JP2009291096A - 誘電泳動特性測定装置 - Google Patents

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優 箱田
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浩樹 日比野
Hiroshi Fukuda
宏 福田
Hiroshi Kakidate
浩 垣立
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良昭 芝
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Abstract

【課題】平板状電極と針状電極との間の高周波不平等電界内に細胞を1つずつ供給し、その誘電泳動特性を精度よく測定することができる誘電泳動特性測定装置を提供する。
【解決手段】細胞Aを含む液体Bを貯留する容器2と、該容器2内に上下方向に対向して配置される針状電極3および平板状電極4と、該針状電極3および平板状電極4の間に高周波電圧を加えて液体B内に高周波不平等電界Dを発生させる高周波電源5と、高周波不平等電界D中における細胞Aの静止位置を測定する静止位置測定部6と、針状電極3と平板状電極4との間に単一の細胞Aを放出する細胞放出部7とを備え、該細胞放出部7が、針状電極3の先端を先端開口部12aから出没可能に挿入させる案内ダクト12と、該案内ダクト12の先端開口部12aと針状電極3の先端との間に細胞を1つずつ流入させる細胞供給手段13,14,15とを備える誘電泳動特性測定装置1を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は誘電泳動特性測定装置に関するものである。
従来、細胞懸濁液中に配置した電極に高周波電圧を加えて、細胞懸濁液内に不平等電界を発生させ、細胞に働く誘電泳動力と重力および浮力との相関に基づく細胞の静止位置の差によって細胞の誘電泳動特性を測定する誘電泳動活性測定方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−224171号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、平板状電極と針状電極との間に高周波電圧を加えることにより形成した不平等電界の間に細胞を固定してその静止位置を測定する必要があり、その測定は困難である。すなわち、平板状電極と針状電極との間には、単一の細胞を供給する必要があり、他の細胞が存在するとその影響を受けて誘電泳動特性を精度よく測定することができないという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、平板状電極と針状電極との間の高周波不平等電界内に細胞を1つずつ供給し、その誘電泳動特性を精度よく測定することができる誘電泳動特性測定装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、細胞を含む液体を貯留する容器と、該容器内に上下方向に対向して配置される針状電極および平板状電極と、該針状電極および平板状電極の間に高周波電圧を加えて液体内に高周波不平等電界を発生させる高周波電源と、前記高周波不平等電界中における前記細胞の静止位置を測定する静止位置測定部と、前記針状電極と平板状電極との間に単一の細胞を放出する細胞放出部とを備え、該細胞放出部が、前記針状電極の先端を先端開口部から出没可能に挿入させる案内ダクトと、該案内ダクトの先端開口部と針状電極の先端との間に細胞を1つずつ流入させる細胞供給手段とを備える誘電泳動特性測定装置を提供する。
本発明によれば、細胞放出部が、案内ダクトの先端開口から引っ込んだ状態に針状電極の先端を配置しておき、細胞供給手段の作動により案内ダクト内に単一の細胞を供給する。その後、案内ダクトと針状電極とを相対的に移動させて針状電極の先端により案内ダクト内の細胞を先端開口から押し出す。
これにより、単一の細胞を針状電極と平板状電極との間に配置することができ、高周波電源から所定の周波数の高周波電圧を供給して、針状電極と平板状電極との間に高周波不平等電界を形成することで、配置した細胞を針状電極と平板状電極との間に静止させる。この状態で、静止位置測定部の作動により細胞の静止位置を測定することによって、細胞の誘電泳動特性を測定することができる。
この場合に、針状電極と平板状電極との間には細胞放出部によって単一の細胞のみが放出されるので、他の細胞の影響を受けることがなく、誘電泳動特性を精度よく測定することができる。
上記発明においては、前記細胞供給手段が、細胞を含む細胞懸濁液を貯留する細胞供給源と、該細胞供給源と前記案内ダクトとを接続する細胞供給管と、該細胞供給管の途中位置に設けられ、該細胞供給管内を通過する細胞を検出する細胞検出部とを備え、該細胞検出部による細胞の検出信号に基づいて前記針状電極または案内ダクトを駆動する駆動部を備えることとしてもよい。
このようにすることで、細胞供給源から細胞供給管を介して細胞が供給されると、細胞供給管の途中位置に設けられた細胞検出部により細胞が検出されるので、検出信号に基づいて駆動部により針状電極と案内ダクトとを相対的に移動させることで、単一の細胞のみを針状電極の先端に配置することができる。その結果、単一の細胞を正確に針状電極と平板状電極との間に放出し、誘電泳動特性を測定することができる。
また、本発明は、細胞を含む液体を貯留する容器と、該容器内に上下方向に対向して配置される針状電極および平板状電極と、該針状電極および平板状電極の間に高周波電圧を加えて液体内に高周波不平等電界を発生させる高周波電源と、前記高周波不平等電界中における前記細胞の静止位置を測定する静止位置測定部と、前記針状電極と平板状電極との間に単一の細胞を放出する細胞放出部とを備え、該細胞放出部が、前記平板状電極の表面に開口する開口部を有する案内ダクトと、該ダクト内を移動可能に配置された押出棒と、前記案内ダクトの開口部と押出棒の先端との間に細胞を1つずつ流入させる細胞供給手段とを備える誘電泳動特性測定装置を提供する。
本発明によれば、細胞放出部が、案内ダクトの先端開口から引っ込んだ状態に押出棒の先端を配置しておき、細胞供給手段の作動により案内ダクト内に単一の細胞を供給する。その後、案内ダクト内で押出棒を移動させて押出棒の先端により案内ダクト内の細胞を先端開口から押し出す。
これにより、単一の細胞を針状電極と平板状電極との間に配置することができ、高周波電源から所定の周波数の高周波電圧を供給して、針状電極と平板状電極との間に高周波不平等電界を形成することで、配置した細胞を針状電極と平板状電極との間に静止させる。この状態で、静止位置測定部の作動により細胞の静止位置を測定することによって、細胞の誘電泳動特性を測定することができる。
この場合に、針状電極と平板状電極との間には細胞放出部によって単一の細胞のみが放出されるので、他の細胞の影響を受けることがなく、誘電泳動特性を精度よく測定することができる。
前記細胞供給手段が、細胞を含む細胞懸濁液を貯留する細胞供給源と、該細胞供給源と前記案内ダクトとを接続する細胞供給管と、該細胞供給管の途中位置に設けられ、該細胞供給管内を通過する細胞を検出する細胞検出部とを備え、該細胞検出部による細胞の検出信号に基づいて前記押出棒を駆動する駆動部を備えることとしてもよい。
このようにすることで、細胞供給源から細胞供給管を介して細胞が供給されると、細胞供給管の途中位置に設けられた細胞検出部により細胞が検出されるので、検出信号に基づいて駆動部により押出棒を案内ダクト内から押し出す方向に移動させることで、単一の細胞のみを針状電極と平板状電極との間に放出することができる。その結果、単一の細胞について、誘電泳動特性を精度よく測定することができる。
本発明によれば、平板状電極と針状電極との間の高周波不平等電界内に細胞を1つずつ供給し、その誘電泳動特性を精度よく測定することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る誘電泳動特性測定装置1について、図1〜図3を参照して、以下に説明する。
本実施形態に係る誘電泳動特性測定装置1は、図1に示されるように、細胞Aを含む液体Bを貯留する容器2と、該容器2内に上下方向に対向して配置される針状電極3および平板状電極4と、針状電極3および平板状電極4の間に高周波電圧を加えて液体B内に高周波不平等電界D(図3参照。)を発生させる高周波電源5と、高周波不平等電界D中における細胞Aの静止位置を測定する静止位置測定部6と、針状電極3と平板状電極4との間に単一の細胞Aを放出する細胞放出部7と、静止位置測定部6による測定結果に基づいて誘電泳動特性を算出する特性算出部8を備えている。
針状電極3と平板状電極4との間に高周波電源5から高周波電圧を加えることで、細胞懸濁液を構成する液体B内に高周波不平等電界Dを形成し、電極3,4間に配置された細胞Aの静止位置を測定することにより電気泳動特性を測定することができるようになっている。
高周波不平等電界D中に配置された細胞Aには、下式(1)に示される誘電泳動力が作用する。
Figure 2009291096
ここで、符号rは細胞Aの半径、εは液体Bの誘電率、Eは電場強度を示す。Re[K(ω)]は、下式(2)で示されるClausis-Mossotti関数の実数部分である。
Figure 2009291096
電極3,4間に配置された細胞Aには重力、浮力および誘電泳動力が作用するので、これらがバランスして、下式(3)が成立する細胞Aの静止位置を測定する。
Figure 2009291096
ここで、ρ:細胞Aの密度、ρ:液体Bの密度を示している。
この式(3)から下式(4)が導かれるが、Re[K(ω)]は、細胞Aの径には依存しない。そこで、このRe[K(ω)]を細胞Aの誘電泳動特性とみなすこととする。
Figure 2009291096
式(1)の右辺の誘電泳動力は、細胞Aと周囲の液体Bの誘電率、細胞Aの径、液体Bの粘性率、電場強度の2乗の勾配(∇E)により決定する。すなわち、細胞Aの誘電率によって細胞Aへ作用する誘電泳動力が変化する。また、∇E2は、高周波不平等電界D内では電極3,4間の位置の関数であるため、細胞Aに作用する誘電泳動力は電極3,4間の位置によって異なる。
静止位置測定部6は、例えば、針状電極3および平板状電極4の側方に配置されたカメラ9と画像処理部10とを備え、カメラ9において取得された画像を画像処理部10において処理することで、細胞Aの静止位置を測定することができるようになっている。また、静止位置測定部6には電源制御部11が接続されており、画像処理部10における画像の処理により、細胞Aが移動していると判定された場合には、高周波電源5に対し出力電圧を変化させるように指令するようになっている。
特性算出部8は、数4の式に基づいて誘電泳動特性を算出するようになっている。
細胞放出部7は、容器2の天井部を上下方向に貫通して、容器2内に開口し、針状電極3を開口部12aから容器2内に出没可能に挿入させる案内ダクト12と、細胞懸濁液Cを貯留する懸濁液容器13と、該懸濁液容器13と前記案内ダクト12の途中位置とを接続する細胞供給管14と、該細胞供給管14に近接して配置され、該細胞供給管14内を通過する細胞Aを検出するセンサ15と、案内ダクト12内に配置された針状電極3を上下方向に駆動する電極駆動部16とを備えている。
細胞供給管14および案内ダクト12は、1個の細胞Aが通過可能な流通断面積を有し、細胞Aが一つずつ通過していくようになっている。細胞供給管14を流れる細胞Aがセンサ15により検出されると、センサ15は検出信号を出力し、その検出信号に応じて電極駆動部16が作動させられるようになっている。
電極駆動部16は、針状電極3を下降させ、その先端を容器2内に突出させるようになっている。このとき、案内ダクト12に供給された細胞Aが、針状電極3によって容器2内に1つだけ押し出され、針状電極3と平板状電極4との間に放出されるようになっている。
このように構成された本実施形態に係る誘電泳動特性測定装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る誘電泳動特性測定装置1を用いて細胞Aの誘電泳動特性を測定するには、図1に示されるように、案内ダクト12内の針状電極3を開口部12aから遠ざかる方向に引っ込めた状態で、細胞放出部7により懸濁液容器13から細胞供給管14を介して供給されてきた細胞Aを案内ダクト12の途中位置に供給する。
そして、電極駆動部16の作動により針状電極3が下降させられる。これにより、容器2内の針状電極3と平板状電極4との間に細胞Aが1つだけ放出される。この時点で、図2に示されるように、高周波電源5から高周波電圧を供給し、容器2内に高周波不平等電界Dを発生させる。
高周波不平等電界D中に配置された細胞Aには、図3に示されるように、浮力、重力および誘電泳動力が作用するので、それらがバランスして数3の式が成立する位置で静止する。そして、静止位置測定部6を作動させて、カメラ9により取得した細胞Aの画像を画像処理部10において処理することにより、細胞Aの静止位置が測定される。
例えば、所定の時間間隔をあけてカメラ9により取得した画像から算出される細胞Aの位置の変化が所定の閾値以下である場合には、細胞Aが静止していると判定でき、その位置を測定することができる。一方、細胞Aが静止していないと判定したときには、電源制御部11が高周波電源5に対して高周波電圧を増減させるように指令し、細胞Aを静止させることができる。
そして、細胞Aの静止位置が測定されると、その測定結果に基づいて特性算出部8が細胞Aの誘電泳動特性を算出する。具体的には、高周波電源5から針状電極3と平板状電極4との間に加えられる高周波電圧の周波数と、静止位置に基づいて数4により算出されるRe[K(ω)]との関係が算出される。
このように、本実施形態に係る誘電泳動特性測定装置1によれば、針状電極3によって細胞Aを1つだけ押し出し、その直後に高周波不平等電界Dを発生させて、誘電泳動力を発生させるので、針状電極3と平板状電極4との間の高周波不平等電界D内に細胞Aを1つだけ簡易に静止させることができ、その誘電泳動特性を精度よく測定することができるという利点がある。
なお、本実施形態においては、針状電極3を案内ダクト12から突出させることで、細胞Aを針状電極3と平板状電極4との間に供給することとしたが、これに代えて、図4(a)および図4(b)に示されるように、案内ダクト12を針状電極3に対して上方に移動させることとしてもよい。これによっても針状電極3を案内ダクト12の開口部12aから下向きに突出させることができ、細胞Aを1つだけ針状電極3と平板状電極4との間に簡易に押し出すことができる。
また、本実施形態においては、針状電極3を案内ダクト12から突出させることとしたが、これに代えて、図5および図6に示されるように、平板状電極4側に案内ダクト12を設け、押出棒17を案内ダクト12内で上昇させることにより細胞Aを針状電極3と平板状電極4との間に押し出すことにしてもよい。この場合、上昇した押出棒17の上端部17aが開口部12aを埋めて平板状電極4の一部を構成するように平板状電極4と同等の材質により構成されていることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る誘電泳動特性測定装置を示す全体構成図である。 図1の誘電泳動特性測定装置において、針状電極と平板状電極との間に高周波不平等電界を形成した状態を示す全体構成図である。 図1の誘電泳動特性測定装置において、針状電極と平板状電極との間に高周波不平等電界を形成した細胞の静止位置の測定状態を示す図である。 図1の誘電泳動特性測定装置の第1の変形例を示す図である。 図1の誘電泳動特性測定装置の第2の変形例に係る誘電泳動特性測定装置を示す全体構成図である。 図5の誘電泳動特性測定装置において、針状電極と平板状電極との間に高周波不平等電界を形成した状態を示す全体構成図である。
符号の説明
A 細胞
B 液体
C 細胞懸濁液
D 高周波不平等電界
1 誘電泳動特性測定装置
2 容器
3 針状電極(電極)
4 平板状電極(電極)
5 高周波電源
6 静止位置測定部
7 細胞放出部
8 特性算出部
12 案内ダクト
12a 開口部(先端開口部)
13 懸濁液容器(細胞供給源:細胞供給手段)
14 細胞供給管(細胞供給手段)
15 センサ(細胞検出部:細胞供給手段)
16 電極駆動部(駆動部)

Claims (4)

  1. 細胞を含む液体を貯留する容器と、
    該容器内に上下方向に対向して配置される針状電極および平板状電極と、
    該針状電極および平板状電極の間に高周波電圧を加えて液体内に高周波不平等電界を発生させる高周波電源と、
    前記高周波不平等電界中における前記細胞の静止位置を測定する静止位置測定部と、
    前記針状電極と平板状電極との間に単一の細胞を放出する細胞放出部とを備え、
    該細胞放出部が、前記針状電極の先端を先端開口部から出没可能に挿入させる案内ダクトと、該案内ダクトの先端開口部と針状電極の先端との間に細胞を1つずつ流入させる細胞供給手段とを備える誘電泳動特性測定装置。
  2. 前記細胞供給手段が、細胞を含む細胞懸濁液を貯留する細胞供給源と、該細胞供給源と前記案内ダクトとを接続する細胞供給管と、該細胞供給管の途中位置に設けられ、該細胞供給管内を通過する細胞を検出する細胞検出部とを備え、
    該細胞検出部による細胞の検出信号に基づいて前記針状電極または案内ダクトを駆動する駆動部を備える請求項1に記載の誘電泳動特性測定装置。
  3. 細胞を含む液体を貯留する容器と、
    該容器内に上下方向に対向して配置される針状電極および平板状電極と、
    該針状電極および平板状電極の間に高周波電圧を加えて液体内に高周波不平等電界を発生させる高周波電源と、
    前記高周波不平等電界中における前記細胞の静止位置を測定する静止位置測定部と、
    前記針状電極と平板状電極との間に単一の細胞を放出する細胞放出部とを備え、
    該細胞放出部が、前記平板状電極の表面に開口する開口部を有する案内ダクトと、該ダクト内を移動可能に配置された押出棒と、前記案内ダクトの開口部と押出棒の先端との間に細胞を1つずつ流入させる細胞供給手段とを備える誘電泳動特性測定装置。
  4. 前記細胞供給手段が、細胞を含む細胞懸濁液を貯留する細胞供給源と、該細胞供給源と前記案内ダクトとを接続する細胞供給管と、該細胞供給管の途中位置に設けられ、該細胞供給管内を通過する細胞を検出する細胞検出部とを備え、
    該細胞検出部による細胞の検出信号に基づいて前記押出棒を駆動する駆動部を備える請求項3に記載の誘電泳動特性測定装置。
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