JP2009190981A - 二酸化炭素の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二酸化炭素を還元固定化し、二酸化炭素量の削減を行うことを課題とする。具体的には二酸化炭素からシュウ酸への変換、いわゆる還元して二量化することにより行う。
【解決手段】 酸化チタン表面に粒径20nm以下の金微粒子を被覆した光合成触媒を準備し、光照射のもとで光合成触媒と二酸化炭素とを接触させる。金微粒子が酸化チタンから放出された電子を多く蓄えることによって還元電位を高め、これにより二量化に必要な還元電位を得て二酸化炭素を還元してシュウ酸にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光合成触媒を用い、二酸化炭素を二量化してシュウ酸或いはシュウ酸イオンに還元する二酸化炭素の処理方法に関する。
工場、自動車等の社会活動に伴い、大気中に排出される二酸化炭素は、地球温暖化の主たる原因であることが知られており、近年この二酸化炭素の排出量を削減することは地球環境上、重要な課題となっている。これに対し、工場等の排煙、自動車等の排ガス、大気中の二酸化炭素を固定化し除去するための方策が種々提案されている。
二酸化炭素の固定化方法として、省エネルギーの観点から光エネルギーで固定化する方法が着目されている。これは、光触媒として知られる二酸化チタン、或いは二酸化チタンに金属を担持したものを用い、紫外線照射によって光触媒が電子を放出し、この電子を利用して二酸化酸素を還元固定化するものである。
特許文献1及び2は、容器内に水やメタノールを入れ、この水溶液中に二酸化チタン或いは貴金属等を担持させた二酸化チタンを懸濁させて用いている。容器に二酸化炭素を含むガスを送り込み、光照射による二酸化チタンの光触媒機能によって、二酸化炭素と水やメタノールとを反応させてギ酸やホルムアルデヒドなどに還元固定している。
また、非特許文献1では、チタンテトライソプロポキシドとテトラクロロ金酸溶液から金担持酸化チタンの光触媒を調整し、この光触媒を水中に添加して、二酸化炭素をバブリングして二酸化炭素を還元し、メタン、水素に変換している。
特開2006−102679号公報 特開2006−104027号公報 「金ナノ微粒子担持酸化チタン光触媒による二酸化炭素の還元固定化:亀山紘之、佐藤裕之、鳴海史高、亀山紘:触媒討論会討論会A予稿集:2006年9月26日発行」
酸化チタンの還元電位は−0.18V vs.NHE程度であり、二酸化炭素を還元してシュウ酸にするには−0.49V vs.NHEの還元電位が必要であることから、酸化チタンの還元電位では二酸化炭素を還元して二量化することはできないと考えられている。
特許文献1及び2では、二酸化炭素をギ酸やホルムアルデヒド等、二酸化炭素と炭素数が同数のC分子に還元固定しているが、光触媒による還元電位を強めることができないので、2つの二酸化炭素分子を結合させてC分子を生成すること、いわゆる二量化することはできない。
また、光触媒は水又はメタノール中にあり、二酸化炭素は水等の上方に存在しているため、光触媒からの電子移動距離が長く、還元力が弱まってしまう。
更に、水又はメタノール中に光触媒を入れて処理する形態であるので、操作性が悪く効率的な処理ができないという課題を有する。
特許文献3では、水中に二酸化炭素をバブリングして溶け込ませ、水中に添加した金担持酸化チタンにて二酸化炭素を固定化している。水中に溶存させる二酸化炭素量はあまり増加させることができないことから、二酸化炭素同士が接触する頻度が小さいため、二酸化炭素の二量化はできない。
また、上述のように水中に二酸化炭素を溶存させるものゆえ、事前に二酸化炭素をバブリングし溶解させる工程が必要となることから、簡易に二酸化炭素を処理できない。
更に、光照射による水温の上昇に伴い、二酸化炭素の溶解量が減少することから効率的に還元固定化することが困難という課題を有する。
更に、この金担持酸化チタンはチタンテトライソプロポキシドとテトラクロロ金酸溶液とを混合し、700Wのマイクロ波を照射して調整しており、いわゆる焼結させて生成している。焼結させているため、担持させた金の粒径は大きくなること、また、金の担持量が0.5%以下と少ないことから、金に酸化チタンが放出する電子を集める量が少なくなり、還元電位を強めることができない。このため、高い還元電位を必要とする二酸化炭素の二量化ができない。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、酸化チタンに金微粒子を被覆した光合成触媒を用いて、二酸化炭素を二量化して還元固定することを目的とする。
本発明は、酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆した光合成触媒を準備し、光照射のもとで前記光合成触媒と二酸化炭素とを接触させ、前記酸化チタンが放出する電子を前記金微粒子に集めて電位を強め、前記二酸化炭素を還元して二量化することを特徴とする。
また、本発明は、酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆した光合成触媒を準備し、光照射のもとで前記光合成触媒と二酸化炭素とを接触させ、前記酸化チタンが放出する電子を前記金微粒子に集めて電位を強め、前記二酸化炭素を還元し二量化してシュウ酸或いはシュウ酸イオンにすることを特徴とする。
更に、本発明は、被覆した前記金微粒子の粒径が20nm以下であることを特徴とする。
更に、本発明は、前記酸化チタンに対して1〜5重量%の前記金微粒子を被覆することを特徴とする。
更に、本発明は、前記酸化チタンに吸着する水から水素を供給し前記二酸化炭素を前記シュウ酸にすることを特徴とする。
本発明に依れば、酸化チタンに金微粒子を担持或いは被覆することにより、光照射によって酸化チタンが放出する電子を金微粒子に集めて還元電位を強めることができる。これにより、高い還元電位を必要とする二酸化炭素の二量化を実現し、シュウ酸或いはシュウ酸イオンを生成することができる。
また、本発明に依れば、上述のように二酸化炭素を二量化しC分子であるシュウ酸或いはシュウ酸イオンを生成できるので、これを原料として様々なC化合物の生成をすることができる。
更に、本発明に依れば、粒径が20nm以下の金微粒子を被覆しており、被覆した金の表面積を大きくすることができるため、多くの電子を集めて還元電位を強めることを実現している。
更に、本発明に依れば、酸化チタンに対し5重量%もの金微粒子を担持或いは被覆させることができる。金微粒子の被覆量を増加することにより、より多くの電子を集めて還元電位を強め、効率的に二酸化炭素の二量化を行える利点を有する。
更に、本発明に依れば、親水性である酸化チタンに付着した吸着水から水素を供給できるので、別途水素源を準備しなくても二酸化炭素からシュウ酸を生成することができる。
更に、本発明に依れば、二酸化炭素を液中に溶存させることなく、気体の状態のまま処理することができるので、二酸化炭素分子同士の接触頻度が高く、二酸化炭素の二量化を効率的に行える利点がある。
更に、本発明に依れば、上述のように二酸化炭素を気体状態のまま処理することができるので、事前に液中に二酸化炭素を溶け込ます必要が無く、簡易に二酸化炭素を処理できる利点がある。
図1に示すように、本発明は、主に、酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆した光合成触媒を準備する工程と、光照射のもとで光合成触媒と二酸化炭素を接触させ、二酸化炭素を還元して二量化する工程からなる。
まず、図2を参照して、光合成触媒を準備する工程について詳細に説明する。
テトラクロロ金酸四水和物水溶液に水を加えて希釈したところに粉粒状の酸化チタンを混合し、超音波を使って均一に分散させる。酸化チタンはできるだけ粒径の小さい粉状のものを用いる。そこに還元剤を加えるとたちまち分散している酸化チタン粒子表面に紫色の金ナノ粒子が析出し、系は紫色を呈する。還元剤としてはヒドラジン一水和物、ビタミンC等、還元力が強い還元剤を使用すると良い。
金微粒子を表面に析出させた酸化チタンを完全に沈殿させた後、デカンテーション(容器を傾けて上澄み液を流出させ、沈殿物を分離)をpHが7になるまで繰り返すことにより洗浄を行い、沈殿物を取り出す。取り出した沈殿物を乾燥させることにより、酸化チタン表面に金微粒子を被覆した光合成触媒を得ることができる。
得られた光合成触媒はプラズモン吸収により赤紫色を呈しており、光の波長を一部吸収している。通常、金属中の電子は光と相互作用をしないが、金属表面において、またはナノ微粒子中の電子の状態になると、ある条件で特定の波長の光を吸収することになる。この波長は金属の種類、金属微粒子の大きさによって異なる。この金属と光の相互作用の現象を表面プラズモン共鳴と呼び、このときの吸収をプラズモン吸収という。プラズモン吸収により金が紫色を呈する場合、金微粒子の粒径は数nm〜20nmであることから、酸化チタンに被覆された金は数nm〜20nmの小径の微粒子である。電子の吸着は金微粒子の表面にて起こるものゆえ、粒径が小さいほど表面積が増加して電子をより多く蓄えることができる。
また、金微粒子の被覆率はテトラクロロ金酸四水和物の混合量によって増減が可能である。酸化チタンに対する金微粒子の被覆率は1重量%以上となるように調製することが好ましい。金微粒子が多いほど、酸化チタンから放出される電子を多く蓄え、還元電位を強めることができるからである。1重量%未満では、蓄えられる電子が少なく、二酸化炭素の二量化に必要な還元電位まで電位を強めることができない。また、金微粒子の被覆率を高めるほど還元電位を強めることができるが、それだけコストが高くなるので、5重量%以下とすることが好ましい。
なお、上記では析出沈殿法について説明したが、酸化チタンにテトラクロロ金酸四水和物を塗布して加熱し、酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆させることもできる。
続いて、二酸化炭素の二量化工程について説明する。二酸化炭素ガス存在下に上述の光合成触媒を介在させ、これに光を照射する。光を照射することにより、酸化チタンが励起されて電子を放出し、この電子が金微粒子に吸着する。金微粒子に集められ還元電位を強められた電子が二酸化炭素分子に供給され、二酸化炭素が還元され二量化する。
また、酸化チタンは親水性であるため、親和性の高さから大気中の水分等が付着しやすい。この水分等の水素原子と2つの二酸化炭素分子が反応し、2CO+2H+2e→Hで示す反応が起こり、シュウ酸が生成する。
二酸化炭素を二量化するには、約−0.49V vs.NHEと高い還元電位が必要であるが、本発明では本光合成触媒によって還元電位が高められているので、シュウ酸生成に必要な電位を得て、二酸化炭素を二量化して還元することができるものと考えられる。なお、上記値は標準水素電極(NHE:Normal Hydrogen Electrode)による値であり、水素イオン活量1、1気圧の水素ガスのもとで白金黒電極が示す電位をゼロと定め、電位の基準としている。
金微粒子は数nm〜20nmと粒径が小さいので表面積が大きく、多くの電子を吸着することとなる。また、本光合成触媒の金微粒子の被覆量が酸化チタンの1重量%以上と多いので、より多くの電子を吸着することができる。このように多くの電子を一時的に蓄えることができるので、還元電位を強めることができる。
なお、金微粒子の被覆量は多いほど電子の吸着量が増し、より還元電位を強めることができる。一般的な酸化チタン表面に白金等の貴金属を被覆させた光触媒では、貴金属の被覆率は1重量%以下である。これは、1重量%以上の貴金属を被覆すると照射した光が貴金属によって遮られ、酸化チタンから電子が放出されないためと考えられる。しかしながら、本発明に用いる光合成触媒では金微粒子の粒径が20nm以下と小さいことから酸化チタンからの電子の放出を阻害することがなく、金微粒子に電子が吸着するものと考えられる。これにより、金微粒子の被覆量を増加させてより効率的に二酸化炭素を二量化することができる。
本処理方法では、液中に二酸化炭素を溶存させて行うものではなく、気体の状態のまま処理することから、二酸化炭素分子の存在比率は液中に溶存させる場合に比べて相対的に高い。従って、金微粒子表面の二酸化炭素吸着量が増すことから、二酸化炭素分子同士が接触する頻度が高くなること、また、酸化チタン自体に水分が吸着しているので、水素原子を供給できることから、二酸化炭素の二量化、すなわちシュウ酸を生成することができる。なお、二酸化チタンに付着している吸着水がなくなった場合においても二量化後はシュウ酸イオンとして触媒表面に固定される。なお、予め水分や水素ガスを供給して処理することもできる。
本処理方法ではこのように二酸化炭素を気体のまま処理することができるので、処理の操作性が高い。光を照射後、光合成触媒表面に生成したシュウ酸を取り除くだけで、容易に繰り返し使用することができる。
図3に示す装置を用い、二酸化炭素の還元固定化を行い、二酸化炭素を還元し二量化してシュウ酸が生成することを検証した。本装置は密閉可能な容器12の上方に光源13を設置したものである。容器12内に光合成触媒を塗布した触媒担時板11を設置し、容器12内に二酸化炭素を充填して光源13から光を照射し、二酸化炭素の還元を行うものである。
まず、上述のように光合成触媒を調整した。光合成触媒は、5%の濃度に調製したテトラ金(III)酸四水和物(関東化学製)の水溶液5.2ml(1.5×10−5mol)にイオン交換水10mlを加えて希釈し、酸化チタン:P−25(日本アエロジル社製)を250mg添加し、超音波を2分間当てることでよく分散させる。これに還元剤としてヒドラジン一水和物(和光純薬工業製)を原液のまま2ml加え酸化チタン粒子表面に金を還元析出させた。その後、静置し、生成した紫色に着色した酸化チタンを沈殿させ、上澄み液がpH7になるまでデカンテーションによる洗浄を繰り返した。洗浄後沈殿物を濾過によって回収し、乾燥後、めのう乳鉢で軽く粉砕して光合成触媒を得た。得られた光合成触媒の金微粒子被覆量は酸化チタンに対して5重量%となる。そして光合成触媒は紫系に呈色しており、被覆した金微粒子の粒径は数nm〜20nmである。
この光合成触媒0.2gに蒸留水を数滴加えてスラリー状にし、6cm×6cmのガラス板表面に均一に拡げて塗布した後に乾燥させて用いた。これを触媒担持板11とする。
触媒担持板11を550mlの容器12内に設置し、容器12内を窒素ガスで置換した。窒素置換後、反応物質である二酸化炭素約10ml(4.46×10−4mol)をシリンジにて容器12内に導入した。光源13として100Wの高圧水銀灯を用いて容器12内を6時間照射し、二酸化炭素の還元固定化を行った。
そして、紫外光を照射して3時間後、6時間後の容器12内の二酸化炭素濃度を測定し、残存二酸化炭素量を求めた。その結果を図4に示す。図4は、反応時間と残存二酸化炭素量との関係を示しているが、光を照射するにつれて二酸化炭素が徐々に減少し、6時間後には約0.4×10−4molの二酸化炭素が消失していることがわかる。これにより、本触媒によって二酸化炭素量を固定化して削減できることを確認した。
次に、6時間反応させた後、触媒担持板11表面に生成した生成物を水で抽出し、高速液体クロマトグラフ分析(HPLC)にて生成物の特定を行うとともに、その生成量を測定した。HPLCによる分析条件としては、カラムは逆層カラム(wakopack wakosil 5C18AR、長さ250mm)を、溶離液には水、メタノール、アセトニトリル(7:7:16)混合溶液を使用し、溶離液の流速は1ml/minとした。また、検出器はUV検出器とし、測定波長は210nmとした。
図5(A)は、生成物のHPLC分析図、(B)はシュウ酸のHPLC分析図であるが、生成物のピークは1.58minに現れ、シュウ酸のピークと一致している。従って、二酸化炭素は還元されて二量化し、シュウ酸が生成したことが確認できる。
また、二酸化炭素がシュウ酸に変化するには水素が必要であるが、容器12内は窒素ガスで置換した後密閉状態であるため、水素源を加えていない。このため、酸化チタンに吸着している水から水素が供給されてシュウ酸が生成したことがわかる。
そして、図6は、3時間および6時間後に生成したシュウ酸の生成量であるが、3時間後では約0.9×10―5mol、6時間では約1.25×10―5mol生成している。化学量論的には2molの二酸化炭素から1molのシュウ酸が生成することになるので、例えば、照射時間6時間では約2×10−5molのシュウ酸が生成することになる。しかしながら、図6のシュウ酸の生成量は、図4の二酸化炭素の減少量に対して理論量の10〜20%程度の反応量しか確認できなかった。この理由は、二酸化炭素の触媒表面への吸着が影響し、気相の二酸化炭素分析では見かけの減少量しか観測されないためと考えられる。
次に、金微粒子被覆量を変え、金微粒子被覆量の増加により二酸化炭素の還元、二量化によるシュウ酸の生成量を増加させることについて、アセトンの還元によるメタン及びエタンへの分解実験により検証を行った。
前述の方法にて調整した光合成触媒0.2gを6.0cm×6.0cmのガラス板に照射面積が36cmとなるように蒸留水を適量加えて塗布し、ホットスターラーを用いて乾燥させて触媒担持板を準備した。なお、一方は金微粒子被覆量が酸化チタンに対して1重量%、もう一方は5重量%となるように調整し、この2つの光合成触媒を塗布した触媒担持板を実験に供した。
反応容器にはPYREXR(登録商標)製円筒型反応容器(高さ7cm、外径10cm、容量550ml)を用いた。この容器は気密性を保持させるためにO−リングを介してPYREX(登録商標)製天板(外径10cm、厚さ5mm)で密封できる構造となっており、紫外線は天板の上方から照射した。光源にはブラックライト(三共電気製、UV−FL、20W)を使用し、照射強度は0.5mW/cmとした。
まず、反応容器内に揮発性有機化合物がないことを、FID検出器を持つガスクロマトグラフによって確認した。次いで、前述の光合成触媒を塗布したガラス板を反応容器の底に設置し反応容器内を10.0mmHg以下まで減圧し、高純度空気(CO:0.5ppm以下、CO:0.5ppm以下、日本酸素製)を導入し常圧に戻した。その後、アセトン1μl(535ppm)をマイクロシリンジで注入し、4時間紫外線を照射し、生成したメタン及びエタンの濃度をガスクロマトグラフ測定装置(検出器FIDとTCD)で追跡した。
図7に4時間紫外線照射後の反応容器内のメタン濃度、及びエタン濃度を示す。金微粒子被覆量が1重量%では、メタン濃度が約5ppm、エタン濃度が約6ppmに対し、金微粒子被覆量が5重量%では、メタン濃度約38ppm、エタン濃度約46ppmと、いずれも7倍以上増えている。金微粒子の被覆量を増加させることにより、酸化チタンが放出する電子を効率的に集めて、電子が効率的にアセトンに供給されメタン及びエタンの生成量が増加したものと考えられる。
なお、酸化チタンのみで同様の実験を行っても、酸化チタンによる還元電位ではメタンやエタンに還元するには不十分であることから、二酸化炭素しか生成しないことが知られている。しかしながら、金微粒子を酸化チタンに被覆させることにより、酸化チタンの放出する電子を多く集めて還元電位を高め、メタン及びエタンを生成できることになる。
上記検証から、金微粒子被覆量を増加することによって、電子を多く集めることができるので、二酸化炭素を還元しシュウ酸を生成させる場合においても、同様に金微粒子被覆量を増加させることにより、シュウ酸の生成効率を高めることが実現できる。なお、金微粒子被覆量は増加させるにつれて、効率的に二酸化炭素を還元してシュウ酸を生成できることが見込めるが、光合成触媒の製造コストを考慮すれば、5重量%程度とすることが好ましい。
光合成触媒を準備する際に、還元剤の濃度を変化させて、酸化チタンに被覆する金微粒子の粒径を変化させ、二酸化炭素の還元固定化によるシュウ酸の生成量について検証した。
還元剤(ヒドラジン一水和物(和光純薬工業製))の濃度を変えた以外、実施例1と同様の手順で酸化チタン表面に金微粒子を被覆した光合成触媒の調整を行った。還元剤を原液のまま使用して調整した光合成触媒をサンプル1、還元剤を純水で10倍に希釈して調整した光合成触媒をサンプル2、還元剤を純水で100倍に希釈して調整した光合成触媒をサンプル3とした。
調製した各サンプルの色を観察すると、サンプル1では赤紫色に呈色していたものが、サンプル2、サンプル3と還元剤を希釈して調整するにつれて赤みが取れ、サンプル3では青紫色に呈色していた。金微粒子の粒径によって呈色が変わることが知られているが、サンプル1では赤紫色に呈色しており、金微粒子の粒径は10nm前後、青紫色に呈色したサンプル3では20nm前後、その中間色となるサンプル2では15nm前後と考えられる。なお、いずれのサンプルにおいても、サンプル調整後の溶液に新たに還元剤を加えても金が析出しなかった。したがって、テトラ金(III)酸四水和物の水溶液中の金は全て酸化チタン表面に析出しており、各サンプルの金の析出量はすべて等しく、金の粒径のみが異なることを確認した。
この各サンプルを用い、実施例1と同様の条件で二酸化炭素を還元して二量化し、シュウ酸を生成した。なお、紫外線照射時間は6時間とした。
その結果を図8に示す。還元剤を原液のまま調整したサンプル1でシュウ酸の生成量が多く、一方、還元剤を希釈して調整したサンプル2、サンプル3では、希釈するにつれてシュウ酸の生成量が少なくなっていることがわかる。還元剤を原液のまま使用すると、析出する金微粒子の粒径が小さいため、酸化チタンが放出する電子を多く集めて還元力が高まる。このため、二酸化炭素の還元反応が進みやすくなり、シュウ酸の生成量が増大することがわかる。
地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を、光合成触媒を用いることによってエネルギーを使わずに削減ができ、また、これまで光触媒では出来なかった二酸化炭素の二量化によってシュウ酸あるいはシュウ酸イオンが生成できるので、これをもとに様々なC化合物を生成することが期待できる。
本発明の二酸化炭素の処理方法を示す工程図である。 本発明による光合成触媒準備工程を示す工程図である。 本発明の処理に用いる装置の一例を示す概略図である。 本発明の処理方法による二酸化炭素量の変化を示すグラフである。 本発明の処理方法によって生成した生成物の高速液体クロマトグラフ分析図である。 本発明の処理方法によって生成したシュウ酸の量を示すグラフである。 本発明の処理方法に用いる光合成触媒の金微粒子被覆量の影響を示すグラフである。 本発明の処理方法に用いる光合成触媒の金微粒子の粒径とシュウ酸の生成量の関係を示すグラフである。
符号の説明
11 触媒担持板
12 容器
13 光源

Claims (5)

  1. 酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆した光合成触媒を準備し、
    光照射のもとで前記光合成触媒と二酸化炭素とを接触させ、
    前記酸化チタンが放出する電子を前記金微粒子に集めて電位を強め、前記二酸化炭素を還元して二量化することを特徴とする二酸化炭素の処理方法。
  2. 酸化チタン表面に金微粒子を担持或いは被覆した光合成触媒を準備し、
    光照射のもとで前記光合成触媒と二酸化炭素とを接触させ、
    前記酸化チタンが放出する電子を前記金微粒子に集めて電位を強め、前記二酸化炭素を還元し二量化してシュウ酸或いはシュウ酸イオンにすることを特徴とする二酸化炭素の処理方法。
  3. 被覆した前記金微粒子の粒径が20nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素の処理方法。
  4. 前記酸化チタンに対して1〜5重量%の前記金微粒子を被覆することを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素の処理方法。
  5. 前記酸化チタンに吸着する水から水素を供給し前記二酸化炭素を前記シュウ酸にすることを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素の処理方法。
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