JP2009229554A - 反射型マスクブランク及び反射型マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも基板と、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する吸収体と、を有し、吸収体の膜厚を薄くし、露光時にパターン周辺部の解像度低下や位置ずれを防止するとともに、検査光に対するコントラストを向上させた反射型マスクブランク及び反射型マスクを提供する。
【解決手段】吸収体が3層以上の層数で構成され、第2の層205が第1の層206と第3の層204に挟まれる構造を有し、第2の層が有する露光光に対する消衰係数の値が、第1の層が有する露光光に対する消衰係数の値と等しいかまたは小さく且つ第3の層が有する露光光に対する消衰係数の値よりも小さく、且つ、第1の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値が、第2の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値よりも小さいことを特徴とする反射型マスクブランク及び反射型マスク。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置の製造工程において使用される、EUV(Extreme Ultraviolet)光を用いたフォトリソグラフィーに適用可能な反射型マスクブランクおよび反射型マスクに関する。
半導体集積回路や表示デバイスなど、配線や半導体のパターニングには、一般に可視光(g線、h線)または紫外光(i線、KrF、ArF)を用いたフォトリソグラフィーが広く用いられている。近年、半導体集積回路の微細化に伴い、その製造技術として電子線リソグラフィの他、液浸 ArF、EUVリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィなどに関する研究開発が盛んに行われている。
これらの中でもEUVリソグラフィは32nm以降のデバイスに用いる転写技術の候補の一つであり、また光を使った現行のフォトリソグラフィー技術の延長線上にあるため、高い注目を集めている。EUV光と呼ばれる波長0.2〜100nmの光は、可視光の波長より遥かに短くX線の波長の範囲に近い。EUV光はほぼ全ての材料によって吸収される特性を持っているため、透過光が前提となっている透明マスク、及び例えば光学レンズなどの屈折光学部材を用いた従来のシステムは使用することができない。従って通常は反射光学系を用いる。このためマスクにも反射型が用いられる。
EUVマスクの構造は図1に示すように、低熱膨張率ガラス基板101上にEUV光を効率良く反射させる多層反射膜102(ML: multi layer)があり、これにはモリブデン(Mo)と珪素(Si)を交互に積層した40〜50ペアの多層膜がよく使用される。この上に多層反射膜102を保護する役割を担う保護膜103が積層される。保護膜103は最終製品上に残るためEUV光を透過する材料が選定され、Siやルテニウム(Ru)などがよく用いられる。さらにこの上にバッファー層(図示無し)が存在し、これには窒化クロム(CrN)や二酸化珪素(SiO)などが候補となっている。保護膜と兼用する形でRuを採用することもある。さらにこの上に、EUV光を吸収するパターニングされた吸収体104が配置される。そして最表面にはマスクの製品としての欠陥検査用に検査光を低反射化するための反射防止層105が置かれる。基板の裏面には該基板を露光機などの各種装置に静電チャックするための裏面導電膜100が設けられる。これにはCrNなどが使用される。
バッファー層(図示無し)、吸収体104、反射防止層105は後のマスク作製工程により、例えばドライエッチングなどにより、面積の一部が除去されて回路パターンが形成される。以後、このように回路パターンが形成される部分の薄膜を、「パターン部を形成する薄膜群」と呼ぶことにする。
EUVマスクではこのパターン部を形成する薄膜群をパターニングすることによってEUV光の吸収部と反射部とを作り出し、コントラストを得ている。
作製したEUVマスクは主に紫外線領域の検査光を用いて検査され、欠陥の修正など品質管理に関する工程を経た上で、出荷される。パターン開口部では検査光に対してある程度の強度の反射があるため、パターン非開口部における検査光の反射率を下げて開口部とのコントラストを得ている。
なお、反射や吸収を決める要素である屈折率nや消衰係数kなどの光学定数は通常n−ik(iは虚数単位)の形で表され、これらは一般に用いる光の波長によってその値が異なるため、用いる光の波長をはっきり意識する必要がある。すなわち、露光光と検査光の波長が異なる場合、入射対象物質が同じ材料であっても消衰係数はそれぞれの光に対して異なるのが普通である。
露光時のEUV光は、EUVマスクに対して垂直ではなくやや角度を持って入射される、いわゆる斜め入射となる。これは、垂直入射では、光強度損失を抑えて反射光を取り出すのが困難なことによる。
しかし、この斜め入射によってパターン周辺部の解像度が低下する。パターン周辺部のみの影響であるため従来のようにパターンサイズが比較的大きい場合には問題とはならなかった。しかし集積回路などの微細化が進むにつれマスク上のパターンの微細化も要求されるようになり、前述のパターン周辺部の解像度低下がパターンの微細化を困難にしていた。これに対処する方法の一つにEUV光の入射角を垂直に近づける方法が有るが、現状において既に入射角はマスク面の法線に対して5〜6°程度と垂直に近い状態まで近づいていることから、これ以上入射角を小さくすると反射光を取り出すのが困難になる。
パターン周辺部の解像度低下を回避する他の方法は、マスクの構造において多層膜保護層よりも上層の部分、すなわち、パターン部を形成する薄膜群の膜厚を薄くする方法がある。
バッファー層は、吸収体のエッチングストッパー層としての機能を有するほか、吸収体パターニング後のパターン欠陥の修正時に、下層保護層としての機能を有する。一例としてバッファー層にCrNを採用すると、パターン修正時の保護層としての機能のためにその膜厚は少なくとも10nm程度は必要になる。一方でバッファー層にRuを採用すると、多層膜保護層の役割を兼用するためパターン部を形成する薄膜群には含まれなくなるが、露光光反射部として最終製品に残るため反射率を低下させない必要性から膜厚を薄くする必要があり、吸収体に対するエッチングストッパーとしては選択比が高いため数nmの膜厚で担保できるが、吸収体パターンのFIB(focused ion beam)修正時の下層保護膜としては充分な膜厚ではなく、修正方法が制限されてしまう。従ってバッファー層に明快な解決法を見出すことは困難である。
次に、吸収体の膜厚を薄くすると、吸収体固有の露光光に対する吸光度(光学密度)が低下し、反射型マスクとして用いたときの露光時のコントラストが低下するという問題が生じる。
こうした経緯から我々は露光光に対して高吸収となる材料を吸収体に採用することで、露光時の露光光コントラストを維持したまま、パターン部全体の膜厚を低く抑えた新型反射型マスクブランクを開発した(特許文献1)。
特願2007−254688号
しかし、この構成は検査光に対する反射防止層を有しないため、検査光に対する反射率は20%以上あり、コントラストが低下することが確認された。検査光は波長257nmの光が現在は一般的に使用されているが、今後波長199nmの光への移行が進むと考えられる。従って波長190nm〜260nm付近の波長領域を用いる検査光において、パターン非開口部で概ね10%以下の反射率を達成する必要がある。
前述の特許文献1で示した構成に対して、これに見合う反射防止層を従来の技術で形成すると、例えば酸化珪化タンタル(TaSiO)を反射防止層に用いた場合は、露光光として用いた波長13.5nmのEUV光に対する反射率は0.09%、波長199nmに対する検査光の反射率は8.0%、波長257nmの検査光に対する反射率3.5%となり、露光光及び検査光に対するコントラストは目標を達成できるものの、パターンを形成する薄膜群の膜厚は74.7nmとなり、薄くできないことが判った。それでも従来のEUVマスクと比較すると膜厚の低減は図られているが、さらなる薄膜化が要求される。
そこで我々は検査光のための反射防止層にも充分な露光光吸収効果を持たせた反射型マスクブランク及び反射型マスクを開発した(特願2008−62093号)。すなわち、吸収体を第一の吸収体と第二の吸収体に分け、上部に配置する第一の吸収体は、その露光光に対する消衰係数が、下部に配置する第二の吸収体のそれと同等かまたは大きい物質を採用し、且つ、上部に配置する第一の吸収体の検査光に対する消衰係数を、その下に配置する第二の露光光吸収体の検査光に対する消衰係数よりも小さくした構成である。それぞれの膜厚を最適化することで、検査光及び露光光に対する反射率を低く保ったまま、パターン部を形成する薄膜群の膜厚を従来よりも低く抑えることが可能になった。
しかし露光光または検査光の入射角を0度にはできない以上、さらなる薄膜化は常に要求される。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
請求項1に記載の発明は、少なくとも基板と、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する吸収体と、を有する反射型マスクブランクであって、該吸収体が少なくとも露光光側から第1の層及び第2の層及び第3の層を含む3層以上の層数で構成され、該第2の層が該第1の層と該第3の層に挟まれる構造を有し、該第2の層が有する露光光に対する消衰係数の値が、該第1の層が有する露光光に対する消衰係数の値と等しいかまたは小さく且つ該第3の層が有する露光光に対する消衰係数の値よりも小さく、且つ、第1の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値が、第2の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値よりも小さいことを特徴とする反射型マスクブランクである。
検査光に対する反射防止効果を持たせるため、検査光に対する消衰係数の値は、最上部に位置する第1の層に対しては小さく、その下に配置する第2の層に対しては大きくする必要がある。このため第1の層と第2の層の材料の選定にはある程度制約が生じる。一方、検査光は第2の層の吸収体の消衰係数が大きいためこの層で大部分が吸収、反射され、第3の層にはほとんど影響しない。このことから、このような構成にすることで第3の層には検査光に対する光学定数を考慮せずに露光光に対する光学定数のみで材料を選定することができる。この第3の層に露光光吸収の大きな材料を配置することで、第1、第2、第3の層の合計膜厚、すなわちパターン部を形成する薄膜群の膜厚を小さくすることができる。
請求項2に記載の発明は、前記吸収体のいずれかの層に、少なくともIn、Ga、Zn、Oの元素が含まれることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクブランクである。このような吸収体は露光光の吸収が大きいため、このような構成にすることで、吸収体は吸光度を保ったまま、その膜厚を薄くすることができる。
請求項3に記載の発明は、前記吸収体のシート抵抗値が、少なくとも1MΩ/□以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型マスクブランクである。
前記吸収体に導電性を持たせることで、電子線レジストを用いて吸収体を電子ビーム(EB)により描画、パターニングする際に、チャージアップを避けることができ、吸収体のパターニングが容易になる。
請求項4に記載の発明は、前記吸収体が、非多結晶質であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランクである。
前記吸収体が多結晶質である場合には、パターニング後に、パターンエッジ部分に結晶粒界と見られる凹凸が観察されることがあり、LER(Line edge roughness)を悪化させることがあった。前記吸収体が非多結晶質であることにより、このようなLERの悪化を回避することができる。
請求項5に記載の発明は、前記吸収体の応力の絶対値が、200MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の反射型マスクブランクである。
膜の応力を低く抑えることで、パターニング後の各パターンの位置精度(IP:Image Placement)を高めることができる。応力の絶対値が200MPaを超えると、吸収体をパターニングした際に、パターン部において転写に影響するレベルの歪みが生じる。
請求項6に記載の発明は、前記吸収体が、室温で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランクである。
加熱工程は非効率であるため、成膜時に加熱したり、あるいは成膜後に焼成したりすると、コストの増大につながるとともに、スループットの低下につながるほか、多層膜にダメージを与えることになる。室温で成膜することにより、これらの問題を回避することができる。
請求項7に記載の発明は、前記吸収体が、スパッタ法により形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の反射型マスクブランクである。
スパッタ法を用いることで、特殊なガスを用いることなく容易に薄膜作製を行うことができ、また成膜時のガス圧調整や適宜導入する酸素ガスの流量調整を行うことにより応力調整や導電度調整を容易に行うことができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至の7いずれかに記載の反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクである。
このような構成で作製した反射型マスクは、微細なパターンを配置することができ、また吸収体の膜厚が薄いことから次世代のEUVマスクとして適用可能であり、良好な露光(パターンの転写)結果が期待できる。
請求項9または10に記載の発明は、前記紫外光の波長が、199nmまたは257nmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の反射型マスクブランクまたは請求項8に記載の反射型マスクである。検査光にこのような波長を用いると、本マスクブランクから作製した本マスクはパターン部と非パターン部で高い検査光コントラストが得られ、精度良くパターンを検査することができる。
以上のことから、本発明によると、前記反射型マスクブランクは前記構成を用いることにより吸収体の膜厚を薄くでき、且つ検査光に対して高いコントラストを持った反射型マスクを作製することができる。従って作製したマスクは効率よく且つ高い精度で欠陥検査を行うことが可能になり、無欠陥マスクの完成度を高めることができるようになると同時に、該マスクを用いて露光することによって微細なパターンを高い解像度で転写することができると期待される。
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
本発明の反射型マスクブランクは、少なくとも、基板上に形成された露光光を反射する多層反射膜と、該多層反射膜上に形成された露光光を吸収する吸収体とを具備し、該吸収体は少なくとも3層以上の薄膜に分かれる。より好ましくは、基板に熱膨張係数が非常に低い平坦な基板を用い、該基板上に露光光を反射する多層反射膜を有し、該多層反射膜上に多層反射膜を保護する保護膜と、吸収体のエッチングストッパー層としての役割やパターン修正時の多層膜保護の役割として用いられるバッファー層と、露光光を吸収する第3、第2、第1の層からなる吸収体と、を具備する反射型マスクブランクである。
吸収体のうち、第1の層は第2の層の上部に配置し、第2の層は第3の層の上部に配置する。すなわち、基板に最も近い方に第3の層を配置し、この上に順次第2、第1の層を積層する。露光光及び検査光は第1の層側から入射する。第4層以降を設ける場合には第3層の下、すなわち、基板に近い方に配置する。
露光光に対する吸収体としての役割を考えると、吸収体はその全ての層において露光光に対する充分な吸収を持っていることが望ましい。上部に配置する検査光の反射防止膜に露光光吸収の役割を併せ持たせるのであるから、第1の層の露光光に対する消衰係数は、第2の層の露光光に対する消衰係数と同等であるか、または大きいことが必須である。第3の層は第2の層と比較してより露光光吸収の大きい材料を用いることが本発明では必要である。さらに、第1の層に対しては、第2の層と比較して検査光に対する消衰係数の小さい物質を用いる。第3の層に対しては、検査光はほとんど届かないため、材料の選定において検査光に対する光学定数を考慮することなく、露光光吸収の高い材料を選択することができる。
吸収体のそれぞれの層が同一の材料であっても、構造の違いなどにより前述のような光学特性を満たす場合はこれを適用することができる。
吸収体の材料の一例として、第1の層にInGaZnO(3≦x≦4)を用いた場合は、第2の層に珪化タンタル(TaSi)などを用いることができる。この例では第1の層の消衰係数が第2の層のそれよりも大きいため、第3の層にもInGaZnO(3≦x≦4)を用いることができる。それぞれの膜厚はそれぞれの光学定数と検査光の波長によって好ましい値が決定されるため、一概には言えない。言い換えると、膜厚はそれぞれの光学定数と波長において最適化するのが好適である。
それぞれの吸収体の成膜にはスパッタ法やPLD(plused laser deposition)などの方法があるが、他の方法でもよい。スパッタ法を用いると簡便であり、応力調整や導電度調整が容易に行える効果がある。またスパッタ法は均一成膜にも優れている。
吸収体が酸化物の場合にはスパッタリングターゲットには酸化物ターゲットを用いると簡便であるが、低級酸化物にして導電性が得られる場合にはそれを用いてもよい。金属または合金または珪化物が安定な材料であるならば、反応性スパッタを用いて酸化物を形成することも可能である。いずれの場合も膜に導電性を持たせる場合には、成膜時にスパッタガスのほか酸素ガスを導入してその流量を適切に制御することで、導電性を有する吸収体を得ることができる。酸素ガスの導入量は、成膜装置やターゲット材、成膜時のガス圧などにより適切な値が異なるため、導入量を一概に定めることは適当ではない。
吸収体が金属または合金または珪化物である場合には、組成比を考慮してスパッタ成膜することが可能である。
吸収体の材料にInGaZnOやInGaSnOを用いた場合には室温で成膜することにより、非晶質構造を有する吸収体薄膜を容易に得ることができる。また一般に金属に珪素(Si)を混入していくと非晶質化することがよく知られている。この場合も室温成膜で非晶質構造を有する吸収体薄膜を容易に得ることができる。
成膜法にスパッタ法を用いた場合、成膜時のガス圧等を適切に制御することにより、絶対値200MPa以下の応力を有する吸収体薄膜を容易に得ることができる。最適なガス圧値等に関しては、装置固有の部分が大きく影響するため、用いる各装置で条件出しを行う必要があり、一概に値を定めることは適当ではない。
なお、応力は成形前後の基板のそりを評価することにより、シート抵抗値は、四探針法により測定されるが、必ずしもこれに限定されない。
それぞれの層の膜厚は露光光及び検査光に対する反射率が最も低くなるように調整する。
このようにして本発明の反射型マスクブランクが完成する。
このようにして得られた反射型マスクブランクを、一般的な電子ビーム(EB)リソグラフィ技術などを用いてパターニングすることで、本発明の反射型マスクが完成する。
以下、本発明の反射型マスクブランクについて、図2を用いてその製造方法の一例を詳細に述べる。
実施例1
平坦度が高く熱膨張率の極めて低いガラス基板201上に、Mo/Siの40ペアを用いた多層反射膜202が形成され、さらにRuを材料とする多層膜の保護膜203が形成された基板を用意した(図2(a))。この多層膜の保護膜203はその材料の特性から、吸収体のエッチングストッパーとなるバッファー層の役割を兼ねる。
この基板上に吸収体のうち第3の層204を以下のようにして成膜した。すなわち、成膜法にはrfマグネトロンスパッタ法を用い、ターゲットにInGaZnOの酸化物ターゲットを用い、真空チャンバーにAr及び酸素の混合ガスを導入し、成膜を行った。この時、吸収体に導電性を持たせるため、Arに対する酸素ガスの流量比を調整し、最適化した。また応力の絶対値を200MPa以下にするために、導入する混合ガスの圧力を調整し、最適化した。得られた吸収体薄膜の導電率はシート抵抗値で17.5kΩ/□となった。パターニングすることを考えると、一般的なEB描画装置の場合、基板の導電性は1MΩ/□以下が要求される。この結果はそれと比較して約2桁低く、充分な導電性を持つ吸収体が得られた。作製した第3の層の応力は−21.6MPaとなった。本吸収体は薄膜X線回折(XRD: X−ray diffraction)による結晶性評価の結果、非晶質であることが確認された。
次に吸収体のうち第2の層205を次のようにして成膜した。すなわち、Ta及びSiを用い、真空チャンバーにArガスを導入してTaとSiの同時放電により成膜を行った。この時、非単結晶薄膜を得るため、Siの放電電力を制御して最適化した。また応力の絶対値を200MPa以下にするために、導入するArガスの圧力を調整し、最適化した。得られたTaSi吸収体薄膜の導電率はシート抵抗値で41.5Ω/□となった。第3の層の場合と同様、EB描画に際して充分な導電性を持つ吸収体が得られた。作製した吸収体の応力は−21.2MPaとなった。本吸収体は薄膜X線回折(XRD: X−ray diffraction)による結晶性評価の結果、非晶質であることが確認された。
次に吸収体のうち第2の層205が成膜された基板上に第1の層206を、第3の層を形成した時と同一の材料及び方法を用いて形成した。成膜時間のみ、目標とする膜厚に合わせて調整した。
このようにして本発明の反射型マスクブランクが完成した(図2(b))。
本例における本マスクブランクの反射率と、吸収体の各層の膜厚の関係を表1にまとめた。また、各層の消衰係数を表2にまとめた。
本発明によるサンプル1乃至5によれば、吸収体の膜厚を薄くし、且つ、検査光に対して高いコントラストを持つことが確認された。特に、反射率を低く抑えるため膜厚を調製した結果、サンプル3以降の膜厚の組み合わせで、薄膜化と、13.5nm/199nm/257nmいずれの光に対する低反射化が両立できることが確認された。
また、比較例として表中に、本発明によらない場合として、吸収体が2層の場合の参考例を示す。参考例として示した値は、反射率を低く抑えるために膜厚を調整した結果、膜厚が厚くなったものである。参考例では、膜厚は最も薄くなるように調製されているにもかかわらず、本発明によるサンプル1乃至5と比較すると約7nm厚くなっていることが判る。
Figure 2009229554
Figure 2009229554
なお、波長13.5nmの露光光に対する消衰係数は反射率の入射角依存性の評価から、波長199nmの検査光に対する消衰係数および波長257nmの検査光に対する消衰係数は、分光エリプソメトリーによる評価から算出した。
実施例2
実施例1のようにして作製した反射型マスクブランク(図2(b))の表面上にレジスト207を塗布し(図2(c))、これを一般的なEBリソグラフィによりパターニングし(図2(d))、これをエッチングマスクとした。このパターニングされたレジスト付き反射型マスクブランクを一般的なドライエッチング装置に投入し、塩素系ガスを用いて露出部の吸収体の第1の層206を、フッ素系ガスを用いて露出部の吸収体の第2の層205を、塩素系ガスを用いて露出部の吸収体の第3の層204のエッチングを行った(図2(e))。エッチング終了後、表面のレジストを除去して、本発明の反射型マスクが完成した(図2(f))。
EUVマスクの構造の断面説明図である。 本発明の反射型マスクブランク及び反射型マスクの製造工程の一例の断面説明図である。
符号の説明
100・・・裏面導電膜
101・・・基板
102・・・多層反射膜
103・・・保護膜
104・・・吸収体
105・・・反射防止層
106・・・パターン部を形成する薄膜群
201・・・基板
202・・・多層反射膜
203・・・保護膜
204・・・吸収体の第3の層
205・・・吸収体の第2の層
206・・・吸収体の第1の層
207・・・レジスト
208・・・パターン部を形成する薄膜群

Claims (10)

  1. 少なくとも基板と、露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収する吸収体と、を有する反射型マスクブランクであって、該吸収体が少なくとも露光光側から第1の層及び第2の層及び第3の層を含む3層以上の層数で構成され、該第2の層が該第1の層と該第3の層に挟まれる構造を有し、該第2の層が有する露光光に対する消衰係数の値が、該第1の層が有する露光光に対する消衰係数の値と等しいかまたは小さく且つ該第3の層が有する露光光に対する消衰係数の値よりも小さく、且つ、第1の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値が、第2の層が有する露光光よりも波長の長い検査光に対する消衰係数の値よりも小さいことを特徴とする反射型マスクブランク。
  2. 前記吸収体のいずれかの層に、少なくともインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)の元素が含まれることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクブランク。
  3. 前記吸収体のシート抵抗値が、少なくとも1MΩ/□以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型マスクブランク。
  4. 前記吸収体が、非多結晶質であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  5. 前記吸収体の応力の絶対値が、200MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  6. 前記吸収体が、室温で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  7. 前記吸収体が、スパッタ法により形成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  8. 請求項1乃至の7いずれかに記載の反射型マスクブランクを用いて作製したことを特徴とする反射型マスク。
  9. 前記検査光の波長が、199nmまたは257nmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  10. 前記検査光の波長が、199nmまたは257nmであることを特徴とする請求項8に記載の反射型マスク。
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