JP2009277295A - 光ピックアップレンズ - Google Patents
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Abstract
【課題】高NAの光ピックアップレンズにおいて、良好な軸上特性及び軸外特性を兼ね備えつつ、より長いワーキングディスタンスを確保することができる光ピックアップレンズを提供すること。
【解決手段】光ピックアップレンズ1aは、レーザ光源からの光束を光情報記録媒体に集光するものであって、単レンズであって、その2面のうち、レーザ光源に近いR1面11とは反対側のR2面12の面形状は、連続形状であり、光軸からレンズ外径に向かって、半径h1、半径h2、半径h3(h1<h2<h3)とした場合、半径h1、半径h2、半径h3での各サグ量をsag1、sag2、sag3とし、各サグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3としたときに、0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満足するh1、h2、h3が存在するものとなっている。
【選択図】図1
【解決手段】光ピックアップレンズ1aは、レーザ光源からの光束を光情報記録媒体に集光するものであって、単レンズであって、その2面のうち、レーザ光源に近いR1面11とは反対側のR2面12の面形状は、連続形状であり、光軸からレンズ外径に向かって、半径h1、半径h2、半径h3(h1<h2<h3)とした場合、半径h1、半径h2、半径h3での各サグ量をsag1、sag2、sag3とし、各サグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3としたときに、0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満足するh1、h2、h3が存在するものとなっている。
【選択図】図1
Description
本発明は、光ディスクに対する記録または再生を行う光学系に使用される光ピックアップレンズに関する。
近年、光ディスクの記録容量は増大し続けており、単位面積あたりの記録密度も増大し続けている。光ディスクの情報の読み出しにおいては、光ディスク装置の光源からの光を波長板やコリメータレンズ等の透明部品を光路として、最終的に光ピックアップレンズを使用して光スポットを光ディスク上に形成することにより、光ディスク上の情報を読み取ることができる。通常、レーザ光源から発せられた光をコリメータレンズ等で平行光にし、光ピックアップレンズに入射する。ここで、大容量の光ディスクを読み出すことに使用される光ピックアップレンズにおいては、波長が410nm以下のレーザ光が使用され、さらに開口数NAは0.84以上となる場合が多い。
従来の光ピックアップレンズとしては例えば特許文献1乃至3に記載のものがある。特許文献1に記載の光ディスク用対物レンズは、開口数が0.7以上の両面非球面単レンズであり、レンズの中心厚さが焦点距離より長い。また、特許文献2に記載の対物レンズは、1面が非球面であり、d1を軸上レンズ厚、fを焦点距離としたとき、1.1≦d1/f≦3を満たす。更に、特許文献3に記載の対物レンズは開口数が0.75以上の対物レンズであって、この対物レンズが両面が非球面の単玉対物レンズであり、使用波長の少なくとも1つにおける屈折率をnとし、d線におけるアッベ数をνとすると、1.75<n、かつ35<νを満足するものとなっている。
特開2002−156579号公報
特開2001−324673号公報
特開2002−303787号公報
ところで、光ピックアップレンズをピックアップに取り付けるのに、軸外の特性をよくする必要がある。しかしながら開口数NAが0.80より大きくなると、ピックアップレンズの球面収差などの軸上収差、及び非点収差やコマ収差などの軸外収差の両特性を良好とすることが難しくなってくる。特にレーザ光源に近い側の面(R1面)及びその反対側の面(R2面)が凸状の両凸レンズは、良好な画角特性を持たせることが難しい。
また、開口数NAが0.80より大きくなると、光ピックアップレンズと光ディスクとの距離を示すワーキングディスタンス(WD)が小さくなる。R2面が凸形状でないメニスカスレンズ等は特にワーキングディスタンスが小さくなって光ディスクと光ピックアップレンズとが衝突する場合がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、高NAの光ピックアップレンズにおいて、良好な軸上特性及び軸外特性を兼ね備えつつ、より長いワーキングディスタンスを確保することができる光ピックアップレンズを提供することを目的とする。
本発明にかかる光ピックアップレンズは、レーザ光源からの光束を光情報記録媒体に集光する光ピックアップレンズであって、前記レンズは単レンズであって、その2面のうち、前記レーザ光源に近い第1の面とは反対側の第2の面の面形状は、連続形状であり、光軸からレンズ外径に向かって、半径h1、半径h2、半径h3(h1<h2<h3)とした場合、半径h1、半径h2、半径h3での各サグ量をsag1、sag2、sag3とし、各サグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3としたときに、0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満足するh1、h2、h3が存在する。
本発明においては、第2の面の面形状が0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満たすため、ワーキングディスタンス(光ピックアップレンズと光ディスクとの距離)を十分に確保することができ、また、軸上収差特性が良好なレンズを得ることができる。
また、前記第2の面の面形状は、レンズの半径h4(h3<h4)におけるサグ量をsag4としたとき、sag2>sag3、及びsag3<sag4を満たすh1、h2、h3、h4が存在することが好ましい。または、前記第2の面の面形状は、レンズの半径h4(h3<h4)におけるサグ量をsag4、サグ変化量をΔsag4としたとき、Δsag3<0、Δsag4>0を満たすh1、h2、h3、h4が存在することが好ましい。または前記第2の面の形状は極小値を有することが好ましい。または前記第2の面は中央部分が凸状で外周部分が凹状の面形状からなることが好ましい。これらの条件を満たすことで、ワーキングディスタンスを更に十分確保でき、かつ更に良好な軸上特性及び軸外特性が得られる。
さらに、410nm以下の波長のレーザを使用する記録及び/又は再生用ピックアップ装置に使用され、開口数をNA、単レンズ中心厚をd、対物レンズの焦点距離をfとしたとき、0.84≦NA、及び0.9≦d/fを満たすことが好ましい。
この場合、410nm以下の波長のレーザを使用する記録及び/又は再生用ピックアップ装置に使用され、開口数をNA、単レンズ中心厚をd、対物レンズの焦点距離をfとしたとき、0.84≦NA、及び0.9≦d/f≦1.2を満たすことが更に好ましい。この条件を満たすことにより、適切なコバ厚を確保することができ、0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満たす第2の面の面形状の製造が容易になる。
さらにまた、405nmの波長における屈折率nが、1.51≦n≦1.64であることが好ましい。
この場合、405nmの波長における屈折率nが、1.59≦n≦1.62であることが更に好ましい。これらの条件を満たすことにより、適切なコバ厚を確保することができると共に0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満たす第2の面の設計が容易となる。
また、前記単レンズの有効径Dが、1.8≦D≦3.2mmであることが好ましい。この有効径のレンズに本発明を適用することで、ワーキングディスタンス長の確保及び軸上特性及び軸外特性向上の効果を発揮する。
さらに、軸外特性として、画角0.3度のときに、収差15mλrms以下であることが好ましい。
さらにまた、前記第1の面の接線角度αが60°≦αであることが好ましい。接線角度αが大きくなると第1の面のサグ量が大きくなり、これに伴い第2の面のサグ量が小さくなり、よって0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3を満たす第2の面形状が製造しやすくなる。
また、レンズ材料のアッベ数νdが50≦νdであることが好ましい。これにより、光ディスクに正確にピット列を書き込みすることができる。アッベ数が大きいほど書込み時の波長飛びに対して強いレンズとすることができる。
さらに、前記第1の面側から平行光又は弱有限光が入射されるものとすることができる。また、前記単レンズは、プラスティック材料又はガラス材料とすることができる。
本発明によれば、高NAの光ピックアップレンズにおいて、良好な軸上特性及び軸外特性を兼ね備えつつ、より長いワーキングディスタンスを確保することができる光ピックアップレンズを提供することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、光学的情報記録媒体に情報の記録・再生を行なうための光ピックアップレンズに適用したものである。
図1(a)は、本発明の実施の形態にかかる光ピックアップレンズを示す図である。また、図1(b)は、光ピックアップレンズのサグ量を説明するための図であって、図1(a)に破線で囲んだ部分を拡大して示す模式図である。図1に示すように、単レンズからなる本実施の形態にかかる光ピックアップレンズ1aの2面のうち、レーザ光源に近い第1の面(以下、R1面という。)11とは反対側、すなわち光ディスク基板32及び光ディスク内光透過層31からなる光ディスク30に対向する側の面である第2の面(以下、R2面という。)12aにおいて、以下のような面形状を有する。
すなわち、レンズ外径に向かって半径h1<半径h2<半径h3とし、半径h1、半径h2、半径h3のサグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3とした場合、R2面12の面形状が下記(1)及び(2)の関係を満たす。
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3・・・(2)
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3・・・(2)
先ず、サグsag及びサグの変化量Δsagについて説明する。図1(b)はR2面12bの中心h0から外周端13bまでを模式的に示している。図1(b)に示すように、サグ量(sag)とは、光ピックアップレンズ1の光軸とR2面のレンズ中心h0とが一致するよう配置したとき、任意の半径hにおいて、レンズ中心h0における光軸の垂線LからR2面までの距離をいう。なおR1面11からR2面12aへ向く方向を正とする。また、サグの変化量Δsagとは、R2面12aにおける任意の半径hでのサグの傾き量、すなわち、半径hにおけるR2面の接線の、直線Lからの傾きをいう。なお、内周から外周へ向かってサグ量が増加する場合を正、減少する場合を負とする。
図1においては、半径h1、h2、h3に対応するサグ量をそれぞれsag1、sag2、sag3としたとき、
h1<h2<h3
sag1>sag2>sag3
となっている。
h1<h2<h3
sag1>sag2>sag3
となっている。
図2(a)は、本発明の実施の形態にかかる他の光ピックアップレンズを示す図であり、図2(b)は図2(a)の破線で示す部分を拡大して示す模式図である。図1に示す形状のみならず、図2に示す形状であってもよい。すなわち、図2に示すように、R2面12bは、上記式(1)、(2)を満たし、かつ極小値k(半径hk)を有する面形状を有する。
ここで、極小値を有するとは、半径h1<h2<h3<h4とし、そのサグ量をそれぞれsag1、sag2、sag3、sag4としたとき、
sag1>sag2>sag3・・・(3)
sag3<sag4・・・(4)
の関係を満たすことを示す。すなわち、R2面12bは、式(3)、(4)を満たす半径h1乃至h4を有する。
sag1>sag2>sag3・・・(3)
sag3<sag4・・・(4)
の関係を満たすことを示す。すなわち、R2面12bは、式(3)、(4)を満たす半径h1乃至h4を有する。
また、この場合、レンズの半径h1、h2、h3、h4がh1<h2<h3<h4を満たし、半径h1、h2、h3、h4におけるサグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3、Δsag4としたとき、式(1)、(2)のみならず、式(5)を満たすh1乃至h4を有する。
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3<0・・・(2)
Δsag4>0・・・(5)
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3<0・・・(2)
Δsag4>0・・・(5)
そして、R2面の有効径を半径B(mm)であらわした場合、屈折率nと半径hkを、(1−hk/B)=3.572×n+(D−5.358)なる関係式に代入したとき、Dは−0.3≦D≦0.3の範囲にある。
図1においては、レンズ中心h0から外側に向かって傾き(Δsag)が緩やかから急峻になり再び緩やかになるような、中央部分が凸レンズの面形状となっている。図2においては、さらに縁周部に凹部を有し、半径方向にみたとき凹凸を繰り返すような面形状となっている。すなわち、図2に示す光ピックアップレンズのR2面12bは、中央部分が凸状で外周部分が凹状の面形状からなる。
図1及び図2に示した光ピックアップレンズのR2面は連続形状であり、回折レンズのような段差のある輪帯構造が形成されるものではない。ただし、本件発明の技術思想を損なわない程度に2、3の段差を設けることは妨げない。R1面は連続形状であっても段差のある輪帯構造のいずれでも構わない。
また、光ピックアップレンズのR2面は、傾きが連続的であるものであれば足り、R2面形状が連続している場合と、連続しているR2面形状をレンズ面の一部区間を光軸方向に平行移動したような形状を含む。
このようなR2面12a又は12bの面形状を有することで、以下の効果を奏する。すなわち、通常のピックアップレンズは、両面が凸の両凸レンズ、または、凸レンズと凹レンズによって構成されるメニスカスレンズである。それぞれのレンズには特徴があり、R2面の中心位置とディスク30までの距離をワーキングディスタンス(WD)とした場合、メニスカスレンズはR2面が凹んでいる関係上、両凸レンズに比べて、ワーキングディスタンスが短くなってしまう。一方、軸外特性の画角特性は、メニスカスレンズは、両面が同方向に湾曲していることにより、凸レンズよりもよい特性を示す。
これに対し、本実施の形態にかかる光ピックアップレンズ1a又は1bであると、外周側に凹部が形成され中央部に凸部が形成されていることから、このメニスカスレンズと両凸レンズの、両方の特性を満たすことができる。すなわち、ワーキングディスタンスが長く、また、軸上特性を満たしつつ、軸外特性として画角特性をよくすることが可能となる。
つまり、図1に示す光ピックアップレンズ1aにおいては、R2面12aの半径方向中心h0から外周13aに向かとサグ量が徐々に増加し、ある半径、図1においては半径h3以降はサグ量がほとんど変化しない。また、図2に示す光ピックアップレンズ1bにおいては、R2面12bの半径方向中心h0から外周13bに向かうとサグ量が徐々に増加し、ある半径、本例では半径h4に到達すると、そこから外周13bまでは、それまでとは逆にサグ量が徐々に小さくなる。これらのサグ量の増減量が変わる位置から内径では両凸レンズの特徴を有し、これより外径では、メニスカスレンズの特性を持たせることが可能となる。
すなわち、レンズ中央部分は、両凸レンズであることから、ワーキングディスタンスを長くすることができ、それほど大きな極率半径をもたないため、両凸レンズでありながら、画角特性をよくすることも可能である。そして、このサグ量の増減量が変わる位置から外径側(R2面の外周部)にはメニスカスの特徴を持たせることにより、メニスカスレンズの特長である良好な画角特性を得ることができる。また、メニスカスレンズに相当する部分がレンズ中央部ではなく外周部分に形成されていることにより、ワーキングディスタンスを短くすることがない。このように、本実施の形態にかかる光ピックアップレンズ1a、1bは、外周部分は略平坦乃至凹部を形成することでメニスカスレンズの特長を取り入れ、内周部分は凸部を形成して両凸レンズの特長を取り入れることで、長いワーキングディスタンスを確保し、かつ軸上特性はもとより、画角特性も良好とすることができる。以上の観点からは、図1及び図2の半径h1〜h4はすべてレーザの光束が通過する領域に存在するのが好ましい。
また、図1に示す光ピックアップレンズ1aにおいては、サグ量の増減量が変わる半径h3の位置から外径にかけてメニスカス形状にしたが、図2に示す光ピックアップレンズ1bは、極小値kを持たせる程度に極端なメニスカス形状としている。このような形状にすることにより、さらに、ワーキングディスタンスを長くとることができ、かつ軸上特性及び軸外特性として画角特性を更に良好にすることができる。
ここで、光ピックアップレンズ1a、1bは、光ヘッド及び光ディスク装置に使用されているレーザとして410nm以下の波長を使用する記録及び/又は再生用ピックアップ装置に使用される場合、以下の式を満たすことが好ましい。
0.84≦NA
0.9≦d/f≦1.2
0.84≦NA
0.9≦d/f≦1.2
ただし、NAは、光ピックアップレンズの開口数を示す。また、dは光ピックアップレンズの単レンズ中心厚(図3参照)、fは焦点距離を示す。
ここで、開口数NAが0.84より小さいと、それに伴い、R2面の有効径も小さくなる。R2面の有効径が小さくなると、上述したように、両凸レンズとメニスカスレンズとの結合部分を、R2面の外周部分に形成することが困難になる。したがって、開口数NAが0.8以上が好ましく、0.84以上とすることが更に好ましい。
また、一般に、ワーキングディスタンスの観点からいえば、中心厚dを薄くし、また、屈折率nを低くするとよい。しかしながら、開口数NAが0.84より大きく、ワーキングディスタンスを長くし、且つ、画角特性を良好にするためには、レンズの性能、すなわち焦点距離fと中心厚dの関係d/fを規定することが好ましい。
先ず、d/fを0.9以上とすることが好ましい理由について説明する。焦点距離fを固定値とした場合、中心厚dを薄くするとd/fの値が小さくなる。d/fの値が小さくなると、R1面とR2面のそれぞれの面径の端での距離(コバ厚)が小さくなる。コバが薄くなると、コバが割れるなどの不具合が発生し、レンズの取り付けが困難になる。また、f=h/NA(f:焦点距離、h:半径)であることから、d/f=d×NA/hの関係を有するが、上述のごとく、開口数NAは0.84以上が好ましいため、NAを固定値とした場合、半径を大きくとればとるほどd/fの値が小さくなり、これに応じて中心厚dを大きくしなければコバ厚を十分に確保することができなくなる。よってd/fは0.9以上とすることが好ましい。
また、d/fを1.2以下とすることにより、R2面の面形状が形成しやすくなる。よってd/fは1.2以下とすることが好ましい。
このように、開口数NAを0.84以上とし、d/fを少なくとも0.9以上とすることにより、図1及び図2に示す形状の光ピックアップレンズを設計することが容易となり、ワーキングディスタンスを長くとることができ、軸上特性はもとより、画角特性も良好になる。
また、屈折率を1.51≦n≦1.64に設定することが好ましい。ここで、nは波長が405nmの青紫色レーザでの屈折率を示す。屈折率nが1.51より小さくなると、同じ中心厚で屈折率が大きいレンズに比べて曲率が大きくなり、R1面とR2面の面径端の距離であるコバ厚が小さくなってしまう。よって屈折率が1.51以上であることが好ましい。
一方、屈折率nが1.64より大きくなると、両凸レンズとメニスカスレンズの両方の形状を有する本発明のR2面の形状を維持することが困難となり、完全なメニスカスレンズになりやすくなる。よって、屈折率nは1.64以下であることが好ましいが、R2面の中央部分を凸状とし外周部分に凹部を形成できる場合は、屈折率nが1.64より大きくてもよいことは勿論である。
また、屈折率を1.59≦n≦1.62に設定することが更に好ましい。屈折率nを1.59乃至1.62とすることにより、図2に示す形状の光ピックアップレンズを設計することが容易となる。よって屈折率を1.59乃至1.62とすることが更に好ましい。
屈折率nを1.51乃至1.64、更に好ましくは1.59乃至1.62とすることにより、図1及び図2に示す形状の光ピックアップレンズを設計することが可能となり、長いワーキングディスタンスを確保することができると共に、軸上特性及び画角特性を向上させることができる。なお、光ピックアップレンズは、実用的なレンズ径とする。
さらに、有効径D(図3参照)は1.8≦D≦3.2mmであることが好ましい。有効径Dが3.2mmより大きいと、ワーキングディスタンスが広くなりすぎて作製することが困難となる。また、有効径Dが1.8mmよりも小さいと、ワーキングディスタンスが小さくなりすぎて実用的ではない。よって、有効径Dは1.8乃至3.2mmであることが好ましい。
さらに、光ピックアップレンズの単レンズの2面のうち、レーザ光源に近い面であるR1面の接線角度αを、60°≦αとすることが好ましい。接線角度αが大きくなるとR1面のサグ量が大きくなり、これに伴いR2面のサグ量が小さくなり、よって図1又は図2に記載の光ピックアップレンズの形状を製造しやすくなる。一方、接線角度αが60度より小さくなるとR1面のサグ量が小さくなり、R2面のサグ量が大きくなってしまう。そうすると、R2面の形状を製造することが困難になると共に、画角特性が悪くなる。よって、R1面の接線角度αが60°以上であることが好ましい。これにより、R2面の形状を製造容易とすると共に軸上特性及び良好な画角特性を得ることができる。
更に、アッベ数νdが、50≦νdであることが好ましい。アッベ数の大きいレンズであればあるほど、ピックアップレンズでの特性の色収差をよくすることができる。色収差とは、波長が+1nmずれたときのベストスポット位置のずれを示す。ピックアップレンズでは記録を行うときに、レーザパワーを上げるが、レーザパワーを上げるために、波長が一時的に長波長側にずれる現象が起こる。記録時にベストスポット位置がずれると、トラッキングが外れり、ベストスポット位置での記録が難しくなる。よって、良好な記録特性を維持するためには、アッベ数νdを上げる必要がある。ここで、アッベ数νdは、屈折率と反比例の関係にある。上述したように、屈折率は1.51≦n≦1.64であることが好ましいが、当該範囲の屈折率の場合、アッベ数は、50≦νd≦81程度となる。このように、よってアッベ数は50以上が好ましく、更に好ましくは60以上とする。
なお、NAが0.85の光ピックアップレンズにおいて、正弦条件をなるべく守るような設計をし、かつ、波長405nmの屈折率を1.50〜1.65とした場合、この光ピックアップレンズのレーザ光源側のレンズ面の最大接線角は60°を超え、場合によっては70°を超えてしまう。
ここで、屈折率(n=1.52)の平板に対する入射角と透過率の関係をみた場合、入射角が56.7度の場合がブルースター角となる。ブルースター角とは、p波の透過率が100%となる角度であり、この時のs波の透過率は80%以上ある。一般的に言われる透過率は、p波とs波の透過率の平均であるため、入射角がブルースター角より急になった場合、s波だけでなくp波も透過率が減少することとなり、両者の平均も著しく減少する。
平板の場合には、異なる材料の2層膜によって反射防止膜を成膜すれば、一つの波長の透過率を最大とすることは可能である。この平板設計で得られた膜をそのまま、ピックアップレンズに成膜した場合、レーザ光のピックアップレンズ面に対する入射角がブルースター角付近までは、設計どおりの透過率性能を得ることができる。
しかし、ブルースター角を超えるような入射角の光ピックアップレンズでは透過率性能が得られない。よってNAが0.85の光ピックアップレンズにおいては、平板で透過率が最大となる反射防止膜を成膜しても、ブルースター角を超えたあたりから、著しく透過率が減少し、反射防止膜の役割を果たしえない。
そこで、NAが0.85の光ピックアップレンズのレーザ光源側のレンズ面においては、3層以上の反射防止膜を設計することが望ましく、その時に使用される材料としては、以下のようなものがあげられ、これらの材料を一部に含む市販品でもよい。
AIF3、AIN、Al2O3、BaF2、BeO、Bi2O3、BiF3、CaF2、CdSe、CdS、CdTe、CeF3、CeO2、Csl、Cr2O3、DyF2、Fe2O3、GaAs、GdF3、Gd2O3、Ge、HfO2、HoF3、In2O3、ITO、LaF3、La2O3、LiF、MgF2、 MgO、NaF、Na3AlF6、Na5Al3F14、Nb2O5、NdF3、Nd2O3、PbCl2、PbCl2、PbF2、PbTe、PbO、PbS、Pr6O11、Sb2S3、Sb2O3、Sc2O3、Si、Si3N4、SiO、Si2O3、SiO2、SnO2、SrO2、SrF2、Ta2O5、Te、Ti、TiN、TiNxWv、TiO2、TlCl、ThF4、ThO2、V2O5、WO3、YF3、Y2O3、YbF3、Yb2O3、ZnO、ZnS、ZnSe、ZrO2
従来の2層に対して3層以上で設計する理由は、レーザ光源側のレンズ面にレーザが入射するにあたり、レンズ中央部に入射する光と、レンズ外周部に斜入射する光とでは、レーザ光源側のレンズ面の法線方向の薄膜の厚さが大きく異なることにより、透過率の最適条件が変わるためである。
そこで、2層膜に対して、もう1層以上、膜を加えて、レンズ中央部に入射する光と、レンズ外周部に斜入射する光の透過率の最適条件の調整を行う。また、反射防止膜の設計としては、本発明では空気にふれる面の屈折率は、レンズ材料よりも低くする必要がある。以上の反射防止膜を加えることにより、透過率としての性能も良好なNAが0.85の光ピックアップレンズを作製することが可能となる。
次に、本発明を適用した実施例について説明する。図4は、各実施例1乃至32における波面収差を示す。また、実施例1は図5、図6に、実施例2は図7、図8に、実施例3は、図9、図10にそれぞれ対応しており、以下同様にして、図67、図68の実施例32まで対応している。ここで、実施例1乃至実施例4は、図1に示す光ピックアップレンズ1aに対応する実施例である。また、実施例5乃至実施例32は、図2に示す光ピックアップレンズ1bに対応する実施例である。また、例えば実施例1において、図5は、光ピックアップレンズの各特性値を示す。さらに、図6(a)は縦収差を示し、図6(b)はR2面の中心位置から外径までのサグ量を示し、図6(c)は実施例1の光ピックアップレンズを示している。
次に、実施例1乃至34における各係数について説明する。先ず、光ピックアップレンズR1面の曲線の式Z1(h1)は式(6)のように表される。
ここで、
Z1(h1):光軸からh1の高さにおける光ピックアップレンズR1面のサグ
h1:光軸からの高さ
k1:光ピックアップレンズR1面の円錐係数
A14、A16、A18、A110、A112、A114、A116:光ピックアップレンズR1面の非球面係数
R1:R1面の曲率半径
を示す。
Z1(h1):光軸からh1の高さにおける光ピックアップレンズR1面のサグ
h1:光軸からの高さ
k1:光ピックアップレンズR1面の円錐係数
A14、A16、A18、A110、A112、A114、A116:光ピックアップレンズR1面の非球面係数
R1:R1面の曲率半径
を示す。
次に、光ピックアップレンズR2面の曲線の式Z2(h2)は下記(7)のように表される。
ここで、
Z2(h2):光軸からh2の高さにおける光ピックアップレンズR2面のサグ
h2:光軸からの高さ
k2:光ピックアップレンズR2面の円錐係数
A24、A26、A28、A210、A212、A214、A216:光ピックアップレンズR2面の非球面係数
R2:R2面の曲率半径
を示す。
Z2(h2):光軸からh2の高さにおける光ピックアップレンズR2面のサグ
h2:光軸からの高さ
k2:光ピックアップレンズR2面の円錐係数
A24、A26、A28、A210、A212、A214、A216:光ピックアップレンズR2面の非球面係数
R2:R2面の曲率半径
を示す。
次に、図1に示す光ピックアップレンズ1aを代表する図5、図6に示す実施例1、及び図2に示す光ピックアップレンズ1bを代表する図13、図14に示す実施例5について説明する。実施例1は、図5(a)に示す曲率半径R、面間隔d、波長が405nmでの屈折率屈折率n、アッベ数νdを有する実施例1にかかる単レンズ(光ピックアップレンズ)及び光ディスクに対し縦収差を測定した。図6(a)はその結果を示す。また、実施例1に係る光ピックアップレンズの焦点距離d、ワーキングディスタンスWD、開口数NA、有効径を図5(b)に、R1面、R2面の非球面係数を図5(c)、図5(d)に、その光ピックアップレンズの模式図を図6(c)に示す。また、図6(b)に、そのR2面の形状を横軸に中心h0から外径端(有効径)までをとり、縦軸にsag量をとって示す。この実施例1は、図6(b)に示すように、図1に示す光ピックアップレンズ1aと同様に、レンズ有効径の範囲において
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3・・・(2)
及び
h1<h2<h3
sag1>sag2>sag3
を満たしていることがわかる。このようなR2面を有する実施例1に係る光ピックアップレンズは、図6(a)に示すように、レンズ有効径にいたるまで良好な縦収差をえることができた。また、図4に示されるように良好な画角特性を得ることができた。
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3・・・(2)
及び
h1<h2<h3
sag1>sag2>sag3
を満たしていることがわかる。このようなR2面を有する実施例1に係る光ピックアップレンズは、図6(a)に示すように、レンズ有効径にいたるまで良好な縦収差をえることができた。また、図4に示されるように良好な画角特性を得ることができた。
また、実施例2は、図14(b)に示すように、図2に示す光ピックアップレンズ1bと同様に、
sag1>sag2>sag3・・・(3)
sag3<sag4・・・(4)
及び
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3<0・・・(2)
Δsag4>0・・・(5)
を満たしていることが分かる。このようなR2面を有する実施例11に係る光ピックアップレンズは、図14(a)に示すように、レンズ有効径にいたるまで良好な縦収差をえることができた。また、図4に示されるように良好な画角特性を得ることができた。
sag1>sag2>sag3・・・(3)
sag3<sag4・・・(4)
及び
0>Δsag1>Δsag2・・・(1)
Δsag2<Δsag3<0・・・(2)
Δsag4>0・・・(5)
を満たしていることが分かる。このようなR2面を有する実施例11に係る光ピックアップレンズは、図14(a)に示すように、レンズ有効径にいたるまで良好な縦収差をえることができた。また、図4に示されるように良好な画角特性を得ることができた。
同様に、他の実施例についても、レンズ有効径にいたるまで良好な縦収差をえることができ、図4に示されるように良好な画角特性を得ることができた。
すなわち、図4、及び図5乃至図68に示すように、実施例1乃至32においては、高NAの光ピックアップレンズにおいて、良好な正弦条件、軸外特性を兼ね備えつつ、長いワーキングディスタンスを有する光ピックアップレンズを作製することができた。
1a、1b 光ピックアップレンズ
11 R1面
12a、12b R2面
21 絞り
30 光ディスク
31 光ディスク内光透過層
32 光ディスク基板
11 R1面
12a、12b R2面
21 絞り
30 光ディスク
31 光ディスク内光透過層
32 光ディスク基板
Claims (16)
- レーザ光源からの光束を光情報記録媒体に集光する光ピックアップレンズであって、前記レンズは単レンズであって、その2面のうち、前記レーザ光源に近い第1の面とは反対側の第2の面の面形状は、連続形状であり、光軸からレンズ外径に向かって、半径h1、半径h2、半径h3(h1<h2<h3)とした場合、半径h1、半径h2、半径h3での各サグ量をsag1、sag2、sag3とし、各サグの変化量をΔsag1、Δsag2、Δsag3としたときに、
0>Δsag1>Δsag2、及びΔsag2<Δsag3
を満足するh1、h2、h3が存在することを特徴とする光ピックアップレンズ。 - 前記第2の面の面形状は、レンズの半径h4(h3<h4)におけるサグ量をsag4としたとき、
sag2>sag3、及びsag3<sag4
を満たすh1、h2、h3、h4が存在することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップレンズ。 - 前記第2の面の面形状は、レンズの半径h4(h3<h4)におけるサグ量をsag4、サグ変化量をΔsag4としたとき、
Δsag3<0、Δsag4>0
を満たすh1、h2、h3、h4が存在することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップレンズ。 - 前記第2の面の形状は極小値を有する
ことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップレンズ。 - 前記第2の面は中央部分が凸状で外周部分が凹状の面形状からなる
ことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップレンズ。 - 410nm以下の波長のレーザを使用する記録及び/又は再生用ピックアップ装置に使用され、開口数をNA、単レンズ中心厚をd、対物レンズの焦点距離をfとしたとき、
0.84≦NA、及び0.9≦d/f
を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光ピックアップレンズ。 - 410nm以下の波長のレーザを使用する記録及び/又は再生用ピックアップ装置に使用され、開口数をNA、単レンズ中心厚をd、対物レンズの焦点距離をfとしたとき、
0.84≦NA、及び0.9≦d/f≦1.2
を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光ピックアップレンズ。 - 405nmの波長における屈折率nが、1.51≦n≦1.64である
ことを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - 405nmの波長における屈折率nが、1.59≦n≦1.62である
ことを特徴とする請求項1乃至7記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - 前記単レンズの有効径Dが、1.8≦D≦3.2mmである
ことを特徴とする請求項8又は9記載の光ピックアップレンズ。 - 軸外特性として、画角0.3度のときに、収差15mλrms以下である
ことを特徴とする請求項8乃至10記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - 前記第1の面の接線角度αが60°≦αである
ことを特徴とする請求項8乃至11記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - レンズ材料のアッベ数νdが50≦νdである
ことを特徴とする請求項8乃至12記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - 前記第1の面側から平行光又は弱有限光が入射される
ことを特徴とする請求項8乃至13記載のいずれか1項光ピックアップレンズ。 - 前記単レンズは、プラスチィック材料からなる
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1光記載の光ピックアップレンズ。 - 前記単レンズは、ガラス材料からなる
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1光記載の光ピックアップレンズ。
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JP (1) | JP2009277295A (ja) |
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WO2011078022A1 (ja) * | 2009-12-25 | 2011-06-30 | コニカミノルタオプト株式会社 | 光ピックアップ装置用の対物レンズ及び光ピックアップ装置 |
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-
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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