JP2010042496A - パターニング研磨シートの製造方法及びパターニング研磨シート - Google Patents
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Abstract
【課題】用途に応じた任意の凹凸模様のパターン構造を有する研磨シートの製造方法の提供。
【解決手段】基材シート32の表面に、凸部形状でパターン化された研磨層が形成されるパターニング研磨シートの製造方法であって、基材シート32の表面にバインダー樹脂液を、用途に応じた所定のパターンに塗布するバインダー樹脂液塗布工程と、塗布されたバインダー樹脂中に研磨材粒子が単一層を形成するように分散散布する研磨材粒子散布工程と、バインダー樹脂液を硬化させて研磨層を形成させるバインダー樹脂液硬化工程と、分散散布された研磨材粒子のうち研磨層に含まれない研磨材粒子を除去する除去工程と、を備えてなる。
【選択図】図2
【解決手段】基材シート32の表面に、凸部形状でパターン化された研磨層が形成されるパターニング研磨シートの製造方法であって、基材シート32の表面にバインダー樹脂液を、用途に応じた所定のパターンに塗布するバインダー樹脂液塗布工程と、塗布されたバインダー樹脂中に研磨材粒子が単一層を形成するように分散散布する研磨材粒子散布工程と、バインダー樹脂液を硬化させて研磨層を形成させるバインダー樹脂液硬化工程と、分散散布された研磨材粒子のうち研磨層に含まれない研磨材粒子を除去する除去工程と、を備えてなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属、セラミックス、ガラス及び単結晶等の素材の研磨や研削、磁気ハードディスク及び半導体基板表面の鏡面研磨、磁気ヘッド、レンズ等の表面の精密仕上げ研磨、光ファイバー端面研磨、又は車体等の表面仕上げ研磨等、粗研磨から超精密研磨にわたる研磨に使用するための、テープ状、ディスク状等に切断される研磨シート及びその製造方法に関するものである。
一般に、研磨シートは、プラスチックシート、織布、不織布、紙等の可撓性の基材シートの表面に、研磨材粒子を含む研磨層を形成したものであり、研磨の目的や形態に応じて、テープ状、ディスク状又はその他の形状に適宜切断されて使用される。
従来実用化されている研磨シートは、例えば、研磨材粒子とバインダー樹脂液との混合物であるスラリーを基板シート表面に塗布し、乾燥、硬化させることにより製造されるものであり、その研磨層の砥粒が多層構造を有しており、粒子同士が密に接触した表面構造からなっている。しかし、微視的に見ると決して一様ではなくて、多数の箇所で砥粒の凝集塊が研磨層の表面から突き出し状態となっている。そのためこのような研磨シートが、研磨された被研磨物の表面に深い傷やスクラッチを生じる原因となっている。また、研磨層の砥粒が多層構造にある場合、研磨に寄与する砥粒は表面に位置するもののみであり、表面以外に位置する砥粒は研磨に寄与せず、コストパフォーマンスの良くないものとなっている。
一方、高精度研磨には粒度分布の揃った微細な研磨材粒子の使用が必要となるが、研磨材の粒子径が小さくなると粒子は凝集し易くなり、研磨材を樹脂中に均一に分散させることが困難となる。そのため砥粒が凝集状態で塗布された場合、研磨テープの表面粗さが不揃いになり、被研磨物の表面に傷が発生し、さらに研磨ムラを生ずる原因ともなる。特に磁気ハードディスク及び半導体基板表面の鏡面研磨、磁気ヘッド、レンズ等の表面の精密仕上げ研磨、又は光ファイバー端面研磨など、製品性能の向上が著しい部品については、益々各製品プロセスにおけるデバイス表面の平滑性並びに平坦性の向上が要求されるものの、従来の研磨テープでは、この要求に十分対応できない状況になってきている。
さらに、微細表面研磨の場合、微小砥粒による研磨になると、上記のように砥粒の凝集塊による傷のほか、砥粒と下地との間隙が狭くなるため研磨層と被研磨物との間の接触面積が大きくなることから被研磨物との摩擦が増大する。そのためバインダー樹脂液の溶着が生じ、さらには研磨屑の排出排除が困難なことから目詰まりが生じ、研磨フィルムの寿命が短くなる原因となっている。
従来、バインダー樹脂液中に研磨材粒子を分散させるために、研磨材粒子を帯電させた後にバインダー塗布面に電着法等によって散布し、乾燥させる方法が提案されているが、研磨屑による目詰まり防止を図ることができない。
また、溶剤、分散剤、それらの配合比、塗布手段、塗布量等を調節することによって、粒子がシート上に実質的に重畳しない単層構造となる研磨層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法でも研磨剤粒子の凝集が生じる可能性があり、研磨材粒子を均一に分散させ塗布することは困難である。さらに、研磨材粒子が表面張力によりバインダー樹脂液に被覆され、研磨材粒子の切刃をバインダー樹脂液表面に露出することができなくなり、高精度の研磨の達成も困難となる。
研磨材粒子の一部を研磨層から露出する方法としては、研磨材粒子をバインダー樹脂液とともに塗布し、バインダーを固化した後、研磨層表面に紫外線(UV)を照射して、研磨材粒子を被覆しているバインダーを除去し、研磨材粒子を研磨層表面に露出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この方法では、表面のバインダー樹脂を十分に除去するためには非常に長い時間を要し、量産性が悪いものとなってしまう。また、紫外線の長時間照射によって、バインダー樹脂表面が変質して研磨材粒子の脱落が起こるという問題も生じてしまう。
上記目詰まりの問題を解決するためには、研磨シートに用途に応じた凹凸模様を形成したパターニング研磨シートが提案されている。従来のパターニング研磨シートは、砥粒とバインダー樹脂液を混合した塗料をフィルム基材の片面に塗布した後、エンボスロールで所望の凹凸模様を形成する方法によるものや、前記塗料をグラビア印刷やスクリーン印刷による塗布方法のよるものが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
しかし、上記従来方法では、研磨シートの溝の深さ及び間隔が、使用する凹版及び凸版のシリンダーで決まってしまうため、用途に応じたパターンの研磨シートに変更するには、各パターンに対応するシリンダーに交換する必要があり、煩雑な手間を要することになり、容易に設計変更ができないという問題があった。
特開平1−234169号公報
特開平2−243271号公報
特開平2−83172号公報
特開2003−14533号公報
特開平5−23973号公報
本発明の目的は、研磨屑により被研磨物の表面に傷をつけることなく、用途に応じた任意の凹凸模様のパターン構造を有する研磨シートの製造方法とその製造方法による研磨シートを提供することである。
また、本発明の他の目的は、研磨材粒子を単一粒子層で、かつ分散して存在するように散布することによって、研磨シートに配置した研磨材粒子の平坦性を向上させ、被研磨物表面にスクラッチや凹凸の発生を抑える、精密な研磨に適した研磨シートの製造方法と、その製造方法による研磨シートを提供することである。
上記課題を解決するために本発明が提案するのは、基材シートの表面に、凸部形状でパターン化された研磨層が形成されるパターニング研磨シートの製造方法であって、前記基材シートの表面にバインダー樹脂液を、用途に応じた所定のパターンに塗布するバインダー樹脂液塗布工程と、塗布された前記バインダー樹脂液中に研磨材粒子が単一層を形成するように研磨材粒子を分散散布する研磨材粒子散布工程と、前記バインダー樹脂液を硬化させて研磨層を形成させるバインダー樹脂液硬化工程と、分散散布された前記研磨材粒子のうち前記研磨層に含まれない研磨材粒子を除去する除去工程と、を備えてなるパターニング研磨シートの製造方法である。
このように基材シートの表面に、用途に応じた所定のパターンにバインダー樹脂液を塗布できるので、用途に応じたパターンの研磨シートの製造が容易となるので、研磨シートの仕様変更等に迅速に対応することができる。またバインダー樹脂液のない部分、すなわち研磨層が形成されない部分であるチップポケットより研磨屑の排出が容易となるので、目詰まりを防止できる研磨シートを提供することができる。
また研磨材粒子を分散散布するので、パターン化されたバインダー樹脂液に研磨材粒子を均一に分散できると共に粒子密度の制御も容易となり、さらに基材シートの表面にパターニング塗布するバインダー樹脂液の厚さを均一に制御できるので、研磨材粒子が均一かつ単一層に配置されることとなり、研磨効率が高く、微細なスクラッチや凹凸の発生を抑えることができる研磨シートを提供できる。
そして塗布された前記バインダー樹脂液に散布された研磨材粒子が実質的に重畳しない粒子として単一層に配置されることになるので、スクラッチの発生を抑えた研磨シートの提供が可能になる。また研磨材粒子の分散散布量を調整することで、用途に応じて研磨材粒子の面密度も任意に調整でき、さらに研磨材粒子の使用量が節約できるので、コストの低減をも図ることができる。
更にまた、研磨材粒子をバインダー樹脂液に分散散布することで、バインダー樹脂液の表面張力の働きにより、散布後の研磨材粒子の一部を硬化したバインダー樹脂液表面、すなわち研磨層表面から露呈させて切り歯とさせることができるので、研磨加工速度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂液塗布工程では、前記バインダー樹脂液を吐出する1又は2以上のノズルを備えたノズル塗布装置と、該ノズル塗布装置を前記基材シートの表面上を非接触に走行させる走行装置と、前記ノズル塗布装置によるバインダー樹脂液の吐出と前記走行装置による走行位置とを制御する制御装置と、を有するバインダー樹脂液塗布機構により前記バインダー樹脂液を所定のパターンに塗布するようになっている。このバインダー樹脂液塗布機構により、バインダー樹脂液を用途に応じた所定のパターンに塗布するのが容易となる。すなわち制御装置によって走行制御された走行装置によりノズル塗布装置が所定位置に走行されて、ノズルからバインダー樹脂液が吐出されるので、吐出位置、吐出量を制御して基材シートに精度よくパターン化塗布ができる。
なお前記ノズル塗布装置は、複数のノズルを備えたインクジェット式により前記バインダー樹脂液を吐出するものであることが好ましい。吐出量の制御がより精度よく行えるからである。
上記の制御装置は、前記ノズル塗布装置と前記走行装置とを制御する制御手段と、バインダー樹脂液により形成される各種パターンに関するパターン情報を記録する記録手段と、前記パターン情報から選択したパターンを特定する情報を入力する入力手段とを含み、前記制御手段は、前記選択されたパターン情報に基づいて前記ノズル塗布装置を所定位置に走行させると共に、前記ノズル塗布装置による前記バインダー樹脂液の吐出時期及び吐出量を制御することが好ましい。
前記入力手段により、前記記録手段に記録されたパターン情報の変更情報又は新規なパターン情報を入力することがさらに好ましい。
すなわち、記録されたパターン情報の選択に基づき、あるいは新規に入力されたパターン情報に基づいて用途に応じた所定のパターンを形成することが容易にできるので、研磨用途に応じたパターンを容易に形成でき、研磨シートの設計変更や仕様変更にも迅速に応じることができる。
前記研磨材粒子散布工程は、予め散布する研磨材粒子を同一極性に帯電させて分散散布する工程であることが好ましい。篩いにより分散散布することも可能であるが、同一極性の帯電させることで研磨材粒子をより分散させて凝集を防止すると共に単一層に形成することができる。
研磨材粒子の同一極性の帯電は、例えば研磨材粒子を圧縮ガスによって金属製配管に送り込み、この金属製配管の内壁との接触によって、摩擦帯電させることによって行うことができる。
前記バインダー樹脂液は、紫外線硬化樹脂を含んでなることが好ましい。紫外線(UV)硬化樹脂は低温での硬化が可能であることから、分散配置された研磨材粒子の移動を抑えることが可能となる。加熱硬化によるとバインダー樹脂液の粘度が低下し、表面張力により研磨材粒子が移動して分散配置状態がくずれるからである。
前記除去工程は、前記研磨層に含まれない研磨材粒子をブラッシング又は吸引により除去する工程であることが好ましい。
上記いずれかのパターニング研磨シートの製造方法によって製造されたパターニング研磨シートを提供することができる。
なお研磨シート表面における、前記研磨粒子の面密度は30%〜95%の範囲とすることが好ましい。たとえば研磨材粒子の散布回数によって、小量ロットでも任意に調整できる。また、前記研磨材粒子として水分率が1%以下の乾燥粉を使用することが好ましい。研磨材粒子の帯電量が安定し、微細粒子での凝集を低減できるからである。
本発明のパターニング研磨シートの製造方法によれば、用途に応じた所定のパターンに形成された研磨層を有する研磨シートを容易に製造可能であり、用途に応じたパターンへの変更も容易にできるので、研磨シートの設計変更や仕様変更に迅速に応じることができる。
また本発明による研磨テープよれば、研磨材粒子が分散され、かつ単一粒子層に形成されるので、光ファイバー端面や半導体基板表面などの被研磨物の表面にスクラッチを形成させずに、異種物質の構成に対しても段差を低減し、平坦で平滑な表面を得る、という効果を奏する。
また、粒径の揃った研磨材粒子を使用することによって、単一粒子層に配置された研磨層が形成され、個々の研磨材粒子が効率よく被研磨物に作用するため、研磨速度を大幅に向上できる。
さらにまた、砥粒を固定するためのバインダーがパターン化されているため、このパターン溝がチップポケットとして作用し、微細砥粒の研磨テープであっても目詰まりを防止し、研磨寿命を向上できる。
さらに、研磨材粒子が単一粒子層で構成されているため、従来のような多層構造の研磨シートに比べ、研磨層を構成する研磨材粒子の使用量が節約でき、コストの低減に効果がある。
そしてさらに、本発明は、予め基材表面にバインダー樹脂液を所定量塗布した上に研磨材粒子を一定量帯電させながら散布するため小量ロットの生産が可能である。また、用途に応じて粒子の面積密度も任意に調整きるため研磨シートの設計が効率的にできる、という効果を奏する。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1(a)は本発明に係るパターニング研磨シートの製造途中工程におけるバインダー樹脂液をパターン状に塗布した一例を示す平面模式図、(b)は(a)に示すA−A断面拡大模式図、(c)は塗布されたバインダー樹脂液に研磨材粒子を散布した後の平面模式図、(d)は(c)に示すB−B断面拡大模式図である。
図1(a)は本発明に係るパターニング研磨シートの製造途中工程におけるバインダー樹脂液をパターン状に塗布した一例を示す平面模式図、(b)は(a)に示すA−A断面拡大模式図、(c)は塗布されたバインダー樹脂液に研磨材粒子を散布した後の平面模式図、(d)は(c)に示すB−B断面拡大模式図である。
図2は本発明に係るパターニング研磨シートを製造するためのバインダー樹脂液のパターニング塗布装置(インクジェット式)の概略斜視図、図3(a)は本発明に係るパターニング研磨シートを製造するためのバインダー樹脂液を供給するノズル孔の配列を示す概略斜視図、図3(b)は塗布液供給ノズルの概略断面図、図4は本発明に係るパターニング研磨シートを製造するための帯電砥粒散布装置の概略断面構成図、図5は本発明に係るパターニング研磨シートの製造工程を示すフロー図、図6は加工試験用研磨装置(ベアリングボール加工試験)を示す斜視図である。
<研磨シート>
図1(a)の平面模式図に示すように本発明に係るパターニング研磨シートは、まず基材シート2の表面に研磨材粒子を固定するためのバインダー樹脂層3が、多数の正方形状に、所定間隔を置いて形成されてなるものである。そしてこの正方形の対角線が基材シート2の長さ方向及び幅方向として規則正しく所定間隔を置いて点在するように、バインダー樹脂層3は塗布されてなるものである。上記所定間隔の部分は、バインダー樹脂液が塗布されていない、基材シート2の生地部分4となっている。
<研磨シート>
図1(a)の平面模式図に示すように本発明に係るパターニング研磨シートは、まず基材シート2の表面に研磨材粒子を固定するためのバインダー樹脂層3が、多数の正方形状に、所定間隔を置いて形成されてなるものである。そしてこの正方形の対角線が基材シート2の長さ方向及び幅方向として規則正しく所定間隔を置いて点在するように、バインダー樹脂層3は塗布されてなるものである。上記所定間隔の部分は、バインダー樹脂液が塗布されていない、基材シート2の生地部分4となっている。
図1(a)のA−A断面拡大図である図1(b)に示すように、バインダー樹脂層3が基材シート2上に凸部を形成し、基材シート2の生地部分4が凹部となるので、全体として凹凸のパターンが形成されるようになっている。この凹凸模様のパターンは用途に応じて予め記録されているものから選択、あるいは新規に設定することができるようになっているので、例えば研磨の用途に応じた所望のパターンの研磨シートを容易かつ迅速に提供することが可能となっている。
図1(c)は、図1(a)のパターニングしたバインダー樹脂層3に、研磨材粒子を単層に散布した研磨シートの平面模式図である。また図1(d)は、図1(c)に示すB−B断面の拡大図であり、研磨シートは、基材シート2の表面に形成されたバインダー樹脂層3の表面に研磨材粒子6が単層となって、研磨層5が形成されている。研磨層5の研磨材粒子6は、研磨材粒子6を同極性の粒子に帯電させて散布(例えば研磨材粒子の摩擦帯電、コロナ放電)することによって、研磨材粒子同士が反発するので、単層独立、分散した状態で着地することによって単層に形成されるものである。帯電のかわりに篩いにより均等に研磨材粒子を散布してもよいが、上記したように帯電散布の場合は、研磨材粒子同士が反発し、単層で独立、分散した状態となるので、帯電散布がより好ましい。
上記研磨材粒子6を散布した後は、バインダー樹脂層3を硬化させて、研磨材粒子を固定し、さらに硬化したバインダー樹脂層3である、研磨層5に固定されない不要な研磨材粒子を除去することで本実施形態のパターニング研磨シートが製造される。
バインダー樹脂液としては、硬化過程で研磨材粒子の移動があまり起こらないようにするために、加熱温度の低い紫外線硬化型樹脂が適している。バインダー樹脂液が硬化した研磨シートでは、バインダー樹脂液が塗布されていない部分にある研磨材粒子を除去するために、ブラッシングや吸引法によって、この不要の部分の研磨材粒子が除去されるようになっている。
上記パターンの形状は、研磨用途、研磨精度等の条件によって適宜選択されるが、上記四辺形の他、円、楕円、多角形等であってもよい。また、研磨シート全体における研磨層の割合は、研磨シート表面の全面積に対して10〜60%程度の範囲にあることが好ましい。また、研磨層に対して形成される凹部は、研磨屑の効率よい収容を可能にする観点からすると、その開口幅が1μm〜1000μm、その深さが1μm〜100μm、そのピッチ(隣接する凹部の中心部分の間隔)が10μm〜500μmの条件を満たす形態のものが好ましい。
なお図1(d)では研磨材粒子6の一部がバインダー樹脂層3から突き出ている状態を示しているが、単一粒子層にとなっている研磨材粒子6の表面が、薄くバインダー樹脂層3の皮膜によって覆われている場合もある。これはバインダー樹脂液の表面張力によって形成されたもので、研磨材粒子6が強固に固定され、脱落がない構造となっているものである。なお、研磨材粒子6の先端を覆うバインダー樹脂液の皮膜は極めて薄く、被研磨物の研磨において、初期の接触で剥離するようになっている。そのため被研磨物表面にバインダー樹脂液の付着は回避できるものである。また上記したように初期の接触で剥離するので、研磨材粒子6の切刃がバインダー樹脂層3から露出した構造となっているため加工効率がさらに向上することになる。
すなわち、バインダー樹脂層3の塗布厚さ及び樹脂濃度を調整することによって、バインダー樹脂層3の表面から研磨材粒子6の一部の切刃(樹脂皮膜が無い部分)を現すことができるようになる。さらに切刃高さの揃った構造とすることが好ましい。そのために研磨材の粒径は、分級して粒径の揃ったものを使用することが好ましい。これを実現するためには、バインダー樹脂層3の塗布厚さを研磨材粒子6の平均粒径の1/10以上で2/3以下の範囲とするのが好ましい。上記1/10より小さくすると研磨材粒子6が容易に脱落し、また上記2/3を超えるとバインダー樹脂層3の皮膜によって研磨材粒子6の50%以上が覆われ、皮膜の厚みが増加するため加工効率が低下するからである。
また、パターン塗布されたバインダー樹脂液上の研磨材粒子の散布面積密度は、30%以上で95%以下が好ましい。30%より低いと研磨効率が低下し、また95%を超えると帯電散布といえども粒子の重なりが起こり、単一層に配置することが困難となるからである。
基材シートは、その使用中に作用する機械的な力による破断や、製造中の熱による変形など、に対する耐性(高強度、耐熱性)を有し、さらに柔軟性を有する必要があることから、合成樹脂からなるプラスチックフィルムであることが好ましい。ただし、用途によっては、紙、皮革、ゴムなども基材シートとして使用できる。また形状は、特に制限が無く、シート状、板又は表面が凸面、凹面でもよい。
上記プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリビニルアルコール又はメタアクリルアルコールを主成分とするアクリル樹脂、ポリカーボネート等からなるフィルムが使用できる。実用的には、研磨シートを製造するフィルムの取り扱いが容易であるため、ポリエチレンテレフタレートからなるプラスチックフィルムを基材フィルムとして使用するのが好ましい。また基材シートの厚さは、特に限定しないが、5μm以上で100μm以下の範囲、好適には10μm以上で75μm以下の範囲にあることが望ましい。
研磨層に研磨材粒子を固定するためのバインダー樹脂液としては、特に制限するものではなく、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂やこれらの混合物が使用される。
特に、本発明の単一粒子層構造の研磨層を形成するには、硬化工程で研磨材粒子の移動が起こらないようにするために、発熱や加熱温度の低い紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂が適している。
バインダー樹脂液が紫外線硬化型樹脂であるときは、光開始剤、増感剤を含む、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、若しくはシリコンアクリレート又はこれらの混合物が好適である。
また本発明に使用される研磨材粒子としては、特に限定されず、例えば、無機粒子として、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、ダイヤモンド(単結晶、多結晶)、窒化硼素(cBN)、炭化珪素(SiC)などが使用でき、また有機粒子として、架橋アクリル樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート樹脂などが使用できる。これら無機粒子及び有機粒子の使用は、研磨対象物、表面仕上げ精度又は除去する突起及び突起の形状によって適宜選択される。
なお、これら研磨材粒子の粒径は、特に限定するものではなく、0.1μm以上で200μm以下の範囲が使用されるが、0.5μm以上で50μm以下の範囲がより好ましい。0.1μm未満であると研磨材粒子を単一層で保持することが困難となる。一方、200μm以上になると研磨層表面の凹凸が激しくなり、スクラッチが増加し、精密研磨には向かないものとなるからである。
研磨材粒子の粒径は、研磨層の切刃高さを揃えるために分級によって粒度分布を揃えたものを用いるのが好ましい。より平坦な研磨粒子の単一層を形成できるからである。
次に本発明に係るパターニング研磨シートの製造方法について説明する。
<研磨シートの製造方法>
図5は本発明に係るパターニング研磨シートの製造工程を示すフロー図である。
<研磨シートの製造方法>
図5は本発明に係るパターニング研磨シートの製造工程を示すフロー図である。
図5に示すように、本発明のパターニング研磨シートの製造方法は、用途に応じた所定のパターン及び研磨材粒子の選択等の情報入力(S101)と、基材シートの表面にバインダー樹脂層を所望のパターン(模様)に塗布する塗布工程(S102)と、塗布されたバインダー樹脂層に研磨材粒子を単層でしかも独立に分散した状態で散布する散布工程(S103)と、バインダー樹脂液を固化して研磨材粒子を固定する硬化工程(S104)と、パターン状のバインダー樹脂液が固化されてなる、研磨層に含まれない研磨材粒子を除去する除去工程(S105)と、を順に行うようになっている。また、異なるパターンの研磨シート、または径の異なる研磨材粒子の研磨シートを所望するときは(S106)、当初の情報入力(S101)に戻ることで、迅速かつ容易に仕様の異なるパターニング研磨シートを製造することができる。
なお情報入力工程(S101)では、予め記録された各種パターン情報(パターン形状、バインダー樹脂層の厚さ、材質等)や研磨材粒子(種類、粒径)等を選択することができるほか、記録にないパターン情報等を新規に入力することも各種装置の機能等の一定条件下でできるようになっている。
以下各工程について使用する装置を含めて説明する。
(バインダー樹脂液のパターン塗布方法)
図2に示すように、上記バインダー樹脂液塗布機構30は、基材シート32を保持する保持手段としての載置台31と、複数のノズル孔41(図3(a)に表示)を列設するインクジェット方式のノズル塗布装置34と、このノズル塗布装置34を、載置台31によって保持された基材シート32の一端から他端方向(矢示61)及びこれと直交する方向(矢示62)へ相対移動すると共に、ノズル塗布装置34の端部側を重ね合わせて移動する走行装置33と、塗布膜の膜厚を均一にすべく走行装置33を移動制御すると共に、所望の塗布量の液を制御する制御装置40(CPU等の制御手段、揮発性及び不揮発性のメモリからなる記録手段を含む)と、を含めて構成されている。
(バインダー樹脂液のパターン塗布方法)
図2に示すように、上記バインダー樹脂液塗布機構30は、基材シート32を保持する保持手段としての載置台31と、複数のノズル孔41(図3(a)に表示)を列設するインクジェット方式のノズル塗布装置34と、このノズル塗布装置34を、載置台31によって保持された基材シート32の一端から他端方向(矢示61)及びこれと直交する方向(矢示62)へ相対移動すると共に、ノズル塗布装置34の端部側を重ね合わせて移動する走行装置33と、塗布膜の膜厚を均一にすべく走行装置33を移動制御すると共に、所望の塗布量の液を制御する制御装置40(CPU等の制御手段、揮発性及び不揮発性のメモリからなる記録手段を含む)と、を含めて構成されている。
制御装置40は、ノズル塗布装置34からのバインダー樹脂液の吐出時期及び吐出量を制御し、また走行装置33による走行位置を所定位置にするように制御する制御手段40aと、パターン情報等を記録する記録手段40bと、パターン情報を選択する等の選択情報等を入力する入力手段40cと、を有している。制御装置40は専用品を用いてもよいが、パーソナルコンピュータ(PC)等の汎用品を所定のプログラムにより実行させてもよい。
記録手段40bには、バインダー樹脂液の塗布をパターン化するためのパターン情報(複数のパターン)が記録されており、例えばキーボード、マウス、スイッチ等の入力手段40cにより、所望のパターンを選択できるようになっている。また新規なパターン情報や、記録されているパターン情報の変更情報も入力手段40cを通じて入力できるようになっており、研磨の用途に応じた所定のパターンの研磨シートを迅速かつ容易に製造することができる対応となっている。
ノズル塗布装置34は、図3(b)に示すように、開閉弁48、ポンプ47及びフィルター(図示せず)を備えたバインダー樹脂液供給管46を介して、バインダー樹脂液43を貯留するバインダー樹脂液貯留タンク45からバインダー樹脂液43を一旦貯留する貯留部44と、この貯留部44を通じてバインダー樹脂液43が供給される小口径ノズル(例えば、約50μm)の多数のノズル41と、貯留部44の対向する内面に取り付けられ貯留部44内のバインダー樹脂液43を加圧するための圧電素子(ピエゾ素子)42とを具備している。
ノズル孔41は、ノズル塗布装置34に直列に所定のピッチ(例えば、200〜800μm)で複数配置されている。なお、ノズル孔41から吐出されるバインダー樹脂液43は、ノズル孔41の口径に対して3〜4倍に広がることが確認されている。
また、ピエゾ素子42は、印加された電圧に応じて所定の周波数で伸縮するように形成されており、貯留部44内のバインダー樹脂液43は、このピエゾ素子42の伸縮によって押し出され、そしてノズル孔41から押し出された分の定量、例えば50〜200ng(ナノグラム)のバインダー樹脂液43が吐出されるようになっている。このようにピエゾ式インクジェット方式のノズル塗布装置34では、ピエゾ素子42の伸縮の周波数単位でバインダー樹脂液43の吐出を制御できる。なお、ピエゾ素子42に印加される電圧は、上記制御装置40からの制御信号により制御される。
したがって図2、図3に示すように、制御装置40からの制御信号がピエゾ素子42に伝達されることにより、バインダー樹脂液43の吐出タイミングや吐出回数を、ノズル塗布装置34の移動速度や移動位置等に合せて制御して、基材シート32表面の所望の領域に所定量をノズル孔41から吐出することによって、バインダー樹脂液43を所定のパターンに塗布することができることになる。
また、図2において、載置台31の両側には、載置台31と平行に一対のガイドレール35a、35bが、載置台31の両端部まで伸びた状態で配置されている。これらガイドレール35a、35b上には、それぞれ第1の可動子36a、36bが摺動自在に配置されている。また、これら第1の可動子36a、36bの間にはノズルレール37が架設され、このノズルレール37上にノズル塗布装置34を装着した第2の可動子38が摺動自在に配置されている。ガイドレール35a、35b、第1の可動子36a、36b、ノズルレール37、第2の可動子38と、を含めてX方向(矢示61)及びY方向(矢示62)の走行を行うリニア走行としての走行装置33が形成されている。またこの走行装置33と、制御装置40及びノズル塗布装置34と、がバインダー樹脂液塗布機構の主要な構成要素である。
上記構成により、ノズル塗布装置34は、基板シート32の一端から他端方向(X方向:矢示61)及びこれと直交する方向(Y方向:矢示62)に移動可能に形成される。このとき所望の塗布模様(パターン)39を記録手段40bに記録しておき、制御手段(CPU等)40aの制御により、ノズル塗布装置34が、基板シート32の一端から他端に向かうX方向に移動した後、これと直交するY方向に移動し、再びX方向に移動することにより、記憶されたパターンにしたがって、バインダー樹脂液43を吐出することができる。この際、ノズル孔41から供給されるバインダー樹脂液43は、基板シート上に液滴状に着弾するが、着弾時に広がりパターン面に塗布されるバインダー樹脂液の膜厚を均一にすることができる。
なお、走行装置33の第1の可動子36a、36b、及び第2の可動子38は、通常の回転型モーターのほか、リニアモータを使用したもの、またはボールねじ機構やモーターとタイミングベルトからなるベルト駆動機構等を用いてもよい。
また、バインダー樹脂液を塗布する基材シート32を、バッチ式で一枚、一枚送り出すこともでき、また長尺シートとして連続的に送り出すことも可能である。
このように所望のパターンにバインダー樹脂液を塗布した基材シートは、次の研磨材粒子の散布工程に送られ、バインダー樹脂液が塗布された領域に研磨材粒子が単一粒子層に散布される。
本発明法において、バインダー樹脂液の中に予め研磨材粒子を混合して塗布することも可能であるが、研磨粒子の形状が一定していないため、塗布液供給ノズルに目詰まりを起こす問題があり、バインダー樹脂液を単独で塗布することが好ましい。
<研磨材粒子の帯電散布方法>
本発明の研磨材粒子の単一粒子層配置は、図4の帯電散布装置によって製造される。
(1)研磨材粒子散布の原理
予めバインダー樹脂液を塗布した基材シート表面に一定量の研磨材粒子を均一に散布するために、該研磨材粒子について帯電散布装置を通して同一極性に帯電させて散布する。この帯電粒子はお互いに反発分離するため、基材シート表面に散布すると凝集が生じない程度の適当な距離をもってバインダー樹脂液上に付着する。帯電した粒子は、付着してもすぐには放電しないのでバインダー樹脂上では、再凝集することなく一定距離を保っている。このような帯電散布装置を以下に示す。なお、粒子の帯電極性は粒子材料によって負又は正に帯電する。
(2)研磨材粒子の帯電散布装置
本発明に適用する乾式研磨材粒子の帯電散布装置(以下、散布装置という)の一例を、図4を参照して説明する。図4は、散布装置の概要を示す断面図である。散布装置は、静電散布チャンバ20と研磨材粒子供給ユニット10、とによって構成されている。
<研磨材粒子の帯電散布方法>
本発明の研磨材粒子の単一粒子層配置は、図4の帯電散布装置によって製造される。
(1)研磨材粒子散布の原理
予めバインダー樹脂液を塗布した基材シート表面に一定量の研磨材粒子を均一に散布するために、該研磨材粒子について帯電散布装置を通して同一極性に帯電させて散布する。この帯電粒子はお互いに反発分離するため、基材シート表面に散布すると凝集が生じない程度の適当な距離をもってバインダー樹脂液上に付着する。帯電した粒子は、付着してもすぐには放電しないのでバインダー樹脂上では、再凝集することなく一定距離を保っている。このような帯電散布装置を以下に示す。なお、粒子の帯電極性は粒子材料によって負又は正に帯電する。
(2)研磨材粒子の帯電散布装置
本発明に適用する乾式研磨材粒子の帯電散布装置(以下、散布装置という)の一例を、図4を参照して説明する。図4は、散布装置の概要を示す断面図である。散布装置は、静電散布チャンバ20と研磨材粒子供給ユニット10、とによって構成されている。
静電散布チャンバ20の天井部には、散布ノズル21が取り付けられている。この散布ノズル21は、研磨材粒子圧送配管(金属製パイプ)16を介して、研磨材粒子供給ユニット10内の研磨材粒子調整チャンバ11に連結されている。
静電散布チャンバ20内の下方には、研磨材粒子を散布するための基板ステージ22を設け、バインダー樹脂液がパターン状に塗布された基材シート23が基板ステージ22上に載置されている。さらに、基板ステージ22の下方側には、排気口24が設けられている。また散布により基材シート23に付着しなかった研磨粒子を回収する回収口(図示せず)が設けられている。
一方、研磨材粒子供給ユニット10には、研磨材粒子散布チャンバ11と、研磨材粒子量制御ボックス13と、が配置されており、更に、研磨材粒子散布チャンバ11内には、研磨材粒子供給ホッパ12から供給される研磨材粒子の収容と圧送配管16へ送り出される研磨材粒子量を制御するフィーダーユニット(図示せず)が収容されている。研磨剤粒子は、研磨材粒子圧送管16を通って散布チャンバ20の散布ノズル21に導かれる。
ここで、研磨材粒子は、圧送配管16内で内壁との接触(摩擦)によって帯電し、研磨材粒子の帯電粒子が形成される。この帯電粒子は、負又は正の同一極性を持っているため帯電粒子同士が反発し合い、再凝集することがない。
圧送配管16の内壁との摩擦を促進するための方法として、圧送配管内で圧力損失を防止するために、(a)圧送配管の途中に補給ガス(ドラエアー、窒素ガス等)供給機能を付加する、(b)圧送配管内を負圧にする機構、(c)複数の分岐圧送配管を付加し、摩擦効率を高める方法が使用される。
次に、散布チャンバ20の散布ノズル21に導かれた帯電粒子は、散布ノズル21の周囲に配置されたノズルから排出される圧縮ガスとともに基材シート23上に吹き付けられる。
圧縮ガスは、通常の圧縮ボンベガスが使用され、ドライエアー、窒素ガス等ガス等が使用されている。
散布ノズル21は、ちょうどスプレーガンで吹き付けるように、基材シート23上に均一に散布できる構造となっている。なお、散布ノズル21は、複数個設け、それぞれ角度を変えて配置し、同時又は順次開閉し散布するようにすることもできる。散布ノズル21から出た研磨材粒子は、散布チャンバ20内空間では再凝集されることなく基材ステージ22に置かれた基材シート23上に向かって吹き付けられ、この帯電した研磨材粒子は、基材シート23上で反発し合い、凝集することなく一定間隔を保って付着する。
一方、散布される研磨材粒子量の制御のため、研磨材粒子供給ユニット10内の研磨材粒子の圧送配管16の近傍に送出研磨材粒子量を検出するための帯電センサ15が配置され、更に、研磨材粒子供給ユニット10内の下方側には、装置全体を制御する電源、CPUなどが収容された制御部14が配置されている。すなわち、散布された研磨材粒子の帯電量を帯電センサ15によりモニタリングするとともに、その帯電量をフィードバックして研磨剤粒子の散布量が制御されるようになっている。
したがって、基材シート23の表面の研磨材粒子密度は、一度の散布量を確認した後の散布回数によって決められる。また、研磨材粒子の帯電量は研磨剤の種類、粒径、形状などによってことなるので、予め確認して調整される。また製造されたパターニング研磨シートについて変更したい場合等は、制御装置40の入力手段40cにより再度パターン情報を入力して製造させることができる(図5のS106)。従来のパターニング方法は、例えば凹凸形状のシリンダーの交換を要するため、時間と手間を要していたが、プログラム化されたパターンに基づいてバインダー樹脂液を塗布する本発明によれば、迅速かつ容易にパターン変更ができる。
このように静電散布された研磨材粒子は同一極性に帯電しているので、研磨材粒子同士が重なることなく、一定距離を保って単一粒子層にバインダー樹脂上に付着する。
なお、基材シート上への研磨材粒子の散布密度は、一度の散布量と散布回数で調整される。基材シートの形状は、特に限定されることなく、板材、シート、テープの上に散布することができる。例えば、テープ状のものならテープを走行しながら連続的に製造することができる。
(実施例)
本発明に係る実施例の研磨シートを以下のようにして製造した。
(1)基材シート
基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)の厚さ75μmを使用した。
(2)バインダー樹脂
バインダー樹脂としての塗布溶液は、エポキシ系UV樹脂として、アデカHCX200−25(樹脂:PGM 17重量%)を使用した。
(3)研磨材粒子
研磨材粒子は、平均粒径3μmの多結晶ダイヤモンド粒子を使用した。
(実施例)
本発明に係る実施例の研磨シートを以下のようにして製造した。
(1)基材シート
基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)の厚さ75μmを使用した。
(2)バインダー樹脂
バインダー樹脂としての塗布溶液は、エポキシ系UV樹脂として、アデカHCX200−25(樹脂:PGM 17重量%)を使用した。
(3)研磨材粒子
研磨材粒子は、平均粒径3μmの多結晶ダイヤモンド粒子を使用した。
<塗布方法>
前記調整したバインダー樹脂を、図2のインクジェット方式の塗布装置によって基材シート表面に塗布した。塗布厚みは、平均粒径の60%(1.8μm)とした。
ノズルヘッドは、ピエゾ方式で、内径30μmのノズルが直線状に180個、100μm間隔で並べたものを使用した。100μm間隔で約50pLの液滴を、複数のノズルから同時に吐出してX−Y平面テーブル上を移動させて塗布した。吐出された液滴は、基材シート上で広がり、やがて全てが合体し、図1(a)(b)に示すようなパターン形状で一層の塗布膜となった。
前記調整したバインダー樹脂を、図2のインクジェット方式の塗布装置によって基材シート表面に塗布した。塗布厚みは、平均粒径の60%(1.8μm)とした。
ノズルヘッドは、ピエゾ方式で、内径30μmのノズルが直線状に180個、100μm間隔で並べたものを使用した。100μm間隔で約50pLの液滴を、複数のノズルから同時に吐出してX−Y平面テーブル上を移動させて塗布した。吐出された液滴は、基材シート上で広がり、やがて全てが合体し、図1(a)(b)に示すようなパターン形状で一層の塗布膜となった。
<静電散布>
研磨材粒子の静電散布は、前述の図4の散布装置を使用した。研磨材粒子の一回の散布量を0.4g/minとし、散布回数によって研磨材粒子の面積密度を調整した。
研磨材粒子の静電散布は、前述の図4の散布装置を使用した。研磨材粒子の一回の散布量を0.4g/minとし、散布回数によって研磨材粒子の面積密度を調整した。
以下の研磨評価に使用した研磨シートの研磨粒子の面積密度は、約50%とした。散布条件は、散布ノズル径を5mmとして、キャリアーガス3kg/cm2で、5秒間排出させ、この排出を10回繰り返した。このときの帯電量は5kVであった。
<バインダー樹脂の硬化方法>
UV照射装置は、株式会社ジャテック製、J−cure 1500を使用した。照射条件は、出力:1kW,波長;365nm(ピーク)、積算光量;600mJ/min、照射時間;0.5m/min(ベルト送り)であった。その後、ポストキュア:130℃、30分(恒温槽)を行って研磨シートを製造した。
(比較例)
比較例の研磨シートは、実施例で使用した同一仕様の研磨粒子を使用し、従来の製造方法(研磨材粒子とバインダー樹脂を混煉した塗布溶液を基材に全面塗布)で製造した。
<研磨比較評価>
上記実施例及び比較例の研磨シートを使用して、ベアリングボール加工試験を行い、一定時間による研磨量、中心線平均表面粗さ(Ra)及び最大表面粗さ(Rmax)について比較した。
<バインダー樹脂の硬化方法>
UV照射装置は、株式会社ジャテック製、J−cure 1500を使用した。照射条件は、出力:1kW,波長;365nm(ピーク)、積算光量;600mJ/min、照射時間;0.5m/min(ベルト送り)であった。その後、ポストキュア:130℃、30分(恒温槽)を行って研磨シートを製造した。
(比較例)
比較例の研磨シートは、実施例で使用した同一仕様の研磨粒子を使用し、従来の製造方法(研磨材粒子とバインダー樹脂を混煉した塗布溶液を基材に全面塗布)で製造した。
<研磨比較評価>
上記実施例及び比較例の研磨シートを使用して、ベアリングボール加工試験を行い、一定時間による研磨量、中心線平均表面粗さ(Ra)及び最大表面粗さ(Rmax)について比較した。
研磨テープの加工試験は、試験片としてボールベアリング(玉軸受け)の鋼球(SUJ−2)、直径4mmを用いて、図6の加工試験用研磨装置(ベアリングボール加工試験)で研磨した。加工試験用研磨装置50は、回転可能な定盤52の上に本発明の研磨シート53を貼り、加工試験片として前記鋼球54を治具55に固定し、主軸56に設置した研磨ヘッド51の上部より規定の荷重57が加えられるようになっている。
加工試験は、研磨シート53を貼り付けた、定盤52を回転し、鋼球54を固定した研磨ヘッド51を定盤52上に貼り付けた研磨シート53の表面に一定荷重で接触させ、定盤52の中央部から外周へ一定速度、一定距離移動させて研磨を行った。なお、試験片の加工開始、終了は、支点59で支えたアーム58の上下によって自動的に行われる。加工終了後、鋼球54を治具55から外し、重量を量り鋼球54の重量の減量を研磨量とした。研磨試験は、鋼球5個の平均で評価した。
研磨条件を以下に示す。
1)荷重:500g
2)定盤の直径:8インチ
3)定盤の回転速度:300rpm
4)中心から外周への移動距離:100mm
5)研磨時間:12秒
一方、研磨後の鋼球の研磨面の平均表面粗さRa,及び最大表面粗さRmaxは、表面粗さ計(東京精密株式会社製、SURFCON 480Aで測定した。
<比較結果> 比較結果を下記表1に示す。
研磨条件を以下に示す。
1)荷重:500g
2)定盤の直径:8インチ
3)定盤の回転速度:300rpm
4)中心から外周への移動距離:100mm
5)研磨時間:12秒
一方、研磨後の鋼球の研磨面の平均表面粗さRa,及び最大表面粗さRmaxは、表面粗さ計(東京精密株式会社製、SURFCON 480Aで測定した。
<比較結果> 比較結果を下記表1に示す。
表1に示すように、本発明に係る実施例の研磨シートによる研磨は、比較例と比較すると、一定時間の研磨において、平均表面粗さ(Ra)及び最大表面粗さ(Rmax)で顕著な効果を有している。また、表面粗さが低く仕上がる上に高い研磨量が得られる、という効果を有している。
また、上記実施例に使用される研磨材粒子の使用量は、上記比較例に対して1/50以下で済むため、大幅な材料費低減(コストダウン)効果がある。
2 基材シート
3 バインダー樹脂層
5 研磨層
6 研磨材粒子
10 研磨材粒子供給ユニット
20 静電散布チャンバ
23 基材シート(バインダー樹脂液塗布済)
30 バインダー樹脂液塗布機構
33 走行機構
34 ノズル塗布装置
40 制御装置
3 バインダー樹脂層
5 研磨層
6 研磨材粒子
10 研磨材粒子供給ユニット
20 静電散布チャンバ
23 基材シート(バインダー樹脂液塗布済)
30 バインダー樹脂液塗布機構
33 走行機構
34 ノズル塗布装置
40 制御装置
Claims (9)
- 基材シートの表面に、凸部形状でパターン化された研磨層が形成されるパターニング研磨シートの製造方法であって、
前記基材シートの表面にバインダー樹脂液を、用途に応じた所定のパターンに塗布するバインダー樹脂液塗布工程と、
塗布された前記バインダー樹脂中に研磨材粒子が単一層を形成するように研磨材粒子を分散散布する研磨材粒子散布工程と、
前記バインダー樹脂液を硬化させて研磨層を形成させるバインダー樹脂液硬化工程と、
分散散布された前記研磨材粒子のうち前記研磨層に含まれない研磨材粒子を除去する除去工程と、を備えてなるパターニング研磨シートの製造方法。 - 前記バインダー樹脂液塗布工程は、前記バインダー樹脂液を吐出する1又は2以上のノズルを備えたノズル塗布装置と、該ノズル塗布装置を前記基材シートの表面上を非接触に走行させる走行装置と、前記ノズル装置によるバインダー樹脂液の吐出と前記走行装置による走行位置とを制御する制御装置と、を有するバインダー樹脂液塗布機構により前記バインダー樹脂液を所定のパターンに塗布することを特徴とする請求項1に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 前記ノズル塗布装置は、複数のノズルを備えたインクジェット式により前記バインダー樹脂液を吐出することを特徴とする請求項2に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 前記制御装置は、前記ノズル塗布装置と前記走行装置とを制御する制御手段と、バインダー樹脂液により形成される各種パターンに関するパターン情報を記録する記録手段と、前記パターン情報から選択したパターンを特定する情報を入力する入力手段とを含み、
前記制御手段は、前記選択されたパターン情報に基づいて前記走行装置を所定位置に走行させると共に、前記ノズル塗布装置による前記バインダー樹脂液の吐出時期及び吐出量を制御することを特徴とする請求項2又は3に記載のパターニング研磨シートの製造方法。 - 前記入力手段により、前記記録手段に記録されたパターン情報の変更情報又は新規なパターン情報を入力することを特徴とする請求項4に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 前記研磨材粒子散布工程は、予め散布する研磨材粒子を同一極性に帯電させて分散散布することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 前記バインダー樹脂液は、紫外線硬化樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 前記除去工程では、前記研磨層に含まれない研磨材粒子をブラッシング又は吸引により除去することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパターニング研磨シートの製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれか一項に記載のパターニング研磨シートの製造方法によって製造されたパターニング研磨シート。
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JP2008210059A JP2010042496A (ja) | 2008-08-18 | 2008-08-18 | パターニング研磨シートの製造方法及びパターニング研磨シート |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2012115957A (ja) * | 2010-12-02 | 2012-06-21 | Nihon Micro Coating Co Ltd | 研磨シート及び製造方法 |
-
2008
- 2008-08-18 JP JP2008210059A patent/JP2010042496A/ja not_active Withdrawn
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