JP2010067674A - 金属積層基板の製造方法及びそれにより得られる金属積層基板 - Google Patents

金属積層基板の製造方法及びそれにより得られる金属積層基板 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は生産性、透明性に優れた金属積層基板の製造方法および金属積層基板を提供することにある。
【解決手段】
本発明の金属積層基板の製造方法は、透明基板上に、金属成分を含む塗布液を塗布して、透明基板上にランダムな網目状の金属層を形成する、金属積層基板の製造方法において、 該塗布液は、連続相と不連続相とを有するエマルションであり、連続相に少なくとも1種の金属成分を含み、不連続相は液滴平均粒径が0.1〜5μmの液滴であり、該金属層は、平均線幅0.01μm〜2μmの網目状であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、生産性、透明性及び導電性に優れた、ランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板の製造方法、および該製造方法により得られる金属積層基板に関するものである。
近年、建築用あるいは自動車・車両用窓ガラスには、冷暖房負荷の軽減を目的として、熱線遮蔽フィルムが使用されている。熱線遮蔽フィルムは、可視光を透過するため視認性があり、熱線を反射もしくは吸収することで、冷暖房負荷を低減することができる。熱線遮蔽フィルムとしては、一般的に高屈折の誘電体と低屈折の誘電体を交互に多層に積層させた多層積層膜、金属蒸着膜、透明導電膜が挙げられる。
一般的に、多層積層膜、金属蒸着膜や透明導電膜は、スパッタリング法や真空蒸着法で成膜するため、真空装置が必要となり、成膜速度が遅く、量産性に乏しく、大面積での成膜が困難であり、高コストになるという欠点がある。金属蒸着膜に関しては、可視光透過性と熱線遮断性を両立させる膜を得ることが困難であり、どちらかを犠牲にするか、どちらも不十分な膜しか得られないという問題点もある。また、透明導電膜も、透明導電酸化物である酸化インジウム等が高価であるという問題点もある。
透明導電膜として、特許文献1や特許文献2のように、スパッタリング法を用いずに、可視光透過性を上げる手法として、無電解めっきにより透明基材表面に銅箔層を形成し、フォトリソ法にてレジストパターンを形成後、エッチングにより銅箔層を非常に微細なパターンを高い精度で形成する方法が開示されているが、めっきにより形成された銅箔層の大部分をエッチングにより除去することになるため、銅材料の無駄が多く、廃液処理にも費用がかかるなど、製造コストが高くなるという問題がある。また、大面積化するためには、エッチング装置の大型化など、設備投資の面でもコストがかかる。また、印刷法によるパターン形成に関する手法も開示されているが、微細なパターン形成が困難であるため、熱線遮蔽性を示すことができないと考えられる(特許文献3)。
特許文献4に記載の技術は、ある溶媒に金属微粒子が分散した液と、かかる溶媒に難溶な溶媒を混合した塗布液を基板に塗布することで、不規則な網目状の金属微粒子層を形成させるものである。さらに網目状の金属微粒子層と基板との接着性を向上させるために開口部に透明膜状物質を積層させ、かつ開口部の膜状物質が金属微粒子層上には存在させない技術が記載されている。しかし、特許文献4に記載されている通りに上記塗布液から網目状の金属微粒子層を基板に形成させた場合には、十分に微細な網目状の開口を形成できず、熱線遮蔽フィルムとしての利用は難しいと考えられる。
特開平10−163673号公報 特開平5−16281号公報 特公平2−48159号公報 特開2006−127929号公報
本発明の目的は、上記課題を解決し、生産性、透明性および導電性に優れたランダムな微細な網目状の金属層を有する金属積層基板の製造方法および金属積層基板を提供することにある。
本発明の金属積層基板の製造方法は、以下である。
1) 透明基板上に、金属成分を含む塗布液を塗布して、透明基板上にランダムな網目状の金属層を形成する、金属積層基板の製造方法において、
該塗布液は、連続相と不連続相とを有するエマルションであり、連続相に少なくとも1種の金属成分を含み、不連続相は液滴平均粒径が0.1〜5μmの液滴であり、
該金属層は、平均線幅0.01μm〜2μmの網目状であることを特徴とする金属積層基板の製造方法。
2)前記金属層が、平均開口径0.5〜10μmの網目状であることを特徴とする、前記1)に記載の金属積層基板の製造方法。
3) 前記金属積層基板の表面比抵抗値が10Ω/□以下であることを特徴とする、前記1)または2)に記載の金属積層基板の製造方法。
4) 前記金属積層基板の全光線透過率が50%以上であることを特徴とする、前記1)〜3)のいずれかに記載の金属積層基板の製造方法。
5) 前記透明基板が、熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする、前記1)〜4)のいずれかに記載の金属積層基板の製造方法。
6) 前記1)から5)のいずれかに記載の製造方法により得られうる、金属積層基板。
本発明によれば、以下に説明する通り、生産性、透明性、及び導電性に優れた金属積層基板の簡便な製造方法を提供することができる。特に、透明基板として熱可塑性樹脂フィルムを用いた金属積層基板の製造に好ましく用いられる方法である。また、本発明の製造方法により得られる金属積層基板は、熱線遮蔽フィルム、タッチパネルの透明電極、結露防止用途などの各種用途に用いることが可能であるが、得られる金属積層基板の金属層が平均線幅が2μm以下、平均開口径10μm以下と極微細な網目状開口部を有することから、特に熱線遮蔽フィルムに好適に用いることができる。
本発明では、連続相に少なくとも1種類の金属成分を含み、不連続相は平均粒径が0.1〜5μmの液滴であるエマルション溶液を塗布液として用い、この塗布液を透明基板上に塗布する工程、及び塗布液を塗布した透明基板を加熱する工程を有することで、該液滴を鋳型とした極微細な網目状開口を形成することができ、そのため透明基板上にランダムな網目状の特定の金属層を有する金属積層基板を製造することができる。なお、該特定の金属層とは、金属層が平均線幅0.01〜2μm以下である。また平均開口径の好ましい範囲は、0.5〜10μm以下である。
本発明では、透明基板の表面張力は特に限定されないが、透明基板表面は、特定のエマルションからなる塗布液の連続相との濡れ性が良好であり、不連続相の液滴との濡れ性が良好でないことが好ましい。例えば、該塗布液がW/O(water in oil)型エマルションであれば、透明基板は連続相である有機溶媒と濡れ性が良好であることが好ましく、不連続相である水系溶媒との濡れ性が良好でないことが好ましく、逆に、該塗布液がO/W(oil in water)型エマルションであれば、透明基板は連続相である水系溶媒と濡れ性が良好であることが好ましく、不連続相である有機溶媒との濡れ性が良好でないことが好ましい。
また、該塗布液を塗布する前に、透明基板の表面張力を制御することを目的として、透明基板表面にコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の公知技術による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施し、透明基板表面の疎水性、親水性の度合いを調整しても良い。
ここで塗布液であるエマルションとは、溶質及び溶媒がともに液体である分散溶媒のことを示し、上述のW/O型エマルションでは、連続相が有機溶媒、不連続相が水系溶媒であり、上述のO/W型エマルションでは、連続相が水系溶媒、不連続相が有機溶媒である。
本発明の塗布液であるエマルションは、溶媒Aに少なくとも1種類以上の金属成分を分散した金属成分含有分散液と、該溶媒Aに難溶な溶媒Bを必要に応じて界面活性剤の存在のもとに混合して得られるエマルションである。なお、溶媒Aおよび溶媒Bは、それぞれ単独の溶媒であっても混合溶媒であっても良い。本発明において塗布液として用いるエマルションは、少なくとも1種類の金属成分が分散した溶媒Aが連続相を形成し、溶媒Bが不連続相を形成することが重要である。
溶媒Aが水系溶媒である場合、溶媒Bは溶媒Aに難溶な溶媒から構成され、O/W(oil in water)型エマルションとなる。一方、溶媒Bが水系溶媒である場合には、溶媒Aは溶媒Bに難溶な溶媒から構成され、W/O(water in oil)型エマルションとなる。
エマルションにおいて、少なくとも1種類の金属成分を含む連続相と、液滴平均粒径が0.1〜5μmである不連続相の質量比率は、連続相/不連続相=50/1〜2/1であることが好ましく、より好ましくは連続相/不連続相=25/1〜2/1であり、さらに好ましくは連続相/不連続相=10/1〜3/1、特に好ましくは連続相/不連続相=5/1〜3/1の範囲であり、これらの重量比率であることが、ランダムな網目状の特定の金属層を有する金属積層基板を製造する際に、良好なランダムな網目構造を形成可能なために好適である。水系溶媒が水である場合には、エマルション中の水分量をカールフィッシャー水分計にて定量することができる。ただし、水系溶媒が水以外の場合には、エマルション状態での連続相と不連続相の重量比を直接分析することは困難なため、遠心分離機により相分離させた後、各溶媒量を定量することにより、連続相と不連続相の重量比を確認する方法が考えられる。
塗布液であるエマルション溶液の作成方法としては、高速撹拌装置、高圧乳化装置、超音波式乳化装置、膜式乳化装置などの機械的乳化法や、自己乳化、転相乳化、液晶乳化、転相温度乳化、D相乳化などの化学的方法のいずれでもよく、単独、または複数を組み合わせた方法が挙げられ、エマルションの不連続相の液滴平均粒径が0.1〜5μmとすることができれば、特に限定されるものではないが、例えば、自己乳化により形成した5μmより大きい平均粒径の液滴が分散したエマルション溶液を、高速撹拌装置を用いて剪断して、さらに微細化し、0.1〜5μmの平均粒径としても良い。
本発明の製造方法に用いる、連続相に少なくとも1種類の金属成分を含み、不連続相の液滴平均粒径が0.1〜5μmであるエマルションは、所望する平均開口径に応じて、その不連続相の液滴平均粒径を適宜選択すればよいが、0.1〜5μmの範囲であることが重要であり、より好ましくは不連続相の液滴平均粒径は0.1〜1μmの範囲である。
なお、該塗布液であるエマルションには、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤、例えば、分散剤、表面張力調整剤、粘度調製剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤、消泡剤、酸化防止剤等が含まれていても良い。また、透明基板との密着性向上のために、塗布液であるエマルションは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等、公知の樹脂を含んでいても良い。なおこれら各種添加剤は、エマルションの連続相、不連続相のいずれに含有されても問題はなく、連続相と不連続相の両方に含有されても構わない。
本発明の製造方法に好適に用いられる該エマルション塗布液を形成するための界面活性剤としては、特に限定されるものでなく、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤を用いることができる。
アニオン性界面活性剤としては、具体的には、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリル酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム等の高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類、ラウリルリン酸ナトリウム、ステアリルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸エステル塩類、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムのポリオキシエチレンオキサイド付加物、ラウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリオキシエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテル硫酸塩類のポリオキシエチレンオキサイド付加物類、ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリオキシエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリオキシエチレンオキサイド付加物類、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−オクチルスルホコハク酸ナトリウム、 オレイン酸アミドスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE)スルホコハク酸ラウリルナトリウム、スルホコハク酸ラウリルナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩類等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、具体的に、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩類、2−ステアリル−ヒドロキシエチル−2−イミダゾリン誘導体等のイミダゾリウム塩類、N,N−ジエチル−ステアロアミド−メチルアミン塩酸塩、ポリオキシエチレンステアリルアミン類のアミン塩類等を挙げることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、具体的に、例えば、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールベヘニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールデシルテトラデシルエーテル等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル類、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸グリセリルのポリエチレンオキサイド付加物等のグリセリン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノパルミチン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリステアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、モノオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビタン脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、モノラウリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、ヘキサステアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、テトラオレイン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物等のソルビット脂肪酸エステルのポリエチレンオキサイド付加物類、ヒマシ油のポリエチレンオキサイド付加物類、ポリエーテル変性シリコン系界面活性剤等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシルメチル)−2−イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、アミドベタイン、等のベタイン系界面活性剤等を挙げることができる。また、界面活性能を有する樹脂成分を添加しても良く、例えば、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル酸/(メタ)アルキルアクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の親水性モノマー及び疎水性モノマー共重合体、疎水性セグメントが脂肪族ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリ(イプシロン−カプロラクトン)、ポリ乳酸またはポリグリコール酸、さらには、それらの共重合体や類縁体のいずれかから構成され、親水性セグメントがポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなるブロック共重合体等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、例えば、所望のHLB値を得るために、低HLB値の界面活性剤と高HLB値の界面活性剤を2種以上組み合わせることで、所望の形態の安定なエマルションを形成することができる。例えば、W/O型エマルションを得るにはHLB値が3〜6、O/W型エマルションを得るには、HLB値が8〜18の界面活性剤を使用することが一般的である。
ここで、HLB値とは、界面活性剤の乳化特性の定量的尺度として、界面活性剤の親油性、親水性のバランスを数値的に示したものである。
また、安定なエマルションとは、相分離や不連続相の液滴同士の合一が生じにくく、形成直後の状態を長時間保つことができるエマルションのことを示す。
界面活性剤は、所望するエマルション形態に応じて、連続相に添加しても良く、不連続相に添加しても良い。界面活性剤の添加量は、エマルション形成方法や所望する液滴径に応じて適宜選択して良く、特に限定されるものではないが、塗布液であるエマルション100質量%に対して、界面活性剤は好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。
界面活性剤を添加しなくても、安定なエマルションが得られる場合は、界面活性剤の添加は必須ではないが、塗布液であるエマルションに対して界面活性剤を含有させると、安定なエマルションが形成されやすくなる。またエマルション100質量%に対して20質量%を超える界面活性剤を含有した場合、そのようなエマルションを用いて製造された金属積層基板は導電性が低下したり、金属層の膜強度が低下したりすることがある。そのため、塗布液であるエマルション100質量%に対して、界面活性剤は0〜20質量%含有することが好ましい。
塗布液であるエマルションに使用する有機溶媒は、熱可塑性樹脂フィルムの融点以下の温度での加熱により乾燥除去でき、水系溶媒と難溶な溶媒であれば良く、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、石油エーテル、クロロホルム、シクロヘキサン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン等で例示されるハロゲン系溶媒、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等で例示されるケトン系溶媒、安息香酸メチル、酢酸イソブチル等で例示されるエステル系溶媒などが挙げられる。なお、これらの溶媒は単独で用いても、あるいは2種類以上混合して使用しても良い。
該塗布液のエマルション形態(つまり、W/O型エマルション若しくはO/W型エマルション)の選択は任意であり、塗布液の主成分であり、網目状構造を形成する金属成分の分散性を考慮して適宜選択して良い。
「ランダムな網目状」とは、線状部とこの線状部で囲まれた開口部とを有し、該線状部および該開口部のいずれか一方または両方が一定の形状を持たない形状をいう。好ましくは、一定の形状を持たない線状部と、この線状部に囲まれた、一定の形状を持たない開口部とを有し、該開口部が複数連結した形状である。線状部の形状は、通常、その幅や太さにより把握されるため、本発明において「線状部が一定の形状を持たない」とは、その幅や太さが一定でない(単一の幅や太さを有さない)形態をいうと解してもよい。本発明では、金属層が上記形状を有し、線状部が金属を含む成分により構成され、開口部が開口しているため、線状部が導電性を発現し、開口部が透明性を担う。そのため、線状部が占める面積(または開口部が占める面積)により全光線透過率を制御することが可能である。
本発明の製造方法に用いるエマルションの連続相に含まれる少なくとも1種類の金属成分としては、導電性を示すものであれば特に限定されないが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ビスマス、コバルト、鉄、アルミニウム、亜鉛、スズ等が挙げられ、用いる金属成分は1種類でもよく、2種類以上を組み合わせて用いても良い。ここで金属成分の種類とは、金属の元素によって決まり、例えば粒径が異なる2つの銅が存在した場合、これらは同一の金属成分であり、1種類の金属成分である。
なお、エマルションの連続相に含まれる少なくとも1種類の金属成分は、金属層の不定形な線状部分を形成することになる。
塗布液であるエマルションの連続相が金属成分を含むか否かは、塗布液であるエマルション溶液を、遠心分離機を用いて10,000rpmにて30分間遠心分離して、連続相と不連続相を相分離させた後、各相に含まれている金属成分をICP発光分析装置により分析することで確認可能である。
なお上述のように、塗布液であるエマルションには、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、分散剤、表面張力調整剤、粘度調製剤、pH調整剤、防腐剤、キレート剤、消泡剤、酸化防止剤等が含まれていても良い。そのため本発明の製造方法により得られる金属積層基板の金属層の線状部分には、金属成分以外に、他の各種添加剤、例えば、分散剤、界面活性剤、保護樹脂、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、耐電防止剤、などの有機成分、無機成分を含有することができる。
エマルションの連続相に含まれる金属成分の形状としては、粒子状、繊維状、板状であっても良いが、粒子状であることが望ましい。金属粒子の調製法としては、特に限定されないが、例えば(1)液層中で金属イオンを還元して金属原子とし、原子クラスターを経てナノ粒子へ成長させる化学的方法や、(2)バルク金属を不活性ガス中で蒸発させて粒子状となった金属をコールドトラップで捕捉する方法、(3)ポリマー薄膜上に真空蒸着させて得られた金属薄膜を加熱して金属薄膜を壊し、固相状態でポリマー中に金属ナノ粒子を分散させる物理的方法などが用いることができる。
エマルションの連続相に含まれる金属成分として好適な、金属粒子の数平均粒子径は、0.001〜0.3μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.001〜0.2μmの範囲であり、さらに好ましくは、0.001〜0.1μmである。金属粒子の粒径分布は大きくても、小さくてもよく、粒径が不揃いであっても、均一であってもよいが、粒径分布が小さく、均一な粒径である場合には、本発明の製造方法により得られる金属積層基板に、ランダムな網目状の金属層を形成させやすいために好ましい。
ここで、金属成分として好適に用いられる金属粒子の数平均粒子径とは、測定サンプル中に含まれる金属粒子の数を基に算出した平均粒子径であり、金属粒子の数平均粒子径は、金属粒子を分散させた溶液を銅メッシュ上に滴下して、透過型電子顕微鏡(H−7100FA型 (株)日立製作所製)で金属粒子を観察し、任意に選択した100個の金属粒子の粒子径を測定し、その平均値を数平均粒子径とした。
本発明の製造方法により得られる金属積層基板の金属層の平均開口径は0.5〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5μmの範囲であり、さらに好ましくは0.5〜1μmの範囲である。本発明の金属積層基板を熱線反射フィルムとして使用する際には、熱線(遠赤外線)である3μm以上の領域の波長を反射することが望ましく、平均開口径は1/4波長以下のサイズであることが望ましい。金属積層基板の金属層の平均開口径を0.5〜10μmとするためには、上述した連続相に少なくとも1種の金属成分を含み、不連続相は液滴平均粒径が0.1〜5μmの液滴であるエマルションを塗布液として使用し、透明基板上に、該塗布液を塗布した後、透明基板を加熱して、透明基板上にランダムな網目状の金属層を形成する方法により達成可能である。
ここで、金属層の平均開口径は、下記の方法にて算出した。まず、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製、VHX−200)を用いてサンプル表面を500倍で観察し、写真データを保存した。次に保存した写真データを選択して画面上に表示させ、装置内蔵の計測ツールで輝度抽出を行い、線部が黒、開口部が白に二値化した。その際、輝度レンジ195〜255とした。次に、「小粒除去」処理により、黒部(線部)に存在する面積400ピクセル以下の白点(ノイズ)を除去し、「穴埋め」処理により、白部(開口部)に存在する面積400ピクセル以下の黒点(ノイズ)を除去した。その後、「削除」処理により、画面の枠で切れて全体が表示されていない開口部を黒部に変換した。続いて、「一括計算」処理により、総面積及び周囲長を得た。その後、総面積/開口部数で、平均面積を算出し、下記式(1)及び式(2)から平均開口径を算出した。
平均面積=π×r ・・・式(1)
平均開口径=2r ・・・式(2)
本発明の製造方法により得られる金属積層基板の金属層の平均線幅は、0.01〜2μmであることが重要であり、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.1〜0.5μmである。金属積層基板の金属層の平均線幅を0.01〜2μmとするためには、上述した連続相に少なくとも1種の金属成分を含み、不連続相は液滴平均粒径が0.1〜5μmの液滴であるエマルションを塗布液として使用し、透明基板上に、該塗布液を塗布した後、透明基板を加熱して、透明基板上にランダムな網目状の金属層を形成する方法により達成可能であり、さらに透明基板の表面張力が、エマルションからなる塗布液の連続相との濡れ性が良好であり、不連続相の液滴との濡れ性が良好でないように制御することで達成可能である。
また金属積層基板の金属層の線状部分の平均厚みは、0.1〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1μmの範囲が好ましい。
ここで金属層の平均線幅は、下記方法により算出した。デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製、VHX−200)を用いてサンプル表面を500倍で観察し、写真データを保存した。保存した写真をJTrimで開き、リサイズ比率65%にし、ビットマップで保存した。保存したファイルを、Scion Imageで開き、線部が黒、開口部が白に二値化した。二値化した画像の線、開口部の白抜けや、異物などを除去し、線部の総面積、総長さを計算した(ここで、単位はピクセルである)。その後、下記式(3)により平均線幅を算出した。
線幅=1.36×(総面積/総長さ) (1.36は係数) 式(3)
金属積層基板の金属層の平均開口径が0.1〜5μmの範囲から外れたり、平均線幅が0.01〜2μmの範囲から外れると、導電性と透過率を両立させることが困難となり、好ましくない。また、金属積層基板の金属層の線状部分の平均厚みを0.1〜10μmの範囲とすると、導電性と透過率を高いレベルで両立できるためにより好ましい。
なお金属層の平均厚みは、金属積層基板の断面を切り出し、透過型電子顕微鏡(日立製作所(株)製H−7100FA)にて断面観察を行い、10箇所の断面での厚み測定を行い、平均値を金属層の平均厚みとした。
該金属積層基板の表面比抵抗値は、10Ω/□以下が好ましく、金属層を熱処理、光線処理、通電処理、酸処理など、導電性を高めるための公知の方法を用いて金属層の導電性を高め、表面比抵抗値を小さくする処理を行っても良い。
また、金属層に含まれる各種添加剤を除去することで表面比抵抗値を小さくするために、各種溶媒を使用して洗浄処理しても良い。ただし、溶媒使用時は、金属層と透明基板の接着性を低下させないように短時間で処理することが望ましい。
また、金属層の上にめっき金属層を積層することで、金属積層基板の表面比抵抗値を小さくしても良い。めっき金属層とは、電解めっき、または無電解めっきにより積層した金属層のことであり、金属層上にさらにめっき金属層を積層することで、金属積層基板の導電性が良好となる。めっき金属層を積層させる前処理として酸処理工程があるため、金属積層基板の表面比抵抗値を小さくする手法としては、酸処理が好ましい。
めっき金属層を構成する金属は特に限定されないが、Cu、Ni、Cr、Zn、Au、Ag、Al、Sn、Pt、Pd、Co、Fe、Inなどを用いることができ、1種または2種以上の金属を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、導電性、電解めっき性などの点で、Cuを用いることが好ましい。
ここで、金属積層基板の表面比抵抗の測定は、例えば、常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS-K-7194−1994に準拠した形で、ロレスタ-EP(三菱化学株式会社製、型番:MCP-T360)を用いて金属積層基板の金属層(又は金属層上のめっき金属層)を測定することができる。なお、金属積層基板の表面比抵抗は低いほど好ましいが、現実的に10−3未満とすることは困難と考えられるため、下限値は10−3程度と考えられる。
本発明の金属積層基板の製造方法においては、塗布液が連続相に少なくとも1種類以上の金属成分を含み、さらに不連続相の液滴平均粒径が0.1〜5μmであるエマルションであり、該エマルションからなる塗布液を透明基板上に塗布する工程を含むものであれば特に限定はない。
塗布液を透明基板上に塗布する工程としては、公知の塗布方法、例えば、リバースコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができるが、不連続相の液滴平均粒径を0.1〜5μmに制御する観点から、リバースコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法などを用いることが好ましい。
また、透明基板上に塗布液を塗布した後、透明基板を加熱する工程を含むことが好ましい。加熱する工程としては、エマルションを形成する溶媒を除去可能な温度及び時間の加熱であれば特に限定されないが、熱可塑性樹脂を用いた場合には、該熱可塑性樹脂の融点以下の温度で加熱することが重要である。また、微細な開口とするためには、短時間で液滴を乾燥させることができる温度であることが重要であるため、液滴を構成している溶液の沸点以上の温度で加熱することが望ましい。また、高湿度環境下での加熱であると、結露により良好な開口を得られない可能性があるため、湿度は20〜60%の範囲が好ましく、より好ましくは20〜40%である。
本発明の製造方法により得られる金属積層基板の全光線透過率は50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。全光線透過率が50%未満の場合、透明性の点で問題が生じる場合がある。なお、金属積層基板の全光線透過率は高いほど好ましいが、現実的に90%より高くすることは困難と考えられるため、上限値は90%程度と考えられる。
かかる全光線透過率は、下記測定方法により測定されたものである。すなわち、常態(23℃、相対湿度65%)において、網目状金属積層基板を2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター(HGM−2DP)を用いて測定した。3回測定した平均値を該網目状金属積層基板の全光線透過率とした。全光線透過率が50%以上であれば透明性は良好である。なお、透明基板の片面にのみ金属層を有する金属積層基板の場合、金属層側より光が入射するように金属積層基板を設置して測定したものである。
本発明において、透明基板はガラスや樹脂フィルムなど特に限定されないが、透明基板が熱可塑性樹脂フィルムである場合、透明性、柔軟性、加工性に優れるなどの点で好ましい。本発明でいう熱可塑性樹脂フィルムとは、熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではないが、代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。
これら熱可塑性樹脂フィルムとしては、ホモポリマーでも共重合ポリマーで構成されたものであってもよいが、これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
かかるポリエステルフィルムにおいて、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。これら構成成分は、1種のみ用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステル、すなわち、ポリエチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。また、基板に熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下共重合されていてもよい。
該ポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明を実施する上で好適である。
また、該熱可塑性樹脂、たとえばポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
該熱可塑性樹脂フィルム、たとえばポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。かかる二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施し、結晶配向を完了したものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
該熱可塑性樹脂フィルム、たとえばポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは38〜250μm、最も好ましくは75〜150μmである。また、たとえば基板としてポリエステルフィルムを用いる場合は、共押出による複合フィルムであってもよい。一方、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたものも用いることができる。
本発明の金属積層基板には、透明基板、金属層の他に各種の層が積層されていてもよい。めっき金属層についてはすでに説明しているが、その他に例えば、基板と金属層の間に密着性改善のための下塗り層などが設けられていてもよく、金属層の上に保護層が設けられていてもよく、透明基板の片面、または両面に粘着層や、離型層や、保護層や、接着性付与層や、耐候性層などが設けられていてもよい。なお、各種層を、金属層を有さない側の透明基板面に形成する場合は、特に限定されずに各種層を形成することができる。
〔特性の測定方法および効果の評価方法〕
各実施例で作成した金属積層基板の特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)不連続相の液滴平均粒径
連続相に金属成分を含んだエマルション中の不連続相の液滴平均粒径は、連続相として使用している溶媒にエマルションを数滴滴下し、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマンコールター(株)製LS13 320)にて測定した。
(2)ランダムな網目状の金属層の観察
金属積層基板の金属層側表面を走査型電子顕微鏡(S−2100A形日立走査電子顕微鏡、(株)日立製作所))にて倍率500倍で金属層を観察し、ランダムな網目状の金属層が形成されているか否か、断線しているか否かを確認した。
(3)表面比抵抗
金属積層基板の金属層(又はめっき金属層)の表面比抵抗の測定を行った。金属積層基板を常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS-K-7194−1994に基づいて、ロレスタ-EP(三菱化学(株)製、型番:MCP-T360)を用いて測定することができる。
ただし、測定するサンプルは1つとし、1つのサンプルにつき5点測定を行い、その5点の平均を表面比抵抗とした。なお、本測定機における測定上限は1.999×10Ω/□であり、サンプルの表面比抵抗が上限を越えた場合には測定不可とした。
(4)全光線透過率
全光線透過率は、常態(23℃、相対湿度65%)において、金属積層基板を2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM-2DP」を用いて測定した。3回測定した平均値を導電性基板の全光線透過率とした。なお、基板の片面のみに金属層を積層している場合、金属層を積層した面側より光が入るように導電性基板を設置した。
(5)平均開口径
デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製、VHX−200)を用いてサンプルの金属層表面を500倍で観察し、写真データを保存した。次に保存した写真データを選択して画面上に表示させ、装置内蔵の計測ツールで輝度抽出を行い、線部が黒、開口部が白に二値化した。その際、輝度レンジ195〜255とした。次に、「小粒除去」処理により、黒部(線部)に存在する面積400ピクセル以下の白点(ノイズ)を除去し、「穴埋め」処理により、白部(開口部)に存在する面積400ピクセル以下の黒点(ノイズ)を除去した。その後、「削除」処理により、画面の枠で切れて全体が表示されていない開口部を黒部に変換した。続いて、「一括計算」処理により、総面積及び周囲長を得た。その後、総面積/開口部数で、平均面積を算出し、下記式(1)及び式(2)から平均開口径を算出した。
平均面積=π×r ・・・式(1)
平均開口径=2r ・・・式(2)
(6)平均線幅
まず、(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−200を用いてサンプルの金属層表面を500倍で観察し、写真データを保存した。保存した写真をJTrimで開き、リサイズ比率65%にし、ビットマップで保存した。保存したファイルを、Scion Imageで開き、線部が黒、開口部が白に二値化した。二値化した画像の線、開口部の白抜けや、異物などを除去し、線部の総面積、総長さを計算した(ここで、単位はピクセルである)。その後、下記式(3)により平均線幅を算出した。
線幅=1.36×(総面積/総長さ) (1.36は係数) ・・・式(3)
(7)金属粒子の数平均粒子径
金属粒子の数平均粒子径は、金属粒子を分散させた溶液を銅メッシュ上に滴下して、透過型電子顕微鏡(H−7100FA型 (株)日立製作所製)で金属粒子を観察し、任意に選択した100個の金属粒子の粒子径を測定し、その平均値を数平均粒子径とした。
(8)熱線反射率測定
赤外分光用積分球を付属したフーリエ変換赤外分光光度計((株)島津製作所製、IR Prestige21)にて、金属積層基板の金属相側の反射率測定を3〜40μmの範囲にて行い、3〜40μmの波長の全ての値により平均値を求めて平均反射率を算出し、これを熱線反射率とした。
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
(実施例1)
(1)W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30−50nm)にオレイン酸を被覆させ、トルエン60gに分散させた。該トルエン溶液とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.5gを溶解した水溶液20gをマグネティックスターラーにて予備撹拌した後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて12,000rpmで5分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該W/O型エマルション中の液滴平均粒径(水滴平均粒径)は4μmであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、直ちに100℃で5分間加熱乾燥することで、ランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板を形成した。
アセトンにフィルムを10分間浸漬後、25℃で3分間乾燥した後、フィルムを25℃の1N塩酸(ナカライテスク(株)製)に2分間浸漬した後、フィルムを取り出し、水洗を行った。その後、150℃で2分間乾燥した。その後、銅めっき処理を30秒行った。
(3)評価結果
得られたランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板の平均開口径は4μm、平均線幅は1μmであった。全光線透過率は、63%であり、表面比抵抗値は1Ω/□であり、熱線平均反射率は50%であった。
(実施例2)
(1)W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30−50nm)にオレイン酸を被覆させ、トルエン60gに分散させた。該トルエン溶液60gとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.5gを溶解した水溶液20gをマグネティックスターラーにて予備撹拌した後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて12,000rpmで5分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該W/O型エマルション中の液滴平均粒径(水滴平均粒径)は4μmであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、直ちに100℃で5分間加熱乾燥することで、ランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板を形成した。
(3)評価結果
得られたランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板の平均開口径は4μm、平均線幅は1μm、全光線透過率は63%であったが、表面比抵抗値は2×1012Ω/□であり、熱線平均反射率は約15%であった。
(実施例3)
W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30−50nm)にオレイン酸を被覆させ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.5gが溶解したトルエン溶液60gに分散させた。該トルエン溶液と水12gをマグネティックスターラーにて予備撹拌した後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて15,000rpmで10分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該W/O型エマルション中の液滴平均粒径(水滴平均粒径)は1μmであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、直ちに100℃で5分間加熱することで、ランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板を形成した。
得られた金属積層基板をアセトンに20分間浸漬後、150℃で10分間加熱処理した。
(3)評価結果
得られたランダムな網目状の金属層を有する金属積層基板の平均開口径は1μm、平均線幅は0.3μm、全光線透過率は58%、表面比抵抗値は10Ω/□であり、熱線平均反射率は30%であった。
(比較例1)
(1)W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30〜50nm)にオレイン酸を被覆させ、トルエン50gに分散させた。該トルエン溶液とポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.3gを溶解した水溶液20gをマグネティックスターラーにて予備撹拌した後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて12,000rpmで5分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該エマルション中の液滴平均粒径(水滴平均粒径)は10μmであり、相分離しやすい不安定なエマルションであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、直ちに100℃で5分間加熱乾燥し、金属積層基板を形成した。
(3)評価結果
得られた金属積層基板の全光線透過率は60%であったが、開口径が50μmと大きく、断線している箇所が多数あった。
(比較例2)
(1)W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30〜50nm)にオレイン酸を被覆させ、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム1gが溶解したトルエン溶液50gに分散させた。該トルエン溶液と水0.5gをマグネティックスターラーにて予備撹拌後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて12,000rpmで5分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該W/O型エマルション中の液滴平均粒径は0.05μmであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、直ちに100℃で5分間加熱乾燥することで、金属積層基板を形成した。
(3)評価結果
得られた金属積層基板には、ランダムな網目状開口が形成されておらず、全光線透過率は10%であった。
(比較例3)
(1)W/O型エマルションの調製
銀粒子(アルドリッチ製、粒径30−50nm)にオレイン酸を被覆させ、トルエン60gに分散させた。該トルエン溶液60gとポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン0.5gを溶解した水溶液20gをマグネティックスターラーにて予備撹拌した後、ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業製)にて12,000rpmで5分間撹拌して塗布液であるW/O型エマルションを形成した。該W/O型エマルション中の液滴平均粒径(水滴平均粒径)は4μmであった。
(2)金属積層基板の形成
該W/O型エマルションを表面親水化処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)U46)に塗布し、25℃で1分間静置後、100℃で5分間加熱することで、金属積層基板を形成した。
(3)評価結果
ランダムな網目状開口は形成されたが、エマルション中の液滴が濡れ拡がったことで、開口径が100μmと大きくなり、平均線幅が10μmとなった。
本発明の金属積層基板の製造方法を用いれば、透明性に優れた金属積層基板を、生産性に優れた方法で得ることができる。
本発明の金属積層基板は、透明性があること、微細な開口であることを利用して、例えば、熱線遮蔽フィルムへの利用に好適である。
本発明の金属積層基板における網目状の構造の一例を示す図。
符号の説明
1 開口部
2 線部

Claims (6)

  1. 透明基板上に、金属成分を含む塗布液を塗布して、透明基板上にランダムな網目状の金属層を形成する、金属積層基板の製造方法において、
    該塗布液は、連続相と不連続相とを有するエマルションであり、連続相に少なくとも1種の金属成分を含み、不連続相は液滴平均粒径が0.1〜5μmの液滴であり、
    該金属層は、平均線幅0.01μm〜2μmの網目状であることを特徴とする金属積層基板の製造方法。
  2. 前記金属層が、平均開口径0.5〜10μmの網目状であることを特徴とする、請求項1に記載の金属積層基板の製造方法。
  3. 前記金属積層基板の表面比抵抗値が10Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1に又は2に記載の金属積層基板の製造方法。
  4. 前記金属積層基板の全光線透過率が50%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属積層基板の製造方法。
  5. 前記透明基板が、熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属積層基板の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の製造方法により得られうる、金属積層基板。
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