JP2009254380A - 核酸リガンドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、セレックス方法に基づく改良された核酸リガンドの同定および製造のための方法を含む。HIV−RT、HIV−1Rev、HIV−1tat、5トロンビン、および塩基性繊維芽細胞増殖因子タンパクに対する核酸リガンドも含まれる。
【解決手段】本発明は一態様として、核酸の候補混合物から、ある標的のリガンドである、改良された核酸リガンドを製造する方法であって、
a)候補混合物を標的に接触させ、ここで、候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りの物から分画されてもよく;
b)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画し;
c)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して核酸リガンドを同定し;
e)該標的に結合するために必須である核酸リガンドの核酸残基を測定し;そして
f)該測定に基づく該改良された核酸リガンドを製造することを含んでなる、上記方法を含む。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は一態様として、核酸の候補混合物から、ある標的のリガンドである、改良された核酸リガンドを製造する方法であって、
a)候補混合物を標的に接触させ、ここで、候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りの物から分画されてもよく;
b)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画し;
c)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して核酸リガンドを同定し;
e)該標的に結合するために必須である核酸リガンドの核酸残基を測定し;そして
f)該測定に基づく該改良された核酸リガンドを製造することを含んでなる、上記方法を含む。
【選択図】なし
Description
発明の分野
本発明に記載されるのは、核酸リガンドを同定および製造するための方法である。核酸リガンドとは、目的の標的分子に特異的に結合する2本鎖または1本鎖DNAまたはRNA種である。この核酸リガンドの同定は、「指数的濃縮のためのリガンドの系統的進化」(Systematic Evolution of Ligands for EXponential enrichment)の頭字語である、セレックス(SELEX)と呼ばれる方法に基づく。
本発明に記載されるのは、核酸リガンドを同定および製造するための方法である。核酸リガンドとは、目的の標的分子に特異的に結合する2本鎖または1本鎖DNAまたはRNA種である。この核酸リガンドの同定は、「指数的濃縮のためのリガンドの系統的進化」(Systematic Evolution of Ligands for EXponential enrichment)の頭字語である、セレックス(SELEX)と呼ばれる方法に基づく。
本発明の方法は、選択された標的に対して改良された核酸リガンドを創製するために、セレックス法から得た情報を分析、応用することよりなる。これらの方法は、コンピューターモデル化、境界測定方法および化学修飾方法を含む。本発明の方法によれば、1)選択された標的への結合に関して、核酸リガンドのどの核酸残基が決定的であるか;2)どの核酸残基が核酸リガンドの構造に影響を及ぼすか;および3)核酸リガンドの3次元構造はどうなっているか、を決めることが可能である。この情報により、構造安定性が向上していると共に標的への結合能力が優れた、改良された核酸リガンドの同定と製造が可能になる。本情報はまた、標的へのリガンドとしても機能する非核酸またはハイブリッド核酸種を製造するために使用することもできる。本発明の方法はさらに、治療方法および/または診断方法の調製に使用される標的種の分析を可能にする。
具体的には本発明において、HIV−RT、HIV−1 Rev、HIV−1tat、トロンビン、および塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)タンパクに対する、高親和性核酸リガンドが記載される。本発明で同定される核酸リガンドにより特徴付けられる修飾核酸リガンドと模倣リガンドも、本発明の範囲に含まれる。さらに、標的分子の生物活性を修飾することができる核酸リガンド(例えばbFGFの作用を阻害する核酸リガンド)も、本発明の範囲に含まれる。またさらに、修飾ヌクレオチドを含有する核酸リガンドも本発明に含まれる。
発明の背景
多くのタンパクまたは低分子は、核酸に特異的に結合することは知られていない。例外である公知のタンパクは、核酸中にコードされている遺伝情報の細胞構造への転移と遺伝物質の複製を引き起こすために生細胞中で機能する、リプレッサー、ポリメラーゼ、アクチベーターなどの制御タンパクである。さらには、GTPのような低分子は幾つかのイントロンRNAに結合する。
多くのタンパクまたは低分子は、核酸に特異的に結合することは知られていない。例外である公知のタンパクは、核酸中にコードされている遺伝情報の細胞構造への転移と遺伝物質の複製を引き起こすために生細胞中で機能する、リプレッサー、ポリメラーゼ、アクチベーターなどの制御タンパクである。さらには、GTPのような低分子は幾つかのイントロンRNAに結合する。
生物は核酸の機能を、主として情報提供の役割に限定して進化してきた。クリック(Crick)により提案されたセントラルドグマは、核酸(RNAまたはDNA)は元々の形でも拡大された形でも、鋳型の核酸中の情報を「読み」、そして相補核酸を産生する複製過程を通して、他の核酸の合成のための鋳型として作用することができることを提唱している。遺伝学と遺伝子発現の全ての実験例は、核酸のこれらの性質に依存している:本質的に、塩基対という化学概念のため、そして複製過程は比較的誤りのない方法でその塩基対形成を使用できるため、2本鎖核酸の情報は重複が多い。
タンパクの個々の成分である20個の天然アミノ酸は、極めて広範囲の結合活性や触媒活性を提供するのに十分な、化学的相違と活性を有する。しかし核酸は、ウイルスからウイルス、細胞から細胞、および生物から生物へ遺伝情報を伝える遺伝的役割を有する以外
は、タンパクに比べてその化学的可能性は狭いと考えられている。この点で核酸成分であるヌクレオチドは、ワトソンークリック(Watson−Crick)塩基対中に情報の重複を可能にする、対の表面のみを有さなければならない。核酸成分は、広範囲の結合または触媒作用に十分な、化学的相違と活性を有する必要はない。
は、タンパクに比べてその化学的可能性は狭いと考えられている。この点で核酸成分であるヌクレオチドは、ワトソンークリック(Watson−Crick)塩基対中に情報の重複を可能にする、対の表面のみを有さなければならない。核酸成分は、広範囲の結合または触媒作用に十分な、化学的相違と活性を有する必要はない。
しかし、天然に見い出された少数の核酸は、ある種の標的分子への結合に関与し、少数の触媒作用の例さえ報告されている。この種の活性の範囲は、タンパク(さらに具体的には抗体)に比較して狭い。例えば、核酸があるタンパク標的に高い親和性と高い特異性で結合することが公知である場合、その結合は、DNAまたはRNAリガンドからなるヌクレオチドの正確な配列に依存している。例えば、短い2本鎖DNA配列は、原核生物と真核生物の両方の転写を抑制または活性化する標的タンパクに結合することが知られている。他の短い2本鎖DNA配列は、高い親和性と高い特異性で選択されるタンパク標的である制限エンドヌクレアーゼに結合することが知られている。他の短いDNA配列は、恐らく染色体の作用機構に関与する特異的タンパクの結合のためのリガンドを生成することにより、染色体上の動原体(centromeres)と末端小粒(telomeres)として作用する。例えば、2本鎖DNAは、DNA結合に機能する標的タンパクの隅や裂け目(nooks and crannies)の中に結合する周知の能力を有する。1本鎖DNAも高い親和性と高い特異性で少数のタンパクに結合することができるが、そのような例は少ない。2本鎖DNA結合タンパクの公知の例から、B型2本鎖DNAの大きな溝の中にアミノ酸側鎖を突き出した種々のタンパクのモチーフ(motif)が関係するものとして、結合相互作用を説明することが可能となり、特異性を与える配列を調べることが可能になった。
2本鎖DNAはしばしば、ある蛋白(例えば、大腸菌のエンドヌクレアーゼRNaseIII)のリガンドとして作用する。1本鎖RNAに結合する標的タンパクの例が知られているが、これらの場合にその1本鎖RNAはしばしば、分子内2本鎖の局所領域を含む複雑な3次元形状を形成する。アミノ−アシルtRNAシンセターゼは、高い特異性でtRNA分子に強く結合する。RNAウイルスのゲノム中の短い領域は、強くそして高い特異性でウイルスの外被タンパクに結合する。RNAの短い配列は、バクテリオファージT4がコードするDNAポリメラーゼに、これも高い親和性と高い特異性で結合する。すなわち、特異的タンパク標的の結合相手となる、2本鎖または1本鎖のRNAおよびDNAリガンドを見つけることが可能である。多くの公知のDNA結合タンパクは2本鎖DNAに特異的に結合し、一方多くのRNA結合タンパクは1本鎖RNAを認識する。この文献上の統計的偏りは、DNAを2本鎖ゲノムとして使用し、RNAをゲノムとしての役割を越えて働く1本鎖物質として使用する、現在の生物圏の統計的傾向を確実に反映している。化学的には、1本鎖DNAを、特異的なタンパクの相互作用の十分に有能な相手として無視する大きな理由はない。
RNAとDNAはまた、より小さい標的分子に結合することが見い出された。2本鎖DNAは、例えばアクチノマイシンDのような種々の抗生物質に結合する。特定の1本鎖RNAは、抗生物質チオストレプトン(thiostreptone)に結合し;特定のRNA配列と構造は、恐らく他の抗生物質(特にその機能が標的生物のリボソームを不活化するもの)に結合する。進化的に関連するRNAのファミリーは、20個のアミノ酸の1つと結合5する(ヤルス,M.(Yarus,M.)(1988) Science 240:1751)と同様に、特異的にそして適切な親和性でヌクレオチドやヌクレオシドに結合する(バス,B.(Bass,B.)およびセック,T.(Cech,T.)(1984) Nature 308:820)。触媒性RNAも公知であるが、これらの化学的可能性の範囲は狭く、これまではおもに核酸のホスポジエステル転移反応や加水分解に関与するとされてきた。
これらの公知の例にもかかわらず、大多数の主要なタンパクと他の細胞成分は、生理的条件下では核酸に結合しないと考えられ、そのような結合は観察されても非特異的であると考えられている。核酸の他の化合物へ結合する能力は前述の比較的少数の例に限定されているか、または特異結合のための核酸の化学的能力は、天然の構造中で避けられている(に対して選択されている)。本発明は、核酸が化学化合物として事実上無限の配列の形状、サイズおよび配置を形成でき、生物系で示されるよりもはるかに広い範囲の結合と触媒作用を有することができるという、本発明者らの根本的な考え方を前提とする。
タンパク−核酸結合の幾つかの公知の例において、化学的相互作用が研究されている。例えば、バクテリオファージR17外被タンパク結合のRNA部位のサイズと配列が、ウーレンベック(Uhlenbeck)とその共同研究者により同定された。R17外被タンパクの最小の天然RNA結合部位(21塩基の長さ)は、mRNAのサイズ可変の標識断片を、タンパク−RNA断片複合体がフィルターに結合して残る、ニトロセルロースフィルター結合測定法により決定された(キャリー(Carey)ら(1983)Biochemistry 22:2601)。個々の核酸のタンパク結合への寄与を測定するために、最小R17外被タンパク結合部位の多くの配列変種が、インビトロで作成された(ウーレンベック(Uhlenbeck)ら(1983) J.Biomol.Structure Dynamics 1:539、およびロマニウク(Romaniuk)ら(1987)Biochemistry 26:1563)。結合部位のヘアピンループ構造の維持がタンパク結合に必須であるが、加えて結合部位の多くの1本鎖残基のヌクレオチド置換が、ヘアピン軸の隆起したヌクレオチドを含めて、結合に著しく影響することが見い出された。同様の研究で、翻訳オペレーターへのバクテリオファージQβ外被タンパクの結合が検討された(ウィセレルとウーレンベック(Witherell and Uhlenbeck)(1989) Biochemistry 28:71)。Qβ外被タンパクRNA結合部位は、隆起したヌクレオチドと3塩基ループを含む8塩基対のヘアピン構造を有する約20塩基よりなるという点から、サイズおよび予測される2次構造において、R17のものと同様であることが見い出された。R17外被タンパク結合部位と異なり、ループの1本鎖残基の1つのみが結合に必須であり、隆起したヌクレオチドの存在は必要ではない。この翻訳制御に関連したタンパク−RNA結合相互作用は、かなり高い特異性を示す。
核酸は溶液中で2次および3次構造を形成することが知られている。2本鎖型のDNAは、いわゆるB二重らせん型、Z−DNAおよびスーパーらせんツイスト構造を含む(リッチ,A.(Rich,A.)ら(1984)Ann.Rev.Biochem. 53:791)。1本鎖RNAは、ヘアピンループやにせ結び目(pseudoknot)構造のような、2次構造の局在化領域を形成する(シメル,P.(Schimmel,P.)(1989)Cell 58:9)。しかし、対になっていないループヌクレオチドのループ構造の安定性、形成と変性の速度論、熱力学に及ぼす影響はほとんど知られておらず、そして3次構造と3次元形状について、また核酸の3次折畳み(tertiary folding)の速度論と熱力学についてもほぼ何も知られていない(ターク(Tuerk)ら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:1364)。
RNAバクテリオファージQβの複製における、ある型のインビトロの進化が報告されている。ミルズ(Mills)ら(1967) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 58:217;レビンソーンとスピーグルマン(Levinsohn & Spiegleman)(1968) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 60:866;レビンソーンとスピーグルマン(1969) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:805;サッフヒル(Saffhill)ら(1970)
J.Mol.Biol. 51:531;カシアン(Kacian)ら(1972)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:3038;ミルズら(1973)Science 180:916。ファージRNAは、ファージ特異性タンパクの翻訳を指令するポリシストロン性メッセンジャーRNAとして、またQβRNAレプリカーゼにより触媒されるそれ自体の複製の鋳型としての作用する。このRNAレプリカーゼは、それ自信のRNA鋳型に対して、高度に特異的であることが示された。インビトロの複製周期の過程で、やはりQβレプリカーゼにより複製される小さいRNA変種が単離された。複製周期を行う条件の小さな変更により、異なるRNAが集積したが、これは恐らく変更した条件がそれらの複製により適していたからであろう。これらの実験では、選択されたRNAは、複製を開始するためにレプリカーゼにより有効に結合し、そしてRNAの伸長の間、速度論的に適した鋳型を働かなければならなかった。クレイマー(Kramer)ら(1974) J.Mol.Biol. 89:719は、Qβレプリカーゼの突然変異RNA鋳型の単離を報告し、この複製は天然の鋳型に比べて臭化エチジウムによる阻害に対してより抵抗性であることを報告した。この突然変異体は最初のRNA集団には存在しないが、Qβレプリカーゼで20のインビトロ複製周期の間に逐次の突然変異により生成されることが示唆された。選択の間の変異の唯一の起源は、Qβレプリカーゼによる伸長の間の内因性のエラー率であった。これらの研究で「選択」と呼ばれるものは、最初は均一なRNA配列の限られた数の自然発生的な変異体の1つまたはそれ以上の優先的増幅により生じた。目的とした結果の選択はなく、あるのはただQβレプリカーゼの作用の様式に内在したものであった。
J.Mol.Biol. 51:531;カシアン(Kacian)ら(1972)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:3038;ミルズら(1973)Science 180:916。ファージRNAは、ファージ特異性タンパクの翻訳を指令するポリシストロン性メッセンジャーRNAとして、またQβRNAレプリカーゼにより触媒されるそれ自体の複製の鋳型としての作用する。このRNAレプリカーゼは、それ自信のRNA鋳型に対して、高度に特異的であることが示された。インビトロの複製周期の過程で、やはりQβレプリカーゼにより複製される小さいRNA変種が単離された。複製周期を行う条件の小さな変更により、異なるRNAが集積したが、これは恐らく変更した条件がそれらの複製により適していたからであろう。これらの実験では、選択されたRNAは、複製を開始するためにレプリカーゼにより有効に結合し、そしてRNAの伸長の間、速度論的に適した鋳型を働かなければならなかった。クレイマー(Kramer)ら(1974) J.Mol.Biol. 89:719は、Qβレプリカーゼの突然変異RNA鋳型の単離を報告し、この複製は天然の鋳型に比べて臭化エチジウムによる阻害に対してより抵抗性であることを報告した。この突然変異体は最初のRNA集団には存在しないが、Qβレプリカーゼで20のインビトロ複製周期の間に逐次の突然変異により生成されることが示唆された。選択の間の変異の唯一の起源は、Qβレプリカーゼによる伸長の間の内因性のエラー率であった。これらの研究で「選択」と呼ばれるものは、最初は均一なRNA配列の限られた数の自然発生的な変異体の1つまたはそれ以上の優先的増幅により生じた。目的とした結果の選択はなく、あるのはただQβレプリカーゼの作用の様式に内在したものであった。
ジョイスとロバートソン(Joyce and Robertson)(ジョイス(1989) RNA:触媒、スプライシング、進化(RNA:Catalysis,Splicing,Evolution)、ベルフォートとシャブ(Belfort and Shub)(編)、エルセビア社(Elsevier)、アムステルダム、83−87ページ;およびロバートソンとジョイス(1990) Nature 344:467)は、1本鎖DNAを特異的に切断するRNAを同定する方法を報告した。触媒活性の選択は、特定の位置で基質ssRNAまたはDNAの切断を触媒し、基質の3’末端をリボザイムの3’末端へ転移するリボザイムの能力に基づいていた。目的の反応の生成物は、触媒反応により形成される結合部を介して完成した生成物にのみ結合できて、リボザイム配列の選択的逆転写を可能にする、オリゴデオキシヌクレオチドプライマーを使用することにより選択された。この選択された触媒配列は、T7RNAポリメラーゼのプロモーターをcDNAの3’末端へ結合させ、続いてRNAを転写させることにより増幅された。この方法は、少数のリボザイム突然変異体から、選択された基質の切断に対して最も反応性のある突然変異体を同定するために使用された。
先行技術は、他の物質との相互作用における核酸については、限られた範囲の化学的機能以上には、教えたり示唆したりはしていない(ある種の特定のオリゴヌクレオチド配列に結合するように進化したタンパクの標的として;そしてさらに最近になって、限定された範囲の活性を持った触媒として)。先行の「選択」実験は、既に記載された機能の狭い範囲の突然変異体に限定されてきた。ここで、核酸が非常に広い範囲の機能を有し、この可能性を実現するための方法論が本明細書で開示されることが、初めて理解されるであろう。
1990年6月11日に出願された、ゴールドとタークの、「指数的濃縮のためのリガンドの系統的進化」(Systematic Evolution of Ligands for EXponential enrichment)という名称の、合衆国特許出願番号07/536,428号と、1991年6月10日に出願された、ゴールドとタークの、「核酸リガンド」(Nucleic Acids Ligands)という名称の、合衆国特許出願番号07/714,131号(PCT/US91/04078号も参照)は、任意の目的の標的に対する核酸リガンドを作るための根本的に新規な方法を記
載している。これらの出願はどれも、本明細書ではまとめてセレックス特許出願と呼び、参照により本明細書中に取り組み込まれる。
載している。これらの出願はどれも、本明細書ではまとめてセレックス特許出願と呼び、参照により本明細書中に取り組み込まれる。
セレックス特許出願の方法は、核酸は種々の2次元および3次元構造を形成するのに十分な能力と、事実上任意の化合物(サイズが大きいものまたは小さいものも)とのリガンド(特異的結合対を形成する)として作用する、モノマー内で利用可能な十分な化学的な融通性を有するという独特の洞察に基づく。
この方法は、結合親和性と選択性の任意の目的基準を事実上達成するために、同一の一般的な選択テーマを使用する、候補の混合物からの選択と、構造改良の段階的な繰り返しを含む。本明細書中でセレックスと呼ばれる方法は、核酸(好ましくはランダム化された配列の切片よりなる)の混合物から出発して、混合物を結合に適する条件下で標的に接触させ、標的分子に結合した核酸から未結合の核酸を分画し、核酸一標的対を解離させ、核酸一標的対から解離した核酸を増幅して、リガンドが濃縮された核酸混合物を生成し、次に結合、分画、解離および増幅の工程を必要な回数繰り返す、工程を含む。
調製の理論には拘束されないが、セレックスは、多くの可能な配列と構造を含有する核酸混合物中に、目的の標的に対する広い範囲の結合親和性が存在するという、発明者らの洞察に基づく。例えば20ヌクレオチドのランダム化された切片からなる核酸混合物は、420の候補の可能性を有する。標的に対する高い親和性定数を有するものが、最も結合しやすい。分画、解離および増幅後、さらに高い結合親和性の候補を得るために、第2の核酸混合物が生成され濃縮される。生じる核酸混合物が、主にただ1つまたは数種の配列よりなるまで、さらに選択を重ねることにより徐々に最もよいリガンドが得られる。次にこれらはクローン化され、配列を決め、そして純粋なリガンドとしての結合親和性について個々に試験される。
選択と増幅の周期は、目標が達成されるまで繰り返される。最も一般的なケースでは、周期の繰り返しにより結合強度の著しい改良が見られなくなるまで、選択/増幅は続けられる。この方法は、約1018もの多くの異なる核酸種を採取するのに使用できる。試験混合物の核酸は、好ましくは十分な増幅に必要な保存配列と共に、ランダム化された配列部を含む。核酸配列の変種は、ランダム化された核酸配列の合成と、ランダムに切断した細胞性核酸からのサイズ選択を含む、多くの方法で製造することができる。可変配列部は、全部または一部ランダム配列を含有してよく;またランダム配列とともに組み込まれた保存配列の部分も含有してよい。試験核酸の配列変化は、選択/増幅の繰り返しの前またはその間に、突然変異誘発により導入するかまたは増加させてよい。
セレックス特許出願の方法の1つの実施態様で、選択された標的に最も強力に5結合する核酸リガンドを単離するのに、その選択工程は非常に有効であり、ただ1回の選択と増幅が必要なだけである。そのような有効な選択は、例えば、カラムに結合した標的と会合する核酸の能力が、カラムが最も高い親和性の核酸リガンドの分離と単離を可能にするように機能する、クロマトグラフィー型の工程で起きる。
多くの場合に、単一の核酸リガゾドが同定されるまでセレックスの反復工程を行うことは必ずしも望ましいことではない。標的に特異的な核酸リガンド溶液は、多くの保存配列と、標的に対する核酸リガンドの親和性に著しく影響することなく置換または付加される多くの配列を有する、一群の核酸の構造またはモチーフを含む。セレックス工程を完了する前に終結させることにより、多くの核酸リガンド溶液群のメンバーの配列を決定することが可能である。
種々の核酸の1次、2次および3次構造が存在することが知られている。最も一般的に
非ワトソンークリック型の相互作用に関係することが証明されている構造またはモチーフは、ヘアピンループ、対称的および非対称的な隆起、にせ結び目およびその無数の組み合わせである。ほとんどすべての既知のそのようなモチーフは、それらが30ヌクレオチド以下の核酸配列内に形成されることを示唆している。この理由のため、隣接するランダム化された切片を扱うセレックス工程は、約20−50ヌクレオチドの間のランダム切片を含有する核酸配列で開始するのが、しばしば好ましい。
非ワトソンークリック型の相互作用に関係することが証明されている構造またはモチーフは、ヘアピンループ、対称的および非対称的な隆起、にせ結び目およびその無数の組み合わせである。ほとんどすべての既知のそのようなモチーフは、それらが30ヌクレオチド以下の核酸配列内に形成されることを示唆している。この理由のため、隣接するランダム化された切片を扱うセレックス工程は、約20−50ヌクレオチドの間のランダム切片を含有する核酸配列で開始するのが、しばしば好ましい。
セレックス特許出願はまた、標的分子の1つまたはそれ以上の部位に結合する核酸リガンド、および標的の特定部位に結合する非核酸種を含む核酸リガンドに結合する、核酸リガンドを入手する方法を記載している。このセレックス法は、考え得る任意の標的に結合する核酸リガンドを単離し同定する手段を提供する。しかし好適な実施態様において、セレックス法は、標的が蛋白(核酸結合タンパクと、生物学的機能の一部として核酸と結合することが知られていないタンパクの両者を含む)である状況に適用される。
高解像度でのRNA構造についてはほとんど知られていない。2本鎖RNAの基本的なA型らせん構造は、繊維回折(fiber diffraction)研究から知られている。X線結晶学により、少数のtRNAと短いポリAUらせんの構造が与えられた。tRNA/シンセターゼRNA/タンパク複合体のX線構造も解明された。1つのテトラヌクレオチドのヘアピンループと1つのモデルのにせ結び目は、NMR研究から明らかになっている。
構造データの不足の裏には幾つかの理由がある。インビトロのRNA合成法が出現するまでは、構造研究に十分な量のRNAを単離することは困難であった。触媒性RNAの発見までは、構造研究に値すると考えられるRNA分子はほとんどなかった。良質なtRNA結晶を得るのが困難であり、他の結晶の研究に水を差した。このサイズの分子のNMR研究の技術は、ようやく最近になって利用可能となった。
上述のように、いくつかの触媒性RNA構造が公知であり、そして種々の標的分子に強く結合するRNAを選択するセレックス技術が開発されているため、新しい触媒性RNA構造も選択することができるかもしれない。これらの作用を正確に知るために、そしてこれらを改良するためにこの知識を利用するために、これらの分子の構造を知ることが重要になった。
厳密なNMR、および厳密なX線結晶構造解析を用いるよりも少ない努力で、RNAの構造を予測することを可能にするために、RNAの折畳み(folding)について十分に理解することが好ましい。タンパクとRNAの両者にとって、配列に基づき、限られた(または全然ない)実験データを加味して、構造を推定できるようにしたいという要求が常にあった。
タンパク構造の予測は、困難であることがよく知られている。まず第一に、タンパクの2次構造と3次構造は協同的に形成し;タンパクの折畳みは、完全に折り畳まれた状態と完全に折り畳まれていない状態の2状態モデルにより熱力学的に近似され得る。このことは、タンパク構造をモデル化するための自由度の数が非常に大きいことを意味し;予測可能な中間物なしに、予測問題をより小さく扱える小問題に分解できない。対照的に、しばしばRNAは、3次相互作用よりも安定性を与える充分に規定された2次構造を作るようである。例えば、tRNAの3次構造は、マグネシウムのキレート化によりまたは温度の上昇により、その2次構造を破壊することなしに、破壊され得る。RNAの2次構造の予測は充分理解されており、小さいRNA分子についてそれは一般的に非常に正確である。RNAでは、構造予測は小問題に分解され;最初に2次構造の予測;次に生じたらせんと残った1本鎖が相互にどのように配置されるかを予測する。
RNAについて、構造予測の最初の試みはtRNAについてなされた。規範的なtRNAクローバー葉の2次構造は比較配列分析から明らかになり、問題は4つの短いA型らせんを空間で相互に配置するという1つの問題に絞られた。tRNAモデルを作成するために、手作業のCPKのモデル化、たやすく算出できるエネルギーの最小化、および架橋研究と系統発生の共通変化(phylogenetic covariations)から得られたいくつかの距離上の制限が使用され、そして数年後フェニルアラニンtRNAの最初の結晶構造が解決された時、これは不運にも間違いであることが判明した。
コンピューターによるモデル化が手作業のモデル化に取って代わり、重力と質量により負わされたモデル作成者の困難さを救済した。コンピューターによるモデル化は、例えば相同の構造が公知である場合に付加的な実験データなしに使用することができるのみである;例えばカブ黄色モザイクウイルス(turnip yellow mosaic virus)のRNAゲノムの3’末端の構造は、tRNAの公知の3D構造と、TYMVの3’末端は多くの細胞性tRNA修飾酵素によりtRNA様として認識されるという知識に基づいてモデル化された。このモデルはRNAにせ結び目の最初の3Dモデルであり;単離されたモデルにせ結び目の基本構造はNMRデータにより確証された。
幾つかのRNA分子の構造をモデル化するために、化学的および酵素的保護データを手作業で点検して、コンピューターによるモデル化法が使用された。1つの単離された基礎構造において、単離されたGNRAヘアピンループのNMR研究により、GNRAの4ヌクレオチドループの形態の1つのモデルが、本質的に正しいことが示された。
フランソワ・マイケル(Francois Michel)((1989) Nature 342:391)は、グループIイントロンの触媒活性コアのモデルを構築した。tRNAのように、グループIイントロンコアの2次構造は比較配列分析からよく知られているので、問題はらせんと残った1本鎖領域を正しく配置するという1つの問題に絞られる。上記マイケル(1989)は、整列させた一組の87のグループIイントロン配列を目で分析して、7つの強力な対と2次構造の外側にトリプレットの共通変化を検出し、これを彼は3次接触と解釈して彼のモデルに制限として手作業で組み込んだ。今のところ、マイケルのモデルの独立した確認はない。
他にも架橋、蛍光遷移、または系統発生の共通変化から距離の制限を扱う自動化方法を案出しようという試みはなされてきた。RNAは円筒形(A型らせん)とビーズ(1本鎖残基)の集合として処理され、距離幾何学と呼ばれる数学的技術が、一組の距離制限と矛盾しないこれらの要素の配置を作成するのに使用される。フェニルアラニンtRNAの3次構造の7つの距離制限の小さい一組を使用して、この方法により、約2/3回はありふれたL型のtRNA構造が作成された。
HIV−1のtatタンパクは、HIV−1のウイルスゲノムの長い末端繰り返し(long terminal repeat)(LTR)中の転写を活性化する。カレン(Cullen)ら(1989) Cell 58:423を参照のこと。活性化の機構は不明確であるか、または少なくとも議論のあるところであるが、転写されたRNAはトリヌクレオチド隆起のある特異なヘアピン構造(TARと呼ばれる)を含有することが必要である。図25に天然のTAR RNAとtatの相互作用の部位が示されている。tatタンパクの小さい基本ドメインはTAR RNA配列と直接相互作用することが証明されている。ウィークス(Weeks)ら(1990) Science 249:1281;ロイ(Roy)ら(1990) Genes Dev.4:1365;カルナン(Calnan)ら(1991a) Genes Dev.5:201を参照のこと。この基本ドメイン中のアルギニンは、相互作用に決定的に重要なようである。カルナンら(19
91a)上記;スブラマニアン(Subramanian)ら(1991) EMBO 10:2311−2318;カルナンら(1991b) Science 252:1167−1171を参照のこと。アルギニンは単独ではTAR RNA配列に特異的に結合し、tatタンパク結合のため競合するようである。タオ(Tao)ら(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2723−2726;パグリシ(Puglisi)ら(1992) Science 257:76−80を参照のこと。
91a)上記;スブラマニアン(Subramanian)ら(1991) EMBO 10:2311−2318;カルナンら(1991b) Science 252:1167−1171を参照のこと。アルギニンは単独ではTAR RNA配列に特異的に結合し、tatタンパク結合のため競合するようである。タオ(Tao)ら(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:2723−2726;パグリシ(Puglisi)ら(1992) Science 257:76−80を参照のこと。
Tat−TAR相互作用だけではトランス活性化を支持するには不足であり;TARへのtatタンパクと協同の結合、そして続くインビボまたはインビトロのトランス活性化には、恐らく細胞性因子(68kDループ結合タンパク)が必要である。マルシニアク(Marciniak)ら(1990a) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3624;マルシニアクら(1990b) Cell 63:791を参照のこと。レトロウイルスにより形質転換した細胞株のTAR配列の過剰発現は、これらをHIV−1感染に対して高度に抵抗性にしている。スレンジャー(Sullenger)ら(1990) Cell 63:601を参照のこと。
トロンビンは、重要な凝血促進活性と抗凝固活性を有する、多官能性のセリンプロテアーゼである。凝血促進酵素として、トロンビンはフィブリノーゲンを凝固させて、血液凝固第V因子、第VIII因子、及び第XIII因子を活性化し、血小板を活性化する。トロンビンによるフィブリノーゲンの特異的切断は、血液凝固形成の最初の事象であるフィブリンモノマーの重合を開始させる。血小板血栓の形成における主要な事象は、「非結合」から「結合」モードへの血小板の活性化であり、トロンビンは血小板凝集の最も強力な生理学的アクチベーターである(バーントとフィリップス(Berndt and Phillips)(1981)Platelets in Biology and Pathology、J.L.ゴードン(J.L.Gordon)(編)(アムステルダム:エルセビア社(Elsevier)/北オランダ生物医学出版社(North Holland Biomedical Press))、43−74ページ;ハンセンとパーカー(Hansen and Harker)(1988) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3184;エイト(Eidt)ら(1989) J.Clin.Invest. 84:18)。こうして、凝血促進物質としてトロンビンは、出血の阻止(生理的止血)と血管閉塞性血栓(病的な血栓症)において中心的な役割を演じる。
抗凝固物質としてトロンビンは、血管内皮細胞の表面に発現するトロンボモジュリン(TM)に結合する。TMは、活性部位の配置のアロステリックな変化とトロンビン上のTMとフィブリノーゲン結合部位の重複の組み合わせにより、基質特異性をフィブリノーゲンと血小板からプロテインCに変える。リン脂質表面に存在する活性化プロテインC、Ca2+、および第2のビタミンK依存性タンパクコファクターであるプロテインSは、タンパクを分解する第Va因子と第VIIIa因子による凝固を阻害する。このようにトロンビン−TM複合体の形成は、トロンビンを凝血促進酵素から抗凝固酵素へと変換し、そしてこれらの対立する活性の間の正常なバランスが止血の制御に決定的に重要である。
トロンビンはまた、凝固系から遠く離れた生物学的応答にも関与する(シューマン(Shuman)(1986) Ann.N.Y.Acad.Sci. 485:349に総説;マークス(Marx)(1992) Science 256:1278)。トロンビンは単球の走化性物質であり(バー−シャビト(Bar−Shavit)ら(1983) Science 220:728)、リンパ球(チェン(Chen)ら(1976)
Exp.Cell Res. 101:41)、間充織細胞(チェンとブキャナン(Chen and Buchanan)(1975) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:131)、および繊維芽細胞(マークス(1992)上記)の細胞
分裂促進物質である。トロンビンは内皮細胞を活性化して、好中球接着タンパクGMP−140(PADGEM)を発現させ(ハットリ(Hattori)ら(1989) J.Bio1.Chem. 264:7768)、血小板由来増殖因子を産生させる(ダニエル(Daniel)ら(1986) J.BioI.Chem. 261:9579)。最近トロンビンが、培養神経細胞による神経突起の収縮を引き起こすことが示された(マークス(1992)上記に総説)。
Exp.Cell Res. 101:41)、間充織細胞(チェンとブキャナン(Chen and Buchanan)(1975) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:131)、および繊維芽細胞(マークス(1992)上記)の細胞
分裂促進物質である。トロンビンは内皮細胞を活性化して、好中球接着タンパクGMP−140(PADGEM)を発現させ(ハットリ(Hattori)ら(1989) J.Bio1.Chem. 264:7768)、血小板由来増殖因子を産生させる(ダニエル(Daniel)ら(1986) J.BioI.Chem. 261:9579)。最近トロンビンが、培養神経細胞による神経突起の収縮を引き起こすことが示された(マークス(1992)上記に総説)。
トロンビンが血小板と内皮細胞を活性化する機構は、これらの細胞に見い出される機能性のトロンビンリセプターを介する。このリセプターの推定されるトロンビン切断部位(LDR/S)は、リセプターのタンパク分解的な切断によりトロンビンリセプターが活性化されることを示唆する。この切断という事象がN末端ドメインを「露にし」て、これがリガンドとして作用してリセプターを活性化する(ビュー(Vu)ら(1991) Cell 64:1054)。
血管傷害と血栓形成は、動脈硬化を含む種々の血管の疾患の病因の中心的な事象である。種々の疾患状態や種々の部位(冠状動脈、心臓内および人工心臓弁)の血栓を導く、血小板および/または凝固系の活性化の発病過程は、異なるようである。従って閉塞した血管を開き、再閉塞を妨げるためには、血栓溶解剤と併用して、血小板阻害剤、抗凝固剤、または両者の組み合わせの使用が必要かも知れない。
凝固カスケードの化合物による制御されたタンパク分解は、止血のために決定的に重要である。その結果、部分的に一連の特異性の高いプロテアーゼ阻害剤に基づく種々の複雑な制御系が存在する6病的な状態では、活性プロテアーゼの過剰な産生または阻害活性の不活化により、機能的な阻害活性は妨害される。多数の外傷(組織損傷)または感染(敗血症)に応答する炎症の持続は、トロンビンを含む血漿カスケード系と、リソソーム由来の両方のタンパク分解酵素に依存する。これらの場合の多臓器不全(MOF)は、併発するプロテアーゼとその阻害性制御物質の不均衡により増強される。脳内のトロンビン活性の不均衡は、神経変性疾患を引き起こす。
トロンビンは本来、ヘパリン依存性反応でアンチトロンビンIII(AT III)に結合することにより、止血中に阻害される。ヘパリンは、AT IIIの作用を増進する能力によりその効果を発揮する。脳では、プロテアーゼネキシン(proteaze nexin)(PN−1)が、神経突起の生長を制御するトロンビンの天然の阻害剤であろう。
ヘパリンは、D一グルコサミンとウロン酸残基が交互に繰り返される鎖からなるグリコサミノグリカン(glycosoaminoglycan)である。現在ヘパリンは、不安定な狭心症、肺塞栓症、アテローム性動脈硬化症、血栓症、および続く心筋梗塞の治療に抗凝固剤として広範囲に使用されている。その抗凝固効果は、AT IIIとの相互作用により媒介される。ヘパリンがAT IIIに結合すると、AT IIIの配置が変化して、著しく増強されたトロンビンの阻害剤となる。ヘパリンは一般にある種の徴候に有効であると考えられているが、AT III・ヘパリン複合体の物理的サイズが体内の多くの生物学的に活性のトロンビンへの接近を防止して、凝血の形成を阻害する能力を減少させている。ヘパリンの副作用には、出血、血小板減少、骨粗霧症、皮膚の壊死、脱毛症(alpe)、過敏症および低アルドステロン症(hypoaldoseronism)がある。
ヒルジンは、ヨーロッパの医用ヒルであるヒルディス・メディシナリス(Hirudis medicinalis)由来の、トロンビンの強力なペプチド阻害剤である。ヒルジンは、α−トロンビンの全ての公知の機能を阻害し、101つの別の部位(セリンプロ
テアーゼ活性の触媒部位またはその近くの高い親和性部位と2番目のアニオン性の外の部位(anionic exosite))で速度論的にトロンビンに結合することが示されている。アニオン性の外の部位はまた、フィブリノーゲン、ヘパリン、TM、および恐らく血小板と内皮細胞の活性化の媒介に関係するリセプターにも結合する。C末端ヒルジンペプチド(これはトロンビンとの共結晶化によりアニオン性の外の部位で結合することが示された)は、恐らくこの部位での結合に競合することにより、フィブリン形成、血小板と内皮細胞の活性化、およびTM結合を介するプロテインCの活性化に阻害効果を有する。このペプチドは、トリペプチド発色性基質(tripeptide chromogenic substrates),第V因子または第X因子に対してはタンパク分解活性を阻害しない。
テアーゼ活性の触媒部位またはその近くの高い親和性部位と2番目のアニオン性の外の部位(anionic exosite))で速度論的にトロンビンに結合することが示されている。アニオン性の外の部位はまた、フィブリノーゲン、ヘパリン、TM、および恐らく血小板と内皮細胞の活性化の媒介に関係するリセプターにも結合する。C末端ヒルジンペプチド(これはトロンビンとの共結晶化によりアニオン性の外の部位で結合することが示された)は、恐らくこの部位での結合に競合することにより、フィブリン形成、血小板と内皮細胞の活性化、およびTM結合を介するプロテインCの活性化に阻害効果を有する。このペプチドは、トリペプチド発色性基質(tripeptide chromogenic substrates),第V因子または第X因子に対してはタンパク分解活性を阻害しない。
トロンビンの構造は、そのアニオン性の外の部位により、核酸結合の特に望ましい標的になっている。この部位での部位特異的突然変異誘発は、フィブリノーゲン−凝血とTM結合活性が分離可能なものであることを示した。恐らく、トロンビンとどのように相互作用するか(すなわちそれが真似をする基質)に依存して凝血促進および/または抗凝固効果を有するRNAリガンドを選択されるのであろう。
トロンビンの1本鎖DNAリガンドは、セレックスと同一の方法により調製された。ボック(Bock)ら(1992) Nature 355:564を参照のこと。コンセンサスリガンドは比較的少ない回転のセレックスを実行後に同定され、これはインビトロの凝血形成を妨げる能力を有することが証明された。このリガンドは、本明細書ではG15D(配列ID番号:1)と呼ぶ、15塩基のDNA 5’GGTTGGTGTGGTTGG−3’である。その1次配列の対称性は、G15Dが規則的な固定された3次構造を有することを示唆する。トロンビンへのG15DのkDは、約2×10−7である。抗凝固物質としての有効なトロンビン阻害のためには、トロンビンへのリガンドの親和性が強いほど良い。塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)は、間充織と神経外胚葉由来の多くの細胞にとっての多官能性エフェクターである(リフキンとモスカテリ(Rifkin & Moscatelli)(1989) J.Cell Biol.109:1;ベアードとボーレン(Baird & Bohlen)(1991) Peptide Growth Factors and Their Receptors(スポーン,M.B.とロバーツ,A.B.(Sporn,M.B. & Roberts,A.B.)編);369−418ページ、スプリンガー社(Springer)、ニューヨーク;バシリコとモスカテリ(Basilico & Moscatelli)(1992) Adv.Cancer Res. 59:115)。これは、酸性FGF(ジェイ(Jaye)ら(1986) Science 233:541;アブラハム(Abraham)ら(1986) Science 233:545)、int−2(ムーア(Moore)ら(1986) EMBO J. 5:919)、kFGF/hst/KS3(デリ−ボビ(Delli−Bovi)ら(1987) Cell 50:729;タイラ(Taira)ら(1987) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2980)、FGF−5(ザン(Zhan)ら(1988) Mol.Cell.Biol. 8:3487)、FGF−6(マリックス(Marics)ら(1989) Oncogene 4:335)およびケラチン生成細胞増殖因子/FGF−7(フィンチ(Finch)ら(1989) Science 245:752)をも含む関連タンパクのファミリーの内で、最も検討された、そして最もよく性状解析されたメンバーの1つである。
インビトロで、bFGFは細胞の増殖、遊走、プラスミノーゲンアクチベーターとコラゲナーゼ活性の誘導を刺激する(プレスタ(Presta)ら(1986) Mol.Cell.Biol. 6:4060;モスカテリら(1986) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2091;ミグナッチ(Mignatti)ら(1989) J.CellBiol. 108:671)。インビボで、これは新血管新生の
最も強力な誘導物質の1つである。そのインビボの血管新生活性は、組織修復と創傷治癒だけでなく、病的な新血管新生により特徴付けられる疾患の状態(例えば腫瘍の増殖、腫瘍の転移、糖尿病性網膜症および慢性関節リウマチ)においでの役割をも示唆する(フォークマンとクラグスブルン(Folkman & Klagsbrun)(1987) Science 235:442;ゴスポダロビッツ(Gospodarowitz)(1991) Cell Biology Reviews 25:307)。
最も強力な誘導物質の1つである。そのインビボの血管新生活性は、組織修復と創傷治癒だけでなく、病的な新血管新生により特徴付けられる疾患の状態(例えば腫瘍の増殖、腫瘍の転移、糖尿病性網膜症および慢性関節リウマチ)においでの役割をも示唆する(フォークマンとクラグスブルン(Folkman & Klagsbrun)(1987) Science 235:442;ゴスポダロビッツ(Gospodarowitz)(1991) Cell Biology Reviews 25:307)。
bFGFは分泌のためのシグナル配列を持たないが、恐らくエキソサイトーシスにより運ばれて原形質膜の両側に見い出される(プロダブスキー(Vlodavsky)ら(1991) Trends Biol.Sci. 16:268;ミグナッチとリフキン(1991)J.Ce11.Biochem. 47:201)。細胞外マトリックスでは、これは典型的には、ヘパラン硫酸プロテオグリカンを含有する分画と会合している。実際ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーは、これと他のヘパリン結合増殖因子の精製に有用な方法である。bFGFは、細胞培養では低親和性部位と高親和性部位に結合する。低親和性部位は、bFGFが約ナノモルの親和性で結合する、細胞に会合したヘパラン硫酸プロテオグリカンよりなる(モスカテリ(1987) J.Cell.Physiol. 131:123)。bFGFの全ての生物学的効果は、二量体チロシンキナーゼFGFリセプターである高親和性結合部位(10−100 pM)との相互作用により媒介される(ウエノ(Ueno)ら(1992) J.Biol.Chem. 267:1470)。現在までに5つのFGFリセプター遺伝子が同定されており、その各々が別のmRNAスプライシングの結果として数種の構造変異体を産生できる(アームストロング(Armstrong)ら(1992) Cancer Res. 52:2004;ウエノら(1992)上記)。これまでに、低親和性結合部位と高親和性結合部位がbFGFの全体の親和性を決定するのに協同して作用するというかなりの証拠がある。グリコサミノグリカン合成に欠損のある変異体細胞株(ヤヨン(Yayon)ら(1991) Cell 64:841)またはヘパリチナーゼ(heparitinase)処理細胞(ラプレーガー(Rapraeger)ら(1991) Science 252:1705)を用いた実験は、細胞に会合したヘパラン硫酸またはこれが無い状態で、bFGFに外から添加したヘパリンの結合にはチロシンキナーゼリセプターを介してのシグナルが必要であることを証明した。観察されたKdを速度論成分に分解した最近の結果は、低親和性部位と高親和性部位へのbFGFの会合速度は同等であるが、細胞表面リセプターからのbFGFの解離速度は、細胞に会合したヘパラン硫酸に比べて23倍遅いことを示している(ヌーゲントとエーデルマン(Nugent & Edelman)(1992) Biochemistry 31:8876)。しかし、遅い解離速度はリセプターが細胞表面に結合している時にのみ観察され、これは両部位への同時結合が全体の高親和性結合に寄与していることを示唆している。これは、最近解けたbFGFのX線結晶構造から決定されたように、ヘパリン結合部位とリセプター結合部位が、分子の近くではあるが分離した領域に位置するという観察結果を考えると、ありうることである(ザング(Zhang)ら(1991)Proc.Nat1.Acad.Sci.USA 88:3446;エリクソン(Eriksson)ら(1991) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:3441;アゴ(Ago)ら(1991) J.Biochem.
110:360;ズー(Zhu)ら(1991) Science 251:90)。
110:360;ズー(Zhu)ら(1991) Science 251:90)。
bFGF拮抗物質が有用な薬剤応用を有するというアイデアは、新規なものではない(ゴスポダロビッツ(Gospodarowicz)(1991)上記に総説)。今ではbFGFは、血管損傷に続く平滑筋細胞の病変の進展に中心的な役割を果たすことが知られている(レイディー(Reidy)らCirculation、追補III86:III−43)。bFGF(およびFGFファミリーの他のメンバー)の過剰発現は、多くの悪性疾患に相互に関係し(パラバン(Halaban)ら(1991) Ann.N.Y.Acad.Sci. 638:232;タカハシ(Takahashi)ら(1990)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:5710;フジモト(Fujimoto)ら(1991) Biochem.Biophys.Res.Commun. 180:386)、そして最近、中和活性抗bFGF抗体が、腫瘍に関連した血管新生を阻害することによりインビボで固形腫瘍増薙を抑制することが見い出された(ポリ(Hori)ら(1991) Cancer Res. 51:6180)。この点に関して注目すべきことは、公知の抗原虫活性を有するポリ硫酸化ナフタレン誘導体であるスラミン(suramin)の、抗腫瘍剤としての最近の治療試験である。スラミンは、ポリアニオン結合部位に結合して、増殖因子のリセプターとの相互作用を破壊することにより、bFGFの活性を阻害すると考えられている(ミッドー(Middaugh)ら(1992) Biochemistry 31:9016;エリクソンら(1992)上記)。多くの副作用と実質的な毒性を有することに加えて、スラミンは他の数種のヘパリン結合増殖因子と相互作用し、これにより有益な臨床効果を特異的薬剤一タンパク相互作用に結びっけることを困難にしている(ラ・ロッカ(La Rocca)ら(1990) Cancer Cells 2:106)。あるヘパリン製剤の抗血管新生の性質も観察され(フォークマン(Folkman)ら(1983) Science 221:719;クルム(Crum)ら(1985) Science 250:1375)、これらの効果は恐らく少なくとも一部は、これらのbFGFシグナルに干渉する能力に基づいている。bFGF結合に寄与する特定のヘパリン画分は、現在部分的に解明されている(イシャイ−ミカエリ(Ishai−Michaeli)ら(1992) Biochemistry 31:2080;ターンブル(Turnbull)ら(1992) J.Biol.Chem. 267:10337)が、典型的なヘパリン製剤はサイズ、硫酸化の程度およびイズロン酸(iduronic acid)含有量の点で不均一である。さらに、ヘパリンは多くの酵素と増殖因子にも影響を及ぼす。従って、モノクローナル抗体を除いて、bFGFの特異的拮抗物質は知られていない。
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:5710;フジモト(Fujimoto)ら(1991) Biochem.Biophys.Res.Commun. 180:386)、そして最近、中和活性抗bFGF抗体が、腫瘍に関連した血管新生を阻害することによりインビボで固形腫瘍増薙を抑制することが見い出された(ポリ(Hori)ら(1991) Cancer Res. 51:6180)。この点に関して注目すべきことは、公知の抗原虫活性を有するポリ硫酸化ナフタレン誘導体であるスラミン(suramin)の、抗腫瘍剤としての最近の治療試験である。スラミンは、ポリアニオン結合部位に結合して、増殖因子のリセプターとの相互作用を破壊することにより、bFGFの活性を阻害すると考えられている(ミッドー(Middaugh)ら(1992) Biochemistry 31:9016;エリクソンら(1992)上記)。多くの副作用と実質的な毒性を有することに加えて、スラミンは他の数種のヘパリン結合増殖因子と相互作用し、これにより有益な臨床効果を特異的薬剤一タンパク相互作用に結びっけることを困難にしている(ラ・ロッカ(La Rocca)ら(1990) Cancer Cells 2:106)。あるヘパリン製剤の抗血管新生の性質も観察され(フォークマン(Folkman)ら(1983) Science 221:719;クルム(Crum)ら(1985) Science 250:1375)、これらの効果は恐らく少なくとも一部は、これらのbFGFシグナルに干渉する能力に基づいている。bFGF結合に寄与する特定のヘパリン画分は、現在部分的に解明されている(イシャイ−ミカエリ(Ishai−Michaeli)ら(1992) Biochemistry 31:2080;ターンブル(Turnbull)ら(1992) J.Biol.Chem. 267:10337)が、典型的なヘパリン製剤はサイズ、硫酸化の程度およびイズロン酸(iduronic acid)含有量の点で不均一である。さらに、ヘパリンは多くの酵素と増殖因子にも影響を及ぼす。従って、モノクローナル抗体を除いて、bFGFの特異的拮抗物質は知られていない。
発明の要約
本発明は、核酸リガンドを同定し産生する方法、およびこうして同定し産生された核酸リガンドを含む。上述のセレックス法は、特定の標的に対する単一の核酸リガンドまたは核酸リガンドのファミリーの同定を可能にする。本発明の方法は、改良された核酸リガンドを同定し産生するための、セレックスにより得られた核酸リガンドまたは核酸リガンドのファミリーの分析を可能にする。
本発明は、核酸リガンドを同定し産生する方法、およびこうして同定し産生された核酸リガンドを含む。上述のセレックス法は、特定の標的に対する単一の核酸リガンドまたは核酸リガンドのファミリーの同定を可能にする。本発明の方法は、改良された核酸リガンドを同定し産生するための、セレックスにより得られた核酸リガンドまたは核酸リガンドのファミリーの分析を可能にする。
本発明には核酸リガンドの3次元構造を決定する方法も含まれる。このような方法は、数学的モデル化とセレックス由来のリガンドの構造修飾を含む。さらに本発明には、リガンドの3次元構造を維持するのにどの核酸残基が必要か、そしてどの残基が標的と相互作用してリガンドー標的結合対の形成を促進するかを、決める方法も含まれる。本発明の1つの実施態様では、標的の1つまたはそれ以上の生物学的活性を阻害する能力により核酸リガンドが好ましい。このような場合、核酸リガンドが目的の生物学的活性を有効に阻害するかどうかを決めるための方法が与えられる。
さらに、薬剤または診断目的に使用するための、より強く結合するRNAリガンド、およびより小さく、より安定なリガンドを同定する方法も、本発明に含まれる。
本発明はHIV−RTとHIV−1 Revタンパクに対する改良された核酸リガンドを含む。また本発明は、特に本明細書で同定された核酸リガンドと実質的に相同であり、そして実質的にこれと同一のHIV−RTまたはHIV−1 Revタンパクに結合する能力を有する核酸配列も含む。
本発明はHIV−RTとHIV−1 Revタンパクに対する改良された核酸リガンドを含む。また本発明は、特に本明細書で同定された核酸リガンドと実質的に相同であり、そして実質的にこれと同一のHIV−RTまたはHIV−1 Revタンパクに結合する能力を有する核酸配列も含む。
また本発明の範囲には、辱伸長した核酸リガンドを同定するための連続的なセレックス
実験を実施する方法も含まれる。特に、HIV−RTに対する伸長した核酸リガンドが開示される。伸長したHIV−RT核酸リガンドと実質的に相同であり、そして実質的にこれと同一のHIV−RTに結合する能力を有する核酸配列もまた、本発明に含まれる。
実験を実施する方法も含まれる。特に、HIV−RTに対する伸長した核酸リガンドが開示される。伸長したHIV−RT核酸リガンドと実質的に相同であり、そして実質的にこれと同一のHIV−RTに結合する能力を有する核酸配列もまた、本発明に含まれる。
本発明の範囲にはHIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンドが含まれる。さらに具体的には、tatタンパクに結合できるRNA配列が同定されている。図26と27に示される核酸リガンドの解が、本発明に含まれる。
さらに、a)核酸の候補混合物を調製し;b)該候補混合物のメンバーをtatタンパクに対する親和性に基づいて分画し;そしてC)選択された分子を増幅して、tatタンパクに対して相対的に高い結合親和性を有する核酸配列が濃縮された、核酸の混合物を得る工程よりなる、HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンドとリガンドの解を同定する方法が、本発明に含まれる。
さらにトロンビンに対する核酸リガンドが、本発明に含まれる。さらに具体的には、トロンビンに結合できるRNA配列が同定されている。本発明には図29と30に示される核酸リガンドの解が含まれる。
さらに、a)核酸の候補混合物を調製し;b)該候補混合物のメンバーをトロンビンに対する親和性に基づいて分画し;そしてc)選択された分子を増幅して、トロンビンへの相対的に高い結合親和性を有する核酸配列が濃縮された、核酸の混合物を得る工程よりなる、トロンビンに対する核酸リガンドとリガンドの解を同定する方法が、本発明に含まれる。
さらに具体的には、本発明は、図29に示したリガンド(配列ID番号:137−155)を含む、上述の方法により同定されたトロンビンに対するRNAリガンドを含む。さらに本発明には、任意の特定のリガンドと実質的に相同であり、そして実質的に同一のトロンビンに結合する能力を有する、トロンビンに対するRNAリガンドも含まれる。さらに本発明には、本明細書に記載されたリガンドと実質的に同一の構造を有し、そして実質的に同一のトロンビンに結合する能力を有する、トロンビンに対するRNAリガンドが含まれる。
さらに本発明には、bFGFに対する核酸リガンドが含まれる。具体的には、bFGFに特異的に結合できるRNA配列が提供される。本発明には表II−IV(配列ID番号:27−89)に示される核酸リガンド配列が含まれる。
また本発明には、bFGFの阻害物質である、bFGFの核酸リガンドも含まれる。具体的には、リセプターへのbFGFの結合を阻害するRNAリガンドが同定され、記載される。
さらに本発明には、a)核酸の候補混合物を調製し;b)該候補混合物のメンバーをbFGFに対する親和性に基づいて分画し;そしてc)選択された分子を増幅して、bFGFへの相対的に高い結合親和性を有する核酸配列が濃縮された、核酸の混合物を得る工程よりなる、bFGFに対する核酸リガンドとリガンド配列を同定する方法が含まれる。
さらに具体的には、本発明は表II−IVに示したリガンドを含む、上述の方法により同定されたbFGFに対するRNAリガンドを含む。さらに本発明には任意の特定のリガンドと実質的に相同であり、そして実質的に同一のbFGFに結合する能力を有する、bFGFに対するRNAリガンドも含まれる。さらに本発明には、本明細書に記載されたリガンドと実質的に同一の構造を有し、そして実質的に同一のbFGFを阻害ずる能力を有
する、bFGFに対するRNAリガンドが含まれる。
する、bFGFに対するRNAリガンドが含まれる。
本発明はまた、本明細書で同定された核酸リガンド配列に基づく修飾ヌクレオチド配列とその混合物も含む。具体的には、RNAリガンドのインビボ安定性を増加させるために、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置を修飾した、RNAリガンドが本発明に含まれる。塩基配列の特異的変化、および核酸または非核酸部分の原化合物への付加を含む、RNAリガンドに対する他の修飾が本発明に包含される。
好ましい実施態様の詳細な説明
本出願は、セレックスと呼ばれる核酸リガンドを同定するための方法の拡張と改良である。セレックス法は、「核酸リガンド」という標題で1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号、および「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化」という標題で1990年6月11日に出願された合衆国特許出願番号07/536,428号、および「核酸リガンド」という標題で1991年12月26日に公開されたPCT特許出願公開WO91/19813号に詳細に記載されている。これらの出願の全文は、セレックス方法の定義と説明を含めて(しかしこれに制限されない)、参照により具体的に本明細書に取込まれている。
本出願は、セレックスと呼ばれる核酸リガンドを同定するための方法の拡張と改良である。セレックス法は、「核酸リガンド」という標題で1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号、および「指数的濃縮によるリガンドの系統的進化」という標題で1990年6月11日に出願された合衆国特許出願番号07/536,428号、および「核酸リガンド」という標題で1991年12月26日に公開されたPCT特許出願公開WO91/19813号に詳細に記載されている。これらの出願の全文は、セレックス方法の定義と説明を含めて(しかしこれに制限されない)、参照により具体的に本明細書に取込まれている。
本出願は、基本的セレックス方法に基づく、改良された核酸リガンドを同定し産生するための方法を含む。本出願は、本発明の下記の実施態様を包含する異なるセクションを含む:I.セレックス方法;II.セレックスを実施した後の改良された核酸リガンドを同定する技術;III.連続セレックス実験−ウォーキング法(walking);IV.共分散分析によるリガンドの構造の解明;V.HIV−RTの改良された核酸リガンドの解明(実施例1);VI.伸張された核酸リガンドを同定するためのHIV−RT核酸リガンドを用いるウォーキング法実験の実行;およびVII.HIV−1 Revタンパクの改良された核酸リガンド(実施例2);HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド(実施例3);トロンビンへの核酸リガンド(実施例4);およびbFGFに対する核酸リガンド(実施例5)の解明。
HIV−RTとHIV−1 Revタンパクに対する改良された核酸リガンドが、本明細書に開示され、特許請求される。本発明は、本明細書中で同定された特異的核酸リガンドを含む。本発明に包含されるリガンドの範囲は、本明細書中で記載される方法により同定されたHIV−RTとRevタンパクの全てのリガンドに拡大される。さらに具体的には、本発明は、本明細書・中で同定された核酸リガンドと実質的に相同であり、生理的条件下でHIV−RTまたはRevタンパクに結合する、実質的にこれらと同一の能力を有する核酸配列を含む。実質的に相同とは、相同の程度が70%以上、最も好ましくは80%以上であることを意味する。実質的に相同とはまた、塩基対形成領域を含む核酸リガンドの領域で20の塩基対フリップ(flips)も含む。HIV−RTまたはRevタンパクに結合する実質的に同一の能力とは、親和性が本明細書中で記載された核酸リガンドの親和性の大きさと2桁の範囲内にあり、そして好ましくは1桁の大きさの範囲内にあることを意味する。ある配列が、本明細書中で同定された配列と実質的に相同であり、HIV−RTまたはRevタンパクに結合する実質的にこれらと同一の能力を有するかどうかを決定することは、当業者にとって特別難しいことではない。
I.セレックス方法.
最も基本的な形では、セレックス方法は以下の一連の工程により定義される:
1)異なる配列の核酸の候補混合物を調製する。候補混合物は、一般に固定配列の領域(すなわち、候補混合物の各メンバーは同一位置に同一配列を含有する)とランダム化した配列を含む。固定配列領域は、a)以下に記載される増幅工程を援助するため;b)標
的に結合することが公知の配列の模倣を促進するため;またはc)候補混合物中の、特定の構造配置の核酸の濃度を上昇させるために、選択される。ランダム化された配列は、完全にランダム化(例えば、任意の位置の塩基を見い出す確率が4分の1)されるか、または一部のみがランダム化(例えば、任意の位置の塩基を見い出す確率が0と100パーセントの間の任意のレベルを選択されうる)ざれていてよい。
最も基本的な形では、セレックス方法は以下の一連の工程により定義される:
1)異なる配列の核酸の候補混合物を調製する。候補混合物は、一般に固定配列の領域(すなわち、候補混合物の各メンバーは同一位置に同一配列を含有する)とランダム化した配列を含む。固定配列領域は、a)以下に記載される増幅工程を援助するため;b)標
的に結合することが公知の配列の模倣を促進するため;またはc)候補混合物中の、特定の構造配置の核酸の濃度を上昇させるために、選択される。ランダム化された配列は、完全にランダム化(例えば、任意の位置の塩基を見い出す確率が4分の1)されるか、または一部のみがランダム化(例えば、任意の位置の塩基を見い出す確率が0と100パーセントの間の任意のレベルを選択されうる)ざれていてよい。
2)候補混合物を、標的と候補混合物のメンバー間の結合に都合のよい条件下で、選択された標的に接触させる。これらの状況下では、標的と候補混合物の核酸間の相互作用により、標的と、標的に対する最も強力な親和性を有する核酸との間の核酸一標的対を形成すると考えられる。
3)標的に対して最も高い親和性を有する核酸は、標的に対して低い親和性を有する核酸から分画される。高親和性核酸に相当する極く少数の配列(おそらく1分子の核酸)しか候補混合物中に存在しないため、一般に、分画中かなりの量(約5−50%)の核酸が候補混合物に残るように、分画の基準を設定することが必要である。
4)分画中、標的に対して相対的に高い親和性を有するとして選択された核酸は次に、標的に対して比較的に高い親和性を有する核酸中で濃縮される新規な候補混合物を生成させるたあに増幅される。
5)前述の分画と増幅工程を繰り返すことにより、新規に形成される候補混合物のユニークな配列の割合は徐々に少なくなり、標的に対する核酸の親和性の平均の程度は一般に上昇する。極言すれば、セレックス方法は、標的分子に対する最も高い親和性を有する、元の候補混合物からの核酸である1つあるいは少数のユニークな核酸を含有する候補混合物を生成する。
セレックス特許出願は、この方法を非常に詳細に記載している。ここには、この方法に使用することができる標的;最初の候補混合物の調製方法;候補混合物内の核酸を分画する方法;および分画した核酸を増幅して濃縮した候補混合物を生成する方法も含まれる。セレックス特許出願はまた、核酸結合タンパクであるタンパクとそうでないタンパクの両者を含む、多くの標的種に対して得られたリガンド溶液を記載している。
セレックスは、標的分子の高親和性リガンドを提供する。これは、核酸研究の分野で前例のない、非凡な功績を表す。本発明は、目的の特徴を有する新規な核酸リガンドを開発するために、セレックスによるリガンド溶液を取る方法に関する。特定の核酸リガンドについての目的の特徴は種々である。全ての核酸リガンドは、標的種と複合体を形成することができる。ある場合には、核酸リガンドは標的の1つまたはそれ以上の生物活性を修飾するように作用することが好ましい。他の場合には、核酸リガンドは標的の存在を同定するのに役立ち、そして標的の生物活性に及ぼす効果は無関係である。
II.セレックス実施後の改良された核酸リガンドを同定する技術。
II.セレックス実施後の改良された核酸リガンドを同定する技術。
薬剤としての使用に好ましい核酸を産生するために、核酸リガンドは、1)標的に対して目的の効果を達成できる方法で標的に結合し;2)目的の効果を得るために可能な限り小さく;3)可能な限り安定であり;そして4)選択された標的に特異的なリガンドであることが好ましい亀全てではないが、ほとんどの状況で、核酸リガンドが標的に対して可能な限り最も高い親和性を有することが好ましい。治療中の分解とその場でのクリアランスに対する抵抗性、種々の組織あるいは細胞膜障壁を超える能力、または標的分子に対する親和性を有意に妨害しない他の付加的な特性を与えるリガンドの修飾または誘導体化も、改良として与えられてよい。本発明は、セレックス実施後の改良された核酸リガンドを入手する方法を含む。
標的分子機能に及ぼすリガンド効果の測定。セレックスにより得られた核酸リガンドの用途の1つは、標的分子の機能に変化させるリガンドを見い出すことである。リガンド分析はセレックス濃縮の間に遭遇するよりもはるかに多くの作業を要するため、まず標的タンパクの機能の阻害または増強を最初に測定するのは良い方法である。クローニングと配列決定の前に、組み合わせたリガンドプールのこのような機能試験を実行することもできる。選択された標的の生物学的機能についての測定は、一般に当業者に利用可能で公知であり、核酸リガンドの存在下で阻害が起こるかどうか決定することを容易に実施できる。
リガンドの親和性測定。セレックス濃縮は、標的分子に対するおそらく種々の親和性を有する多くのクローン化リガンドを与える。配列比較は、モチーフへのリガンドの分類を可能にする、コンセンサス2次構造と1次配列をもたらすかも知れない。クローン化配列の全集団中に単一のリガンド配列(いくらかの変異を有する)がしばしば見い出されるが、リガンドの配列クローン化集団中の単一のリガンド配列の表現の程度は、標的分子の親和性に絶対的には相関しない。従って、ただ多量にあることがセレックス後の「勝者」を判定する唯一の基準ではなく、配列比較により到達するコンセンサスの重要性を重み付けるために、種々のリガンド配列(配列分析により見つけられる各モチーフを適切に定義する)についての結合測定が必要である。配列比較と親和性測定の組み合わせが、さらに拡大したリガンドの性状解析のための候補の選択へと導くはずである。
情報境界測定。特異的親和性に相当する配列の量を決定するための重要な接近手段は、リガンド配列中のその情報の境界を確立することである。これは便利には、情報の5’と3’境界が見つけられるように、加水分解された目的のリガンドのプールから、末端標識した断片を選択することにより達成される。3’境界を決定するために、PCRリガンドのインビトロ大規模転写を実施して、増強スクリーン上へのUV遮蔽を使用してRNAをゲル精製し、精製されたRNAをホスファターゼ処理し、充分にフェノール抽出し、32Pでキナーゼにより標識し、そして標識産物をゲル精製する(ガイドとしてゲルのフィルムを使用する)。生じた産物は、次にリボヌクレアーゼ(RNase)T1による予備的部分消化(異なる酵素濃度と時間で、7M尿素、50mMクエン酸ナトリウム、pH5.2の緩衝液中で50℃で)と、アルカリ性加水分解(50mMNaCO3で、1M重炭酸と炭酸溶液を予め混合することによりpH9.0に調整して;95℃で20から60分間の範囲で試験)を行う。一旦アルカリ性加水分解の最適条件が確立すると(従って小断片から大断片まで等しく分散する)、スケールアップして標的による選択のために十分な物質を得ることができる(通常はニトロセルロースフィルターで)。次に、標的タンパク濃度を最も低い飽和タンパク濃度から、リガンドの結合測定により測定された約10%のRNAが結合するタンパク濃度まで変化させて、結合測定を組み立てる。標的の絶対量を減らすよりは(標的の供給が許すならば)むしろ容量を増やすことにより標的濃度を変化させるべきである;フィルターに結合するRNAの量は標的の絶対量により制限されるため、これは良好なシグナル対ノイズ比を与える。RNAはセレックスにおけるように溶出され、次にT1部分消化物と一緒に変性ゲルに流され、従って加水分解バンドの位置がリガンド配列に関係づけることができる。
5’境界は同様に決定される。大規模なインビトロ転写物が上述のように精製される。RNAの3’末端を標識する1つの方法がある。1つの方法は32PでCpをキナーゼ処理(または32P−Cpを購入する)し、RNAリガーゼで精製されたRNAに結合させる。次に標識したRNAを前述のとおり精製して、同一の実験を行う。もう1つの方法は、未標識RNAを部分アルカリ性加水分解して、バンド位置の測定としてアニーリングし、標識したプライマーを逆転写酵素で伸長させることである。pCp標識法に対する利点の1つは、方法の簡便性、境界と相互に関連させることができるより完全なラダー配列決定(ジデオキシ鎖終末配列決定による)、および測定可能な産物量が多いことである。不
利な点は、溶出したRNAの伸長は、時々人工的な停止を含有することであるため、洗浄なしで出発物質をニトロセルロースフィルター上にスポットし、溶出し、投入RNAとして測定することにより制御することが重要である。
利な点は、溶出したRNAの伸長は、時々人工的な停止を含有することであるため、洗浄なしで出発物質をニトロセルロースフィルター上にスポットし、溶出し、投入RNAとして測定することにより制御することが重要である。
その結果、標的に結合する高親和性に要する配列情報の境界を見い出すことが可能である。
教示的な例は、HIV−RTの核酸リガンドに見い出される情報の境界の測定である。(1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号と、「核酸リガンド」という標題の1991年12月26日に公開されたPCT特許出願WO91/19813号を参照のこと)。これらの実験は、以下に詳しく記載される。濃縮RNAの元のプールは、HIV−RTへの少数の特異的リガンドをもたらした(1つのリガンドである1.1は全集団の1/4を占め、ニトロセルロース親和性配列は1/2を、そして少数のRNAはそのどちらにも親和性がなかった)。2つの高親和性RTリガンドは、配列...UUCCGNNNNNNNNCGGGAAAA....(配列ID番号:6)を共有していた。両リガンドの境界実験は、明白な3’境界と、やや明白さに欠ける5’境界を確立した。境界実験と2次セレックス実験から、最も高親和性のリガンドは、必須情報 UCCGNNNNNNNNCGGGAAAAN’N’N’N’(配列ID番号:7)(ここでN’は、UCCGのCGGGへの対生成により形成されるヘアピンの8塩基ループ配列中のNに対する塩基対)を含有し、5’Uは小さな欠失があっても親和性には重要でないことが推測される。本出願で、モデル化合物の構築により、1つだけの5’Uの配列は1つの5’U’のものに比べて親和性に差がない(1つのリガンドの比較により共有される)こと、両方のU’の除去は親和性に5倍の低下をもたらし、次のCの除去は親和性にさらに劇的な損失をもたらすことが確認された。境界実験で明白に見えた3’境界は、さほど顕著ではなかった。この新規な情報は、3’末端で重要なものは(軸1の1つの鎖間をループする配列に)少なくとも3つの塩基対のヌクレオチドを有することであるということを導き出すために使用できる。1つだけの塩基対ヌクレオチドでは、12倍の親和性低下をもたらす。3’塩基対ヌクレオチドがない場合(ループ2の末端で切った時)は、親和性は約70倍低下する。
教示的な例は、HIV−RTの核酸リガンドに見い出される情報の境界の測定である。(1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号と、「核酸リガンド」という標題の1991年12月26日に公開されたPCT特許出願WO91/19813号を参照のこと)。これらの実験は、以下に詳しく記載される。濃縮RNAの元のプールは、HIV−RTへの少数の特異的リガンドをもたらした(1つのリガンドである1.1は全集団の1/4を占め、ニトロセルロース親和性配列は1/2を、そして少数のRNAはそのどちらにも親和性がなかった)。2つの高親和性RTリガンドは、配列...UUCCGNNNNNNNNCGGGAAAA....(配列ID番号:6)を共有していた。両リガンドの境界実験は、明白な3’境界と、やや明白さに欠ける5’境界を確立した。境界実験と2次セレックス実験から、最も高親和性のリガンドは、必須情報 UCCGNNNNNNNNCGGGAAAAN’N’N’N’(配列ID番号:7)(ここでN’は、UCCGのCGGGへの対生成により形成されるヘアピンの8塩基ループ配列中のNに対する塩基対)を含有し、5’Uは小さな欠失があっても親和性には重要でないことが推測される。本出願で、モデル化合物の構築により、1つだけの5’Uの配列は1つの5’U’のものに比べて親和性に差がない(1つのリガンドの比較により共有される)こと、両方のU’の除去は親和性に5倍の低下をもたらし、次のCの除去は親和性にさらに劇的な損失をもたらすことが確認された。境界実験で明白に見えた3’境界は、さほど顕著ではなかった。この新規な情報は、3’末端で重要なものは(軸1の1つの鎖間をループする配列に)少なくとも3つの塩基対のヌクレオチドを有することであるということを導き出すために使用できる。1つだけの塩基対ヌクレオチドでは、12倍の親和性低下をもたらす。3’塩基対ヌクレオチドがない場合(ループ2の末端で切った時)は、親和性は約70倍低下する。
親和性への個々のヌクレオチドの貢献度の定量的および定性的評価。
2次セレックス。一旦最小の高親和性リガンド配列が同定されると、それは標的分子との相互作用に決定的な境界内のヌクレオチドを同定するのに有用である。1つの方法は、高親和性リガンド配列の全てのヌクレオチドが部分的にランダム化されているか、またはランダム化が異なるブロックに完全にランダムなプロックが散在している、新規ランダム鋳型を作ることである。このような「2次」セレックスは、決定的なヌクレオチドまたは構造が絶対的に保存されていて、さほど決定的でない特徴は優先され、そして重要でない位置は不偏である、リガンド配列のプールを生成する。こうして2次セレックスは、比較的少数のリガンド配列に基づくコンセンサスをさらに精巧に作り上げるのを助ける。さらに、元のセレックスでは未定の配列を有する高親和性リガンドでさえ、提供されることもある。
2次セレックス。一旦最小の高親和性リガンド配列が同定されると、それは標的分子との相互作用に決定的な境界内のヌクレオチドを同定するのに有用である。1つの方法は、高親和性リガンド配列の全てのヌクレオチドが部分的にランダム化されているか、またはランダム化が異なるブロックに完全にランダムなプロックが散在している、新規ランダム鋳型を作ることである。このような「2次」セレックスは、決定的なヌクレオチドまたは構造が絶対的に保存されていて、さほど決定的でない特徴は優先され、そして重要でない位置は不偏である、リガンド配列のプールを生成する。こうして2次セレックスは、比較的少数のリガンド配列に基づくコンセンサスをさらに精巧に作り上げるのを助ける。さらに、元のセレックスでは未定の配列を有する高親和性リガンドでさえ、提供されることもある。
本出願で我々は、HIV−1 Revタンパクのリガンドのこのような偏ったランダム化を示す。1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号と、「核酸リガンド」という標題の1991年12月26日に公開されたPCT特許出願WO91/19813号で、HIV−1 Revタンパクに対する核酸リガンドが記載された。これらのリガンド配列の1つは、他の全てのリガンド配列よりも高い親和性で結合した(図12に示されるRevリガンド配列6a)が、クローンされ配列決定された53単離体中1つだけのコピーとして存在した。本出願で、6a配列の(RevリガンドモチーフIの他のものへの相同性により定義されるRevタンパク結合部位からなる部分の配列に限定された)各ヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド合成の間に他の3つのヌクレ
オチドと62.5:12.5:12.5:12.5の比で混合された、2次セレックス実験に、この配列は組み込まれた。例えば、オリゴ合成中に位置G1にこの配列が組み込まれると、G、A、T、およびCの試薬は62.5:12.5:12.5:12.5の比で混合される。Revタンパクを使用して6回のセレックスの後に、さらに包括的なコンセンサスした記述が得られるように、この混合物からリガンドをクローン化した。
オチドと62.5:12.5:12.5:12.5の比で混合された、2次セレックス実験に、この配列は組み込まれた。例えば、オリゴ合成中に位置G1にこの配列が組み込まれると、G、A、T、およびCの試薬は62.5:12.5:12.5:12.5の比で混合される。Revタンパクを使用して6回のセレックスの後に、さらに包括的なコンセンサスした記述が得られるように、この混合物からリガンドをクローン化した。
ヌクレオチド置換。別の方法は、セレックスのコンセンサスが混乱する場合に、オリゴ転写した変異体を試験することである。前述のとおり、これは、HIV−RTを結合するのに必要な情報の5’と3’境界の性質を理解する助けとなった。添付した実施例に示すように、これは、HIV−RTにせ結び目の軸1内でヌクレオチドのコンセンサスを定量する助けとなった。
化学修飾。別の1組の有用な技術が、化学修飾実験として包括的に記載される。このような実験は、変性した状態の修飾パターンと非変性のものを比較することにより、RNAの非変性構造を探るために使用される。次に標的分子に結合されることになるRNAリガンドの化学修飾パターンは、非変性パターンとは異なり、標的分子の結合による構造の変化、または標的分子による基の保護を示している。さらに、リガンドの結合構造に決定的な位置でまたは標的分子との相互作用に決定的な位置で修飾されると、標的分子はRNAリガンドに結合しない。これらの位置が同定されるこのような実験は、「化学修飾妨害」実験として記載される。
当業者に公知の、このような実験を行うための種々の利用可能な試薬がある(アーレスマン(Ehresmann)ら(1987) Nuc.Acids.Res. 15:9109を参照のこと)。塩基を修飾する化学物質は、リガンドRNAを修飾するために使用できる。リガンドのプールは種々の濃度で標的に結合し、結合したRNAは(ほとんど境界実験の場合のように)回収され、溶出されたRNAは修飾について分析される。測定は、逐次の修飾依存性の塩基の脱離および塩基のない位置でのアニリン切断であるか、あるいは感受性のある(修飾された)位置の逆転写測定法による。このような測定法では、標的タンパクで選択したRNA中の他のバンドに対して消失する未選択のRNA中の(修飾された塩基を示す)バンドが、現れたりする。エチルニトロソ尿素による同様の化学修飾、または混合した化学的合成、あるいは例えばリボースの2’−メトキシまたはホスホロチオエート(phosphorothioate)による酵素的合成が、基本骨格上の必須な原子団を同定するたあに使用できる。2’−メトキシ対2’−OH混合物を用いる実験では、本質的なOH基の存在は、標的により厳しく選択された分子の他の位置に関して加水分解の増大をもたらす。
リガンドに関する有用な情報を得、その機能的安定性を改良する努力を助けるための化学修飾の利用の例を、HIV−RTについて以下に示す。エチルニトロソ尿素修飾妨害により、修飾が結合を妨害した5つの位置と、劇的に妨害したこれらの位置の1つが同定された。リガンドの塩基上の種々の原子団の修飾もまた、HIV−RTとの相互作用に決定的であるとして同定された。これらの位置は主に5’らせん中、およびセレックス系統発生で高度に保存される架橋ループ配列(bridging loop sequence)(図1の軸Iとループ2)にあった。これらの実験は系統発生の有効性を確認しただけでなく、さらに安定なRNAを作るための進行中の試みに情報を与えた。基本骨格のリボース部分に全ての位置で2’−メトキシを有するRTリガンドが合成された。結合したこの分子はHIV−RTに対する親和性が劇的に低下した。先の修飾妨害実験とセレックス系統発生比較に基づいて、3’らせん(図1の軸II)は本質的にこの分子の構造成分であることが決定された。次にそのらせんの12のリボースi残基が2’−メトキシであるリガンドが合成され、これはHIV−RTに高親和性で結合した6残る14残基の2’−OHのいずれかが結合に特に必要であるかを調べるために、全てのリボースがにせ結び目
である分子を2’−OHと2’−メトキシ形成のための混合等モル(経験的に最適と決定した)試薬で合成した。この混合物からHIV−RTを選択した後、アルカリ性加水分解により、これらの位置に2’ヒドロキシルが支配的であることを示す増強された加水分解のバンドが現れる。この実験の解析により、HIV−RTへの高親和性結合のためには、残基(G4、A5、C13およびG14)は2’−OHを有さなければならないという結論が導かれた。
である分子を2’−OHと2’−メトキシ形成のための混合等モル(経験的に最適と決定した)試薬で合成した。この混合物からHIV−RTを選択した後、アルカリ性加水分解により、これらの位置に2’ヒドロキシルが支配的であることを示す増強された加水分解のバンドが現れる。この実験の解析により、HIV−RTへの高親和性結合のためには、残基(G4、A5、C13およびG14)は2’−OHを有さなければならないという結論が導かれた。
結合リガンドと未結合リガンドのバンドの強度の比較により、結合を妨害する修飾だけでなく、結合を増強する修飾も明らかになるかも知れない。正確にこの修飾でリガンドを作成し、親和性の増強について試験する。こうして化学修飾実験は、ちょうど「ウォーキング」(下記を参照のこと)が隣接ドメインとの追加的なヌクレオチドレベルの接触のだめであるように、標的分子との追加的な局所的接触を探索する方法でありえる。
セレックス方法の生成物の1つは、そのコンセンサスに基づく設計のオリゴヌクレオチドの化学合成または酵素的合成を可能にする、1次と2次構造のコンセンサスである。セレックスの複製機構はサブユニットレベル(例えばリボヌクレオチド)で、いくぶん変動が制限されていることが必要なため、このようなリガンドは標的分子の結合表面の利用可能な原子空間を不完全に満たす。しかしこれらのリガンドは、標的分子と追加的に接触するように誘導体化できる高親和性の骨格として考えることができる。さらに、コンセンサスは、結合に直接関係のある原子団記述子と、関係のある原子団相互作用に符合する原子団記述子を含有する。例えば、HIV−RTのにせ結び目リガンドの各リボヌクレオチドは、リボース上に2’ヒドロキシル基を含有するが、にせ結び目リガンドのリボースの1つだけはこの位置で2’−メトキシで置換できない。リボヌクレオチド混合物を有するデオキシリボヌクレオチド混合物を用いる同様な実験(2’−メトキシと2’ヒドロキシ混合物で行ったように)により、HIV−RT結合にとって重要でないリボースおよびその数が明らかになる。2’位をさらに極端な置換をした同様な実験により、2’位の許容される置換も明らかになる。この方法により、HIV−RTに対して高親和性を与えるにせ結び目リガンドの誘導体を見つけることができると予測される。このような誘導体化は、標的タンパクへ直接的な共有結合を特異的に可能にする架橋剤の使用を除外しない。このような誘導体化分析はリボースの2’位に限定されず、ヌクレオチドリガンドの塩基または基本骨格の任意の位置の誘導体化を含有する。
この分析を論理的に拡張すると、ポリマー性リガンドの1つまたは少数のヌクレオチドが、化学的誘導体探索のための部位として使用される状況になる。リガンドの残りの部分は、結合に対する非妨害性と親和性の増強が試験されるモノマー(またはモノマー群)を、きちんと繋ぎ止めるのに役立つ。このような探索により、最初のリガンドの骨組の構造をまね、その核酸の骨組とは独立の標的分子に対して有意で特異的な親和性を有する低分子が得られるであろう。大量生産、臨床上の投与経路、体内送達、クリアランスまたは分解の面で最初のセレックスリガンドに比べて利点を有する、このような誘導体化されたサブユニットは、治療薬になり元のリガンドの痕跡をほとんど残さない。すなわちこのアプローチはセレックスの追加的な有用性である。セレックスリガンドは、標的機能に重要であることが知られている標的分子上の定義された部位に向けられた化学探索を可能にしている。
構造決定。これらの努力は、HIV−RTに対するリガンドの配列と構i造依存性会合を確認し評価する助けになった。リガンド/標的分子複合体の原子レベルでの解析を可能にするために、別の方法が実施される。これらは、NMR分光学とX線結晶学である。そのような構造を手にして、次に、セレックスにより供給された進化したリガンドの改良として、合理的な設計をすることができる。核酸20構造のコンピューターモデル化は以下に記載される。
化学修飾。本発明は、リガンドのインビボの安定性を増強するために、あるいはリガンドの体内送達を促進または媒介するために、いくつかの化学修飾をされた核酸リガンドを含む。このような修飾の例は、特定のRNA配列のリボースおよび/またはリン酸位置での化学置換を含む。例えば、クック(Cook)らのPCT出願WO9203568号;シナジ(Schinazi)らの合衆国特許5,118,672号;ホッブス(Hobbs)ら(1973)Biochem. 12:5138;グシュルバウアー(Guschlbauer)ら(1977) Nucleic Acids Res. 4:1933;シバハル(Shibaharu)ら(1987) Nucl.Acids Res. 15:4403;ピーケン(Pieken)ら(1991) Science 253:314を参照のこと(これらは各々参考のため本発明に特に引用されている)。
III.連続セレックス実験−ウォーキング法
本発明の1つの実施態様では、ある標的について最小コンセンサスリガンド配列が決定された後に、この最小コンセンサスリガンド配列にランダム配列を追加して、標的とさらに(おそらく分離してはいるが隣接したドメインに)接触させることが可能である。この方法はセレックス特許出願では「ウォーキング法」と呼ばれている。HIV−RTに対する結合が増強されたリガンドを開発するため、ウォーキング法プロトコールの使用の成功例を以下に示す。
本発明の1つの実施態様では、ある標的について最小コンセンサスリガンド配列が決定された後に、この最小コンセンサスリガンド配列にランダム配列を追加して、標的とさらに(おそらく分離してはいるが隣接したドメインに)接触させることが可能である。この方法はセレックス特許出願では「ウォーキング法」と呼ばれている。HIV−RTに対する結合が増強されたリガンドを開発するため、ウォーキング法プロトコールの使用の成功例を以下に示す。
ウォーキング法実験は、連続して実施される1つのセレックス実験を含む。この候補混合物の各メンバーが、セレックス由来の核酸リガンドに対応する固定された核酸領域を有するように、新しい候補混合物が生成される。候補混合物の各メンバーはまた、配列のランダム化された領域も含有する。本方法により「伸長した」核酸リガンドと呼ばれるもの(これは標的の1つ以上の結合ドメインに結合する領域を含有する)を同定することが可能である。
IV.共分散分析によるリガンドの構造の解明
本発明は、核酸の3次元構造の決定のための経験的方法と共に、核酸リガンドの構造の決定のためのコンピューターモデル化方法を含む。
本発明は、核酸の3次元構造の決定のための経験的方法と共に、核酸リガンドの構造の決定のためのコンピューターモデル化方法を含む。
2次構造予測は、配列の整合を修正するための有用なガイドである。またこれは、A型らせんの外形中にいくつかの塩基を無理に入れることにより、3D構造予測を修正するための有用な手段である。
2次構造の安定性を計算するためのエネルギーパラメーターの表が存在する。初期の2次構造予測プログラムは、配列により形成される塩基対の数を単に最大にすることを試みたが、最も最近のプログラムは、これらの熱力学パラメーターにより計算される最小の自由エネルギーを有する構造を見い出そうとしている。このアプローチには1つの問題がある。第1に、熱力学の規則は、(典型的には10%位まで)本質的に不正確であって、全体の最小エネルギーの10%以内に多くの異なる可能な構造が存在する。第2に、実際の2次構造は、配列の折り畳みと合成の動力学に依存しており、全体の最小エネルギー状態に存在しない。それにも拘らず短い配列については、形成できる可能な構造が非常に限られているため、これらの警告はさして重要ではない。
力ずくの予測方法がドットープロットである:それ自体に対して配列のN×Nプロットを作り、塩基対が可能なところ全部にXの印をつける。Xの斜行路が、可能ならせんの位置を示す。次に包括的枝分かれ検索方法は、長さLまたはそれ以上の融和性のある(すなわち重複のない)らせんのすべての可能性の形態を検索して;これらの構造についてエネルギー計算をして、可能性の程度をランク付けする。この方法の利点は、にせ結び目配置
を含む全ての可能な形(トポロジー)が試験され、そしていくっかの次善の構造が自動的に生成されることである。この方法の欠点は、これが最悪の場合には、配列のサイズの指数関数因子に時間比例して作動して、全体の最小値を見い出す程深くは見えない(配列のサイズと使用された実際の枝分かれ検索方法に依存して)ことである。
を含む全ての可能な形(トポロジー)が試験され、そしていくっかの次善の構造が自動的に生成されることである。この方法の欠点は、これが最悪の場合には、配列のサイズの指数関数因子に時間比例して作動して、全体の最小値を見い出す程深くは見えない(配列のサイズと使用された実際の枝分かれ検索方法に依存して)ことである。
賢明な(そして現在最も使用されている)予測方法は、ズーカー(Zuker)のプログラム(ズーカー(1989) Science 244:48)である。元々はルス・ヌシノブ(Ruth Nussinov)により開発されたアルゴリズムに基づいて、ズーカープログラムは、にせ結び目配置は許容しないという大きな簡素化仮定をしている。これによりわずかN3からN4(ここでNは配列の長さである)に比例する時間に作動する、動的なプログラム法の使用が可能になる。このズーカープログラムは、数百以上のヌクレオチドの配列を厳密に扱うことができる唯一のプログラムであるため、生物学者により最も一般的に使用されるようになった。しかし、いくつかの異なるセレックス実験において、いくつかのにせ結び目になったRNA構造が得られた(そしてそれは目で認識された)という点で、ズーカープログラムがにせ結び目になった配置を予測できないということは、致命的な欠陥である。にせ結び目になった配置を予測できる、力ずくの方法を使用しなければならない。
本発明の比較配列分析の主要な要素は、配列共分散である。共分散は、1つの位置の本体が別の位置の本体に依存している時である;例えば、必要なワトソン−クリック塩基対は、1つの位置の1つの情報が、もう1つの位置の絶対的な情報を与えるという点において、強力な共分散を示す。共分散分析は以前、共通構造を有する多くの関連配列(例えば、tRNA、rRNA、およびグループ1イントロン)が存在するRNAの2次構造を予測するために使用された。今や共分散分析が、3次の接触にも使用できることが明白となった。
ストルモとグーテル(Stormo and Gutell)は、整列した配列のセット中の1つの位置間の共分散の量を正確に測定するアルゴリズムを設計し実行した。このプログラムは「ミキシー」(MIXY)(位置XとYでの相互情報(Mutual Information at position X and Y))と呼ばれる。
整列した配列のセットを考える。各カラムまたは位置で、A、C、G、U、およびギャップの出現の頻度が計算される。これを頻度f(bx)、すなわち塩基bのカラムxでの頻度と呼ぶ。次に1度に1つのカラムを考える。ある塩基bがカラムxに現れる頻度はf(bx)、そしてある塩基bがカラムyに現れる頻度はf(by)である。もし位置xと位置yが他方に関係ない(すなわちこれらの位置が独立である)ならば、共分散はなく、どの配列でも位置xとyに塩基bxとbyを観察する頻度は、f(bxby)=f(bx)f(by)のはずである。観察される対の頻度に、予想される頻度からの実質的な偏差があるならば、これらの位置は共分散すると言われる。期待値からの偏差の量は、情報尺度M(x,y)(xとyの相互情報)で定量化される:
M(x,y)は、位置xの本体を認識することから位置yを認識することから、位置yに関する情報のビット数として記述される。もし共分散がないなら、M(x,y)はゼロであり;M(x,y)の大きな値は強い共分散を示す。
本方法はtRNA配列のデータセットに適用された時に、これらの数は3次構造中の密接な物理接触の確率に極めてよく相関した。2次構造は、M(x,y)値のピークとして極めて明白であり、結晶構造から知られた多くの3次接触もまたピークとして現れる。
これらの共分散値は3次元構造予測を開発するのに使用できるかもしれない。
いくつかの面で、この問題はNMRによる構造決定の問題に似ている。最後に実際の電子密度地図が得られる結晶学とは異なり、NMRは一連の原子間距離を与える。得られる原子間距離の数により、それらが一致する1つ、少数、または多くの3D構造が現れる。原子間距離のマトリックスを3D空間の構造に変換するために、数学的手法を開発する必要があった。使用される1つの主要な技術は、距離幾何学と制御された分子動力学である。
いくつかの面で、この問題はNMRによる構造決定の問題に似ている。最後に実際の電子密度地図が得られる結晶学とは異なり、NMRは一連の原子間距離を与える。得られる原子間距離の数により、それらが一致する1つ、少数、または多くの3D構造が現れる。原子間距離のマトリックスを3D空間の構造に変換するために、数学的手法を開発する必要があった。使用される1つの主要な技術は、距離幾何学と制御された分子動力学である。
距離幾何学は、より形式的な純粋に数学的手法である。原子間距離は、N次元空間(ここでNは原子の数である)中の座標と考えられる。言い換えると、原子の「位置」は、我々が普通に考える3つ(x,y,z)の代わりに、他の全ての原子へのN個の距離により特定される。全原子間の原子間距離は、N×N距離マトリックスに記録される。完全で正確な距離マトリックスは、行列代数演算を使用して、容易に3×Nデカルト座標に変換される。NMRに適用した距離幾何学の要領は、不完全(少数の原子間距離のみが知られている)で不正確なデータ(距離はせいぜい数オングストロームの確度まで知られている)を扱うことである。このように距離幾何学に基づく構造計算の多くの時間は、距離マトリックスを前処理し、未知の距離値の範囲を既知のものに基づいて計算し、既知のものの範囲を限定することに費される。通常、一連のNMRデータに一致する距離マトリックスから多数の構造が抽出され;もしこれらがすべてうまく重複していれば、このデータは唯一の構造を決めるのに十分であった。NMR構造決定とは異なり、共分散は不正確な距離値だけを与えるが、しかしこれはある距離の制約が適用されるかどうかに関して、絶対的な知識よりは見込みがある。
制御された分子動力学は、より特別な方法である。全ての原子が感じる力(ファンデルワールス力、共有結合長と結合角、静電力)を記述することを試みる実験的な力の場では、すべての原始にランダム速度(ある温度でのボルツマン分布から)を割り当てて、ニュートン動力学方程式を使用してフェムト秒間の各原子の運動を計算することにより、多くのフェムト秒時間工程の分子運動の模擬実験ができる;これが「分子動力学」である。制御された動力学において、原子が特定の距離範囲を越える時に、原子に対して余分の特別な力を割り当てる。
本件では、制御された分子動力学を用いてデータの確率の性質を扱うのはかなり容易である。共分散値は、ある原子間のある距離範囲での人工的な力の制御に変換され;共分散の大きさに従い力の大きさを変える。
NMRと共分散分析は、原子または位置間の距離制限を生成し、そしてそれは距離幾何学または制御された分子動力学により構造へと容易に変換される。核酸の3次元構造を決定するために利用される実験データの別の源は、化学的または酵素的保護実験であり、これらは個々の原子または位置に溶媒接近の制限を生成する。
V.HIV−RTの改良された核酸リガンドの解明
本発明の方法の例は、HIV−1逆転写酵素(HIV−RT)の核酸リガンドについて本明細書に示される。合衆国特許出願番号07/714,131号と、「核酸リガンド」という標題の1991年12月26日に公開されたPCT特許出願公開WO91/19813号には、HIV−RT標的でセレックスを実施した時に得られた結果が記載されてい
る。HIV−RTに対して高親和性を有することが見い出された核酸配列を調べることにより、核酸リガンド溶液はにせ結び目として配置されていると結論された。
本発明の方法の例は、HIV−1逆転写酵素(HIV−RT)の核酸リガンドについて本明細書に示される。合衆国特許出願番号07/714,131号と、「核酸リガンド」という標題の1991年12月26日に公開されたPCT特許出願公開WO91/19813号には、HIV−RT標的でセレックスを実施した時に得られた結果が記載されてい
る。HIV−RTに対して高親和性を有することが見い出された核酸配列を調べることにより、核酸リガンド溶液はにせ結び目として配置されていると結論された。
本明細書では、境界の検討により核酸リガンド溶液を表すために必要な最小数の配列を確立する実験が記載される。リガンド溶液のHIV−RTへの結合に対する、溶液中の個々のヌクレオチドの寄与を評価するために使用される、リガンド溶液の変異体の構築も記載される。さらに1)予測されるにせ結び目構造を確認するため;2)HIV−RTに結合した時に、どの修飾可能な基が化学攻撃から保護される(または結合により非保護になる)かを決定するため;および3)どんな修飾がHIV−RTへの結合を妨害する(おそらくリガンド溶液の3次元の修飾により)か、従っておそらく標的との近傍の接触に関与しているものを決定するために、リガンド溶液の化学修飾も記載される。
以前に決定された核酸リガンド溶液は、図1に示される。軸1(標識されて)が保存され、軸2が比較的非保存であるRNAにせ結び目(ここでXは非保存であり、X’はXに対して塩基対を形成する)が示される。最初のセレックスのコンセンサスでは、U1が好ましかった(コンセンサスに寄与する18配列の内の11でこの相対位置に存在している)が、A1もしばしば(18配列の内の6で)見い出された。G4−C13の塩基対にC−Gが置換したものと、A−Uが置換したものの1つの配列があった。軸1の2本の鎖に連結しているヌクレオチドの好ましい数は、8(18配列の内の8で)であった。軸2よりなる塩基対を形成したヌクレオチドの数とパターン、およびA5とA12の選択は、下記のようにランダム領域が構築された2次セレックスのコンセンサスから得られた:NNUUCCGNNNNNNNNCGGGAAAANNNN(配列ID番号:8)(Nはランダム化されている)。リガンドの1つは、HIV−RTを著しく阻害し、AMVまたはMMLVの逆転写酵素を阻害しないことが見い出された。
情報境界の改良 32のヌクレオチド位置がランダム化された最初の2回のセレックス実験は、軸1の5’末端に可変長のある高親和性リガンドを与えた;すなわちあるリガンドは、CGGGAと塩基対を形成できるUUCCG、CGGGと塩基対を形成できるUCCG、またはCGGと塩基対を形成できるCCGを有していた。HIV−RTとの相互作用に高親和性を供与する配列の境界の決定は、末端標識したクローン化RNAの部分アルカリ性加水分解物からの選択により達成できた。これは、高親和性リガンドは必須情報UCCGNNNNNNNNCGGGAAAANN’N’N’(配列ID番号:7)(ここでN’は、UCCGのCGGGへの対生成により形成されるヘアピンの8塩基ループ配列中のNへの塩基対)を含有し、5’Uはなくても親和性の損失は小さいであろうということを示唆する、迅速で定性的な分析である。均一な状況で5’配列をより厳密に試験するために、図2に示す結合実験を実施した。オリゴヌクレオチド鋳型から転写されたRNAは、左端に並ぶ四角A−Eに示すように5’末端が変化していることを除き、図の右上隅に示す完全な配列と同じであった。その結果、HIV−RTとの最も高親和性結合のために1つの5’Uで十分であり(四角AとB)、Uがないと結合が低下し(四角C)、そしてさらに5’配列を除去すると非特異性配列なみに結合を低下させた(四角D)。本明細書で記載される残りの実験には、1つの5’U(U1)だけを有する設計(本明細書では以後リガンドBと呼ぶ)が使用された。
リガンドBの3’末端で種々の3’切片を作ることにより、軸2の長さへの依存性も試験した。3’末端から3っのヌクレオチド(A24−U26)を削除してもHIV−RTに対する分子の親和性に変化はなかった。3’末端の4っのヌクレオチド(C23−U26)の削除は、結合を7倍低下させ、5つ(G22−U26)では約12倍の低下、そして6ヌクレオチド(U21−U26、すなわち3’らせんなし)では約70倍親和性の低下をもたらした。このような低下は、以下に報告される単塩基置換で見い出された低下に比べてそれほど劇的ではなく、これは(以下に報告される他のデータと共に)このらせん
が、主にループ2中で非常に重要な基の位置づけを支援する構造上の役割を担うことを示唆している。
が、主にループ2中で非常に重要な基の位置づけを支援する構造上の役割を担うことを示唆している。
軸1についてのセレックスコンセンサスの試験。保存される軸1中の種々のヌクレオチド置換を調製し、HIV=RTに対するこれらの親和性を測定した。図3に示すように、モデルRNAでのU1のAによる置換韓HIV−RTに対する親和性にほとんど変化を起こさなかった。この位置のC(これは軸1の安定性を増強する)またはG(前述のU欠失実験により表される)は、約20倍の親和性の低下をもたらした。G16のAによる置換(これはU1と塩基対を形成する)は、特異的結合を破壊した。C2−G15の代わりにG−C対を使用すると、これも結合を破壊し、C3−G14の代わりに使用すると約10倍結合を低下させた。これらの1つの位置はセレックスリガンドの系統発生に高度に保存されていた。種々の組み合わせでG4−C13塩基対を置換した。親和性に影響したこれらの順序は、G4−C13=C−G>U−A>A−U>>>>A−C(ここでA−UはG4−C13に比べて約20倍親和性を低下させ、A−Cは少なくとも100倍低下させた)であった。これらの結果は、以前測定したセレックスコンセンサスと矛盾しない。
にせ結び目構造の化学探索。リガンドbの非変性構造を探索するため、リガンドBのHIV−RTに対する親和性を著しく低下させる化学修飾を同定すため、そしてHIV−RTによる結合に付随する構造の変化を発見するために、多くの化学修飾実験が行った。使用した化学物質は、リン酸を修飾するエチルニトロソ尿素(ENU)、C(N3で)とA(N1で)の塩基対形成面を修飾する硫酸ジメチル(DMS)、U(N3で)と少量のG(N1で)の塩基対形成面を修飾するカルボジイミド(CMCT)、AのN7と少量のGのN7を修飾するジエチルピロカーボネート(DEPC)、およびGのN1とN2の塩基対を修飾するケトキサールである。大部分の化学修飾の測定は、標識プライマーがアニーリングされ、AMV逆転写酵素で伸長されることができる配列を含むように長く伸ばされたリガンドB配列で行われた。ENUまたはDEPCで修飾された位置の測定は、各々の修飾依存性加水分解、または修飾された塩基の除去とそれに続くこの部位での基本骨格のアニリン切断を用いて、リガンドBに行われた。
変性リガンドBの修飾と比較した非変性構造の探索の結果を、図4に要約する。ENU修飾のパターンは、リガンドの変性状態と非変性状態の間に差はなく、これはにせ結び目の溶液構造には、リン酸またはプリンのN7位置の安定な関与がないことを示唆している。他の修飾データは。軸2はどちらかというと安定に形成されていて、示された塩基対に影響するいかなる化学修飾にも抵抗性であるが、末端A6−U26は、この位置で塩基対状態と変性状態間に平衡状態を示す修飾にいくぶん感受性であることを示唆する。1本鎖のA(A5、A17、A18、A19、およびA20)は、DMSに十分反応性であるが、A5、A19、およびA20はDEPCに対する反応性は減少している。軸1の塩基対は、G4−C13>C3−G14>C2−G15>U1−G16(ここでG4−C13は化学修飾に完全に抵抗性であり、U1−G16は高反応性である)の、修飾に対する抵抗性の順位を表現しているようである。これは、にせ結び目のこの小さいらせんが一過性の指向性の変性、すなわち「フレイング(fraying)」を受けていることを示唆する。
HIV−RTによる化学修飾からのリガンドBの保護。図5に示すように、タンパクの結合は、らせん1を安定化するか保護するかによって、らせん1のフレイング特性を変化させる。本来は反応性のU1も結合により保護される。タンパクの結合は、塩基対A6−U26の感受性を増強し、これは結合状態で対になっていないことを示唆している。これは、RTにより認識された非変性にせ結び目中で結合した軸1を軸2の末端に橋渡しできないため、または非変性状態から配置を変化させることにより結合がループIの長さの要求を増大させるため、結合の間の1本鎖ヌクレオチドループIの長さが不十分であること
を示している。ループIIのA17とA19もまたHIV−RTに対する結合により保護される。さらに1本鎖塩基の橋のA12は、結合により保護される。
を示している。ループIIのA17とA19もまたHIV−RTに対する結合により保護される。さらに1本鎖塩基の橋のA12は、結合により保護される。
RTリガンドBの修飾妨害の検討。RNAリガンドBを部分的に修飾した(構造決定のため上述した全ての化学物質により)。この修飾された集団は、種々の濃度のタンパクと結合し、結合種の修飾された位置を測定した。ここから、修飾が結合を妨害するところ、修飾がまったくまたはほとんど影響を与えないところが決定できる。これらの修飾妨害結果を要約する概略図を図6に示す。ここに示すように、結合に対する有意な妨害の多くは、軸1とループ2を含有するにせ結び目の左側に集中している。これは、セレックスにより単離された配列の集合中で高度に保存されていた(1次配列)分子の一部でもあり、そしてここは置換実験によりHIV−RTに対する結合親和性が最も劇的に低下したところである。
リガンドBのリボース上の2’−ヒドロキシルの2’−メトキシによる置換。通常のヒドロキシル基の代わりにリボースの2’炭素に2’−メトキシが結合しているrRNA」分子は、酵素的および化学的分解に抵抗性である。RTリガンド中でどの程度広範に2’−メトキシが2’−OHを置換できるかを試験するために、図7に示すように4っのオリゴを調製した。全部が2’−メトキシに置換されたリガンドはほとんど結合しない(リガンドD)ため、また大部分の修飾妨害部位はにせ結び目の1つの末端に集中していることを見い出したため、以下の置換の試みは、四角BとCに示す非特異的3’らせんに限定した。これらのリガンドの両者ともHIV−RTに高親和性で結合する。次に、図7のCのように軸2のリボースに許容される置換が全ての2’−メトキシであって、残りの14の位置で2’−メトキシおよび2’−OHボスホルアミジト試薬で混合合成が行われたオリゴヌクレオチドが調製された。これらのオリゴはHIV−RTにより選択し、続いて選択されたRNAをアルカリ性加水分解とゲル分離を行った(2’−メトキシ体は2’−ヒドロキシル体とは異なりアルカリ性加水分解には関与しない)。フィルムの目視点検(図8参照)と、アンビス検出システム(Ambis detection system)を用いる相対強度の定量測定(以下の実施例の比較方法を参照のこと)により判定したところ、混合して組み込まれた集団からHIV−RTにより選択されたリガンドは、C13とG14の位置で加水分解の著しい上昇を示し、これはこれらの位置での2’−メトキシによる妨害を示している。全ての位置がこの方法で分析された関連実験で、G4、A5、C13およびG14は、2’−O−メチル妨害を示した。
置換実験、定量境界実験および化学探索実験の結果は、HIV−RTのにせ結び目阻害物質の性質について多くの情報を与え、このRNA上の決定的な接触領域を強調していた。これらの結果は、以下のヌクレオチド毎に与えられる。
U1をAに置換しても親和性の損失はほとんどないが、CまたはGの場合は異なる。U1はおそらくG16と一時的な塩基対を生成するが、U1−N3をCMCTで修飾してもHIV−RTへの結合を妨害しない。しかし、HIV−RTによる結合は、多分この位置の立体的または静電的遮蔽により、U1からN3を保護する。G16とより安定な塩基対を形成するCによる置換は、親和性を低下させる。安定なU1−A16対を形成するAによるG16の置換は、HIV−RTに対する特異的親和性を破壊し、G16−N1の修飾はHIV−RTへの結合を強力に妨害する。G16−N1のこの修飾は、タンパクとの非常に重要な接触を防止するに違いない。なぜU1へのG置換が親和性を低下させて、A置換はさせないかは明白ではない。G置換は明らかに、RNAの5’末端が1ヌクレオチド分短いが、しかしU1が5’末端ヌクレオチドである合成RNAは、1つ余分のGを5’末端に有するインビトロ転写物と変わらない親和性で結合する(図7)状況にある。おそらくU1でのAは、可能性のあるU相互作用を、HIV−RTとの同様なまたは異なる相互作用で置換しており、これはこの位置でCまたはGでは不可能な置換である。
軸1の次の塩基対(C2−G15)は、HIV−RTに対する特異的親和性の完全な損失なしにはG−C塩基対により置換することはできない。いずれかのヌクレオチドの塩基対形成面の修飾は、HIV−RTへの結合を強力に妨害し、HIV−RTとの結合はこれらの修飾から保護する。次の塩基対C3−G14をG−C対で置換する場合、親和性の低下はそれほど劇的ではないが、この位置の修飾は強力に妨害する。G4−C13のC−G対による置換は結合に影響せず、より安定でないA−UとU−A対による置換はいくぶん特異的親和性を可能にする。これらの位置を塩基対を形成していないA−Cにより置換すると、特異的結合を破壊する。これは、この位置の最初のセレックス系統発生でのC−G置換と1つのA−U置換の出現、非変性状態でのこの塩基対の非反応性、およびこれらの塩基に見い出される高度の修飾妨害に相関する。
ループ2の化学修飾データは、最初のセレックス実験で見られた系統発生的な保存を充分保証している。強力な修飾妨害は、A17とA19の位置に見られる。弱い修飾妨害は、この相対位置で削除された最初のセレックスのいくつかのループ2の知見に相関するA20に生じる(ただし、実施した化学妨害実験は、塩基がHIV−RTと作りうる全ての可能な接触を網羅して試験していない)。A18は最初のセレックスで保存されておらず、この位置での修飾は妨害しない、またこの位置はHIV−RTへの結合により修飾から保護されていない。
前述データを合わせると、軸1の必須成分は、配列をタンパクと特異的に接触させる1本鎖5’ヌクレオチド(UまたはA)と、3っの塩基対らせん(C2−G15、C3−G14、G4−C13)(ここで最初の1つの塩基対ではHIV−RTとの配列特異的相互作用があり、G4−C13の第3のループが閉じる位置では強力な塩基対(すなわち、C−GまたはG−C)の優先がある)であることを示唆する。ループ2は、A17とA19のようにおそらく配列特異的方法でHIV−RTと相互作用する、G16の1本鎖的特性により、より広くはGAXAA(16−20)と記載されるべきであろう。軸2は、塩基対形成ヌクレオチドのパターンと数がかなり変化するが、本明細書に報告された3’削除実験から、最大の親和性を得るために、軸2に最低3つの塩基対が必要であることが仮説を立てることができる。軸1のらせんを構成する1つの鎖を連結する8つのヌクレオチドの範囲内で、結合したリガンドのループ1に少なくとも1つのヌクレオチドが必要である。
本発明の方法に基づいて得られたHIV−RTの改定されたリガンドを図11に記載する。図1に示すもの(これは最初と2次のセレックスコンセンサスに基づく)との大きな違いは、軸2の長さ、塩基対G4−C13のより退縮した仕様、ループ1のサイズ(これは軸2のサイズに直接関係する)、およびU1とG16の1本鎖的特性である。
どのようにこれらの違いを調和させられるか?理論により限定されてはいないが、セレックスの戦略は複製のために5’と3’の固定配列を要する。任意のRNA配列において、このような追加の配列は、高親和性リガンドの配置に競合する他の配置に関して能力を増強させる。その結果、直接親和性に貢献しない追加的構造要素(例えば、伸ばされた軸2)が、選択される。配列特異的接触のために軸1の最初の2塩基対がC−Gでなければならないならば、最も安定な閉じている塩基対は、配置のあいまいさを避けるために再度選択されたG4−C13であろう(フレイヤー(Freier)ら(1986) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9373)。U1とG16の配列特異的選択は、これらが塩基対を形成する能力に偶然一致することであり;クレノウ断片(Klenow fragment)/プライマー−鋳型接合やtRNA/tRNA合成酵素のような、他の核酸リガンドータンパク複合体では、本ケースにも生じるかもしれない、塩基対ヌクレオチドの著しい局所の変性がある(ブリーモント(Freemont)ら(
1988) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8924;ロナルド(Ronald)ら(1989) Science 246:1135)。
1988) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8924;ロナルド(Ronald)ら(1989) Science 246:1135)。
VI.伸張された核酸リガンドを同定するためのHIV−RT核酸リガンドを用いるウォーキング実験の実施。
にせ結び目コンセンサスリガンドの5’に位置する固定配列(28ヌクレオチド)がHIV−RTに対する親和性を低下させ、リガンドの3’に追加された固定配列(31ヌクレオチド)がその親和性を増強することが、すでに見い出された。従ってHIV−RTに対するより高親和性のリガンドのコンセンサスが得られるか否かを調べるために、セレックス実験を行い、30ヌクレオチドの可変領域をリガンドB配列の3’に追加した。個々の単離体をクローン化して、16回目の後で配列決定した。この配列は、図9に1つのモチーフに分類してリスト化する(配列ID番号:115−135)。各モチーフの2次構造と1次配列の保存の概略図は図10に示す。HIV−RTのRNaseHとポリメラーゼの触媒ドメイン間の距離は最近、X線結晶学から誘導されだ3.5A解像度構造のポケットに合体した(コンピューターによる)A型RNA−DNAハイブリッド中の18塩基対位であることが決定された(コールスタト(Kohlstaedt)ら(1992) Science 256:1783)。にせ結び目と伸長したリガンド配列中に保存される塩基の、この相互作用に非常に重要であると決定された塩基の集中部位からの距離も、約18塩基対である。従ってにせ結び目は、ポリメラーゼの触媒部位(この部位でリガンドは、RNAseHドメインが欠失したHIV−RTに結合することが示された)と相互作用すること、およびにせ結び目への進化した伸長がRNAseHドメインと相互作用することが結論される。一般に、各々のモチーフから試験したリガンドはHIV−RTに対するリガンドBの親和性を少なくとも10倍増強する。
VII.HIV−1 Revタンパクの改良された核酸リガンドの解明。
本発明の方法の実施例は、HIV−1 Revタンパクの核酸リガンドについて本明細書中に与えられる。合衆国特許出願番号07/714,131号とPCT特許出願公開WO91/19813号には、セレックスをRev標的で実施した時に得られた結果が記載されている。Revに対して高親和性を有することが見い出された核酸配列を調べると、これらの配列が3つのモチーフ(I、II、およびIII)に分類できることが分かった。モチーフIのリガンドは、モチーフIIとIIIにより記載される個々のモチーフの複合物であり、一般にRevに対してより高親和性で結合しているようである。モチーフIリガンド配列の1つ(Revリガンド配列6a)は、クローン化され配列決定された全てのリガンドよりも著しく高い親和性で結合した。図12に示すように、6a配列は1つのらせん間に隆起を形成して、この隆起を横切る少数の塩基対を有することが仮説化される。
本発明の方法の実施例は、HIV−1 Revタンパクの核酸リガンドについて本明細書中に与えられる。合衆国特許出願番号07/714,131号とPCT特許出願公開WO91/19813号には、セレックスをRev標的で実施した時に得られた結果が記載されている。Revに対して高親和性を有することが見い出された核酸配列を調べると、これらの配列が3つのモチーフ(I、II、およびIII)に分類できることが分かった。モチーフIのリガンドは、モチーフIIとIIIにより記載される個々のモチーフの複合物であり、一般にRevに対してより高親和性で結合しているようである。モチーフIリガンド配列の1つ(Revリガンド配列6a)は、クローン化され配列決定された全てのリガンドよりも著しく高い親和性で結合した。図12に示すように、6a配列は1つのらせん間に隆起を形成して、この隆起を横切る少数の塩基対を有することが仮説化される。
本明細書には、提唱された2次構造を確認し、Revタンパクの結合がリガンドを化学攻撃から保護する場所を見つけ、そしてRev相互作用に必須なヌクレオチドを検出するために設計された、リガンド6aで実施した化学修飾実験が記載される。さらに、HIV−1 Revタンパクに対して最も高親和性結合のためのコンセンサスをより包括的に記載するために、6aリガンド配列の偏ったランダム化により、2次セレックス実験を実施した。
Revリガンドの化学修飾。その可能な2次構造要素を決定し、どの修飾がRevによるリガンドの結合を妨害するかを見い出し、どの位置がタンパク結合への修飾から保護されているかを同定し、そして結合により生じるリガンド構造の可能な変化を検出するために、Revリガンド6aの化学修飾検討を行った。
修飾用化学物質は、リン酸を修飾するエチルニトロソ尿素(ENU)、塩基対形成位置CのN3とアデニンのN1を修飾する硫酸ジメチル(DMS)、グアニンの塩基対形成位置N1とN2を修飾するケトキサール、ウラシルの塩基対形成位置のN3と少量のグアニンのN1位置を修飾するカルボジイミド(CMCT)、およびアデニンのN7位置とより少量のグアニンのN7を修飾するジエチルピロカーボネート(DEPC)を含む。ENU修飾は、標識RNA鎖の修飾依存性加水分解により測定され、一方他の全ての修飾剤は伸長されたRNAリガンドに使用されて、修飾された位置でアニーリングされたオリゴヌクレオチドのプライマー伸長により明らかになった。
Revリガンドの非変性構造の化学探索は図13に要約されている。コンピューター予測の2次構造(ズーカー(1989)前述;イェーガー(Jaeger)ら(1989)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706))と非変性修飾データは、大体一致し;このリガンドは3つのらせん領域、1つの4塩基ヘアピンループ、および3つの「隆起」領域からなる(これらの構造「要素」の定義について図13を参照のこと)。
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:7706))と非変性修飾データは、大体一致し;このリガンドは3つのらせん領域、1つの4塩基ヘアピンループ、および3つの「隆起」領域からなる(これらの構造「要素」の定義について図13を参照のこと)。
リン酸のENU修飾は、非変性条件下と変性条件下でリガンドに対して変化がなかったが、これはRNAの2次または3次構造にリン酸基が関与していないことを示している。一般に、全てのコンピューター予測の塩基対形成領域は修飾から保護されている。1つの例外は、中央のらせん(通常はらせん中の保護される位置)のN7(G10、A11、G12)のわずかな修飾である。これらの修飾はおそらくらせんの呼吸の結果であり;中央らせんの塩基対形成面の修飾が存在しないことは、N7の接近可能性がRNAの完全な局所の切断よりは、むしろ小さならせんの歪みによることを示唆する。G19−U22ヘァピンループは、G19のいくらかの部分修飾を除いて、完全に修飾される。
非変性構造で最も興味深い領域は、3つの「隆起」領域のU8−U9、A13−A14−A15、およびG26−G27である。U8−U9はCMCTにより完全に修飾されるが、これはおそらく塩基の溶媒に対する配向を示している。A13、A14、およびA15は全てDMSとDEPCにより修飾され、中央のA14に生じる修飾が最も強力である。A13−A15領域と反対の隆起は、DMSによるG26の完全な保護を示し、A27のわずかな修飾を示す。Rev結合性RNAのまた別の研究(バーテル(Barte1)ら(1991) Cell 67:529)では、本リガンドのA13:A27とA15:G26に対応するA:AとA:Gの非正規の塩基対形成の存在を主張している。この修飾データによりこれらの可能性は除外されないが、バーテルらが示唆する等しい立体のA:A塩基対は、塩基対形成のためにNlA位置を使用し、従ってDMS処理に抵抗性であろう。また、A:G対も同様に対生成のためにNlAまたはN7Aのいずれかを使用して、AをDMSまたはDEPCに抵抗性にする。
Rev結合の修飾妨害。修飾妨害検討の結果を図14に要約する(個々の修飾剤についての定量的データは図15から19に示す)。一般に、リン酸と塩基の修飾結合妨害は、RNAリガンドの1つの領域に集中している。第一近似として、これらの領域は、本検討に先立つセレックス実験に存在する1つの別のモチーフに対応する。リン酸修飾妨害はおそらく最も示唆的なリガンドータンパク接触の実際の部位であり、修飾妨害データの領域への分類のための追加的な規準を構成する。
最初の領域は、U24−G25−G26に集中し、リン酸、塩基対形成面、およびN7修飾による妨害を含む。野生型RREに保存されるこれらの同一の3つのヌクレオチドも、RRE IIB軸ループ(クジェムス(Kjems)ら(1992) EMBO J.11:1119)を含有する短いRNAを使用する修飾妨害検討で、Rev結合にとって非常に重要であることが見い出された。第2の領:域はG10−A11−G12周辺に集
中し、これもリン酸、塩基対形成面、およびN7修飾からの妨害を含む。さらに、C6−A7−U8を取り巻くより小さい「ミニ領域」があり、リン酸と塩基対形成面修飾が結合を妨害している。
中し、これもリン酸、塩基対形成面、およびN7修飾からの妨害を含む。さらに、C6−A7−U8を取り巻くより小さい「ミニ領域」があり、リン酸と塩基対形成面修飾が結合を妨害している。
リガンド全体に多くの塩基対形成面の修飾が結合妨害を示すが、これはおそらくリガンドの2次構造のゆらぎのためである。1つの「隆起」塩基であるU9とA14は、修飾妨害を示さなかったが、これは両者が特異的塩基対形成相互作用/積み重ねや、タンパクとの接触に役割を持たないことを示している。
RNAがRevに結合している時の化学修飾保護。「足跡」の化学修飾データを図20に要約する。4つの位置、U8、A13、A15、およびA27は、Revタンパクに結合すると、塩基対形成面の修飾で少なくとも2倍の低下(およびA位置のN7修飾で同様な低下)を示した。非変性条件下でのG10−A11−G12のわずかなN7修飾は、リガンドがRevの存在下で修飾された時には検出されなかった。RNA非変性構造の化学探索で修飾されていないG32は、Revと複合体化すると、その塩基対形成面とN7位置の強力な修飾を示す。G32の5’と3’であるU31とU33は、リガンドがタンパクに結合すると、わずかなCMCT修飾を示す。
鋳型の偏ったランダム化を利用する2次セレックス。Revリガンド6a配列が他の3つのヌクレオチドと各位置で、他の3つのヌクレオチドに対する(6a配列の)比が62.5対12.5で混合された、図21に示すような鋳型を合成した。この偏った鋳型は、Revタンパクに対するバックグラウンドの親和性(Kd=10−7)を有するRNAを与えた。セレックスを6回行うことにより、図21に示す配列のリストが得られた。鋳型合成の間の投入の分布から予想される分布とは異なる、各位置に見い出されるヌクレオチドと塩基対の頻度分布を図22と23に示す。これらのデータに基づく新規なコンセンサスは図24に示す。Revリガンド6aとの最も著しい違いは、相対的に弱い塩基対A7−U31のG−C対による置換、およびU9のCによる、A14のUによる、U22のGによる、許容されるまたは好ましい置換である。絶対的に保存される位置は、部位G10、A11、G12;A15、C16、A17;U24、G25;およびC28、U29、C30にある。G26とA25には置換した塩基は認められなかったが、これらの位置でそれぞれ1つと3つの欠失が見い出された。1つは単純なリガンド6a同様な配列で、もう1つは図24に示す著しい選択により置換されたものである、1つの標識された転写物を合成した。これらのRNAは全く同様にRevタンパクに結合した。
軸領域の多くの置換がその安定性を増強する。5塩基対より長い軸の有意な選択があるようには見えないが、これは複製(例えば、セレックスの逆転写工程の間の複製の容易さ)のためには必要な選択かも知れない。1991年6月10日に出願された合衆国特許出願番号07/714,131号と1991年12月26日に公開されたPCT特許出願公開WO91/19813号で報告された最初のセレックスでは、U9に他のヌクレオチドのいくつかのまばらな置換があるが、本実験はCによる好ましい置換を示す。その最初のセレックスではA27の欠失も現れた。驚くべき結果は、C18−G23の代わりのC18−A対形成の高頻度の出現である。
測定された結合親和性を改善しない本実験に優先性が見い出される理由は、セレックスの結合反応とこれらの結合測定法に違いがあるからである。セレックスでは、不均一なRNA配列(必須の固定配列に隣接した)の比較的濃縮されたプールがタンパクに結合している。結合測定法では、低濃度の均一なRNA配列が結合している。セレックスでは、他のRNA配列との分子間および分子内接触の確率の上昇による、より差別的な配置の確実性について選択されるかも知れない。RNAリガンドとその修飾された相同物の濃縮された用量の臨床的体内送達には、これらの2次セレックスに認められる優先性が適切である
。
。
HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド。本発明は、セレックス方法を特定の標的であるHIV−1 tatタンパクに適用する。以下の実施例皿15では、HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド溶液を単離し同定するために使用した実験パラメーターが記載される。図26は、セレックス工程の10回の繰り返しの後配列決定された核酸をリストしている。
図25は、tatタンパクに対する天然のリガンドであることが見い出された、天然に存在するTAR配列を示す。tatタンパクとTAR配列間の相互作用の特異的部位が決定され、これも図25に記載される。
図26に与えられた配列は、3っの「モチーフ」に分類される。これらの各モチーフはHIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド溶液を表す。各モチーフ内の1次配列保存の領域が点線の四角で囲まれている。モチーフIとIIは、保存配列(あるモチーフを作り上げる全てのまたはほぼ全ての核酸配列に見い出されるこれらの配列)を、らせんの要素に隣接する隆起中に位置させる共通の構造を含有する。1次配列保存(これは主に各隆起の1本鎖ドメインにある)もモチーフIとII間で類似している。第3のモチーフ(III)は大きなループにより特徴付けられる。この3つのモチーフは図27に概略図で表される。本明細書で同定される核酸リガンドと、図25に与えられるTAR配列間には明瞭な類似はない。
境界分析測定は、モチーフIIIのリガンド配列の1つで実施された。認識の境界は、図26に実線で四角で囲んで示される。境界測定は、すでに記載した方法により実施した。ターク(Tuerk)ら(1990) J.Mol.Biol. 213:749;タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990) Science 249:505を参照のこと。
図28では、配列7(モチーフI)、24(モチーフII)、29(モチーフII)、31(モチーフIII)および最初の候補混合物の結合親和性が示される。図に見られるように、各核酸リガンド溶液モチーフからのメンバーは、核酸の候補混合物に比べてtatタンパクに対する親和性が上昇した。各リガンドはTAR配列に比べて、有意に大きなtatタンパクに対する親和性を示す。
薬剤としての使用に求められる核酸を製造するためには、この核酸リガンドは、1)標的に目的の効果を及ぼすことができる方法で標的に結合し;2)目的の効果を得られるようにできるだけ小さく;3)できるだけ安定で;そして4)選択された標的に特異的なリガンドであることが好ましい。全てではないが大抵の場合に、核酸リガンドが標的に対して可能な限り高い親和性を有することが好ましい。
本発明は、図26に示す特異的核酸リガンドと、図27に概略図で示す核酸リガンド溶液を含む。本発明にカバーされるリガンドの範囲は、セレックス方法により同定されるtatタンパクに対する全てのリガンドまで拡張される。さらに具体的には、本発明は、1)図26に示す特異的核酸リガンドと実質的に相同であって、tatタンパクに対して質的に同一の結合能力を有するか、または2)図27に示す核酸リガンド溶液と実質的に相同であって、tatタンパクに対して実質的に同一の結合能力を有する、核酸配列を含む。実質的に相同というのは、一次配列の相同の程度が70%以上、最も好ましくは80%以上であることを意味する。tatタンパクに対する実質的に同一の結合能力とは、その親和性が、本明細書中で記載した実質的に相同の配列の親和性の大きさの2桁の範囲内にあることを意味する。ある配列(本明細書中で記載した配列と実質的に相同である)が、
tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有するかどうかを測定することは、当業者には特別難しいことではない。
tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有するかどうかを測定することは、当業者には特別難しいことではない。
モチーフI、IIおよびIII、ならびに結合曲線の概要が図28に示され、1次配列がほとんどまたは全然相同でない配列が、tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有することを示している。もしこれらの各モチーフのリガンドがtatタンパクの同一の結合部位に結合すると仮定すれば、結合が核酸リガンドの2次または3次構造により制御されていることは明白である。本明細書中ではモチーフI、IIおよびIIIで表される、ある1次構造は、tatタンパクの結合部位に非常に類似している構造をとることができるであろう。これらの理由で本出願は、本明細書中に与えられたリガンドと実質的に同一の構造型を有し、図26または図27に示す核酸リガンドと実質的に同一の、tatタンパクに結合する能力を有する核酸リガンドをも含む。実質的に同一の構造は、tatタンパクに対する親和性を導くモチーフI、IIおよびIIIの共通構造要素を有する全ての核酸リガンドを含む。
本発明はまた、リガンドのインビボ安定性を上昇させるために、あるいはリガ15ンドの体内送達を促進または媒介するためにある化学修飾を加えられた、上述のリガンドを含む。
本明細書に記載されたHIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンドと核酸リガンド溶液は、薬剤としてそして遺伝子治療の一部として有用である。当業者に公知の方法により、核酸リガンドはHIVウイルスに感染した細胞の中に導入され、そこで核酸リガンドはtatタンパクに対してTAR配列と競合する。こうしてHIV遺伝子の転写が防止される。
トロンビンに対する核酸リガンド。本発明は図29に示す特異的核酸リガンドを含む(配列ID番号:137−155)。本発明によりカバーされるリガンドの範囲は、セレックス方法により同定されるトロンビンに対する全てのリガンドまで拡張される。さらに具体的には、本発明は、図29に示す特異的核酸リガンド(配列ID番号:137−155)と実質的に相同であって、トロンビンに対して実質的に同一の結合能力を有する核酸リガンドを含む。
グループIとグループIIリガンドについて図30に示す提唱された構造の概要は、1次配列がほとんどまたは全然相同でない配列がなお、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有することを示している。これらの理由で本発明は、本明細書で与えられたリガンドと実質的に同一の構造を有し、図30に示しRNAリガンド(配列ID番号:156−159)と実質的に同一のトロンビンに結合する能力を有するRNAリガンドをも含む。「実質的に同一の構造」とは、図30に示す配列(配列ID番号:156−159)の共通の構造要素を有する全てのRNAリガンドを含む。
本発明はまた、リガンドのインビボ安定性を上昇させるため、あるいはリガンドの体内送達を促進または媒介するためにある化学修飾を加えられた上述のリガンドも含む。特に本発明の範囲には、RNAリガンドのあるリボースの2’−NH2修飾を含有するトロンビンのRNAリガンドを含む。
本明細書で記載したトロンビンに対する核酸リガンドと核酸リガンド溶液は、薬剤としておよび遺伝子治療の一部として有用である。
アテローム性動脈硬化の開始と進展、急性冠状動脈症候群、静脈移植疾患、および冠状動脈血管形成後の再狭窄を含む、種々の血管疾患の病因を理解するには血管傷害と血栓症の概念は重要である。
アテローム性動脈硬化の開始と進展、急性冠状動脈症候群、静脈移植疾患、および冠状動脈血管形成後の再狭窄を含む、種々の血管疾患の病因を理解するには血管傷害と血栓症の概念は重要である。
本発明の高親和性トロンビン結合RNAリガンドは、種々の性質を有することが期待される。これらの特徴は、ヒルジンペプチド阻害剤と、トロンビンの構造と結合に関する最近の理解に沿って考えることができる。これに沿ってそして理論に限定されることなく考えると、RNAリガンドは高度に塩基性のアニオン性の外側部位に結合している確度が高い。またRNAは、カチオン性のアルギニン残基に対して高特異性を有する触媒部位に結合していない可能性も高い。RNAリガンドはC末端ヒルジンペプチドと同一の様式で作用することが予想される。このようにそれらは小さいペプチド性基質を強く阻害しないが、フィブリノーゲン凝固、プロテインC活性化、血小板活性化、および内皮細胞活性化は阻害するであろう。もしアニオン性の外側部位でフィブリノーゲン凝固とTM結合活性が分離可能であれば、異なる高親和性RNAリガンドがこれらの活性を別々に阻害することが可能である。さらに、凝固促進性よりも強力な抗凝固物質を生成するために、何か1つの活性を選択しても良い。
標的に対するリガンドを同定するためのセレックス方法は、標的としてヒトトロンビンを、そしてランダム化した配列の30ヌクレオチド領:域を有する76ヌクレオチドのRNAを含有する候補混合物を使用して実施した(実施例IV)。12回のセレックスの後に、多くの選択されたリガンドの配列を決定し、1次配列の共通の要素を有する、配列の1つのグループの存在を明らかにした。
大量の30N RNAに比べて、RNA集団の結合の劇的な変化が、セレックスの12回の後に観察された。12回後の大量のRNAの配列決定も、非ランダム配列の側面を示した。RNAを逆転写し、増幅し、クローン化して28の個々の分子の配列を決定した(図29)。1次配列の相同性に基づき、22RNAがクラスIに分類され、6RNAがクラスIIに分類された。クラスIの22配列の内、16配列(その内の8は同一),は同一の配列モチーフGGAUCGAAG(N)2AGUAGGC(配列ID番号:9)を含有したが、一方残りの6配列はその限定された領域に1または2ヌクレオチドの変化、あるいはN=2からN=5の少しの変動を含有した。この保存されたモチーフは、30N領域中でその位置を変化させた。クラスIIでは、6RNAの内の3つが同一であり、これら全てが、5’固定領域の末端から3番目のヌクレオチドから始まる、保存モチーフGCGGCUUUGGGCGCCGUGCUU(配列ID番号:10)を含有した。
クラスIからの3つの配列変異体RNAリガンド(6、16、および18)と、クラスIIから1つ(27)(配列決定された順により同定された)を、個々の結合分析のために使用した。クラスI RNAは、kD約30nMのクローン16を例にとり、クラスII RNAクローン27のkDは約60nMであった。
5’および3’固定配列に隣接する可変30N領域を含む76ヌクレオチドのRNAの、特異的高親和性結合に要する最小配列を同定するために、5’および3’境界実験を実施した。5’境界実験のために、RNAの3’末端を標識し、加水分解して、種々の5’末端を有するRNAのプールを得た。3’境界実験のために、RNAの5’末端を標識し、加水分解して種々の3’末端を有するRNAのプールを得た。必要な最小RNA配列は、ニトロセルロースに対するRNAタンパク結合と、ゲル電気泳動による標識RNAの同定により決定した。
3’境界実験により、図30Aに示す各4つの配列(配列ID番号:156−159)の境界が得られた。これらの境界は、すべてのタンパク濃度で一貫性があった。5’境界実験により、低いタンパク濃度で大きな境界を与えたRNA16を除いては、図31に示す境界プラスまたはマイナス1ヌクレオチドの境界が得られた。これらの境界実験に基づく、トロンビンリガンドの可能な2次構造を図30Bに示す。
結合分析のために、クラスIのクローン16(24および39ヌクレオチド)の最も小さいおよび最も大きいヘアピンとクラスIIのクローン27(33ヌクレオチド)のヘアピンに対応するRNAqo、合成または転写した(図30B参照)。結果は、RNA27ヘアピンは、固定および可変領域を有する全72ヌクレオチド転写物と等しい親和性(約60nMのkD)で結合することを示す(図31AのRNA27を図31CのRNA33Rを比較)。一方クラスIのクローン16RNAヘアピンのkDは、30nMから200nMへ大きさで上昇した。
RNA分子のピリミジン残基の2NH2一リボースの修飾は、血清中のRNAの安定性(RNaseによる分解に対する抵抗性)を少なくとも1000倍上昇させることが証明された。クラスIおよびクラスIIの2NH2−CTP/UTP修飾RNAを用いる結合実験は、未修飾RNAに比べて結合の著しい低下を示した(図32)。しかし大量の3、ONRNAによる結合は、修飾された時に親和性のわずかな上昇を示した。
15ヌクレオチドのコンセンサス5’−GGTTGGTGTGGTTGG−3’(G15D)(配列ID番号:1)を有するssDNA分子は、インビトロでヒトトロンビンに結合してフィブリン凝固形成を阻害することが証明された(ボックら(1992)、前述)。G15Dと本発明のRNAヘアピンリガンド間の、トロンビン結合についての競合実験の結果を図33に示す。これらの実験A)の始めに、32P標識G15Dを、濃度の上昇する非標識RNAまたは非標識G15Dと共に、トレーサーとして使用した。予想どおり、G15Dをそれ自体の結合に競合するために使用すると、標識DNAの結合は標識および非標識競合DNAの等モル濃度(1μM)で50%に減少した。クラスIのクローン16合成RNA24と39、およびクラスIIのクローン27合成RNA33は、この濃度でG15Dの結合に競合することができた。B)では、高親和性のクラスIIのヘアピンRNA33(kD≒60nM)を32P標識して、濃度の上昇する非標識RNAまたは非標識G15DDNA(kD≒200nM)と共に、トレーサーとして使用した。これらの実験で、RNA33自体の競合よりもG15Dは高濃度でRNA33に効果的に競合でき(結合の右に対する変化)、これは3−4倍の高親和性のリガンドと競合するときに予想されることである。クラスIIのヘアピンRNA33(kDは約60nM)は、クラスIのヘアピンRNA24(kDは約200nM)により、弱く競合されたのみであり、これはいくらかの重複があるかもしれないが、これら1つのクラスのRNAは、異なっているが隣接するかまたは重複する部位に高親和性で結合することを示唆している。これら両方のRNAがG15D結合に競合できるため、このDNA15量体はおそらくクラスIとクラスIIヘアピン間重複の領域に結合している。
発色基質S2238の切断。本発明のRNAリガンドの存在下でおよび非存在下で、ペプチド発色性基質S2238(H−D−Phe−Pip−Arg−pニトロアニリン)(H−D−Phe−Pip−Arg−pNA)(カビ・ファルマシア)を切断するトロンビンの能力を、測定した。この切断反応に、トロンビン10−8MとRNA10−8M、トロンビン10−9MとRNA10−8Mまたはトロンビン10−8MとRNA10−7Mで、RNAは阻害効果を及ぼさなかった(図34A)。これらの結果は、RNAリガンドが酵素の触媒部位に結合しないことを示唆している。
フィブリノーゲンのフィブリンへの切断と凝固形成。フィブリノーゲンのフィブリンへの切断により凝固形成を触媒するトロンビンの能力を、本発明のRNAリガンドの存在下でおよび非存在下で測定した。RNAがKd(クラスIのRNAは30nM、そしてクラスIIのRNAは60nM)に等しい濃度で存在したとき(この濃度はトロンビンの5から10倍過剰である)、凝固時間は1.5倍上昇した(図34B)。
トロンビン結合の特異性。クラスIとクラスIIからの代表的リガンドは、これらのリガンドは1μMの高濃度でも、AT IIIに対する親和性は低いことを示した。これらのリガンドは大量の30N3 RNAに比べて低い親和性を示したが、これは非特異的結合に対する選択があったことを示唆している。AT IIIはポリアニオン性高分子であるヘパリンに高親和性を示す、多量に存在する血漿タンパクであるため、これは特に重要である。これらの結果は、クラスIおよびクラスIIのRNAに存在する別個の構造の進化がトロンビン結合に対して特異的であり、そのポリアニオン性の組成にも関わらず、高親和性ヘパリン結合タンパクには結合しないことを示す。これらのトロンビン特異的RNAリガンドは、活性トロンビンの不活性な生化学前駆体であって、血漿中に高レベル(約1μM)で循環しているプロトロンビンには親和性をもたないことも特記すべきである(図35B)。
塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)に対する核酸リガンド。本発明はセレックス方法を特異的標的bFGFに適用する。以下の実施例の項に、bFGFに対する核酸リガンド溶液を単離し同定するために使用した実験パラメーターを記載する。
本発明は表II−IVに示す特異的核酸リガンドを含む。本発明でカバーされるリガンドの範囲は、セレックス方法により同定されるbFGFに対する全てのリガンドまで拡大される。さらに具体的には、本発明は、表II−IVに示す特異的核酸リガンドと実質的に相向であって、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する核酸配列を含む。
ファミリー1および2のリガンドに関して、図41に示す提唱される構造形成の概要は、1次配列にほとんどまたは全然相同性を有さない配列がなお、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有することを示す。本発明は、本明細書中に与えられたリガンドと実質的に同一の構造を有し、表IIおよびIIIに示すRNAリガンドとbFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、RNAリガンドも含む。「実質的に同一の構造」は、表IIおよびIIIに示す配列(配列ID番号:27−67)の共通の要素を有する全てのRNAリガンドを含む。
本発明はまた、リガンドのインビボ安定性を上昇させ、リガンドの体内送達を促進または媒介し、あるいは体内からのクリアランス速度を低下させるために、ある化学修飾を加えられた上述のリガンドも含む。特にRNAリガンドのあるリボースの2’−NH2修飾を含有するbFGFのRNAリガンドが、本発明の範囲に含まれる。
本明細書に記載されたbFGFに対する核酸リガンドと核酸リガンド溶液は、薬剤として、および遺伝子治療の一部として有用である。さらに本明細書に記載されたbFGFに対する核酸リガンドは診断目的に有利に使用され得る。
本発明の高親和性核酸リガンドはまた、bFGFの生物活性を阻害する能力を含む、種々の性質を有する。配列ファミリー1および2からの代表的リガンドは、bFGFの低−および高−親和性細胞表面リセプターの両者に対する結合を阻害することが見い出された。これらの核酸リガンドは、インビボのbFGF活性の特異的で強力な中和剤として有用でありうる。
実施例I:HIV−RTに対する改良された核酸リガンド溶液の解明RNA合成。オリゴヌクレオチド鋳型でのインビトロ転写を、ミリガン(Milligan)ら(1987)(前述)に記載のように実施した。全ての合成核酸は、標準プロトコールを使用して、アプライド・バイオシステムズ・モデル394−08DNA/RNAシンセサイザー(Applied Biosystems model 394−08 DNA/RNA s
ynthesizer)を用いて作成した。デオキシリボヌクレオチドホスホラミジトおよびDNA合成用の溶媒と試薬は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)から購入した。リボヌクレオチドと2’−メトキシーリボヌクレオチドホスホラミジトは、グレン・リサーチ社(Glen Research Corporation)から購入した。混合塩基位置については、0.1Mボスホラミジト溶液を、指示された容量比で混合した。塩基の脱保護は、水酸化アンモニウム:エタノール3:1の中で55℃で6時間実施した。t−ブチルージメチルシリル保護基は、フッ化テトラブチルアンモニウム中で一晩処理することにより合成RNAの2’−OH基から脱離させた。次に脱保護したRNAは、フェノール抽出して、エタノール沈殿させゲル電気泳動により精製した。
ynthesizer)を用いて作成した。デオキシリボヌクレオチドホスホラミジトおよびDNA合成用の溶媒と試薬は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)から購入した。リボヌクレオチドと2’−メトキシーリボヌクレオチドホスホラミジトは、グレン・リサーチ社(Glen Research Corporation)から購入した。混合塩基位置については、0.1Mボスホラミジト溶液を、指示された容量比で混合した。塩基の脱保護は、水酸化アンモニウム:エタノール3:1の中で55℃で6時間実施した。t−ブチルージメチルシリル保護基は、フッ化テトラブチルアンモニウム中で一晩処理することにより合成RNAの2’−OH基から脱離させた。次に脱保護したRNAは、フェノール抽出して、エタノール沈殿させゲル電気泳動により精製した。
標識したRNAとHIV−RTを用いる親和性測定。5’および3’境界の改良と置換の効果の測定のためのモデルRNAは、T7RNAポリメラーゼでの転写の間に、0.5mMのC、G、およびUTPと0.05mMのATPの反応中で、α−32P−ATPを使用したことを除いて、タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)(前述)が記載するように、標識した。合成オリゴヌクレオチドとリン酸化された転写物(タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)(前述)は、ガウス(Gauss)ら(1987) Mol.Gen.Genet.206:24が記載したようにキナーゼ処理した。全てのRNA−タンパク結合反応は、以下に注記した化学保護実験を例外として、200mMのKOAc、50mMのトリスーHClpH7.7、10mMのジチオスレイトールからなる「結合緩衝液」中で行った。RNAおよびタンパクの希釈物を混合して、氷上に30分間保存して、次に5分間37℃に移行させた。結合測定では反応容積は60μlで、その内50μlを測定した。各反応物は、予め(結合緩衝液で)湿したニトロセルロースフィルターを通して吸引して、3mlの結合緩衝液ですすぎ、次に乾燥させて測定のために数えるか、または溶出して化学修飾について測定した。結合親和性の比較では、結果をプロットして、グラフから、最大の半分の結合が起こるタンパク濃度(タンパク過剰の条件下でおよそKd)を決定した。
HIV−RTによる修飾RNAの選択。結合反応は、反応物に添加するHIV−RTの量を変えるよりはむしろ、反応物の容量を増加させて低濃度にすることを除いては、前述のとおりであった。変性条件下で修飾したRNAは、20、4および0.8ナノモルの濃度のHIV−RT(結合緩衝液の容量で1、5および25m1)で選択した。各反応物に添加したRNAの量は、各実験について同等であった(約1−5ピコモル)。RNAは、タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)(前述)に記載されるようにフィルターから溶出して、修飾した位置について測定した。各実験には、選択したRNAと平行に未選択のRNAをフィルター上にスポットし、溶出して修飾した位置について測定する、対照を含めた。選択したRNAと未選択のRNAの化学修飾での変化は、以下の例外を除き電気泳動した測定生成物の露出したフィルムを目視により試験することにより行った。ENUによる修飾妨害の程度は、LKBレーザーデンシトメーターを使用して、フィルムの密度の走査により測定した。各位置での修飾妨害の指数(M.I.)は以下のように計算した:
M.I.=(O.D.未選択/O.D.未選択A20)/(O.D.選択/O.D.選択A20)
式中、選択さ,れた修飾RNAについて測定した各位置の値(O.D.選択)を、位置A20についての値(O.D.選択A20)で割り、同様に未選択レーンについて割って標準化値とした。2.0以上の全てのM.1.値は妨害するとして、4.0以上は強力に妨害するとして報告される。2’ヒドロキシル(各ヌクレオチドのリボース上)の2’−メトキシによる混合置換の効果の測定において、電気泳動した加水分解生成物のゲルを、アンビス検出系(Ambis detection system)で直接計測した。レーン内の各バンドに関連したカウントは、位置A17について前述のように標準化した。さ
らに、以下に記載するようにレーザーデンシトメーターにより測定した。
M.I.=(O.D.未選択/O.D.未選択A20)/(O.D.選択/O.D.選択A20)
式中、選択さ,れた修飾RNAについて測定した各位置の値(O.D.選択)を、位置A20についての値(O.D.選択A20)で割り、同様に未選択レーンについて割って標準化値とした。2.0以上の全てのM.1.値は妨害するとして、4.0以上は強力に妨害するとして報告される。2’ヒドロキシル(各ヌクレオチドのリボース上)の2’−メトキシによる混合置換の効果の測定において、電気泳動した加水分解生成物のゲルを、アンビス検出系(Ambis detection system)で直接計測した。レーン内の各バンドに関連したカウントは、位置A17について前述のように標準化した。さ
らに、以下に記載するようにレーザーデンシトメーターにより測定した。
RNAの化学修飾。RNAの化学修飾の型とその特異性および測定の方法については、アーレスマン(Ehresmann)ら(1987)(前述)の有用な概説がある。未変性の条件下でのRNAの修飾は、200mMのKOAc、50mMのトリスーHCl pH7.7で37℃、でエチルニトロソ尿素(ENU)(室温のENU飽和エタノールの1/5v/v希釈物)により1−3時間、硫酸ジメチル(DMS)(1/750倍v/v希釈物)により8分間、ケトキサール(0.5mg/ml)により8分間、カルボジイミド(CMCT)(8mg/ml)により20分間、そしてジエチルピロカーボネート(DEPC)(未変性の条件下の1/10のv/v希釈物または変性条件下の1/100の希釈物)により45分間行い、同一条件下で1mMのDTTを添加してHIV−RTに結合させた。修飾化学試薬の濃度は、変性条件で同一であった(DEPCについて記載される部分を除く);ENUによる修飾を7Mの尿素の非存在下で行う場合を除き、これらの条件は、7Mの尿素、50mMのトリスーHCl pH7.7、1mMのEDTAで90℃で1−5分間であった。
化学修飾の測定。伸長したリガンドBのRNA、5’−GGUCCGAAGU25GCAACGGGAAAAUGCACUAUGAAAGAAU−UUUAUAUCUCUAUUGAAAC−3’
(配列ID番号:11)(リガンドB配列は下線で表す)上の、DMS、ケトキサールおよびCMCTについて、化学修飾の位置を逆転写により測定した;ここにオリゴヌクレオチドプライマー5’−CCGGATCCGTTTCAATAGAG−ATATAAAATTC−3’(配列ID番号:12)をアニーリングさせて;逆転写産物(ガウス(Gauss)ら、1987前述のように得た)を、10%ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動により分離した。ENUとDEPC修飾の位置は、それぞれブラソフ(Vlassov)ら(1980) FEBS Lett.120:12、およびピーティーとギルバート(Peattie and Gilbert)(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4679のように(20%アクリルアミドゲル上の電気泳動により分離)測定した。種々の位置のリボースに対する2’−メトキシリボースの測定は、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.0)中で90℃で45分間アルカリ性加水分解により測定した。
(配列ID番号:11)(リガンドB配列は下線で表す)上の、DMS、ケトキサールおよびCMCTについて、化学修飾の位置を逆転写により測定した;ここにオリゴヌクレオチドプライマー5’−CCGGATCCGTTTCAATAGAG−ATATAAAATTC−3’(配列ID番号:12)をアニーリングさせて;逆転写産物(ガウス(Gauss)ら、1987前述のように得た)を、10%ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動により分離した。ENUとDEPC修飾の位置は、それぞれブラソフ(Vlassov)ら(1980) FEBS Lett.120:12、およびピーティーとギルバート(Peattie and Gilbert)(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4679のように(20%アクリルアミドゲル上の電気泳動により分離)測定した。種々の位置のリボースに対する2’−メトキシリボースの測定は、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.0)中で90℃で45分間アルカリ性加水分解により測定した。
HIV−RTの存在下でのRNAの修飾。使用した条件は、未変性のRNAの修飾と同じであった。HIV−RTの濃度は、RNA濃度の約10倍過剰であった。一般にタンパク濃度は、50nMから1μMの範囲であった。
HIV−RTとの付帯的接触のセレックス単離。出発物質のRNAは、以下のオリゴヌクレオチドから合成した、PCR反応をさせた鋳型から転写した:
(5’プライマー)(配列ID番号:13)、
(3’プライマー)(配列ID番号:14)、
(可変鋳型)(配列ID番号:15)。
セレックスは、以下の例外を除いて、HIV−RTについてすでに記載したように実施した。1回目のセレックスの結合反応のHIV−RTの濃度は、4mlの結合緩衝液中13ナノモル、RNAは10マイクロモルであり、2から9回目は20mlの緩衝液中2.6ナノモルのHIV−RT、1.8マイクロモルのRNAで選択を行い、10−14回目は50ml中1ナノモルのHIV−RT、0.7マイクロモルのRNAを使用し、そして15と16回目は50m1の結合緩衝液中0.5ナノモルのHIV−RT、0.7マイクロモルのRNAを使用した。
セレックスは、以下の例外を除いて、HIV−RTについてすでに記載したように実施した。1回目のセレックスの結合反応のHIV−RTの濃度は、4mlの結合緩衝液中13ナノモル、RNAは10マイクロモルであり、2から9回目は20mlの緩衝液中2.6ナノモルのHIV−RT、1.8マイクロモルのRNAで選択を行い、10−14回目は50ml中1ナノモルのHIV−RT、0.7マイクロモルのRNAを使用し、そして15と16回目は50m1の結合緩衝液中0.5ナノモルのHIV−RT、0.7マイクロモルのRNAを使用した。
実施例1の参照文献:
実施例II:HIV−1 Revタンパクに対する改良された核酸リガンド溶液の評価
化学修飾に使用したRevリガンド配列を、図12(以後は、番号を付けた概略図が使用される)に示す。修飾のためのRNAは、合成オリゴヌクレオチド鋳型のT7RNAポリメラーゼ転写から得た。ENU修飾は、図12に示すリガンド配列について実施した。DMS、ケトキサール、CMCT、およびDEPC修飾を、伸長したリガンド配列について実施し、図12に示す合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて逆転写により分析した。
化学修飾に使用したRevリガンド配列を、図12(以後は、番号を付けた概略図が使用される)に示す。修飾のためのRNAは、合成オリゴヌクレオチド鋳型のT7RNAポリメラーゼ転写から得た。ENU修飾は、図12に示すリガンド配列について実施した。DMS、ケトキサール、CMCT、およびDEPC修飾を、伸長したリガンド配列について実施し、図12に示す合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて逆転写により分析した。
RNAの化学修飾。核酸の化学修飾技術は、一般的にアーレスマン(Ehresmann)1ら(1987)(前述)に記載きれている。未変性の条件下でのRNAの修飾は、200mMのKOAc、50mMのトリスーHCl pH7.7、1mMのEDTA中で37℃で実施した。変性条件下での修飾は、7Mの尿素、50mMのトリスーHClpH7.7中で90℃で行った。修飾試薬の濃度とインキュベーション時間は以下のとおりである:エチルニトロソ尿素(ENU)−ENU飽和エタノールの1/5v/v希釈物、未変性1−3時間、変性5分間;硫酸ジメチル(DMS)−1/750倍v/v希釈物、未変性8分間、変性1分間;ケトキサール−0.5mg/ml、未変性5分間、変性2分間;カルボジイミド(CMCT)−10mg/ml、未変性30分間、変性3分間;ジエチルピロカーボネート(DEPC)−1/10のv/v希釈物、未変性10分間、変性1分間。
Rev結合の修飾妨害。変性条件下で化学修飾したRNAは、フィルター分画によりRev結合について選択した。選択は、Revの濃度30、6、および1.2ナノモルで実施した(結合緩衝液(200mMのKOAc、50mMのトリスーHCl pH7.7、および10mMのジチオスレイトール)の容量1、5、および25mlに相当する)。各タンパク溶液に約3ピコモルの修飾されたRNAを添加し、混合して氷上で15分間保存し、次に10分間37℃に移行させた。結合溶液は、予め湿したニトロセルロースフィルターに通し、5mlの結合緩衝液ですすいだ。RNAは、タークとゴールド(Tuerk
& Gold)(1990)(前述)が記載したようにフィルターから溶出して、残った修飾位置について測定した。修飾RNAはまたフィルターにスポットし、溶出液して修飾RNAの均一な回収について溶出した。
& Gold)(1990)(前述)が記載したようにフィルターから溶出して、残った修飾位置について測定した。修飾RNAはまたフィルターにスポットし、溶出液して修飾RNAの均一な回収について溶出した。
修飾妨害の程度は、LKB(ENU)およびモレキュラー・ダイナミクス(DMS、ケトキサール、CMCT、およびDEPC)のレーザーデンシトメーターを使用して、オートラジオグラフの密度走査により測定した。修飾したリン酸と塩基についての値は、選択したおよび未選択のレーンとも、選ばれた修飾位置で標準化した;次に選択した方のレーンの修飾位置についての値は、未選択のレーンの対応する位置により割った(特定の標準化位置については図15−19を参照)。修飾した塩基とリン酸について4.0以上の値は強力に妨害していると判定し、2.0以上の値はわずかに妨害していると判定した。
Revの存在下でのRNAの修飾。Revタンパクの存在下でのRNAリガンドの修飾
であるRevリガンドの「足跡」は、200mMのKOAc、50mMのトリスーCl pH7.7、1mMのDTT、および5mMのMgCl2中で実施した。タンパクの濃度は500ナノモル、そしてRNA濃度の約3倍モル過剰であった。エチルニトロソ尿素(ENU)を除く前述した全ての修飾試薬を用いてで、タンパク存在下での修飾を試みた。
であるRevリガンドの「足跡」は、200mMのKOAc、50mMのトリスーCl pH7.7、1mMのDTT、および5mMのMgCl2中で実施した。タンパクの濃度は500ナノモル、そしてRNA濃度の約3倍モル過剰であった。エチルニトロソ尿素(ENU)を除く前述した全ての修飾試薬を用いてで、タンパク存在下での修飾を試みた。
化学修飾したRNAの測定。ENU修飾の位置は、ブラソフ(Vlassov)ら(1980)(前述)のように検出し、20%変性アクリルアミドゲルによる電気泳動により分離した。DMS、ケトキサール、CMCT、およびDEPCは、放射標識したオリゴヌクレオチドプライマー(図12)による伸長したRevリガンドの逆転写により測定し、8%変性アクリルアミドゲル上の電気泳動により分離した。
偏ったランダム化によるセレックス。インビトロの転写のための鋳型は以下のオリゴヌクレオチドからPCRにより調製した:
(鋳型オリゴ)(配列ID番号:16)
(5’プライマー)(配列ID番号:17)
(3’プライマー)(配列ID番号:18)
ここで鋳型オリゴの小文字は、各位置で62.5%の量の小文字と各12.5%の他の3つのヌクレオチドの試薬の混合物を合成に使用したことを示す。
ここで鋳型オリゴの小文字は、各位置で62.5%の量の小文字と各12.5%の他の3つのヌクレオチドの試薬の混合物を合成に使用したことを示す。
セレックスは、以下の例外を除きすでに記載したように実施した。最初と2回目の結合反応のHIV−1 Revタンパクの濃度は、10mlの容量(200mMの酢酸カリウム、50mMのトリスーHCl pH7.7、10mMのDTTの)中で7.2ナノモルであり、RNAは4マイクロモルであった。3から6回目で、40m1の容量中に、Revタンパクの濃度は1ナノモルであり、RNAは1マイクロモルであった。HIV−1 Revタンパクは、アメリカン・バイオテクノロジーズ社(American Biotechnologies,Inc.)から購入した。
実施例III:HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド。
HIV−1 tatタンパクのセレックス。tatタンパクはアメリカン・バイオーテクノロジーズ社(American Bio−Technologies,Inc.)から購入した。インビトロ転写のための鋳型は、以下のオリゴヌクレオチドを使用してPCRにより製造した:
HIV−1 tatタンパクのセレックス。tatタンパクはアメリカン・バイオーテクノロジーズ社(American Bio−Technologies,Inc.)から購入した。インビトロ転写のための鋳型は、以下のオリゴヌクレオチドを使用してPCRにより製造した:
(5’プライマー)(配列ID番号:18)
(可変鋳型)(配列ID番号:19)
(3’プライマー)(配列ID番号:20)
セレックス回転は、以下の条件下でターク(Tuerk)ら(1992a)(前述)、およびセレックス出願に記載したように実施した:結合反応は、1および52回目は2mlの容量中の、13ナノモルのtatタンパクと1.3マイクロモルのRNAで行い、3−10回目は4m1中の6.5ナノモルのtatタンパクと0.65マイクロモルのRNAで行った。
セレックス回転は、以下の条件下でターク(Tuerk)ら(1992a)(前述)、およびセレックス出願に記載したように実施した:結合反応は、1および52回目は2mlの容量中の、13ナノモルのtatタンパクと1.3マイクロモルのRNAで行い、3−10回目は4m1中の6.5ナノモルのtatタンパクと0.65マイクロモルのRNAで行った。
RNA合成。オリゴヌクレオチド鋳型でのインビトロ転写は、ミリガン(Milligan)ら(1987)(前述)が記載したように実施した。全ての合成核酸は、標準プロトコールを使用して、アプライド・バイオシステムズ・モデル394−08 DNA/RNAシンセサイザー(Applied Biosystems model 394−08 DNA/RNA synthesizer)で作成した。デオキシリボヌクレオチドホスホラミジトおよびDNA合成用の溶媒と試薬は、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)から購入した。
標識したRNAとHIV−1 tatタンパクとの親和性測定。5’および3’境界の改良と置換の効果の測定のためのモデルRNAは、T7RNAポリメラーゼでの転写の間に、0.5mMのC、G、およびUTPと0.05mMのATPとの反応にα−32P−ATPを使用したことを除いて、セレックス出願に記載したように標識した。全てのRNA−タンパク結合反応は、200mMのKOAc、50mMのトリスーHCl pH7.7、10mMのジチオスレイトールからなる「結合緩衝液」中で行った。RNAおよびタンパクの希釈物は、混合して氷上に30分間保存して、次に5分間37℃に移行させた。結合測定では反応容量は60μlで、その内50μlを測定した。各反応物は、予め湿した(結合緩衝液で)ニトロセルロースフィルターを通して吸引し、3mlの結合緩衝液ですすぎ、次に乾燥させて測定のために計測するか、または溶出し、化学修飾について測定した。結合親和性の比較では、結果をプロットし、最大の半分の結合が生じたタンパク濃度(タンパク過剰の条件下でおよそKd)を、グラフから決定した。結合測定の結果を図27に示す。
実施例IV:トロンビンに対する核酸リガンド
トロンビンに対する高い親和性のRNAリガンドを、セレックスにより単離した。最初の候補混合物に使用したランダムRNA分子は、ランダムカセット30ヌクレオチド(30N)長を含有する102ヌクレオチドの2本鎖DNA鋳型から、インビトロの転写により作成した。1013の30NのDNA鋳型の集団は、インビトロの転写のためにT7プロモーター、およびクローニングのため5’および3’プライマーの両方に制限部位を含
有する5’プライマーを使用して、PCRにより作成した。
トロンビンに対する高い親和性のRNAリガンドを、セレックスにより単離した。最初の候補混合物に使用したランダムRNA分子は、ランダムカセット30ヌクレオチド(30N)長を含有する102ヌクレオチドの2本鎖DNA鋳型から、インビトロの転写により作成した。1013の30NのDNA鋳型の集団は、インビトロの転写のためにT7プロモーター、およびクローニングのため5’および3’プライマーの両方に制限部位を含
有する5’プライマーを使用して、PCRにより作成した。
セレックスの各回転でのRNA濃度は、約2−4×10−7Mであり、トロンビン(シグマ(Sigma)、1000単位)の濃度は、1回目の1.0×10−6から2および3回目の4.8×10−7、そして4−12回目の2.4×10−7であった。RNAとタンパクの結合緩衝液は、100mMのNaCl、50mMのトリス/Cl、pH7.7、1mMのDTT、および1mMのMgC正2であった。結合は、37℃で5分間、1−7回目では全容量100μl、そして8−12回目では200μ1中で行ろた。各結合反応物は、ミリポアフィルター結合装置中で、予め湿した(50mMのトリス/Cl、pH7.7で)ニトロセルロースフィルター(2.5cmミリポア、0.45μM)で濾過して、すぐに5mlの同一の緩衝液ですすいだ。RNAは、記載した(ターク(Tuerk)ら(1990)前述)ように、400μlのフェノール(0.1MのNaoAc pH5.2で平衡化させた)、新たに調製した200μlの7Mの尿素でフィルターから溶出した。RNAは20μgのtRNAと共に沈殿させ、cDNA合成の鋳型として使用し、次にPCRを行い、とインビトロで転写して、次の回のRNAを調製した。1−8回目に、RNAを32P−ATPで放射標識して結合がモニターできるようにした。各回のセレックスの時間を早めるために、9−12回目にはRNAは標識しなかった。RNAは、非特異的ニトロセルロース結合についての選択を除外するために、3、4、5、8、11、および12回目の前に、ニトロセルロースフィルター(1.3cmミリポア、0.45μM)で予め濾過した。
大量のRNAのkDの変化を推定するため、5、8、および12回目の後に結合曲線を描いた。これらの実験は、1.2×10−5から2.4×10−9Mの濃度のタンパク過剰で、RNAの最終濃度2×10−9Mで行った。これらの結合曲線のためのRNAは、32P−ATPまたは32P−UTPで高い特異的活性が得られるように標識した。ニトロセルロースフィルターへの結合は、フィルターに結合したRNAが乾燥し、フィルター上で直接計測される以外は、各回のセレックスについて記載したとおりであった。
RNA配列決定。12回目のセレックスに続いて、32P5’末端標識した3’相補的PCRプライマーを使用して、RNAを逆転写酵素(AMV、ライフ・サイエンス社(Life Sciences,Inc.))により配列決定した。
個々のRNAのクローニングと配列決定。12回目からのRNAはDNAに逆転写して、PCRにより増幅した。5’および3’固定領域での制限酵素部位で消化した物を、30N領域を取り出すために使用し、次にこの領域を大腸菌クローニングベクターpUC18の相補部位に連結した。連結したプラスミドDNAはJM103細胞に形質転換して、青/白コロニー形成により選別した。独特の配列を含有するコロニーを増殖させ、ミニプレップDNA(miniprep DNA)を調製した。シーケナーゼ・キット・バージョン2.0(Sequenase kit version 2.0)と35S−dATP(アマーシャム(Amersham))を用いて、ジデオキシ配列決定のために、2本鎖プラスミドDNAを使用した。
末端標識したRNA。末端標識のために、T7ポリメラーゼで転写したRNAを、UV遮蔽によりゲル精製した。37℃で30分間、アルカリ性ボスファターゼ1単位で、5’末端を脱リン酸化することにより、RNAの5’末端を標識した。フェノール:クロロホルム抽出により、アルカリ性ホスファターゼ活性を破壊した。次に、37℃で30分間ポリヌクレオチドキナーゼとの反応で、RNAをγ32P−ATPで末端標識した。
RNAを、37℃で30分間(5’−32P)pCpとRNAリガーゼを用いて、3’末端を標識した。5’および3’末端標識したRNAは、8&の8Mの尿素のポリアクリ
ルアミドゲルで、ゲルバンド精製した。
ルアミドゲルで、ゲルバンド精製した。
5’および3’境界の決定。各々5’または3’境界実験のために3’または5’末端標識した2ピコモルのRNAを、10μlの反応物中の50mMのNa2CO3(pH9.0)と1mMのEDTA中で、90℃で10分間加水分解した。1/5容量の3MのNaOAc(pH5.2)を添加することにより、反応を停止させて、−20℃で凍結した。1×の結合緩衝液と2ピコモルのRNAを含有する、3つの容量(タンパクの量は一定に保持して、100μl、400μl、および1600μl)中の3つのタンパク濃度(40nM、10nMおよび2.5nM)で、結合反応を行った。反応物は37℃で10分間インキュベートして、予め湿したニトロセルロース膜で濾過し、5mlの洗浄緩衝液ですすいだ。フィルターを審の目に切り、それを200μlの7Mの尿素と400μlのフェノール(pH8.0)中で、20℃で15分間振盈することにより、フィルターからRNAを溶出した。1200μlのH2Oを添加後、相を分離し、水相をクロロホルムで1回抽出した。RNAを、1/5容量の3MのNaOAc、20μgの担体tRNA、および2.5容量のエタノールと共に沈殿させた。このペレットを70%のエタノールで1回洗浄し、乾燥させて、5μlのH20と5μlのホルムアミド展開色素中に再懸濁した。アルカリ性加水分解反応の残りの物は、1:10に希釈して、等容量の展開色素を添加した。配列はしご(1adder)上のどこに境界が存在するかを捜し当てるために、アルカリ性加水分解反応と結合反応と並行して、リガンドのRNase T1消化物を電気泳動した。この消化を、7Mの尿素、20mMのクエン酸ナトリウム(pH5.0)および1mMのEDTA中の500フェントモルの末端標識したRNAと、10単位のRNase T1を含有する10μlの反応物中で行った。RNAは、酵素なしで50℃で10分間インキュベートして、次に酵素を添加後さらに10分間インキュベートした。10μlの展開色素を添加し4℃でインキュベートすることにより、この反応を遅くした。消化後すぐに、5μ1の各消化物、加水分解物、および3つの結合反応物を、12%の配列決定ゲルで電気泳動した。
UTPおよびCTPのRNAの2−NH2リボース誘導体のインビトロ転写。ATP、GTP、2−NH2−UTPおよび2−NH2−CTPを含有する反応物中で、T7RNAポリメラーゼを用いて、pUC18プラスミド・ミニプレップdsDNA鋳型から、RNAを直接転写した。32P−標識したRNAのために、32P−ATPを反応物中に含めた。ATP、GTP、UTP、およびCTPを含有する混合物中で、未修飾RNAを転写した。
RNAの合成。境界実験(図30B)により決定した、トロンビンに対する高い親和性の結合のために必要なヌクレオチド配列の下限に対応するRNA分子を、アプライド・バイオシステムズ394DNA/RNAシンセサイザー(Applied Biosystems 394 DNA/RNA synthesizer)で合成した。これらのRNA分子は、24ヌクレオチド(24R)と39ヌクレオチド(39R)のクラスIのクローン16ヘアピン構造と、33ヌクレオチド(33R)のクラスIIのクローン27ヘアピンを含む。
個々のRNA分子の結合。インビトロ転写のために、独特の30N配列を有する4つのDNAプラスミドを選択した。32P−標識したRNAは、従来のヌクレオチド、ならびにCTPとUTPの2−NH2誘導体で転写した。これら個々のRNAの結合曲線は、結合緩衝液と濃度1.0×10−5から1.0×10−10Mのトロンビン(1000単位、シグマ(Sigma))を使用して確立した。ヒトαトロンビン(エンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ、ERL(Enzyme Research Laboratories,ERL)はまた、濃度1.0×10−6から1.0×10−10MでRNAの結合親和性を測定するために使用した。ボック(Bock)ら(1992)(前述)が記載し
た5’末端標識した1本鎖15:量体DNA5’−GGTTGGTGTGGTTGG−3’(G15D)(配列ID番号:1)の結合は、本明細書に記載した結合条件下でERLトロンビンで測定して、上述の放射標識したRNAヘアピン構造による結合と比較した。
た5’末端標識した1本鎖15:量体DNA5’−GGTTGGTGTGGTTGG−3’(G15D)(配列ID番号:1)の結合は、本明細書に記載した結合条件下でERLトロンビンで測定して、上述の放射標識したRNAヘアピン構造による結合と比較した。
競合実験。記載したRNAリガンドがトロンビンに対するDNA15量体G15Dの結合に対して競合できるか否かを検出するために、等モル濃度(1μM)のトロンビンと5’末端標識したDNA15量体G15Dを、濃度を10nMから1μMまで変化させた「冷たい」非標識のRNAまたはDNAリガンドの存在下でおよび非存在下で、フィルター結合条件下(約200nMのkD)でインキュベートした。競合の非存在下では、RNA結合は30%であった。結合への競合が起きるように、最後にタンパクを添加した。競合について試験したRNAリガンドは、クラスIのクローン16合成RNA24量体(24R)と39量体ヘアピン(39R)、およびクラスIIの27合成RNA33量体(33R)であった。結果は、冷たい競合物の濃度に対する、結合したG15Dの相対分画(競合物のある時のG15/競合物のない時のG15)として表される。
クラスI RNAがクラスII RNAとの結合に競合できるか決定するため、そしてG15DDNAとの競合を確認するために、等モル濃度(300nM)のトロンビンと5’末端標識したクラスIIのRNA33ヘアピンを、濃度を100nMから32μMまで変化させた「冷たい」非標識のRNA24またはDNA G15Dの存在下または非存在下で、フィルター結合条件下でインキュベートした。結果は、冷たい競合物の濃度に対ずる、結合したRNA33の相対分画(競合物のある時のRNA33/競合物のない時のRNA33)として表される(図33)。
トロンビンの活性の発色測定とRNAリガンドによる阻害。トロンビンによる発色性基質S−2238(H−D−Phe−Pip−Arg−pニトロアニリン[H−D−Phe−Pib−Arg−pNA])(カビ・ファルマシア)の加水分解を、基質からのp−ニトロアニリン(pNA)の放出による405nmで光学的に測定した。
トロンビン
H−D−Phe−Pip−Arg−pNA + H2O −−−−−−−−>
H−D−Phe−Pip−Arg−OH + pNA
トロンビンを最終濃度10−8または10−9Mになるように、250μMのS2238基質を含有する反応緩衝液(50mMのクエン酸ナトリウム、pH6.5、150mMのNaCl、0.1%のPEG)に37℃で添加した。阻害測定のために、トロンビンとRNA(等モルまたは10倍過剰で)を、反応混合物に添加する前に、37℃で30秒間プレインキュベートした(図34A)。
H−D−Phe−Pip−Arg−pNA + H2O −−−−−−−−>
H−D−Phe−Pip−Arg−OH + pNA
トロンビンを最終濃度10−8または10−9Mになるように、250μMのS2238基質を含有する反応緩衝液(50mMのクエン酸ナトリウム、pH6.5、150mMのNaCl、0.1%のPEG)に37℃で添加した。阻害測定のために、トロンビンとRNA(等モルまたは10倍過剰で)を、反応混合物に添加する前に、37℃で30秒間プレインキュベートした(図34A)。
フィブリノーゲン凝固。37℃で30nMのRNAクラスIまたは60nMのRNAクラスIIがありまたはなしで、0.25mg/m1のフィブリノーゲンと1u/λのRNAse阻害剤(RNAアシン(RNAasin)、プロメガ(Promega))を含有する、400μlのインキュベーション緩衝液(20mMのトリス−酢酸塩、pH7.4、140mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのCaCl2、1mMのMgCl2)に、トロンビンを最終濃度が2.5nMになるように添加した。トロンビンの添加から凝固形成までの時間を、傾斜試験により秒単位で測定した(図34B)。
トロンビン結合の特異性。血清タンパクのアンチトロンビン III(AT III)とプロトロンビンに対する、全長のクラスI RNA16、クラスII RNA27および大量の30N3 RNAの結合親和性を、高親和性のRNAリガンドの進化に関する上述のとおり、フィルター結合により測定した。これらの実験は、最終RNA濃度2×10
−9Mで、濃度1×10−5から5×10−10Mのタンパク過剰で行った(図35)。
−9Mで、濃度1×10−5から5×10−10Mのタンパク過剰で行った(図35)。
実施例V:bFGFに対する核酸リガンド。
材料。bFGFは、バッケム・カリフォルニア(Bachem California)(分子量18,000ダルトン、154アミノ酸)から入手した。組織培養等級のヘパリン(平均分子量16,000ダルトン)は、シグマ(Sigma)から購入した。低分子量ヘパリン(5,000ダルトン)は、カルバイオケム(Calbiochem)から得た。他の全ての化学物質は、少なくとも試薬等級であって市販のものを購入した。
材料。bFGFは、バッケム・カリフォルニア(Bachem California)(分子量18,000ダルトン、154アミノ酸)から入手した。組織培養等級のヘパリン(平均分子量16,000ダルトン)は、シグマ(Sigma)から購入した。低分子量ヘパリン(5,000ダルトン)は、カルバイオケム(Calbiochem)から得た。他の全ての化学物質は、少なくとも試薬等級であって市販のものを購入した。
セレックス。セレックスプロトコールの基本的な特徴は、前述の報告に詳しく記載されている(タークとゴールド(Tuerck&Gold)(1990)(前述);タークら(1992a)(前述);タークら(1992b)ポリメラーゼ・チェーン反応(Polymerase Chain Reaction)(フェレ,F.、ムリス,K.、ギブス,R.およびロス,A.(Ferre,F.Mullis,K.Gibbs,R.& Ross,A.)編)バークハウサー社(Birkhauser)、ニューヨーク州)。簡単に述べると、インビトロの転写のためのDNAの鋳型(これは、定常配列領域に隣接する30のランダム位置の領域を含有する)と、対応するPCRプライマーを化学的に合成した(オペロン)。オリゴヌクレオチド合成中に4つのヌクレオチドの等モル混合物を使用することにより、ランダム領域を作成した。2つの定常領域は、PCRプライマーのアニーリング部位、cDNA合成のためのプライマーのアニーリング部位、T7 RNAポリメラーゼのプロモーター領域、およびベクタニへのクローニングを可能にする制限酵素部位を含有するように設計した(表I参照のこと)。
RNA分子の最初のプールは、T7 RNAポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)を使用して、約200ピコモル(pmol)(1014分子)の2本鎖DNA鋳型のインビトロの転写により調製した。転写混合物は、100−300nMの鋳型、5単位/μlのT7 RNAポリメラーゼ、12mMのMgC12を含有する40mMのトリス−C1緩衝液(pH8.0)、5mMのDTT、1mMのスペルミジン、0.002%のトリトンX−100、および4%のPEGよりなる。転写混合物は、37℃で2−3時間インキュベートした。これらの条件により、典型的には10から100倍の転写増幅が得られた。
高い親和性のRNAリガンドのための選択は、50μlのリン酸緩衝化食塩水(PBS)(10.1mMのNa2HPO4、1.8mMのKH2PO4、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、pH7.4)中で、bFGF(10−100pmol)をRNA(90−300pmol)と共に、37℃で10分間インキュベニトし、未結合種からタンパクーRNA複合体を、ニトロセルロースフィルター分画により分離することにより行った(タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)前述)。次に選択したRNA(これは典型的には全投入RNAの0.3−8%の量になる)を、フィルターから抽出して、トリ骨髄芽球増加症ウイルス(avian myeloblastosis
virus)逆転写酵素(AMVRT、ライフ・サイエンス(Life Sciences))によりcDNAに逆転写した。逆転写は、48℃(30分間)で50mMのトリス緩衝液(pH8.3)、60mMのNaCl、6mMのMg(OAc)2、10mMのDTT、および1単位/μlのAMV RT中で行った。標準条件下でのPCRによるcDNAの増幅により、次の回のインビトロ転写のための充分な量の2本鎖DNAが得られた。
virus)逆転写酵素(AMVRT、ライフ・サイエンス(Life Sciences))によりcDNAに逆転写した。逆転写は、48℃(30分間)で50mMのトリス緩衝液(pH8.3)、60mMのNaCl、6mMのMg(OAc)2、10mMのDTT、および1単位/μlのAMV RT中で行った。標準条件下でのPCRによるcDNAの増幅により、次の回のインビトロ転写のための充分な量の2本鎖DNAが得られた。
ニトロセルロースフィルター結合測定。タンパクに結合したオリゴヌクレオチドは、ニトロセルロース膜フィルターによる濾過により効果的に、非結合種から分離される(ヤルスとバーグ(Yarus & Berg)(1970)Anal.Biochem.35
:450;ロワリーとウーレンベック(Lowary & Uhlenbeck)(19S7)Nucleic Acids Res.15:10483;タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)(前述)。ニトロセルロースフィルター(ミリポア、0.45μmの孔サイズ、HA型)は、フィルターマニホルドに固定して、4−10mlの緩衝液で洗浄した。37℃で0.01%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有する緩衝液(PBS)中で、タンパクの逐次希釈物と共に32P標識したRNAでインキュベート(5−10分間)した後、溶液を45μlずつ低真空下でフィルターに適用して、5mlのPBSで洗浄した。次にこのフィルターは、赤外ランプの下で乾燥してシンチレーションカウンターで計測した。クローニングと配列決定。濃縮したプールの個々のメンバーを、pUC18ベクターにクローン化して、記載されているように配列決定した(シュナイダー(Schneider)ら(1992)(前述);タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)前述)。
:450;ロワリーとウーレンベック(Lowary & Uhlenbeck)(19S7)Nucleic Acids Res.15:10483;タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)(前述)。ニトロセルロースフィルター(ミリポア、0.45μmの孔サイズ、HA型)は、フィルターマニホルドに固定して、4−10mlの緩衝液で洗浄した。37℃で0.01%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有する緩衝液(PBS)中で、タンパクの逐次希釈物と共に32P標識したRNAでインキュベート(5−10分間)した後、溶液を45μlずつ低真空下でフィルターに適用して、5mlのPBSで洗浄した。次にこのフィルターは、赤外ランプの下で乾燥してシンチレーションカウンターで計測した。クローニングと配列決定。濃縮したプールの個々のメンバーを、pUC18ベクターにクローン化して、記載されているように配列決定した(シュナイダー(Schneider)ら(1992)(前述);タークとゴールド(Tuerk & Gold)(1990)前述)。
bFGFを標的としたセレックス実験。上述の工程に続いて、ランダム化したRNAの別々のプール(各プールは約1014分子からなる)を用いて、bFGFを標的とした1つのセレックス実験(実験AおよびB)を開始した。ランダム化領域に隣接する定常配列領域は、対応するプライマーと共に、各実験で異なっていた。使用した1つの鋳型/プライマーの組み合わせは表Iに示される。
選択はPBS中で37℃で実施した。実験Bで実施した選択を、モル比1/100(ヘパリン/bFGF)のヘパリン(シグマ(Sigma)、分子量5,000−32,000ダルトン、平均分子量16,000ダルトン)の存在下で、選択緩衝液中で行った。ヘパリンは、ランダム化したRNAのbFGFへの結合とヘパリンの量に競合する。使用したヘパリンの量は、bFGFへのRNAの結合を著しく低下させたが、排除はしなかった(データは示していないし)。ヘパリンを使用する根拠は、1つあった。第1に、ヘパリンはタンパクの小さな配置の変化を誘導し、温度変性に対してbFGFを安定化させることが知られている。第2に、bFGFに対するランダム化RNAとのヘパリンの結合の、明らかに競合する性質が、ヘパリン結合部位についての選択の緊縮性を上昇させるか、またはRNAリガンドの結合を別の部位に向けさせることが期待された。
bFGFへのRNAリガンドの親和性の著しい改良は、実験Aで10回転後、実験Bで13回転後に観察された。RNAリガンドのこれらの濃縮したプールの配列決定により、ランダム性からの明確な離脱が明らかになり、これはプールに残る分子の数が実質的に低下したことを示していた。次に濃縮したプールの個々のメンバーを、pUC18ベクターにクローン化して、前述したように配列決定した。
実施例Aから49クローンを、実施例Bから37クローンを配列決定した。全部で86配列の内、71配列は独特(unique)であった。配列相同性の重複領域に基づいて、1つの別個のファミリーを同定した(表IIおよびIII)。予想された(アービン(Irvine)ら(1991)J.Mol.Biol.222:739)ように、1つのファミリーのいずれのメンバーにも明白な相同性を持たない多くの配列が存在し、これらは表IVに示される。
ファミリー1リガンドがらのコンセンサス配列(表II)は、9塩基(CUAACCAGG(配列ID番号:27))の隣接範囲により定義される。これは、強くに保存されたAACC配列と隆起した軸を含む、4−5ヌクレオチドループよりなる最小構造を示唆する(図41と表VI)。ファミリー2リガンドのコンセンサス配列(表III)は、さらに伸長しており、それほど保存されていない領域、RRGGHAACGYWNNGDCAAGNNCACYY(配列ID番号:43)を含有する。ここで、大部分の強く保存された位置は、大きな(19−21ヌクレオチド)ループ内に存在している(図41と表II
I)。ループ内に追加の構造も可能である。
I)。ループ内に追加の構造も可能である。
RNAの濃縮プールの1つの別個の配列ファミリーの存在は、bFGFへの高い親和性の結合のための1つの収束性の溶液があることを示唆する。セレックス実験Aは、メンバーを両方の配列に関係づけた(表II)。一方、セレックス実験Bからの全ての配列(ヘパリンの存在下で選択された)は、ファミリー2(表III)か「その他の配列」ファミリー(表IV)に属するが、ファミリー1には見い出されなかった。これは、選択の間bFGFがヘパリンの100倍のモル量過剰で存在したという事実から見て驚くべきことである。しかし、ヘパリンに対するbFGFの有効モル過剰量は、おそらくはるかに小さかった。選択に使用したヘパリンの平均分子量は16,000ダルトンであった。各糖単位は320ダルトンの重さであり、少なくとも8糖単位がbFGFへの高い親和性の結合に必要であるため、平均6分子のbFGFがヘパリン分子に結合できる。このことはbFGFに対するヘパリンの比を1:16に低下させる。実際、この量のヘパリンは、bFGFに対する未選択のRNAプールの観察された親和性を、5倍低下させるのに十分である(データは示していない)。選択緩衝液中の相対的に少量のヘパリンの存在による、観察された全リガンドファミリーの排除は、ヘパリンにより誘導されたタンパクの配置の変化の結果であろう。選択に使用したヘパリンとbFGFの相対量のため、このモデルは、タンパクーヘパリン複合体が解離した後もヘパリンが誘導した配置が存続し、この配置の寿命はRNAリガンドと平衡化できるに足る長さであることを必要とする。
ファミリー2配列は、両方のセレックス実験から誘導したクローンからなる。これは、隣接する定常領域が典型的には、これらのリガンドの親和性を測定する時に相対的に重要でない役割を演じていることを示唆し、このファミリーのコンセンサス配列がbFGFへの高い親和性結合の主要な決定基であるという前提を支持する。
bFGFに対する結合親和性の測定。
平衡解離定数。最も単純な場合に、bFGFへのRNAの平衡結合は、方程式1により記述される:
RNA・bFGF ←→ RNA + bFGF (1)
結合したRNAの分画(q)は、遊離タンパクの濃度[P]に比例する(方程式2)
q = f[P]/([P] + Kd) (2)
ここでKdは平衡解離定数であり、fはニトロセルロースフィルター上のタンパクーRNA複合体の保持の効率を反映する。bFGFについてfの平均値は0.82であった。
平衡解離定数。最も単純な場合に、bFGFへのRNAの平衡結合は、方程式1により記述される:
RNA・bFGF ←→ RNA + bFGF (1)
結合したRNAの分画(q)は、遊離タンパクの濃度[P]に比例する(方程式2)
q = f[P]/([P] + Kd) (2)
ここでKdは平衡解離定数であり、fはニトロセルロースフィルター上のタンパクーRNA複合体の保持の効率を反映する。bFGFについてfの平均値は0.82であった。
より高次の構造を除外するために、タンパクとのインキュベーションの前に全てのRNA溶液はPBS中で90℃で2−3分間加熱して氷上で冷却した。この処理の後、全てのRNAクローンの唯一の単一バンドが、非変性ポリアクリルアミドゲル上で検出された。
bFGFに対する個々のリガンドの相対結合親和性は、配列情報から予測できない。従って、4および40nMのタンパクとのインキュベーション後に、ニトロセルロースフィルターに結合した放射標識したRNAの分画を測定することにより、bFGFに結合する能力について独特の配列クローンが選別した。このスクリーニング法は、ナノモル範囲の解離定数を有する少数のクローンを同定できるほど、十分に正確であった。次にこれらの選択クローンの結合をさらに詳細に分析した。
bFGFに対する高親和性のRNAリガンドは、両方の配列ファミリーに見い出された(表VIおよびVII)。どちらのファミリーにも属さなかったクローンの親和性は一般的に低かった(データは示していない)。
元々の未選択のRNAプールは、300nM(セットA)および560nM(セットB
)の親和性でbFGFに結合した(図36)。従ってセレックスは、bFGFに対する少なくとも2桁高い親和性を有するリガンドの単離を可能にした。
)の親和性でbFGFに結合した(図36)。従ってセレックスは、bFGFに対する少なくとも2桁高い親和性を有するリガンドの単離を可能にした。
特異性の問題に取り組むために、bFGFに対する高親和性のリガンドの代表的なセット(ファミリー1から5Aと7A;ファミリー2から12Aと26A)を、他の4つのヘパリン結合タンパクへの結合について試験した。酸性FGF、トロンビン、アンチトロンビンIII、および血管内皮増殖因子に対する、これらのリガンドの親和性は比較的弱い(Kd>0.3μM)(データは示していない)ことが見い出された。
bFGFリセプター結合のRNAリガンド阻害。同一の4つの高い親和性のRNAリガンドを、bFGFの低いおよび高い親和性の細胞表面リセプターへの結合を阻害する能力についても試験した。
リセプター結合の検討。bFGFを、モスカテリ(Moscatelli)(1987)(前述)が記載したヨウドーゲン(Iodo−Gen)(ピアース(Pierce)方法により125Iで標識した。コシフルエントなベビー・ハムスター腎(BHK)細胞を大量のPBSで洗浄して、次にPBS中の10nm/mlの125I−bFGF、0.1%HSA、1単位/mlのRNアセイン(RNasein)、および高い親和性のRNAの逐次希釈物を含有するαMEM培地と共に、4℃で2時間インキュベートした。別の実験で、この条件下ではRNAは有意に分解していないことが確立された。低および高親和性のリセプター部位に結合した125I−bFGFの量は、モスカテリ(Moscatelli)(1987)(前述)が記載したように測定した。4つ全てのリガンドは低親和性のリセプター部位に競合したが、一方未選択の(ランダム)RNAは競合しなかった(図37A)。低親和性のリセプターからbFGFの半分の置換を起こすのに要するRNAの濃度は、リガンド5A、7Aおよび26Aについては5−20nMであり、リガンド12Aについては>100nMであった。高親和性部位からの半分の置換は、リガンド5A、7Aおよび26Aについては1μM近いRNAの濃度であり、リガンド12Aについては>1μMで観察された。また、ランダムRNAは高親和性のリセプターとも競合しなかった。低および高親和性のリセプターからbFGFを置換するのに要するRNAの濃度の観察された差は、bFGFに対する1つのリセプタークラスの親和性の差(低親和性部位については2−10nMで、高親和性部位については10−100pM)の反映と予想される。
ヘパリンは、両方の配列ファミリーからのRNAリガンドを競合的に置換した(図38)が、bFGFからファミリー2のメンバーを置換するには、より高濃度のヘパリンを必要とした。
セレックス方法により得られる選択的な利点は、bFGFへの親和性に基づく。RNAリガンドは、原則としてタンパクの任意の部位に結合でき、従って適切な機能測定でリガンドの活性を試験することが重要である。選択した高親和性のリガンドについての適切な機能実験は、細胞表面リセプターへのbFGFの結合を阻害する能力の試験である、というのはbFGFはこうしてその生物活性を発揮するためである。いくつかの代表的な高親和性のRNAリガンドが、bFGFの両方のリセプタークラス(相対的結合親和性による)への結合を阻害したという事実は、これらのリガンドがリセプター結合部位でまたはその近傍で結合することを示唆する。さらにヘパリンがこれらのリガンドのbFGFへの結合に対して競合するという観察からも、この概念は支持される。ファミリー1とファミリー2からの高親和性のリガンドは、bFGF上の異なる部位に結合する。本発明は、2つのリガンドのファミリーからの成分を共有結合させて、bFGFの単一のより強力な阻害剤にすることも含む。
表I.セレックス実験AおよびBに使用したオリゴヌクレオチド。
表I.セレックス実験AおよびBに使用したオリゴヌクレオチド。
表II.セレックス実験AおよびBからのランダム領域のファミリー1配列。
表III.セレックス実験AおよびBからのランダム領域のファミリー2配列。
表IV.セレックス実験AおよびBからのランダム領域のその他の配列。
表V.セレックス実験AおよびBからのランダム領域の繰り返し配列。
表VI.ファミリー1からの高親和性リガンドの代表的なセットについての2次構造と解離定数(Kd)。
a強く保存された位置は太字で示される。定常領域のヌクレオチドは小文字で示される。表VII.ファミリー2からの高親和性リガンドの代表的なセットについての2次構造と解離定数(Kd)。
a強く保存された位置は太字で示される。定常領域のヌクレオチドは小文字で示される。
Claims (83)
- 核酸の候補混合物から、ある標的のリガンドである、改良された核酸リガンドを製造する方法であって、
a)候補混合物を標的に接触させ、ここで、候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りの物から分画されてもよく;
b)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画し;
c)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して核酸リガンドを同定し;
e)該標的に結合するために必須である核酸リガンドの核酸残基を測定し;そして
f)該測定に基づく該改良された核酸リガンドを製造することを含んでなる、上記方法。 - 測定は、
a)単一の残基の置換を除いて核酸リガンドと同一である修飾核酸を調製し;そして
b)核酸リガンドに比較して修飾核酸リガンドの結合親和性を評価することを含む、請求項1に記載の方法。 - 測定は、
a)1つまたはそれ以上の末端残基の欠如を除いて核酸リガンドと同一である修飾核酸を調製し;そして
b)核酸リガンドに比較して修飾核酸の結合親和性を評価することを含む、請求項1に記載の方法。 - 測定は、
a)核酸リガンドを化学的に修飾することにより修飾核酸を調製し;そして
b)核酸リガンドに比較して修飾核酸の結合親和性を評価することを含む、請求項1に記載の方法。 - 測定は、
a)該標的の存在下で該核酸リガンドを化学的に修飾し;そして
b)どの核酸残基が修飾されていないかを測定することを含む、請求項1に記載の方法。 - 核酸の候補混合物から、ある標的のリガンドである、改良された核酸リガンドを製造する方法であって、
a)候補混合物を標的に接触させ、ここで候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画されてもよく;
b)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画し;
c)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して該核酸リガンドを同定し;
e)該核酸リガンドの3次元構造を測定し;そして
f)該測定に基づく該改良された核酸リガンドを製造することを含んでなる、上記方法。 - 測定は、
a)核酸リガンドを変性し;
b)変性および非変性核酸リガンドを化学的に修飾し;そして
c)非変性核酸リガンド中では修飾されない、どの核酸残基が変性核酸リガンド中で修飾されるかを測定することを含む、請求項6に記載の方法。 - 測定は、
a)該核酸リガンドに共分散分析を実施することを含む、請求項6に記載の方法。 - 複数の核酸リガンドから、ある標的に対する改良された核酸リガンドを製造する方法であって、
a)該標的に結合するのに必須である該核酸リガンドの核酸残基を測定し;そして
b)該核酸リガンドの3次元構造を測定することを含んでなる、上記方法。 - 核酸の候補混合物から、ある標的のリガンドである、伸長された核酸リガンドを同定する方法であって、
a)候補混合物を標的に接触させ、ここで候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画される;
b)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画してもよく;
c)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して該核酸リガンドを同定し;
e)固定領域とランダム化領域を有する核酸よりなる2次候補混合物を作成し、ここで該固定領域は上記d)で同定された該核酸リガンドに対応する;
f)2次候補混合物を標的に接触させ、ここで候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画されてもよく;
g)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;そして
h)必要であれば工程e)−g)を繰り返して該核酸リガンドを同定することを含んでなる、上記方法。 - HIV−RTタンパクに対する天然には存在しない核酸リガンド。
- 請求項1に記載の方法により製造される、請求項11に記載の核酸リガンド。
- 請求項12に記載の核酸リガンドであって、
d)必要であれば工程a)−c)を繰り返して該核酸リガンドを同定し;
e)該HIV−RTに結合するのに必須である核酸リガンドの核酸残基を測定し;そしてf)該測定に基づく該改良された核酸リガンドを製造する、追加の工程を含む、上記リガンド。 - 請求項2に記載の方法により製造される、請求項11に記載の核酸リガンド。
- 請求項3に記載の方法により製造される、請求項11に記載の核酸リガンド。
- 請求項4に記載の方法により製造される、請求項11に記載の核酸リガンド。
- 請求項5に記載の方法により製造される、請求項11に記載の核酸リガソド。
- 請求項10に記載の方法により同定される、請求項11に記載の核酸。
- Zは、各々図9(配列ID番号:115−135)に示される伸長モチーフIおよび伸長モチーフIIよりなる群から選択される、請求項21に記載の核酸リガンド。
- Zは、各々図9(配列ID番号:115−135)に示される伸長モチーフIおよび伸長モチーフIIよりなる群から選択される、請求項22に記載の核酸リガンド。
- HIV−1 Revタンパクの、天然には存在しない核酸リガンド。
- 請求項1に記載の方法により製造される、請求項25に記載の核酸リガンド。
- 請求項2に記載の方法により製造される、請求項25に記載の核酸リガンド。
- 請求項3に記載の方法により製造される、請求項25に記載の核酸リガンド。
- 請求項4に記載の方法により製造される、請求項25に記載の核酸リガンド。
- 請求項5に記載の方法により製造される、請求項25に記載の核酸リガンド。
- ある標的に対する改良されたリガンドを製造する方法であって、
(a)核酸の候補混合物を調製し;
(b)候補混合物を標的に接触させ、ここで候補混合物に比較して標的に対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画されてもよく;
(c)親和性の増大した核酸を候補混合物の残りのものから分画し;
(d)親和性の増大した核酸を増幅して、核酸のリガンド濃縮混合物を得;
(e)必要であれば工程(b)−(d)を繰り返して該核酸リガンドを同定し;
(f)該標的に結合するのに必須である核酸リガンドの核酸残基を測定し;
(g)該核酸リガンドの3次元構造を測定し;そして
(h)該測定に基づく該改良されたリガンドを設計することを含んでなる、上記方法。 - HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンドを同定する方法であって、
a)核酸の候補混合物を調製し、
b)該タンパクへの親和性に基づき該候補混合物のメンバーを分画し;そして
c)該タンパクに比較的高い親和性を有する候補混合物から選択される分子を増幅して、タンパクに対して比較的高い親和性を有する配列が濃縮された核酸の混合物を得ることを
含んでなる、上記方法。 - d)工程b)およびc)をさらに繰り返すことを含む、請求項34に記載の方法。
- 核酸の該候補混合物は1本鎖核酸よりなる、請求項34に記載の方法。
- 該候補混合物はRNAよりなる、請求項36に記載の方法。
- 請求項34に記載の方法により同定される、HIV−1 tatタンパクに対する核酸リガンド。
- 1本鎖核酸である、請求項38に記載の核酸リガンド。
- 1本鎖RNA配列である、請求項38に記載の核酸リガンド。
- HIV−1 tatタンパクに対する、精製され単離された、天然には存在しない核酸リガンド。
- 該リガンドは図26に示される配列よりなる群から選択される、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、図26に示される配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に相同であって、tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、図27に示されるモチーフI、モチーフIIおよびモチーフIIIよりなる群から選択される、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、図27に示されるモチーフI、モチーフIIおよびモチーフIIIよりなる群から選択されるリガンドと、実質的に相同であって、tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置で化学的に修飾されている、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、図26に示される配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に同一構造を有し、tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項41に記載の核酸リガンド。
- リガンドは、図27に示されるモチーフI、モチーフIIおよびモチーフIIIよりなる群から選択されるリガンドと、実質的に同一の構造を有し、tatタンパクに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項41に記載の核酸リガンド。
- トロンビンに対する核酸リガシドを同定する方法であって、
a)RNA核酸の候補混合物を調製し;
b)候補混合物をトロンビンに接触させ、ここでトロンビンに対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画されるてもよく;
c)トロンビンへの親和性に基づき該候補混合物のメンバーを分画し;そして
d)トロンビンに比較的高い親和性を有する候補混合物から選択される分子を増幅して、そのタンパクに対して比較的高い親和性を有する配列が濃縮された核酸の混合物を得るこ
とを含んでなる、上記方法。 - e)工程b)、c)およびd)を繰り返すことをさらに含む、請求項49に記載の方法。
- RNA核酸の候補混合物は1本鎖核酸よりなる、請求項49に記載の方法。
- 請求項49に記載の方法により同定されるトロンビンに対するRNA核酸リガンド。
- 1本鎖核酸である、請求項52に記載の核酸リガンド。
- 精製され単離された天然には存在しない、トロンビンに対するRNAリガンド。
- リガンドは、図29(配列ID番号:137−154)に示される配列よりなる群から選択される、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、図29(配列ID番号:137−154)に示される配列よりなる群から選択されるリガンドと実質的に相同であって、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、リボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置で化学的に修飾されている、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、図29(配列ID番号:137−154)に示される配列と、実質的に同一の構造を有し、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- RNA配列(配列ID番号:9):
5’−GGAUCGAAG(N)2AGUAGGC−3’
よりなる、請求項54に記載のRNAリガンド。 - RNA配列(配列ID番号:10):
5’−GCGGCUUUGGGCGCCGUGCUU−3’
よりなる、請求項6に記載のRNAリガンド。 - リガンドは、請求項59に記載のリガンドと、実質的に相同であって、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項59に記載のリガンドと実質的に同一の構造を有し、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項60に記載のリガンドと実質的に相同であって、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項60に記載のリガンドと実質的に同一の構造を有し、トロンビンに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項54に記載のRNAリガンド。
- 請求項49に記載の方法により調製される、請求項54に記載のRNAリガンド。
- 塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)に対する核酸リガンドを同定する方法であって
、
a)RNA核酸の候補混合物を調製し;
b)候補混合物をbFGFに接触させ、ここでbFGFに対する増大した親和性を有する核酸は候補混合物の残りのものから分画されてもよく;
c)bFGFへの親和性に基づき該候補混合物のメンバーを分画し;そして
d)bFGFに比較的高い親和性を有する候補混合物から選択される分子を増幅して、bFGFに対して比較的高い親和性を有する配列が濃縮された核酸の混合物を得ることを含んでなる、上記方法。 - e)工程b)、c)およびd)を繰り返すことをさらに含む、請求項66に記載の方法。
- RNA核酸の候補混合物は1本鎖核酸よりなる、請求項66に記載の方法。
- 請求項66に記載の方法により同定されたbFGFに対するRNA核酸リガンド。
- 1本鎖核酸である、請求項69に記載の核酸リガンド。
- 精製され単離された天然には存在しない、bFGFに対するRNAリガンド。
- リガンドは、表IIおよびIII(配列ID番号:28−67)に示される配列よりなる群から選択される、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、表IIおよびIII(配列ID番号:28−67)に示される配列よりなる群から選択されるリガンドと、実質的に相同であって、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドはリボースおよび/またはリン酸および/または塩基の位置で化学的に修飾されている、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、表II、IIIおよびIV(配列ID番号:28−89)に示される配列と、実質的に同一の構造を有し、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- RNA配列(配列ID番号:27):
5’−CUAACCNGG−3’
よりなる、請求項71に記載のRNAリガンド。 - RNA配列(配列ID番号:43):
5’−RRGGHAACGYWNNGDCAAGNNCACYY−3’
よりなる、請求項71に記載のRNAリガンド。 - リガンドは、請求項76に記載のリガンドと、実質的に相同であって、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項76に記載のリガンドと、実質的に同一の構造を有し、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項77に記載のリガンドと、実質的に相同であって、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、請求項77に記載のリガンドと、実質的に同一の構造を有し、bFGFに結合する実質的に同一の能力を有する、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、bFGFの阻害剤である、請求項71に記載のRNAリガンド。
- リガンドは、表II(配列ID番号:27−42)に示される配列よりなる群から選択される、請求項71に記載のRNAリガンド。
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