JP2009524191A - 信号経路の状態を切り換えるためのスイッチ、方法、および、システム - Google Patents

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Abstract

本発明は、電気信号のための信号経路の形態を切り換える方法、システムおよび多重安定スイッチであって、第1の移動要素12と第2の移動要素14とを備え、第1および第2の要素が、少なくとも2つの機械的に安定な状態(第1の移動要素が第2の移動要素と機械的に結合され、スイッチにおける信号経路が閉形態に配置される機械的結合状態;第1の移動要素が上記第2の移動要素から分離され、スイッチにおける上記信号経路が開形態に配置される非結合状態)へと配置され得る方法、システムおよび多重安定スイッチに関する。スイッチは第1の固定電極部を伴って構成される固定静電電極10を備え、第1の固定電極部は、第1の固定電極と移動要素のうちの少なくとも一つとの間に電位差が加えられるときにその移動要素を作動させて移動させることにより移動要素を一方の状態から他方の状態へと移行させる。
【選択図】図20

Description

発明の分野
本発明は、独立請求項の前提部分に係る機械的なスイッチおよびスイッチ自体によって電気信号ラインを開き或いは閉じるための方法に関する。
発明の背景
MEMS(微小電気機械システム、すなわち、ミクロンで測定されるデバイス)金属−接点スイッチ構造における主要な問題は、接点材料の選択である。一般に100mNよりも大きい接触力を伴う肉眼で見えるリレーとは異なり、MEMSスイッチには、10μN〜5mNの範囲の接触力しか形成しない比較的弱いアクチュエータが備えられる。接触力に対する接触抵抗の依存性は、異なる接点材料に関して徹底的に研究されてきた。文献によれば、安定な接触抵抗は、金においては50〜100μNの力で、金−銅−カドミウム「純金」合金においては100μNの力で、金−(5%)ニッケル「硬質金」合金においては300〜450μN[9]、パラジウムにおいては300μN、銀においては600μN、ロジウムにおいては600〜900μNの力で得られる。多くの異なる結果を比較することは難しい。これは、それらの結果が、材料堆積プロセス、接点洗浄処理、表面汚染物、大気環境、測定電流、切り換え履歴に大きく依存しているからである。また、テストセットアップに関して多くの研究が行なわれ、製造されたMEMSデバイスに関しては多くの研究が行なわれなかった。一般に、接触抵抗は、接触力の増大に伴って減少する。この関係は、最終的に十分に大きい有効な接触領域をもたらし、したがって、安定した接触抵抗をもたらす、弾塑性変形に起因する互いに適合される接触面によって説明され、これは、より硬質な材料の場合よりも低い力で低い硬度を有する更に柔軟な材料において起こる。
したがって、マイクロリレー接点においては、硬い材料よりも軟質金属が好ましい。特に、金は、低い電気抵抗、高い熱伝導率、様々な利用可能な堆積プロセスを用いた処理の容易性、高い耐酸化性、軟質金属であるが故の比較的高い融解温度、および、表面汚染物の吸収に対する良好な耐性のため、非常に適していることが分かった。
しかしながら、軟質金属は、低い硬度に起因して、一般に、永久接触静止摩擦力に対する感受性の増大に伴ってかなり大きな付着力も生み出し、それにより、接触信頼性が減少する。マイクロスイッチ接点を分離するために必要とされる典型的な解放力は、金においては100〜2700μN、金―(5%)ニッケル合金においては最大300μN、ロジウムにおいては100μN以下である。したがって、軟質金属接点間の付着力は、それらの接点を閉じるために必要な接触力よりもかなり大きく、また、更に硬い材料においては、それが逆である。
金接点を備えるスイッチ構造は、不可逆的な接触静止摩擦力が起こる前に約1000万回のスイッチングサイクルのコールドスイッチング寿命を得た。これに対し、「白金族」金属接点を有する同じ構造は1000億回のスイッチングサイクルを越えた。したがって、金接点は、優れた電気接点性能を有するが、合金化元素によって更に硬化されなければ、一般に大きな開放力を生み出さない「従来の」スイッチ構造において短い寿命をもたらす。
「従来の」スイッチ構造における接触力および復元力
大容量ウエハスケール製造技術における信頼性および適合性に関して最も将来性のあるMEMSスイッチ構造は、静電アクチュエータ、すなわち、静電力に基づくアクチュエータSに基づいている。この作動原理は、小寸法におけるスケーリング法則に起因する高いエネルギ密度および大きな力のため、および、比較的簡単な製造のため、移動マイクロシステムを形成するのに非常に興味深い。
従来の最も一般的に使用される静電作動のスイッチ概念は、図1bに示されるように、片持ちばねまたは膜ばね構造に基づいている。アクチュエータ機構は、静電気力による能動的な閉塞と、撓まされた、すなわち、引き込まれた構造に蓄えられるばねネルギによる受動的な開放を特徴としている。平行板電極を有する簡略化されたモデルを想定すると、静電気力は(d0−d)に比例する。この場合、d0は最初の電極距離であり、dは片持ち梁の撓みである。全静電気力の約40〜90%は一般に接触力として使用され、残りの部分は、ビームの曲げに寄与し、あるいは、電極またはアンカサスペンションと接触することにより失われる。反作用復元ばね力はdに正比例する。アクチュエータは、最初の電極距離d0の2/3における静電気力がばね力よりも大きくなるように構成されなければならず、さもなければ、引き込みが起こらない。非線形成長の静電気力に関連するこの基準は、最終的な接触位置dmaxにおいて、しかし、比較的小さな復元ばね力においてのみ、非常に大きな接触力をもたらす。
図2は、平行電極モデルの臨界引き込みケースにおいてプロットされた、片持ち梁の撓みにわたる接触力および復元力のプロットを示している。この従来のタイプのスイッチの接触力は一般に100〜500μNの範囲内であるが、復元力は、通常、100μNよりもかなり低く、そのため、この概念は柔軟な接点材料にあまり適さない。接触分離力を高めるためにばね力を増大させるには、かなり強力な、したがって大きな静電アクチュエータが必要であり、あるいは、非常に高い作動電圧が必要である。アクチュエータ−体積エネルギ−効率の観点から、そのようなアクチュエータは、接触位置で十分に大きな接触力および復元力を与える機能を満たすためにアクチュエータのサイズおよび能力が全く利用されないため、「行き過ぎ」である。したがって、中間硬度の接点材料のための決定的に良好な選択である、能動接触力および受動復元力に基づく従来の静電スイッチ概念は、柔軟な接点材料にはあまり適さない。また、従来の概念における引き込み要件は、強力な接触力が柔軟接点材料において必要とされないため、過大サイズのアクチュエータをもたらす。
最も双安定なマイクロリレーは、横方向に移動する直線変位電熱アクチュエータに基づいており、その双安定性は、2つの安定した位置での多重片持ち梁構造体の座屈に基づいている。ここで、電熱アクチュエータは、他の安定状態への移行を引き起こすためのエネルギを与えるためだけに使用される。他の横方向に移動する双安定機構は、主構造体の変位のためのアクチュエータと、外部作動エネルギの除去後に主構造体が最初の位置へ後退するのを防止するために可動フックを有する主構造体をロックするための副アクチュエータとを利用する。これらのタイプのデバイスの特徴的な性能は、座屈機構およびアクチュエータのいずれも移動の端部位置のうちの1つでそれらの最大力を形成しないという点であり、これはマイクロリレー用途においては望ましい。縦方向に移動する構造体は、移動面内に複雑な幾何学的要素を必要とする双安定機構にはあまり適さず、したがって、横方向に移動するアクチュエータの製造手続きを特徴とする。
本発明の目的は、機械的に多重安定なスイッチ機構の作動および性能を高めるための方法およびデバイスを提供することである。
発明の概要
本発明は、独立請求項1,15,および21に係る方法、デバイス、および、システムを提供することによって前述した目的を解決する。
本発明は、電気信号のための信号経路の形態を切り換えるようになっている多重安定スイッチであって、第1の移動要素と第2の移動要素とを備え、上記第1および第2の要素が、少なくとも2つの機械的に安定な状態、すなわち、上記第1の移動要素が上記第2の移動要素と機械的に結合され、スイッチにおける信号経路が閉形態に配置される、機械的結合状態;および、上記第1の移動要素が上記第2の移動要素から分離され、スイッチにおける上記信号経路が開形態に配置される、非結合状態へと配置され得る、多重安定スイッチにおいて、スイッチが第1の固定電極部を伴って構成される固定静電電極を更に備え、上記第1の固定電極部は、当該第1の固定電極と上記移動要素のうちの少なくとも一方との間に電位差が加えられるときに上記移動要素のうちの少なくとも一方を作動させて移動させることにより上記移動要素を一方の状態から他方の状態へと移行させるようになっている、多重安定スイッチを開示する。
また、上記第1の固定静電電極が、上記第2の移動要素に沿って配置される第2の固定静電電極部を更に備え、上記第1の固定電極部が上記第1の移動要素に沿って配置されるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記移動要素がそれぞれ、上記固定電極から小さな距離で配置される1つの固定アンカ点と、上記固定電極から上記アンカ点よりも大きい距離で配置される先端とを有するように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記移動要素の上記先端が、上記第1の移動要素と上記第2の移動要素との間の結合を助ける形状を成して配置されるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記移動要素の結合状態が、上記機械的結合状態で撓まされる上記移動要素のうちの少なくとも一方の機械的な復元ばね力によって形成される力によって維持されるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、スイッチが、上記固定静電電極と上記移動要素のうちの少なくとも一方とを分離させるようになっている距離維持体または誘電絶縁層を備えるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、スイッチが、更に、1つの入力と2つの出力との間または2つの入力と1つの出力との間で電気信号を切り換えるようになっているように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、スイッチが第3の移動要素を備え、上記固定静電電極が第3の固定電極部を備え、上記第3の固定電極部は、上記第3の移動要素と上記第3の固定静電電極部との間に電位差が加えられるときに上記第3の移動要素を上記第3の固定電極部へと撓ませるようになっており、上記第1、第2、および、第3の移動要素が、少なくとも3つの安定状態、すなわち、上記第1の移動要素が上記第2の移動要素と結合される機械的結合状態;上記第2の移動要素が上記第3の移動要素と結合される第2の機械的結合状態;および、上記移動要素のいずれもが任意の他の移動要素に対して結合されない非結合状態へと配置され得るように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、スイッチが、MEMSスイッチ、すなわち、ミクロ機械加工技術によって製造されるデバイスであるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記移動要素が片持ち梁の形状を有するように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記固定静電電極の電極部が互いから電気的に分離される別個の電極であるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記固定電極部が湾曲されるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、上記各移動要素が信号経路配列と作動電極とを備え、上記信号経路配列が上記移動要素上で上記作動電極から分離されるように、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
更に、マイクロ波およびミリメートル波を含む高周波信号の信号伝搬の乱れが最小限に抑えられるように固定電極を含む上記配列の要素が配置されるべく、多重安定スイッチが具現化されてもよい。
また、本発明は、スイッチ形態を第1の安定状態から第2の安定状態へ移行する方法であって、上記スイッチが、第1の移動要素と、第2の移動要素と、第1の固定静電電極部を有する固定静電電極とを備える方法において、上記第1の固定静電電極と上記第1の移動要素との間に電位差を加えることにより、上記第1の移動要素を静電気力により上記固定電極へと撓ませるステップと、電位差を解除することにより、上記第1および第2の移動要素が上記第2の安定状態へと位置されるようにするステップと、を備える方法を開示する。
また、方法は、上記2つの安定状態が、上記第1の移動要素が上記第2の移動要素と結合され、スイッチにおける電気信号経路が遮断されない、機械的結合状態;および、上記第1の移動要素が上記第2の移動要素から分離され、スイッチにおける上記電気信号経路が遮断される、非結合状態である方法であってもよい。
また、方法は、上記固定静電電極が第2の固定静電電極部を備え、方法が、上記第2の固定静電電極部と上記第2の移動要素との間に電位差を加えることにより、上記第2の移動要素を静電気力により上記固定電極へと撓ませるステップと、上記第2の固定静電電極部と上記第2の移動要素との間の電位差を解除するステップとを更に備える方法を更に開示してもよい。
上記第1の固定静電電極部と上記第1の移動要素との間に電位差を加えて解除すること、および、上記第1の固定静電電極部と上記第2の移動要素との間に電位差を加えて解除することが特定のシーケンスにしたがっているように、方法が具現化されてもよい。
また、方法は、スイッチが第3の移動要素を備え、上記固定静電電極が第3の固定静電電極部を備え、方法が、上記第3の固定静電電極部と上記第3の移動要素との間に電位差を加えることにより、上記第3の移動要素を静電気力により上記第3の固定静電電極部へと撓ませるステップと、上記第3の固定静電電極部と上記第3の移動要素との間の電位差を解除して、上記第1及び/又は第2の移動要素および上記第3の移動要素が互いに対して相互接続される第3の安定状態に配置されるようにするステップとを更に備える方法を開示してもよい。
方法におけるスイッチは、上記静電電極の電極部が分離された部分であることを更に開示してもよい。
本発明は、互いに隣接して配置されてスイッチマトリクス状のスイッチ配列を形成する前述したものに係る第1および第2の多重安定スイッチを備える、電気信号を切り換えるようになっているシステムを更に開示する。
本発明は、より小さいサイズのスイッチをもたらす高い性能および高機能な作動、より高い効率を有するとともに、複雑度の低い、機械的に多重安定なスイッチ機構を可能にする。これは、それが大量生産により適するという事実に起因して、製造における経済性を高める。
本発明の実施形態において、デバイスは、柔軟な電極および固定された電極に基づく静電湾曲電極アクチュエータによって動作される。この場合、電極距離は、移動構造体のクランプ端部から自由端へ向かって徐々に増大する。当初の狭い隙間に起因して、高い力が柔軟な電極の連続部分の移動および短い電極距離を初期化し、したがって、大きな作動力の位置が固定電極に沿ってジッパー状の態様で移動している。そのようなアクチュエータは、中間の作動電圧で電熱アクチュエータに比べて非常に大きい撓みを得る。また、電熱アクチュエータとは異なり、最大力が移動の端部位置で形成され、それにより、電気マイクロスイッチに非常に適するようになる。
本発明は、本発明の更なる目的および利点と共に、添付図面と併せて解釈される以下の説明を参照することにより最も良く理解され得る。
発明の実施形態の詳細な説明
機械的に双安定なスイッチアクチュエータは、最も一般に使用されるスイッチ機構とは異なり、安定状態間の移行を行なうためだけに必要とされる外部エネルギ源を加えることなくそれらの両方の静電状態(ON状態およびOFF状態)を維持する機構である。これらのタイプのアクチュエータは、予測されない或いは意図的な電力供給停止中にそれらのスイッチ位置の維持を必要とする多くのスイッチ用途において、また、極めて低い電力消費量を要する用途において好ましい選択である。例として再構成可能な電気ネットワーク、又は光ネットワークが挙げられる。
多重安定スイッチ機構は、少なくとも2つの機械的安定状態、すなわち、外部エネルギを何ら加えることなく未決定の時間の長さにわたってそれらの形態を維持する状態を有する機構である。多重安定スイッチ機構の一例は、1つの入力ポートと2つの出力ポートとを有する三安定単極二投スイッチであり、また、3つの機械的安定状態は、入力ポートから出力ポート1、入力ポートから出力ポート2、および、入力ポートがいずれの出力ポートに対しても接続されない、である。
本発明の一実施形態は、MEMS(微小電気機械システム)金属−接点電気信号スイッチ回路の概念に関する。そのようなMEMSスイッチは、基本的に、MEMS技術に基づくアクチュエータを使用することにより電気信号を機械的に切り換える微小機械デバイスであるマイクロリレーである。切り換えられるべき信号の周波数範囲は、任意の周波数帯域に制限されてもよく、あるいは、DCからマイクロ波および上記周波数までの幅広いスペクトルであってもよい。そのようなスイッチは、肉眼で見えるリレーの真正のオーム金属接点切り換え挙動(スイッチONのときに低い抵抗;スイッチOFFのときに非常に高い絶縁)を伴うミリメートルまたはサブミリメートル寸法を有しているが、非常に小さい寸法を有し、例えば大容量半導体またはマイクロシステム製造設備によって製造される可能性を伴っており、その結果、単一デバイスのサイズが非常に小さいことから、デバイス当たりのコストが低くなり、それにより、多数のデバイスを単一の基板上に並行して製造でき、したがって、デバイス当たりのコストをかなり低減することができる。以下では、スイッチング構造が「スイッチ」または「デバイス」と称される。また、一般に使用される同義語は、「マイクロスイッチ」、「マイクロリレー」または「MEMSスイッチ」である。
金属接点MEMSスイッチは、信号ラインを閉じ或いは開く金属接点バーを移動させることによって遮断された信号ラインを開閉するMEMSスイッチである。そのようなデバイスは、DC(直流)信号およびAC(交流)信号を切り換えることができる。再構成可能なデバイスの安定状態は、外部または内部のエネルギ或いは電力を印加して或いは印加することなく維持される状態である。安定状態は、デバイスに対する外的影響の変化を伴うことなく変化しない特定の所定位置にある再構成可能デバイスの移動要素によって特徴付けられる。異なる安定状態は、少なくとも1つの可動要素が再構成可能デバイスの他の安定状態のうちの少なくとも1つとは異なる位置にあるという事実によって互いから区別する。安定状態とは、デバイスの機械要素の安定な形態のことである。
機械的安定状態は、機械的に再構成可能なデバイスの状態であり、この場合、この状態は、外部または内部のエネルギ源或いは電力源を何ら加えることなくデバイスによって維持される。機械的に双安定な或いは多重安定なスイッチは、2つ以上の機械的に安定な状態を有するスイッチデバイスであり、一方、機械的安定位置は、外部または内部のエネルギ源或いは電力源を何ら加えることなく維持されるデバイスの安定状態である。機械的に双安定なデバイスはそのような機械的安定状態のうちの2つを有しており、機械的に三安定なデバイスは3つの機械的安定状態を有している。一般に、機械的に多重安定なデバイスは、少なくとも2つ以上の機械的安定状態を示す。
アクチュエータは、デバイスまたはデバイスの部品に対して加えられ且つデバイスの部品の機械的な移動をもたらし得る機械的な力を形成する、デバイスまたはデバイスの部品である。アクチュエータによって生み出されるこの力または移動は、通常、デバイスに対して印加される外部電力またはエネルギによって形成される。
静電アクチュエータは少なくとも2つの電極に基づくアクチュエータであり、これらの電極のうちの少なくとも1つの電極或いは少数の電極或いは全ての電極は、少なくとも1つの自由度をもって移動できる。電位差(=電圧)が電極のうちの少なくとも2つの間で印加されると、これらの電極間に機械的な力が形成され、それにより、少なくとも1つの電極が他の電極の方へと移動し、あるいは、電極が互いの方へと移動する。
湾曲電極アクチュエータは2つの電極から成る静電アクチュエータであり、この場合、一方の電極10は硬質で且つ湾曲しており、他方の電極12は、最初は平坦であり、少なくとも1つの自由度をもって移動できる。最初の電極距離は、可動電極12のアンカ(=固定点121)で非常に小さく、可動構造体12の先端122で非常に大きい。可動電極12は、硬質電極10に沿って連続的に曲がっている。一般に、可動構造体12は、厚さに比べて非常に長いことにより特徴付けられる片持ち梁の形状を有している。この場合、厚さは、長さに対して垂直で且つこの柔軟構造体の横移動方向に対して平行な寸法として規定される。そのような湾曲電極アクチュエータは、平行電極片持ちばねまたは膜ばねの構造の撓みと比べて、比較的低い作動電圧で比較的大きい先端撓みを有するという利点を持っている。電気信号は、デバイスによって切り換えられなければならない信号である。すなわち、その電気信号経路は、スイッチデバイスにより、少なくとも1つの入力/出力から少なくとも1つの入力/出力へと再構成される。電気信号経路の同義語は、電気信号ラインまたは送信ラインである。機械要素を再構成することによって電気信号を切り換えることがスイッチの主な機能である。
本発明の一実施形態は、MEMS技術または任意の他の技術によって製造される、電気信号を切り換えるための機械的に多重安定なスイッチデバイスであって、単独で或いは湾曲電極または他のタイプの他のアクチュエータと共に、デバイスの機械的再構成可能性を表わす異なる機械的安定状態24のために機械的に結合され得る少なくとも2つの移動要素12,14を作動させる湾曲電極アクチュエータであってもよい少なくとも1つの静電アクチュエータ10から成る機械的に多重安定な機構に基づくスイッチデバイスを請求する。非結合安定状態20は、適した動作状態でもあり、デバイスを再構成するために利用され得るが、これらの非結合状態20は一般的安定状態である。デバイスの異なる入力と出力との間で切り換えられる電気信号は、結合構造を介して送信され得るとともに、スイッチデバイスにおける信号経路の異なる電気構成のための少なくとも1つの異なる出力と少なくとも1つの異なる入力との間で切り換えられる。
本発明の対象であるスイッチの一実施形態は、以下の要素または特徴の基本的構造にある。
・湾曲電極アクチュエータであってもよい少なくとも1つ以上の外的に或いは内的に制御される静電アクチュエータ10であり、各アクチュエータ毎に少なくとも1つの電極を有し、電極は、独立に或いは互いに依存して或いはデバイスの他の電気部品(すなわち、互いに対して或いはデバイスの他の電気素子に対して電気的に接続され或いは接続されない電極)に応じて電気的に制御され得る。
・それぞれが少なくとも1つの自由度を有する少なくとも2つの移動要素12,14であり、これらの移動要素12,14は、少なくとも1つの固定アンカ点121,141をそれぞれ有し、これらの移動要素のうちの少なくとも1つが静電アクチュエータ10のうちの少なくとも1つによって作動される。
・移動要素12,14は、湾曲電極アクチュエータ10によって或いは他の静電アクチュエータによって、それらの位置へ再構成され、それにより、異なる結合安定状態または非結合安定状態がもたらされる。その場合、全ての可能な安定状態のうちの少なくとも1つが機械的に安定である。
・移動要素12;14のうちの少なくとも1つには、結合機構で利用されることを目的としているとき、要素間の機械的結合を助けるために任意のタイプの先端形状122,142、一般的にはフック形状が与えられる。
・ONおよびOFFに切り換えられ或いはデバイスの異なる状態によって影響される少なくとも1つの電気信号ライン、すなわち、電気信号の可能な信号経路は、スイッチデバイスの移動要素12,14によって機械的に再構成される。
・可動要素のロックおよびロック解除は、少なくとも1つの湾曲電極アクチュエータ10から成るデバイスのアクチュエータによって行なわれる。
・可動要素12,14のロックおよびロック解除は、可動要素12,14の連続的作動によって或いは可動要素12,14の同時作動によって起こる。
・撓ませられ、すなわち、曲げられる可動要素12,14を伴う安定状態において、結合状態を維持する力、および、結合された要素が電気信号経路の一部として使用されるときの当該要素間の電気的な接触力を規定する力は、撓まされた要素の機械的なばね力またはばねネルギを回復させることにより形成される。
・結合された要素を開放し或いはロック解除するための作動力は、外部または内部エネルギ源或いは電源を有する湾曲電極アクチュエータ10などのアクチュエータ要素によって、あるいは、撓ませられた1または複数の要素に蓄えられるばねネルギまたはばね力によって形成される。
湾曲電極アクチュエータの特別な特徴として、静電気力は、湾曲電極10に沿う可動要素の撓みに伴って大きく増大し、撓みの端部位置または撓みの端部位置の近傍で最大値に達する。したがって、可動構造体12,14の結合位置が移動の最大端部位置に近いと、結合された機構を開放するための結果的な力は非常に大きい。そのため、そのようなスイッチの典型的な実施形態では、従来のMEMSスイッチの概念とは異なり、機構を開放する(スイッチの金属接点を開放する)ための力はアクチュエータによって能動的に形成され、また、閉(結合)状態を維持するための力(閉じられたスイッチ接点間の接触力)は、撓まされた構造体12,14に蓄えられるばねネルギによって受動的に形成される。一般に、この概念は、接点閉じ力よりもかなり大きい接点開放力をもたらす。
また、そのようなデバイスの典型的な実施形態において、スイッチの一部は、電気的な作動経路とスイッチの電気信号経路との間で電気的に共有されてもよく、あるいは、電気的に分離されてもよい。電気的に共有される要素の場合には、1つの可動要素12が少なくとも金属要素から成っていてもよい。その場合、電気信号経路はこの可動要素12によってルート付けられる。また、同時に、可動要素12は作動電極としての機能を果たす。この場合、可動要素の結合位置を維持する可動要素12,14間の結合点50も、電気信号経路を閉じる接触点として作用している。
スイッチは、任意の種類の材料(例えば、シリコン、ガリウムヒ素、石英、任意のタイプのガラス)から成る基板上に或いはセラミックまたはプラスチック担体上に形成されてもよい。スイッチが1つの基板上に完全に形成されてもよく、あるいは、スイッチの異なる部分が異なる基板上に形成されて最終的に手動により或いは自動プロセス(例えば、フリップチップボンディングまたはウエハボンディングなど)により組み立てられてもよい。
また、本発明によって請求されるスイッチングデバイスは、更に、以下のものから成っていてもよい。
・電極間の1つ以上の電気絶縁層。絶縁層は、ポリマーまたはセラミックなどの任意の種類の非金属材料から成っていてもよい。膜上の絶縁層は、膜の機械的安定性を高めるための構造機能を有していてもよい。
・スイッチの少なくとも1つの動作状態中に少なくとも2つの電極12,10の分離を担う、電気的に絶縁され或いは他の電気素子に対して接続される距離維持柱またはストッパ18。そのような距離維持体18は、少なくとも1つの電気絶縁層の機能に取って代わってもよい。
・デバイスの電気活性部と基板との間の1つ以上の絶縁層。
・クランプ電極と少なくとも1つの移動要素上の少なくとも1つの電極との間の静電気力によって安定状態を確保するための更なるクランプ電極。移動要素上のクランプ電極は、移動要素の作動電極に対して接続されてもよく、あるいは、作動電極とは無関係に制御されてもよい。
・デバイスの異なる要素間の縦または横の面内或いは面外電気相互接続ライン。
・デバイスは、動作に適した雰囲気を確保するようにパッケージ化されてもよい。それは、陰性単一ガスまたはガス混合物或いは任意の他のガスまたはガス混合物であってもよい。パッケージ内の圧力は、任意の真空度、標準圧、または、過圧であってもよい。
・デバイスには、スイッチ機能を果たすために電極を制御する接触パッド、および、電気信号を切り換え或いは再設定するための接触パッドが与えられてもよい。
・移動要素は、1つの同じ幾何学的な面内で移動してもよく、あるいは、独立の或いは従属の幾何学的な面内で移動してもよい。
図中、スイッチデバイスは、2つ或いは3つの機械的に安定した状態をもたらす2つ或いは3つの可動要素を伴って示されている。しかしながら、他の実施形態において、本発明に基づく構造体は、4つ以上の可動要素および4つ以上の機械的に安定した状態を伴うことができる。また、少なくとも2つの機械的に安定した状態24をもたらし且つ一般的安定状態20をもたらさない或いは少なくとも1つの一般的安定状態20をもたらす少なくとも2つの可動要素12,14を有する本発明に基づく構造体も同様に可能である。
この実施形態は、従来のスイッチ構造とは異なり図1aに示されるようにアクチュエータがスイッチ接点を能動的に開放するために利用される横方向移動金属接点スイッチの概念を提示して研究する。この概念は、軟質金属接点においても接触静止摩擦力に打ち勝つのに適した大きな外的制御可能な開放力を与える。また、スイッチは、湾曲電極アクチュエータなどの2つの静電アクチュエータから成る機械的に双安定な機構に基づいており、片持ち梁先端122,142には結合フックが与えられる。基本的に、任意のON−OFF型マイクロスイッチは双安定であるが、一般に、2つの安定状態のうちの一方だけが、機械的に安定であり、すなわち、任意の外部エネルギを加えることなく安定である。本スイッチにおいて、任意の他の機械的に双安定な機構に関しては、2つの状態間の移行を引き起こすためだけに電力供給が必要とされる。図1は、(a)非常に大きな能動的開放力を用いて切り換え接点を分離するために利用される湾曲電極10および横方向移動片持ち梁12を有するアクチュエータの静電気力を用いる「能動開放力/受動接触力」スイッチ概念;(b)スイッチ接点を閉じるために利用される一般的には平行電極形態を成す静電アクチュエータ40を用いる縦移動片持ち梁42の従来の概念、および、撓ませられた片持ち梁に蓄えられるばねネルギによって形成されるほんの僅かな受動的な復元力、の概略図を示している。図3は、2つの安定状態20,24および移行22,26中における新規なスイッチ機構の主要な作動段階を示している。能動的な接点閉塞および受動的な開放を特徴とする、従来の金属接点スイッチ構造とは異なり、与えられているスイッチのアクチュエータは、スイッチ接点を能動的に開放する(26)ために利用され、また、接触力は、撓まされた片持ち梁12,14に蓄えられる受動的なばねネルギによって形成される。フックを結合するため、片持ち梁12,14は、最初に、それらの最大撓みまで移動されなければならず、その後、順々に結合位置へと緩められなければならない。湾曲電極アクチュエータおよび他のタイプの静電アクチュエータは、撓まされた片持ち梁12,14が電極10ともストッパ18とも接触しない場合には、撓み端部位置でそれらの最大力を生み出す。
湾曲電極アクチュエータは、電極距離が移動構造体12,14のクランプ端部121,141から自由端へと徐々に増大する電極形状に基づいている。当初の狭い隙間に起因して、高い力が柔軟な電極の連続部分の移動および短い電極距離を初期化し、したがって、大きな作動力の位置が固定電極10に沿ってジッパー状の態様で移動している。そのようなアクチュエータの利点は、平行電極構造と比べてかなり低い作動電圧での大きな先端撓みである。湾曲電極アクチュエータは、図1aに示されるように電極間の距離が非常に小さい撓み端部位置でそれらの最大静電気力を生み出す。与えられたスイッチ概念の片持ち梁は、それらがON状態で結合されるときに、それらの最大変位近くまで撓ませられる。したがって、当該構造は、スイッチ接点を分離するための最大開放力を生み出すためにそれらの最良動作点に近いアクチュエータを利用する。また、結合位置における片持ち梁の大きな撓みは、2つの結合された片持ち梁12,14間の接触力を形成するために十分大きいばね力をもたらす。
引き込み能力を有する任意の静電作動片持ちばねまたは膜ばねシステムの復元ばね力は、その完全撓み作動力よりもかなり小さい(図2参照)。このことは、2つの類似のサイズの片持ち梁を有する提示されたスイッチ構造において、撓ませられた片持ち梁におけるばねネルギにより形成される接触力が、静電開放力よりもかなり小さくてもよく、また、従来のスイッチ構造の接触力と比べてかなり小さくてもよいことを意味している。接触力を設定する場合には、従来のスイッチ構造において開放力を設定する場合と同じ規則が適用される。すなわち、大きなばね定数を有する片持ち梁は、力を増大させるが、必要なスイッチ作動電圧も増大させる。「受動接触/能動開放力」スイッチは、非常に大きな付着力に打ち勝つことができ、したがって、従来のスイッチ構造において開放力を設定するに際し、柔軟な接点材料により適している。すなわち、大きなばね定数を有する片持ち梁は、力を増大させるが、必要なスイッチ作動電圧も増大させる。
図4は、従来のスイッチ構造における力と対比した、新規なスイッチ概念における力の定性比較を示している。公正な比較のため、2つの図を表わすスイッチは、等しい強い静電アクチュエータと同様に硬いばね定数を持つ片持ち梁とを有していると仮定される。主な違いは、新規な概念がスイッチ接点間のかなり大きい付着力に打ち勝つことができることである。これは、ばね力によってのみ減少される略全体の静電作動力が、切り換え接点を分離するために寄与されるからである。非常に大きい開放力、および、小さいが軟質金属接点においては十分に大きい接触力は、このスイッチ概念を、従来のスイッチ概念よりも軟質金属接点材料に遥かに適したものにする。また、アクチュエータは、閉じられたスイッチ接点を分離するためにアクチュエータの最良機械動作点の近くで動作されるため、よりエネルギ効率が良い。したがって、従来のスイッチ構造を軟質金属接点に対して適合させるために必ず必要な過大サイズのアクチュエータは必要ない。
また、本スイッチ構造においては、ON状態の片持ち梁が結合され、したがって電気的に接続されるため、スイッチを開放するための作動電圧が両方の片持ち梁に対して同時に印加されてもよいことに留意することも興味深い。そのため、全体の開放力は、図5に示されるように、互いに垂直な2つの要素から成る。水平および垂直の両方の要素を有すると、独立に制御できない場合でも、付着接点に作用する力要素は、物理的接点分離のための改良された状態ももたらし得る。これは、接触表面が、ナノスケールで平坦ではなく、表面粗さに起因する3次元トポグラフィを有するからである。新規なスイッチ概念の主要な利点は以下のように要約される。
・大きな能動的開放力
・柔軟な接点材料に適している
・機械的に双安定または多重安定(2つ或いは3つ以上の安定状態)である
・簡単な低コストな製造(たった1つのフォトリソグラフィマスクを用いて既に可能である)
・全金属構造が可能、すなわち、誘電絶縁層を省くことができる(絶縁層の帯電の問題がない)
・エネルギ効率が良いアクチュエータ(アクチュエータが必要以上に大きくならない)
・物理的接触を改善し得る少なくとも1つの要素を有する開放力
本発明の実施形態では、全体の片持ち梁厚が3.6、4.1、4.6μmの3つの異なる構造変形(それぞれ構造I,II,III)で機械的に双安定なスイッチが製造された。各スイッチは2つの片持ち梁から成る。凸形状のフック先端(図5b参照)を持つ片持ち梁は300μmの長さを有し、凹形状の先端を持つ片持ち梁は400μmの長さを有する。デバイスは、60μmシリコンデバイス層を有するシリコン・オン・ガラス基板中に深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)によって製造された。
全体の片持ち梁厚は、シリコンコア+450〜500nmに測定された側壁厚を有するスパッタ金クラッド層から成る。金層は、接点材料としての機能を果たすとともに、片持ち梁の導電率を高める。電極は絶縁層によって覆われないため、各アクチュエータには、湾曲電極10に沿って分布される3つのストッパ18が与えられ、これらのストッパは、引き込みが起こるときに片持ち梁と湾曲電極との間の距離を維持し、したがって、電気的な短絡および電極間の静止摩擦力の両方を防止する電気的に絶縁された柱である。2つのスイッチのSEM画が図6に示されており、片持ち梁先端122,142の拡大図が図7に示されている。
上記実施形態に係る3つの基本的なスイッチ構造変形の測定され且つシミュレートされた引き込み電圧が表Iにまとめられている。
Figure 2009524191

表I:3つの基本的なスイッチ構造変形の測定され且つシミュレートされた引き込み電圧。片持ち梁厚は、金コーテイング層を含む製造されたデバイス上で測定された全体の厚さを示している。
測定された作動電圧は、長さ300μmの片持ち梁の10個のその後の測定値の0.62Vの標準偏差および長さ400μmの片持ち梁の1.93Vの標準偏差のそれぞれを伴って非常にうまく再現できる。表Iに示されるように、測定値は、10%またはそれ以上の精度をもってシミュレートされた引き込み電圧に対応する。スイッチを能動的に開放するための作動電圧は、同様にうまくは再現できず、厚さ3.6μmの片持ち梁を有する構造Iにおいては48〜65Vの間で変化する。スイッチを開放するために必要とされる電圧の大きな変化は、閉じられた接点の付着によって引き起こされ、これは、かなり未知のファクタであり、各スイッチングサイクルにおける異なる予測できない状態に依存する。接点分離電圧を評価するため、デバイスがコールドスイッチ動作された。すなわち、1mAの信号電流が、各閉状態において少なくとも10秒間にわたって印加されたが、スイッチ移行中に除去された。3.6,4.1,4.6μm(構造I,II,III)の異なる片持ち梁厚において、平均開放電圧は56.5,60.6,85.0Vにそれぞれ測定された。
図8は、構造IIIの長さ400μmの片持ち梁の先端撓みに対するシミュレートされた接触力および開放力のプロットを示している。示された対応する先端力は、静電気力分布によって片持ち梁に課される全トルクを補償するために片持ち梁先端で加えられなければならない力である。より大きな撓みdで減少する電極距離、および、分布された静電気力と局所的な片持ち梁撓みとの間の(d0−d)−2相関関係に起因して、開放力は、図2に示されるような従来のスイッチ構造における接触力と同様、反作用ばね力よりもかなり速く成長する。約7.9μmの先端撓みでのシミュレートされた開放力の不連続性は、多大な静電気力の影響を弱める第2のストッパと片持ち梁が接触することにより生じる。先端撓みが更に増大すると、片持ち梁が最終的に第3のストッパと接触するまで、対応する先端力が再び成長する。
一実施形態では、第1のストッパ18が通常動作中に決して接触されず、したがって、第1のストッパは、使われていないが、想定し得る電極静止摩擦力を防止することによりアクチュエータの全体の信頼性に依然として寄与することが評価中に見出された。したがって、最大開放力は、片持ち梁が第2のストッパと接触する僅か前に、したがって、片持ち梁を結合するための最良の位置で得られる。最も硬い片持ち梁を有する構造IIIの開放力が、平均シミュレート引き込み作動電圧(49.5V、既に結合されたフックを伴わない)に関して、および、結合されたスイッチング接点を開放するために必要な平均測定作動電圧(85.0V)に関して、図8に示されている。静電アクチュエータによって生み出されるシミュレートされた開放力は、49.5Vの作動電圧で686μNの最大値、および、85.0Vで2180μNの最大値にそれぞれ達し、このことは、接触静止摩擦力に打ち勝つための非常に大きな開放力を形成できるアクチュエータの可能性を実証している。全体のスイッチ抵抗は、金接点を有するミクロ機械加工されたスイッチにおいてはかなり大きい約2.2の測定値によって決定された。抵抗の主要な貢献は、薄い金コーティング層だけで覆われた高抵抗シリコン(>4000cm)から成る700μmの全長を有する2つの片持ち梁によって生じる。2つの片持ち梁の全抵抗は、1.5〜2.5となるように計算により見積もられた。
前述した3つの新規なスイッチ構造実施形態の開放力は、前述したようにON状態における測定された結合撓みでの対応する片持ち梁先端力のシミュレーションによって決定された。あるいは、接点間の付着力は、測定された必要な開放電圧と2つの結合された片持ち梁の撓みとから得られた。また、結合された片持ち梁間の接触力は、ON状態で測定された撓みにおける片持ち梁のシミュレーションによって決定された。
Figure 2009524191

表II:図9にプロットされたスイッチ構造の接触力および復元力。文献(スイッチ(A)〜(C))、シミュレーションから得られ或いは計算され、または、測定(スイッチ構造(D1),(D2)および(D3))から得られたデータディレクトリ。
ここで、
a−公表データ
b−公表データから計算された:Frest.=k×dmax (kはばね定数、dmaxはON状態における片持ち梁撓み)
c−測定された結合片持ち梁撓みにおける重ね合わされたシミュレートばね力
d−平均測定開放電圧でのシミュレートされた対応する静電先端力、既に推論されたばね力
e−材料パラメータおよび測定された片持ち梁寸法から計算される
表IIは、3つのスイッチ構造の接触力および開放力をまとめており、これらのデータと3つの従来のスイッチ構造、すなわち、Analog Devices/Radant MEMS社スイッチ、HRLスイッチ、OMRON社によって設計されたスイッチとを比較している。従来のスイッチ構造の復元ばね力Frestは、それらの能動接触力Fcontよりも約2〜10倍小さい。これとは対照的に、これらの実施形態で提示されるスイッチ構造の開放力Frelは、それらの接触力Fcontよりも大きいだけでなく、更には55〜73のファクタ分だけ接触力を上回る。前述した作動電圧における新規なスイッチ構造の開放力は1100〜2180μNである。接触力は、比較的小さく、15〜31μNである。しかしながら、15μNの小さい接触力であっても、1mAの信号電流で測定される20m内で安定する接触抵抗を伴う金属接触挙動をもたらすことが分かった。閉じられたスイッチの全抵抗は、薄い金コーティングおよび長いシリコン片持ち梁からの主な寄与をもって、約2.2である。
図9の下側部分は、開放力および接触力に対して広げられる可能なマイクロスイッチ構造の領域をプロットする両対数線図を示している。異なる構造領域は、金接点の接触静止摩擦力における見込みにしたがった開放力によって、また、先の研究に係る低い接触力に晒される純金接点の導電挙動にしたがった接触力によって分類されている。「安全構造領域」は、完全金属接触挙動のために必要とされる最小力よりも大きい接触力と文献で報告されるような金接点間で起こる典型的な付着力よりも大きい開放力とを伴う領域である。最小接触力ラインのちょうど右側で且つ最小開放力ラインの真上の領域は、「最適構造領域」として著者により分類される。すなわち、力は十分な接触信頼性を与えるに足る大きさであるが、アクチュエータは明らかに大き過ぎることはなく、これは、安全構造領域の更に右のパラメータ領域から外れたスイッチ構造における場合である。接触力に対応する金マイクロ接点の抵抗が、文献で報告されるような2つの異なる研究に関して線図の上側にプロットされている。
この節で論じられ且つ表IIに記載される6つのスイッチ構造は、図9の開放力/接触力線図にもプロットされる。スイッチ構造(a)Analog Devices/Radant MEMSおよび(b)HRLは、比較的低い開放力を生み出すため、純金接点にはあまり適していないが、更に硬い材料には確実に適している。従来のスイッチ構造から外れて、(c)OMRONスイッチだけが、純金接点を分離するに足る大きい開放力を与え、これは、不必要に大きい接触力を有する過大サイズのアクチュエータを犠牲にして得られる。この文書で与えられる新規なスイッチ構造(d1)〜(d3)は、接触力がかなり下側にあり且つ片持ち梁の剛性を高めることによって何らかの改善を要する場合であっても、最適構造領域にかなり近づく。
本実施形態は、新規な金属接点スイッチ概念であって、大きな能動開放力と、小さいがこの概念を軟質金属接点材料に非常に適するものとする十分に大きい受動接触力とを伴う新規な金属接点スイッチ概念について報告する。横方向に移動する静電作動される湾曲電極アクチュエータに基づくスイッチは、シリコン・オン・ガラスプロセスによって真正の機械的に双安定な形態で製造された。スイッチは、シミュレーションおよび測定によって評価され、また、それらの接触力/開放力性能において、静電作動を伴う従来のMEMSスイッチ構造のスイッチと比較された。従来のスイッチ構造とは異なり、当該スイッチは、金接点間の付着力を破壊するに足る大きい最大2.18mNのそれらの大きな開放力に起因して、また、かなり下端にあるが依然としてスパッタ金接点間の安定な接触抵抗を確立するに足る大きい15〜31μNのそれらの受動接触力に起因して、軟質金属接点材料に非常に適することが分かってきた。
更なる実施形態
スイッチの更なる実施形態は、横方向に移動する静電湾曲電極アクチュエータに基づいており、また、機械的に多重安定なスイッチは、2つ或いは3つの独立に作動される結合フックから成り、それにより、双安定機構または三安定機構がそれぞれもたらされる。双安定機構は単極単投(SPST)スイッチをもたらし、これに対し、三安定機構は真正の単極二投(SPST)スイッチをもたらす。静電アクチュエータは、2つの(3つの)安定状態間を切り換えるためだけに利用され、また、スイッチは、外部電圧源を除去する際の位置を維持する。スイッチは、いわゆるインラインまたは三端子形態で配置される。すなわち、スイッチの幾つかの導電部、ここでは移動する片持ち梁フックはいずれも、信号経路として、また、作動電圧を印加するための電極として使用される。したがって、例えば給電線からの作動電圧および切り換えられた信号は、周波数領域で、或いは、機械的に双安定/三安定な構造の利点を得る場合には時間領域で、分けられなければならない。
スイッチは全金属プロセスで製造され、この全金属プロセスは、絶縁層の必要性を排除するが、固定された湾曲電極に沿ってストッパを維持する距離を必要とし、それにより、片持ち梁がスナップ取り付け時に短絡を引き起こすことを防止する。図10は、1つの入力Iと2つの出力O1,O2とを備える機械的に三安定な単極二投(SPDT)スイッチのSEM画を示している。この場合、スイッチは、1つの入力片持ち梁14および2つの出力片持ち梁12,13、したがって、全体で3つの湾曲電極アクチュエータを備えており、一方、中央のアクチュエータは左右の両方に移動できる。
双安定スイッチ形態のON状態とOFF状態との間の移行の作動段階が図11に示されている。簡単にするために、ロック機構をOFF状態とON状態との間で切り換えるための単一の作動段階が単極単投形態(1つの入力、1つの出力)に関して示されている。すなわち、(a)入力片持ち梁および出力片持ち梁の両方が解放される,OFF状態。スイッチを閉じるため、作動電圧が最初に出力片持ち梁に対して印加され(b)、その後、入力片持ち梁に対しても印加され(c)、その後、出力片持ち梁から作動電圧が除去され(d)、最終的に、入力片持ち梁からも作動電圧が除去されなければならず、それにより、スイッチの結合ON状態がもたらされる(e)。スイッチを開放するため、作動電圧が両方の片持ち梁に対して印加され(f)、その後、最初に入力片持ち梁から作動電圧が除去され(g)、最後に、出力片持ち梁からも作動電圧が除去されなければならず、それにより、最初のOFF状態が得られる(a)。なお、両方の作動電圧は、ON状態およびOFF状態の両方において解放される(各部分図11a,11a)。
三安定SPDTスイッチの中心部の拡大図が図12に示されている。結合要素の拡大SEM画はOFF状態であり、この場合、片持ち梁12,13,15は10Nm−1未満の非常に小さいばね定数を有しており、それにより、SEM内の電子ビームによる作動に起因して入力片持ち梁15の画像ジッタが生じる。グランド電極101,102,103,104も同様に示されている。
静電電極は、2つのみの片持ち梁の実施形態の場合のように、2つの部分、すなわち、第1の移動要素12に沿って配置される第1の部分と、第2の移動要素15に沿って配置される第2の部分とを伴って配置される1つの電極10であってもよいことは言うまでもない。第2の電極も、第2の片持ち梁15および第3の片持ち梁13に沿って延びるように配置されてもよい。すなわち、スイッチは、第2の電極の両側に1つの固定電極を備えている。
図13は、2つのON状態のうちの一方の状態にあるスイッチを示している。ここでは、入力片持ち梁15が左側の出力片持ち梁12と結合され、そのため、入力Siから出力1Soへと信号が流れることができる。2つのON状態のうちの一方の状態にある結合要素の拡大SEM画:入力Iが出力1 O1に対して閉じられる。
片持ち梁の撓まされた状態でスイッチ接点を閉じる単一の湾曲電極に基づく他の横方向移動マイクロスイッチ[32]とは異なり、端部位置における強力な静電気力は、提示されたスイッチ構造の接触力を形成するために使用されず、非常に大きな能動開放力を用いてスイッチを開放するために使用され、そのため、高い接点信頼性が与えられる可能性がある。接触力は、図11eに示されるように、部分的に撓まされた片持ち梁の受動的なばね力によって形成される。したがって、光スイッチにおける典型的な結合機構とは異なり、例えばフックは、機械的な双安定性のために利用されるだけでなく、同時に、切り換え接点間の受動的な接触力を形成するためにも利用される。湾曲電極の形状およびストッパ位置は、片側クランプ静電アクチュエータのために開発された数値シミュレーションアルゴリズムを使用することにより最適化されてきた[33]。設計最適化基準は、受動的な接触力を形成するが良好な接触信頼性のために接触静止摩擦力に抗するための依然として大きい能動開放力を有するべく十分な撓みを得ることであった。湾曲電極アクチュエータの引き込み電圧をシミュレートするために同じソフトウェアも使用された。
一実施形態において、スイッチは、単一のフォトリソグラフィマスクによって規定され、シリコン・オン・ガラスプロセスに基づいて製造される。構造体は、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)技術を使用して60μmの深さでシリコンウエハへとエッチングされる。その後、シリコンウエハは、陽極接合によってガラスウエハに対して接合される。この場合、エッチングされた構造体がガラスウエハと対向する。その後、シリコン基板は、複合研削/研磨を使用して最終的に構造体が完全に露出されるまで水酸化カリウム(KOH)エッチングステップを使用することによって薄肉化される。ガラス基板上の残りのシリコン層は約60μm厚である。その後、構造体は、フッ化水素酸水溶液(HF)中でシリコン・オン・ガラスウエハの前側をエッチングすることにより解放される。最後に、構造体は、スパッタCr/Auでコーティングされる。この場合、450nmの厚さが、コーティングされた構造体間の17μmの隙間を伴う位置における側壁上で測定される。5μm未満の隙間において、上側の側壁の金属コーティング厚は依然として約400nmである。シリコン層の上側の金属コーティングは約700nmである。等方性エッチングされたガラスウエハのアンダーカットに起因して、金属コーティングは閉じられた層を形成せず、また、シリコンデバイス層における幾何学的に分離された構造は電気的にも絶縁される。図14は、スイッチ片持ち梁の横方向および長手方向の断面図を示している。
本発明の実施形態の測定され且つシミュレートされた作動電圧が図15にプロットされている。この場合、異なる片持ち梁厚を有する3つのスイッチ構造のための作動電圧、すなわち、入力片持ち梁および出力片持ち梁の引き込み電圧、および、スイッチを開放するための電圧がプロットされている。2.8μmの測定されたシリコン片持ち梁厚および2×400nmの金コーティングを有する構造変形において、入力片持ち梁および出力片持ち梁の測定引き込み電圧は、それぞれ30.8Vおよび45.2Vであり、10個の連続する測定値の0.59Vおよび0.28Vの標準偏差をもって非常にうまく再現可能である。入力片持ち梁および出力片持ち梁における33.1Vおよび46.3Vのシミュレートされた引き込み電圧はそれぞれ、測定値と非常によく一致する。同じスイッチ変形を開放するための作動電圧は、あまり安定ではなく、10個の連続する測定値においては48Vから65Vまで変化し、このことは金属接点間の制御不可能な付着力によって説明される。このスイッチ変形の静電アクチュエータの開放力は、平均測定開放電圧に対応する57.3Vの開放電圧で1100μNとなるようにシミュレーションにより決定された。自己作動電圧(作動電圧を何ら印加することなく入力接点パッドと出力接点パッドのうちの1つとの間に電圧を印加するときにスイッチが閉じる)は、4.6、4.1、および、3.6μmの全片持ち梁厚においてそれぞれ、82.8V、57.3V、および、32.68Vとなるように測定により決定された。しかしながら、自己作動の原因が、2つの片持ち梁の小先端間で生み出される力ではなく、むしろ、片持ち梁とそれらの電気的に接続される湾曲電極との間の静電気力であることを前提とする。これは、それらが、シリコンデバイス層中の同じブロックから形成され、入力片持ち梁電位と出力片持ち梁電位との間で電気的に浮いているからである。2つの結合状態、すなわち、入力から第1出力および入力から第2出力の結合状態でのみ動作される場合には、自己作動が完全に妨げられる。
1mAのコールドスイッチ動作された信号電流を伴う最初の10個のスイッチングサイクルの全スイッチインピーダンスが、切り換え接点のバーンイン挙動、すなわち、最初の10個のスイッチングサイクルの全スイッチインピーダンスを示す図16にプロットされている。5サイクル後、インピーダンスは、柔軟な金接点間の表面適合に起因して、一定の値まで降下する。インピーダンスは、約5バーンインサイクル後、安定な2.32に落ち着く。この挙動は、互いに適合しなければならない接点表面によって引き起こされるものとする。スイッチのかなり大きな全インピーダンスは、薄い金層だけでコーティングされた長い低導電率のシリコン片持ち梁によって主に寄与される。大きなインピーダンスのため、この構造は、50の典型的なシステムインピーダンスを有するRFスイッチング用途にはあまり適さない。2.8μmSi+2×400nmAuの測定された片持ち梁厚を有するスイッチ変形において、受動的な接触力は、15〜20μNとなるようにシミュレーションにより見積もられた。この接触力は、金における安定した電気接点を有するためにかなり下端にある[34]。しかしながら、製造されたスイッチの実験的評価によれば、この低い接触力は、最初のバーンイン後に測定インピーダンスが20m未満内で安定するため、安定した接点抵抗を有するに足る大きさであることが分かった。
4.6μmの全片持ち梁厚を有するスイッチ構造変形において、受動接触力および能動開放力はそれぞれ31μNおよび2180μNである。そのような非常に大きい開放力は、この小型アクチュエータの場合であっても可能である。これは、スイッチを開放するために湾曲電極アクチュエータがそれらの最大力位置で利用されるからである。大きな能動開放力は、大きな接点付着力に抗することができ、それにより、金などの柔軟な接点材料の場合であっても良好な接点信頼性をもたらすことができる。
図17は、スイッチ変形の故障メカニズムを示している。すなわち、当該構造によりストッパ先端181が非常に短くなり、これが片持ち梁12を湾曲電極10と接触させ、それにより、短絡が生じるとともに、固定電極10に対する片持ち梁12の永久的な静止摩擦力がもたらされる可能性がある。短い先端181は、大型構造体と比べた小型構造体の過度のエッチングの結果であり、これは全てのスイッチ構造変形において補償されなかった。
この実施形態は、横方向に移動する湾曲電極アクチュエータに基づく新規な機械的に三安定な全金属マイクロスイッチについて報告する。スイッチは、インラインの真正な単極二投形態で構成されるとともに、3つの機械的に安定な状態、すなわち、1)入力から第1出力;2)スイッチOFF;3)入力から第2出力を伴う能動開放能力(on-off-on)を特徴としている。デバイスは、シリコン・オン・ガラスプロセスで製造されるとともに、スパッタ金でコーティングされ、それにより、全金属スイッチが得られる。スイッチは、スイッチが接触静止摩擦力または大きな接点付着力にあまり影響されないようにする非常に大きな開放力を保証するために湾曲電極アクチュエータが最大力を生み出す端部位置で利用される能動開放能力を特徴としている。
他の実施形態において、スイッチは、互いに結合される移動要素を位置決めするように、すなわち、第2の移動要素が第1の移動要素および第3の移動要素に対して相互接続される状態を位置付けるように構成されてもよいことは言うまでもない。
図18および図19は、硬質な或いは固定された湾曲電極と、柔軟な移動可能な構造体または要素、一般的には第2の電極として作用する初めは真直ぐな可動構造体または要素とから成る湾曲電極アクチュエータの典型的な概念を示している。図18は、電極間に電圧が印加されない、したがって電極が撓ませられない或いは作動されない、湾曲電極アクチュエータを示している。
図19は、2つの電極10,12間に電圧が印加され、それにより、可動要素12と硬質湾曲電極10との間に静電気力が生じ、その結果、可動構造体(片持ち梁)12の撓みが生じる、湾曲電極アクチュエータを示しており、2つの電極間の静電気力は撓みの増大に伴って増大する。
図20は、それぞれが1つの可動要素12,14を有する2つの湾曲電極アクチュエータに基づく典型的なスイッチデバイスを示している。この場合、可動要素12,14を結合させることができ(図示される第2の機械的安定状態)或いは結合させることができない(第1の機械的安定状態)。電気的に、この構成は、一方の安定状態がON位置であり(入力を出力に接続)他方の安定状態がOFF位置のスイッチである(入力が出力に対して電気的に接続されない)1つの単一入力と1つの単一出力とを有するスイッチである機械的に双安定な単極単投スイッチをもたらす。2つの安定状態間の移行は、可動構造体を対応する湾曲電極101,102に沿って撓ませることによって達成される。図示のデバイスにおいて、2つの湾曲電極101,102は互いに電気的に接続される。他の実施形態において、湾曲電極は電気的に接続されない。V=ONは、2つの要素間に電圧(=電位差)を印加することを示している。V=OFFは、電圧を印加しないことを意味している(=両方の要素を同じ電位にする)。
図11に戻って参照すると、この場合、2つの機械的に安定な状態間で図20に示されるようにデバイスを動作させる作動シーケンスが示されている。
図21は、4つの湾曲電極101,102,103,104と3つの可動要素12,13,15を有する構成を示している。この場合、中央の移動要素15は、2つの湾曲電極102,104のうちのいずれか一方の近傍まで撓ませる(移動させる)ことができる。これにより、以下の機械的に安定な状態、すなわち、(1)移動構造体のいずれも結合されない状態、(2)中央の移動構造体15が左側の移動構造体12に対して結合される状態、(3)中央の移動構造体15が右側の移動構造体13に対して結合される状態を有する機械的に三安定なスイッチが得られる。電気信号Siの入力が中央の移動構造体に入り、左側の移動構造体が出力no.1、信号出力1,So1に対して電気的に接続されるとともに、右側の移動構造体が出力no.2、信号出力2So2に対して電気的に接続される場合、このデバイス構成は、1つの入力と2つの出力とを有し、入力を2つの出力のうちのいずれか一方に対して接続することができ(状態(2)および(3))、あるいは、入力を出力に対して全く接続することができない(状態(1))スイッチである単極二投スイッチをもたらす。図は、全ての3つの機械的に双安定な状態を示している。
図22は、スイッチを1つの機械的安定状態から他の機械的安定状態へと移動させる方法のフローチャートを開示している。
ステップ221において、スイッチは、第1の機械的安定状態にある。
ステップ222において、スイッチには電圧が印加され、すなわち、片持ち梁および湾曲電極には電位差が適用され、それにより、可動構造体が対応する湾曲電極に沿って撓ませられる。一実施形態では、図20にしたがって電圧の印加が同時に起こり、他の実施形態では、目的の安定状態を達成するために電圧の印加が特定のシーケンスに従う。これについては例えば図11を参照されたい。
ステップ224では、スイッチ要素に対して電圧が印加されず、あるいは、同じ電圧が要素に対して印加され、それにより、スイッチの要素が同じ電位にされる。ステップ222で述べたように、これは、要素間で同時に起こってもよく、あるいは、特定のシーケンスで起こってもよい。
ステップ226において、スイッチは、その後、第2の機械的安定状態に位置される。
なお、スイッチを開放するため、および閉じるために流れが加えられてもよい。
図23は、無線周波数を切り換えるため、あるいは、ここでは共平面導波管型送信ラインに関して典型的に示される任意の周波数範囲のマイクロ波送信ラインを切り換えるために利用される機械的に双安定なスイッチ機構の3つ(構造A,B,C)の可能な実施形態を示しており、導波管の信号ラインは、信号ラインの側で2つのアースラインを伴う。全ての3つの例では、信号ラインが入力(左)と出力(右)との間で遮断され、これはスイッチのOFF状態であり、また、信号ラインの各エッジで2つのスイッチ機構112,114を結合することによって信号ラインを閉じることができ、これはスイッチのON状態である。この場合、各スイッチ機構は、本発明で説明されるように湾曲電極アクチュエータによって作動される、結合される機械的に双安定な機構に基づいている。図示の異なる構造はON状態にある。
スイッチ機構は、単一の結合機構、例えば、スロットラインなどの図23の一対の片持ち梁112,114のみを備えていてもよいことは言うまでもない。
図24は、図23のスイッチ構造Aに適する無線周波数信号におけるON状態とOFF状態との間の移行のために必要な作動段階を示している。作動段階は、両方のスイッチ機構を(共平面導波管の信号ラインの各エッジで)同時に切り換えるように描かれている。第1の片持ち梁112のばね力およびフック状の先端は、両方の片持ち梁112,114間の接触を維持している。
本発明は、電気信号のスイッチの作動に関する。特に、MEMSスイッチの作動が開示される。アクチュエータ機構は、第1の移動要素12と、第2の移動要素14と、移動電極に沿って配置される静電電極、特に湾曲電極とから成る。スイッチは、少なくとも2つの機械的に安定な位置、すなわち、外的または内的な作動エネルギまたは力を加えることなく維持される位置をとることができ、一方の位置は、スイッチが閉じられ且つ電気信号がスイッチを通じて流れているときにとることができ、他方の位置は、スイッチが開かれ且つ信号がスイッチを通じて流れることができないときにとることができる。3つ以上の機械的に安定な状態は、2つ以上の信号入力ポート、または、2つ以上の信号出力ポート、または、2つ以上の信号入力ポートおよび2つ以上の信号出力ポートを有するスイッチにおいて可能である。スイッチは、少なくとも1つの或いは一連の電位差(電圧)を少なくとも1つの移動要素と固定電極(例えば、湾曲電極)のうちの少なくとも1つとの間に加え、前述したように静電気力に起因して移動要素のうちの少なくとも1つを固定電極の方へ撓ませることによって、1つの機械的に安定な状態から他の機械的に安定な状態へと移行している。作動機構は、非常にエネルギ効率が良く、機械的に安定な状態にとどまっているときにはエネルギまたは電力を何ら必要とせず、作動電極間の電位差すなわち作動電力(電流)において再設定を必要とするだけであり、また、当該作動機構により、スイッチのサイジングを減らすことができ、その結果、スイッチの配列を形成するスイッチマトリクスにおいて作動機構が非常にうまく使用される。
また、前述したように、信号ラインがアクチュエータ要素から分離されてもよいことは言うまでもない。すなわち、信号ラインは、アクチュエータ機構の片持ち梁に対して機械的に取り付けられてもよい。
他の実施形態では、1つの単一電極が1つの移動部分(しかし、システムには2つの移動部分が存在する)とのみ協働してもよい。この場合、特定の電圧が1つの結合状態を形成し、また、更に大きな電圧の印加により、結合機構が開放される。例えば、1つの片持ち梁だけが能動的に移動され、それにより、撓みの約半分の位置で、移動可能であるが能動的に作動されない片持ち梁と機械的に結合された状態が得られ(例えば、スナップ取り付け)、また、第1の片持ち梁が更に作動されると、スナップ機構が再び開放する。
以上、本発明の原理、好ましい実施形態、および、動作形態を説明してきた。しかしながら、本発明は、限定的ではなく例示的と見なされるべきであり、前述した特定の実施形態に限定されると見なされるべきではない。したがって、これらの実施形態においては、以下の請求項に記載されるものから逸脱することなく、当業者により変形がなされてもよいことは言うまでもない。
(a)非常に大きな能動的開放力を用いて切り換え接点を分離するために利用される横方向に移動する湾曲電極アクチュエータの静電気力を用いる「能動開放力/受動接触力」スイッチ概念;(b)スイッチ接点を閉じるために利用される一般的には平行電極形態を成す静電アクチュエータを用いる縦方向に移動する片持ち梁の従来の概念、および、撓ませられた片持ち梁に蓄えられるばねネルギによって形成されるほんの僅かな受動的な復元力、の概略図を示している。 静電気力が首尾良い引き込みを保証するに足る大きさを有する臨界ケースにおいてプロットされた、従来の片持ちばねまたは膜ばねスイッチ構造の簡略化された平行電極モデルで作用する力を示している。接触位置において、スイッチは、不必要に大きい静電気力を生み出すが、かなりサイズがオーバーしていない場合には比較的小さい復元ばね力のみを生み出す。d0はアクチュエータ電極間の最初の距離である。 本発明の一実施形態に係る機械的に双安定な「能動開放力/受動接触力」スイッチ機構の作動段階を示している。 従来のおよび新規なスイッチ構造において作用する力の定性比較を示している。「能動開放力/受動接触力」スイッチは、かなり大きな付着力に打ち勝つことができ、したがって、柔軟な接点材料により適している。 スイッチを開閉するためのスイッチ接点間の力を示しており、(a)は従来のスイッチ概念、(b)は「能動開放力/受動接触力」スイッチ概念である。図示のように、x方向の力はy方向の力よりも大きい。これは、この文書で研究される製造デバイスの垂直片持ち梁が水平片持ち梁よりも結合位置で更に多く撓まされ、それにより、垂直片持ち梁のより近い電極接近がもたらされるからである。 湾曲電極アクチュエータによって撓まされる結合フックを有する2つの垂直に配置された片持ち梁に基づく「能動開放力/受動接触力」スイッチ構造の2つのスイッチのSEM画を示している。 2つの結合フックを有する片持ち梁先端の拡大図を示している。中心ストッパおよび湾曲電極の一部も同様に見える。 異なる片持ち梁撓みにおける、構造IIIのスイッチ接点の能動的開放および受動的閉塞におけるシミュレートされた対応する先端力を示している。 金スイッチ接点における接触力に対する接触抵抗のプロットを伴う開放力/接触力線図を示している。安全構造領域、臨界構造領域、不適切な構造領域が示されている。従来のスイッチ構造((a)Radant MEMS社によるスイッチ;(b)HRLスイッチ)は、非常に強力なアクチュエータが使用されなければ((c)OMRON社によるスイッチ)、純金接点において信頼できる開放力を形成していない。新規な「能動開放力/受動接触力」構造((d1),(d2),(d3))は金材料特性により良く適合する。 1つの入力片持ち梁と2つの出力片持ち梁とを有し、したがって全部で3つの湾曲電極アクチュエータを有し、中間のアクチュエータが左右の両方に移動できる、機械的に三安定な単極二投(SPDT)スイッチのSEM画を示している。 OFF状態とON状態との間でロック機構を切り換えるための単一の作動段階を示している。 OFF状態における結合要素の拡大図を示しており、片持ち梁は、10Nm−1未満の非常に低いばね定数を有し、それにより、SEM内の電子ビームによる作動に起因して入力片持ち梁の画像ジッタが生じる。 2つのON状態のうちの一方の状態にある結合要素の拡大SEM画を示しており、入力が出力1に対して閉じられている。 スイッチ片持ち梁の横方向および長手方向の断面図を示している。 異なる片持ち梁厚を有する3つのスイッチ構造のための作動電圧、すなわち、入力片持ち梁および出力片持ち梁の引き込み電圧、および、スイッチを開放するための電圧を示している。 切り換え接点のバーンイン挙動、すなわち、最初の10個のスイッチングサイクルの全スイッチインピーダンスを示している。5サイクル後、インピーダンスは、柔軟な金接点間の表面適合に起因して、一定の値まで降下する。 スイッチ変形の故障メカニズム、すなわち、湾曲電極に対する片持ち梁の永久的な静止摩擦力をもたらす非常に短いストッパ先端を有する構造を示している。 電圧が印加されない湾曲電極アクチュエータの典型的な概念を示している。 電圧が印加される湾曲電極アクチュエータを示している。 それぞれが1つの可動要素を有する2つの湾曲電極アクチュエータに基づく典型的なスイッチデバイスを示している。 4つの湾曲電極および3つの移動要素を有する構成を示している。 本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートを示している。 マイクロ波信号または無線信号を切り換えるための多くの構造を示している。 図23の構造における作動段階を示している。

Claims (21)

  1. 電気信号のための信号経路の形態を切り換えるようになっている多重安定スイッチであって、第1の移動要素(12)と第2の移動要素(14)とを備え、前記第1および第2の要素が、少なくとも2つの機械的に安定な状態、すなわち、
    前記第1の移動要素が前記第2の移動要素と機械的に結合され、当該多重安定スイッチにおける信号経路が閉形態に配置される、機械的結合状態;および、
    前記第1の移動要素が前記第2の移動要素から分離され、当該多重安定スイッチにおける前記信号経路が開形態に配置される、非結合状態、
    へと配置され得る、多重安定スイッチにおいて、
    第1の固定電極部を伴って構成される固定静電電極(10)を更に備え、
    前記第1の固定電極部は、当該第1の固定電極と前記移動要素のうちの少なくとも一方との間に電位差が加えられるときに前記移動要素のうちの少なくとも一方を作動させて移動させることにより前記移動要素を一方の状態から他方の状態へと移行させるようになっていることを特徴とする、多重安定スイッチ。
  2. 前記第1の固定静電電極は、前記第2の移動要素(14)に沿って配置される第2の固定静電電極部(102)を更に備え、前記第1の固定電極部(101)が前記第1の移動要素(12)に沿って配置される請求項1に記載の多重安定スイッチ。
  3. 前記移動要素はそれぞれ、前記固定電極から小さな距離で配置される1つの固定アンカ点と、前記固定電極から前記アンカ点よりも大きい距離で配置される先端とを有する請求項1または2に記載の多重安定スイッチ。
  4. 前記移動要素の前記先端は、前記第1の移動要素と前記第2の移動要素との間の結合を助ける形状を成して配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  5. 前記移動要素の結合状態は、前記機械的結合状態で撓まされる前記移動要素のうちの少なくとも一方の機械的な復元ばね力によって形成される力によって維持される請求項1〜4のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  6. 前記固定静電電極と前記移動要素のうちの少なくとも一方とを分離させるようになっている距離維持体または誘電絶縁層を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  7. 更に、1つの入力と2つの出力との間または2つの入力と1つの出力との間で電気信号を切り換えるようになっている請求項1〜6のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  8. 第3の移動要素を備え、
    前記固定静電電極が第3の固定電極部を備え、
    前記第3の固定電極部は、前記第3の移動要素と前記第3の固定静電電極部との間に電位差が加えられるときに前記第3の移動要素を前記第3の固定電極部へと撓ませるようになっており、前記第1の移動要素、前記第2の移動要素、および、前記第3の移動要素は、少なくとも3つの安定状態、すなわち、
    前記第1の移動要素が前記第2の移動要素と結合される機械的結合状態;
    前記第2の移動要素が前記第3の移動要素と結合される第2の機械的結合状態;および、
    前記移動要素のいずれもが任意の他の移動要素に対して結合されない非結合状態、
    へと配置され得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  9. 当該多重安定スイッチは、MEMSスイッチ、すなわち、ミクロ機械加工技術によって製造されるデバイスである請求項1〜8のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  10. 前記移動要素が片持ち梁の形状を有している請求項1〜9のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  11. 前記固定静電電極の電極部は、互いから電気的に分離される別個の電極である請求項2〜10のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  12. 前記固定電極部が湾曲されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  13. 前記第1の移動要素、前記第2の移動要素、および、前記第3の移動要素の各々が信号経路配列と作動電極とを備え、前記信号経路配列が該移動要素上で前記作動電極から分離される請求項1〜12のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  14. 固定電極を含む前記配列の要素は、マイクロ波およびミリメートル波を含む高周波信号の信号伝搬の乱れが最小限に抑えられるように配置される請求項1〜13のいずれか一項に記載の多重安定スイッチ。
  15. スイッチの形態を第1の安定状態から第2の安定状態へ移行する方法であって、前記スイッチが、第1の移動要素と、第2の移動要素と、第1の固定静電電極部を有する固定静電電極とを備える方法において、
    前記第1の固定静電電極(10)と前記第1の移動要素(12)との間に電位差を加えることにより、前記第1の移動要素(12)を静電気力により前記固定電極(10)へと撓ませるステップと、
    電位差を解除することにより、前記第1および第2の移動要素(12,14)が前記第2の安定状態へと位置されるようにするステップと、
    を備える方法。
  16. 前記2つの安定状態は、
    前記第1の移動要素が前記第2の移動要素と結合され、前記スイッチにおける電気信号経路が遮断されない、機械的結合状態;および、
    前記第1の移動要素が前記第2の移動要素から分離され、前記スイッチにおける前記電気信号経路が遮断される、非結合状態、
    である請求項15に記載の方法。
  17. 前記固定静電電極が第2の固定静電電極部を備え、
    当該方法が、
    前記第2の固定静電電極部と前記第2の移動要素との間に電位差を加えることにより、前記第2の移動要素を静電気力により前記固定電極へと撓ませるステップと、
    前記第2の固定静電電極部と前記第2の移動要素との間の電位差を解除するステップと、
    を更に備える請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記第1の固定静電電極部と前記第1の移動要素との間に電位差を加えて解除すること、および、前記第1の固定静電電極部と前記第2の移動要素との間に電位差を加えて解除することが特定のシーケンスにしたがっている請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記スイッチが第3の移動要素を備え、前記固定静電電極が第3の固定静電電極部を備え、
    当該方法が、
    前記第3の固定静電電極部と前記第3の移動要素との間に電位差を加えることにより、前記第3の移動要素を静電気力により前記第3の固定静電電極部へと撓ませるステップと、
    前記第3の固定静電電極部と前記第3の移動要素との間の電位差を解除して、前記第1及び/又は第2の移動要素および前記第3の移動要素が互いに対して相互接続される第3の安定状態に配置されるようにするステップと、
    を更に備える請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記静電電極の電極部が分離された部分である請求項15〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 互いに隣接して配置されてスイッチマトリクス状のスイッチ配列を形成する請求項1〜14のいずれか一項に記載の第1および第2の多重安定スイッチを備える、電気信号を切り換えるようになっているシステム。
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