JP2009507170A - 非対称コンデンサへ制御されたプラズマ環境を導入することにより、指向性のある力を生成するシステム、装置および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、非対称のコンデンサにプラズマ環境を導入することにより駆動力及び他の力を生成し、これを使用して力を著しく増加させる方法、装置及びシステムを提供する。一実施形態においては、プラズマ温度又はその組み合わせを上昇させることにより、システムを適用してエネルギー場に電圧を印加し、電磁波を通してエネルギー場のプラズマ環境をイオン化してプラズマ密度を増加させる。本発明はまた、装置から外方向に向かうエネルギー又はプラズマの流れを生成する。本発明によれば、大幅に低減させた電圧レベルで様々な角度において駆動力を提供することも可能である。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本発明は、非対称コンデンサに関するものである。特に、その発明は、抑制されたプラズマ環境の導入により非対称コンデンサを使用して、力を生成することに関するものである。
非対称コンデンサは十分な電力(power)が加えられる場合に、合力(net force)を示すと知られている。非対称コンデンサは一般に幾何学的に相違する電極表面エリアを持っているコンデンサである。エネルギーを与えられた非対称のコンデンサを囲む電界は不均衡な力及びその結果小さな大きさの原動力を生み出す。過去数十年間にわたる挑戦は、推力−電力消費比として知られる、原動力を生じるのに必要なエネルギー量であった。軽量の非対称のコンデンサ・モデルは自分の質量に対する重力の影響を克服するのに十分な力を生じる能力を実証したが、この特徴の現実的及び商業的用途を作るために要求されるエネルギー量は大きすぎた。別の挑戦は、”空間電荷制限電流”飽和点(さらに”飽和空間限界(charged space limits)”と呼ばれた)あるいは与えられた空間の容量が収容可能な荷電粒子の限界である。与えられた容量中の粒子の量は、そのような容量から生成できる力の量を制限する。
多くの研究者は、イオン及びそれらの活動を、様々な理由のための原動力を生じるために使用した。いくつかの米国の特許は、様々な環境において原動力に関連する静電気チャージについて記述している。これらの特許は、参照によってここに組込まれる。たとえば、特許文献1(ブラウンに1934年9月に付与)は、充電可能な集合体と関連電極のシステムで高い潜在的静電荷を印加して、維持することによって力または運動を生じる方法に関するものである。特許文献2(ヘルゲンレーターに1949年1月に付与)は、ガスの分子をイオン化して、それから、分子とマイナス電位で電圧を印加された導電部材との間での引力によって分子を回収するイオン真空ポンプに関するものである。特許文献3(マリンクロッドに1952年2月に付与)は、飛行機を推進するジェット推進装置、そして、アーク装置に関するものである。特許文献4(ハーツラーに1953年4月に付与)は、ガスの分子を所定の方向へそれらを動かすイオン化力(ionizing forces)にさらすポンプ方法に関するものである。特許文献5(リンデンブラッドに1956年10月に付与)は、ガスに対するコロナ放電効果を通して、可動部分なしのガスの移動に関するものである。特許文献6(ブラウンに1960年8月に付与)は、構造と周囲の媒体の間で相対的な運動を引き起こす力を生じるために電位を利用する動電式装置に関するものである。特許文献7(ゲヘーゲンに1964年2月に付与)は、空気よりも重いものの飛行装置と、推進方法と、イオン放電を用いる制御に関するものである。特許文献8(キャンベルに2001年11月に付与)は、推進力を発生するために高い電位まで充電される二次元の、非対称コンデンサを開示する方法と装置に関するものである。
揚力を発生させる翼型を横切る空気分子の非イオンの使用が特許文献9(ストレイブに1959年3月に付与)に見られる。この特許は、効率的な翼型として翼の放射状の断面を使用することで、垂直及び水平飛行ができる円形の翼の航空機に関するものである。
ブラウンは、真空環境で非対称コンデンサシステムのゼロ以外の合力を観察した。この現象が媒体(空気)でつくられる帯電したイオンがない場合電極から蒸発する帯電したイオンによる電極面の圧力を考慮することによって説明できるように見える。さらにブラウンは、力が装置と周囲の流体の誘電性媒体の間で相対的な運動を生じる、すなわち、装置が定位置で保たれるならば、誘電性媒体に装置を通り越した所に動かすと述べた。さらに、装置が自由に動くことができるならば、媒体と装置の間の相対的な運動は装置の前進運動をもたらす。これらの現象が電極面への帯電したイオンの運動量移動がネット推進力(net propulsive force)のある力を発生するメカニズムであるという理論によって説明できる。なぜなら、システムが定位置で持たれるならば、どのような勢いも失うことなく、活発なイオンが向きを変え、コンデンサを通って、及び、そのコンデンサのまわりを移動するので。システムが自由に動くことができるならば、衝突の結果として、さらにコンデンサを通過して、及び、コンデンサのまわりを流れるイオンが存在し、しかし、この流れは、システムが固定されている場合に比べて非常に弱いはずである、なぜなら、イオンは、電極表面との衝突を通じてそれらの運動エネルギーと運動量を失うからである。さらに、クラウス シュジラスコ(非特許文献1)は、システムの極性が逆にされ、それにより、帯電したイオンが経験した静電気力が推進のメカニズムではないと確証した時、装置の運動に違いがないと述べた。基本的原理に立証されたさらなる手引きが、本願が利益を主張する仮出願後に発行された、非特許文献2から得られる。
本発明の前に生み出された動電学的な分野は、低い出力あるいは合力を生じる、比較的高いエネルギー入力に主に我慢してきた。非対称のコンデンサの一般的な概念およびイオン力の使用は知られているが、十分な原動力を生じることができないことは多くの潜在的な用途を失った。したがって、これまでの問題は、第1に必要な高電圧のレベルが伝導電流を作成するのに十分に高くなければならない場合、電力消費量を増加させずに、イオン処理推進システムでの伝導電流の量を増加させることであった。
更なる挑戦は、上記の列挙された努力と他の同様の努力に基づいて必要とされるこれまで認められた高電圧の入力であった。しかし、高電圧の入力は、好ましくない第二の影響を有する。これらの影響は、多くの電磁界および干渉、物体周辺での静電気増加、X線、オゾン産出および他の負の影響を含む。
したがって、改善された原動力を生じる改善された非対称のエネルギフィールドの必要性が残る。
米国特許第1974483号
米国特許第2460175号
米国特許第2585810号
米国特許第2636664号
米国特許第2765975号
米国特許第2949550号
米国特許第3120363号
米国特許第6317310号
米国特許第2876965号
Szielasko,Klaus著 GENEFO www.genefo.org「高電圧"リフター"実験:ビーフィールド・ブラウン効果それとも単純な物理?」Genefo、2002年4月
Canning,Francis X,Melcher,Cory及びWinet,Edwin著「推進力のための非対称コンデンサ」NASAグレンリサーチセンター(NASA/CR−2004−213312)、科学調査研究所、2004年10月
本発明は、制御されたプラズマ環境を非対称のコンデンサにもたらすことによって原動力と他の力を発生する方法、装置およびシステムを提供する。
エネルギーまたはプラズマの流れは装置から外方向へ向いている。本発明は、関連するエネルギー場の非対称の態様を利用するが、エネルギー場を数桁倍活性化させる。この桁外れの推進力の増加はある程度、プラズマ密度、プラズマエネルギー(及び同等のプラズマ温度)及び関連する粒子の速度、又はこれらの組み合わせを増加させることにより達成することができる。この増加により、従来不可能であった、イオン化推進力の実用的な使用を可能にする。
一実施形態においては、システムを適用して、例えばレーザー又は発光ダイオード(LED)の環状アレイなどの電磁波を通して、エネルギー場に制御されたプラズマ環境を導入することにより、エネルギー場を活性化させる。エネルギー場は、プラズマ密度、プラズマエネルギー及び粒子速度、又はこれらの組み合わせを増加させることにより、活性化させることができる。更に、プラズマ環境は、大きい非対称のエネルギー場を作りだすのに先立って、活性化させることが可能である。更に別の実施形態においては、本発明は、電磁波を使用しない従来の所要の電圧レベルに比べて大幅に低減された電圧レベルにおいて、電磁波を使用して著しく推力を高めている。低い電圧により、従来非対称のコンデンサエンジンを活性化させるのに要する活性化前の高い電圧レベルにより発生する、派生的な悪影響を減らすあるいは除去することができるため、有利である。
本発明の開示により、非対称のコンデンサエンジンにより力を供給する方法が提供され、この方法は、異なる表面積を有し、ある距離だけ離れている少なくとも3つの電極を有する非対称のコンデンサエンジンに近接する媒体内の粒子に、電磁波を放射するステップと、該電極の内の少なくとも1つの電極に電圧を加えて、非対称のコンデンサエンジンにより、合力を発生させるステップと、異なる電極の組み合わせに、電圧、放射線又はこれらの組み合わせを印加して力を変動させるステップとを含む。
本発明の開示により、更に力を生成するシステムが提供され、このシステムは、第1表面積を有する少なくとも1つの第1電極と、第1表面積とは異なる第2表面積をそれぞれ有する少なくとも2つの第2電極とを備え、第2電極が第1電極に対し互いにある角度をなして設けられている非対称のコンデンサエンジンと、非対称のコンデンサエンジンに連結し、エンジンに電圧を印加し合力を生じさせる電圧源であって、合力の方向が、第1電極及び第2電極の様々な組み合わせに印加される電圧に依存する電圧源と、電極間の粒子に電磁波を放射する電磁波源とを備える。
本発明の開示により、力を生成するシステムも提供され、このシステムは、第1表面積を有する少なくとも1つの第1電極と、第1表面積とは異なる第2表面積を有する少なくとも1つの第2電極とを備える非対称のコンデンサエンジンと、非対称のコンデンサエンジンに連結し、エンジンに電圧を印加し合力を生じさせる電圧源と、1つ以上の電極の内の少なくとも1つの選択部分に電磁波を放射する、少なくとも1つの電磁波源とを備える。
上記に簡単に要約した本発明は、添付の図に図示され、本明細書に記述されているこれらの実施形態を参照することにより、より具体的に説明されている。しかしながら、添付の図は本発明のいくつかの実施形態を図示しているに過ぎず、本発明は他の同等の効果的な実施形態も受け入れることが可能なため、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
本発明は、電磁波(又は本明細書における「EMR」)を非対称のコンデンサ内の電極間の粒子に放射して粒子をイオン化し、非対称コンデンサから力を生成するシステム、方法及び装置に関するものである。電磁波によりプラズマなどの高い電圧を印加した状態をコンデンサ内に生成して、コンデンサから生じる駆動力または他の力など、従来の試みに比べ増加した力を生成する。この力の増加は、プラズマ密度、プラズマエネルギー又は粒子速度、プラズマ温度、アノードに関連する陰極(カソード)表面積、又はこれらの組み合わせを制御することにより達成することができる。
異なる表面積を持つ異なる電極を有する非対称のコンデンサは、軸方向、すなわち大型又は陰極の電極から小型又は陽極の電極につながる線の方向の合力を得る。この力の方向は、極性が変化してもこれらの合力の方向が変わらないため、印加された電圧の極性に関わらず、適用する。大型又は陰極の電極の合力は、小型又は陽極の電極の合力よりも大幅に大きく、これは表面積が大きく異なるためである。
本発明は該して、外部のエネルギーを好ましい周波数で印加して粒子をイオン化あるいはイオンを更に活発化し、プラズマ状態を生成することを提供する。本発明によれば、電圧が電極に印加されると、非対称コンデンサの電極間において制御可能なプラズマを生成することにより、比較的低エネルギーの入力で比較的大きな力を出力する。この「プラズマ」という用語は良く知られており、自由移動の電子及びイオン、すなわち電子を失った原子の高エネルギー集束を含む。エネルギーは、原子から電子を奪ってプラズマを生成するのに必要である。プラズマ生成のために粒子に印加するエネルギーは、種々のエネルギー源:熱、電気又は光(紫外線又はレーザーからの強い光)から得ることができる。出力を十分に維持できないと、プラズマは再結合して中性ガスとなる。
(本発明の概要及び非対称コンデンサ)
図1は、本発明による非対称コンデンサ及び関連システムから生成された電磁場環境の概略図である。この図により非対称コンデンサの動作をある程度理解し、本発明による改良をより良く理解することができる。荷電粒子からの運動量の移動を表すベクトルの大きさ(すなわち、所定の方向における力)は、測定されたものではなく、正確ではない。電磁場線は、おおよその線である。
図1は、本発明による非対称コンデンサ及び関連システムから生成された電磁場環境の概略図である。この図により非対称コンデンサの動作をある程度理解し、本発明による改良をより良く理解することができる。荷電粒子からの運動量の移動を表すベクトルの大きさ(すなわち、所定の方向における力)は、測定されたものではなく、正確ではない。電磁場線は、おおよその線である。
非対称コンデンサ2は通常、空気などの気体と、空間などの真空又は液体を含む、媒体11を介してある距離隔てられた第1電極4と第2電極6を備えている。空間の真空内での操作は、通常粒子の媒体への注入を利用するため、有利である。液体を使用しての操作では、通常エンジンが活性化され、電極間のプラズマを生成し、本明細書において記述した関連する衝突によりイオン化するのに十分な気体の特性を有する水蒸気などの蒸発した液体が供給される。第1電極は媒体にさらされた部分周囲の算出による第1表面積を有し、第2電極も同様に第2表面積を有する。非対称のコンデンサにおいては、表面積は異なっている。更に、各電極の実際の大きさと1つの電極の他の電極に対する相対的な大きさにより、電極によって生成される合力に違いが生じる。通常、第1電極はアノードであり、第2電極はカソードであり、アノードはカソードよりもより多くの正電荷(電圧)を有する。通常カソードはより大きい表面積を有する。電極はいかなる幾何学的形状あるいは他の形状との組み合わせを有していても良く、1つ以上の電極内に開口部などの幾何学的パターンが形成されている。アノードは、非限定的な例としてエミッタ線、ブレード、又はディスク、カソードはシート、ブレード、又はディスクであっても良い。電極は、電極間に電磁場を確立させることが可能な、銅、アルミニウム、鉄または他の材料を含むいかなる好適な材料からできていても良い。通常、電極は電磁場を確立させるために伝導性の材料を含んでいる。ある適用例においては、重量、コスト、伝導性、構造的完全性及び他の要素により、特定の電極用の実際の材料又は材料の組み合わせが決定する。非限定的な例としては、より高い密度及び/又は更なる伝導性を有する第1材料をより低い密度及び/又は更に低い伝導性を有する材料に適用して、複合電極を作製する。更に電極は、電気的に結合させて特定の電極の表面積を変える複数の表面であっても良い。在来技術によれば、電源8を介して正電圧がアノードに印加され、アノードに対しカソードは陰極であるが、極性を反転させることも可能である。ある実施形態においては、電圧を両方の電極に印加することが可能であり、アノードは通常、より高い正電圧を有する。交流電流(AC)及び直流電流(DC)を使用することができる。
アノードなどの少なくとも1つの電極に電圧を印加すると、電極間に電磁場が生成される。これは、電極間の媒体が、電極と比べて比較的非伝導性であるためである。この目的においては、電界は様々な強度の電界線を有する電界12に関して記述されており、電極間の中心点が電極間に引かれた線9に通常平行であり、電極近傍において曲折し、反転もする。磁界14は、電界線のいかなる特定点においても電界線に対し通常垂直である磁界線を有する。よって、電極間の中央点において、磁界線は線9に対し通常垂直となる。電界により媒体内の粒子16が活性化され、ある電荷値を持つイオンを生成し、磁界によりイオンがイオンの特定位置における磁界の方向に引き付けられる。電界及び磁界は、電極から電極をつなぐ直線を越えて広がるため、直線を超える粒子と電極周囲の粒子もまた影響を受ける。よって、このような電極周囲の粒子も、電磁場領域28に示すように、本明細書において広く定義される体積、電極「間」に含むことができる。「粒子」という用語は本明細書において広く使用され、特に文脈上の指示がない限り、中性粒子と荷電粒子(つまりイオン化された粒子)の両方を含む。粒子は、電子、中性子、陽子、及び他の素粒子などの分子、原子、又は素粒子であってよい。
より具体的には、電圧を非対称のコンデンサ2に印加すると、導電性の電流がより小型の電極又は正電極4からより大型の電極又は負電極6へ流れる。アンペアの法則によれば、この導電性電流がコンデンサ周囲に方位磁場を生成する。明確化のために、このシステムには円筒状の座標を適用し、軸方向を、負電極から正電極までの線9の方向としている。通常、本明細書において記述されているような、空気や水蒸気、又は他の導入された媒体内に、「娘」荷電粒子が生成され、「親」電子及びイオンとの衝突により、電極の表面から蒸発あるいは放射され、ベクトル量が太字で表示される、所定の電界(eE)による力に加えて、ローレンツ力(j×B又はenV×B)がかかる。ここで「親」とは、導電性電流を運ぶ元の荷電粒子を意味し、「娘」は、親荷電粒子との衝突により生成された2次的な荷電粒子を意味する。電極6の上部と下部において、このローレンツ力(円筒状座標:−z×−φ=−r、ここで(z)は電界の軸方向成分を表し、(φ)は磁界の方向を表し、(r)はイオンの移動方向を表す)によってイオンが内側に押し込まれる。
電極6の平坦な上部表面において、この力(−r×−φ=−z)によりイオンが上方向に押し上げられ、この上方向は小型の比較的陽極である電極4に向かう方向である。上部表面により近い領域において、イオンは内側及び上向きに押される。イオンの上方向への移動は、電極の底部における電界の軸方向成分(z)の方向(φ)の反転によって、大型の又は負電極6の下部表面において反転し、これにより磁界の方向(φ)が反転する。この領域の力は、第1電極4から遠く離れているため、上部領域の力より弱いと考えられ、この結果、軸方向成分(z)の方向の合力が発生する。より陽極である小型の電極4に近いイオンも同様の動きを呈するが、軸方向成分(z)の反対の方向に配向する。
駆動(つまり推進)力は、特定の電極の本体表面全てに渡る(エネルギーイオンとの衝突により発生した)圧力から発生する合力であり、結果的に電極4には合力5、電極6には第1電極4の合力5の反対方向の合力7が発生する。各電極の合力は、線9の方向に配向しているが、反対方向(つまり、座標軸システムのz軸に沿って)に向いている。電極6の合力は、電極の表面積が異なるため、電極4の合力より大きい。非対称コンデンサを使用する全てのシステムは、線9の軸方向、すなわち、供給される電圧の極性にかかわらず、陰極または大型の電極から陽極又は小型の電極までの線の方向の合力5、7のベクトル和によって最終的に合力26を得る。
関連する電子の動きがイオンの動きとまったく反対であっても、電子の運動量移行はイオンの運動量移行に比べごくわずかであると考えられる。よって、主に中性粒子へのイオンの運動量移行の作用によって正味の駆動力が生み出されると考えられる。粒子のイオンジェット18は、コンデンサから更に力を生じさせる小型の電極4の末端における大型の電極6から離れた方向で生成される。
導電性電流により生成された磁場に起因するローレンツ力の大きさは概して、静電力の大きさに比べれば取るに足らないものである。しかしローレンツ力は、プラズマの局所的な電流密度がオーミック加熱及び導電性の強化により大幅に高まったときに、強い磁場が発生しうる局所的な地点において、顕著になる可能性がある。このような地点では、ローレンツ力の大きさが、1平方センチに対し数メガアンペアになる可能性があり、静電力と同程度か、あるいは静電力よりも大きくなる。
非対称のコンデンサの働きを基本的に理解したところで、本発明の態様に視点をうつして更に説明する。少なくとも一実施形態においては、非対称コンデンサの電極間の媒体の体積内において強化された粒子のイオン化環境を生成することにより、荷電粒子密度、粒子の温度、又はこれら両方が増加する。強化された荷電粒子は、プラズマ密度及び平均プラズマ温度(したがって、粒子速度も影響される)が制御可能であるプラズマレベルの環境まで到達することができる。「プラズマ」という用語は、通常電気的に中性の、高度にイオン化された、イオン、電子及び中性粒子から成るガスを意味する。これは、固体、液体及び通常のガスとは異なる物質の相である。
強化された粒子のイオン化環境は、紫外線、赤外線、高周波、他の周波数またはそれらの組み合わせなどの電磁波を粒子に放射することによって生成することができる。この環境には通常、少なくとも部分的なプラズマが含まれる。1つ以上の電磁波源20、20Aを使用して上記の放射線を放射することができる。イオン化する粒子に従って放射線の所定の波長を利用することにより、粒子をプラズマ状態にまで高めることができるため、有利である。電磁波源20、20Aは、1つ以上の電源22、22Aにより供給することができ、これは電源8と同じである。
本明細書に記載の方法に従って、非対称コンデンサから生じた合力の値は、電源8からコンデンサへの入力を増加することなく、高めることができる。もちろん、入力はイオン化のための電磁波源、そしておそらく制御下のプラズマ環境を生成するのに必要である。しかしシステムの正味利得により、電界を、一桁倍あるいはそれ以上までも、大幅に活性化させることができる。
電極に電力を供給することにより生成された電磁場の粒子は、電極間の体積に電磁波を放射することにより更に活性化される。電磁波により、電界内の粒子量を含む電極間のプラズマ密度を増加させることができる。電磁波はまた、電磁波の代替源を使用してプラズマ温度も上昇させることができ、これにより粒子速度が加速する。幾つかの実施形態においては、電界のプラズマ密度及び温度の両方を増加させることが可能である。更に、顕著な非対称のエネルギー場を生成するに先立って、電界を活性化させることができる。
プラズマ密度及び/又はプラズマ温度の増加により、非対称のコンデンサシステムからの合力を通して、長年にわたる試みにもかかわらずこれまで制限要因となっていた出力電力の増加が可能となる。下記により詳細に記述される「空間電荷制限電流」として知られる用語は、飽和する前の所定の空間内でのイオンの最大帯電量であり、これ以上の帯電は制限される。飽和値を増加させることにより、合力及び出力電力の増加が可能となる。
従来の試みでは、限界と複雑さが付きものである、高電圧に注目した。本発明者はこれの代替になるものを開発し、非対称のコンデンサが比較的低電圧にて動作することを可能にし、1つ以上の波長の電磁波によって粒子に印加されるエネルギーを増幅することによって、プラズマ密度及び/又は温度を増加させ、これに付随して飽和レベルを高める方法を改良した。この結果は、非対称コンデンサから出力される合力を、同じ電圧を使用する全ての既知の非対称コンデンサの配列よりも大きく増加させるような、予測しない非線形応答であった。幾つかの実施形態では、1桁倍またはそれ以上の増加が見られた。有利な点としては、低電圧によって、非対称コンデンサエンジンを活性化させるのに要する高電圧レベルから従来生じていた悪影響を減らす又は除くことができることである。
更に、本発明者は電界に粒子を注入することにより発生する、本発明のシステムが適応可能な力が、飽和値が増加することによって増加する追加の粒子を使用する限度容量により、増加することを発見した。注入される粒子は水素、ヘリウム又は他のガス及び物質などのガス状粒子を含んでいてもよい。注入は、非対称のコンデンサが動作する媒体に対し補足的であってもよいし、あるいは上記媒体の代わりであってもよい。更に、粒子の注入によって、例えば比較的真空の空間又は他の低圧力あるいは基本的に無圧力状態などの標準状態(1気圧)未満の圧力状態において、非対称のコンデンサの動作能力を高めることができる。
図2A、2B、2Cは、本明細書の記載に従った力のベクトル和の大幅な強化とは対照的な、荷電粒子を持つ非対称コンデンサの概略図である。図2Aは、図1より簡略化した形態の基本の非対称コンデンサの荷電粒子の概略図である。第1電極4と第2電極6は活性化される粒子に曝される異なる表面積を有し、基本の非対称コンデンサ2構造を形成している。電極間の粒子16(すなわち電磁場28の粒子)は所定の密度および速度24を有する。速度は、特定の粒子のエネルギーレベル、従って温度を表す。図1に示すように、粒子の相互作用により非対称コンデンサ全体に合力が生じ、これは力26として図示されている。
図2Bは電磁波を放射した非対称コンデンサの荷電粒子概略図であり、増加した粒子密度を図示している。粒子に電磁波を放射することによって、出力、結果的には非対称コンデンサの合力を大幅に増加させる。電磁波の放射はプラズマ密度を増加させると考えられている。電極4と6は所定の電力レベルにおいて操作することができる。電磁波源20は、粒子16に電磁波を放射し、粒子にエネルギーを与えることができる。より具体的には、少なくとも一実施形態において、電磁波は、レーザー、1つ以上の発光ダイオード(LED)又は他の光子放出源によって放射することができる。電磁波は電極間における媒体の少なくとも部分的なイオン化を生成するのに使用され、通常、非対称コンデンサが機能する媒体を含む。有利な点としては、レーザーで使用する波長が、赤外線(IR)及び紫外線(UV)又はより短い、比較的短い波長でも可能であることである。例えば、光イオン化の研究が示すところによれば、酸素は約1024nm又は1024nm未満、窒素は約798nm又は798nm未満の特定の周波数において、これら大気分子の両方が光イオン化し、高電圧によりイオン化された同様の分子と同じように、電界により操作可能となる。イオン化効果の違いにより周波数が変動する可能性はあるが、商業的に実現可能な周波数の範囲は、酸素が約750〜1024nm、窒素が約248〜798nmであると考えられている。このようなガス特定の周波数はしばしば、フラウンホーファ周波数と呼ばれる。これら調和周波数により比較的小さい入力で特定のガスがイオン化される。プラズマ生成に先だって、より小さいエネルギーで粒子をイオン化することにより、入力エネルギー1単位に対し、より大きな出力を得ることが可能となる。
更に、周波数を組み合わせて、媒体に適用してもよい。上記の例においては、媒体が主に酸素及び窒素を含む空気の場合、各要素の特定周波数のエネルギーを媒体に印加して、より効果的なイオン化を達成することができる。そして更に、他の電磁波を種々の周波数、あるものは短波、あるものは長波で放射して、粒子にさらにエネルギーを与えることもできる。複数の周波数を同時に、あるいは段階的に、異なる順序において、コンデンサに印加される電圧の順序とは別に、あるいはそれと組み合わせて粒子に適用することができる。このような同時又は順序立てた適用により、エンジンに対しより高い効果を得ることができ、有利である。
別の放射線源としては、高エネルギーの波長248nmのフェムト秒パルスレーザーを用いて空気をイオン化させる(場合により、1011個の粒子/cm3程度)。更に、システムにおいては、波長750nmの赤外線などのより長い波長の放射線源を用いて、他の粒子との再結合により発生する、実質的に力になんら寄与しない中性粒子を生成する望ましくないプラズマ中性化を低減することにより、プラズマを安定させることができる。適用される1つ又は複数の周波数は例示であり、通常は、非対称コンデンサが機能し特定の粒子が活性化される媒体によって、必要以上の実験を実施することなく本明細書に記載されているアドバイス及び開示によって、当業者により決定されるものである。当業者とは通常、物理、例えばプラズマ物理の知識がある人を含む。本開示では通常、従来の非対称コンデンサの電極全体にかかる電圧のみに依存する方法以外のやり方で、粒子に印加するエネルギーを効果的に増加させてプラズマを生成し、比較的大きな力を生じさせる。
紫外及び/又は赤外光などの電磁波を放射して、非対称コンデンサ内及び周囲の体積の粒子をイオン化させることにより、媒体の密度及びエネルギーが、少なくとも部分的なプラズマを生成する程度まで増加する。プラズマは電界及び磁界により加速及び方向転換され、これにより制御及び適用が可能となる。
増加したプラズマ密度及び温度には2重のメリットがある。同じ体積内においてより多くの粒子の分子衝突を発生させて更にイオン化させることと、粒子のエネルギーが増加され、衝突の際により大きいエネルギーを発生させることである。増加したイオン化能力の結果は、図2Aと比較して更なる衝撃及びより大きい合力26である。
プラズマ密度の増加によって、所定の合力を生み出すために電極に印加される電圧を低減させ、陰極の高電圧効果を低減させることが可能である。紫外線又は赤外線周波数、又は他の電磁エネルギーを粒子を印加することで、より低い電圧が可能となる。
本発明においては、空間電荷制限電流の飽和には異なる2つの制限的な物理の法則もまた関わっていると考えられている。第1のタイプは負電極からの電子の放出の飽和であり、これには正電極からのイオンの放出も含まれると考えられている。例えば、この現象は真空ダイオードにおいて観察することができる。カソードからの電子の放出率は加熱されたカソードからの熱電子放出によって制限されるため、通常この放出率によって空間電荷制限電流の飽和が左右される。これは、放出率が特定の印加された電圧において最大放出率に到達するらしいことを意味する。
第2のタイプの飽和は、電極周囲のプラズマシース領域の電子密度(及びイオン密度)の飽和である。この第2の飽和は、(空気などの)媒体が親荷電粒子との衝突によりイオン化されてプラズマを形成するため、非対称コンデンサにおいて前述した第1の飽和よりも、より支配的であると考えられる。
下記は、(この場合は電極の表面である)構造体の表面近傍においてプラズマにより発生する一般的な現象の簡単な説明である。プラズマは、プラズマに印加される電位を遮断する傾向があり、そしてこの遮断部分の端部はプラズマの密度と温度に基づいて変化する。この遮断部分の厚さは「デバイ長」と呼ばれ、このプラズマの遮断部分内の領域は(壁近傍である必要はない)「デバイ球」又は壁近傍の領域の場合、「プラズマシース」と呼ばれる。
デバイ長は、電子の温度の二乗に比例し、プラズマ密度の二乗に反比例する。例えば、1.0E+15個の粒子/m3のイオン密度及び10KeVの電子温度を使用してこの長さを大まかに考えると、結果的にデバイ長(又はイオン雲の厚さ)は約2.3cmとなる。プラズマ温度、特に電子のプラズマ温度がそれ自体の密度を変えずに上昇した場合、デバイ長又はシースの厚さの拡張が見られるはずである。一方、プラズマ密度が温度を変えずに増加した場合、デバイ長又はシースの厚さの縮小が見られるはずである。
プラズマシースにおいては、電子とイオン速度の違いにより電位勾配が存在する。負電極上に生成されたシースは、過剰な流入電子をはね返す傾向があり、正電極上に生成されたシースは過剰な流入イオンをはね返す傾向がある。この遮断の結果として、シース内部のイオン及び電子の密度が安定状態となる。
図2Cを説明する前に図2Dを参照する。図2Dは、非対称コンデンサに電磁波を放射することで起きると見られる飽和における変化の理由と考えられる、ラングミュア静電プローブのボルト−アンペア特性を示す。実際の電子の流れはイオンの流れよりもより大きい(例えば1000倍)ため、電流は正確な寸法ではない。
グラフを作成するため、プローブ(図示しない)に印加される電圧を変動させ、プローブにより収集された電流を測定する。Vfはプラズマの浮遊電位(つまり正味ゼロ電流のプローブ電位)であり、Vpはプラズマ電位である。この特性の類似は、非対称コンデンサの場合に適用できる。Vfの地点を、システムに電圧が印加される直前の状態、つまりゼロとする。システムに変動電圧が印加されると、下記のことが起こりやすい。初期の段階では、イオン及び電子の流れの両方が増加するため、電流が増加する。これは負電極においてVfからBに向かい、正電極においてVfからCに向かうV−I特性線により表される。印加した電圧が負電極の電位が−Vfになる地点に到達すると、イオンの流れは定常状態、つまりイオン電流の飽和状態となる。この電流は「ボーム電流」と呼ばれる。この定常状態には、Vp−2Vf>0が成り立つと仮定して、正電極の電位が+Vfである地点において電子の流れがさらに増加しているため、全電流がさらに増加するにも関わらず、到達する。印加された電圧が正電極の電位がVpとなる地点に到達すると、電子の流れが定常状態となるため全電流が飽和する。しかし、もし印加電圧がさらに、プラズマシース内の電位の減少がイオン化原子へのポテンシャルエネルギーよりも大きくなる値まで増加すると、電流がDの地点でいきなり増加する。本明細書に記載される改良を施していないあるコンデンサにおいては、D地点は23〜30kVの範囲に相当する。この地点を越えて電圧を増加させても、実質的で相応のメリットは得られない。
ケース1の場合30KVに対し1g/ワット、ケース2の場合110Vに対し324g/ワット等の異なる電圧を印加した非対称コンデンサの機能における2つの異なる実施例を考察し、これらがV−I特性曲線上に位置するとみなす。ケース2は正電極の場合、曲線のVfとCの間のある地点に位置し、負電極の場合、曲線のVfとBの間のある地点に位置する。いくつかのケースでは、B地点の左の地点である可能性もあるが、通常は正電極の地点と対称であり、これにより、より大きい力を得る。
ケース1は、飽和した電子の電流状態上のある地点、つまり正電極ではCとDの間、負電極では左側の対称地点に位置する。紫外線、赤外線又は高周波または他の酸素及び窒素分子の電磁波を使用した光イオン化、加熱、またはこれらの組み合わせによりエネルギーレベルを十分に上昇させ、1つ以上の電子がそれぞれの原子から分離し(ここでは「イオン化」)、高電圧によりイオン化された分子と同様に、同じ方法で電界により粒子を操作することができるようにする。十分なエネルギーによりプラズマが発生する。イオン化によりプラズマ密度が変化し、シース内のプラズマ状態が変化すると思われるため、イオン化により空間電荷制限電流の飽和が変化すると考えられている。ここでこのV−I特性曲線を見ると、イオン化によりVfだけでなくプラズマ電位Vpも増加する。従って、曲線は右にシフトする。このシフトにより飽和電流の値が増加する。ボーム電流は下記の式で表される。
ここで、noは背景のプラズマ密度、eは電子電荷、Aはプローブの表面積、Kはボルツマン定数、Teは電子の温度、そしてMはイオン質量である。この式はまた、イオン電流の飽和値をプラズマ密度と電子の温度を上げることによって増加することができることも表している。これは電子の流れについても言えると考えられる。
図2Cは電磁波を使用する本発明により増強された荷電粒子の概略図であり、結果的に増加した粒子密度と速度を示す。速度はエネルギーの増加により増加する。紫外光及び/又は赤外光を使用することによるイオン化により、弱く(すなわち部分的に)イオン化されたプラズマを生成することができる。更に、電磁波の形状の紫外光及び/又は赤外光により、プラズマ密度を大幅に増加させることができる。電磁波源20から電磁波を放射するのに加えて、プラズマを加熱する他の複数の方法が適用された場合、飽和電流の値が更に増加する。プラズマの加熱は、別の電磁波源20Aから異なる周波数の電磁波を放射してプラズマ密度を増加させることにより、個々に行うことができる。プラズマ密度の増加とプラズマの加熱はいずれも、電磁波源20及び20Aからの複数の周波数を使用することにより、用いることができ有利である。一実施形態においては、電磁波源20及び20Aを、複数の波長を放射することができる単一のユニット又は複数のユニットとすることができる。荷電粒子からの移行により中性粒子に付与された全運動量(p)は、質量xの速度の積(p=mv)である。従って、図2cに示す荷電粒子16から中性粒子(図3に粒子16A、16B、16Cとして示す)への全運動量の移行には、領域28内のより大きい質量に対しより大きい数字であることと、より高い速度のための温度の上昇に起因する、より高いエネルギーを有することとが含まれる。
プラズマにエネルギーを印加するには、幾つかの方法がある。その内の1つは、高周波(RF)電磁波を使用する方法である。この方法では通常、3つの異なる範囲の周波数、すなわち電子サイクロトロン周波数、より低いハイブリッド周波数、及びイオンサイクロトロン周波数が適用される。別のやり方は、プラズマに中性ビームを入射する方法を用いることである。この方法では、高速の中性粒子がプラズマに入射され、これら活性化された中性粒子はより低い活性(低速)のイオンと衝突して電子を失うことにより、活性化(高速)イオンとなり、そしてこれらの電子を受け入れることにより低速の中性粒子となる。しかしながら、この方法はこのような高速の中性ビームを作り出す装置を要し、これには大きな電源が必要となる。一方、プラズマの高周波による加熱は、マグネトロンと、例えば電子レンジ用のものと同様の電源を使用することにより可能である。
上述したこれらの加熱方法は外部の加熱源を使用する。外部の加熱源がない場合、ある程度のプラズマの加熱は、内部からのオーム加熱、あるいはシステム内の磁気圧力に起因する圧縮による加熱により行うことができると考えるのが妥当である。しかし、プラズマ抵抗性がその(電子の)温度の3/2の力に反比例して依存するため、プラズマ温度が上昇すると、オーム加熱の効果が弱まってくる。従って、この時点において外部の加熱源を使用すると、非常に効果的である。この方法により、システム内の電流が増加した後に、プラズマを磁気圧縮により更に加熱することができる。これは、この時点においてシステム内に極めて強い磁界が生成されていると考えられるからである。これら異なる加熱方法を順に、あるいは連結させて行うことは、非常に効果的で組織的な加熱方法である。
少なくとも一実施形態において、本開示は紫外線及び/又は赤外線の光イオン化と高周波による加熱とを組み合わせて使用する。上述の方法を使用したプラズマ密度の増加、特にプラズマエネルギーの増加を組み合わせたプラズマ密度、従って速度及び同等の温度の増加により、システムの駆動力が強化される。合力26(原寸に比例せず)の増加は、図2Bと2Aに比べ、図2Cにおいてより大きく示されている。上記の方法により駆動力を数桁倍強化することができると考えられる。
非対称コンデンサ2が機能する粒子を有する媒体に加えて、他のガスを非対称コンデンサに付与して媒体を補足、あるいは媒体の代わりとすることができる。補足は例えば、媒体が空間、又は他の、粒子を含まないあるいは粒子の少ない媒体である場合に必要となる。例えば、水素又はヘリウムを使用することができ、これらは空気とは別個であり、紫外線又は赤外線波長の複雑性をUV及びIRの光イオン化用の単一周波数に低減し、水素イオンの温度を上昇させる効果のためにRF周波数を最適化できる利点がある。更に、複数のガスを組み合わせて、単一のガスの代わりとしてもよい。そして更に、推進力及び他の力を生成し、維持するのに有用な蒸発水銀又は他の粒子などの粒子を、非対称コンデンサが機能する体積内に入射してもよい。
図3は荷電粒子と衝突している中性粒子の運動量の駆動力の概略図である。この図は、中性粒子がどのようにしてコンデンサの合力を生み出しているかを示す。図において、主要力偏差は、図2B及び2Cの荷電粒子16から中性粒子16A、16B、16Cへの運動量移行として示されている。上方向のベクトルを有する粒子16Aは上方向の推力に対しプラスに寄与し、下方向のベクトルを有する粒子16Bは上方向の推力に対しマイナスに寄与する。水平方向のベクトルを有する粒子16Cは、推力になんら寄与しない。第1電極4上の合力5Aは通常下向きであり、第2電極6上の合力7Aは通常上向きであり、結果的に非対称コンデンサ2上に生成された新たな合力は力5Aと7Aのベクトル和であり、最終的に合力26となる。この力は、物理的な推力ユニット上で働く推力に関連してもよい。ある程度の追加的な力が、方向転換した荷電粒子によりイオンジェット及び関連のエアポンピングから生成される可能性がある。
加えて、定常力の代わりにパルス力を生成することにより、更なる効率性を図ることができる。システムでは、粒子に放射する電磁波、電極の少なくとも1つに印加する電圧、又はこれらを結合したものをパルス化することができる。パルス力を生成するには、幾つかの選択肢がある。パルス力は、平均的なエネルギー消費を低減するため更に効果的である。非制限的な例として、1mA以下において25kV以下のDC定常状態により電圧を印加した標準の非対称コンデンサの実験及びモデル化では、投入電源がパルス化(10ms以下のパルス幅において100Hz以下のタイミング)しても測定可能な力の低減がみられなかった。
別の変形例は、表面テクスチャ、孔隙率、又はそれを貫通する開口部により、1つ以上の電極の表面積を制御することである。例えば、電極の表面積は電極を貫通する開口部を設けることにより、増加させることができる。利点としては、電極間の場の内外への粒子の流れに影響を与えるのに役立つ開口部を、電極に配置することが可能であることである。
更に、追加的な粒子の供給源を設けることにより力を増加させるために、酸化物又は他の材料を使用して電極をコーティングすることも可能である。コーティングは、活性化イオンと中性粒子との衝突により行うことができ、被覆粒子がプラズマ内のほかの粒子に追加される。
非対称コンデンサは、コンデンサと結合した構成体の「エンジン」として機能することができ、又はコンデンサから生じるエネルギーの誘導機能を果たすことができる。エンジンは、有人、又は無人両方の、航空、陸上、(エンジンシステム内に粒子を入射することにより)宇宙空間、及び海上輸送手段を非限定的に含むほとんどすべての分野、及び稼働に駆動力、コンデンサから生じ誘導される一定量のエネルギーを要するほとんどすべての装置又はシステムに使用することが可能である。更に、本発明はナノサイズのものを含む小さなもの及び比較的大きなものに適用可能である。本発明の別の用途は、装置から外方向に向けられたエネルギー又はプラズマの流れを生成することである。
少なくとも一実施形態においては、非対称コンデンサはたとえあるとしてもわずかな可動部品しか有さず、駆動力を生成する一般的な回転エンジンのようにアイドリングの心配なく、自由にエンジンを切り、またかけることができる。大気及び/又は水素、ヘリウム又は大気の代わりの別の媒体などの個々の媒体を使用する本発明は、ポンプ、点火装置、流体燃料制御、コンプレッサー、タービン及びノズル制御などのわずかのアナログ要素あるいは全くアナログ要素のない固体状態になりうる「デジタル」推力システムの性質を有する。燃料電池の電気エネルギーはカソード及びアノード、固体UV及び/又はIR発光ダイオード及びレーザー、及び固体RFエミッタに切り替え可能である。推力は、全体的な輸送手段制御システムの要求と同一基準である時間軸上のゼロから始まって最大値に至るいかなる値からでも制御することができる。同等のアナログシステムでは普通、持続開始サイクルを有し、また、全体的な制御システムの要求により必要とされるよりも大幅に長い最小のアイドリング状態及び加速時間軸も有する。従って、駆動力エンジンとしての本明細書の改良された非対称コンデンサは、「デジタル」エンジンと呼ぶこともできる。
更に、システムには非対称コンデンサ2及び/又は電磁波源20、20A用の持ち運び可能な電源を含んでいてもよい。携帯可能にする1つの方法は、化学反応の電力への変換を利用することである。このような手法には、中でも、水素、パラフィン、石油及び他の燃料により供給される燃料電池、光子捕獲又は太陽電池パネル、人工的に強化された光合成、そして遺伝子組み換えした有機物が含まれる。他の手法には、太陽エネルギー、電池などの貯蔵エネルギー、制御下の融合又は分裂、及び本明細書に開示されたやり方で非対称コンデンサを利用する可動な物体に取り付けられて固定位置から電源を供給できるほかの電力供給源が含まれる。「固定位置」という用語は広く使用されており、例えば、地面、固定構造体、又は非対称コンデンサに対して異なる方向にまたは異なる速度で動作する構造体及びコンデンサと結合したすべての構造体を含む。
動作の予測、最適化及び調整は経験的に行うことができる。別のやり方として、プラズマシミュレーションを用いる。このシステムの分析に関連する問題は、高い非線形性であり、電極周囲のプラズマの時間発展により自己無撞着的に電界及び磁界の構造体が複雑になるため、プラズマの電磁流体力学的(MHD)処理が適切と見られる。このシステムのプラズマは弱くイオン化された部分的プラズマであるため、動作を予測するためには、2流体又は3流体MHD処理が使用できる。電子及びイオンの速度分布はマクスウェル分布と同様と考えられるため、プラズマの動力学的処理はこの問題にはおそらく必要ではない。しかしこの処理は、黒体、制動放射、及び不純物放射を含む放射線、及びMHD処理では予測できないプラズマ内の極小不安定性に起因するエネルギーのロスも考慮されるため、効率性、高度、及び制御の点においてより実用的な装置を設計するのに便利である。
少なくとも一実施形態においては、(UV及び/又はIRを含む)光子、およびRFエネルギーの電磁波を一定量の非対称コンデンサシステム内に放射することが可能である。電極は少なくとも部分的に銅、アルミニウム、又は他の伝導性物質であっても良い。1つ以上の多孔性の電極を使用して、全表面及びボーム電流を増加させることもできる。1つ以上の(LEDの環状アレイなどの)電磁波源は、アノードの上部、アノードとカソードの間、カソードの下部又はこれらの全ての組み合わせの位置に取り付けられ、電極間の(つまり、電極の周囲領域の少なくともいずれかにある)粒子を活性化させる。更なる電磁波源は、変動周波数を有するパルスマグネトロンを使用するRFエミッタ装置であってもよい。幾つかの実施形態においては、変動周波数を有する10kWのパルスマグネトロンが好ましい。商業的に入手可能なレーザー又はLEDアレイ及びRF装置も使用可能である。有利な点は、電磁波源を非対称コンデンサに取り付ける方法により、電磁波源がプラズマを均一に処理するのを可能としていることである。商業的に入手可能なレーザーは、高エネルギーのフェムト秒パルスの248nmレーザー線を用いて(場合により1011個/cm3の単位で)空気をイオン化し、(750nmの赤外レーザーなどの)より長い波長のレーザーもまた使用してプラズマを安定させる。安定させる、という用語はこの比較的長い波長のレーザーにより、イオンの再結合を通してプラズマ自体が中性化するのを低減あるいは防止するという意味である。しかし、電子サイクロトロン周波数とイオンサイクロトロン周波数は磁界の強度に依存し、システム内でこの強度が変動すると予測されるため、この装置から生じる周波数は、周囲のプラズマを均一に加熱するために変動する必要がある。DC電流の波形変調によりイオン化が増進される。性能調整は、変動する出力電流の電圧により高められる。
図4は、非対称のコンデンサエンジン100の一実施形態の概略図である。図に記載されている要素は単なる非限定的な例である。それらを他の要素と置換えたり、追加したり又、除去することも可能である。概して、エンジン100は、上述したようにアノード112及びカソード114を含む非対称コンデンサ110を備える。また上述したように、電磁波120、122の1つ以上の電磁波源を使用して、電極近傍の一定量の粒子に1つ以上の波長の電磁波を放射することができる。非限定的な例として、電磁波源120には、1つ以上のレーザーにより放射されるUV又はIR光の光子源が含まれていてもよい。同様に、非限定的に、電磁波源122には1つ以上のマグネトロンで照射可能なRF源が含まれていても良い。この装置から生じる周波数は、周囲のプラズマを均一に加熱するために変動することができる。これは、電子サイクロトロン周波数及びイオンサイクロトロン周波数が磁界の強度に依存し、この強度がシステムにおいて変動するためである。電源118を非対称コンデンサ110に連結し、電極の少なくとも1つに電力を供給することができる。電源118はアノード及びカソードに対しエネルギーを供給することが可能であれば、いかなる適応可能な電源であってもよい。電源118により、1つ以上の電磁波源120、122へエネルギーを供給することも可能である。あるいは、電源は個々の要素に対し電力を供給できる複数のユニットであってもよい。粒子の供給源126は非対称コンデンサと連結して、エンジンが機能する媒体内の粒子に加えてまたはこのような粒子の代わりに、粒子を供給することが可能である。例えば、供給源は粒子を供給する圧縮ガスシリンダー又は他の蓄積装置であってもよい。
図5aは、非対称コンデンサを使用しているシステムの一実施形態の断面の概略図である。エンジン100はアノード112及びカソード114を有する非対称コンデンサ110を備える。一実施形態では、アノードは、一般的により大きい表面積を持つカソードに比べ、高い多孔性の比較的薄い1つ以上の円盤、刃、金属線から作られていてもよい。非限定的に、カソード114は高い多孔性の比較的厚いアルミニウム製の円盤からできていてもよい。孔隙率レベルは、電極を含むシステムの構造的整合性の限界、及び安定性などの他の検討事項に基づいて決定される。電極表面は、更に性能を上げるために、酸化膜又は他の塗膜などの物質を塗布してもよい。
レーザーまたはLEDデバイスなどの電磁波源120は、イオン化すべき粒子に所要の波長を放射する、いかなる適切なレーザーあるいは他のデバイスであってもよい。上記の粒子に放射される波長の非限定的な例としては、UV及びIR範囲内の波長であり、例えば、酸素は1024nm以下であり、窒素は798nm以下である。RF加熱デバイスなどの電磁波源122もまた、上述したように使用可能である。
更に、1つ以上の反射体124が、イオン化される領域内又はその周囲に位置していてもよい。反射体は、より均一に分子を光イオン化しプラズマを加熱することにより、そしてコンデンサの領域から消散してしまうエネルギーの向きを変えることにより、レーザーデバイス及び/又はRF加熱デバイスの効率を上げることができる。一般に、1つ以上の支持部材116a、116b、116c、116dによりアノード、カソード、反射体、又はこれらの組み合わせの全てを、エンジンケース128などのほかの周囲の構造体に結合しているほかの支持部材を通して、直接又は間接的に支持することができる。エンジン100は更に、下記のより大きい構造体に結合することも可能である。結合を容易にするために、1つ以上のエンジン支持部材106を使用することができる。
電源118によりアノード112、カソード114、(レーザーまたはLEDなどの)電磁波源120、(RF源などの)電磁波源122又はこれらの組み合わせ全てに電力を供給することができる。粒子供給源126は直接又は間接的に非対称コンデンサ110に結合し、これにより、(空間内等の)補足又は主要粒子をコンデンサに供給することができる。1つ以上の注入ノズル126A及び/又は126Bは粒子供給源126からの粒子を電極間の収容口又は体積に向けて、均一及び制御下の粒子注入を行うことができる。エネルギー導管102を固定位置104から設けることができる。あるいは電源118を、内蔵式の、調整又は再充てんを行う前の少なくともしばらくの間固定位置に依存しない携帯可能な電源とすることができる。
図5Bは、図5Aに示す実施形態の概略上面図である。少なくとも一実施形態においては、エンジン100のアノード112及び/又はカソード114には、特定の電極の出口表面積又は開口部を有する電極を増加させるために、1つ以上の開口部136を含むことができる。開口部はパターンに従って配置して、渦輪又は他のパターンを生成し、コンデンサの効率と結果的な力を高めることもできる。開口部136により、電極からアノード、カソードまたはその両方の間の領域まで、空気、又はカソード又はアノードが機能するほかの媒体が通り抜けることが可能となる。増加した表面積により、エンジン100の効率を更に上げることができる。
図6は、一実施形態の出力バジェットの概略図である。上記で参照した電源118は、第1電源部130を介して非対称コンデンサ、具体的には上記で参照したアノード及びカソードに電力を供給するのに使用することができる。非限定的な一実施例のワット量の範囲は約200ワット(W)かそれ以上であるが、上記値は特定の用途向けの性能を最適化するために、適切に見積ることが可能である。第2電源部132は上述したレーザーデバイス又はLEDアレイに電力を供給するために使用することができる。同様に、電力の典型的な範囲は約300W以上である。第3電源部134は、上述のRF加熱デバイスに電源を供給するために使用することができる。この実施形態における典型的な電力範囲は約1500W以上にもなる。電源部は単一の電源あるいは複数の電源から形成されていてもよい。当然ながら、他の実施形態では出力バジェットが異なる可能性があり、この実施形態は単なる例示にすぎない。
本開示によれば、構造体は非対称コンデンサに結合し、非対称コンデンサから発生する駆動力により構造体が推力を得ることができる。構造体は、本明細書に広く用いられている「ペイロード」である、装置、一人以上の人間もしくは他の生命有機体、又は他の関連する要素を支持する。
図7Aは、無人機(UAV)の一実施形態の概略透視図である。図7Bは、図7Aの実施形態の概略上面図である。図7Cは、図7Aの実施形態の概略側面図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。UAV150は1つ以上の非対称コンデンサエンジン100に結合するフレーム152を含む。各エンジンは、アノード、カソード、及び1つ以上の(レーザーなどの)光子エミッタデバイス及び加熱デバイス又はこれらの組み合わせなどの1つ以上の電磁波源を有する、上述したエンジン形状であってもよい。UAVはまた、UAVの制御に適した種々の電子機器154も含む。少なくとも一実施形態においては、基底準位又は他の固定位置104などにおけるリモート電源に結合可能なエネルギー導管102を介してUAVにエネルギーを供給することができる。いくつかの実施形態においては、電源118がUAV自体に設けられている。UAVはまた、処理及び表示のためにイメージ、電磁気及びデータ収集機能を収納するセンサ156、103も備える。
UAV150には、より多くの又はより少ないエンジンが使用可能であるが、エンジンが3つ含まれていることが、有利な点である。これら3つのエンジンは、UAVの上下動、ロール、及び可能であればヨー運動などの平面制御の補助の役割を持つ。
UAV及びエンジン100を動力源とした他の輸送手段の有利な点は、比較的静音であることと、電磁気及び/レーダー断面積である。この特性は特に、特定の媒体及び技術に有用である。
必然的に、他の実施形態には、有人の航空又は陸上ホバー輸送手段、及び誘導輸送手段だけでなく、陸上、海上又は海中、又は空中、宇宙における他の多くの輸送手段も含まれる。本発明により、通常推進力生成のために使用される、一般的な駆動力システムが作製される。本発明により、装置から外方向に向かうエネルギー又はプラズマの流れもまた生成される。一実施形態においては、エンジンは可動部品を有さないため、取得及びメンテナンス費用を含む所有の全体費用を低減することができる。
少なくとも一実施形態においては、典型的な設計特性は可変及び広範囲であり、すなわち可変速度及び高速性能、静音、電磁及びRCS断面積、約120〜160+ VDC又はVAC、1.6〜16+ A、〜2+ kWの範囲の可変パルス電源、及び腐食によるノードの多少の軽いメンテナンスを含むわずかな可変部品に起因する低メンテナンスを含む。
図8Aは、有人航空輸送手段(MAV)170の一実施形態の概略透視図である。図8Bは、図8Aの実施形態の概略正面図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。MAVはまた、陸上ホバー輸送手段として使用することもできる。MAV170は通常、フレーム172、サブフレーム174、及びこれらに接続し、適切な制御下にある1つ以上のエンジン100を含む。フレーム172は通常1人以上の乗員向けの形状及び寸法を有する。人間工学的に可変であり、少なくとも一実施形態においては、航空機の座席と共通点がある。サブフレーム174は構造要素で形成され、フレーム172に結合している。サブフレーム174は、MAV170に結合した1つ以上のエンジン100を支持することができる。エンジンは、フレーム172の下又は上、又はその間の高さなど様々な高さに取り付け可能である。幾つかの実施形態においては、より高くすることによって、ペイロードの重心がより低くなり、より高い安定性を得ることができる。
エンジンの数は変化するが、複数のエンジン100によりMAV170の位置制御を行うことができ、有利である。少なくとも一実施形態においては、エンジン100は1つ以上の軸においてサブフレーム174に対し傾くことができ、これにより大きさ及び方向を有する様々な推力ベクトルが生成される。このような傾きは自動又は手動であってもよい。
位置制御は自動、手動、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。例えば、「ジョイスティック」などのコントローラ176により、ピッチ及びロール運動などの平面制御を行うことができる。コントローラ178により、ヨーの制御を行うことができ、コントローラ178はMAV170では操作者の足により作動する。コントローラには、必要な電子部品、ケーブル線、制御線、及び同業者に既知の他の部品が含まれる。更にMAV170には1つ以上のエンジン100への電力を制御する、電力コントローラ180が含まれていてもよい。更に、ジャイロスコープまたは他の安定性制御システムを使用して、MAV170の制御を増大させても良い。
ある実施形態においては、MAV170にはリカバリシュート182が含まれていても良い。リカバリシュートは、非常事態にMAVに乗っている1人又は複数の乗員の安全のために適用することができる。
図9Aは、非対称のコンデンサエンジンを使用する本発明の別の実施形態の概略上面図である。図9Bは、図9Aに示す実施形態の概略側面図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。システムには、様々な不規則な形状だけでなく円形、楕円形、四角形、三角形などの幾何学的形状を含む複数の形状を有することができる輸送手段148が更に含まれていてもよい。輸送手段148には情報伝達システム158及びペイロード160を含んでいてもよい。ペイロード160は、輸送手段の目的によって変わる可能性がある。例えば、偵察輸送手段にはペイロードの一部として様々なセンサを含んでいる可能性がある。ペイロード160は、移動中または使用中に異なる作業のために、更に縮小可能であってもよい。
下の図の参照及び更なる説明のために、縦軸162が輸送手段148の外端にわたって規定されている。図9A、9Bに示すような丸型で左右対称の輸送手段においては、縦軸が直径全体にわたっている。本体の垂直軸164は、縦軸162に対し比較的垂直な経路で、輸送手段148全体にわたり画定されている。通常本体の垂直軸は、輸送手段、特に左右対称の輸送手段の中央部を通って延びている。丸い本体は定義的に、本体の垂直軸から本体の周囲にいかなる向きで描かれていてもよい単一の直径を有し、丸形の輸送手段は理論上無限数の縦軸を有する。空中で飛行可能な、図9A、9Bに示す例示の実施形態においては、必然的に例えばピッチ、ロール、ヨー運動などの輸送手段の向きにより配置が変わるが、本体の垂直軸は概して地球の垂直軸に配向することができる。更に放射軸166は、例えば本体の垂直軸などの、軸の周りの輸送手段本体の円周線として定義でき、軸に対する輸送手段の角度方向又はその一部を表示するのに使用される。更に、放射軸は、地面などの固定された基準面に対する輸送手段の基準点の角度方向を表示するのに使用できる。ある飛行線に対する角度方向の場合、角度方向は空気力学的な用語では「ヨー」として知られる。角度方向は度(degrees)又はラジアン(radians)で表すことができる。
本明細書においては細長い輸送手段に関しても、同様の用語を使用する。上記輸送手段においては、縦軸164は通常、先端部及び後尾部の間などの主軸である。横軸は例えば幅方向等における短軸である。本体の垂直軸は通常、縦軸及び横軸の間の交差点にある。放射軸は通常、例えば縦軸、横軸又は本体の垂直軸などの、基準軸に対して輸送手段の外側周囲を囲む円である。特定の基準軸に対する所定の角度方向において、放射面は基準軸又は軸の組み合わせに対し直角であり、ここで直角は、1つ又は複数の基準軸に対する直角に関するまたはこれらによって成ると定義され、これにより放射面に作用する力の成分を有する力が、1つ又は複数の基準軸に対して半径方向に作用する。
非対称コンデンサエンジン100は、輸送手段148と結合可能である。幾つかの実施形態においては、エンジン100を輸送手段の周囲近傍に設けることができる。エンジンは輸送手段周囲においてほぼ連続的に延び、又は輸送手段周囲において幾つかの部分に分割されて、又は輸送手段のより中央である別の位置に設置することも可能である。エンジン及びエンジン部品の位置は、特定の設計に適合できるように様々な部位に設置可能である。1つ以上のコントローラを使用して、輸送手段を操縦することができ、輸送手段は自動、手動、又は遠隔操作が可能である。輸送手段周囲のエンジン位置は、輸送手段の形状、輸送手段の性能、及びエンジンからの様々な推力要素により変動する可能性があるが、輸送手段周囲に設けられたエンジンにより、急速な動作に対しより高い制御が実現する。エンジン100には1つ以上のアノードと1つ以上のカソードと共に1つ以上のEMR源が含まれていてもよい。少なくとも一実施形態においては、下に説明するように、エンジン100には、選択的に電圧を印加して放射軸及び垂直軸に対応する推力変向成分を生成できる、一連のアノード、カソード、EMR源、又はこれらの組み合わせが含まれていてもよい。
エンジンから発生する力には、各エンジンの種々の(通常「x−y−z軸」と呼ばれる)直角方向の力成分、及び一般に輸送手段の合力が含まれる。非限定的な例示目的のために、図9aに示すエンジンは輸送手段の周りに設けられ、複数の力及び力の成分は本体の垂直軸164を基準として示されている。しかし、当然ながら、力が他の軸を基準として作用し、示されることが可能であることは、この開示の教示を受けた同業者には承知のことであり、従って、これは垂直軸に制限されるものではない。
上述したように輸送手段の形状は変動可能であるが、少なくとも一実施形態においては、レンズ形状を用い、輸送手段を先細の外周を有する円形状としている。非対称エンジン100は、円形の外周周囲に設けることができ、ペイロードを運ぶために中央部分の断面積がより大きくなっている。レンズ形状の輸送手段により、エンジンのアノード/カソード/EMR源の様々な組み合わせを作動させて特有の針路安定性が得られる。輸送手段148は、地面又は他の面から発射させることが可能である。特に、ヘリコプター又は例えば偵察機、有料貨物の配達、復興援助、又は他の目的を含む種々の働きのための航空機などの、回転航空機から発射させることが可能である。少なくとも一実施態様においては、空中発射の概念が「フリスビーを投げる」ことと同様の概念に基づくことにより、輸送手段が、対抗する乱気流に遭う可能性のある飛行中の航空機から飛び出す時に、輸送手段に安定性及び速度を与えることができる。回転する輸送手段においては、エンジンが応答し飛行目的のために輸送手段を安定させるため、乱気流を抜けるのに要する時間内は、ジャイロ慣性の安定性を得ることができる。レンズ形状の輸送手段が有する更なる利点は、針路を変えるのに横傾斜の必要がないことと、高度を変えるのにピッチを変える必要がないことである。輸送手段は単純に、非対称コンデンサエンジン100の様々な部分に電圧をかけることによって、旋回、上昇、又は下降する。輸送手段はまた、追跡のためのレーダー、熱、及び可視により観測可能な低シグネチャを有することもできる。輸送手段は突風状態、又は対抗する乱気流においても、それに応じて非対称コンデンサエンジン100の異なる部分に電圧を印加してピッチ及びヨー運動を監視することによって、更に安定させることができる。更に輸送手段には、図13及び14を参照して説明される複数の双方向カソード構成が含まれていても良く、複数の双方向カソード構成のみ、あるいは図10に示す単一のカソード配列と組み合わされる。複数の双方向カソード構成により、追加的な正及び負のピッチ・コントロールを得ることが可能である。さらにまた、図12A、12Bに示すように、本体の垂直軸と相対的な放射面に対しある角度をなしている非対称コンデンサエンジンの1つ以上の部分に電圧を印加し、半径方向の力成分を有する角度δにおける推力ベクトルを生成することにより、輸送手段自体が、本体の垂直軸の周りにジャイロ慣性の回転を生み出すことが可能である。例えば、ジャイロ慣性は、乱気流を発生させる航空機による回復作業の間、輸送手段を安定させるのに有利である。輸送手段148の動作を更に改善するために、様々な動きのセンサを含んでいてもよい。センサにより密閉空間における誘導が可能となる。例えば、三次元におけるエコーロケーション及び視覚的、空間的追跡機能をオートパイロットに付与することにより、輸送手段が標準外の区域に入って、操作することが可能となる。標準外区域には、廊下、階段、部屋、壁、シャフト、洞窟、及び他の密閉区域が含まれる。
図10は、図9Aに示す実施形態の部分的な概略断面図である。輸送手段148は、1つ以上の非対称コンデンサと1つ以上の非対称コンデンサを対象とした1つ以上のEMR源を含む非対称コンデンサエンジン100に結合させることができる。非対称コンデンサ110には、例えば1つ以上のアノード112及び1つ以上のカソード114などの、異なる表面積を有する複数の電極が含まれる。非対称コンデンサ110は垂直軸164に対し角度γをなして取り付けることができる。上述したように、非対称コンデンサ110を囲むガウス線の配置により、図11A及び11Bを参照しより詳細に示すように、通常は表面積の中央の間の軸142に沿って配向する、角度γのベクトル合力を生じる。
図10aは、図10における、本体の垂直軸が通常地球の垂直軸に配向している輸送手段の概略図である。図10bは、図10における、本体の垂直軸が地球の垂直軸に対し、ある角度をなしている輸送手段の概略図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。図10に示す本体の垂直軸164に相対的な推力ベクトルの角度γにより、輸送手段の動きおよびピッチ、ロール、及び/又はヨー運動において、輸送手段固有の安定性がもたらされる。図10aにおいて、輸送手段本体の垂直軸164は地球の垂直軸144に配向している、つまり図10bに示す角度σはほぼゼロである。例示の推力ベクトル140a、140cは、本体の垂直軸及び地球の垂直軸との間の配置により、本体の垂直軸164及び地球の垂直軸144に対し角度γをなしている。推力ベクトル140a、140cは、本体の垂直軸及び地球の垂直軸に対し同等の力成分を有する。
移動または突風に対する応答により、本体の垂直軸164は地球の垂直軸144から図10bに示すように角度σにそれ、これにより推力ベクトル140aは、本体の垂直軸164に対する角度γを維持しながら、転置された地球の垂直軸144’に対し角度(γ−σ)に傾く。地球の垂直軸に配向する力成分は、最初の角度γと比べ、より小さい傾斜角(γ−σ)においてより大きく、地球の垂直軸の方向により大きな力が生じる。一方、推力ベクトル140cは、本体の垂直軸164に対する角度γを維持しながら、転置された地球の垂直軸144”に対し角度(γ+σ)に傾く。地球の垂直軸に配向する力成分は、最初の角度γと比べ、より大きい傾斜角(γ+σ)においてより小さく、地球の垂直軸の方向に縮小された力が生じる。推力ベクトル140a、140cの相対的な力成分により、本体の垂直軸164の復元力が生成され、地球の垂直軸144と一致するようになる。
非対称エンジンはアノード及びカソードを有する一対の非対称の電極、又は複数のアノード及び/又はカソードであってもよい。エンジンには、EMRエネルギーを供給して電極周囲におけるプラズマ環境の生成を促進するため、さらに1つ以上のEMR源が含むことができる。有利な点としては、エンジンの様々な部分に電圧が印加され、これにより異なる位置において直交方向に異なる力が生成されることである。例えば、1つ以上の電極に電圧を印加して、これらの部分にEMRエネルギーを放射することにより電極の一部から生じる力を増大させることができる。この操作モードは、1つ以上の電極が比較的EMR源よりも大きく、非対称コンデンサの一部にEMRを集中的に放射することが可能な場合に特に有用である。少なくとも一実施例においては、輸送手段148には輸送手段の周囲又は幾つかの部分を囲むアノード及びカソードが含まれていてもよく、EMR源はアノード/カソードの組み合わせ向けに個々のEMR源に分離されていてもよく、これにより輸送手段の様々な部位に力を供給する。同様に、エンジンには、輸送手段の様々な部位における複数のアノード/カソードの組み合わせが含まれていてもよく、これにより特定の組み合わせに電圧を印加し、EMR源から放射を行うことにより、様々な部位に力を供給する。
本明細書の記載によれば、電源118により非対称コンデンサに電圧を印加することができる。少なくとも一実施形態においては、電源には例えばニッケルカドミウム電池、ハロゲン化ニッケル電池、電池、及び他の携帯可能なエネルギー源などのバッテリ源が含まれる。また本明細書に記載したように、1つ以上のEMR源120、122を使用して非対称コンデンサ110と関連してプラズマ環境を生成することができる。更に、エンジン100には1つ以上の非対称コンデンサと関連して、独立して作用可能な個々のEMR源として、エンジン100の周囲に設けられる並列または直列型のEMR源120、122が含まれていてもよい。実施形態においては1つ以上のEMR源120、122を、図9aに示すように非対称コンデンサ110の内外に、放射軸166に沿って放射状に設けることができる。少なくとも操作の1モードにおいて、EMRパルス幅の変動、すなわちパルス幅調整を行うことによってEMR源から非対称コンデンサに放射されるEMRを変動させることができ、これにより非対称コンデンサ110、エンジン100全体を通して生成される力の大きさを制御することができる。別のモードでは、電極に印加される電圧を変動することができ、そしてさらに、EMRのパルス幅及び電圧を組み合わせて変動させることができる。EMRパルス幅の調節により、単に電極に印加される電圧を変動させることに比べ非対称電極からの力の生成率及び倍率が大幅に増大する。
図11Aは、図10に示す実施形態の、本体の垂直軸164から図9aにおいて記号で示す輸送手段の幾つかの部分などの輸送手段の周囲に向けて見た部分的な概略断面図である。図11Aに1つ以上のアノード、カソード、及び/又はEMR源を示す。分かりやすくするために、図11A〜図11Bについての説明、それから次に図12A〜図12Bについての説明は、二次元上で行う。しかし、当然ながら力が3つの直交軸を基準として作用し、説明可能であることは、この開示の教示を受けた同業者には承知のことであり、従って、これは2つの軸に制限されるものではない。
非対称エンジン100の一実施形態においては、1つ以上のアノード、カソード及びEMR源のアレイは、図9A、9B、10に示す輸送手段148の周りに配置可能である。部品の数、空間的配置、及び位置は変動可能であり、図示した実施形態は、1つ以上のアノード、カソード、EMR源、又はそれらの組み合わせを使用する構想であり、これにより推進ベクトルの大きさと向きを制御し、輸送手段148を推進させる。非対称エンジン100は通常、少なくとも1つのアソード及び少なくとも2つのカソードを有し、カソードはアノードに対し互いにある角度をなしている。アノード及びカソードは、非対称エンジンの異なる非対称コンデンサ内に設置することも可能であり、複数のアノード及び/又はカソードを有する非対称コンデンサ内に設置されていてもよい。
少なくとも一実施形態においては、1つ以上のアノード112A、B、Cに選択的に電圧を印加することができる。同様に、1つ以上のカソード114A、Bに選択的に電圧を印加することができ、1つ以上のEMR源122A、122Bも同様である。1つ以上の様々なアノード、カソード、及び/又はEMR源に電圧を印加することによって、非対称エンジン100から生じる推力ベクトルの大きさ、向き、またはその両方を変動させることができる。
更に、1つ以上のアノード、カソード、及びEMR源は、異なる位置において互い違いになっていてもよく、これにより選択的に作動させることで、推力ベクトルにばらつきが生じる。図11Aに示す図では、非対称コンデンサ及び非対称コンデンサと結合するEMR源、またはこれらの一部分に選択的に電圧を印加することにより、推力ベクトル140が本体の垂直軸164にほぼ配向して発生する。図11Aに示す上方向の推力ベクトル140は、エンジンと結合する輸送手段148のつり上げ力に対応する。最大推力を出すには、アノード、カソード、及びEMR源全体に電圧を印加する。推力を絞るため、そして種々の制御された指向性推力を生じさせるために、1つ以上のアノード、カソード、及び/又はEMR源の1つ以上の組み合わせに電圧を印加することができる。例えば、アノード112A、B、Cには、カソード114A、114Bと関連させながら、電圧を印加することができる。一方、アノード112M、カソード114M、及びEMR源122Bには電圧が印加されない(つまり中性である)。アノード、カソード、及び/又はEMR源に電圧を印加する位置により、輸送手段148の性能が、そのピッチ、ヨー、ロール、加速、減速、及び一定速度において影響を受ける。少なくとも一実施形態においては、1つ以上のアノード、カソード、及び/又はEMR源の組み合わせの一部分、または「領域」を、輸送手段148の外周周囲において約3°の円弧度で分離することが可能である。当然ながら、他の組み合わせ及び領域サイズも作製可能である。
同様に、非対称コンデンサが、種々のEMR源により非対称コンデンサの異なる部分にプラズマが生成されるように構成されている場合、非対称コンデンサには通常電圧が印加され、それから選択的に電圧が印加された種々のEMR源が放射され、非対称コンデンサの一部分により生成される推力ベクトル及び非対称コンデンサ全体から生じる力を制御する。上記の一実施形態においては、輸送手段148の外周のほぼ全体を囲む非対称コンデンサを含む。あるいは1つ以上の非対称コンデンサが、非対称コンデンサエンジン全体のかなりの部分、例えば3分の1あるいは4分の1に分離させることも含めて、外周の15%以上を占めていてもよい。小さいEMR源は、非対称コンデンサの一部分に集中させることができる。非対称コンデンサには、外周を含めて電圧を印加することが可能であり、EMR源により、非対称コンデンサに電圧をかけながら、非対称コンデンサの特定部分又はその一部分により生成された力を制御することが可能となる。
図11Bは、図11Aに示す推力ベクトルの力成分を示す概略図である。推力成分は通常、非対称コンデンサの電極の表面積の中央を通る線の方角又は方向に向いている。例えば、図10においては、アノード及びカソードは垂直軸164に対し角度γをなして配置されている。よって図11Bに示すように、推力ベクトル140は通常垂直軸に対し角度γをなしているが、非対称エンジン及び電圧を印加したアノード及び/又はカソードの配置により、それ自体が本体の垂直軸に配向している平面168に通常配向している。推力ベクトルは、同業者にも既知のように概念的に複数の力成分に分けることができ、これにより、通常本体の垂直軸164に配向した第1力成分165及び通常第1力成分に対し垂直である平面168の第2力成分167が得られる。力成分の大きさは、推力ベクトル140の大きさ及び角度γに従って変動する。
図11Bに示す角度γの推力ベクトルは、アノード/カソードの物理的な配置を変えることにより変化させることができる。特定の非対称コンデンサ又はその一部分の位置及び所望の推力ベクトルの方角に従って、輸送手段の異なる部分に異なる角度を適用することができる。非限定的な例を挙げると、より中央に設けられた非対称コンデンサはより小さい角度γに配向させることができ、輸送手段周囲に向けて設けられた他の非対称コンデンサまたはその一部分はより大きい角度γに配向させることができる。当然、非対称コンデンサ及びその一部分を例えば縦軸又は横軸、またはこの組み合わせなどの他の軸に配向させるなど、他のバリエーションも可能である。
図12Aは、図11Aに示す非対称エンジンの部分的な概略断面図であり、推力ベクトルの方向変化を示す。図12Bは、図12Aの推力ベクトルの力成分を示す概略図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。この概略図により、図11Aに示し説明したような種々のアノード、カソード、及び/又はEMR源に電圧を印加することによりどのように推力ベクトルを変動させることができるかを示す。図12Aでは、上記の図11Aにおいて説明したように、アノード112A、B、Cに電圧を印加する。しかしながら、更なるカソードに電圧を印加して、114A、B、C、Dを含めてもよい。これは、電圧を印加された部品の幾何学的な転換により、例えば図1に示すようなガウス線における電子及び粒子の指向性の流れに変化を起こさせて、図12Bの推力ベクトル140を、図11Bに示す推力ベクトル140とは異なった、平面168に相対的な角度δに配向させることが可能だからである。言い換えると、図11Bの推力ベクトル140はゼロ角度δを有する。これは、推力ベクトル140が図12Bにおいて平面168内及び非ゼロ角度δにあり、平面168に直交する放射状成分を有するためである。
推力ベクトルから生じる種々の力成分を、図12Bにおいて推力ベクトルの非限定的な例として図示する。参照のために力成分は、本体の垂直軸に関連して説明されているが、当然ながら他の軸も必要に応じ参照することができる。推力ベクトル140は、本体の垂直軸164に配向する力成分165と本体の垂直軸に垂直、つまり半径方向の力成分169を有する。図11Bを手短に参照すると、別の力成分167は平面168に配向している。従って拡大解釈すれば、図12Bの力成分169は平面168に直交する半径方向に向いている。種々の力及びその成分は、輸送手段の平行及び/又は回転移動を制御するように配向させることができる。
より少数又はより多数のアノード及び/又は電極を含む、電圧が印加される他の組み合わせも作製可能である。同様に、電圧を印加するアノード/カソードの組み合わせに関連して種々のEMR源に電圧をかけることによって、プラズマ環境、よって推力の大きさと方向に影響を与えることが可能である。
図13は、多方向の推力性能を有する非対称コンデンサエンジンの別の実施形態の概略図である。少なくとも一実施形態においては、例えば逆推力の性能などの多方向の性能は、第1カソードの末端に追加的なカソードを有する、アノード/カソードを補うことにより、得ることができる。例えばアノード112を、カソード114、114’の間又はカソードに対しある角度をなして設けることが可能である。言い換えれば、アノードとカソードの内の一つのカソードとの間の線を利用して、その線に対しある角度をなす他のカソードを設けることができ、これによりカソードがアノードに対し互いにある角度をなして設けられる。角度θは少なくとも二次元上では、0°よりも大きく、360°よりも小さい。電源118によりアノード/カソード配列の組み合わせの全てあるいはその幾つかに電力を供給することができ、電源自体に各アノード/カソードへの入力を変動させるための従属部品を含むこともできる。上述したように、非対称エンジン100により生成される力は、アノード112及びカソード114の間にEMR源120A、122Aを設けることにより強化することができる。同様にプラズマ環境は、アノード112及びカソード114’の間に1つ以上のEMR源120B、122Bを用いることにより、生成及び/又は強化することができる。幾つかの実施形態においては、図13に示すアノード/カソードの組み合わせの周囲のプラズマ環境に電圧を加えるために、EMR源122A、122Bと同様、EMR源120A、120Bを結合させて単一のユニットにすることができる。更なる実施例として、アノード112/カソード114’の組み合わせに対する入力エネルギーは、アノード112/カソード114の組み合わせに対する入力エネルギーと関連して、変動可能である。例えば、例示的な操作方法によれば、アノード112/カソード114’の組み合わせよりも、アノード112/カソード114の組み合わせにより多くのエネルギーを供給するほうが、有利である。生成された力を増幅させるために、1つ以上のEMR源120A、122Aを、アノード112/カソード114の組み合わせに更に配向させることが可能である。
他のカソードをアノードに結合させて、様々なアノード/カソードの組み合わせによって生成された推力ベクトルを更に変動させることができ、1つのアノードに結合した2つのカソードの例示の実施形態は、種々の部品を必ずしも物理的に移動させることなく、非対称コンデンサエンジンから異なる推力ベクトルを生じさせることができるという概念を単に説明するためのものに過ぎない。異なるアノード/カソードの組み合わせから生じる様々な推力ベクトルは概して、種々の部品を物理的に移動させるよりもより迅速に反応し、推力方向に同様の変化を生じさせることができると考えられる。
図14は、図13に示す多方向の推力性能を持つ非対称エンジン100を有する輸送手段の部分的な概略断面図である。非対称コンデンサ110には、アノード112と共にカソード114、114’が含まれていてよい。図10において示すのと同様に、1つ以上のEMR源120、122を設けることにより、非対称エンジン100により生成された推力を強化することができる。電源118により、エンジンに電力が供給される。推力140の大きさ及び方向は、アノード112とカソード114の組み合わせ、又はアノード112とカソード114’の組み合わせのどちらに電圧を印加するか、及び様々なEMR源120、122によって、変動させることができる。アノード112/カソード114の組み合わせに電圧を印加する場合、推力ベクトルは通常、上方向である。アノード112/カソード114’の組み合わせに電圧を印加する場合、推力ベクトルは図示するように、異なる方向、つまり通常下方向に転換する。どちらか一方の推力ベクトルの大きさは、どちらか一方の組み合わせへの入力量により変動させることができる。更に少なくとも一実施形態においては、非対称コンデンサ110の取り付け角度により、例えば図10、14に示すように角度γ、又は図12A、12Bに示すように角度δ、又はこれらの組み合わせに応じて、推力の動径成分を変えることができる。
図15Aは、輸送手段を動かすための様々な推力位置を示す輸送手段の一実施形態の概略上面図である。図15Bは、加速のための図15Aに示す輸送手段の様々な推力ベクトルを図示する概略図である。図15Cは、一定速度のための図15Aに示す輸送手段の様々な推力ベクトルを図示する概略図である。図15Dは、減速のための図15Aに示す輸送手段の様々な推力ベクトルを図示する概略図である。これらの図を互いに関連させながら説明する。これらの図は、輸送手段148の様々な作動モードを示す。図15Aに示す非対称コンデンサ(又はこれらの一部分)110A〜Dは、推力ベクトルの生成に使用される非対称コンデンサ、又は電圧を印加及び/又はEMR源から照射して、推力ベクトルを生じさせる1つ以上の非対称コンデンサの一部分の様々な例示位置のみを示す。
一作動モードとして、一定条件下で要するよりもより大きな推力を右方向に加えることによって、図に示すように、輸送手段を右方向に加速させることができる。非限定的な例示目的のために、上記で参照したように、角度γをなして設けられた非対称コンデンサ(又はその一部分)110Aに関連する1つ以上のアノード、カソード、及び/又はEMR源に電圧を印加することにより、推力ベクトル140Aが形成される。従って、推力ベクトル140Aは、輸送手段の左側から輸送手段本体の垂直軸に向かって見て、例えば図11Bの平面168上のように、本体の垂直軸164に配向する。
例えば非対称コンデンサ(又はその一部分)110B、110Dなどの移動方向に対しある角度をなす、他のアノード/カソード/EMR源の組み合わせに電圧を印加することもできる。非対称コンデンサ110Bにおいて推力ベクトル140Bを生成するには、1つ以上のアノード、カソード、及び/又はEMR源に電圧を印加して、図12A、12Bに示しこれを参照して説明したような、角度δをなす傾斜推力を生成することができる。更に推力ベクトルは必要に応じて、最初に角度δに配向された輸送手段のその部分の非対称コンデンサにより、上述した角度δにおいて作用することが可能である。
推力ベクトル140A、140Bにより通常、図15Bの概略図で見られるように、輸送手段148の左側に上方向のピッチ運動を生成するつり上げ力もまた発生する。輸送手段の上方向のピッチ運動を弱めるには、非対称コンデンサ110Cに電圧を印加して、ピッチ運動を相殺する推力ベクトル140Cを生成し、必要に応じてピッチ運動を変化させることができる。推力ベクトル140Cは、輸送手段の右側から見て本体の垂直軸164と相対的に、例えば図11Aに示す平面168などの各平面に配向していてもよい。推力ベクトル140Cは右側から見ると、図11Aに示す推力ベクトル140と同様のものになり得る。
推力ベクトルの大きさ、及び/又は方向を変えることにより、輸送手段にスピン運動を起こさせることもできる。このようなスピン運動を時々使用することによって、ジャイロ慣性の安定性を得ることができる。
輸送手段の力がより一定である一定速度を得るために、推力ベクトルの大きさ及び方向を図15Cに示すように変動させることが可能である。例えば、推力ベクトル140Bを本体の垂直軸164と相対的に各平面に配向させ、互いに反対の力成分を有する推力ベクトル140A及び140Cをそれぞれの各平面における垂直軸164に配向させることにより、垂直軸164に向かって見た相対的な周辺位置からの様々な推力ベクトルが、図11A、11Bに示す推力ベクトル140のように見える。各推力ベクトルの大きさを変動させて、例えば、浮遊、垂直上昇又は下降、又は特定の方向において一定の横速度を維持させることが可能である。
減速モードにおいて推力ベクトルは、一定の条件下においてよりも、移動方向に対しより大きな推力を働かせることができ、輸送手段の「ブレーキ」として作用する。例えば、推力ベクトル140Cをその平面上の本体平常軸164に配向させることは常に可能であるが、特定の用途においては、例えば図15B、15Cでの推力ベクトルの大きさよりもさらに大きくすることもできる。更に、推力ベクトル140Bは、例えば図12Bに示すように、それぞれの平面に対し角度δをなして生成されることもできる。ピッチ運動を制御するには、推力ベクトル140B、140Cの力成分とは逆の力成分を有する推力ベクトル140Aを使用することも可能である。
本発明の様々な基本原則を本明細書において説明した。開示された様々な手法及び装置は、本願の教示によりプラズマ物理における同業者が容易に理解する事柄の一部を示すものである。これらの実施の詳細は、同業者によって追加可能である。添付の図には本明細書に具体的に説明されていない追加的な情報が含まれている可能性があるが、このような情報は、新しい素材を追加することなしに、後願において説明する可能性がある。加えて、全ての要素又は適用の様々な組み合わせ及び順列は、作製及び表示可能である。これらすべては特定の用途において性能を最適化するために実施可能である。
「結合した」、「結合している」という用語及び類似の用語は、本明細書に広く活用され、これには、例えば、機械的に、磁気的に、電気的に、化学的に、直接又は中間要素を含んで間接的に、1つ以上の部材の部分品を一緒に、固定、結合、接着、締め付け、取り付け、連結、内側に挿入、上又は下に形成、通流、又は別のやり方で関連させる全ての方法又は装置が含まれ、更に1つの機能的部材を別のものと一体的に形成することも含まれる。
本明細書に説明されている様々なステップを他のステップと組み合わせることも可能であり、具体的に制限されていない限り、様々な順序で行うことができ、様々なステップを記載されているステップの行間に書き込むことができ、記載されたステップを複数のステップに分割することも可能である。文脈上の要件がない限り、「含む(備える)」という用語又は「含んでいる(備えている)」といった用語のバリエーションは、当然ながら、少なくとも記載された要素又はステップ又は要素群、複数のステップ、又はこれと同等のものを含むことを意味し、その他全ての要素又はステップ又は要素群又は複数のステップ、又はこれと同等のものを除外することを意味しない。
更に、本願と共に提出される全ての参照リストに記載される参考文献ばかりでなく、本願において参照された全ての文献は、参照することにより本願に組み込まれるものである。しかし、本発明の特許化に際し一貫性がないと考えられる記述に関しては、出願者により記載されたものと明示的に考慮されることはない。
また、「先端部」、「底部」、「左側」、「右側」、「上方向」、「下方向」などの全ての方角及び他の方角及び方向は、図の参照を明確にするために本明細書に記載されているものであり、実際の装置又はシステム、又は装置又はシステムの使用に制限を課するものではない。装置又はシステムは、多数の方角及び方向において使用できるものである。
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2.Stein,William B.、「動電学的推進力:イオン風理論」Purdue大学、エネルギー変換研究所、2000年9月5日
3.Bahder,Thomas B.及びBazi,Chris、「非対称コンデンサに作用する力」陸軍省研究所、2002年9月27日
4.Bahder,Thomas B.及びBazi,Chris、「非対称コンデンサに作用する力」陸軍省研究所、2003年3月
5.Bilen,Sven,G.,Dmonkos,Mathew T.,及びGallimore,Alec D.,「空洞のカソードアセンブリの遠距離プラズマ環境」ミシガン大学、AIAA会議、1999年6月
6.Canning,Francis X,Melcher,Cory及びWinet,Edwin著「推進力のための非対称コンデンサ」NASAグレンリサーチセンター(NASA/CR−2004−213312)、科学調査研究所、2004年10月
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Claims (27)
- 非対称のコンデンサエンジンにより力を供給する方法であって、
a.異なる表面積を有し、ある距離だけ離れている少なくとも3つの電極を有する非対称のコンデンサエンジンに近接する、媒体内の粒子に電磁波を放射し、
b.該電極の内の少なくとも1つの電極に電圧を加えて、非対称のコンデンサエンジンにより、合力を発生させ、
c.異なる組み合わせの電極に、電圧、放射線又はこれらの組み合わせを印加して力を変動させることを含む方法。 - 非対称のコンデンサエンジンが、少なくとも1つのアノードと少なくとも第1カソード及び第2カソードを備え、少なくとも第1カソードがアノードに対して第2カソードとは異なる角度で設けられ、これによりアノードと第1カソードの組み合わせ及びアノードと第2カソードの組み合わせを設置する、請求項1に記載の方法。
- 力の変動には、電圧、放射線又は電圧と放射線の組み合わせをアノードと第1カソードの組み合わせに印加すること、及び、電圧、放射線又は電圧と放射線の組み合わせをアノードと第2カソードの組み合わせに印加して力を変化させることを含む、請求項2に記載の方法。
- 第1カソードがアノードに対し第2カソードの末端に設けられ、力の変動には、電圧、放射線又は電圧と放射線の組み合わせを、選択的にアノードと第1カソードの組み合わせ及びアノードと第2カソードの組み合わせに印加して、力の方向を逆転させることが含まれる、請求項2に記載の方法。
- 非対称のコンデンサが、アノード及びカソードを含む複数の電極を備え、力の変動には、電圧、放射線又は電圧と放射線の組み合わせを電極に印加して力の方向を逆転させることが含まれる、請求項1に記載の方法。
- 非対称のコンデンサエンジンが、アノード及びカソードを含む複数の電極を備え、力の変動には、電圧、放射線又は電圧と放射線の組み合わせを少なくとも電極の選択部分に印加して、非対称のコンデンサエンジンに連結した輸送手段に合力を付与して媒体を動かすことが含まれる、請求項1に記載の方法。
- 電磁波を粒子に放射することによって、電極間にプラズマを生じさせる、請求項1に記載の方法。
- 選択された追加粒子を媒体に添加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 粒子に放射される電磁波のパルス幅の調整、少なくとも1つの電極に印加する電圧の変動、もしくはこれらの組み合わせを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 力を生成するシステムであって、
a.第1表面積を有する少なくとも1つの第1電極と、第1表面積とは異なる第2表面積をそれぞれ有する少なくとも2つの第2電極とを備え、第2電極が第1電極に対し互いにある角度をなして設けられている、非対称のコンデンサエンジンと、
b.非対称のコンデンサエンジンに連結し、これによりエンジンに電圧を印加し合力を生じさせる電圧源であって、合力の方向が、第1電極及び第2電極の様々な組み合わせに印加される電圧に依存する、電圧源と、
c.電極間の粒子に電磁波を放射する、電磁波源
とを備える、力を生成するシステム。 - 第2電極の内の1つが、第1電極における別の第2電極からの末端部に設けられている、請求項10に記載のシステム。
- 第2電極の少なくとも1つが、アノードに対し他の第2電極の側面に設けられている、請求項10に記載のシステム。
- 非対称のコンデンサエンジンに連結した輸送手段を更に含み、システムが第1及び第2電極の様々な組み合わせに選択的にエネルギーを与えて、非対称のコンデンサエンジンにより生成される合力を変動させる、請求項10に記載のシステム。
- 輸送手段が、輸送手段の周辺部に分散している非対称のコンデンサエンジンを備える、請求項13に記載のシステム。
- 輸送手段がレンズ状輸送手段から成る、請求項14に記載のシステム。
- 第1電極及び第2電極の組み合わせの内の少なくとも幾つかの組み合わせが逆転の組み合わせであり、第2電極の少なくとも1つが、第1電極における別の第2電極からの末端部に設けられている、請求項13に記載のシステム。
- 非対称のコンデンサエンジンが、輸送手段の中央部を通る垂直軸に対し、傾斜角で取り付けられている、請求項13に記載のシステム。
- 力を生成するシステムであって、
a.第1表面積を有する少なくとも1つの第1電極と、第1表面積とは異なる第2表面積を有する少なくとも1つの第2電極とを備える非対称のコンデンサエンジンと、
b.非対称のコンデンサエンジンに連結し、これによりエンジンに電圧を印加し合力を生じさせる電圧源と、
c.1つ以上の電極の少なくとも1つの選択部分に電磁波を放射する、少なくとも1つの電磁波源
とを備える、力を生成するシステム。 - システムが1つ以上の電極に電圧を供給し、電磁波源が1つ以上の電極の選択部分に可変の電磁波を供給する、請求項18に記載のシステム。
- エンジンが単一のアノードを含み、電磁波源により放射線をエンジンの1つ以上の部分に放射して、その部分から力を生成する、請求項18に記載のシステム。
- エンジンが複数のアノードとカソードの組み合わせと、複数の電磁波源とを有する、複数の電極を備え、電磁波源がアノードとカソードの組み合わせの内少なくとも1つの組み合わせに放射線を供給する、請求項20に記載のシステム。
- 電磁波放射において、マグネトロンで粒子を加熱することを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 少なくとも1つの電極への電圧の印加において、少なくとも1つの多孔性の電極に電圧を印加することを更に含む、請求項1に記載の方法。
- 電磁波源がマグネトロンを含む、請求項10に記載のシステム。
- 電極の少なくとも1つが多孔性の電極である、請求項10に記載のシステム。
- 電磁波源がマグネトロンを含む、請求項18に記載のシステム。
- 電極の少なくとも1つが多孔性の電極である、請求項18に記載のシステム。
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