JP2009236757A - 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材 - Google Patents

棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材 Download PDF

Info

Publication number
JP2009236757A
JP2009236757A JP2008084614A JP2008084614A JP2009236757A JP 2009236757 A JP2009236757 A JP 2009236757A JP 2008084614 A JP2008084614 A JP 2008084614A JP 2008084614 A JP2008084614 A JP 2008084614A JP 2009236757 A JP2009236757 A JP 2009236757A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel material
high temperature
steel
fire
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008084614A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Matsuishi
長之 松石
Tadayoshi Okada
忠義 岡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2008084614A priority Critical patent/JP2009236757A/ja
Publication of JP2009236757A publication Critical patent/JP2009236757A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Abstract

【課題】棒鋼材の高温引張力試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材を提供すること。
【解決手段】直径が6mm以上40mm以下の棒鋼材2をその温度を一定に保つことなく連続して昇温するように加熱し、前記棒鋼材が所定の温度到達と同時に、高温状態の棒鋼材の両端に取り付けた治具を介して引張力を導入して、高温状態の前記棒鋼材の強度を測定する棒鋼材の高温引張試験方法。棒鋼材の両端がねじ切りされたネジ接合部を備えており、これに取り付けられる引張試験機側の治具とねじ接合が可能となっている。棒鋼材の高温引張試験方法による試験結果のデータを、無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いる無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法。前記の棒鋼材の高温引張試験方法で高温強度を規定される鋼材。
【選択図】図1

Description

本発明は、棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材に関する。
一般に、構造用鋼材は、建築物において使用される場所により、より高い耐火性能が要求される。例えば、非特許文献1にも記載されているように、高層建築物の柱、あるいは梁として使用される場合に、最上階から数えて1階以上4階まででは、1時間の耐火性能が、同様に数えて5階以上14階まででは、2時間の耐火性能が、同様に数えて15階以上では3時間の耐火性能が要求されている。前記以外にも使用される場所により、30分耐火性能等の耐火性能が要求されている。
柱は耐火被覆されることが多く、耐火材料により耐火性能を格段に向上させることができるが、耐火被覆されない無耐火鋼材では、そのまま使用されることになるから、無耐火鋼材として使用される鋼材の耐火性能を正確に把握することが必要である。
従来、建物に火災が発生し、加熱された部材の耐力を予測するには、通常、JISに規定される高温引張試験に準拠して計測された素材高温強度を用いている。
例えば、角形鋼管柱に用いる鋼材と同じ材質の棒鋼材をJIS G 0567のI形あるいはII型の試験体を製作して試験するようになる。
さらに説明すると、JIS G 0567の規定する試験体のII型では、図1または拡大して示す図9に示すように、直径(D)6mm以上〜12mmの棒鋼材を加熱し(昇温速度は規定なし)、試験しようとする棒鋼材を試験しようとする所定の温度の高温状態で15分保持後、その温度を保った状態で0.3%/min以下の引張速度で載荷した試験結果を用いることになる。
ところで、鋼材は高温に曝される時間に応じて高温強度が消失する現象が生じる。特に、高温強度が急激に低下し始める温度以上(例えば、特殊鋼としての耐火鋼では600℃以上)で、その傾向が強い。
また例えば、図6に示すように、鋼材を700℃で、その高温状態を保持しない場合(0分保持)と15分保持した場合とでは、鋼材の応力度[N/mm]でそれほど低下してはいないが、鋼材を750℃とした場合には、その高温状態で保持しない場合と、15分保持した場合とでは、応力度で10%程度低下していることがわかる。
また、高温状態における鋼材の強度低下について検討すると、図5に示すように、一定の高温状態を保持しない場合の降伏応力度σ0.2(永久伸び0.2%でオフセット法)を100として、高温保持時間の影響で低下した降伏応力度の割合(降伏応力度比)を縦軸とし、その高温状態を保持した時間(分)を横軸にして、その保持時間に応じて降伏応力度比が、保持時間が長くなるに従い徐々に低下していることが分かる。また、その高温状態が600℃(図中の菱形)、700℃(図中の四角)、800℃(図中の三角)と、より高温状態が高くなるに従って低下することがわかる。
特に、図5において、700℃あるいは800℃で、これらの高温保持時間が1分から15分までの間において、ほぼ5%の低下を示していることがわかる。
このように鋼材を加熱した場合には、高温になるほど、高温状態の保持時間が長くなるほど、降伏応力が低下することがわかる。
一方、実際の火災により耐火被覆が施されていない鋼材が加熱されると、急激に鋼材温度(特に、鋼材表面温度)が上昇する。これに対し、JIS G 0567に準拠して認可を受けようとする場合、実際に使用する部材と、同じ材質のものを用いて高温引張試験をするようになる。
例えば、実際に使用する角形鋼管柱1として、図8に示す角形鋼管柱試験体10について、図2に示すような耐火試験をした場合、JISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って(一定の温度に15分間保持しない)加熱した場合には、図4に点線で示すような曲線Aが得られる。
一方、前記の角形鋼管柱1と同じ材質鋼材について、JIS G 0567に規定されるような棒鋼材試験体2を製作し、そのような棒鋼材試験体2をJIS G 0567に規定されるように、高温状態に15分保持した場合の結果(応力―歪み曲線)のデータを用いて、前記の角形鋼管柱試験体10についてFEM解析(数値解析)した場合には、図4に一点差線で示すような曲線Bが得られる。
図4に矢印で示すように、現実の曲線Aと、FEM解析上の曲線Bとの間に大きな差を生じるようになり、鋼材の現実の耐火性能と、FEM解析上の鋼材の耐火性能に大きな差を生じている。
前記のように、JIS G 0567「鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張試験方法」に規定される試験方法により試験する場合には、試験体を加熱炉11で加熱して所定の温度到達後、15分間鋼材の高温状態を保持するため、常に加熱温度が上昇する実火災の場合の鋼材の強度と、同じ材質の棒鋼材についての前記JIS G 0567では、両者に差異が生じるようになる。
「建築防火」1994年8月25日初版 117頁〜118頁 株式会社朝倉書店発行
前記従来のように、高温状態で15分間保持するJISに準拠した高温引張試験から得られた鋼材高温強度を用いると、実際の火災時の鋼部材耐力を過小に評価することになり、実際の鋼材耐力を精度良く予測することができないという問題があった。
すなわち、従来技術では、高温状態で15分間、使用しようとする鋼材と同じ材質の棒鋼材を高温状態に保持することにより、高温強度が小さくなった棒鋼材の試験結果を用いて、実際に使用する鋼材についてFEM解析しているため、実際に使用しようとする鋼材の高温強度を正確に把握しておらず、鋼材からなる試験体の試験スタート時に導入する軸力と、前記試験体が載荷軸力を支えきれなくなる部材温度とを、実際に使用する鋼材の加熱実験(または実火災時における鋼材の強度)よりも小さく予測してしまうという問題がある。
通常、鋼材を試験する場合、その鋼材の試験前に期待する耐火性能を有するような、最小仕様を予測して試験体を製作して部材試験を行うのが、前記のような過少評価の結果、実際には、余裕のある実験結果が得られる。
一般的に、前記のような部材の試験による認定試験では、実験で合格した断面よりも大きい範囲に対して認定を取得することができるため、実験で合格した断面よりも小さい断面形状の鋼材とする場合には、より認定取得できる範囲が広くなるように、再度断面を小さく(板厚を薄く)した試験体を製作して実験する必要が生じてしまう。
すなわち、部材試験を精度良く予測できないために下記(1)あるいは(2)のような問題がある。
(1)部材断面の大きい場合と小さい場合について等、部材試験を複数回実施する必要が生じ不経済になる。
(2)部材試験を複数回実施しないのであれば、断面を大きく(鋼材の重量が多く)する必要が生じ、部材が高価になるという問題が生じる。
実際の鋼材の高温引張性能を正確に予測できると、鋼材使用量を少なくしたり、耐火被覆層の厚さを薄くするなど経済設計を図ることが可能になり、より安価な構造物とすることができる利点が生じるようなる。
本発明は、前記の問題を有利に解決して前記の利点を得ようとするもので、部材の認定取得等における、必要な最小限の断面仕様の部材とすることが可能な棒鋼材の高温引張力試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材を提供することを目的とする。
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の棒鋼材の高温引張試験方法では、直径が6mm以上40mm以下の棒鋼材をその温度を一定に保つことなく連続して昇温するように加熱し、前記棒鋼材が所定の温度到達と同時に、高温状態の棒鋼材の両端に取り付けた治具を介して引張力を導入して、高温状態の前記棒鋼材の強度を測定することを特徴とする。
第2発明では、第1発明の棒鋼材の高温引張試験方法において、棒鋼材の両端がねじ切りされたネジ接合部を備えており、これに取り付けられる引張試験機側の治具とねじ接合が可能となっていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明の棒鋼材の高温引張試験方法において、JISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って前記棒鋼材を加熱することを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験方法において、棒鋼材における変位計測区間の引張速度が0.3%/min以下であることを特徴とする。
第5発明の無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法では、第1発明〜第4発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験方法による試験結果のデータを、無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いることを特徴とする。
第6発明高温強度に優れた鋼材では、第1発明〜第4発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験方法で高温強度を規定されていることを特徴とする。
本発明によると、次のような効果が得られる。
第1発明によると、直径が6mm以上40mm以下の棒鋼材をその温度を一定に保つことなく連続して昇温するように加熱し、前記棒鋼材が所定の温度到達と同時に、高温状態の棒鋼材の両端に取り付けた治具を介して引張力を導入して、高温状態の前記棒鋼材の強度を測定するので、実火災時における想定される鋼材の高温強度を正確に測定することができ、その測定された試験結果のデータを、実際に建築物に使用する鋼材についてのFEM解析に使用するので、実際に建築物に使用される鋼材の高温時における強度に近い結果の解析結果をえることができ、鋼材の高温時における性能をFEM解析により正確に把握することができる効果が得られる。
第2発明によると、第1発明の棒鋼材の高温引張試験方法において、棒鋼材の両端がねじ切りされたネジ接合部を備えており、これに取り付けられる引張試験機側の治具とネジ接合が可能となっているので、前記第1発明の効果に加えて、さらに、棒鋼材を容易に治具を介して引張試験機に接続することができる。
第3発明によると、第1発明または第2発明の棒鋼材の高温引張試験方法において、認定試験の加熱曲線と同じJISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って前記鋼材を加熱するので、その測定された試験結果のデータを、実際に建築物に使用する鋼材についてのFEMに使用でき、実際に建築物に使用される鋼材の高温時における性能を正確に把握することができる効果が得られる。
第4発明によると、第1発明〜第3発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験方法において、棒鋼材における変位計測区間の引張速度が、認定試験の試験体崩壊判定基準のひとつと同じ、もしくは、それより小さい0.3%/min以下であるので、前記の効果に加えて、その測定された試験結果のデータを、実際に建築物に使用する鋼材についてのFEMに使用でき、実際に建築物に使用される鋼材の高温時における性能を正確に、もしくは安全側に把握することができる効果が得られる。
第5発明の無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法によると、第1発明〜第5発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験結果のデータを、無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いるので、従来の棒鋼材を、15分間高温状態を維持する場合を用いるFEM解析よりも、より実火災に近いデータを用いることができるため、より実火災に近いFEM解析結果になり、鋼材の高温耐力をより実際に近く正確に予測することができる効果が得られる。
第6発明の高温強度に優れた鋼材では、前記第1発明〜第4発明のいずれかの棒鋼材の高温引張試験方法で高温強度を規定されているので、本鋼材の高温引張試験結果を用いてFEM解析で無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測すれば、実火災に近いFEM解析結果になり、無耐火被覆鋼材の高温耐力を実際に近く正確に予測することができる効果が得られる。
次に、本発明の一実施形態を、図を用いて詳細に説明する。
図1およびその一部を拡大して示す図9は、本発明において、図2に示すような角形鋼管柱1(あるいは図8に示す角形鋼管柱1)に使用される鋼材と同じ材質の鋼材について、JIS G 0567のII型試験体に相当する棒鋼材試験体2を製作して試験する場合を示すものであって、両端部に大径雄ねじ部3,4を備えた棒鋼材試験体2である。
中間部には、間隔をおいて設けられたつば部としての環状突部5間に小径軸部6を備え、環状突部5と大径雄ねじ部3,4間には、小径軸部6よりも僅かに大径の中間軸部7を備えている。
環状突部5を形成する傾斜面8の延長面が交差する角度θは90°とされ、環状突部5頂面は、断面で平坦面9とされている。
前記の小径軸部6の直径をDとし、中間軸部の直径Dとし、環状突部5部分の平坦面9部分における直径をDとし、前記傾斜面8の延長面が交差することにより形成されるリング状部の直径をDとし、環状突部5の傾斜面8の基端側と小径軸部6または中間軸部7との接続部である断面円弧状部の半径をRとした場合、次のような関係に設定されている。
=D+0.2(mm)、D=D1+1.8(mm)、D=D1+2.0(mm),R=3(mm)とされ、前記小径軸部6の直径Dは、6mm、8mm、10mm、12mm、あるいは最大直径でも直径40mm程度とされる。
また、標点としての環状突部5中心間である標点間距離Lは、例えば、直径Dが6mmに対しては30mm、直径Dが8mmに対しては40mm、直径Dが10mmに対しては50mm、直径Dが12mmに対しては60mmに、それぞれ設定され、また、これらの場合に小径軸部6および中間軸部7を含めた平行部の長さPは5.5×D(mm)とされ、中間軸部7と大径ねじ部3,4に接続する截頭円錐部13と接続する肩部の半径Rは、3mm以上とされる。
前記のような棒鋼材試験体2における小径軸部6における環状突部5間を少なくとも標点間を一様に加熱して、常温、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃等のように徐々に連続して、棒鋼材試験体2における標点間の全範囲に渡って一様かつ一定に加熱し、各温度における引張試験を行って、その試験結果から得られる応力−歪みの関係データを得ておく。
前記の棒鋼材試験体2の応力−歪みの関係データは、省略した。
前記の棒鋼材試験体2の試験から得られた応力−歪みのデータを用いて、図2に示すような、実際に使用する角形鋼管柱試験体10についてFEM解析を実施した。
図2に示す角形鋼管柱試験体10の寸法の諸元は、下記の
(a)角形鋼管柱試験体10の軸方向の長さ寸法:3450mm
(b)上端部の耐火被覆部分15の軸方向の長さ寸法: 300mm
(c)下端部の耐火被覆部分16の軸方向の長さ寸法: 200mm
(d)角形鋼管柱試験体10の断面寸法:□300×300×25(mm)
前記のような角形鋼管柱試験体10をFEM解析する場合に、図8に示すように、前記試験体10を軸方向に、等間隔をおいて23個の小領域部分14に分割し、その一つの横断面において、図8(b)に示すように、板厚方向に3分割し、板幅方向のコーナー部で3分割し、板幅方向の中間部で4分割し、計84の小領域部分17a,17bに分割して、FEM解析をおこなった。
前記のFEM解析をおこなった結果についての耐火時間と変形量(mm)のグラフを、図7に実線で曲線Cとして示す。
また、図7に、図4に示した点線で示す曲線A[実際の角形鋼管柱試験体10をJISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って(15分間保持しない)加熱した場合についての曲線]と、図4に示した曲線B[前記の角形鋼管柱試験体10と同じ材質についてのJIS G 0567に規定されるような棒鋼材試験体2を高温状態に15分保持した場合の結果(応力―歪み曲線)のデータに基づき角形鋼管柱試験体10についてFEM解析(数値解析)した場合の曲線]と、棒鋼材試験体2を高温状態で保持しない場合の結果(応力―歪み曲線)のデータに基づき、角形鋼管柱試験体10についてFEM解析した本発明の曲線Cとを示した。
図7の曲線A,B,Cから分かるように、本発明の曲線Cのように、実際に使用される部材(角形鋼管柱)について同じ材質の棒鋼材試験体2を加熱して高温状態で保持しない場合の結果から得られるデータを用いて、角形鋼管柱1についてFEM解析をした曲線Cのほうが、耐火時間[分]において1分以上2分以下、より現実の曲線Aに近いことが分かる。
したがって、本発明の方法により、実際に使用する部材と、同じ材質の鋼材について、耐火試験用棒鋼材試験体2を製作して、加熱して耐火試験を行う場合には、JIS G 0567に規定されるような高温状態での15分保持を行わないで、棒状鋼材を高温状態で保持しない場合の結果から得られる応力―歪みのデータを用いたFEM解析のほうが、現実に使用される部材について、より実際に近い、耐火性能を予想することができることがわかる。すなわち、実火災で加熱されたときの耐力を、従来よりも正確に予測することができる。
なお、本発明の一実施形態の図2の説明図について簡単に説明すると、この図2は、実際に使用する角形鋼管柱試験体10を加熱試験している状態を示すものであって、周囲が適宜断熱材により断熱された加熱炉11内に、角形断面からなる角形鋼管柱1からなる角形鋼管柱試験体10を配置して耐火実験している状態を示している。
図2に示す角形鋼管柱試験体10の仕様は、前記のように、部材横断面で、□300×300で板厚25mmの角形断面であり、図8に示すように、ほぼ長さ3500mmで、その下端側を200mm、上端側300mmを断熱被覆した状態で、図2に示すように、上下から載荷できるように、接続治具を設けた上端部の耐火被覆部分15および接続治具を兼ねた下端部の耐火被覆部分16を介して、図示省略の載荷試験機に接続した状態で、温度調節装置(図示を省略した)を備えた加熱炉11内に配置し、矢印で示すように載荷する。このときの載荷荷重は、鋼構造設計規準等に記載される設計式に基づき、角形鋼管柱試験体10の断面形状・長さおよび常温状態での鋼材設計強度から算出される許容圧縮強度と同一の荷重とする。
前記のような加熱炉11で、前記載荷荷重を常時負荷した状態で、ISO834の標準加熱曲線に倣って、常温、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃と徐々に連続して、角形鋼管柱試験体10における標点間の全範囲に渡って一様かつ一定にガスバーナー12等により加熱して、白金―白金ロジウム熱電対あるいはクロメルアルメル熱電対等の熱電対式の温度計測器(図示を省略)により、各部の温度等を測定する。図3に実線および点線で示す曲線が実験結果である。伸び計(図示を省略した)により変形量(mm)を測定した。図4および図7に点線で示す曲線Aが実験結果である。角形鋼管柱試験体10を加熱していくと最初は、温度上昇による部材の伸びの方が、鋼材強度低下に伴う載荷荷重による変形量よりも大きく反映される。
図2において、所定の載荷荷重を負荷した常態で、ISO834の標準加熱曲線に倣って加熱し、伸び計(図示を省略した)により変形量(mm)を測定した。図4および図7に点線で示す曲線Aが実験結果である。角形鋼管柱試験体10を加熱していくと最初は、温度上昇による部材の伸びの方が、鋼材強度低下に伴う載荷荷重による変形量よりも大きく影響している。
そして、高温保持することなく加熱した前記の棒鋼材試験体2の測定結果の鋼材高温強度に基づいて、角形鋼管柱について同じFEM解析を行った結果を示すのが図7に実線で示す曲線Cである。
図7に示すグラフからして、本発明の方法による曲線Cは、点線で示す実火災に近い耐力曲線Aに、従来の場合の耐力曲線Bよりも近い値を示している。したがって、実際の火災時の鋼部材の耐力は、高温に曝される時間がほぼ同じの素材試験データを用いる本発明の方法によれば、精度良く予測できる効果が得られる。
なお、本発明を実施する場合、前記のように、棒鋼材の両端がねじ切りされたネジ接合部を備えており、これに取り付けられる引張試験機側の治具とネジ接合が可能となっていると、棒鋼鋼を容易に治具を介して引張試験機に接続することができる。
また、本発明を実施する場合、認定試験の加熱曲線と同じJISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って前記鋼材を加熱するので、その測定された試験結果のデータを、実際に建築物に使用する鋼材についてのFEMに使用するので、実際に建築物に使用される鋼材の高温時における性能を正確に把握することができる効果が得られる。
また、前記の場合において、棒鋼材における変位計測区間の引張速度が、認定試験の試験体崩壊判定基準のひとつと同じ0.3%/minであるので、前記の効果に加えて、その測定された試験結果のデータを、実際に建築物に使用する鋼材についてのFEMに使用するので、実際に建築物に使用される鋼材の高温時における性能を正確に把握することができる効果が得られる。
また前記のように、本発明の無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法によると、高温状態で保持しない場合の結果から得られる棒鋼材の高温引張試験結果のデータを、無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いるので、従来の棒鋼材を、15分間高温状態を維持する場合を用いるFEM解析よりも、より実火災に近いデータを用いることができるため、より実火災に近いFEM解析結果になり、鋼材の高温耐力をより実際に近く正確に予測することができる効果が得られる。
前記の形態から、棒鋼材の耐火試験から、実際に使用する構造物における無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いると、実際に使用される鋼材の耐火性能を正確に把握することができる。
前記の無耐火被覆鋼材としては、例えば、構造物における柱または支柱、梁または桁、胴縁、壁部分または屋根部分におけるフレーム材の耐火試験結果の予測に用いるようにしてもよい。
本発明を実施する場合、本発明により耐火性能が確認された無耐火被覆鋼材を、耐火被覆して使用するようにしてもよい。
次に、前記のように、本発明の棒鋼材の高温引張試験方法により高温強度が確認されて規定された本発明の鋼材と、従来のように規定された鋼材との相違について具体的に説明する。
例えば、600℃における強度が、常温の引張強度で400〜520N/mm2級の強度レベルの鋼材では、本発明の高温引張試験方法で測定した高温強度が157N/mm2以上、常温の引張強度で490〜610N/mm2級の強度レベルの鋼材では、217N/mm2以上を有する鋼材となる。なお、600℃の状態で15分間高温保持しても上記の高温強度があるため、該鋼材は製造できることは明らかである。この場合、この鋼材を無耐火被覆で柱や梁材に利用するとき、鋼材温度が600℃までは崩壊しないことが保証されることが明確になる。
一方で、従来の高温引張試験法で高温強度が規定された鋼材の場合(600℃の状態で15分間高温保持した後の高温強度が上記を満たす鋼材)、無耐火被覆で柱や梁材に利用したときに、鋼材温度が600℃を超えて、何℃まで崩壊しないことが保証されるかは明確ではないという問題となる。
棒鋼材について、高温引張試験をしている状態を示す概略正面図である。 角形鋼管からなる柱部材について耐火試験をしている状態を示す縦断正面図である。 図2に示す角形鋼管からなる柱部材の鋼材について、耐火試験時間と鋼材の表面側および裏面側の温度を示すグラフである。 図2に示す耐火試験について、時間の経過に伴う柱の伸び量の関係を示すグラフである。 図1に示す試験について、高温保持時間と降伏強度比との関係を示すグラフである。 図1に示す試験について、高温保持時間と応力度の低下の傾向を示すグラフである。 図4に示すグラフに本発明の解析結果を記入した状態のグラフである。 図2に示す試験体を示すものであって、(a)は正面図、(b)は(a)の矢視断面図である。 図1に示す高温引張試験について、試験片の詳細を示す図である。
符号の説明
1 角形鋼管柱
2 棒鋼材または棒鋼材試験体
3 大径雄ねじ部
4 大径雄ねじ部
5 環状突部
6 小径軸部
7 中間軸部
8 傾斜面
9 平坦面
10 角形鋼管柱試験体
11 加熱炉
12 ガスバーナー
13 截頭円錐状部
14 小領域部分
15 耐火被覆部分
16 耐火被覆部分
17a 小領域部分
17b 小領域部分

Claims (6)

  1. 直径が6mm以上40mm以下の棒鋼材をその温度を一定に保つことなく連続して昇温するように加熱し、前記棒鋼材が所定の温度到達と同時に、高温状態の棒鋼材の両端に取り付けた治具を介して引張力を導入して、高温状態の前記棒鋼材の強度を測定することを特徴とする棒鋼材の高温引張試験方法。
  2. 棒鋼材の両端がねじ切りされたネジ接合部を備えており、これに取り付けられる引張試験機側の治具とねじ接合が可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の棒鋼材の高温引張試験方法。
  3. JISに規定されるISO834の標準加熱曲線に倣って前記棒鋼材を加熱することを特徴とする請求項1または2に記載の棒鋼材の高温引張試験方法。
  4. 棒鋼材における変位計測区間の引張速度が0.3%/min以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の棒鋼材の高温引張試験方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の棒鋼材の高温引張試験方法による試験結果のデータを、無耐火被覆鋼材の耐火試験結果の予測に用いることを特徴とする無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の棒鋼材の高温引張試験方法で高温強度を規定されていることを特徴とする高温強度に優れた鋼材。
JP2008084614A 2008-03-27 2008-03-27 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材 Withdrawn JP2009236757A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008084614A JP2009236757A (ja) 2008-03-27 2008-03-27 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008084614A JP2009236757A (ja) 2008-03-27 2008-03-27 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009236757A true JP2009236757A (ja) 2009-10-15

Family

ID=41250886

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008084614A Withdrawn JP2009236757A (ja) 2008-03-27 2008-03-27 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009236757A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101995414A (zh) * 2010-10-28 2011-03-30 宁波大学 一种能用于测试钢索抗火性能的装置
CN102494948A (zh) * 2011-12-09 2012-06-13 上海锅炉厂有限公司 一种用拉伸模拟弯头受拉侧变形量的方法
CN102692349A (zh) * 2012-06-18 2012-09-26 重庆大学 钢构件高温局部稳定试验装置
CN103175741A (zh) * 2013-03-18 2013-06-26 中国建筑股份有限公司 一种超低温环境下钢筋拉伸试验的装置及试验方法
CN103630447A (zh) * 2013-11-29 2014-03-12 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 一种金属管材整体高温拉伸检测方法及其专用夹具
CN104568569A (zh) * 2015-01-13 2015-04-29 湖州职业技术学院 一种高温双轴应力松弛试验机
CN104614233A (zh) * 2015-01-21 2015-05-13 浙江工业大学 高温蠕变试验机快拆夹头装置
CN113125250A (zh) * 2019-12-30 2021-07-16 中核北方核燃料元件有限公司 一种燃料组件套管胀接拉伸检测装置
CN113268792A (zh) * 2021-04-16 2021-08-17 中铁建设集团南方工程有限公司 一种用于混凝土柱与无梁楼盖板连接处的安全性分析方法
CN114689439A (zh) * 2022-03-17 2022-07-01 中国石油大学(华东) 钢绞线力学性能试验用高低温试验装置的高低温试验方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101995414A (zh) * 2010-10-28 2011-03-30 宁波大学 一种能用于测试钢索抗火性能的装置
CN101995414B (zh) * 2010-10-28 2013-01-09 宁波大学 一种能用于测试钢索抗火性能的装置
CN102494948A (zh) * 2011-12-09 2012-06-13 上海锅炉厂有限公司 一种用拉伸模拟弯头受拉侧变形量的方法
CN102692349A (zh) * 2012-06-18 2012-09-26 重庆大学 钢构件高温局部稳定试验装置
CN103175741A (zh) * 2013-03-18 2013-06-26 中国建筑股份有限公司 一种超低温环境下钢筋拉伸试验的装置及试验方法
CN103630447A (zh) * 2013-11-29 2014-03-12 沈阳黎明航空发动机(集团)有限责任公司 一种金属管材整体高温拉伸检测方法及其专用夹具
CN104568569A (zh) * 2015-01-13 2015-04-29 湖州职业技术学院 一种高温双轴应力松弛试验机
CN104614233A (zh) * 2015-01-21 2015-05-13 浙江工业大学 高温蠕变试验机快拆夹头装置
CN113125250A (zh) * 2019-12-30 2021-07-16 中核北方核燃料元件有限公司 一种燃料组件套管胀接拉伸检测装置
CN113268792A (zh) * 2021-04-16 2021-08-17 中铁建设集团南方工程有限公司 一种用于混凝土柱与无梁楼盖板连接处的安全性分析方法
CN113268792B (zh) * 2021-04-16 2023-04-07 中铁建设集团南方工程有限公司 一种用于混凝土柱与无梁楼盖板连接处的安全性分析方法
CN114689439A (zh) * 2022-03-17 2022-07-01 中国石油大学(华东) 钢绞线力学性能试验用高低温试验装置的高低温试验方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009236757A (ja) 棒鋼材の高温引張試験方法および無耐火被覆鋼材の耐火性能予測方法ならびに高温強度に優れた鋼材
Gunalan et al. Experimental investigation of post-fire mechanical properties of cold-formed steels
Rusthi et al. Fire tests of Magnesium Oxide board lined light gauge steel frame wall systems
Dias et al. Fire performance of steel and plasterboard sheathed non-load bearing LSF walls
Jansson et al. Factors influencing fire spalling of self compacting concrete
Ranawaka et al. Distortional buckling tests of cold-formed steel compression members at elevated temperatures
Kandare et al. Creep-based life prediction modelling of aluminium in fire
Wang et al. Behavior of steel–concrete partially composite beams subjected to fire—part 1: experimental study
Gil et al. Comparative study of concrete panels’ fire resistance
Fan et al. Fire resistance of stainless steel beams with rectangular hollow section: Experimental investigation
Sun et al. Thermal–mechanical deformation of Galfan-coated steel strands at elevated temperatures
Chen et al. Influence of board joint configurations on the fire performance of CFS walls
Lou et al. Mechanical properties of mild steel under combined effects of pre-damage and elevated temperatures in post-earthquake fire scenarios
Lamri et al. Behavior of cellular beams protected with intumescent coatings
Chen et al. Performance and design of shear connectors in composite beams with parallel profiled sheeting at elevated temperatures
SĘDŁAK et al. General rules for testing fire resistance of timber elements. Part 2–test frames, test load, equipment measuring properties of the test specimens and their surroundings, conditions and procedure of testing, performance criteria
SULIK et al. General rules for testing fire resistance of timber elements Part 1–introduction, sample elements, mounting structures andtesting furnaces
Grigonis et al. Fire resistance tests of various fire protective coatings
Ridge et al. The behaviour of cast rope sockets at elevated temperatures
Kumar et al. Measurement of the residual stress in hot rolled strip using strain gauge method
Rusthi Experimental and finite element studies of light-gauge steel frame wall systems under fire conditions
Beyler et al. Fire resistance testing for performance-based fire design of buildings. Final report
RU2634568C1 (ru) Способ оценки огнестойкости стальной термозащищённой гофробалки здания
Huang et al. Performance of fly ash-based spray applied fire resistive materials
Gnanachelvam et al. Fire performance of light gauge steel framed walls lined with different wallboards

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20110607