JP2010101757A - 遠隔の無人ラマン分光測定法のためのシステムおよび方法 - Google Patents

遠隔の無人ラマン分光測定法のためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ラマン分光測定センサの特異的な実装を提供すること。
【解決手段】ラマンセンサを有する無人地上車両(UGV)を含むシステムであって、該システムは、ロボットアームを有する無人地上車両(UGV)と、該ロボットアームに搭載されたカメラと、該カメラが示す方向と実質的に同一の方向を示すような方法で、該ロボットアームに搭載されたレーザおよび関連する望遠鏡と、該UGVに搭載され、かつ該望遠鏡からラマンスペクトルデータを受信するように構成されたデータ獲得および制御モジュールと、ディスプレイ、ならびに該データ獲得および制御モジュールからデータを受信するように構成されたデータ処理および分析モジュールを有するリモートベースステーションとを備えている、システム。
【選択図】図4

Description

本願は2007年10月24日に出願された米国仮特許出願第60/982,306号の利益を主張し、上記出願は本明細書においてその全体が参考として援用される。
本発明はラマン分光測定法に関し、より具体的にはラマン分光測定機能性を無人地上車両(例えば、ロボット)に組み込むためのシステムおよび方法に関する。
化学的因子または生物学的因子への曝露の危険は深刻であり得る。事故などによる意図されない放出または意図的な送達の結果のいずれであっても、(1)放出された因子のタイプ、および(2)汚染の正確な領域の迅速かつ精度の高い識別を行うことが望ましい。このような危険な物質の早期の精度の高い検出が、起こり得る死傷者の減少および(風、ヒト、および動物の接触などによる)因子のさらなる拡散の制限において、重要な要素となり得る。
近年、非常に低い濃度においてさえも、未知の物質、汚染物質および因子を迅速に識別するために、核、生物学および化学(NBC)センサ技術の開発および展開することにおける関心が増加している。表面堆積された化学的な汚染を測定するように設計された従来技術は、車両と、汚染物質の物理サンプルを取り込む、関連するテスト機器とを用い、次いで化学因子をテストするために機械的なサンプリングホイールシステムに基づいて非常に扱いにくく時間を浪費するプロセスを用いた。
このようなアプローチの複雑さの観点において、より新しい、単純な技術が所望された。この望みに応答する1つの新しい技術は、一般的に「遠隔表面検出(standoff surface detection)」と呼ばれ、実際に物質に接触する必要性なしに物質の検出を可能にする技術のカテゴリーを指す。これらの検出システムの目的は、化学的脅威および生物学的脅威を、検出、識別、位置決定、定量化、警告および報告して、それにより、(さらなる)汚染を回避するために、軍隊または市民の人員に十分な早期警告を与えるための能力を提供することである。
遠隔表面検出を可能にする技術の1つはラマン分光測定法である。ラマン分光測定法は、材料を特徴化し、その後このような材料を識別するために使用される技術である。典型的には、レーザ送信器が、高い放射照度を有するスペクトル的に狭い光源として作用する。レーザは、特に化合物、生物学的因子のような既知または未知の物質を照明する。入射光の一部は、物質によってラマン散乱される。この光が全ての空間方向に散乱され、さらに幾つかの別々の波長にスペクトル的にシフトする。これらの波長は、物質の分子結合に関連する固有の振動エネルギに対応するようにシフトする。
従来のラマン分光測定システムにおいて、ラマン散乱光は、望遠鏡によって収集され、分散光学システムに結合される。望遠鏡は、例えば、光ファイバ束に、収集された光を集束させる。ファイバ束の反対側の端部において、個々のファイバが直線上に配向されて、回折格子ベースのスペクトログラフに対する入口スリットを形成する。電子光学検出器アレイは、ラマン散乱光の光学スペクトルを記録する。このスペクトルは既知の物質または未知の物質に対する「フィンガープリント」として役立つ。分析コンピュータは、既知の物質を識別する情報と共に「フィンガープリント」を格納するか、またはより多いのは、事前に分析され、「フィンガープリントがある(fingerprinted)」物質のスペクトルライブラリから未知の物質を識別するためにパターンマッチングアルゴリズムを用いるかのいずれかを行う。
実験室ベースのラマン分光測定システムは、長年にわたって公知となってきた。近年、サイズが縮小化されたコンポーネントの結果として、携帯可能なラマンシステムが可能になってきた。このような携帯可能なシステムの説明は、特許文献1に見出され得、該特許は本明細書に参考として援用される。バックパック実装された人間によって携帯可能なラマンセンサもまた、最近ITT(Wilmington,DE)によって配備されている(fielded)。このシステムの局面が、米国特許出願第11/688,434号(2007年3月20日出願、名称「Method, Apparatus and System for Rapid and Sensitive Standoff Detection of Surface Contaminants」)に説明され、該出願は本明細書に参考として援用される。トラック搭載のラマンセンサもまた最近配備されている。ラマン分光測定法に対するさらなる議論のために、特許文献2に対して参照がなされ得る。
米国特許第6,608,677号明細書 米国特許第6,788,407号明細書
これらの公知のシステムにもかかわらず、市民および軍隊の両方の人員(危険な物質および項目を識別子、最終的に処理する責任を有する人員)のニーズに合致する、様々な形式のラマンセンサを提供するニーズが存続する。
本発明は、ラマン分光測定センサの特異的な実装を提供し、該実装においてシステムのコンポーネントは、自律的に動作するか、もしくはリモートユーザによって制御される無人地上車両(UGV)上に搭載されるか、または好適には近接に組み込まれる。このタイプの構成によって、ラマンセンサのユーザは、危険な物質または項目の近傍にいなければならないことを避け得る。より具体的には、本発明の実施形態によって、人員は、遠隔であるが感度の高い部位の探査(exploitation)(未知の物質または項目(爆発性物質(例えば、TNTおよびRDX)、手製の爆発物とそれらの前駆物質および化学兵器因子(CWA)を含む化学物質、そして有毒産業化学物質(TIC)を含むがこれらに限定されない)の存在に対する、建物、機器、車両、航空機、および他の人工の表面または自然の表面の検査を含む)を行う能力が提供される。本発明の実施形態の1つの有意な利点は、爆発物が隠され得る同一の場所に人々を配置する必要なしに、爆発性増強デバイス(IED)を検索および検出する能力である。
本発明の実施形態の他の利点は、技術が、(1)接触しない(non−contact)(すなわち遠隔システム)、(2)表面汚染のマッピングが可能である、そして(3)迅速な応答を提供する(典型的には検出を数秒で行う)、という事実を含む。
1つの実施形態において、本発明は、独自に、またはUGV自体の操作によって操作可能であり得るロボットアームを含むUGVを提供する。UGVは、好適には、無線周波数(RF)リンクを介して、遠隔で制御される。ロボットアームは、好適にはカメラを含み、該カメラからの画像は好適には(RFリンクを介して)制御ステーションにストリーミングで返され、該制御ステーションからオペレータがUGVを制御し得る。このようにして、オペレータは、適切にUGVを操作して、カメラを関心のある標的に指向し得る。
上述に加えて、UGVはまた、好適には、ラマンセンサのコンポーネントを含む。具体的には、ロボットアーム上のカメラと共に、レーザおよび関連する望遠鏡があることが好ましい。上述のように、ラマン分光測定において、レーザは所望の場所を照射し、望遠鏡がラマン散乱スペクトルを集める。本発明に従うと、これらのスペクトルは、例えば、光ファイバの束を含むアンビリカルを通って、UGVに搭載されたセンサにわたる。センサは、スペクトログラフ、データ獲得および制御モジュール、電力調整モジュールおよびUGVを制御するRFモジュールと同一であり得るRFモジュール、あるいはラマンセンサコンポーネントを制御し、該コンポーネントと通信すること専用の別のRFモジュールを含み得る。
好適には、ベースステーションがまた、リモートオペレータに対して提供され、UGVのラマンセンサ局面をモニタし、制御する。この点に関して、ベースステーションは好適にはデータ処理および分析モジュールならびにシステムの動作を容易にするためにディスプレイ(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を含む。ベースステーションは、UGVの制御ステーションに組み込まれ得るか、またはUGVの制御ステーションとは別々であり得る。実際、UGVのオペレータがラマンセンサと同一のオペレータではあり得ないことが意図される。この点に関して、2つの別々のオペレータは、同一の場所にいることさえ必要ない。
好適な実施形態において、自動望遠鏡焦点合わせ機構が実装され、該機構はロボットアームに許容される限定された空間および重量によって設定される制約内でさえ効果的に動作する。
さらに別の実行可能な実施形態において、UGVのラマンセンサコンポーネントは、ラマンセンサの人間に携帯可能/バックパックバージョンと互換可能であるように構成されることによって、状況(例えば、地形または環境の性質、知覚される脅威など)に依存して、人員がUGVを用いることまたは人員を関心のある標的に直接接近させることのオプションを有し得る。
以下は、本発明の実施形態の幾つかの好ましい特徴のリストである。
小型リモートセンサ;
20分未満のウォームアップ;
遠隔で調整可能遠隔範囲(0.5〜10m);
手動照準合わせまたはUGVの遠隔制御アームの使用を介した方向の視線方向指示における高い柔軟性;
汚染マッピング;
遠隔(調査される領域の外)ベースステーションへの無線周波数(RF)リンク;
表面汚染物質の迅速(<30秒)検出および識別
単純で少ないメンテナンス動作;
低い誤報率の検出の高い選択性/確率;
動作環境に対して耐久性を高めること;および
未知の物質を検出して扱う能力
本発明はさらに以下を提供する。
(項目1)
ラマンセンサを有する無人地上車両(UGV)を含むシステムであって、該システムは、
ロボットアームを有する無人地上車両(UGV)と、
該ロボットアームに搭載されたカメラと、
該カメラが示す方向と実質的に同一の方向を示すような方法で、該ロボットアームに搭載されたレーザおよび関連する望遠鏡と、
該UGVに搭載され、かつ該望遠鏡からラマンスペクトルデータを受信するように構成されたデータ獲得および制御モジュールと、
ディスプレイ、ならびに該データ獲得および制御モジュールからデータを受信するように構成されたデータ処理および分析モジュールを有するリモートベースステーションと
を備えている、システム。
(項目2)
上記UGVが遠隔に制御される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
上記UGVが自律的に動作する、項目1に記載のシステム。
(項目4)
上記望遠鏡からのラマン散乱光を受信するスペクトログラフをさらに備えている、項目1に記載のシステム。
(項目5)
上記レーザおよび関連する望遠鏡を、上記データ獲得および制御モジュールに接続するアンビリカルをさらに備えている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
上記ベースステーションは、上記カメラから結像を受信し、該結像を上記ディスプレイに表示する、項目1に記載のシステム。
(項目7)
上記ディスプレイはタッチスクリーンディスプレイである、項目6に記載のシステム。
(項目8)
上記レーザは約262nmの周波数で動作する、項目1に記載のシステム。
(項目9)
上記望遠鏡はオートフォーカスシステムを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目10)
上記オートフォーカスシステムは、平行移動ステージ上を直線的に動かすことが可能な一次ミラーを備えている、項目9に記載のシステム。
(項目11)
上記オートフォーカスシステムは、平行移動ステージ上を直線的に動かすことが可能な二次ミラーを備えている、項目9に記載のシステム。
(項目12)
レンズが、標的におけるレーザビームスポットを、直線検出器アレイ上に画像化するように配置される、項目9に記載のシステム。
(項目13)
上記レンズが収集光学素子に対して軸をずらすように配置される項目12に記載のシステム。
(項目14)
上記直線検出器アレイは、Scheimpflug角と一致する角度で傾けられる、項目12に記載のシステム。
(項目15)
上記直線検出器アレイの前に配置されたフィルタをさらに備えている、項目12に記載のシステム。
(項目16)
上記オートフォーカスシステムは、+/−1mmの焦点深度を提供する、項目12に記載のシステム。
(項目17)
上記望遠鏡は、約0.5m〜約10mの遠隔範囲を有するように焦点を合わせられ得る、項目1に記載のシステム。
(項目18)
上記レーザおよび関連する望遠鏡ならびに上記データ獲得および制御モジュールは、モジュールで構成され、その結果該レーザおよび関連する望遠鏡ならびに該データ獲得および制御モジュールが、人間によって携帯可能なラマンセンサによって用いられ得る、項目1に記載のシステム。
(摘要)
無人地上車両(UGV)に組み込まれたラマン分光測定センサは、ロボットアームと該ロボットアームに搭載されたカメラとを有するUGVを含む。ラマンセンサに関連するレーザと望遠鏡とが、上記カメラが示す方向と実質的に同一の方向を示すような方法で、上記ロボットアーム上に搭載される。ラマンスペクトルデータ獲得および制御モジュールがUGV上に搭載され、上記望遠鏡からのラマンスペクトルデータを受信するように構成される。ディスプレイならびにデータ処理および分析モジュールを有するリモートベースステーションは、上記データ獲得および制御モジュールからデータを受信し、オペレータに対して、カメラからの画像と、ラマンセンサに関する情報とを表示するように構成される。オートフォーカスシステムが、好適には、望遠鏡の焦点を自動的に制御して、それによりラマンセンサが広範囲(例えば、0.5m〜10m)にわたって動作可能にするために使用される。
本発明の実施形態のこれらの特徴および他の特徴ならびにそれらに付随する利点が、関連する図面と共に以下の詳細な説明を読み込むと、より完全に認識される。
図1は、ラマン分光測定システム100の概略的な機能図であり、該システム100は本発明の実施形態と共に用いられ得る。示されるように、レーザ送信器110は、高い放射照度を有する、スペクトル的に狭い光源として働く。機能ブロック112によって示されるように、該レーザ送信器110は、表面上に堆積された化学因子を照明する。入射光の一部は、機能ブロック114によって示されるように、化合物(chemical compound)によってラマン散乱される。この光は、全ての空間的な方向に散乱され、さらに、幾つかの別々の波長にスペクトル的にシフトされる。これらの波長は、所与の化学物質の分子結合に関連する固有振動エネルギに対応してシフトする。
ラマン散乱光は、望遠鏡によって収集され(ブロック116)、分散光学システムに接続される。より具体的には、望遠鏡が、収集された光を光ファイバ束118上に集束させる。ファイバ束の反対側の端部において、個々のファイバが直線状に配向され、回折格子ベースのスペクトログラフ120に対する入口スリットを形成する。(例えば、増感電荷結合デバイス(ICCD)を含む)電気光学検出器アレイ122は、ラマン散乱光124の光学スペクトルを記録する。このスペクトルは、化合物に対する「フィンガープリント」として役立つ。分析コンピュータ126は、パターンマッチングアルゴリズムを用いて、既知の化合物(compound)のスペクトルライブラリから、化学物質を識別して、最終的に特定の化合物128を識別する。
特に、爆発性物質の検出は、近年非常に重要になってきた。市民と、軍当局との双方が、適切な警報、避難、無害化、または根絶する努力が開始され得るように、爆発性デバイスを迅速に識別することに対する大きなニーズを有する。
この点に関して、UVレーザ励起の使用が、爆発性化学物質からのラマン散乱の効率を最大化することが近年決定されてきた。レーザ誘起ブレークダウン分光測定法(LIBS)のような技術は、ラマン分光測定法よりも選択的な技術または円熟した技術ではなく、一方でレーザ誘起蛍光(LIF)のようなその他の技術は、一部の爆発性物質が非蛍光性であることで、効果が薄く、かつさらに限定される。UVラマン分光測定法の、従来の可視励起ラマン分光測定法に対する主な利点は、感度である。UV励起波長は、本質的に、可視波長よりも強く散乱する。さらに、多くの爆発性化学物質は、UV放射を強く吸収し、そしてこのことが共鳴増強(resonance enhancement)と呼ばれる効果によって、非常に大きな桁数でラマン散乱効率を増加させる。共鳴増強は、芳香環およびニトロ基のような化学官能基に対して特に強く、これらの両方は、爆発性化合物の共通の特徴である。最終的に、収集されたUV−ラマン信号の強さは、(標的濃度、波長依存吸収および標的の散乱特性を含む)幾つかの要素に依存する。これらのパラメータ間の関係は、例として爆発性物質TNTを用いて以下でより詳細に論じられる。
TNTの幾つかのサンプルに対するUV−ラマンスペクトルの詳細な分析は、262−nm(UV)レーザ励起に対するラマン散乱効率が、従来の532−nm(緑)励起において見出される効率よりも約105倍大きいことを示し、これは強い共鳴増強を示す。図2に示されるのは、アセトニトリル中のミリタリーグレードのTNTの11mM溶液に対する262−nmラマンスペクトルである。この濃度において、アセトニトリル分子は、約1800:1でTNT分子に数で勝っているが、TNTのラマンバンド(実線トレース)は、アセトニトリルに属するラマンバンド(点線トレース)に匹敵する強度を保持する。明らかに、TNTからの散乱が、262−nm励起によって強く増強される。アセトニトリルに対する既知の262−nm散乱クロスセクションとの比較によって、TNTに対する262−nm散乱クロスセクションが3×10−25cm/分子であることが決定された。対照的に、同一のサンプルの532−nmラマンスペクトルは、検出可能なTNTラマンバンドを発生させず、このことはこの波長において予測される最も弱い散乱(約1×10−30cm/分子または300000倍弱い)と一致する。特に、このサンプルに用いられる11−mMの濃度および1mmの経路長は、厚さ1.5umのTNT膜と等しく、このことは爆発性物質の薄膜はUVラマンを用いて最良に測定されることを示唆する。
262−nmレーザ励起によって提供される強く増強されたラマン信号は、トレース汚染レベル(trace contamination level)においてTNTを検出および識別するために必要とされる感度を提供する。262nmにおける強い吸収は、分子数を限定し、この分子が、サンプルの厚さにかかわらずTNTの第1の90−nmの層において見出される分子に対して測定されたラマン信号に寄与する。上記の11−nm溶液およびTNTの固体塊状サンプルが同等の信号レベルを発生させるという事実は、吸収が「相互作用深度」を限定するという主張を有効にし、「相互作用深度」は、本明細書において、無限の厚さのサンプルから予測される収集される戻り信号のうちの90%を発生させるサンプルの厚さとして定義される。(図2に示されるような)収集される信号の大部分が、TNTの非常に薄い膜(<100nm)から取得可能であることが重要である。
最近、Lincoln Laboratoryが、爆発物(例えば、IED)に巻き込まれる個人の手および足と接触する車両の外側表面上で20ug/cmを超える濃度で、爆発性化学物質が発見され得ることを報告した。これらの発見に基づいて、Lincoln Laboratoryは、266−nmで動作する1−Wレーザと30−cmの収集アパーチャとを備えたUVラマン分光計は、検出可能なレベルにおいて(10m未満の離れた距離においてさえも)ラマン光子を収集することが不可能であると結論付けた。しかしながら、TNTに対するUV−ラマン散乱クロスセクションが公開時には利用可能ではなかったので、著者らは1×10−30cm/分子という値を用いた。重要なことに、著者らは、強い共鳴増強が実際にはこれらのモデルによって予期される乏しい性能を克服し得ることを認識した。図2のデータは、266nmにおける散乱クロスセクションが、実際には約数桁だけ大きい(約1×10−25cm/分子)ことを示し、このことは、強い共鳴増強の性能への影響に関する彼らの仮説を確認する。Lincoln Laboratoryによって説明されるラマン分光計は、実際には、5mの離れた距離において約105ラマン光子/秒を収集し、この値は当初予期されたものよりもかなり大きい。特に、20ug/cmの質量負荷で等しく分布されたTNTによる4cmプリントは、約30nmの厚さであり、これは、262nmにおいてTNTに対する相互作用深度に対して大きさで匹敵する。このことは、本発明で用いられるUV−ラマン技術が、Lincoln Laboratoryによって報告されたような車両外側上で見出される汚染レベルにおいてTNTを検出するために良く適していることを示唆している。実際には、UV−ラマン分光計を用いるTNT検出能力は、既に確認されている。図3は、本発明の実施形態によって用いられるラマン分光計によって記録されたTNTの262−nmラマンスペクトルを示す。図3のデータは、1mの離れた距離において1秒間に収集された。
ラマン分光計を用いるTNTおよび他の爆発性物質検出は、上記のように、ますます精度が上がっているが、好適には、人員が第1の位置の近くにいることを避けるべきであるという問題が残っている。ラマンセンサを含む従来技術の遠隔検出システム(stand off detection system)は、人員が分析されるべき謎のデバイスまたは表面に少なくとも接近することを要求する。本発明は、空間的にセンサをオペレータから離すことによって、この起こり得る危険なシナリオを克服する。
図4は、本発明の実施形態をブロック図の形式で示す。示されるように、システムは基本となる無人の地上車両(UGV)410を備え、該車両410はUGV410の本体から延びたアーム425に搭載されたUGVカメラ420と、リモートUGV/カメラアーム制御ステーション430とを含む。UGV/カメラアーム制御ステーション430は、好適には、無線周波数(RF)リンク435を介して、UGV410と通信し、UGV410とアーム425とに命令して、選択された方向に移動させる、回転させる、停止させるなどを行わせるように動作可能であり、これらは離れた位置から行われる。このようなRFリンク435は、UGV410とオペレータとに最大の自由度を提供するが、特定の状況下では、UGV410とUGV/カメラアーム制御ステーション430との間に有線接続を有することが好ましいことがあり得る。例えば、光ファイバワイヤが、UGV410、アーム425およびカメラ420、特にUGV410上の要素を遠隔で制御するために使用され得る。本発明と共に用いられ得るUGVの1つの可能性は、図5に示されるMATILDA IIロボットプラットフォームであり、Mesa Robotics, Inc.(Madison,AL)から入手可能である。図5には示されていないが、MATILDA IIロボットはまた、遠隔で動作されるUGV/カメラアーム制御ステーション430を含み、これはUGVのオペレータによって動作され得る。
図4を再び参照して、本発明の実施形態に従って、ラマン分光計またはセンサに関連するコンポーネントがUGV410に組み込まれる。これらのコンポーネントは、レーザ/望遠鏡モジュール450を含み、該レーザ/望遠鏡モジュール450はUGV自体に搭載されるか、より好適には、示されるようにロボットのアーム425上に搭載される。例えば、上記のファイバ束を備えているアンビリカル(例えば、ケーブルまたはケーブルの集合)455が、レーザ/望遠鏡モジュール450をセンサモジュール460と接続する。センサモジュール460は幾つかのコンポーネントを備え、これらのコンポーネントは、レーザ/望遠鏡モジュール450の望遠鏡から光学ラマンスペクトルを受信するためのスペクトログラフ、例えば、増感電荷結合デバイス(ICCD)カメラを用いてスペクトルデータを捕捉するデータ取得および制御ユニット464、ラマン分光計および関連機器に関連する幾つかのコンポーネントおよびモジュールに適切な電力を供給するための電力調整ユニット466ならびにベースステーション480と通信を無線によって交換するように構成されたRFユニット468を含む。
ベースステーション480は、それ自体が、RFユニット468との無線通信471を維持するRFユニット482と、データ処理および分析モジュール484とディスプレイ486とを備えている。データ処理および分析モジュール484がベースステーション480の一部であるように示されているが、このモジュールの機能性は、同様にUGV410に配置され得る。データ処理および分析モジュール484の主たる目的は、既知のラマンスペクトルのライブラリに対してスペクトルのパターンマッチングを行うことと、UGV410上のレーザによって、次いで照射される、または既に照射されている物質を識別することを試みることとである。ディスプレイ486は、次いで、起こり得る物質の識別について、オペレータに警告し得、そしてさらなる情報(例えば、識別される物質のタイプを考慮するステップ)または治療を開始するために連絡する人物に関する情報を提供し得る。
1つの実装の可能性に従って、受信されるスペクトル信号が「継続的に未知(persistent unknown)」の(例えば、現在のライブラリのメンバではない)場合、上記システムはオペレータに、(1)重要な未知のものとしてライブラリにシグネチャを追加すること、(2)検出されたシグネチャを無視すること、または(3)次の未知の発生までいかなる決定も延期すること、のオプションを提供する。受信されたスペクトル情報に関する情報が、ディスプレイ486を介してオペレータに提示され得、そしてオペレータは、ディスプレイ486のタッチスクリーン能力を介してシステムに入力を提供するように要求され得る。
図4は、別々のコンポーネントとして、UGV/カメラアーム制御ステーション430およびベースステーション480を描くことに注意されたい。しかしながら単一の一体型制御機構がシステムの制御を容易にするために、例えば、1組の制御装置、1つのディスプレイなどを用いて、該システムに対して実装されることが好適であり得る。そのような一体型制御が参照番号490によって指示される。例えば、1つのディスプレイによって、オペレータは、レーザが調査して(interrogate)いるものが何かを正確に見ることが可能であり得る。より具体的には、UGVカメラ420からの画像は、ディスプレイにストリーミングで返され得、このディスプレイはまたレーザ/望遠鏡モジュール450のレーザが照射しているものを描くように動作可能である。結果として、例えば、爆発性物質が識別される場合、オペレータは対象をより容易に識別し得、該対象上に爆発性物質のトレースが見出されることにより、その情報を爆発物処理専門家に通信する。そのような画像は、後の使用(例えば、訓練)のためにさらに格納され得る。さらに、ディスプレイは、ロボットが見ている場所のリアルタイム映像を示し得、ラマン調査(Raman interrogation)の結果を示す、ディスプレイ上のオーバーレイ表示またはタイル表示(tiled)ディスプレイを含み得る。
代替の実施形態において、UGV/カメラアーム制御ステーション430とベースステーション480とは、意図的に別々の機能ユニットとして維持され、それにより異なるオペレータが、それらのオペレータが同一の場所にいない場合でさえも、システムのそれぞれのコンポーネントを動作させる実現性を可能にする。
UGV上のラマン分光測定システムが実際に物質を検出可能である位置または範囲は、本発明の遠隔無人ラマン分光測定システムの構成の要素である。20mWレーザは汚染物質を検出するために(標的上で1秒一時停止することにより)3mで有効であるが、該システムの範囲は約10mより広いことが好ましい。結果として、十分なレーザ出力が、選択された標的に伝達され得ることを確実にするために、より強力なレーザが好ましくは用いられる。1つの可能な実装において、Photonics Industries(Bohemia,NY)から入手可能な500mW263nmのレーザが、増大された範囲に対して必要な出力を得るために、用いられ得る。当然、適切な出力を標的の汚染物質に伝達するために十分な、その他のレーザおよび出力もまた用いられ得る。
さらに、この大きさ(10m)の範囲に対してレーザ/望遠鏡モジュール450の望遠鏡コンポーネントが、好ましくは0.5〜10mの範囲を超えて焦点を合わせることが可能である。1つの可能な実装において、電気的に起動される焦点調節(focusing)機構は内部のポインティングダイオードおよびUGVのカメラ420と共に用いられ得、遠隔で焦点を調節する。すなわち、UGVのカメラ420の視野をモニタすることにより、オペレータは、遠隔でレーザ/望遠鏡モジュール450の光学コンポーネントの焦点を合わせ得る。あるいは、自動化フォーカス(オートフォーカス)システムが実装され得、このシステムによって望遠鏡の焦点を手動で制御しなければならないオペレータを助ける。このことは、時間を節約し得、検出の精度を増大させ得る。本発明と共に用いられ得るオートフォーカスシステムの詳細な議論は、本明細書において後に提供され得る。
1つの可能な実装において、上記システムのラマン分光測定コンポーネントはモジュラーコンポーネントであり得、該モジュラーコンポーネントは人間によって携帯可能な(man−portable)ラマンセンサと共有され得る。このような人間によって携帯可能なラマン検出システムの説明は、上述の米国特許出願第11/688,434号に見出され得る。上記出願において説明される人間によって携帯可能な検出システムは、ハンドヘルドユニットと、処理ユニットと、該ハンドヘルドユニットと該処理ユニットとを接続するアンビリカルケーブルとを含む。上記出願において説明される実施形態において、処理ユニットの少なくとも一部分は着用可能なバックパック内に収容される。
本発明の実施形態に従うと、UGV410に搭載されるか、またはUGV410に組み込まれるラマン分光測定システムの選択されたコンポーネントはモジュラー化され、その結果これらのコンポーネントもまた、人間によって携帯可能なラマン検出システムと共に用いられ得る。より具体的には、米国特許出願第11/688,434号に説明されるハンドヘルドユニットが、図4に示されるレーザ/望遠鏡モジュール450に類似する機能性を有するように、該ユニットが構成され得る。同様に、本発明のアンビリカル455は、米国特許出願第11/688,434号に説明されるアンビリカルケーブルと同様に構成され得る。最終的に、センサモジュール460は、米国特許出願第11/688,434号に説明される処理ユニットと類似の機能性を有するように構成され得る。同様のそれぞれのエンクロージャはまた、上記される幾つかの実現可能なモジュラーコンポーネントに提供され得る。そのようなモジュラー性によって、未知の物質を検出するためのシステム全体が、組み合わせシステムを含み、該組み合わせシステムはUGVセンサと人間によって携帯可能なセンサとの両方を備えており、フィールドの人員が容易に、知覚される脅威または任意の他の考慮に依存して(UGVまたは人間によって携帯可能なセンサ)のシステムのいずれかのタイプを選択およびイネーブルにし得る。
好ましい実施形態において、レーザ/望遠鏡モジュール450、アンビリカル425、センサモジュール460のようなコンポーネントは、列線交換ユニット(LRU)として人員に利用可能であり、これによりフィールドでのそれぞれの修理を単純にする。レーザ/望遠鏡モジュール450およびセンサモジュール460のようなコンポーネントは、かなりの時間量の間、要素(element)に曝露される可能性があるので、これらのコンポーネントのためのエンクロージャは、好適には、適切な環境シール(雨に対する防護材、汚染除去スプレーブースなど)を有し、(特に軍事用途のために)EMI/EMC硬化され、適切な衝撃/振動絶縁を有する。
無線リンク471は高帯域幅拡張スペクトルRFデータリンクであり得る。無線リンク435はまた、無線リンク471と一体化され得るか、または別々に動作されるリンクであり得る(例えば、異なる周波数、異なる変調技術など)。
ベースステーション480は、集中型デバイスであり得、ただ1つのUGVだけでなく可能性としては複数のUGVをモニタする能力を有し得る。複数のUGVが同時に用いられ、かつただ1人のオペレータが利用可能な場合に、UGVの自律動作が好適であり得る。いかなる場合においても、ベースステーション480の出力はまた、電子ネットワーク(例えば、(有線またはRFの)Ethernet(登録商標))を経由して、現場指揮官のワークステーションに接続され得、該ワークステーションは、全てのフィールド上のUGVまたは人間によって携帯可能なデバイスの活動を統合する。
UGV410に関して、積載量を最大にしながら、建物およびトンネル内部で使用するために十分に小さいロボットを用いることが好ましい。上記のMATILDA IIロボットは、約125ポンドの積載能力を有し、そのバッテリで6時間動作し得る。米国特許出願第11/688,434号に説明される人間が携帯可能なバックパックおよびワンドは、1時間のバッテリを含んで、約46ポンドの重さである。MATILDAロボットのロボットアーム425は、約45ポンドであり、約35ポンドの積載能力を有する。レーザ/望遠鏡モジュール450の重さは、約5〜20ポンドである。従って、ロボットアーム425、レーザ/望遠鏡モジュール450およびセンサモジュール460は、追加バッテリ20ポンドを除くと、105ポンド未満である。
バッテリは標準的な軍事用バッテリパック(例えば、5590、2590)であり得るか、またはより高いエネルギ密度を有するより最新のバッテリであり得る。バッテリ選択は、UGV410が動作可能であり得る時間の長さに影響し得るが、他の場合には本発明に対して重要ではない。
上記より、当業者は、本発明に従って、UGVに搭載されるか、UGVに組み込まれるラマン分光計のコンポーネントが遠隔に調節可能な0.5〜10mの離れた範囲を有することにより、オペレータがUGV410の近傍のホスト表面を分析することを可能にする小型リモートセンサを作り出す(yield)。1つの実装において、UGVアーム425は、レーザ/望遠鏡モジュール450の照準を合わせるために用いられる。GPSおよび周知の位置エンコーダの使用によって、UGVの場所データおよびアームの位置データを捕捉することにより、個々の疑わしい場所およびデバイスの座標を生成することも可能であり、さらに表面汚染または爆発性デバイスの可能性のある場所の範囲までのマップ生成を助ける。このようなマップまたは写像データは、他の地理情報システムに組み込まれ得、これらが望ましくない因子およびデバイスを追跡および除去する際に、人員をさらに補助し得る。
好ましい実施形態において、そして上述のように、UGVおよびラマンセンサは、離れたサイトに対して、RFリンクを介して遠隔で制御されて、それにより人員が不必要に危険にさらされないことを保証する。オペレータは、近くの場所にいても良く、または十分に離れた場所にいても良い。
また、スペクトルパターンマッチングが数秒内に行われ得るので、未知の因子は、典型的には30秒未満で識別することが可能である。このことは、UGVが、1組のバッテリ寿命の間に、数百または数千の調査さえも行うことを可能にする。収集されたスペクトルクトルデータはまた、通常非常に一意的であり、それゆえ上記システム全体が、低い誤報率で、高い検出の選択性/確率を提供し得る。
上記のように、望遠鏡光学素子によるオートフォーカスシステムを実装して、本発明のラマン検出システムが0.5m〜10m離れた範囲でイネーブルにすることが好ましくあり得る。しかしながら、ロボットアームの限定された空間、ロボットアーム425に追加され得る限定された重さの量、および概してUGV全体に起因して、小型ではあるが十分な忠実度を有する焦点調節可能な装置を有して、全体で0.5〜10mに対する動作範囲を提供することが望ましい。
さらに具体的には、光学システムの焦点深度は、収集光学素子のF/#の二乗に比例する。オペレータの動きまたは標的高の変化に起因して、標的距離の全範囲に対して良好な焦点を維持するために、標的距離が変化するとき、F/#は大きくなる必要がある。しかしながた、収集された光は、F/#の二乗に逆比例する。従って、大きな焦点深度を提供するための大きなF/#へのニーズと、より多くのラマン散乱光の収集を可能にするための小さなF/#へのニーズとの間の基本的な相反が存在する。
しかしながら、標的距離が変化するときに正確な焦点を維持することが可能なオートフォーカスシステムを実装すると、大きな焦点深度すなわち大きなF/#へのニーズは消え去る。ここで、より多くのラマン散乱を収集する小さなF/#の収集光学素子が使用され得、ラマンセンサシステム全体のS/N比を対応して増加させる。
本発明の実施形態に従って、かつ図6を参照して、望遠鏡光学素子の一次ミラーは、平行移動ステージ(図示せず)上を動くように構成され、関心のある範囲の全ての標的距離に対する正確な焦点合わせを可能にする。
標的距離は、小さなレンズ(可能性としては直径でほんの数mm)の使用によって推定され、該レンズは該標的上のUVレーザビームスポットを直線検出器アレイ610上に画像化する。(任意の他の波長における任意の他の同一アラインメントのレーザビームがまた使用され得る)。収集光学素子の軸から外れてレンズが位置しているので、視差が生じ始める。標的距離は、直線アレイ610上の画像スポットの場所によってマップされる。図6において、標的距離が範囲A−Bに対して変わるとき、直線アレイ上の画像スポットはA’とB’との間の範囲になる。画像化レンズ615の焦点距離は、概して、範囲A’−B’がアレイ幅の十分な部分を覆うように選択される。
直線アレイ上の画像スポットの場所は、最も大きい信号を受信する画素によって決定される。重心アルゴリズムが実装されて、標的距離測定の精度を増大させ得る。スポット画像画素座標の標的距離への連続的な写像を可能にするために、まず、較正手順が好ましくは実行される。この手順において、システムは、関心のある範囲に対して拡散された、幾つかの異なる標的距離(典型的には3m〜6m)において、手動で最良の焦点に合うようにされる。各標的距離に対して、2つの量が記載される。すなわち、直線アレイ610上の最も明るい画素の座標と、平行移動ステージ上で読み取られる位置エンコーダとである。方程式は、次いで、画素座標と対応する標的距離との間の一般写像を提供するように展開される。
写像方程式は、典型的には、多項方程式であり得るが、多くの他の式も用いられ得る。焦点が、どの程度正確に標的距離範囲に対して必要とされているかに依存して、方程式は二次、三次またはより高次になり得る。
一実施形態において、一次ミラーが、位置エンコーダによって適合された直線平行移動ステージに取り付けられた。画素座標を対応するエンコーダカウント数に相関させる二次多項式が生成された。標的距離サンプリングレート、および焦点多項式を求めるプロセッサチップの速度は共に、所望の焦点応答レートをサポートするように十分速くなければならない。例として、サンプリングは、250〜400Hzで行われ得る。
画像化レンズのF/#が調節されることにより、高反射の表面が検出器の近飽和(near saturation)を引き起こし得る。黒いアスファルトなどのより暗い表面はより小さな信号を生成する。スポットが、直線アレイ610全体に対して正確に焦点を合わせることを可能にするために、アレイが好ましくはScheimpflug角として公知の角度で傾けられることが好ましい。図6に示される配置において、Scheimpflug角は、直線アレイ610のチルト角であり、この角度が点AおよびBを含む、歪んだ(skewed)標的平面における全ての場所に対する最良のスポット焦点を与える。概して、画像空間におけるScheimpflug角は、レンズ倍率によって分割される標的平面チルト角によって与えられる。
しかしながら、Scheimpflug角とは異なる角度で直線アレイ610を傾けることにおいて有益であり得る。このような角度において、直線アレイ610上の画像スポットは、大きな標的距離に対して焦点を合わせられ得、小さな標的距離に対しては焦点から外れ得る。この手段によって、直線アレイ610上の画素に向かう照射が通常予期される変動の二乗の逆数と比較して、標的距離へのより平坦な依存性を有し得る。このスキームによって、直線アレイのダイナミックレンジのより大きな部分が、次いで、標的距離の変化ではなく、標的反射性の変化に割り当てられ得る。
調節され得る標的反射性範囲をさらに増加させるために、フィルタ630は、高い反射性の標的から受信される光の量を減少させるように、直線アレイの前に配置され得る。フィルタは、次いで、標的反射性がより小さくなったとき取り除かれ得る。直線アレイ上のピーク信号をある基準レベルと比較することによって、いつフィルタを使用するかに対する決定がなされ得る。標的反射性調節範囲はまた、第2のレーザ(可能性としては可視レーザダイオード)を焦点基準として用いることによって、増大され得る。このレーザは、標的反射性が高いとき減少した出力で進行し得、低い反射性に対して増大した出力で進行し得る。Scheimpflug条件から逸脱することによって、そしてフィルタの使用によって、および/または上述の方法でレーザ出力を変更することによって、非常に大きな標的反射性範囲が調節され得る。
本発明の実際の実装において、薄い円柱レンズが、画像化レンズのすぐ前に用いられた。(このレンズは画像化レンズのすぐ後ろにも同様に配置され得る)。このことは、直線アレイ上にスポット画像ではなく、直線画像を生成した(この画像の寸法は典型的に10μm×10,000μm)。直線画像は、アレイ長に対して正しい角度で配向された。円柱レンズは、直線アレイから得られる位置分解能に劣化をもたらさないが、画像スポットの進行線に対する直線アレイのアラインメント許容性が、有意に、典型的に約1桁、緩和されることを可能にする。
別の実施形態において、(組み込み式位置エンコーダを有する)直線アクチュエータモータが二次ミラーを駆動させるために使用された。モータは、二次ミラーのフットプリント内に適合して、さらなる光の遮蔽を避けるために十分に小さかった。二次ミラーが、一次ミラーよりも典型的に一桁または二桁軽量であり得るので、作動速度は大きく増加され得、より速い焦点応答を導く。
本明細書に記載されるようなオートフォーカスシステムの使用は、幾つかの利点を有する。例えば、標的のスキャンをしながら、焦点を連続的に調節しなければならないストレスのかかる手動タスクを、システムオペレータから取り除く。また、非常に大きな標的距離範囲(典型的には0.1m〜3m、さらには10mまで)が、容易に、かつオペレータのストレスなしに、調節され得る。
さらに、手動で得られる焦点よりもさらにより精度の高い焦点を提供するオートフォーカスシステムを有することにより、ラマン散乱収集光学素子の本質的な焦点深度が、(典型的には+/−1mmまで)大幅に減少され得る。このことは、収集光学素子のF/#がより小さくなり、かつ収集されるラマン散乱がより大きくなる、用いられる標的距離をより小さくすることを可能にする。S/Nにおけるより大きな増加が、システム検出感度と、信頼性とを対応して増大させることを可能にする。
さらに、より多くのラマン散乱が収集されることを可能にすることによって、同一の信号収集を維持しながら、標的領域のスキャン速度が増大され得る。例えば、収集されるラマン散乱における10倍の増加は、同一の検出器に導かれる信号に対して、比例したスキャン速度の増加を可能にする。このことは、所与の標的領域をスキャンするための総時間における比例した減少を導く。
さらに、精度の高いオートフォーカスによって、ピント外れ(defocus)に起因する残りの収差は、光学素子の収差量よりも少ない。結果として、相対的により洗練された(高価な)光学素子(例えば、非球面レンズなど)への依存性を減少させることが可能であり得る。
また、オートフォーカスは、標的におけるレーザスポットが、収集ファイバ束の中心に正確に画像化されることを可能にする。このことは、ファイバ束の直径が、該ファイバ束のファイバ数の対応する減少によって減少されることを可能にする。(例えば、37本のファイバ束または19本のファイバ束が、実際のシステムの実装において用いられている現在の61本のファイバ束の代わりに、実行可能になり得る)。このことは、より短いスリット長を導き、このスリット長の画像がここで、ICCDの検出器アレイのサブセットのみを占める(すなわち、ICCDの検出器の部分)。このサブセットにおいて画素を読み出すことによって、検出器ノイズが比例した減少を示し得る。
上記の代替として、収集ファイバ束に対するレーザスポットの倍率が増大され得、画像空間開口数(NA)において比例した減少を与える。このことは、比例してより小さな直径の光学素子を有するより小さなNAスペクトログラフの使用を可能にする。同一の画質を提供するために、これらの光学素子は複雑性が減少し、光学素子を少なくし得、最終的な結果は高価なスペクトログラフ光学素子を少なくする。
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、本明細書の精神および必須の特徴から逸脱することなしに他の特定の形式に組み込まれ得る。それゆえ、上述の実施形態は、それぞれ全ての例示に入ると考慮され、限定を意味するものでない。
図1は、本発明の実施形態とともに用いられ得るラマン分光測定システムの概略的な機能図である。 図2は、爆発性TNTに対するラマンスペクトルのグラフである。 図3は、爆発性TNTに対するラマンスペクトルのグラフである。 図4は、本発明の実施形態を、ブロック図の形式で示す。 図5は、無人の地上車両を描き、該地上車両に本発明が組み込まれ得る。 図6は、本発明に従う、オートフォーカスシステムを描く。

Claims (18)

  1. ラマンセンサを有する無人地上車両(UGV)を含むシステムであって、該システムは、
    ロボットアームを有する無人地上車両(UGV)と、
    該ロボットアームに搭載されたカメラと、
    該カメラが示す方向と実質的に同一の方向を示すような方法で、該ロボットアームに搭載されたレーザおよび関連する望遠鏡と、
    該UGVに搭載され、かつ該望遠鏡からラマンスペクトルデータを受信するように構成されたデータ獲得および制御モジュールと、
    ディスプレイ、ならびに該データ獲得および制御モジュールからデータを受信するように構成されたデータ処理および分析モジュールを有するリモートベースステーションと
    を備えている、システム。
  2. 前記UGVが遠隔に制御される、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記UGVが自律的に動作する、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記望遠鏡からのラマン散乱光を受信するスペクトログラフをさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記レーザおよび関連する望遠鏡を、前記データ獲得および制御モジュールに接続するアンビリカルをさらに備えている、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記ベースステーションは、前記カメラから結像を受信し、該結像を前記ディスプレイに表示する、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記ディスプレイはタッチスクリーンディスプレイである、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記レーザは約262nmの周波数で動作する、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記望遠鏡はオートフォーカスシステムを備えている、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記オートフォーカスシステムは、平行移動ステージ上を直線的に動かすことが可能な一次ミラーを備えている、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記オートフォーカスシステムは、平行移動ステージ上を直線的に動かすことが可能な二次ミラーを備えている、請求項9に記載のシステム。
  12. レンズが、標的におけるレーザビームスポットを、直線検出器アレイ上に画像化するように配置される、請求項9に記載のシステム。
  13. 前記レンズが収集光学素子に対して軸をずらすように配置される請求項12に記載のシステム。
  14. 前記直線検出器アレイは、Scheimpflug角と一致する角度で傾けられる、請求項12に記載のシステム。
  15. 前記直線検出器アレイの前に配置されたフィルタをさらに備えている、請求項12に記載のシステム。
  16. 前記オートフォーカスシステムは、+/−1mmの焦点深度を提供する、請求項12に記載のシステム。
  17. 前記望遠鏡は、約0.5m〜約10mの遠隔範囲を有するように焦点を合わせられ得る、請求項1に記載のシステム。
  18. 前記レーザおよび関連する望遠鏡ならびに前記データ獲得および制御モジュールは、モジュールで構成され、その結果該レーザおよび関連する望遠鏡ならびに該データ獲得および制御モジュールが、人間によって携帯可能なラマンセンサによって用いられ得る、請求項1に記載のシステム。
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