JP2009161676A - 炭素繊維強化複合材料の製造方法及び炭素繊維強化複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】はく離方向にかかる荷重に対して、エネルギー吸収量の大きな炭素繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】炭素繊維13を樹脂18で含浸してなる炭素繊維強化複合材料23の製造方法において、サイジング処理されている炭素繊維13及び樹脂18を準備する準備工程と、炭素繊維13に対する樹脂18の接着力を低下させるために接着力低下剤16を炭素繊維に塗布する接着力低下工程と、接着力が低下された炭素繊維13に樹脂18を含浸させる含浸工程とからなることを特徴とする。
【効果】炭素繊維13及び樹脂18の接着力を弱めることができ、これにより炭素繊維強化複合材料23内には微細な欠陥32が形成されやすくなる。はく離方向に荷重がかかった際には、微細な欠陥32に向かって小さな亀裂や割れが発生する。樹脂18に小さな亀裂や割れが発生することにより、はく離方向にかかるエネルギーを吸収することができる。
【選択図】図1
【解決手段】炭素繊維13を樹脂18で含浸してなる炭素繊維強化複合材料23の製造方法において、サイジング処理されている炭素繊維13及び樹脂18を準備する準備工程と、炭素繊維13に対する樹脂18の接着力を低下させるために接着力低下剤16を炭素繊維に塗布する接着力低下工程と、接着力が低下された炭素繊維13に樹脂18を含浸させる含浸工程とからなることを特徴とする。
【効果】炭素繊維13及び樹脂18の接着力を弱めることができ、これにより炭素繊維強化複合材料23内には微細な欠陥32が形成されやすくなる。はく離方向に荷重がかかった際には、微細な欠陥32に向かって小さな亀裂や割れが発生する。樹脂18に小さな亀裂や割れが発生することにより、はく離方向にかかるエネルギーを吸収することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、炭素繊維を樹脂で含浸してなる炭素繊維強化複合材料の製造技術に関する。
車体の軽量化を目的として、炭素繊維を樹脂で含浸した炭素繊維強化複合材料が車体の外板等に用いられる。車体の外板には大きな荷重がかかるため、炭素繊維強化複合材料には高い強度が求められる。
従来、炭素繊維強化複合材料として、補強用処理物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特公昭58−017492号公報(第1頁、第2頁)
特許文献1の特許請求の範囲第1項には、「芳香族系ポリアミド繊維、炭素繊維などの補強用繊維と熱硬化性樹脂よりなる繊維強化樹脂を得るための該繊維に、グリシジル基を有するビニル化合物のモノマーとアミン化合物との混合物をあらかじめ繊維重量の0.1〜2.5%付着せしめてなる補強用処理物。」なる記載がある。
この構成により、補強用処理物は第2頁左欄第5行〜第13行の効果を奏する。
すなわち、「本発明者らは、エポキシ繊維、不飽和ポリエステル樹脂と高強度高弾性の補強用繊維材料との接着性の向上について鋭意研究を進めてきた結果、・・・繊維と樹脂の接着性を飛躍的に向上せしめ得ることを究明し、種々改良を重ねた結果本発明を完成し、所期の目的を達成するに至った。」。
すなわち、「本発明者らは、エポキシ繊維、不飽和ポリエステル樹脂と高強度高弾性の補強用繊維材料との接着性の向上について鋭意研究を進めてきた結果、・・・繊維と樹脂の接着性を飛躍的に向上せしめ得ることを究明し、種々改良を重ねた結果本発明を完成し、所期の目的を達成するに至った。」。
このように、繊維に対する樹脂の接着力を強めることにより補強用処理物の層間剪断強度が高くなる(第3頁右欄第2行〜第4行)。
本発明者らも、炭素繊維に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させて試験用部材を作成した。その経過を詳しく説明する。
図5は従来の炭素繊維強化複合材料の製造方法を説明する図であり、実験に用いる従来の炭素繊維強化複合材料は、(a)に示すように、作業台101上に炭素繊維102を置き、PTFE(四ふっ化エチレン)樹脂フィルム103を介在させる。次に樹脂104を含浸させる。
続いて、(b)に示すように樹脂含浸体105をフィルム106で覆い、オートクレーブ炉107に入れて加圧しながら熱を加えることで、硬化させた。
従来の炭素繊維強化複合材料の製造条件は以下の通りである。
○従来の炭素繊維強化複合材料の試料作成方法:
含浸工程:
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTA−E30
積層:繊維方向の軸を0°、90°の順に交互に積層し、これを10枚積層した。
目付け:各層200g/m2となるように行った。
樹脂:ジャパンコンポジット(株)製プロミネート
含浸量:140g/m2となるように行った。
○従来の炭素繊維強化複合材料の試料作成方法:
含浸工程:
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTA−E30
積層:繊維方向の軸を0°、90°の順に交互に積層し、これを10枚積層した。
目付け:各層200g/m2となるように行った。
樹脂:ジャパンコンポジット(株)製プロミネート
含浸量:140g/m2となるように行った。
硬化工程:
成形機:オートクレーブ成形機
硬化温度:135°C
硬化時間:2時間
成形機:オートクレーブ成形機
硬化温度:135°C
硬化時間:2時間
硬化品(炭素繊維強化複合材料):
熱を加えながら加圧し、縦×横×高さが300mm×300mm×2.2mmの硬化品を得た。
熱を加えながら加圧し、縦×横×高さが300mm×300mm×2.2mmの硬化品を得た。
図6はテストピースの形状を説明する図であり、(a)に示されるように、前工程で得た硬化品からL1×W(L1=80mm、W=15mm)のテストピース108を切り出した。 なお、PTFE樹脂フィルム103の大きさ(L2×W)は30mm×15mmとした。
次に、(b)に示されるようにPTFE樹脂フィルム103を設けた方のテストピース108の上面及び下面にピン穴109、109が設けられているブロック111、111を貼り付けた。
このようにして作成されたテストピース108を、JIS K7086に準拠してはく離試験を行った。
このようにして作成されたテストピース108を、JIS K7086に準拠してはく離試験を行った。
図7は炭素繊維強化複合材料がはく離するまでの様子を説明する図であり、(a)に示すように、テストピース108に対して白抜き矢印で示すように荷重をかける。
荷重をかけ始めてから所定の時間後には、(b)に示すように、曲げを伴いながらP1の位置まで段階的にはく離が進行した。このときの変位L3は22mmであった。この後、(c)に示すように瞬間的にテストピース108は完全にはく離した。
すなわち、テストピース108はB1の範囲では弧状に変形したが、B2の範囲ではほぼ直線であった。
白抜き矢印で示す荷重(N)と変位((b)に示されるL3)との相関を次図に示す。
白抜き矢印で示す荷重(N)と変位((b)に示されるL3)との相関を次図に示す。
図8は従来の炭素繊維強化複合材料の試験結果を説明する変位−荷重線図であり、横軸は変位(mm)、縦軸は荷重(N)を示す。
はく離の初期では、荷重の増加と共に変位が増加する。しかし、P2〜P3の間は変位は増加するが、荷重は減少した。P3で瞬間はく離(図7(c))が起こった。
はく離の初期では、荷重の増加と共に変位が増加する。しかし、P2〜P3の間は変位は増加するが、荷重は減少した。P3で瞬間はく離(図7(c))が起こった。
この変位−荷重線図から、従来の炭素繊維強化複合材料が完全にはく離するまでのエネルギー吸収量を求めることができる。すなわち、エネルギー吸収量は、曲線112及び横軸113で囲われた部分の面積を計測することにより求めることができる。このようにして計測したエネルギー吸収量は0.24Jであった。
衝撃エネルギーを吸収させる上では、エネルギー吸収量が大きい程良い。上の例では、P3で曲線112が終わっているため、得られるエネルギー吸収量が小さかった。得られるエネルギー吸収量を増大させることが望まれる。
はく離方向にかかる荷重に対して、エネルギー吸収量の大きな炭素繊維強化複合材料の提供が望まれる。
本発明は、はく離方向にかかる荷重に対して、エネルギー吸収量の大きな炭素繊維強化複合材料を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、炭素繊維を樹脂で含浸してなる炭素繊維強化複合材料の製造方法において、
サイジング処理されている炭素繊維及び樹脂を準備する準備工程と、
前記炭素繊維に対する前記樹脂の接着力を低下させるために、接着力低下剤を前記炭素繊維に塗布する接着力低下工程と、
接着力が低下された前記炭素繊維に前記樹脂を含浸させる含浸工程とからなることを特徴とする。
サイジング処理されている炭素繊維及び樹脂を準備する準備工程と、
前記炭素繊維に対する前記樹脂の接着力を低下させるために、接着力低下剤を前記炭素繊維に塗布する接着力低下工程と、
接着力が低下された前記炭素繊維に前記樹脂を含浸させる含浸工程とからなることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、準備工程と接着力低下工程との間に、炭素繊維に付着したサイジング剤を溶剤で除去するサイジング剤除去工程を介在させることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、接着力低下剤には、ふっ化物を用いることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1、請求項2又は請求項3記載の方法により製造されたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、接着力低下剤を炭素繊維に塗布した上で、炭素繊維に樹脂を含浸させる。炭素繊維及び樹脂の接着力を弱めることができ、これにより炭素繊維強化複合材料内には微細な欠陥が形成されやすくなる。はく離方向に荷重がかかった際には、微細な欠陥に向かって小さな亀裂や割れが発生する。すると、炭素繊維強化複合材料は、いわゆる腰の弱い状態になり、変形の割に反力は増加しない。反力が材料のはく離強さ未満であれば、瞬間的なはく離は起こらなく、はく離は徐々に発生する。はく離が徐々に発生すれば、変位量を稼ぐことができ、エネルギー吸収量の増加を図ることができる。
請求項2に係る発明では、接着力低下剤の塗布を行う前に、炭素繊維に付着されたサイジング剤を溶剤により除去する。材料内の欠陥をより確実に発生させることができる。
請求項3に係る発明では、接着力低下剤には、ふっ化物を用いる。ふっ化物は容易に入手することができる。容易に入手することができるため、炭素繊維強化複合材料の製造方法を容易に実施することができる。
請求項4に係る発明では、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法により製造される。すなわち、接着力低下剤を用いること、又は、溶剤を用いることによりエネルギー吸収性能が高い炭素繊維強化複合材料を得ることができる。接着力低下剤及び溶剤は安価であるため、安価な炭素繊維強化複合材料を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る本発明に係る炭素繊維強化複合材料の製造方法を説明する図であり、まず、(a)に示すように、パレット11内に準備された溶剤12に炭素繊維13を浸漬させる。
図1は本発明に係る本発明に係る炭素繊維強化複合材料の製造方法を説明する図であり、まず、(a)に示すように、パレット11内に準備された溶剤12に炭素繊維13を浸漬させる。
通常、炭素繊維13には運搬の際の炭素繊維の保護や、炭素繊維の毛羽立ちの防止を目的としてサイジング処理がなされている。このサイジング剤をシンナやベンジン等の溶剤12により除去する。
次に(b)に示すように、接着力低下剤塗布装置15を用いて、四ふっ化エチレン樹脂等の接着力低下剤16を炭素繊維13に塗布する。接着力低下剤16が塗布された炭素繊維13を(c)に示す作業台17に移動させ、炭素繊維13に樹脂18を流し込み、例えばローラ19を用いて含浸させる。樹脂18が含浸された樹脂含浸体21を、(d)に示す炉22に移動させ熱により硬化させ炭素繊維強化複合材料23を得る。
なお、溶剤12にはシンナやベンジン以外であっても、サイジング剤を除去することができるものであれば用いることができる。また、接着力低下剤16には四ふっ化エチレン樹脂、ふっ化エチレン・プロピレン、三ふっ化一塩化エチレン等のふっ化物が容易に入手することができるため、望ましいが、炭素繊維13に対する樹脂18の接着力を低下させることができるものであれば、その他のものであっても用いることができる。
図1において、ハンドレイアップ成形法を例に説明したが、スプレーアップ成形法、マッチドダイ成形法、SMC成形法等も用いることができる。すなわち、炭素繊維強化複合材料23の製造方法は、これらの成形法に限られるものではない。
炭素繊維強化複合材料23の、はく離方向に加わる荷重に対してのエネルギー吸収量を調べるために実験を行った。次図以降で、実験について述べる。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
(a)サイジング除去工程、(b)接着力低下工程、(c)含浸工程及び(d)硬化工程を経て、炭素繊維強化複合材料23を製造した。すなわち、(a)サイジング除去工程、(b)接着力低下工程を経て、従来と同じ(c)含浸工程及び(d)硬化工程を行った。
○炭素繊維強化複合材料の試料作成方法:
サイジング除去工程:
溶剤:大成化学株式会社製アセトン
浸漬手段:アセトンの入ったパレットに炭素繊維を浸漬させた。
○炭素繊維強化複合材料の試料作成方法:
サイジング除去工程:
溶剤:大成化学株式会社製アセトン
浸漬手段:アセトンの入ったパレットに炭素繊維を浸漬させた。
接着力低下工程:
接着力低下剤:ダイキン工業(株)製ダイフリーME810
塗布手段:スプレー塗布
塗布量:単位面積(1m2)あたり220cm3の割合で塗布した。
接着力低下剤:ダイキン工業(株)製ダイフリーME810
塗布手段:スプレー塗布
塗布量:単位面積(1m2)あたり220cm3の割合で塗布した。
含浸工程:
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTA−E30
積層:繊維方向の軸を0°、90°の順に交互に積層し、これを10枚積層した。
目付け:各層200g/m2で行った。
樹脂:ジャパンコンポジット(株)製プロミネート
含浸量:140g/m2で行った。
炭素繊維:東邦テナックス(株)製HTA−E30
積層:繊維方向の軸を0°、90°の順に交互に積層し、これを10枚積層した。
目付け:各層200g/m2で行った。
樹脂:ジャパンコンポジット(株)製プロミネート
含浸量:140g/m2で行った。
硬化工程:
樹脂含浸体の間にPTFE樹脂フィルムを挟んだ上で、以下の条件で硬化させる。
成形機:オートクレーブ成形機
硬化温度:135°C
硬化時間:2時間
樹脂含浸体の間にPTFE樹脂フィルムを挟んだ上で、以下の条件で硬化させる。
成形機:オートクレーブ成形機
硬化温度:135°C
硬化時間:2時間
硬化品(炭素繊維強化複合材料):
熱を加えながら加圧し、縦×横×高さが300mm×300mm×2.2mmの硬化品を得る。
熱を加えながら加圧し、縦×横×高さが300mm×300mm×2.2mmの硬化品を得る。
このような条件で製造した炭素繊維強化複合材料を基に、図6に示されるのと同じ条件でテストピースを切り出した。
図2は本発明に係る炭素繊維強化複合材料がはく離する様子を説明する図であり、(a)に示されるように、PTFE樹脂フィルム24を挟んでいる状態の炭素繊維強化複合材料23に白抜き矢印で示すように荷重をかける。
すると(b)に示すように、炭素繊維強化複合材料23は徐々にはく離が進行し、変位L4が40mmに達するまで実験を継続する。(c)に示されるように変位L5が40mmに達したところで実験を終える。この時点で、B3で示す領域が未はく離部分であった。
これまでの荷重(N)及び変位(mm)の相関を次図で説明する。
これまでの荷重(N)及び変位(mm)の相関を次図で説明する。
図3は本発明に係る炭素繊維強化複合材料の試験結果を説明する変位−荷重線図であり、横軸は変位(mm)であり、縦軸は荷重(N)である。
本発明に係る炭素繊維強化複合材料では、(a)に示されるように、最大荷重P5まで荷重と共に変位が増加し、P5を越えると変位が増加しながら荷重は徐々に減少する。荷重が徐々に減少しながら変位が15mmになると、変位と共に再び荷重が徐々に増加するデータが得られた。
本発明に係る炭素繊維強化複合材料では、(a)に示されるように、最大荷重P5まで荷重と共に変位が増加し、P5を越えると変位が増加しながら荷重は徐々に減少する。荷重が徐々に減少しながら変位が15mmになると、変位と共に再び荷重が徐々に増加するデータが得られた。
変位が30mmになるまでのエネルギー吸収量を、曲線26、線27及び横軸28で囲われた部分の面積から計測した所、エネルギー吸収量は0.37Jであった。
本発明と従来技術とを対比するために、(b)に示すように、曲線26に、従来の炭素繊維強化複合材料で得た曲線(図8)112を重ねた。便宜的に、曲線26を実施例曲線26、曲線112を比較例曲線112と呼ぶことにする。
ピーク荷重は、細線で示す比較例曲線112より、太線で示す実施例曲線26の方が小さい。加えて、比較例曲線112はP3で終わっているが、実施例曲線26はP3を超えても変位が進行している。エネルギー吸収量は曲線の面積で表されるため、実施例の方がエネルギー吸収量が格段に大きいことが分かる。
ピーク荷重は、細線で示す比較例曲線112より、太線で示す実施例曲線26の方が小さい。加えて、比較例曲線112はP3で終わっているが、実施例曲線26はP3を超えても変位が進行している。エネルギー吸収量は曲線の面積で表されるため、実施例の方がエネルギー吸収量が格段に大きいことが分かる。
以上に述べた内容を表1にまとめた。
比較例では、図5に基づいて炭素繊維強化複合材料が製造される。すなわち、含浸工程と硬化工程を経て炭素繊維強化複合材料が製造され、エネルギー吸収量は0.25Jであった。
一方、実施例では、図1に基づいて炭素繊維強化複合材料が製造される。すなわち、サイジング除去工程と接着力低下工程と含浸工程と硬化工程を経て炭素繊維強化複合材料が製造され、エネルギー吸収量は0.37Jであった。
一方、実施例では、図1に基づいて炭素繊維強化複合材料が製造される。すなわち、サイジング除去工程と接着力低下工程と含浸工程と硬化工程を経て炭素繊維強化複合材料が製造され、エネルギー吸収量は0.37Jであった。
すなわち、実施例に係る炭素繊維強化複合材料の変位が30mmになった際に、完全にはく離していなかったことを考慮すれば、実施例に係る炭素繊維強化複合材料は、従来の炭素繊維強化複合材料に比し150%以上のエネルギー吸収量があるということができる。
このように大きな差が生じた理由を次図に基づいて考察する。
このように大きな差が生じた理由を次図に基づいて考察する。
図4は本発明に係る炭素繊維強化複合材料のエネルギー吸収量が多い理由について説明する図であり、炭素繊維強化複合材料23を製造する際に、炭素繊維に接着力低下剤を塗布することにより、炭素繊維及び樹脂の接着力は弱まる。
このような炭素繊維強化複合材料23に対してはく離方向に荷重をかけると、微細な欠陥32に向かって小さな亀裂や割れが発生する
小さな亀裂や割れが存在する断面は、当然、健全な断面より曲げ剛性や撓み剛性が小さくなる。そこで、(b)に示すような等価モデル35に置き換える。すなわち、不健全な断面は断面積を小さな健全断面に置き換え、健全断面に不健全断面が混在したようなモデルに置き換える。
小さな亀裂や割れが存在する断面は、当然、健全な断面より曲げ剛性や撓み剛性が小さくなる。そこで、(b)に示すような等価モデル35に置き換える。すなわち、不健全な断面は断面積を小さな健全断面に置き換え、健全断面に不健全断面が混在したようなモデルに置き換える。
等価モデル35のはく離方向に荷重をかけると、(c)に示すように簡単に撓む。いわゆる腰が弱いため、例えばP6における反力は小さい。反力が等価モデル35のはく離強さより小さいため、瞬間的なはく離は発生しない。このために、図3(a)に示したように変位が何処までも続く。
このように、内部欠陥を人工的に発生させて、エネルギー吸収量の増加を測ることが本発明の特徴である。
このように、内部欠陥を人工的に発生させて、エネルギー吸収量の増加を測ることが本発明の特徴である。
尚、本発明にかかる炭素繊維強化複合材料は、車両の外板の他、飛行機、船艇、自転車のフレーム等にも使用することができ、用途は限定されない。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、車両の外板に好適である。
12…溶剤、13…炭素繊維、16…接着力低下剤、18…樹脂、23…炭素繊維強化複合材料。
Claims (4)
- 炭素繊維を樹脂で含浸してなる炭素繊維強化複合材料の製造方法において、
サイジング処理されている炭素繊維及び樹脂を準備する準備工程と、
前記炭素繊維に対する前記樹脂の接着力を低下させるために、接着力低下剤を前記炭素繊維に塗布する接着力低下工程と、
接着力が低下された前記炭素繊維に前記樹脂を含浸させる含浸工程とからなることを特徴とする炭素繊維強化複合材料の製造方法。 - 前記準備工程と前記接着力低下工程との間に、前記炭素繊維に付着した前記サイジング剤を溶剤で除去するサイジング剤除去工程を介在させることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法。
- 前記接着力低下剤には、ふっ化物を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炭素繊維強化複合材料の製造方法
- 請求項1、請求項2又は請求項3記載の方法により製造されたことを特徴とする炭素繊維強化複合材料。
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---|---|---|---|---|
JP2014189935A (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-06 | Takemoto Oil & Fat Co Ltd | 炭素繊維糸条の処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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