JP2009528055A - Adir関連遺伝子多型とその適用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、幹細胞移植、免疫療法及び腫瘍性疾患の予防の分野に関する。天然発生するhADIRアレルの転写物のヌクレオチド配列に存在するオープンリーディングフレームにコードされるアミノ酸配列を含むペプチドであって、前記アミノ酸配列がMHCクラスI又はIIの副組織適合結合ペプチドを含むペプチドを提供する。

Description

本発明は、医療分野に関し、より詳しくは、幹細胞移植と、免疫療法と、腫瘍性疾患の予防とに関する。
同種幹細胞移植(SCT)は、血液がんの患者の根治治療の実現可能性を秘めている。(非特許文献1及び2参照)。化学療法や、移植前のレジメンの調整として患者に施療される抗体治療及び/又は放射線治療の抗がん効果に加え、同種移植片対腫瘍(allogeneic graft versus tumor)(GvT)免疫反応性は、かかる治療における根治治療の実現可能性に顕著に寄与するものである(非特許文献3及び4参照)。HLAがマッチしたSCT後のGvT反応性は、ドナー由来のT細胞により仲介されることが示されてきた(非特許文献4参照)。
ドナー由来のアロ反応性T細胞(Alloreactive T-cells)は、有益なGvT効果を仲介するだけでなく、同種SCT後に重大な悪影響をもたらす合併症である、移植片対宿主拒絶反応(GvHD)の発生の原因ともなる(非特許文献5参照)。幹細胞移植片のT細胞が欠乏すると、GvHDとGvTの双方の効果が排除される(非特許文献6及び7参照)。抗腫瘍反応は、ドナーリンパ球輸注(DLI)による移植後の再発性悪性血液疾患の場合に再導入することもできる。DLIの施療が延期されることは、深刻なGvHDのリスクの軽減と関連付けられてきたが、GvTとGvHDの両方とも、DLIに応答する患者において未だしばしば関連があるとされる(非特許文献8及び9参照)。臨床的観察によれば、著しい抗腫瘍効果は、しばしばGvHDに関連付けられるが、GvHD非存在下でも、よりわずかな抗腫瘍反応性も観察されうることが示されている(非特許文献10参照)。
HLAがマッチした同種SCT後のGvHDとGvTの両方の反応性の主要な標的は、副組織適合抗原(minor histocompatibility antigens)(mHag)である(非特許文献11参照)。副組織適合抗原(mHag)は、被検者のゲノムの遺伝子多型による異なるアミノ酸組成物を含む細胞タンパク質に由来する免疫原性ペプチドに含まれるエピトープである。mHagは、それゆえ、「自己(self)」のHLA分子との関連において認識される、ドナーとレシピエントにより異なった形で発現されるペプチドである。mHagは、タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子多型によるペプチドの相違のあるプロセッシングにより、HLA分子に存在するペプチド配列における直接的な遺伝子多型により、又は、ドナーとアクセプターにおけるHLA分子における相違、すなわち「非自己(non-self)」の関連における同一ペプチドの認識により生じることもある。同種のHLAがマッチした幹細胞移植(SCT)のドナーとレシピエント間のmHagにおける差異が、移植片対白血病/リンパ腫(GVL)反応性を含む、所望されていない移植片拒絶若しくは移植片対宿主病(GVHD)、及び所望されている移植片対腫瘍(GVT)を含む、同種免疫応答に関与するmHag特異的CD4+T細胞とCD8+T細胞の刺激を導く。
mHagに対する免疫応答の臨床症状は、かかる抗原をコードするタンパク質の組織特異的発現により測定することができる。多数の組織で構成的に発現するmHagは、組み合わされたアロ反応性のGvHDとGvLの応答の標的として提案されてきた(非特許文献12及び13参照)。造血器起源の悪性細胞を含む、造血細胞系列に限定される抗原に対して指示されるT細胞応答は、深刻なGvHDなしにGVT反応性(非特許文献14〜18参照)を仲介することができる。しかしながら、一定の条件下で、様々な組織において広範に発現しうる抗原は、別の条件下では、比較的特異的なGvT応答の標的となりうる(非特許文献10及び19参照)。特に、免疫応答が、様々な組織で広範に発現しているmHagsに対して指示される場合には、GVT反応性の誘導は、GVHDの進展と一致する場合もある。GVTは、標的構造に対して特異的、又は腫瘍細胞で過剰発現されるT細胞の誘導により、GVHDから分離することができる。さらに、HA−1(非特許文献16参照)、HA−2(非特許文献20及び21参照)、及びBCL2A1(非特許文献14参照)などの造血起源の細胞に発現が限定されている抗原は、GVTの特異的な標的として供してもよい。これらの抗原に特異的なT細胞は、レシピエント起源の造血システムの、悪性及び通常の細胞の両方を破壊するものである。同種SCT後、造血幹細胞は、これらのT細胞により認識されないドナー由来の細胞によって代替されたので、患者の通常のドナー造血が、影響を受けることはない。
腫瘍関連抗原の同定と、腫瘍特異的免疫応答に対する理解の高まりは、がん治療の戦略としての細胞免疫療法を進展させるための新たな可能性を提供するものである。しかしながら、多くの臨床試験の結果は、限られた数の患者においてのみ臨床反応が観察されたので、納得の行かないものであった(非特許文献22及び23参照)。ワクチン接種プロトコルは、がん患者の全生存率の改善を導くものではなかった。これらのワクチン接種戦略の主要な障害は、ほとんどの場合、未変異自己タンパク質が標的になっていることにある。患者においては、これらの自己抗原に特異的なT細胞は、おそらくアネルギー(anergic)で、寛容化されており、又は末梢部若しくは中央部の選定過程(peripheral or central selection process)により低親和性である。それゆえ、GvHDの存在下又は非存在下において同種SCT後の細胞免疫療法介入に最適に応答する患者由来のmHagの特性解析は、GvHDとGvLの発症機序のよりよい理解を導き、特異的な抗腫瘍T細胞治療、抗原及び薬剤の開発を導きうるものである。
血液腫瘍を根絶できる高結合性(high-avidity)T細胞応答は、同種セッティングにおいて作製できる。悪性血液疾患においては、同種HLAがマッチした造血幹細胞移植(SCT)は、T細胞−仲介移植片対腫瘍(GVT)免疫応答の誘導による同種免疫療法のためのプラットホームを提供する。GVT反応性の臨床上の可能性は、同種SCT後の再発性白血病の患者におけるドナーリンパ球輸注(DLI)の施療による完全な寛解の誘導により示されてきた(非特許文献8及び9参照)。同種セッティングにおける免疫療法では、ドナー起源のT細胞が、レシピエントの自己抗原に対する低反応性により選択されないので、効果的なT細胞応答の誘導が可能になる。それゆえ、腫瘍又はレシピエント特異的抗原に対する高親和性T細胞は、SCTの最中又はその後に患者に施療されたT細胞の接種液(inoculum)において見い出すことができる。腫瘍反応性T細胞応答の主要標的は、ドナーとレシピエントが、異種であり、指定された副組織適合抗原(mHag)(非特許文献10参照)であり、又はプロテイナーゼ−3のなどの過剰発現したタンパク質(非特許文献24参照)である遺伝子多型タンパク質である。
インビボにおける役割を果たす腫瘍関連T細胞応答の適当な抗原は、同種造血SCT後の良好な臨床反応を示す患者の分析により同定することができる。GVHDが無く又はわずかしかなく、DLIに応答する再発性血液がんの患者におけるT細胞応答の標的構造の特徴付けは、がんの免疫療法に対する臨床的に関連する腫瘍特異的標的の同定をもたらすこともある。
いくつかのmHagは、非特許文献25〜31及び米国特許6,521,598号明細書によると、X染色体によりコードされるそのホモログと比較して遺伝子多型アミノ酸を含む又はXにホモログを有さないY染色体(H−Y抗原)に位置する遺伝子に由来するものである。これらの雄性特異的なmHagは、性別がミスマッチで、HLAがマッチした同種SCTにおいて役割を果たすことが示されてきた(非特許文献31参照)。常染色体遺伝子における遺伝子多型は、mHagをコードすることも説明されてきた。HA−3(非特許文献13参照)、HA−8(非特許文献12参照)、及びUGT2B17(非特許文献32参照)などのかかるmHagのいくつかは、広範な組織分布を提示する一方、国際公開03/047606号パンフレットにおけるHA−1(非特許文献16参照)、及び米国特許5,770,201号明細書におけるHA−2(非特許文献12及び15参照)、並びにHB−1(非特許文献17参照)及びBCL2A1(非特許文献14参照)の発現は、造血起源細胞に限定される。造血‐限定mHagに対して誘導されるT細胞応答は、GVL反応性を好み、GVHDの進行(development)を減少させる場合もある。しかしながら、HA−1のような造血特異的mHagのミスマッチが、GVHDに関連付けられ、おそらく、Hag陽性抗原提示細胞(APC)に対するT細胞応答が、広範に発現するmHagへのT細胞応答の誘導を導く局所炎症を引き起こす、GVHDの多段階の進行によるからであるとも説明されてきた。
mHagsの差次的発現又は認識のメカニズムのいくつかが説明されてきた。遺伝子における一塩基多型(SNP)は、タンパク質におけるアミノ酸置換をもたらすこともある。遺伝子多型は、HB−1(非特許文献17参照)とBCL2A1(非特許文献14参照)に示されるように、TCR接触残基に影響を及ぼしうる。遺伝子多型は、メッセンジャーのスプライシングに影響を及ぼし、又は、抗原プロセシング経路において変化をもたらすことができ、例えば、HA−3(非特許文献13参照)に示されるようなプロテアソーム切断、及び、HA−8(非特許文献12参照)に示されるようなTAPトランスロケーションを挙げることができる。抗原のプロセッシング、提示、又は認識に影響を及ぼすアミノ酸相違に次いで、差次的mHags発現は、同義遺伝子ファミリーのメンバー(非特許文献32参照)の欠失に起因することが説明されてきた。
本発明の目的は、同種幹細胞移植の関連において、改良された特性を有する腫瘍性疾患の治療のための新規のmHagsを同定することである。
国際公開03/047606号パンフレット 米国特許5,770,201号明細書 Appelbaum FR. The current status of hematopoietic cell transplantation. Annu Rev Med. 2003;54:491-512. Thomas ED. Karnofsky Memorial Lecture. Marrow transplantation for malignant diseases. J Clin Oncol. 1983;1:517-531. Horowitz MM, Gale RP, Sondel PM et al. Graft-versus-leukemia reactions after bone marrow transplantation. Blood. 1990;75:555-562. Faber LM, Luxemburg-Heijs SA, Willemze R, Falkenburg JH. Generation of leukemia-reactive cytotoxic T lymphocyte clones from the HLA-identical bone marrow donor of a patient with leukemia. J Exp Med. 1992;176:1283-1289. Niederwieser D, Grassegger A, Aubock J et al. Correlation of minor histocompatibility antigen-specific cytotoxic T lymphocytes with graft-versus-host disease status and analyses of tissue distribution of their target antigens. Blood. 1993;81:2200-2208. Apperley JF, Jones L, Hale G et al. 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(発明の概要)
近年、本発明者らは、同種SCT後の再発性悪性血液疾患を、DLIで治療した多くの患者について非常に詳細に研究した。臨床におけるGvT応答の最中に、腫瘍反応性T細胞を、悪性腫瘍細胞を含む骨髄による特異的活性化に反応するインターフェロンγを産生することができる能力に基づき単離した。DLIとインターフェロンαを用いた移植後、再発多発性ミエローマをDLIで治療している患者の一人から、患者から悪性腫瘍多発性ミエローマ細胞を認識することができるドミナントT細胞クローンが単離された。臨床反応時には、患者は、GvHDを患っていたが、インターフェロンの中止とプレドニゾンによる短期治療後に消散した。患者は、完全に回復し、現時点で4年経っているが、いまだにGvFDはなく、完全に回復している。
かかるT細胞クローンに認識されるmHAgの生化学的特性により、抗原が、ヒトATP依存性インターフェロン応答性/Torsin3A(hADIR/TOR3A)遺伝子によりコードされる遺伝的遺伝子多型に由来することが解明された。かかる遺伝子は、多発性ミエローマ細胞においても、別の造血器腫瘍においても、同様に非造血器腫瘍細胞系においても、高度に発現することが見い出された。通常の非悪性細胞の認識は、定常状態下では些細なものであるが、インターフェロンによる標的細胞集団の活性化により、T細胞クローンによる認識が増加した。これらの結果に基づくと、hADIR/TOR3A遺伝子によりコードされるmHagに対するT細胞応答は、強いGvT反応性を導きうるが、標的組織の活性化状態によってはGvHDをも導きうることが明らかである。GvHDは、しかしながら、既に指摘したようにコントロール可能である。
無数のヒトSNPと他の遺伝子多型が同定されてきたが、mHAgは、実際極めて珍しく、特に現時点までに同定されたmHAgをコードしている常染色体遺伝子は、ほんのわずかである(非特許文献10及び19参照)。本発明により提供される新規mHAgは常染色体であり、性別と結び付いたmHAgsよりも適用範囲が広い。現在同定されているmHAgの別の明白な利点は、集団における相対分布であり、白人集団においては50/50程度と推測される。遺伝子多型の発生頻度が高いことは、適合性があり、マッチする移植片−ドナーと移植片−アクセプターとの組合せを見い出すことをより容易にし、その組合せは幹細胞移植(SCT)及び/又はDLI輸注などのHLA組成物に関する移植目的として容認できるが、hADIR/TOR3Aアレルにおいては相違するものである。
hADIR/TOR3A遺伝子産物は普遍的に発現し、特に増殖細胞や組織においては、相当レベルの発現が検出され、hADIR/TOR3AをコードしているmHAgが、造血又は他の起源の悪性腫瘍と戦うための免疫応答を引き出すより魅力的な候補となることが報告されている。遺伝子のインターフェロンの応答性(responsiveness)は、全身性(systemic)免疫応答及び/又はGvHDが問題となった場合に、免疫応答をブーストし、発現を弱めることが要求される場合に、局所的又は全身にわたる抗原の発現をコントロールし、増加させることができる。
(発明の詳細な説明)
第一の実施態様では、本発明は天然に存在するhADIR/TOR3Aアレルの転写物のヌクレオチド配列に存在するオープンリーディングフレームによりコードされるアミノ酸配列を含むペプチドであって、前記アミノ酸配列が遺伝子多型のMHCクラスI又はII副組織適合(minor histocompatibility)結合配列及び/又はペプチドを含む、ペプチドを提供する。
本発明によるペプチド又はペプチドフラグメントは、配列番号1に示される核酸配列である、hADIR/TOR3A遺伝子によりコードされている。MHC結合ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2〜5(通常及び代替リーディングフレームにおける配列番号1によりコードされる)の任意のアミノ酸の内1又は複数のアミノ酸残基における遺伝子多型、より好ましくは、hADIR/TOR3A遺伝子(配列番号1)における一塩基多型(SNP)を含む。hADIR/TOR3A遺伝子によりコードされているSNPは、イントロンを含めたヒトhADIR/TOR3A遺伝子において現時点で同定されているSNPの群から選択されることが好ましい(表A:hADIR/TOR3A)。特に、hADIR/TOR3A遺伝子のエキソンコード配列における78、672、740、752、及び856ヌクレオチドにおける変異(changes)が、本発明の関連における適用において好ましい。
hADIR/TOR3A核酸配列における任意のSNP、特に以下の表Aに示される任意のSNPを用いることが好ましい。
Figure 2009528055
Figure 2009528055
Figure 2009528055
表Aのバリデーション凡例:
1 refSNPクラスターに対する多重、独立提出によるバリデーション
2 頻度又は遺伝子型データによるバリデーション:少なくとも2つの染色体において観察されるマイナーアレル
3 サブミッター確定によるバリデーション
4 全てのアレルは、少なくとも二つの個々の染色体において観察された。
5 ハップマップ計画により遺伝子型を同定した
本発明のペプチドは、通常、約8〜12アミノ酸長であり、HLA分子に直接適合するには十分小さいが、より大きく12〜50以上のアミノ酸であってもよく、細胞取込み、及び、MHC分子の溝(groove)における提示前のプロテオソームや輸送による細胞内のプロセッシング後にのみHLA分子により提示されてもよい。ペプチドは、分解を防ぎ、安定性又は取込みを増加させるためにN及び/又はC末端がキャップされていても、修飾されていてもよい。本発明によるペプチドを含むmHagは、一塩基多型(SNP)の遺伝子産物を含むことが好ましい。SNPは、hADIR/TOR3Aのコード領域又はエキソンに含まれてもよいし、イントロン配列に位置してもよく、実施例に示されているようにスプライシングに影響を及ぼすこともあり、メッセンジャーの暗号や代替翻訳産物に影響を及ぼすこともある。本発明によるペプチドは、配列番号2〜5のアミノ酸配列(hADIR/TOR3A遺伝子産物)に示されるhADIR/TOR3A遺伝子によりコードされる任意のリーディングフレームによりコードされてもよい。配列番号2と配列番号3は、通常のリーディングフレーム(+3フレーム、それぞれATG翻訳開始コドンより前のアミノ酸を有するものと、有さないもの)を示す。配列番号4は、配列番号1の代替+2リーディングフレームを示し、配列番号5は、代替+1リーディングフレームを示す。hADIR/TOR3A遺伝子における代替リーディングフレーム、すなわち+1フレームと+2フレームが、転写及び翻訳のための代替開始部位の多数を包含し、暗号翻訳産物を産出する。本発明は、これらの代替リーディングフレームと翻訳産物においても、mHAgが存在し、hADIR/TOR3Aがコードする遺伝子多型により作製されることを示す。それゆえ、本発明の一実施態様では、配列番号2〜5の、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の連続したアミノ酸を含む、又はからなるペプチドが提供され、ペプチドコード核酸配列は、少なくとも一つのSNP(好ましくは表AのSNP)を含む。
特定の実施態様では、本発明のペプチドは、MHC分子に結合することができるペプチドであり、本発明のペプチドは、MHCクラスI又はMHCクラスII分子に関連していてもよい。本発明によるペプチドのひとつは、LB−ADIR−1Fとして特定されている。かかるペプチドは、アミノ酸配列SVAPALALFPA(配列番号4のアミノ酸18〜28)を含み、又は、からなり、hADIR/TOR3A遺伝子(配列番号1)のヌクレオチド78のSNPにより、26位置のSerがアミノ酸Pheに置換されている。本発明による使用のためには、既知の遺伝子多型が、hADIR/TOR3AにコードされるmHag遺伝子多型をもたらし、免疫応答、移植片対白血病若しくは移植片対腫瘍応答を生じさせるために有用であるか否かは、遺伝子構造、特に移植片‐ドナー及び移植片‐アクセプター/レシピエント両方のHLAアイソタイプと、MHC遺伝子構造におけるそれぞれの相違とに依存することとなろう。ドナーとレシピエントが、それぞれのhADIR/TOR3Aアレルに関して同一であるが、HLAアイソタイプにおいては異なるという特別な状況にあったとしても、T細胞が外来抗原として異なるHLAアレル(すなわち「非自己」の構造として)と関連する自己抗原を認識すれば、免疫応答を生じさせることができる。hADIR/TOR3Aに対するかかる抗原反応の適用は、本発明の範囲内である。
本発明によるペプチドを含むmHAgは、例えば、T細胞レセプターと結合又は相互作用するため、或いはかかるT細胞レセプターを単離し、クローンするため、或いは任意にある種のHLAアイソタイプ分子と関連して、本発明のmHagやペプチドに結合能を有する抗体を免疫化し、選択するために、T細胞免疫応答を惹起し、増強するために、MHCクラスI又はMHCクラスII分子に含まれ、用いられ、又は適用されてもよい。
別の実施態様では、本発明は、本発明のhADIR/TOR3A遺伝子多型と本発明によるmHAgを含むペプチドをコードする核酸分子を提供する。これらの核酸分子は、本発明のペプチドを産出する手段として、あるいは被検者における免疫応答、特に望ましい移植片対腫瘍応答を誘導し、加速し、遷延し、増強するための医薬組成物又はDNAワクチンとして有用でありうる。一実施態様では、被検者は、移植片‐ドナーであってもよく、別の実施態様では、被検者は、移植片‐レシピエントであってもよい。好ましくは、本発明の核酸は、プラスミド、コスミド、RNA若しくはDNAのファージ若しくはウイルス、又は任意の別の複製可能な核酸分子などの核酸ベクターに含まれていてもよく、(制御可能な)プロモーター、イニシエーター、ターミネーター及び/又はエンハンサーなどの制御配列に作動可能なように連結していることが最も好ましい。
別の実施態様では、本発明は、hADIR/TOR3A遺伝子多型にコードされるmHagを含むペプチドと相互作用できるT細胞レセプター(TCR)分子を提供し、特に任意に、発現及び/又はクローニングのための核酸分子ベクターに包含される、そのようなT細胞レセプターなどをコードする核酸分子を提供する。本発明によるTCRは、HLA分子の関連で及び/又はHLA分子により提示されている場合は、hADIR/TOR3Aにコードされる遺伝子多型mHAgを含むペプチドと、好ましくは生細胞においてインビトロ又はインビボで、相互作用できることが好ましい。T細胞レセプターや、特に本発明によるTCRをコードする核酸は、例えば、T細胞を別のT細胞に移動して、新規なT細胞クローンを作製するために適用されてもよい。かかるTCRクローニング法によっては、リンパ球のドナーなどの本質的に同種ドナーの遺伝子構造であるT細胞クローンが提供されてもよい。本発明によるペプチドを含むmHagを認識することができるT細胞クローンを提供する方法は、好ましくはSCT及び/又はDLIレシピエント被検者である、移植片レシピエントにおけるヒトhADIR/TOR3A遺伝子多型mHagを発現する腫瘍細胞を特異的に標的することができるように、作製してもよい。それゆえ本発明は、hADIR/TOR3A遺伝子におけるリーディングフレームによりコードされる遺伝子多型mHagと相互作用できるT細胞レセプターをコードし、発現するTリンパ球を、好ましくはHLA分子の関連において提供する。Tリンパ球は、リコンビナントでもよいし、自然選択されたものでもよい。本発明のTリンパ球は、本発明の方法及び医薬組成物のため使用してよいし、使用方法において使用してもよい。本明細書は、それゆえ、本発明の細胞傷害性Tリンパ球を産生するための少なくとも2つの方法を提供する。かかる方法は、免疫応答の誘因を助長する状況下で、未分化リンパ球と遺伝子多型hADIR/TOR3A副組織適合抗原とを接触させるステップを含み、それは例えば、本発明のペプチドを用いて移植片を受け取る患者において、インビトロやインビトロで行われてもよい。あるいは、インビトロで遺伝子多型hADIR/TOR3A副組織適合抗原と特異的に相互作用させるためにTCRをコードする遺伝子を移植片レシピエント又は移植片ドナーから得られる宿主細胞及び/又は宿主リンパ球にクローニングすることにより行われてもよく、任意に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に分化する。かかる遺伝子は前述の方法で得られた細胞又はhADIR/TOR3A mHAgに対する免疫応答を呈している被検者から得てもよい。
さらに別の実施態様では、本発明は、hADIR/TOR3Aタンパク質を発現する悪性腫瘍を治療するための、医薬品及び/又は薬剤といった新しい手段を提供する。薬剤は、悪性腫瘍の成長を少なくとも減少させるために、好ましくは悪性腫瘍のサイズを減少させるために、さらに好ましくは悪性腫瘍を根絶させるために十分な量を悪性腫瘍に患っている患者又は被検者に投与されるものである。治療される患者又は被検者は、ヒトが好ましく、好ましい実施態様では、SCT等の移植を経験しているヒトの被検者である。本発明により治療される悪性腫瘍は、hADIR/TOR3Aを発現している任意の腫瘍性疾患であり、白血病、リンパ腫、及び(多発性)骨髄腫、及び全ての固形がん(solid tumors)を含み、(良性)アデノーマ及びポリープから湿潤がん及び/又は転移性がんに及ぶ。hADIR/TOR3Aを発現している固形がんも、本発明による治療に特に適切である。
本発明の方法と手段は、例えば、任意に化学療法、放射線治療法、又は別の抗がん治療を受けた後に造血幹細胞移植(SCT)やドナーリンパ球輸注(DLI)のような同種幹細胞移植を経験した被検者に適用するために特に適切である。移植片は、HLAがマッチしていることが好ましいが、必ずしも必要ではなく、移植組織又は移植片のレシピエントにおいて存在する少なくともひとつのhADIR/TOR3Aアレルを含まない同種移植片ドナーから得られた移植片を含み、それゆえ、移植片由来のリンパ球により「外来の」又は「非自己」とみなされる。あるいは、ドナーとレシピエントは、同一のhADIR/TOR3Aアレルを有して、HLAがミスマッチでもよく、HLAのミスマッチは、異なるHLAコンテクストにおいてhADIR/TOR3Aペプチドを提示することにより、hADIR/TOR3A特異的移植片対腫瘍応答を誘導することができ、「非自己」抗原として移植片由来T細胞により認識される。HLA又はhADIR/TOR3Aアレル用のドナーとレシピエント被検者の遺伝子型は、熟練者であれば任意のいくつかの基準、教科書の技術を用いて行うことができる日常的な手順であり、例えば、DNA配列決定、アレル特異的PCR技術を挙げることができるがこれらに限定されず、任意で制限酵素分析、NASBA,DNAフィンガープリント、RFLP解析、アレル特異的抗体を用いるアッセイと組み合わせることができる。
本発明のペプチドは、以前定義したようにhADIR/TOR3Aにコードされる遺伝子多型mHag、又は、mHAg及びHLA分子と関連する本発明のペプチドと相互作用することができるT細胞レセプターを保持しているリンパ球を含み、hADIR/TOR3Aを発現する悪性腫瘍を罹患している被検者を治療するための医薬組成物や薬剤の製造のために使用されてもよい。本発明による医薬組成物は、特に望ましい移植片対腫瘍T細胞免疫応答において、治療を受ける被検者に効果的な免疫応答を引き出し、加速し、増強し又は遷延させることを補助するものとなろう。移植片対腫瘍応答は、血液がんの化学療法後、手術可能な固形がんの場合の放射線治療後、化学療法後又は外科的切除後の微小残存病変の除去又は転移に特に適切である。移植片対腫瘍応答は、移植片対血液がん応答が好ましい。固形がんに対する移植片対腫瘍応答は、可欠な又は置換可能な器官又は組織におけるこれらの腫瘍に適用されるのが好ましく、重大な悪影響なしに移植片対宿主及び/又は移植片対腫瘍免疫応答により完全に根絶されることもある。かかる器官又は組織としては、精巣、腎臓、卵巣、胸腺/組織、前立腺、甲状腺、頸部、子宮、骨髄及び膵臓を挙げることができる。特定の実施態様では、本発明の方法と薬剤は、インターフェロンガンマや、特にインターフェロンアルファ、インターフェロンベータ等のインターフェロンタイプIなどのインターフェロンの投与又は誘導と組み合わせてもよい。これらのインターフェロンは、治療されている被検者においてhADIR/TOR3Aの発現を誘導し、抗原レベルを増加させることにより、mHAgに対する免疫応答を開始させ、増強させる手助けをしている。本発明は、治療の第一の手段として又はアジュバント又はフォローアップ治療として用いることができる。
特定の実施態様では、移植片(幹)細胞、特に骨髄/リンパ球幹細胞は、ドナーの移植組織の採取の前に、レシピエントに移植片を移植後のhADIR/TOR3AmHagを提示している腫瘍細胞に対する抗腫瘍免疫応答を開始し、刺激し、増強し又は加速させるために、本発明によるhADIR/TOR3AmHagを含むペプチド若しくはタンパク質及び/又は医薬組成物と接触させることにより、前処理してもよい。
本発明による薬剤と医薬組成物は、当該技術分野において慣習となっていて、例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 21ndEdition, 2005, University of Sciences in Philadelphiaに記載されているような、周知の医薬的に許容される賦形剤(excipients)を用いて処方してもよい。特に、Current Protocols in Immunology, Wiley Interscience 2004に記載されている免疫モジュレーターのような免疫調節化合物やアジュバントは、熟練者により適切に選択され、適用されてもよい。
さらに別の実施態様では、本発明は、抗体、好ましくはヒト抗体若しくはヒト化抗体、又はそれらのフラグメントであって、遺伝子多型hADIR/TOR3A副組織適合抗原、HLA分子の関連で選択される抗原に特異的な抗体を提供する。本発明による抗体は、治療用又は医薬用の目的に用いてもよく、抗腫瘍免疫反応を補助してもよいが、hADIR/TOR3A mHagが腫瘍又は腫瘍細胞により提示されているか、あるいは、どの遺伝子多型hADIR/TOR3A mHagが、被検者の(腫瘍)サンプル、組織、又は器官において発現及び/又は提示されているかを調べるために腫瘍又は腫瘍細胞をモニターする診断目的に用いてもよい。本発明の抗体は、HLA分子に関連して任意に、遺伝子多型hADIR/TOR3Aペプチドと結合し、又は相互作用することができることが好ましい。抗体は、任意の別のほ乳類において誘起される抗体であってもよく、従来技術を用いてヒト化してもよい。本発明の抗体は、従来技術を用いて直接的又は間接的に標識してもよい。適切な標識には、蛍光部位(GFP、FITC、TRITC、ローダミン等)、酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、放射性標識(32P、35S、125I及びその他)、免疫原性又は別のハプテンやタグ(ビオチン、ジゴキシゲニン、HA、6His、LexA、Myc及びその他)が含まれる。
本発明による抗体とペプチドは、インターロイキン及び/又はIFN−γの誘導などのテトラマー染色又はサイトカイン反応の手段として移植抗腫瘍反応をモニターするために用いられてもよい。
本明細書及びクレームにおいて、「含む(comprise)」なる動詞及びその活用形は、非限定的な意味で用いられ、その語に続く事項を包含すると同時に、具体的に述べられていない事項を排除しないことを意味する。さらに、「1つの(a又はan)なる不定冠詞を用いて、ある要素に言及している場合、その文脈が、それがその要素のたった一つ唯一のものであることを明確に要求していない限り、その要素が複数存在する可能性が排除されない。
(材料と方法)
[CTL作製と培養]
HLA−A2拘束性(restricted)mHag特異的CTLクローンRDR2が、IFN−y分泌アッセイを用いて、再発性MMの治療としてSCT後のDLIの臨床反応時に患者の末梢血液サンプルから単離された(Kloosterboer et al. Leukemia, 2005, 19: 83-90)。CTLクローンRDR2とアロHLA‐A2コントロールクローンMBM13が、照射された(50Gy)同種PBMNCと、患者由来EBV形質転換B細胞(EBV LCL) とをペニシリン−ストレプトマイシン(Cambrex社製)、L−グルタミン(Cambrex社製)3mM、5%ウシ胎仔血清(FBS)(Cambrex社製)、5%プールヒト血清100U/mlのIL2(Chiron社製, Amsterdam, The Netherlands)及び0.8μg/mlのフィト血球凝集素(phytohaemagglutinin)(PHA)(Remel社製, Dartford, UK)で補完されたIscove改良ダルベッコ培地(IMDM)において、刺激することで展開した。
[標的細胞集団]
標的細胞の認識が、細胞毒性アッセイと、INF−γ分泌を用いたレスポンダー細胞(responder cells)の刺激より測定された。様々な細胞集団が両方にアッセイにおいて用いられた。PHA芽球細胞は、0.8 μg/mlPHAで刺激し、続いて100U/mlのIL2と10%FBSとにより補完されたIMDMにおいて培養してPBMNC‘sから作製された。EBV LCLは、10%FBSで補完されたIMDMにおいて培養された。HLA‐A2リンパ芽(lymphoblastoid)プロセッシング欠損細胞系T2(Alexander et al. Immunogenetics 1989;29:380-388)が、10%FBSで補完されたIMDMにおいて培養された。Hela/A2は、HelaTk細胞におけるLZRSにおいてHLA‐A*0201のレトロウイルス導入により作製され、10%FBSで補完されたIMDMにおいて培養された。付着性固形がん細胞系TT, BrownMCF7とCaskiが、10%FBSで補完されたRPMIで培養された。間葉細胞は、10%FBSで補完された低グルコースダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)(Invitrogen社製, Paysley, Scotland)において接着細胞を培養することにより、骨髄細胞から作製された(Noort et al., 2002, J. Exp. Med. 30:870-878)。刺激細胞(stimulaotercells)のインターフェロンモデュレーションがIFN−α2a(Roche社製, Woerden, The Netherlands)の添加により行われた。
[細胞傷害性アッセイ]
異常生殖(heterogonous)細胞集団において、CTLに誘導された集団の特異的細胞傷害性を測定するために、文献(Jedema I et al. Blood. 2004 Apr 103(7))のとおりCFSEベースの細胞傷害性アッセイを行った。概略としては、骨髄細胞又は末梢血液細胞は、2.5μのMCFSEで標識され(Molecular Probes, Leiden, The Netherlands)、1:1の比でCTLクローンとインキュベートした。4時間、24時間、そして48時間後に、特異的細胞集団は、PE又はAPCにより標識されたCD138、CD4、CD8、CD14又はCD19抗原(Becton Dickinson社製、 Erembodegem-Aalst, Belgium)で対比染色された。死細胞を排除するためにヨウ化プロピジウム(Propodium iodide)が添加された。各サンプルの生存細胞数の定量化を可能とするため、10フローカウント フルオロスフィア(Coulter Corporation社製, Miami, USA)がフローサイトメトリー解析の直前に添加された。
51Crリリースアッセイ]
標準51Crリリースアッセイにおいて、CTLクローンの細胞傷害性が文献(Faber et al. 1992, J Exp Med 176: 1283-1289)のとおり行われた。標的細胞は、100μのCi Na 51CrO(Amersham Biosciences社製、Freiburg, Germany)で、37℃にて1時間標識され、洗浄され、1mlあたり10〜5×10細胞に希釈され、1ウェルあたり10〜5×10標的細胞を得た。CTLが、様々なエフェクター:標的(E:T)比で添加され、4時間培養された。上清が採取され、マイクロプレートを含む固体シンチレーター(Perkin Elmer社製, Boston MA, USA)に移され、トップカウントカウンター(Perkin Elmer社製)でカウントされた。HPLCで精製された天然ペプチド又は希釈された合成ペプチドは、CTLの添加前に、37℃にて、5%CO下で1〜2時間51Cr標識T2又はドナーEBV LCL細胞をロードすることにより反応性を試験した。
[IFN−γ分泌アッセイ]
CTL刺激の定量化がIFN−γ分泌アッセイにより行われた。CTLは、様々なPBMNC細胞集団又はトランスフェクトされたHela/A2細胞と共培養された。10刺激細胞と10CTLは、10%FBSで補完されたIMDMで希釈され、96ウェルマイクロタイタープレートで24時間培養された。上清は回収され、IFN−γは、標準ELISAで測定された(Sanquin社製、Amsterdam, The Netherlands)。
[ペプチド単離、精製及び特性解析]
RDR2により認識されるEBV LCL由来のペプチドの精製は、文献のとおり行われた(den Haan et al. 1995, Science 268:1476-1480; Heemskerk et al. 2001, PNAS 98: 6806-6811)。概略としては、凍結細胞ペレットをNP40(Pierce社製, Rockford, USA))を洗浄剤として用いて溶解した。高速遠心分離後、上清が、CL4Bセファローズビーズ(Amersham Biosciences社製, Uppsala, Sweden)でタンブルし、その後遠心分離して前処理された。上清は、プロテインAビーズ(Amersham Biosciences社製)と共役(coupled)しているBB7.2HLA‐A2抗体からなるアフィニティカラムを通過させた。10%酢酸でHLA‐A2ペプチド複合体を溶出及び分解した。ペプチドは、5kDフィルター(Vivascience社製, Hannover, Germany)を通じて遠心分離によりHLA−A2モノマーとβ2−ミクログロブリンより分離された。ろ液を含むペプチドは凍結乾燥された。ペプチド濃縮物は、0.1%TFAを含むH0に溶解され、スマートシステム(Amersham Biosciences社製)に注入され、0.2ml/minにて、10cm×2.1mmC2/C18 3μmの分子カラムのRP‐HPLCに供された。0.1%TFAを含む20%〜50%有機相の勾配が流出し、0.1mlの画分が、シリコンが充填されたバイアルに回収され、−80℃にて保存された。イソプロパノール又はアセトニトリルは、有機相として用いられた。画分は、CTL添加前に51Cr標識T2標的細胞に1〜5μlのサンプルをロードすることで反応性が試験された。候補ペプチドの選択は、Q−TOF1マススペクトロメーター(Micromass社製, Manchester, UK)に直接連結したLCシステムの15cm×75μmのPepmapナノコラムに注入することで行われた。続いてペプチド配列解析が、HCTplusマススペクトロメーター(Bruker Daltronics社製, Bremen, Germany)により、選択されたマスの衝突活性化解離により行われた。
[ADIR遺伝子の配列解析]
ADIR遺伝子が、RDR2の標的であることが同定されたので、患者とドナーのサンプルが、配列解析によって解析された。トリゾール試薬(Invitrogen社製)を細胞ペレットに添加し、mRNAが単離され、精製され、4μgが、製造者の指示に従い、M‐MLV逆転写酵素(Invitrogen社製)を用いて37℃にて1時間cDNAに逆転写された。ADIR遺伝子の1〜327ntのPCR反応が、1.5mのMMgCl、250μMのdNTP、800nM のフォワードプライマー(5’‐CTAGGCCGGCAGCCGGAT‐3’)、800nMのリバースプライマー(5’‐GCTGGCCCAACAGAGGAAG‐3’)、2%DMSO及び1.5UのAmpliTaqDNAポリメラーゼを含む50μLのGeneAmpIIPCRバッファー内で行われた。アプライドバイオシステムズGeneAmpPCRシステム2400における増幅は、以下のプログラムにより行われた。すなわち95℃にて2分と、95℃にて15秒、58℃にて30秒、72℃にて1分、その後72℃にて7分の単一伸長ステップが35サイクル行われた。配列反応が、Big Dye ターミネーターv3.1配列キット(Applied Biosystems社製, Foster City, CA, USA)と1μMのリバースプライマーを用いて、94℃にて3分、96℃にて10秒、及び58℃にて5秒、60℃にて4分を25サイクルというプログラムにしたがって行われたDNAの精製後、BI310シーケンサーを用いて配列決定が行われた。
[LB−ADIR−1Fエピトープを含む構築物のトランスフェクション]
ドナー及び患者のADIR遺伝子を含むcDNA由来の異なる構築物が、トランスフェクションアッセイのために作製された。患者由来のcDNAとドナー由来のcDNAの両方について、4つの異なるフォワードプライマーと1つのリバースプライマーを用いてPCRが行われた。フォワードプライマーは、隣接するBglII制限酵素認識部位を含み、配列がTATAGATCTGCTAGGCCGGCAGCCGGATより開始する1〜18NTの直後に続くか、又は通常のORF(5’-TATAGATCTGCCACCATGGTCCCGCAGCTC-GGG‐3')由来の天然ATG、又は代替ORF(5'-TATAGATCTGCCACCATGCTTCGC GGTCCGTG‐3')由来の天然ATGが続くKozakにより開始する。リバースプライマーは、NotI制限酵素認識部位(5‘‐TACGCGGCCGCTTAGCTGGCCCAACAGAGGAAG‐3’)が続く、309〜327ntにおいて選択された。PCR産物は、消化バッファーであるバッファーH(Roche社製)内で、制限エンドヌクレアーゼBglII(Roche社製, Mannheim, Germany)とNotI(Roche社製)で消化し、PCR精製キット (Quiagen社製, Hilden, Germany)を用いて精製され、ラピッドDNAライゲーションキット(Roche社製)を用いて、従前作製されたpCR3.1 発現ベクター(Invitrogen社製)のBamH1(Roche社製)とNotI部位にライゲートされた。ライゲートされたベクターは、コンピタントE.coliを形質転換するために用いられ、アンピシリンを含むLB寒天プレート上に蒔かれた。翌日、成長しているコロニーは採取され、アンピシリンを含むLB培地で展開された。プラスミドは、Qiaprep Spinミニプレップ(Qiagen社製)を用いて精製された。HLA−A2で安定して形質導入されたHela細胞は、平底プレートの1ウェルあたり2×10細胞で播種された。24時間後、100ngのプラスミドは、リポフェクタミン2000試薬(Invitrogen社製, Carlsbad, CA, USA)と共にプレインキュベートされ、オプティメンI培地(Invitrogen社製, Paisley, Scotland)において、2×10Hela/A2細胞をトランスフェクトするために用いられた。10RDR2細胞が添加された24時間後に細胞が添加され、再び24時間後に50μLの上清が採取され、ELISAにおいてIFN−γの分泌が試験された。
[LB−ADIR−1F特異的T細胞のエクスビボの検出]
組換えビオチン化HLA A*0201モノマーは、SVAPALALFPA又はSVAPALALSPAペプチドを有するβ2‐ミクログロブリン(microbglobulin)の存在下で、折りたたまれた(folded)。ストレプトアビジン−PEとストレプトアビジン−APCテトラマーは、文献(Altman et al. 1996 Science 274:94-96)のとおり、再び折りたたまれた複合体(refolded complex)とともに産生した。テトラマー複合体は、SCTとDLI後の特定の時点において採取された患者のサンプルを解凍したものを染色するために用いられた。細胞は、CD8 APC(Caltag社製, Burlingame, CA, USA)により対比染色され、フローサイトメトリーにより解析された。テトラマー陽性の場合は、シングルウェルでFACSソートされ、展開され、細胞傷害性について試験された。
[LB−ADIR−1F特異的T細胞のTCRBV解析]
細胞傷害性クローンのTCRBV発現は、TCRBV7に対するFITC結合モノクローナル抗体(Beckmann Coulter社製, Mijdrecht, The Netherlands)で染色することで測定された。TCRBVの配列は、文献(Kloosterboer FM et al. Leukemia 2004; 18(4))のとおり測定され、TCR鎖(TCR chain)は、Arden et al., Immunogenetics 1995, 42の命名法により命名した。患者からの採取物におけるテトラマー陽性T細胞の対比染色は、TCRBV7 FITC抗体を用いて行われた。
[定量PCR]
定量リアルタイムPCR解析は、文献のとおり行われた(Mensink et al. 1998, Br J Haematol. 102: 768-774参照)。概略としては、総RNAが、製造者の指示に従い、トリゾール(Invitrogen社製)を用いて異なる細胞集団から単離された。mRNAの単離とcDNAの合成の手順におけるバリエーションを正規化するために、0.5%マウス脾臓細胞が各細胞サンプルに添加された。ランダムプライムcDNAが、RT−PCR(AMV)用ファーストストランドcDNA合成キット(Roche社製)を用いて、1μgのmRNAから合成された。定量リアルタイムPCRが、ABI/PRISM7700配列検出システム(Applied Biosystems社製)により、qPCRコアキット(Eurogentec社製, Seraing, Belgium)を用いて行われた。ヒトADIRとPBGDの結果は、マウスGAPDH発現を用いて正規化され、一細胞あたりの遺伝子発現として表された。hADIRのプライマーは、エキソン1〜3にわたり設計された。
フォワードプライマー 5’‐GACGACTGTGACGAGGACGA‐3’,
リバースプライマー 5’‐CAAATGCTGGCCATGCAG‐3’及び
プローブ 5’‐(TET)‐CTGGGCTGGCGCCTTCCTCTGT‐(TAMRA)‐3’。

hPBGDのプライマーとプローブは、
フォワードプライマー 5’‐GCAATGCGGCTGCAA‐3'、
リバースプライマー 5’‐GGGTACCCACGCGAATG‐3’
及びプローブ 5’‐(TET)‐CTCATCTTTGGGCTGTTTTCTTCCGCC‐(TAMRA)‐3’であった。

mGAPDHのプライマーとプローブは:
フォワードプライマー 5’‐GGGCTCATGACCACAGTCCA‐3’,
リバースプライマー 5’‐ATACTTGGCAGGTTTCTCCAGG‐3’及びプローブ 5’‐(TET)‐TCCTACCCCCAATGTGTCCGTCGT‐(TAMRA)‐3’であった。
(結果)
[高頻度で発現するmHagを認識するHLA‐A2拘束性CD8CTLクローンの単離]
本発明者らは、既に再発性MM後にDLIでの治療に成功した女性患者由来の様々なT細胞クローンの単離について説明した。CTLクローンは、SCT前の患者から採取された、照射された骨髄細胞の刺激により、IFN−y産生細胞を直接クローニングして作製された。無関係のEBV LCLを用いたパネル研究及びHLAアレル特異的抗体を用いたブロッキングの研究により、最も優勢なCTLクローンによる認識は、HLA‐A2によって制限されることが示された。PHA芽球細胞と無関係の同種ペアのEBV LCLの広範なパネル研究により、HLA‐A2拘束性T細胞クローンの大部分がRDR2を指名し、同一の認識パターンを提示し、試験されたすべてのHLA−A2個体由来の標的の57%を溶解した。すべてのRDR2クローンは、同一のTCR BV7S1、N領域及びBJ1S4を発現することが見い出され、これらは、同一のクローンT細胞(FM Kloosterboer et al.Leukemia. 2005 Jan;19(1)参照)に由来することが実証された。
RDR2は、あるMM患者から単離されたので、本発明者らは、T細胞クローンによる溶解に対する彼女のMM細胞の感受性を調査した。CFSEに基づく細胞傷害性アッセイが行われ、患者由来の異種の骨髄サンプル内で比較的低頻度に存在するMM細胞の溶解の定量的測定を可能にした。(I Jedema et al, Blood. 2004, 103(7)参照)。溶解は、エフェクター対標的の比が、1:1で4時間、エフェクター細胞と共に骨髄細胞を共培養した後に測定された。CD138は、悪性腫瘍のMM細胞のマーカーとして用いられ、CD3は、非悪性腫瘍患者由来T細胞のマーカーとして用いられた。図1aは、患者由来のMM細胞が、顕著に溶解したのに対し、刺激を受けていない通常のT細胞の溶解は、弱かったことを示している。患者由来の活性T細胞(PHA芽球細胞)とEBV LCLは、顕著に認識された。RDR2による溶解に対する通常の造血細胞の感受性をさらに研究するために、アロA2クローンと比較したHLA‐A2陽性mHag陽性ドナー由来の単核細胞亜集団(mononuclear cell subpopulations)のRDR2による認識に対する感受性が解析された。アロA2クローンとRDR2による、PHA芽球細胞とEVB LCLの認識が類似していたのに対して、通常のB細胞とT細胞のRDR2が仲介した溶解は、アロA2が仲介した溶解と比較してより弱かった(図1b参照)。さらに、単核細胞は、電磁ビーズ細胞ソーティングによりCD4T細胞、CD8T細胞, 単核細胞及びB細胞に単離され、IFN−γリリースアッセイにおいて、RDR2とアロA2CTLを刺激するために用いられた。刺激細胞亜集団のすべてが、アロA2CTLによりIFN−y分泌を誘導することができた一方、RDR2の刺激は、10分の1以下だった(図1c参照)。
結論として、RDR2は、多発性ミエローマ細胞及び活性のあるT細胞とB細胞の顕著な溶解を引き起こすHLA‐A2拘束性エピトープを認識した。対照的に、通常の非活性造血細胞の反応性は、直接細胞傷害性とインターフェロンγ分泌のいずれに測定されても比較的弱かった。
[ペプチドの精製と質量分光分析による同定]
CTLクローンRDR2によって、認識されるエピトープを同定するために、抗原を発現している8×1010EBV LCL細胞が溶解された。ペプチド−HLA複合体は、HLA‐A2特異的BB7.2抗体が結合したプロテインAカラムでアフィニティ精製された。10%酢酸でペプチド−HLA複合体を溶出及び分解した後、HLA‐モノマーとβ2ミクログロブリンからペプチドを分離するために5kDサイズ遠心分離が行われた。凍結乾燥後、ペプチド混合物は、有機溶媒としてイソプロパノールを用いてRP‐HPLCに供され、画分が回収された。51Crで標識したT2細胞が、各画分の小サンプルでロードされた。RDR2が添加され、単一の陽性画分を検出することができた。この画分は、続いて有機溶媒としてアセトニトリルを用いてRP‐HPLCに供され、分画された。画分は、反応性について試験され、再び陽性画分が見い出された。この画分において存在する最も多数を占める成分(abundantly present masses)を測定するために、画分の一部が、Q‐TOF1マススペクトロメーターに直接結合しているナノLCシステムに注入された。最も多数を占める成分は、HCTplusマススペクトロメーターで、衝突活性化解離により分画された。得られた画分パターンの解析は、いくつかの候補ペプチドの配列を導くものであり、続いて合成が行われた。ロイシンとイソロイシンは、候補ペプチドに存在する場合、画分スペクトルにおいては区別ができないので、合成反応においてロイシン又はイソロイシンが組み込まれる各位置で、両方のアミノ酸の混合物が用いられ、「X」と表示される望ましい位置でロイシン又はイソロイシンのいずれかを含むペプチドの混合物となる。合成ペプチドは、51Cr標識T2細胞をロードするために用いられた。RDR2による溶解は、[M+2H]++候補ペプチドにより、m/z=528.8にて、SVAPAXAXFPA配列は10pMという低いレベルで再構築された(データは示されず)。さらに、合成ペプチドSVAPAXAXFPAは、衝突活性化解離マススペクトロメトリーによる分画に供され、溶出したペプチドと同一の画分を生じた(データは示されず)。
[RDR2認識の遺伝子多型の原因遺伝子の同定]
EMBLヌクレオチドデータベースの6フレーム翻訳に対するSVAPAXAXFPA配列は、ブラストサーチにより、TOR3Aとしても知られているADIR遺伝子の代替ORF由来の13〜23アミノ酸であるSVAPALALFPAと100%同一であることが明らかになった(Dron et al. 2002, Genomics 79: 315-325参照)。ADIRの78ヌクレオチドのCからTにおける公知の一塩基多型(SNP)は、溶出したペプチドの9位置に対応する、21位置におけるセリン(S)からフェニルアラニン(F)への代替転写物におけるアミノ酸残基の変化をもたらす(図2a参照)。ペプチドの両方が合成され、T2細胞にロードされた。SVAPALAL‐F‐PAペプチドは、RDR2に認識されたが、SVAPALAL‐S‐PAは認識されなかった(図2b参照)。患者とドナーの細胞由来のRNAは、cDNAに逆転写され、SNPに隣接するプライマーを用いて増幅し、327ntフラグメントをもたらした。このフラグメントの配列解析により、ドナーがCCホモで、患者がCTへテロであったことを明らかにした。患者のタイプ遺伝子多型Tであって、ドナータイプがCCではないこの遺伝子が、RDR2の認識の原因であることを示すために、ドナーと患者の両方から構築物が作製された。RDR2は、通常開始コドンの5’上流により制御される代替ORFから生じるペプチドを認識するので、3つの異なるフォワードプライマーが構成された。第一のプライマーは、通常の開始コドンで選択され、それゆえ代替開始コドンを欠いている。第二のプライマーは、転写の開始点で選択され、それゆえ両方とも天然の開始コドンを提供する。第三のプライマーは、代替開始コドンにおいて選択され、通常の開始コドンをも包含した。第二のプライマーを別として、すべての他のプライマーは、ATG開始コドンに隣接するKozak配列を包含した。構築物は、HLA−A*0201とレポーター遺伝子であるNGF−レセプターを含むLZRSベクターでHela細胞に一時的に安定に導入された。患者由来の構築物は、RDR2CTLにより、IFN−γリリースを誘導した。さらに、通常のORF開始コドンのみを含み代替ORF開始コドンを欠いている構築物のトランスフェクションは、CTL認識の顕著な減少を示した(図2c参照)。ドナー由来の構築物すべては、RDR2によるINF−γの誘導ができなかった(データは示されず)。次に、74人の無関係のHLA−A2陽性被検者のパネルが、遺伝子多型を決定し、RDR2によるPHA芽球細胞の溶解に対する感受性を判断するためにシークエンシングにより解析された。この特異的SNPの存在とCTL反応性の100%の相関関係は、ADIR遺伝子における78ntのCからTへのSNPが、RDR2により認識されるmHagエピトープSVAPALALFPAを作製することを証明した(表1参照)。このmHagは、LB−ADIR−1Fと特定された。
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[LB−ADIR−1F特異的CTLのテトラマー染色とFACSソーティング]
ペプチドLB−ADIR−1FとペプチドSVAPALAL‐S−PAの両方は、組換えHLA A*0201分子に結合することができ、テトラマー複合体が産生された。RDR2は、LB−ADIR−1Fテトラマーに特異的に結合したが、コントロールのSVAPALAL−S−PAテトラマーと、無関係なHA−1コントロールテトラマーは、陰性であった(データは示されず)。LB−ADIR−1Fテトラマーは、DLIの前後に患者から採取された一連の血液サンプルを解析するために用いられた。血清パラプロテインレベルは疾患活動性のマーカーとして解析された。LB−ADIR−1特異的T細胞は、DLI前は検出されなかった一方、DLIの7週間後に高い数値のLB−ADIR−1特異的CD8T細胞が検出された(図3a参照)。LB−ADIR−1特異的T細胞の出現は、急性GVHDグレードIIの進展と完全な寛解とに一致した。GVHDは、体重1kgあたり1mgのプレドニソロン及びシクロスポリンAにより治療に成功した。テトラマー陽性T細胞は、FACSソーティングによりクローン的に単離され、展開された。すべてのテトラマー陽性CTLクローンは、患者のEBV細胞とLB−ADIR−1FでパルスされているドナーEBV細胞との両方を溶解することができた(データは示されず)。RDR2のTCRによる性質決定によれば、解析された44の成長クローンのうち43におけるBV7S1のV−ベータとBJ1S4のJ領域を用いることができることが示された。しかしながら、ひとつのクローンはTCRBV6S4を発現した(図3b参照)。DLI後7週間の患者のサンプルの解析により、LB−ADIR−1F陽性T細胞が低いパーセンテージであると、TCR−BV7に対する抗体が染色されないことが明らかになった(図3c参照)。本来のRDR2、新たに単離されたTCRと同一のBV7S1クローン、及びTCR BV6S4発現クローンの機能性の比較が行われた。本来のRDR2と新たに単離されたBV7S1クローンの細胞傷害性は、類似していた一方(データは示されず)、BV6S4クローンは、明らかにT2細胞でロードされるペプチドの認識の減少を示した。HLA‐A2陽性及びLB−ADIR−1F発現EBV LCL細胞が標的細胞として用いられた場合、BV6S4クローンは再度、より弱い細胞傷害性を示した(図3e参照)。同様の結果がPHA芽球細胞を用いて得られた(データは示されず)。
[認識のためのADIR遺伝子発現と修飾]
ADIR遺伝子についての従前の研究により、IFN−αが遺伝子発現を増強することができることが示されてきた(Dron et al., 2002、上記参照)。それゆえ、RDR2によるLB−ADIR−1Fの認識に対するIFN−αの効果は、LB−ADIR−1発現ドナーのMNCを用いて研究された。MNCは、CTL RDR2を1:1の割合で添加する前に、1000IU/mlのIFN−αの非存在下と存在下で48時間、前培養された。最大の認識は、合成ペプチド飽和濃度でパルスされたMNCについて試験をすることで決定された。細胞傷害性は、4時間のCFSE‐アッセイにおいて測定され(図4a参照)、IFN−γリリースは、24時間後に測定された(図4b参照)。INF‐αは、溶解と刺激能の両方の感受性を増強した。間葉幹細胞を発現するLB−ADIR−1FとEBV LCLは、細胞傷害性アッセイにおいて標的細胞として用いられた。10%FBS中で連続培養した活性MSCと0.2%FBS中で48時間前培養した静止MSCの両方のRDR2溶解が4時間後と20時間後に測定された(図4c参照)。EBV LCLの強力な溶解が4時間後に観察されたのに対し、活性MSCの溶解は弱かった。静止MSCは、RDR2により溶解されなかった。インキュベーションを延長したところ、EBV LCLと活性MSC両方の溶解は同程度となったが、それでも静止MSCは、RDR2溶解に対して感受性が減少していることが示された。ADIR遺伝子発現は、定量PCRを行うことで測定された。各細胞サンプルに一定パーセンテージの0.5%マウス脾臓細胞が添加された。各サンプルは、ADIR、PBGD及びマウスGAPDHの発現についてアッセイされた。mRNAの単離とcDNA合成における差異を排除するためにADIRとPBGDの両方の発現レベルがマウスGAPDH発現レベルに正規化された。静止細胞において、ADIRとPBGDの両方のmRNAレベルは、PHA芽球細胞、EBV LCL、及びMSCにおいて培養されるレベルと比較して弱く、活性化と培養条件とによる遺伝子発現における全般的な増加を示すものであった(表2参照)。さらに、新鮮分離したドナーMNCは、回収24時間前及び48時間前に500IU/mlのIFN−αでインキュベートした。ADIRのmRNA発現におけるIFN−α依存性増加が観察された(表3参照)。結果として、LB−ADIR−1抗原とADIR遺伝子発現の両方が、定常状態においては比較的弱く、細胞の活性化の最中には強力にアップレギュレートされうることが示された。
Figure 2009528055
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[MM細胞、白血病性芽球及び固形がん細胞系に対するLB−ADIR−1Fの発現]
免疫療法用の標的としてLB−ADIR−1Fの適用性を調査するため、悪性血液疾患に対するRDR2の反応性を調査した。HLA‐A2陽性MMと白血病細胞のパネルが、RDR2溶解とLB−ADIR−1F遺伝子多型についての配列解析に供された。MMにおいて最も顕著な認識が見い出されたが、LB−ADIR−1F SNPを発現している白血病細胞もまた溶解された(図5a参照)。固形がん株を発現しているSNP陽性HLA‐A2のパネルが、RDR2による溶解への感受性について試験された。メラノーマBROWN、子宮頸がんCASKI、乳がんMCF‐7、及び神経芽球細胞腫TTは、すべて、アロA2特異的コントロールクローンによる溶解と同程度のレベルでRDR2により溶解されることができた(図5b参照)。
[MM細胞と通常造血細胞に対するCTLクローンRDR2の認識パターン] RDR2による認識 (黒いバー)とコントロールのアロA2CTL (白いバー)が、CFSEに基づく細胞傷害性アッセイとIFN−γ分泌によって試験された。異種の細胞サンプルは、E:Tが1:1で4時間、CTLでインキュベートされた。患者の骨髄細胞は、MM細胞検出用のCD138抗体とT細胞検出用のCD3抗体を用いて対比染色した。患者由来MM細胞は、RDR2により顕著に溶解された一方、患者由来T細胞の認識は弱かった。EBV LCLとPHA芽球細胞の両方が顕著に溶解した(a)。3人の正常mHag陽性ドナー由来のPBMNCは、異なる系統の特異的マーカーで対比染色した。RDR2による溶解は、B細胞 (p=0.02)とT細胞 (p=0.00004)の両方において、アロA2CTLによる溶解と比較して有意に減少した(b)。CTLの刺激は、共培養24時間後のIFN−γリリースにより測定された。RPBMNC亜集団を静止させたRDR2刺激は、アロA2CTLの刺激と同様に弱かった一方、活性B細胞(EBV LCL)は、両方のCTLにおいて、同様のIFN−γリリースを誘導した(c)。 [MM細胞と通常造血細胞に対するCTLクローンRDR2の認識パターン] RDR2による認識 (黒いバー)とコントロールのアロA2CTL (白いバー)が、CFSEに基づく細胞傷害性アッセイとIFN−γ分泌によって試験された。異種の細胞サンプルは、E:Tが1:1で4時間、CTLでインキュベートされた。患者の骨髄細胞は、MM細胞検出用のCD138抗体とT細胞検出用のCD3抗体を用いて対比染色した。患者由来MM細胞は、RDR2により顕著に溶解された一方、患者由来T細胞の認識は弱かった。EBV LCLとPHA芽球細胞の両方が顕著に溶解した(a)。3人の正常mHag陽性ドナー由来のPBMNCは、異なる系統の特異的マーカーで対比染色した。RDR2による溶解は、B細胞 (p=0.02)とT細胞 (p=0.00004)の両方において、アロA2CTLによる溶解と比較して有意に減少した(b)。CTLの刺激は、共培養24時間後のIFN−γリリースにより測定された。RPBMNC亜集団を静止させたRDR2刺激は、アロA2CTLの刺激と同様に弱かった一方、活性B細胞(EBV LCL)は、両方のCTLにおいて、同様のIFN−γリリースを誘導した(c)。 [MM細胞と通常造血細胞に対するCTLクローンRDR2の認識パターン] RDR2による認識 (黒いバー)とコントロールのアロA2CTL (白いバー)が、CFSEに基づく細胞傷害性アッセイとIFN−γ分泌によって試験された。異種の細胞サンプルは、E:Tが1:1で4時間、CTLでインキュベートされた。患者の骨髄細胞は、MM細胞検出用のCD138抗体とT細胞検出用のCD3抗体を用いて対比染色した。患者由来MM細胞は、RDR2により顕著に溶解された一方、患者由来T細胞の認識は弱かった。EBV LCLとPHA芽球細胞の両方が顕著に溶解した(a)。3人の正常mHag陽性ドナー由来のPBMNCは、異なる系統の特異的マーカーで対比染色した。RDR2による溶解は、B細胞 (p=0.02)とT細胞 (p=0.00004)の両方において、アロA2CTLによる溶解と比較して有意に減少した(b)。CTLの刺激は、共培養24時間後のIFN−γリリースにより測定された。RPBMNC亜集団を静止させたRDR2刺激は、アロA2CTLの刺激と同様に弱かった一方、活性B細胞(EBV LCL)は、両方のCTLにおいて、同様のIFN−γリリースを誘導した(c)。 [RDR2認識のための遺伝子多型原因遺伝子としてのADIRの同定] 翻訳されたEMBLデータベースにおいてのSVAPAXAXFPAのブラストサーチにより、ADIR遺伝子の代替ORFから13〜23アミノ酸と100%同一であることを明らかにした。公知のnt78におけるSNPは、SからFへのアミノ酸変異をもたらす(a)。ペプチドSVAPALAL‐F‐PA(黒い四角)とSVAPALAL‐S‐PA(白い四角)が合成され、51CrリリースアッセイにおいてT2細胞に対するRDR2の反応性が試験された。SVAPALAL‐S‐PAをロードするペプチドは溶解せず、SVAPALAL‐F‐PAペプチドをロードする細胞のみが溶解した(b)。患者由来DNAを含む構築物が作製された。各構築物の開始は、転写の開始において、及び通常と代替ORFの両方において翻訳ごとに異なる。構築物は、一時的にHela‐A2細胞にトランスフェクトされた。RDR2は、24時間共培養され、上清におけるIFN−γリリースは、Elisaにより測定された。RDR2刺激は、すべての場合に観察された。通常のORF開始コドンのみを含み、代替ORF開始コドンを欠いている構築物による刺激により、CTL認識が顕著に減少することを示した(c)。ドナー由来のDNAを含む同様の構築物は、RDR2により認識されなかった(データは示されず)。 [RDR2認識のための遺伝子多型原因遺伝子としてのADIRの同定] 翻訳されたEMBLデータベースにおいてのSVAPAXAXFPAのブラストサーチにより、ADIR遺伝子の代替ORFから13〜23アミノ酸と100%同一であることを明らかにした。公知のnt78におけるSNPは、SからFへのアミノ酸変異をもたらす(a)。ペプチドSVAPALAL‐F‐PA(黒い四角)とSVAPALAL‐S‐PA(白い四角)が合成され、51CrリリースアッセイにおいてT2細胞に対するRDR2の反応性が試験された。SVAPALAL‐S‐PAをロードするペプチドは溶解せず、SVAPALAL‐F‐PAペプチドをロードする細胞のみが溶解した(b)。患者由来DNAを含む構築物が作製された。各構築物の開始は、転写の開始において、及び通常と代替ORFの両方において翻訳ごとに異なる。構築物は、一時的にHela‐A2細胞にトランスフェクトされた。RDR2は、24時間共培養され、上清におけるIFN−γリリースは、Elisaにより測定された。RDR2刺激は、すべての場合に観察された。通常のORF開始コドンのみを含み、代替ORF開始コドンを欠いている構築物による刺激により、CTL認識が顕著に減少することを示した(c)。ドナー由来のDNAを含む同様の構築物は、RDR2により認識されなかった(データは示されず)。 [RDR2認識のための遺伝子多型原因遺伝子としてのADIRの同定] 翻訳されたEMBLデータベースにおいてのSVAPAXAXFPAのブラストサーチにより、ADIR遺伝子の代替ORFから13〜23アミノ酸と100%同一であることを明らかにした。公知のnt78におけるSNPは、SからFへのアミノ酸変異をもたらす(a)。ペプチドSVAPALAL‐F‐PA(黒い四角)とSVAPALAL‐S‐PA(白い四角)が合成され、51CrリリースアッセイにおいてT2細胞に対するRDR2の反応性が試験された。SVAPALAL‐S‐PAをロードするペプチドは溶解せず、SVAPALAL‐F‐PAペプチドをロードする細胞のみが溶解した(b)。患者由来DNAを含む構築物が作製された。各構築物の開始は、転写の開始において、及び通常と代替ORFの両方において翻訳ごとに異なる。構築物は、一時的にHela‐A2細胞にトランスフェクトされた。RDR2は、24時間共培養され、上清におけるIFN−γリリースは、Elisaにより測定された。RDR2刺激は、すべての場合に観察された。通常のORF開始コドンのみを含み、代替ORF開始コドンを欠いている構築物による刺激により、CTL認識が顕著に減少することを示した(c)。ドナー由来のDNAを含む同様の構築物は、RDR2により認識されなかった(データは示されず)。 [患者のLB−ADIR−1特異的CTLのテトラマー染色とクローン解析] 複数の時点で採取された患者由来のPBMNCは、テトラマーLB−ADIR−1Fで染色された。DLI後7週間のサンプルにおける陽性細胞は、単一ウェルにソートされ、展開された(a)。TCRBV配列解析が、44の反応性クローンについて行われ、TCRBV7S1を43クローンが表現し、TCRBV6S4を1クローンが表現した(b)。患者のサンプルの再解析が、TCRBV7対比染色を用いて行われ、LB−ADIR−1F陽性集団において、TCRBV7陰性細胞が低いパーセンテージであることを確認した(c)。TCRBV7S1(黒い四角)及びTCRBV6S4(白い三角)を発現しているクローンの反応性が、ペプチドでパルスしたT2細胞(d)及びEBV LCL細胞(e)において、51Crリリースアッセイを用いて測定され、TCRBV6S4発現T細胞は、より低い細胞傷害性を提示することを示した。 [患者のLB−ADIR−1特異的CTLのテトラマー染色とクローン解析] 複数の時点で採取された患者由来のPBMNCは、テトラマーLB−ADIR−1Fで染色された。DLI後7週間のサンプルにおける陽性細胞は、単一ウェルにソートされ、展開された(a)。TCRBV配列解析が、44の反応性クローンについて行われ、TCRBV7S1を43クローンが表現し、TCRBV6S4を1クローンが表現した(b)。患者のサンプルの再解析が、TCRBV7対比染色を用いて行われ、LB−ADIR−1F陽性集団において、TCRBV7陰性細胞が低いパーセンテージであることを確認した(c)。TCRBV7S1(黒い四角)及びTCRBV6S4(白い三角)を発現しているクローンの反応性が、ペプチドでパルスしたT2細胞(d)及びEBV LCL細胞(e)において、51Crリリースアッセイを用いて測定され、TCRBV6S4発現T細胞は、より低い細胞傷害性を提示することを示した。 [患者のLB−ADIR−1特異的CTLのテトラマー染色とクローン解析] 複数の時点で採取された患者由来のPBMNCは、テトラマーLB−ADIR−1Fで染色された。DLI後7週間のサンプルにおける陽性細胞は、単一ウェルにソートされ、展開された(a)。TCRBV配列解析が、44の反応性クローンについて行われ、TCRBV7S1を43クローンが表現し、TCRBV6S4を1クローンが表現した(b)。患者のサンプルの再解析が、TCRBV7対比染色を用いて行われ、LB−ADIR−1F陽性集団において、TCRBV7陰性細胞が低いパーセンテージであることを確認した(c)。TCRBV7S1(黒い四角)及びTCRBV6S4(白い三角)を発現しているクローンの反応性が、ペプチドでパルスしたT2細胞(d)及びEBV LCL細胞(e)において、51Crリリースアッセイを用いて測定され、TCRBV6S4発現T細胞は、より低い細胞傷害性を提示することを示した。 [患者のLB−ADIR−1特異的CTLのテトラマー染色とクローン解析] 複数の時点で採取された患者由来のPBMNCは、テトラマーLB−ADIR−1Fで染色された。DLI後7週間のサンプルにおける陽性細胞は、単一ウェルにソートされ、展開された(a)。TCRBV配列解析が、44の反応性クローンについて行われ、TCRBV7S1を43クローンが表現し、TCRBV6S4を1クローンが表現した(b)。患者のサンプルの再解析が、TCRBV7対比染色を用いて行われ、LB−ADIR−1F陽性集団において、TCRBV7陰性細胞が低いパーセンテージであることを確認した(c)。TCRBV7S1(黒い四角)及びTCRBV6S4(白い三角)を発現しているクローンの反応性が、ペプチドでパルスしたT2細胞(d)及びEBV LCL細胞(e)において、51Crリリースアッセイを用いて測定され、TCRBV6S4発現T細胞は、より低い細胞傷害性を提示することを示した。 [患者のLB−ADIR−1特異的CTLのテトラマー染色とクローン解析] 複数の時点で採取された患者由来のPBMNCは、テトラマーLB−ADIR−1Fで染色された。DLI後7週間のサンプルにおける陽性細胞は、単一ウェルにソートされ、展開された(a)。TCRBV配列解析が、44の反応性クローンについて行われ、TCRBV7S1を43クローンが表現し、TCRBV6S4を1クローンが表現した(b)。患者のサンプルの再解析が、TCRBV7対比染色を用いて行われ、LB−ADIR−1F陽性集団において、TCRBV7陰性細胞が低いパーセンテージであることを確認した(c)。TCRBV7S1(黒い四角)及びTCRBV6S4(白い三角)を発現しているクローンの反応性が、ペプチドでパルスしたT2細胞(d)及びEBV LCL細胞(e)において、51Crリリースアッセイを用いて測定され、TCRBV6S4発現T細胞は、より低い細胞傷害性を提示することを示した。 [ADIR遺伝子発現及び認識の改変] 3人のLB−ADIR−1F陽性ドナー由来のMNCの認識が4時間のCFSEアッセイにおける直接細胞傷害性(a)と24時間のIFN−γリリースにより測定され、その後培地単独(白いバー)又は1000IU/mlのIFN−αを含む培地(黒いバー)で48時間プレインキュベーションした。最大のペプチドロードは、合成ペプチド(グレーのバー)の飽和濃度による外部からのパルスによって得られた。IFN−αは、直接細胞傷害性とサイトカインリリースにより測定されたMNCの認識を増強した。LB−ADIR−1F陽性MSCは、血清枯渇により2日の間成長を停止させ、51Crリリースアッセイにおいて、続いて標的細胞として用いられた。細胞障害性は、4時間後、又は20時間の延長培養後に測定された(c)。MSCの溶解は、EBV LCLの溶解に比べて低い。MSCの成長停止は、さらに認識を減少させる。 [ADIR遺伝子発現及び認識の改変] 3人のLB−ADIR−1F陽性ドナー由来のMNCの認識が4時間のCFSEアッセイにおける直接細胞傷害性(a)と24時間のIFN−γリリースにより測定され、その後培地単独(白いバー)又は1000IU/mlのIFN−αを含む培地(黒いバー)で48時間プレインキュベーションした。最大のペプチドロードは、合成ペプチド(グレーのバー)の飽和濃度による外部からのパルスによって得られた。IFN−αは、直接細胞傷害性とサイトカインリリースにより測定されたMNCの認識を増強した。LB−ADIR−1F陽性MSCは、血清枯渇により2日の間成長を停止させ、51Crリリースアッセイにおいて、続いて標的細胞として用いられた。細胞障害性は、4時間後、又は20時間の延長培養後に測定された(c)。MSCの溶解は、EBV LCLの溶解に比べて低い。MSCの成長停止は、さらに認識を減少させる。 [ADIR遺伝子発現及び認識の改変] 3人のLB−ADIR−1F陽性ドナー由来のMNCの認識が4時間のCFSEアッセイにおける直接細胞傷害性(a)と24時間のIFN−γリリースにより測定され、その後培地単独(白いバー)又は1000IU/mlのIFN−αを含む培地(黒いバー)で48時間プレインキュベーションした。最大のペプチドロードは、合成ペプチド(グレーのバー)の飽和濃度による外部からのパルスによって得られた。IFN−αは、直接細胞傷害性とサイトカインリリースにより測定されたMNCの認識を増強した。LB−ADIR−1F陽性MSCは、血清枯渇により2日の間成長を停止させ、51Crリリースアッセイにおいて、続いて標的細胞として用いられた。細胞障害性は、4時間後、又は20時間の延長培養後に測定された(c)。MSCの溶解は、EBV LCLの溶解に比べて低い。MSCの成長停止は、さらに認識を減少させる。 [LB−ADIR−1F陽性HLA‐A2MM細胞、白血病性芽球及び固形がん細胞株の認識]異種(heterogeneous)骨髄サンプルにおけるMM細胞を発現するLB−ADIR−1Fの溶解が、CFSEアッセイを用いて測定され、白血病性芽球細胞集団と固形がん細胞株が、51Crリリースアッセイを用いて測定された。RDR2による認識が、黒いバーで示され、アロA2コントロールCTRによる認識が白いバーにより示された。Y軸に悪性腫瘍細胞タイプとADIRのヌクレオチド78のSNPを示す。LB−ADIR−1Fエピトープ(CT又はTT)を発現するMM及び白血病細胞が認識される一方、LB−ADIR−1F陰性(CC)標的は溶解されなかった(a)。固形がん細胞株を発現しているHLA‐A2陽性LB−ADIR−1Fもまた認識された(b)。

Claims (18)

  1. 天然hADIRアレルの転写物のヌクレオチド配列に存在するオープンリーディングフレームによりコードされるアミノ酸配列を含むペプチドであって、アミノ酸配列がMHCクラスI又はIIの副組織適合結合ペプチド多型を含むことを特徴とするペプチド。
  2. MHC結合ペプチドのアミノ酸配列が、hADIR遺伝子において一塩基多型(SNP)による配列番号1でコードされるアミノ酸残基における多型を含むことを特徴とする請求項1記載のペプチド。
  3. ペプチドをコードする核酸配列が、表Aの一塩基多型(SNP)を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のペプチド。
  4. リーディングフレームが、配列番号3〜5のアミノ酸配列から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペプチド。
  5. MHC結合ペプチドが、MHCクラスI又はMHCクラスII分子と関連していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペプチド。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のペプチドをコードする核酸分子。
  7. 請求項5に定義されるMHC結合ペプチドと相互作用することができるTCRレセプター。
  8. 核酸ベクター内に任意に含まれることを特徴とする、請求項7に定義されるTCRレセプターをコードする核酸分子。
  9. 請求項7に定義されるT細胞レセプターを含むTリンパ球。
  10. 請求項8に定義される核酸分子を含み、請求項7に定義されるTCRを任意に提示する宿主細胞。
  11. hADIR遺伝子を発現している悪性腫瘍を患っている被検者の治療のための薬剤の製造における、請求項1〜5のいずれかに定義されるペプチド、又は、請求項9若しくは10に定義される細胞の使用。
  12. 被検者が、同種造血幹細胞移植を受けていることを特徴とする請求項11記載の使用。
  13. 悪性腫瘍が、造血器悪性腫瘍であることを特徴とする請求項11又は12記載の使用。
  14. 悪性腫瘍が、可欠器官又は組織に存在又は由来する固形腫瘍であることを特徴とする請求項11又は12記載の使用。
  15. 可欠器官又は組織が、骨髄、脾臓、睾丸、腎臓、卵巣、胸部、前立腺、甲状腺、頸部、子宮、及び膵臓からなる群から選択されることを特徴とする請求項14記載の使用。
  16. i)請求項1〜5のいずれかに定義される抗原ペプチド;
    ii)請求項9又は10に定義される細胞;
    iii)請求項1〜5のいずれかに定義される核酸分子及び/又はペプチドをコードするベクター;
    iv)請求項7に定義されるTCRをコードする遺伝子及び/又はベクター;
    のうち少なくとも一つと、少なくとも一つの医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
  17. HLA分子と任意に関連している抗原である、hADIR副組織適合抗原多型に特異的なヒト又はヒト化抗体。
  18. 配列番号1のヌクレオチド78、672、740、752、856、1454、1761及び/又は2011のSNPを含むhADIRヌクレオチド配列によりコードされるhADIRmHagに結合することができ、MHCクラスI又はII分子と任意に関連していることを特徴とする請求項17記載の抗体。
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