JP2010063411A - 細胞培養用基材 - Google Patents

細胞培養用基材 Download PDF

Info

Publication number
JP2010063411A
JP2010063411A JP2008233322A JP2008233322A JP2010063411A JP 2010063411 A JP2010063411 A JP 2010063411A JP 2008233322 A JP2008233322 A JP 2008233322A JP 2008233322 A JP2008233322 A JP 2008233322A JP 2010063411 A JP2010063411 A JP 2010063411A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stem cells
cell culture
cells
cell
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008233322A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Satake
真 佐竹
Miyuki Fukui
三由紀 福井
Hiroaki Kaneko
博章 兼子
Toshihiro Akaike
敏宏 赤池
Bayer Hexig
白乙 賀喜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
Teijin Ltd
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd, Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2008233322A priority Critical patent/JP2010063411A/ja
Publication of JP2010063411A publication Critical patent/JP2010063411A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M25/00Means for supporting, enclosing or fixing the microorganisms, e.g. immunocoatings
    • C12M25/02Membranes; Filters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/20Material Coatings

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

【課題】細胞を、その特性を損なうことなく、かつ細胞同士が重なり合うことなく分散した状態で3次元培養できる細胞培養用基材を提供する。
【解決手段】平均繊維径が0.05〜5μmである高分子化合物より形成された繊維構造体の繊維表面上に、疎水性材料結合部位および細胞接着部位を有するキメラタンパク質が固定化された細胞培養用基材、かかる基材に幹細胞を播種して培養することにより得られる幹細胞培養複合体、ならびに該基材を含む細胞培養増殖装置。
【選択図】なし

Description

本発明は細胞の培養や増殖に適したキメラタンパク質固定化細胞培養用基材、それに幹細胞を播種して培養することにより得られる幹細胞培養複合体、および該基材を含む細胞培養増殖装置に関する。
再生医療において、細胞は重要な鍵要因のひとつであり、品質の安定した大量の細胞を確保することが大きな課題の一つである。特に、未分化な幹細胞や前駆細胞を大量かつ安定的に培養できるシステムの実現、実用化は強く望まれるものである。胚性幹細胞培養において、マウス胚性幹細胞はコンパクトに凝集して盛り上がった形状のコロニーを形成するのに対し、ヒト胚性細胞は扁平なコロニーを形成する。マウス胚性幹細胞は白血病阻害因子(LIF)を培地に添加することにより安定に未分化状態を維持でき、ヒト胚性幹細胞培養においては塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の添加が有効である。しかし、マウスおよびヒト胚性幹細胞ともコロニーを形成することからコロニー中に含まれる最大の細胞数は限定されるため、再生医療で必要な細胞数を確保するためには大面積の培養基材が必要となったり、医療で用いる場合、コロニーを形成した細胞群を単分散させたりする必要がある。また、胚性幹細胞の培養にはフィーダー細胞が必要な場合もあるが、胚性幹細胞を医療に用いる場合には異種細胞の混入よる汚染も危惧される(非特許文献1参照)。
特許文献1においては、胚性幹細胞培養の際、用いるフィーダー細胞の細胞膜上にノッチリガンドタンパク質を強制発現させ、培養効率を上昇させることが開示されている。しかしながら、依然フィーダー細胞を用いること、フィーダー細胞に、更に変異を加えていることなど、医療用途での使用を目的とする胚性幹細胞の培養方法としては課題が多い。
非特許文献2には合成樹脂で成型された培養基上へのサイトカインなどの生理活性因子の光固定化方法が開示されている。このアジドフェニル基を介した光固定化法は、光リソグラフィーを用いたマイクロパターニングへの応用展開の可能性があるものの、UV照射や発生するラジカルによる生理活性因子の活性喪失や、反応福次産物の影響に十分配慮する必要がある。また、活性が発揮できる立体配向性を制御しながら生理活性因子を培養基表面上に固定することは事実上困難であり、低効率な固定化法である。
特許文献2には、免疫グロブリン(Ig)ドメインに直接つながれた可溶性タンパク質を含む融合タンパク質について記載されている。また、特許文献3には、基材の表面に、目的とする細胞の表面の特異的なレセプターに対応するリガンドを有するタンパク質が結合されている医療用支持体、血管再生用支持体、神経再生用支持体が開示されている。しかしながら、いずれの文献にも本発明の細胞培養基材についての開示はない。
ところで、カドヘリンは脊椎動物の組織でカルシウムイオン依存の細胞間接着に関与する主要な細胞接着分子であり、さまざまな臓器、組織よりその発現が確認されていて、それら一群はカドヘリンスーパーファミリーとよばれている。カドヘリンが存在しない、またはカドヘリンが機能しないようなカルシウムイオン非存在条件においては細胞同士の接着は阻害され、細胞は分散状態となる。また、カドヘリンは発生の過程においても重要な働きをもつことが見出されている。
一方、免疫グロブリンの重鎖を構成する定常領域は細胞膜を貫通できるなど疎水性が高い。
特開2005−34号公報 特表2003−508023号公報 特開2005−168760号公報 実験医学、26、643−648、2008 表面科学、25、16−22、2004
本発明の課題は、細胞を、その特性を損なうことなく、かつ細胞同士が重なり合うことなく分散した状態で3次元培養できる細胞培養用基材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は平均繊維径が0.05〜5μmである高分子化合物より形成された繊維構造体の繊維表面上に、疎水性材料結合部位および細胞接着部位を有するキメラタンパク質が固定化された細胞培養用基材である。
また、本発明はかかる細胞培養用基材に幹細胞を播種して培養することにより得られる幹細胞培養複合体である。
さらに、本発明は前記細胞培養用基材を含む細胞培養増殖装置である。
本発明の細胞培養用基材によれば、例えば幹細胞を、その特性を損なうことなく、かつ細胞同士が重なり合うことなく分散した状態で3次元培養することができる。
本発明の細胞培養用基材は、高分子化合物からなり0.05〜5μmの平均繊維径をもつ繊維構造体を基本骨格とする。5μmより繊維径が太いと、細胞培養皿底面と比較した単位表面積の拡大効果に乏しく、0.05μmより繊維径が細いと、細胞が繊維上に定着することを困難にする。好ましい当該繊維構造体の平均繊維径は0.1〜5μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
本発明で用いる繊維構造体は、単数または複数の繊維が積層され、必要に応じて繊維間が固定されて形成された2次元または3次元の構造体である。繊維構造体の形状は正方形、円形、球形、ブロック体、綿状であってもよく、その形状は問わない。
本発明で用いる繊維構造体は、高分子化合物であるかぎり、いずれの材料も用いることができるが、生分解性の脂肪族ポリエステルや熱可塑性樹脂が好ましい。また、製造のしやすさの観点からは揮発性溶媒に溶解可能な高分子化合物が好ましい。揮発性溶媒に溶解可能な生分解性高分子としては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリメリレンカーボネート、ポリグリセロールセバシン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、およびこれらの共重合体などが挙げられる。
これらのなかでも、好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネート、ならびにこれらの共重合体などの脂肪族ポリエステルやポリスチレン、ポリプロピレンが挙げられ、さらに好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリスチレン、ポリプロピレンが挙げられる。なかでもポリスチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体が好ましい。
本発明で用いる繊維構造体においては、その目的を損なわない範囲で他のポリマーや他の化合物を併用してもよい。例えば、ポリマー共重合、ポリマーブレンド、化合物混合である。
次に、本発明で用いる繊維構造体の製造方法について説明する。当該繊維構造体を構成する繊維の紡糸方法は、公知のいずれの方法も用いることができるが、好ましくは静電紡糸法である。静電紡糸法には、用いる高分子化合物を溶媒に溶解させる工程がある。この溶液中の溶媒に対する高分子化合物の濃度は1〜30重量%であることが好ましい。高分子化合物の濃度が1重量%より小さいと繊維構造体を形成することが困難となり、好ましくない。また、30重量%より大きいと、得られる繊維構造体の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましい溶液中の溶媒に対する生分解性高分子の濃度は2〜20重量%である。
また、高分子化合物の溶媒は一種を単独で用いてもよく、複数の溶媒を組み合わせてもよい。かかる溶媒としては、高分子化合物を溶解可能で、かつ紡糸する段階で蒸発し、繊維を形成可能なものであれば特に限定されない。例えば、アセトン、クロロホルム、エタノール、2−プロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、水、ベンゼン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、ジクロロメタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルモルホリン−N−オキシド、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、これらの溶媒の混合溶媒が挙げられる。これらのなかでも、取扱い性や物性などから、ジクロロメタン、エタノール、ジメチルスルホキシドが好ましい。
次に、溶液に高電圧を印加させる工程と、溶液を噴出させる工程と、噴出された溶液から溶媒を蒸発させて繊維構造体を形成させる工程について説明する。
前記静電紡糸法においては、高分子化合物を溶解した溶液を噴出させて繊維構造体を形成させるために、溶液に高電圧を印加させる必要がある。電圧を印加させる方法については、高分子化合物を溶解した溶液を噴出させて繊維構造体が形成されるものであれば特に限定されないが、溶液に電極を挿入して電圧を印加させる方法や、溶液噴出ノズルに対して電圧を印加させる方法などがある。また、溶液に印加させる電極とは別に補助電極を設けることも可能である。
印加電圧の値は、前記繊維構造体が形成されれば特に限定されないが、通常は5〜50kVの範囲である。印加電圧が5kVより小さい場合は、溶液が噴出されずに繊維構造体が形成されないため好ましくなく、印加電圧が50kVより大きい場合は、電極からアース電極に向かって放電が起きるため好ましくない。より好ましくは10〜30kVの範囲である。所望の電位は、公知の任意の適切な方法でつくればよい。
本発明で用いる繊維構造体は、高分子化合物を溶解した溶液を噴出させた直後に高分子化合物を溶解させた溶媒が揮発して形成される。通常の紡糸は大気下、室温で行われるが、揮発が不十分である場合には陰圧下で行うことや、高温の雰囲気下で行うことも可能である。また、紡糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃の範囲である。
本発明で用いる繊維構造体は、公知のあらゆる滅菌方法で滅菌処理することができる。好ましく用いられる滅菌方法は、電子線照射やエチレンオキシドによるガス滅菌である。
本発明で用いるキメラタンパク質の製造には、当業者が用いうることいかなる遺伝子工学的手法を用いてもよい。そのなかでも好ましくは大腸菌発現系、動物細胞発現系、昆虫細胞発現系、および無細胞発現系であり、さらに好ましくは動物細胞発現系である。
本発明で用いるキメラタンパク質に含まれる免疫グロブリンの定常領域は、例えばIgG Fc、IgG Cのようなドメインと、その変異型含んでいる。また、別のクラスの免疫グロブリン(IgM、IgA、IgD、IgE)に含まれる定常ドメインや、その変異型も含まれる。このなかでも好ましくはヒンジ領域とC1ドメインとC2ドメインとC3ドメインを含むものであり、さらに好ましくはヒンジ領域とC2ドメインとC3ドメインを含むIgG Fcフラグメントである。
本発明で用いるキメラタンパク質に含まれる細胞接着部位は、カドヘリンスーパーファミリーに属するすべての細胞外ドメインを含んでおり、このうち好ましくは古典的カドヘリンの細胞外ドメインであり、さらに好ましくはE−カドヘリンの細胞外ドメイン、N−カドヘリンの細胞外ドメイン、およびVE−カドヘリンの細胞外ドメインである。
次に、繊維構造体上へのキメラタンパク質の固定化方法について説明するが、本発明の細胞培養用基材は特にこの固定化方法によるものに限定されない。好ましくは、1〜100μg/mLの濃度に調整したキメラタンパク質溶液中に繊維構造体を2〜48時間、2〜37℃の条件で浸漬後、リン酸緩衝液にて洗浄することにより繊維構造体上へキメラタンパク質を固定化できる。このうち好ましくは1〜20μg/mLのキメラタンパク質溶液中に繊維構造体を4℃、12時間、または25℃、4時間、または37℃、2時間浸漬し、リン酸緩衝液にて洗浄するする方法である。さらに好ましくは5〜15μg/mLのキメラタンパク質溶液中に繊維構造体を4℃、12時間浸漬し、リン酸緩衝液にて洗浄する方法である。
本発明の細胞培養用基材に播種して培養する細胞は、採取する組織、部位、種類により、特に限定されるものではない。好ましくは幹細胞や組織前駆細胞などの未成熟細胞であり、例えば胚性幹細胞、体性幹細胞、間様系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、がん幹細胞、人工多能性幹細胞、造血前駆細胞、血管内皮前駆細胞、骨髄前駆細胞、角膜前駆細胞、神経前駆細胞、赤血球前駆細胞、象牙芽前駆細胞、骨芽前駆細胞、破骨前駆細胞、前駆脂肪細胞である。さらに好ましくは胚性幹細胞、体性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞である。
本発明の細胞培養用基材を用いて細胞培養を実施するには、当該繊維構造体中に1×10〜10細胞/cmの密度で細胞を播種することで達成される。好ましくは1×10〜10細胞/cmの細胞密度での播種であり、さらに好ましくは1×10〜10細胞/cmの密度での播種である。培養方法は当業者が用いる如何なる方法を採用してもよい。好ましくは細胞培養皿、細胞培養フラスコ、柱状体に細胞を含んだ細胞培養用基材を浸漬することにより実施される。培養に際して用いられる培養液は、播種する細胞を培養するのに適したものであればその種類を問わない。
本発明の細胞培養用基材に上述したような幹細胞を播種して培養することにより、本発明の幹細胞培養複合体を得ることができる。
また、本発明の細胞培養用基材に、上述したような幹細胞を播種して培養するのに適した環境を提供する器具や機構の一つ以上を組み合わせることで、本発明の細胞培養増殖装置とすることができる。かかる器具や機構としては、例えば培養容器、攪拌装置、培養液循環装置、温度調整装置、湿度調整装置、二酸化炭素や酸素などのガス供給装置、ガス組成調整装置、培地のpH調整装置、各種センサなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の細胞培養用基材の製造過程においては、基本骨格である繊維構造体と生物機能を有するタンパク質を共有結合で固定化するような化学処理を施しておらず、活性が発揮できる立体配向性を制御しながら簡便に固定化する方法で作製されているので、生物機能を有するタンパク質の生物活性を損なうことがない。
また、驚くべきことに繊維構造体上にキメラタンパク質を固定する際、細胞培養皿底面と比較して単位表面積が約50〜5000倍に上昇するにもかかわらず、細胞培養皿を固定する際と同等のキメラタンパク質溶液濃度にて固定化することができた。
さらに、当該培養基中で培養される幹細胞は集合して凝集塊を形成することがなく、分散した状態を維持できる。また、当該繊維の繊維径は微細であるため、単位重量当たりの比表面積が大きく、幹細胞の3次元培養を可能にする。
本発明の細胞培養用基材を用いて幹細胞を培養している際、その培養液中に適当な生物機能因子を添加することにより幹細胞を所望の組織へと分化することもできる。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
[実施例1]キメラタンパク質N−Cad−Fcの製造
(N−Cad−Fc発現ベクターの作製)
N−カドヘリンを発現する成熟マウスの脳よりTRIzol試薬(インビトロジェン社)を用いてmRNAを調製し、M−MLV逆転写酵素(インビトロジェン社)を用いてマウス脳のcDNAライブラリーを作製した。得られたcDNAライブラリーをもとに、配列番号1および配列番号2で表されるプライマーを用いてPCR法によりN−カドヘリン配列を増幅した。次にこの配列を鋳型として配列番号3および配列番号4で表されるプライマーを用いたPCR法により、N−カドヘリン細胞外ドメインのcDNAを増幅した。このDNA配列にはN−カドヘリンをコードするDNA配列と、それをベクターに連結するための配列がPCRの過程で付加されている。また、IgGのFcドメインの配列は、Protein Aとの親和性を向上させるために変異導入されたもの(特開2004−321100号参照)を用いた。これらの遺伝子をpRc/CMVベクター(インビトロジェン社)のMCSに挿入することにより、N−カドヘリンの細胞外ドメイン配列とFc配列が連結された発現ベクターN−cad−fcpRc/CMVベクター(図1)を得た。
(N−Cad−Fc安定発現細胞株の作製)
上記の方法により得られたプラスミドをチャイニーズハムスター卵巣細胞CHO−K1にリポフェクタミン試薬(インビトロジェン社)を用いて遺伝子導入し、500μg/mLのG418を含む培養液を用いて限外希釈法により安定発現細胞株をクローニングした。
(N−Cad−Fc融合タンパク質の発現および精製)
クローニングした細胞を、血清を含まないCHO−SFM培地に馴化させ、大量培養した。培養上清を回収して10〜20倍に濃縮後、HiTrap rProtein A FF(GEヘルスケア社)を用いてN−Cad−Fcを精製した。精製したN−Cad−Fcについてはリン酸緩衝液を用いて4℃で透析後、以下に示す方法でタンパク質濃度および純度を測定して以降の実験に使用した。
(Western Blottingによる確認)
サンプルを等量の2×サンプルバッファー(100mM トリス塩酸 pH6.8、 4% SDS、1.2% 2−メルカプトエタノール、20% グリセロール)と混合し、95℃で5分間加熱してタンパク質を変性させた後、10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にて分離した。電気泳動後のゲルをPVDF膜にセミドライ法により20Vの定電圧で90分間転写した。このPVDF膜を0.1% Tween20を含むリン酸緩衝液(PBS−T)で洗浄し、BlockingOne(ナカライテスク社)を用いて室温で30分間ブロッキング処理を行った。Fc部位を確認するためにパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG(Jackson Immunoresearch Laboratories)の1/10,000希釈液を室温で90分間反応させた。検出にはECL試薬(GEヘルスケア社)を用いて発光させ、X線フィルムに露光した。
Western Blottingの結果を図2に示す。preは濃縮した精製前のサンプル、throughはカラムに吸着しなかった画分、eluteは溶出画分である。サンプル中に含まれるN−Cad−Fcの大部分がカラムに吸着し、溶出画分1に溶出されていることが分かる。
(N−Cad−Fc融合タンパク質量の決定)
精製したN−Cad−Fc溶液の全タンパク質濃度をDC Protein Assay Kit(Bio−Rad社)を用いて測定した。タンパク質濃度は約200μg/mLであった。次にサンプルを10%のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、Copper Stain & Destain Kit(Bio−Rad社)を用いて泳動後のゲルを染色した。染色後の泳動像について画像解析ソフトImage−Jを用いてN−Cad−Fcの純度を解析した結果、純度は約70%であった。
[実施例2]PLLAファイバーシートの作製
L−ポリ乳酸(PLLA、多木化学株式会社)8重量部、ジクロロメタン−エタノール(7:2、和光純薬工業株式会社、特級)92重量部を室温(25℃)で混合し、溶液を調製した。図3に示す装置を用いて紡糸を行い、繊維構造体を得た。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズル1からコレクター4までの距離は20cmであった。得られた繊維構造体の平均径は3.4μmであった。
[実施例3]N−Cad−Fc固定化PLLAファイバー上でのP19細胞の培養
実施例2で作製したPLLAファイバーシートを実施例1で調製したN−Cad−Fc溶液(10μg/mL)に4℃で一晩浸すことにより、ファイバー表面にN−Cad−Fcを固定化した。当該シートをリン酸緩衝液で洗浄後、N−カドヘリンを発現するマウス胚性腫瘍細胞P19を1.3×10細胞/cmの密度で播種し、4日間培養を続けた。
図4Dに示されるように、4日後の位相差顕微鏡観察にてP19細胞がPLLA繊維に配向しながら接着、増殖している様子が観察された。これは、繊維上に固定化されたN−カドヘリンとP19細胞表面のN−カドヘリンとが接着することにより、繊維と細胞との親和性が向上した結果であると考えられる。
以上により、本発明の細胞培養用基材によれば、細胞を、その特性を損なうことなく、かつ細胞同士が重なり合うことなく分散した状態で3次元培養できることが示された。
[比較例1]PLLAファイバー上でのP19細胞培養
実施例2で作製したPLLAファイバーシートをリン酸緩衝液で洗浄後、マウス胚性腫瘍細胞P19を1.3×10細胞/cmの密度で播種し、4日間培養を続けた。
図4Aに示されるように、4日後の位相差顕微鏡観察にて多数のP19細胞がコロニー状に凝集塊を形成している様子が観察された。
[比較例2]ゼラチン固定化PLLAファイバー上でのP19細胞培養
実施例2で作製したPLLAファイバーシートを0.1% ゼラチン溶液に4℃で一晩浸すことにより、ファイバー表面にゼラチンを固定化した。当該シートをリン酸緩衝液で洗浄後、マウス胚性腫瘍細胞P19を1.3×10細胞/cmの密度で播種し、4日間培養を続けた。
図4Bに示されるように、4日後の位相差顕微鏡観察像にて多数の細胞がコロニー状に凝集塊を形成している様子が観察された。
[実施例4]E−Cad−Fc固定化PLLAファイバー上でのP19細胞培養
実施例2で作製したPLLAファイバーシートをE−Cad−Fc溶液(10μg/mL)に4℃で一晩浸すことにより、ファイバー表面にE−Cad−Fcを固定化した。当該シートをリン酸緩衝液で洗浄後、マウス胚性腫瘍細胞P19を1.3×10/cmの密度で播種し、4日間培養を続けた。
図4Cに示に示されるように4日後の位相差顕微鏡観察像にて細胞がPLLA繊維に僅かに配向しながら接着している様子が観察された。これはE−カドヘリンとN−カドヘリンとの間の立体相同性に起因する結果と考えられる。
本発明の細胞培養用基材によれば、例えば幹細胞をその特性を損なうことなく、かつ細胞同士が重なり合うことなく分散した状態で3次元培養をすることができる。よって、細胞治療用の所望の幹細胞を大量に増殖、取得するためのバイオリアクターとして利用することができる。また、当該構造体を生体内へ埋植した場合は、再生医療用の材料として利用可能である。
本発明で用いるキメラタンパク質のベクター設計図である。 本発明で用いるキメラタンパク質のWestern Blot分析図である。 本発明の細胞培養用基材を製造するための装置の一例を模式的に示した図である。 本発明の細胞培養用基材中での細胞培養像である。
符号の説明
1 溶液噴出ノズル
2 溶液
3 溶液保持槽
4 電極
5 高電圧発生機
A 未処理
B ゼラチン
C E−cad−Fc
D N−cad−Fc

Claims (8)

  1. 平均繊維径が0.05〜5μmである高分子化合物より形成された繊維構造体の繊維表面上に、疎水性材料結合部位および細胞接着部位を有するキメラタンパク質が固定化された細胞培養用基材。
  2. 疎水性材料結合部位が免疫グロブリンの定常部の少なくとも一部のアミノ酸配列を含み、細胞接着部位がカドヘリンスーパーファミリーの細胞外ドメインの少なくとも一部のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の細胞培養用基材。
  3. 高分子化合物が生分解性の脂肪族ポリエステルである、請求項1または2に記載の細胞培養用基材。
  4. 高分子化合物が熱可塑性樹脂である、請求項1または2に記載の細胞培養用基材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養用基材に幹細胞を播種して培養することにより得られる幹細胞培養複合体。
  6. 幹細胞が胚性幹細胞、体性幹細胞、間様系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、がん幹細胞、および人工多能性幹細胞からなる群から選ばれる一種以上の細胞である、請求項5に記載の幹細胞培養複合体。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養用基材を含む細胞培養増殖装置。
  8. 培養増殖可能な細胞が胚性幹細胞、体性幹細胞、間様系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、がん幹細胞、および人工多能性幹細胞からなる群から選ばれる一種以上の細胞である、請求項7に記載の細胞培養増殖装置。
JP2008233322A 2008-09-11 2008-09-11 細胞培養用基材 Pending JP2010063411A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008233322A JP2010063411A (ja) 2008-09-11 2008-09-11 細胞培養用基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008233322A JP2010063411A (ja) 2008-09-11 2008-09-11 細胞培養用基材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010063411A true JP2010063411A (ja) 2010-03-25

Family

ID=42189580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008233322A Pending JP2010063411A (ja) 2008-09-11 2008-09-11 細胞培養用基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010063411A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014082956A (ja) * 2012-10-19 2014-05-12 Somar Corp 細胞培養基材、およびそれを用いた細胞培養方法並びに多能性幹細胞の分化誘導方法
JP2015108534A (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 オリンパス株式会社 三次元画像撮像方法、三次元画像解析方法、及び三次元画像撮像システム
WO2019167960A1 (ja) * 2018-02-28 2019-09-06 株式会社幹細胞&デバイス研究所 細胞保持運搬装置
WO2021187566A1 (ja) 2020-03-19 2021-09-23 クニミネ工業株式会社 スフェロイド形成促進剤

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013048573; 再生医療、2008、Vol.7、増刊号、第214頁、O-19-5 *
JPN6013048575; 再生医療、2008、Vol.7、増刊号、第181頁、MS-3-1 *
JPN6013048576; 第9回バイオ・高分子シンポジウム、1999、第94-95頁 *
JPN6013048578; 繊維と工業、2005、Vol.61、第139-141頁 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014082956A (ja) * 2012-10-19 2014-05-12 Somar Corp 細胞培養基材、およびそれを用いた細胞培養方法並びに多能性幹細胞の分化誘導方法
US9745549B2 (en) 2012-10-19 2017-08-29 Somar Corp. Cell culture substrate, and cell culturing method using the substrate and method for inducing differentiation of pluripotent stem cells using the substrate
JP2015108534A (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 オリンパス株式会社 三次元画像撮像方法、三次元画像解析方法、及び三次元画像撮像システム
WO2019167960A1 (ja) * 2018-02-28 2019-09-06 株式会社幹細胞&デバイス研究所 細胞保持運搬装置
WO2021187566A1 (ja) 2020-03-19 2021-09-23 クニミネ工業株式会社 スフェロイド形成促進剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mastrullo et al. Angiogenesis in tissue engineering: as nature intended?
Jiang et al. Stem‐cell niche based comparative analysis of chemical and nano‐mechanical material properties impacting ex vivo expansion and differentiation of hematopoietic and mesenchymal stem cells
Wenger et al. Modulation of in vitro angiogenesis in a three-dimensional spheroidal coculture model for bone tissue engineering
Sharifi et al. Polycaprolactone microfibrous scaffolds to navigate neural stem cells
Lee et al. Effect of hierarchical scaffold consisting of aligned dECM nanofibers and poly (lactide-co-glycolide) struts on the orientation and maturation of human muscle progenitor cells
Lee et al. Topographically defined, biodegradable nanopatterned patches to regulate cell fate and acceleration of bone regeneration
Baklaushev et al. Tissue engineered neural constructs composed of neural precursor cells, recombinant spidroin and PRP for neural tissue regeneration
Ilie et al. Influence of nanomaterials on stem cell differentiation: designing an appropriate nanobiointerface
Kaivosoja et al. Chemical and physical properties of regenerative medicine materials controlling stem cell fate
Song et al. Large-area aligned fullerene nanocrystal scaffolds as culture substrates for enhancing mesenchymal stem cell self-renewal and multipotency
Prewitz et al. Polymeric biomaterials for stem cell bioengineering
CN104761737B (zh) 一种静电纺丝法制备胶原蛋白/氧化石墨烯纳米纤维复合膜的方法
Lou Induced pluripotent stem cells as a new strategy for osteogenesis and bone regeneration
Kang et al. Three-dimensional printable gelatin hydrogels incorporating graphene oxide to enable spontaneous myogenic differentiation
Soman et al. Applications of 3D bioprinted-induced pluripotent stem cells in healthcare
Wang et al. Binary colloidal crystals (BCCs) as a feeder-free system to generate human induced pluripotent stem cells (hiPSCs)
JP6466464B2 (ja) 組成物、細胞構造体、膵島移植キット、膵島細胞移植治療剤及び血糖低下剤、膵島を含む組成物、膵島を含むキット、並びに膵島移植治療剤及び血糖低下剤
Shende et al. 3D printed bioconstructs: regenerative modulation for genetic expression
Lu et al. Subtle regulation of scaffold stiffness for the optimized control of cell behavior
He et al. Bioceramic-mediated trophic factor secretion by mesenchymal stem cells enhances in vitro endothelial cell persistence and in vivo angiogenesis
Onak et al. Enhanced osteogenesis of human mesenchymal stem cells by self‐assembled peptide hydrogel functionalized with glutamic acid templated peptides
Park et al. Graphene-layered eggshell membrane as a flexible and functional scaffold for enhanced proliferation and differentiation of stem cells
JP2010063411A (ja) 細胞培養用基材
Xing et al. Nanotopographical 3D-printed poly (ε-caprolactone) scaffolds enhance proliferation and osteogenic differentiation of urine-derived stem cells for bone regeneration
Yang et al. Coaxial bioelectrospinning of P34HB/PVA microfibers biomimetic scaffolds with simultaneity cell-laden for improving bone regeneration

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110712

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110712

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140225