JP2009299225A - 乳頭保護具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硬質の外側部材30と該外側部材より柔軟な変形し易い材料でなる内側部材40とを備え内側に内部空間S2を形成する乳頭保護具20であって、前記内部空間が、前記外側部材及び/または内側部材から延出された筒状部分により形成されており、前記内側部材が、装着者の乳頭部を隙間なく完全に包囲する当接部を有していて、該当接部が、弾性的に変形して前記乳頭部の周囲に沿って隙間なく面状に密接できる変形当接部45とされている。
【選択図】図5
Description
乳頭部にそのようなトラブルがあると、授乳時に、痛みによるストレスで母乳の出が悪くなり、そのため、乳児がより多くの母乳を吸い出そうとして、さらに強く吸うということを繰り返したり、授乳時間が長時間となってしまうことにより、乳頭部の傷をさらに悪化させる。
そこで、授乳の時以外は、当該乳頭部を覆い保護するためのものとして、乳頭保護具が用いられている。
図において、乳頭保護具1は、半球状、もしくはドーム状のシェル2と、このシェル2の底部を塞ぐようにされた弾性部材3とを備えている。弾性部材3には、中央に開口6が形成されている。シェル2には多数の空気孔が形成されている(図示せず)。
この乳頭保護具1は、傷ついた乳頭部5を比較的硬いシェル2の内側に収容して、これを保護するものである。
しかしながら、乳頭保護具1を装着している時に、硬いシェル2が使用者の乳房4の前面に押し付けられ、硬い外縁が強く押し付けられると、乳房4の前面に丸く赤い跡が残ったり、食い込んだ箇所に痛みを感じるという欠点がある。
そこで、乳房4の前面に当たる箇所に弾性部材3を配して、柔軟に変形させることで、乳房4に対する圧迫や、不快な刺激を排除するようにしているのである。
つまり、従来の乳頭保護具1では、乳頭部5に対して、他のものが非接触となるように保護するという本来的な機能を発揮できないという問題がある。
第1の発明の構成によれば、外側部材が硬質の材料で形成されているから、内部空間を覆って該内部空間に収容される(装着者の)乳頭部を外力から確実に保護することができる。
特に、前記外側部材及び/または内側部材から延出された筒状部分により形成される内部空間に、保護対象である装着者の乳頭部を収容できるので、該乳頭部に外側部材の一部が押しつけられることがなく、非接触に保護されるので、使用者の乳頭部に痛みや不快な刺激を与えることがない。
しかも、使用者の乳房前面に当接する変形当接部は、当接にあたり、変形して、乳頭部の周囲に沿って隙間なく密接することにより、乳汁の漏れを防止することができる。そして、該変形当接部は(乳房前面に対して)面状に密接できるので、線状に接触する場合等に比して、接触面積が大きく、当接の刺激を低減し、密閉機能を確実にすることができる。
第2の発明の構成によれば、筒状部分が使用者の乳頭部を囲んで保護するので、該乳頭部に外側部材の一部が押しつけられることがなく、非接触状態を保持できる。
第3の発明の構成によれば、前記筒状部分である包囲部が当接している外側部材により該包囲部が支持されるので、該筒状部分により形成される内部空間の容積が常に変化せず、使用者の乳頭部を適切に保護できる。しかも変形当接部が使用者の乳房の前面に適切に押し付けられるから、弾性的な接触を確実に実現できる。
第4の発明の構成によれば、外側部材から延びる筒状部分である硬い支持部は、乳頭部の周囲を包囲して、変形することがないので、該乳頭部に外側部材の一部が押しつけられる事態を一層有効に防止することができ、前記硬い支持部の先端部には、柔軟な内側部材の包囲部が装着されて、覆うようにされているので、密閉性が向上する。
第5の発明の構成によれば、内側部材の前記包囲部が、壁部およびこれと一体の内方へ湾曲する湾曲部を有しているので、湾曲部の湾曲変形機能によって、変形当接部が使用者の乳房前面に適切に変形して当接することができる。しかも、該変形当接部の外側で外方に湾曲して、前記外側部材の外縁を覆う当接保護部を有しているから、外縁部が乳房前面に食い込むことがなく、適切な保護を行うことができる。
第6の発明の構成によれば、内部空間に収容された乳頭部から母乳が出ても、前記内側部材の開口を通り、外側部材の前記貫通孔を通過して外部に出るので、例えば、母乳パッド等を配置してこれを吸収することができる。
第7の発明の構成によれば、前記内側部材の前記開口の外側の箇所及び/または前記外側部材の前記貫通孔の外側の箇所に、前記開口よりも大きな面積の開口を設けているので、内側部材と外側部材の組み合わせでなる乳頭保護具において、2以上の部材を用いても、大きな開口を形成した分、重量が低減されるので、全体が軽くなる。これにより、乳頭保護具を装着した状態において、位置ずれを生じにくく、装着状態を良好に保持できる。
また、変形当接部の全面が密着することにより生じるムレを防止することができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
これらの図を参照しながら、乳頭保護具の実施形態について詳しく説明する。
乳頭保護具20は、全体としてほぼシェル状、もしくは、ほぼドーム形態あるいは半球状の硬質プラスチックによる成形品であるガード部としての外側部材30と、その内側に(図1では「後側に」)装着される胸当て部としての柔軟な内側部材40とを組み合わせて形成されている。
これら外側部材30と内側部材40の外形は、図1からも理解されるように、好ましくは、例えば、正面から見るとほぼ円形に近いハート形状とされている。このため外側部材30と内側部材40は、上下の方向性がある形態、つまり、装着における上下方向が予め決められている形態とされている。
外側部材30は、ほぼドーム状もしくは半球状の形態であり、内部が凹状とされて、空間が形成されるようになっている(図4の内部空間S2参照)。
外側部材30には、その中央付近に内外を貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は好ましくは複数個形成されおり、図示の場合、符号31a,31b,31cで示すように形成されている。複数個の貫通孔のうち、特に、一部の貫通孔31aは、図3や図4で示されているように、縦方向(高さ方向)の仮想の中心線C1よりも下に配置されている。
このように外側部材30の材料を削除して大きな開口32,32を形成することにより、その分重量を削減することができる。これにより、乳頭保護具20を装着した状態においては、全体の慣性を小さくして装着位置のずれが生じることを有効に防止することができる。また、変形当接部が密着しても、開口32,32により通気が確保できるので、密着することにより生じるムレを防止することができる。
この実施形態では、支持部33であるリブは、上記貫通孔31a,31b,31cが形成されている中央部の領域の外側の領域を囲むように隙間の無い壁状に形成されている。これにより、支持部33の内側に空間を形成することができ、この空間は硬い支持部33により画成されるため変形しない。
また、外側部材30の該周縁部35は、図2、図4に示すように使用者の乳房Tの前面に乳頭保護具20を配置することを考慮して、該乳房Tの外面の曲線R1およびR2に沿った形状となる平面または曲面とされている。
つまり、周縁部35は、斜めに該乳房Tの外面の曲線R1およびR2に沿って、細幅の平面または曲面とされている。
ここで、図2のR1は、乳房Tが前方へ突出する形状であることに起因して、上から見た場合の曲面であり、図3のR2は横から見た場合の曲面を表している。
外側部材の周縁部35が所定の幅の面積を備えることで、内側部材を介して使用者の乳房T前面に当接した際に、後述する変形当接部の機能と相俟って、該変形当接部を面接触させることができる。
乳頭保護具20においては、硬質の外側部材30が変形することなく、内部空間に収容した乳頭部に外部のなんらかの力が作用したり、外部にあるものが直接触れるのを防ぐ他、変形により、乳頭保護具20の内面自体が傷ついた乳頭部に触れることを防止する機能を担うものである。
これに対して、内側部材40は、乳頭保護具20を装着した時に、硬質の外側部材30が直接使用者の肌に当たり、不快な刺激を与えることがないように緩衝の役割を果たすものである。
このような機能を発揮するために、内側部材40は、全体が軟質の材料により形成されている。この軟質材料としては、例えばシリコーンを用いることができる。内側部材40を形成するための材料の硬度は、たとえば、JIS(K6253)形式のデュロメータにより50である。材料の硬度は材料厚みなどにより変化するが、本実施形態について以下で説明する機能・作用を発揮させ、保形性や、成形性等の点を考慮すると、硬度は35ないし65程度が好ましい。
なお、内側部材40の材料としては、外側部材30よりも柔らかく、ある程度のゴム弾性を備えて変形しやすく、成形性に優れるものならシリコーン以外のものを使用することができる。
すなわち、内側部材40は、全体として円形に近いハート形状であり、中央部に筒状開口41を備えている。筒状開口41は貫通孔である。この筒状開口41の内側が内部空間S2になる。
筒状開口41が形成されている中央部の領域の外側の領域には、左右対称の形状でなる大きなスリットもしくは開口42,42がそれぞれ形成されている。開口42,42は、少なくとも2つ合わせると、筒状開口41の開口面積よりも大きな開口面積を備えており、外側部材30の中央部をさけて、上部の円弧が大きく、下部で先細りになるような、勾玉のような形状とされている。
このように内側部材40においても、その材料を削除して大きな開口42,42を形成することにより、その分重量を削減することができる。これにより、乳頭保護具20を装着した状態においては、全体の慣性を小さくして装着位置のずれが生じることを有効に防止することができる。また、変形当接部が密着しても、開口32,32により通気が確保できるので、密着することにより生じるムレを防止することができる。
装着部43は、外側部材30の壁状のリブである支持部33の内側に嵌入されることにより取り付けられ、該装着部43の外側には、支持部33に嵌入されたときに、該支持部33の先端に当接する横向きの段部である嵌入段部43aが設けられている。
すなわち、装着部43は、装着状態において、支持部33の先端を覆うとともに、装着部43の内側である筒状開口41は、鎖線t1で示すように前方に向かって開くようにされたテーパ状とされている。
湾曲部44は、装着部43の基端部である内側部分が、内方へ湾曲する形状であり、該湾曲部44の終端部は図2、図3の曲線R1およびR2とほぼ同様の曲面となるような曲面、すなわち、図2の下方および、図3の左方に僅かに凸となる曲面とされて、上記変形当接部45となっている。
さらに、変形当接部45の外縁部は、外方に湾曲して、前記外側部材30の外縁を覆う当接保護部46とされている。
しかも、内側部材40の上端位置では、例えば前方へ突出する係止片でなる係止部47aが形成されている。この係止部47aを外側部材30の位置決め部34に挿入することで、外側部材30と内側部材40を正しく位置合わせして組み合わせ状態とすることができる。
図5は、乳頭保護具20を使用者の乳房Tの前面に配置して、その外側に母乳パッドBを当てて、図示しないブラジャーなどの下着で保持する様子を示している。
本実施形態の乳頭保護具20では、外側部材30が硬質の材料で形成されているから、内部空間S2を覆って該内部空間に収容される(装着者の)乳頭部Nを外力から確実に保護することができる。
しかしながら、この実施形態では、外側部材30が乳頭部Nの周囲を包囲する壁状の硬い支持部33を備えているので、内部空間S2が変形することなく、乳頭部Nは、硬い支持部33により周囲が囲まれて保護される。このため、乳頭部Nに外側部材30の一部が押しつけられることがなく、常に非接触に保護されるので、使用者の乳頭部Nに痛みや不快な刺激を与えることがない。
なお、外側部材30の硬い支持部33の代りに、内側部材40から筒状部分が延出されて内部空間S2を形成するようにしてもよく、これによっても、乳頭部Nを保護することができる。
そして、内側部材40はさらに、乳頭部Nの周囲に沿って隙間なく面状に密接できる変形当接部45を有している。つまり、内側部材40において、使用者の乳房Tの前面に当接する変形当接部45は、当接にあたり、変形して、乳頭部Nの周囲に沿って隙間なく密接することにより、内部空間S2からの乳汁が外に漏れるのを防止することができる。しかも該変形当接部45は(乳房Tの前面に対して)面状に密接できるので、線状に接触する場合等に比して、接触面積が大きく、当接の刺激を低減し、密閉機能を確実にすることができる。
なお、乳頭部Nから分泌された乳汁は、内部空間S2から筒状開口41を通り、これと連通した外側部材30の貫通孔31a,31b,31cから外に導かれて、母乳パッドBに吸収されることになる。
しかも、該変形当接部45の外側で外方に湾曲して、前記外側部材30の外縁を覆う当接保護部46を有しているから、外縁部が乳房Tの前面に食い込むことがなく、不快な刺激を与えることなく、適切な保護を行うことができる。
これにより、母乳は内部空間S2から乳房T側に漏れて着衣を汚す心配はなく、母乳パッドBに適切に吸収される。
また、このことにより、傷ついた乳頭部Nが滞留した母乳に浸されることなく、乾燥されるので、傷が治癒し易く、雑菌の繁殖も抑制される。
さらに、外側部材30の複数個の貫通孔のうち、特に、一部の貫通孔31aは、図3や図4で示されているように、縦方向(高さ方向)の仮想の中心線C1よりも下に配置されている。このため、母乳が内部空間S2の下部に滞留することなく、全ての母乳を外部に排出することが容易となる。
これらの図において、第1の実施形態と共通する構成には同一の符号を付して重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
この実施形態では、外側部材30−1の筒状部分である支持部が形成されておらず、内側部材40−1にのみ筒状部分43−1が形成されている。この筒状部分43−1は、使用者の乳頭部の周囲を包囲する包囲部であり、肉厚の壁状であって、湾曲部44とともに十分な高さ(長さ)L1を備えている。
つまり、好ましくは、図7に示されているように、使用者の乳頭部の平均的な高さ(長)L2と少なくとも同等かそれよりも大きくなるようにされている。筒状部分43−1は、好ましくは、外側部材30−1の内面と当接する構成である。
好ましくはこのL1の寸法は5mmないし20mm程度である。
しかも、この筒状部分43−1が当接している外側部材30−1により該筒状部分43−1が支持されるので、該筒状部分43−1により形成される内部空間S2の容積が常に変化せず、使用者の乳頭部を適切に保護できる。しかも変形当接部45が使用者の乳房Tの前面に適切に押し付けられるから、弾性的な接触を確実に実現できる。
さらに、外側部材30−1が受容部としての例えば溝部36を備えていることにより、筒状部分43−1は外側部材30−1の内面の所定位置に正しく位置決めされて保持されるから、内部空間S2の形成が一層確実である。
本実施形態では、内部空間を形成するための筒状部分は、外側部材30の支持部33と内側部材40の装着部43として、それぞれに形成しているが、外側部材か内側部材のいずれか一方にだけ形成するようにしてもよい。
したがって、第2の実施形態においても説明したように、内部空間を形成するための大きな開口は、外側部材30と内側部材40のどちらかに形成されるようにしてもよい。外側部材だけに筒状部分を形成した場合には、その筒状部分の先端部は、内側部材で十分に覆うようにして、使用者の乳房前面への当接による刺激を極力低減することが好ましい。
乳頭保護具20の外形はハート型でなくても花びらの形態、幾何学形状など種々の形状を採用することができるが、好ましくは上下の方向性があるデザインとすると、母乳パッドBが同様に上下の方向性がある場合などに、誤りなく組み合わせて装着できて便利である。
内側部材と外側部材は上記説明のように別に成形された2部材ではなく、異なる種類の材料を組み合わせて用いた二色成形品や多色成形品としてもよい。
また、上述の実施形態の個別の構成は、必要により省略したり、説明しない他の構成と組み合わせてもよい。
Claims (7)
- 乳頭保護具の外面を形成する硬質のシェル状でなる外側部材と、該外側部材より柔軟な変形し易い材料でなる内側部材とを備え、内側に内部空間を形成する乳頭保護具であって、
前記内部空間が、前記外側部材及び/または内側部材から延出された筒状部分により形成されており、
かつ、前記内側部材が、弾性的に変形して装着者の乳頭部の周囲に沿って隙間なく面状に密接できる変形当接部を備える
ことを特徴とする乳頭保護具。 - 前記内部空間が、前記内側部材から延出された筒状部分により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の乳頭保護具。
- 前記筒状部分が、前記乳頭部を包囲する包囲部であり、該包囲部の先端が前記外側部材の内側に当接する構成とされたことを特徴とする請求項2に記載の乳頭保護具。
- 前記内部空間が、前記外側部材と内側部材からそれぞれ延出された筒状部分により、形成されており、外側部材から延出される筒状部分が、装着者の乳頭部の周囲を包囲する硬い支持部とされていて、前記内側部材から延出される筒状部分である前記包囲部が、前記支持部の先端部を覆うとともに、前記乳頭部を隙間なく完全に包囲する装着部とされていることを特徴とする請求項3に記載の乳頭保護具。
- 前記内側部材の前記包囲部が隙間のない壁部を有しており、さらに、該壁部に続いて、内側が内方へ湾曲する湾曲部と、該湾曲部に続いて外方に拡がる前記変形当接部と、該変形当接部の外側で外方に湾曲して、前記外側部材の外縁を覆う当接保護部とを有していることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の乳頭保護具。
- 前記内側部材には、前記包囲部により囲まれる内側の空間を外部と連絡する開口を有しており、さらに、前記外側部材には、該開口と連通する貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の乳頭保護具。
- 前記内側部材の前記開口の外側の箇所及び/または前記外側部材の前記貫通孔の外側の箇所には、前記開口または貫通孔の面積よりも大きな面積の開口が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の乳頭保護具。
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