JP2009533655A - リウマチ関節炎の発症のリスク予測システム及び方法 - Google Patents

リウマチ関節炎の発症のリスク予測システム及び方法 Download PDF

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Abstract

最近発症した未分化関節炎を患う個体に関する、リウマチ関節炎の発症の見込みを予測する方法。この方法は、臨床パラメータ値のセットの測定に基づいて、パラメータ値を当該パラメータ値の範囲に関連する所定のリスク値に相関させることにより、リウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するものである。リウマチ関節炎の発症に関するリスクの予測に有用なパラメータ値には、年齢、性別、関節の病状部位、朝のこわばりの長さ、並びに圧痛関節数、及び/又は腫脹関節数と同様に、C反応性タンパク質の血中濃度、リウマチ因子、抗CCP抗体を包含する。この方法はコンピュータによって実行される。本発明は、さらに当該方法を実行するためのコンピュータ、試料分析装置、及びコンピュータプログラムプロダクト、並びにコンピュータプログラムプロダクトを備えたデータ記憶媒体に関する。

Description

本発明は、診断未確定の関節炎、又は未分化関節炎(undifferentiated arthritis;UA)患者で、リウマチ関節炎の発症の見込みを予測する方法に関する。前記方法は、リウマチ関節炎の鑑別診断、又は予測をするようにプログラムされたコンピュータを用いて実行される。さらに本発明は、コンピュータプログラムプロダクト、及びそのデータ記憶媒体に関する。
個々の患者に合わせた治療方針の決定は、最も重要な医療課題の一つである。この目的を達成するために、いくつかの研究では、疾患の転帰を臨床的変数又は遺伝子発現プロフィールに関連付けており、それにより様々な病気(例えば、ホジキン病、リンパ腫など)に関する、臨床医による治療方針の決定を支援する。
ここ10年で、リウマチ関節炎(RA)の治療法は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を服用することで、当該治療方法が関節損傷、及び機能障害を予防するために、より早期な、及びより積極的な治療へと進化している。
最近関節炎を発症し、外来病院を受診する患者は、早期関節炎を有しているとして診察される。これらの患者の一部は、初診時において、最新の関節炎の評価基準に従って分類された病気を患っているかもしれない。例えば、患者はリウマチ関節炎、又は反応性関節炎と直ちに診断される場合がある。反応性関節炎は、ウイルス又は細菌に感染した後に発症する急性型の関節炎であり、数週間〜数ヶ月後に自然消滅し、次の3つの状態、(1)炎症関節、(2)眼の炎症(結膜炎)、(3)泌尿生殖器、尿、胃腸系の炎症を特徴とする。しかしながら、リウマチの診療においては、多くの患者は直ちに分類することができない初期の関節炎で来院し、現在使用されている分類基準では診断することができない早期関節炎と定義される未分化関節炎(UA)を患っているものと見做される。
初診時において、患者がRA又は反応性関節炎と診断されたとき、病気に持続性、又は浸食性があるかどうかを、予測することが容易である。なぜなら、反応性関節炎を患うほとんどの患者は、ほとんどの場合において再発することのない自己限定型疾病経過を患う一方で、ほとんどのRA患者は、持続性及び浸食性疾病経過を有するからである。
UA患者はおよそ40〜50%が、自然に症状が一時的に緩和されるが、その3分の1はRAを発症することが発端コホートの研究によって示されている。UA患者におけるメトトレキサート投与による治療法は、RAへの進行及び関節障害を抑制することが知られている。しかしながら、メトトレキサート及びその他のDMARDに関連する潜在的な毒性のために、自然に症状が一時的に緩和される患者ではない、RAを発症する高いリスクのある患者のみがこれらの医薬品で治療されるべきである。このように、RAを発症する可能性の高い患者のみが有毒性のある治療薬剤に曝されることから、RAを発症する可能性が高いUA患者を予測する方法は極めて有益である。
MorelとCombe(2005、Best Practice & Research Clinical Rheumatology 19:137-146)は、既にUAと診断された患者においてRAの発症に関連する要因又はびらん(erosion)の発生に関連する要因を調査した。この文献は、UA患者がRAを発症するかどうかを判断することが可能な予測モデルを開示していない。
その他の文献で、関節炎の診断結果の予測を可能にする、いくつかの予測モデルが記載されている(e.g. Visser et al., 2002, Arthritis Rheum. 46:357-365; Visser, 2005, Best Practice & Research Clinical Rheumatology 19:55-72)。しかしながら、モデルを構築し有効とするために用いられるコホートは、UAとRAを識別するよりもむしろ、疾患(特に侵食性疾患)の進行度を測定する目的で、UA患者だけでなく、分類された病気(例えば、リウマチ関節炎、反応性関節炎等)の患者も含め全ての早期関節炎患者から構成されている。このように、これらのモデルは、UA患者の鑑別診断を補助することができず、またUA患者においてRAの発症を予測することができない。また上述したように、従前のモデルが予測能力を有していないという欠陥に対処する、UA患者がRAを発症するかどうかを予測する方法が必要である。
Best Practice & Research Clinical Rheumatology 19:137-146, 2005 Arthritis Rheum. 46:357-365, 2002 Visser 他, Best Practice & Research Clinical Rheumatology 19:55-72, 2005, Visser
本発明の第1の態様では、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する方法に関する。より好ましくは、前記方法は以下のステップを含む方法である。
a)個体のために、以下の臨床パラメータ値のうちの少なくとも1つを測定するステップ
i) C反応性タンパク質の濃度
ii)リウマチ因子の有無
iii)抗CCP抗体の有無
b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVAS(ビジュアルアナログスケール)で測定した長さ、触覚過敏関節数、の少なくとも1つを含む、付加的な臨床パラメータ値のセットを測定するステップ、及び腫脹関節数を測定するステップ。
c)ステップ a) と b) により測定されるパラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測するステップ。
方法のステップa)においては、3つの臨床パラメータ値、すなわち臨床的検査値のうちの少なくとも1つが測定される。他の実施形態においては、3つの臨床パラメータ値のうちの2つ、若しくはパラメータ値のうちの3つの全てが測定される。前記パラメータ値は、個体より採取される、体液(例えば、血液)の試料、又は血清若しくは血漿のような血液分画物の試料より、インビドロ(in vitro)で測定される。他の実施形態においてはグループa)の少なくとも1つのパラメータ値とグループb)の少なくとも1つのパラメータ値を用いることにより;グループa)の少なくとも2つのパラメータ値を用いて、グループb)のパラメータ値を用いないで;グループa)のパラメータ値を用いないで、グループb)の少なくとも2つのパラメータ値を用いることにより;予測は、実行される。
測定される3つの臨床パラメータ値のうちの1つは、C反応性タンパク質の濃度である。もう一つの方法として、高感度(HS)CRPの濃度が用いられる。このように、一実施形態において、CRPの濃度が測定される。他の実施形態において、赤血球沈降速度(ESR)はCRPの濃度の測定の代わりに、或いはCRPの濃度の測定と組み合わされて、用いられる。また、一実施形態として、CCP抗体を測定する;CCP1又はCCP3のような、その他のCCP変異に対する抗体も、また用いられる。さらに、抗CCPの陽性又は陰性の測定の代わりに用いられる、抗CCP抗体価の測定が上記ステップa)iii)である。
他の測定すべき臨床パラメータは、IgG、IgM、IgAを含めた任意の抗体型である、リウマチ因子(RF)自己抗体の有無である。一実施形態において、リウマチ因子高抗体(Rheumatoid factor antibody positivity)が評価される。他の実施形態において、リウマチ因子抗体価が測定される。
他の測定すべき臨床パラメータは、環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の有無である。一実施形態において、CCP2抗体が測定される。他の実施形態において、CCP1抗体又はCCP3抗体が測定される。一実施形態において、抗CCP高抗体が測定される。他の実施形態において、抗CCP抗体価が測定される。
一実施形態によると、ステップa)は、個体の試料(例えば、血液試料)の提供、及びi)C反応性タンパク質の血清濃度、ii)リウマチ因子の有無、iii)抗CCP抗体の有無、の少なくとも一つのインビドロでの測定を含む。他の実施形態においては、これらのうちの2つ、若しくはこれらのうちの3つの全てが測定される。加えて、上記のもう一つの測定も、またIg型(赤血球沈降速度、高感度CRP、抗CCP価、CCP1抗体又はCCP3抗体、その他RF抗体)でなされる。
方法のステップb)においては、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数の少なくとも一つを含む、付加的な臨床パラメータ値の少なくとも一つが測定され、及び腫脹関節数が測定される。これらのパラメータ値は、パラメータ値に関係する質問票に関する、患者又は医療関係者の回答によって決定される。このように、パラメータ値は個体の体を測定することを要しない。一実施形態において、朝のこわばりVASは、ビジュアルアナログスケール(0〜100)で評価される。他の実施形態においては、朝のこわばりの程度が用いられる。圧痛関節数及び腫脹関節数として数えられる44の関節の各々に対して、0−1を基準とした評価が実行される。ステップb) において測定される、付加的な臨床パラメータ値のセットは、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、腫脹関節数を包含する。加えて、RA又は他の関節炎の形態に関する、臨床的症状の評価に関する他の有効な手段は、疾患活動性、100mm VAS、100mm VASによる患者の包括的な健康に関する評価、DAS28、DAS44、HAQ、又はDlなどの医師による評価を考慮して、適用される。一実施形態において、予測得点は各々のパラメータ値に関する総リスク値として計算される。臨床パラメータに関する個体のリスク値は、a) 〜 i) における値の、好ましくは50%〜150%までの間、75%〜125%までの間、又は80%〜120%までの間で定義される。
a) C反応性タンパク質が 5 mg/L 未満の場合 0
C反応性タンパク質が 5 〜50 mg/L の場合 0.6
C反応性タンパク質が50 mg/L より多い場合 1.6
b) リウマチ因子が存在しない場合 0
リウマチ因子が存在する場合 0.8
c) 抗CCP抗体が存在しない場合 0
抗CCP抗体が存在する場合 2.1
d) 各々の年齢に対して 0.02
e) 男性の場合 0
女性の場合 0.8
f) 手や足の小関節を含めた場合 0.6
対称性障害である場合 0.5
上肢を含めた場合 0.8
上肢及び下肢を含めた場合 1.3
g) 朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0
朝のこわばりをVASで測定した長さが26〜90mmである場合 1
朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2.2
h) 圧痛関節数が4〜10である場合 0.6
圧痛関節数が10よりも大きい場合 1.2
i) 腫脹関節数が4〜10である場合 0.4
腫脹関節数が10より大きい場合 1
また、予測得点の最大値は、100歳の場合の14である。これらのパラメータ値は回帰係数を示しており、下記のパラメータ値は、上記パラメータ値を概算したものであり、簡略化している。加えて、(例えば、各々の数値を100倍、若しくは年齢を12月表示に変換するなど)等価な評価システムを与える乗数が、用いられる。より好ましくは、臨床パラメータに関する個体のリスク値は、a) 〜 i) における値の、好ましくは75%〜125%までの間、80%〜120%までの間、又は90%〜110%までの間で定義される。
a) C反応性タンパク質が5 mg/L 未満の場合 0
C反応性タンパク質が5 〜 50 mg/L の場合 0.5
C反応性タンパク質が50 mg/L より多い場合 1.5
b) リウマチ因子が存在しない場合 0
リウマチ因子が存在する場合 1
c) 抗CCP抗体が存在しない場合 0
抗CCP抗体が存在する場合 2
d) 各々の年齢に対して 0.02
e) 男性の場合 0
女性の場合 1
f) 手や足の小関節を含めた場合 0.5
対称性障害である場合 0.5
上肢を含めた場合 1
上肢及び下肢を含めた場合 1.5
g) 朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0
朝のこわばりをVASで測定した長さが26〜90mmである場合 1
朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2
h) 圧痛関節数が4〜10である場合 0.5
圧痛関節数が10よりも大きい場合 1
i) 腫脹関節数が4〜10である場合 0.5
腫脹関節数が10より大きい場合 1
また、予測得点の最大値は、100歳の場合の14である。
本発明の方法では、リウマチ関節炎の発症するリスクは、個体の予測得点を、所定の確率分布に従って予測得点に関連するリスクに相関させることによって測定される。任意の所定の確率分布においては、予測得点がおよそ0である場合はリスクがおよそ0.0であることに、予測得点がおよそ6〜8である場合はリスクがおよそ0.5であることに、そして予測得点がおよそ14である場合はリスクがおよそ1.0であることに相関する。所定の確率分布の一例は、図5として図示されている確率分布である。
一実施形態において、ここに記載されている方法は最近発症した未分化関節炎などの、最近発症した関節炎を呈する個体に対して適用される。本明細書において未分化関節炎(UA)は、鑑別診断をするにあたり、例えば、米国リウマチ学会(ACR)の1987年のリウマチ関節炎に関する分類基準 (参照 例 Arnette et al., 1988, Arthritis Rheum. 3Jj 315-324)のような分類基準を利用した鑑別診断ができない関節炎として定義される。最近発症した関節炎を患う個体は、不快感を訴えてから1年未満(好ましくは6月未満)の個体として定義される。
他の実施形態においては、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する方法に関する。前記方法は以下のステップを含む方法である。
a)個体のために、以下の臨床パラメータ値のうちの少なくとも1つのセットをコンピュータに読み込むステップ。
i) C反応性タンパク質の血清濃度
ii) リウマチ因子の有無
iii)抗CCP抗体の有無
b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、触覚過敏関節数、の少なくとも1つを含む、付加的な臨床パラメータ値のセットをコンピュータに読み込むステップ、及び腫脹関節数を測定するステップ。
c)コンピュータに個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測させるステップ。
前記コンピュータは、プロセッサー及びメモリを有し、前記プロセッサーが前記メモリからリードし、及び前記メモリにライトするために実装され、前記メモリが、ステップa) とb) により測定されるパラメータ値を、上記で定義されているような各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測するためのキャパシティを前記プロセッサーに供給するために配列されたデータと命令を含む。
他の実施形態は、上記で定義されたような手段を実行するためのコンピュータである。好ましくは、前記コンピュータは図1として図示されているコンピュータである。前記コンピュータは、プロセッサー及びメモリを有し、前記プロセッサーが前記メモリからリードし、及び前記メモリにライトするために実装され(arranged)、前記メモリが、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する手段、すなわち上述の少なくともa)、b)、c)のステップを含む手段を実行するためのキャパシティを前記プロセッサーに供給するために配列された(arranged)データと命令を含む。一実施形態において、コンピュータは試料の分析データ信号を受信するために、(例えば、血液試料のような体液試料を分析するための)試料分析装置に接続する入力を備え、またプロセッサーは、前記分析データ信号である、i)C反応性タンパク質の血清濃度、ii)リウマチ因子の有無、iii)臨床パラメータとしての前記試料の抗CCP抗体の有無、より測定(判定)するために実装される。プロセッサーは各々のパラメータ値に関する総リスク値としての予測得点を計算するために実装される。もう一つの方法として、上述したように患者の予測得点を、所定の確率分布に従って予測得点に関連するリスクに相関させることによって、個体のリウマチ関節炎の発症に関する予測リスクを測定するために実装される。
さらに別の態様では、上記のコンピュータより構成される試料分析装置を備える。試料分析装置は、体液の試料のための分析装置である。試料分析装置は、血液試料、又は血清、若しくは血漿のような血液分画物の試料のような、体液の試料のための分析装置である。
さらなる別の態様では、本発明はデータ、及び命令を有し、プロセッサーを備えたコンピュータのメモリにロードされるように実装されたコンピュータプログラムプロダクトに関し、前記プロセッサーが前記メモリからリードし、及び前記メモリにライトするために実装され、前記データ、及び命令は未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する手段を実行するためのキャパシティを前記プロセッサーに供給するために実装される。前記手段は少なくとも上記a)、b)、c)のステップより構成される。さらなる態様において、本発明はコンピュータプログラムプロダクトを備えたデータ記憶媒体に関する。
他の実施形態において、患者又は医療関係者は臨床パラメータ値(b)、及びウェブポータルよりデータを入力することにより、一つ以上の臨床検査値(a)を入力し、リウマチ関節炎の発症のリスクの測定結果をウェブポータルより、又は電子メール、ファックス、若しくは普通郵便経由での送付により受信する。
加えて、ESR、HAQ、侵食性の有無のような、その他の臨床パラメータは、CRPと一緒に、またその代わりにアルゴリズムに用いられる。
本発明の実施形態は、全体を通して、同じ参照番号は同じ要素を示す添付図を参照することにより説明する。本明細書の記載の中で使用される用語は、単に発明のある特定の実施形態の詳細な記述と共に用いられるだけであって、任意の制限、又は限定的な方法で解釈されるようには意図されていない。さらに、本発明の実施形態は複数の新規な特徴を含んでも良いが、これら新規な特徴は、いずれも単独で本発明の好ましい属性を与えるものではなく、明細書に記載されている発明を実施するために必須のものでもない。本明細書及び本請求項の中で、動詞 "to comprise"、及びその活用は、当該言葉に続く事項に包含される意味の内容に限定されることなく用いられ、言及されない事項が特に除外されることはない。さらに、不定冠詞の”a”、又は” an”による要素への参照は、要素が一つ以上存在する可能性を否定しない。
後述するように、手段は未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測することを目的とする。当該方法は以下のステップを含む。
a)個体に関する以下の臨床パラメータ値の少なくとも一つを測定
i)C反応性タンパク質(CRP)の血清濃度、若しくは高感度C反応性タンパク質(HS CRP)の血清濃度、又は赤血球沈降速度(ESR)
ii)リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価
iii)抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の有無、又は抗CCP抗体価
b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、触覚過敏関節数、の少なくとも1つから構成される、付加的な臨床パラメータ値のセットの測定、及び腫脹関節数を測定するステップ。
c)ステップ a) と b) により測定されるパラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測するステップ。
ステップa)においては、3つの臨床パラメータ値、すなわち臨床的検査値のうちの少なくとも1つが測定される。他の実施形態においては、3つの臨床パラメータ値のうちの2つ、若しくはパラメータ値のうちの3つの全てが測定される。さらに、グループa)の少なくとも1つのパラメータ値とグループb)の少なくとも1つのパラメータ値を用いることにより;グループa)の少なくとも2つのパラメータ値を用いて、グループb)のパラメータ値を用いないで;グループa)のパラメータ値を用いないで、グループb)の少なくとも2つのパラメータ値を用いることにより;予測は、実行される。前記パラメータ値は、個体より採取される、体液(例えば、血液)の試料、又は血清若しくは血漿のような血液分画物の試料より、インビドロで測定される。
C反応性タンパク質(CRP)は典型的な急性相反応物質であると考えられ、肝細胞の組織損傷、又は炎症に対する調整反応の一部として肝臓で合成される。CRPの濃度は、組織の損傷及び炎症の様々な種類に応じて数倍に増加し、重要な疾患指標と見做される。CRPの濃度を測定するための様々な適切な分析評価は、従来技術として知られている。高感度(HS)CRPは、循環器疾患のリスクを検出するのに用いられるが、HS CRPを用いて測定される濃度のダイナミックレンジは、UA患者において検出することができる。このように、一実施形態において、CRPの濃度は測定される。他の実施形態では、赤血球沈降速度(ESR)は炎症の指標として、CRPの濃度の測定の代わりに、或いはCRPの濃度の測定と組み合わさられて、用いられる。これら他の実施形態は、本発明で説明する方法にもまた用いられる。
測定すべき、もう一つの臨床パラメータは、リウマチ因子(RF)自己抗体の有無、又はRF自己抗体価である。他のアイソタイプ(例えば、IgG型、IgA 型)は本発明で記載される方法において測定されるが、例えば、IgG 型のリウマチ因子は通常IgMクラスの自己抗体であり、リウマチ因子は内因性免疫グロブリンに対する自己抗体である。本願の開示においては、健常者の5%未満において陽性となる、いかなる方法においても、血清RFの異常量を実証することで個体の試料にRFが存在するものとして考慮される。RFの濃度を測定するための適切な検査は、当該技術分野において知られている。一実施形態において、リウマチ因子高抗体が測定される。他の実施形態において、リウマチ因子抗体価が測定される。
他の測定すべき臨床パラメータは、環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体の有無である。例えば、CCPの種類には、CCP1、CCP2、CCP3を包含する。一実施形態において、CCP2抗体は測定される。ELISA法(Immunoscan RA Mark 2 obtainable from Euro-Diagnostica, Arnhem, The Netherlands)において、任意のユニットが少なくとも25である場合、個体からの試料にCCP抗体が有るものと考慮される。抗CCP高抗体に関する適切なテストは、Van VenrooijとVan de Putte(2003, Ned Tijdschr Geneeskd. 147(5): 191-4) により記載されている。一実施形態において、抗CCP高抗体が測定される。他の実施形態において、抗CCP抗体価が測定される。
一実施形態によると、ステップa)は、個体の試料(例えば、血液試料)の提供、及びi)C反応性タンパク質の血清濃度、ii)リウマチ因子の有無、iii)抗CCP抗体の有無、の少なくとも一つのインビドロにおける測定を含む。
方法のステップb)においては、付加的な臨床パラメータ値の少なくとも一つは、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の測定、の少なくとも一つから決定される。これらのパラメータは、パラメータに関係する質問票に関する、患者又は医療関係者の回答によって決定される。このように、パラメータは個人の身体で測定することを要しない。一実施形態において、朝のこわばりをVASで測定するために、患者は朝のこわばりをビジュアルアナログスケール(0〜100)で評価することを求められ、好ましくは、朝のこわばりの持続時間の代わりに朝のこわばりの程度を用いる(Hazes et al, 1993 J Rheumatol 20:1138-42; Vliet Vlieland et al., 1997, J Clin Epidemiol 50:757-63)。圧痛関節数及び腫脹関節数について44の関節数をカウントし、各々に対して、0〜1点の点数をつけた(参照 van Riel et al., 2000; In: "EULAR handbook of clinical assessments in rheumatoid arthritis."; Alphen aan den Rijn, The Netherlands: Van Zuiden Communications; 2000, 10-11)。ステップb) において測定される、付加的な臨床パラメータ値のセットは、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、腫脹関節数を包含する。加えて、医師の疾患活動性(100mm VAS)に対する評価や患者の健康に関する包括的評価(100mm VAS、DAS28、DAS44、HAQ、又はDl)等の、RA又は他の関節炎の形態の臨床的症状の評価に有効な他の手段を適用することができる。一実施形態において、予測得点は各々のパラメータ値に関する総リスク値として計算される。臨床パラメータに関する個体のリスク値は、a) 〜 i) における値の、好ましくは50%〜150%までの間、75%〜125%までの間、又は80%〜120%までの間で定義される。
a) C反応性タンパク質が 5mg/L 未満の場合 0
C反応性タンパク質が5 〜50 mg/L の場合 0.6
C反応性タンパク質が50 mg/L より多い場合 1.6
b) リウマチ因子が存在しない場合 0
リウマチ因子が存在する場合 0.8
c) 抗CCP抗体が存在しない場合 0
抗CCP抗体が存在する場合 2.1
d) 各々の年齢に対して 0.02
e) 男性の場合 0
女性の場合 0.8
f) 手や足の小関節を含めた場合 0.6
対称性障害である場合 0.5
上肢を含めた場合 0.8
上肢及び下肢を含めた場合 1.3
g) 朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0
朝のこわばりをVASで測定した長さが26〜90mmである場合 1
朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2.2
h) 圧痛関節数が4〜10である場合 0.6
圧痛関節数が10よりも大きい場合 1.2
i) 腫脹関節数が4〜10である場合 0.4
腫脹関節数が10より大きい場合 1
また、予測得点の最大値は、100歳の場合の14である。これらのパラメータ値は回帰係数を示しており、下記のパラメータ値は、上記パラメータ値を概算したものであり、簡略化している。加えて、(例えば、各々の数値を100倍、若しくは年齢を12月表示に変換するなど)等価な評価システムを与える乗数が用いられる。上記で示された特定の値が前述の範囲内に収まることが理解されるであろう。ある実施形態において、臨床パラメータに関する個体のリスク値は、a) 〜 i) における値の、好ましくは75%〜125%までの間、80%〜120%までの間、又は90%〜110%までの間で定義される。
a) C反応性タンパク質が 5 mg/L 未満の場合 0
C反応性タンパク質が5 〜 50 mg/L の場合 0.5
C反応性タンパク質が50 mg/L より多い場合 1.5
b) リウマチ因子が存在しない場合 0
リウマチ因子が存在する場合 1
c) 抗CCP抗体が存在しない場合 0
抗CCP抗体が存在する場合 2
d) 各々の年齢に対して 0.02
e) 男性の場合 0
女性の場合 1
f) 手や足の小関節を含めた場合 0.5
対称性障害である場合 0.5
上肢を含めた場合 1
上肢及び下肢を含めた場合 1.5
g) 朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0
朝のこわばりをVASで測定した長さが26〜90 mmである場合 1
朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2
h) 圧痛関節数が4〜10である場合 0.5
圧痛関節数が10よりも大きい場合 1
i) 腫脹関節数が4〜10である場合 0.5
腫脹関節数が10より大きい場合 1
また、予測得点の最大値は、100歳の場合の14である。
現在の方法では、リウマチ関節炎の発症するリスクは、患者の予測得点を、所定の確率分布に従って予測得点に関連するリスクに相関させることによって測定される。任意の所定の確率分布においては、予測得点がおよそ0である場合はリスクがおよそ0.0であることに、予測得点がおよそ6〜8である場合はリスクがおよそ0.5であることに、そして予測得点がおよそ14である場合はリスクがおよそ1.0であることに相関する。所定の確率分布の一例は、図5として図示されている確率分布である。
一実施形態において、本明細書に記載されている方法は、より好ましくは最近発症した未分化関節炎などの、最近発症した関節炎を呈する個体に対して適用される。
他の実施形態においては、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する方法を提供する。前記方法は以下のステップを含む方法である。
a)個体のために、以下の臨床パラメータ値のうちの1つのセットをコンピュータに読み込むステップ。
i) C反応性タンパク質の血清濃度
ii) リウマチ因子の有無
iii) 抗CCP抗体の有無
b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、触覚過敏関節数、の少なくとも1つから構成される、付加的な臨床パラメータ値のセットをコンピュータに読み込むステップ、及び腫脹関節数を測定するステップ。
c)コンピュータに個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測させるステップ。
前記コンピュータは、プロセッサー及びメモリより構成され、前記プロセッサーは前記メモリからリードし、及び前記メモリにライトするために実装され、前記メモリが、ステップa)とb)により測定されるパラメータ値を、上記で定義されているような各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個々のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測するためのキャパシティを前記プロセッサーに供給するために配列されたデータと命令を含む。
図1は本明細書において記載される、一又は複数の実施形態で用いられるようなコンピュータ10の実施例の概略図を示している。図1に例示しているように、コンピュータ10は算術演算を実行するためのプロセッサー12を有する。プロセッサー12は、テープ装置13、ハードディスク14、リードオンリーメモリ(ROM)15、イーイーピーロム(電気的にプログラム内容を消去、及びプログラム可能なROM)(EEPROM) 16、ランダムアクセスメモリ(RAM)17のような、命令とデータを格納したメモリユニットに接続される。プロセッサー12は、キーボード18、及びマウス19のような一又は複数の入力デバイス、ディスプレイ20、及びプリンター21のような一又は複数の出力デバイス、フロッピー(登録商標)ディスク23、又はCD ROM24を読み込む一又は複数の読み取り装置22にまた接続される。ある実施形態においては、コンピュータシステム10はプロセッサー12によって読み込み可能かつ実行可能なプログラムラインを有する。
図1に示されているコンピュータ10は、コミュニケーションネットワーク27を介して、他のコンピュータシステム(図示されていない)に接続されるように配置された入出力デバイス(I/O)26をまた有する。図1の例示的実施形態において、試料分析装置32はネットワーク27とデータ通信する。図1の実施形態において、ローカル試料分析装置30はコンピュータ10に隣接するように位置し、リモート試料分析装置32は、コンピュータ10より離れたところに位置し、ネットワーク27を介してコンピュータ10と通信する。いくつかの実施形態においては、多数の試料分析装置30、32がコンピュータ10と通信する。例えば、一実施形態において、当該システムはローカル試料分析装置30を包含せず、複数のリモート試料分析装置32を有する。
図1の実施形態において、サーバー40はまたネットワーク27とデータ通信する。いくつかの実施形態においては、サーバー40は試料分析装置30、32より受信したデータを格納し、コンピュータ10に前記データを提供する。他の実施形態においては、サーバー40、及び/又は試料分析装置30、32は、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するために、例えば、以下に記載するシステムと方法を用いるなどして、試料分析装置30、32によって測定されたデータについて演算を実行するように構成される。リウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するために、演算処理するデバイスとしてのコンピュータ10を以下で説明する。一方、試料分析装置30、32、又はサーバー40のような、その他のコンピューティングデバイスは、これらの演算を実行し、リウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するために構成される。
一実施形態において、コンピュータ10は、ウェブブラウザーのようなディスプレイデバイス20で表示される、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、情報、及びサーバー40において実行されるソフトウェアにアクセスする。本実施形態において、コンピュータ10は、サーバー40に格納され、試料分析装置30より提供されるデータを、例えば医師などにより、閲覧するためのインターフェースを提供する。一実施形態において、ディスプレイデバイス20で表示されるユーザーインターフェースは、ネットワーク27を介して、試料分析装置30より受信されたデータを包含する。
一実施形態において、コンピュータ10は図1に図示されているよりもより多くの及び/又は他のメモリユニット、入力デバイス、読み取りデバイスの、全て又はいずれかを有する。さらに、それらの一又は複数のデバイスは、必要に応じて、プロセッサー12より物理的に離れた位置に設置される。典型的なプロセッサー12は一つのボックスとして図示されているが、当業者においては周知のように、並列に処理されるプロセッシングユニット、又は互いに離れたところに位置する一つのメインプロセッサーユニットによって制御される幾つかのプロセッシングユニットを有する。
図1に示されている、全ての接続は物理的な接続として図示されているが、これらの一又は複数の接続は、無線接続としてもよい。接続ユニットは、何らかの方法で、互いに通信するように配置されることを示しているに過ぎない。
コンピュータ10はコンピュータシステムとして示されるが、アナログ、及び/又はデジタルの信号処理システム、及び/又は本明細書において記載された機能を実行するために実装されたソフトウェアテクノロジーとして機能する。
コンピュータ10に関する、上記の詳細な説明は、パーソナルコンピュータ、サーバー、ラップトップ型パソコン、携帯情報端末(PDA)、パームトップなどの数種類の装置に関して言及している。これらの装置の全ては、異なる種類のコンピュータシステムである。
メモリユニット13、14、15、16、17は、プロセッサー12によって読み取り可能、かつ実行可能なプログラムラインを有する。プログラミングラインは、下記の一又は複数の方法を実行するための機能を、コンピュータ10に提供するようなものである。
上記のように、コンピュータ10は通信リンクによって、試料分析装置30、32に接続される。試料分析装置30、32は、個体の血液試料、その他の生体試料を受けるように実装され、血液試料に関する測定を実行する。試料分析装置30、32は、例えば、i)C反応性タンパク質の血清濃度、ii)リウマチ因子の有無、及び/又はiii)抗CCP抗体の有無などの臨床パラメータ値のセットを血液試料より測定するように実装される。
図1の実施形態において、例えば、上記のパラメータi)〜 iii)のような臨床パラメータのセットに関する臨床パラメータ値を測定するために、試料分析装置30、32より、血液試料の測定に関するデータ信号を受信するようにコンピュータ10が実装される。一実施形態において、コンピュータ10と試料分析装置30との接続は、直接に有線、若しくは無線接続32を介して、又はネットワーク27を経由するような、有線、及び/又は無線双方向通信リンクを有する。もう一つの方法として、臨床パラメータ値が異なる試料分析装置によって測定される場合において、コンピュータ10は異なる試料分析装置30に対して各々、接続するように複数の接続を、また有する。
コンピュータ10は、試料分析装置30、32によって測定される臨床パラメータの少なくとも一つを読み取り、少なくとも一つの臨床パラメータをメモリユニット13、14、15、16、17に格納するために実装される。
メモリ13、14、15、16、17、キーボード18及びマウス19のような入力デバイス、又は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク23、又はCD ROM24等を読み込む一又は複数の読み取り装置22からの、少なくとも一つの臨床パラメータを読み込むことによって、コンピュータ10は臨床パラメータの少なくとも一つを、また測定する。
コンピュータ10は、例えば、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の少なくとも1つを含む、付加的な臨床パラメータ値のセットを受信するために、さらに実装される。他の実施形態においては、より少ない又は追加の臨床パラメータがコンピュータ10により受信され、リウマチ関節炎の発症の予測リスクを策定するために使用される。一実施形態において、付加的な臨床パラメータ値はグラフィカルユーザーインターフェース、すなわちディスプレイデバイス20に表示される情報に応じて、例えば、キーボード、及び/又はマウスのような、一又は複数の入力デバイスを用いて、コンピュータ10に入力される。例えば、グラフィカルユーザーインターフェースは、ユーザーに複数の臨床パラメータ値の各々の入力を促すように環境が設定される。一実施形態において、入力された臨床パラメータ値の各々は、リウマチ関節炎発症の予測リスクを測定するために用いられる。他の実施形態において、選択された臨床パラメータ値はリウマチ関節炎発症の予測リスクを測定するために用いられる(本明細書において、「予測リスク」と称する)。一実施形態において、グラフィカルユーザーインターフェースに入力され、コンピュータ10によって処理される臨床パラメータ値の数が増加すると予測リスクの信頼性も向上する。このように予測リスクがわずか2つの臨床パラメータ値に基づいて決定されるが、予測リスクを決定する際に付加的な臨床パラメータ値が受信され、検討されると、予測リスクの信頼度は向上する。
一実施形態において、コンピュータ10はメモリ13、14、15、16、17、キーボード18、及びマウス19のような入力デバイス、又は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク23、又はCD ROM24等を読み込む一又は複数の読み取り装置22からの、付加的なパラメータ値を読み込むように実装される。
上記のように、コンピュータ10は、少なくとも2つの臨床パラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するために実装される。コンピュータ10により、ディスプレイ20、及びプリンター21のような、一又は複数の出力デバイスを使用することで、予測リスク値を出力する。コンピュータ10は、ネットワーク27経由で、他のコンピュータシステム(図示されていない)に予測リスク値を送信するために、また実装される。
一実施形態において、予測リスクはリモートコンピューティングシステムに送信され、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、ユーザーに表示される。他の実施形態においては、予測リスクは電子メールを利用して、患者、医師、及び/又は他のコンピューティングシステムに送信される。別の実施態様においては、個人及び/又は医師に、ファクシミリで送信又は印刷して送付する。ある実施形態において、各々の臨床パラメータ値に関連したリスク値と患者に関する総リスク値が、コンピュータ10より別のコンピューティングデバイスに、また送信される。一実施形態において、予測リスク値はサーバー40に格納され、個体及び医療関係者のような、予測リスクを閲覧するための、正当な権限を有するユーザーにアクセス可能とする。
図2は、本発明の実施形態に従って、コンピュータ10、又は他のコンピューティングデバイスにより実行される、フローチャートの順序を図式的に示している。実施形態に応じて、以下に記載されている特定の動作が除外されたり、その他の動作が追加されたり、また動作順序が変更される。
最初の動作100において、コンピュータ10は処理の実行を開始する。当該動作は、例えばディスプレイデバイス20に表示されるグラフィカルユーザーインターフェースに、ユーザーが入力することにより始動する。
次の動作101においてコンピュータ10は、試料分析装置30、32を使用して、少なくとも臨床パラメータの一つを測定する。当該動作は、101a)プロセッサー12が、試料分析装置30、32に対して、血液試料の測定値に関連するデータ信号を、プロセッサー12に出力するように要求するステップ、101b)プロセッサー12がデータ信号を受信するステップ、101c)プロセッサー12が(任意で)測定値に関連するデータ信号をメモリ13、14、15、16、17に格納するステップを含む。好ましい実施形態において、試料分析装置30、32から受信されるデータ信号は、各々の一又は複数の臨床パラメータに関連するパラメータ値、例えば、血液試料におけるC反応性タンパク質の血清濃度、血液試料におけるリウマチ因子の有無を示すようなパラメータ値を含む。一実施形態において、動作101a)は、例えば、上記 i)〜 iii)の臨床パラメータに関する臨床パラメータ値など、臨床パラメータ値のセットの測定に関連する、血液試料に関する特定の測定を実行するように、プロセッサー12は試料分析装置30、32に要求する動作を、また含む。
次の動作102において、プロセッサー12は、一又は複数の上述した入力デバイス、あるいはメモリ13、14,15、16、17に既に格納されている関連データを使用して、付加的な臨床パラメータ値の少なくとも一つを測定する。上述したように、付加的な臨床パラメータ値は、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、コンピュータ10のようなコンピューティングデバイスに入力される。一実施形態において、付加的な臨床パラメータ値は、個人からのコメントに応じて、介護士によってコンピュータ10に入力される。他の実施形態においては、ユーザーインターフェースは、個体が当該方法に使用する付加的な臨床パラメータを入力することができるように、コミュニケーションネットワーク上のコンピュータを介して個体が利用することができる。
更なる動作103において、コンピュータ10は、上記、動作101及び102において測定される、臨床パラメータ値及び付加的な臨床パラメータ値の少なくとも2つの各々を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることによって、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定する。これらのリスク値は、個体の総リスク値を測定するために、組み合わせられる。最終的に、総リスク値は、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクに関連付けられる。一実施形態において、各々の臨床パラメータ値に関する値の範囲を特定のリスク値に関連付ける。他の実施形態において、特定の臨床パラメータに関するリスク値は、各々の臨床パラメータに関する特定の方式に従って測定される。一実施形態において、総リスク値は、臨床パラメータ値に関連する各々のリスク値の合計である。他の実施形態において、総リスク値は、一部のリスク値のみを用いることによって計算される。
一実施形態において、総リスク値の範囲は、個体がリウマチ関節炎を発症する予測リスクに各々関連付けられる。総リスク値の範囲数、及び当該範囲に関連する予測されるリスクの精度は、アプリケーションに依存して変動する。例えば、一実施形態において、2つの総リスク値範囲のみが用いられ、第一の範囲内にある総リスク値が、個体がリウマチ関節炎を発症する可能性があることを示す予測リスクに関連付けられ、第二の範囲内にある総リスク値が、個体がリウマチ関節炎を発症しない可能性が高いことを示す予測リスクに関連付けられる。他の実施形態において、総リスク値がリウマチ関節炎の発症するリスクを低、中、高とするような、3つの予測リスクの1つに関連付けられる。他の実施形態において、総リスク値が、例えば、5、10、15,20等のいくつかの予測リスク得点に、各々関連付けられる。一実施形態において、予測リスク得点が、個体がリウマチ関節炎を発症する一定の確率として表せられる。一実施形態において、予測リスクは総リスク値が因数となる公式に基づいて測定される。本実施形態において、各々の総リスク値が異なる予測リスクとなるときには、総リスク値範囲は必要ではない。
一実施形態において、パラメータ値、又はパラメータ値の範囲に関連付けられた所定の予測リスク値は、メモリ13、14、15、16,17に格納され、プロセッサー12によってメモリ13、14、15、16、17から読み出され、又は上記のように入力デバイスを使用することにより読み出される。
次の動作104において、ディスプレイ20及びプリンター21のような一又は複数の出力デバイスを使用することによって、又は電子メール、若しくは他のユーザーにアクセス可能なサーバーに予測リスクを格納することにより、他のコンピュータシステム(図示されていない)に計算された予測リスクを送信することによって、コンピュータ10は個体に関するリウマチ関節炎の発症する、計算された予測リスクを出力する。また、コンピュータ10は、計算された予測リスク、及び/又はリスク値と当該総リスク値を、メモリ13、14、15、16,17、又はサーバー40に格納してもよい。
動作105において、処理の実行は終了する。必要に応じて、処理は再度処理を実行するように、動作101において再開される。
さらなる実施態様によると、試料分析装置30、32、及び/又はサーバー40は、図2に記載されている処理を実行するように構成されたコンピュータ10に関連する、上述したようなコンポーネントを備えたコンピュータを有する。このように、一実施形態において、試料分析装置30、32、及び/又はサーバー40は、上記で測定された少なくとも2つの臨床パラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体がリウマチ関節炎を発症する予測リスク得点を計算することができる。
図3は、各々の臨床パラメータに関するパラメータ値の範囲に関連付けられたリスク値を例示した表300である。図3の実施態様では、リスク値は各々9つの臨床パラメータに関連付けられている。他の実施形態において、多かれ少なかれ臨床パラメータはリスク値に関連付けられる。表300はメモリデバイスに優先的に格納され、リストされているパラメータのいずれかに関するリスク値を測定するためにコンピュータ10によってアクセスされる。表300は、コンピュータ10のメモリに、サーバー40、又は試料分析装置30、32において格納される。他の実施形態において、表300は、下記、図4に示されているような、印刷、又はグラフィカルユーザーインターフェースで閲覧される、ワークシート・フォーマットに変換される。
図3の実施態様において、1列目310は臨床パラメータを、2列目320は各々の臨床パラメータに関連する、想定されるパラメータ値を、3列目330はパラメータ値の各々の範囲に関連するリスク値をリストしている。一実施形態において、各々の、個体に割り当てられるリスク値は、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクに関連する、総リスク値を測定するために合計される。下表は、個体Aと個体Bの2つの個体に関する例示的パラメータ値及び表300を用いて個体に割り当てられる関連するリスク値である。
Figure 2009533655
Figure 2009533655
上表に示されるように、個体Aの総リスク値が7.5、一方、個体Bの総リスク値は10となっている。一実施形態において、総リスク値が高いと、リウマチ関節炎を発症するリスクも高いことを示している。従って、本実施形態においては、個体Bは個体Aよりもリウマチ関節炎を発症する可能性が高い。また一方で、他の実施形態においては、リスク得点の合計が低いと、リウマチ関節炎を発症するリスクが低いことを示している。
より詳細に以下で記載するように、これらの総リスク値は、個体に関するリウマチ関節炎を発症する、対応する予測リスクに各々関連付けられる。一実施形態において、個体に関する各々のパラメータ値は、グラフィカルユーザーインターフェースを介したコンピュータ10等のコンピューティングデバイスに入力され、コンピューティングデバイスは、例えば、メモリに格納されている表300にアクセスすることによって各々のパラメータ値に関連するリスク値を測定する。下記、図4に関する実施形態において、ユーザーは、特定のパラメータ値に関連するリスク値を手動で選択し、総リスク値を計算する。
図4は、臨床パラメータ値を記録し、リスク値を各々の臨床パラメータ値に関連付けるために使用される、チェックリスト400を例示している。図4の実施形態において、例えば、医師のようなユーザーは、患者に関するチェックリスト300にある情報を記録し、特定のパラメータ値に関連付けられたパラメータ値の各々に対してリスク値を割り当てる。図3及び図4の実施形態において、特定のパラメータは、各々のパラメータに関連付けられた特定のリスク値と同様に、個体の総リスク値を測定するために用いられる。また一方で、他の実施形態において、総リスク値を測定するために用いるパラメータは、より少なくても又はより多くてもよい。加えて、パラメータ値に関連付けられたリスク値は、個別の実施に左右されて高くも低くもなる。例えば、図3にリストされているパラメータの一部のみを用いる実施形態においては、特定のパラメータ値に関連付けられたリスク値は調整される。
図5は、総リスク値の関数として、リウマチ関節炎の発症の予測リスクを図示したグラフである。図5の実施形態において、縦軸は個体に関するリウマチ関節炎の発症の予測リスクを示しており、一方横軸は個体の総リスク値を示している。このように、総リスク値は図5のグラフを用いて、予測リスクに関連付けられる。例えば、上記図3の個体Aに関する、7.5という総リスク値が計算された。図5のグラフを使用することにより、個体Aの予測リスクが約60%と割り当てられる(点510における交点を参照)。一実施形態において、60%の予測得点は、個体がリウマチ関節炎を発症する可能性が60%であることを示している。再度、図5のグラフを用いて、個体Bは総リスク値として10を割り当てられたが、これは約90%の予測リスクに対応する(点520における交点を参照)。このように、本実施形態において、個体Bのリウマチ関節炎の発症する確率が約90%であることを示している。
一実施形態において、例えば図5において図示されているデータのような、予測リスクデータは、総リスク値を予測リスク値に変換するアルゴリズムとして表される。本実施形態において、一度総リスク値が測定されると、アルゴリズムは総リスク値を、個体がリウマチ関節炎を発症する予測リスクの割合に自動的に変換する。一実施形態において、各々のパラメータ値がコンピュータ10によって入力され、又は受信されると、アルゴリズムは予測リスクを計算する。他の実施形態において、コンピュータ10は、各々のパラメータ値の入力後に予測リスク得点を測定するためのアルゴリズムを実行するように構成される。従って、パラメータ値を入力する医師又はユーザーが、追加のパラメータ値をコンピュータ10に入力した際の予測リスクの変化を見ることができる。
図6は予測リスク得点と関連する総リスク値を格納した表600である。図6の実施形態において、総リスク値が4より小さい場合は予測リスク得点が“低”と関連付けられ、個体がリウマチ関節炎を発症する予測リスクが低いことを示している。本実施形態において、総リスク値が10より大きい場合は予測リスク得点が“高”と関連付けられ、一方総リスク値が4〜10の範囲にある場合には予測リスクが“中”と関連付けられる。
予測リスク得点は例示であり、後述のシステムと方法とともに使用される、予測リスク得点の範囲を制限することを目的としていない。例えば、ある実施形態において、予測リスク得点は百分率のような数値である。他の実施形態において、予測リスク得点は、例えば、Aはリウマチ関節炎を発症するリスクが非常に低いことを、Fはリウマチ関節炎を発症するリスクが非常に高いことを示す、A〜Fまでの等級を個体に付与するような、等級分けをすることと類似している。他の実施形態において、予測リスク得点のその他の類型は総リスク値に関連付けられ、個体に提供される。
下記は、パラメータ値をリスク値に、及びそれに関連する総リスク値を適切な予測リスク得点に関連付けるための特定のモデルの開発に関する記載である。以下の臨床試験データは、上記のモデルを作成する方法の例示として提供されるものであり、同様のモデルを開発するために用いられる他の方法、又はモデルに用いられるパラメータ、リスク値、若しくは予測リスク得点などを限定的なものとして意図するものではない。
一実施形態において、予測リスク得点モデルとして、最近関節炎を発症した患者1900名以上の患者からなり、そのうち約1700名について少なくとも1年の追跡調査を完了しているLeiden Early Arthritisクリニックでの発端コホートのものを用いた。当該コホートは、オランダの、居住者が400,000名以下の医療地域にある、リウマチに関する唯一の施設である、ライデン大学メディカルセンターのリウマチ科で1993年に開始された。関節炎が疑われた場合、患者を直接差し向けるように一般の開業医に推奨した(健康診断で関節炎が明らかになった患者も含まれた)。初診の際に様々な変数が収集された。リウマチ専門医は、種類、関節初期症状の位置及び分布、症状のある期間、並びに初期病状の経過のような、患者により報告されているような初期症状に関して、問い合わせのあった質問に回答した。喫煙歴及び家系が査定された。患者は、ビジュアルアナログスケール(0〜100)で朝のこわばりを評価された。本研究では、朝のこわばりの程度のほうが識別子として適しているため、朝のこわばりの期間の代わりに朝のこわばりの程度を用いた。健康状態質問票(HAQ)により、障害のインデックスが作成された。圧痛関節及び腫脹関節に関する44の関節数をカウントし、各々の関節を0〜1点で評価した。中手指節関節及び中足趾節関節(MTP)の圧迫痛が記録された。赤血球沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質(CRP)、IgMリウマチ因子(RF、ELISA)、及び環状シトルリン化ペプチド2(CCP)に対する抗体を測定するために基準血液試料を回収した(ELISA, Immunoscan RA Mark 2, Euro-Diagnostica, Arnhem, The Netherlands)。抗CCP抗体陽性率のカットオフレベルは、25任意単位であった。手、及び足のレントゲン写真を作成し、Sharp - van der Heijde 法に従って、評価した。
570名の患者がACRの基準に従って分類され得ない関節炎を罹患していると診断され、未分化関節炎(UA)として確認された。1年の追跡調査後、全UA患者について、ACRの基準に従ってリウマチ関節炎又はその他の病気を発症したか否かを測定するために検査した。発端コホートのデザインが固有なために、追跡調査の期間は調査対象である個体範囲において、及び分析時期(2005年7月)において相違した。UA患者の多数(94%)について、1年以上(平均追跡調査期間:8年、SD=3年)の追跡調査を行った。
最近発症したUA患者で、メトトレキサート、又はプラシーボのいずれかを服用する、二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験においてプラセボ群に包含された患者(n=55)は検証のために用いられた。EACコホートにもまた包含された、UA患者を除外すると、36名が未分化関節炎単独の患者となった。これらのうちの2名は、追跡調査が不能となった。各々の患者に関する、基準値からの進行得点(progression score)が計算され、1年の追跡調査後のリウマチ関節炎の発症が評価された。
リウマチ関節炎を発症した、又は発症しなかった未分化関節炎の患者は名義変数に関するχ2乗(カイ二乗)検定、及び連続変数に関するスチューデントt 検定を使用することにより比較された。罹患期間が分類された。その後に、全ての臨床変数は、1年の追跡調査での病気の診断結果(リウマチ関節炎、又はリウマチ関節炎ではない)を従属変数として、ロジスティック回帰分析において予想される説明変数として入力された。後退的選択手順を使用することにより、削除基準を p > 0.10 として、最も重要な独立変数が特定された。ロジスティック回帰モデルでは、RAの発症が予測される可能性は、予測指標(Bl*xl+B2*x2+B3*x3・・・Bk*xk)による共変量に関係する。共変量のB(回帰係数)は、関連する変数の予測能力の相対的な大きさを推定値として示している。各々の被検者に関する、リウマチ関節炎の発症する可能性が予測指標を用いて計算された。連続変数(年齢、VAS値、圧痛関節数、腫脹関節数、CRP)に関する効果は連続変数及び分類された変数の双方より検討された。対応する回帰係数が類似した場合、カテゴリーを統合した。VASで測定した朝のこわばりに関するデータは160名の被検者、抗CCP抗体に関するデータは64名の被検者、罹患期間に関するデータは22名の被検者で不足していた。ロジスティック回帰分析から、これらの被検者が除外されることを回避するために、中央値が補定された。8名の患者に関しては、次の変数(リウマチ因子(n=1)、CRP (n=1)、圧痛関節数 (n=5)、腫脹関節数(n=4))の一又は複数が不足していたために、多変数回帰分析は562名のUA患者のデータを用いることにより実施された。
簡易的な予測ルールを設定するために、予測変数の回帰係数は、 .5又は .0で終了し、 .5又は .0の近い方の数になるように概算して加重点(weighted score)を得、その後に独立予測変数を合計した。計算された総リスク値は、リウマチ関節炎へと進行したことが観察された割合と比較された。総リスク値のカットオフ値のいくつかについて陽性及び陰性予測値を測定した。診断能力を評価するために、受診者動作特性(ROC)曲線が構成された。ROC曲線下の面積(AUC)は、モデルの総合的、特徴的な能力に関する評価基準を提供した。妥当性確認として、交差検定が過剰適合に関する制御のために実行された。交差検定は予測状況を模倣し、各々の観察のために他の(n−1) の観察結果に基づいた総リスク値を得る。モデルを有効にするために、ROC曲線を外部の検証コホートと同様に交差検定予測を使用して作成した。
UA患者570名のうち、177名の患者が追跡調査期間の一年目にリウマチ関節炎を発症し、94名の患者がその他のリウマチ性疾患を発症し、149名の患者が分類されない状態のままであり、また、150名の患者がDMARDを服用せずに炎症がなかったことから、外来受診が不要となることによって定義付けられる臨床的寛解期となった。他のリウマチに関する病気の患者、未分化関節炎の患者、寛解状態にある患者を非RAグループ(n=393)としてまとめた。
RAを発症した、及び発症しなかったUA患者の特性は、表1において比較される。単変量解析において、喫煙以外の全ての変数はRAの進行に著しく関連していた。
Figure 2009533655
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ロジスティック回帰において、RAの発症に関する独立予測変数である、年齢、性別、患部関節の位置(小/大関節、対称性/非対称性、上肢/下肢)、朝のこわばり、圧痛関節数及び腫脹関節数、CRP濃度、RF、及び抗CCP抗体の分析が行われた(表2)。得られたモデルは説明変数(Nagelkerke R)の割合として0.57を有することなり、カットオフ値として予測確率が0.5とされたとき、患者の83%を正確に予測した。簡易化した総リスク値に関する係数は、表2に記載されている。このように、一実施形態において、コンピューティングデバイスは表2に示されている係数を用いて、個体の総リスク値を決定する。
図4に関して上述したように、ワークシートは複数のリスク値より、総リスク値を計算するのに用いられる。図4の実施形態では、総リスク値は0から14までの範囲にあり、値が高くなるほどRAを発症するリスクが高くなる。各々のUA患者に関して、総リスク値が計算された。この研究において、総リスク値が3以下である全てのUA患者は1年の追跡調査期間でRAが進行せず、総リスク値が11以上の全てのUA患者は同期間内においてRAが進行することとなった。中間得点(4〜10)を有する患者では、得点が高くなるにつれRAに進行する頻度が高くなった。以下の表3は、総リスク値の幾つかのカットオフ値に関する、RAが進行した患者の百分率を示している。例えば、5.0と9.0がカットオフ値として選択された場合、得点が5.0以下のUA患者の97%がRAを発症することはなく、得点が9.0以上のUA患者の84%でRAが進行した。カットオフ値が6.0と8.0であった場合、得点が6.0以下のUA患者の91%がRAを発症することがなく(陰性予測値91%)、得点が8.0以上のUA患者の84%がRAの進行に該当した(陽性予測値84%)。これらのカットオフ値に関して、145名のUA患者(25%)は6.0〜8.0の得点を有しており、これらの患者に関して充分な予測がなされないことを示していた。1年の追跡調査後に、25%のUA患者はRAに関する1987年のACR基準を充足しなかったが、その後の疾病経過でRAを発症した。これらの患者は、総リスク値の中央値である5.7(四分位範囲4.8〜6.2)を有し、当該値は1年間の追跡調査でRAを発症した、及び発症しなかった、UA患者の得点の間にある(各々、中央値 7.7、四分位範囲 6.6〜8.8、及び中央値 4.6、四分位範囲 3.3〜5.9)。
Figure 2009533655
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ロジスティック回帰モデルの識別能力及び予測ルールは、ROC曲線で評価された。いずれもAUCの0.89(SE0.014)を有する。ロジスティック回帰モデルのAUC、及び予測ルールが同等であるという結果は、ロジスティック回帰モデルからの予測ルールの導出において、識別能力における損失は含まれなかったことを示している。
交差検定は、過剰適合を調整するために用いられた。手順は他の患者コホートを用いて作成したモデルに基づいて、各々の患者に関する、RAを発症する可能性を作成した。交差検定予測のAUCは総リスク値のAUCである0.87とほとんど等しく、0.87(SE 0.015)は過剰適合が主要な問題ではないことを示している。
検証コホートにおいて、UA患者の47%は1年の追跡調査後にRAが進行した。RAが進行したUA患者は総リスク値の中央値として8.0を有し(四分位数6.1〜9.1)、RAを発症しなかった患者は総リスク値の中央値として4.6を有した(四分位数3.5〜5.5)。総リスク値が6.0以下の患者の94%はRAが進行せず、RAの発症は総リスク値が6より大きい患者の83%で観察された。8.0以上の得点を有する全ての患者はRAが進行し、8未満の患者の78%はRAを発症しなかった。検証コホートのAUCは、0.97(SE 0.024)であった。
現在のRAの治療に関する根拠が、RAに関する1987年のACR基準を充足する患者を用いた、多数の試行に基づいているため、これらの基準の要件を結果に使用した。例えば、病気の持続と緩和などの、別の成果測定が検討される。しかしながら、ACR基準の要件を結果に使用すると、ACR基準の項目が予測変数としての結果を想定しているために誤差が生じる。また一方で、複数の研究では、ACR基準自体がUA患者において低い識別能力を有することを示しており、現在の予測ルールの変数の一部のみがACR基準に含まれる項目となっている。長期にわたる/持続的な病気(平均罹患期間:8年)を患うRA患者に基づいて、ACR基準が公式化され、また、これらの患者において、報告された寛解率は低い(10〜15%)ので、結局、予測ルールの結果が、RA診断結果、又は疾患の持続性であるかどうかについては、おそらく大きな差異はない。
UA患者がRAの進行を妨げる薬を用いて治療されていた場合、誤った分類が生じていた可能性がある。誤った分類のケースにおいて、通常においてはRAが進行した患者は、現状非RAとして分類される。誤って分類された、恐らくRAを発症しやすいような総リスク値の高い、患者の除外は現在の予測ルールの識別能力を向上させることに帰着する。
ある実施形態において、総リスク値の陽性及び陰性予測値は、選択されたカットオフ値のレベルに依存する。上位と下位のカットオフ値が8.0と6.0であった場合に、対応する陽性予測値と陰性予測値は各々、84%と91%であった。元のコホートにおいて、25%の患者は総リスク値が6.0〜8.0の間にあって、これらの患者はRAを発症する可能性、若しくは発症しない可能性が同程度であった。検証コホートにおいては、総リスク値はより良く判別された;総リスク値が8.0以上である、患者の100%がRAを進行することとなり、総リスク値が6.0以下である、患者の94%がRAを発症しなかった。
前述の説明は、本発明の実施の形態について詳述している。明細書において、記載した内容がどんなに詳細な内容であったとしても、本発明は多くの方法で実施することが可能であることを理解されるであろう。さらに上述されているように、本発明の任意の特徴又は態様を記載するとき、特定の専門用語の使用は、特定の特徴、又は当該用語に関連する発明の態様を包含することを制限するために、明細書において再定義されることを、意図しているわけではないことに留意すべきである。発明の範囲は、添付した特許請求の範囲及び任意の均等な内容に従って解釈される。
図1は、一又は複数の実施形態で用いられる、コンピュータの実施例を図示したものである。 図2は、本発明の実施形態に従って、図1のコンピュータによって実行される手順をフローチャートで図示したものである。 図3は、いくつかの臨床パラメータに関するパラメータ値の範囲に関連する、リスク値を格納した表を例示したものである。 図4は、特定のパラメータ値に関連するリスク値を計算するために用いられる書式を例示したものである。 図5は、総リスク値の関数として、リウマチ関節炎を発症する予測リスクを示したグラフである。 図6は、予測リスク得点に関連した、総リスク値の例を格納した表を例示したものである。
[参考文献]
以下の参考文献の各々は、全ての目的において、それら全体で参考として組み込まれる。
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Claims (40)

  1. 未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するか否かを予測する方法であって、
    a)個体に関する、以下の臨床パラメータ値からなる群より選択される、少なくとも一つの臨床パラメータ値を測定するステップ、
    i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくは高感度C反応性タンパク質(HS CRP)の血清濃度、又は赤血球沈降速度(ESR)
    ii)リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価
    iii)抗CCP抗体の有無、又は抗CCP抗体価
    b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した程度、圧痛関節数、及び腫脹関節数からなる群より選択される、少なくとも一つの、個体に関する付加的な臨床パラメータ値のセットを測定するステップ、
    c)ステップa)とb)により測定されるパラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値と相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症のリスクを予測するステップ、
    を含む方法。
  2. グループa)の少なくとも1つのパラメータ値とグループb)の少なくとも1つのパラメータ値とを測定する、請求項1記載の方法。
  3. グループa)の少なくとも2つのパラメータ値を測定し、グループb)のパラメータ値を測定しない、請求項1記載の方法。
  4. グループa)のパラメータ値を測定せず、グループb)の少なくとも2つのパラメータ値を測定する、請求項1記載の方法。
  5. ステップa)が、個体の生体試料を提供し、i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくは高感度C反応性タンパク質(HS CRP)の血清濃度、又は赤血球沈降速度(ESR)、ii)リウマチ因子の有無、又はリウマチ因子自己抗体価、iii)抗CCP抗体の有無、又は抗CCP抗体価、をインビドロで測定することを含む、請求項1記載の方法。
  6. 付加的な臨床パラメータ値のセットが、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の測定からなる、請求項1又は2記載の方法。
  7. 予測得点が各々のパラメータ値に関する総リスク値として計算される、請求項6記載の方法。
  8. 各々のパラメータ値に割り当てられたリスク値が以下のa)〜i)で設定されている値の50%から150%であり、予測得点の最大値が100歳の場合に14となる、請求項7記載の方法。
    a)C反応性タンパク質が5mg/L未満の場合 0;
    C反応性タンパク質が5〜50mg/Lの場合 0.6;
    C反応性タンパク質が50mg/Lより多い場合 1.6;
    b)リウマチ因子が存在しない場合 0;
    リウマチ因子が存在する場合 0.8;
    c)抗CCP抗体が存在しない場合 0;
    抗CCP抗体が存在する場合 2.1;
    d)各々の年齢に対して 0.02;
    e)男性の場合 0;
    女性の場合 0.8;
    f)手や足の小関節を含めた場合 0.6;
    対称性障害である場合 0.5;
    上肢が関与する場合 0.8;
    上肢及び下肢の場合 1.3;
    g)朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0;
    朝のこわばりをVASで測定した長さが26−90mmである場合 1;
    朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2.2;
    h)圧痛関節数が4〜10である場合 0.6;
    圧痛関節数が10よりも大きい場合 1.2;
    i)腫脹関節数が4〜10である場合 0.4;
    腫脹関節数が10より大きい場合 1
  9. 各々のパラメータ値に割り当てられたリスク値が以下のa)〜i)で設定されている値の75%から125%までの間となる、請求項8記載の方法。
    a)C反応性タンパク質が5mg/L未満の場合 0;
    C反応性タンパク質が5〜50mg/Lの場合 0.5;
    C反応性タンパク質が50mg/Lより多い場合 1.5;
    b)リウマチ因子が存在しない場合 0;
    リウマチ因子が存在する場合 1;
    c)抗CCP抗体が存在しない場合 0;
    抗CCP抗体が存在する場合 2;
    d)各々の年齢に対して 0.02;
    e)男性の場合 0;
    女性の場合 1;
    f)手や足の小関節を含めた場合 0.5;
    対称性障害である場合 0.5;
    上肢が関与する場合 1;
    上肢及び下肢の場合 1.5;
    g)朝のこわばりをVASで測定した長さが26mm未満である場合 0;
    朝のこわばりをVASで測定した長さが26〜90mmである場合 1;
    朝のこわばりをVASで測定した長さが90mmよりも長い場合 2;
    h)圧痛関節数が4〜10である場合 0.5;
    圧痛関節数が10よりも大きい場合 1;
    i)腫脹関節数が4〜10である場合 0.5;
    腫脹関節数が10より大きい場合 1
  10. 個体の予測得点を、所定の確率分布に従って予測得点に関連するリスクに相関させることによって、個体のリウマチ関節炎の発症に関する予測リスクを測定する、請求項8又は9記載の方法。
  11. 所定の確率分布が、図5として図示されている確率分布である、請求項10記載の方法。
  12. 個体が、最近発症した未分化関節炎、診断においてリウマチ関節炎と推定されたが確認がなされていないリウマチ関節炎、又はACR若しくはその他の基準に従って診断されたリウマチ関節炎、を患う個体である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するか否かを予測する方法であって、
    a)個体に関する、以下の臨床パラメータ値からなる群より選択される、少なくとも1つの臨床パラメータ値より構成される臨床パラメータ値のセットをコンピュータで受信するステップ、
    i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくはHS CRPの血清濃度、又はESR
    ii)リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標
    iii)抗CCP抗体の有無、又は抗CCP抗体価を示す指標
    b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の少なくとも1つを含む、個体に関する付加的な臨床パラメータ値のセットを前記コンピュータで受信するステップ、
    c)各々のパラメータ値、及び付加的な臨床パラメータを、各々の特定のパラメータ値に関連するリスク値に相関させるステップ、
    を含むことを特徴とする方法。
  14. プロセッサー及びメモリを有し、前記プロセッサーが前記メモリからリードし、及び前記メモリにライトするために実装され、前記メモリが、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する方法を実行するためのキャパシティを前記プロセッサーに供給するために配列されたデータと命令とを含むコンピュータであって、
    a) 個体に関する、以下の臨床パラメータ値の少なくとも1つを含む臨床パラメータ値を測定するステップ、
    i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくは高感度C反応性タンパク質の血清濃度、又は赤血球沈降速度
    ii)リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標
    iii)抗CCP抗体の有無、又は抗CCP抗体価を示す指標
    b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、腫脹関節数の少なくとも1つを含む、付加的な臨床パラメータ値のセットを測定するステップ、
    c)ステップa)とb)により測定されるパラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するステップ、
    を含むことを特徴とするコンピュータ。
  15. 生体試料の分析データ信号を受信するために、試料分析装置に接続する入力を備え、プロセッサーが、臨床パラメータとしての、
    i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくは高感度C反応性タンパク質の血清濃度、又は赤血球沈降速度、
    ii)リウマチ因子の有無、又はリウマチ因子自己抗体価、
    iii)抗CCP抗体の有無、又は前記試料の抗CCP抗体価、
    を前記分析データ信号から測定するために実装される、請求項14記載のコンピュータ。
  16. プロセッサーが、各々のパラメータ値に関する総リスク値としての予測得点を計算するために実装される、請求項14記載のコンピュータ。
  17. プロセッサーが、個体の予測得点を、所定の確率分布に従って前記予測得点に関連するリスクに相関させることによって、個体のリウマチ関節炎の発症に関する予測リスクを測定するために実装される、請求項16記載のコンピュータ。
  18. 所定の確率分布が、図5として図示されている確率分布である、請求項17記載のコンピュータ。
  19. 請求項14〜18のいずれかに記載のコンピュータを備えた、試料分析装置。
  20. データ及び命令を含み、コンピュータのメモリにロードされるように実装されたコンピュータプログラムプロダクトであって、未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症するかどうかを予測する方法を実行するためのキャパシティを前記コンピュータに提供するために前記データ及び命令が実装され、前記方法が以下のステップa)〜c):
    a)個体に関する、以下のi)〜iii)の臨床パラメータ値のうちの少なくとも2つの臨床パラメータ値のセットを受信するステップ、
    i)C反応性タンパク質の血清濃度、若しくはHS CRPの血清濃度、又はESR
    ii)リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標
    iii)抗CCP抗体の有無、又は抗CCP抗体価を示す指標
    b)患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の少なくとも1つを含む、付加的な臨床パラメータ値のセットを受信するステップ、
    c)ステップa)とb)により測定されるパラメータ値を、各々の特定のパラメータ値に関連する所定のリスク値に相関させることにより、個体のリウマチ関節炎の発症の予測リスクを測定するステップ
    を含むことを特徴とするコンピュータプログラムプロダクト。
  21. 請求項20記載のコンピュータプログラムプロダクトを備えたデータ記憶媒体。
  22. 個体のリウマチ関節炎の発症に関する予測リスクを測定する方法であって、
    a)個体に関する、少なくとも以下の2つからなる特性の受信、
    C反応性タンパク質の血清濃度、若しくはHS CRPの血清濃度、又はESRを示す指標、
    リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標、及び
    抗CCP抗体の有無、又は個体の血液試料中の抗CCP抗体価を示す指標、
    b)各々の特性に応じたリスク値の決定、
    c)個体のリウマチ関節炎の発症に関する予測リスクの測定、すなわち少なくとも測定されたリスク値の一部に基づいた予測リスクの測定、
    を含むことを特徴とする方法。
  23. 少なくともいくつかの特性が血液試料分析装置より受信される、請求項22記載の方法。
  24. 個体が未分化関節炎と診断されている、請求項22又は請求項23記載の方法。
  25. 受信される特性が、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の少なくとも一つの指標を包含する、請求項22〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 少なくともいくつかの特性が、一又は複数のネットワークを介して、前記特性を通信するユーザーインタフェースに入力される、請求項25記載の方法。
  27. 予測されるリスクを電子メールで送信することをさらに含む、請求項22〜26のいずれかに記載の方法。
  28. 許可されたユーザーにアクセス可能なサーバーへ予測リスクを送信することをさらに含む、請求項22〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 許可されたユーザーが個体、及び個体にかかる医療従事者のうちの少なくとも1人を含む、請求項28記載の方法。
  30. 予測リスクが、所定の期間内にリウマチ関節炎を発症する個体のリスクを示す、請求項22〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 処理の割り当てが、リスク値を特性に関連付けたコンピュータメモリに格納されたデータにアクセスすることを含む、請求項22〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 測定した予測リスクが、個体がリウマチ関節炎を発症する一定の確率として示される、請求項22〜32のいずれかに記載の方法。
  33. 未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症する、予測リスクを測定するためのシステムであって、
    a)個体に関する、少なくとも以下の2つからなる特性の受信方法、
    C反応性タンパク質の血清濃度、若しくはHS CRPの血清濃度、又はESRを示す指標、
    リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標、及び
    抗CCP抗体の有無、又は個体の血液試料中の抗CCP抗体価を示す指標
    b)各々の特性に応じたリスク値の決定方法、
    c)少なくとも決定されたリスク値の一部に基づいて、個体がリウマチ関節炎を発症する、予測リスクを測定する方法、
    を含むことを特徴とするシステム。
  34. 未分化関節炎を患う個体がリウマチ関節炎を発症する、予測リスクを測定するためのシステムであって、
    a)個体より提供された血液試料を分析し、以下の少なくとも2つの指標を測定するように構成された血液試料分析装置、
    C反応性タンパク質の血清濃度、若しくはHS CRPの血清濃度、又はESRを示す指標、
    リウマチ因子自己抗体の有無、又はリウマチ因子自己抗体価を示す指標、及び
    抗CCP抗体の有無、又は個体の血液試料中の抗CCP抗体価を示す指標、
    b)血液試料分析器によって測定された各種指標に対してリスク値を決定するように構成されたコンピューティングデバイスであって、各々の指標に関する値の範囲を各々のリスク値に関連付けた、メモリに格納されたデータにアクセスし、少なくとも決定されたリスク値の一部に基づいて、個体がリウマチ関節炎を発症する予測リスクを測定するためにさらに構成される、コンピューティングデバイス、
    を含むことを特徴とするシステム。
  35. 血液試料分析装置が、コンピューティングデバイスより離れた位置に設置される、請求項34記載のシステム。
  36. 指標が、コミュニケーションネットワーク接続を介して、コンピューティングデバイスに送信される、請求項34又は請求項35記載のシステム。
  37. 血液試料分析装置をコンピューティングデバイスに隣接して設置する、請求項34記載のシステム。
  38. コンピューティングデバイスが、測定した予測リスクを示した、一又は複数の電子メッセージを送信するように、さらに構成される、請求項34〜37のいずれかに記載のシステム。
  39. コンピューティングデバイスとのデータ通信としてのウェブインターフェイスを介して、コンピューティングデバイスが指標を受信する、請求項34〜38のいずれかに記載のシステム。
  40. コンピューティングデバイスが、患者の年齢、患者の性別、関節の病状部位、朝のこわばりをVASで測定した長さ、圧痛関節数、及び腫脹関節数の少なくとも一つから示される指標に対してリスク値を決定するように、さらに構成される、請求項34〜39のいずれかに記載のシステム。
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