JP2010013324A - Plzt透明セラミックス、plzt透明セラミックスの製造方法、光コンポーネント及び光デバイス - Google Patents

Plzt透明セラミックス、plzt透明セラミックスの製造方法、光コンポーネント及び光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】従来の透明セラミックスは、製造において、安定した性能の製品を得るのが難しい上に、温度変化、湿度変化等の環境変化および/または経時変化に対して、性能が変化する問題を持っていたので、かかる欠点のない透明セラミックスが要求されていた。
【解決手段】平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであるPLZT透明セラミックスを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電効果を有する透明なセラミックス、当該セラミックスの製造方法、当該セラミックスの光電効果を利用し、入力ファイバおよび出力ファイバが取り付けられ、入力ファイバから入力される光束の光強度と、出力ファイバから出力される光束の光強度とを、印加した信号の強度に応じて異ならせることができる光可変減衰器や光スイッチなどの光デバイス及び当該光デバイスに用いられ当該セラミックスを含む光コンポーネントに関する。
光通信においては、近年のブロードバンドの普及によりネットに接続する端末も急増しており、ネットワークは複雑化の一途をたどっている。ネットワークの堅牢性も重要な課題となっており、光ファイバの切断によるリルーティングの即時性は必須とされている。リルーティングにより、光信号の損失や増幅が変わってくるため、減衰や増幅の調整が必要になるが、いずれも高速応答性が求められる。
高速応答が可能な光デバイスとしては、特許文献1に、電気光学素子を偏光可変素子として利用した高速度電気光変換器が開示されている。本方式では、偏光可変素子の前後に偏光子、検光子して作用する偏光分離素子である偏光ビームスプリッタを配置させ、偏光可変素子に電圧を印加することにより、透過光量を可変することができる。
特表2002−519716号公報
上記特許文献1に記載の発明に基づいて光デバイスを作成すると、高速応答性を満たすことはできるが、当該光デバイスを複数作成した場合、同じ構成であっても他の光デバイスよりも高い電圧を必要とするものが存在しており、安定した性能の複数の光デバイスを得ることが困難であるという問題や、光束の偏光状態の変化との間に線形性がなく、電圧と偏光状態の変化を予測しにくく、精密な制御が可能な光デバイスを製造することが困難であるという問題があった。また、温度変化、湿度変化時に、不安定に性能が変化するという問題もあった。さらには、光デバイスの使用を継続した際に、使用時間が長くなると性能が変化していくという経時変化の問題もあった。
従前は、これらの問題が発生する原因が不明であったが、本発明者らの鋭意研究の結果、上述の問題は、光デバイスで用いられているPLZTに原因があることがわかってきた。本発明の課題は、以上のような実情を鑑み、光デバイスのPLZTの製造方法並びに構造に工夫を加えることで、生産安定性を向上させることができ、印加電圧と偏光状態の変化との間に高い線形性を得ることができる光デバイス、当該光デバイスに用いられる光コンポーネント及び当該光コンポーネントに用いられる偏光可変素子、PLZT並びにその製造方法を提供することである。さらには、温度変化、湿度変化時にも性能が安定しており、長時間使用時においても、経時変化が少なく性能が安定している光デバイス、当該光デバイスに用いられる光コンポーネント及び当該光コンポーネントに用いられる偏光可変素子、PLZT並びにその製造方法を提供することである。加えて、光透過性がより高く、必要電圧をより低くすることができる、より高性能の光デバイス、当該光デバイスに用いられる光コンポーネント及び当該光コンポーネントに用いられる偏光可変素子、PLZT並びにその製造方法を提供することである。
請求項1に記載のPLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とする。
請求項2に記載のPLZT透明セラミックスは、請求項1に記載の発明において、前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする。
請求項3に記載のPLZT透明セラミックスは、請求項1又は2に記載の発明において、前記PLZTのナノ粒子を主体的に含有する前記PLZT粉末は、PLZTをプラズマ処理することにより得られたものであることを特徴とする。
請求項4に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法は、PLZT透明セラミックスを製造する方法において、PLZT粉末を得る工程と、前記PLZT粉末を所定形状に成形し、焼成することによりPLZT透明セラミックスを得る工程とを有し、前記PLZT粉末は、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有することを特徴とする。
請求項5に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする。
請求項6に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法は、請求項4又は5に記載の発明において、前記PLZT粉末を得る工程において、PLZTをプラズマ処理することにより、前記PLZTのナノ粒子を主体的に含有する前記PLZT粉末を得ることを特徴とする。
請求項7に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法は、請求項6に記載の発明において、前記プラズマ処理は、前記PLZTの粒子の少なくとも一部をプラズマ流によって加熱して蒸発させ、前記プラズマ流内において、前記部分的に蒸発した粒子と前記PLZTの粒子とを混合して含有する蒸気相を得る工程と、前記プラズマ流内において、前記蒸気相を冷却し、前記PLZTのナノ粒子と粗い粒子(ナノ粒子より平均粒径が例えば1.5倍以上大きな粒子をいう)とからなる混合物を形成する工程と、前記混合物から前記ナノ粒子と前記粗い粒子とを分離させることにより、PLZTのナノ粒子を得る工程とを含むものであることを特徴とする。
請求項8に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法は、請求項7に記載の発明において、前記混合物を音響処理媒体内において超音波振動に曝して前記分離を行う工程を含むことを特徴とする。
請求項9に記載のPLZT偏光可変素子は、電圧が印加された場合は入射した光束の偏光状態を変化させ、電圧が印加されない場合は入射した光束の偏光状態を変化させない偏光可変素子であって、前記偏光可変素子は、前記電圧を印加するための二つの電極と、前記二つの電極の間に配置されたPLZT透明セラミックスとを有し、前記PLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とする。
請求項10に記載のPLZT偏光可変素子は、請求項9に記載の発明であって、前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする。
請求項11に記載の光コンポーネントは、入力された光束の光強度と出力される光束の光強度を異ならせるために用いられる光コンポーネントであって、前記光コンポーネントに入力された光束を常光と異常光に偏光分離する偏光分離素子と、電圧が印加された場合は入射した光束の偏光状態を変化させ、電圧が印加されない場合は入射した光束の偏光状態を変化させない偏光可変素子とを有し、前記偏光分離素子において分離された偏光が前記偏光可変素子に入射し、前記偏光可変素子は、前記印加される電圧に応じて、前記偏光の偏光状態を変化させ、又は、変化させず、前記偏光は、前記偏光の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力され、前記偏光の偏光状態が他の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力されず、前記偏光可変素子は、前記電圧を印加するための二つの電極と、前記二つの電極の間に配置されたPLZT透明セラミックスとを有し、前記PLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とする。
請求項12に記載の光コンポーネントは、請求項11に記載の発明において、前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする。
請求項13に記載の光コンポーネントは、請求項11又は12に記載の発明において、前記光コンポーネントは反射素子を有し、前記偏光分離素子において分離された偏光が前記偏光可変素子に入射し、前記偏光可変素子に入射した前記偏光は、前記反射素子によって反射され、前記反射素子によって反射された前記偏光は、前記偏光可変素子、前記偏光分離素子を再び通過し、前記偏光は、前記偏光の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力され、前記偏光の偏光状態が他の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力されないことを特徴とする。
請求項14に記載の光デバイスは、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の光コンポーネントを含むことを特徴とする。
本発明の光デバイスは、光デバイスに入力した光束の光強度と光デバイスから出力する光束の光強度を異ならせる事ができる装置である。光デバイスの好ましい例の一つとして、入力用および出力用の光ファイバに接続されて、入力用の光ファイバから入力された光束の光強度と出力用の光ファイバに出力する光束の光強度とを、外部からの印加信号に応じて異ならせる装置が挙げられる。印加信号の大きさに応じて出力光の強度を可変しても良いし、印加信号のON、OFFに基づいて、出力光をON,OFFとしてもよい。光デバイスの具体例としては、光可変減衰器、光変調器、光シャッターや、光スイッチなどが挙げられる。あるいは、光デバイスは、光可変減衰器等を含む光増幅器なども含むことも自明である。
光デバイスは、光コンポーネントを有する。光コンポーネントも、入力された光束の光強度と出力される光束の光強度を異ならせるものである。光コンポーネントは、光コンポーネントに入力された光束を常光と異常光に偏光分離する偏光分離素子と、電圧が印加された場合は入射した光束の偏光状態を変化させ、電圧が印加されない場合は入射した光束の偏光状態を変化させない偏光可変素子とを有する。偏光分離素子において分離された偏光が偏光可変素子に入射し、偏光可変素子は、印加される電圧に応じて、偏光の偏光状態を変化させ、又は、変化させず、偏光は、偏光の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、光コンポーネントから出力され、偏光の偏光状態が他の偏光状態である場合は、光コンポーネントから出力されない。
光デバイスが光ファイバに接続されるタイプの装置である場合、その光デバイスに用いられる光コンポーネントは、入力用及び出力用の光ファイバが接続される接続部を有する事が好ましい。接続部は、光ファイバを有さず、入力用及び出力用の光ファイバが接続されるようにしてもよいし、接続部が光ファイバを有し、接続部のそれぞれの光ファイバに、入力用の光ファイバと出力用の光ファイバとが接続されるようにしてもよい。接続部は、2芯フェルールや、それぞれ別体のフェルールを有していてもよい。
光コンポーネントは、偏光可変素子を有する。偏光可変素子とは、偏光可変素子に印加される電圧に応じて、偏光可変素子に入射した光束の偏光状態を変化させたり、変化させなかったり、又は、変化量を可変できる素子のことである。なお、偏光可変素子の光束入射面には光束の反射を防止するAR(anti reflection)コートが設けられていることが好ましい。
偏光可変素子の一例としては、一対の電極と、当該電極の間に挟まれて配置される電気光学結晶とを有するものが挙げられる。電流を電極に供給し、その電流(電圧)の強さに応じて偏光可変素子を通過する光束の偏光状態を変化させる。偏光可変素子に用いられる電気光学結晶として、PLZT透明セラミックスが挙げられる。ここでいうPLZTとは、ランタン置換ジルコン酸チタン酸鉛のことであり、一般式(Pb1-xLax)(Zr1-yTiy1-0.25x3で表される。(式中、xは0.01〜0.3であり、yは0.05〜0.95である)尚、PLZTに他の元素を添加処理したものや、過剰に酸化鉛を添加したものも、全てここではPLZTと称する。また、本明細書において「透明セラミックス」とは、波長633nmの光束の透過率が60%以上であるセラミックスをいう。より好ましくは、波長633nmの光束の透過率が80%以上であることである。
本発明のPLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものである。好ましくは、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものである。より好ましくは、前記平均粒径が10nm以下で、更に好ましくは、PLZT透明セラミックスが、上記を満たすナノ粒子のみを含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることである。尚、「主体的に」とは、PLZT粉末の全粒子の90%以上の数の粒子が上記条件を満たすことを意味する。また、焼結して得られたPLZT透明セラミックスにおいて、PLZTの結晶の大きさが測定できる場合は、PLZT結晶の平均粒径が3μm以下であり、変動係数が0.3以下であることが好ましい。このようなPLZT透明セラミックスを用いることにより、生産安定性を向上させることができ、印加電圧と偏光状態の変化との間に高い線形性を得ることが可能となることを本発明者が見出したのである。さらに、温度変化、湿度変化時にも性能が安定しており、長時間使用時においても、経時変化が少なく性能が安定しており、さらには、光透過性がより高く、必要電圧をより低くすることができることも本発明者は見出した。尚、変動係数は、CV(coefficient of variation)値ともいわれ、標準偏差/平均粒径で表される値である。また、平均粒径は、ISO9001のガイドラインに従い測定することで得られる。例えば、MALVERN Instruments社製のZetasizer 3000という装置によって、光子相関分光法 (PCS)又は動的光散乱法を用いてナノ粒子の粒径分布を測定することが可能である。その結果に基づいて、数平均粒径、重量平均粒径、多分散指数、粒径分布データなどを得ることができる。尚、本明細書で言う平均粒径は、数平均粒径である。
上述のようなPLZT透明セラミックスは、以下の製造方法により得ることができる。本製造方法は、PLZTのナノ粉末を得る工程と、PLZTのナノ粉末を、所定形状に成形し、焼成することによりPLZT透明セラミックスを得る工程とを有する。PLZTのナノ粉末を得る工程については、PLZTに対するプラズマ処理によってPLZTのナノ粉末を得ることが好ましいが、これに限られない。このPLZTのナノ粉末は、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下である。好ましくは、平均粒径が30nm以下であり、更に好ましくは、10nm以下で、変動係数が0.3以下である。このようなPLZT透明セラミックスの製造方法については後述する。
光コンポーネントに用いられるPLZT透明セラミックスの大きさについては、光束に対して直交方向の大きさができるだけ小さい方が印加信号を低減できるため好ましいが、PLZT透明セラミックスを光が通過する際、偏光可変素子の界面で散乱や反射による光学的な損失を避けるため、光束の光路がPLZT透明セラミックスの界面にかからない程度の大きさとすることが好ましい。即ち、PLZT透明セラミックスの光束入射面の縦方向及び横方向(いずれも入射する光束に対して直交方向)の長さが共に、入射する光束の直径よりも大きいことが好ましい。
光コンポーネントに用いられるPLZT透明セラミックスの形状の好ましい例としては、製造の容易さの観点から、直方体形状が挙げられるが、円柱状形状や楕円柱状形状であってもよい。一方、印加電圧の低減化及び応答性という観点からは、図7に示すような、光の進行方向(光軸方向と称することもある)において両端面に近づくほど光軸直行方向の大きさが大きく、光入射面と光出射面との中間付近で光軸直行方向の大きさが最も小さくなるような形状であってもよい。
本発明の光コンポーネントは、偏光分離素子と偏光可変素子を通過した光束を反射して再度、偏光可変素子と偏光分離素子に入射させる反射型と、偏光可変素子を通過した光束をそのまま透過させ、別の偏光分離素子に入射させる透過型とがある。反射型の光学素子ユニットは、反射素子を有する。
反射型の光学素子ユニットの場合、偏光分離素子において分離された偏光が偏光可変素子に入射し、偏光可変素子に入射した偏光は、反射素子によって反射され、反射素子によって反射された偏光は、偏光可変素子、偏光分離素子を再び通過する。反射素子は反射面を有している。なお、反射素子は、偏光可変素子と密着していてもよいし離れていてもよい。
反射素子は光を透過する光学素子部と反射膜とを有していてもよく、反射膜のみからなっていてもよい。反射素子が光学素子部を有する場合、光学素子部の材質は、光透過率が高い物質である事が好ましく、光学ガラス、又は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどの光学用プラスチックが好ましい例として挙げられる。販社素子が反射膜のみからなっている場合、PLZT透明セラミックスの光束入射面と対向する面に反射膜である集光性反射素子が塗布、貼付、蒸着などにより形成されていてもよい。反射膜の素材としては、銀、アルミニウムなどの一般に反射膜として用いられている金属が好ましく用いられる。
尚、偏光可変素子と反射素子とを密着させるか否かに拘わらず、偏光可変素子の光出射面の光束直交方向の大きさ(面積)に比べて、反射素子の光入射面の光束直交方向の大きさ(面積)を大きくする方が、光コンポーネントを組み立てる際の偏光可変素子と反射素子の位置合わせが行ないやすくなる。
次に、偏光分離素子について説明する。偏光分離素子は、光コンポーネントに入力された光束を常光と異常光に偏光分離する素子である。偏光分離素子の好ましい例としては、ルチル、LiNbO3、水晶などの複屈折性結晶や複屈折性ポリマーなどが挙げられる。また、偏光分離素子は常光と異常光の光路をより大きく分離させるために楔形状にしてもよい。
光コンポーネントに光ファイバを接続する接続部と、偏光可変素子との間に偏光分離素子が配置されることが好ましい。即ち、光コンポーネントに入力された光束は、偏光分離素子に入射し、常光と異常光に分離され、分離された偏光光束が偏光可変素子に入射することが好ましい。偏光可変素子に入射した偏光光束は、偏光可変素子に印加された信号の強度に応じて偏光の偏光状態が変えられ、または、変えられず、その後、集光性反射素子によって反射される。反射された偏光光束は、偏光可変素子及び偏光分離素子を再び通過する。偏光光束は、光束の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、光コンポーネントから出力され、光束の偏光状態が所定の偏光状態ではない場合は、光コンポーネントから出力されないことになる。
また、光コンポーネントは、集光レンズを有していてもよい。集光レンズは、光コンポーネントに光ファイバを接続する接続部と、偏光分離素子との間に配置されることが好ましい。集光レンズは、光コンポーネントに入力された光束を集光し、集光レンズによって集光された光束が偏光分離素子に入射することが好ましい。
尚、集光レンズは、点集光レンズであってもよいし、シリンドリカルレンズのような線集光レンズでもよい。また、集光レンズは、ガラスレンズであってもプラスチックレンズであっても良い。線集光するレンズとしては、円柱レンズを半分に切った形態のレンズや、非球面レンズや、GRINレンズなどを用いる事ができる。
光コンポーネントは、コリメートレンズを有していてもよい。コリメートレンズは、接続部と偏光分離素子との間に、コリメートレンズが配置されることが好ましい。コリメートレンズとしては、非球面レンズ、球面レンズ、GRINレンズなどを用いる事ができる。尚、コリメートレンズは、ガラスレンズであってもプラスチックレンズであっても良い。
更に、図1に示すように、入力ファイバ(出力ファイバ)の接続部側(図で左側)から順に、コリメートレンズ3、集光レンズ4、偏光分離素子5、偏光可変素子6、反射素子8(この例では、集光性反射素子が示されているが、これに限られない。)が配置されることが好ましい。接続部に接続されている入力ファイバから光コンポーネントに入力された光束は、先ず、コリメートレンズ3によって平行光に変換される。当該平行光は、集光レンズ4によって集光されて偏光分離素子5に入射する。偏光分離素子5において光束は常光と異常光に分離される。常光と異常光は共に、光学素子ユニットの偏光可変素子6に入射する。偏光可変素子6に印加された信号の強度に応じて、常光及び/又は異常光の偏光状態が変化し、又は、変化せず、当該光束は、光学素子ユニットの反射素子8で反射される。反射された偏光光束は、偏光可変素子6及び偏光分離素子5を再び通過し、出力ファイバが接続されている接続部の側へと向かうことになる。偏光光束は、光束の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、出力ファイバへ出力され、光束の偏光状態が所定の偏光状態ではない場合は、出力ファイバへ出力されないことになる。この時、入力用または出力用の光ファイバが接続されている接続部の位置が、コリメートレンズ3の焦点位置付近である事が好ましい。
次に、PLZT透明セラミックスの製造方法について、以下に説明する。
前述したように、PLZTのナノ粉末を得る好ましい工程としては、PLZTの粉末に対するプラズマ処理による工程が挙げられる。PLZTの粉末に対するプラズマ処理は、PLZTの粉末をプラズマ流によって加熱して蒸発させることにより、PLZTをプラズマ流内において、部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とする工程と、プラズマ流内において部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とされた材料を冷却し、PLZTから形成されたナノ粉末と、残余の粗いPLZT粉末と、からなる混合物を形成する工程と、PLZTから形成されたナノ粉末と残余の粗いPLZT粉末とからなる混合物について、ナノ粉末粒子と粗いPLZT粉末とに分離させることにより、PLZTのナノ粉末を得る工程とを有する。
プラズマ処理を行うためのPLZTの粉末を得るための方法としては、既知のいかなる方法も用いることができるが、ここではそのいくつかの具体例を記載する。例えば、PLZTを化学合成法で得るようにしてもよい。また、化学合成法としては、乾式法、共沈法、アルコキシド法等が挙げられる。乾式法は、Pb、La、Zr及びTiの構成原料の化合物(酸化物)を混合し、これを仮焼する方法である。また、共沈法は、Pb,La,Zr及びTiの各成分溶液を沈殿形成液と接触させて沈殿させ、生成した上記四成分含有の沈殿物を仮焼して易焼結性のPLZT仮焼粉末を製造する方法である。
乾式法の更なる具体例を以下に記載する。例えば、出発原料である所定量の酸化鉛、酸化ランタン、酸化ジルコニウム及び酸化チタン(あるいは炭酸塩、水酸化物、酢酸塩等)を水、アルコールなどの溶媒と共にボールミル混合する。次いで、水、アルコールなどを除去し、粉砕し、酸素含有ガス雰囲気(例えば、空気雰囲気)中で800〜1000℃で約2時間程度仮焼する方法などを用いることができる。
共沈法の更なる具体例を以下に記載する。例えば、硝酸鉛溶液、硝酸ランタン溶液、硝酸酸化ジルコニウム溶液、4-nブトキシチタン溶液を混合する。この混合用液に、アンモニア水溶液を加え、よく攪拌すると、沈殿が生じる。できた沈殿を蒸留水で洗い、ろ過し、乾燥機で乾燥させる。それをアセトン溶媒で20時間ボールミル粉砕し、このスラリーを800℃で2時間仮焼し、再びアセトン溶媒で20時間ボールミル粉砕し、乾燥させる方法などが挙げられる。
また、プラズマ処理で用いられるプラズマ流としては、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ、直流プラズマ、容量結合型のラジオ周波数のプラズマ、マイクロ波プラズマなどを用いることができる。PLZTの粉末をプラズマ流によって加熱して蒸発させる際には、キャリアガスを使用することによって、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流内へとPLZTの粉末を注入することが好ましい。また、PLZTの粉末をプラズマ流によって加熱して蒸発させる際には、大気圧、減圧、ソフトな真空または、雰囲気圧力よりも大きな圧力のいずれかの圧力下で行うことが好ましい。また、PLZTの粉末をプラズマ流によって加熱して蒸発させる際には、プラズマ流を、不活性雰囲気、酸化雰囲気、または還元雰囲気のいずれかとすることが好ましい。
プラズマ流内において部分的に蒸発した粒子と混合された蒸気相とされた材料を冷却するに際し、冷却は、急速なクエンチングにより行われることが好ましい。急速なクエンチングに際しては、クエンチ流として冷たいガス流の注入、あるいは、霧化液体流の注入、あるいは、冷たい表面との接触、により冷却が行われる事が好ましい。
また、ナノ粉末粒子と粗いPLZT粉末とを分離させる工程において、好ましくは、音響処理媒体内において超音波振動に対して曝すことによって、ナノ粉末粒子と粗いPLZT粉末とを分離させることが好ましい。好ましい音響処理媒体としては、水、アセトン、アルコール、空気などが挙げられる。また、超音波振動は、100W〜10kWという範囲の強度を有する超音波ジェネレータを使用して生成することが好ましい。
また、ナノ粉末粒子PLZT粉末とのうちの分離された少なくとも一方を回収する工程を有することが好ましい。一方を回収する具体的な方法としては、たとえば、PLZTから形成されたナノ粉末粒子と粗いPLZT粉末とを湿潤分級、あるいは、通常の重力下での質量差に基づく堆積作用、あるいは、強力な遠心分離による方法などが挙げられる。また、一方を回収する肯定を行う前に、音響処理媒体の濾過を行うことが好ましい。
このようプラズマ処理を活用することにより、平均粒径が0.3μm以下(好ましくは、10nm以下)であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粉末を得ることができる。
そして、このようにして得られたPLZTのナノ粉末を金型等を用いて所定形状に成形し、焼成することにより、本発明のPLZT透明セラミックスを得ることができる。
尚、PLZTのナノ粉末の焼成の方法としては、ホットプレス法、酸化鉛雰囲気焼成法、熱間静水圧焼成法、冷間静水圧焼成法などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
例えば、ホットプレス法では、PLZTのナノ粉末を造粒した後、所定の圧力で円筒状にプレス成形する。次に成形体をアルミナ製のホットプレス用の型に入れ、その周囲に粗粒のアルミナ粉末またはマグネシア粉末を離型剤として充填し、1200℃乃至1300℃で加圧焼成する方法である。また、酸化鉛雰囲気焼成法とは、ナノ粉末からなる成形されたPLZTをアルミナやマグネシアの密閉容器内に置き、その周囲を酸化鉛とジルコン酸鉛の混合粉末で覆い、更にその外側をアルミナ等の密閉容器で覆い、更に酸素ガスを焼成雰囲気として導入し焼成する方法である。熱間静水圧焼成法とは、高圧ガスを用いてナノ粉末からなるPLZT成形体に等方的に圧力を加えると同時に加熱する焼成方法である。冷間静水圧焼成法とは、常温程度の温度下でゴム製容器などにPLZTナノ粉末を入れ、等方的に圧力を加えて均質な成形体を作成し、酸素雰囲気にて常圧焼成する方法である。
本発明によれば、生産安定性を向上させることができ、印加電圧と偏光状態の変化との間に高い線形性を得ることができる偏光可変素子、光コンポーネント及び光デバイスを提供する事ができる。さらには、温度変化、湿度変化時にも性能が安定しており、長時間使用時においても、経時変化が少なく性能が安定している光コンポーネントおよび光デバイスを提供する事ができる。加えて、光透過性がより高く、必要電圧をより低くすることができる、より高性能の光コンポーネントおよび光デバイスを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
先ず、本発明のPLZT透明セラミックスを得る製造方法の一例を以下に記載する。
まず、PLZTの粉末を準備する。PLZTの粉末を得るための方法としては、上述したいかなる方法を用いてもよい。そのPLZTの粉末粒子を、誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ流の中心内へと、軸方向に挿入する。
次に、図2に示す誘導結合型のラジオ周波数のプラズマ反応チャンバ10の中心内へと注入することに基づいて、PLZTの粉末粒子を加熱して溶融させる。
実際、個々のPLZTの粉末粒子がキャリアガスと共にチャンバ内へと注入され、誘導プラズマトーチからのプラズマ流に接触した際には、それらのPLZT粉末粒子は、数ミリ秒といった程度の比較的短時間でもって加熱されて溶融する。これにより、PLZTからなる溶融粒子小滴が、プラズマ流内において混合される。PLZT粒子の溶融に加えて、さらに粒子をなすPLZT自体の部分的蒸発と、粒子をなすPLZT内におけるすべての不純物の部分的な蒸発との一方または双方が引き起こされる。また、粒子内に閉じ込められた不純物は、溶融ステップ時には表面張力の影響によって、粒子の表面へと到達する。
そして、プラズマ流との混合の結果として形成された溶融粒子小滴に対して冷たいガス流を流入する事により、クエンチ領域において溶融粒子を急速に冷却し、これにより、精製済み材料からなる溶融粒子小滴が、凝固して球状化焼鈍され、ナノサイズのエアロゾルの形態とされた輸送蒸気が凝集する。凝集物は、プラズマ反応チャンバのすべての利用可能な表面上にも、および、輸送される凝固粒子小滴の表面にも、成膜する。
そこで、凝固した粒子小滴から煤塵状のPLZTナノ粉末粒子を分離し得るよう、したがって、精製を行い得るよう、PLZT粉末粒子と煤塵PLZT粉末粒子とからなる得られた混合物に対して、音響媒体内において強力な超音波振動を印加する。音響媒体の容積に応じてまたパワー導入レベルに応じて、音響処理の必要な強度は、100W〜数kWとすることができる。分離は、強力なコヒーレント振動に応答して設定された複数の定在波からなるファラデー波パターンによって得られる。ファラデー波パターンは、当業者には周知であるので、これ以上の説明を省略する。
これを実行するに際して使用し得る超音波アセンブリ20の一例が、図3に示されている。このアセンブリ20は、小さな水冷されたガラスビーカー22を備えている。このガラスビーカー22は、材料粉末粒子と煤塵材料粉末粒子との混合物が充填されており、適切な音響処理液体としての水の懸濁液(図3において符号24によって全体的に示されている)として充填されている。
アセンブリ20は、さらに、超音波生成プローブ26を備えている。超音波生成プローブ26の先端28が、懸濁液24内へと含浸され、粉末に対して強力な振動を印加し、比較的大きな精製済み粉末粒子あるいは部分蒸発粉末粒子の表面から、ナノサイズの「煤塵」粒子の離脱を引き起こす。
当然のことながら、他のタイプの容器を使用することによって、懸濁液24を運ぶことができる。図2に、プラズマを起こし、ナノ粒子と非ナノ粒子の混合物を得るための装置の一例を示すが、これに限られることはない。図2の装置で混合物を得た後、図3の装置で、混合物からナノ粒子を超音波で抽出することができる。音響媒体は、既に、プラズマ反応チャンバ10のプラズマ処理収集チャンバ内に設けることができる。また、アセンブリ20は、煤塵状ナノサイズ粒子と凝固粒子小滴とからなる混合物に対して超音波を印加し得るような他の任意の様々な形態とすることができる。
超音波生成プローブが当業者に周知であることにより、ここではさらなる説明を省略する。
次の工程においては、音響媒体から精製済み材料粉末粒子を回収する。
本工程においては、まず最初に、2つの粒子種類(分離された粉末と、ナノサイズの煤塵)の分離を行う。この分離は、通常の重力下における湿式の分級処理あるいは差分的体積によって、あるいは、重力の数倍という大きさの強力な遠心分離によって、行う。その後、分離された粉末および/ またはナノサイズの煤塵を、濾過を行いその後に蒸発乾燥操作を行うことにより、さらに必要であれば真空パッキング操作を行うことにより、音響媒体である水から回収する。
このようにして、例えば、平均粒径が0.03μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粉末を得ることが可能となる。
そして、このようにして得られたPLZTのナノ粉末を酸化鉛雰囲気焼成法により焼成する。具体的には、先ず、PLZTのナノ粉末を金型を用いて一定圧力をかけてプレス成形し、成形体を得る。この成形体を高純度アルミナと高純度マグネシアを組み合わせて使用したルツボの中に入れ焼成する。その際、雰囲気粉のPbZrO3を、ルツボの間に一定量充填し、酸素ガスを所定の割合で流入しながら約1200℃で所定時間(例えば、24時間以上)焼成する。
以上の工程により、本発明のPLZT透明セラミックスを得ることができる。
次に、上述の方法に従って製造されたPLZT透明セラミックスを用いた光コンポーネントの一例について述べる。
図4は、本実施の形態の光学素子ユニットを含む光コンポーネント100の構成を概略的に示す図である。図4(a)は光コンポーネントを側面から見た断面図であり、図4(b)は光コンポーネントを上面図から見た断面図である。
本実施形態の光コンポーネントは、光デバイスとして光可変減衰器に用いられ、入力用の光ファイバ11と出力用の光ファイバ12に接続されて用いられるタイプであって、且つ、反射型のものであるが、本発明はこれに限られず、光スイッチに用いられる光コンポーネントや、透過型など他の態様も含むものである。
本実施形態の光コンポーネント100は、入力用の光ファイバ11及び出力用の光ファイバ12が接続・固定される接続部である2芯フェルール2を有する。
また、本実施形態の光コンポーネント100において、図4に示すように、入力ファイバ11及び出力ファイバ12の接続部である2芯フェルール2側から順に、コリメートレンズ3、集光レンズであるシリンドリカルレンズ4、偏光分離素子である複屈折性結晶5、光学特性を可変する偏光可変素子30、及び、集光性反射素子8が配置されている。尚、偏光可変素子30は、上述の方法によって製造されたPLZT透明セラミックス7及び1対の電極6を有している。
本実施形態のコリメートレンズ3は、プラスチック製のコリメートレンズ3であり、焦点距離6mmの非球面レンズである。また、入力ファイバ11の入力位置と出力ファイバ12の出力位置が、コリメートレンズ3の焦点位置付近である。
また、本実施形態の集光レンズであるシリンドリカルレンズ4は、プラスチック製の円柱を半分に切った形状のレンズである。本実施形態において、シリンドリカルレンズ4の集光点がPLZT透明セラミックス7の光軸方向の長さのほぼ中間で集光するようにPLZT透明セラミックス7が配置されており、シリンドリカルレンズ4の集光位置と、集光性反射素子8の集光位置とは一致している。したがって、反射光は再びシリンドリカルレンズ4を透過後、平行光となる。
また、本実施形態の偏光分離素子である複屈折性結晶5は、楔形状のルチルである。
また、偏光可変素子30は、1対の電極6に挟まれた直方体形状のPLZT透明セラミックス7からなる。PLZT透明セラミックス7の光束入射面には光束の反射を防止するARコートが設けられている。本実施形態のPLZT透明セラミックス7は、(Pb1-x、Lax)(Zry、Tiz1-x/4O3で表記され、(x、y、z)=(9、65、35)の組成を有している。
集光性反射素子8は、シリンドリカルレンズ形状の光学素子部と光学素子部の曲面に形成された集光性の反射膜とを有し、本実施例においてはPLZT透明セラミックス7に密着している。従って、本実施形態の集光性反射素子8は線集光するタイプである。本実施形態において、光学素子部はポリオレフィン系の光学プラスチックで形成されており、反射膜として、光学素子部の凸レンズ面に蒸着により反射率が高いHRコートを設けている。
本実施形態において、集光性反射素子8の反射面のシリンドリカル曲率半径は0.5mmである。また、PLZT透明セラミックス7の光束入射面から集光性反射素子の反射面までの長さLは1mm、対向する電極6間の距離dは50μm、幅Wを2mmとしている。
本実施形態において、集光性反射素子8の集光位置は、PLZT透明セラミックス7のちょうど光路長中心となるように構成されている。
ここで、図4、図5、図6を用いて、光コンポーネント100における、入力ファイバ11から出力ファイバ12に至る光路および透過光強度可変の原理について説明する。入力ファイバ11から接続部2を介して光コンポーネント100に入力された光束は、先ず、コリメートレンズ3によって平行光に変換される。当該平行光は、シリンドリカルレンズ4によってY方向のみに集光される。シリンドリカルレンズ4から出力された光束は、ARコーティングが施された光束入力面から複屈折結晶5に入射する。複屈折結晶5において光束は、y方向に振動する直線偏光(常光)と、x方向に振動する直線偏光(異常光)に偏光分離される。偏光分離された2本の常光の光束と異常光の光束は共に、偏光可変素子30のPLZT透明セラミックス7に、ARコーティングが施された光束入力面から入射する。
PLZT透明セラミックス7に電極6を介して電圧を印加していない場合は、図5に示すように、PLZT透明セラミックス7は複屈折性を持たないため、入出力光の偏光状態は変化しない。従って、常光と異常光は、PLZT透明セラミックス7を透過後も、それぞれ常光と異常光のまま、集光性反射素子8によって反射され、PLZT透明セラミックス7を通って再び複屈折性結晶5に入射する。複屈折結晶5において、常光は、常光屈折を受け、出力ファイバ12とは異なる方向へと向かう。一方、異常光も、異常光屈折を受け、出力ファイバ12とは異なる方向へ向かう。従って、本実施形態においては、PLZT透明セラミックス7に電圧を印加しない場合は、出力ファイバ12から光束が出力されない事になる。
一方、PLZT透明セラミックス7に電極6を介して電圧を印加する場合は、図6に示すように、電圧の印加によってPLZT透明セラミックス7が複屈折性を有するため、入出力光の偏光状態が変化する。異常光は、PLZT透明セラミックス7を透過後に、偏光面がπ/4回転させられ、その後、集光性反射素子8によって反射され、再度、PLZT透明セラミックス7を通過し、更に偏光面がπ/4回転させられ、常光となって複屈折性結晶5に入射する。複屈折結晶5において、異常光から常光に偏光状態を変化された光束は、常光屈折を受け、出力ファイバ12の方向へと向かう。また、常光は、PLZT透明セラミックス7を透過後に、偏光面がπ/4回転させられ、その後、集光性反射素子8によって反射され、再度、PLZT透明セラミックス7を通過し、更に偏光面がπ/4回転させられ、異常光となって複屈折性結晶5に入射する。複屈折結晶5において、常光から異常光に偏光状態を変化された光束は、異常光屈折を受け、出力ファイバ12の方向へと向かう。従って、本実施形態においては、PLZT透明セラミックス7に電圧を印加した場合は、損失なく出力ファイバ12から光束が出力される事になる。
本実施形態において、反射素子として集光性反射素子8を用いているため、より少ない電圧で上述の偏光状態の可変が可能となる。
また、本実施形態において、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたPLZT透明セラミックス7を用いているため印加電圧と偏光状態の変化との間に高い線形性を得ることができる。
尚、上述の実施形態は、偏光可変素子に電圧を印加した際に光束が出力ファイバから出力され、偏光可変素子に電圧を印加しない場合は、光束は出力ファイバから出力されない例を挙げているが、逆のタイプ、即ち、偏光可変素子に電圧を印加した際に光束が出力ファイバから出力されず、偏光可変素子に電圧を印加しない場合に、光束は出力ファイバから出力される光コンポーネントにも本発明を適用可能である。
以下の表1に、本発明のPLZT透明セラミックスと、本発明外のPLZT透明セラミックスの例を示す。
以下の表2に、上記サンプルの効果の比較を示す。
尚、表2における性能安定性は、10個のPLZT透明セラミックスについて必要な印加電圧を測定する際に、その印加電圧の最大値と最小値の差が、平均必要印加電圧の10%未満であって、且つ、環境温度が±30℃、環境湿度が10%〜60%の間で変化した場合であっても、必要印加電圧の変化幅が10%以下である場合を◎、10個のPLZT透明セラミックスについて必要な印加電圧を測定する際に、その印加電圧の最大値と最小値の差が、平均必要印加電圧の10%以上、20%未満であって、且つ、環境温度が±30℃、環境湿度が10%〜60%の間で変化した場合の必要印加電圧の変化幅が10%以上、20%未満である場合を△、10個のPLZT透明セラミックスについて必要な印加電圧を測定する際に、その印加電圧の最大値と最小値の差が、平均必要印加電圧の20%以上であるか、または、環境温度が±30℃、環境湿度が10%〜60%の間で変化した場合の必要印加電圧の変化幅が20%以上である場合を×としている。
また、透過率は、633nmのレーザー光束の透過率が、80%以上である場合を◎、60%以上、80%未満である場合を△、60%未満である場合を×としている。
また、特性は、印加電圧の大きさと偏光状態に略線形性が見られる場合を◎とし、線形性が見られない場合を×としている。
表2の結果から、本発明のPLZT透明セラミックスは、良好な生産安定性を得ることができ、環境の温度変化、湿度変化に対しても安定している性能を得ることができ、また、高い透過率を保持し、さらには、印加電圧と偏光状態の関係において略線形性を得られるという優れた特性を有することがわかる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲における変形による実施は可能である。
本発明に係る光コンポーネントの一部の概略斜視図である。 プラズマ反応チャンバを概略的に示す図である。 音響処理アセンブリを概略的に示す図である。 本発明に係る光デバイスの一例の側面及び上面の概略断面図である。 本発明に係る光コンポーネントに電圧を印加しない場合の光路および原理を示す説明図である。 本発明に係る光コンポーネントに電圧を印加する場合の光路および原理を示す説明図である。 本発明に係るPLZT透明セラミックスの一例の形状を示す斜視図である。
符号の説明
11 入力ファイバ
12 出力ファイバ
100 光コンポーネント
2 2芯フェルール
3 コリメートレンズ
4 シリンドリカルレンズ
5 複屈折性結晶
30 光学素子ユニット
7 PLZT透明セラミックス
6 電極
8 集光性反射素子

Claims (14)

  1. 平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とするPLZT透明セラミックス。
  2. 前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のPLZT透明セラミックス。
  3. 前記PLZTのナノ粒子を主体的に含有する前記PLZT粉末は、PLZTをプラズマ処理することにより得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のPLZT透明セラミックス。
  4. PLZT透明セラミックスを製造する方法において、PLZT粉末を得る工程と、前記PLZT粉末を所定形状に成形し、焼成することによりPLZT透明セラミックスを得る工程とを有し、前記PLZT粉末は、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有することを特徴とするPLZT透明セラミックスの製造方法。
  5. 前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする請求項4に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法。
  6. 前記PLZT粉末を得る工程において、PLZTをプラズマ処理することにより、前記PLZTのナノ粒子を主体的に含有する前記PLZT粉末を得ることを特徴とする請求項4又は5に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法。
  7. 前記プラズマ処理は、前記PLZTの粒子の少なくとも一部をプラズマ流によって加熱して蒸発させ、前記プラズマ流内において、前記部分的に蒸発した粒子と前記PLZTの粒子とを混合して含有する蒸気相を得る工程と、前記プラズマ流内において、前記蒸気相を冷却し、前記PLZTのナノ粒子と粗い粒子とからなる混合物を形成する工程と、前記混合物から前記ナノ粒子と前記粗い粒子とを分離させることにより、PLZTのナノ粒子を得る工程とを含むものであることを特徴とする請求項6に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法。
  8. 前記混合物を音響処理媒体内において超音波振動に曝して前記分離を行う工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のPLZT透明セラミックスの製造方法。
  9. 電圧が印加された場合は入射した光束の偏光状態を変化させ、電圧が印加されない場合は入射した光束の偏光状態を変化させない偏光可変素子であって、前記偏光可変素子は、前記電圧を印加するための二つの電極と、前記二つの電極の間に配置されたPLZT透明セラミックスとを有し、前記PLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とするPLZT偏光可変素子。
  10. 前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする請求項9に記載のPLZT偏光可変素子。
  11. 入力された光束の光強度と出力される光束の光強度を異ならせるために用いられる光コンポーネントであって、
    前記光コンポーネントに入力された光束を常光と異常光に偏光分離する偏光分離素子と、
    電圧が印加された場合は入射した光束の偏光状態を変化させ、電圧が印加されない場合は入射した光束の偏光状態を変化させない偏光可変素子とを有し、
    前記偏光分離素子において分離された偏光が前記偏光可変素子に入射し、前記偏光可変素子は、前記印加される電圧に応じて、前記偏光の偏光状態を変化させ、又は、変化させず、
    前記偏光は、前記偏光の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力され、前記偏光の偏光状態が他の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力されず、
    前記偏光可変素子は、前記電圧を印加するための二つの電極と、前記二つの電極の間に配置されたPLZT透明セラミックスとを有し、
    前記PLZT透明セラミックスは、平均粒径が0.3μm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するPLZT粉末を焼結して得られたものであることを特徴とする光コンポーネント。
  12. 前記PLZT粉末は、平均粒径が30nm以下であり、変動係数が0.3以下であるPLZTのナノ粒子を主体的に含有するものであることを特徴とする請求項11に記載の光コンポーネント。
  13. 前記光コンポーネントは反射素子を有し、
    前記偏光分離素子において分離された偏光が前記偏光可変素子に入射し、
    前記偏光可変素子に入射した前記偏光は、前記反射素子によって反射され、
    前記反射素子によって反射された前記偏光は、前記偏光可変素子、前記偏光分離素子を再び通過し、
    前記偏光は、前記偏光の偏光状態が所定の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力され、前記偏光の偏光状態が他の偏光状態である場合は、前記光コンポーネントから出力されないことを特徴とする請求項11又は12に記載の光コンポーネント。
  14. 請求項11乃至13のいずれか1項に記載の光コンポーネントを含むことを特徴とする光デバイス。
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