JP2009249250A - シリコン単結晶の引上げ装置およびそれを用いた引上げ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】石英ルツボの表面に形成される気泡等に起因する微小欠陥や単結晶の有転位化を低減することができるシリコン単結晶の引上げ装置を提供する。
【解決手段】CZ法により育成されるシリコン単結晶4の溶融原料となる融液3を収容する石英ルツボ1と、この石英ルツボ1の外周面および外底面を保持するグラファイトサセプタ2と、これらを囲繞し融液3を加熱するヒータとを配したシリコン単結晶4の引上げ装置において、融液3中に発生する対流のうち、石英ルツボ1の底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)Aに変える突起形状1aが、石英ルツボ1の底面に形成されているシリコン単結晶4の引上げ装置、およびこれを用いた引上げ方法である。突起形状1aは石英ルツボ1の底部に回転非対称に形成するのが望ましい。
【選択図】図4

Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によるシリコン単結晶の育成に適用されるシリコン単結晶の引上げ装置および引上げ方法に関する。さらに詳しくは、結晶原料が溶解されシリコン融液が石英ルツボに収容されたのち、結晶原料から持ち込まれる気泡や石英ルツボ表面に形成される気泡に起因する微小な欠陥(以下、単に「微小欠陥」という)または単結晶の有転位化を低減することができるシリコン単結晶の引上げ装置およびそれを用いたシリコン単結晶の引上げ方法に関するものである。
半導体材料のシリコンウェーハに用いるシリコン単結晶の育成に、最も広く採用されている方法がCZ法による単結晶引上げ方法である。このCZ法によるシリコン単結晶の育成では、引上げ装置の中央部に設置された石英ルツボ内で多結晶シリコンが溶解され、シリコン融液が収容される。そして、シリコン融液に種結晶が浸漬され、種結晶および石英ルツボを回転させながら、種結晶を上方へ引上げることにより、種結晶の下方にシリコン単結晶が育成される。
CZ法において、結晶原料である多結晶シリコンを溶解すると、原料自体や石英ルツボ中に含まれた気体が気泡として融液中に溶け込んだり、石英ルツボの表面に形成される。これらの気泡が結晶中に取り込まれると、育成された単結晶に微小欠陥が発生し、さらには気泡に起因する単結晶の有転位化が発生し易くなる。
従来から、融液中の気泡に起因する問題を解決するため、特許文献1では、多結晶シリコン原料の溶解を5〜60mbarの低圧で行い、溶解に続く単結晶の引上げを100mbar以上の高圧で行う低圧・高圧の組み合わせ操業を提案している。
すなわち、多結晶シリコンの溶融を減圧下で行うと、融液中に存在する気泡の浮力が増し、気体の溶解度も減少することから、融液表面から気泡が発散し易くなり、融液に含まれる気泡量が減少し、気泡に起因する結晶不良の発生率を低減できるとしている。
しかし、特許文献1で提案する低圧溶解・高圧引上げの組み合わせでは、低圧操業(低圧溶解)で発生する気泡に起因する微小欠陥や単結晶の有転位化の問題はある程度解決することができるが、高圧操業(高圧引上げ)で発生する結晶中の微小欠陥や単結晶の有転位化の問題を解消することができない。このため、特許文献1の低圧・高圧の組み合わせ操業によっては、単結晶の育成全体としてさほど単結晶歩留りの向上が図れないことが判明した。
特許2635456号公報 特開2003−146797号公報
前述の通り、気泡に起因する結晶欠陥の問題を解決するため、多結晶シリコン原料の溶解および単結晶の育成を低圧・高圧の組み合わせ操業で実施しても、低圧操業(低圧溶解)にともない融液に含まれる気泡を減少させることができるが、シリコン単結晶の育成プロセス全体としてはさほどの効果を達成することができなかった。
シリコン単結晶の育成プロセス全体の結晶品質に関し、本出願人は、特許文献2において、結晶のシード端部では自然に生じる酸素濃度を維持しながら、育成プロセス全体として結晶の直胴部とテール端部での酸素濃度の低下を抑制し、結晶品質の向上を図ることができるシリコン単結晶の引上げ装置を提案した。
具体的には、石英ルツボがシリコン単結晶の引上げ中に軟化するという固有の特性を利用するものであり、石英ルツボの底部とグラファイトサセプタの底部の間に石英ルツボの底面積より小さな上面積を有し、かつシリコン融点より高い融点を有するスペーサを配置したシリコン単結晶の引上げ装置である。
シリコン単結晶の引上げ装置は、上記の構成を採用することにより、軟化した石英ルツボの底部を上げ底の構造にすることにより、石英ルツボの内底部の表面積を増加させ、シリコン融液と石英ルツボの内底部との接触面積を増加させることができる。また、引上げにともなうシリコン融液と石英ルツボの内側壁部との接触面積の低下を緩やかにできることから、シリコン融液中に溶解する酸素濃度の低下を制御でき、このシリコン融液から育成される単結晶全長の酸素濃度を制御できる。
特許文献2で提案したシリコン単結晶の引上げ装置は、シリコン単結晶を育成するプロセス全体に亘り結晶中の酸素濃度を制御できることから、特に、高濃度にドープされたN型低抵抗率のシリコン単結晶における結晶品質の向上を図ることができる。
ところが、シリコン単結晶の育成における多結晶シリコン原料の溶解では、原料の形状が多様であることから、溶解にともなう原料の沈み込みによる石英ルツボの破損を防ぐため、塊状原料を石英ルツボの上方に配置するが、溶解過程で原料の沈み込みが起こることから、石英ルツボの内周面に起点が生じ、石英ルツボの表面に気泡が形成され付着する。
また、石英ルツボは、不活性雰囲気中で高温成形されることから、その製造過程で内表面またはその近傍部に気泡が残存しており、シリコン単結晶の育成プロセス全体に亘り、石英ルツボの表面に気泡が発生し付着することになる。さらに、石英ルツボ中に過飽和の酸素(O)が含有される場合には、これらもシリコン単結晶の育成プロセスで気泡として石英ルツボの表面に発生する。
石英ルツボの表面に発生した気泡は、所定の大きさに成長し剥離する。気泡が結晶成長界面に到達し結晶中に取り込まれると、育成される単結晶中に微小欠陥が発生し、または気泡に起因して単結晶の有転位化を生じる。特に、近年の集積回路の微細化にともない、シリコンウェーハ中の微小欠陥にともなう品質問題がクローズアップされる。また、単結晶に有転位化が生じた場合には、引き上がられた単結晶を融液中に溶かし込むメルトバック作業等が必要となり、シリコン単結晶の育成効率が著しく低下することになる。
このため、シリコン単結晶の育成技術において、結晶原料から持ち込まれる気泡や石英ルツボ表面に形成される気泡に起因する微小欠陥を低減し、同時に単結晶の有転位化を抑制することが重大な課題となるが、従来から具体的な取り組みが行われていない。特許文献2で提案したシリコン単結晶の引上げ装置においても同様であり、高濃度にドープされたN型低抵抗率のシリコン単結晶の酸素濃度制御には有効であるが、気泡に起因する品質問題については何ら考慮されていない。
本発明は、このようなシリコン単結晶の育成技術における新たな品質問題に鑑みなされたものであり、融液中に溶け込んだ気泡や石英ルツボの表面に形成された気泡に起因する結晶中の微小欠陥や単結晶の有転位化を低減することができるシリコン単結晶の引上げ装置およびそれを用いたシリコン単結晶の引上げ方法を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明者は、融液中に溶け込んだ気泡や石英ルツボの表面に形成された気泡の挙動について検討を重ねた結果、これらは融液中の対流現象に依存することに着目した。これらの気泡は、融液中の対流によって融液表面で発散させることができるか、結晶成長界面に到達するかに区分されるからである。
図1は、石英ルツボに収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。シリコン単結晶4の育成に用いられる融液3には、融液内の温度分布に起因する熱対流と、結晶回転およびルツボ回転に起因する強制対流とが存在することになり、概括的には図1に示すような対流分布A、Bがある。
すなわち、対流分布Aは、シリコン融液3を収容する石英ルツボ1の底部では中心部より周辺部に向かって移動した後に側壁部に沿って融液表面に上昇し、シリコン融液の表面に沿って中心部のシリコン単結晶4に向かって循環する熱対流となる。このとき、対流分布Aに気泡が溶け込んでいると、融液表面に沿って中心部に向かって循環する流れにおいて発散され易くなる。融液3の中心部に至った対流分布Aは、中心部下方に向かって流れ循環する熱対流を構成する。
一方、対流分布Bは、ルツボ回転に起因する石英ルツボ1の中央部での上昇流であり、石英ルツボ1の底面中央部から上昇する、いわゆるコックラン流と呼ばれる。この対流分布Bの流動によって、育成される単結晶の下面中央部に融液3の温度の高い上昇流が当たり、結晶成長界面4aを所定の形状に維持することができる。このため、対流分布Bに気泡が溶け込んでいると、結晶成長界面4aまでに気泡が持ち込まれ、結晶4中に取り込まれるおそれがある。
図2は、石英ルツボの底面中央部に突起形状を形成した場合の収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。図2では、石英ルツボ1の底部とグラファイトサセプタ2の底部との間にスペーサ13を配置することにより、特許文献2で提案したシリコン単結晶の引上げ装置における石英ルツボ1の構成を想定している。
しかしながら、図2に示すように、石英ルツボの底面に回転対称であり、かつ頂部が平板状である突起形状1aを形成した場合には、前記図1に示すのと同様に、融液3中には対流分布A、Bが存在することになる。
すなわち、対流分布Bの上昇流に関し、石英ルツボ1の底面の近傍領域において、融液3は底面と一緒に移動するが、底面から離れた領域になると、流速は石英ルツボ1の底面に垂直成分のみ存在することになる。このため、前記図1に示すように石英ルツボ1の底部を平板状とした場合であっても、図2に示すように石英ルツボ1の底面に回転対称の突起形状1aを形成した場合であっても、融液3は底面の近傍領域において一緒に移動するが、対流分布Bの流動は垂直成分のみとなり、石英ルツボ1の中央部で上昇流となるコックラン流が発生する。
したがって、石英ルツボの底面に回転対称となる突起形状1aを形成した場合であっても、前記図1に示すように石英ルツボ1の底部に突起形状1aを形成することなく平板状とした場合と同様に、石英ルツボの底部から中心部から側壁部に沿って融液表面に上昇し循環する熱対流と、石英ルツボ1の中央部での上昇流とが存在することになる。このため、上昇流に気泡が溶け込んでいると、結晶成長界面4aまでに気泡が持ち込まれ、結晶4中に取り込まれるおそれがある。
ところが、石英ルツボの底面に上昇流をルツボ側壁に沿う流れに変える突起形状を形成した場合、または石英ルツボの底面に回転非対称となる突起形状を形成した場合には、石英ルツボの中央部で上昇するコックラン流の発生を抑制することができる。これにともなって、結晶成長界面まで持ち込まれ、結晶4中に取り込まれる気泡を低減することができる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、下記(1)、(2)のシリコン単結晶の引上げ装置、および(3)、(4)のシリコン単結晶の引上げ方法を要旨としている。
(1)CZ法により育成されるシリコン単結晶の溶融原料となる融液を収容する石英ルツボと、この石英ルツボの外周面および外底面を保持するグラファイトサセプタと、これらを囲繞し前記融液を加熱するヒータとを配したシリコン単結晶の引上げ装置において、前記融液中に発生する対流のうち、前記石英ルツボの底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)に変える突起形状が、前記石英ルツボの底面に形成されていることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置である。
(2)上記(1)のシリコン単結晶の引上げ装置では、前記石英ルツボの底部に突起形状を回転非対称に形成するのが望ましい。また、突起形状を形成する場合には、石英ルツボの底部とグラファイトサセプタの底部との間にシリコン融点より高い融点を有するスペーサを配置するのが望ましい。
(3)上記(1)、(2)の引上げ装置を用いるシリコン単結晶の引上げ方法であって、前記シリコン単結晶の引上げ中に前記石英ルツボの底面に突起形状を形成し、前記石英ルツボに収容される融液中に発生する対流のうち、前記石英ルツボの底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)に変えることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法である。
(4)上記(3)のシリコン単結晶の引上げ方法では、石英ルツボの底部に回転非対称となる突起形状を形成し、融液中に発生する対流のうち、石英ルツボの底面から上昇する流れをルツボ側壁に沿う流れに変えるのが望ましい。また、石英ルツボの底部とグラファイトサセプタの底部との間にシリコン融点より高い融点を有するスペーサを配置し、石英ルツボの底部に突起形状を形成するのが望ましい。
本発明のシリコン単結晶の引上げ装置によれば、融液中に発生する対流のうち、石英ルツボの底面からの上昇流をルツボ側壁に沿って上昇する熱対流に変えることが可能であり、石英ルツボの中央部での上昇流の発生を抑制することができ、これに溶け込んで持ち込まれる気泡に起因する結晶中の微小欠陥や単結晶の有転位化を低減することができる。
したがって、この引上げ装置を用いる引上げ方法では、育成された単結晶の歩留りを向上させるとともに、単結晶の育成プロセス全体として効率化を図ることができる。
本発明のシリコン単結晶の引上げ装置の具体的な形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明のシリコン単結晶の引上げ装置の全体構成を示す図である。シリコン単結晶の引上げ装置の外観を形成するチャンバ12の内部には、シリコン融液3を収容する石英ルツボ1が設けられ、この石英ルツボ1の外周面および外底面はグラファイトサセプタ2により保持される。グラファイトサセプタ2は支持軸9の上端に固定され、この支持軸9を介して石英ルツボ1を所定の方向に回転させるとともに、上下方向に移動できるように構成している。
石英ルツボ1およびグラファイトサセプタ2の外周面はヒータ3により囲繞され、このヒータ3はさらに保温筒10により包囲される。シリコン単結晶の育成における原料溶解の過程では、ヒータ5の加熱により石英ルツボ1内に充填された高純度の多結晶シリコン原料が加熱融解されてシリコン融液3になる。
一方、引上げ装置のチャンバ12の上端部には引上げ手段11が設けられる。この引上げ手段11には石英ルツボ1の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル7が取り付けられ、ワイヤケーブル7を巻取りまたは繰出す引上げ用モータ(図示せず)が配備される。ワイヤケーブル7の下端には種結晶6が取付けられる。
育成中のシリコン単結晶4を囲繞するように、シリコン単結晶4と保温筒10との間に円筒状の熱遮断部材8が設けられる。この熱遮断部材8はコーン部8aとフランジ部8bとからなり、このフランジ部8bを保温筒10に取付けることにより熱遮蔽部材8が所定位置に配置される。
本発明の引上げ装置は、上記の装置構成を前提として、石英ルツボに収容される融液中に発生する対流のうち、石英ルツボの底面中央部からの上昇流をルツボ側壁に沿って上昇する熱対流に変える突起形状が、石英ルツボの底面に形成されていることを特徴としている。
本発明の引上げ装置では、石英ルツボの底面に形成される突起形状は、石英ルツボの底面からの上昇流をルツボ側壁に沿って流れる熱対流に変えるものであれば、特に限定するものではない。
例えば、突起形状が石英ルツボの回転軸に対し非対称になるように、石英ルツボの底面に形成することにより、突起形状の非対称回転による旋回流動が生じ、石英ルツボの底面からの上昇流をルツボ側壁に沿う上昇流に変えることができる。また、突起形状を石英ルツボの回転軸に対し対称になるように形成する場合であっても、突起形状そのものを回転にともない旋回流動を生じる形状に構成すれば、底面中央部の上昇流をルツボ側壁に沿う流れに変えることができる。
本発明の引上げ装置において、突起形状を石英ルツボの回転軸に対し非対称になるように形成するのが、比較的容易であることから、以下では回転非対称の突起形状を形成する形態について説明する。
図4は、本発明の引上げ装置において、回転非対称の突起形状が形成され石英ルツボに収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。本発明の引上げ装置の実施形態として、石英ルツボ1の底部とグラファイトサセプタ2の底部との間にスペーサ13を配置し、石英ルツボ1の底部に回転非対称となる突起形状1aを形成することにより、図4に示すように、石英ルツボの底面からの上昇流が解消され、ルツボ側壁に沿って流れる対流分布Aが主体となる。
すなわち、非対称回転に形成された突起形状1aによる旋回流動が生じ、融液中の対流現象は、石英ルツボの底部では中心部より周辺部に向かい側壁部に沿って融液表面に上昇し、さらに融液表面に沿って中心部のシリコン単結晶に向かい循環する熱対流が主体となる。このとき、熱対流に溶け込んでいる気泡は、融液表面に沿って中心部に向かう領域において発散され易くなる。
同時に、石英ルツボの中央部での上昇流が熱対流に変換され、いわゆるコックラン流が生じないため、石英ルツボの底面から単結晶の下面中央部に上昇するような上昇流は発生しない。このため、結晶成長界面4aまでに持ち込まれる気泡を著しく低減することができる。
図5は、本発明の引上げ装置で用いられる石英ルツボの底面に突起形状を形成する方法を説明する図である。本発明の引上げ装置では、石英ルツボ1の底部とグラファイトサセプタ2の底部との間にシリコン融点より高い融点を有するスペーサ13を配置させることによって、石英ルツボ1の底面に突起形状を形成することができる。
突起形状を形成するに際し、石英ルツボ1が多結晶原料の溶解およびシリコン単結晶の引上げ過程で軟化するという特性を利用するものであるから、スペーサ13はグラファイトサセプタ2と同材質でグラファイト製とするのが望ましい。スペーサ13は、図5に示すように、石英ルツボ1の回転軸に対し非対称になるように、グラファイトサセプタ14の内底面に配置される。
図6は、スペーサの平面形状およびグラファイトサセプタの内底面に配置される状況を説明する図であり、(a)は矩形ブロックを用いる場合を示し、(b)は十字形ブロックを用いる場合を示している。同図(b)に示すスペーサ13は、平面形状そのものは回転対称となる十字形状であるが、石英ルツボ1の回転中心Cに対し偏差Dを設けてグラファイトサセプタ2の内底面に配置することにより、突起形状を回転非対称に形成することができる。
図7は、スペーサの配置による石英ルツボの底面の変形状況を説明する図である。結晶原料を溶解する段階および引上げ初期の段階では、図7(a)に示すように、ヒータ5の加熱により軟化温度に達した石英ルツボ1が変形を開始し、石英ルツボ1の底部でスぺーサ13にゆっくりと馴染むように変形する。石英ルツボ1の底部が変形し始めると、石英ルツボ1の底面に形成された突起形状1aの作用により、底面中央部からの上昇流が徐々に側壁部に沿って上昇する熱対流に変換される。
図7(b)に示すように、石英ルツボ1の底部での変形が完了すると、石英ルツボ1の底面に回転非対称となる突起形状1aが形成される。これにともない、石英ルツボ1の底面に形成された突起形状1aによる旋回流動により、石英ルツボ1の底面からの上昇流が解消される。
本発明のシリコン単結晶の引上げ方法は、上記図5〜図7に示される構成からなる引上げ装置を用いてシリコン単結晶の育成が行われる。結晶原料を溶解する段階では、高純度の多結晶シリコン原料を石英ルツボ1に充填し、ヒータ5でシリコンの融点以上に加熱溶解してシリコン融液3を石英ルツボ1に収容にする。
次に、石英ルツボ1に収容されたシリコン融液3に種結晶6を浸し、種結晶6そのものを融解した後に、ワイヤケーブル7を回転させながら引上げることにより円柱状のシリコン単結晶4を育成する。このとき石英ルツボ1はワイヤケーブル7の回転と反対の回転が加えられる。
前述の通り、結晶原料を溶解する段階および引上げ初期の段階において、ヒータ3の加熱により石英ルツボ1が軟化温度に達し徐々に軟化変形し、石英ルツボ1の底面に突起形状1aが形成されると、石英ルツボ1の回転にともない、回転非対称に形成された突起形状1aの旋回流動により、石英ルツボ1の底面からの上昇流をなくすことができる。これにより、従来の引上げ方法の課題であった、気泡に起因する微小欠陥や単結晶の有転位化を単結晶の育成プロセス全体に亘り解消することができる。
本発明のシリコン単結晶の引上げ装置によれば、融液中に発生する対流のうち、石英ルツボの底面からの上昇流をルツボ側壁に沿う熱対流に変えることが可能であり、融液中に溶け込み、または石英ルツボの表面に形成される気泡に起因する微小欠陥や単結晶の有転位化を低減することができる。
したがって、この引上げ装置を用いる引上げ方法では、育成された単結晶の歩留りを向上させるとともに、単結晶の育成プロセス全体として効率化を図ることができる。これにより、本発明の引上げ装置および引上げ方法は、半導体材料のシリコンウェーハに用いるシリコン単結晶の育成に好適に利用することができる。
石英ルツボに収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。 石英ルツボの底面中央部に突起形状を形成した場合の収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。 本発明のシリコン単結晶の引上げ装置の全体構成を示す図である。 本発明の引上げ装置において、回転非対称の突起形状が形成され石英ルツボに収容された融液中の対流現象を模式的に説明する図である。 本発明の引上げ装置で用いられる石英ルツボの底面に突起形状を形成する方法を説明する図である。 スペーサの平面形状およびグラファイトサセプタの内底面に配置される状況を説明する図であり、(a)は矩形ブロックを用いる場合を示し、(b)は十字形ブロックを用いる場合を示している。 スペーサの配置による石英ルツボの底面の変形状況を説明する図である。
符号の説明
1:石英ルツボ、 1a:突起形状
2:グラファイトサセプタ、 3:シリコン融液
4:シリコン単結晶、結晶、 4a:結晶成長界面
5:ヒータ、 6:種結晶
7:ワイヤケーブル、 8:熱遮蔽体
8a:コーン部、 8b:フランジ部
9:支持軸、 10:保温筒
11:引上げ手段、 12:チャンバ
13:スペーサ

Claims (6)

  1. チョクラルスキー法により育成されるシリコン単結晶の溶融原料となる融液を収容する石英ルツボと、この石英ルツボの外周面および外底面を保持するグラファイトサセプタと、これらを囲繞し前記融液を加熱するヒータとを配したシリコン単結晶の引上げ装置において、
    前記融液中に発生する対流のうち、前記石英ルツボの底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)に変える突起形状が、前記石英ルツボの底面に形成されていることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。
  2. 前記突起形状が、前記石英ルツボの底面に回転非対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  3. 前記石英ルツボの底部と前記グラファイトサセプタの底部との間にシリコン融点より高い融点を有するスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の引上げ装置を用いるシリコン単結晶の引上げ方法であって、
    前記シリコン単結晶の引上げ中に前記石英ルツボの底面に突起形状を形成し、前記石英ルツボに収容される融液中に発生する対流のうち、前記石英ルツボの底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)に変えることを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
  5. 前記石英ルツボの底面に回転非対称となる突起形状を形成し、前記融液中に発生する対流のうち、前記石英ルツボの底面中央部から上昇する流れ(上昇流)をルツボ側壁に沿って上昇する流れ(熱対流)に変えることを特徴とする請求項4に記載のシリコン単結晶の引上げ方法。
  6. 前記石英ルツボの底部と前記グラファイトサセプタの底部との間にシリコン融点より高い融点を有するスペーサを配置し、前記融液の加熱にともない前記石英ルツボの底部に突起形状を形成することを特徴とする請求項4または5に記載のシリコン単結晶の引上げ方法。
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DE102010023101A1 (de) * 2010-06-09 2011-12-15 Siltronic Ag Verfahren zur Herstellung von Halbleiterscheiben aus Silizium

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