JP2010050967A - サブチャネル選択方法と装置及びこの装置を用いた受信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】サブチャネル選択方法と装置及びこの装置を用いた受信機を提供する。
【解決手段】1つ以上のサブキャリアを有する複数のサブチャネルから適当なサブチャネルを選択するサブチャネル選択装置であって、前記複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれにおける最悪サブキャリアを決定する最悪サブキャリア決定手段と、前記最悪サブキャリア決定手段で決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちのS/N比が最も高い、即ち最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する比較選択手段と、を備えることを特徴とするサブチャネル選択装置。
【選択図】図5

Description

本発明はOFDMシステムにおける適応的伝送に関するものであり、更に詳しくは、クローズドループOFDMシステムが適応的伝送を行う時に最適なサブチャネルを取得するための算出・選択方法に関するものである。
無線通信において、より高いビットレートへの増加しつつある要求に伴って、マルチキャリア伝送技術が登場され、マルチキャリア伝送技術はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重変調)で実現することができる。OFDMは、サイクリックプリフィックス(Cyclic Prefix)により、無線通信におけるマルチパスフェージングを効果的に解消し、単一のサブチャネルに平坦な減衰特性を持たせ、シンボル同士間の干渉を効果的に除去することができる。OFDMは、例えばデジタル音声放送(DAB)、高精細度テレビジョン放送(HDTV)、IEEE802.11aに基づく無線ローカルネットワーク規格(WLAN)及びIEEE802.16に基づく無線メトロネットワーク規格(WMAN)など、広帯域での無線通信システムに多く適用されている。
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)は、OFDMシステムによく利用される多元接続技術であり、帯域全体を複数のサブチャネル(Subchannel)に分割し、各サブチャネルに複数のサブキャリアが含まれ、サブチャネルを最も小さいリソース割当単位とする。OFDMAはシステムのスペクトル効率の向上に寄与するものであり、異なるユーザとトラフィックにリソースを柔軟に割り当てられる。例えば、OFDMAシステムに適応的変調符号化(AMC)技術が適用できる。AMC技術では、無線チャネルの瞬間的な変化に応じて最適な変調符号化方法や送信電力などのパラメータが選択できるので、リンクにおけるデータのスループットを向上できる。
AMCは、チャネル情報の変化に応じて変調・符号化方法を変更するものであるが、変調・符号化方法を変更しない前提でチャネルの環境が良いサブチャネルを選択してデータを伝送してもよく、或いは変調・符号化方法及び相応するリソース割当領域(サブチャネル)を同時に変更してもよい。AMCは主に以下の長所を有しており、有利な場所に位置するユーザに対してより高いデータレートを取得させることで、セルの平均スループットを向上すること、及び、ユーザが悪いチャネル環境に位置すると、低いデータレートを選択して伝送することによって、平均スループットが低くなるが、干渉に強くし、誤り訂正性能がよく、データを伝送する時の信頼性を向上できる。
図1は従来技術によるクローズドループOFDMシステムを概念的に示すブロック図である。図1に示すように、クローズドループOFDMシステムは、送信機100と、受信機103と、チャネル推定装置104と、サブチャネル選択装置105とを備える。受信機103は、チャネル101を介して送信機100から送信してきたノイズ102が混入された送信信号を受信する。チャネル推定装置104で、受信された送信信号のパイロットシンボル列からチャネルを推定する、即ち、各サブチャネルの各サブキャリアの利得を推定する。次に、サブチャネル選択装置105で、推定されたサブキャリアの利得から各サブチャネルの有効S/N比を算出してから、S/N比の最も良いサブチャネルを選択し、このサブチャネルの番号(サブチャネル番号)を送信機100に返信する。送信機100は受信した返信情報に基づきデータを送信し伝送する。
ここで注意すべきなのは、説明のために、上記図1では、チャネル推定装置104とサブチャネル選択装置105は受信機103とは別体のユニットに示されたが、実際では、それらは受信機103の一部と構成されるのが一般的である。
一般のAMCシステムでは、送信機は既知のパイロットシンボルまたは学習シーケンスを送信し、チャネル推定装置104は受信したパイロットシンボルまたは学習シーケンスに基づきチャネルを推定し測定する。
次に、サブチャネル選択装置105の動作を説明する。
従来技術では、サブチャネル選択装置105はサブチャネルを選択する際に、主に有効S/N比又は有効SINRというパラメータに基づき行われる。以下の説明では、有効S/N比又は有効SINRを有効S/N比と総称し、ESINRで表記する。
サブチャネルの有効S/N比は、このサブチャネルに含まれる全てのサブキャリアにおけるサブキャリアのS/N比(又はチャネル利得)から算出されたものであり、かつ、アディティブホワイトガウスノイズチャネル(AWGN)におけるサブキャリアの等価的なS/N比を反映している。有効S/N比は高ければ高いほど、このサブチャネルのチャネル環境はよくなる。
サブキャリアのS/N比とチャネル利得との関係は次のように示す。
Figure 2010050967
ここで、γはS/N比、チャネル利得hは複素で、σ2はノイズパワーである。一般の通信システムでは、1回の受信操作中において、ベースバンドデータのノイズパワーは一定の数値であり、そのため、S/N比とチャネル利得のノルム(norm)とは正比例関係を有する。
各サブキャリアのS/N比に基づきサブチャネルの有効S/N比を算出する方法として、EESM(Exponential Effective SINR Mapping:指数関数的な有効SINRマッピング)法やRBIR(Received Bit Information Rate:受信ビット情報率)法などが挙げられる。EESMは主に、複数のキャリアにおけるSINRをβ値により有効値にマッピングして、下記の式(2)に示す指数関数形式のアプローチを利用する。
Figure 2010050967
ここで、βは変調方法に関する係数、
Figure 2010050967
はi番目のサブキャリアのS/N比で、Nはこのサブチャネルにおけるサブキャリア数である。チャネル推定装置104はサブキャリア利得の集合{hi}を出力したため、サブチャネル選択装置105は式(1)、(2)により現在のサブチャネルの有効S/N比を算出できる。
RBIR法はビット相互情報を統計して有効S/N比を算出し、ビット相互情報を統計する式は次に示す。
Figure 2010050967
ここで、
Figure 2010050967
とm(i)はそれぞれi番目のサブキャリアのシンボル相互情報とビット数を示し、有効S/N比は、相互情報と対応付けられたテーブルから調べて得られるものである。
チャネル推定装置104から出力された各サブキャリアのチャネル利得に基づき、サブチャネル選択装置105は、式(2)又は(3)により全てのサブチャネルの有効S/N比を算出して、その内から有効S/N比が最も大きいサブチャネルを返信されるサブチャネルとして選定する。サブチャネル選択装置105はサブチャネルを選択してから、サブチャネルの番号を送信機100に送信する。
以下は本開示で引用された文献を列挙して、それらの内容をここに援用することにより、本開示で詳しく記載されたとする。
クローズドループOFDMシステムは、チャネル情報に基づきデータを伝送するサブチャネルを選択すると共に、それに対応する変調・符号化方法を選択する。従来技術では、サブチャネルを選択する時に、受信側はチャネル推定の結果に基づき各サブチャネルの有効S/N比を算出し、有効S/N比が最も大きいサブチャネルを選択して、その情報を送信側に返信する。従って、処理は複雑となり、処理装置の処理能力にも高く要求される。AMCはその性能を確保するために高いチャネル計測精度及び短いタイムラッグを必要とするので、簡単で迅速なサブチャネル選択方法はクローズドループOFDMシステムには必要なものとなる。
米国特許出願公開第2008/0043610A1号明細書 米国特許出願公開第2006/0246916A1号明細書 米国特許出願公開第2006/0083210A1号明細書 米国特許出願公開第2005/0180354A1号明細書
IEEE P802.16e/D12. Draft IEEE standard for local and metropolitan area networks−Part 16: Air interface for fixed and mobile broadband wireless access systems. 2005 Draft IEEE 802.16m "evaluation methodology document," IEEE. C802.16m−07/080r2, June, 2007
そこで、本発明は上記の従来技術に鑑みてなされたものであり、サブチャネルを選択する時の速度を速くする又はハードウエアの処理能力を低く要求することができるOFDMシステムに適用されるサブチャネル選択方法及び装置を提供する。
上記目的を達成するために、本願は下記の発明を提供する。
一実施形態による、1つ以上のサブキャリアを有する複数のサブチャネルから適当なサブチャネルを選択するサブチャネル選択装置は、
前記複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれにおける最悪サブキャリアを決定する最悪サブキャリア決定手段と、
前記最悪サブキャリア決定手で決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちのS/N比が最も高い、即ち最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する比較選択手段と、を備える。
他の実施形態による、1つ以上のサブキャリアを有する複数のサブチャネルから適当なサブチャネルを選択するサブチャネル選択方法は、
前記複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれにおける最悪サブキャリアを決定する最悪サブキャリア決定ステップと、
前記最悪サブキャリア決定ステップで決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちのS/N比が最も高い、即ち最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する比較選択ステップと、を備える。
他の実施形態による受信器は、上記のサブチャネル選択装置を有する。
開示のサブチャネル選択装置及びサブチャネル選択方法は、サブチャネルを選択する時の速度を速くする又はハードウエアの処理能力を低く要求することができる。
図面は本発明の好ましい実施形態を示し、明細書の一部を構成し、文字説明と共に実施形態をより詳しく説明するのに用いられる。
従来技術によるクローズドループOFDMシステムを概念的に示すブロック図である。 OFDMシステムにおけるサブキャリアの分布及びサブチャネルの構成を概念的に示す図である。 OFDMシステムにおけるチャネル利得の分布を示すグラフである。 一実施形態による、サブチャネル選択方法及び装置を適用できるOFDMシステムを概念的に示すブロック図である。 一実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。 別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。 更なる別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。 更なる別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。 一実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。 別の実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。 更なる別の実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。
以下、図面を参照しながら実施形態によるサブチャネル選択装置及び方法を説明する。
本開示は、サブキャリアのチャネル利得を線形算出・比較するだけで、他のアルゴリズムと類似する結果を得られる簡易化サブチャネル選択方法を提供する。
シングルアンテナシステムの場合は、各サブチャネルのうちの最小サブキャリアのS/N比を比較し、最小サブキャリアのS/N比が最も大きいサブチャネルを選択して送信側に返信する。
シングル送信マルチ受信(SIMO)システムの場合は、受信アンテナにチャネル利得の合成を行った後に、シングルアンテナと同様な選択方法を利用する。
マルチ送信シングル受信(MISO)システムの場合は、送信アンテナにチャネル利得の合成を行った後に、同様な選択方法を利用する。
マルチ送信マルチ受信(MIMO)システムの場合は、サブチャネルの選択が異なる送信モードにより決められ、送信ダイバーシティモードでは、MISOと同様な選択方法を利用する一方、空間分割多重変調モードでは、各サブキャリアの複数の混合チャネルをいくつかの等価的な並行チャネルに変換し、各サブキャリアについてチャネル利得の合成を行った後、シングルアンテナと同様な選択方法を利用する。
一般の有効S/N比の算出及びサブキャリア選択方法と比べて、本開示による選択方法は算出複雑さが小さく実現し易い。
以下の説明ではクローズドループOFDMシステムを例にし、図面を参照しながら実施形態による方法及び装置を説明する。
以下の説明及び図面を参照すれば、本発明の上述及び更なる態様と特徴はより明らかになる。前記説明及び図面では、特定な実施形態を詳しく開示し明記した。本発明は範囲上、それにより限定されるものではないと理解すべきである。添付の請求項の精神及び主旨の範囲内での多くの変更、修正及び等価的なものは本発明に含まれる。
以下の図面を参照すれば、本発明の多くの態様をよりよく理解できる。図面内の要素は比例に従って作成されたものではなく、ただ実施形態を示すために作成されただけである。本開示の一つの図面又は一実施形態に記載された要素及び構成要件は、他の一つ以上の図面又は実施形態に記載された要素及び構成要件と組合わせてもよい。また、図面では、類似する符号はいくつかの図面における対応する要素を示し、一つ以上の実施形態に記載された対応する要素を示してもよい。更に、説明の簡潔化及び作図の簡単化のために、図面では当業者がよく知っている、存在すべき他の要素が示されていない。
まず、サブチャネル選択方法及び装置の実施形態を説明する。
図2はOFDMシステムにおけるサブキャリアの分布及びサブチャネルの構成を概念的に示す。図2に示すように、チャネル全体の周波数帯域は、データ部とパイロットシンボル部とダミーキャリア部とに分けられる。データ部とパイロットシンボル部は、異なる送信モードに応じて、全部のサブチャネル割当(FUSC)と一部のサブチャネル割当(PUSC)と適応的変調符号化(AMC)という3つのサブチャネル割当方法に分けられる。
図3はAMC方法によるサブチャネルの分布及びサブキャリアの利得を示す。ここで、横座標は周波数、即ちサブキャリアの帯域位置を、縦座標はサブキャリアに対応するチャネル利得の幅値をそれぞれ示す。図3では合計10つのサブチャネルを示し、各サブチャネルは物理的に隣接する3つのサブキャリアを備える。異なるサブチャネルに属するサブキャリアは、類型の異なるラインで示す。
図3から分かるように、隣接するサブキャリアはチャネル利得の変化が小さいので、サブチャネルの符号誤り率は主にチャネル利得が最も悪いサブキャリアにより決められ、更に、サブチャネルの伝送能力もそれにより決められる。従って、選択の根拠として、有効S/N比に代えて、各サブチャネルのチャネル利得が最も小さいサブキャリアにおけるS/N比を利用することができる。
図4は一実施形態によるサブチャネル選択方法及び装置を適用できるOFDMシステムを概念的に示すブロック図である。
図4を図1と比較すると、図4に示すOFDMシステムは、図1に示すサブチャネル選択装置105の代わりにサブチャネル選択装置105’を利用した点が図1に示すOFDMシステムと異なることがわかる。他の装置の機能は、従来技術と同じでもよいし、当業者が現在及び以降で知られるいかなる技術で実現してもよい。ここで詳しい説明を省略する。以下、サブチャネル選択装置105’を詳しく説明する。
図5は一実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、一実施形態によるサブチャネル選択装置105’は、最悪サブキャリア決定手段51と比較選択手段52とを備える。最悪サブキャリア決定手段51は、チャネル推定装置104からの各サブチャネルの各サブキャリア利得に基づき、各サブチャネルにおけるサブキャリアのS/N比が最も悪いサブキャリア、即ち最悪サブキャリアを決定する。比較選択手段52は、最悪サブキャリア決定手段51で決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、サブキャリアのS/N比が最も高い最悪サブキャリア、即ち最も良い最悪サブキャリアを選択する。このサブキャリアの所在するサブチャネルを返信するサブチャネルとして選択する。
サブチャネルの数を合計G個とし、各サブチャネルにK個のサブキャリアが含まれると仮定する。まず、m番目のサブチャネルのうち、S/N比が最も悪い(小さい)サブキャリアを決定し、そのS/N比の値γmが次のように示す。
Figure 2010050967
ここで、γm,iはm番目のサブチャネルにおけるi番目のサブキャリアのS/N比を示し、式(1)に示すように、そのチャネル利得hm,iから
Figure 2010050967
を得られる。チャネル利得hm,iはチャネル推定装置104から取得されるものである。
次に、全てのサブチャネルのγの値を比較し、γの値が最も大きいサブチャネルを選択して送信側に返信する。この処理を次のように示すことができる。
Figure 2010050967
ここで、γoptは選択されたサブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比を示す。
上記実施形態によるサブチャネル選択装置は、シングルアンテナシステムに適用される。シングルアンテナシステムでは、この方法を適用すれば、重み付け平均演算を避け、ただ簡単な比較だけで結果が得られるので、複雑さの度合いが非常に小さく、移動局側がサブチャネルを選択する場合に適用される。AMC方法ではチャネル情報などの他のパラメータを同時に返信する場合に、通常のサブチャネル選択方法では全てのサブチャネルのチャネル情報(CQI)を統計しなければならないのに対して、本アルゴリズムでは選択されたサブチャネルのチャネル情報(CQI)のみを演算すればよい。
図6は別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’は、最悪サブキャリア決定手段51と比較選択手段52と利得合成手段53とを備える。
図6に示すサブチャネル選択装置105’は、シングル送信マルチ受信(SIMO)システムとマルチ送信シングル受信(MISO)システムとに適用される。シングル送信マルチ受信(SIMO)システムは単一のアンテナから送信し複数のアンテナで受信するシステムである。シングル送信マルチ受信(SIMO)システムの場合は、まず、利得合成手段53は、異なるアンテナからの相同サブキャリアの利得を合成し(各受信アンテナの各サブキャリアの利得はチャネル推定装置104から出力される)、合成方法は受信側で決められる。複数の受信アンテナに適用される合成方法は、選択的合成方法と最大比率合成方法と均等利得合成方法とがある。Nr個の受信アンテナを有するシングル送信マルチ受信システムの場合は、合成器の出力は下記の式に示す。
Figure 2010050967
ここで、
Figure 2010050967
は各分岐路の出力信号を、yは合成された出力信号を、αiは異なる分岐路の重み付け係数をそれぞれ示す。異なる合成方法は、重み付け係数の演算方法が異なる。選択的合成方法では、S/N比が最も大きい(高い)信号を合成器の出力y=ymとして選択し、そのうち、m番目の分岐路はS/N比が
Figure 2010050967
であって最も大きい。均等利得合成方法では、各分岐路の重み付け係数は等しく、
Figure 2010050967
である。一方、最大比率合成方法では、各分岐路の重み付け係数はそれぞれのチャネル利得の幅値に比例する、即ち
Figure 2010050967
となっている。最大比率合成方法は最適な合成方法であり、平均出力が最も大きいS/N比を得られるので、最も多く適用されている。しかしながら、異なる合成方法はシステムの受信性能に影響を与えるだけであり、本明細書の選択方法の有効性に影響を与えない。
式(5)に示す利得合成は、異なる受信アンテナのサブキャリア毎に行われている。合成を行われた後、複数の受信アンテナは一つの等価的なアンテナになるので、シングルアンテナシステムと同様な方法でサブチャネルを選択することができる。即ち、最悪サブキャリア決定手段51は合成された各サブチャネルのサブキャリア利得に基づき、各サブチャネルの最悪サブキャリアを決定する。比較選択手段52は最悪サブキャリア決定手段51で決定された各サブチャネルの最悪サブキャリアのサブキャリアS/N比を決定し、最も良い最悪サブキャリアを選択して、それに対応するサブチャネルを返信されるサブチャネルとして選択する。
例えば、最大比率合成方法では、式(4)中のγm,iは次のように示す。
Figure 2010050967
ここで、Nrは受信アンテナの数であり、hm,i,jはj番目の受信アンテナにおけるm番目のサブチャネルのi番目のサブキャリアのチャネル利得であり、チャネル推定装置104から出力される。次に、得られたγm,iについて、式(4)に基づきサブチャネルを選択する。
選択的合成方法又は均等利得合成方法では、γm,iの演算方法が異なるが、それ以降の選択方法は最大比率合成方法と同じである。ここで、γm,iを演算する式はそれぞれ次のように示す。
Figure 2010050967
Figure 2010050967
ここで、式(7)中の
Figure 2010050967
は、j番目の受信アンテナにおけるm番目のサブチャネルのi番目のサブキャリアのS/N比である。
マルチ送信シングル受信(MISO)システムは、複数のアンテナから送信し単一のアンテナで受信するシステムである。MISOシステムは一般では送信ダイバーシティー技術を利用するのが多く、送信ダイバーシティーの受信性能を影響する要因は、チャネルマトリックスの2ノルムであり、そのため、まず送信アンテナの間で各サブキャリアのチャネル利得を合成し、次にシングルアンテナシステムと同様な選択方法を利用する。MISOの送信アンテナの利得を合成する演算式は次のように示す。
Figure 2010050967
ここで、Ntは送信アンテナの数を、hm,i,jはn番目の送信アンテナにおけるm番目のサブチャネルのi番目のサブキャリアのチャネル利得をそれぞれ示す。そして、式(4)に基づきサブチャネルを選択する。
マルチ送信マルチ受信(MIMO)システムの場合は、サブチャネルの選択基準は送信側のデータフォーマットで決められ、MIMOシステムは一般では空間時間符号化(STC)と空間分割多重(SM)という2種類の方法を利用する。空間時間符号化方法では、選択方法はMISOの送信ダイバーシティーと同じであり、異なるのは、受信アンテナという統計ディメンジョンが追加された。この場合、利得を合成する演算式は次のように示す。
Figure 2010050967
ここで、hm,i,n,jはn番目の送信アンテナとj番目の受信アンテナとの間におけるm番目のサブチャネルのi番目のサブキャリアのチャネル利得を、Ntは送信アンテナの数を、Nrは受信アンテナの数をそれぞれ示す。以降の選択方法は式(4)と同様である。
空間分割多重変調方法によるMIMOシステムは、図7にサブチャネル選択装置105’を示す。図7は更なる別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。図7に示すように、各サブキャリアに対して、サブチャネル選択装置105’の分岐路分解手段54は、まずNr×NのMIMOチャネルマトリックスH(マトリックスの各要素hi,jはi番目の送信アンテナとj番目の受信アンテナとの間のチャネル利得を示す)をいくつかの等価的な並行分岐路に変換する。並行分岐路とは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの間における混合チャネルをいくつかの並行で個別な分岐路で等価的に示すことを意味し、各分岐路は送信アンテナと受信アンテナとの間では一対一に対応しているので、干渉することはない。これは、シングル送信シングル受信システムよりいくつかの分岐路が増えることに相当し、容量の向上を図れる。等価的な並行分岐路は、マトリックスの特異値を分解して(SVD)実現できる。
Figure 2010050967
ここで、Hはチャネルマトリックスであり、チャネル推定装置104から出力され、UとVはそれぞれNr×NrとNt×Ntのユニタリマトリックスであり、Dは対角行列であり、その対角線における0以上の要素はmin(Nr,Nt)個を上回らない。特異値を分解するアルゴリズムは、行列理論の典型的なアルゴリズムであり、特定のHに対して、分解されたD行列の非ゼロ対角線要素は変わらない。非ゼロ対角線要素それぞれは送信側及び受信側の一つの等価的な並行分岐路を代表して、並行分岐路同士は互いに干渉しない。それら並行チャネルはそのサブキャリアの伝送能力を反映している。次に、利得合成手段53は、サブキャリア毎に分岐路の利得を合成し、即ち、一つのサブキャリアに対応する全ての分岐路の利得を合成し、合成された利得をそのサブキャリアの利得とする。サブキャリアのS/N比は次のように算出され、あるサブキャリアにL個の等価的な並行分岐路があり、各並行分岐路の利得(D行列の非ゼロ対角線要素)を
Figure 2010050967
とすると、そのS/N比は次のように示す。
Figure 2010050967
m番目のサブチャネルのi番目のサブキャリアとして、それに対応する式(12)により算出されたサブキャリアのS/N比であるγm,iが得られ、次に、最悪サブキャリア決定手段51は最悪サブキャリアが決定される。そのための方法は式(4)と同じであり、以降の処理も同じである。
図8は更なる別の実施形態によるサブチャネル選択装置105’の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、サブチャネル選択装置は、選択されたサブチャネルのCQIを算出する(選択されたサブチャネルのCQIのみを算出する)CQI算出手段55を更に備える。算出されたCQIは送信機側に返信される。CQIの算出は当業者が周知するいかなる方法、例えば前述したEESM又はRBIR法などを利用できる。
図9は一実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。
図9に示すように、一実施形態によるサブチャネル選択方法は、チャネル利得が入力されると、まず、ステップ901で最悪サブキャリアを決定する、即ち、複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれの最悪サブキャリアを決定する。このステップは例えば前述した最悪サブキャリア決定手段で実現できる。次に、ステップ902で比較・選択を行う。詳しくは、前記最悪サブキャリア決定ステップで決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちの最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する。このステップは前述した比較選択手段で実現できる。
図10は別の実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。
図10に示すように、図9に示す方法と比べると、別の実施形態によるサブチャネル選択方法は利得合成ステップ903を追加した。このステップ903で、SIMOシステムの場合は、複数のアンテナで受信された相同サブキャリアに対してサブキャリアの利得を合成する。一方、MISOシステムの場合は、複数のアンテナから送信された相同サブキャリアに対してサブキャリアの利得を合成する。
前記SIMOシステムの受信側は選択的合成と最大比率合成と均等利得合成などの利得合成方法を適用できる。
ステップ901で、前記利得合成ステップで合成された各サブチャネルのサブキャリアについて、各サブチャネルのうちの最悪サブキャリアを決定する。
図11は更なる別の実施形態によるサブチャネル選択方法のフローチャートである。
図11に示すように、図9に示す方法と比べると、別の実施形態によるサブチャネル選択方法は、分岐路分解ステップ904と利得合成ステップ903を追加した。分岐路分解ステップ904で、複数のアンテナから送信され複数の受信アンテナで受信された各サブキャリアの利得を1つ以上の等価的な並行分岐路の利得に変換する。前記利得合成ステップ903で、各サブキャリアについて、分岐路分解ステップで分解された各並行分岐路の利得を合成する。
ステップ901で、前記利得合成ステップで合成された各サブチャネルのサブキャリアについて、各サブチャネルのうちの最悪サブキャリアを決定する。
分岐路分解ステップ904と利得合成ステップ903とは、例えば、前述した分岐路分解手段54と利得合成手段53とで実現できる。
ここで注意すべきなのは、前述した最悪サブキャリア決定手段51、比較選択手段52、利得合成手段53、分岐路分解手段54などは、ロジックユニット又は知能ユニット(例えばマイクロプロセッサー、プログラムブルロジックデバイスなど)によりコンピュータプログラムを実行することで実現することができる。それに対応して、前述したステップ901-904も、知能ユニット又はロジックユニットによりコンピュータプログラムを実行することで実現することができる。それらコンピュータプログラム及びそれらコンピュータプログラムを記憶した媒体、例えばCD、VCD、DVD、フロッピディスク、フラッシュメモリ、ハードディスクなども共に本発明の範囲内に含まれている。
以上の説明によれば、本開示による方法は線形演算のみが用いられるので、複雑な重み付け平均方法を避けて、移動局側での処理を簡単にできるという目立った長所を有する。
本開示は、ロジックユニットにより実行されると、前記ロジックユニットに前記サブチャネル選択装置或いは前記サブチャネル選択方法または各ステップを実現させるコンピュータプログラムを提供することもできる。
また、本開示は、前記コンピュータプログラムを記憶するコンピュータプログラム記憶媒体を提供する。前記コンピュータプログラム記憶媒体は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、フロッピディスク、CD、VCD、DVD、MOなどの当業者が知っている任意の記憶媒体であってもよい。
一実施形態に関して記載及び/又は開示された特徴は、同様又は類似な形態で他の一つ以上の実施形態に適用してもよく、他の実施形態の特徴と組合わせてもよく、又は他の実施形態の特徴を代替してもよい。
ここで説明するのは、「備える・含む」という用語は本明細書に用いられる時に、特徴、インテグラル、ステップ又は部品の存在を意味するが、他の一つ以上の特徴、インテグラル、ステップ又は部品の存在又は追加を排除するものではない。

Claims (10)

1つ以上のサブキャリアを有する複数のサブチャネルからサブチャネルを選択するサブチャネル選択装置であって、
前記複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれにおける最悪サブキャリアを決定する最悪サブキャリア決定手段と、
前記最悪サブキャリア決定手段で決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちのS/N比が最も高い、即ち最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する比較選択手段と、を備えることを特徴とするサブチャネル選択装置。
複数のアンテナで受信された相同サブキャリアに対してサブキャリアの利得を合成する利得合成手段を更に備え、
前記最悪サブキャリア決定手段は、前記利得合成手段で合成された各サブチャネルのサブキャリアについて、各サブチャネルにおける最悪サブキャリアを決定することを特徴とする請求項1に記載のサブチャネル選択装置。
複数のアンテナから送信された相同サブキャリアに対してサブキャリアの利得を合成する利得合成手段を更に備え、
前記最悪サブキャリア決定手段は、前記利得合成手段で合成された各サブチャネルのサブキャリアについて、各サブチャネルにおける最悪サブキャリアを決定することを特徴とする請求項1に記載のサブチャネル選択装置。
複数のアンテナから送信され複数の受信アンテナで受信された各サブキャリアの利得を1つ以上の等価的な並行分岐路の利得に変換する分岐路分解手段と、
各サブキャリアについて、分岐路分解手段で分解された各並行分岐路の利得を合成する利得合成手段とを更に備え、
前記最悪サブキャリア決定手段は、利得合成手段で合成された各サブチャネルのサブキャリアについて、各サブチャネルにおける最悪サブキャリアを決定することを特徴とする請求項1に記載のサブチャネル選択装置。
前記分岐路分解手段は特異値分解法を用いて、前記複数のアンテナから送信され前記複数の受信アンテナで受信された各サブキャリアの利得からなるマトリックスから、前記1つ以上の等価的な並行分岐路の利得を取得することを特徴とする請求項4に記載のサブチャネル選択装置。
前記利得合成手段は、選択的合成と最大比率合成と均等利得合成のいずれかにより利得を合成することを特徴とする請求項2に記載のサブチャネル選択装置。
選択されたサブチャネルのチャネル情報を算出するCQI算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のサブチャネル選択装置。
1つ以上のサブキャリアを有する複数のサブチャネルから適当なサブチャネルを選択するサブチャネル選択方法であって、
前記複数のサブチャネルそれぞれの各サブキャリアのチャネル利得に基づき前記各サブキャリアのS/N比を決定し、前記S/N比により前記複数のサブチャネルそれぞれにおける最悪サブキャリアを決定する最悪サブキャリア決定ステップと、
前記最悪サブキャリア決定ステップで決定された各サブチャネルにおける最悪サブキャリアのS/N比に基づき、それら最悪サブキャリアのうちのS/N比が最も高い、即ち最も良い最悪サブキャリアを決定し、この最も良い最悪サブキャリアに対応するサブチャネルを選択する比較選択ステップと、を備えることを特徴とするサブチャネル選択方法。
請求項1に記載のサブチャネル選択装置を有することを特徴とする受信機。
SIMOシステムに適用され、請求項2に記載のサブチャネル選択装置を有することを特徴とする請求項9に記載の受信機。
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