現在、半導体ウェハの処理に関連して、いくつか問題が存在する。このような問題の1つとして、処理したほぼ全部のウェハについて、計測データが存在するとは限らない点がある。これにより、プロセス結果の解析の際に、データの欠落点が発生することがある。データの欠落の結果、望ましくない影響がさまざまに生じる可能性がある。例えば、処理済みの特定のウェハに関連するデータが欠落しているために、プロセス後解析が行えない可能性がある。製造の解析を行うために、特定の計測データをプロセス後の結果と相関させることが求められることが多い。しかし、最新技術による方法では、サンプリングしたウェハの計測データしか得られないことがある。このため、プロセス後解析が、望ましい量には満たない量のデータで実行され、この結果、プロセス後解析が不正確になるおそれがある。
更に、プロセス後解析を実行する際に、データを取得するために解析したサンプリングしたウェハの一部が、プロセス後の段階で使用できないことがある。例えば、サンプリングしたウェハが、その後発生したプロセスの不具合のために破棄されることがある。このため、ウェハに実行する一連のプロセスのラインの終点で、サンプリングしたウェハの一部が、その後のプロセス後解析に使用できないことがある。これによって、プロセス結果の解析に大きなギャップが生じることがある。更に、一部のウェハが、リワーク段階またはほかのプロセス段階に送られるため、ライン段階の終点で利用可能で、サンプルウェハが入手できないこともある。これも、プロセス後の解析に悪影響を及ぼしうる。
ほぼ全部のウェハから、またはウェハ上のほぼすべてのダイ領域からのデータが利用可能とは限らない場合、プロセス後解析に関連する精度が低下することがある。しかし、処理した全部のウェハから計測データを取得することは、効率的な工程とはいえず、処理段階の全体を遅らせかねない。更に、処理済みのウェハのそれぞれから計測データを取得しようとすると、工場の資源を無駄に消費しかねない。このため、産業界において、処理した各ウェハの計測データを取得するための資源の不足から生じる問題に対する有効な解決策が存在しない。また、処理済みのウェハの組の一部をサンプリングして得られた計測データの矛盾から生ずる問題に対する有効な解決策も、産業界において存在しない。
本発明は、上記の問題の1つ以上を解決するか少なくとも軽減することを狙ったものである。
以下では、本発明の一部の態様の基本を理解できるように、発明の概要を説明する。この概要は、本発明のすべてを概観するものではない。本発明の主要または重要な要素を特定したり、本発明の範囲を詳細に記載することを意図するものでもない。その唯一の目的は、後述する詳細な説明に先だって、概念の一部を簡潔に示すことにある。
本発明の一態様では、方法は、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための方法である。第1のワークに関連する測定計測データが受信される。第2のワークに関連する予測計測データを提供するために、前記第1のワークに関連する前記計測データに基づいて、前記第2のワークに対応する計測データが概算される。
本発明の別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための方法が提供される。第1のワークに第1のプロセスが実行される。前記第1のプロセスから得られた前記第1のワークに関連する計測データが取得される。第2のワークに前記第1のプロセスが実行される。前記第1のプロセスと、前記第1のワークに関連する前記計測データとの関係がモデリングされる。前記第1のプロセスから得られた前記第2のワークに関連する推定計測データが決定される。この決定は、前記第1のプロセスと前記計測データとの前記関係の前記モデリングに基づいて行われる。
本発明の別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための方法が提供される。複数のワークにプロセスが実行される。前記複数のワークの中からサンプリングされたワークの組が選択される。前記サンプリングされたワークに関連する実計測データが取得される。前記複数のワークと、前記プロセスの取得された概算計測データとの計測データの関係が、モデリングされる。前記モデル化された関係に基づいて、サンプリングされなかったワークに関連する予測計測データが生成される。前記予測計測データが、前記サンプリングされなかったワークに割り当てられる。
本発明の別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための方法が提供される。複数のワークにプロセスが実行される。前記複数のワークの中からサンプリングされたワークの組が選択される。前記サンプリングされたワークに関連する実計測データが取得される。前記複数のワークと、前記プロセスの取得された概算計測データとの計測データの関係が、モデリングされる。前記モデル化された関係に基づいて、サンプリングされなかったワークに関連する予測計測データが生成される。前記サンプリングされなかったワークに関連する前記予測計測データが記憶される。
本発明の別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するためのシステムが提供される。前記システムは、複数のワークと、前記複数のワークのうちのサンプルワークから計測データを取得する計測装置とを有する。前記システムは、予測計測データを提供するために、前記複数のワークのうちの、少なくとも1つのサンプリングされなかったワークに関連する対応の計測データを、前記サンプリングされたワークに関連する前記計測データに基づいて概算する制御装置も有する。
本発明の別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための装置が提供される。本発明の装置は、予測計測データを提供するために、複数のワークのうちの、少なくとも1つのサンプリングされなかったワークに関連する対応の計測データを、前記サンプリングされたワークに関連する前記計測データに基づいて概算する制御装置も有する。
本発明の更に別の態様では、サンプリングされなかったワークに関連する計測値を概算するための、命令で符号化されたコンピュータ可読プログラム記憶装置が提供される。命令で符号化されたコンピュータ可読プログラム記憶装置は、コンピュータによって実行されると、第1のワークに関連する測定計測データを受け取るステップを有する方法を実行する。前記方法は、第2のワークに関連する予測計測データを提供するために、前記第1のワークに関連する前記計測データに基づいて、前記第2のワークに対応する計測データを概算するステップも有する。
添付の図面と併せて下記の説明を読めば、本発明が理解されるであろう。添付の図面においては、同一の参照符号は同じ要素を参照している。
本発明は、種々の変形および代替形態を取り得るが、その特定の実施形態が、図面に例として図示され、ここに詳細に記載されているに過ぎない。しかし、この特定の実施形態の詳細な説明は、本発明を開示した特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨ならびに範囲に含まれるすべての変形例、均等物および代替例を含むことを理解すべきである。
本発明の例示的な実施形態を下記に記載する。簡潔を期すために、実際の実装の特徴をすべて本明細書に記載することはしない。当然、実際の実施形態の開発においては、システム上の制約およびビジネス上の制約に適合させるなど、開発の具体的な目的を達するために、実装に固有の判断が数多く必要とされ、この判断は実装によって変わりうるということが理解される。更に、この種の開発作業は複雑かつ時間がかかるものであるが、本開示の利益を受ける当業者にとって日常的な作業でありうるということを理解されたい。
添付の図面を参照して本発明を説明する。説明のみを目的として、当業者に知られている細かい点を説明して本発明をわかりにくくすることのないように、さまざまな構造、コンピュータ、プロセス装置およびシステムが、図面で模式的に示されている。しかし、本発明の例示的な例を記載および説明するために、添付の図面を添付する。本明細書において使用される語句は、関連技術の当業者が理解している意味と同じ意味に使用されていると理解および解釈すべきである。本明細書においてある語句が矛盾なく用いられている場合、その語句が特別な定義を有する、すなわち通常かつ慣用的に用いられ、当業者が理解している意味と異なる定義を有することはない。ある語句が特別な意味を有する、すなわち当業者の理解とは異なる意味に用いられる場合は、そのような特別な定義は本明細書に明示的に記載して、その特別な定義を直接的かつ明確に示す。
本発明の一部とその詳細な説明は、ソフトウェア、またはコンピュータメモリ内部でのデータビットに対する操作のアルゴリズムおよび記号的表記の形で提示される。このような記述および表現は、当業者が、自身の作業の内容を他の当業者に効率的に伝えるために用いられているものである。本明細書において使用する「アルゴリズム」との用語は、通常用いられているのと同義であり、所望の結果に導くための自己矛盾のないシーケンスのことを指す。ステップとは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。この物理量は通常、記憶、転送、結合、比較などの操作が可能な光学信号、電気信号または磁気信号の形を取るが、必ずしもこれらに限定されない。主に公共の利用に供するという理由で、これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、語(term)、数字などと呼べば、時として利便性が高いことが知られている。
しかし、上記の全用語ならびに類似の用語は、適切な物理量に対応しており、この物理量に適用される簡便な標識に過ぎないという点を留意すべきである。特段の断りのない限り、もしくは記載内容から明らかな場合、「処理」、「演算」、「計算」、「判定」、「表示」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ内およびメモリ内で物理的電子的量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ等の情報の記憶装置、伝送装置または表示装置内で同様に物理量として表される他のデータへと操作および変換するコンピュータシステムないし類似の電子演算装置の動作および処理を指す。
半導体製造には、数多くの別個のプロセスが関わっている。ワーク(例えば半導体ウェハ105、半導体デバイスなど)が、通常、複数の製造プロセス装置によって段階的に処理される。本発明の各種実施形態は、測定されなかったウェハのプロセスデータの予測および/または割り当てに対応する。特定の測定済みウェハに関連するプロセスプロファイル、プロセスの変動、シグニチャまたはタグなどが、非測定または非サンプリングのウェハに関連するプロセスデータの推定に使用されうるインラインおよび/またはオフラインの計測データが、測定計測データ、装置状態データおよび/またはほかの製造関連データに基づいてモデリングされ、非サンプリングウェハに割り当てられうる。一実施形態では、インライン計測データには、特定の処理操作に関連しているか、あるいは特定のプロセスに結び付けられたデータを与えるスタンドアロンの計測装置によって取得された計測データが含まれる。例えば、インラインの計測データには、処理済みのウェハ上の特定の特徴(feature)の膜厚、線幅、フォトリソグラフィ測定から得られた重ね合わせ測定などに関連するデータが含まれうる。一実施形態では、オフラインの計測データには、半導体ウェハ105の処理中の生産フローに実質的に含まれない計測データが含まれる。例えば、オフラインの計測データは、処理済みの半導体ウェハ105の電気測定の結果、処理済みのウェハの歩留まりなどを指す。
更に、製造データ、現在のプロセスデータまたは過去のプロセスデータなどに基づいて、統計的信頼度(confidence factor)が計算されうる。統計的信頼度は、非サンプリングウェハに関連するモデル化された計測データに関連する信頼水準の指標となりうる。
本発明の実施形態を利用して、推定されたインラインおよび/またはオフラインの計測データが、非サンプリングウェハに関連付けられうる。特定の非サンプリングウェハに、インラインおよび/またはオフラインの推定計測データを割り当てることは、プロセス後解析、プロセス性能解析、装置状態プロセス解析などの、製造関連の各種解析の実行に有益となりうる。更に、非サンプリングウェハに関連する推定計測データが利用できることによって、生産ラインから除外されたサンプリングウェハにまつわる問題を緩和することができる。
次に図3を参照すると、本発明の説明のための各種実施形態によるシステムのブロック図が示される。システム300は、工場/製作所(fab)の複数のプロセス制御区画の個々の操作を監視し、それを変更することができる中央制御装置310を有する。例えば、工場は、プロセス制御ユニットの一部を構成しうる1つ以上の装置制御装置によって制御されるさまざまな処理装置を備えうる。
中央制御装置310は、工場の各種構成要素の動作に作用するために、外部のソース(すなわち工場/製作所外のソース)のみならず、内部のソース(すなわち、工場/製作所内部のソース)から、データおよび/または命令を受け取りうる。中央制御装置310は、例えば、さまざまな外部および/または内部のデータを受けて、さまざまなパラメータの変更を計算したり、制御パラメータを作成するなどの各種のタスクを実行することができるコンピュータシステム340を有する。このような制御パラメータは、工場/製作所の各種構成要素の運用の指示に使用されうる。
システム300は、第1プロセスユニット360、第2プロセスユニット370、…、第Nプロセスユニット380も有しうる。第1〜第Nプロセスユニット360〜380には、ウェハ処理を実行するための1つ以上の処理装置、プロセス制御装置および/または他の構成要素が含まれうる。第1〜第Nプロセスユニット360〜380の詳細は、図4に図示されており、これに関連する以下の説明で後述する。
図3を引き続き参照すると、システム300は、各種プロセスユニット360〜380から、装置状態データのほかに、インラインおよび/またはオフラインの計測データも受け取ることができるデータ記憶装置390も有する。一実施形態では、装置状態データは、処理装置に関連するチャンバに関連する圧力データ、ガス流量データ、温度データ、湿度データを指す。データ記憶装置390は、以前に処理されたウェハに関連する製造データも格納していてもよい。更に、データ記憶装置390は、サンプリングされなかった処理済みウェハに関連するインラインおよび/またはオフラインの推定計測データも記憶しうる。このため、サンプリングウェハに関連する実計測データと、非サンプリングウェハに関連する推定計測データの組み合わせが、一緒にグループ化されて、処理済みのウェハのそれぞれに対する計測データの完全な組が形成されうる。バッチまたはロット内の実質的に全ウェハに関連するインラインおよび/またはオフラインの計測データが、編集されソートされて、データ記憶装置390に記憶されうる。データ記憶装置390は、システム300の外部および/または内部の各種構成要素が、データ記憶装置390の内容にアクセスするのを許可する構成要素を有しうる。
また、システム300は、非測定または非サンプリングのウェハに関連するインラインおよび/またはオフラインの計測データをモデリングすることができるモデリングユニット330も有しうる。装置状態データ、サンプリングウェハに関連する計測データ、統計解析、履歴データ、プロセスパラメータなどの各種因子が、モデリングユニット330によって使用され、非サンプリングウェハに関連するインラインデータおよび/またはオフライン計測データの推定または計算が実行されうる。システム300は、非サンプリングウェハを容易に識別できるように、非サンプリングウェハおよび/またはサンプリングウェハに指標(tag)を付しうる。
中央制御装置310、モデリングユニット330などの、システム300内の各種構成要素は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアのユニットを備えても、あるいはこれらの任意の組み合わせから構成されてもよい。データ記憶装置390は、データを記憶するために、メモリ制御部のほか、メモリ記憶部を有しうる。
次に、図4を参照すると、本発明の例示的な一実施形態によるプロセスユニット360〜380のブロック図が示される。プロセスユニット360〜380のそれぞれは、処理装置430および/または計測装置440の動作を制御することができる装置制御装置410を有しうる。説明のための一実施形態では、処理装置430は、エッチング装置、成膜装置、化学的機械研磨(CMP)装置、フォトリソグラフィ装置であっても、半導体ウェハ105を処理することができる装置であれば、ほかのどのような装置であってもよい。計測装置440は、処理済みの半導体ウェハ105に関連するインラインおよび/またはオフラインの計測データを取得することができる。計測装置440はスタンドアロンの装置であっても、処理装置430自体に組み込まれていてもよい。データインタフェース420は、中央制御装置310との間で、データを受信および/または送信しうる。データインタフェース420によって受け取ったデータは、処理装置430および計測装置440の動作を指示するなど、プロセスユニット360〜380の各種構成要素の制御に使用されうる。
次に図5A〜5Dを参照すると、非サンプリングウェハに関連する計測データのモデリングに関する、さまざまな例示的なグラフ図が示される。図5A〜5Dに示す図は、モデリングユニット330によって、各種のアルゴリズムを使用して計算されうる。これらの関係は、実際の測定日時のほか、履歴データ、装置の既知の動作、装置の変動、装置状態データ、プロセス変動などに基づいたものでありうる。
図5Aに示すように、特定の計測測定に関連するさまざまな値と、ウェハのバッチまたはロットの間に、実質的に線形の関係が見出されうる。簡略化した例示のための例として、ウェハのバッチまたはロットには、ウェハ1〜ウェハ30が含まれているとする。バッチ内の一部ウェハが、実際の測定のために選択されうる。例えば、特定のロットからウェハ1、ウェハ10、ウェハ20、およびウェハ30が、計測データを取得するために選択されうる。図5Aに示すように、ウェハ1の計測測定は計測値Aに関連し、ウェハ10に関連する計測測定から計測値Bが得られ、ウェハ20に関連する計測測定から計測値Cが得られ、ウェハ30に関連する計測測定から計測値Dが得られうる。これらのデータ点が使用されて、計測測定と、バッチまたはロット内のさまざまなウェハ間に直線関係が見出されるか、または計算されうる。この関係は、既にわかっている装置の動作および変動と一致しており、これが、直線関係の精度に関連する相対信頼水準を決定する際の因子のことがある。
代替の実施形態では、図5A〜5Dに関連する図と説明が、(個々のウェハではなく)個々のウェハのロットに関するものであってもよい。言い換えると、図5A〜5Dに示す計測測定結果(すなわち値A、値B、値C、値D、値E)が、ロット1、ロット10、ロット30などと相関されうる。また、更に別の代替の実施形態では、図5A〜5Dに関連する図と説明が、(ウェハ全体ではなく)特定のウェハの個々の領域に関するものであってもよい。言い換えると、図5A〜5Dに示す計測測定結果(すなわち値A、値B、値C、値D、値E)が、領域1、領域10、領域30などと相関されうる。
モデリングユニット330が、図5Aに示す直線関係を見出したことにより、非サンプリングウェハ(例えばウェハ15)に関連する計測値を、図5Aのグラフ図を使用して、容易に概算することができる。例えば、非サンプリングウェハ15は、計測値Eと一致し、この値がウェハ15に割り当てられうる。ウェハ15のプロセス後解析では、計測値Eが、ウェハ15に関連するインラインおよび/またはオフラインの推定計測値という点が考慮されうる。同様に、他の非サンプリングウェハに関連する推定計測値も、図5Aに示す例示的な関係を使用して容易に概算することができる。
図5Bに示すように、特定の計測測定値と、およびウェハのバッチまたはロット内のさまざまなウェハとの関係を定義しているほかの例示的なモデルまたは計算が見出されてもよい。ウェハ1、ウェハ10、ウェハ20、およびウェハ30に関連する計測の測定結果のすべてが、所定の許容限界内の特定の計測値Aと一致しうる。このため、特定の測定されなかったウェハ(ウェハ15など)に、推定値(値A)が割り当てられうる。さまざまなサンプリング済みウェハから、計測値Aの許容範囲内の計測値が得られたため、非サンプリングウェハも計測値Aを有すると推定したときの、許容可能な統計的信頼度を確保することができる。このため、図5Bに与えた例示的な関係に関連する計測値の推定に、一定のレベルの信頼度が存在しうる。この信頼度は、測定されたウェハに関連する計測値が、通常、ある許容可能な限界内の値Aの近傍に一致しているという点によって示されうる。このため、計測測定値Aをウェハ15に割り当てることは、比較的高い信頼度と対応しうる。
図5Cは、測定された計測測定とサンプリングウェハとの間の更に別の例示的なグラフの関係を示す。図5Cに示すように、ウェハ1、ウェハ10、ウェハ20、およびウェハ30の実際の測定値に基づいて値の範囲が変更されうる。この結果、概算した計測測定が所定の期間の間、実質的に矛盾のないように、この所定の期間、モデリングユニット330は処理装置の挙動を近似する。このため、ステップのような機能が作成されうる。換言すれば、ウェハ1から計測測定値Aが得られる場合、処理装置の挙動および他の因子を使用して、その後処理される数枚のウェハの結果も計測値Aとなるとモデリングまたは予測されうる。
この方法を利用して、ウェハ10は実際に測定が行われており、計測測定値がCであることがわかっており、ウェハ8は、サンプリングウェハ10に比較的近いため、その計測測定値もCであると推定されうる。同様に、実際にサンプリングされたウェハ20から計測測定値Bが得られたため、ウェハ17の計測測定値はBであると概算されうる。図5Cに示す関係の信頼水準は、より線形に近い関係を示す図5Bまたは図5Aの信頼水準と比べて低い値となりうる。図5Cは、実際の測定データに基づいた、常に変動する値を示しており、非サンプリングウェハの計測値の推定に付随する信頼度の値が低くなる。
次に図5Dを参照すると、測定済みのウェハと、実際の計測測定値との間に非線形の関係を示す例が示されている。ウェハ1の値の測定から計測値Aが、ウェハ10の値の測定から計測値Bが、ウェハ20の値の測定から計測値Cが、ウェハ30の値の測定から計測値Dが得られたことを使用して、図5Dに示す非線形の曲線が、モデリングまたは予測されうる。図5Dに示すような非線形曲線が、測定値、装置の挙動についての知識、履歴データ、装置状態データなどのさまざまな因子に基づいて作成されうる。この非線形関係から、非サンプリングウェハ8について、推定計測値Eが得られうる。また、推定計測値Fが、非サンプリングウェハ15に関連付けられうる。測定されなかったウェハに関連する計測値の概算または推定に非線形関係が使用されたことにより、図5Aおよび5Bに示した、より線形に近い関係に関連する信頼水準よりも、信頼水準が相対的に低くなりうる。このため、プロセス後解析において、非測定ウェハに関連する値に関連する信頼度の大きさが考慮されうる。
図5A〜5Dに示す例示的な関係を利用して、モデリングユニット330は、測定されなかった/非サンプリングウェハと関連する、インラインおよび/またはオフラインの推定計測値を容易に提供することができる。測定されなかったウェハの、計測値を概算するために、新しいデータが提供された場合に、別の関係が作成および変更されてもよく、これも本発明の範囲内にあることを、当業者は理解するであろう。
次に図6を参照すると、本発明の説明のための実施形態による方法に関連するステップのフローチャートが示される。一例において、システム300が、ロットのバッチ内の一連のウェハを処理しうる(ブロック610)。ウェハに実行される例示的なプロセスには、成膜プロセス、エッチングプロセス、フォトリソグラフィプロセス、化学的機械平坦化技術(CMP)などがあるが、これらに限定されない。この処理に基づいて、選択されたウェハについて計測データが取得されうる(ブロック620)。この選択されたウェハまたはサンプリングウェハは、所定の戦略的計画に基づいて選択されうる。例えば、測定したウェハと測定していないウェハについて計測値に関連する線形関係を得るために、所定の間隔を置いたウェハ(ウェハ5枚ごとなど)が、測定のために選択されることができる。更に、処理条件が変更されたか、あるいは、計測結果が、所定のレベルを大幅に越えて変動した場合には、サンプリングした計測値とサンプリングしなかった計測値との間の関係がより正確に求められるように、追加のウェハがサンプリングされてもよい。取得された計測データに基づいて、計測データの拡張プロセスが実行されうる(ブロック630)。計測データの拡張プロセスは、非サンプリングウェハに対して計測値を概算して割り当てるためのものである。計測データの拡張プロセスのより詳細な説明は、図7に示されており、その説明を以下で後述する。
選択されたウェハに関連する計測データを取得して、計測の拡張プロセスを実行したら、ウェハに実行される残りのプロセスが完了されうる(ブロック640)。一実施形態では、計測データの拡張プロセスは、ウェハに各プロセスが実施された後に実行されうる。代替の実施形態では、計測拡張プロセスは、重要な処理ステップまたは所定の処理ステップの完了後に実行されうる。ウェハの処理が完了したら、プロセス後解析が、実計測データおよび/または推定計測データを使用して実行されうる。プロセス後解析には、性能や歩留まりなどの特定のプロセス後結果を、実計測データおよび/または予測計測データなどの特定のインラインパラメータに、相関させることなどがある。
次に図7を参照すると、図6のブロック630の計測データの拡張プロセスを実行するステップがより詳細に示されている。システム300は、非サンプリングウェハまたは非測定ウェハに、インラインデータを割り当てるためのモデルを生成する(ブロック710)。モデルは、さまざまな因子を使用して、非サンプリングウェハに関連するインラインおよび/またはオフラインの計測データを概算しうる。このような因子には、実際の測定値、ウェハに実行中のプロセスの種類、実際のインラインデータを取得するために使用したサンプルの数、実際に取得された計測データに実行する統計解析の複雑さ、履歴データなどがある。モデルに基づいて、統計的信頼水準が取得される(ブロック720)。統計的信頼度は、非サンプリングウェハに関連する、推定計測データの正確さに関連する信頼度に関連しうる。換言すれば、信頼度とは、推定計測値が、非サンプリングウェハを実際に測定したときに得られたであろう仮定的な値にどれだけ近いかを示している。統計的信頼度は、実測データ、以前の履歴データ、装置状態データ、処理装置の性能の履歴、処理ツールの変動履歴などを使用して実行される統計解析に基づく値などである。
統計的信頼度に基づいて、非サンプリングウェハに関連する予測または推定のデータが計算されうる(ブロック730)。この計算には、計算された統計的信頼度に基づいて、前に計算した計測値を変更することも含まれる。推定計測データの計算において、データが、特定の非サンプリングウェハにデータが割り当てられうる(ブロック740)。システム300は、非サンプリングウェハに関連する計測データが、実際には推定データであり、実際に測定した計測データではないことを示すために、非サンプリングウェハに「タグ」を付しうる(ブロック750)。システム300は、実測データにタグを付して、それらのウェハに関連付けられた計測データが実際のデータであることを示してもよい。このタグには、本開示から恩恵を得る当業者に公知のさまざまなタイプのソフトウェアタグまたはハードウェアタグなどが含まれる。また、システム300は、後から取得および/または解析ができるように、実測データおよび予測データを記憶しうる(ブロック760)。
本発明の各種実施形態を利用して、計測データを、サンプリングまたは測定されなかったウェハを含め、すべての処理済みのウェハに関連付けることができる。信頼水準が、非サンプリングウェハに割り当てた値に関連付けられうる。非サンプリングウェハの値と、関連する信頼水準とに基づいて、システム300は、プロセス後解析などのさまざまな解析を提供しうる。非サンプリングウェハを含め、すべての処理済みのウェハに関連するデータを提供することによって、より確実なプロセス後解析が可能となる。このため、サンプリングウェハがプロセス後段階で使用できない場合でも、対応するプロセス後結果を用いた解析で非サンプリングウェハのデータが、利用可能である。このため、有効かつ正確なプロセス後解析を実行できる能力が、任意の数の理由(スクラップ処分、再処理など)のために生産ラインを外れたウェハによって、大きく影響を受けることがなくなる。プロセス後解析が、計測データをプロセス後結果に関連させることに基づいていてもよい。更に、後で詳細に解析を行うために、より履歴に基づいたデータが利用可能となる。本発明の実施形態は、処理済みの実質的にすべてのウェハについて、計測データの拡張を有効に作成することにより、プロセス結果をより正確に解析できるようにする。
本発明の原理は、以前、ケー・エル・エー・テンコール・インコーポレイテッド(KLA Tencor,Inc.)が提供していたカタリスト(Catalyst)システムなどの高度プロセス制御(APC:Advanced Process Control)フレームワークに用いることが可能である。カタリストシステムは、半導体製造装置材料協会(SEMI:Semiconductor Equipment and Materials International)のコンピュータ統合生産(CIM:Computer Integrated Manufacturing)フレームワークに準拠したシステム技術を用いており、高度プロセス制御(APC)フレームワークをベースとしている。CIM(SEMI E81−0699:CIMフレームワークドメインアーキテクチャ暫定仕様)およびAPC(SEMI E93−0999:CIMフレームワーク高度プロセス制御コンポーネント暫定仕様)の仕様は、SEMIから公的に入手可能である。APCフレームワークは、本発明が教示する制御方法を実装するための好ましいプラットフォームである。一部の実施形態においては、APCフレームワークは工場規模のソフトウェアシステムであり得、このため、本発明が教示する制御方法は、工場に存在するほぼあらゆる半導体製造装置に応用することが可能である。また、APCフレームワークによって、プロセスの性能のリモートアクセスと監視とが可能となる。更に、APCフレームワークを使用することによって、ローカルドライブを使用する場合と比べて、データの保管の利便性および柔軟性が向上すると共に、コストを抑えることができる。APCフレームワークでは必要なソフトウェアコードを非常に柔軟に記述できるため、APCフレームワークによって、一層高度な制御が可能となる。
本発明が教示する制御方法をAPCフレームワークに配置するには、数多くのソフトウェアコンポーネントが必要となる可能性がある。APCフレームワーク内のコンポーネントのほかに、制御システムに関わる各半導体製造装置用のコンピュータスクリプトが記述される。半導体製造工場で制御システム内の半導体製造装置が起動されると、通常はこの半導体製造装置がスクリプトを呼び出して、オーバーレイ制御装置などのプロセス制御装置が必要とする動作を開始する。この制御方法は、一般にこれらのスクリプトに定義されて実行される。このようなスクリプトの開発には、制御システムの開発の多くの部分を占める。本発明の原理は、他の種類の製造フレームワークにも実装可能である。
上記に記載した特定の実施形態は例に過ぎず、本発明は、本開示の教示の利益を得る当業者にとって自明の、異なるが均等の別法によって変更および実施されてもよい。更に、ここに記載した構成または設計の詳細が、添付の特許請求の範囲以外によって限定されることない。このため、上記に記載した特定の実施形態を変形または変更することが可能であり、このような変形例は全て本発明の範囲ならびに趣旨に含まれることが意図されることが明らかである。したがって、ここに保護を請求する対象は、添付の特許請求の範囲に記載したとおりである。