JP2009540849A - 乳癌におけるesr1の増幅の検出 - Google Patents

乳癌におけるesr1の増幅の検出 Download PDF

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Abstract

本発明は、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を抗エストロゲン治療に応答性があるものとして同定するインビトロ方法に関する。さらに、本発明は、増殖性乳房疾患を有する候補患者を抗エストロゲン治療に適するものとして同定するインビトロ方法に関する。本発明は、さらなる態様では、乳癌を発症するリスクがある非癌性増殖性乳房疾患を有する個体を同定するインビトロ方法を提供する。本発明は、上記方法を行うためのキットも提供する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を抗エストロゲン治療に対する応答性として同定するインビトロ方法に関する。さらに、本発明は、増殖性乳房疾患を有する候補患者を抗エストロゲン治療にとって適切なものとして同定するインビトロ方法に関する。本発明は、さらなる態様では、乳癌を発症するリスクがある非癌性増殖性乳房疾患を有する個体を同定するインビトロ方法を提供する。本発明は、上記方法を実施するためのキットも提供する。
乳癌は、女性における主要な悪性腫瘍であり、西欧諸国では年間350,000例を超える死亡の主因である。分子レベルでは、乳癌の約20%がHER2成長因子受容体をコードする遺伝子の増幅として特徴づけられている(ポーレット G.(Pauletti G)ら(1996年)、Oncogene、13:63−72頁)。HER2遺伝子の増幅により、受容体タンパク質の強力な過剰発現が生じ、そこで腫瘍細胞に成長の上での利点がもたらされる。HER2タンパク質を標的にするモノクローナル抗体のハーセプチンは、転移性乳癌であっても患者生存率を改善し、新たに遺伝子特異的な薬剤をもたらす可能性に向けてのパラダイムと見なされている(ペグラム M.D.(Pegram M.D.)ら(2004年)、J Natl Cancer Inst、96:759−769頁)。
ゲノムDNAの増幅は、例えば通常では成長速度を制限すると思われる遺伝子の高レベルの過剰発現により腫瘍細胞の成長を促進しようとする選択プロセスの結果である。したがって、増幅遺伝子は、腫瘍細胞にとって極めて重要なものでありかつ新規の遺伝子に特異的な治療にとって特に興味深い標的となる可能性が高い。乳癌においては、30を超える増幅領域が従来の比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)によって検出されており、例えば、オコネル(O’Connell)ら、(2003年)、Breast Cancer Res Treat、78:347−357頁を参照のこと。極めて多数の重要な腫瘍遺伝子がこれらのアンプリコンの内部で同定されており、例えば染色体8q24でのCMYC、7p21でのEGFR、または11q13でのCCND1が挙げられる。しかし、乳房悪性腫瘍において増幅を受ける遺伝子の大多数がいまだ同定されていないことが想定される。したがって、他の増幅遺伝子がこれらの疾患の診断、予後の評価および治療において用いられうるという望みがある。
驚くべきことに、本発明の範囲内で、6q25.1に位置しかつエストロゲン受容体のαアイソフォームをコードするESR1遺伝子の増幅が乳癌において検出可能な最もよく見られる遺伝子増幅であることが見出されている。発明者により実施された実験では、ESR1遺伝子の増幅が試験対象の腫瘍の31%において観察された。さらにより重要なことには、本発明は、ESR1遺伝子の増幅が、腫瘍、例えば乳癌における例えばタモキシフェンの投与による抗エストロゲン治療に対する感受性の促進に相関するという証拠を提供する。結果として、ESR1増幅の検出は有意な臨床的妥当性を有し、かつ、診断および予後の評価において、および乳癌などの増殖性乳房疾患を患う特定の患者の場合に用いられるべき特定の治療プロトコルについて決定するためのツールとしても用いられうる。
エストロゲン受容体およびその乳癌との関連性を扱った出版物が極めて多数あることからすると、乳癌におけるESR1の増幅についての同定がこれまでなされていない点は驚くべきことである。ここ10年にわたり従来の分裂中期のCGHによって分析された数百の乳癌試料中での6q25.1アンプリコンの検出が不可能であることは、一般に小さいサイズのアンプリコンが従来のCGHの分解能を無理に適用していることを支持する議論である。多くの場合、アレイハイブリダイゼーション実験における実験ノイズが大きいことから、単一のスポットピークが見られることが多く、不自然な結果を真の増幅事象から識別することは困難である。これらの欠点を克服するため、本発明の実験では特に小規模の単一の遺伝子増幅が注目された。ESR1遺伝子に特異的なプローブを用いる蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより、CGHアッセイにおいて先行的に見られた推定上のESR1の増幅事象が確認された。
矢印で示されるESR1遺伝子の増幅を示すCGH実験から得られたプロットを示す。 図2Aに、ESR1のコピー数の変化と乳癌表現型の関連性を示す表を示す。図2Bに、タモキシフェン単独療法を受けた乳癌患者における潜在的な予後因子の腫瘍に特異的な生存への寄与を示す(多変量COX回帰モデル)。 ERタンパク質の発現とESR1の増幅との間の関係を示す。 タモキシフェン単独療法を受けた患者におけるESR1の増幅および発現の予後に対する効果を図示する。a)オールレッドに従って陰性(スコア0〜2)および陽性(スコア3〜8)に分類された免疫組織化学的結果;b)スコアによる免疫組織化学的結果。
エストロゲンはステロイドホルモン群に属する。女性における3種の主な天然エストロゲンは、エストラジオール、エストリオールおよびエストロンである。思春期から閉経期にかけて、主に卵巣内でエストロゲンの産生が生じる。閉経後、卵巣がもはやエストロゲンを産生しなくなると、体脂肪がこれらのホルモンに対する主要な供給源である。エストロゲンは、他のステロイドホルモンのように、シグナル伝達分子として作用し、エストロゲン調節に対する標的である組織の細胞内に存在するエストロゲン受容体に結合することによってその機能を発揮する。エストロゲン受容体αアイソフォーム(またはER−α)およびエストロゲン受容体βアイソフォーム(ER−β)と称される2つの異なるヒトエストロゲン受容体が存在する。アイソフォームは、ESR1およびESR2という異なる遺伝子により各々コードされ、異なる染色体位置に見出されるものであり、かつ、極めて多数のmRNAスプライス変異体が疾患および正常の両組織内の両受容体に対して存在する(例えば、デルー(Deroo)およびコラッハ(Korach)(2006年)、Journal of Clinical Investigation 116:561−570頁を参照)。
あらゆるステロイド受容体のように、エストロゲン受容体(すなわちαおよびβアイソフォーム)は、転写活性化、DNA結合、核局在化、リガンド結合、および二量体化を担うタンパク質の別々の領域(ドメイン)を有するモジュール構造を示す(ピータース(Peters)およびカン(Khan)(2003年)、Mol Endocrin 13(2):286−296頁を参照)。ER−αおよびER−βは、リガンド結合(AF−2)およびDNA−結合ドメインにおいて高い相同性を共有するが、活性化機能(AF−1)ドメインにおいて異なる。AF−1ドメインの比較により、エストロゲン応答要素に対する活性がER−βよりもER−αにおいてはるかに強力であることが示唆される(コウレイ S.M.(Cowley S.M.)ら(1999年)、J Steroid Biochem Mol Biol 69:165−175頁)。ER−βの機能および臨床的重要性については比較的ほとんど知られていないが、ER−βがER−αの機能に拮抗しかつエストロゲン刺激性の増殖の低下をもたらすと一般に考えられている(オモト Y.(Omoto Y.)ら(2003年)、Oncogene 22:5011−5020頁)。
ヒトエストロゲン受容体αは、ヒト染色体6の6q25.1にマッピングされるESR1遺伝子によりコードされる。配列番号1のヌクレオチド配列は、コード配列の上流(配列の5’末端)に位置する約1Mbの配列およびコード配列の下流(配列の3’末端)に位置する約1.38Mbの配列を併せたヌクレオチド1048135〜1343855によって定義されるESR1コード配列を示す。本明細書で用いられる「ESR1遺伝子」および「ESR1コード配列」という用語は同義的に用いられ、(エクソンおよびイントロンを有する)ゲノム配列を示し、それは転写およびスプライシングにより、このDNA実体に関連しうると思われるプロモーターおよびエンハンサー構造を有しない配列番号2で示されるmRNAになる。ESR1遺伝子配列はまた、NCBI GenBank番号NT_025741.14の下で利用可能であり、構築されたヒト6番染色体のヌクレオチド配列が得られる。「Human Genome Build36」と称される配列部分においては、ESR1遺伝子はヌクレオチド152170379〜152466099を網羅する。ESR1遺伝子は、転写後にスプライスアウトされたいくつかのイントロンを含む。スプライスされたESR1 mRNA配列のヌクレオチド配列は配列番号2で示され、NCBI GenBank番号NM_000125の下で利用可能である。エストロゲン受容体αタンパク質の対応するアミノ酸配列は配列番号3で示され、これもNCBI GenBank番号NM_000125の下で利用可能である。ESR1遺伝子には極めて多数の対立遺伝子変異体が存在し、例えば、モデュグノ(Modugno)ら、2001年、Clin Cancer Res.7(10):309頁またはマンスー・アデ(Mansur Ade)ら、2005年、Arch Med Res.36(5):511頁を参照のこと。
エストロゲン受容体(αもしくはβアイソフォーム)は通常、標的細胞の核内に位置する。ステロイドホルモン作用の許容されたモデルによると、エストロゲン受容体はホルモンの不在下で不活性状態にある。エストロゲンが核内に入ると、エストロゲン受容体はエストロゲンに結合する。エストロゲンが結合すると、受容体は二量体を形成し、次いでエストロゲン応答要素のDNA配列に、エストロゲン応答性遺伝子のプロモーター領域内の活性化因子タンパク質1(AP1)またはSP1部位とのタンパク質−タンパク質相互作用を通じて直接的または間接的に結合する。この結合の結果、プロモーターに対して共同調節タンパク質(co−regulatory protein))(コアクチベーターまたはコリプレッサー)が動員され、それにより遺伝子発現が増大または低下する。改変された遺伝子発現は、関与する組織タイプに依存し、異なる方法で細胞挙動に作用しうる。健常女性における一部の標的組織内、例えば乳房組織内でのエストロゲンの主な効果は、細胞増殖を誘発することである。例えばエストロゲンは、乳汁の産生を準備するため、乳腺に並ぶ細胞の増殖を引き起こす。2つのαユニットまたは2つのβユニットからなるホモ二量体受容体以外に、混合された二量体も発生しうる。異なる組織が異なる割合で2つのアイソフォームを発現することから、エストロゲンによる刺激に対して異なる応答性を有する。
乳腺細胞の増殖を促進する能力は、エストロゲン分子の正常な機能に含まれるが、乳癌を発症するリスクの増大にも関連している(ローソン J.S.(Lawson J.S.)ら(1999年)、Lancet 354:1787−1788頁)。一旦、浸潤癌の乳腺細胞が形成されると、これらの癌細胞の増殖を引き起こすシグナル分子を有することは非常に望ましくない。結果として、所与の患者の乳癌細胞がエストロゲン受容体を発現するか否かを判定するため、エストロゲン受容体のαアイソフォームの発現の免疫組織化学的検出が定期的に行われる(アンダーセン J.(Andersen J.)およびポールセン H.S.(Poulsen H.S.)(1989年)、Cancer、64:1901−1908頁)。
3分の2を超える乳癌が診断時にエストロゲン受容体のαアイソフォームの発現を呈することが示されている(スティーラー M.(Stierer M.)ら(1993年)、Ann Surg、218:13−21頁)。これらの癌は、一般にエストロゲン受容体陽性すなわちER陽性と称される。残りの乳癌の症例では、細胞内で検出可能なエストロゲン受容体のαタンパク質は全く存在しない。これらの癌は、エストロゲン受容体陰性すなわちER陰性である。ER陽性の乳癌は現在、特にいわゆる選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)および/またはアロマターゼ阻害剤を用いる抗エストロゲン療法により治療される。例えば、タモキシフェンのようなエストロゲン拮抗物質は、ER陽性の乳癌を有する患者に対し、通常は腫瘍の外科的除去後に適用されることが多い。
今では本発明に記載の方法を用い、増殖性乳房疾患、例えば乳癌を患うER陽性患者の群内のサブグループを同定することが可能であり、ここでそれは抗エストロゲン治療に対して特定の優れた応答性を示す。ESR1遺伝子のゲノムレベルでの増幅を呈する乳癌患者の腫瘍は、タモキシフェンを用いる抗エストロゲン治療に対して明らかに促進された応答性を示すことが明示されうる。図4に示されるように、これらの患者の全生存率がESR1の増幅を示さない腫瘍を有する患者の場合と比べて有意に増加する。これらの患者は、例えばタモキシフェンを用いる抗エストロゲン療法に特に適するものとして分類される。この発見は、ホルモン依存性の成長の機序が乳癌に匹敵する場合の前立腺癌においては、アンドロゲン受容体をコードする遺伝子の増幅により抗ホルモン療法に対して耐性がもたらされることから想定外であった(パームバーグ C.(Palmberg C.)(2000年)、J Urol、164頁:1992−1995年)。したがって、本発明の方法は、ESR1遺伝子が増幅されるという証拠に基づいた、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍の抗エストロゲン治療に対する応答性の予測を可能にする。かかる情報は、腫瘍の性質および分子特性により適合した適切な治療レジメンを設計するのに有用でありうる。例えば、腫瘍が特に抗エストロゲン治療、例えばタモキシフェンの投与に対して応答性を示す場合、患者は、同時化学療法を適用する必要なく抗エストロゲン単独療法を受けることができる。あるいは、化学療法が依然として治療の一部である場合、同じ治療結果を維持しつつ、化学療法剤の用量を低下させることが可能でありうる。
ESR1遺伝子の増幅は、通常、ヒト染色体上でESR1遺伝子の枠となるゲノム配列部分の共増幅に関連している。本発明では、直接的にはESR1配列の増幅を検出しかつ間接的にはESR1遺伝子を含むヌクレオチド配列の増幅を検出することにより、ESR1遺伝子の増幅事象を見出すことが可能であることが示されている。したがって、本発明の第1の態様によると、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして同定するインビトロ方法が提供される。本方法は、
a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
b)配列番号1のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅される場合、前記腫瘍を抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして分類するステップと、
を含む。
本発明の第2の態様によると、
増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する候補患者を抗エストロゲン治療に適するものとして同定するインビトロ方法が提供される。本方法は、
a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
b)配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅される場合、前記患者を抗エストロゲン治療に適するものとして分類するステップと、
を含む。
したがって、本発明は、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍、例えば乳癌を患う患者を治療するための方法であって、上記の検出ステップa)と、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅される場合、患者に抗エストロゲン治療を施すステップと、を含む、方法も提供する。本発明は、最初に、ESR1の増幅が乳癌だけでなく良性増殖性乳房疾患の大部分、例えば導管過形成または管内乳頭腫においても検出可能であることを示す。癌を発症させるリスクの増大に関連した非悪性乳房病変におけるいくつかの遺伝子改変が報告されている。例えば、BRCA1およびBRCA2遺伝子の突然変異を有する女性が80%を超える乳癌および60%に迫る卵巣癌の生涯リスクを有する(ランカスター(Lancaster)ら(1997年)、Medscape Womens Health 2(2):7頁)。したがって、タモキシフェン治療、予防的両側卵巣摘除術、または予防的対側乳房切除術を含む予防的方法が平均寿命を延ばすことが示されている(シュラグ(Schrag)ら(2000年)、JAMA283(5):617頁)。
突然変異のような遺伝子増幅は遺伝子改変に相当する。しかし、これまで非癌性増殖性乳房疾患における遺伝子増幅は全く明らかにされていない。一般に、増幅は、mRNAおよびそれから生じるタンパク質を大量に過剰発現することによって遺伝子活性を調節する。正常な乳房上皮組織内では、エストロゲン受容体のαアイソフォームの機能は、上皮細胞の増殖を促進するシグナルの受信および伝達にある。本発明では、ESR1の増幅が非癌性および癌性の増殖性乳房疾患における細胞増殖に対して同様の効果を有することが見出された。増殖速度の増加により、追加の遺伝子改変を得るリスクとそれに続く乳癌を発症するリスクが増大する。したがって、ESR1の増幅は、悪性の形質転換における可能性が増大した非癌性増殖性乳房疾患を示しうる。ESR1の増幅状態分析は、導管過形成、管内乳頭腫または他の本明細書中に記載の非癌性増殖性乳房疾患を有する患者における予後マーカーとして役立ちうる。
したがって、さらなる態様によると、本発明は、乳癌を発症するリスクがある、非癌性増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する個体を同定するインビトロ方法を提供する。本方法は、
a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
b)配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅される場合、前記個体を乳癌の発症リスクがあるものとして分類するステップと、
を含む。
本発明に記載の方法は、乳房細胞および/または乳房組織を含む試料を用いるインビトロ方法である。細胞および組織は、特に乳房の腫瘍由来の関連の乳房領域から得られる。組織試料の供給源は、例えば新しい、凍結されおよび/または保存された組織試料、生検または吸引から得られる固形組織でありうる。好ましくは、試料は乳房生検から得られる。乳房生検は、さらなる分子および/または組織学的検査のために乳房細胞または乳房組織を取り出すことを含む。例えば、通常は乳房生検試料を用い、癌細胞が患者の乳房内に存在するか否かが測定される。これまで、生検およびその後の病理学的分析は、例えば乳癌を確認するための唯一の確定的方法である。それに対し、本発明の方法は血液試料を用いても実施可能であることが期待される。このため、腫瘍細胞が末梢血から単離され、増幅検出が施される。血液から腫瘍細胞を単離するための方法は、濾過法(ボナ(Vona)ら(2000年) Am J Pathol 156:57頁に記載の「Isolation by size of epithelial tumor cells(ISET)」)または免疫磁気(ブラント(Brandt)ら(1998年)、Int J Cancer 76:824頁)またはフローサイトメトリーのアプローチ(ウォン(Wong)ら(1995年)、Br J Surg 82:1333頁)を含む。さらに、本発明の方法は、骨髄から得られる細胞を用いても実施可能である。
先行技術では、乳房生検の異なる方法、例えば、開放切除生検(open excisional biopsy)、針生検(細針生検または太針(core needle)生検など)、または真空補助による生検が既知である。これらの生検方法は当該技術分野で周知であり、極めて多数の出版物および標準教科書に記載されている(例えば、「Diagnostik,Therapie und Nachsorge des Mammakarzinoms der Frau」、インターディスジップリナーレ・ライトリニエ・デア・ドイチェン・クレブスゲゼルシャフト(Interdisziplinaere Leitlinie der Deutschen Krebsgesellschaft)、2004年6月発刊を参照)。例えば、開放切除生検(開放生検とも称される)は、腫瘍またはしこり(lump)が患者の乳房から部分的または完全に除去され、かつさらなる検査が行われ、例えば悪性腫瘍についての試験が行われるといった外科的処置である。開放生検は、局所麻酔下または全身麻酔下で実施可能である。手術に先立ち、放射線科医が最初にワイヤーで関連の領域に印を付けることが多く、それにより外科医が位置を見出すことが可能になる。
細針生検は、体液および/または小細胞集団が細かいゲージの針(通常は20〜25ゲージ)を具備するシリンジの使用により除去されるという経皮的方法である。比較によると、太針生検で用いられる針は、乳房組織のより大きい部分が採取可能なようにやや大きめである(一般に16〜10ゲージ)。関連の乳房組織領域、例えば腫瘍が触診可能である場合、針生検が案内手段なしに行われうる。そうでなければ、コンピュータに基づく定位マンモグラフィまたは超音波画像の案内手段を用い、関連領域を同定可能である。典型的には、十分な量の乳房組織を得るため、2回以上、例えば3〜5回の別々の太針の挿入が行われる。
真空生検もまた針生検のように、異常であると思われる乳房組織への針の挿入に基づく侵襲性が最小の方法である。しかし、複数の試料を得るための複数回の針の挿入を含む太針の挿入と異なり、真空補助生検の間に用いられる特別の生検プローブが乳房に患者の乳房の皮膚内に設けられた小さい皮膚のニック(nick)を通して1回だけ挿入される。真空補助乳房生検システムは、関連技術分野における当業者にとって周知であり、様々な製造業者から入手可能である(例えば、Mammotome生検システムはドイツ国のエチコン・エンドサージェリー(Ethicon Endo−Surgery)から入手可能である)。
一般に、試験対象の試料は、増殖性乳房疾患を患う患者から得られる。増殖性乳房疾患は、異常でおよび/または無制限の細胞増殖を伴う乳房組織の任意の状態を示す。増殖性乳房疾患では、腫瘍、すなわち過剰な細胞分裂に起因しかつ全く有用でない身体機能を行う異常な細胞の集団が乳房内で形成される。腫瘍は良性腫瘍および悪性腫瘍において区別される。したがって、腫瘍形成をもたらす増殖性乳房疾患は良性または悪性疾患でありうる。
悪性腫瘍は一般に癌性であり、それは患者が乳癌を患うことを意味する。癌は、隣接組織に浸潤し破壊し、転移をもたらす可能性を有する。乳癌の主なタイプは、浸潤性導管癌、浸潤性小葉癌、乳頭状癌、粘液癌、髄様癌および管状癌である。癌の診断および分類は、当該技術分野で周知であり、極めて多数の出版物で考察されている(例えば、タヴァソッリ F.A.(Tavassoli F.A.)ら(2003年)、「World Health Organization:Tumours of the Breast and Female Genital Organs,WHO/IARC Classification of Tumours」を参照)。本発明の1つの特定の態様によると、腫瘍の形成をもたらす増殖性乳房疾患は乳癌である。
良性腫瘍は、隣接組織に浸潤することなくかつ転移を拡大することのないものとして特徴づけられる。通常、腫瘍組織の外科的除去後に良性腫瘍は再発することがない。本明細書で用いられる良性腫瘍は非癌性増殖性乳房疾患から生じる。かかる非侵襲性疾患は、後期ステージで癌性疾患をもたらすことが多いことで知られる前癌症状も含む。本発明のさらなる態様によると、増殖性乳房疾患は、導管過形成、好ましくは非定型導管過形成、乳頭腫、好ましくは導管乳頭腫、硬化性腺症、乳腺症、葉状腫瘍、線維腺腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、上皮内小葉癌(LCIS)、およびアポクリン化生からなる良性疾患の群から選択される。これらの症状は、医学の分野では既知であり、さらに標準教科書および極めて多数の出版物において詳述されている(例えば、タヴァソッリ F.A.(Tavassoli F.A.)ら(2003年)、「World Health Organization:Tumours of the Breast and Female Genital Organs,WHO/IARC Classification of Tumours」を参照)。
非浸潤性乳管癌(DCIS)は乳癌の初期形態であり、前癌性癌、管内癌または非侵襲性癌と称される場合もある。DCISにおいては、細胞増殖が乳管内部に生じており、細胞は乳房を通してまたは乳房外部に広がる能力を(まだ)発達させていない。DCISには、乳管内部の壊死細胞により特徴づけられるDCISのコメド型および管内部の腫瘍細胞の固形DCIS、篩状DCIS、および他のDCISへの成長パターンに従ってさらに分類された非コメド型を含む、極めて多数の異なるタイプが存在する(タヴァソッリ F.A.(Tavassoli F.A.)ら(2003年)、「World Health Organization:Tumours of the Breast and Female Genital Organs,WHO/IARC Classification of Tumours」)。通常、DCISが適切に治療されない場合、細胞は最終的には管から周囲の乳房組織に広がりかつ癌性状態になる能力を発達させうる。
上皮内小葉癌(LCIS)は、小葉細胞、すなわち管の末端に位置する乳房の後部にある乳汁を産生する腺の細胞の増殖を示す。LCISは、前悪性組織状態とも考えられ、かつ将来において乳癌を発症するリスクがやや増大することに関連している。DCISのように、LCISは、それがまだ周囲組織に広がっていないことを意味する非侵襲性の細胞増殖である。LCISのほとんどの場合、患者は決して浸潤癌を発症することがない。
乳腺症という用語は、乳房の増殖性疾患の様々なタイプを示す。WHO(1984年)により発表された定義によると、乳腺症は、乳房組織における増殖性および退行性の高い変化を伴う、上皮組織および結合組織の成長の間の不均衡により特徴づけられた乳房の線維嚢胞性疾患(FCD)である。
硬化性腺症(腺線維症、線維化性腺症(fibrosing adenosis)とも称される)は、余分な組織が乳房小葉内で成長するという良性症状である。それは乳房痛の原因であることが多い。通常、変化は微視的なものであるが、腺症はしこりをもたらし、マンモグラム上で石灰化として現れる可能性が高い。
過形成は、乳房の一部の内部での正常細胞のサイズおよび数における成長の促進により引き起こされる乳房の良性症状である。それは導管(導管過形成)または小葉(小葉過形成)において発生しうる。過形成は、非定型導管過形成または非定型小葉過形成として発生しうる。非定型導管過形成または非定型小葉過形成の診断は、細胞が異常なパターンを発生させていることを意味する(タヴァソッリ F.A.(Tavassoli F.A.)ら(2003年)、「World Health Organization:Tumours of the Breast and Female Genital Organs,WHO/IARC Classification of Tumours」を参照)。アポクリン化生は、線維嚢胞性疾患を有する患者において発生する乳房の良性症状である。
管内乳頭腫は、乳輪のすぐ後部にある導管内部に形成する良性のいぼ状のしこりである。管内乳頭腫は、両方の乳房内に同時に存在する可能性があり、乳房手術後に発見される場合がある。閉経期に達する女性が単一の管内乳頭腫を有する可能性が高い一方、より若年の女性は2つ以上有することが多い。乳頭腫症は、乳管内部の複数の乳頭病変を説明する。
良性の葉状腫瘍は、最も一般的には40〜50歳の月経閉止前の女性に見出される乳房のしこりのまれなタイプである。異常なものであるが、良性の葉状腫瘍は、除去された後に再発し、境界悪性または悪性形態に(まれに)発達しうる。
線維腺腫は女性乳房の最も一般的な良性腫瘍である。それは通常、結合組織、特に被嚢化された(encapsulated)腺組織からなる。それは任意の年齢で発生するが、より一般的には若年女性(十代の若者であることが多い)で発生し、癌と間違えられるものである。それは切除されても再発することが多い。
本発明によると、腫瘍細胞内のゲノム内に増幅されたESR1遺伝子を有する腫瘍を伴う増殖性乳房疾患を有する個体が特に例えばタモキシフェンの投与による抗エストロゲン治療に適することが見出された。これらの患者の腫瘍は、特に抗エストロゲン治療に応答性があることが示されている。本発明の目的のため、腫瘍または患者との関連での「応答性がある」とは、特定の適用された治療に対する有益な臨床反応が得られ、それにより前記腫瘍または前記患者について症状の改善が得られることを意味する。好ましくは、有益な臨床反応は、同じ治療が施された、ESR1の増幅を伴わない(例えば、ESR1遺伝子の増幅のないER陽性またはER陰性)患者の腫瘍と比べてより強力である。
腫瘍に関しては、有益な臨床反応が、(悪性腫瘍の場合に)腫瘍サイズの縮小、成長の遅行による腫瘍サイズの安定化および/または転移を拡大する傾向の低下を含みうる。好ましくは、抗エストロゲン治療に対して応答性がある腫瘍のサイズが、治療の間またはその後に縮小することになる。非癌性増殖性乳房疾患を有する特定の患者に関しては、臨床反応は乳癌を発症するリスクの低下も含みうる。乳癌を有する特定の患者に関しては、臨床反応は、疾患の進行の遅延または遅行、および特に患者の生存期間のいかなる治療も受けない場合の生存期間に対する延長も含みうる。上記の抗エストロゲン治療に対して応答性がある患者は、抗エストロゲン治療に適すると考えられる。
「抗エストロゲン治療」または「抗エストロゲン療法」は、エストロゲン(エストラジオール、エストリオールおよびエストロン、好ましくはエストラジオール17−β)とエストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体のαアイソフォームとの間の自然発生的な相互作用に干渉することを標的にする任意の手段を意味する。詳細には、抗エストロゲン治療または抗エストロゲン療法は、エストロゲン誘発性の反応、例えば細胞増殖に効果を発揮する、エストロゲン受容体のシグナル伝達機能の遮断をもたらす手段を含む。かかる手段は、例えば、エストロゲンのエストロゲン受容体、好ましくは受容体のαアイソフォームへの結合の競合的阻害により作用する活性物質または薬剤の投与を含む。これらの作用物質または薬剤は、治療有効量で投与される場合、エストロゲン受容体、好ましくは受容体のαアイソフォームに結合し、それによりエストロゲンのこの受容体への結合が遮断される。本発明によると、これらの化合物は「エストロゲン拮抗物質」と称される(下記参照)。他の現行の抗エストロゲン方法は、エストロゲン拮抗物質以外に、エストロゲン受容体、好ましくはαアイソフォームの、治療有効量の選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えばフルベストラント)の投与による不安定化および分解、あるいは治療有効量のアロマターゼ阻害剤(例えばアナストゾール、エキセメスタン)の投与によるエストロゲン合成の破壊を含む。
「治療有効量」という用語は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける疾患または障害を治療するのに有効な薬剤の量を示す。癌性または非癌性の増殖性乳房疾患の場合、治療有効量の薬剤は通常、腫瘍成長を阻害し(すなわちある程度遅行させ、好ましくは停止させ)、および/または腫瘍サイズを縮小させる。乳癌の場合、それは癌細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわちある程度遅行させ、好ましくは停止させ)、かつ腫瘍転移の発生を阻害する(すなわちある程度遅行させる、好ましくは停止させる)可能性がある。さらに、それは既存の乳癌細胞を殺滅しうる。治療有効量の薬剤はまた、増殖性乳房疾患、例えば乳癌に伴う徴候の1つもしくは複数を緩和させうる。治療においては、薬剤投与の有効性が、例えば疾患の進行までの時間(TTP)の評価および/または応答速度(RR)の測定により判定可能である。治療の有効性を判定するための方法は、特定の疾患に依存し、さらに当業者に周知である(ケロフ G.F.(Kelloff G.F.)ら(2005年) Eur J Cancer 41:491−501頁)。抗エストロゲン治療薬として投与される特定の作用物質における最適用量および治療レジメンは、数種類の抗エストロゲン薬における最先端技術において詳述されている。例えば、タモキシフェンについては、治療有効量は1〜数年、例えば2〜5年の期間で約10、20、30、40、50、60、70、80、90および100mg/日でありうる。5年の期間での60mg/日の用量が文献に報告されている(クン(Kung)ら(2003年)、J Clin Endocrinol Metab、88(7):3130頁)。
本発明の好ましい実施形態によると、上記方法に記載の抗エストロゲン治療はエストロゲン拮抗物質の投与を含む。本発明によると、「エストロゲン拮抗物質」という用語は、エストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体のαアイソフォームに(ホモ二量体またはヘテロ二量体形態のいずれかで)結合することにより、各作動物質(エストロゲン)の効果を阻害するかまたは実質的に低下させる化合物を示す。エストロゲン拮抗物質は競合的または非競合的拮抗物質でありうる。競合的エストロゲン拮抗物質は、エストロゲン受容体に対してエストロゲン(または他の作動物質)と競合する。競合的エストロゲン拮抗物質のエストロゲン受容体に対する結合により、作動物質のエストロゲンは受容体への結合から遮断される。かかる競合的エストロゲン拮抗物質における例としてタモキシフェンが挙げられる。比較では、非競合的拮抗物質は、他の手段によりエストロゲン受容体に拮抗する。例えば、トリロスタン(モドレナル、バイオエンビジョン(Bioenvision))は、ER−αおよびER−β受容体のAF−1ドメインにアロステリックであると推定される非競合的方法で結合する。AF−1ドメインは、(エストロゲン結合ではない)タンパク質−タンパク質相互作用に関与することから、トリロスタン結合は活性化における前提条件である受容体の二量体化の調節に寄与する(パドルフット J.R.(Puddlefoot J.R.)ら(2002年)、Int J Cancer 101:17−22頁)。競合的または非競合的エストロゲン拮抗物質は、付録にて提供されるプロトコルを含む、例えば国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)発行番号03−4504(2002年)に記載の一般のエストロゲン受容体結合アッセイにより見出されうる。
本発明の特に好ましい実施形態によると、エストロゲン拮抗物質は、タモキシフェン(例えばアストラゼネカ(Astra Zeneca)製のNovaldexとして、または他の製造業者製の、例えば、Jenoxifen、Kessar、Nourytam、Tamobeta、Tamofen、Tamokadin、Tamoxasta、Tamox−GRY、Tamoxifen AL、Tamoxifen−biosyn、Tamoxifen cell pharm、Tamoxifen Heumann、Tamoxifen Hexal、Tamoxifen medac、Tamoxifen−ratiopharm、Tamoxigenat、Tamoximerck、Tamoxistad、Zemideなどの商標名の下で購入可能)、ラロキシフェン(例えばイーライ・リリー(Eli Lilly)製のRevistaとして購入可能)、クロミフェン(例えばヘキサル(Hexal)製のClomhexalとして購入可能)、トレミフェン(ジーティーエックス(GTx Inc.)製のFarestonとして購入可能)、トリロスタン(英国に限りバイオエンビジョン(Bioenvision)製のModrenalとして購入可能)またはその機能誘導体からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態によると、エストロゲン拮抗物質は,タモキシフェンまたはその機能誘導体である。機能誘導体は、一般に化学修飾により上記化合物から得られる。タモキシフェンの場合、かかる誘導体は、例えば4−ヒドロキシ−タモキシフェンおよび4−ヒドロキシ−N−デスメチル−タモキシフェン(エンドキシフェン)を含む。
あるいは、抗エストロゲン治療は、エストロゲン合成に干渉する作用物質の投与を含みうる。エストロゲンの産生を阻害するか、遮断するかまたは低下させることにより、エストロゲン(エストラジオールなど)のエストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αへの結合の低下が得られうる。エストロゲン合成に干渉する作用物質は、例えばアロマターゼ阻害剤を含む。アロマターゼは,チトクロムP450を含む酵素群に属し、エストロゲンの産生における重要なステップであるアンドロゲンのエストロゲンへの芳香族化を触媒する。アロマターゼ酵素を阻害する結果、エストロゲンレベルが低下する(低エストロゲンニズム(hypoestrogenism))。アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール(アストラゼネカ(Astra Zeneca)製のArimidexとして購入可能)、レトロゾール(ノバルティス・ファーマシューティカルズ(Novartis Pharmaceuticals)製のFemaraとして購入可能)、フォルメスタン(ノバルティス(Novartis)製のLentaronとして購入可能)およびエキセメスタン(ファルマシア(Pharmacia)製のAromasinとして購入可能)などの化合物を含有する。アロマターゼ阻害剤は、アロマターゼ酵素を用いる一般の酵素阻害アッセイにより同定可能である。例として、かかるアッセイは、マツイ(Matsui)ら(2005年)、J Pharm Biomed Anal、38(2):307−12頁に記載されている。
別の態様によると、抗エストロゲン治療は、エストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αの発現を下方制御する作用物質の投与を含む。好ましくは、エストロゲン受容体の発現を下方制御する作用物質は、フルベストラントまたはその機能誘導体である。フルベストラントは、アストラゼネカ(Astra Zeneca)製のFaslodexという名称の下で入手可能である。フルベストラントは、エストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αへのエストロゲンの結合を遮断するエストロゲン受容体拮抗物質である。さらに、それはこの受容体の下方制御を誘発する(モリス C.(Morris C.)およびウェイクリング A.(Wakeling A.)、Endocr Relat Cancer(2002年)、9(4):267−76頁;グラディシャー W.J.(Gradishar W.J.)、Oncologist.(2004年)、9(4):378−84頁)。エストロゲン受容体の下方制御を誘発する他の化合物として、低分子干渉RNA(small interfering RNA)(siRNA)、特異的な(例えばER)mRNAのターゲティング(グルンヴェラー(Grunweller)ら、(2005年)、Current Medicinal Chemistry 12(26)、3143−3161頁を参照)、またはメルニック(Melnick)ら、(2005年)、JCO 23(17)、3957−3970頁)にレビューされた他の転写の修飾因子が挙げられうる。
抗エストロゲン治療は、単独療法としてまたは化学療法および/または放射線療法を併せた併用療法において行われうる。好ましくは、抗エストロゲン治療は単独療法として行われるべきである。抗エストロゲン治療は、乳癌を患う患者における転移を予防するためのアジュバント療法としても行われうる。抗エストロゲン治療はまた、乳癌を発症するリスクの高い患者における癌の発生を予防するための予防的治療として有用でありうる。
通常、乳房の腫瘍、例えば癌は、第1の治療ステップで手術的手段により除去された後、たいていの場合、アジュバント療法が施される。現在、いくつかの手術的アプローチが確立されており、それには乳腺腫瘤摘出が含まれる(後の放射線療法および改良された根治的乳房切除術を伴う場合と伴わない場合がある)。乳腺腫瘤摘出とは、原発性乳房腫瘍および少量の周囲組織の除去である。通常、腋窩リンパ節の大部分も除去される。改良された根治的乳房切除術とは、乳房全体、腋窩リンパ節の大部分、および多くは胸部筋肉を覆う内層の除去である。リンパ節の除去を補助するため、2つの胸部筋肉の小さい方が除去される場合がある。腫瘍の外科的除去が不可能な場合、例えば健常組織への浸潤が極度に進行した状態である場合、乳腺腫瘤摘出前に腫瘍サイズを縮小するため、化学療法が用いられる場合が多い。
アジュバント療法の主目的は、乳房内に位置する腫瘍から広がっておりかつ外科的除去後に残存する可能性がある癌細胞を根絶することである。したがって、治療は通常、全身的に、例えば経口摂取または注射により血流へと行われ、それにより作用物質の全身循環が可能になる。患者がアジュバント療法で治療される必要があるか否かは、患者が疾患の後期ステージで転移を発生させるという個体リスクやいくつかの他の要素、例えば腫瘍サイズ、腫瘍の組織学的タイプならびに疾患の攻撃性のグレードに依存する。患者は、これらの要素に基づき、転移の発生に対しての低リスク、中リスクまたは高リスクに帰せられる。乳癌に対するアジュバント療法には抗エストロゲン療法または化学療法が単独または併用のいずれかで含まれることが最も多い。
アジュバント療法との関連で、化学療法は、一般に、いわゆるCNFスキームに従い、シクロホスファミド、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシルといった物質を用いて行われる。あるいは、アントラサイクリンを含有する作用物質に基づく化学療法レジメンも用いられうる。他のよく用いられる化学療法剤として、アルキル化剤、例えばエチレンイミンおよびメチルアメラミン、例えばチオテパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチローロメラミン;ブスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;イホスファミド、クロラムブシル、エストラムスチン、クロルナファジン、コロホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスアミド(trofosfamide)などの窒素マスタード;フォテムスチン、ロムスチン、カルムスチン、クロロゾトシン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアス(nitrosureas);カルボコン、ベンゾドーパ(benzodopa)、メチュアドーパ(meturedopa)、ウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;6−メルカプトプリン、フルダラビン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5−FUなどのピリミジン類似体;ならびにカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロスレアスなどが挙げられる。
しかし、化学療法は、各作用物質の主に非特異的な作用様式に起因し、患者に対して多大な副作用を伴う過酷な治療である。したがって、低用量の化学療法を伴わない場合または伴う場合に有効に治療されうる患者を同定することは非常に望ましい。これに関連し、抗エストロゲン治療、例えばタモキシフェンの投与に対して臨床応答の促進を示す患者を同定することは極めて適切である。したがって、本発明は、一態様では、抗エストロゲン治療に対する応答性の促進を示すことから、同時化学療法における必要性がない場合かまたは低用量の化学療法と併用される場合のいずれかでの抗エストロゲンの投与に基づく治療プロトコルを受けるのに適するエストロゲン受容体陽性の患者のサブグループを同定するための適切な手段を提供する。したがって、本発明は、治療の間での患者のより良好な予後ならびに改善された全身状態に寄与する。このように、効果的治療が、化学療法の不快で健康を脅かす効果をほとんど伴わない方法で行われうると同時に高レベルの医学的効果を維持しうる。
本発明は、腫瘍または患者の抗エストロゲン治療に対する応答性の長期的監視に適する方法も提供し、ここでは腫瘍を本明細書中に記載の抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして同定するための方法は、増幅状態への変化が特定の治療レジメン、例えばタモキシフェンまたは別の抗エストロゲン薬を用いる治療の間に生じているか否かを監視するため、連続的に、例えば3、6、9、12もしくは18か月の期間内に2回実施される。本方法は、増殖性乳房疾患に起因する所与の腫瘍が抗エストロゲン治療に対する耐性を発達させるか否かを評価するのに特に適することになる。
低レベルの増幅や正常なESR1遺伝子のコピー数を伴う腫瘍細胞またはESR1の減少を伴う細胞であれば、抗エストロゲン治療に最適に応答しないにとどまらず、かかる治療から免れる可能性がある。かかる細胞は、抗エストロゲン治療の下で選択の利点を有する可能性が高く、ホルモン不応性(耐性)腫瘍の発生源でありうると思われる。かかる効果は、アントラサイクリン療法の分子標的であるトポイソメラーゼ2αで知られている。インビトロで実施された試験によると、TOP2Aの異常を伴わない細胞系またはTOP2Aの欠失を伴う細胞系におけるアントラサイクリン療法に対する感受性がTOP2Aの増幅または過剰発現を伴う細胞系の場合よりも低いことが示唆された(ジャルビネン(Jaervinen)ら(2000年)、Am J Pathol 156:839頁)。ごく最近になり、この観察は乳癌患者391名を含む臨床試験にて確認されている(Scandinavian Breast Group Trial 9401(2006年)、J Clin Oncol.24(16):2428頁)。したがって、乳癌患者からの連続生検におけるESR1の増幅状態の変化を監視すれば、それは抗エストロゲン治療に対する応答性の予測にとって有望なマーカーでありうる。
本発明の方法は、ESR1遺伝子増幅の予測効果に基づく。ESR1の増幅は、配列番号1におけるヌクレオチド1048135〜1343855によって提供されるESR1コード配列またはこのコード配列の少なくとも一部を直接標的にする手段により便宜的に検出されうる。さらに、ESR1の増幅は、ESR1コード配列の外部に位置する配列番号1の配列部分の増幅を検出することによっても確認されうる。いくつかの多形がESR1遺伝子のヒト配列内に存在する。さらに、ESR1遺伝子内部の非コード領域であれば異なる個体間である程度失われうる。したがって、本発明は主に参照として配列番号1のヌクレオチド配列部分を示すが、配列番号1のヌクレオチド配列部分に対して実質的に配列同一性を有するヌクレオチド配列も本発明との関連で同様に用いられうることは明らかである。好ましくは、かかるヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列部分に対して少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくはさらに99.5%の配列同一性を共有する。好ましくは、かかるヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列部分に対して少なくとも95%の配列同一性を共有する。
一般に、特定の遺伝子の増幅は、前記遺伝子の5’もしくは3’に位置するゲノム配列の共増幅をもたらす。したがって、増幅の間に複製される染色体断片は通常、単一の遺伝子の配列だけでなく、ESR1の増幅を確認するためのマーカーとして用いられうる追加のゲノム配列も含む。実施例6で記載のように、ESR1コード配列を有する(配列番号1にて提供される)約2.7Mbのサイズを有する配列範囲がESR1コード配列の増幅の確認に適することが見出された。具体的には、ESR1コード配列の外部に位置する配列番号1の配列が、ESR1コード配列も増幅される場合に限り増幅される、すなわちそれがESR1コード配列とともに共増幅されることが見出された。これは、配列番号1の配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有する関連のヌクレオチド配列)の増幅、例えば配列番号1の配列のまさに5’もしくは3’末端に位置する配列の増幅が検出される場合、ESR1の増幅が仮定されるべきであることを意味する。したがって、ESR1の増幅は、ESR1コード配列の内部もしくは外部のいずれかに位置する配列番号1の任意の配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)の増幅の検出により確認されうる。
ESR1の増幅の確認のために選択されうるESR1コード配列の外部に位置するヌクレオチド配列部分は、配列番号1で示される配列の位置1から位置1048135にわたる領域内に位置しうる。例えば、ヌクレオチド配列部分は、配列番号1で示される配列のヌクレオチド100000〜1048135、200000〜1048135、300000〜1048135、400000〜1048135、500000〜1048135、600000〜1048135、700000〜1048135、750000〜1048135、760000〜1048135、770000〜1048135、780000〜1048135、790000〜1048135、800000〜1048135、810000〜1048135、820000〜1048135、830000〜1048135、840000〜1048135、850000〜1048135、860000〜1048135、870000〜1048135、880000〜1048135、890000〜1048135、900000〜1048135、910000〜1048135、920000〜1048135、930000〜1048135、940000〜1048135、950000〜1048135、960000〜1048135、970000〜1048135、980000〜1048135、990000〜1048135、1000000〜1048135、およびさらにより好ましくは1010000〜1048135、1020000〜1048135、1030000〜1048135、1040000〜1048135、1041000〜1048135、1042000〜1048135、1043000〜1048135、1044000〜1048135、1045000〜1048135、1046000〜1048135、1047000〜1048135、1048000〜1048135に位置しうる。同様に、ヌクレオチド配列部分は、配列番号1で示される配列の位置1343855から2725892にわたる領域内のヌクレオチド間に位置しうる。例えば、ヌクレオチド配列部分は、配列番号1で示される配列のヌクレオチド1343855〜1344000、1343855〜1345000、1343855〜1346000、1343855〜1347000、1343855〜1348000、1343855〜1349000、1343855〜1350000、1343855〜1351000、1343855〜1352000、1343855〜1353000、1343855〜1354000、1343855〜1355000、1343855〜1356000、1343855〜1357000、1343855〜1358000、1343855〜1359000、1343855〜1360000、1343855〜1370000、1343855〜1380000、1343855〜1390000、1343855〜1400000、1343855〜1410000、1343855〜1420000、1343855〜1430000、1343855〜1440000、1343855〜1450000、1343855〜1460000、1343855〜1470000、1343855〜1480000、1343855〜1490000、1343855〜1500000、1343855〜1510000、1343855〜1520000、1343855〜1530000、1343855〜1540000、1343855〜1550000、1343855〜1560000、1343855〜1570000、1343855〜1580000、1343855〜1590000、1343855〜1600000、1343855〜1610000、1343855〜1620000、1343855〜1630000、1343855〜1640000、1343855〜1650000、1343855〜1660000、1343855〜1670000、1343855〜1680000、1343855〜1690000、1343855〜1700000、1343855〜1800000、1343855〜1900000、1343855〜2000000、1343855〜2100000、1343855〜2200000、1343855〜2300000、1343855〜2400000、1343855〜2500000または1343855〜2725892に位置しうる。当然のことながら、ヌクレオチド配列部分がESR1コード配列の一部を網羅し、ESR1の枠となるフランキング領域に広がることもありうる。
ESR1の増幅がESR1コード配列の外部に位置する配列番号1の配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)の増幅の検出により試験され、かつ試料中で選択された配列部分の増幅が全く検出できない場合、これにより試験対象の細胞中にESR1の増幅が全く見られないと必ずしも結論づけることはできない。これらの場合、染色体内のアンプリコン(すなわちESR1遺伝子およびフランキング領域からなる増幅されたゲノム配列実体)であればサイズが小さめでありうることから、ESR1遺伝子により近接しているかまたはESR1遺伝子から直接誘導された配列番号1のヌクレオチド配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)を用いるさらなる検出アッセイが実施される必要がある。当業者は、ESR1の各増幅事象において強制的に共増幅されるESR1遺伝子の5’末端および3’末端での各々のフランキング領域を全く問題なく測定することであろう。したがって、「最小」アンプリコンが、例えばESR1コード配列に直接結合するプローブを用いるFISHにより多数の腫瘍細胞試料におけるESR1の増幅について単にスクリーニングし、次いで同定されたアンプリコンの5’および3’末端を測定することにより、当業者により容易に測定可能である。一旦かかる最小アンプリコンを得ると、コード配列外部の増幅された配列に基づいてESR1の増幅を明確に確認するだけでなく、試験結果が陰性である場合、かかる配列に基づいてESR1の増幅を除外することも可能である。最小アンプリコンを用いる方法では、ESR1の増幅を示す本質的にすべての腫瘍細胞が同定されることになる。したがって、好ましい態様によると、検出ステップで用いられる配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)が選択され、それはESR1コード配列とともに強制的に共増幅される。
ESR1が増幅された全腫瘍細胞を同定する方法を確立するための他の可能性として、増幅分析用にESR1コード配列を選択することが挙げられる。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、配列番号1のヌクレオチド配列部分は、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列の少なくとも一部を含む。あるいは、かかる部分に対して上記、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列も用いられうる。この特定の実施形態によると、ESR1遺伝子の少なくとも一部の増幅が直接試験される。配列部分は、ESR1のコード配列の一部およびESR1コード配列の3’もしくは5’末端からのフランキング領域の一部を含むように選択されうる。配列番号1の選択されたヌクレオチド配列部分は、例えばFISHアッセイで用いられるべきプローブとして、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855で提供されるような完全なESR1コード配列も含みうる。本発明のさらに好ましい実施形態によると、配列番号1のヌクレオチド配列部分は、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列内に位置する。さらに本発明によると、例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列も含まれる。
本発明のすべての方法は、腫瘍由来の細胞試料中で、配列番号1のヌクレオチド配列、例えばESR1コード配列のヌクレオチド配列部分、または例えばかかるヌクレオチド配列部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が腫瘍細胞のゲノム内で増幅されるか否かを検出するステップを含む。本明細書で用いられる「配列番号1のヌクレオチド配列部分」は、配列番号1の配列の少なくとも10の隣接ヌクレオチド、好ましくは少なくとも20、30、40、50もしくは100ヌクレオチド、および最も好ましくは少なくとも50000、100000、150000もしくはさらに多くのヌクレオチドからなる配列番号1で示されるゲノムDNAのセグメントを意味する。増幅を検出するのに用いられるヌクレオチド配列部分のサイズは、前記配列部分の検出の方法に依存することになる(下記参照)。例えば、増幅検出のためにFISHアッセイが用いられる場合、選択された配列部分はプローブ長に対応し、好ましくは数キロベース、例えば40、50、60、70、80、100、120、140、160、180、200、300もしくは400キロベースのサイズを有することになる。比較では、増幅検出がPCRで行われる場合、配列部分は特異的プライマーの使用により得られるPCR産物のサイズ、例えば50、100、150、200、300、400もしくは500ヌクレオチドに対応することになる。増幅検出がサザンブロッティングで行われる場合、選択されるべきヌクレオチド配列部分は、サザンブロッティングで通常用いられる一般のDNAプローブに対応する30、40、50、60ヌクレオチドの範囲内でありうる。
95%の同一性は、(ギャップの使用が対応するヌクレオチドの適切なアラインメントにおいて可能とされる一方)対応するヌクレオチド配列を整列する場合、100ヌクレオチド長にわたり異なるヌクレオチドが5つにすぎないことを意味する。好ましくは、例えば非特異的なハイブリダイゼーションによる増幅における偽陽性の検出を除外するのに十分に大きいサイズを有するヌクレオチド配列部分が用いられる。
本明細書で用いられる、配列番号1のヌクレオチド配列の選択されたヌクレオチド配列部分またはそれに対して実質的な配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かの検出は、配列番号1のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して実質的な配列同一性を有するヌクレオチド配列が、試験対象の腫瘍細胞のゲノム内でのコピー数がバランスのとれたカリオタイプ(caryotype)を有する正常細胞、好ましくは同一個体の正常二倍体体細胞のゲノムの場合に対して増加した状態で生じるか否かが試験されることを意味する。二倍体生物、例えば哺乳類は、通常、所与のゲノムヌクレオチド配列、例えば遺伝子配列の2つのコピー(対立遺伝子)をその体細胞内に有する。それ故、哺乳類体細胞のバランスのとれたカリオタイプは通常、所与のヌクレオチド配列、例えばESR1遺伝子の2つのコピーを含む。
配列番号1のヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が細胞試料中で増幅される場合、前記ヌクレオチド配列部分またはその関連配列においては、バランスのとれたカリオタイプを有する正常細胞と比較すると、それよりも多いコピーが試験対象の細胞のゲノム内に存在する。したがって、選択されたヌクレオチド配列部分が細胞のゲノム内で増幅される場合、前記ヌクレオチド配列部分のコピー数は2を上回る。例えば、前記ヌクレオチド配列部分のコピー数は、細胞当たり、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50もしくはさらに最大で100コピーでありうる。前記ヌクレオチド配列部分のコピー数はまた、哺乳類体細胞のバランスのとれたカリオタイプよりも減少する可能性があり、それは細胞が関連の染色体、例えばヒト6番染色体からヌクレオチド配列部分のコピーの一方または両方を失っていることを意味する。ヌクレオチド配列部分が増幅されていない場合、前記配列のコピーが細胞当たり2つ存在する必要がある。
典型的には、遺伝子、遺伝子断片、または2つ以上の遺伝子を含む染色体のより大きい部分の増幅が、遺伝子、目的の断片または部分において(特異的な検出方法に依存して)得られるシグナルの数または強度を、同じDNA試料に由来する参照配列のシグナルの数または強度に対して評価することにより判定される。例えば、コピー数が知られている(すなわち増幅事象を経ていない遺伝子または非コードDNAストレッチに由来する)配列が参照として用いられうる。参照配列の性質は、増幅事象を測定する特定の方法、例えばPCR、サザンブロット、FISHなどに依存することになる(下記参照)。例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションアッセイであれば、ヒト6番もしくは17番染色体のセントロメアの配列が固有の参照として便宜的に用いられうる。あるいは、PCRアプローチがコピー数の評価に用いられる場合、参照遺伝子は、ヒトアルブミングリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、β−アクチン、β−2ミクログロブリン、ヒドロキシメチルビランシンターゼ、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼI、リボソームタンパク質L13a、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(サブユニットA)、TATAボックス結合タンパク質、ユビキチンC、β−グロビン(HBB)、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)、リボソームタンパク質L4(RPL4)、大型のリボソームタンパク質P0(RPLP0)、真核伸長因子1(EEF1A1)、真核翻訳伸長因子1(EEF1G)、コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体A(SDHA)、Muscleblind−like2(MBNL2)、28SリボソームRNA(28S)、18SリボソームRNA(18S)などをコードする遺伝子などの「ハウスキーピング遺伝子」として一般に用いられる遺伝子の1つもしくは複数を含みうる。内部参照が試験試料の細胞またはDNA、例えばバランスのとれたカリオタイプを有する正常体細胞とともに同時に試験される場合、試験試料中で対照試料中よりも有意に多い検出シグナル(ESR1遺伝子のコピー数に相関する)が得られることが示される限り、ESR1遺伝子のコピーの特定数を測定する必要がない場合がある。
配列番号1のヌクレオチド配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)の増幅は、当該技術分野で周知の方法により検出可能である。増幅は、一般に細胞試料のゲノムDNAの分析により測定される。ゲノムDNAは、PCRに基づく方法で通常必要であることから、増幅状態を測定する前に単離されかつ/または精製されうる。精製においては、市販のキット、例えばQIAgen Genomicチップシステム(ドイツ国、ヒルデン(Hilden)のキアゲン(Qiagen))が用いられうる。異なるタイプの細胞、例えばヒト組織由来の細胞に由来するゲノムDNAを精製するための他の方法が、サムブルック J.(Sambrook J.)ら(2001年);「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)」,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)において考察されている。他方、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)または免疫組織化学のような細胞発生方法が用いられる場合、初期ステップでDNAを単離する必要がなく、完全な細胞または組織部分が用いられうる。
遺伝子増幅事象を同定しかつ/またはDNA実体(遺伝子など)のコピー数を測定するいくつかの方法については、当該技術分野で記載がなされている。本発明によると、配列番号1の前記ヌクレオチド配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)が増幅されるか否かの検出は、前記ヌクレオチド配列部分(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)にハイブリダイズするプローブを用いるDNA分析を含む。最も好ましくは、プローブは、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列またはその一部(または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)にハイブリダイズする。プライマーまたはプローブと関連して本明細書で用いられる「ハイブリダイゼーション」は、プライマーまたはプローブが、標的ポリヌクレオチド、例えば試験対象の細胞のゲノムDNA内のESR1遺伝子またはESR1遺伝子のような同じアンプリコン上に位置するそれに対するフランキング領域と非共有結合的な相互作用を形成することを意味する。好ましくは、ハイブリダイゼーションは特異的ハイブリダイゼーションである。本明細書で用いられるプローブまたはプライマーの特異的ハイブリダイゼーションは、プローブまたはプライマーが相補性を示す対象の標的DNA配列に限って実質的にハイブリダイズしかつ無関係の配列に対して実質的にハイブリダイズしないことを意味する。プローブまたはプライマーの特異的ハイブリダイゼーションは、プローブまたはプライマーと標的配列の間の配列同一性のレベルが十分に高い場合に生じる。一般に、約50%、60%、70%もしくは80%、より好ましくは90%もしくは95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を共有するヌクレオチド配列は特異的にハイブリダイズすることになる。
特異的にハイブリダイズされたプローブまたはプライマーは、ストリンジェントな条件下でその標的配列にハイブリダイズされた状態で残る。本明細書で用いられる「ストリンジェントな条件」は、プローブまたはプライマーと標的配列との間に実質的な配列同一性がある場合、実質的にプライマーまたはプローブが標的配列にハイブリダイズされた状態で残ることだけを可能にする環境をもたらす温度および塩の条件である。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、環境パラメータの下で異なるものである。一般に、ストリンジェントな条件は、限定されたイオン強度およびpHで特異的配列における熱融点よりも約5℃〜20℃低めであるように選択される。熱融点は、(限定されたイオン強度およびpHの下で)標的配列の50%が完全に一致した(すなわち完全に相補的な)プローブにハイブリダイズする温度である。例えば、ストリンジェントな条件は、42℃〜65℃の範囲の温度でのハイブリダイゼーションを含みうる。用いられるハイブリダイゼーション溶液および洗浄緩衝液は、イオン強度が高く、例えばSDSもしくは他の洗浄剤の添加を伴う場合または伴わない場合で6×SSC緩衝液でありうる。
核酸ハイブリダイゼーションにおける条件およびストリンジェンシーの計算については、サムブルック J.(Sambrook J.)ら(2001年);「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)」,コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびハイメス B.D.(Haymes B.D.)ら(1985年) 「Nucleic Acid Hybridization、A Practical Approach」、ワシントンD.C.(Washington,D.C.)のIRLプレス(IRL Press)において見出されうる。さらに、コンピュータプログラムが、最適なプローブおよびプライマーの作成を支援するのに利用可能であり、例えば(インビトロジェン(Invitrogen)により配布される)インフォマックス(InforMax)のVector NTIまたはプレミア・バイオソフト(Premier Biosoft)のPrimer Premierが挙げられる。
配列番号1のヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の増幅の検出に用いられる核酸プローブまたはプライマーは、選択された配列部分またはその一部(例えばESR1コード配列内の配列またはゲノム領域のフランキングESR1内に位置する配列)に完全に相補的でありうるかまたはそれに対して実質的に相補的でありうる。「完全な」相補的プローブまたはプライマーは、プローブまたはプライマー分子のすべてのヌクレオチドが標的配列の対応する位置のヌクレオチドに相補的であることを意味する。プローブまたはプライマーは、プライマーまたはプローブ内の1つもしくは複数のヌクレオチドが標的配列内の対応するヌクレオチドに相補的でなくても特異的ハイブリダイゼーションが生じうるように十分な数の相補的ヌクレオチドが存在する場合、標的配列に対して「実質的に相補的」である。
プローブの対応するヌクレオチド配列部分に対する特異的ハイブリダイゼーションにより、試料中、例えば組織試料中の前記ヌクレオチド配列部分のコピー数の検出が可能になる。このため、プローブは検出可能な標識を含むことになる。DNAプローブを標識するため、分光学的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段により検出可能な化合物または組成物を含む極めて多数の異なる物質が当該技術分野で使用可能である。標識は、検出可能な物質のプローブへの共役(すなわち物理的連結)によるプローブの直接標識および直接標識された別の試薬との反応性によるプローブの間接標識を包含するように意図される。間接標識の例として、蛍光標識されたストレプトアビジンで検出可能なようにDNAプローブのビオチンによる末端標識が挙げられる。あるいは、プローブは、抗ジゴキシゲニン抗体で検出可能なジゴキシゲニンで標識可能であり、抗ジゴキシゲニン抗体は次いで標識された二次抗体により標識または認識可能である。本発明で用いられる検出可能な標識は、磁気ビーズ(例えばDynabeads)、蛍光色素(例えばフルオレセイン、texas red、ローダミン、CY3、CY5、Alexa色素、緑色蛍光タンパク質、および他のもの)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAで一般に用いられる他のもの)、ならびにコロイド状金などの比色標識(例えば、粒度40〜80nmの範囲の金粒子は、高効率で緑色光を散乱する)または着色ガラスもしくは着色プラスチック(例えば、ポリスチレン,ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズを含む。DNAプローブを標識するための極めて多数の他のシステムおよび化合物が当該技術分野で既知である。
本発明によると、配列番号1のヌクレオチド配列部分、例えばESR1のコード配列内に位置する配列、または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かの検出は、サザンブロッティングを含みうる。サザンブロッティングは、複合体混合物内に特定のDNA配列を位置づけるための十分に確立された方法である。DNA、例えばゲノムDNAは、制限酵素で消化され、アガロースゲル中でのゲル電気泳動により分離される。次いで、DNAはアガロースゲルから膜(ナイロンまたはニトロセルロース膜など)上に移され、検出対象の配列に特異的な標識されたDNAプローブとともにインキュベートされる。プローブとハイブリダイズするゲノムDNAから得られたDNA断片の位置は標識の検出により示されうる。ESR1遺伝子が増幅される場合、(同じもしくは異なるサイズの)少なくとも2つの断片がサザンブロッティングで検出される必要がある。サザンブロッティングで用いられるプローブは通常、増大したシグナル強度をもたらす系により検出可能な分子で間接的に標識される(抗ジゴキシゲニン抗体によるジゴキシゲニンの検出または西洋わさびペルオキシダーゼと複合されたストレプトアビジンによるビオチンの検出およびその後の化学発光基質への暴露など)。あるいは、サザンブロッティング用プローブが放射性標識され、強力なシグナルを生成することが多い。結果として、サザンブロッティングで用いられるプローブは、他のハイブリダイゼーションのアプローチと比べた場合、長さがかなり短い場合がある(下記参照)。通常、サザンブロッティングで用いられるプローブは、15〜20bp、より好ましくは最大で25、30、35、40、45、50、55、60もしくは65bpのサイズを有することになる。
特に好ましい態様によると、配列番号1のヌクレオチド配列部分、例えばESR1のコード配列内に位置する配列または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かの検出には蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)が含まれる。標識プローブを用いてFISH分析を行うためのプロトコルについては当該技術分野で得られうる(例えば、シェリフ(Cherif)ら(1989年) Hum Genet.1989 Mar;81(4):358頁またはハイチネン(Hyytinen)ら(1994年) Cytometry 16(2):93頁を参照)。かかるインサイチュハイブリダイゼーションアッセイでは、試験対象の細胞または組織は通常、固体支持体、例えばスライドグラスに固定される。細胞は、外科試料の試験調製物の場合には無傷でありうるかまたは組織切片の場合には切断されうる。次いで、細胞は典型的には熱またはアルカリで変性される。次いで、細胞をハイブリダイゼーション溶液に適温で接触させることで、タンパク質をコードする核酸配列に特異的な標識プローブのアニーリングが可能である。プローブは、典型的には例えば1つもしくは複数の蛍光レポーターで標識される。次いで標的は、適切なシグナル対ノイズ比が得られるまで、所定のストリンジェンシーまたは増大したストリンジェンシーで洗浄される。蛍光標識された核酸プローブが細胞DNA標的にハイブリダイズされる場合、ハイブリダイズされたプローブは、蛍光顕微鏡を用いて直接観察されうる。異なる蛍光色を有する複数の核酸プローブの使用により、同時多色分析(すなわち異なる遺伝子または配列を対象)が標的細胞上で単一のステップで行われうる。蛍光色素で直接標識された核酸プローブにより、迅速な処理を可能にするとともに非特異的なバックグラウンドシグナルを低下させる多層検出方法(例えば抗体に基づく系)に対する必要性がなくなる。FISHアッセイで用いられる蛍光色素で直接標識された核酸プローブは通常、サザンブロッティングで用いられるものよりも長い。従来の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)では、固定された変性した染色体に対するハイブリダイゼーションにおいてクローン化ゲノムプローブが一般に用いられる。これらのゲノムプローブは、一般に大型であり、ほとんどの場合ベクター、例えばコスミド、酵母、または最大で数100キロベースのサイズを有するゲノム挿入物を受け入れる細菌人工染色体にクローン化される。本発明によると、FISHプローブは、1、5、10、20、30、40、50、60もしくは最大で100kbのサイズまたはさらに200、300もしくは400kbのサイズを有しうる。FISHプローブは、(例えば蛍光色素により)直接的に標識されうるかまたは(例えばハプテン、例えばジゴキシゲニンまたはビオチンにより)間接的に標識されうる。本発明によると、蛍光標識の使用が最も好ましく、それにより試験試料(例えば生検から得られた組織の細胞)のゲノムDNAに対するハイブリダイゼーションの結果が直接観察可能である。固有の参照としてヒト6番または17番染色体のセントロメアの配列であれば、便宜的にFISHアッセイで使用可能である(実施例を参照)。蛍光標識のための標識キットは異なる製造業者から入手可能である(例えば、米国イリノイ州ダウナーズグローヴ(Downer’s Grove)のヴィシス(Vysis Inc.)から購入可能なSpectrumOrange−、SpectrumGreen−、およびSpectrumRed−標識キット)。FISHアッセイは、例えば乳癌において高頻度に増幅される腫瘍遺伝子であると報告されている、オーファン(orphaned)受容体チロシンキナーゼErb−B2(HER−2またはneuとも称される)をコードするerb−B2(HER−2/neu)遺伝子の検出に関連し、遺伝子増幅事象の検出において幅広い用途があることが見出されている。例えば、マスード(Masood)ら(1998年)、Ann Clin Lab Sci.28(4):215頁、プレス(Press)ら(2002年) J Clin Oncol.2002 20(14):3095頁といった発行物(それらはいずれも参照により含められる)を参照のこと。
配列番号1のヌクレオチド配列部分、例えばESR1のコード配列内に位置する配列、または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の潜在的な増幅を検出するためのさらなる代替案として、比較ゲノムハイブリダイゼーション(Comparative Genomic Hybridization)(CHG)が挙げられる。この細胞遺伝学的方法により、単一のステップで全ゲノムにおいて、染色体材料内のコピー数の異常について走査することが可能になる。CGHは、例えば、カリオニエミ O.(Kallioniemi O.)ら(1992年)、Science 258:818−821頁(従来のCGH)またはソリナス−トルド S.(Solinas−Toldo S.)ら(1997年)、Gene Chromosomes Cancer 4:399−407頁(マトリックスCGH)において詳細に記載されている。CGHでは、試験対象の細胞もしくは細胞集団の完全なゲノムDNA、例えば腫瘍細胞(試験DNA)が、典型的には正常健常細胞のゲノムDNA(参照DNA)に対する、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとして用いられる。試験および参照DNAは別々に標識され、健常個体由来の分裂中期染色体の広がり(従来のCGH)または限定されたDNA配列のアレイ(数キロベースのクローン化ヒトゲノム断片またはオリゴヌクレオチド;アレイ−またはマトリックス−CGH)からなる標的マトリックス上で同時ハイブリダイズされる。例えばいわゆるGeneChips(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアフィメトリックス(Affymetrix))を用いる場合、同時的な参照DNAの同時ハイブリダイゼーションを伴わないCGHを行うことも可能でありうる。
バランスのとれたカリオタイプの対照DNAと比較される場合に増加または減少している染色体領域が、参照ゲノムDNAの一般染色に対するその染色の増大または低下により検出可能である。コピー数が増加した領域は、対照DNAの場合よりも強力なシグナルを生じさせる。負の対照として、健常組織、好ましくは同じ身体の一部の組織(例えば健常な乳房組織)に由来する参照DNAの試験も可能である。参照DNAは、腫瘍組織ドナーまたは別の健常ドナーから得られうる。改変は、DNAの増加および減少として分類され、染色体およびサブ染色体のレベルでのコピー数の変化を含む特徴的パターンを示す。固形腫瘍の分析におけるCGHの利用から、過去に検出されなかった増幅を含む多数の再発性の染色体コピー数の異常が示されている。例えばCGHの利用により、様々な腫瘍内の染色体3q26−27および20q13での増幅が検出され、それにより標的遺伝子、例えば卵巣癌および乳癌の各々において増幅されるPIK3CAおよびZNF217が同定された。
本明細書で用いられるCGHという用語は、マトリックスCGH、アレイCGHならびに固体表面上に固定された単離された標識DNAおよび相補的DNAを用いる比較ゲノムハイブリダイゼーションの任意の他の方法を含む。最も好都合なことに、CGH法はアレイに基づくハイブリダイゼーションフォーマットの使用により実施される。アレイは、典型的には異なる多重プローブまたは1つもしくは複数の表面に付着された標的核酸を含む。好ましくは、表面は、固体表面、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ニトロセルロース、ナイロン、ガラス、石英、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、または酢酸セルロースである。好ましい実施形態では、多重核酸(または他の部分)が単一の隣接表面または互いに並列の多重表面に付着される。アレイフォーマット内で多数の異なるハイブリダイゼーション反応が同時に生じうる。アレイ、特に核酸アレイが、当業者に既知の多種多様な方法に従い、例えばピペットを用いるスポッティングまたはオリゴヌクレオチド合成技術により生成されうる。アレイを調製するための方法が、例えばシン W.L.(Xing W.L.)およびチェン J.(Cheng J.)(編)「Biochips.Technology and Applications」、ベルリン(Berlin)のシュプリンガー(Springer)、2003年において記載されている。
配列番号1のヌクレオチド配列部分、例えばESR1のコード配列内に位置する配列、または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の増幅は、標識プローブを用いるハイブリダイゼーションに基づくアッセイ以外に、PCRに基づく方法によっても検出可能である。したがって、さらに好ましい態様によると、配列番号1の選択されたヌクレオチド配列部分が増幅されるか否かの検出には、PCR、好ましくは定量PCR(qPCR)が含まれる。好ましくは、PCRでは、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーが用いられる。
qPCRにおけるプロトコルは当業者にとって既知であり、例えば、バートレット(Bartlett)およびスターリング(Stirling)(2003年)、「PCR Protocols(Methods in Molecular Biology),第2版」、米国ニュージャージー州のトトワ(Totowa)のヒューマナ・プレス(Humana Press)において見出されうる。定量PCRは、PCR産物の定量をさらに可能にする、核酸分子を増幅するための方法である。定量は、PCRの終結後に産物から得られるシグナルを、既知の濃度および/またはコピー数の外来配列に基づく対照試料で予め得られた標準曲線と比較することにより行われうる(例えば、バスティン S.A.(Bustin S.A.)(2004年)、「A−Z of Quantitative PCR(IUL Biotechnology,No.5)(Iul Biotechnology Series)」 米国ラ・ホヤ(La Jolla)のインターナショナル・ユニバーシティ・ライン(International University Line)を参照)。
あるいは、較正目的での内因性ハウスキーピング遺伝子または配列を用いる内部標準化が同様に用いられうる。この方法では、2つの異なるゲノム配列が1本の反応チューブ内でプライマー対の2セットを用いて同時に共増幅される。一方の配列は、DNA増幅を受けない単一のコピー遺伝子に属し、試験配列(例えば配列番号1から選択されるヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)との相対的なDNAコピー数の差を測定するための固有の参照として役立つ。PCR反応においてDNA産物の量がサイクルごとに倍になることから、反応の終結時での全DNA収量は試料中に最初から存在した鋳型DNAの量に依存する。試験遺伝子が増幅される場合、PCR後、参照遺伝子に対し、試験遺伝子のPCR産物が豊富に存在することになる。参照遺伝子と試験遺伝子との間でのPCR産物の量の比は、組織試料中の2つの遺伝子の間のコピー数の差を反映する。かかるPCRアプローチは、例えばブランド B.(Brandt B.)ら(1995年)、Gene 159:29−34頁でのダブルディファレンシャル(double differential)ポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)として記載されている。
定量における別の可能性として、標的特異的なプライマーを有する共通の標的配列に隣接されたニュートラルな(neutral)DNA断片からなる体外から付加される標準を用いる競合PCRの利用が挙げられる。このPCRでは、(標的配列もしくは遺伝子に特異的な)1つのプライマーセットの使用により標的配列もしくは遺伝子とニュートラルなDNA断片との双方が増幅される。ニュートラルなDNA断片は、同じ試薬に対して標的DNAと競合することから、内部標準として作用する。内部標準は、標的遺伝子とは異なるサイズのPCR産物を生成するように設計される。定量競合PCRでは、同じ反応において同じプライマーに対して競合する2つの鋳型が標的になる。反応に付加される内部標準の量を知ることで、存在する標的DNA、この場合、配列番号1から選択されるヌクレオチド配列または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列の量を測定できる。PCR産物の量を測定するため、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、またはリアルタイムPCRシステムを含む異なる方法およびデバイスの利用が可能である。
特定の好ましい実施形態によると、配列番号1の選択されたヌクレオチド配列部分が増幅されるか否かの検出にはリアルタイムPCRが含まれる。リアルタイムPCR法が用いられる場合、DNA産物の量は、配列に非特異的な蛍光色素(例えばSybrGreen)または配列特異的な蛍光標識プローブ(Taqmanプローブ、FRETプローブ、分子ビーコン)を用いるPCRの間にオンラインで検出可能である。リアルタイム定量PCR方法は、当業者に周知であり、先行技術において詳述されている。概説として、バートレット(Bartlett)およびスターリング(Stirling)(2003年)、「PCR Protocols(Methods in Molecular Biology),第2版」、ヒューマナ・プレス(Humana Press)、米国ニュージャージー州のトトワ(Totowa)を参照のこと。
本発明に記載のPCRに基づく方法においては、PCR産物の生成用に用いられるオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1で提供される配列または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から誘導される。好ましい実施形態によると、PCRで用いられる少なくとも1つのプライマーが、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする。したがって、プライマーは、ESR1コード配列内に位置するかまたはESR1コード配列からフランキング領域に及ぶ産物を生成することになる。さらに好ましい実施形態によると、両プライマーはESR1コード配列にハイブリダイズし、これは得られるPCR産物(すなわち配列番号1から選択されるヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列)が完全にESR1コード配列内に位置することを意味する。
本発明のさらに好ましい実施形態によると、ESR1遺伝子の増幅状態は、エストロゲン受容体αに特異的な抗体を用いる免疫組織化学(IHC)により間接的に検出されうる。ERの発現の免疫組織化学的検出は、増殖性乳房疾患に由来する組織切片上で行われる。染色を分析し、ERの発現における生理学的なものと非生理学的なものを区別するには病理学者が必要とされる。生理学的なERの発現(正常なESR1のコピー数)は、異なる染色強度を示す異なる細胞核での不均一な染色パターンにより特徴づけられる。さらに、ERの染色はすべての細胞核内で見出されるわけではない。それに対し、ESR1が増幅された細胞は、増殖性疾患の全細胞核内で均一な拡散および一様に強い染色を示す。
本発明は、乳癌に起因する原発性腫瘍の転移の抗エストロゲン治療に対する応答性を測定するインビトロ方法にも関する。本方法は、
a)前記腫瘍由来の細胞試料内で、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅されるか否かを検出するステップと、
b)配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞のゲノム内で増幅される場合、前記転移を抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして分類するステップと、
を含む。
本発明は、原発性乳癌とその転移との間にそのESR1の増幅状態の点で全く差異が存在しないことを示す。これに関して試験されたあらゆる転移が、ESR1の増幅を示す原発性腫瘍に由来する場合、ESR1の増幅を示した。同様に、転移がESR1の増幅を示さない原発性腫瘍に由来する場合、ESR1の増幅を示す転移が全く観察されなかった。したがって、原発性腫瘍のESR1の増幅状態はその転移を表すものである。アジュバント抗エストロゲン治療では、通常、身体から外科的に除去されている原発性腫瘍ではなく残りの腫瘍細胞および転移が標的になることから、この発見は重要である。
本発明のさらなる態様によると、上で説明された方法のうちの1つを実施するのに適するキットが提供される。具体的には、キットは、配列番号1のヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が細胞試料(または血液もしくは骨髄試料)中で増幅されるか否かを検出するための手段および試薬を含む。例えば、キットは、配列番号1のヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列にハイブリダイズする1つもしくは複数のプローブを含みうる。特に、プローブは、配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする。さらにキットは、核酸ハイブリダイゼーション複合体の検出を可能にするプローブを標識するための試薬をさらに含みうる。好ましくは、1つもしくは複数のプローブと標的配列との間に形成される複合体を画像化するための試薬も提供される。本発明のさらに好ましい実施形態によると、PCRに基づく検出方法におけるキットが提供される。かかるキットは、配列番号1の配列に含まれる配列または例えば配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を有するPCR産物を生成するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含みうる。好ましくは、キットは配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲のESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを含む。それは、PCRに基づく反応、特に定量PCRもしくは定量リアルタイムPCR反応に適する1つもしくは複数のポリメラーゼ酵素、緩衝液、ヌクレオチドおよび/または色素も含みうる。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは、約10nt長、50nt長、もしくは100nt長、好ましくは約15nt長〜40nt長である。オリゴヌクレオチドプライマーは、配列の増幅を可能にするのに十分な、配列番号1で示される配列の一部または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列に対して同一性を示す。典型的には、オリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号1で示される配列のヌクレオチド配列部分または例えばかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、特にヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の配列のうちの少なくとも6つ、より通常では8、10、15、20、30、40、45もしくは50の隣接ヌクレオチドを有する。オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブは化学合成されうる。
さらなる態様によると、本発明は、増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する患者の治療用の薬剤の調製における抗エストロゲン化合物の使用に関し、ここで腫瘍細胞はそのゲノムDNA内に増幅されたESR1遺伝子を有する、すなわち腫瘍細胞のゲノムは増幅されたESR1遺伝子を示す。好ましい実施形態によると、増殖性乳房疾患は乳癌である。したがって、本発明は、特に、抗エストロゲン治療、例えばタモキシフェンに対する反応における有意な増大を示すER陽性の乳癌患者のサブグループを治療するための薬剤を提供する。本明細書で用いられる抗エストロゲン化合物は、エストロゲンとエストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αとの自発的相互作用に干渉することを標的にする任意の化合物である。抗エストロゲン化合物の投与の結果、エストロゲン誘発性の反応、例えば細胞増殖に作用するエストロゲン受容体のシグナル伝達機能が遮断される。抗エストロゲン化合物は、エストロゲンのエストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αに対する結合の競合的阻害により作用しうる。抗エストロゲン化合物は、治療有効量で投与される場合、エストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αに結合し、それによりエストロゲンの受容体への結合が遮断される。抗エストロゲン化合物は、上記のようにエストロゲン拮抗物質、エストロゲン受容体ダウンレギュレーターまたはアロマターゼ阻害剤を含む。
さらに好ましい実施形態によると、抗エストロゲン化合物は上で定義されたエストロゲン拮抗物質である。薬剤の調製に用いられるべきエストロゲン拮抗物質は、好ましくはタモキシフェン、ラロキシフェン、クロミフェン、トレミフェン、トリロスタンまたはその機能誘導体からなる群から選択される。最も好ましくは、エストロゲン拮抗物質は、タモキシフェンまたはその機能誘導体である。あるいは、薬剤の調製に用いられるべき抗エストロゲン化合物は、エストロゲン合成に干渉する作用物質、好ましくはアロマターゼ阻害剤である。アロマターゼ阻害剤は、アナストロゾール、レトロゾール、フォルメスタン、エキセメスタンまたはその機能誘導体の群から選択されうる。薬剤の調製に用いられるべきエストロゲン拮抗物質は、エストロゲン受容体、好ましくはエストロゲン受容体αの発現を下方制御する作用物質、例えばフルベストラントまたはその機能誘導体でもありうる。化合物は、当該技術分野で周知の用量レジメンに従って用いられうる。
本発明は、あくまで本発明を例示することが意図され、かつ本発明を限定することを意図されるものではない以下の実施例により、一層明白なものになる。
分割表分析およびカイ二乗検定を用い、組織学的腫瘍のタイプ、グレード、ステージおよび遺伝子増幅の間の関係について試験した。生存曲線をカプラン・マイヤーに従ってプロットした。ログランク検定を適用し、遺伝子増幅と患者生存の間の関係を検討した。
1.実施例1:アレイCGHによるESR1の増幅の測定
1.1 組織
アレイCGH実験においては、30の新しい凍結組織試料を、スイス国、バーゼル(Basel)の州立病院から得られた手術標本から収集した。全試料が、Elston and Ellis(BRE)(エルストン C.W.(Elston C.W.)およびエリス I.O.(Ellis I.O.)(1991年)、Histopathology 19:403−410頁を参照)に準じる組織学的グレード3として病理学者により分類された。
1.2 DNAの単離
アレイCGH実験のため、QIAmp DNA Mini Kit(ドイツ国、ヒルデン(Hilden)のキアゲン(Qiagen))の製造業者の使用説明書に従い、30の新しい凍結腫瘍試料の各々から、3つの穴開き組織シリンダー(punched tissue cylinder)(直径0.6mm)からゲノムDNAを抽出した。
1.3 アレイ−CGH
30の新しい凍結腫瘍試料から得た抽出されたDNAをGeneChip Mapping 10K 2.0 Assay Manual(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアフィメトリックス(Affymetrix))に記載のように処理した。すべての他の必要な試薬にGeneChip Human Mapping 10k Xbaアッセイキット(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアフィメトリックス(Affymetrix))が与えられ、すべての実験ステップをGeneChip Mapping 10K 2.0 Assay Manualに記載のように行った。つまり、250ngのDNAをXbaI制限酵素で消化し、アダプターにライゲートし、PCRで増幅した。得られたPCR産物を断片化し、末端標識し、GeneChip Human Mapping 10K Array Xba 142 2.0にハイブリダイズした。ハイブリダイゼーション後、マイクロアレイチップを洗浄し、Affymetrix fluidics station上で染色した。チップをAffymetrix GeneChip scanner 3000を用いて走査した。
1.4 データ収集および分析
走査されたCGHアレイからの生データをGeneChip Operating Software(アフィメトリックス(Affymetrix))を用いて取得した。データの質を、GeneChip Mapping 10K 2.0 Assay Manual(カリフォルニア州サンタクララ(Santa Clara)のアフィメトリックス(Affymetrix))に記載のように確認した。22の試料のみがこれらの質管理をパスし、さらなるデータ分析用に用いた。データファイルをdChipソフトウェア(ボストン(Boston)のハーバード(Harvard))にインポートし、前処理および正規化をソフトウェアのユーザーマニュアルにおける推奨に従って行った。得られたシグナル強度をエクセルにインポートした。四分位数を1つのSNPに属するすべてのシグナル強度から計算した。平均値を第2および第3の四分位数内に存在するすべての値から計算した。この特定の値を、各試料の各SNPシグナルの比の計算における分母として用いた。得られた比を対数化し(底を2とした対数)、Rスイート(R Development Core Team)にインポートした。RのBioConductorスーツ(suit)のDNAcopyパッケージ(E.S.ベンカトラマン(E.S.Venkatraman)およびA.B.オルシェン(A.B.Olshen))を用い、データ内の変化点を計算し、画像化した。増加したコピー数を有する領域を増幅領域として分類した。
1.5 結果
ESR1遺伝子を含む染色体遺伝子座を含む腫瘍細胞のゲノムDNA部分の増幅が、分析が奏功した試料の22中2(9%)において同定された。CGH分析の結果は図1で示されうる。
2.実施例2:蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)
2.1 CGHにより得られた一般的結果を、既存の組織マイクロアレイを用いる蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)により検証した。2517超の乳房組織を有する乳癌のPrognosis Tissue Microarrayを分析した。この組織マイクロアレイ(TMA)の組成物および調製については以前に詳述されている(ルイス C.(Ruiz C.)ら(2006年)、Int J Cancer、118:2190−2194頁;サイモン R.(Simon R.)ら(2004年)、「Molecular Diagnosis of Cancer」;ラウルストン J.E.(Roulston J.E.)、バートレット J.M.S.(Bartlett J.M.S.)(編)ヒューマナ・プレス(Humana Press Inc))。アジュバント療法のタイプは患者420名については既知であった。患者261名のサブセットは、腫瘍の外科的除去後の唯一の治療レジメンとして、タモキシフェン誘導体による抗ホルモン治療を受けた。
2.2 非悪性乳房組織内でのESR1の増幅を試験するため、73の正常な乳房組織の試料と、DCIS(n=62)、LCIS(n=10)、アポクリン化生(n=14)、管内過形成(n=27)、非定型管内過形成(n=5)、乳腺症(n=22)、乳頭腫(n=31)、および硬化性腺症(n=15)を含む186の前悪性乳房組織を有する第2のTMAを分析した(ルイス C.(Ruiz C.)ら(2006年)、Int J Cancer、118:2190−2194頁)。
さらに、原発性乳房腫瘍と転移との間でのESR1の増幅における潜在的な異質性について解明を試みるため、乳癌患者160名に由来する815の組織試料を有する第3のTMAを分析した。患者58名に由来する原発性腫瘍および対応する転移が含まれた。残りの患者102名については、原発性腫瘍(複数の異なる転移を除く)が全く得られなかった。患者当たり平均で5.0の転移(範囲1〜15)が存在した。大部分の転移が肺(n=106)、肝臓(n=95)、または骨髄(n=86)に由来するものであった。125の試料中で発生源の部位が記録されたことはなかった。
2.3 TMA切片を、ハイブリダイゼーション前にParaffin Pretreatment Reagent Kitプロトコル(イリノイ州ダウナーズグローヴ(Downers Grove)のヴィシス(Vysis))に従って処理した。FISHを、ESR1遺伝子の一部を網羅するジゴキシゲニン化(digoxigenated)BACプローブ(BAC RP11−450E24、ドイツ国のRZPD)を用いて実施した。プローブの配列は、配列番号1のヌクレオチド1.064.232〜ヌクレオチド1.203.918の範囲の配列に対応した。参照として、ヴィシス(Vysis)から購入したスペクトラムオレンジ(Spectrum−Orange)で標識された6番染色体セントロメアプローブ(CEP6)を用いた。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション後の洗浄は「LSI手順」(ヴィシス(Vysis))に準じた。蛍光イソチオシアネート(FITC)と複合されたヒツジ抗−ジゴキシゲニン(スイス国、ロートクロイツ(Rotkreuz)のロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics))を用い、プローブの画像化を記載のように(ワグナー U.(Wagner U.)ら(1997年)、Am J Pathol、151:753−759頁)行った。スライドを、抗退色(antifade)溶液中の125ng/mlの4’,6−ジアミノ−2−フェニルインドールで対比染色した。2つの異なるアプローチを適用することで増幅を画定した。第1のアレイの迅速な評価においては、各組織スポットにおいてシグナル数を評価し、増幅がセントロメアシグナルよりも多数の遺伝子シグナルの存在として定義されるという所定の基準を適用した。これらの基準を満たさないすべての腫瘍を増幅されていないものと考えた。第2のより精緻な分析では、ESR1遺伝子および6番セントロメアのFISHシグナル数を各組織スポット内で計数した。次いで、乳癌におけるHER2の増幅の定期的な診断的検出として推奨される定義に従い(Pathvysion Kit、米国イリノイ州ノースシカゴ(North Chicago)のアボット・ラボラトリーズ(Abbott Laboratories))、ESR1のコピー数の変化をESR1対6番セントロメアのシグナル数の比により評価した。増幅を、Cen6シグナルよりも少なくとも2倍多いESR1シグナルの存在(比≧2)として定義した。他のすべての試料を増幅されていないものと見なした。
2.4 結果
ESR1のFISH分析は、1679/2197(76%)のアレイ状の乳癌組織において奏功した。FISH分析は、518の症例では組織スポット内での腫瘍細胞の欠如または組織スポットの完全な欠如のいずれかの理由により不奏功であった。増幅を6番セントロメアシグナルに対するESR1遺伝子シグナルの数の多さと定義する場合、ESR1の増幅は526/1679(31%)の分析可能な組織試料内で見られた。ESR1の増幅は、低ステージ(pT1、p=0.0416)および低グレード(G1、p<0.0001)の腫瘍と有意に関連した。髄様癌は、導管癌(32%)、小葉癌(30%)、管状癌、および篩状癌(28%)における場合よりも大幅に低い割合の増幅された腫瘍を有した(4.2%、p<0.0001)。それに対し、粘液癌はESR1の特に高い増幅率を示した(48.6%、p=0.0012)。増幅の定義がESR1対Cen6のシグナル数の比に基づく場合、ESR1の増幅(比≧2)が試料の20.6%で見出された。増幅のこの定義を用い、ESR1の増幅と腫瘍表現型または患者予後とが同じ関連性があることが見出された。乳癌表現型に対するESR1のコピー数の変化のあらゆる関連性を、図2A内に提供される表中にまとめている。同じ乳癌のTMAを用い、腫瘍における20.1%のCCND1、17.3%のHER2、5.7%のMDM2、5.3%のCMYC、および0.8%のEGFRの増幅が以前に見出された(アル−クラヤ K.(Al−Kuraya K.)ら(2004年);Cancer Res、64:8534−8540頁)。
さらに、正常組織および前悪性組織に由来する試料を有する第2のアレイを用いることで、ESR1の増幅が、15/40(37%)のDCIS、2/3(67%)のLCIS、10/23(43%)の乳頭腫、3/11(27%)の管内過形成、1/2の非定型管内過形成、1/13(8%)の乳腺症を有する症例、1/7(14%)の硬化性腺症、および1/30(3%)の組織学的に正常な乳房組織において見出された。
第3のアレイの最初から50名の患者の予備分析によると、原発性乳癌と転移との間で大きな差異があるという意見には至らなかった。ESR1の増幅が15/50(30%)の患者において見出された。これらの患者の20名においては、原発性腫瘍と少なくとも1つの転移(平均で4つの転移、1〜8の範囲)との双方が分析可能であった。ESR1の増幅がこれらの原発性腫瘍のうちの5つにおいて見られた。一致したすべての転移(n=20)もまたESR1の増幅を示した。ESR1の増幅を伴わない残りの15の原発性腫瘍においては、一致した転移(n=56)のうちでESR1の増幅を有するものは全くなかった。
3.実施例3:免疫組織化学
3.1 エストロゲン受容体αタンパク質の免疫組織化学的検出を、上記のTMAおよび一次抗体として抗体NCL−L−ER−6F11(英国ニューキャッスル(Newcastle)のノボカストラ(Novocastra))を用いて行った。TMAスライドを脱パラフィン化し、プレッシャークッカー内、pH6のクエン酸塩緩衝液(Retrievit 6 #BS−1006−00、カリフォルニア州サンラモン(San Ramon)のバイオジェネックス(BioGenex))中、120℃で12分間インキュベートした。内因性ペルオキシダーゼのブロッキング後、予備希釈(1:1000)された一次抗体を適用し、スライドを4℃で一晩インキュベートした。抗体結合の検出においては、Vectastain ABC Eliteシステムを用いた。IHCスコアリングを、オールレッド(Allred)スコア(ハーベイ J.M.(Harvey J.M.)ら(1999年)、J Clin Oncol、17:1474−1481頁)に従って行った。つまり、エストロゲン受容体の染色の強度を4段階スケール(0〜3)で、かつER陽性の腫瘍細胞の画分を5段階(1〜5)スケールで記録した。両パラメータを組み合わせた結果、8段階スコアが得られ、ここでは2を超えるスコアを有する全試料がER陽性と見なされる。
3.2 結果
ERの発現の免疫組織化学的検出は、2018/2197(92%)の乳癌において奏功した。ESR1の増幅のように、ERの発現は低ステージ(pT1、p=0.002)および低グレード(pT1、p<0.0001)の癌に関連していた。悪性腫瘍は、細胞の悪性度(組織学的グレード、G)および腫瘍の広がり(腫瘍ステージ、pT)に従って分類される。グレードの定義における基準は、エルストン C.W.(Elston C.W.)およびエリス I.O.(Ellis I.O.)(1991年)、Histopathology 19:403−410頁に記載されている。腫瘍ステージの定義における基準は、ヴィッテキンド C.(Wittekind C.)ら(2005年)「Tnm Atlas:Illustrated Guide to the Tnm/Ptnm−Classification of Malignant Tumors」ハイデルベルグ(Heidelberg)のシュプリンガー・メディジン・フェアラーク(Springer Medizin Verlag)に記載されている。ERの発現も、延髄内でより低頻度であったが(p<0.0001)、粘液癌内ではより高頻度であった(p<0.0001;表1)。
未発表の免疫組織化学実験から得たESR1の増幅とERタンパク質の発現との間でのデータの関係をESR1遺伝子のコピー数の状態と比較し、ESR1の増幅とタンパク質の発現との間の関連性について解明を試みた。ESR1の増幅とERタンパク質の発現との間に強い関係性が見られた(p<0.0001)。ESR1の増幅を有する504の乳癌においては、試料の485(96%)におけるERの発現が陽性であった。これらの腫瘍の大部分(78%)が、オールレッド(ハーベイ J.M.(Harvey J.M.)ら(1999年)、J Clin Oncol、17:1474−1481頁)によると最高のERスコア(7〜8)を有した(図3を参照)。それに対し、正常なERコピー数を有する腫瘍が有した、スコア7〜8のERの発現を有する31%の試料を含むER IHC陽性の症例は59%にすぎなかった。
4.実施例4:タモキシフェンで治療された乳癌におけるESR1の改変に対する予後の関連性
4.1 ESR1遺伝子増幅の抗エストロゲン治療に対する応答性への効果について解明を試みるため、タモキシフェンによる治療を受けている患者のサブセットの試料における免疫組織化学(IHC)データおよびFISHデータを併せて分析した。この分析においては、IHCデータをER陰性(オールレッドスコア0〜2)とER陽性(オールレッドスコア3〜8、FISHによる増幅なし)とに分類し、これらの群をESR1の増幅を有する患者のサブセットと比較した(図4)。
4.2 結果
驚くべきことに、ESR1の増幅を有するタモキシフェンで治療された患者の予後は、IHCによりER陽性であってもESR1遺伝子増幅を全く有しない患者の予後よりも有意に良好であった(図4、ESR1増幅対ER陽性:p<0.0001)。この差異は、強い(スコア7〜8)ER陽性を有する腫瘍と増幅を有する腫瘍との間にも見られた(p<0.0001)。単独療法としてタモキシフェンを受けた患者のサブセットにおける乳癌における転帰(腫瘍ステージ、グレード、リンパ節ステージ、ER IHC)の従来の予測因子を含む多変量解析によると、ERの発現ではなくESR1の増幅が患者の予後の独立予後因子(prognosticator)であることが示された(図2B内の表を参照)。これらのデータから、ESR1の増幅により、抗エストロゲン療法に対して良好な臨床応答を示す可能性が最高であるER陽性の乳癌のサブグループが同定されうることが強く示唆される。
5.実施例5:ESR1の増幅と他の分子マーカーとの間の関連性
5.1 共増幅/共発現分析においては、HER2、EGFR、CMYC、MDM2、およびCCND1の遺伝子増幅(アル−クラヤ K.(Al−Kuraya K.)ら(2004年);Cancer Res、64:8534−8540頁)ならびに免疫組織化学的に検出されたp53の発現(トルホルスト J.(Torhorst J.)ら(2001年);Am J Pathol、159:2249−2256頁)に関するデータをESR1の増幅状態と比較した。
5.2 結果
ESR1の増幅は、p53の陽性(p=0.0003)およびHER2の増幅(p=0.0099)に反比例した。それに対し、CCND1の増幅とESR1の増幅との間に正の相関が見られた(p=0.05)。EGFR、CMCY、およびMDM2の増幅状態は、ESR1に対して関連性がなかった。CCND1の増幅との有意な関連性は、免疫組織化学的なER陽性とCCND1の増幅との間での強い関連性を報告する先行試験によるものである(ナイデュ R.(Naidu R.)ら(2002年);Oncol Rep、9:409−416頁;セシャドリ R.(Seshadri R.)ら(1996年);Clin Cancer Res、2:1177−1184頁)。乳房上皮での増殖制御においてERが重要な役割を果たすことに加え、低グレードおよび早期ステージの乳癌におけるESR1の増幅が高頻度であれば、乳癌のサブセットにおける極めて早期の(初期化していない場合の)ERの増幅の役割に十分に整合することになる。
要するに、これらのデータは、ESR1の増幅が乳房上皮細胞における成長制御の回避を可能にする頻発する初期事象であることを示唆する。ESR1の増幅は、抗ER治療から最大限の利益を得る未治療の原発性乳癌の有意なサブタイプを定義する。
6.実施例6:ESR1アンプリコンのマッピング
ESR1アンプリコンのサイズを評価するため、プローブRP11−450E24(ESR1コード配列内でハイブリダイズする;配列情報については上記参照)を用いる、ESR1の増幅を示した乳癌試料のうちの32の試料を有する小さい組織マイクロアレイを作成した。TMAを、ESR1遺伝子のフランキング領域内の配列にハイブリダイズする追加のプローブを用いるFISHアッセイで分析した。具体的には、試料を、ESR1遺伝子の約1Mb上流または1.2Mb下流のいずれかをマッピングするFISHプローブを用いて分析した。プローブの標識およびプローブ結合の評価を、上記の実施例2に記載のように行った。上流プローブ(RP1−44A20)は、配列番号1の塩基位置1で開始し、塩基位置165.000で終結する配列に対応する。下流プローブ(RP11_306013)は、配列番号1の塩基位置2.581.065で開始し、塩基位置2.725.892で終結する配列に対応する。
結果として、上流プローブ(RP1−44A20)の増幅が、4つのESR1が増幅された腫瘍内で見出された。下流プローブ(RP11_306013)の増幅が、1つのESR1が増幅された腫瘍内で確認された。この結果は、ESR1遺伝子の増幅が、配列番号1内に含まれるがESR1コード配列の一部を形成することのないヌクレオチド配列の増幅状態の評価によりアッセイ可能であることを明示した。

Claims (37)

  1. 増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして同定するインビトロ方法であって、
    a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1の前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
    b)配列番号1の前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅される場合、前記腫瘍を抗エストロゲン治療に対して応答性があるものとして分類するステップと、
    を含む、インビトロ方法。
  2. 増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する候補患者を抗エストロゲン治療に適するものとして同定するインビトロ方法であって、
    a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1の前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
    b)配列番号1の前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅される場合、前記患者を抗エストロゲン治療に適するものとして分類するステップと、
    を含む、インビトロ方法。
  3. 前記抗エストロゲン治療がエストロゲン拮抗物質の投与を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記エストロゲン拮抗物質が、タモキシフェン、ラロキシフェン、クロミフェン、トレミフェン、トリロスタンまたはその機能誘導体からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記エストロゲン拮抗物質がタモキシフェンまたはその機能誘導体である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記抗エストロゲン治療がエストロゲン合成に干渉する作用物質の投与を含む、請求項1または2に記載の方法。
  7. エストロゲン合成に干渉する前記作用物質がアロマターゼ阻害剤である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記アロマターゼ阻害剤が、アナストロゾール、レトロゾール、フォルメスタン、エキセメスタンまたはその機能誘導体からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記抗エストロゲン治療がエストロゲン受容体の発現を下方制御する作用物質の投与を含む、請求項1または2に記載の方法。
  10. エストロゲン受容体の発現を下方制御する前記作用物質がフルベストラントまたはその機能誘導体である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記抗エストロゲン治療が単独療法として行われるべきものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記増殖性乳房疾患が、導管過形成、乳頭腫、硬化性腺症、乳腺症、葉状腫瘍、線維腺腫、DCIS、LCISおよびアポクリン化生からなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記増殖性乳房疾患が乳癌である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 乳癌を発症するリスクのある、非癌性増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する個体を同定するインビトロ方法であって、
    a)前記腫瘍由来の細胞試料において、配列番号1の前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅されるか否かについて検出するステップと、
    b)配列番号1の前記ヌクレオチド配列の前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が前記腫瘍細胞の前記ゲノム内で増幅される場合、前記個体を乳癌の発症リスクのあるものとして分類するステップと、
    を含む、インビトロ方法。
  15. 前記ヌクレオチド配列部分が配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列の少なくとも一部を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ヌクレオチド配列部分が配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列内に位置する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かについての検出が、前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列に対してハイブリダイズするプローブを用いるDNA分析を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記プローブが配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする、請求項17に記載の方法。
  19. 前記プローブが検出可能な標識を含む、請求項17に記載の方法。
  20. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するステップがサザンブロッティングを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するステップが蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するステップがPCRを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記PCRでは配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーが用いられる、請求項22に記載の方法。
  24. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するステップが定量PCRを含む、請求項22または23に記載の方法。
  25. 前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するステップが定量リアルタイムPCRを含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記増殖性乳房疾患が、導管過形成、乳頭腫、硬化性腺症、乳腺症、葉状腫瘍、線維腺腫、DCIS、LCISおよびアポクリン化生からなる群から選択される、請求項14〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 請求項1〜26のいずれか一項に方法を実施するためのキットであって、配列番号1の前記ヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列が増幅されるか否かを検出するための手段を含む、キット。
  28. 配列番号1の前記ヌクレオチド配列のヌクレオチド配列部分またはかかる部分に対して少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列にハイブリダイズするプローブを含む、請求項27に記載のキット。
  29. 前記プローブが配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする、請求項28に記載のキット。
  30. 前記核酸ハイブリダイゼーション複合体の前記検出を可能にする、前記プローブを標識するための試薬をさらに含む、請求項29に記載のキット。
  31. 配列番号1の前記配列に含まれる配列を有するPCR産物を生成するためのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、請求項27に記載のキット。
  32. 配列番号1のヌクレオチド位置1048135〜1343855の範囲の前記ESR1コード配列またはその一部にハイブリダイズする少なくとも1つのプライマーを含む、請求項31に記載のキット。
  33. PCRに基づく反応に適する1つもしくは複数のポリメラーゼ酵素、緩衝液、ヌクレオチドおよび/または色素をさらに含む、請求項31に記載のキット。
  34. 増殖性乳房疾患に起因する腫瘍を有する患者を治療するための薬剤の調製における抗エストロゲン化合物の使用であって、ここで前記腫瘍細胞がそのゲノムDNA内に増幅されたESR1遺伝子を有する、使用。
  35. 前記増殖性乳房疾患が乳癌である、請求項34に記載の使用。
  36. 前記抗エストロゲン化合物が、タモキシフェン、ラロキシフェン、クロミフェン、トレミフェン、トリロスタンまたはその機能誘導体からなる群から選択される、請求項34または35に記載の使用。
  37. 前記抗エストロゲン化合物が、アナストロゾール、レトロゾール、フォルメスタン、エキセメスタンまたはその機能誘導体あるいはフルベストラントまたはその機能誘導体からなる群から選択される、請求項34または35に記載の使用。
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