JP2010104736A - 組織切除ツール、キット及びそれらを使用する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】手術部位への経被的アクセスを提供するデバイス、キット、及び方法を開示する。
【解決手段】適切なテバイスは、末端部及び近位端部を有する中空体を含み、末端部は、1つ又は複数の開口を含む。第1の枢動部材が中空体内に配設されており、組織切除部材が、枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている。組織切除部材の少なくとも一部が、1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、組織切除部材は、中空体に対して、枢動部材の周囲を長手方向に動く。
【選択図】図6
【解決手段】適切なテバイスは、末端部及び近位端部を有する中空体を含み、末端部は、1つ又は複数の開口を含む。第1の枢動部材が中空体内に配設されており、組織切除部材が、枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている。組織切除部材の少なくとも一部が、1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、組織切除部材は、中空体に対して、枢動部材の周囲を長手方向に動く。
【選択図】図6
Description
(関連出願)
本発明は、参照により本明細書に援用される、2007年11月6日付で出願されている米国特許仮出願第60/985842号明細書の利益を主張するものである。
本発明は、参照により本明細書に援用される、2007年11月6日付で出願されている米国特許仮出願第60/985842号明細書の利益を主張するものである。
(関連出願の説明)
本出願は、その全体が参照により本明細書に援用されており、2007年3月8日に米国特許出願公開第2007/0055215号明細書として公開された、「経皮的組織切除デバイス及び方法(Percutaneous Tissue Excision Devices and Methods)」という名称の、2006年7月31日付で出願された米国特許出願第11/461045号明細書に関連している。
本出願は、その全体が参照により本明細書に援用されており、2007年3月8日に米国特許出願公開第2007/0055215号明細書として公開された、「経皮的組織切除デバイス及び方法(Percutaneous Tissue Excision Devices and Methods)」という名称の、2006年7月31日付で出願された米国特許出願第11/461045号明細書に関連している。
本発明は、全般的に、外科デバイス及び方法に関する。更に詳細には、本発明は、脊椎の障害を処置する低侵襲外科デバイス及び方法に関する。更により詳細には、本発明は、狭窄を低減し、脊髄が占めることのできる脊柱管の横断面積を増大するデバイス及び方法に関する。
背部痛は一般的な病気である。多くの症例では、その痛みは、人の機能的能力及び生活の質を大幅に制限する。背部痛は、仕事、通常の日常活動、リクリエーションを妨げる。米国では、腰痛に関してだけでも毎年500億ドルが費やされていると見積もられている。腰痛は、仕事に支障をきたすことの最も一般的な原因であり、欠勤の主な原因である。神経圧迫を生じる脊柱管の狭窄に起因する状態である脊柱管狭窄症は、臀部の持続痛、跛行、下肢の感覚欠如、及び身体活動の減少を引き起こす。脊柱管狭窄症は静かな流行病と考えられており、50歳以上の成人の4%と6%(以上)の間という発生率で発生する。脊柱管狭窄症はまた、60歳以上の患者において、腰部の手術の原因として最も多く挙げられるものである。アメリカ脳神経外科学会(American Association of Neurological Surgeons:AANS)及び脳神経外科コングレス(Congress of Neurological Surgeons:CNS)によれば、現在、殆どが60歳を超える40万人もの米国人が、腰部脊柱管狭窄症の症状に既に悩まされている可能性があると推測されている。この数字は、次の10年間に亘って、ベビー・ブーム世代の人々が60歳台に達するにつれて増加すると予測されている。更に、米国勢調査局(the U.S. Census Bureau)によれば、60歳を超える人は、1999年の16.6%に対して、2010年には、国内人口の18.7%を占めるであろうとのことである。
腰部脊柱管狭窄症は、平均的な男性で、硬膜鞘の横断面積が100mm2未満又は管の前‐後(anterior−posterior:AP)寸法が10〜12mm未満と定義されることが多い。腰部脊柱管狭窄症の多くの症例の原因は、黄色靱帯の肥厚である。脊柱管狭窄症はまた、亜脱臼、面関節肥大、骨棘形成、脊柱管の発育不全、変形性脊椎症、椎間板変性症、変形性脊椎すべり症、変形性関節炎、副椎骨靱帯の骨化等に起因する可能性がある。脊柱管狭窄症のあまり一般的でない原因は、硬膜上腔内の過剰な脂肪であり、該原因は、通常、病的肥満の患者又は経口コルチコステロイド剤を服用中の患者に悪影響を及ぼす。過剰な硬膜外脂肪は、硬膜鞘、神経根、及び神経根の中に含まれている血管を圧迫し、背部痛、下肢痛、並びに下肢の衰弱及び麻痺をもたらす。脊柱管狭窄症はまた、頸椎及び一般的ではないが胸椎に悪影響を及ぼす。
脊柱管狭窄症を患う患者は、通常、最初は保存的手法で処置を受ける。より保存的な手法は、安静支持デバイス、理学療法、及び鎮痛剤の組合せである。該鎮痛剤は、抗炎症薬療法及び硬膜外ステロイド注射を含む。この処置は、通常、より思い切った対策を必要とすることなく問題が解決されることを願って、診断後の最初の月に施される。疼痛/不快症状が持続する時は外科的手順が検討され遂行されるが、それは、患者及び医師がそれにより患者の生活の質が向上すると考えた場合である。これらの保存療法の選択肢は、失敗することが多い。症状が重い場合は、脊髄及び神経根を除圧するために手術が必要である。外科的選択肢は侵襲的であり、除圧又は椎弓切除術、椎弓切開術、孔拡大術、及び脊椎固定術を含む。
腰部の狭窄症を矯正するいくつかの従来の外科手法では、背部を切開し、筋肉及び支持構造体を脊柱から剥がし、脊柱の後面を露出させる。次いで、肥厚した黄色靭帯は、脊柱管の背部を覆っている椎弓の、多くの場合椎弓板の、一部を除去することにより露出される(椎弓切除術)。次いで、肥厚した黄色靭帯は、小刀、又はケリソン(Kerrison)型穿孔器などの穿孔機器を用いて、鋭的切除により切除することができる。該ケリソン型穿孔器は、組織の小片を除去するために使用される。該手順は、全身麻酔下で実施される。患者は、通常、患者の年齢及び全身状態に応じて約5日から7日間入院する。患者は、通常、該手順から回復するのに6週間から3か月を要する。更に、多くの患者は、自立して生活するために十分な運動性を回復するために、リハビリテーション施設における拡大治療を必要とする。手術に伴うリスクには、出血、凝血、及び硬膜破砕が含まれる。症例によっては、外科的介入で症状を緩和することができず、あるいは症状が時を経て再発することもある。
観血的椎弓切除術後の疼痛及び障害の殆どは、脊柱の露出中に生じる背部の筋肉、血管、支持靱帯、及び神経の断裂並びに切断に起因する。また、脊柱を安定させる背部の筋肉及び靱帯は、椎弓切除術中、脊柱から剥がされ分離されるため、これらの患者は術後に脊柱不安定性を示すことが多い。
脊椎の低侵襲処置のための種々の技術が既知である。顕微鏡的椎間板切除術は、脊椎への入り口を作るために皮膚及び深部組織に小さい切開を作ることにより実施される。次いで、顕微鏡を使用して、椎間板切除術の前に隣接する構造体の切開を補助する。この手順による回復は、従来の観血的椎間板切除術よりもずっと短時間である。蛍光透視誘導を備える経皮的椎間板切除デバイスは、脊柱管狭窄症又は黄色靱帯を直接処置するためにではなく、椎間板の障害を処置するのに首尾よく使用されてきた。カテーテル又は光学系を使用する関節鏡検査又は脊椎構造の直接的可視化もまた、脊柱管狭窄症を含む脊椎の障害を処置するために提案されてきたが、これらのデバイスは、依然として、小型化された標準的な手術機器、及び観血的外科的手順に似た脊椎の直接的可視化を用いている。これらのデバイス及び技術は、管のサイズの小ささによって制限され、これらの手術は、実施及び習得することが困難である。更に、これらの手順は痛みを伴い、全身麻酔を必要とすることも多い。更に、関節鏡検査法は時間がかかり、ファイバー光学システムは、購入及び保守に費用がかかる。
更にその上、脊髄の神経が、黄色靱帯の前方に直接隣接する脊柱管を貫通しているため、いかなる手術も、観血的であるか経皮的であるかに関わらず、脊髄の神経を損傷するリスクを含む。
従って、当該技術分野には、脊柱管狭窄症及び他の脊椎の障害を処置するための簡単な方法、技術、及びデバイスの必要性が依然として存在する。そのような方法及びデバイスは、それらが低侵襲手術の可能性を提供し、観血的手術の必要性を低減した場合、特に申し分なく受け入れられると考えられる。
経皮的組織切除の方法及びデバイスを本明細書に記載する。開示されたデバイスは、組織を切除及び除去することを同時にするための組織切除ベルトを利用してもよい。該デバイス及び方法の他の態様及び特徴を、以下により詳細に記載する。当業者であれば理解できることだが、該デバイス及び方法は、広範な組織に関連して使用することができる。しかし、例示目的で、且つ限定することなく、脊椎内での使用の文脈において該デバイス及び方法を記載する。
本発明の態様は、手術部位への経皮的アクセスを提供するデバイスに関する。デバイスは、例えば、末端部及び近位端部を有する中空体であって、末端部は1つ又は複数の開口を含む、中空体と、中空体内に配設されている第1の枢動部材と、枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている組織切除部材であって、該組織切除部材の少なくとも一部が1つ又は複数の側面孔即ち開口を介して露出しており、該組織切除部材は、中空体に対して、枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除部材と、を含む。いくつかの実施形態では、組織切除部材は、研削面を更に含むことができる。更に、中空体は、円柱形横断面を有することができる。いくつかの例では、末端部は、1つ又は複数の開口が組織と連通しているように、複数の開口を提供するように構成可能である。更に、末端部に、例えば鋭利な先端を形成するように角度を付けることができる。設計によっては、デバイスは、中空体に結合されているハンドルを提供するように構成される。例えば、アクチュエータが第2の枢動部材に結合されており、第2の枢動部材が第1の枢動部材と連通している場合、中空体は適切である。アクチュエータは、例えばモータを含む、起動を達成するのに適した種々の形態を取ることができる。更に、アクチュエータ即ちモータをハンドル内部に配設することができる。デバイスは、形成時に単一又は一体となることができる。
本発明はまた、患者の脊椎の狭窄症を処置する方法に関する。本方法は、流体を注入して安全ゾーンを形成し、対象領域に作業ゾーンを確立することにより、対象領域の硬膜鞘を圧縮するステップであって、安全ゾーンが作業ゾーンと硬膜鞘との間にあるステップと、正中面の第1の側部において対象領域の硬膜上腔に経皮的にアクセスするステップと、末端部及び近位端部を有する中空体を含む組織切除デバイスを挿入するステップであって、末端部が1つ又は複数の開口を含み、第1の枢動部材が中空体内に配設されており、組織切除部材が、枢動部材と回転可能に連通して取り付けられており、組織切除部材の少なくとも一部が、1つ又は複数の側面孔即ち開口を介して露出しており、組織切除部材が、中空体に対して、枢動部材の周囲を長手方向に動き、正中面の第1の側部において作業ゾーンの組織内に入るステップと、を含む。更に、本方法は、手順中のいつでも、対象領域の脊柱管の一部の少なくとも1つの視界を生成するステップを含むことができる。いくつかの例では、手順に先立って画像を得ることにより、例えば、硬膜鞘を圧縮するステップ、硬膜上腔に経皮的にアクセスするステップ、及び/又は組織切除デバイスを挿入するステップを容易にすることができる。患者の黄色靱帯の一部が対象領域の作業ゾーンを占めている場合、本方法を患者に実施することが適切である。当業者であれば理解できることだが、患者の正中面の第1の側部における、患者の正中面の第2の側部における、又は正中面の両側における狭窄症を経皮的に低減するように、組織切除部材を操作することができる。いくつかの症例では、画像が得られた場合、組織切除デバイスを使用するステップの少なくとも一部の間に、該画像を使用して、組織切除デバイスを配置することができる。更に、臨床的に提言されるか又は望ましい場合、対象領域の黄色靱帯の少なくとも一部が除去される。
本発明の別の態様は、手術部位に経皮的アクセスを提供するデバイスであって、末端部及び近位端部を有する中空体であって、末端部が1つ又は複数の側面開口含む、中空体と、末端部内に配設されている遠位枢動部材、及び近位端部内に配設されている近位枢動部材と、遠位枢動部材及び近位枢動部材に回転可能に取り付けられている組織切除ベルトであって、組織切除ベルトの少なくとも一部が1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、組織切除ベルトが、中空体に対して、遠位枢動部材及び近位枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除ベルトと、を含む、デバイスに関する。いくつかの実施形態では、組織切除部材は、研削面を更に含むことができる。更に、中空体は、円柱形横断面を有することができる。いくつかの例では、末端部は、1つ又は複数の開口が組織と連通しているように、複数の開口を提供するように構成可能である。更に、末端部に、例えば鋭利な先端を形成するように、角度を付けることができる。設計によっては、デバイスは、中空体に結合されているハンドルを提供するように構成される。例えば、アクチュエータが第2の枢動部材と結合されており、第2の枢動部材が第1の枢動部材と連通している場合、中空体は適切である。アクチュエータは、例えばモータを含む、起動を達成するのに適した種々の形態を取ることができる。更に、アクチュエータ即ちモータを、ハンドル内部に配設することができる。
本発明の更に別の態様は、正中面を有する患者の脊椎における狭窄症を処置する方法であって、流体を注入して安全ゾーンを形成し、対象領域内に作業ゾーンを確立することにより、対象領域の硬膜鞘を圧縮するステップであって、安全ゾーンが作業ゾーンと硬膜鞘との間にあるステップと、正中面の第1の側部において、対象領域の硬膜上腔に経皮的にアクセスするステップと、末端部及び近位端部を有する中空体を含む組織切除デバイスを挿入するステップであって、末端部が1つ又は複数の側面開口を含み、遠位枢動部材が末端部内に配設されており、近位枢動部材が近位端部内に配設されており、組織切除部ベルトが、遠位枢動部材及び近位枢動部材に回転可能に取り付けられており、組織切除ベルトの少なくとも一部が、1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、組織切除ベルトが、中空体に対して、遠位枢動部材及び近位枢動部材の周囲を長手方向に動くステップと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、組織切除部材は、研削面又は鋭利な面を更に含むことができる。適切な表面は、網状組織、又は互いに噛み合いスライス動作を生じるのに適した表面を含む。更に、中空体は、円柱形横断面を有することができる。いくつかの例では、末端部は、1つ又は複数の開口が組織と連通しているように、複数の開口を提供するように構成可能である。更に、例えば鋭利な先端を形成するために、末端部に角度を付けることができる。設計によっては、デバイスは、中空体に結合されているハンドルを提供するように構成可能である。例えば、アクチュエータが第2の枢動部材に結合されており、第2の枢動部材が第1の枢動部材と連通している場合、中空体は適切である。アクチュエータは、例えばモータなど、起動を達成するのに適した種々の形態を取ることができる。更に、アクチュエータ即ちモータをハンドル内部に配設することができる。
本発明の更に別の態様は、組織切除のためのキットに関する。該キットは、末端部及び近位端部を有する中空体であって、該末端部が1つ又は複数の開口を含む、中空体と、中空体内に配設されている第1の枢動部材と、枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている組織切除部材であって、組織切除部材の少なくとも一部が1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、組織切除部材が、中空体に対して、枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除部材と、を有する1つ又は複数のデバイスを含み、パッケージ内に含まれている。該キットの追加構成要素は、例えば、造影剤又は親水親油ブロック共重合体ゲルなどの注入可能な媒体を含むことができる。追加の構成要素は、トロカール、鉗子、誘導装置、表面麻酔、局所用抗生物質、手術用ガーゼ、針、手術用糸、又は該手順中に手術に有用と考えられる任意の他の構成要素を含むことができる。
本明細書に記載されている実施形態は、特定の先行デバイスに伴う種々の欠点に対処することを目的とする特徴及び利点の組合せを含む。好適な実施形態の以下の詳細な説明を読み、添付図面を参照することにより、前述した種々の特徴及び他の特徴を、当業者であれば容易に理解できる。
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照により本明細書に援用されるために詳細に個別に示されたかのように、同程度に、参照により本明細書に援用される。
低侵襲技術は、従来の観血的手術と比較して、術後の疼痛をより少なくし、より早く回復させるという、重要な可能性を提供する。経皮的介入的脊椎手順は局所麻酔で実施することができ、その結果、患者は、リスクを抑え、全身麻酔で必要とされる回復時間を少なくすることができる。更に、低侵襲技術を用いると、傍脊柱筋群及び靱帯への損傷が減少し、その結果、疼痛が低減され、これらの重要な安定化構造体が守られる。
本発明の新規な特徴は、添付の請求項に詳細に記載されている。本明細書の特徴及び利点に関するより十分な理解は、例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明を参照することにより得られる。該例示的な実施形態では、本発明の原理が利用されている。
本発明は、全般的に、骨と軟骨とを含む軟組織及び結合組織を回復させ且つ/又は増大させる、人体内部での使用に適したデバイス、装置、又は機構、並びにそれらのためのシステムに関する。本発明の有用性を示すために、脊椎の病状を処置する場合における本発明について記載する。一方、当業者であれば当然のことであるが、本発明の技術範囲から逸脱することなく他の病状に関しても該デバイスを使用することができる。いくつかの例では、デバイスは、身体の部分又は構造体を除去するか又は切除するようになされたデバイスを含むことができる。デバイス、装置、又は機構は、単独で又は組合せることによってデバイスを構成する部品、要素、又は構成要素から形成することができるように構成されている。デバイスはまた、構成要素がデバイスを完成させるように、1つ又は複数の要素又は構成要素が一体で形成されて、所望の生理学上、動作上、機能上の結果を達成するように構成することができる。機能上の結果とは、患者の外科的修復及び機能力、患者の機能力を制御し、制限し若しくは修正すること、並びに/又は関節動作を阻止することにより患者の機能力を排除することを含むものとすることができる。デバイスの一部を既存の身体構造デバイス及び/若しくは埋込み型デバイスと交換するか、又はそれを補強するように構成することができ、且つ/或いは既存の解剖学的構造の切除又は除去と組み合わせて使用することができる。
I.解剖学的総説
前述した通り、デバイス及びそれらの有用性を、脊椎の病状の文脈において示すことができる。デバイスの有用性を理解するためには、デバイスを使用することができる解剖学的環境を理解することが役に立つ。そのため、例えば、図1に示す通り、デバイスはヒト脊柱10と相互作用するように設計される。該ヒト脊柱は、5つの領域に分けられる一連の積み重なった33個の椎骨12から成る。頸部領域は、C1〜C7として既知の7個の椎骨を含む。胸部領域は、T1〜T12として既知の12個の椎骨を含む。腰部領域は、L1〜L5として既知の5個の椎骨を含む。仙骨領域は、S1〜S5として既知の5個の融合した椎骨から成る。尾骨領域は、Co1〜Co4として既知の4個の融合した椎骨を含む。椎骨の1つの例は、正常なヒト腰椎12の上面図を示す図2Aに示されている。ヒト腰椎は位置により多少変化するが、椎骨は多くの共通した特徴を有する。各腰椎12は、椎体14を含む。2つの短い骨突起である椎弓根16、16’が、椎体14の各側から背側に延びて椎弓18を形成している。該椎弓は、椎孔19を画定しており、該椎孔は、脊髄及び付随する髄膜を収容する。各椎弓根16の後端部において、椎弓18は、椎弓板20として既知の幅の広い骨板内へと張り出している。椎弓板20は互いに融合して、棘突起22を形成している。棘突起22は、筋肉及び靱帯の連結を提供する。椎弓根16から椎弓板20までの滑らかな移行は、一連の突起の形成により遮られている。
前述した通り、デバイス及びそれらの有用性を、脊椎の病状の文脈において示すことができる。デバイスの有用性を理解するためには、デバイスを使用することができる解剖学的環境を理解することが役に立つ。そのため、例えば、図1に示す通り、デバイスはヒト脊柱10と相互作用するように設計される。該ヒト脊柱は、5つの領域に分けられる一連の積み重なった33個の椎骨12から成る。頸部領域は、C1〜C7として既知の7個の椎骨を含む。胸部領域は、T1〜T12として既知の12個の椎骨を含む。腰部領域は、L1〜L5として既知の5個の椎骨を含む。仙骨領域は、S1〜S5として既知の5個の融合した椎骨から成る。尾骨領域は、Co1〜Co4として既知の4個の融合した椎骨を含む。椎骨の1つの例は、正常なヒト腰椎12の上面図を示す図2Aに示されている。ヒト腰椎は位置により多少変化するが、椎骨は多くの共通した特徴を有する。各腰椎12は、椎体14を含む。2つの短い骨突起である椎弓根16、16’が、椎体14の各側から背側に延びて椎弓18を形成している。該椎弓は、椎孔19を画定しており、該椎孔は、脊髄及び付随する髄膜を収容する。各椎弓根16の後端部において、椎弓18は、椎弓板20として既知の幅の広い骨板内へと張り出している。椎弓板20は互いに融合して、棘突起22を形成している。棘突起22は、筋肉及び靱帯の連結を提供する。椎弓根16から椎弓板20までの滑らかな移行は、一連の突起の形成により遮られている。
2つの横突起24、24’は横方向に突出しており、各側の突起は、椎弓根16と椎弓板20との結合部から突出している。横突起24、24’は、筋肉の椎骨12への連結のためのレバーとして機能する。4つの関節突起である、2つの上関節突起26、26’及び2つの下関節突起28、28’もまた、椎弓根16と椎弓板20との結合部から立ち上がっている。上関節突起26、26’は、椎骨の各側で上向きに立ち上がっている鋭角の長円形の骨板であり、一方、下突起28、28’は、各側で下向きに突出している長円形の骨板である。図4も参照のこと。
上下関節突起26及び28はそれぞれ、関節窩として既知の自然骨構造を有する。上関節窩30は上内側方に向いている一方、下関節窩31(図3参照)は下外側方に向いている。隣接する椎骨12が整列している場合、滑らかな関節軟骨で覆われ靱帯で被包されている関節窩30、31は、互いに噛み合って面関節32を形成する。
各隣接する椎骨12(図3の14、15として示す積み重なった椎体を有する)の間に位置する椎間板34は、椎骨12間の滑動を可能にする。このように、椎骨12の構造及び整列により、椎骨12の互いに対する一連の動きが可能になる。図4は、椎骨12の後外側斜面図を示す。
脊髄40は、長く細い管状の神経束42であり、該神経束は、脳からの中央神経系の延長である。脊髄40は椎孔19内に位置しており、脊柱10を形成する骨質の脊柱により保護されている。脊髄40の主要な機能は、抹消と脳との間の神経入力の伝達である。3つの髄膜、即ち外側の硬膜、くも膜、及び最内の軟膜、が脊髄を覆っている。脳脊髄液は、くも膜下腔内に認められ、脊髄は、連結している歯状靱帯により、硬膜の内側で安定している。該歯状靱帯は、後根及び前根との間で、被包している軟膜から延びている。椎弓板は、硬膜鞘48のための保護及び棘突起の基礎を提供する。硬膜上腔44は、脊髄40と椎弓18との間に設けられており、椎孔19を画定している。椎孔19の一部もまた、黄色靱帯46によって占められている。黄色靱帯46は、隣接する椎骨12の椎弓板を連結する。しかし、前述した通り、黄色靱帯46は肥厚する可能性があり、それにより、脊髄40を収容するのに利用可能な、椎孔19内の横断面容積を減少させる。結果として、脊髄40に圧力がかかり、背部痛、下肢の麻痺等をもたらす。
このように、脊柱10全体が一連の機能的脊椎単位を含み、該単位は、脊髄40を取り囲んでいる運動分節であり、該単位は、2つの隣接する椎体14、椎間板34、関連した靱帯、及び面関節32から成る。ポスナー・アイ(Poner, I)ら、「腰椎及び腰仙椎の臨床的安定に関する生態力学的分析(A biomechanical analysis of the clinical stability of the lumbar and lumbosacral spine.)」、脊椎7(Spine 7):374〜389頁(1982年)を参照のこと。
本発明のデバイスの実施形態は、構成可能且つ適応可能のいずれか又は両方であるモジュール設計を含む。更に、本明細書に開示されている種々の実施形態はまた、「キット」又はシステムに形成されてもよい。当業者であれば理解できることだが、画像技術が向上するにつれて、画像を解釈する機構(例えば、ソフトウェア・ツール)が向上するにつれて、これらの概念を用いているツール及びデバイスの患者に特化した適応は、手術に先行して構成されるか又は製造されてもよい。従って、事前に構成されており一体に形成されている構成要素を備える、患者に特化したツール及びデバイスを提供することは、本発明の範囲内である。
本発明の動作態様を理解するために、人体50の解剖学的基準を理解することが役に立つ。デバイスの配置及び動作、並びにその構成要素は、該基準に合わせて記載されている。人体50及び人体内部の構造を説明するために、解剖学で一般に使用されている3つの解剖学的平面、即ち軸平面52、矢状面54、及び前頭面56(図5参照)、がある。更に、デバイス及びデバイスの動作については、尾側方向60及び/又は頭側方向62と言えば分かり易くなる。身体へのアクセスは、デバイス及びツールの配置、動作、又は動きが身体の背部即ち後部に向かうように、背側70(即ち後方)であることができる。或いは、デバイス及びツールの配置、動作、又は動きが身体の前部に向かうように、デバイス及びツールは、腹側71(即ち前方)にすることができる。本発明のツール及びシステムの種々の実施形態は、単一の解剖学的平面に対して又は2つ以上の解剖学的平面に対して、構成可能であり可変であってもよい。例えば、ツール又はツールの構成要素は、単一平面内部にあるものとし、その単一平面に合わせて記載されてもよい。同様に、様々な患者のサイズに適応するために、種々の構成要素は、様々な大きさ及び/又は形状を包含することができる。
脊柱(vertebral column(spine, spinal column, backbone))は、軸骨格の主要部分を形成し、強いが柔軟な支持を頭部及び身体に提供し、脊柱管内に配置されている脊髄を保護する。脊柱管は脊柱の内側に形成されている。脊柱は、隣接する椎骨間に椎間板を有する状態で、図3に2つ示されたような椎骨の積重ねを含む。椎骨は、椎骨を所定の位置に保持し椎骨の動きを制限する筋肉及び靱帯によって安定している。
図2A及び3に戻って参照すると、各椎骨12は、椎弓18を支持する椎体14を含む。正中面即ち矢状面(図5の54)は、一般に、椎骨12を2つの略等しい側部に分割する。椎体14は、短い円柱の全体形を有し、椎弓18の前方にある。椎体14と共に椎弓18は、椎孔19と称される空間を封入している。脊柱に沿った隣接する椎骨12内の椎孔19の連続は、脊髄40を含む脊柱管(vertebral canal(spinal canal))を画定している。
椎弓18は、2つの椎弓根16、16’により形成されている。該椎弓根は、後方に突出して2つの椎弓板20に連絡している。2つの椎弓板20は、背側中央で連絡して棘突起22を形成する。椎弓根16、16’と椎弓板20との結合部において、6つの突起が生じている。2つの横突起24、24’は、背側方に突出しており、2つの上関節窩26、26’は略上方に突出しており、略下方に突出している2つの下関節窩28、28’の上方に位置している。
椎孔19は、略長円形の空間であり、脊髄40を含み、それを保護する。脊髄40は、脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)及び硬膜鞘48と呼ばれる最も外側の鞘/膜により取り巻かれている複数の神経42を含む。神経42を含む、CSFに満ちた硬膜鞘48は、比較的圧縮性がある。椎孔19内の脊髄40の後方に、黄色靱帯46がある。脊柱内の椎弓18に隣接する椎弓板20は、比較的幅が広く伸縮性の黄色靱帯46により結合されている。
椎孔19は、黄色靱帯46、脊髄40、及び黄色靱帯46と脊髄40との間にある硬膜上腔44の一部を含む。脊髄40は、硬膜鞘48内に含まれている脳脊髄液(CSF)により取り巻かれている複数の神経42を含む。神経42は、通常、硬膜鞘48の容積の小部分のみを含む。そのため、局所的な圧迫によりCSFが硬膜鞘の隣接部分へ流出した時、CSFに満ちた硬膜鞘48は、いくらか局所的に圧縮性になる。硬膜上腔44は、通常、血管及び脂肪で満たされている。正常な硬膜上腔44の後縁は、一般に、黄色靱帯46により画定されている。該黄色靱帯は、図2Bでは、その正常な肥厚していない状態が示されている。
図13は、肥厚した黄色靱帯26に起因する脊柱管狭窄症の症例を示す。椎孔15は、比較的剛性の骨に画定され取り囲まれているので、その容積は本質的に一定である。そのため、椎孔15内での黄色靱帯46の肥厚により、最終的に脊髄28の圧迫が生じる可能性がある。特に、肥厚した黄色靱帯46は、硬膜鞘32の後面に圧迫力をかける可能性がある。更に、黄色靱帯46の肥厚は、硬膜上腔27を占める血管及び脂肪を圧迫する可能性がある。
脊髄28の圧迫は、特に腰部において、腰痛及び下肢における疼痛又は異常感覚を生じる可能性がある。更に、馬尾の神経を収容する硬膜上腔27における血管の圧迫は、脊椎性跛行と称される虚血性疼痛を生じる可能性がある。
肥厚又は拡大した黄色靱帯46に関連した症状を緩和するために、本明細書に記載されている方法、技術、及びデバイスを使用して、肥厚した黄色靱帯によって脊髄28及び硬膜上腔27内の血管にかけられていた圧迫力を低減してもよい(例えば、脊髄28及び硬膜上腔27内の血管を除圧する)。肥厚/拡大した黄色靱帯46によってかかる圧迫力は、本明細書に記載されている靱帯除圧手順により低減されてもよい。靱帯除圧手順は、一般に、低侵襲的であることにより、当業者であれば理解できる利益を提供する。黄色靱帯46の一部を切除することにより、靱帯除圧手順は、黄色靱帯46のサイズを縮小させることができる。いくつかの実施形態では、靱帯除圧手順は、経皮的に実施されてもよい。靱帯除圧手順のいくつかの実施形態では、黄色靱帯46は、靱帯除圧手順の同側アプローチを用いて縮小されてもよい。このアプローチを用いることにより、椎弓14の同側即ち同じ側から黄色靱帯46にアクセスすることができる。次いで、経皮的頭側‐尾側アプローチにより、同側で黄色靱帯46を切削し除去することができる。
II.組織切除デバイス
本明細書に開示されている組織切除ツール、デバイス、及び方法は、いくつかの形態を取ることができ、以下に記載されている低侵襲靱帯除圧手順法の同側アプローチに従って使用されてもよいか、又は代替の低侵襲靱帯除圧手順(例えば、図16に示す低侵襲靱帯除圧手順)に従って使用されてもよい。1つのそのような代替の低侵襲靱帯除圧手順は、2006年2月16付の米国特許出願公開第2006/0036272号明細書として公開されている、米国特許出願第11/193581号明細書に開示されている。以下の組織切除デバイスの説明において、デバイスの末端部分が詳細に記載されている。当業者であれば理解できることだが、「末端」とは、対象領域(例えば、除圧されるべき黄色靱帯の肥厚した部分)に比較的近く、取付け点又は使用点から最も遠い位置を指す。本実施形態では、組織切除部材120は、枢動部材121の末端部105の周囲に配置され、近位端部108の動軸又は枢動部材127の周囲に配置された、可撓性連続ループ又はベルトである。一実施形態によると、組織切除ベルト又はループ110及び遠位枢動部材121は、組織切除ベルト110が中空体103の穴即ち内腔内で遠位方向又は近位方向(即ち、後方及び前方)に動けるように、中空体103内部に可動式に配置されている。組織切除ベルト110の少なくとも一部は、中空体103の開口107を介して露出し、突出している。
本明細書に開示されている組織切除ツール、デバイス、及び方法は、いくつかの形態を取ることができ、以下に記載されている低侵襲靱帯除圧手順法の同側アプローチに従って使用されてもよいか、又は代替の低侵襲靱帯除圧手順(例えば、図16に示す低侵襲靱帯除圧手順)に従って使用されてもよい。1つのそのような代替の低侵襲靱帯除圧手順は、2006年2月16付の米国特許出願公開第2006/0036272号明細書として公開されている、米国特許出願第11/193581号明細書に開示されている。以下の組織切除デバイスの説明において、デバイスの末端部分が詳細に記載されている。当業者であれば理解できることだが、「末端」とは、対象領域(例えば、除圧されるべき黄色靱帯の肥厚した部分)に比較的近く、取付け点又は使用点から最も遠い位置を指す。本実施形態では、組織切除部材120は、枢動部材121の末端部105の周囲に配置され、近位端部108の動軸又は枢動部材127の周囲に配置された、可撓性連続ループ又はベルトである。一実施形態によると、組織切除ベルト又はループ110及び遠位枢動部材121は、組織切除ベルト110が中空体103の穴即ち内腔内で遠位方向又は近位方向(即ち、後方及び前方)に動けるように、中空体103内部に可動式に配置されている。組織切除ベルト110の少なくとも一部は、中空体103の開口107を介して露出し、突出している。
組織切除ベルト又はループ110は、任意の適切な可撓性の材料を含んでもよい。適切な材料の例として、ゴム、ポリシリコーン、又はそれらの組合せなどを含むがそれらに限定されないポリマーが挙げられる。好ましくは、組織切除ベルト110は、組織に係合しそれを除去するのに足りる表面を有する。例えば、組織切除ベルト110は、図8に示す刻み付きの表面、紙やすり様表面などの研削面又は鋭利な面を有していてもよい。適切な表面はまた、網状組織、又は互いに噛み合いスライス動作を生じるのに適応可能な表面を含む。そのような表面は、デバイス100の用途に応じて、異なる石質又は程度の研磨性を含んでもよい。代替として、研削面への追加として、組織切除ベルト上に1つ又は複数の能動的切削構造体(例えば、ブレード、アールエフ・ループ(RF loop)等)を含んでもよい。更に、近位端部は、取付け点から離れて又は対象領域から離れて配置される端部である。当業者であれば理解できることだが、「近位」及び「末端」を用いると、使用者及び対象点若しくは手術部位に対する、又は別の構成要素に対する、構成要素の相対位置の理解を容易にすることができる。組織切除ベルトを含む組織切除デバイスの末端部の例示的な実施形態もまた、以下に記載されている。しかし、本明細書に記載されている組織摘出デバイスの実施形態は、当業者には既知であり理解されている種々の末端部及び種々の切除手段と共に使用されてもよいことを、理解されたい。
ここで図6を参照すると、標的組織を切除し除去するためのデバイス100の実施形態は、末端部96に閉端部102を、少なくとも一方の面に、閉端部102に近接した組織アクセス開口又は孔104を有する細長い中空体110を含む。組織切除部材120(図示せず)が、中空体110の内部に同軸上に配設されている。使用者がその近位端部98からデバイス100の末端部96の動作を制御するように適応され構成されているハンドル130が設けられており、アクチュエータ136即ちトリガをデバイスの動作を起動するために設けることができる。
図7に示す通り、駆動部材132を制御するモータ134に連結されている駆動部材132を設けることができ、それにより、組織切除部材120を起動することができる。駆動部材132を、例えば、ギア、摩擦接触、ベルト、又はそれらの組合せを含む任意の適切な機構により、機械的、電気的、又は電気機械的に組織切除部材120に連結して、例えばモータ134により供給される回転トルクを組織切除部材120に伝達してもよい。本実施形態では、モータ134は、中空体110に結合されているハンドル130内部に封入されている。中空体110をハンドル130に取外し可能に結合して、それにより、中空体110への定期的なアクセスを可能にし、切除されてその中に採取された組織を除去してもよい。
一般に、モータ134は、駆動部材132の回転及び組織切除部材120を駆動するように適応可能な又は構成可能な任意の適切なデバイスを含んでもよく、該デバイスは、電気モータ、油圧モータ、空気モータ等を含むがこれらに限定されない。モータ134は、電気モータを含むことが好ましい。そのような実施形態では、モータ134は、充電池(例えば、リチウム・イオン電池、ニッケル・カドミウム電池など)により又は従来のコンセントから供給される電気で、駆動してもよい。本実施形態では、モータ134は、デバイス100を使用する人の指により作動可能なトリガ136により、オンオフを切り換えられる。他の実施形態では、モータ134は、ハンドル(例えば、ハンドル130)に設けられているスイッチで、オンオフを切り換えられてもよい。
本実施形態では、中空体110は、円形横断面を有する細長い円柱形管状体である。適切な横断面は、例えば、0.1インチ(0.254cm)から0.5インチ(1.27cm)までに及ぶ。しかし、一般に、中空体110は、六角形、長方形等を含むがそれらに限定されない任意の適切な横断面形状を有していてもよい。中空体110は、その長さに沿って、剛性、可撓性、若しくは可変的に剛性及び可撓性であってもよく、又は必要に応じて、例えば剛性の第1の構成、次に可撓性の第2の構成を有するように、適応可能且つ構成可能であってもよい。中空体の適切な例には、カニューレ、ハイポチューブ、カテーテル等が含まれるがそれらに限定されない。更に、随意選択で、中空体110を、誘導カテーテル内部に同軸上に配設されるような大きさにしてもよい。
中空体110は真っ直ぐな細長い本体であるように図示されているが、中空体110が、蛇行したアクセス経路を必要とする標的組織を切除することが所望された時には、連結式であってもよい。即ち、中空体110は、適切な角度を含み、標的組織まで直線でない経路を通って前進できるようにしてもよい。或いは、中空体110は、標的組織にアクセスするために取られる経路に類似した、滑らかに湾曲した構成を有していてもよい。
前述した開口104により、切除及び除去のために、組織切除部材120の末端部96が標的細胞にアクセスすることが可能になる。一般に、開口104は、長方形(図8B)、円形、長円形(図8A)等を含むがそれらに限定されない任意の適切な形状を有していてもよい。開口104は、組織切除部材120の一部が、開口104に隣接した組織に暴露されるか又は接触することを可能にするのに十分な大きさであることが好ましい。他の実施形態では、閉端部102は、組織切除部材120が各開口104、104’から突出するか又は露出するように、図9に示す通り、複数の開口104、104’を有していてもよい。
図8A及び8Bに戻って参照すると、中空体110の末端部96は、末端部及び中空体110が患者の体内に効率的に軸方向に前進できるように、閉じていることが好ましい。図9に示す通り、末端部96は鈍頭であってもよく、又は筒口を形成しているか若しくは図10Aに示す通り円錐形状であってもよい。図10Bを参照すると、いくつかの実施形態では、末端部96に斜角を付け即ちそれをとがらせて、より容易に組織を貫通するために鋭利な先端を形成してもよい。その上更に、末端部96は、低侵襲手術中に可視化を向上させるために、適切な放射線不透過マーカで標識化されていてもよい。図10Cの実施形態に示す通り、末端部96は、組織切除部材120を露出させるために開口106を含む。そのような実施形態では、デバイス100を使用して、軸方向に組織を切除してもよい。
別の実施形態では、デバイス100は、より多くの組織切除部材120、120’を含んでもよい。図10Dに図示した実施形態に示す通り、デバイス100は、少なくとも第1の組織切除部材120及び第2の組織切除部材120’を含んでもよい。第1の組織切除部材120は、第2の組織切除部材120’に略平行に配向されてもよい。第1の組織切除部材120の一部を、第1の開口104で露出させてもよく、一方、第2の組織切除部材120’の一部を、本体110の反対面にある開口などの開口104’で露出させてもよい。各組織切除部材120、120’は、それぞれ遠位枢動部材122、122’を有していてもよい。
図10Eに示す代替の実施形態では、平行な第1及び第2の組織切除部材120、120’の末端部96は、デバイス100の末端部96の開口106を通り抜けてもよい。そのような実施形態では、デバイス100の末端部において互いに向かって半径方向内向きである、組織切除部材120、120’即ちベルトの回転は、デバイス100内へ切除されるべき組織を掴み引っ張る可能性をもたらす。デバイス100内に引き込まれた組織は、研磨ベルトから形成されている組織切除部材120、120’で研削されるか、又は組織切除部材120、120’上に設けられている噛合いブレードで切削される。該噛合いブレードは、組織切除部材120、120’の末端部間に延出しながら一緒になって組織を切削する。
第1及び第2の組織切除部材120、120’並びに第1及び第2の開口104、104’を、対向する90度の構成で図10Fに図示するが、それらは、互いに対して任意の適切な角度αで配置されてもよい。例えば、図10Fは、線10‐10に沿って見直して末端部から見た、図10Eに示すデバイス100の実施形態の横断面図を示す。そのような実施形態では、第1及び第2の開口104、104’を、互いから角度α即ち90度の構成で配置してもよい。必要に応じて、本発明の範囲から逸脱することなく、他の角度を用いることができる。更に、1つ又は複数の組織切除部材120、120’を任意の適切な方向に動作させてもよい。しかし、第1及び第2の組織切除部材120、120’が、図10D及び図10Eに示す矢印に従って中空体110の中央を通して切除された組織を除去することができるように駆動されることが好ましい。
ここで図11A〜B及び12A〜Bを参照すると、ある実施形態では、遠位枢動部材122は、末端部124及び近位部分124’を有する単一の構成要素を含む。遠位枢動部材122の近位部分124’は、図12Bに示す側方延出部分126を備えるT字形をしていてもよい。側方延出部分126は、中空体110の内面に取り付けられてもよい。末端部124は、組織切除部材120が遠位枢動部材122の周囲を移動する時に摩擦を低減するためなどに、丸くてもよく、湾曲した面を有していてもよい。遠位枢動部材122は、金属、プラスチック、又はそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、任意の適切な材料で作製されてもよい。更に、遠位枢動部材122は、剛性又は可撓性であってもよい。側面で見ると、遠位枢動部材122は、平らであってもよく、又は輪郭に合わせて作られてもよい。
図11Bを詳細に参照すると、追加の実施形態では、枢動部材121は、アーム126により連結されている1つ又は複数の枢動式又は自由回転要素122、122’を含んでもよい。該要素は、組織切除部材120が比較的低摩擦で動くことを可能にする。更に詳細には、回転要素122、122’は、回転軸に取り付けられている小径の円筒形ドラムを含んでもよい。しかし、回転要素122、122’はまた、小さい軸受け、車輪、又は当業者に既知の他の回転要素を含んでもよい。更に、回転要素122、122’は、きめを粗くして組織切除ベルトを把持即ち把握するようにしてもよく、組織切除ベルトが回転要素122、122’の上で折り返すことを可能にする。更に、図11Bに示す通り、1つ又は複数の開口回転要素128は、組織切除部材120上の被覆物が縁部108にこすれるのを防ぐために、開口104の近位縁部に配設されてもよい。また、開口回転要素129が、開口104の遠位縁部に配設されてもよい。
III.処置方法
A.安全ゾーンの生成
図2Bに示す通り、黄色靱帯46は、脊髄40の後方に隣接している。黄色靱帯46は、図13に示すように拡大する可能性がある。黄色靱帯46の一部を切除するための黄色靱帯46内部でのツールの配置により、脊髄40、硬膜鞘48、及び/又は神経42への不慮の損傷のリスクが生じる。そのため、本明細書に記載されている手順のいくつかの実施形態では、黄色靱帯46内への組織修正デバイスの挿入前に、黄色靱帯46と脊髄40との間に、間隙、ポケット、又は空間を有利に形成し、黄色靱帯46と脊髄との間に安全ゾーン80(図14に示す)を提供する。
A.安全ゾーンの生成
図2Bに示す通り、黄色靱帯46は、脊髄40の後方に隣接している。黄色靱帯46は、図13に示すように拡大する可能性がある。黄色靱帯46の一部を切除するための黄色靱帯46内部でのツールの配置により、脊髄40、硬膜鞘48、及び/又は神経42への不慮の損傷のリスクが生じる。そのため、本明細書に記載されている手順のいくつかの実施形態では、黄色靱帯46内への組織修正デバイスの挿入前に、黄色靱帯46と脊髄40との間に、間隙、ポケット、又は空間を有利に形成し、黄色靱帯46と脊髄との間に安全ゾーン80(図14に示す)を提供する。
ここで図13に戻ると、椎骨12内部の椎孔15の横断面図が示されている。椎孔15は、硬膜上腔27、及び神経34を含む脊髄28、及び硬膜鞘32内のCSFを含む。更に、肥厚/拡大した黄色靱帯26は、椎孔15内に延出する。硬膜鞘32及び脊髄28への損傷のリスクを低減するために、本明細書に記載されている方法に従い、黄色靱帯26と硬膜鞘32との間に安全ゾーンを生成する。
前述した通り、脊髄40は、CSFにより取り巻かれている神経42を含み、硬膜鞘48内部に含まれている。腰部における硬膜鞘48の容積の90%超はCSFによって満たされているので、硬膜鞘48は極めて圧縮性である。そのため、狭窄症が脊髄40の圧迫を引き起こしている場合も、殆どの症例において、脊髄40を一時的に更に圧迫することが可能である。硬膜上腔44内に媒体を導入して安全ゾーンを形成することにより、対象領域において硬膜鞘48を更に圧迫することができる。例えば、媒体は、流体、ゲル、又は脊髄を圧迫するための任意の他の適切な媒体とすることができる。針、カテーテル、カニューレ、又は任意の他の適切な挿入デバイスなどの挿入部材を用いて、媒体を硬膜上腔44内に導入することができる。安全ゾーン内に配置されている媒体は、硬膜鞘48の外面に追加の圧迫力を徐々にかけ、その結果、硬膜鞘48内のCSFの少なくとも一部が、対象領域の硬膜鞘48から外へ押し出され、硬膜鞘48と黄色靱帯46との間に安全ゾーンがもたらされる。
いくつかの実施形態によると、例えば造影剤を硬膜上腔44の対象領域内に導入することにより、硬膜鞘48を圧縮することができる。造影剤の導入により、造影誘導硬膜保護を提供することができる。更に、造影剤を使用して、安全ゾーンを形成することができるか、又は手術領域の可視化を補助することができる。いくつかの実施形態では、造影剤を使用して、安全ゾーンの形成及び対象領域の画像化の補助の両方を行うことができる。造影剤は、標準的な放射線不透過非イオン性脊髄造影剤又は任意の他の適切な画像化可能な若しくは画像化不可能な造影剤である得る。造影剤の注入により、造影剤を硬膜上腔内に導入することができる。いくつかの実施形態では、注入は経皮的注入である。十分な量の造影剤を硬膜上腔44の対象領域内に注入して、CSFを対象領域から外へ変位させ、硬膜鞘48を圧縮することができる。その物質は、硬膜鞘48を全体的に圧縮することができる。或いは、その物質は、硬膜鞘48を部分的に圧縮することができる。任意の所望の程度まで、硬膜鞘48を圧縮することができる。対象領域内に導入されると、導入された媒体は、硬膜上腔44の領域内に全体的に含有され得る。同時に、媒体は硬膜鞘48の縁部まで延びる。或いは、導入された媒体は、硬膜上腔44の領域内に部分的に含有され得る。硬膜上腔44は、実質的に防水性であり、硬膜上腔44内の脂肪組織及び血管新生は、造影剤の粘性特性と組み合わさって、注入された媒体を所望の対象領域内に実質的に維持する働きをする。
安全ゾーンが生成されると、前述したような組織修正ツール又はデバイス100が、黄色靱帯46内に挿入される。デバイス100は、肥厚/拡大した黄色靱帯46に起因する狭窄症を緩和するための、本明細書に記載されている組織修正デバイス及び組織退縮デバイスの実施形態を含むがそれらに限定されない、任意の適切なデバイス、ツール、又は機器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイス100が矢状面54と交差しないように身体に経皮的にアクセスする時、デバイス100を矢状面54の同じ側(同側)の黄色靱帯46内に挿入し、配置する。或いは、デバイス100が矢状面54と交差するように身体に経皮的にアクセスする時、デバイス100を矢状面54の反対側の黄色靱帯46内に配置することができる。いくつかの実施形態では、組織修正デバイス100を黄色靱帯46の方向へ、カニューレにより誘導することができ、カニューレを通して前進させることができる。いくつかの実施形態では、カニューレを使用することなく、デバイス100を黄色靱帯46の方向へ前進させることができる。
図示した通り、デバイス100の先端が黄色靱帯46の内部に留まっていることが好ましいが、安全ゾーンの存在により、デバイス100の先端が黄色靱帯46の前面を突き破ったとしても、硬膜鞘48が損傷を受ける可能性が減少する。
本技術は経皮的に実施されることが好ましいため、本開示の特定の態様は、画像化によって容易になる可能性がある。画像窓(例えば、蛍光透視アクセス窓)を使用して、本明細書に記載されている手順の全て又は一部の実施を補助することができる。例えば、画像窓を使用して、デバイス100の黄色靱帯46内への挿入を補助することができる。
二次元蛍光透視、三次元蛍光透視、CT、MRI、及び超音波を含むがそれらに限定されない任意の適切な技術を使用して、脊椎を画像化することができる。また、光ファイバー又は顕微鏡下手術の技術を用いて、脊椎を直接可視化することができる。定位画像融合技術又はコンピュータによる画像融合技術もまた、脊椎の画像化に適している。蛍光透視は、現在、本明細書に開示されている技術に特によく適している。蛍光透視機器は、安全で使い易く、殆どの医療施設において容易に入手し易く、比較的安価である。通常の手順では、直接2方向透視誘導及び局所麻酔を使用しながら、手術部位に隣接して造影剤を注入するために、硬膜上腔44がアクセスされる。
注入された造影剤が、例えば脊髄造影剤であるなど、放射線不透過である場合、拡大した硬膜上腔44の縁は、蛍光透視又はCT画像化を使用すると容易に可視化する。従って、本造影誘導硬膜圧縮技術により生成された安全ゾーンは、靱帯除圧手順中に、硬膜鞘48及び脊髄40への損傷のリスクを低減することができる。該靱帯除圧手順は、脊柱管狭窄症を処置するために、黄色靱帯46及び/又は椎弓板20の一部を除去するか又は変位させる。
B.注入可能な媒体の使用
本発明の一態様において、硬膜上腔内に注入される媒体は、再吸収可能な水溶性ゲルを含むが、それらに限定されないゲルとすることができる。ゲルを使用して手術部位において安全ゾーンを局限し、脊柱管(vertebral/spinal canal)の保護層からの造影剤の漏れを低減させることができる。いくつかの実施形態では、造影剤は注入可能なゲルとすることができる。該ゲルは、従来の造影剤よりも粘性とすることができる。ゲルの粘性により、ゲルは所望の対象領域に局限されることが可能になる。このことは、硬膜外造影において使用される標準的な液体造影剤とは対照的である。該標準的な液体造影剤は、注入された領域から外へ広がる傾向が高い。ゲルの使用により、硬膜鞘48の圧縮がより均一化し、また、脊柱管(vertebral/spinal canal)から外への造影剤の漏れを減少させる。更に、造影ゲルがよりゆっくりと再吸収されることにより、外科的手順全過程中の対象領域の可視化の向上が可能になる。いくつかの実施形態では、硬膜鞘を所望量で圧縮する必要に応じて、ある量のゲルが導入される。いくつかの実施形態では、膨張可能なゲルが導入される。該ゲルは、膨張して硬膜上腔を満たし、硬膜鞘を圧縮する。いくつかの実施形態では、ゲルは、外科的手順の一部の間に、対象領域の可視化の向上を可能にする速度で再吸収される。
本発明の一態様において、硬膜上腔内に注入される媒体は、再吸収可能な水溶性ゲルを含むが、それらに限定されないゲルとすることができる。ゲルを使用して手術部位において安全ゾーンを局限し、脊柱管(vertebral/spinal canal)の保護層からの造影剤の漏れを低減させることができる。いくつかの実施形態では、造影剤は注入可能なゲルとすることができる。該ゲルは、従来の造影剤よりも粘性とすることができる。ゲルの粘性により、ゲルは所望の対象領域に局限されることが可能になる。このことは、硬膜外造影において使用される標準的な液体造影剤とは対照的である。該標準的な液体造影剤は、注入された領域から外へ広がる傾向が高い。ゲルの使用により、硬膜鞘48の圧縮がより均一化し、また、脊柱管(vertebral/spinal canal)から外への造影剤の漏れを減少させる。更に、造影ゲルがよりゆっくりと再吸収されることにより、外科的手順全過程中の対象領域の可視化の向上が可能になる。いくつかの実施形態では、硬膜鞘を所望量で圧縮する必要に応じて、ある量のゲルが導入される。いくつかの実施形態では、膨張可能なゲルが導入される。該ゲルは、膨張して硬膜上腔を満たし、硬膜鞘を圧縮する。いくつかの実施形態では、ゲルは、外科的手順の一部の間に、対象領域の可視化の向上を可能にする速度で再吸収される。
硬膜上腔44内に、ゲルを導入することができる。ゲルは造影剤を含むことができるか、又は造影剤をゲルと同時に硬膜上腔44内に導入することができるかのいずれかである。硬膜上腔内にある量の造影剤を導入した後、ある量のゲルを導入することができる。或いは、硬膜上腔内に、ある量のゲルを導入した後、ある量の造影剤を導入することができる。造影剤をゲルの塊の表面上に捕えることができるので、ゲルの塊の表面は画像化可能である。
いくつかの実施形態では、標準的な親水親油ブロック共重合体ゲルを含むが、それらに限定されない共重合体ゲルを使用することができるし、あるいは任意の他の適切なゲルを使用することができる。いくつかの実施形態では、ゲルは不活性塩基を含む。いくつかの実施形態では、ゲル物質は、温度依存性ゲル物質とすることができる。いくつかの実施形態では、ゲルは、周囲温度で流体とすることができ、それを27ゲージ針などの小腔を通して硬膜上腔内に注入することができる。体温まで温めた場合、ゲルは濃くなり、その結果、更に粘性となり得る。ゲルの調製の特質により、ゲルの粘性を調節することもできる。いくつかの実施形態では、注入されたゲルは、硬膜外造影剤に通常使用される液体の粘性の2倍、3倍、6倍、又は10倍もの粘性を獲得することができる。ゲル又は他の流体は、体温で十分に粘着性又は粘性とすることができ、前述した方法で硬膜鞘48を圧縮し、保護することができる。いくつかの実施形態では、ゲルは、硬膜上腔内に注入された後少なくとも約30分間は、対象領域に留まることができる。
特定の実施形態において、注入された媒体は、体温まで温められた場合に粘性の可逆変化を受けるので、該媒体は低粘性流体として注入されることが可能であり、患者に注入されると濃くなり、冷却によりその低粘性状態に戻ることができる。いくつかの実施形態では、注入された媒体は、所望の通りに硬膜上腔に導入され、ゲルは、体温によって温められると濃くなる。いくつかの実施形態では、冷却用の先端、針、カテーテル又は他の適切な冷却装置が設けられている吸入器などの熱除去装置にゲルを接触させることにより、ゲルを除去することができる。局部的な冷却の結果として、ゲルは、その最初の非粘性流体の状態に戻ることができ、吸入器又は他の適切な吸引デバイスにより容易に吸引されることが可能である。
所望の特徴を有する適切な造影剤の例は、ニューヨークに所在するナイコムド(Nycomd)社から入手可能なオムニペーク(OMNIPAQUE)(登録商標)240(イオヘキソール)であり、これは、市販の非イオン性のヨウ素化された脊髄造影剤である。他の適切な媒体は当業者の知るところとなろう。脊髄40及び神経42に近接しているため、媒体に関してイオン性媒体を使用しないことが好ましい。いくつかの実施形態では、手順後、組成物は比較的急速に再吸収され、靱帯除圧手順後の硬膜鞘48におけるいかなる残留圧縮も、比較的速やかに消失する。例えば、いくつかの実施形態では、ゲルは、硬膜鞘48を30分間圧縮するのに十分な粘性を有することができ、約2時間以内に実質的に再吸収されるのに十分な分解性を有する。
導入された造影剤は、1つ又は複数の生物活性剤を更に含むことができる。例えば、硬膜外ステロイド注射に使用されるものなどの薬剤(例えば、デポ・メドロール(Depo Medrol)(登録商標)(酢酸メチルプレドニゾロン),セレストーン(Celestone)(登録商標)Soluspan(登録商標)(リン酸ベタメタゾンナトリウム及び酢酸ベタメゾン))を硬膜外ゲルに添加して、治癒を促し、炎症、瘢痕、及び癒着を低減することができる。ゲルはステロイド剤をゆっくりと放出し抗炎症作用を延長することができるので、極めて有利であり得る。局所麻酔剤をゲルに添加することもできる。これにより、硬膜上腔内の局所麻酔剤の作用の持続時間が延長され、硬膜外麻酔中の沈痛が延長される。本実施形態において、ゲルを調製してゲルの再吸収を遅らせることができる。
また、急性又は慢性の脊椎痛を制御するための硬膜外ステロイド注射及び神経周囲ブロックに、ゲルを使用することができる。出血のリスクを低減するために、必要に応じて、トロンビン又は他の止血剤を添加することができる。
いくつかの実施形態では、また、CSF漏が生じた場合、血液パッチの代用品として、ゲルを使用することができる。また、腰椎穿刺後のCSF漏などの腰椎穿刺の合併症又は脳圧低下症の他の原因を処置する代用方法として、ゲルを使用することができる。同様に、術後のCSF漏又は硬膜外破砕にパッチを当てるために、ゲルを使用することができる。硬膜鞘を不注意で破砕したか又は切削した場合、ゲルは即座にその部位を塞ぐ働きをし、脳脊髄液の漏洩を防ぐ。
C.低侵襲靱帯除圧手順のために狭窄に同側でアプローチする
安全ゾーン80が生成されると、導入された媒体により、硬膜上腔44の縁が鮮明に画定され、画像化可能な媒体が使用された場合、X線写真上で可視化され得る。前述した通り、硬膜鞘48及び脊髄40を傷つける可能性を低減しながら、黄色靱帯46及び/又は周囲組織において、経皮的手順をより安全に実施することができる。図14A〜Cに示す通り、黄色靱帯46に同側で又は反対側でアクセスすることができる。
安全ゾーン80が生成されると、導入された媒体により、硬膜上腔44の縁が鮮明に画定され、画像化可能な媒体が使用された場合、X線写真上で可視化され得る。前述した通り、硬膜鞘48及び脊髄40を傷つける可能性を低減しながら、黄色靱帯46及び/又は周囲組織において、経皮的手順をより安全に実施することができる。図14A〜Cに示す通り、黄色靱帯46に同側で又は反対側でアクセスすることができる。
種々の適切な技術及びデバイスを使用して、肥厚/拡大した黄色靱帯46のサイズを縮小させ、それにより、硬膜上腔44内部に含まれている脊髄40及び血管の除圧をしてもよい。適切な除圧技術の例は、黄色靱帯46からの組織の除去、椎弓切除術、椎弓切開術、及び黄色靱帯46の退縮又は固定を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、組織修正デバイス又はツール(例えば、本明細書に記載されているデバイス100)を使用して、黄色靱帯46の全部又は一部を切除する。
組織修正デバイス100の1つを用いて黄色靱帯46にアクセスし、黄色靱帯46の一部を除去することにより、重大な課題が提示される可能性がある。例えば、拡大した黄色靱帯46に起因する狭窄症を矯正するいくつかの従来の手法では、患者の背中を切開し、次いで、脊柱(vertebral column(spine))の筋肉及び支持構造体が剥がされ、脊柱の後面を露出する。その後、椎弓18の、多くは椎弓板20での、一部の除去により、肥厚した黄色靱帯が露出される(椎弓切除術)。該椎弓板は、脊柱管の後部を取り囲んでいる。次いで、例えば、外科用メス又は穿孔機器を用いた鋭的な切除により、肥厚した黄色靱帯を切除することができる。しかし、この手法は通常は全身麻酔下で実施され、通常、長期入院、長い回復時間、及び相当なリハビリテーションを必要とする。別の例として、いくつかの靱帯除圧手順は、椎骨12の椎弓18を貫いて、多くは椎弓板20を貫いて穴を開けることにより、黄色靱帯46に経皮的にアクセスする。カニューレ及び/又はデバイス100に穴を貫通させ、且つ/又はそれを穴に固定して、修正及び/又は切除のために黄色靱帯46にアクセスしてもよい。しかし、そのような靱帯除圧手順は、低侵襲的であり、回復時間を減少させる一方、そのような手法は、対象の椎骨12の後部に穴を開ける追加のステップを必要とする。そのため、症例によっては、椎骨を切削するか又はそれに穴を開ける必要のない、黄色靱帯46に経皮的にアクセスする靱帯除圧手順を用いることが好ましいであろう。
図15A〜Eは、脊柱10の区域の部分横断面側面図である。部分横断面図は、矢状面54を横断して取られている。図15Aに示す脊柱10の区域は、3つの椎骨12a、12b、及び12cを含む。各椎骨12a、12b、12cは、椎体14a、14b、14cを含み、該椎体はそれぞれ、椎弓18a、18b、18cを支持している。椎体14a、14b、14cはそれぞれ、椎弓18a、18b、18cの前方にある。各椎弓18a、18b、18cはそれぞれ、椎体14a、14b、14cと一緒になっており、椎孔19を取り囲んでいる。隣接する椎骨12a、12b、12cにおける椎孔の連続は、脊柱管(vertebral canal(spinal canal))36を画定しており、該脊柱管は、脊柱10の長さに沿って通っており、矢状面54と前頭面56との間の交差の長さに沿って図示されている。脊柱管36は脊髄(図5に図示せず)を含む。
前述した通り、各椎弓18a、18b、18cは、2つの椎弓根16a、16b、16cを含み、該椎弓根はそれぞれ、後方に突出して2つの椎弓板20a、20b、20cに連絡している。この図では、1つの椎弓根が各椎骨12a、12b、12cから除去されており、1つの椎弓板20a、20b、20cの横断面のみが見えていることを理解されたい。2つの椎弓板20a、20b、20cはそれぞれ、背側中央で連絡して棘突起22a、22b、22cを形成している。
隣接する椎骨12a、12b、12cの椎弓板20a、20b、20cは、黄色靱帯46により接続されている(横断面に示す)。比較的伸縮性の黄色靱帯46は、隣接する椎骨の上位椎弓板から下位椎弓板まで略垂直に延びている。特に、黄色靱帯46は、上位椎骨の椎弓板の下面で生じ、下位椎骨の椎弓板の上面へ連絡している。そのため、黄色靱帯46は、椎弓板間空間38(即ち隣接する椎骨の椎弓板の間の空間)にまたがっている。椎弓板間空間38は、一般に、脊柱10内の隣接する椎骨の椎弓板の間の空間である。
更に、図15B〜Dを参照すると、各椎弓板20a、20b、20cは、比較的幅の広い平らな骨板を含み、該骨板は背側中央に延びており、それぞれ、椎弓根16a、16b、16cから若干下方に延びている。脊柱10の長さに沿って、椎弓板20a、20b、20cは、各椎弓板が隣接する下位椎弓板に略平行で少なくとも部分的にそれと重なっている状態で、重なっている。更に、隣接する略平行の椎弓板は、介入している黄色靱帯46及び椎弓板間空間38により分離されている。例えば、椎弓板20aは、隣接する下位椎弓板20bに略平行でそれと部分的に重なっており、黄色靱帯46及び椎弓板間空間38により椎弓板20bと分離されている。
図15Eは、脊柱手順又は手術の間に遭遇する可能性のある脊柱10を示す。更に、図15Eに示す実施形態では、黄色靱帯46は肥厚/拡大しており、脊柱管狭窄症をもたらす。特に、拡大した黄色靱帯46の前部は、脊柱管36内に延出し、脊柱管36内部にある脊髄(図示せず)に圧迫力をかける可能性がある。
前述した通り、脊髄における圧迫力を開放し、それにより脊柱管狭窄症の関連症状を緩和するために、黄色靱帯46の一部を切除してもよい。しかし、低侵襲技術により黄色靱帯46の一部を経皮的に切除する際、脊柱10及び各椎骨12の本来の構造のせいで画像化が非常に難しくなる可能性がある。例えば、実質的に前頭面56にある、黄色靱帯46の横方向の画像窓/視界は、椎骨の種々の突起(例えば、横突起、上関節突起、下関節突起)及び各椎骨の椎弓板等により遮られる可能性がある。更に、実質的に矢状面54にある、黄色靱帯46の前‐後(A−P)画像窓/視界もまた、椎弓板20により遮られる可能性がある。特に、実質的に矢状面54にあるA−PX線結像面においては、平行な椎弓板20の後縁が黄色靱帯46及び椎弓板間空間38、特に、脊柱管36に近い黄色靱帯46の前部及び椎弓板間空間38に重なり、それらを遮断している。しかし、矢状面54に略平行な平面の画像窓/視界を用いると、おおよそ図15Bに示す矢印83の方向に且つ棘突起22に対して若干横方向に角度を付けて、隣接する椎弓板20に大幅に遮られることなく、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46を見ることができる。換言すれば、矢印83(図15B)と略一直線をなす画像窓/視界により、椎骨又は椎弓板による最低限の遮断で、後方背面から椎弓板間空間38及び黄色靱帯46をより直接的に見ることが可能になる。
通常、略平行な椎弓板(例えば、椎弓板20a、20b、20c)及び椎弓板間の空間(例えば、椎弓板間空間38)の長軸は、一般に、後方背面70に対して、約60度と約75度の間で配向されている。そのため、画像化手段(例えば、X線ビーム、蛍光透視管等)を、おおよそ矢印83によって示されている方向に配置することが好ましく、そこでは、θは、後方背面70に対して、実質的に約60度と約75度の間である。換言すれば、画像化装置は、椎弓板の表面に略平行に配置される。以下に「頭側‐尾側後方視界」と称される、得られた画像窓/視界は、後方背面70全体からの、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46のより明瞭で、より直接的な、遮断の少ない視界を可能にする。頭側‐尾側後方視界は、略軸平面及び前頭面に沿った方向に、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46の比較的明瞭な視界を可能にする。しかし、頭側‐尾側後方視界単独では、矢状面54に略沿った方向に、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46の明瞭な画像窓/視界を提供できない。換言すれば、頭側‐尾側後方視界単独では、矢状面に略沿って測定される、黄色靱帯46を横断するデバイスの前‐後の深さを正確に決定するために使用することができる明瞭な画像窓/視界を提供できない。
いくつかの実施形態では、以下に「頭側‐尾側、後方‐側方視界」と称される、追加の画像窓/視界を使用して、軸平面52及び前頭面56に略沿った方向に、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46のより明瞭で遮られない視界を提供する。頭側‐尾側、後方‐側方視界は、患者の外面に対して略角度θで画像化装置を配向すること、また、そのような画像化装置を、側方斜めの配向にすることにより形成され、椎弓板の前面上にあり、下にある硬膜鞘(図示せず)及び脊髄(図示せず)の後方にある黄色靱帯46によって占められている椎弓板間空間38の部分側面図を明瞭に見せる。
頭側‐尾側後方視界及び頭側‐尾側、後方‐側方視界の少なくとも1つを使用することにより、矢状面54、前頭面56、及び軸平面52に沿った方向に、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46の比較的明瞭な画像窓/視界が達成されてもよい。
図15C〜Eは、脊柱10及び機器100を示す。前述した方法で椎弓板間空間38及び黄色靱帯46の遮られない画像窓/視界が確立されたら、機器100を使用して、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46に経皮的にアクセスする。機器100を、組織修正デバイス、組織修正デバイスを誘導するために使用されるカニューレ、又はそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、本明細書に記載されている靱帯除圧手順を実施するのに必要な任意の適切なデバイスとしてもよい。組織修正ツール及びデバイスを以下により詳細に記載する。
更に詳細には、所望の方向(単数又は複数)(例えば、頭側‐尾側後方視界及び頭側‐尾側、後方‐側方視界)から得られた、椎弓板間空間38及び黄色靱帯46の画像を使用することにより、患者の後方背面70において、機器100を使用して皮膚及び軟組織を貫通することができる。好適な実施形態では、機器100の皮膚進入点は、対象椎弓板間空間38の後面の下方(尾側)約5cmと約10cmの間にある。例えば、椎弓板20aと椎弓板20bとの間の黄色靱帯46の一部が対象領域である場合、椎弓板間空間38の後面70の約5cmから約10cm下方で患者の背部内に機器100を挿入してもよい。
図15C〜Eを参照すると、最初に、脊柱管10の長手方向軸に略平行な、患者の後方の組織及び筋肉内に機器100を挿入することができる。換言すれば、後方背面70と機器100との間の角度βは、機器100が最初に挿入された場合、約0度と約10度との間である。更に、図14に最もよく示されているように、対象領域(例えば、黄色靱帯46の標的部分)と正中面の同じ側(同側)の患者の後方の組織及び筋肉組織内に機器100を挿入することが好ましい。機器100が患者の後方の組織及び筋肉組織内に挿入されると、対象領域の黄色靱帯46を横断する軌道を作るために、機器100は、患者の後方背面70に対して約5度から約90度に配向されてもよい(例えば、図15C〜E参照)。更に、患者の後方背面70内に機器が挿入されると、機器100の端部は、軸平面52及び前頭面56の全方向に、後方背面70における挿入位置の周囲を自由に枢動し、略矢状面54の方向に、後方又は前方に進んでもよい。
患者の後方の組織及び筋肉組織内に挿入されると、おおよそ対象領域の上方の椎弓板20の前面71の方向に、対象領域における椎弓板間空間38を横断する軌道を提供するように、機器を配置することができる。例えば、椎弓板20aと椎弓板20bとの間の椎弓板間空間38が対象領域である場合、椎弓板20aの前面の方向に(頭側62椎弓板の上方)、1つの椎弓板20aと別の椎弓板20bとの間の椎弓板間空間38を横断して切削機器が挿入されることを可能にする軌道を提供するように、機器100を配置する。
頭側‐尾側後方視界と頭側‐尾側、後方‐側方視界との間で切り換えることにより、又は頭側‐尾側後方視界と頭側‐尾側、後方‐側方視界とを両方同時に見ることにより、これまでよりも更なる確信を持って、対象領域の黄色靱帯46まで機器を前進させることができる。ひとたび機器が黄色靱帯46に到達すれば、脊椎神経42への圧迫を軽減するために、組織修正デバイスを用いて黄色靱帯46の一部を切除してもよい。機器が組織修正ツールを含む場合、機器を黄色靱帯46内に挿入して、黄色靱帯46の一部を切除してもよい。しかし、機器がカニューレを含む場合は、対象領域の黄色靱帯46に隣接して機器を配置し、黄色靱帯46の方向へ、機器を通して組織修正デバイス100を前進させてもよく、対象領域の黄色靱帯46内に挿入して、そこから組織を退縮させてもよい。いくつかの実施形態では、椎弓板間空間38を横断して略後方から前方へ、次いで、必要に応じて、黄色靱帯46の後部に沿って横方向に組織修正を実施することができる。頭側‐尾側、後方‐側方視界からの誘導、及び機器の適切な後退/前進、及び後方背面70に対して約5度と約90度の間での機器の適切な調節を用いて、矢状面54の全方向での機器(又は、機器がカニューレである場合、機器を貫通する任意の組織修正デバイス100)の先端の実際の深さを調節してもよい。
図14Bを参照すると、本明細書に記載したものなどの例示的な組織修正デバイス100の先端が、黄色靱帯46内部で概略的に示されている。組織修正デバイス100は機器と同じデバイスとすることができるか、又は機器が例えばカニューレである場合、機器を貫通しているツールとすることができる。特に、デバイス100は、前述した靱帯除圧手順への同側アプローチに従って、黄色靱帯46にアクセスしている。そのため、デバイス100を経皮的に挿入する際、デバイス100は、矢状面54の同一側部で黄色靱帯46の一部を切除するように配置される。換言すれば、図14Bに示す図では、デバイス100は、矢状面54の右側で身体内に挿入され、矢状面54の右側で黄色靱帯46に進入し、矢状面54の右側で黄色靱帯46の一部を切除する。図14Bでは、デバイス100は矢状面54に交差しない。
図14Cは、代替の靱帯除圧手順の実施形態を示す。該実施形態では、デバイス100を経皮的に挿入する際に、矢状面54の反対側部で黄色靱帯46の一部を切除するように、例示的な組織修正デバイス100が配置される。更に詳細には、デバイス100は、矢状面54の右側で身体内に挿入されており、矢状面54の右側で黄色靱帯46に進入しているが、矢状面54の左側で黄色靱帯46の一部を切除するように配置されている。図14Cでは、デバイス100は矢状面54に交差している。
D.組織の切除及び除去
図16A〜Cは、デバイス100による組織82の一部の切除を概略的に示す。いくつかの実施形態では、侵入門(portal)又はカニューレ(図示せず)などの機器を使用して、組織82への経皮的アクセスを提供してもよい。例えば、組織切除デバイス100を挿入し、そのような侵入門又はカニューレを通して前進させ、標的組織82へ到達してもよい。米国特許出願公開第2007/0055263号明細書として公開されている米国特許出願第11/461020号明細書は、侵入門を使用して対象組織への経皮的アクセスを提供する、いくつかのツール、デバイス、及び方法を開示している。侵入門又はカニューレを使用してデバイス100を誘導する場合、デバイス100がカニューレを貫通し、対象組織へ到達してもよい。
図16A〜Cは、デバイス100による組織82の一部の切除を概略的に示す。いくつかの実施形態では、侵入門(portal)又はカニューレ(図示せず)などの機器を使用して、組織82への経皮的アクセスを提供してもよい。例えば、組織切除デバイス100を挿入し、そのような侵入門又はカニューレを通して前進させ、標的組織82へ到達してもよい。米国特許出願公開第2007/0055263号明細書として公開されている米国特許出願第11/461020号明細書は、侵入門を使用して対象組織への経皮的アクセスを提供する、いくつかのツール、デバイス、及び方法を開示している。侵入門又はカニューレを使用してデバイス100を誘導する場合、デバイス100がカニューレを貫通し、対象組織へ到達してもよい。
(例えば、侵入門又は別の方法により)組織切除デバイス100が対象組織に到達する方法に関わらず、アクチュエータ134により組織切除デバイスを起動させることなく、デバイス100を対象組織82まで前進させることが好ましい。組織切除デバイスがモータにより起動される場合、これは、モータをオフにすることにより(即ち、駆動部材132を起動させないことにより)生じうる。円錐末端部102は、組織82内へのデバイス100の前進を容易にする。開口104は、モータがオンになる前に、切除される特定の標的組織82(例えば、骨、靱帯、軟組織等)に向くように配向されることが好ましい。
使用者又は外科医が所望の硬組織又は骨に到達したら、デバイス100をオンにしてもよい。モータが起動すると、駆動部材132が組織切除部材120を回転させ、それにより、組織切除部材120の露出した部分が標的部位において組織を研削し、削ぎ落とし、及び除去し始めることが可能になる。デバイス100の末端部96を、近位方向及び遠位方向(例えば、後方及び前方へ)に、又は接線(例えば、左右)方向に動かして、組織の除去を促進してもよい。デバイス100はスイッチを有し、組織切除部材120が動く方向を修正してもよい。換言すれば、モータを切り換えて、遠位方向又は近位方向に、組織切除部材120の組織対向面を動かすか又は駆動してもよい。組織切除部材120を起動して、組織対向上面が近位方向に動いて、中空体110の開口104内に切除した組織を引き入れるようにすることが好ましい。更に、デバイス100を組織82内に挿入したら、図16Bに示す通り、デバイス100を接線方向に回転させて更なる組織を切除してもよい。
一般に、組織82は、患者から切除され除去される任意の種類の組織であってもよく、軟組織、脂肪、筋肉、又は骨を含むがそれらに限定されない。肥厚した黄色靱帯46に起因する脊柱管狭窄症を処置するために使用される場合、肥厚した黄色靱帯46の一部を安全に切削し除去し、その結果、狭窄を低減するために、デバイス100の末端部96を、狭窄した黄色靱帯46内に、好ましくは安全ゾーン80の後方に、挿入することが好ましい(図16参照)。
組織切除部材120により研削された組織片及び組織断片が、中空体110の穴の中に引き入れられるか又は吸引されてもよいことが、想定される。本方法では、デバイス100が組織を継続的に切削及び/又は研削してもよいばかりでなく、継続的に組織を除去してもよい。従って、使用者は、デバイス100を切除組織82に対して繰り返し挿入し引き抜く必要がないが、組織内への一度の挿入により、組織82を継続的に切除してもよい。
使用者又は外科医が使用を終えたら、デバイス100をオフに切り換え、患者から除去し、随意選択で、中空体110から切除され収集された組織を取り出す。特に、中空体110内部に含まれている組織82の一部は、デバイス100と共に除去される。組織82の一部を含むデバイス100を患者から完全に除去し、中空体内にある切除された組織を取り出してもよく、デバイス100を組織82内に挿入して、組織82の一部の切削及び除去を継続してもよい。中空体110をハンドル130から取り外し、中空体110の内腔から組織断片を取り出すことにより、中空体110内部に捕獲されている組織82の断片を除去してもよい。或いは、デバイス100内に組み込まれているか又は外部に設けられている真空機能により、中空体110の穴を介して吸引を継続的にかけてもよい。このように、組織切除部材120が組織を中空体110内に運んでくる時に、中空体から組織片及び組織断片を継続的に吸引してもよい。
別の実施形態では、デバイス100を、別の組織切除デバイスと併せて使用してもよい。そのような実施形態では、追加の組織切除デバイス(図示せず)を使用して、靱帯又は筋肉などの軟組織を最初に切除し、骨組織への通路を作ってもよい。次に、デバイス100をオフにした(例えば、組織切除部材120が起動していない)状態で、デバイス100を該通路内に挿入する。
デバイス100を組織82内に挿入し、組織82の一部を切除し、切除した組織82の一部を本体110から除去し、デバイス100を挿入する過程を、所望量の組織82が切除され除去されるまで繰り返してもよい。図14Aを手短に参照すると、デバイス100を使用して肥厚した黄色靱帯46の一部を除去する場合、脊柱管が適切に除圧されるまで、本過程を繰り返してもよい。更に、デバイス100を使用して肥厚した黄色靱帯46の一部を除去する場合、デバイス100の末端部96を制御して黄色靱帯46内に留め、安全ゾーン80を貫通させないことが好ましい。デバイス100により不注意で硬膜上腔44内へと貫通したとしても、硬膜鞘48又は神経42を損傷しないように、それでもなお、安全ゾーン80を設けることが好ましい。
組織切除デバイス100の構成要素(例えば、中空体110)は、金属(例えば、ステンレス鋼、チタン等)、非金属(例えば、ポリマー、複合材料等)、又はそれらの組合せを含むがそれらに限定されない、任意の適切な材料(単数又は複数)を含んでもよい。組織切除デバイス100の構成要素は、チタン若しくはステンレス鋼などの耐久性のある生体適合性材料から製造されることが好ましいが、或いは重合体であってもよい。
更に、組織切除デバイス100の構成要素を、任意の適切な方法により製造してもよい。適切な方法の例には、鋳造即ち成形、機械加工、レーザ切断、EMD、又はそれらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態では、末端部を鋭利にするために電解研磨してもよい。溶接、圧入、又はこれらの組合せを含むがそれらに限定されない任意の適切な方法により、組織切除デバイス100の構成要素を組み立ててもよい。
本発明の実施形態を示し記載したが、本発明の精神及び教示から逸脱することなく、当業者が変更することが可能である。記載した実施形態及び本明細書において提供した例は例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。本明細書に開示した本発明の多数の変形及び変更が可能であり、本発明の範囲内である。従って、保護の範囲は、前述した説明によって限定されることはないが、上記の請求項によってのみ限定され、当該範囲は、請求項の対象物の全ての等価物を含む。
本明細書に本発明の好適な実施形態を示し記載したが、そのような実施形態は単に例示の目的で提供されていることが、当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び代案を思いつくであろう。本発明の実施に当たり、本明細書に記載されている本発明の実施形態の種々の代案を使用してもよいことを、理解すべきである。上記の請求項が本発明の範囲を定めること、及びこれらの請求項の範囲内である方法及び構造並びにそれらの等価物が該請求項により包含されることが、意図されている。
Claims (40)
- 手術部位への経皮的アクセスを提供するデバイスであって、
末端部及び近位端部を有する中空体であって、前記末端部が1つ又は複数の開口を含む、中空体と、
前記中空体内に配設されている第1の枢動部材と、
前記枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている組織切除部材であって、前記組織切除部材の少なくとも一部が、前記1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、前記組織切除部材が、前記中空体に対して、前記枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除部材と、
を含む、デバイス。 - 前記組織切除部材が、研削面又は切削面を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記中空体が円柱形である、請求項1に記載のデバイス。
- 前記末端部が複数の開口を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記末端部が、鋭利な先端を形成するように角度が付いている、請求項1に記載のデバイス。
- 前記中空体に結合されているハンドルを更に含む、請求項1に記載のデバイス。
- 第2の枢動部材に結合されているアクチュエータを更に含み、前記第2の枢動部材が、前記第1の枢動部材と連通している、請求項6に記載のデバイス。
- 前記アクチュエータがモータである、請求項7に記載のデバイス。
- 前記モータが、前記ハンドル内に配設されている、請求項8に記載のデバイス。
- 正中面を有する患者の脊椎における狭窄を処置する方法であって、
(a)流体を注入して安全ゾーンを形成し、対象領域に作業ゾーンを確立することにより、前記対象領域の硬膜鞘を圧縮するステップであって、前記安全ゾーンが前記作業ゾーンと前記硬膜鞘との間にあるステップと、
(b)前記正中面の第1の側部において、前記対象領域の硬膜上腔に経皮的にアクセスするステップと、
(c)末端部及び近位端部を有する中空体を含む組織切除デバイスを挿入するステップであって、前記末端部が1つ又は複数の開口を含み、第1の枢動部材が前記中空体内に配設されており、組織切除部材が、前記枢動部材と回転可能に連通して取り付けられており、前記組織切除部材の少なくとも一部が、前記1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、前記組織切除部材が、前記中空体に対して、前記枢動部材の周囲を長手方向に動いて、前記正中面の前記第1の側部上の前記作業ゾーンの組織内に入るステップと、
を含む、方法。 - 前記対象領域の脊柱管の一部の少なくとも1つの視界を生成するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
- 前記挿入するステップの少なくとも一部の間に、前記少なくとも1つの視界を使用して前記組織切除デバイスを配置することを更に含む、請求項11に記載の方法。
- 患者の黄色靱帯の一部が前記対象領域の前記作業ゾーンを占める、請求項10に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用して、前記正中面の前記第1の側部における狭窄を経皮的に低減するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用する前記ステップの少なくとも一部の間に、少なくとも1つの視界を使用して前記組織切除デバイスを配置すること更に含む、請求項14に記載の方法。
- 前記対象領域の黄色靱帯の少なくとも一部を除去するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用して、前記第1の側部とは異なる、前記正中面の第2の側部における狭窄を経皮的に低減するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用する前記ステップの少なくとも一部の間に、少なくとも1つの視界を使用して前記組織切除デバイスを配置すること更に含む、請求項17に記載の方法。
- 手術部位への経皮的アクセスを提供するデバイスであって、
末端部及び近位端部を有する中空体であって、前記末端部が1つ又は複数の側面開口を含む、中空体と、
前記末端部内部に配設されている遠位枢動部材、及び前記近位端部内部に配設されている近位枢動部材と、
前記遠位枢動部材及び前記近位枢動部材に回転可能に取り付けられている組織切除ベルトであって、前記組織切除ベルトの少なくとも一部が前記1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、前記組織切除ベルトが、前記中空体に対して、前記遠位枢動部材及び前記近位枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除ベルトと、
を含む、デバイス。 - 前記組織切除ベルトが、研削面又は切削面を含む、請求項19に記載のデバイス。
- 前記中空体が円柱形である、請求項19に記載のデバイス。
- 前記末端部が複数の側面開口を含む、請求項19に記載のデバイス。
- 前記末端部が、鋭利な先端を形成するように角度が付けられている、請求項19に記載のデバイス。
- 前記中空体に結合されているハンドルを更に含む、請求項19に記載のデバイス。
- 前記近位枢動部材に結合されているモータを更に含む、請求項24に記載のデバイス。
- 前記モータが、前記ハンドル内部に配設されている、請求項25に記載のデバイス。
- 正中面を有する患者の脊椎における狭窄を処置する方法であって、
(a)流体を注入して安全ゾーンを形成し、対象領域の作業ゾーンを確立することにより、前記対象領域の硬膜鞘を圧縮するステップであって、前記安全ゾーンが前記作業ゾーンと前記硬膜鞘との間にあるステップと、
(b)前記正中面の第1の側部において前記対象領域の硬膜上腔に経皮的にアクセスするステップと、
(c)末端部及び近位端部を有する中空体を含む組織切除デバイスを挿入するステップであって、前記末端部が1つ又は複数の側面開口を含み、遠位枢動部材が前記末端部内に配設されており、近位枢動部材が前記近位端部内に配設されており、組織切除ベルトが、前記遠位枢動部材及び前記近位枢動部材に回転可能に取り付けられており、前記組織切除ベルトの少なくとも一部が、前記1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、前記組織切除ベルトが、前記中空体に対して、前記遠位枢動部材及び前記近位枢動部材の周囲を長手方向に動く、挿入するステップと、
を含む、方法。 - 前記対象領域の脊柱管の一部の少なくとも1つの視界を生成するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
- 前記挿入するステップの少なくとも一部の間に、前記少なくとも1つの視界を使用して前記組織切除デバイスを配置することを更に含む、請求項28に記載の方法。
- 患者の黄色靱帯の一部が、前記対象領域の前記作業ゾーンを占める、請求項27に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用して、前記正中面の前記第1の側部における狭窄を経皮的に低減するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用する前記ステップの少なくとも一部の間に、少なくとも1つの視界を使用して、前記組織切除デバイスを配置することを更に含む、請求項31に記載の方法。
- 前記対象領域の黄色靱帯の少なくとも一部を除去するステップを更に含む、請求項28に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用して、前記第1の側部とは異なる、前記正中面の第2の側部における狭窄を経皮的に低減するステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
- 前記組織切除デバイスを使用する前記ステップの少なくとも一部の間に、少なくとも1つの視界を使用して、前記組織切除デバイスを配置することを更に含む、請求項34に記載の方法。
- 組織切除のためのキットであって、
末端部及び近位端部を有する中空体であって、前記末端部が1つ又は複数の開口を含む、中空体と、前記中空体内に配設されている第1の枢動部材と、前記枢動部材と回転可能に連通して取り付けられている組織切除部材であって、前記組織切除部材の少なくとも一部が、1つ又は複数の側面開口を介して露出しており、前記組織切除部材が、前記中空体に対して、前記枢動部材の周囲を長手方向に動く、組織切除部材と、を有するデバイスと、
パッケージと、
を含む、キット。 - 注入可能な媒体を更に含む、請求項36に記載のキット。
- 前記注入可能な媒体は造影剤である、請求項37に記載のキット。
- 前記造影剤は親水親油ブロック共重合体ゲルである、請求項38に記載のキット。
- 前記デバイスと共に使用するために適応可能な誘導装置を更に含む、請求項38に記載のキット。
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