JP2009245874A - シミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラム - Google Patents

シミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ケルビン効果の発現を考慮した水分の分布及びガス分布を考慮して燃料電池の動作状態を予測することにより、性能を評価するためのシミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラムを提供する。
【解決手段】シミュレーション装置20の制御部21は、3次元構造データ記憶部23に記録された燃料電池の構造体における空孔径について、Kelvin効果を考慮して、各計算格子座標における飽和水蒸気圧分布を算出する。次に、制御部21は、タイムステップ毎に、飽和水蒸気圧分布を用いて各計算格子座標における水の凝縮量を算出する。そして、水およびガスの質量保存式により、それぞれの輸送計算を行なうことにより、水体積率とガス圧力分布をタイムステップ毎に算出する。そして、最終タイムステップに達した場合には、計算結果として水体積率分布やガス圧力分布を出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の性能を評価するためのシミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラムに関する。
近年、燃料電池がクリーンな発電システムとして注目されている。特に、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で動作して小型で高出力が得られることから期待が大きい。このような固体高分子型燃料電池は、図8に示すように、高分子電解質からなる電解質膜ELが、触媒層CL、マイクロポーラス層MPL、ガス拡散電極層GDLで挟まれた膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly )から構成されている。そして、このMEAの両面にはガス流路GFが設けられている。この各ガス流路GFには、燃料ガスや酸素ガスが供給される。
燃料ガスに含まれる水素がアノード側のガス流路GFに供給され、ガス拡散電極層GDL、マイクロポーラス層MPLを通じて触媒層CLに供給される。そして、触媒層CLでの電気化学反応によって水素が酸化されてプロトンと電子とが生成される。こうして生成されたプロトンは、触媒層CLおよび電解質膜EL内を移動し、カソード側に達する。一方、カソード側に供給された酸素は、プロトンと結合し、水が生成される。こうして、固体高分子型燃料電池の内部における電気化学反応によって生じた水は、セパレータのガス流路GFを流れている反応ガスとともに燃料電池の外部に排出される。
このような燃料電池について動作状態を評価するための燃料電池シミュレーション装置が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載の技術では、CPUが、入力されたセパレータの構造情報に基づいて水素流路における水素分子の挙動を、分子動力学法を用いて解析する。解析結果に基づいて水素極触媒層に衝突する水素分子の数と運動量を算出し、算出結果に基づいて発電量、発熱量、及び劣化量を予測する。
ところで、触媒層CLで生成された水の排出が十分でない場合には、ガス拡散電極層GDLやマイクロポーラス層MPL内に水が蓄積されて水浸しになる「フラッディング現象」が生じる。この現象は、特に水の生成量が多くなる高出力下での駆動時において起こりやすく、この現象が発生すると、反応ガスの拡散が阻害されて燃料電池の出力が低下する。
このような水の挙動を解析するための燃料電池シミュレータも検討されている(例えば、特許文献2、3を参照。)。
特許文献2に記載された技術では、燃料電池のガスチャンネルを流れる反応ガスの流れをシミュレーションする。更に、発電解析を行なうことにより、反応ガスの消費をシミュレーションする。収束解を得た場合、反応ガスを気液二相流と看做して水滴の挙動を解析し、発電解析結果を修正する。
また、特許文献3に記載された技術では、計算を簡単にし、確実に収束解を得るために、反応ガスに含まれる水滴を球体として取り扱い、水滴の挙動をラグランジュ的に解析する。
更に、生成された水を迅速に排出させるための燃料電池の構造も検討されている(例えば、特許文献4〜5を参照。)。
特許文献4に記載された技術では、ガス拡散層電極基材において、一方の面から他方の面にわたる貫通孔を複数有し、且つ貫通孔の密度および/または孔径が面方向に異なるように構成することにより、毛管作用によって水の排水性を高めている。
また、特許文献5に記載された技術では、ガス拡散層にセパレータ側に向かって開口する排水溝を設ける。拡散層はガス流路の方向に最大の透水性能を有しており、排水溝は最大透水方向と直交するように形成される。これにより、拡散層に溜まった水を、毛管作用によって迅速に排出してフラッディング現象を抑制する。
特開2007−95620号公報(第1頁) 特開2005−135813号公報(第1頁) 特開2005−135814号公報(第1頁) 特開2005−38738号公報(第1頁) 特開2007−299657号公報(第1頁)
このように、従来の検討では、燃料電池内で生成された水を、毛管作用によってガス拡散電極層GDLやマイクロポーラス層MPL内で局在化させて、ガスが拡散するパスを確保するようにしている。しかし、より高性能な燃料電池を実現するためには、フラッディング現象を更に抑制することが望ましい。
本願の発明者らは、燃料電池内の電極材料の微細空孔におけるケルビン効果に着目し、このケルビン効果が燃料電池の性能に影響を与える可能性についての知見を得た。すなわち、Kelvin効果(ケルビン効果)においては、空孔の大きさによって、飽和水蒸気圧が変化する。具体的には、開放空間の飽和蒸気圧に対して、空孔の内壁が撥水性の場合には飽和蒸気圧が高くなるため、凝縮が生じ難くなり、親水性の場合には飽和蒸気圧が低くなるため、凝縮が生じやすくなる。燃料電池のシミュレータにおいて、このようなケルビン効果を考慮したシミュレーションは検討されていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ケルビン効果の発現を考慮した水分の分布及びガス分布を考慮して燃料電池の動作状態を予測することにより、性能を評価するためのシミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラムを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置であって、前記制御手段が、前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算手段、タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算手段、タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算手段を備えたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシミュレーション装置において、タイムステップ毎に、前記電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動と、前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径に対応した毛管作用による水の移動速度を算出し、前記ガス流動
及び前記移動速度を適用したダルシー則を用いて液水流動速度を算出する水流動速度演算手段を更に備え、前記液水量演算手段は、前記液水流動速度及び前記凝縮量を水の質量保存式に代入して、液水量の3次元分布を算出することを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシミュレーション装置において、前記液水量演算手段は、前記液水量の3次元分布に対応して、前記電極層内の空孔における水体積率を算出することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシミュレーション装置において、タイムステップ毎に、前記電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動を適用したダルシー則を用いてガス流動速度を算出するガス流動速度演算手段、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気供給量を取得し、タイムステップ毎に、前記水蒸気供給量を前記触媒層及び電極層の境界条件として、前記水体積率に対する残余体積率、前記ガス流動速度、前記凝縮量を、水蒸気の質量保存式に代入して、水蒸気圧力の3次元分布を算出する水蒸気量演算手段を更に備えたことを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシミュレーション装置において、前記触媒層において連続的に消費される反応ガスのガス消費量を取得し、タイムステップ毎に、前記ガス消費量を前記触媒層及び電極層の境界条件として、前記ガス流動速度及び前記残余体積率を前記反応ガスの質量保存式に代入して、前記反応ガスのガス圧力の3次元分布を算出する反応ガス演算手段を更に備えたことを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置を用いて、燃料電池の動作状態のシミュレーションを行なう方法であって、前記制御手段が、前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算段階、タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算段階、タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算段階を実行することを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置を用いて燃料電池の動作状態のシミュレーションを行なうプログラムであって、前記制御手段を、前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算手段、タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算手段、タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算手段として機能させることを要旨とする。
(作用)
請求項1、6又は7に記載の発明によれば、制御手段が、空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する。そして、タイムステップ毎に、触媒層から連続的に供給される水蒸気が電極層内に拡散した場合の
水蒸気圧の3次元分布を取得し、水蒸気圧及び飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する。そして、タイムステップ毎に、凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する。これにより、ケルビン効果を考慮して、生成された液水の分布を計算し、この分布を用いて燃料電池の動作状態を解析することができる。
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が、タイムステップ毎に、電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動と、空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径に対応した毛管作用による水の移動速度を算出し、ガス流動及び移動速度を適用したダルシー則を用いて液水流動速度を算出する。そして、液水流動速度及び凝縮量を水の質量保存式に代入して、液水量の3次元分布を算出する。これにより、液水流動速度を用いて、液水量の3次元分布を算出することができる。
請求項3に記載の発明によれば、液水量の3次元分布に対応して、電極層内の空孔における水体積率を算出する。これにより、水体積率を用いて、ガスが拡散可能な空間を計算し、燃料電池の動作状態を解析することができる。
請求項4に記載の発明によれば、制御手段が、タイムステップ毎に、電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動を適用したダルシー則を用いてガス流動速度を算出する。そして、触媒層から連続的に供給される水蒸気供給量を取得し、タイムステップ毎に、水蒸気供給量を触媒層及び電極層の境界条件として、水体積率に対する残余体積率、ガス流動速度、凝縮量を、水蒸気の質量保存式に代入して、水蒸気圧力の3次元分布を算出する。これにより、触媒層において生成された水蒸気を考慮して、燃料電池の動作状態を解析することができる。
請求項5に記載の発明によれば、制御手段が、触媒層において連続的に消費される反応ガスのガス消費量を取得し、タイムステップ毎に、ガス消費量を触媒層及び電極層の境界条件として、ガス流動速度及び残余体積率を反応ガスの質量保存式に代入して、反応ガスのガス圧力の3次元分布を算出する。これにより、触媒層において消費される反応ガスを考慮して、燃料電池の動作状態を解析することができる。
本発明によれば、ケルビン効果の発現を考慮した水分の分布及びガス分布を考慮して燃料電池の動作状態を予測することにより性能を評価することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図7を用いて説明する。本実施形態では、3次元解析空間にモデル化した燃料電池内の電極層(ここでは、MPL)において空孔分布を設定し、この空孔分布の違いによって生じる凝縮水の分布及び酸素分圧分布を解析するためのシミュレーション装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラムとして説明する。そして、このシミュレーション結果を用いて凝縮水の排水性と酸素拡散性を有するMPL構造を検討することができる。
このシミュレーション解析では、解析空間に生成した計算格子を用いて、空間の物理法則を表現する方程式群を数値解析により解く。このようなシミュレーション計算では、解析する空間に計算格子を用意し、その計算格子上で、公知の支配方程式(質量保存式等)を連立させて計算する。
本実施形態では、図1に示すように、シミュレーション装置20を用いる。シミュレーション装置20は、シミュレーション解析を実行するコンピュータシステムである。この
シミュレーション装置20は、制御部21、パラメータ記憶部22、3次元構造データ記憶部23、境界条件データ記憶部24、飽和水蒸気圧データ記憶部25、計算結果データ記憶部26を備える。更に、シミュレーション装置20は、キーボードやポインティングデバイス等から構成された入力部11や、ディスプレイ等から構成された出力部12を備える。
そして、シミュレーション装置20の制御部21は、図示しないCPUやRAM及びROM等のメモリ等から構成された制御手段を備える。具体的には、後述する飽和水蒸気圧演算段階、凝縮量演算段階、液水量演算段階の各処理を行なう。このためのシミュレーションプログラムを実行することにより、シミュレーション装置20の制御部21は、図4に示すように、演算管理手段210、飽和水蒸気圧演算手段211、凝縮量演算手段212として機能する。更に、制御部21は、水蒸気量演算手段213、酸素量演算手段214、窒素量演算手段215、ガス流動速度演算手段216、液水量演算手段217、水流動速度演算手段218として機能する。
演算管理手段210は、タイムステップ(時刻t)を記録するメモリ(タイムステップカウンタ)を備え、タイムステップ毎に、各計算格子について、後述する各演算手段を用いて水体積率やガス圧分布を算出するための演算制御処理を実行する。このために、数値解析途中のデータを一時記憶するためのメモリを備える。更に、演算管理手段210は、シミュレーションを終了させるための最終タイムステップや、数値解析のための収束判定基準値、繰り返し最大回数に関するデータを保持する。
飽和水蒸気圧演算手段211は、3次元モデルにおいて設定された空孔の大きさを表す代表値(空孔径)を用いて、各計算格子における飽和水蒸気圧を算出する処理を実行する。ここでは、バルクの飽和水蒸気圧(開放空間での飽和水蒸気圧)Psat0[Pa]に対して狭小空間での飽和水蒸気圧をPsat [Pa]とすると、Kelvin式(図4に示す式(1A)、(1B))が成り立つ。ここで、「Vm」は水のモル体積[m3 /mol ]、「γ」は水の
表面張力[N/m]、「θ」は材料表面との接触角[rad ]、「R」はガス定数[J/mol /K]、「rk 」は空孔径[m]を示す。また、バルクの飽和水蒸気圧Psat0は温度T[K]で決まる値である。
そして、凝縮量演算手段212、水蒸気量演算手段213、酸素量演算手段214、窒素量演算手段215を用いて、凝縮・蒸発量qL 、各ガス成分(水蒸気、酸素、窒素)の質量保存式および水の質量保存式を計算し、ガスの各成分の圧力pi と水の体積割合(水体積率s)の分布を計算する。この水体積率sは、ガスだけで空間を占める状態(s=0.0 )から水だけで空間を占める状態(s=1.0 )を表す無次元量である。
凝縮量演算手段212は、各計算格子において、凝縮量(凝縮・蒸発量qL)を算出す
る処理を実行する。具体的には、凝縮量演算手段212は、式(2)を用いて演算処理を実行する。ここで、「pv 」は水蒸気分圧[Pa]、「k0 」は凝縮速度[1/s](=蒸発速度)である。
水蒸気量演算手段213、酸素量演算手段214、窒素量演算手段215は、それぞれ水蒸気、酸素、窒素の質量保存則についての演算処理を実行する。具体的には、各演算手段(213〜215)は、式(3)〜(5)により表わされる水蒸気、酸素、窒素の質量保存式を用いて演算処理を実行する。式(3)〜(5)の左辺第1項は圧力の時間変化量、左辺の第2項はガス流動及び拡散による輸送量、右辺は蒸発量を表している。ここで、「uG」はガス全体の流動速度[m/s]、「Mi 」は各ガス成分の質量フラックス[kg
/m2/s]、「Di 」はガスの拡散係数[m2 /s]である。更に、「1−s」は、水
体積率に対応する残余体積率である。そして、各成分の圧力と全圧pとの間には「Σpi
=p」の関係が成り立つ。なお、水蒸気量演算手段213、反応ガス演算手段としての酸素量演算手段214は、触媒層との境界に接する計算格子においては、質量フラックスとして、境界条件データ記憶部24に記録されたそれぞれの境界条件(水蒸気の生成量と酸素の消費量)を用いる。
ガス流動速度演算手段216は、ガスの流動速度を算出する処理を実行する。ガスの流動速度は、ダルシー則(Darcy 則)から計算する。Darcy 則は多孔質内の粘性抵抗による圧力と流動速度の関係を表す式であり、浸透係数は多孔質の空孔構造に依存する。このため、ガス流動速度演算手段216は、式(6)を用いて演算処理を実行する。ここで、「KG」はガスの浸透係数[m2 ]、「μG」はガスの粘性係数[Pa・s]である。そして
、ガス流動速度演算手段216は、空孔径に対応して浸透係数を算出するための関数を備えている。
液水量演算手段217は、液水量を算出する処理を実行する。具体的には、液水量演算手段217は、式(7)に示す水の質量保存式を用いて演算処理を実行する。式(7)の左辺第1項は水の時間変化量、左辺の第2項は毛管作用とガス流動による輸送量、右辺は凝縮量を表わす。ここで、「ρL 」は水の密度[kg/m3 ]、「ML 」は水の質量フラックス[kg/m2 /s]、「uL 」は水の流動速度[m/s]である。
水流動速度演算手段218は、液水の流動速度(液水流動速度)を算出する処理を実行する。水はガス流動と毛管作用によって移動し、水の流動速度はDarcy 則から計算する。このため、水流動速度演算手段218は、式(8)に示す算出式を用いて演算処理を実行する。ここで、「KL」は水の浸透係数[m2 ]、「μL 」は水の粘性係数[Pa・s]、
「pc 」は毛管圧力[Pa]である。そして、水流動速度演算手段218は、水体積率sに対応して毛管圧力を算出するための関数を備えている。
また、シミュレーション装置20は、図1に示すように、パラメータ記憶部22、3次元構造データ記憶部23、境界条件データ記憶部24、飽和水蒸気圧データ記憶部25、計算結果データ記憶部26を備える。
パラメータ記憶部22は、シミュレーションに用いるパラメータについてのパラメータ管理レコードを記憶する。パラメータ管理レコードは、シミュレーション開始前にパラメータが登録された場合に記録される。本実施形態では、水のモル体積Vm 、水の表面張力γ、材料表面との接触角θ、バルクの飽和水蒸気圧Psat0、凝縮速度k0 、ガスの拡散係数Di 、ガスの浸透係数KG 、ガスの粘性係数μG 、水の密度ρL 、水の浸透係数KL 、水の粘性係数μL に関するデータが記録される。
3次元構造データ記憶部23は空孔径分布情報記憶手段として機能し、燃料電池の構造体(ここでは、MPL構造)において、空孔の疎密領域の3次元配置を特定するための3次元モデルデータを記憶する。3次元モデルデータは、シミュレーション対象の3次元モデルが登録された場合に記録される。この3次元モデルデータは、MPLの3次元モデルにおける計算格子座標毎に空孔径に関するデータを含んで構成される。
計算格子座標データ領域には、MPLの3次元モデルを構成する各計算格子の位置を表す座標に関するデータが記録される。
空孔径データ領域には、各計算格子座標における空孔の大きさを表す代表値に関するデータが記録される。粒子を充填してMPLを構成する場合には、粒子間の空隙に対応した空孔の大きさを用いる。
例えば、図2に示すように、MPL50を撥水性の壁に囲まれた空孔がある多孔質材料
を用いて構成する。そして、このMPL50においては、空孔径が異なる2つの領域を想定し、空孔径が小さい密領域51と、空孔径が大きい疎領域52とを設ける。この場合、3次元モデルデータには、各領域の計算格子毎に空孔径に関するデータが記録される。
境界条件データ記憶部24は、触媒層とMPLとの界面状態を特定するための境界条件レコードを記憶する。境界条件レコードは、シミュレーションの開始時に、触媒層とMPLとの境界条件について設定された場合に記録される。この境界条件レコードは、水蒸気生成量及びガス消費量に関するデータを含んで構成される。
水蒸気生成量データ領域には、触媒層において、電気化学反応によって生じる水蒸気の生成量に関するデータが記録される。
ガス消費量データ領域には、触媒層において、電気化学反応によって消費される酸素(反応ガス)の量に関するデータが記録される。
飽和水蒸気圧データ記憶部25は、図3(a)に示すように、飽和水蒸気圧分布レコード250を記憶する。飽和水蒸気圧分布レコード250は、空孔径に応じて、各計算格子における飽和水蒸気圧を算出した場合に記録される。この飽和水蒸気圧分布レコード250は、計算格子座標毎に飽和水蒸気圧に関するデータを含んで構成される。
計算格子座標データ領域には、シミュレーションに用いる各計算格子の座標を特定するためのデータが記録される。
飽和水蒸気圧データ領域には、各計算格子座標における飽和水蒸気圧に関するデータが記録される。
計算結果データ記憶部26は、図3(b)に示すように、計算結果レコード260を記憶する。計算結果レコード260は、各計算格子における物性値を算出した場合に記録される。この計算結果レコード260は、タイムステップ及び計算格子座標毎に、凝縮量、水蒸気分圧、酸素分圧、窒素分圧、ガス全圧、水体積率に関するデータを含んで構成される。
タイムステップデータ領域には、シミュレーションを行なった各タイムステップを特定するためのデータが記録される。
計算格子座標データ領域には、シミュレーションに用いた各計算格子の座標を特定するためのデータが記録される。
凝縮量データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子における水の凝縮量に関するデータが記録される。
水蒸気分圧データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子における水蒸気の分圧に関するデータが記録される。
酸素分圧データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子における酸素の分圧に関するデータが記録される。
窒素分圧データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子における窒素の分圧に関するデータが記録される。
ガス全圧データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子におけるガスの全圧に関するデータが記録される。
水体積率データ領域には、各タイムステップにおいて、この計算格子における水が占める割合(体積率)に関するデータが記録される。
このように構成されたシステムを用いて行なうシミュレーション計算処理を、図5〜図7に従って説明する。ここでは、まず、計算処理の全体像(図5)を説明し、この計算処理に用いられる水体積率とガス圧力分布の算出処理(図6)、ガス圧力分布の算出処理(図7)を説明する。
(計算処理の全体像)
まず、図5を用いて計算処理の全体像を説明する。
シミュレーション装置20の制御部21は、空孔の疎密領域の3次元配置の設定処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、利用者は入力部11を用いて、燃料電池のMPLの構造(3次元モデル)を設定し、このMPLを充填する粒子の粒径に対応する空孔の疎密領域の3次元配置を設定する。そして、入力部11において設定完了を指示した場合、制御部21の演算管理手段210は、計算格子毎に設定された疎密領域の空孔径を3次元構造データ記憶部23に記録する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、飽和水蒸気圧分布の算出処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の飽和水蒸気圧演算手段211は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(1A)および式(1B)にセットする。そして、飽和水蒸気圧演算手段211は、3次元構造データ記憶部23に記録された空孔径について、式(1A)および式(1B)を用いて、各計算格子座標における飽和水蒸気圧を算出する。そして、飽和水蒸気圧演算手段211は、計算格子座標毎に算出した飽和水蒸気圧を飽和水蒸気圧データ記憶部25に記録する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、触媒層とMPLとの境界における水蒸気の生成量と酸素の消費量の設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、利用者は、入力部11を用いて触媒層側とMPLとの境界における水蒸気の生成量と酸素の消費量を設定する。入力部11において設定完了が指示された場合、制御部21の演算管理手段210は、設定された水蒸気の生成量と酸素の消費量に関するデータを境界条件データ記憶部24に記録する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、タイムステップの管理を開始する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、タイムステップカウンタに初期値を設定して、カウントアップを開始する。
この場合、シミュレーション装置20の制御部21は、水体積率とガス圧力分布の算出処理を実行する(ステップS1−5)。この算出処理については、図6および図7を用いて後述する。
そして、シミュレーション装置20の制御部21は、最終タイムステップに到達しているかどうかについて、収束判定処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、現在のタイムステップと最終タイムステップとを比較する。ここで、最終タイムステップに到達していない場合(ステップS1−6において「NO」の場合)、シミュレーション装置20の制御部21は次のタイムステップに進める処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、タイムステップカウンタに記憶された時刻(t)に単位タイムステップΔtを加算して更新記録する。
一方、最終タイムステップに到達している場合(ステップS1−6において「YES」の場合)には、シミュレーション装置20の制御部21は、水体積率及びガス圧力分布の出力処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、計算結果データ記憶部26に記録された最終タイムステップにおける水体積率分布
及びガス圧力分布を、出力部12に表示する。
(水体積率分布及びガス圧力分布の算出処理)
次に水体積率とガス圧力分布の算出処理について、図6を用いて説明する。本実施形態では、シミュレーション装置20の制御部21は、数値解析を用いて収束解を算出する。このため、制御部21は、演算の繰り返し毎に演算回数を計数する。
まず、シミュレーション装置20の制御部21は、凝縮量分布の算出処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の凝縮量演算手段212が、計算格子座標毎に、飽和水蒸気圧データ記憶部25から飽和水蒸気圧に関するデータを取得し、計算結果データ記憶部26から水蒸気分圧に関するデータを取得する。そして、凝縮量演算手段212は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(2)にセットし、計算格子座標毎に取得した水蒸気分圧と飽和水蒸気圧を式(2)に代入して凝縮量を算出する。そして、凝縮量演算手段212は、計算格子座標毎に算出した凝縮量を計算結果データ記憶部26に記録する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、ガス圧力分布の算出処理を実行する(ステップS2−2)。この処理については、図7を用いて後述する。
そして、シミュレーション装置20の制御部21は、毛管作用とガス流動による水輸送量の収支の算出処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の水流動速度演算手段218は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(8)にセットし、計算結果データ記憶部26に記録されたガスの圧力勾配によるガス流動及び毛管作用による水分の移動速度を用いて水の流動速度uL を算出する。これにより、制御部21の演算管理手段210は、液水量演算手段217における式(7)の左辺第2項の水の輸送量の収支を取得する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、水体積率分布の更新処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の液水量演算手段217は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(7)にセットし、水体積率分布を算出する。ここでは、液水量演算手段217は、計算格子毎に、凝縮量から水輸送量を差し引いた値に対して、単位タイムステップΔtを乗算して変化量を算出する。そして、先のタイムステップにおける水体積率に変化量を加算する。そして、液水量演算手段217は、計算格子毎に算出した水体積率を、今回のタイムステップに対応させて計算結果データ記憶部26に記録する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、水体積率及びガス圧力の時間変化量についての収束判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、水体積率及びガス圧力の時間変化量を算出し、この時間変化量が収束判定基準値以下になったかどうかを判断する。ここで、時間変化量が収束判定基準値以下になっていない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、シミュレーション装置20の制御部21は、演算回数が繰り返し最大回数に到達したかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、現在の演算回数と繰り返し最大回数とを比較する。ここで、演算回数が繰り返し最大回数に到達していない場合(ステップS2−6において「NO」の場合)、シミュレーション装置20の制御部21は、演算回数に「1」を加算するとともに、メモリに一時記憶した分布を用いて、再度、ステップS2−1からの演算処理を繰り返す。一方、演算回数が繰り返し最大回数に到達している場合(ステップS2−6において「YES」の場合)、シミュレーション装置20の制御部21は、収束しなかったことを示すアラームを出力する(ステップS2−7)。
一方、時間変化量が収束判定基準値以下になっている場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、シミュレーション装置20の制御部21は、各分布の更新処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21の演算管理手段210が、メモリに一時記憶した凝縮量分布、各ガス圧分布、水体積率分に関するデータを、今回のタイムステップに関連付けて計算結果データ記憶部26に記録する。
(ガス圧力分布の算出処理)
次に、ガス分圧分布の算出処理について、図7を用いて説明する。
ここでは、シミュレーション装置20の制御部21は、ガス流動と拡散による水蒸気輸送量の収支の算出処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21のガス流動速度演算手段216は、パラメータ記憶部22に記録された水蒸気圧に関するパラメータを式(6)にセットする。そして、ガス流動速度演算手段216は、計算結果データ記憶部26に記録された全ガス圧の圧力勾配を式(6)に代入して、計算更新座標毎に、ガスの流動速度を算出する。次に、計算結果データ記憶部26に記録された水蒸気圧の圧力勾配を用いて拡散による輸送量を算出する。そして、制御部21の水蒸気量演算手段213は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(3)にセットし、ガス流動速度及び拡散による輸送量を用いて、式(3)の左辺第2項における水蒸気の質量フラックスの総和を算出する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、水蒸気分圧分布の一時記憶処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の水蒸気量演算手段213は、式(3)の左辺第1項について、凝縮量に水蒸気輸送量の収支を加算した値に対して、単位タイムステップΔtを乗算して変化量を算出する。次に、水蒸気量演算手段213は、先のタイムステップにおける水蒸気分圧に変化量を加算する。そして、水蒸気量演算手段213は、計算格子毎に算出した水蒸気分圧を、今回のタイムステップに対応させてメモリに一時記憶する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、ガス流動と拡散による酸素輸送量の収支の算出処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21のガス流動速度演算手段216は、パラメータ記憶部22に記録された酸素に関するパラメータを式(6)にセットする。そして、ガス流動速度演算手段216は、計算結果データ記憶部26に記録された全ガス圧の圧力勾配を式(6)に代入して、計算更新座標毎に、ガスの流動速度を算出する。そして、計算結果データ記憶部26に記録された酸素の圧力勾配を用いて拡散による輸送量を算出する。次に、制御部21の酸素量演算手段214は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(4)にセットし、ガス流動速度及び拡散による輸送量を用いて、式(4)の左辺第2項における酸素の質量フラックスの総和を算出する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、酸素分圧分布の一時記憶処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の酸素量演算手段214は、式(4)の左辺第1項について、酸素輸送量の収支に対して、単位タイムステップΔtを乗算して変化量を算出する。次に、酸素量演算手段214は、先のタイムステップにおける酸素分圧に変化量を加算する。そして、酸素量演算手段214は、計算格子毎に算出した酸素分圧を、今回のタイムステップに対応させてメモリに一時記憶する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、ガス流動と拡散による窒素輸送量の収支の算出処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21のガス流動速度演算手段216は、パラメータ記憶部22に記録された窒素に関するパラメータを式(6)にセットする。そして、ガス流動速度演算手段216は、計算結果データ記憶部26に記録された全ガス圧の圧力勾配を式(6)に代入して、計算更新座標毎に、ガスの流動
速度を算出する。そして、計算結果データ記憶部26に記録された窒素の圧力勾配を用いて拡散による輸送量を算出する。次に、制御部21の窒素量演算手段215は、パラメータ記憶部22に記録されたパラメータを式(5)にセットし、ガス流動速度及び拡散による輸送量を用いて、式(5)の左辺第2項における窒素の質量フラックスの総和を算出する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、窒素分圧分布の一時記憶処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の窒素量演算手段215は、式(5)の左辺第1項について、窒素輸送量の収支に対して、単位タイムステップΔtを乗算して変化量を算出する。次に、窒素量演算手段215は、先のタイムステップにおける窒素分圧に変化量を加算する。そして、窒素量演算手段215は、計算格子毎に算出した窒素分圧を、今回のタイムステップに対応させてメモリに一時記憶する。
次に、シミュレーション装置20の制御部21は、ガス全圧分布の更新処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の演算管理手段210は、計算更新座標毎に、各ガスの分圧を総和したガス全圧を算出する。そして、演算管理手段210は、計算格子毎に算出したガス全圧を、今回のタイムステップに対応させて計算結果データ記憶部26に記録する。
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、飽和水蒸気圧演算手段211は、3次元モデルにおいて設定された空孔の大きさを表す代表値(空孔径)を用いて、各計算格子における飽和水蒸気圧を算出する。そして、凝縮量演算手段212は、各計算格子において、水の凝縮・蒸発量qLを算出する処理を実行する。そして、液水量演算手段217は、この凝縮量を用いて、
水の質量保存則についての演算を行なう。そして、水分の分布を考慮して、各計算格子における水体積率を算出する。これにより、Kelvin効果を考慮して、燃料電池内の液水や反応ガスの分布を算出することができる。
そして、Kelvin効果が発現する空孔を設けた領域をMEA内に設け、空孔径を部分的に変化させることによって、飽和水蒸気圧を部分的に変化させる。その飽和水蒸気圧の差によって生じる水蒸気の拡散や凝縮を利用して水蒸気が凝縮して水滴となる部分を局在化させる。水滴となる部分を特定することによって、水蒸気が凝縮しない気相領域を作り、水蒸気およびガスの拡散による高い輸送性を確保した燃料電池を設計することができる。更に、水分によってイオン伝導性が生じる電解質を含む触媒層及び電解質の付近の水蒸気圧を上昇させて高いイオン伝導性を確保可能な燃料電池を設計することができる。
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、シミュレーション方法をMPLに適用したが、シミュレーションの適用範囲はMPLに限定されるものではなく、GDLを含めた領域のシミュレーションにも適用することが可能である。
○ 上記実施形態では、利用者が、入力部11を用いて触媒層側との境界における水蒸気の生成量と酸素の消費量を設定する。これに代えて、燃料電池の出力に対応させて、シミュレーション装置20の制御部21が、水蒸気の生成量と酸素の消費量を設定するようにしてもよい。この場合には、制御部21に、水素と酸素の化学反応式に基づいて、燃料電池の出力に対応させて、水蒸気の生成量と酸素の消費量を算出するテーブルを設けておく。そして、入力部11において燃料電池の出力が設定された場合、制御部21の演算管理手段210は、これに対応する水蒸気の生成量と酸素の消費量を境界条件として境界条件データ記憶部24に記録する。
○ 上記実施形態では、MPL50において、空孔径が異なる2つの領域を想定し、空孔径が小さい密領域51と、空孔径が大きい疎領域52とを設ける。空孔の疎密領域の3次元配置の設定方法はこれに限定されるものではなく、例えば段階的或いは連続的に勾配を有する空孔径を設定することも可能である。この場合には、3次元モデルにおいて複数の所定の座標(指定座標)に空孔径が設定された場合、制御部21の演算管理手段210は、指定座標間の領域には、複数設定された空孔径を極値として段階的或いは連続的に勾配を設けた空孔径を算出する。そして、演算管理手段210は、計算格子座標毎に算出した空孔径を3次元構造データ記憶部23に記録する。
○ 上記実施形態では、シミュレーション装置20の制御部21は、触媒層との境界における水蒸気の生成量と酸素の消費量の設定処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、入力部11において触媒層側との境界における水蒸気の生成量と酸素の消費量が設定された場合、制御部21の演算管理手段210は、このデータを境界条件データ記憶部24に記録する。ここで、水体積率の増大に応じて、触媒層との境界における水蒸気の生成量を変化させるようにしてもよい。具体的には、水体積率の統計値(例えば、平均値)に応じて、水蒸気の生成量を決定する生成量算出テーブルを境界条件データ記憶部24に登録しておく。そして、タイムステップ毎に、シミュレーション装置20の制御部21は、水体積率の統計値を算出し、生成量算出テーブルを用いて水蒸気の生成量を決定する。この場合には、水体積率に応じて触媒層への酸素ガスの供給が阻害されるため、これに応じて水蒸気の生成量を変化させたシミュレーションを行なうことができる。
本発明の一実施形態のシステムの概略図。 本発明の一実施形態のMPLの構造の説明図。 本発明のデータ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は飽和水蒸気圧データ記憶部、(b)は計算結果データ記憶部に記録されたデータの説明図。 本発明の制御部の機能ブロックの説明図。 本発明の一実施形態の処理手順の説明図。 本発明の一実施形態の処理手順の説明図。 本発明の一実施形態の処理手順の説明図。 燃料電池の概略構造の説明図。
符号の説明
11…入力部、12…出力部、20…シミュレーション装置、21…制御部、210…演算管理手段、211…飽和水蒸気圧演算手段、212…凝縮量演算手段、213…水蒸気量演算手段、214…酸素量演算手段、215…窒素量演算手段、216…ガス流動速度演算手段、217…液水量演算手段、218…水流動速度演算手段、22…パラメータ記憶部、23…3次元構造データ記憶部、24…境界条件データ記憶部、25…飽和水蒸気圧データ記憶部、26…計算結果データ記憶部、s…水体積率、Psat0…飽和水蒸気圧。

Claims (7)

  1. 燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、
    燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置であって、
    前記制御手段が、
    前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算手段、
    タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算手段、
    タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算手段
    を備えたことを特徴とするシミュレーション装置。
  2. タイムステップ毎に、前記電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動と、前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径に対応した毛管作用による水の移動速度を算出し、前記ガス流動及び前記移動速度を適用したダルシー則を用いて液水流動速度を算出する水流動速度演算手段を更に備え、
    前記液水量演算手段は、
    前記液水流動速度及び前記凝縮量を水の質量保存式に代入して、液水量の3次元分布を算出することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記液水量演算手段は、前記液水量の3次元分布に対応して、前記電極層内の空孔における水体積率を算出することを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション装置。
  4. タイムステップ毎に、前記電極層内のガスの圧力勾配によるガス流動を適用したダルシー則を用いてガス流動速度を算出するガス流動速度演算手段、
    前記触媒層から連続的に供給される水蒸気供給量を取得し、
    タイムステップ毎に、前記水蒸気供給量を前記触媒層及び電極層の境界条件として、前記水体積率に対する残余体積率、前記ガス流動速度、前記凝縮量を、水蒸気の質量保存式に代入して、水蒸気圧力の3次元分布を算出する水蒸気量演算手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション装置。
  5. 前記触媒層において連続的に消費される反応ガスのガス消費量を取得し、
    タイムステップ毎に、前記ガス消費量を前記触媒層及び電極層の境界条件として、前記ガス流動速度及び前記残余体積率を前記反応ガスの質量保存式に代入して、前記反応ガスのガス圧力の3次元分布を算出する反応ガス演算手段を更に備えた請求項4に記載のシミュレーション装置。
  6. 燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、
    燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置を用いて、燃料電池の動作状態のシミュレーションを行なう方法であって、
    前記制御手段が、
    前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算段階、
    タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算段階、
    タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算段階
    を実行することを特徴とするシミュレーション方法。
  7. 燃料電池において、ガスを透過する電極層の空孔径の統計値について3次元分布を記録した空孔径分布情報記憶手段と、
    燃料電池の触媒層に接する電極層内の水分の分布を算出する制御手段とを備えた燃料電池の動作状態のシミュレーション装置を用いて燃料電池の動作状態のシミュレーションを行なうプログラムであって、
    前記制御手段を、
    前記空孔径分布情報記憶手段に記録された空孔径の統計値に対応させて、飽和水蒸気圧の3次元分布を算出する飽和水蒸気圧演算手段、
    タイムステップ毎に、前記触媒層から連続的に供給される水蒸気が前記電極層内に拡散した場合の水蒸気圧の3次元分布を取得し、前記水蒸気圧及び前記飽和水蒸気圧の3次元分布を用いて、ケルビン効果の発現を考慮した水の凝縮量の3次元分布を算出する凝縮量演算手段、
    タイムステップ毎に、前記凝縮量の3次元分布を用いて、水の質量保存式から電極層内の液水量の3次元分布を算出する液水量演算手段
    として機能させることを特徴とするシミュレーションプログラム。
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