JP2010101799A - 地下水状態評価システム、及び地下水状態評価方法 - Google Patents

地下水状態評価システム、及び地下水状態評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】切羽上の湧水を特定することで地下水の状態を精度良く評価することができる。
【解決手段】本発明に係る地下水状態評価システム1は、切羽Fから放射される熱赤外線を検知し、熱赤外線の強度を解析して温度分布情報を求める赤外線カメラ3と、切羽Fを反射した近赤外線を検知し、近赤外線の強度を解析して切羽F上における近赤外線の強度分布情報を求める近赤外線カメラ5と、赤外線カメラ3によって求められた温度分布情報と近赤外線カメラ5によって求められた強度分布情報とに基づいて、切羽F上に生じている湧水を特定して地下水の状態を評価する演算装置7と、を備えた地下水状態評価システム1であり、切羽F上の湧水を精度良く特定することができるようになり、その結果、地下水の状態を精度良く評価できるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、トンネルの掘削に伴って切羽上に生じる湧水から地下水の状態を評価する地下水状態評価システム、及び地下水状態評価方法に関する。
トンネルの施工は、地質や地形による制約よりも、トンネルの直進性、利便性を優先するあまり、施工に影響を及ぼす地質不良部を含んだトンネル工事が増加している。近年の補助工法等の目覚ましい進歩により、このような地質不良区間においても安全に施工できるようになってきているが、依然として、切羽前方の地下水の存在は、トンネルの施工性に大きく影響を及ぼす。切羽前方地下水の予測方法として、従来は、切羽からの先進ボーリングが主流であったが、これには、時間と手間がかかるだけでなく、ボーリングという線情報による評価のため、その精度は必ずしも高くなく、信頼性に欠けていた。例えば、この方法では、数本のボーリングによりトンネル切羽面の地下水状況を予測することとしており、特に地下水が水みちを通って流れると考えられる硬岩の場合などでは、確率的に先進ボーリングが水みちから外れることも考えられ、先進ボーリング予測と実際の切羽からの湧水量に相違が生じることもあった。
これらの問題点を解消する技術として、例えば、特許文献1には、地下水の存在形態、規模、位置、岩盤物性、坑内気温などの地下水や環境に係わる各種条件を考慮した岩盤温度予測モデルを作成し、また、赤外線カメラ等を用いて開削直後の切羽面の温度を非接触で検出するシステムが開示されている。このシステムでは、岩盤温度予測モデルと実測した切羽面の温度とを比較解析することによって地下水の有無を事前に予測していた。
特開平10−160857号公報
しかしながら、地下水や環境に係わる各種条件を考慮した精度の高い岩盤温度予測モデルを生成することは非常に困難であるため、切羽面の温度を取得できても実際には地下水を精度良く予測することは困難であった。特に、従来のシステムでは、切羽の温度を介して間接的に地下水の有無を予測するに過ぎないため、切羽上に湧水が生じていても、その湧水と周囲との温度差が小さければ、湧水の存在を確認できず、結果として、地下水の状態を精度良く評価することは難しかった。
本発明は、切羽上の湧水を特定することで地下水の状態を精度良く評価する地下水状態評価システム及び地下水状態評価方法を提供することを目的とする。
本発明に係る地下水状態評価システムは、切羽から放射される熱赤外線を検知し、熱赤外線の強度を解析して温度分布情報を求める第1の撮像手段と、切羽を反射した近赤外線を検知し、近赤外線の強度を解析して切羽上における近赤外線の強度分布情報を求める第2の撮像手段と、第1の撮像手段によって求められた温度分布情報と第2の撮像手段によって求められた強度分布情報とに基づいて、切羽上に生じている湧水を特定して地下水の状態を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする
地下水は周囲の地盤よりも温度が低いと想定されるため、第1の撮像手段で求められた温度分布情報に基づいて切羽上に生じている湧水を推測できる。しかしながら、地下水と周囲の地盤との間に必ずしも明確な温度差があるとは限らないため、温度分布情報のみでは精度良く湧水の発生を把握することは難しい。一方で、近赤外線は湧水を含む水に吸収され易いという特質があるため、第2の撮像手段によって求められた近赤外線の強度分布情報からも湧水を特定するための情報を得ることができる。従って、温度分布情報と近赤外線の強度分布情報とに基づいて湧水を特定することで、切羽上の湧水の有無や湧水量または湧水が発生しているエリアを精度良く特定することができるようになり、その結果、地下水の状態を精度良く評価できるようになる。
さらに、評価手段は、切羽上において、温度分布情報に基づく温度が所定の閾値よりも低く、且つ、強度分布情報に基づく近赤外線の強度が所定の閾値よりも低いエリアを湧水が生じているエリアであると特定すると好適である。湧水が発生しているエリアは、発生していないエリアに比べて温度が低くなっている可能性が高く、また、近赤外線は湧水に吸収されてしまうため、湧水が発生している箇所では近赤外線の反射強度は極めて小さくなる。従って、温度分布情報に基づいて所定の閾値よりも温度が低いエリアであると共に、強度分布情報に基づいて所定の閾値よりも強度が低いエリアには湧水が発生している可能性が高いため、そのエリアを把握することで、湧水が発生しているエリアを精度良く特定することが可能になる。
また、本発明に係る地下水状態評価方法は、切羽から放射される熱赤外線の強度に基づいて温度分布情報を求め、切羽から反射される近赤外線の強度に基づいて近赤外線の強度分布情報を求め、温度分布情報と強度分布情報とに基づいて、切羽上に生じている湧水を特定して地下水の状態を評価することを特徴とする。
本発明によれば、第1の撮像手段で求められた温度分布情報によって切羽に湧水が発生しているか否かを推測でき、さらに、第2の撮像手段で求められた近赤外線の強度分布情報からも湧水を特定するための情報を得ることができるので、切羽上の湧水の有無や湧水量または湧水が発生しているエリアを精度良く特定することができるようになり、その結果、地下水の状態を精度良く評価できるようになる。
さらに、切羽上において、温度分布情報に基づく温度が所定の閾値よりも低く、且つ、強度分布情報に基づく近赤外線の強度が所定の閾値よりも低いエリアを湧水が生じているエリアであると特定すると好適である。湧水が発生しているエリアは、発生していないエリアに比べて温度が低くなっている可能性が高く、また、近赤外線は湧水に吸収されてしまうため、湧水が発生している箇所では近赤外線の反射強度は極めて小さくなる。従って、温度分布情報に基づいて所定の閾値よりも温度が低いエリアであると共に、強度分布情報に基づいて所定の閾値よりも強度が低いエリアには湧水が発生している可能性が高いため、そのエリアを把握することで、湧水が発生しているエリアを精度良く特定できるようになる。
さらに、切羽の進行に伴って経時的に複数の温度分布情報と複数の強度分布情報とを求め、複数の温度分布情報及び強度分布情報に基づいて地下水の状態を評価すると好適である。経時的に求めた複数の温度分布情報及び強度分布情報に基づいて地下水の状態を評価することで、湧水地点や湧水量の変化、地下水温度変化による水みちの推定などが可能になり、さらには、突発湧水の予測などへの適用も期待できる。
さらに、複数の温度分布情報及び強度分布情報に基づいて湧水が降水由来であるか、または、地下水由来であるかを評価すると好適である。降水由来の場合には、一時的な湧水であると判断できるために比較的安全であり、地下水由来の場合には、注意を要する。したがって、湧水が降水由来であるか、または、地下水由来であるかを評価することにより、安全、且つ効率的な掘削作業に有効である。
本発明によれば、切羽上の湧水を特定することで地下水の状態を精度良く評価することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に示されるように、トンネル掘削工事で形成された坑道Rの最先端部分の面は切羽Fであり、トンネル掘削工事の進行に伴って切羽Fは前進する。地山内に地下水が存在する場合、切羽Fの前進に伴って切羽F上に湧水が発生する。本実施形態に係る地下水状態評価システム1は、ボーリングを行って切羽F前方の地下水の存在を予測するのではなく、あくまで切羽F上の湧水の発生を的確に捉えて地下水の状態を評価するシステムである。
地下水状態評価システム1は、発破によって崩れ落ちた土砂のズリ出しを行った後の剥き出し状態での切羽Fを撮像する赤外線カメラ(第1の撮像手段)3及び近赤外線カメラ(第2の撮像手段)5を備えている。さらに、地下水状態評価システム1は、赤外線カメラ3や近赤外線カメラ5から出力された情報を取得し、地下水の状態を評価する演算装置(評価手段)7を備えている。
赤外線カメラ3は、切羽Fから放射される熱赤外線を検知する熱赤外線撮像素子31と、熱赤外線の強度を解析して温度分布情報を求め、温度分布画像(サーモグラフィー)を生成してモニタ(図示せず)に出力する制御部32を備えている。制御部32は、さらに切羽F上の温度分布情報を演算装置7に出力する。
赤外線は、絶対零度(−273℃)以上の総ての物質から放射されており、温度上昇に伴って赤外線放射量は増える。熱赤外線撮像素子31は、切羽Fから放射される赤外線を熱赤外線として検知する。また、制御部32は、赤外線の放射量、すなわち熱赤外線の強度を解析して切羽Fの温度分布情報を求める。なお、波長が0.7μm〜1mmの範囲に含まれる電磁波が赤外線であり、さらに、赤外線は、性質が異なる近赤外線、中赤外線及び遠赤外線に分けられる。例えば、波長が3.0μm以下の赤外線を近赤外線と呼び、4.0μm以上の赤外線を遠赤外線と呼び、近赤外線の波長と遠赤外線の波長との間の赤外線を中赤外線と呼ぶ場合がある。熱赤外線撮像素子31は、中赤外線と遠赤外線とを熱赤外線として検知している。
近赤外線カメラ5は、近赤外線を切羽Fに向けて照射する近赤外線投光器51と、切羽Fで反射した近赤外線を検知する近赤外線撮像素子52と、近赤外線投光器51での近赤外線の照射タイミングを制御し、また、近赤外線撮像素子52で検知された近赤外線の情報を受け付ける制御部53とを備えている。制御部53は、近赤外線撮像素子52から取得した情報に基づいて、近赤外線の強度を解析して切羽F上における近赤外線の強度分布情報を求め、強度が高い方が濃く、また低い方が薄くなるような濃淡画像(モノクロ画像)を生成してモニタ(図示せず)に出力する。制御部53は、また、近赤外線の強度分布情報を演算装置7に出力する。
演算装置7は、赤外線カメラ3及び近赤外線カメラ5から取得した情報に基づいて切羽F上の湧水の有無や湧水量または湧水が発生しているエリアを特定して地下水の状態を評価する制御部71と、制御部71で評価された結果を出力するモニタやスピーカなどの出力部72とを備えている。制御部72には、湧水が発生しているエリアを特定するための温度の閾値と、湧水が発生しているエリアを特定するための近赤外線の強度の閾値とが設定されている。
制御部71は、赤外線カメラ3から取得した温度分布情報に基づいて、温度の閾値よりも低い温度になっている切羽F上のエリア(温度低下部)Aaを特定する(図3(a)参照)。湧水が発生しているエリアは、発生していないエリアに比べて温度が低くなっている可能性が高いため、例えば、温度の閾値を21.5℃に設定しておき、温度の閾値よりも低い温度となるエリアを特定することで、湧水が発生している可能性の高いエリアを特定できる。なお、図3(a)は、温度分布画像(サーモグラフィー)の一例を模式的に示す図であり、温度分布情報をビジュアル的(視覚的)に解りやすい態様にて示すものである。
また、制御部71は、近赤外線カメラ5から取得した強度分布情報に基づいて、近赤外線の強度の閾値よりも低い強度になっている切羽F上のエリア(高吸収部)Abを特定する(図3(b)参照)。近赤外線は、水に吸収され易い性質があるため、湧水が発生しているエリアでは、湧水に吸収されてしまい、反射強度が極めて小さくなる。従って、例えば、近赤外線の強度の閾値を所定の値、例えば、濃淡画像(モノクロ画像)を生成した際に黒で表示される値を所定の値として設定しておき、強度の閾値よりも低い強度となるエリアを特定することで、湧水が発生している可能性の高いエリアを特定できる。なお、図3(b)は、強度分布情報をビジュアル的(視覚的)に解りやすい態様にて表示する濃淡画像像(モノクロ画像)の一例を模式的に示す図である。
制御部71は、温度分布情報に基づいて特定した温度低下部Aaと、強度分布情報に基づいて特定した高吸収部Abとを照らし合わせ、重複する部分を湧水発生エリアA(図5参照)として特定し、地下水の状態を評価する。例えば、制御部71は、湧水発生エリアAを特定できない場合には、地下水は存在しないと評価し、または、湧水発生エリアAを特定できたとしても、切羽Fの全面に対して湧水発生エリアAの占める割合が予め規定した基準割合よりも小さな場合には、地下水の状態は安全であると評価する。逆に、特定した湧水発生エリアAの占める割合が、予め規定した基準割合よりも大きな場合には、地下水の状態は危険であると評価する。制御部71は、評価内容を出力部72から報知させるために、所定の情報を出力部72に入力する。
制御部71による地下水の状態の評価は、上述の態様に限定されず、例えば、図4に示されるように、温度分布情報に基づいて切羽F上の温度と頻度との関係を求め、最も頻度の高い温度が湧水の発生を評価する上での基準となる温度、例えば、21.5℃になると、切羽F上に湧水が発生していると特定し、危険性の有無を評価するようにしてもよい。
また、制御部71は、切羽Fの進行に伴って経時的に求められた複数の温度分布情報と複数の強度分布情報とを格納するメモリ(図示せず)を有し、メモリに格納された複数の温度分布情報や強度分布情報に基づいて地下水の状態を評価するようにしてもよい。経時的に複数の温度分布情報と複数の強度分布情報とを求めて地下水の状態を評価するようにすることで、湧水地点や湧水量の変化、地下水温度変化による水みちの推定なども可能になる。さらに、複数の温度分布情報と複数の強度分布情報とに基づく評価画像を生成して出力部72のモニタで表示させることにより、切羽Fの進行に伴う経時的な地下水の状態を作業者にビジュアル的(視覚的)に認識させることが可能になり、最終的には突発湧水の予測などへの適用も期待できる。その結果、安全、且つ効率的な掘削作業に有効となる。
評価画像の生成については、例えば、図5に示されるように、古い温度分布情報と、新しい温度分布情報とに基づいて湧水発生エリアA,Aの推移を示す合成画像を生成して評価画像とすることもできる。なお、図5は、合成画像の生成を説明するための図であり、(a)は、古い温度分布情報に基づく温度分布画像P1と新しい温度分布情報に基づく温度分布画像P2とを示しており、さらに、温度分布画像P1中に湧水発生エリアAを示し、温度分布画像P2中に湧水発生エリアAを示している。また、図5(b)は、温度分布画像P1と温度分布画像P2とを合成して湧水エリアの変化を視認可能にした合成画像P3を示している。図5では、古い温度分布情報に基づいて特定される湧水発生エリアAに対して、新しい温度分布情報に基づいて特定される湧水発生エリアAの方が拡大しており、合成画像P3によって湧水発生エリアA,Aの拡大を視認できるようになっている。
また、制御部71は、例えば、図6に示されるように、切羽Fの進行に伴い、切羽F上の特定のエリアがどのような傾向で変化しているのかを評価するトレンド分析を行うようにしてもよい。図6は、トレンド分析を説明するための図であり、(a)は複数の温度分布情報に基づく温度分布画像P1,P2,P3,P4を時系列に並べた状態を模式的に示す図であり、(b)は、各温度分布画像P1〜P4での同じ測定点T,T,T,Tでの温度の変化を示すグラフである。なお、図6では、切羽Fの進行に伴って温度分布画像P1〜P4の各測定点T〜Tの温度が徐々に低下していく状態を示しており、トレンド分析の結果、切羽Fの進行に伴って温度が低下傾向にあることを示している。
(地下水状態評価方法)
次に、図7及び図8を参照してトンネルの掘削工法及び切羽Fの進行に伴う地下水状態の評価方法を説明する。図7は、トンネルの掘削工法の手順を示すフローチャートであり、図8は、地下水状態評価の手順を示すフローチャートである。
図7に示されるように、トンネル掘削工法では、まず、穿孔(ステップS1)、すなわち小さな穴を掘り、装薬及び発破(ステップS2)、すなわち穴の中にダイナマイトを詰め込んで爆破させる。その後、ズリ出し、すなわち土砂を外に運び出し(ステップS3)、剥き出し状態の切羽Fに対して地下水状態評価(ステップS4)を行う。地下水状態評価の後、コンクリートの吹き付け(1次吹付コンクリート)を行い(ステップS5)、鋼製支保工の建入(ステップS6)を行った後に再びコンクリートの吹き付け(吹付コンクリート)を行い(ステップS7)、ロックボルトを打設する(ステップS7)。以上の各工程を繰り返し行うことで、切羽Fが前進する。
次に、地下水状態評価について説明する。図8に示されるように、ズリ出し(図7のステップS3)が終わると、赤外線カメラ3で切羽Fを撮像し(ステップS11)、切羽F上の温度分布情報を求める(ステップS12)。さらに、近赤外線カメラ5で近赤外線を切羽Fに向けて照射し、切羽Fで反射した近赤外線を近赤外線カメラ5で撮像し(ステップS13)、近赤外線の強度分布情報を求める(ステップS14)。なお、赤外線カメラ3での撮像と近赤外線カメラ5での撮像の順番は逆であっても良いし、同時であってもよい。また、温度分布情報や強度分布情報を求める順番も逆であっても良いし、同時であってもよい。
温度分布情報や強度分布情報は演算装置7に入力され、演算装置7は、温度分布情報に基づく温度が所定の閾値よりも低く、且つ、強度分布情報に基づく近赤外線の強度が所定の閾値よりも低い切羽F上のエリアを湧水発生エリアAであると特定し、湧水発生エリアAに基づいて地下水の状態を評価する。例えば、切羽Fの全面のうち、湧水発生エリアAによって占められる割合が所定に基準割合よりも大きければ地下水の状態が危険な状態にあると評価し、評価内容を出力部から報知させる。
また、演算装置7は、トンネルの掘削を行っている近隣エリアでの降雨情報を他のデータベース(例えば、天気予報や降雨情報などを配信するサーバ)や作業者の操作入力に基づいて取得しておき、その降雨情報と温度分布情報や強度分布情報とに基づいて地下水の状態を評価することもできる。例えば、数日にわたって雨天が続いている場合には、切羽F上に湧水が発生していても降雨に由来した一時的な湧水と評価できるため、雨が止むと湧水も無くなり安全面での問題は少ないと評価できる。また、降雨に由来した一時的な湧水に比べて、地下水由来の湧水の場合には、温度が低くなっていると想定できる。したがって、雨天が続いている場合であっても、湧水の温度が所定の温度よりも低い場合には、地下水由来の湧水であるために危険性が高いと評価し、所定の温度よりも高ければ降雨に由来した一時的な湧水であって安全性に問題は少ないと評価することもできる。
本実施形態に係る地下水状態評価システム1及び地下水状態評価方法では、赤外線カメラ3で求められた温度分布情報に基づいて温度低下部Aaを特定し、さらに、近赤外線カメラ5で求められた近赤外線の強度分布情報に基づいて近赤外線の高吸収部Abを特定している。さらに、地下水状態評価システム1及び地下水状態評価方法は、温度低下部Aaと高吸収部Abとを照らし合わせることによって湧水発生エリアAを特定している。
地下水は周囲の地盤よりも温度が低いと想定されるため、赤外線カメラ3で求められた温度分布情報を指標にして温度低下部Aaを特定することで湧水が発生している可能性の高いエリアを推測できる。しかしながら、地下水と周囲の地盤との間に必ずしも明確な温度差があるとは言えず、従って、温度低下部Aa=湧水(地下水)の存在とは言い切れないため、温度分布情報のみでは精度良く湧水の発生を把握することは難しい。そこで、本実施形態では、温度低下部Aaのみならず、近赤外線カメラ5によって求められた強度分布情報に基づいて高吸収部Abを特定し、温度低下部Aaと高吸収部Abとを照らし合わせて湧水発生エリアAを特定することで、例えば、温度分布情報のみに基づいて湧水発生エリアAを特定する場合に比べて、精度良く湧水発生エリアAを特定でき、その結果、地下水の状態を精度良く評価できる
また、トンネル工事において従来から最も適用されてきた先進ボーリングに比べ、本実施形態では以下の優位性がある。例えば、先進ボーリングでは、削孔による時間および経費がかかるほか、切羽へのボーリングのため、施工サイクルにも影響を及ぼしていた。一方で、本実施形態では、赤外線カメラ3や近赤外線カメラ5での画像処理、具体的には、温度分布情報や近赤外線の強度分布情報に基づいて湧水発生エリアAを特定して地下水の状態を評価できるため、時間や経費の面で極めて有利である。さらに、本実施形態では、例えば、切羽のズリ出し後、切羽安定のための鏡吹付け(1次吹付コンクリート)前に通常、実施されている切羽観察に合わせて赤外線カメラ3や近赤外線カメラ5での撮影が行えれば地下水の状態を評価できるため、施工サイクルにも影響を及ぼさず、手間および経費が大幅に削減できる。
また、本実施形態では、切羽Fの進行に伴って、切羽Fごとに継続して赤外線カメラ3及び近赤外線カメラ5による撮像を行い、経時的に複数の温度分布情報と複数の強度分布情報とを求めて地下水の状態を評価できるので、湧水地点や湧水量の変化、地下水温度変化による水みちの推定などが可能になり、また、湧水が地下水由来か降水由来かなども評価でき、さらには、突発湧水の予測などへの適用も期待できる。
さらに、赤外線カメラ3と併用する近赤外線カメラ5を近赤外線レーザーとすることにより、湧水状況の把握形状把握と共に、3次元レーザー本来の使い道である出来形管理や形状把握も可能となり、長距離計測が可能であるため、法面など坑外計測にも適用できる可能性がある。
なお、本発明は、上述に実施形態に限定されない。例えば、地下水状態評価方法においては、赤外線カメラ3に搭載するモニタに温度分布情報に基づいた温度分布画像を表示させ、また、近赤外線カメラ5に搭載するモニタに近赤外線の強度分布情報に基づいた濃淡画像を表示させ、切羽を観察する作業者が温度分布画像と濃淡画像とを確認し、作業者自身が湧水発生エリアを特定して地下水の状態を評価するようにしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る地下水状態評価システムを模式的に示す図である。 第1実施形態に係る地下水状態評価システムのブロック図である。 温度分布情報と近赤外線の強度分布情報とに基づいた湧水発生エリアの特定を説明するための図であり、(a)は温度分布情報に基づく温度分布画像を示す図であり、(b)は近赤外線の強度分布情報に基づく濃淡画像を示す図である。 切羽上の温度分布を示すグラフである。 切羽の進行に伴う湧水発生エリアの変化を示す図である。 トレンド分析を説明するための図であり、(a)は複数の温度分布情報に基づく温度分布画像を時系列に並べた状態を模式的に示す図であり、(b)は、トレンド分析を行う測定点の温度変化を示すグラフである。 トンネルの掘削工法の手順を示すフローチャートである。 地下水状態評価の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…地下水状態評価システム、3…赤外線カメラ(第1の撮像手段)、5…近赤外線カメラ(第2の撮像手段)、7…演算装置(評価手段)、A,A,A…湧水発生エリア、F…切羽。

Claims (6)

  1. 切羽から放射される熱赤外線を検知し、前記熱赤外線の強度を解析して温度分布情報を求める第1の撮像手段と、
    前記切羽を反射した近赤外線を検知し、前記近赤外線の強度を解析して前記切羽上における前記近赤外線の強度分布情報を求める第2の撮像手段と、
    前記第1の撮像手段によって求められた前記温度分布情報と前記第2の撮像手段によって求められた前記強度分布情報とに基づいて、前記切羽上に生じている湧水を特定して地下水の状態を評価する評価手段と、を備えたことを特徴とする地下水状態評価システム。
  2. 前記評価手段は、前記切羽上において、前記温度分布情報に基づく温度が所定の閾値よりも低く、且つ、前記強度分布情報に基づく前記近赤外線の強度が所定の閾値よりも低いエリアを湧水が生じているエリアであると特定することを特徴とする請求項1記載の地下水状態評価システム。
  3. 切羽から放射される熱赤外線の強度に基づいて温度分布情報を求め、
    前記切羽から反射される近赤外線の強度に基づいて前記近赤外線の強度分布情報を求め、
    前記温度分布情報と前記強度分布情報とに基づいて、切羽上に生じている湧水を特定して地下水の状態を評価することを特徴とする地下水状態評価方法。
  4. 前記切羽上において、前記温度分布情報に基づく温度が所定の閾値よりも低く、且つ、前記強度分布情報に基づく前記近赤外線の強度が所定の閾値よりも低いエリアを湧水が生じているエリアである特定することを特徴とする請求項3記載の地下水状態評価方法。
  5. 前記切羽の進行に伴って経時的に複数の前記温度分布情報と複数の前記強度分布情報とを求め、
    複数の前記温度分布情報及び前記強度分布情報に基づいて地下水の状態を評価することを特徴とする請求項4記載の地下水状態評価方法。
  6. 複数の前記温度分布情報及び前記強度分布情報に基づいて前記湧水が降水由来であるか、または、地下水由来であるかを評価することを特徴とする請求項5記載の地下水状態評価方法。
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