間にまたがって1以上のセルの記録する場合、光ヘッドがガードエリア間を移動するのに時間が取られ(さらに図5に示したようにゾーン間でディスク10の回転速度が変化するので回転サーボの切換処理に時間が取られ)、連続記録・連続再生が保証できなくなる。
このため、この発明では、「同一セル情報のゾーン間にまたがった録画あるいは記録を禁止する」と言う制約条件を付加している。
またそれに従って、必ず「ユーザエリア集合体(ユーザエリアエクステント)」はゾーン間にまたがって定義しない」(すなわち全てのユーザエリアエクステントのサイズは1個のゾーンサイズより小さい)と言う制約条件も付加している。
図7に示すように1個のゾーン内に存在するECCブロック数は比較的少ないので、ユーザエリア集合体記述子に記述されるECCブロックサイズ(ECCブロック数)としては、図31に示すように、2バイトのみの表現で充分となる。
このように「ユーザエリア集合体(ユーザエリアエクステント)はゾーン間にまたがらない」と定義することにより、ユーザエリア集合体記述子の記述に必要な総バイト数(サイズ)が低減でき、その分アロケーションマップテーブルAMTのサイズが小さくなる。その結果、ビデオオブジェクトに対する記録容量を相対的に増加させることができる。
ところで、この発明の情報記憶媒体10では、図18に示すように、AVファイル(DA2)と通常のコンピュータ用のファイル(DA1、DA3)が混在記録できるようになっている。
したがって、図30の例に示すように、スペアエリア724内にコンピュータデータエリアの交替箇所が混入する場合がある。
この場所をAVデータの欠陥箇所と区別するため、図31に示すように、PC(パーソナルコンピュータ)使用集合体記述子も記述できるようにしてある。
このPC使用集合体記述子の値は、たとえば図31に示すように
FFFFFE
とする。(図30および図31中のPEDは、パーソナルコンピュータのエクステント・ディスクリプタの頭文字を取ったものである。)
なお、図7から分かるように、DVD−RAMディスクでは記録可能領域が24ゾーンに分割されている。従って各ゾーンの境界が分かるように、図31の表図では、次ゾーン開始マークとして
FFFFFC
といった識別子も設定している。(図30および図31中のZSMは、次のゾーンのスタート・マークの頭文字を取ったものである。)
以上述べた各種集合体記述子(エクステント・ディスクリプタ)の内容と記述方法は、図31の一覧表にまとめて記述されている。この一覧表は、基本的には、情報記憶媒体10上の配列に従って、ECCブロック単位で各集合体記述子(エクステント・ディスクリプタ)を順次配置した形になっている。
図65は、図2の光ディスクに記録される情報の階層構造の他の例(図18のアロケーションマップテーブルAMTと異なる内容のアロケーションマップテーブルAMTを持つ例)を説明する図である。
図18に示した構造でのスペアエリアアロケーション記述子SADは、図30に示すように、各ECCブロック毎にAVアドレスや先天的欠陥状況を記述する必要がある。そのためAVデータエリアDA2内の管理領域(制御情報DA21)内のデータ量が増大する。その反面、図7から分かるように、ユーザエリア723に対するスペアエリア724の容量はおよそ1/19しかない。
このような状況から、映像情報記録方法の他の実施方法として
*先天的欠陥が生じた時の交替処理方法としてはスキッピング交替処理を行う;
*先天的欠陥が生じた時の交替処理としてスペアエリア724へのAVアドレスおよび論理セクタ番号(と論理ブロック番号)の付け替えのみ行う;
*スペアエリア724へは情報(映像情報等)の記録を行わない;
と言う使い方もある。
この実施方法では、情報(映像情報等)の記録はユーザエリア723内のみで行うためスペアエリアアロケーション記述子SADでのECCブロック毎の集合体記述子(エクステントディスクリプタ)の記述が不要となり、管理領域(制御情報DA21)の情報量が大幅に減る。
図66は、図2の光ディスクに先天的欠陥がある場合の先天的欠陥アロケーション記述子とアロケートされないスペース記述子の記述方法を説明する図である。
以下、図65および図66を参照して、映像情報(AVデータ)等の記録をユーザエリア723内のみで行う場合のユーザエリアアロケーション記述子SAD(図30)に対する応用例を説明する。
図65に示すように、先天的欠陥位置情報の管理方法として先天的欠陥アロケーション記述子PDADを用い、未記録場所情報の管理方法としてアロケートされないスペース記述子(Unallocated Space Descriptors)USDを利用する。その具体的な管理情報内容について、図66を用いて説明する。
ユーザエリア723内のAVデータエリアDA2内に欠陥箇所が発生した場合、交替処理により自動的にスペアエリア724内に交替箇所が作成され、欠陥箇所に事前に設定されたAVアドレスや論理セクタ番号、論理ブロック番号がそのままスペアエリア724の交替箇所に移される。
映像情報等を記録する場合には、このユーザエリア723内の欠陥箇所を飛ばしてその直後の記録箇所に記録が行われる。
前述したように映像情報等の記録はユーザエリア723内だけに限られるため、スペアエリア724には映像情報等の記録は行わず、未記録のまま放置される。従ってこのスペアエリア724内での欠陥位置管理や未記録領域管理は不要となり、この場所内での管理情報は持たない。
図30のユーザエリアアロケーション記述子UADでは先天的欠陥位置情報を明記せず、ユーザエリア集合体記述子UEDで指定されないAVアドレスを先天的欠陥位置と判定していた。
それとは異なり、図65の先天的欠陥アロケーション記述子PDADでは、図66に示すように、先天的欠陥位置での事前に設定されたAVアドレスを3バイトずつ並べて記述する。
従って、先天的欠陥アロケーション記述子PDADに指定されてないAVアドレスが利用可能な場所と認識できる。
また、図30のユーザエリアアロケーション記述子UADでは、図31に示すように、ユーザエリア集合体記述子UEDの先頭AVアドレスの最上位ビットに既記録(既使用=“0”)、未記録(未使用=“1”)の識別フラグを持たせていた。
それとは異なり、図65のアロケートされないスペース記述子USDでは、未記録場所のAVアドレスを明示する。この未記録場所を示すアロケートされないスペース記述子USDは先天的欠陥場所を考慮に入れず、連続したAVアドレスのつながりを示す集合体(エクステント)毎に場所指定を行う。
すなわち、集合体(エクステント)内のECCブロック数を前半の2バイトで表現し、その集合体(エクステント)の先頭のAVアドレスを3バイトで表現し、両者を1組の集合体(エクステント)情報とする。
今までの説明では各AVファイル独自のAVアドレスを持ち、このAVアドレスを管理情報(制御情報DA21)に利用してきた。しかしそれに限らず管理情報(制御情報DA21)に例えば論理ブロック番号を利用することもできる。すなわち、情報記録時の基本単位を2048バイト毎の論理ブロック単位とし、アドレスに論理ブロック番号を用いてアロケーションマップテーブルAMTやセル時間制御情報CTCIを記述することが可能である。
図32は、図18の制御情報DA21に含まれる情報の階層構造を例示する図である。
図19または図24のセルは、再生データを開始アドレスと終了アドレスとで指定した再生区間を示す。また、図19のプログラムチェーンPGCは、セルの再生順序を指定した一連の再生実行単位である。図19のビデオオブジェクトセットVOBSの再生は、それを構成するプログラムチェーンPGCとセルとによって決定される。
図32のAVデータ制御情報DA210は、このようなプログラムチェーンPGCの制御情報PGCCIを持つ。このPGC制御情報PGCCIは、PGC情報管理情報PGC_MAIと、n個(1個以上)のPGC情報サーチポインタと、k個(1個以上)のPGC情報とで構成される。
PGC情報管理情報PGC_MAIには、PGCの数を示す情報が含まれる。PGC情報サーチポインタは各PGC情報PGCIの先頭をポイントするもので、このサーチポインタにより対応PGC情報PGCIの検索が容易に行えるようになっている。
各PGC情報PGCIはPGC一般情報とm個のセル再生情報を含む。このPGC一般情報はPGCの再生時間やセル再生情報の数を含む。
図33は、図26の説明で触れた「セルデータ集合体記述子(セルデータ・エクステント・ディスクリプタ)」の記述内容の一例を示す。ここでは、使用可能なECCブロックの配列順で、同一セルに関する記録情報の塊を、1個のセルデータ集合体(セルデータエクステント)としている。
図33は、特定のセル#1が別のセル#2によって分断されてない限り、1個のセルデータ集合体とみなす。具体的記述方法としては、セルデータ集合体の長さ(セルデータ集合体が記録されているECCブロック数)を「2バイト」で表現し、セルデータ集合体の先頭のAVアドレスを「3バイト」で表現し、両者を続けて並べて記述する。すなわち、
CED(*,*)
と表現する。
図33に示すように、1個のセルを構成する全てのセルデータ集合体を並べて記述した記述文がセルデータ集合体記述子となる。この記述子によりセルが記録されている全AVアドレスの分布がわかり、アクセスが容易となる。
また、セルデータ集合体の長さとセルデータ集合体の先頭のAVアドレスを組にして並べて記述することにより、情報記憶媒体10上に連続して記録された領域が多い場合には、セルデータ集合体記述子の記述に必要なバイト数が減り、セル時間一般情報(#m)に必要なデータ量が減り、その分、ビデオオブジェクトDA22に使用できる記録容量が相対的に増加する。
なお、図33に示すように情報記憶媒体10の配列に沿って見た対応AVアドレス番号は不連続な順番に並ぶことが多い。が、この発明の実施形態では図18に示すようにアロケーションマップテーブルAMTを持っているため、セルデータ集合体記述子において先頭のAVアドレスを設定するだけでセル内の全データの情報記憶媒体上の記録位置を特定することができる。このことは、AVアドレスがECCブロック単位となっていることと相まって、この発明の大きな特徴となっている。
次に、図34を参照してAVアドレスの最小単位であるECCブロック位置と図24>に示したビデオオブジェクトユニットVOBUとの間の位置がずれた時の問題点について説明する。
図34のデータ変更領域に新たな情報の記録もしくは情報の更新を行う場合には
1)VOBU#gの先頭位置に掛かるECCブロックの再生;
2)上記ECCブロックのデインターリーブ;
3)上記ECCブロック内のデータ変更領域に関する部分の情報変更;
4)上記ECCブロック内のエラー訂正符号の付け替え;
5)変更後の情報の上記ECCブロック位置への重ね書き;
といった複雑な処理が必要となる。すると、毎秒30枚のフレームレートが要求されるNTSCビデオ録画における連続記録処理が阻害される。
さらに、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク10)の表面にゴミや傷があった場合、再生処理よりも記録処理の方が大きく影響を受ける。
すなわち、上記1)〜5)の処理を受けるECCブロックの位置近傍にゴミや傷があった場合、それまでは問題なくVOBU#gの再生が行われていたのにECCブロックの書き替え処理により情報欠陥が発生し、VOBU#gの再生が不可能になってしまう場合がある。
またVOBU#gとは関係ないデータ変更領域での情報の書き替えを行う毎にVOBU#gの先頭位置の書き替えが必要となる。DVD−RAMディスクの記録材料に用いられる相変化記録膜は何度も繰り返し記録を行うと特性が劣化し、欠陥が増加する傾向を持つ。従って本来必要のない場所(図34ではVOBU#gの先頭部分)の書替回数はなるべく減らすことが望ましい(この書替回数は図18の制御情報書替回数CIRWNsに記録しておくことができる)。
以上の理由から、毎秒30枚のフレームレートでの連続記録処理の保証と不要箇所の書替回数を減らす等の目的のために、この発明では、図24に示すように、VOBU記録単位をECCブロック(32kバイト)の整数倍にしている。これを32kバイトアラインという。
この32kバイトアラインのために、つまり各VOBUのサイズがデータ変更の前後で常に32kバイトの整数倍になるように、各VOBUに適当なサイズのダミーパック(図25)を挿入している。
上記の条件(記録単位をECCブロックの整数倍にする32kバイトアライン)に基づきこの発明で新規に設定したAVアドレス番号の設定方法について、他の論理ブロック番号付け方と比較した表を図29に示す。
ファイルシステムで用いる論理ブロック番号との換算を容易にするため、情報記憶媒体10上で発生した欠陥に対する交替処理による欠番や重複番号は避けるようになっている。
映像情報を記録する場合には、情報記憶媒体上の欠陥に対して図13のスキッピング交替処理を行う。このとき、交替処理により、AVアドレスの設定場所が情報記憶媒体10上で移動する。
AVアドレス番号を「AVA」、論理ブロック番号を「LBN」、AVファイル開始位置での論理ブロック番号LBNを「LBNav」と記号化すると、論理ブロック番号とAVアドレス番号との間には、以下の関係がある:
AVA=(LBN−LBNav)÷16
ここで16で割った時の小数点以下の値は全て切り捨てとする。
図35は、録画後にデータ変更のあったセル中に前記ダミーパックを挿入することにより、前記32kバイトアラインが実行された場合を示している。そうすると、セル内のビデオオブジェクトユニットVOBUの境界位置とこのセル内のデータを構成するECCブロック(16セクタ32kバイト)の境界位置とが一致する。
そうなれば、その後データを書き替える場合もECCブロック単位で上書き(オーバーライト)できる(ECCのエンコードをやり直す必要がない)。しかも、AVアドレスがECCブロックを単位としているので、録画後の上書き(インサート編集等)がなされてもアドレス管理は容易である。この上書きはデータ変更のないVOBU#gには関係無く行われるので、データ変更領域の書替が原因でVOBU#gのデータが再生不能になる恐れもない。
なお、ダミーパックを挿入しなくても各VOBUのサイズがデータ変更の前後で32kバイトの整数倍となっているときは、32kバイトアラインという目的のためにダミーパックをあえて追加する必要はない。しかしダミーパックは32kバイトアライン以外の使い途もある(アフターレコーディング用の予備エリア等)ので、32kバイトアラインをするしないに拘わらず適当な数のダミーパックを挿入することは好ましい。
次に、この発明で利用される情報処理機器制御システムの階層構造の説明を行う。図36は、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)に記録される情報を扱う情報処理機器(パーソナルコンピュータ等)内での、システム階層と個々の管理対象情報との関係を例示している。
具体的には、このシステム階層は、1番目に「録画再生アプリケーション」の階層を持ち、2番目に「映像管理レイヤ」の階層を持ち、3番目に「I/Oマネージャ」の階層を持ち、4番目に「ファイルシステム(UDF等)」の階層を持ち、5番目に「デバイスドライバ」の階層を持ち、6番目に「ハードウエア(記録再生装置)」の階層を持っている。
最上位階層の「録画再生アプリケーション」は、映像情報(AVファイルのデータ)に関する録画・再生処理を行なう機能を担うもので、セルあるいはPGCを管理対象としている。ここでは処理単位として時間が用いられ、欠陥管理は行われない。
2番目の階層の「映像管理レイヤ」は、AVファイル内の記録位置を制御する機能を担うもので、AVアドレスおよびセル内構造を管理対象としている。ここでは処理単位として映像フレームが用いられ、欠陥管理も行われる。すなわち、記録および再生の連続性を確保するために情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)上の欠陥位置も管理上考慮される。
3番目の階層の「I/Oマネージャ」は、システムと情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)との間のインターフェイス処理機能を担うもので、媒体に記録されるファイル(図23のAVファイル等)を管理対象としている。ここでは処理単位としてファイルが用いられ、欠陥管理は行われない。
4番目の階層の「ファイルシステム」は、主にファイル単位での記録・再生のアドレス制御機能を担うもので、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)に割り当てられた論理ブロック番号LBNおよび論理セクタ番号LSN(図29参照)を管理対象としている。ここでは処理単位としてファイルが用いられ、欠陥管理は行われない。
5番目の階層の「デバイスドライバ」は、システム側からの記録再生装置(DVDーRAMドライブ等)の動作制御機能を担うもので、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)に割り当てられた論理セクタ番号LSNを管理対象としている。ここでは処理単位としてセクタサイズ(2kバイト)が用いられ、欠陥管理は行われない。
6番目の階層の「記録再生装置」は、情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)に対する単純記録および単純再生を実行する機能を担うもので、情報記憶媒体に割り当てられた物理セクタ番号PSN(図29参照)を管理対象としている。ここでは処理単位として映像フレームが用いられ、欠陥管理も行われる。
次に、図36のシステム階層とこの階層が適用されるハードウエア(図52を参照して後述するパーソナルコンピュータPC等)との関係を簡単に説明する。
図36のシステム階層のうち、録画再生アプリケーションからデバイスドライバまでのプログラムに従った処理の実行は、図52のPCのメインCPU111が行なう。また図36の最下行に示された情報記録再生装置(内部構成は図示せず)は、図52のDVDーROM/RAMドライブ140に対応している。しかし、それに限らず、図36の情報記録再生装置を図52のCDーROMドライブ122に対応させることもできる。図36のシステム階層のうち、I/Oマネージャーからデバイスドライバまでのプログラムは、図52のメインメモリ112の一部を構成するEEPROMなどの不揮発性半導体メモリに格納できる。
図36のシステム階層構造を利用する図52の情報処理機器は、通常のパーソナルコンピュータでは必須アイテムとなっているハードディスクドライブHDDを持たない(必要としない)ことを特徴としている(このことは、しかしながら、HDDを併用できないということではない)。
また、図36のシステム階層のうち、録画再生アプリケーションおよび映像管理レイヤは、情報記録再生装置(DVDーROM/RAMドライブ)140に装着された情報記憶媒体(光ディスク10のROM領域)に格納されている。
次に、図36映像管理レイヤでの映像情報(AVデータ)の記録・削除に関する制御方法について、図24のセル#3を例にとって説明する。
[セル#3の映像情報に対して追加加工後に再記録する方法]
<01>セル#3の読み込み、追加加工処理を行う。
<02>追加加工後のセル#3がデータサイズ的に元の位置に戻るかを調べる(ここでは元の位置にサイズ的に入り切らず別の位置に記録する場合を説明する)。
<03>アロケーションマップテーブルAMT(図18)から未使用のAVアドレスを探す。
<04>PGC制御情報PGCCI(図18)からセル#3の前後の再生順にあるセルIDを調べる。
<05>セル時間制御情報CTCIからセル#3の前後の再生順にあるセルの保存場所を示すAVアドレスを調査する。
<06>アロケーションマップテーブルAMT(図18)からセル#3の前後の再生順にあるセルの情報記憶媒体10上の記録位置を推測する。
<07>上記<03>で探した結果を基に連続再生を保証できるセル#3の記録位置候補を定める。
<08>上記<07>で定めた記録位置候補に対して事前の確証作業を行う。たとえば、情報記録再生装置(図52のドライブ140等)のアクセス速度などの性能情報を情報記録再生装置からもらい、連続再生が危ない場所を抽出する。この危ない場所のみに対して実際に情報記録再生装置にアクセス動作をさせ、連続再生が確保できない場合には別の記録位置を探す。ここで最悪の場合、つまり連続再生が可能な記録位置が見つからない場合には、その前後のセルの記録位置まで記録位置候補をずらす。
<09>記録位置が確定したら追加加工後のセル#3の情報の記録処理に入る。
<10>記録中も記録状況をモニターし、IDエラーをチェックする。
(注)記録時のIDエラーについて:
図8に示すように、1セクタの最初にはエンボス構造を有したヘッダが存在する。記録時にはまずこのヘッダ情報を再生し、物理セクタ番号を確認後、同期コード、変調後信号を記録する。その際、ヘッダが再生できない場合をIDエラーと呼び、情報記憶媒体上の欠陥の一種になる。
<11>上記<10>のIDエラーが検出された場合、IDエラー発生情報を情報記録再生装置(図52のドライブ140等)から受け取ると、スキッピング交替処理(図13)を実行させるとともに、その情報を基に逐次アロケーションマップテーブルAMT(図18)に先天的欠陥(図28)の情報を追記して行く。
<12>上記<11>の記録処理が完了すると、追加加工後のセル#3の情報を記録したAVアドレスの既使用登録を、アロケーションマップテーブルAMTに対して行う。
<13>最後に、図36のデバイスドライバを制御して、情報記憶媒体10のDMA管理領域(図6のDMA1&DMA2とDMA3&DMA4)にスキッピング交替処理情報を記録させる。
[セル#3の映像情報を削除する方法]
<21>PGC制御情報PGCCI(図18)に対してデータ変更処理を実施する。
<22>セル時間制御情報CTCI(図18)からセル#3に関する情報を削除する。
<23>アロケーションマップテーブルAMT(図18)内のAVアドレスリストにおいて、セル#3が使っていたAVアドレスを「未使用」に変更する。
<24>もしセル#3に関する後天的欠陥アドレス(図26)が登録されていた場合には、その欠陥場所を先天的欠陥に変更して、擬似的なスキッピング交替処理を行い、その結果をアロケーションマップテーブルAMT(図18)に登録する。
その後、登録された情報に従いデバイスドライバ(図36)を制御して、情報記憶媒体10のDMA管理領域(図6のDMA1&DMA2とDMA3&DMA4)にスキッピング交替処理情報を記録させる。
図36のファイルシステムでは、情報記憶媒体10上での追記・更新情報の記録位置制御を行っているが、ファイルエントリではファイル単位の論理ブロック番号情報しか管理してない。
一方、編集も含めた映像情報の録画・再生処理を行うためには、図24で示したように、映像情報の最小単位であるセル単位での情報記憶媒体10上の位置制御が必要となる。
また、映像情報の連続記録条件および連続再生条件をともに満足することも必要条件となる。情報記憶媒体10では表面のごみ、傷による欠陥が逐次発生する。その欠陥に対する交替処理として映像情報に対しては図13に示すスキッピング交替処理が行われる。
しかしUDF(ユニバーサルディスクフォーマット)に限らずFAT(ファイルアロケーションテーブル)、NTFS(ニューテクノロジーファイルシステム)、UNIX(登録商標)(汎用オペレーティングシステムのユニックス)などのファイルシステムでは、情報記憶媒体上の欠陥管理は行っていない。
別項で行なうUDFについての説明(第37図〜第46図)でも、論理セクタ番号空間や論理ブロック番号空間では欠陥がないものとして番号設定を行っている。
しかし、広い領域に渡り連続して欠陥が生じた場合には、そこで映像情報の連続記録もしくは連続再生が不可能となる。
以上のことから、連続記録・連続再生を満足するDVDビデオレコーディングシステムでは、
*映像情報の連続記録・連続再生を可能にするための、情報記憶媒体10上の欠陥位置も考慮に入れた記録再生管理;および
*ファイル単位ではなく、それより小さい単位(たとえばセル単位)での情報の記録再生管理;
という2つの管理機能を持ったシステム階層が必要となる。
しかし、業務用(編集用)ビデオテープレコーダVTRの例から明らかなように、一般の録画再生関連アプリケーションソフトでは、図36に示すようなタイムコードを用いた上位の録画・再生処理を行うが、情報記憶媒体(ビデオテープ)上の欠陥管理を行わない。
また、従来のコンピュータシステムでは、記録・再生時の連続性確保の必要性がないため、この連続性は考慮されていない。
そこで、この発明では、ファイルシステム(図36のUDF)の上位層に「映像管理レイヤ」を新たに設け、ここで欠陥管理も含めた情報記憶媒体10上の記録・再生位置の管理および制御を行っている。
次に、図36のシステム階層の4番目に記載されたファイルシステムで扱われるところの、情報記憶媒体上の情報内容について、説明する。このファイルシステムの代表例として、現在DVDに採用されているUDF規格について説明を行う。
初めに、DVDで採用されているUDFフォーマットについて説明する。
<<<UDFの概要説明>>>
<<UDFとは何か>>
UDFとはユニバーサルディスクフォーマットの略で、主にディスク状情報記憶媒体における「ファイル管理方法に関する規約」を示す。
CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD-ビデオ、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM等は、国際標準規格である「ISO9660」で規格化されたUDFフォーマットを採用している。
ファイル管理方法としては、基本的にルートディレクトリを親に持ち、ツリー状にファイルを管理する階層ファイルシステムを前提としている。
ここでは主にDVD−RAM規格に準拠したUDFフォーマットについての説明を行うが、この説明内容の多くの部分はDVD−ROM規格内容とも一致している。
<<UDFの概要>>
<情報記憶媒体へのファイル情報記録内容>
情報記憶媒体に情報を記録する場合、情報のまとまりを「ファイルデータ」と呼び、ファイルデータ単位で記録が行なわれる。個々のファイルデータは、他のファイルデータと識別するため、ファイルデータ毎に独自のファイル名が付加されている。
共通な情報内容を持つ複数のファイルデータ毎にグループ化すると、ファイル管理とファイル検索が容易になる。この複数ファイルデータ毎のグループを「ディレクトリ」または「フォルダ」と呼ぶ。各ディレクトリ(またはフォルダ)毎に独自のディレクトリ名(またはフォルダ名)が付加される。
さらに、複数のディレクトリ(フォルダ)を集めて、その上の階層のグループとして上位ディレクトリ(上位フォルダ)でまとめることができる。ここではファイルデータとディレクトリ(フォルダ)を総称してファイルと呼ぶことにする。
情報を記録する場合には
(イ)ファイルデータの情報内容そのもの;
(ロ)ファイルデータに対応したファイル名;および
(ハ)ファイルデータの保存場所(どのディレクトリの下に記録するか)に関する情報を全て情報記憶媒体(たとえば図1のディスク10)上に記録する。
また、各ディレクトリ(フォルダ)に対する
(ニ)ディレクトリ名(フォルダ名);および
(ホ)各ディレクトリ(フォルダ)が属している位置(つまりその親となる上位ディレクトリ/上位フォルダの位置)に関する情報も、すべて情報記憶媒体(10)上に記録する。
図37は、図23の階層ファイルシステム構造と情報記憶媒体(DVDーRAMディスク10)に記録された情報内容との間の基本的な関係を説明する図である。図37は、その上側に階層ファイルシステム構造の簡単な例を示し、その下側にUDFに従ったファイルシステム記録内容の一例を示している。
<階層ファイルシステム構造の簡単な例>
小型コンピュータ用の汎用オペレーティングシステム(OS)であるUNIX(登録商標)、MacOS(登録商標)、MS−DOS(登録商標)、Windows(登録商標)など、ほとんどのOSのファイル管理システムは、図37あるいは図43に例示するようなツリー状の階層構造を持つ。
図37において、1個のディスクドライブ(たとえば1台のハードディスクドライブHDDが複数のパーティションに区切られている場合には、各パーティション単位を1個のディスクドライブとして考える)にはその全体の親となる1個のルートディレクトリ401が存在し、その下にサブディレクトリ402が属している。このサブディレクトリ402の中にファイルデータ403が存在している。
実際にはこの例に限られず、ルートディレクトリ401の直接下にファイルデータ403が存在したり、複数のサブディレクトリ402が直列につながった複雑な階層構造を持つ場合もある。
<情報記憶媒体上のファイルシステム記録内容>
ファイルシステム情報は論理ブロック単位(または論理セクタ単位;図36参照)で記録され、各論理ブロック内に記録される内容としては、主に、次のようなものがある:
*ファイルID記述子FID(ファイル情報を示す記述文)…ファイルの種類やファイル名(ルートディレクトリ名、サブディレクトリ名、ファイルデータ名など)を記述しているもの。ファイルID記述子FIDの中には、それに続くファイルデータのデータ内容や、ディレクトリの中身に関する情報が記録されている位置も記述されている。
*ファイルエントリFE(ファイル内容の記録場所を示す記述文)…ファイルデータの内容やディレクトリ(サブディレクトリなど)の中身に関する情報が記録されている情報記憶媒体上の位置(論理ブロック番号)などを記述しているもの。
図37の中央部分は、図37の上側に示すようなファイルシステム構造の情報を情報記憶媒体10に記録したときの、記録内容を例示している。以下、この例示内容を具体的に説明する。
*論理ブロック番号「1」の論理ブロックには、ルートディレクトリ401の中味が示されている。
図37の例では、ルートディレクトリ401の中にはサブディレクトリ402のみが入っている。このため、ルートディレクトリ401の中味としては、サブディレクトリ402に関する情報がファイルID記述子(FID)404で記載されている。なお、図示しないが、同一論理ブロック内に、ルートディレクトリ401自身の情報もファイルID記述子の文で並記されている。
このルートディレクトリ401のファイルID記述子404中に、サブディレクトリ402の中味が何処に記録されているかを示すファイルエントリ(FE)405の記録位置が、ロングアロケーション記述子(LAD(2))で記載されている。
*論理ブロック番号「2」の論理ブロックには、サブディレクトリ402の中味が記録されている位置を示すファイルエントリ405が記録されている。
図37の例では、サブディレクトリ402の中にはファイルデータ403のみが入っている。このため、サブディレクトリ402の中味は、実質的にはファイルデータ403に関する情報が記述されているファイルID記述子406の記録位置を示すことになる。
ファイルエントリ405では、その中のショートアロケーション記述子で3番目の論理ブロックにサブディレクトリ402の中味が記録されていることが記述(AD(3))されている。
*論理ブロック番号「3」の論理ブロックには、サブディレクトリ402の中味が記録されている。
図37の例では、サブディレクトリ402の中にはファイルデータ403のみが入っているので、サブディレクトリ402の中味としてファイルデータ403に関する情報がファイルID記述子406で記載されている。なお、図示しないが、同一論理ブロック内に、サブディレクトリ402自身の情報もファイルID記述子の文で並記されている。
ファイルデータ403に関するファイルID記述子406の中に、このファイルデータ403の中味が何処に記録されているかを示すファイルエントリ407の記録位置が、ロングアロケーション記述子(LAD(4))で記載されている。
*論理ブロック番号「4」の論理ブロックには、ファイルデータ403の内容(408、409)が記録されている位置を示すファイルエントリ407が記録されている。
ファイルエントリ407内のショートアロケーション記述子により、ファイルデータ403の内容(408、409)が、5番目と6番目の論理ブロックに記録されていることが記述(AD(5)、AD(6))されている。
*論理ブロック番号「5」の論理ブロックには、ファイルデータ403の内容408が記録されている。
*論理ブロック番号「6」の論理ブロックには、ファイルデータ403の内容409が記録されている。
<図37の情報に沿ったファイルデータへのアクセス方法>
上述したように、ファイルID記述子FIDとファイルエントリFEには、それに続く情報が記述してある論理ブロック番号が記述してある。
ルートディレクトリから階層を下りながらサブディレクトリを経由してファイルデータへ到達するのと同様に、ファイルID記述子FIDとファイルエントリに記述してある論理ブロック番号に従って、情報記憶媒体10上の論理ブロック内の情報を順次再生しながら、目的のファイルデータの内容にアクセスする。
つまり図37に示したファイルデータ403にアクセスするには、まず始めに1番目の論理ブロック情報を読み、その中のLAD(2)に従って2番目の論理ブロック情報を読む。ファイルデータ403はサブディレクトリ402の中に存在しているので、その中からサブディレクトリ402のファイルID記述子FIDを探し、AD(3)を読み取る。その後、読み取ったAD(3)に従って3番目の論理ブロック情報を読む。その中にLAD(4)が記述してあるので、4番目の論理ブロック情報を読み、ファイルデータ403に関するファイルID記述子FIDを探し、その中に記述してあるAD(5)に従って5番目の論理ブロック情報を読み、AD(6)に従って6番目の論理ブロックに到達する。
なお、AD(論理ブロック番号)、LAD(論理ブロック番号)といった記述の内容については、後述する。
<<<UDFの各記述文(記述子/ディスクリプタ)の具体的内容説明>>>
<<論理ブロック番号の記述文>>
<アロケーション記述子>
前記<情報記憶媒体上のファイルシステム情報記録内容>で述べたように、ファイルID記述子FIDやファイルエントリなどの一部に含まれ、その後に続く情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を示した記述文をアロケーション記述子と呼ぶ。
アロケーション記述子には、示すロングアロケーション記述子とショートアロケーション記述子がある。
<ロングアロケーション記述子>
図38は、情報記憶媒体上の連続セクタ集合体(エクステント)の記録位置を表示するロングアロケーション記述子の記述内容を説明する図である。
ロングアロケーション記述子LAD(論理ブロック番号)は、エクステントの長さ410と、エクステントの位置411と、インプリメンテーション使用412とで構成されている。
エクステントの長さ410は論理ブロック数を4バイトで表示したものであり、エクステントの位置411は該当する論理ブロック番号を4バイトで表示したものであり、インプリメンテーション使用412は演算処理に利用する情報を8バイトで表示したものである。
ここでは、記述を簡素化するために、「LAD(論理ブロック番号)」といった略号をロングアロケーション記述子の記述に用いている。
<ショートアロケーション記述子>
図39は、情報記憶媒体10上の連続セクタ集合体(エクステント)の記録位置を表示するショートアロケーション記述子の記述内容を説明する図である。
ショートアロケーション記述子AD(論理ブロック番号)は、エクステントの長さ410と、エクステントの位置411とで構成されている。
エクステントの長さ410は論理ブロック数を4バイトで表示したものであり、エクステントの位置411は該当する論理ブロック番号を4バイトで表示したものである。
ここでは、記述を簡素化するために、「AD(論理ブロック番号)」といった略号をショートアロケーション記述子の記述に用いている。
<アロケートされないスペースエントリ>
図40は、情報記憶媒体上の未記録連続セクタ集合体(未記録エクステント)を検索するものでアロケートされないスペースエントリ(Unallocated Space Entry;略してUSE)として使用される記述文の内容を説明する図である。
アロケートされないスペースエントリとは、情報記憶媒体10の記録領域内での「記録済み論理ブロック」か「未記録論理ブロック」かを表すスペーステーブル(図44〜図46参照)に用いられる記述文である。
このアロケートされないスペースエントリUSEは、記述子タグ413と、ICBタグ414と、アロケーション記述子列の全長415と、アロケーション記述子416とで、構成されている。
*記述子タグ413は記述内容の識別子を表すもので、この例では“263”となっている。
*ICBタグ414は、ファイルタイプを示す。
ICBタグ内のファイルタイプ=1はアロケートされないスペースエントリUSEを意味し、ファイルタイプ=4はディレクトリを表し、ファイルタイプ=5はファイルデータを表している。
*アロケーション記述子列の全長415は、アロケーション記述子列の総バイト数を4バイトで表している。
*アロケーション記述子416は、各エクステント(セクタ集合体)の媒体10上の記録位置(論理ブロック番号)を列記したものである。たとえば、(AD(*),AD(*),………,AD(*))のように列記される。
<ファイルエントリ>
図41は、図23または図37のように階層構造を持ったファイル構造内で、指定されたファイルの記録位置を表示するファイルエントリの記述内容の一部を抜粋して説明する図である。
ファイルエントリは、記述子タグ417と、ICBタグ418と、パーミッション(許可)419と、アロケーション記述子420とで、構成されている。
*記述子タグ417は、記述内容の識別子を表すもので、この場合は“261”となっている。
*ICBタグ418は、ファイルタイプを示すもので、その内容は、図40のアロケートされないスペースエントリのICBタグ414と同様である。
*パーミッション(Permissions)419は、ユーザ別の記録・再生・削除の許可情報を示す。主にファイルのセキュリティー確保を目的として使われる。
*アロケーション記述子420は、該当ファイルの中味が記録してある位置を、エクステント毎にショートアロケーション記述子を並べて、記述したものである。たとえば、FE(AD(*),AD(*),………,AD(*))のように列記される。
<ファイルID記述子FID>
図42は、図23または図37のように階層構造を持ったファイル構造内で、ファイル(ルートディレクトリ、サブディレクトリ、ファイルデータ等)の情報を記述するファイルID記述子の一部を抜粋して説明する図である。
ファイルID記述子FIDは、記述子タグ421と、ファイルキャラクタ422と、情報制御ブロックICB423と、ファイル識別子424と、パディング437とで構成されている。
*記述子タグ421は、記述内容の識別子を表したもので、この場合は“257”となっている。
*ファイル特性422は、ファイルの種別を示し、親ディレクトリ、ディレクトリ、ファイルデータ、ファイル削除フラグのどれかを意味する。
*情報制御ブロックICB423は、このファイルに対応したFE位置(ファイルエントリ位置)をロングアロケーション記述子で記述したものである。
*ファイル識別子424は、ディレクトリ名またはファイル名を記述したものである。
*パディング437は、ファイル識別子424全体の長さを調整するために付加されたダミー領域で、通常は全て“0”(または000h)が記録されている。
なお、この発明では、図18に示すように、1つのボリュームスペース内でコンピュータデータ(DA1、DA3)とAVデータ(DA2)とが混在できるようになっている。この場合、ファイルとしてはコンピュータファイルとAVファイルの2種が混在する可能性がある。
AVファイルをコンピュータファイルから区別するためのAVファイル識別子の設定方法としては、次の2つが考えられる:
1)AVファイルのファイル名の末尾に所定の拡張子(.VOB等)を付ける;
2)AVファイルのパディング437に独自のフラグ(図示せず)を挿入する(このフラグが“1”ならAVファイルを示し、“0”ならコンピュータファイルを示す等)。
なお、パディング437の領域内に暗号化されたユーザパスワードを記録することもできる。
図43は、図37に例示されたファイル構造をより一般化したファイルシステム構造を示す。図43において、括弧内はディレクトリの中身に関する情報、またはファイルデータのデータ内容が記録されている情報記憶媒体10上の論理ブロック番号を例示している。
<<<UDFに従って記録したファイル構造記述例>>>
前述した<<UDFの概要>>で示した内容(ファイルシステムの構造)について、具体的な例を用いて以下に説明する。
情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)10上の未記録位置の管理方法としては、以下の方法がある:
[スペースビットマップ法]
この方法は、スペースビットマップ記述子を用いるもので、情報記憶媒体内記録領域の全論理ブロックに対してビットマップ的に「記録済み」または「未記録」のフラグを立てる方法である。
[スペーステーブル法]
この方法は、図40の記述方式を用いてショートアロケーション記述子の列記により記録済み論理ブロック番号を記載する方法である。
ここでは、説明をまとめて行なうために、図44〜図46に両方式(スペースビットマップ法およびスペーステーブル方法)を併記しているが、実際には両方が一緒に使われる(情報記憶媒体上に記録される)ことはほとんど無く、どちらか一方のみが使用される。
また、スペーステーブル内での記述内容(ショートアロケーション記述子の記述・並べ方)は取りあえず図43のファイルシステム構造に合わせているが、これに限らず自由にショートアロケーション記述子を記述することができる。
図44〜図46は、図43のファイルシステム構造の情報をUDFフォーマットに従って情報記憶媒体10上に記録した例を示す。図44はその前半を示し、図45はその中盤を示し、図46はその後半を示している。
図44〜図46に示すように、ファイル構造486とファイルデータ487に関する情報が記録されている論理セクタは、特に「論理ブロック」とも呼ばれ、論理セクタ番号(LSN)に連動して論理ブロック番号(LBN)が設定されている。(論理ブロックの長さは論理セクタと同様2048バイトになっている。)
図44〜図46に記述されている主な記述子の内容としては、次のようなものがある:
*エクステントエリア記述子開始445は、ボリューム認識シーケンス(Volume Recognition Sequence;略してVRS)の開始位置を示す。
*ボリューム構造記述子446は、ディスクの内容(ボリュームの内容)の説明を記述している。
*ブート記述子447は、コンピュータシステムのブート開始位置など、ブート時の処理内容に関する記述をした部分である。
*エクステントエリア記述子終了448は、ボリューム認識シーケンス(VRS)の終了位置を示す。
*パーティション記述子450は、パーティションのサイズなどのパーティション情報を記述している。
なお、DVD−RAMでは、1ボリュームあたり1パーティションを原則としている。
*論理ボリューム記述子454は、論理ボリュームの内容を記述している。
*アンカーボリューム記述子ポインタ458は、情報記憶媒体10の記録領域内で記録済みの情報の記録最終位置を表示している。
*予約459〜465は、特定の記述子(ディスクリプタ)を記録する論理セクタ番号を確保するための調整領域であり、始めは全て“00h”が書き込まれている。
*リザーブボリューム記述子シーケンス467は、メインボリューム記述子シーケンス449に記録された情報のパックアップ領域である。
<<<再生時のファイルデータへのアクセス方法>>>
図44〜図46に示したファイルシステム情報を用い、たとえば図43のファイルデータH432のデータ内容を再生する場合を想定して、情報記憶媒体10上のファイルデータアクセス処理方法について説明する。
(1)情報記録再生装置起動時または情報記憶媒体装着時のブート領域として、ボリューム認識シーケンス444領域内のブート記述子447の情報を再生しに行く。ブート記述子447の記述内容に沿ってブート時の処理が始まる。
その際、特に指定されたブート時の処理がない場合には、
(2)始めにメインボリューム記述子シーケンス449領域内の論理ボリューム記述子454の情報を再生する。
(3)論理ボリューム記述子454の中に論理ボリューム内容使用455が記述されている。そこに、ファイルセット記述子472が記録してある位置を示す論理ブロック番号が、ロングアロケーション記述子(図38)の形式で記述してある。(図44〜図46の例ではLAD(100)であるから100番目の論理ブロックに記録してある。)
(4)100番目の論理ブロック(論理セクタ番号では400番目になる)にアクセスし、ファイルセット記述子472を再生する。その中のルートディレクトリICB473に、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリが記録されている場所(論理ブロック番号)が、ロングアロケーション記述子(図38)の形式で記述してある(図44〜図46の例ではLAD(102)であるから102番目の論理ブロックに記録してある)。
この場合、ルートディレクトリICB473のLAD(102)に従って、
(5)102番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリ475を再生し、ルートディレクトリA425の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(103);103番目の論理ブロックに記録)。
(6)103番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はディレクトリD428系列の下に存在するので、ディレクトリD428に関するファイルID記述子FIDを探し、ディレクトリD428に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(図44〜図46には図示していないがLAD(110);110番目の論理ブロックに記録)を読み取る。
(7)110番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428に関するファイルエントリ480を再生し、ディレクトリD428の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(111);111番目の論理ブロックに記録)。
(8)111番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はサブディレクトリF430の直接下に存在するので、サブディレクトリF430に関するファイルID記述子FIDを探し、サブディレクトリF430に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(112);112番目の論理ブロックに記録)を読み取る。
(9)112番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430に関するファイルエントリ482を再生し、サブディレクトリF430の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(113);113番目の論理ブロックに記録)。
(10)113番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430の中身に関する情報を再生し、ファイルデータH432に関するファイルID記述子FIDを探す。そしてそこからファイルデータH432に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(114);114番目の論理ブロックに記録)を読み取る。
(11)114番目の論理ブロックにアクセスし、ファイルデータH432に関するファイルエントリ484を再生しファイルデータH432のデータ内容489が記録されている位置を読み取る。
(12)ファイルデータH432に関するファイルエントリ484内に記述されている論理ブロック番号順に情報記憶媒体から情報を再生してファイルデータH432のデータ内容489を読み取る。
<<<特定のファイルデータ内容変更方法>>>
次に、図44〜図46に示したファイルシステム情報を用いて例えばファイルデータH432のデータ内容を変更する場合の、アクセスも含めた処理方法について説明する。
(1)ファイルデータH432の変更前後でのデータ内容の容量差を求め、その値を2048バイトで割り、変更後のデータを記録するのに論理ブロックを何個追加使用するかまたは何個不要になるかを事前に計算しておく。
(2)情報記録再生装置起動時または情報記憶媒体装着時のブート領域として、ボリューム認識シーケンス444領域内のブート記述子447の情報を再生しに行く。ブート記述子447の記述内容に沿ってブート時の処理が始まる。
このとき、特に指定されたブート時の処理がない場合には、
(3)始めにメインボリューム記述子シーケンス449領域内のパーティション記述子450を再生し、その中に記述してあるパーティション内容使用451の情報を読み取る。このパーティション内容使用451(パーティションヘッダ記述子とも呼ぶ)の中にスペーステーブルまたはスペースビットマップの記録位置が示してある。
*スペーステーブル位置はアロケートされないスペーステーブル452の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46の例ではAD(80))。また、
*スペースビットマップ位置はアロケートされないスペースビットマップ453の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46の例ではAD(0))。
(4)上記(3)で読み取ったスペースビットマップが記述してある論理ブロック番号(0)へアクセスする。スペースビットマップ記述子からスペースビットマップ情報を読み取り、未記録の論理ブロックを探し、上記(1)の計算結果分の論理ブロックの使用を登録する(スペースビットマップ記述子情報の書き替え処理)。
または、
(4*)上記(3)で読み取ったスペーステーブルが記述してある論理ブロック番号(80)へアクセスする。スペーステーブルのアロケートされないスペースエントリUSE(AD(*))からファイルデータIのUSE(AD(*)、AD(*))までを読み取り、未記録の論理ブロックを探し、上記(1)の計算結果分の論理ブロックの使用を登録する(スペーステーブル情報の書き替え処理)。
実際の処理では、上記(4)か上記(4*)のいずれか一方の処理が行なわれる。
(5)次にメインボリューム記述子シーケンス449の領域内の論理ボリューム記述子454の情報を再生する。
(6)論理ボリューム記述子454の中に、論理ボリューム内容使用455が記述されている。そこに、ファイルセット記述子472が記録してある位置を示す論理ブロック番号が、ロングアロケーション記述子(図38)の形式で記述してある(図44〜図46の例ではLAD(100)から100番目の論理ブロックに記録してある)。
(7)100番目の論理ブロック(論理セクタ番号では400番目になる)にアクセスし、ファイルセット記述子472を再生する。その中のルートディレクトリICB473に、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリが記録されている場所(論理ブロック番号)が、ロングアロケーション記述子(図38)の形式で記述してある(図44〜図46の例ではLAD(102)から102番目の論理ブロックに記録してある)。
そして、ルートディレクトリICB473のLAD(102)に従って、
(8)102番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリ475を再生し、ルートディレクトリA425の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(103))。
(9)103番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はディレクトリD428系列の下に存在するので、ディレクトリD428に関するファイルID記述子FIDを探し、ディレクトリD428に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(110))を読み取る。
(10)110番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428に関するファイルエントリ480を再生し、ディレクトリD428の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(111))。
(11)111番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はサブディレクトリF430の直接下に存在するので、サブディレクトリF430に関するファイルID記述子FIDを探し、サブディレクトリF430に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(112))を読み取る。
(12)112番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430に関するファイルエントリ482を再生し、サブディレクトリF430の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(113))。
(13)113番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430の中身に関する情報を再生し、ファイルデータH432に関するファイルID記述子FIDを探す。そしてそこからファイルデータH432に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(114))を読み取る。
(14)114番目の論理ブロックにアクセスし、ファイルデータH432に関するファイルエントリ484を再生しファイルデータH432のデータ内容489が記録されている位置を読み取る。
(15)上記(4)か上記(4*)で追加登録した論理ブロック番号も加味して変更後のファイルデータH432のデータ内容489を記録する。
<<<特定のファイルデータ/ディレクトリ消去処理方法>>>
一例として、ファイルデータH432またはサブディレクトリF430を消去する方法について説明する。
(1)情報記録再生装置起動時または情報記憶媒体装着時のブート領域としてボリューム認識シーケンス444領域内のブート記述子447の情報を再生しに行く。ブート記述子447の記述内容に沿ってブート時の処理が始まる。
特に指定されたブート時の処理がない場合には、
(2)始めにメインボリューム記述子シーケンス449領域内の論理ボリューム記述子54の情報を再生する。
(3)論理ボリューム記述子454の中に論理ボリューム内容使用455が記述されており、そこにファイルセット記述子472が記録してある位置を示す論理ブロック番号がロングアロケーション記述子(図38)形式で記述してある(図44〜図46の例ではLAD(100)から100番目の論理ブロックに記録してある)。
(4)100番目の論理ブロック(論理セクタ番号では400番目になる)にアクセスし、ファイルセット記述子472を再生する。その中のルートディレクトリICB473に、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリが記録されている場所(論理ブロック番号)が、ロングアロケーション記述子(図38)形式で記述してある(図44〜図46の例ではLAD(102)から102番目の論理ブロックに記録してある)。
そこで、ルートディレクトリICB473のLAD(102)に従って、
(5)102番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリ475を再生し、ルートディレクトリA425の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(103))。
(6)103番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はディレクトリD428系列の下に存在するので、ディレクトリD428に関するファイルID記述子FIDを探し、ディレクトリD428に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(110))を読み取る。
(7)110番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428に関するファイルエントリ480を再生し、ディレクトリD428の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(111))。
(8)111番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428の中身に関する情報を再生する。
ファイルデータH432はサブディレクトリF430の直接下に存在するので、サブディレクトリF430に関するファイルID記述子FIDを探す。
いま、サブディレクトリF430を消去する場合を想定してみる。この場合、サブディレクトリF430に関するファイルID記述子FID内のファイル特性422(図42)に「ファイル削除フラグ」を立てる。
それから、サブディレクトリF430に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(112))を読み取る。
(9)112番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430に関するファイルエントリ482を再生し、サブディレクトリF430の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(113))。
(10)113番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430の中身に関する情報を再生し、ファイルデータH432に関するファイルID記述子FIDを探す。
次に、ファイルデータH432を消去する場合を想定してみる。この場合、ファイルデータH432に関するファイルID記述子FID内のファイル特性422(図42)に「ファイル削除フラグ」を立てる。
さらにそこからファイルデータH432に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(114))を読み取る。
(11)114番目の論理ブロックにアクセスし、ファイルデータH432に関するファイルエントリ484を再生しファイルデータH432のデータ内容489が記録されている位置を読み取る。
ファイルデータH432を消去する場合には、以下の方法でファイルデータH432のデータ内容489が記録されていた論理ブロックを解放する(その論理ブロックを未記録状態に登録する)。
(12)次にメインボリューム記述子シーケンス449領域内のパーティション記述子450を再生し、その中に記述してあるパーティション内容使用451の情報を読み取る。このパーティション内容使用(パーティションヘッダ記述子)451の中にスペーステーブルまたはスペースビットマップの記録位置が示してある。
*スペーステーブル位置は、アロケートされないスペーステーブル452の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46の例ではAD(80))。また、
*スペースビットマップ位置は、アロケートされないスペースビットマップ453の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46例ではAD(0))。
(13)上記(12)で読み取ったスペースビットマップが記述してある論理ブロック番号(0)へアクセスし、上記(11)の結果得られた「解放する論理ブロック番号」をスペースビットマップ記述子に書き替える。
または、
(13*)上記(12)で読み取ったスペーステーブルが記述してある論理ブロック番号(80)へアクセスし、上記(11)の結果得られた「解放する論理ブロック番号」をスペーステーブルに書き替える。
実際の処理では、上記(13)か上記(13*)のいずれか一方の処理が行なわれる。
ファイルデータH432を消去する場合には、
(12)上記(10)〜上記(11)と同じ手順を踏んでファイルデータI433のデータ内容490が記録されている位置を読み取る。
(13)次にメインボリューム記述子シーケンス449領域内のパーティション記述子450を再生し、その中に記述してあるパーティション内容使用451の情報を読み取る。このパーティション内容使用(パーティションヘッダ記述子)451の中にスペーステーブルまたはスペースビットマップの記録位置が示してある。
*スペーステーブル位置はアロケートされないスペーステーブル452の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている。(図44〜図46の例ではAD(80))。また、
*スペースビットマップ位置は、アロケートされないスペースビットマップ453の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46例ではAD(0))。
(14)上記(13)で読み取ったスペースビットマップが記述してある論理ブロック番号(0)へアクセスし、上記(11)と上記(12)の結果得られた「解放する論理ブロック番号」をスペースビットマップ記述子に書き替える。
または、
(14*)上記(13)で読み取ったスペーステーブルが記述してある論理ブロック番号(80)へアクセスし、上記(11)と上記(12)の結果得られた「解放する論理ブロック番号」をスペーステーブルに書き替える。
実際の処理では、上記(14)か上記(14*)のいずれか一方の処理が行なわれる。
<<<ファイルデータ/ディレクトリの追加処理>>>
一例として、サブディレクトリF430の下に新たにファイルデータまたはディレクトリを追加する時のアクセス・追加処理方法について説明する。
(1)ファイルデータを追加する場合には追加するファイルデータ内容の容量を調べ、その値を2048バイトで割り、ファイルデータを追加するために必要な論理ブロック数を計算しておく。
(2)情報記録再生装置起動時または情報記憶媒体装着時のブート領域としてボリューム認識シーケンス444領域内のブート記述子447の情報を再生しに行く。ブート記述子447の記述内容に沿ってブート時の処理が始まる。
特に指定されたブート時の処理がない場合には、
(3)始めにメインボリューム記述子シーケンス449領域内のパーティション記述子450を再生し、その中に記述してあるパーティション内容使用451の情報を読み取る。このパーティション内容使用(パーティションヘッダ記述子)451の中にスペーステーブルまたはスペースビットマップの記録位置が示してある。
*スペーステーブル位置はアロケートされないスペーステーブル452の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46の例ではAD(80))。また、
*スペースビットマップ位置はアロケートされないスペースビットマップ453の欄にショートアロケーション記述子の形式で記述されている(図44〜図46例ではAD(0))。
(4)上記(3)で読み取ったスペースビットマップが記述してある論理ブロック番号(0)へアクセスする。スペースビットマップ記述子からスペースビットマップ情報を読み取り、未記録の論理ブロックを探し、上記(1)の計算結果分の論理ブロックの使用を登録する(スペースビットマップ記述子情報の書き替え処理)。
または、
(4*)上記(3)で読み取ったスペーステーブルが記述してある論理ブロック番号(80)へアクセスする。スペーステーブルのUSE(AD(*))461からファイルデータIのUSE(AD(*),AD(*))470までを読み取り、未記録の論理ブロックを探し、上記(1)の計算結果分の論理ブロックの使用を登録する(スペーステーブル情報の書き替え処理)。
実際の処理では、上記(4)か上記(4*)のいずれか一方の処理が行なわれる。
(5)次にメインボリューム記述子シーケンス449領域内の論理ボリューム記述子454の情報を再生する。
(6)論理ボリューム記述子454の中に論理ボリューム内容使用455が記述されており、そこにファイルセット記述子472が記録してある位置を示す論理ブロック番号が、ロングアロケーション記述子(図38)形式で記述してある(図44〜図46の例では、LAD(100)から、100番目の論理ブロックに記録してある)。
(7)100番目の論理ブロック(論理セクタ番号では400番目になる)にアクセスし、ファイルセット記述子472を再生する。その中のルートディレクトリICB473に、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリが記録されている場所(論理ブロック番号)が、ロングアロケーション記述子(図38)形式で記述してある(図44〜図46の例では、LAD(102)から、102番目の論理ブロックにルートディレクトリA425に関するファイルエントリが記録してある)。
このルートディレクトリICB473のLAD(102)に従って、
(8)102番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425に関するファイルエントリ475を再生し、ルートディレクトリA425の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(103))。
(9)103番目の論理ブロックにアクセスし、ルートディレクトリA425の中身に関する情報を再生する。
ディレクトリD428に関するファイルID記述子FIDを探し、ディレクトリD428に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(110))を読み取る。
(10)110番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428に関するファイルエントリ480を再生し、ディレクトリD428の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(111))。
(11)111番目の論理ブロックにアクセスし、ディレクトリD428の中身に関する情報を再生する。
サブディレクトリF430に関するファイルID記述子FIDを探し、サブディレクトリF430に関するファイルエントリが記録してある論理ブロック番号(LAD(112))を読み取る。
(12)112番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430に関するファイルエントリ482を再生し、サブディレクトリF430の中身に関する情報が記録されている位置(論理ブロック番号)を読み込む(AD(113))。
(13)113番目の論理ブロックにアクセスし、サブディレクトリF430の中身に関する情報内に新たに追加するファイルデータまたはディレクトリのファイルID記述子FIDを登録する。
(14)上記(4)または上記(4*)で登録した論理ブロック番号位置にアクセスし、新たに追加するファイルデータまたはディレクトリに関するファイルエントリを記する。
(15)上記(14)のファイルエントリ内のショートアロケーション記述子に示した論理ブロック番号位置にアクセスし、追加するディレクトリに関する親ディレクトリのファイルID記述子FIDまたは追加するファイルデータのデータ内容を記録する。
なお、図44〜図46において、LSNは論理セクタ番号(LSN)491を示す略号であり、LBNは論理ブロック番号(LBN)492を示す略号であり、LLSNは最後の論理セクタ番号(ラストLSN)493を示す略号である。
図44の第1アンカーポイント456および図46の第2アンカーポイント457の具体例については、図47〜図49の説明中で触れる。
<<UDFの特徴>>
<UDFの特徴の説明>
以下にハードディスクHDD、フロッピー(登録商標)ディスクFDD、光磁気ディスクMOなどで使われているファイルアロケーションテーブルFATとの比較により、ユニバーサルデータフォーマットUDFの特徴を説明する。
(1)FATはファイルの情報記憶媒体への割り当て管理表(ファイルアロケーションテーブル)が情報記憶媒体上で局所的に集中記録されるのに対し、UDFではファイル管理情報をディスク上の任意の位置に分散記録できる。
FATではファイル管理領域で集中管理されているため頻繁にファイル構造の変更が必要な用途(主に頻繁な書き替え用途)に適している。(集中箇所に記録されているので管理情報を書き替え易いため。)なお、FATではファイル管理情報の記録場所はあらかじめ決まっているので記録媒体の高い信頼性(欠陥領域が少ないこと)が前提となる。
UDFではファイル管理情報が分散配置されているので、ファイル構造の大幅な変更が少なく、階層の下の部分(主にルートディレクトリより下の部分)で後から新たなファイル構造を付け足して行く用途(主に追記用途)に適している。(追記時には以前のファイル管理情報に対する変更箇所が少ないため。)
また分散されたファイル管理情報の記録位置を任意に指定できるので、先天的な欠陥箇所を避けて記録することができる。
さらにファイル管理情報を任意の位置に記録できるので、全ファイル管理情報を一箇所に集めて記録することでFATの利点も出せるので、より汎用性の高いファイルシステムと考えることができる。
(2)UDFでは(最小論理ブロックサイズ、最小論理セクタサイズなどの)最小単位が大きく、記録すべき情報量の多い映像情報や音楽情報の記録に向く。
すなわち、FATの論理セクタサイズが512バイトに対して、UDFの論理セクタ(ブロック)サイズは2048バイトと大きくなっている。
なお、UDFでは、ファイル管理情報やファイルデータに関するディスク上での記録位置は、論理セクタ(ブロック)番号としてアロケーション記述子に記述される。
以上がUDFの概要であるが、UDFの説明を終えるにあたり、大容量情報を扱うDVDビデオレコーダにおけるAVアドレスの新規定義の必要性について触れておく。
連続記録・連続再生の必要性のなかったファイシシステム(UDF等)では、図36に示すように、アドレス指定用に「情報記憶媒体上の実際の記録位置との対応を持たない」論理ブロック番号・論理セクタ番号を採用している。これに対して、この発明ではサイズの大きい映像情報(AVデータ)の管理に適した映像管理レイヤを設定し、これに合わせ映像管理レイヤの機能に最適なアドレスを設定する必要が生じた。この必要に対応して新たに定義したのが、この発明の「AVアドレス」である。
AVアドレスに望まれる条件とそれを満たす方法について以下に述べる。
(1)別媒体への移植性
図18AVデータエリアDA2は1個ないしは複数個のAVファイルから構成され、1ボリューム=1AVファイルとなっている。このAVファイルを、必要に応じてそのままハードディスクHDDや光磁気MOディスク等に移植できるようにする必要性がある。
図18のようにAVファイル(DA2)の前にコンピュータデータエリアDA1がある場合、図7に示す論理セクタ番号(もしくは論理ブロック番号)の設定方法に従うと、AVファイル先頭位置での論理ブロック(セクタ)番号にはオフセット値(0ではない値)が付いてしまう。
このままAVファイルをHDDあるいはMOなどの別媒体に移植させると論理ブロック(セクタ)番号にずれが生じてしまう。
別媒体への移植容易性を確保するためには、上記「論理ブロック番号のオフセット」は好ましくない。すなわち、別媒体への移植性を考慮すれば、AVファイル先頭位置でのAVアドレスは“0”になっていることが望ましい。
そこで、この発明の一実施の形態では、図18に示すように、アロケーションマップテーブルAMTを用意している。このアロケーションマップテーブルAMTを利用すれば、AVファイルを別媒体に移植する場合には全てのAVアドレス情報を書き替える必要がなく、移植が非常に容易になる。具体的には、移植先の媒体のアドレス設定方法に合わせてアロケーションマップテーブルAMT内を適宜変更するだけで良い。
(2)高速に追記記録または変更記録が可能な記録処理単位
UDF上で使われる論理ブロック(セクタ)サイズは2048バイト単位になっている。
ところで、DVD−RAMディスクでは、図9に示すように、16個のセクタの塊でECCブロック502を構成し、このECCブロック502内でエラー訂正符号(積符号)を付加している。たとえば図9内の1個のセクタ501bの情報を変更する場合、図示しない情報記録再生装置側でECCブロック502分の全情報(32kバイト)を読み取り、デインターリーブ処理した後、セクタ501bの情報のみを変更する。その後、再度ECCブロックのエラー訂正符号の付け直しをして記録する。
何の工夫もなしに上記エラー訂正符号の付け直し処理を行うと、記録時の連続性が損なわれる。そこで、記録時の連続性を確保するため、この発明では、情報記憶媒体10への記録をECCブロック502(32kバイト)単位とし、ECCブロック502毎に直接上書きするようにしている。
すなわち、DVD−RAMディスクを用いた情報記録装置においては、記録処理の単位としてECCブロック単位(2048×16=32kバイト)が採用される。そして、このECCブロック単位でAVデータDA2(図18)のアドレス管理が行なわれる。
図47は、図1のディスクに録画されるAVデータ(ビデオコンテンツ)のうちユーザが作成するメニューのファイル構造の一例を概念的に示す。
ユーザメニューファイルのフォーマットは、概念図的には図47に示すような構成をとることができ、具体的には図48〜図49に示すような構成をとることができる。
まず、ユーザメニューファイルに入っているデータの順番は、図47において上から下へ向かって例示するように、第1アンカーポイント(図44の第1アンカーポイント456に対応)、縮小画像管理部、縮小画像管理部のバックアップ(図示せず)、縮小画像データ群、第2アンカーポイント(図46の第2アンカーポイント457に対応)の順で記載されている。
図47で示す第1および第2アンカーポイントは図18の縮小画像制御情報DA214内に存在し、縮小画像制御情報DA214内の縮小画像管理部とこの縮小画像管理部のバックアップの記録位置を示す情報を持っている。図47で示す第1および第2アンカーポイントは、図18での制御情報DA21の記録位置を示すアンカーポインタAPとは、指し示す位置の情報内容が異なる。
このユーザメニューファイルに最初に入れてあるのは第1アンカーポイント(図47ではa,p,b,q)と呼ばれるポインタアドレスで、それぞれに、縮小画像管理部のスタートアドレス(a)およびエンドアドレス(p)、そして縮小画像管理部のバックアップデータのスタートアドレス(b)およびエンドアドレス(q)が記載されている。
第1アンカーポイントの次には縮小画像管理部(より広義には図18の制御情報DA21)が記録されており、このデータは、後述する「32kバイトアライン」の処理を受けている。この縮小画像管理部には、ユーザメニューを構成する各縮小画像に関するデータが記録されている。
ユーザメニューを構成する各縮小画像に関する実際のデータとしては、PGC番号、タイムコード(タイムサーチなどに使用できる)、縮小画像の先頭アドレス、使用セクタ数(=データ長)、縮小画像のサイズ、縮小画像の元ファイル(AVデータ)へのアドレス(ポインタ)、検索や表題に使用するテキストデータなどがある。
さらにその後には、ファイル内にもし欠陥領域がある場合にはその欠陥領域の先頭アドレスとデータ長が記録される。そして、ユーザメニューの背景画像データに関して、登録番号およびその先頭アドレスなどが記録されている。
さらにその後には、図示しないが、縮小画像管理部のバックアップが記録されている。このバックアップは、前記縮小画像管理領域の破損に対する保険のために記録している。
さらにその後には、パック化された実際の縮小画像データ群(より広義には図18のオブジェクト群DA22〜DA24;さらに広義にはAVデータDA2)が記録されている。ただし、これらのデータは、1つの縮小画像毎(あるいはその1VOBU毎に)に、32kバイトアラインされている。
さらにその後には、ユーザメニューファイルの先頭と同様な第2アンカーポイント(a,p,b,q)が記載されている。このようにするのは、ファイルは、通常、アクセスの多い先頭の管理領域から破損していくことを考えてのことである。ファイルの最後にもアンカーポイント置くことにより、より安全性を高めている。
また、このファイルの各区切りで32kバイトアラインしているのは、データの変更、追加や削除時に、32kバイト単位のECCグループ毎にアクセスすることができるようにという配慮からである。この32kバイトアライン(換言すればECCブロックアライン)することにより、より高速のアクセスが可能となり、後述する図52のDVDドライブ140内のMPUあるいは図84のデータプロセサ36の動作上の負荷が軽減される。
なお、このユーザメニューファイル中のアドレス情報は、全てファイルの先頭からの相対アドレスで表されている。
図47のユーザメニューファイルには、以下の特徴がある:
(イ)少なくともビデオデータの一部の静止画を表すところのメニュー選択用画像データ(すなわち縮小画像データ)が同一のユーザメニューファイル内に1以上記録されている。
(ロ)縮小画像管理部を有し、記録媒体(DVD−RAMディスク、DVDーRWディスクまたはDVD−Rディスク)上に記録した全縮小画像データ(の保存場所と対応するビデオ信号の指定)の管理を一括して行う。
図47のユーザメニューファイルには、具体的には図48〜図49に例示するような内容が書き込まれる。
すなわち、図48および図49に示すように、ピクチャアドレステーブル用の第1アンカーポインタとして、ピクチャアドレステーブルの開始位置、ピクチャアドレステーブルの終了位置、予約ピクチャアドレステーブルの開始位置および予約ピクチャアドレステーブルの終了位置が記述され;ピクチャアドレステーブルとして、メニューインデックス情報(INFO1)、インデックスピクチャ情報(INFO2)、欠陥領域情報(INFO5)、壁紙ピクチャ情報(INFO6)およびパディングデータが記述され;ピクチャアドレステーブル用の第2アンカーポインタとして、ピクチャアドレステーブルの開始位置、ピクチャアドレステーブルの終了位置、予約ピクチャアドレステーブルの開始位置および予約ピクチャアドレステーブルの終了位置が記述される。
なお、図48および図49のピクチャアドレステーブル内には、スライド&スチルピクチャ情報INFO3およびインフォメーションピクチャ情報INFO4も適宜記述される。
図48のメニューインデックス情報は、インデックスピクチャの数、インフォメーションピクチャの数、スライド&スチルピクチャの数、欠陥領域の数および壁紙ピクチャの数を含む。
図48のインデックスピクチャ情報は、内容特性、インデックスピクチャ用プログラムチェーンのID、インデックスピクチャのタイムコード、インデックスピクチャの開始位置、インデックスピクチャ記録の使用セクタ数、ピクチャサイズ、オリジナルのオーディオ・ビデオデータのアドレスおよび検索用テキストデータを含む。
なお、インデックスピクチャ情報に含まれる内容特性には、ユーザメニューに利用される静止画が記録済みなら“1”が記述され、この静止画の記録位置(アドレス)のみを記録しているなら“0”が記述される。
アドレスのみでユーザメニュー用画像を指定する場合のインデックスピクチャ情報は、図49に示すように、“0”が記述された内容特性と、スライド&スチルピクチャ用のプログラムチェーンPGCのIDと、オリジナルのオーディオ・ビデオデータのアドレスと、スライド&スチルピクチャのタイムコードを含む。
図49の壁紙ピクチャ情報は、ユーザメニューの背景画像として利用できる壁紙ピクチャの数(登録された背景画像の番号)と、壁紙ピクチャの開始位置と、壁紙ピクチャが記録されている領域の使用セクタ数を含む。
図49のパディングデータは、インデックスピクチャの内容、欠陥領域の内容および壁紙ピクチャの内容等を含む。
次に、前述した「32kバイトアライン」について説明する。
図47〜図49に示したユーザメニューファイル内は、既記録領域と未記録領域のいかんに関わらず、すべてエラー訂正コードの単位(ECCグループで)ある32kバイト毎に分割され、その境界部分である「ECCバウンダリー」の位置が事前に確定している。
各縮小画像データ、アンカーポイント、縮小画像管理部と縮小画像管理部のバックアップを記録する場合には、全てのデータの記録開始位置と記録終了位置は、上記「ECCバウンダリー」位置と一致するように記録される(図35参照)。
各データ量が32kバイトの整数値より若干少ない場合には図47に示したように「ダミー領域」を付加して、記録終了位置を「ECCバウンダリー」位置に一致させる。この「ダミー領域」は図48の「パディング」の領域を意味している。
縮小画像データの記録・消去時には前述した「ECCバウンダリー」毎に情報の記録・消去を行う。この場合、ECCグループ内の一部の情報を変更する必要が無いので、記録時にはECCバウンダリーに合わせて縮小データを直接重ね書きできる。
以上のような「32kバイトアライン」を行えば、縮小画像データをECCグループ単位で記録・消去するため付加されたエラー訂正情報の修正が不要となるから、ECCグループ単位の記録・消去処理の高速化が図れる。
図47のユーザメニューファイルは、パーソナルコンピュータ等を利用した別の記録媒体への移植性を考慮している。そのために、ユーザメニュー用の縮小画像、背景画像、縮小画像管理領域の保存アドレスは、全てユーザメニューファイル先頭位置からの差分アドレス(相対アドレス)で表現している。
図47の縮小画像管理領域内の関連テーブルの中では、PGC番号から検索用テキストデータサイズまでの2行が1組の対応テーブルを表している。
この場合、ビデオ信号のタイムコードと先頭アドレスとの組の対応により記録された縮小画像データとビデオ信号との関係が分かる。
また、この関連テーブル全体を検索することにより、ユーザメニューファイル内の未記録領域または消去後縮小画像データの消去された位置が分かり、この領域に新規な縮小画像データを記録することができる。
図47のユーザメニューファイルにおいては、オーディオ・ビデオデータを含むAVファイル上の位置と縮小画像記録位置間の関連テーブルの中で、欠陥領域の管理を行うようにしている。
ここで、ディスク(記録媒体)10の表面に付着したゴミや傷により縮小画像管理部が破損した場合の具体的処理方法に付いて説明する。
まず、ディスク(記録媒体)表面のゴミや傷による縮小画像管理部の破損を検出する。(破損しているかどうかはECCグループのエラー訂正が失敗したかどうかで判定できる。)
破損が検出された場合は、アンカーポイントの情報を読み、縮小画像管理部のバックアップデータアドレスを調べ、縮小画像管理部のバックアップデータを読み込む。
次に、図47の縮小画像記録位置間の関連テーブルから、ユーザメニューファイル内の未記録領域を探す。そして、ユーザメニューファイル内の未記録領域に縮小画像管理データを記録し、アンカーポイントのアドレス情報を更新する。
続いて、ディスク(記録媒体)表面のゴミや傷により縮小画像管理部が破損した場所を、図47の縮小画像記録位置間の関連テーブル内に、欠陥領域として登録する。
図47〜図49のユーザメニューファイルフォーマットを採用すると、以下の効果が期待できる:
(a)前記「32kバイトアライン」によって、縮小画像データの追加・検索とアクセス高速化が図れる;
(b)図示しないモニタディスプレイの表示部に一度に複数枚の縮小画像を表示する場合、各縮小画面毎に記録媒体上の該当する縮小画像データ位置にアクセスする必要がある。記録媒体上にこの縮小画像データが点在(散在)する場合には、アクセスに時間がかかり、複数枚の縮小画像を表示するための所要時間が長くなるとい弊害がある。ところが、図47に例示するように、複数の縮小画像データを同一のユーザメニューファイル内にまとめて配置すれば、このユーザメニューファイルを再生するだけで高速に複数枚の縮小画像を表示させることができる。
(c)縮小画像管理部での全縮小画像データを一括管理することにより、縮小画像データの削除や追加処理の管理が容易となる。すなわち、ユーザメニューファイル内の未記録領域(または縮小画像データ削除領域)の検索が容易となり、新規の縮小画像データの追加登録を高速に行なうことが可能となる。
(d)後述するDVDビデオレコーダでは、データプロセサ36で16パック(=32kバイト)毎にまとめてECCグループとしてエラー訂正情報を付けてディスク(DVD−RAM、DVD−RWまたはDVD−R)10に記録している。もしECCグループ内の一部の情報を変更した場合には、付加されたエラー訂正情報の修正が必要となり、処理が煩雑になるとともに情報変更処理に多大な時間がかかるようになる。ところが、前記「32kバイトアライン」を行うことによって、縮小画像データをECCグループ単位で記録・消去する際に付加されるエラー訂正情報の修正が不要となり、ユーザメニューデータの記録と消去が高速に処理可能となる。
(e)以下の方法により、アンカーポイントと縮小画像管理部、縮小画像管理部のバックアップデータの高信頼性を確保できる:
*縮小画像管理領域の信頼性確保
…縮小画像管理領域のバックアップ領域を設け、万一の縮小画像管理領域欠
陥に備えるとともに欠陥発生時には記録場所移動を可能とする;
*縮小画像管理領域の記録場所を示すアンカーポイント情報の信頼性確保
…単独でECCブロックを構成し、データ変更回数を少なくするとともに2ヶ所に記録する(図47の第1および第2アンカーポイント);
*欠陥管理処理
…ディスク(記録媒体)表面のゴミや傷により縮小画像管理部やアンカーポイントからの情報再生が不能になった場合、前述したバックアップ部からデータを読み直して、別位置に再記録できるようにする。これにより、欠陥領域を登録して誤ってその欠陥場所を再び使用してしまうことを防止できる。
なお、ユーザメニューに用いる縮小画像データには、その元画像に、クローズドキャプションや多重文字が重畳されているケースがある。そのような場合には、文字を多重後、縮小画像を構成しても良い。また、この文字データだけで縮小画像を構成することも考えられる。
さらに、実際の縮小画像データを持たず、本画像へのポインタのみでユーザメニュー用縮小画像を表すことも可能である(後述する図51の構成において、ハードウエア側でユーザメニューを構成するために、縮小画像をデコーダ内で作りながら表示を行う場合に対応する)。この方法によると、メニュー表示時にディスクサーチを頻繁に行うため、ユーザメニュー表示に若干時間がかかるが、実際に縮小画像を持たない分、使用するディスク容量が少なくて済む利点が得られる。
ところで、図18のAVデータ制御情報DA210内のPGC制御情報PGCCIは図32に示すようなデータ構造を持ち、PGCとセルによって再生順序が決定される。PGCは、セルの再生順序を指定した一連の再生を実行する単位を示す。セルは、再生データを開始アドレスと終了アドレスで指定した再生区間を示す。
図50は、図2のディスク10に記録されたセルデータを再生する場合の一例を模式的に示している。図示するように、再生データは、セルAからセルFまでの再生区間で指定されている。各プログラムチェーン(PGC)におけるこれらのセルの再生組み合わせはプログラムチェーン情報において定義される。
図51は、図50の再生データを構成する各セルとプログラムチェーン情報(PGCI)との関係の一例を説明する図である(図19参照)。
すなわち、3つのセル#1〜#3で構成されるPGC#1は、セルA→セルB→セルCという順序でセル再生を指定している。また、3つのセル#1〜#3で構成されるPGC#2は、セルD→セルE→セルFという順序でセル再生を指定している。さらに、5つのセル#1〜#5で構成されるPGC#3は、セルE→セルA→セルD→セルB→セルEという順序でセル再生を指定している。
図50および図51において、PGC#1はセルAからセルCまでの連続再生区間を例示しており、PGC#2はセルDからセルFまでの断続した再生区間を例示している。また、PGC#3は、セルの再生方向や重複再生(セルCとセルD)に拘わらず飛び飛びのセル再生が可能な例を示している。
図52は、図1〜図11の構成を持つ情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)10を用いてデジタルビデオ情報の録画・再生を行えるように構成されたパーソナルコンピュータPCの一例を説明するブロック図である。
<<一般的なパーソナルコンピュータシステムPCの内部構造説明>>
(1)メインCPUに直接接続されるデータ/アドレスライン
パーソナルコンピュータPC内のメインCPU111はメインメモリ112との間の情報入出力を直接行うメモリデータライン114と、メインメモリ112内に記録されている情報のアドレスを指定するメモリアドレスライン113を持ち、メインメモリ112内にロードされたプログラムに従ってメインCPU111の実行処理が進む。
さらに、メインCPU111は、I/Oデータライン146を通して各種コントローラとの情報転送を行うとともに、I/Oアドレスライン145のアドレス指定により情報転送先コントローラの指定と転送される情報内容の指定を行っている。
(2)ディスプレイコントロールとキーボードコントロール
ビットマップディスプレイ(モニタCRT)116の表示内容制御を行うディスプレイコントローラ115はメモリデータライン114を介しメインCPU111間の情報交換を行っている。
さらに、高解像度で豊かな色彩表現(および階調表現)を実現するため、CRTディスプレイ116専用のメモリとして、ビデオRAM117を備えている。LCDコントローラ115はメモリデータライン114を経由してメインメモリ112から直接情報を入力し、CRTディスプレイ116に表示することもできる。
キーボード119から入力されたテンキー情報はキーボードコントローラ118で変換されてI/Oデータライン146を経由してメインCPU111に入力される。
(3)情報再生装置(DVD−ROM/RAMドライブ等)の制御系統
パーソナルコンピュータPC内に内蔵されたCD−ROMドライブ122やDVD−ROM/RAMコンパチブルドライブ140などの光学式の情報再生装置には、IDEインターフェイスあるいはSCSIインターフェイスが使われる場合が多い。CD−ROMドライブ122からの再生情報はIDEコントローラ120を経由してI/Oデータライン146に転送される。
(4)PC外部とのシリアル/パラレルインターフェイス
パーソナルコンピュータシステムの外部機器との情報転送用には、シリアルラインとパラレルラインがそれぞれ用意されている。
「セントロニクス」に代表されるパラレルラインを制御するパラレルI/Fコントローラ123は、ネットワーク等を介さずに直接プリンター124やスキャナー125を駆動する場合に使われる。スキャナー125から転送される情報はパラレルI/Fコントローラ123を経由してI/Oデータライン146に転送される。またI/Oデータライン146上で転送される情報はパラレルI/Fコントローラ123を経由してプリンター124へ転送される。
たとえば、ディスプレイ116に表示されているビデオRAM117内の情報やメインメモリ112内の特定情報をプリントアウトする場合、これらの情報をメインCPU111を介してI/Oデータライン146に転送した後、パラレルI/Fコントローラ123でプロトコル変換してプリンター124に出力する。
外部に出力されるシリアル情報に関しては、I/Oデータライン146で転送された情報がシリアルI/Fコントローラ130でプロトコル変換され、たとえばRS−232Cのシリアル信号として出力される。
(5)機能拡張用バスライン
パーソナルコンピュータシステムは機能拡張用に各種のバスラインを持っている。デスクトップのパーソナルコンピュータではバスラインとしてPCIバス133とEISAバス126を持っている場合が多い。
PCIバス133およびEISAバス126それぞれのバスラインは、PCIバスコントローラ143およびEISAバスコントローラ144を介して、I/Oデータライン146とI/Oアドレスライン145に接続されている。
バスラインに接続される各種ボードはEISAバス126専用ボードとPCIバス133専用ボードに分かれている。比較的PCIバス133の方が高速転送に向くため、図52の構成ではPCIバス133に接続しているボードの数が多くなっているが、これは一例にすぎない。図52の構成に限らずEISAバス126専用ボードを使用すれば、たとえばLANボード139やSCSIボード138をEISAバス126に接続することも可能である。
(6)バスライン接続の各種ボードの概略機能説明
(6.1)サウンドブラスターボード127
マイク128から入力された音声信号はサウンドブラスターボード127によりデジタル情報に変換され、EISAバス126、I/Oデータライン146を経由してメインメモリ112やDVDーRAMドライブ140に入力され、適宜加工される。
また音楽等を聞きたい場合には、CD−ROMドライブ122あるいはDVDーROM/RAMドライブ140に記録されているファイル名をユーザが指定することにより、デジタル音源信号がI/Oデータライン146、EISAバス126を経由してサウンドブラスターボード127に転送され、アナログ信号に変換された後、スピーカー129から出力される。
(6.2)専用DSP137
ある特殊な処理を高速で実行したい場合、その処理専用のDSPボード137をPCIバスライン133に接続することができる。
(6.3)SCSIインターフェイス
外部記憶装置との間の情報入出力にはSCSIインターフェイスが利用される場合が多い。SCSIボード138内では、DVDーROM/RAMドライブ140等の外部記憶装置との間で入出力されるSCSIフォーマット情報をPCIバス133またはEISAバス126に転送するためのプロトコル変換や、転送情報フォーマット変換が、実行される。
(6.4)情報圧縮・伸長専用ボード
音声、静止画、動画像などマルチメディア情報は、情報圧縮され、DVDーROM/RAMドライブ140等により情報記憶媒体(図1のDVDーRAMディスク10)記録される。この情報圧縮・伸長専用ボード(134〜136)は、DVDーROM/RAMドライブ140から圧縮された情報を再生する際、圧縮されている情報を伸長して、ディスプレイ116に表示する画像情報を生成したり、スピーカー129を鳴らす音声信号を生成する。またマイク128から入力された音声信号などを情報圧縮してDVDーROM/RAMドライブ140に記録する際にも利用される。
上記情報の圧縮・伸長機能は各種専用ボードが受け持っている。
具体的には、音楽・音声信号の圧縮・伸長はオーディオエンコーダ/デコーダボード136で行い、動画(ビデオ映像)の圧縮・伸長はMPEGボード134で行い、静止画の圧縮・伸長はJPEGボード135で行なうようにしている。
<<パーソナルコンピュータの外部ネットワークとの接続>>
(7)電話回線を用いたネットワーク接続
電話回線を経由して外部に情報転送したい場合には、モデム131を用いる。 すなわち希望の相手先へ電話接続するには図示しないNCU(Network Control Unit)が電話回線を介して電話交換機に相手先電話番号を伝達する。電話回線が接続されると、シリアルI/Fコントローラ130がI/Oデータライン146上の情報に対して転送情報フォーマット変換とプロトコル変換を行い、その結果得られるデジタル信号のRS−232C信号がモデム131でアナログ信号に変換されて電話回線に転送される。
(8)IEEE1394を用いたネットワーク接続
音声、静止画、動画などマルチメディア情報を外部装置(図示せず)へ転送する場合には、IEEE1394インターフェイスが適している。
動画や音声では一定時間内に必要な情報を送り切れないと画像の動きがギクシャクしたり、音声が途切れたりする。その問題を解決するためIEEE1394では125μs毎にデータ転送が完了するisochronous転送方式を採用している。IEEE1394ではこのisochronous転送と通常の非同期転送の混在も許しているが、1サイクルの非同期転送時間は最大63.5μsと上限が決められている。この非同期転送時間が長過ぎるとisochronous転送を保証できなくなるためである。
なお、IEEE1394ではSCSIのコマンド(命令セット)をそのまま使用することができる。
IEEE1394I/Fボード132は、PCIバス133を伝わってきた情報に対し、isochronous転送用の情報フォーマット変換やプロトコル変換、ノード設定のようなトポロジーの自動設定などの処理を行なう。
このようにパーソナルコンピュータシステム内で持っている情報をIEEE1394信号として外部に転送するだけでなく、同様に外部から送られて来るIEEE1394信号を変換してPCIバス133に転送する働きもIEEE1394I/Fボード132は持っている。
(9)LANを用いたネットワーク接続
企業内や官庁・学校など特定地域内のローカルエリア情報通信のために、図示しないが、LANケーブルを媒体としてLAN信号の入出力を行っている。
LANを用いた通信のプロトコルとしてはTCP/IP、NetBEUIなどが存在し、各種プロトコルに応じて独自のデータパケット構造(情報フォーマット構造)が採用される。PCIバス133上で転送される情報に対する情報フォーマット変換や各種プロトコルに応じた外部との通信手続き処理などは、LANボード139により行われる。
一例としてDVDーROM/RAMドライブ140にセットされたDVDーRAMディスク10(図1)内に記録してある特定ファイル情報をLAN信号に変換して、図示しない外部のパーソナルコンピュータ、EWSあるいはネットワークサーバに転送する場合の手続きと情報転送経路について、説明する。
SCSIボード138の制御によりDVDーRAMディスク10内に記録されているファイルディレクトリ(図23)を出力させ、その結果のファイルリストを、メインCPU111がメインメモリ112に記録するとともにCRTディスプレイ116に表示させる。
ユーザが転送したいファイル名をキーボード119から入力すると、その内容がキーボードコントローラ118を介してメインCPU111に送られ、CPU111により認識される。メインCPU111がSCSIボード138に転送するファイル名を通知すると、DVDーROM/RAMドライブ140がDVDーRAMディスク10内部の情報記録場所を判定してアクセスし、そこからの再生情報がSCSIボード138およびPCIバス133を経由してLANボード139へ転送される。
LANボード139では、一連の通信手続きにより転送先とセッションを張った後、PCIバス133からのファイル情報受け、伝送するプロトコルに従ったデータパケット構造に変換後、LAN信号として外部へ転送する。
<<情報再生装置または情報記憶再生装置からの情報転送>>
(10)標準的インターフェイスと情報転送経路
CD−ROM、DVDーろむなど再生専用の光ディスクを扱う装置であるドライブ122、DVD−RAM、PD(相変化記録ディスク)、MO(光磁気ディスク)など記録再生可能な光ディスクを扱う装置であるドライブ140をパーソナルコンピュータシステム内に組み込んで使用する場合、標準的なインターフェイスとして“IDE”“SCSI”“IEEE1394”などが存在する。
一般的にはPCIバスコントローラ143やEISAバスコントローラ144は内部にDMA(ダイレクトメモリアクセス)機能を持っている。このDMAの制御により、メインCPU111を介在させることなく各ブロック間で直接情報を転送することができる。
たとえば、DVDドライブ140からの再生情報をMPEGボード134に転送する場合、メインCPU111からの処理はPCIバスコントローラ143へ転送命令を与えるだけで良い。情報転送管理はPCIバスコントローラ143内のDMAに任せる。その結果、実際の情報転送時にはメインCPUは情報転送処理に忙殺されることなく、その情報転送処理中に他の処理を並行して実行できる。
同様に、CDドライブ122からの再生情報をたとえばメモリ112へ転送する場合も、メインCPU111はIDEコントローラ120へ転送命令を出すだけで、後の転送処理管理をIDEコントローラ120内のDMAに任せることができる。
(11)認証機能
情報記録再生装置(DVDーRAMドライブ等)140もしくは情報再生装置(CDーROMドライブ等)122に関する情報転送処理には、上述したようにPCIバスコントローラ143内のDMA、EISAバスコントローラ144内のDMAまたはIDEコントローラ120内のDMAが管理を行っているが、実際の転送処理自体は情報記録再生装置140もしくは情報再生装置122が持つ認証(authentication)機能部が実際の転送処理を実行している。
DVDビデオ、DVD−ROM、DVD−RなどのDVDシステムでは、ビデオ、オーディオのビットストリームはMPEG2プログラムストリームフォーマットで記録されており、オーディオストリーム、ビデオストリーム、サブピクチャストリーム、プライベートストリームなどが混在して記録されている。
情報記録再生装置(DVDーROM/RAMドライブ等)140は、情報の再生時にプログラムストリームからオーディオストリーム、ビデオストリーム、サブピクチャストリーム、プライベートストリームなどを分離抽出し、抽出したストリームを、メインCPU111を介在させることなく、PCIバス133を介して直接音声符号化復号化ボード136、MPEGボード134あるいはJPEGボード135に転送する。
同様に、情報再生装置(CDーROMドライブ等)122もそこから再生されるプログラムストリームを各種のストリーム情報に分離抽出し、個々のストリーム情報をI/Oデータライン146、PCIバス133を経由して直接(メインCPU111を介在させることなく)音声符号化復号化ボード136、MPEGボード134あるいはJPEGボード135に転送する。
情報記録再生装置140や情報再生装置122と同様、音声符号化復号化ボード136、MPEGボード134あるいはJPEGボード135自体も内部に認証機能を持っている。
この機能により、情報転送に先立ち、PCIバス133(およびI/Oデータライン146)を介して情報記録再生装置140や情報再生装置122と音声符号化復号化ボード136、MPEGボード134、JPEGボード135間で互いに認証し合うことができる。相互認証が完了すると、情報記録再生装置140や情報再生装置122で再生されたビデオストリーム情報はMPEGボード134だけに転送される。同様に、オーディオストリーム情報は音声符号化復号化ボード136のみに転送される。また、静止画ストリームはJPEGボード135へ、プライベートストリームやテキスト情報はメインCPU111へ送られる。
ところで、情報記録再生装置は、大きく分けて、情報記憶媒体に対して情報の記録・再生を行う情報記録再生部(物理系ブロック)と、外部とのインターフェイス部や情報記録再生装置として独自の装置機能を果たすための機能実施部などから構成された応用構成部(アプリケーション系ブロック)とに分類できる。
図53は、図52のデジタルビデオ録再機能付パーソナルコンピュータPCにおいて、物理系ブロックとアプリケーション系ブロックを分けて説明する図である。
情報再生装置(DVDプレーヤ等)もしくは情報記録再生装置(DVDレコーダ等)103は、図53に示すように、大きく2つのブロックから構成される。
情報再生部もしくは情報記録再生部(物理系ブロック)101は情報記憶媒体(図1の光ディスク10)を回転させ、光ヘッドを用いて情報記憶媒体にあらかじめ記録してある情報を読み取る(または情報記憶媒体に新たな情報を記録する)機能を有する。
具体的には、情報記憶媒体としての光ディスク10を回転させるスピンドルモータ、光ディスク10に記録してある情報を再生する光ヘッド、再生したい情報が記録されている光ディスク10上の半径位置に光ヘッドを移動させるための光ヘッド移動機構、その他各種サーボ回路などから構成されている。この斑理系ブロック101の構成については後述する。
応用構成部(アプリケーションブロック)102は、情報再生部もしくは情報記録再生部(物理系ブロック)101から得られた再生信号cに処理を加えて情報再生装置もしくは情報記録再生装置103の外に再生情報aを送出する働きをする。このアプリケーションブロック内の構成は、情報再生装置もしくは情報記録再生装置103の具体的用途(使用目的)に応じて変化する。このアプリケーションブロック102の構成についても後述する。
情報記録再生装置(DVDレコーダ等)の場合には、以下の手順で外部から与えられた記録情報bを情報記憶媒体(光ディスク10)に記録する。
*外部から与えられた記録情報bは直接アプリケーションブロック102に転送される。
*アプリケーションブロック102内で記録情報bに処理を加えた後、記録信号dを物理系ブロック101へ伝送する。
*伝送された記録信号dを物理系ブロック101内で光ディスク10に記録する。
図54は、図52のDVDーROM/RAMドライブ140(図53でいえば物理系ブロック101)の構成の一例を説明するブロック図である。
まず始めに、情報記録再生装置内の情報記録再生部(物理系ブロック101)の内部構造から説明する。
<<<情報記録再生部の機能説明>>>
<<情報記録再生部の基本機能>>
情報記録再生部では、情報記憶媒体(光ディスク)10上の所定位置に、レーザビームの集光スポットを用いて、新規情報の記録あるいは書き替え(情報の消去も含む)を行う。
情報記憶媒体10上の所定位置から、レーザビームの集光スポットを用いて、既に記録されている情報の再生を行う。
<<情報記録再生部の基本機能達成手段>>
上記基本機能を達成するために、情報記録再生部では、情報記憶媒体10上のトラックに沿って集光スポットをトレース(追従)させる。情報記憶媒体10に照射する集光スポットの光量(強さ)を変化させて情報の記録/再生/消去の切り替えを行う。外部から与えられる記録信号dを高密度かつ低エラー率で記録するために最適な信号に変換する。
<<<機構部分の構造と検出部分の動作>>>
<<光ヘッド202基本構造と信号検出回路>>
<光ヘッド202による信号検出>
光ヘッド202は、基本的には、光源である半導体レーザ素子と光検出器と対物レンズから構成されている。
半導体レーザ素子から発光されたレーザ光は、対物レンズにより情報記憶媒体(光ディスク)10上に集光される。情報記憶媒体10の光反射膜または光反射性記録膜で反射されたレーザ光は光検出器により光電変換される。
光検出器で得られた検出電流は、アンプ213により電流−電圧変換されて検出信号となる。この検出信号は、フォーカス・トラックエラー検出回路217あるいは2値化回路212で処理される。
一般的に、光検出器は、複数の光検出領域に分割され、各光検出領域に照射される光量変化を個々に検出している。この個々の検出信号に対してフォーカス・トラックエラー検出回路217で和・差の演算を行い、フォーカスずれおよびトラックずれの検出を行う。この検出によりフォーカスずれおよびトラックずれを実質的に取り除いた後、情報記憶媒体10の光反射膜または光反射性記録膜からの反射光量変化を検出して、情報記憶媒体10上の信号を再生する。
<フォーカスずれ検出方法>
フォーカスずれ量を光学的に検出する方法としては、たとえば次のようなものがある:
[非点収差法]情報記憶媒体10の光反射膜または光反射性記録膜で反射されたレーザ光の検出光路に非点収差を発生させる光学素子(図示せず)を配置し、光検出器上に照射されるレーザ光の形状変化を検出する方法である。光検出領域は対角線状に4分割されている。各検出領域から得られる検出信号に対し、フォーカス・トラックエラー検出回路217内で対角和間の差を取ってフォーカスエラー検出信号を得る。
[ナイフエッジ法]情報記憶媒体10で反射されたレーザ光に対して非対称に一部を遮光するナイフエッジを配置する方法である。光検出領域は2分割され、各検出領域から得られる検出信号間の差を取ってフォーカスエラー検出信号を得る。
通常、上記非点収差法あるいはナイフエッジ法のいずれかがが採用される。
<トラックずれ検出方法>
情報記憶媒体(光ディスク)10はスパイラル状または同心円状のトラックを有し、トラック上に情報が記録される。このトラックに沿って集光スポットをトレースさせて情報の再生または記録/消去を行う。安定して集光スポットをトラックに沿ってトレースさせるため、トラックと集光スポットの相対的位置ずれを光学的に検出する必要がある。
トラックずれ検出方法としては一般に、次の方法が用いられている:
[位相差検出(Differential Phase Detection)法]情報記憶媒体(光ディスク)10の光反射膜または光反射性記録膜で反射されたレーザ光の光検出器上での強度分布変化を検出する。光検出領域は対角線上に4分割されている。各検出領域から得られる検出信号に対し、フォーカス・トラックエラー検出回路217内で対角和間の差を取ってトラックエラー検出信号を得る。
[プッシュプル(Push-Pull)法]情報記憶媒体10で反射されたレーザ光の光検出器上での強度分布変化を検出する。光検出領域は2分割され、各検出領域から得られる検出信号間の差を取ってトラックエラー検出信号を得る。
[ツインスポット(Twin-Spot)法]半導体レーザ素子と情報記憶媒体10間の送光系に回折素子などを配置して光を複数に波面分割し、情報記憶媒体10上に照射する±1次回折光の反射光量変化を検出する。再生信号検出用の光検出領域とは別に+1次回折光の反射光量と−1次回折光の反射光量を個々に検出する光検出領域を配置し、それぞれの検出信号の差を取ってトラックエラー検出信号を得る。
<対物レンズアクチュエータ構造>
半導体レーザ素子から発光されたレーザ光を情報記憶媒体10上に集光させる対物レンズ(図示せず)は、対物レンズアクチュエータ駆動回路218の出力電流に応じて2軸方向に移動可能な構造になっている。この対物レンズの移動方向には、次の2つがある。すなわち、フォーカスずれ補正用に情報記憶媒体10に対する垂直方向に移動し、トラックずれ補正用に情報記憶媒体10の半径方向に移動する。
対物レンズの移動機構(図示せず)は対物レンズアクチュエータと呼ばれる。対物レンズアクチュエータ構造には、たとえば次のようなものがよく用いられる:
[軸摺動方式]中心軸(シャフト)に沿って対物レンズと一体のブレードが移動する方式で、ブレードが中心軸に沿った方向に移動してフォーカスずれ補正を行い、中心軸を基準としたブレードの回転運動によりトラックずれ補正を行う方法である。
[4本ワイヤ方式]対物レンズ一体のブレードが固定系に対し4本のワイヤで連結されており、ワイヤの弾性変形を利用してブレードを2軸方向に移動させる方法である。
上記いずれの方式も永久磁石とコイルを持ち、ブレードに連結したコイルに電流を流すことによりブレードを移動させる構造になっている。
<<情報記憶媒体10の回転制御系>>
スピンドルモータ204の駆動力によって回転する回転テーブル221上に情報記憶媒体(光ディスク)10を装着する。
情報記憶媒体10の回転数は、情報記憶媒体10から得られる再生信号によって検出する。すなわち、アンプ213出力の検出信号(アナログ信号)は2値化回路212でデジタル信号に変換され、この信号からPLL回路211により一定周期信号(基準クロック信号)を発生させる。情報記憶媒体回転速度検出回路214では、この信号を用いて情報記憶媒体10の回転数を検出し、その値を出力する。
情報記憶媒体10上で再生あるいは記録/消去する半径位置に対応した情報記憶媒体回転数の対応テーブルは、半導体メモリ219に予め記録されている。再生位置または記録/消去位置が決まると、制御部220は半導体メモリ219情報を参照して情報記憶媒体10の目標回転数を設定し、その値をスピンドルモータ駆動回路215に通知する。
スピンドルモータ駆動回路215では、この目標回転数と情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号(現状での回転数)との差を求め、その結果に応じた駆動電流をスピンドルモータ204に与えて、スピンドルモータ204の回転数が一定になるように制御する。情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号は、情報記憶媒体10の回転数に対応した周波数を有するパルス信号であり、スピンドルモータ駆動回路215では、このパルス信号の周波数およびパルス位相の両方に対して、制御(周波数制御および位相制御)を行なう。
<<光ヘッド移動機構>>
この機構は、情報記憶媒体10の半径方向に光ヘッド202を移動させるため光ヘッド移動機構(送りモータ)203を持っている。
光ヘッド202を移動させるガイド機構としては、棒状のガイドシャフトを利用する場合が多い。このガイド機構では、このガイドシャフトと光ヘッド202の一部に取り付けられたブッシュ間の摩擦を利用して、光ヘッド202を移動させる。それ以外に回転運動を使用して摩擦力を軽減させたベアリングを用いる方法もある。
光ヘッド202を移動させる駆動力伝達方法は、図示していないが、固定系にピニオン(回転ギヤ)の付いた回転モータを配置し、ピニオンとかみ合う直線状のギヤであるラックを光ヘッド202の側面に配置して、回転モータの回転運動を光ヘッド202の直線運動に変換している。それ以外の駆動力伝達方法としては、固定系に永久磁石を配置し、光ヘッド202に配置したコイルに電流を流して直線的方向に移動させるリニアモータ方式を使う場合もある。
回転モータ、リニアモータいずれの方式でも、基本的には送りモータに電流を流して光ヘッド202移動用の駆動力を発生させている。この駆動用電流は送りモータ駆動回路216から供給される。
<<<各制御回路の機能>>>
<<集光スポットトレース制御>>
フォーカスずれ補正あるいはトラックずれ補正を行うため、フォーカス・トラックエラー検出回路217の出力信号(検出信号)に応じて光ヘッド202内の対物レンズアクチュエータ(図示せず)に駆動電流を供給する回路が、対物レンズアクチュエータ駆動回路218である。この駆動回路218は、高い周波数領域まて対物レンズ移動を高速応答させるため、対物レンズアクチュエータの周波数特性に合わせた特性改善用の位相補償回路を、内部に有している。
対物レンズアクチュエータ駆動回路218では、制御部220の命令に応じて、
(イ)フォーカス/トラックずれ補正動作(フォーカス/トラックループ)のオン/オフ処理と;
(ロ)情報記憶媒体10の垂直方向(フォーカス方向)へ対物レンズを低速で移動させる処理(フォーカス/トラックループオフ時に実行)と;
(ハ)キックパルスを用いて、対物レンズを情報記憶媒体10の半径方向(トラックを横切る方向)にわずかに動かして、集光スポットを隣のトラックへ移動させる処理とが行なわれる。
<<レーザ光量制御>>
<再生と記録/消去の切り替え処理>
再生と記録/消去の切り替えは情報記憶媒体10上に照射する集光スポットの光量を変化させて行う。
相変化方式を用いた情報記憶媒体に対しては、一般的に
[記録時の光量]>[消去時の光量]>[再生時の光量] …(1)
の関係が成り立ち、光磁気方式を用いた情報記憶媒体に対しては、一般的に
[記録時の光量]≒[消去時の光量]>[再生時の光量] …(2)
の関係がある。光磁気方式の場合では、記録/消去時には情報記憶媒体10に加える外部磁場(図示せず)の極性を変えて記録と消去の処理を制御している。
情報再生時では、情報記憶媒体10上に一定の光量を連続的に照射している。
新たな情報を記録する場合には、この再生時の光量の上にパルス状の断続的光量を上乗せする。半導体レーザ素子が大きな光量でパルス発光した時に情報記憶媒体10の光反射性記録膜が局所的に光学的変化または形状変化を起こし、記録マークが形成される。すでに記録されている領域の上に重ね書きする場合も同様に半導体レーザ素子をパルス発光させる。
すでに記録されている情報を消去する場合には、再生時よりも大きな一定光量を連続照射する。連続的に情報を消去する場合にはセクタ単位など特定周期毎に照射光量を再生時に戻し、消去処理と平行して間欠的に情報再生を行う。これにより、間欠的に消去するトラックのトラック番号やアドレスを再生することで、消去トラックの誤りがないことを確認しながら消去処理を行っている。
<レーザ発光制御>
図示していないが、光ヘッド202内には、半導体レーザ素子の発光量を検出するための光検出器が内蔵されている。レーザ駆動回路205では、その光検出器出力(半導体レーザ素子発光量の検出信号)と記録・再生・消去制御波形発生回路206から与えられる発光基準信号との差を取り、その結果に基づき、半導体レーザへの駆動電流をフィードバック制御している。
<<<機構部分の制御系に関する諸動作>>>
<<起動制御>>
情報記憶媒体(光ディスク)10が回転テーブル221上に装着され、起動制御が開始されると、以下の手順に従った処理が行われる。
(1)制御部220からスピンドルモータ駆動回路215に目標回転数が伝えられ、スピンドルモータ駆動回路215からスピンドルモータ204に駆動電流が供給されて、スピンドルモータ204が回転を開始する。
(2)同時に制御部220から送りモータ駆動回路216に対してコマンド(実行命令)が出され、送りモータ駆動回路216から光ヘッド駆動機構(送りモータ)203に駆動電流が供給されて、光ヘッド202が情報記憶媒体10の最内周位置に移動する。その結果、情報記憶媒体10の情報が記録されている領域を越えてさらに内周部に光ヘッド202が来ていることを確認する。
(3)スピンドルモータ204が目標回転数に到達すると、そのステータス(状況報告)が制御部220に出される。
(4)制御部220から記録・再生・消去制御波形発生回路206に送られた再生光量信号に合わせて半導体レーザ駆動回路205から光ヘッド202内の半導体レーザ素子に電流が供給されて、レーザ発光が開始する。
なお、情報記憶媒体(光ディスク)10の種類によって再生時の最適照射光量が異なる。起動時には、そのうちの最も照射光量の低い値に対応した値に、半導体レーザ素子に供給される電流値を設定する。
(5)制御部220からのコマンドに従って、光ヘッド202内の対物レンズ(図示せず)を情報記憶媒体10から最も遠ざけた位置にずらし、ゆっくりと対物レンズを情報記憶媒体10に近付けるよう対物レンズアクチュエータ駆動回路218が対物レンズを制御する。
(6)同時にフォーカス・トラックエラー検出回路217でフォーカスずれ量をモニターし、焦点が合う位置近傍に対物レンズがきたときにステータスを出して、「対物レンズが合焦点位置近傍にきた」ことを制御部220に通知する。
(7)制御部220では、その通知をもらうと、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対して、フォーカスループをオンにするようコマンドを出す。
(8)制御部220は、フォーカスループをオンにしたまま送りモータ駆動回路216にコマンドを出して、光ヘッド202をゆっくり情報記憶媒体10の外周部方向へ移動させる。
(9)同時に光ヘッド202からの再生信号をモニターし、光ヘッド202が情報記憶媒体10上の記録領域に到達したら、光ヘッド202の移動を止め、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してトラックループをオンさせるコマンドを出す。
(10)続いて情報記憶媒体10の内周部に記録されている「再生時の最適光量」および「記録/消去時の最適光量」が再生され、その情報が制御部220を経由して半導体メモリ219に記録される。
(11)さらに制御部220では、その「再生時の最適光量」に合わせた信号を記録・再生・消去制御波形発生回路206に送り、再生時の半導体レーザ素子の発光量を再設定する。
(12)そして、情報記憶媒体10に記録されている「記録/消去時の最適光量」に合わせて記録/消去時の半導体レーザ素子の発光量が設定される。
<<アクセス制御>>
情報記憶媒体10に記録されたアクセス先情報が再生情報記憶媒体10上のどの場所に記録されまたどのような内容を持っているかについての情報は、情報記憶媒体10の種類により異なる。たとえばDVDディスクでは、この情報は、情報記憶媒体10内のディレクトリ管理領域またはナビゲーションパックなどに記録されている。
ここで、ディレクトリ管理領域は、通常は情報記憶媒体10の内周領域または外周領域にまとまって記録されている。また、ナビゲーションパックは、MPEG2のPS(プログラムストリーム)のデータ構造に準拠したVOBS(ビデオオブジェクトセット)中のVOBU(ビデオオブジェクトユニット)というデータ単位の中に含まれ、次の映像がどこに記録してあるかの情報を記録している。
特定の情報を再生あるいは記録/消去したい場合には、まず上記の領域内の情報を再生し、そこで得られた情報からアクセス先を決定する。
<粗アクセス制御>
制御部220ではアクセス先の半径位置を計算で求め、現状の光ヘッド202位置との間の距離を割り出す。
光ヘッド202移動距離に対して最も短時間で到達できる速度曲線情報が事前に半導体メモリ219内に記録されている。制御部220は、その情報を読み取り、その速度曲線に従って以下の方法で光ヘッド202の移動制御を行う。
すなわち、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してコマンドを出してトラックループをオフした後、送りモータ駆動回路216を制御して光ヘッド202の移動を開始させる。
集光スポットが情報記憶媒体10上のトラックを横切ると、フォーカス・トラックエラー検出回路217内でトラックエラー検出信号が発生する。このトラックエラー検出信号を用いて情報記憶媒体10に対する集光スポットの相対速度を検出することができる。
送りモータ駆動回路216では、このフォーカス・トラックエラー検出回路217から得られる集光スポットの相対速度と制御部220から逐一送られる目標速度情報との差を演算し、その結果で光ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流にフィードバック制御をかけながら、光ヘッド202を移動させる。
前記<<光ヘッド移動機構>>の項で述べたように、ガイドシャフトとブッシュあるいはベアリング間には常に摩擦力が働いている。光ヘッド202が高速に移動している時は動摩擦が働くが、移動開始時と停止直前には光ヘッド202の移動速度が遅いため静止摩擦が働く。この静止摩擦が働く時には(特に停止直前には)、相対的に摩擦力が増加している。この摩擦力増加に対処するため、光ヘッド駆動機構(送りモータ)203に供給される電流が大きくなるように、制御部220からのコマンドによって制御系の増幅率(ゲイン)を増加させる。
<密アクセス制御>
光ヘッド202が目標位置に到達すると、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218にコマンドを出して、トラックループをオンさせる。
集光スポットは、情報記憶媒体10上のトラックに沿ってトレースしながら、その部分のアドレスまたはトラック番号を再生する。
そこでのアドレスまたはトラック番号から現在の集光スポット位置を割り出し、到達目標位置からの誤差トラック数を制御部220内で計算し、集光スポットの移動に必要なトラック数を対物レンズアクチュエータ駆動回路218に通知する。
対物レンズアクチュエータ駆動回路218内で1組のキックパルスを発生させると、対物レンズは情報記憶媒体10の半径方向にわずかに動いて、集光スポットが隣のトラックへ移動する。
対物レンズアクチュエータ駆動回路218内では、一時的にトラックループをオフさせ、制御部220からの情報に合わせた回数のキックパルスを発生させた後、再びトラックループをオンさせる。
密アクセス終了後、制御部220は集光スポットがトレースしている位置の情報(アドレスまたはトラック番号)を再生し、目標トラックにアクセスしていることを確認する。
<<連続記録/再生/消去制御>>
フォーカス・トラックエラー検出回路217から出力されるトラックエラー検出信号は、送りモータ駆動回路216に入力されている。上述した「起動制御時」と「アクセス制御時」には、送りモータ駆動回路216内では、トラックエラー検出信号を使用しないように制御部220により制御されている。
アクセスにより集光スポットが目標トラックに到達したことを確認した後、制御部220からのコマンドにより、モータ駆動回路216を経由してトラックエラー検出信号の一部が光ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給される。連続に再生または記録/消去処理を行っている期間中、この制御は継続される。
情報記憶媒体10の中心位置は回転テーブル221の中心位置とわずかにずれた偏心を持って装着されている。トラックエラー検出信号の一部を駆動電流として供給すると、偏心に合わせて光ヘッド202全体が微動する。
また長時間連続して再生または記録/消去処理を行うと、集光スポット位置が徐々に外周方向または内周方向に移動する。トラックエラー検出信号の一部を光ヘッド移動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給した場合には、それに合わせて光ヘッド202が徐々に外周方向または内周方向に移動する。
このようにして対物レンズアクチュエータのトラックずれ補正の負担を軽減することにより、トラックループを安定化させることができる。
<<終了制御>>
一連の処理が完了し、動作を終了させる場合には以下の手順に従って処理が行われる。
(1)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対して、トラックループをオフさせるコマンドが出される。
(2)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対して、フォーカスループをオフさせるコマンドが出される。
(3)制御部220から記録・再生・消去制御波形発生回路206に対して、半導体レーザ素子の発光を停止させるコマンドが出される。
(4)スピンドルモータ駆動回路215に対して、基準回転数として0が通知される。
<<<情報記憶媒体への記録信号/再生信号の流れ>>>
<<再生時の信号の流れ>>
<2値化・PLL回路>
前記<光ヘッド202による信号検出>の項で述べたように、情報記憶媒体(光ディスク)10の光反射膜または光反射性記録膜からの反射光量変化を検出して、情報記憶媒体10上の信号を再生する。アンプ213で得られた信号は、アナログ波形を有している。2値化回路212は、コンパレーターを用いて、そのアナログ信号を“1”および“0”からなる2値のデジタル信号に変換する。
こうして2値化回路212で得られた再生信号から、PLL回路211において、情報再生時の基準信号が取り出される。すなわち、PLL回路211は周波数可変の発振器を内蔵しており、この発振器から出力されるパルス信号(基準クロック)と2値化回路212出力信号との間で周波数および位相の比較が行われる。この比較結果を発振器出力にフィードバックしすることで、情報再生時の基準信号を取り出している。
<信号の復調>
復調回路210は、変調された信号と復調後の信号との間の関係を示す変換テーブルを内蔵している。復調回路210は、PLL回路211で得られた基準クロックに合わせて変換テーブルを参照しながら、入力信号(変調された信号)を元の信号(復調された信号)に戻す。復調された信号は、半導体メモリ219に記録される。
<エラー訂正処理>
エラー訂正回路209の内部では、半導体メモリ219に保存された信号に対し、内符号PIと外符号POを用いてエラー箇所を検出し、エラー箇所のポインタフラグを立てる。その後、半導体メモリ219から信号を読み出しながらエラーポインタフラグに合わせて逐次エラー箇所の信号を訂正した後、再度半導体メモリ219に訂正後情報を記録する。
情報記憶媒体10から再生した情報を再生信号cとして外部に出力する場合には、半導体メモリ219に記録されたエラー訂正後情報から内符号PIおよび外符号POをはずして、バスライン224を経由してデータI/Oインターフェイス222へ転送する。
そして、データI/Oインターフェイス222が、エラー訂正回路209から送られてきた信号を再生信号cとして出力する。
<<情報記憶媒体10に記録される信号形式>>
情報記憶媒体10上に記録される信号に対しては、以下のことを満足することが要求される:
(イ)情報記憶媒体10上の欠陥に起因する記録情報エラーの訂正を可能とすること;
(ロ)再生信号の直流成分を“0”にして再生処理回路の簡素化を図ること;
(ハ)情報記憶媒体10に対してできるだけ高密度に情報を記録すること。
以上の要求を満足するため、情報記録再生部(物理系ブロック)101では、「エラー訂正機能の付加」と「記録情報に対する信号変換(信号の変復調)」とを行っている。
<<記録時の信号の流れ>>
<エラー訂正コードECC付加処理>
このエラー訂正コードECC付加処理について、説明する。
情報記憶媒体10に記録したい情報dが、生信号の形で、図54のデータI/Oインターフェイス222に入力される。この記録信号dは、そのまま半導体メモリ219に記録される。その後、ECCエンコーダ208内において、以下のようなECCの付加処理が実行される。
以下、積符号を用いたECC付加方法の具体例について説明を行なう。
記録信号dは、半導体メモリ219内で、172バイト毎に1行ずつ順次並べられ、192行で1組のECCブロックとされる(172バイト行×192バイト列でおよそ32kバイトの情報量になる)。
この「172バイト行×192バイト列」で構成される1組のECCブロック内の生信号(記録信号d)に対し、172バイトの1行毎に10バイトの内符号PIを計算して半導体メモリ219内に追加記録する。さらにバイト単位の1列毎に16バイトの外符号POを計算して半導体メモリ219内に追加記録する。
そして、10バイトの内符号PIを含めた12行分(12×(172+10)バイト)と外符号POの1行分(1×(172+10)バイト)の合計2366バイト(=(12+1)×(172+10))を単位として、エラー訂正コードECC付加処理のなされた情報が、情報記憶媒体10の1セクタ内に記録される。
ECCエンコーダ208は、内符号PIと外符号POの付加が完了すると、その情報を一旦半導体メモリ219へ転送する。
情報記憶媒体10に情報が記録される場合には、半導体メモリ219から、1セクタ分の2366バイトずつの信号が、変調回路207へ転送される。
<信号変調>
再生信号の直流成分(DSV:Digital Sum ValueまたはDigital Sum Variation)を“0”に近付け、情報記憶媒体10に対して高密度に情報を記録するため、信号形式の変換である信号変調を変調回路207内で行う。
図54の変調回路207および復調回路210は、それぞれ、元の信号と変調後の信号との間の関係を示す変換テーブルを内蔵している。
変調回路207は、ECCエンコーダ208から転送されてきた信号を所定の変調方式に従って複数ビット毎に区切り、上記変換テーブルを参照しながら、別の信号(コード)に変換する。
たとえば、変調方式として8/16変調(RLL(2、10)コード)を用いた場合には、変換テーブルが2種類存在し、変調後の直流成分(DSV)が0に近付くように逐一参照用変換テーブルを切り替えている。
<記録波形発生>
情報記憶媒体(光ディスク)10に記録マークを記録する場合、一般的には、記録方式として、次のものが採用される:
[マーク長記録方式]記録マークの前端位置と後端末位置に“1”がくるもの。
[マーク間記録方式]記録マークの中心位置が“1”の位置と一致するもの。
なお、マーク長記録を採用する場合、比較的長い記録マークを形成する必要がある。この場合、一定期間以上記録用の大きな光量を情報記憶媒体10に照射し続けると、情報記憶媒体10の光反射性記録膜の蓄熱効果によりマークの後部のみ幅が広がり、「雨だれ」形状の記録マークが形成されてしまう。この弊害を除去するため、長さの長い記録マークを形成する場合には、記録用レーザ駆動信号を複数の記録パルスに分割したり、記録用レーザの記録波形を階段状に変化させる等の対策が採られる。
記録・再生・消去制御波形発生回路206内では、変調回路207から送られてきた記録信号に応じて、上述のような記録波形を作成し、この記録波形を持つ駆動信号を、半導体レーザ駆動回路205に送っている。
次に、図54の構成におけるブロック間の信号の流れをまとめておく。
1)記録すべき生信号の情報記録再生装置への入力
図54は、情報記録再生装置内の情報記憶媒体(光ディスク)10に対する情報の記録処理と再生処理に関連する部分をまとめた情報記録再生部(物理系ブロック)内の構成を例示している。PC(パーソナルコンピュータ)やEWS(エンジニアリングワークステーション)などのホストコンピュータから送られて来た記録信号dはデータI/Oインターフェイス222を経由して情報記録再生部(物理系ブロック)101内に入力される。
2)記録信号dの2048バイト毎の分割処理
データI/Oインターフェイス222では記録信号dを時系列的に2048バイト毎に分割し、後述する図57のデータID510などを付加した後、スクランブル処理を行う。その結果得られた信号は図54のECCエンコーダ208に送られる。
3)ECCブロックの作成
図54のECCエンコーダ208では、図57の記録信号に対してスクランブルを掛けた後の信号を16組集めて「172バイト×192列」のブロックを作った後、後述する図58の内符号PI(内部パリティコード)と外符号PO(外部パリティコード)の付加を行う。
4)インターリーブ処理
図54のECCエンコーダ208ではその後、図59を参照して後述するように、外符号POのインターリーブ処理を行う。
5)信号変調処理
図54の変調回路207では、外外符号POのインターリーブ処理した後の信号を変調後、図8に示すように同期コードを付加する。
6)記録波形作成処理
その結果得られた信号に対応して記録・再生・消去制御波形発生回路206で記録波形が作成され、この記録波形がレーザ駆動回路205に送られる。
情報記憶媒体(DVD−RAMディスク)10では「マーク長記録」の方式が採用されているため、記録パルスの立ち上がりタイミングと記録パルスの立ち下がりタイミングが変調後信号の“1”のタイミングと一致する。
7)情報記憶媒体(光ディスク)10への記録処理
光ヘッド202から照射され、情報記憶媒体(光ディスク)10の記録膜上で集光するレーザ光の光量が断続的に変化して情報記憶媒体(光ディスク)201の記録膜上に記録マークが形成される。
図55は、たとえば図52のデジタルビデオ録再PCにおいて、使用媒体(DVDーRAMディスク等)に対する論理ブロック番号の設定動作の一例を説明するフローチャートである。
図54のターンテーブル221にたとえば図1のDVDーRAMディスク10が装填されると(ステップST131)、制御部220はスピンドルモータ204の回転を開始させる(ステップST132)。
ディスク10の回転が開始したあと光ヘッド202内の対物レンズのフォーカスサーボループがオンされ(ステップST134)、光ヘッド内の半導体レーザがレーザ発振(発光)を開始する(ステップST133)。
レーザ発光後、制御部220は送りモータ203を作動させて光ヘッド202を回転中のディスク10のリードインエリアに移動させる(ステップST135)。そして光ヘッド202内の対物レンズのトラックサーボループがオンされる(ステップST136)。
トラックサーボがアクティブになると、光ヘッド202はディスク10のリードインエリア内の制御データゾーン(図6参照)の情報を再生する(ステップST137)。この制御データゾーン内の「ブックタイプ&パートバージョン」を再生することで、現在回転駆動されている光ディスク10が記録可能な媒体(DVDーRAMディスクまたはDVDーRディスク)であると確認される(ステップST138)。ここでは、媒体10がDVDーRAMディスクであるとする。
媒体10がDVDーRAMディスクであると確認されると、再生対象の制御データゾーンから、再生・記録・消去時の最適光量(半導体レーザの発光パワーおよび発光期間またはデューティ比等)の情報が再生される(ステップST139)。
続いて、制御部220は、現在回転駆動中のDVD−RAMディスク10に欠陥がないものとして、物理セクタ番号と論理セクタ番号との変換表(図7参照)を作成する(ステップST140)。
この変換表が作成されたあと、制御部220はディスク10のリードインエリア内の欠陥管理エリアDMA1/DMA2およびリードアウトエリア内の欠陥管理エリアDMA3/DMA4を再生して、その時点におけるディスク10の欠陥分布を調査する(ステップST141)。
上記欠陥分布調査によりディスク10上の欠陥分布が判ると、制御部220は、ステップST140で「欠陥がない」として作成された変換表を、実際の欠陥分布に応じて修正する(ステップST142)。具体的には、欠陥があると判明したセクタそれぞれの部分で、物理セクタ番号PSNに対応していた論理セクタ番号LSNがシフトされる(図29の「欠陥発生時の欠番」の欄から「番号変換方法」の欄まで参照)
図56は、たとえば図52のデジタルビデオ録再PCにおいて、使用媒体(DVDーRAMディスク等)における欠陥処理動作(ドライブ側の処理)の一例を説明するフローチャートである。この処理は、図52ではDVD−ROM/RAMドライブ140で行われる。以下、このドライブ140が図54のような構成を持つものとして、図54を参照しながら、図56のフローチャートを説明する。図54の制御部220は、図示しないがマイクロコンピュータMPUで構成されている。
最初に、たとえば図52のメインCPU111が、図54の制御部220内のMPUに対して、現在ドライブに装填されている媒体(たとえばDVDーRAMディスク)10に記録する情報(たとえば図23のAVファイル)の先頭論理ブロック番号LBNおよび記録情報のファイルサイズを指定する(ステップST151)。
すると、制御部220のMPUは、図29の関係に基づいて、指定された先頭論理ブロック番号LBNから、記録する情報(AVファイル)の先頭論理セクタ番号LSNを算出する(ステップST152)。こうして算出された先頭論理セクタ番号LSNおよび指定されたファイルサイズから、ディスク10への書込アドレス(AVアドレス)が定まる。
記録情報ファイル(AVファイル)の書込アドレス(AVアドレス)が定まると、制御部220のMPUはDVDーRAMディスク10の指定アドレスに記録情報ファイルを書き込むとともに、ディスク10上の欠陥を調査する(図28の「発生時期」および「欠陥検出方法」の欄参照)(ステップST153)。
このファイル書込中に欠陥が検出されなければ、記録情報ファイル(AVファイル)が所定のAVアドレスに異常なく(つまりエラーが発生せずに)記録されたことになり、記録処理が正常に完了する(ステップST155)。
一方、ファイル書込中に欠陥が検出されれば、所定の交替処理(たとえば図13のスキッピング交替処理)が実行される(図28の「交替処理方法」の欄参照)(ステップST156)。
この交替処理後、新たに検出された欠陥がディスクのリードインのDMA1/DMA2およびリードアウトのDMA3/DMA4に追加登録される(図28の「検出情報記載箇所」の欄参照)(ステップST157)。なお、この新たに検出された欠陥の情報は、図18のアロケーションマップテーブルAMTにも登録される(アロケーションマップテーブルAMTを構成する記述子UAD、SADについては図30を参照して説明済み)。
ディスク10へのDMA1/DMA2およびDMA3/DMA4の追加登録後、このDMA1/DMA2およびDMA3/DMA4の登録内容に基づいて、図55のステップST140で作成した変換表(図7)の内容が修正される(ステップST158)。
以上の記録処理/交替処理は、ドライブ140が所定のAVアドレスに所定のAVファイルデータを書き込む毎に反復される。
図57は、図2の情報記憶媒体(DVDーRAMディスク等)に記録される信号の構成を説明する図である。
以下、2048バイト単位でのスクランブル前の記録信号構造について説明する。
(1)メインデータ(D0〜D2047)505〜509の生成
PC(パーソナルコンピュータ)やEWS(エンジニアリングワークステーション)などのホストコンピュータから送られてきた記録信号dは、データI/Oインターフェイス222において時系列的に沿って2048バイト毎に分割される。各2048バイト毎の記録信号dは記録信号の中に組み込まれ、図57に示すように、メインデータ(D0〜D2047)として配置される。
この記録信号には、メインデータ(D0〜D2047)の前後に、後述するようなデータID(データ識別子)510、IED(データIDのエラー検出コード)511、RSV(リザーブ)512おおびEDC(エラー検出コード)513が付加される。
(2)データID(データ識別子)510の作成
データID510は4バイトで記述され、このデータIDには、
・「データエリア」、「リードインエリア」、「リードアウトエリア」のいずれのエリアか;
・「読出専用データ」、「読み書き可能データ」のどちらのデータタイプか;
・何層目のデータか(ディスクが多層ディスクの場合に必要;図1は2層ディスクを例示している);および
・該当セクタの論理セクタ番号に“31000h”を加算した値
などの情報が記載される。
(3)IED(データIDのエラー検出コード)511の作成
データID510に対するエラー検出コードとして、IED511が記録信号に付加される。再生時に、再生されたデータIDに対してこのIEDコードを演算処理して、再生されたデータIDの再生エラーを検出することに使用する。
(4)RSV(リザーブ)512の作成
記録信号には6バイトのリザーブ領域RSV512が用意され、将来設定される特定の規格でこの場所に指定情報を記録できるようにしてある。
(5)EDC(エラー検出コード)513の作成
図57で示すデータID510からメインデータの最終バイト(D2047)509までの2060バイト信号に対するエラー検出コードがEDC513であり、EDCとして4バイトが記録信号に付加される。
情報記憶媒体(光ディスク10から情報を再生する際、図54の復調回路210で復調後、エラー訂正回路209でECCブロック内のエラー訂正およびデスクランブルを行って図57の記録信号の構造に戻した後、該当セクタ内のデータID510からメインデータの最終バイト(D2047)509までの2060バイト信号に対して、このEDC513を用いてエラー検出を行う。ここでエラーが検出された場合には、再度ECCブロック内のエラー訂正処理に戻ることもある。
なお、ECCブロック内のエラー訂正とデスクランブルについては、後述する。
(6)メインデータ(D0〜D2047)505〜509のスクランブル処理
上述した「メインデータ505〜509の生成」から「EDC513の作成」までを行い、図57に示すようなセクタ単位の記録信号の構造を生成した後、メインデータ(D0〜D2047)のみに対してスクランブル処理を行う。
スクランブル処理用の回路は、図示しないが、8ビットパラレル入力・シリアル出力のシフトレジスタと、0番〜8番の入力ビットを持つイクスクルーシブOR回路で構成できる。この場合、シフトレジスタの10番目のビットと14番目のビットとの間のイクスクルーシブOR演算の結果が、シフトレジスタの0番目のビットに帰還される構造になっている。
スクランブル開始時のシフトレジスタの初期データには、そのセクタ内のデータID510の最終15ビットが使われる。
スクランブル処理後の記録信号の構造とトータルの信号サイズは図57と全く同じ構造・同じサイズになっている。
図58は、図57の記録信号をスクランブルして生成されたECCブロックの構成を説明する図である。
<<ECCブロック内の記録信号構造>>
DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM等はECC(エラー訂正コード)に積符号を採用している。
いま、図9を例にとって、ECCブロック形成方法を説明する。
・まず、ECCブロック内の最初のセクタ501aにあるスクランブル後の信号において、図57のデータID510からメインデータ160バイト(D0〜D159)505までの信号が、図58バイト521(0、0)からバイト523(0、171)に配置される。
・次に、ECCブロック内の最初のセクタ501aにあるスクランブル後の信号において、図57のメインデータ172バイト(D160〜D331)506の信号が、図58のバイト526(1、0)からバイト528(1、171)に配置される。
・以下同様に、セクタ501a内の各信号が図58内に順次配置される。
・ECCブロック内の2番目のセクタ501bにあるスクランブル後の信号において、データID510からメインデータ160バイト(D0〜D159)505までの信号が、図58の上から数えて13列目(図示せず)のバイト536(12、0)からバイト538(12、171)に配置される。
・次に、ECCブロック内の2番目のセクタ501bにあるスクランブル後の信号において、メインデータ172バイト(D160〜D331)506の信号が図58の上から14列目(図示せず)に配置される。
・以下同様の手順で、図9のECCブロック502内の16番目のセクタ501pにあるメインデータ168バイト(D1880〜D2047)509と図57のEDC513とが図58の上から192列目のバイト551(191、0)からバイト553(191、171)に配置されるまで、順次、図58の記録信号配置が実行される。この実行結果の配置(図58)が、スクランブル後のECCブロックの信号配置となる。
・上記スクランブル終了後、図58のバイト521(0、0)からバイト523(0、171)までの横列172バイト信号に対して、10バイト内符号PI(内部パリティコード)を計算し、その計算結果をバイト524(0、172)からバイト525(0、181)までに挿入する。
・以下同様な処理が反復される。その反復の最後に、図58のバイト551(191、0)からバイト553(191、171)までの172バイト信号に対して10バイトの内符号PIが計算され、バイト554(191、172)からバイト555(191、181)までに算出された内符号PIが挿入される。
・上記内符号PIの算出・挿入処理が終了すると、図58のバイト521(0、0)からバイト551(191、0)までの縦列192バイト信号に対して、16バイトの外符号PO(外部パリティコード)が計算される。その計算結果は、縦列方向のバイト556(192、0)からバイト566(207、0)までに挿入される。
・以下同様な処理が反復される。その反復の最後に、図58のバイト525(0、181)からバイト555(191、181)までの縦列192バイト信号に対して16バイトの外符号POが計算され、その計算結果がバイト560(192、181)からバイト570(207、181)までの縦列に挿入される。
図59は、図58のECCブロックをインターリーブした場合を説明する図である。
<<ECCブロック内での外符号POインターリーブ方法>>
図58で内符号PIと外符号POを計算した後、この記録信号を12横列(12行)毎に分け、その間に外符号POを各1行ずつ挿入する。これが、ECCブロック内での外符号POのインターリーブである。
すなわち、図59に示すように、バイト531(11、0)からバイト533(11、171)までの12列の次(13列目)に、外符号POの最初の行(横列)のバイト556(192、0)からバイト558(192、181)までが挿入される。以下同様に、外符号POの各行(各横列)が記録信号の12行(12横列)毎にインターリーブ挿入され、図58の記録信号の配置(スクランブル後)は図59に示すような配置(インターリーブ後)に並び替えられる。
<<実際に情報記憶媒体上に記録される記録信号構造>>
図59に示す外符号POインターリーブ後のECCブロック内記録信号は、各13行(13横列)ずつ分割されて、それぞれが図9の各セクタ501a〜501pに記録される。
情報記憶媒体10には、各セクタ501の先頭位置に、物理セクタ番号PSNなどがエンボス構造で事前に記録されたヘッダ(図8)が配置されている。図8の例示において、あるセクタのヘッダ(エンボス)から次のセクタのヘッダまでの間に、上記13行(13横列)分の信号が記録される。
ところで、図59の記録信号構造では、ビット単位で“0”が連続して配置される可能性がある。このままの信号を情報記憶媒体10に記録すると、“0”が連続して多数個配列された場所で再生時にビットシフトエラーを起こす危険がある。そのため、“0”の連続配置上限数を制限し、かつ高密度記録が可能なように信号の変換(変調)を行っている。DVD−ROMやDVD−RAMでは「8/16変調」(ランレングスコードで表現するとRLL(2,10)コード)と呼ばれる変調方法を採用している。
このように変調された信号は途中に同期コードが挿入された後、図8に示すような構造になって情報記憶媒体10上に記録される。
<<情報記憶媒体からの再生信号に対する逆変換手順>>
情報記憶媒体(光ディスク)10から情報を再生するときは以下の手順で逆変換がなされた後、再生信号cとしてPC(パーソナルコンピュータ)やEWS(エンジニアリングワークステーション)などのホストコンピュータへ(図54のデータI/Oインターフェイス222から)転送される。
(1)図54において、再生信号は、光ヘッド202、アンプ213、2値化回路212およびPLL回路211を経た後、復調回路210において復調される。
(2)エラー訂正回路209内で図58の内符号PIと外符号POを用いてECCブロック内のエラー訂正が行われる。
(3)その後エラー訂正回路209内で「メインデータ(D0〜D2047)505〜509のスクランブル処理」の逆の処理である「デスクランブル処理」が行なわれ、エラー訂正後の信号は、メインデータ(D0〜D2047)505〜509に戻される。
(4)このデスクランブル処理によって、図57の記録信号の構造が復元される。
(5)図57のEDC513を用いてメインデータ(D0〜D2047)505〜509のエラー検出が行われる。ここでエラー検出された場合には(2)のECCブロック内エラー訂正処理に戻る。
(6)各セクタ501(図9)毎に得られた情報記憶媒体10からの再生情報は、図54のデータI/Oインターフェイス222を介して、再生信号cとしてホストコンピュータ等へ転送される。
<<情報記憶媒体上に記録される情報の記録信号構造変換手順の概説>>
情報記憶媒体として記録再生可能なDVD−RAMディスク10を用いた場合には、16個のセクタ501毎にECCブロック502(図9)を構成しながら信号記録が行われる。
ECCブロック502を構成しながら記録するためには、所定の手順(図60)に従い、元の信号に対し「信号のスクランブル化(信号の分散/暗号化)」「ECCブロック内のパリティーコードの付加」「インターリーブ処理(配置の分散化)」「高記録密度化を目的とした情報記憶媒体特性に合わせた変調処理」などの記録信号の変換処理が行われる。
図60は、記録用の生信号が所定の信号処理(ECCインターリーブ/信号変調等)を受けて情報記憶媒体に記録されるまでの手順を説明するフローチャートである。
以下、DVD−RAMディスク10を例に取り、図60のフローチャートに従って、記録信号に対する構造変換手順の概略説明を行う。
まず、記録用の生信号が、たとえば図54のECCエンコーダ回路208に入力される(ステップST116)。
入力された記録用の信号は2048バイト毎に分割され、スクランブル前の記録信号(図57)が作成される(ステップST117)。
その後ECCブロック(図58)が作成され(ステップST118)、作成されたECCブロックに対してインターリーブ処理(図59)が施される(ステップST119)。
こうしてインターリブされたECCブロックは図54の変調回路207で変調(たとえば前述した8/16変調)され(ステップST120)、記録・再生・消去用制御波形発生回路206に送られる。
記録・再生・消去用制御波形発生回路206では、現在装填されているDVDーRAMディスク10の特性に合わせた記録波形を生成する(ステップST121)。そして、この記録波形とそのディスク10に最適のレーザ発光でもって、ステップST116の記録用生信号に対応した信号(ECCブロックを単位とする信号)が、ディスク10の所定箇所(指定されたAVアドレスに相当する論理セクタと1対1に対応する物理セクタ番号の位置)に、書き込まれる(ステップST122)。
図61は、図1の2層光ディスクにおけるROM層/RAM層の論理セクタの設定において、物理セクタ番号の大きなRAM層部分を論理セクタ番号の小さな位置へ論理的に配置替えする方法を説明する図である。図61は図16のROM層とRAM層を入れ替えた構成になっている。両者は似ているが、以下の点で違う。
すなわち、図16の構成では、ボリュームスペース前半のROM層の物理セクタ番号PSN+ボリュームスペース後半のRAM層の物理セクタ番号PSNがリードインからリードアウトに向かって連続的に増加する。
これに対し、物理セクタ番号PSNが大きな方のRAM層をボリュームスペース前半に配置した図61の構成では、RAM層の終わりとROM層の始まりとのつなぎ目において物理セクタ番号PSNが不連続になる。この物理的なセクタ番号の不連続性は、ボリュームスペース全体に渡り連続した統合論理セクタ番号LSNを予めROM層にエンボス記録しておき、このエンボス記録された統合論理セクタ番号LSNを用いることで解消できる。
すなわち、物理セクタ番号PSNでみれば不連続な「RAM層+ROM層」のボリュームスペースも、エンボス記録された統合論理セクタ番号LSNでみれば連続化される。
あるいは、図18(または図65)のアドレス変換テーブルACTを用いることで、物理セクタ番号PSNでみれば不連続な「RAM層+ROM層」のボリュームスペースを、論理的には連続化できる。すなわち、アドレス変換テーブルACTを用いたAVアドレス変換により、物理セクタ番号PSNでみれば不連続な「RAM層+ROM層」のボリュームスペースを論理セクタ番号LSN上で連続化できる。このアドレス変換テーブルACTを用いたAVアドレス変換による論理セクタ番号の統合化は、ディスク10が前記「エンボス記録された統合論理セクタ番号LSN」を持っていないときに利用できる。
図62は、図1の2層光ディスクにおけるROM層/RAM層の論理セクタの設定において、RAM層部分が論理的にROM層部分に割り込むように配置替えする方法を説明する図である。
ROM層とRAM層とでは両者の物理セクタ番号PSNが違う。そのため、ROM部分にRAM部分を割り込ませると、RAM層の先頭および末尾の2カ所で、物理セクタ番号PSNが不連続になる。
この物理的なセクタ番号の不連続も、前述した「エンボス記録された統合論理セクタ番号LSN」を用いるか、図18(または図65)のアドレス変換テーブルACTを用いることで、論理的には連続化できる。すなわち、ディスク10に予めエンボス記録された統合論理セクタ番号LSNをアドレス管理に利用することで、あるいはアドレス変換テーブルACTを用いたAVアドレス変換により、物理セクタ番号PSNでみれば不連続な「ROM層の一部+RAM層+ROM層の他部」からなるボリュームスペースを、論理セクタ番号LSN上で連続化できる。
図63は、図2の光ディスクに記録される情報(データファイル)のディレクトリ構造の他の例を説明する図である。
前述した図23の例では、ルートディレクトリの下にビデオタイトルセットVTSディレクトリ(DVDビデオファイル用)、オーディオタイトルセットATSディレクトリ(DVDビデオファイルまたはDVDオーディオファイル用)、オーディオ・ビデオ情報AVI(パーソナルコンピュータで扱われるビデオファイル用)およびビデオRAMディレクトリ(DVD−RAMディスクのAVデータファイル用)が例示されている。
これに対し、図63の例はDVDーRAMディスク10を純粋なコンピュータ用に利用する場合を想定しており、ルートディレクトリの下にアプリケーションディレクトリとアプリケーション関連ディレクトリが配置されている。
アプリケーションディレクトリ内には、図52のパーソナルコンピュータPCが起動(ブートまたはリブート)されると自動的に実行されるプログラム(アプリケーション実行ファイル)が格納されている。この自動実行プログラムとしては、ウインドウズ、ジャバ、マックOS等のパーソナルコンピュータ用システムソフトウエア(またはオペレーティングシステムOS)を、何種類か持つことができる(どのシステムソフトウエアでブートするかは、ユーザが選択できる)。
アプリケーションディレクトリ内のアプリケーションデータファイルには、アプリケーション実行ファイルのプログラムが作成したデータが格納される。また、アプリケーションディレクトリの下層ディレクトリであるアプリケーションテンプレートディレクトリには、アプリケーション実行ファイルのプログラムが所定の処理を実行する際に適宜利用されるテンプレートファイル#1、#2、…が含まれている。
たとえば、アプリケーション実行ファイルにシステムソフトウエアとしてウインドウズが格納されアプリケーションプログラムとしてスプレッドシートが格納されているとする。このウインドウズで図52のパーソナルコンピュータがブートすると、ウインドウズはスプレッドシートのフォルダ(アプリケーションデータファイル)を自動的に作成する。このウインドウズ上でスプレッドシートを立ち上げると、このスプレッドシートで作成したユーザファイルがアプリケーションデータファイルに格納され、このスプレッドシートの標準テンプレート(たとえば住宅ローン返済計画用シートなど)が、テンプレートファイル#1等に用意される。
また、アプリケーション関連ディレクトリには、ユーザが作成したアプリケーションデータファイルをオブジェクト化して利用できる他のアプリケーションソフトウエア(たとえばワードプロセサ)の実行ファイルを格納することができる。
図64は、図2の光ディスクに記録される情報(データファイル)のディレクトリ構造のさらに他の例を説明する図である。
図63の例はDVDーRAMディスク10を純粋なコンピュータ用に利用する場合を主に想定していたが、図64の例はVDーRAMディスク10をデジタルビデオ録画用に利用する場合を想定している。そこで、図64の例では、図23のビデオタイトルセットVTSディレクトリおよびオーディオタイトルセットATSディレクトリの他に、ビデオディレクトリとAV変換情報ディレクトリを含んでいる。
図64において、ビデオの録画・再生・編集等の処理を行なう映像情報処理プログラムは、ビデオディレクトリ内のビデオアプリケーション実行ファイルに入っている。このプログラムで処理された情報(録画または編集されたデジタルビデオデータ)は、AVファイルのデータとしてビデオディレクトリ内に保存される。
録画・編集された情報(AVデータ)は全て1個のAVファイル内に記録される。このAVデータは、図18に示すように、アンカーポインタAP、制御情報DA21、ビデオオブジェクトDA22、ピクチャオブジェクトDA23およびオーディオオブジェクトDA24を含むことができる。
また、ビデオ編集用の標準テンプレート(あるいはコマーシャルCM情報等)はAVテンプレート01、02、…、のデータとして、ビデオディレクトリ内に記録できるようになっている。
録画が行われ編集が終了した後のAVファイルデータは、ビデオアプリケーション実行ファイル内の変換プログラムに従ってDVDビデオ形式またはDVDオーディオ形式の情報に変換されて、ビデオタイトルセットVTSディレクトリ内またはオーディオタイトルセットATSディレクトリ内に保存される。
なお、現状ではDVDーRAMディスク10の記憶容量は1層(1レイヤ)あたり2.6Gバイトであり、長時間のビデオ録画には容量が充分とは言えない。そこで、この発明では、記録層を複数持つDVDーRAMディスク(両面2層RAMディスク等)の複数記録層の全体を1ボリュームスペースとして管理したり、複数のDVDーRAMディスクそれぞれの記録層全体をまとめて1ボリュームスペースとして管理し、見かけ上非常に大きな容量のボリュームスペースを用いて長時間のビデオ録画をすることが可能なようにしている(図16〜図17または図61〜図62において全ての記録層をRAM層で構成した場合等)。
このように複数の記録層(DVD−RAM層等)をまとめて1ボリュームスペースとして管理するには、各記録層毎に(あるいは各ディスク毎に)それらの論理ブロック番号のつなぎ合わせ管理をしなければならない。すなわち、各ディスクに設定された論理ブロック番号を統合したアドレス(統合論理セクタ番号)を設定し、この統合論理セクタ番号と個々の記録層(または個々のディスク)の論理ブロック番号との対応関係を記憶したアドレス変換テーブルが必要になる。このアドレス変換テーブルは、たとえば図18のアロケーションマップテーブルAMT内のアドレス変換テーブルACTに相当し、図64の例ではAV変換情報ディレクトリに格納される。
なお、上記アドレス変換テーブルACTは図16その他に例示するようにROM層およびRAM層が混在した統合論理セクタ番号の使用も可能にしている。
図64の構成を利用すれば、たとえばDVDビデオのROM層に記録された情報に上記統合アドレス(AVアドレス)を用いてアクセスし、そこから取り出したDVDビデオ情報の一部を、ビデオアプリケーション実行ファイル内の変換プログラムを利用してAVファイル内のデータ(ユーザが書替・編集・消去できるデータ)に取り込むこともできる。
図63のディレクトリ構造と図23および/または図64のディレクトリ構造を組み合わせれば、あるDVDビデオ(図23または図64のVTSディレクトリのファイル)中の特定シーン(ビデオデータ)を、ファイル変換して、パーソナルコンピュータ用のアプリケーションデータファイル(図63)に取り込むこともできる。そうなれば、パーソナルコンピュータの画像処理ソフトウエアで取り込んだDVDビデオデータを加工し、加工後のビデオ情報を図64のAVファイルに戻すことが可能になる。
図67および図68は、たとえば図61で説明したような配置替えが行われたROM/RAM2層ディスクにおいて、情報の記録場所とRAM層の初期化前後の状態を説明する図である。ここでは、図1のROM/RAM2層DVDディスク10を例にとって、説明する(始めは図67の最上段から)。
[01a]DVD−RAM層17Bのリードインエリア内書替可能データゾーン中のディスク識別子ゾーン(図6参照)では、
初期化前は、RAM層・ROM層の積層構造とトータルの記録容量および初期化前状態であることが明記され;
初期化後は、RAM層・ROM層の積層構造とトータルの記録容量および初期化の日時が明記される。
なお、RAM層リードインエリア内制御データゾーン中のブックタイプ&パートバージョンには、そのディスクがリライタブルディスク(DVD−RAMまたはDVDーRW)であることが記載される。
[02a]DVDーROM層17Aのリードインエリア内制御データ中の物理フォーマット情報の予約エリア(図22参照)では、初期化前後を通じて、初期化時にDVDーROM層17AからDVDーRAM層17Bにコピーされる範囲が、DVDーROM層17Aの物理セクタ番号PSNで表示されている。
なお、ROM層リードインエリア内制御データ中の物理フォーマット情報中のブックタイプ&パートバージョンには、そのディスクがリードオンリーディスク(DVD−ROMまたはDVDビデオ)であることが記載される。
[03a]UDFのボリューム認識シーケンス(図44の444)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており(この記録位置は実際に使用されるときのボリューム認識シーケンスの記録位置とは異なる);
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる(コピー先の論理セクタ番号は開始位置が“16”となる)。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「ボリューム認識シーケンス」が利用される。
[04a]第1アンカーポイント(図44の456)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており(その指定先はコピー後のRAM層17Bの論理セクタ番号LSNで指定する);
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる(コピー先の論理セクタ番号は開始位置が“256”となる)。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「第1アンカーポイント」が利用される。
[05a]UDFのメインボリューム記述子シーケンス(図44の449)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており(その指定先はコピー後のRAM層17Bの論理セクタ番号LSNで指定する);
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる(コピー先の論理セクタ番号LSNは実際に使用する論理セクタ番号LSNと一致する)。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「メインボリューム記述子シーケンス」が利用される。
[06a]UDFの論理ボリューム保全シーケンス(Logical Volume Integrity Sequence;図示せず)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「論理ボリューム保全シーケンス」が利用される。
[07a]UDFのスペースビットマップまたはスペーステーブル(図44〜図45参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「スペースビットマップまたはスペーステーブル」が利用される。なお、DVD−ROM層17Aに対応する論理ブロック番号LBNは全て「使用済み」に設定される。
ここで、参照図は図67に変わる。
[08a]UDFのファイルセット記述子(図44の472)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「ファイルセット記述子」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[09a]UDFのルートディレクトリのファイルエントリ(図45の475;図63参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「ルートディレクトリのファイルエントリ」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[10a]ルートディレクトリ内のロングアロケーション記述子LAD(図45の476、481等)は、
初期化前は、アプリケーションディレクトリ(図63)も含めて、DVD−ROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた情報を利用して、ユーザがこのロングアロケーション記述子LADを追加できる。なお、アプリケーションディレクトリも含め、LADのファイルエントリを指定する論理ブロック番号LBNは、コピー前から、RAM層17Bを指定している。
[11a]アプリケーション実行ファイルの情報(図63参照)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[12a]アプリケーションテンプレートディレクトリ(図63参照)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーションテンプレートディレクトリ」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーションテンプレートディレクトリ」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[13a]アプリケーションデータファイル(図63参照)は、ROM層17AにもRAM層17Bにも記録されていない。この「アプリケーションデータファイル」は、初期化後にRAM層17Bに作成されるもので、アプリケーションソフトウエア起動後に新規作成される。
[14a]アプリケーション関連ディレクトリ(図63参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「アプリケーション関連ディレクトリ」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[15a]第2アンカーポイント(図46の457)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「第2アンカーポイント」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーションテンプレートディレクトリ」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[16a]リザーブボリューム記述子シーケンス(図46の467)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「リザーブボリューム記述子シーケンス」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「リザーブボリューム記述子シーケンス」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
DVD−RAMのUDFに準拠したファイルシステムでは、
*図44のボリューム認識シーケンス444の開始位置の論理セクタ番号LSNを“16”に設定する;
*図44の第1アンカーポイント456および図46の第2アンカーポイント457は
・LSN=256
・LSN=最終LSN−256
・LSN=最終LSN
の内の2箇所に配置する;
と言う規約を設けている。
上記規約を満足しつつ図61等に例示した論理セクタ番号設定方法を満たす実施の形態が、図67および図68に示されている。
市販される未使用DVD−RAMディスク(ブランクディスク)10では、基本的に、図6に示すリードインエリア中の書替可能データゾーン内に記録されるディスク識別子ゾーンに、そのディスクが図1に示すようなROM/RAM2層構造をしたことが記述され、初期化前の状態であることが示されている以外は、全く未記録状態になっている。
ユーザがこのブランクディスク10のRAM層17Bを使用前に初期化すると、DVD−ROM層17A内の必要情報を情報記録再生装置(DVDビデオレコーダ)が自動コピーして使えるようになる。
このコピーされるDVD−ROM層17A内情報の指定アドレスは、全てコピー後のDVD−RAM層17B内のアドレス(論理セクタ番号LSNまたは論理ブロック番号LBN)で記述されている。
ブランクディスク10の初期化時には、図44〜図46に示す各種情報(ボリューム認識シーケンス444、第1アンカーポイント456、メインボリューム記述子シーケンス449、論理ボリューム保全シーケンス、スペースビットマップまたはスペーステーブル、ファイルセット記述子472、ルートディレクトリのファイルエントリ、ルートディレクトリ内のロングアロケーション記述子LADs476など)がDVD−RAM層17B内にコピーされて使用可能となる。
その際、第2アンカーポイント457とリザーブボリューム記述子シーケンス467については、DVD−ROM層17A上の最終の論理セクタ番号LSN側に配置されているため、DVD−RAM層17Bへのコピーは不要となる。
前述した統合アドレス(統合論理セクタ番号)の設定方法は、ROM層およびRAM層を含め複数の記録層を持つ情報記憶媒体(1枚以上のDVDーRAMディスクを内蔵した多連ディスクパック)にも適用できる。
一般ユーザが購入した直後のDVDーRAMディスク10には、何も記録されていない。このようなブランクディスク10をユーザが購入後、ユーザの記録再生装置(図52あるいは後述する図84)に装填すると、この装置のディスクドライブ(図52ではDVDーROM/RAMドライブ140;図84ではディスクチェンジャ100+ディスクドライブ32)は、ドライブ内(またはディスクチェンジャ内)にあるデスク枚数および各ディスクの種類(DVDーROMかDVDーRAMか等)を自動的に判別する。
そして、そのブランクディスク10の初期化時に、そのディスク10のリードインエリアの書き替え可能データゾーンに含まれるディスク識別子ゾーン(ディスクIDゾーン)に、
*多連ディスクパック(またはディスクチェンジャ)の場合はパック独自のID;
*ディスク全体の記録容量(ROM/RAM混成の多層ディスクの場合はROM層の容量も含む);
*多連ディスクパック内のRAM層の総数;
*多連ディスクパック内の各RAM層毎の記録層番号;
等の情報を書き込む。
複数のROM層/RAM層を1ボリュームとしてまとめて管理できる統合アドレス(統合論理セクタ番号LSN)の設定方法として、この多連ディスクパック内の各RAM層毎の上記記録層番号を利用する。
すなわち、ディスクの初期化時に、ディスクパック内の1枚目のディスク10の記録層(RAM層)に、ボリューム認識シーケンス、第1アンカーポイント、メインボリューム記述子シーケンス(図44〜図46参照)、論理ボリューム保全シーケンス等を記録し、最後の(n枚目の)ディスクの記録層(RAM層)に、第2アンカーポイントおよびリザーブボリューム記述子シーケンスを自動的に記録(コピー)して、そのディスクパックの各ディスク(n枚)を使用可能状態にする。
この発明の他の実施の形態として、図16(または図17)で示したように前半の論理セクタ番号LSNにDVD−ROM層を配置し、後半の論理セクタ番号LSNにDVD−RAM層を配置することも可能である。この場合の初期化方法は図69および図70に示すようになる。ここでも、図1のROM/RAM2層DVDディスク10を例にとって、説明する(始めは図69の最上段から)。
[01b]DVD−RAM層17Bのリードインエリア内書替可能データゾーン中のディスク識別子ゾーン(図6参照)では、
初期化前は、RAM層・ROM層の積層構造とトータルの記録容量および初期化前状態であることが明記され;
初期化後は、RAM層・ROM層の積層構造とトータルの記録容量および初期化の日時が明記される。
なお、RAM層リードインエリア内制御データゾーン中のブックタイプ&パートバージョンには、そのディスクがリライタブルディスク(DVD−RAMまたはDVDーRW)であることが記載される。
[02b]DVDーROM層17Aのリードインエリア内制御データ中の物理フォーマット情報の予約エリア(図22参照)では、初期化前後を通じて、初期化時にDVDーROM層17AからDVDーRAM層17Bにコピーされる範囲が、DVDーROM層17Aの物理セクタ番号PSNで表示されている。
なお、ROM層リードインエリア内制御データ中の物理フォーマット情報中のブックタイプ&パートバージョンには、そのディスクがリードオンリーディスク(DVD−ROMまたはDVDビデオ)であることが記載される。
[03b]UDFのボリューム認識シーケンス(図44の444)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[04b]第1アンカーポイント(図44の456)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[05b]UDFのメインボリューム記述子シーケンス(図44の449)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[06b]UDFの論理ボリューム保全シーケンス(Logical Volume Integrity Sequence;図示せず)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[07b]UDFのスペースビットマップまたはスペーステーブル(図44〜図45参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「スペースビットマップまたはスペーステーブル」が利用される。なお、DVD−ROM層17Aに対応する論理ブロック番号LBNは全て「使用済み」に設定される。
ここで、参照図は図67に変わる。
[08b]UDFのファイルセット記述子(図44の472)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「ファイルセット記述子」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[09b]UDFのルートディレクトリのファイルエントリ(図45の475;図63参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「ルートディレクトリのファイルエントリ」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[10b]ルートディレクトリ内のロングアロケーション記述子LAD(図45の476、481等)は、
初期化前は、アプリケーションディレクトリ(図63)も含めて、DVD−ROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた情報を利用して、ユーザがこのロングアロケーション記述子LADを追加できる。なお、アプリケーションディレクトリも含め、LADのファイルエントリを指定する論理ブロック番号LBNは、コピー前から、RAM層17Bを指定している。
[11b]アプリケーション実行ファイルの情報(図63参照)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーション実行ファイル」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーション実行ファイル」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[12b]アプリケーションテンプレートディレクトリ(図63参照)は、初めからDVDーROM層17Aにエンボス記録されている。初期化後にこの「アプリケーションテンプレートディレクトリ」の情報をRAM層17Bにコピーすることはしない。この「アプリケーションテンプレートディレクトリ」の記録位置指定論理ブロック番号LBNは、ROM層17Aを指定している。
[13b]アプリケーションデータファイル(図63参照)は、ROM層17AにもRAM層17Bにも記録されていない。この「アプリケーションデータファイル」は、初期化後にRAM層17Bに作成されるもので、アプリケーションソフトウエア起動後に新規作成される。
[14b]アプリケーション関連ディレクトリ(図63参照)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており;
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「アプリケーション関連ディレクトリ」が利用される。なお、ここでの指定論理ブロック番号LBNは、RAM層17Bを指定している。
[15b]第2アンカーポイント(図46の457)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており(その指定先はコピー後のRAM層17Bの論理セクタ番号LSNで指定する);
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる(コピー先の論理セクタ番号LSNは“最終のLSN−256”となる)。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「第2アンカーポイント」が利用される。
[16b]リザーブボリューム記述子シーケンス(図46の467)は、
初期化前は、DVDーROM層17Aに事前に記録されており(その指定先はコピー後のRAM層17Bの論理セクタ番号LSNで指定する);
初期化後は、DVDーRAM層17Bにコピーされる(コピー先の論理セクタ番号LSNは実際に使用する論理セクタ番号LSNと一致する)。
初期化後は、RAM層17Bにコピーされた「リザーブボリューム記述子シーケンス」が利用される。
図67〜図70の説明ではアンカーポイントやボリューム記述子シーケンスをROM層からRAM層へコピーしているが、この発明はこれに限られない。たとえば、アンカーポイントやボリューム記述子シーケンス等をROM層に予め持たず、情報記録再生装置がRAM層を初期化するときに初めて、情報記録再生装置がアンカーポイントやボリューム記述子シーケンス等をRAM層に記録するように構成することは可能である。
また、別の統合アドレス設定方法として、図62に示すようにROM層の論理セクタ番号LSNのレンジ内にRAM層の論理セクタ番号LSNを挿入したり、逆にRAM層の論理セクタ番号LSNのレンジ内にROM層の論理セクタ番号LSNを挿入すること(図示せず)も可能である。
この発明の統合アドレス設定方法は、RAM層のみならずROM層も含めた複数情報記録層を持った種々な情報記憶媒体に利用できる。
この発明を適用可能な情報記憶媒体としては、相変化記録方式を利用したDVDーRAMディスクのみならず、従来の相変化(PD)記録ディスク、光磁気(MO)ディスク、ハードディスク(リムーバブルタイプも含む)あるいは高密度フロッピーディスクが考えられ、さらにはこれら異種タイプの媒体を混合して使用することも考えられる。
たとえば、DVDーROM/RAMドライブおよびハードディスクHDDを備えたパーソナルコンピュータにおいて、HDDとDVDーRAMディスクに前述した統合論理セクタ番号LSNを割り振る(たとえばLSNの小さなアドレスレンジにHDDを割り当て、LSNの大きなアドレスレンジにDVD−RAMを割り当てるなど)。そして、このLSNを用いてHDDとRAMディスクの双方にアクセスできるようにする。このようにすると、たとえばビデオ編集中に適宜作成される中間的なデータをHDDへ一時的に記録し、編集後のビデオデータをDVDーRAMディスクに保管する、といったことが1つのシステムソフトウエアの管理下で実行できる。
以上のようにこの発明は種々なタイプの情報記憶媒体に適用可能ではあるが、マルチメディア時代のマーケットデマンドを考えると、大容量でポータビリティに優れたDVDーRAMディスクが有望なので、この発明の実施形態の説明ではDVD−RAMディスク(あるいはDVDーROM/RAM多層ディスク)を取り上げている。
DVDーRAMディスクのRAM層は、GeSbTeやGeAnTe等の相変化形記録材料で構成される(図3参照)。この材料は5万〜10万回までの繰り返し記録が保証されているが、それ以上繰り返し記録を行うと物質移動や金属疲労などの原因により記録後の再生信号のジッタ量が増大し、エラーが増える。
1個のAVファイルに相当するAVデータエリアDA2内の各オブジェクト情報(図18のDA22〜DA24)の新規記録・変更(オーバーライト)・消去が行なわれる毎に、管理領域(制御情報DA21)の書き替えが行なわれる。この書き替え回数が5万〜10万回を超えると相変化記録のRAM層のエラーが増え信頼性に乏しくなる。
そこで、この発明の実施形態では、管理領域(制御情報DA21)の書き替え回数が5万〜10万回を越えても管理情報が失わないよう工夫されている。
すなわち、図18に示したように、制御情報DA21の最初の位置にこの制御情報DA21の書き替え回数を記録する制御情報書替回数CIRWNs記録部が配置されている。この制御情報書替回数CIRWNsが所定回数(たとえば安全を見て1万回)を越えると、AVデータエリアDA2内の制御情報DA21の記録位置が自動的に変更される。
AVデータエリアDA2内の制御情報DA21の記録位置は図18に示すようにアンカーポインタAPに記録されている。制御情報DA21の記録位置変更にともなってアンカーポインタAPの情報も自動的に変更される。
図71は、映像情報とその管理領域の書き替え方法を説明するフローチャートである。このフローチャートは、上述した「制御情報書替回数CIRWNsが所定回数を越えた場合の、制御情報DA21の記録位置自動変更」の処理も含んでいる。このフローチャートの処理は、図52の例ではメインCPU111により実行でき、後述する図84の例ではメインMPU部30により実行できる。以下ではハードウエアとして図52の構成が用いられる場合を想定して説明を行なう。
始めに、たとえばユーザが編集/新規記録を行うAVファイルを指定する(ステップST161)。すると、図18に示すようにAVデータエリアDA2の最初に記録してあるアンカーポインタAPが読み取られる(ステップST162)。このアンカーポインタAPから、制御情報DA21が記録してあるアドレス(AVアドレス)が判る。
こうして判明したアドレスを基に制御情報DA21の記録位置へのアクセスが行われ(ステップST163)、そこから制御情報書替回数CIRWNsが読み取られる(ステップST164)。読み取られたCIRWNsは、アクセスされた記録位置の制御情報DA21とともに、図52のメインメモリ112に取り込まれる(ステップST165)。
新たな映像情報の記録または編集作業後の映像情報の重ね書き(オーバーライト)を行う前に、AVデータエリアDA2内の新規情報の記録場所を決定する必要がある。
まず、新たに記録する(または重ね書きを行なう)新規情報のサイズを調べるとともに、その新規情報の既記録情報との再生時のつながりをPGC情報(図32)から調べる(連続再生を保証するため)。この調査の結果得られた情報を基に、図18のアロケーションマップテーブルAMTから、AVデータエリアDA2内の未記録領域を探す(ステップST166)。
未記録領域が見つかれば、その領域内で新規記録情報の記録場所を決定し、決定された場所に、新規映像情報または編集後の映像情報をビデオオブジェクトDA22として記録する(ステップST167)。
次にその映像情報に関するセル時間制御情報CTCIとPGC制御情報PGCCIを作成し、メインメモリ112内の制御情報DA21を変更する(ステップST168)。
ここで、ステップST164で読み取り済みの制御情報書替回数CIRWNsの値を調べ、制御情報DA21領域のそれまでの書き替え回数を検査する(ステップST169)。
制御情報DA21領域の書き替え回数値が所定の値(たとえば1万回)以下の場合には(ステップST169ノー)、図52のメインメモリ112内の制御情報DA21を情報記憶媒体(DVDーRAMディスク10)上の以前の記録位置に重ね書きする(ステップST170)。その際、図18の制御情報書替回数CIRWNsを1つインクリメントする。
この制御情報DA21はECCブロック単位(AVアドレス単位)で記録されている。上記の処理により情報記憶媒体上に重ね書きすべき制御情報DA21の量が既存の値より若干増加した場合には、重ね書きする制御情報DA21をECCブロック単位(32kバイトの整数倍)で変更(増加)する。こうして変更された制御情報DA21が32kバイトの整数倍に対して不足分する場合は、適量のパディングデータを持つダミーパック(図25参照)を付加して情報記憶媒体上に記録する。
たとえば変更前の制御情報DA21が32kバイトであり、処理後の制御情報DA21が50kバイトであれば、14kバイトのパディングデータを付加して64kバイトの制御情報DA21として、情報記憶媒体上に記録する。
制御情報DA21領域のそれまでの書き替え回数が所定の値(1万回)を越えていた場合には(ステップST169イエス)、既存の場所(今後エラーが起き易いと推定される場所)とは異なる位置に制御情報DA21を記録する。すなわち、図18のアロケーションマップテーブルAMTからAVデータエリアDA2内の未記録領域を探し(ステップST171)、新しく制御情報DA21を記録する場所を情報記憶媒体(DVDーRAM光ディスク10)上に設定する(ステップST172)。
そして、新しく設定した位置にメインメモリ112内の制御情報DA21を記録するとともに、図18の制御情報書替回数CIRWNsの値を“1”にリセットする(ステップST173)。その後、アンカーポインタAPを書き換えて、新たな制御情報DA21の記録場所(AVアドレス)をアンカーポインタAPに記憶する。
以上のように構成すれば、所定回数(たとえば1万回)以上管理領域が書き替えられると、情報記憶媒体上の管理領域記録場所が、反復書替していない場所へ自動的に変更される。このため、たとえば相変化記録膜が持つ「オーバーライトの繰り返しによる信頼性低下」の問題を克服できる。
<連続再生条件の確保方法>
映像情報は、従来のコンピュータ情報と異なり、再生時の連続性の保証が必須条件となる。この連続再生を保証する情報としては、特別なフラグや記述文が存在する必要はない。この再生時の連続性を保証する情報は、図18に示したPGC制御情報PGCCI内に記録することができる。具体的には、各セルを連結するPGCの連結方法に所定条件を付加する形で、「再生時の連続性を保証する情報」を組み込むことができる。以下、この所定条件の組み込みについて説明する。
再生時の連続性を説明するための再生系システム概念図を図72に示す。情報記憶媒体10に記録されている映像情報は光ヘッド202で読み取られ、バッファメモリ(半導体メモリ)219に一時保管される。外部にはこのバッファメモリ219から読み取られた映像情報が送られる。光ヘッド202からバッファメモリ219へ送られる映像情報の転送レートをここでは物理転送レート(PTR:Physical Transmission Rate)と呼ぶ。またバッファメモリ219から外部に転送される映像情報の転送レートの平均値をシステム転送レート(STR:System Transmission Rate)と名付ける。一般には、物理転送レートPTRとシステム転送レートSTRは異なる値になる。
情報記憶媒体10上の異なる場所に記録してある情報を順に再生するには、光ヘッド202の集光スポット位置を移動させるアクセス操作が必要となる。大きな移動に対しては光ヘッド202全体を動かす粗アクセスが行なわれ、微少距離の移動にはレーザ集光用の対物レンズ(図示せず)のみを動かす密アクセスが行なわれる。
アクセス制御を行いながら映像情報を外部に転送する際にバッファメモリ219内に一時的に保存される映像情報量の時間的推移を、図73に示す。
一般に、システム転送レートSTRより物理転送レートPTRの方が速いので、映像情報再生時間の期間ではバッファメモリ219内に一時的に保存される映像情報量は増加し続ける。一時保管される映像情報量がバッファメモリ219容量に達すると光ヘッド202による再生処理が間欠的に行われ、バッファメモリ219内に一時的に保存される映像情報量はバッファメモリ容量一杯状態(図73の映像情報再生時間内においてグラフの山頂が水平になった部分)のまま推移する。
続けて情報記憶媒体10上の別位置に記録された映像情報を再生する場合には、光ヘッド202のアクセス処理が実行される。
光ヘッド202のアクセス期間としては、図73に示すように、粗アクセス時間、密アクセス時間および情報記憶媒体10回転待ち時間の3種類が必要となる。これらの期間では情報記憶媒体10からの再生が行われないので、その期間の物理転送レートPTRは実質的に“0”の状態になっている。これに対して、外部へ送られる映像情報の平均システム転送レートSTRは不変に保たれるため、バッファメモリ219内の映像情報一時保存量は減少の一途をたどる(図73において、粗アクセス時間、密アクセス時間あるいは回転待ち時間中の右下がりのグラフ)。
光ヘッド202のアクセスが完了し、情報記憶媒体10からの再生が再開されると(図73において「点」で塗りつぶされた映像情報再生時間のうち面積の小さい方)、バッファメモリ219内の映像情報一時保存量は再び増加する。
この増加勾配は物理転送レートと平均システム転送レートとの差分すなわち(物理転送レートPTR)−(平均システム転送レートSTR)で決まる。
その後、情報記憶媒体10上の再生位置近傍に再度アクセスする場合には、密アクセスのみでアクセス可能なので、密アクセス時間と回転待ち時間のみが必要となる(図73の右端の右下がりグラフ)。
図73のような再生動作において連続再生を可能にする条件は、「特定期間内のアクセス回数の上限値」で規定することができる。すなわち、アクセス回数が「特定期間内のアクセス回数上限値」以下の値になるように、図18のPGC制御情報PGCCIの情報内容、たとえば図51に示すのセル組み合わせが設定される。
ここで、連続再生を絶対的に不可能にするアクセス回数条件について、図74を用いて説明する。
最もアクセス頻度の高い場合は、図74のグラフ中央から右よりに示すように映像情報再生時間が非常に短く、密アクセス時間と回転待ち時間だけが連続して続く場合になる。この場合には物理転送レートPTRがどんなに早くても再生連続性の確保が不可能になる。
いま、バッファメモリ219の容量をBMで表すと
BM/STR(=BM÷STRのこと) …(3)
の期間でバッファメモリ219内の一時保管映像情報が枯渇し、連続再生が不可能になる。
図74の各密アクセス時間をJATi(対物レンズのJump Access Time)、各回転待ち時間をMWTi(Spindle Motor Wait Time)とすると、図74の例では
BM/STR=Σ(JATi+MWTi) …(4)
の関係が成り立つ。
式(4)に対して近似を用い、平均密アクセス時間をJATa、平均回転待ち時間をMWTaとし、バッファメモリ219内の一時保管映像情報が枯渇するまでの期間内のアクセス回数をnで表すと、式(4)は
BM/STR=n・(JATa+MWTa) …(5)
のように書き直すことができる。
この場合、連続再生を確保するための絶対条件となる「バッファメモリ219内の一時保管映像情報が枯渇するまでのアクセス回数n」として
n<BM/(STR・(JATa+MWTa)) …(6)
が必須条件となる。
式(6)の値を1秒当たりのアクセス回数Nに書き換えると
N=n/(BM/STR)<1/(JATa+MWTa)…(7)
となる。
MPEG2を用いた場合の平均システム転送レートSTRは4Mbps(ビット・パー・セコンド)前後であり、容量2.6GバイトのDVD−RAM片面1層ディスクの平均回転周期はおよそ35ms(ミリセコンド)なので、平均回転待ち時間MWTaは、MWTa≒18msとなる。また一般的な情報記録再生装置ではJATa≒5msになっている。
バファーメモリ219容量BMの実際例として、大きいものでは2Mバイト=16Mビットを搭載しているドライブもあるが、多くのドライブ(情報記録再生装置)のバッファメモリ容量は、現状では(製品コストの兼ね合いから)512kバイト=4Mビット程度となっている。
バファーメモリ容量BM=4Mビットとして計算すると、バッファメモリ219内の一時保管映像情報が枯渇するまでの最短所要時間は4Mビット/4Mbps≒1秒となる。これを式(6)に当てはめると、
n<BM/(STR・(JATa+MWTa))=1秒/(18ms+5ms)≒43回になる。
条件を特定した計算例は上記のような結果(アクセス回数上限n≒43回)になるが、装置のバッファメモリ容量や平均システム転送レートにより計算結果は変化するので、式(5)が連続再生を確保するための必要条件式になる。
式(5)で求められたアクセス頻度より若干低いアクセス頻度でアクセスした場合、平均システム転送レートSTRに比べて大幅に物理転送レートPTRが大きい場合には、連続再生が可能となる。
しかし式(5)の条件を満足するだけで連続再生が可能になるためには
1)物理転送レートPTRが極端に速い;
2)全てのアクセス対象映像情報が互いに近傍位置に配置され、粗アクセスを行わず密アクセスのみでアクセスが可能;
という前提条件が必要となる。
そこで、物理転送レートPTRが比較的遅くても連続再生を保証できる条件を以下に検討する。
図75に示すように映像情報再生時間とアクセス時間のバランスが取れ、グローバルに見てバッファメモリ219内の一時保管映像情報がほぼ一定に保たれている場合には、バッファメモリ219内の一時保管映像情報が枯渇することなく外部システムから見た映像情報再生の連続性が確保される。
いま、各粗アクセス時間をSATi(対物レンズのSeek Access Time)、n回アクセス後の平均粗アクセス時間をSATaとし、各アクセス毎の再生情報読みとり時間をDRTi(Data Read Time)、n回アクセス後の平均再生情報読みとり時間をDRTa とする。
すると、n回アクセスした場合の全アクセス期間でのバッファメモリ219から外部へ転送されるデータ量は
STR×(Σ(SATi+JATi+MWTi))
≒STR×n×(SATa+JATa+MWTa) …(8)
となる。
この式(8)の値とn回アクセスして映像情報再生した時にバッファメモリ219内に蓄えられる映像情報量
(PTR−STR)×ΣDRTi
≒(PTR−STR)×n・DRTa …(9)
との間で、(PTR−STR)×n・DRTa≧STR×n×(SATa+JATa+MWTa)、すなわち
(PTR−STR)・DRTa
≧STR・(SATa+JATa+MWTa) …(10)
の関係がある時に、外部システム側から見た再生映像の連続性が確保される。
ここで1秒間の平均アクセス回数をNとすると
1≒N・(DRTa+SATa+JATa+MWTa)…(11)
の関係が成立する。
式(10)と式(11)から
1/{N・(SATa+JATa+MWTa)}
≧1+STR/(PTR−STR)
が成り立つので、Nに対して解くと
N≦1/{[1+STR/(PTR−STR)]
・(SATa+JATa+MWTa)} …(12)
が得られる。
この式(12)のNが、再生映像の連続性を確保する1秒当たりのアクセス回数上限値になる。
次に、粗アクセス距離とそれに必要な粗アクセス時間の関係を検討する。
図76は、光ヘッドのシーク距離とシーク時間との関係を説明する図である。
等加速度αで加減速して目標位置に到達した場合、光ヘッド202の移動速度が最大になるまでの時間tmaxまでに移動した距離は、図76から、α・tmax・tmax/2となる。そこで、粗アクセスにより移動した全距離ρは
ρ=α・tmax・tmax …(13)
で与えられる。
式(13)から、粗アクセスに必要な時間は移動距離の1/2剰(つまり平方根)に比例することがわかる。
図77は、光ヘッドの平均シーク距離を求める方法を説明する図である。
半径幅Lの領域に映像情報を記録した場合の平均シーク距離(平均粗アクセス距離)を検討する。図77のように(シークエリアの)端からXoの距離から全記録領域までの平均シーク距離は
XoXo/2L+(L−Xo)・(L−Xo)/2L…(14)
となる。
この式(14)に対してXoが0からLまで移動させた時の平均値を取ると、規格化条件下でXoに対して積分した結果平均シーク距離は
L/3 …(15)
となる。
いま、図18に示すデータエリアDAに対応する光ディスク10上の半径幅のうち、例えば半分の半径幅をAVデータエリアDA2の記録に利用した場合を考える。
この場合には、式(15)から、平均シーク距離(平均粗アクセス距離)はデータエリアDAに対応する光ディスク10上の半径幅の1/6になる。
たとえば、光ヘッド202が記録領域(図18のデータエリアDA)の最内周から最外周まで移動(シーク)するのに0.5秒かかった場合には、式(13)から、AVデータエリアDA2内での平均シーク時間(平均粗アクセス時間)は0.5秒の1/6の1/2剰に比例した値である
SATa≒200ms …(16)
となる。
ここで、たとえば前述したようにMWTa≒18ms、JATa≒5msを計算に使ってみる。すると、容量2.6GバイトのDVD−RAMディスクでは、PTR=11.08Mbpsである。MPEG2の平均転送レートがSTR≒4Mbpsの場合には上記の数値を式(12)に代入するとN≦2.9を得る。
図78は、記録信号の連続性を説明するための記録系システム概念図である。
記録情報は、外部から平均システム転送レートSTR(MPEG2ビデオでは4Mbps程度)でバッファメモリ219に送られてくる。バッファメモリ219はレートSTRで送られてきた情報(MPEGビデオデータ等)を一旦保持し、記憶媒体およびそのドライブの種類にあった物理転送レートPRTでもって、保持した情報を光ヘッド202に転送する。
情報記憶媒体10上の異なる場所に上記情報を順に記録するには、光ヘッド202の集光スポット位置を移動させるアクセス操作が必要となる。大きな移動に対しては光ヘッド202全体を動かす粗アクセスが行なわれ、微少距離の移動にはレーザ集光用の対物レンズ(図示せず)のみを動かす密アクセスが行なわれる。
<連続記録条件の確保方法>
図82は、映像信号の連続記録時におけるアクセス動作等とバッファメモリ内の一時保存量との関係の一例(最もアクセス頻度が高い場合)を説明する図である。
また、図83は、映像信号の連続記録時におけるアクセス動作等とバッファメモリ内の一時保存量との関係の他例(記録時間とアクセス時間のバランスが取れている場合)を説明する図である。
図74を参照して説明した「バッファメモリ219上の一時保管映像情報量の枯渇時に連続再生が不可能になる場合」と異なり、連続記録時には、図82に示すようにバッファメモリ219上の一時保管映像情報量が飽和する。すなわち、図82と図74とを比較すれば分かるように、連続記録条件を満足するアクセス頻度には式(5)を適用することができる。
また同様に、図83と図75とを比較すれば分かるように、連続記録条件を満足するアクセス頻度については式(10)が適用できる。
図73〜図77および図82〜図83を参照して説明した「連続性確保の条件式」に従うことにより、使用する情報記録再生装置(ドライブ)の特性に関わらず、シームレスな(再生中あるいは記録中に途切れが生じない)連続再生あるいは連続記録を保証できるようになる。
<アクセス頻度低減方法;編集によるセルの並べ替え>
図79は、記録されたAVデータ(映像信号情報)の一部を構成するセルおよび各セルのビデオオブジェクトユニットVOBU配列を例示する図である。
また、図80は、図79の配列において、セル#2が編集され、セル#2の途中(VOBU108eの所)でデータが切れた場合を説明する図(VOBU108eは再エンコードされる)である。
さらに、図81は、図80の編集が終わった後に、図79に例示したセル構成、VOBU配列および空き領域の位置がどのように変化しているかを説明する図である。
前記シームレスな連続再生あるいは連続記録を保証するためには、図18のPGC制御情報PGCCI内のPGC情報(図32、図51)での各セル配置は、式(5)または式(10)の条件を満たすように設定される。しかし、たとえば編集作業時のユーザ要求によりアクセス頻度がシームレス保証値よりも多くなる場合には、式(5)または式(10)の条件が満たされるように、再度アクセス頻度低減処理が実行される。以下、この再処理について説明する。
図79に示すように、最初は
セル#1→セル#2→セル#3
の順に再生するように設定されていたと仮定する(この場合には再生途中でのアクセスは生じない)。
次に、ユーザが編集作業でセル#2内をセル#2Aとセル#2Bに2分割し(図80)、
セル#2A→セル#1→セル#2B→セル#3
の順に再生するよう設定したとする。この場合、
セル#2A後端からセル#1先端へのアクセス;および
セル#1後端からセル#2B先端へのアクセス
の2回分、アクセス回数が増加する。
このように当該PGC内でアクセス回数が増加した結果、式(5)または式(10)が満足できなくなると、図81のようにセル#2Aを空き領域107へ移動させる。その結果、「セル#2A→セル#1→セル#2B→セル#3」という再生順序を規定した当該PGC内でのアクセス回数は、
セル#1後端からセル#2B先端へのアクセス
の一回に減少する。
上記の例のように、式(5)または式(10)が満足できなくなると一部のセルを移動させ(つまり情報記憶媒体10上の記録位置を変更し)、アクセス頻度を低下させる。これにより式(5)または式(10)が満足されるようにして、そのPGCでのシームレスな連続再生あるいは連続記録を保証できる。
編集によるアクセス回数の増加を上記方法で減らしてもなお式(5)または式(10)が満足されないときは、ユーザは当該PGCのセル構成自体を見直して再構成し、式(5)または式(10)が満足されるようにPGCのセル数および配列(配置)を再構成する。
図84は、ビデオオブジェクト内で映像情報の並べ替え(編集等)を行った場合の映像〜音声間の同期外れにも対応できるDVDビデオレコーダの構成を説明するブロック図である。
図84に示すDVDビデオレコーダの装置本体は、大まかにいって、DVDーRAM(DVD−RW)ディスク10またはDVDーRディスク10を回転駆動し、このディスク10に対して情報の読み書きを実行するディスクドライブ32と、ディスクドライブ32に所定のディスク10を自動供給するもので複数のディスク10を内装できるディスクチェンジャ(またはディスクパック)100と、録画側を構成するエンコーダ部50と、再生側を構成するデコーダ部60と、装置本体の動作を制御するメインMPU部30とで構成されている。
データプロセサ36は、メインMPU部30の制御に従って、エンコーダ部50からのDVD記録データをディスクドライブ32に供給したり、ディスク10から再生されたDVD再生信号をドライブ32から取り出したり、ディスク10に記録された管理情報を書き換えたり、ディスク10に記録されたデータの削除をしたりする機能を持つことができる。
データプロセサ36はまた、フォーマッタ56から送られてきたパックを16パック毎にまとめてECCグループとし、そのECCグループにエラー訂正情報をつけてディスクドライブ32へ送る。ただし、ディスクドライブ32がディスク10に対して記録準備ができていない場合には、エラー訂正情報が付加されたECCグループのデータは一時記憶部34へ転送され、データ記録の準備ができるまで一時的に格納される。ディスクドライブ32の記録準備ができた段階で、一時記憶部34に格納されたデータのディスク10への記録が開始される。
メインMPU部30は、制御プログラム等が書き込まれたROM、およびプログラム実行に必要なワークエリアを提供するRAM、オーディオ情報同期処理部、電話I/FまたはインターネットI/F等を含んでいる。
このMPU30は、そのROMに格納された制御プログラムに従い、そのRAMをワークエリアとして用いて、後述するオーディオ情報同期処理(図86)その他の処理(図55、図56または図71等)を、実行する。
メインMPU部30の実行結果のうち、DVDビデオレコーダのユーザに通知すべき内容は、DVDビデオレコーダの表示部(図示せず)に表示され、またはモニタディスプレイ(図52では116)にオンスクリーンディスプレイ(OSD)で表示される。
DVDディスク10に対して情報の読み書き(録画および/または再生)を実行する情報記録再生装置部分は、ディスクチェンジャ(ディスクパック)100と、ディスクドライブ32と、一時記憶部34と、データプロセサ36と、システムタイムカウンタ(またはシステムタイムクロック;STC)38とを備えている。
一時記憶部34は、ディスクドライブ32を介してディスク10に書き込まれるデータ(エンコーダ部50から出力されるデータ)のうちの一定量分をバッファイリングしたり、ディスクドライブ32を介してディスク10から再生されたデータ(デコーダ部60に入力されるデータ)のうちの一定量分をバッファイリングするのに利用される。その意味で、図84の一時記憶部34は図54のメモリ219あるいは図72、図78のバッファメモリ219に相当する機能を持つ。
たとえば一時記憶部34が4M〜8Mバイトの半導体メモリ(DRAM)で構成されるときは、平均4Mbpsの記録レートでおよそ8〜16秒分の記録または再生データのバッファリングが可能である。また、一時記憶部34が16MバイトのEEPROM(フラッシュメモリ)で構成されるときは、平均4Mbpsの記録レートでおよそ32秒の記録または再生データのバッファリングが可能である。さらに、一時記憶部34が100Mバイトの超小型HDD(ハードディスク)で構成されるときは、平均4Mbpsの記録レートで3分以上の記録または再生データのバッファリングが可能となる。
なお、図84(あるいは図52)では図示しないが、DVDビデオレコーダ(パーソナルコンピュータPC)に外部カードスロットを設けておけば、上記EEPROMはオプションのICカードとして別売できる。また、DVDビデオレコーダに外部ドライブスロットあるいはSCSIインターフェイスを設けておけば、上記HDDもオプションの拡張ドライブとして別売できる。
ついでながら、図54の実施形態(パーソナルコンピュータPCをソフトウエアでDVDビデオレコーダ化するもの)では、PC自身のハードディスクドライブの空き領域の一部またはメインメモリの一部を、図84の一時記憶部34として利用できる。
一時記憶部34は、前述した「シームレスな連続再生あるいはシームレスな連続記録」を保証する目的の他に、録画途中でディスク10を使い切ってしまった場合において、ディスク10が新しいディスクに交換されるまでの録画情報を一時記憶しておくことにも利用できる。
また、一時記憶部34は、ディスクドライブ32として高速ドライブ(2倍速以上)を採用した場合において、一定時間内に通常ドライブより余分に読み出されたデータを一時記憶しておくことにも利用できる。再生時の読み取りデータを一時記憶部34にバッファリングしておけば、振動ショック等で図示しない光ピックアップが読み取りエラーを起こしたときでも、一時記憶部34にバッファリングされた再生データを切り替え使用することによって、再生映像が途切れないようにできる。
ディスク10に記録される生信号のアナログ信号源としては、VHSビデオやレーザディスクLD等のビデオ再生信号があり、このアナログビデオ信号は図84のAV入力を介してエンコーダ部50に入力される。
別のアナログ信号源としては通常のアナログTV放送(地上放送あるいは衛星放送)があり、このアナログTV信号は図84のTVチューナからエンコーダ部50に入力される(TVの場合クローズドキャプション等の文字情報がビデオ情報と同時に放送されることがあり、そのような文字情報もエンコーダ部50に入力されるようになっている)。
また、ディスク10に記録される生信号のデジタル信号源としては、デジタル放送チューナのデジタル出力等があり、このデジタルビデオ信号はエンコーダ部50へダイレクトに入力される。
このデジタルチューナがIEEE1394インターフェイスまたはSCSIインターフェイスを持っているときは、その信号ラインはメインMPU部30に接続される。
また、DVDビデオのビットストリーム(MPEGエンコードされたビデオを含む)がそのままデジタル放送され、デジタルチューナがそのデジタル出力を持っているときは、このビットストリーム出力はエンコード済みなので、そのままデータプロセサ36に転送される。
なお、デジタルビデオ出力は持たないがデジタルオーディオ出力は備えているデジタル機器、たとえばデジタルビデオカセットDVCやデジタルVHSビデオDVHSについては、そのアナログビデオ出力は上記AV入力に接続され、そのデジタルオーディオ出力は、サンプルレートコンバータSRCを介してエンコーダ部50に供給される。このSRCは、たとえばサンプリング周波数が44.1kHzのデジタルオーディオ信号をサンプリング周波数が48kHzのデジタルオーディオ信号に変換するものである。
また、図84では信号線を省略しているが、パーソナルコンピュータPCがDVDビデオフォーマットのデジタルビデオ信号を出力できる場合は、そのデジタルビデオ信号はエンコーダ部50へダイレクトに入力できる。
デジタル入力のオーディオ信号源(デジタルチューナ、DVC、DVHS、PC等)は全てメインMPU部30に接続される。これは、後述する「オーディオ同期処理」に使用するためである。
メインMPU部30がディスクチェンジャ(ディスクパック)100、ディスクドライブ32、データプロセサ36、エンコーダ部50および/またはデコーダ部60を制御するタイミングは、STC38からの時間データに基づいて、実行することができる(録画・再生の動作は、通常はSTC38からのタイムクロックに同期して実行されるが、それ以外の処理は、STC38とは独立したタイミングで実行されてもよい)。
ディスクドライブ32を介してディスク10から再生されたDVDデジタル再生信号は、データプロセサ36を介してデコーダ部60に入力される。詳細は図85を用いて後述するが、デコーダ部60は入力されたDVDデジタル再生信号から主映像ビデオ信号をデコードするビデオデコーダと、この再生信号から副映像信号を再生する副映像デコーダと、この再生信号からオーディオ信号を再生するオーディオデコーダと、デコードされた主映像にデコードされた副映像を合成するビデオプロセサと、ビデオ信号とオーディオ信号間あるいはマルチチャネルオーディオ信号のチャネル間のタイミングずれを修正する手段(基準クロック発生部)が含まれている。
デコーダ部60でデコードされたビデオ信号(主映像+副映像)はビデオミキサ602に供給される。ビデオミキサ602へは、メインMPU部30から、適宜、縮小画像/サムネールピクチャ(図18または図47参照)やテキストデータが供給される。この縮小画像(および/またはテキスト)はフレームメモリ604上でデコードされたビデオ信号に適宜合成され、録画内容の検索等に利用されるビジュアルメニュー(ユーザメニュー)が生成される。
ユーザメニュー用の縮小画像をモニタ(図示せず)に表示するときには、別ファイルとして保存しておいた縮小画像用ファイルをストリームパックとして流し、フレームメモリ604に表示位置(X,Y座標値)を指定して表示させる。このとき、もし、テキストデータなどがある場合には、キャラクタROM(または漢字ROM)などを使用して、テキストを縮小画像の下に表示させることができる。
このビジュアルメニュー(ユーザメニュー)を適宜含むデジタルビデオ信号が、デジタルビデオI/Fを介して図84の装置外部に出力される。また、このビジュアルメニューを適宜含むデジタルビデオ信号が、ビデオDACを介してアナログビデオ信号となって、外部のアナログモニタ(AV入力付のTV)に送られる。
なお、ユーザメニュー用縮小画像のデータを上述した別ファイルとせずに、別のビデオパックデータとして、記録データ中に挿入することも考えられる。すなわち、DVDビデオフォーマットでは主映像としてはストリーム番号を0番(ストリームID=0E0h)と規定してるたが、さらに縮小画像用にストリーム番号を1番(ストリームID=0E1h)と規定し、多重することも可能である。こうして多重されたストリーム番号「1」の縮小画像は、メニュー編集処理時に使用される元データとなる。
図85は、図84の構成におけるエンコーダ部50およびデコーダ部60の内部構成を説明するブロック図である。
エンコーダ部50は、ADC(アナログ・デジタル変換器)52と、ビデオエンコーダ53と、オーディオエンコーダ54と、副映像エンコーダ55と、フォーマッタ56と、バッファメモリ57と、縮小画像(サムネールピクチャ)用のフレームメモリ51と、縮小ビデオエンコーダ58と、縮小画像のエンコード時に利用するメモリ59を備えている。
ADC52には、図84のAV入力からの外部アナログビデオ信号+外部アナログオーディオ信号、あるいはTVチューナからのアナログTV信号+アナログ音声信号が入力される。このADC52は、入力されたアナログビデオ信号を、たとえばサンプリング周波数13.5MHz、量子化ビット数8ビットでデジタル化する。(すなわち、輝度成分Y、色差成分Cr(またはY−R)および色差成分Cb(またはY−B)それぞれが、8ビットで量子化される。)
同様に、ADC52は、入力されたアナログオーディオ信号を、たとえばサンプリング周波数48kHz、量子化ビット数16ビットでデジタル化する。
なお、ADC52にアナログビデオ信号およびデジタルオーディオ信号が入力されるときは、ADC52はデジタルオーディオ信号だけをスルーパスさせる。(デジタルオーディオ信号の内容は改変せず、デジタル信号に付随するジッタだけを低減させる処理、あるいはサンプリングレートや量子化ビット数を変更する処理等は行っても良い)。
一方、ADC52にデジタルビデオ信号およびデジタルオーディオ信号が入力されるときは、ADC52はデジタルビデオ信号およびデジタルオーディオ信号をともにスルーパスさせる(これらのデジタル信号に対しても、内容は改変することなく、ジッタ低減処理やサンプリングレート変更処理等は行っても良い)。
ADC52からのデジタルビデオ信号成分は、ビデオエンコーダ53を介してフォーマッタ56に送られる。また、ADC52からのデジタルオーディオ信号成分は、オーディオエンコーダ54を介してフォーマッタ56に送られる。
ビデオエンコーダ53は、入力されたデジタルビデオ信号を、MPEG2またはMPEG1規格に基づき、可変ビットレートで圧縮されたデジタル信号に変換する機能を持つ。
また、オーディオエンコーダ54は、入力されたデジタルオーディオ信号を、MPEGまたはAC−3規格に基づき、固定ビットレートで圧縮されたデジタル信号(またはリニアPCMのデジタル信号)に変換する機能を持つ。
DVDビデオ信号がAV入力から入力された場合、あるいはDVDビデオ信号(デジタルビットストリーム)が放送されそれがデジタルチューナで受信された場合は、DVDビデオ信号中の副映像信号成分(副映像パック)が、副映像エンコーダ55に送られる。あるいは、副映像信号の独立出力端子付DVDビデオプレーヤがあれば、その副映像出力端子から副映像信号成分をから取り出すことができる。副映像エンコーダ55に入力された副映像データは、所定の信号形態にアレンジされて、フォーマッタ56に送られる。
そして、フォーマッタ56は、バッファメモリ57をワークエリアとして使用しながら、入力されたビデオ信号、オーディオ信号、副映像信号等に対して所定の信号処理を行い、所定のフォーマット(ファイル構造)に合致した記録データをデータプロセサ36に出力する。
すなわち、各エンコーダ(53〜55)は、入力されたそれぞれの信号(ビデオ、オーディオ、副映像)を圧縮してパケット化する。(ただし、各パケットは、パック化した時に1パックあたり2048バイトになるように切り分けられてパケット化される。)圧縮されたこれらの信号は、フォーマッタ56に入力される。ここで、フォーマッタ56は、必要に応じて、STC38からのタイマ値に従って各パケットのプレゼンテーションタイムスタンプPTSおよびデコードタイムスタンプDTSを決定し記録する。
ただし、ユーザメニューに利用される縮小画像のパケットは、縮小画像蓄積用のメモリ59へ転送され、そこに一時保存される。この縮小画像のパケットデータに関しては、録画終了後、別ファイルとして記録される。ユーザメニューにおける縮小画像の大きさは、たとえば144画素x96画素程度に選ばれる。
なお、縮小画像の圧縮フォーマットとしては主映像と同じMPEG2圧縮を使用できるが、他の圧縮方式でもかまわない。たとえば、JPEG圧縮、ランレングス圧縮(パレット256色:256色の減色化が必要)、TIFFフォーマット、PICTフォーマットなどの圧縮方式が利用可能である。
フォーマッタ56は、バッファメモリ57へパケットデータを一時保存し、その後、入力された各パケットデータをパック化して、MPEGのGOP毎にミキシングし、データプロセサ36へ転送する。
ここで、データプロセサ36へ転送される記録データを作成するための標準的なエンコード処理内容を簡単に説明しておく。
エンコーダ部50においてエンコード処理が開始されると、ビデオ(主映像)データおよびオーディオデータのエンコードにあたって必要なパラメータが設定される。次に、設定されたパラメータを利用して主映像データがプリエンコードされ、設定された平均転送レート(記録レート)に最適な符号量の分配が計算される。こうしてプリエンコードで得られた符号量分配に基づき、主映像のエンコードが実行される。このとき、オーディオデータのエンコードも同時に実行される。
プリエンコードの結果、データ圧縮量が不十分な場合(録画しようとするDVDーRAMディスクまたはDVDーRディスクに希望のビデオプログラムが収まり切らない場合)、再度プリエンコードする機会を持てるなら(たとえば録画のソースがビデオテープあるいはビデオディスクなどの反復再生可能なソースであれば)、主映像データの部分的な再エンコードが実行され、再エンコードした部分の主映像データがそれ以前にプリエンコードした主映像データ部分と置換される。このような一連の処理によって、主映像データおよびオーディオデータがエンコードされ、記録に必要な平均ビットレートの値が、大幅に低減される。
同様に、副映像データをエンコードするに必要なパラメータが設定され、エンコードされた副映像データが作成される。
以上のようにしてエンコードされた主映像データ、オーディオデータおよび副映像データが組み合わされて、録画用のデータ構造に変換される。すなわち、図19または図51に示すようなプログラムチェーンPGCを形成するセルの構成、主映像、副映像およびオーディオの属性等が設定され(これらの属性情報の一部は、各データをエンコードする時に得られた情報が利用される)、種々な情報を含めた情報管理テーブル情報が作成される。
エンコードされた主映像データ、オーディオデータおよび副映像データは、図24に示すような一定サイズ(2048バイト)のパックに細分化される。これらのパックには、前述した「32kバイトアライン」が実現されるように、ダミーパック(図25)が適宜挿入される。
ダミーパック以外のパック内には、適宜、PTS(プレゼンテーションタイムスタンプ;図24参照)、DTS(デコードタイムスタンプ)等のタイムスタンプが記述される。副映像のPTSについては、同じ再生時間帯の主映像データあるいはオーディオデータのPTSより任意に遅延させた時間を記述することができる。
そして、各データのタイムコード順に再生可能なように、VOBU単位で各データセルが配置されて、図19に示すような複数セルで構成されるVOBSが、ビデオオブジェクトDA22としてフォーマットされる。
なお、DVDビデオプレーヤからDVD再生信号をデジタルコピーする場合は、上記セル、プログラムチェーン、管理テーブル、タイムスタンプ等の内容は初めから決まっているので、これらを改めて作成する必要はない。(ただし、DVD再生信号をデジタルコピーできるようにDVDビデオレコーダを構成するには、電子すかしその他の著作権保護手段が講じられている必要がある。)
図85のデコーダ部60は、図84のメインMPU部30から送られてくるオーディオ同期信号A−SYNCによりシンク・ロックされた基準クロックを発生する基準クロック発生部61と、図24に示すような構造を持つ再生データから各パックを分離して取り出すセパレータ62と、パック分離その他の信号処理実行時に使用するメモリ63と、セパレータ62で分離された主映像データ(ビデオパックの内容)をデコードするビデオデコーダ64と、セパレータ62で分離された副映像データ(副映像パックの内容)をデコードする副映像デコーダ65と、ビデオデコーダ64からのビデオデータに副映像デコーダ65からの副映像データを適宜合成し、主映像にメニュー、ハイライトボタン、字幕その他の副映像を重ねて出力するビデオプロセサ66と、セパレータ62で分離されたオーディオデータ(オーディオパックの内容)を基準クロック発生部61からの基準クロックのタイミングでデコードするオーディオデコーダ68と、オーディオデコーダ68からのデジタルオーディオ信号を外部に出力するデジタルオーディオI/Fと、オーディオデコーダ68からのデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換して外部に出力するDACとで、構成されている。
このDACからのアナログオーディオ信号は、図示しない外部コンポーネント(2チャネル〜6チャネルのマルチチャネルステレオ装置)に供給される。
ここで、上記オーディオ同期信号A−SYNCは、図24のVOBU単位でオーディオ信号の同期をとるためのものである。図84のメインMPU部30は、デジタル入力機器から送られてくるデジタルオーディオ信号が図24の構成を含む場合において、各VOBUの先頭にオーディオ同期用のパック(SNV_PCK;図示せず)が設けられておれば、このオーディオ同期用パックを検出することで、オーディオ同期信号A−SYNCを生成できる。
あるいは、図84のメインMPU部30は、オーディオパッックに含まれるプレゼンテーションタイムスタンプPTS(図24)を検出し、検出したPTSの情報を用いて上記オーディオ同期信号A−SYNCを生成させることもできる。
図84および図85の構成において、再生時のデータ処理は、以下のようになる。
まず、ユーザ操作によって再生開始命令(再生キーのオン等)を受けると、メインMPU部30は、データプロセサ36を介して、ディスクドライブ32からディスク10の管理領域を読み込み、再生するアドレス(統合論理セクタ番号LSNを用いたアドレスに対応)を決定する。
次に、メインMPU部30は、ディスクドライブ32に先ほど決定された再生データのアドレスおよびリード命令を送る。
ディスクドライブ32内の図示しないMPU(図54の制御部220に対応)は、送られてきた命令に従って、ディスク10よりセクタデータを読み出し、データプロセサ36でエラー訂正を行い、パックデータの形にして、デコーダ部60へ出力する。
デコーダ部60の内部では、読み出されたパックデータをパケット化する。そして、データの目的に応じて、ビデオパケットデータ(MPEGビデオデータ)はビデオデコーダ64へ転送し、オーディオパケットデータはオーディオデコーダ68へ転送し、副映像パケットデータは副映像デコーダ65へ転送する。
上記各パケットデータの転送開始時に、プレゼンテーションタイムスタンプPTSがSTC38にロードされる。その後、デコーダ部60内の各デコーダは、パケットデータ内のPTSの値に同期して(PTSとSTCの値を比較しながら)再生処理を行い、図示しないモニタTVに音声・字幕付きの動画を出力する。
前述したAVアドレスの設定をすることにより、多連ディスクパック(図84のディスクチェンジャ100)内に挿入された複数のDVDーROMおよび/またはDVD−RAMディスク内の映像情報をAVファイルの一部として取り込むことが可能となる。
DVDビデオ(DVD−ROM)ディスクではファイルエントリとしてビデオオブジェクトの記録位置が論理ブロック番号で設定されているが、図18に示したアドレス変換テーブルACTを用いることにより、この論理ブロック番号をAVアドレスに変換することができる。このアドレス変換テーブルACTでは、個々の論理ブロック番号とAVアドレスが組になってテーブル上に記述されている。
図86は、図84および図86のハードウエア(DVDビデオレコーダ)における映像〜音声間の同期処理を説明するフローチャートである。
TVチューナーもしくはVTRやカメラレコーダーなどAV入力からの映像信号はADC52でデジタル信号に変換される(ステップST200)。
変換されたデジタル信号は、ビデオ情報、オーディオ情報に分けられ、ビデオエンコーダー53、オーディオエンコード54で別々にエンコードされる。クローズドキャプション情報や文字多重放送の多重文字部で送られてきた情報は、副映像エンコーダ55で副映像としてエンコードされる。それぞれエンコードされた情報は、フォーマッタ56で2048バイト単位のビデオパック、オーディオパック、副映像パック中に組み込まれ、図24のように32kバイトの整数倍サイズを持つVOBUを単位として、配置される(ステップST202)。
このとき、フォーマッタ56において、「VOBUの先頭のIピクチャ表示開始時刻でのオーディオ情報サンプル位置が、ビデオパックの位置を基準として、何個後ろの(あるいは何個前の)オーディオパック内の何番目のサンプル位置にあるか」の情報が抽出される(ステップST204A)。
こうして抽出されたオーディオ情報サンプル位置情報は、図84のメインMPU部30に送られる。
メインMPU部30内のオーディオ情報同期処理部は、送られてきたオーディオ情報サンプル位置情報に基づいて、前記オーディオ同期信号A−SYNCの元になるプレゼンテーションタイムスタンプPTSあるいは同期用ナビゲーションパックSNV_PCK(図示せず)を生成させる信号を、フォーマッタ56に返す。
フォーマッタ56は、エンコードされたビデオ情報、副映像情報およびオーディオ情報とともに、上記オーディオ同期信号A−SYNCの元になる情報(PTSあるいはSNV_PCK)を含めて、図24に示すようなVOBUの情報をデータプロセサ36に送る。その後継続して実行される「オーディオ情報サンプル位置情報抽出ステップST204A」と並行して、データプロセサ36は、図24に示すようなVOBU情報からなるビデオオブジェクトDA22を、ディスク10の指定されたアドレス(AVアドレス)に記録する(ステップST204B)。
この記録の進行にともなって、ディスクドライブ32からメインMPU部30には、記録に使用されたアドレス情報(論理セクタ番号LSN)が返されている。メインMPU部30は、返されたアドレス情報および図29のアドレス〜セクタ対応関係に基づいて、ディスク10上の記録位置(例えば記録されたあるVOBUの先頭のIピクチャ表示開始時刻でのオーディオ情報サンプルがディスク10上のどの物理セクタ番号PSN位置に対応するか)を、算出する。この算出結果は、後のステップST208で利用される。
上記ディスク10上の記録位置(VOBUの先頭のIピクチャ表示開始時刻でのオーディオ情報サンプルがディスク10上のどの物理セクタ番号PSN位置に対応するか)は、図27のオーディオ同期情報に含まれる「Iピクチャオーディオ位置#1、#2、…」に対応する。すなわち、図27のIピクチャオーディオ位置Iピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオパックが含まれるECCブロックの、VOBU先頭からの差分アドレス値が、1バイトで記録されている。この1バイトのうち、最上位の1ビットで、オーディオサンプル位置がVOBU先頭から後方にあるのか前方にあるのかを識別している。具体的には、
最上位1bit=0:後方にある
最上位1bit=1:前方にある
とする。
前記ビデオオブジェクトDA22のディスク10への記録は、記録終了の入力があるまで(たとえば、ユーザが記録停止を指示するまで、あるいはディスク10の空き領域を使い切ってしまうまで)継続される(ステップST206ノー;ST200〜ST204A/ST204B)。
記録終了入力があれば(ステップST206イエス)記録終了アドレス(ディスク10上の物理セクタ番号PSN)、記録日時等の記録に関する情報がディスク10の管理領域(制御情報DA21)に書き込まれる(ステップST208)。その際、管理領域の書込にともなって、図18の制御情報書替回数CIRWNsが1つインクリメントされる。
なお、Iピクチャ開始時刻と同時刻のオーディオサンプル位置のECCブロック内サンプル番号を全オーディオパックの連番で計数した値は、図27のオーディオ同期情報に含まれる「Iピクチャ開始オーディオサンプル番号#1、#2、…」として、管理領域(制御情報DA21)に書き込まれる(ステップST208)。
なお、ディスク10の記録位置の表現は、AVアドレスに限られない。論理ブロック番号、論理セクタ番号あるいは物理セクタ番号を用いて「ディスク10の記録位置」を表現することもできる。
<図27のオーディオ同期情報を含むセルの編集処理>
いま、図79のようにディスク10上でセル#1、セル#2、セル#3の順で記録情報が並んでいたものに対し、図80のようにセル#2の途中でセル#2Aとセル#2Bに分割し、図81のようにセル#2Aを空き領域91へ移動させ、
セル#2A→セル#1→セル#2B→セル#3
の順で再生可能にする場合を考えてみる。
この場合VOBU108eは再エンコードされVOBU108pとVOBU108qに分けられる。その際、メインMPU部30内のオーディオ情報同期処理部は、ディスク10から、Iピクチャオーディオ位置(図27)と、Iピクチャ開始オーディオサンプル番号(図27)とから、移動されるセル#2Aに含まれるオーディオパックの位置を探す。
もしセル#2Aに含まれるオーディオパックがVOBU108cかVOBU108q内にある場合には、その中から該当するオーディオパックを取り込みVOBU108d*かVOBU108p内に埋め込む。
この埋め込みは、そのVOBUに余分な(意味のある記録データを持たない)ダミーパックがある場合には、そこに対して行う。このようなダミーパックがない場合には、フォーマットの再配列、場合によっては再エンコードを行う。
一方、セル#2A内にVOBU108cまたはVOBU108fで使用するオーディオパックが含まれる場合には、セル#2A内から該当するオーディオパックをコピーし、VOBU108cまたはVOBU108f内に挿入(埋込)処理する。このとき、挿入(埋込)処理結果を、再度Iピクチャオーディオ位置およびIピクチャ開始オーディオサンプル番号(図27)に記録する。この一連の操作制御は、図84のメインMPU部30のオーディオ情報同期処理部が主だって実行する。
次に、上述のように再生・編集後の映像情報に対してCDやMDなどのデジタルオーディオ情報記憶媒体から既存のオーディオ情報をバックグランドミュージックとして重ね記録する場合について説明する。
オーディオ情報の重ね記録方法としては、図24、図25のダミーパックをオーディオパックとして置換する方法と、重ね記録されるオーディオ情報を再エンコードする方法がある。
ところで、オーディオ情報のサンプリング周波数(32kHzや44.1kHz)は録画した映像情報内のオーディオ情報サンプリング周波数(48kHzや96kHz)と異なる場合がある。また公称周波数は同じでも基準周波数を発生する水晶発振器の周波数変動(周波数のゆれ)は通常±0.1%程度ある。従って、デジタルオーディオ情報をデジタルダビングする場合には、異なる基準周波数で記録が行われることになる。このことから、元から記録されていたオーディオ情報の周波数で再生を行なうと同期ずれが生じてしまう。
その弊害を防ぐため、この発明では、オプションでデジタルダビングしたオーディオ情報に対するVOBU毎のオーディオサンプル数を管理領域(図18の制御情報DA21)内に記録できるようにしている。
すなわち、図27のオーディオ同期情報フラグ#1、#2、…に示すように、オーディオストリーム番号毎にオーディオ同期データを記録するかどうかのフラグを立て、該当する(フラグが立っている)場合には図27のオーディオ同期情報によりVOBU毎のオーディオサンプル数を2バイトで表現している。
このオーディオ同期情報は、たとえば次のようにして記録することができる。
まず、重ね記録するオーディオ情報を図85のフォーマッタ56で2048バイト毎のオーディオパックに変換する。このとき、図84のメインMPU部30内のオーディオ情報同期処理部から、該当するビデオ情報のVOBU毎の所要時間が通知される。その時間情報に基づき、フォーマッタ56でVOBU毎のオーディオサンプル数をオーディオ情報同期処理部に回答する。
そして、重ね記録するオーディオ情報が含まれたオーディオパックをダミーパックと置換して、ビデオオブジェクトDA22が完成する。
その後フォーマッタ56からメインMPU部30に回答されたVOBU毎のオーディオサンプル数を基に、オーディオ情報同期処理部により、ディスク10上のオーディオ同期情報に必要な情報の記録が行われる。
再生時には、メインMPU部30のオーディオ情報同期処理部がディスク10上のオーディオ同期情報を読み取り、VOBU毎のオーディオサンプル数を「オーディオ同期信号A−SYNC」の形で、基準クロック発生部61に送る。その情報(A−SYNC)に合わせた(シンク・ロックした)周波数の基準クロックを基準クロック発生部61で発生し、その基準クロックの周波数に合わせて、オーディオデコーダ68がビデオ情報に同期して、後挿入されたオーディオ情報(重ね記録するオーディオ情報)を再生する。
以上により、ビデオ情報と同期ずれのないオーディオ再生が可能になる。
なお、上記説明ではオーディオサンプル数をVOBU単位で記録しているが、それに限らずセル単位、あるいはビデオフレーム単位で記録することもできる。
以上述べた実施の形態によれば、以下の効果が得られる:
A)音声信号の同期を保証した映像情報の並べ替えが可能;
B)ビデオの録画後にデジタルダビング処理によりオリジナルとは異なるサンプル周波数で生成されたデジタルオーディオ情報をダミーパック等に記録した場合も、同期のとれたオーディオ情報の再生が可能;
c)AC−3等のマルチチャネルオーディオ情報の並べ替えや異なるサンプリング周波数のデジタルソースからのミックスダウン編集が行われた場合においても、各チャネル間の同期を保証できる。
なお、上記説明は情報記憶媒体としてDVDーRAMディスクを例に取って説明したが、この発明のシステム(とくに32kバイトのECCブロック単位でアドレス管理および交替処理を行なうシステム)は、情報記憶媒体として光磁気ディスク(MOディスク)を用いファイルシステムにパーソナルコンピュータ用のファイルアロケーションテーブル(FAT)を用いたシステムにも、応用できる。
また、システムソフトウエア(またはオペレーティングシステム)としてはMSウインドウズの他にNTFS(New Technology File System)、UNIX等を利用することもできる。具体的には、ROM/RAM2層ディスクにおいてROM層17Aに必要なシステムソフトウエア(1種または複数種類のオペレーティングシステムOS)・アプリケーションソフトウエアなどをエンボス記録しておき、記録・再生処理時にROM層17AのOSおよびディレクトリ情報をパーソナルコンピュータのメインメモリにコピーし、アプリケーションソフトウエアはROM層17Aに格納されたものをそのまま利用するようにできる。その場合、アプリケーションソフトウエアをメインメモリに展開しないで済む分メインメモリの空間を広げることができる。このようなパーソナルコンピュータシステムにおいて、ROM層17Aのアプリケーションソフトウエアによる作業結果(編集されたビデオなど)を保存する大容量記憶媒体として、同じディスク10のRAM層17Bを利用することができる。
さらに、AVデータ構造のアドレスとしてECCブロック単位のAVアドレスを取り上げ説明してきたが、AVデータのアドレス管理を、たとえば2048バイト単位のアドレスで行うこともできる。
[実施の形態による効果]
(1)統合論理セクタ番号LSNを用いることにより、互いに連続していないアドレスレンジを持つ複数の記録媒体(あるいは複数の記録レイヤ)を、大容量の1ボリュームスペースで管理できる。
(2)アドレス管理にECCブロック単位(32kバイト単位)のAVアドレスを採用すれば、既存のパーソナルコンピュータのシステムを利用して、数十Gバイトを超える巨大なボリュームスペースのアドレス管理も可能になる。
(3)ECCブロック単位で書き替え(オーバーライト)あるいは消去が可能なので、書き替え・消去時に、書き替える必要のないECCブロック(書き替え・消去対象のECCブロックの周辺ECCブロック)をいじる必要がなくなる。
(4)管理領域の書き替え回数を媒体毎に持ち、この書き替え回数が所定値を超えたら管理領域の記録場所を移し変えるようにすれば、反復書き替えにより信頼性の低下が懸念される相変化記録媒体でも、管理領域の記録情報の安全性が確保される。
(5)使用するディスクドライブの性能に合わせて記録するプログラムチェーンのセル構成を適宜修正できるので、どのようなディスクドライブを用いても、シームレスな連続再生あるいはシームレスな連続記録が可能になる。
(6)オーディオ同期情報を持たせることで、種々な音源(種々なサンプルレートで作成されたデジタル音源)からアフターレコーディングを行っても、元のビデオ信号とアフターレコーディングされたオーディオ信号との同期がずれることを防止できる。