JP2009146072A - 最適設計計算装置、最適設計計算プログラム及びその方法 - Google Patents

最適設計計算装置、最適設計計算プログラム及びその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】最適設計の計算の高速化を可能とし、また、利用者の熟練度によらずに最適設計を行うことを可能とすることにより、計算機資源を有効に活用することのできる技術を提供する。
【解決手段】装置性能値算出手段は、モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、真試行数と偽試行数から装置性能値を算出する。確率値計算手段は、装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値がi−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i番目の真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する。判定手段、確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、確率値が所定のしきい値以上の場合、装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、計算機シミュレーションによる最適設計技術に関する。
近年、計算機の低価格化、高性能化と、シミュレーションソフトウェアの普及、高精度化を背景として、設計開発期間の短縮のために、計算機シミュレーションを用いた最適設計が盛んに行われている。
計算機シミュレーションの中でも、モンテカルロシミュレーションは、通信機器の設計やビジネスリスクの解析等の幅広い用途に用いられており、特に重要なシミュレーション方法の一つと言うことができる。
モンテカルロシミュレーションでは、例えば、乱数を用いて装置の様々な動作環境を設定し、それぞれの動作条件下において装置が期待した動作をするか否かを検証し、異常動作率等の装置性能を計算することができる。
最適設計では、装置の設計パラメータの様々な値に相当する設計例について、装置性能を計算し、より良い装置性能に対応する設計パラメータの値が探索される。モンテカルロシミュレーションを用いて最適設計を行う場合、様々な設計例をモンテカルロシミュレーションで設定し、それぞれの設計例について装置性能の計算を行い、装置性能の値を比較評価する処理が行われる。
ところで、モンテカルロシミュレーションの計算精度と計算量の関係については、計算精度を10倍にするためには、乱数の試行による計算量を100倍にする必要がある。このため、モンテカルロシミュレーションは、計算負荷が比較的高くなる。
最適設計技術に関しては、例えば、移動通信における設備の設計に関する複数種のパラメータに対応するしきい値を格納しておき、取得したパラメータに対する設計値としきい値とを比較してパラメータごとの評価指標を判定する技術が提供されている(例えば、特許文献1)。
あるいは、最適設計における解析技術として、複数の部品や構成部材ごとに測定した組付け位置データ(説明変数)と最終完成品または中間完成品の組み付け精度を表す基準組付け位置データ(目的変数)とに基づいて回帰分析を行い、組付け精度に対して寄与率の高い部品を特定する技術について提供されている(例えば、特許文献2)。
解析技術として、PID制御パラメータの応答波形の評価指標を計算し、計算した評価指標に基づいてファジー推論を行い、ファジー推論した結果に基づいてPIDパラメータを調節する技術について提供されている(例えば、特許文献3)。
最適設計において探索精度を向上させる技術として、設計パラメータと応答特性を表すパラメータの複数の組合せに対応する複数の応答曲面をそれぞれ生成し、所定の応答特性を満たす設計パラメータを探索する技術について提供されている(例えば、特許文献4)。
一方で、大量のデータを解析し、相関関係や類似関係を検索する手法の一つとして、データマイニングが挙げられる(例えば、非特許文献1、2及び3)。
特開2003−114911号公報 特開2006−264521号公報 特開平6−131007号公報 特開2003−16114号公報 大滝厚他著、「応用2進木解析法」、日科技連出版社、1998年7月 マイケルJ.A.ベリー他著、「データマイニング手法」、海文堂出版、1999年9月 W.N.ヴェナブルズ他著、「S−PLUSによる統計解析」、シュプリンガー・フェアラーク東京、2001年7月
従来においては、設計者は、各自の経験に基づいて、計算精度と計算量を調節し、最適設計を行ってきた。このため、最適設計の結果が設計者の経験に依存することとなる、という問題があった。また、設計者が不在の時間帯には最適化の作業ができない、等の問題があった。
更には、従来の最適設計計算システムにおいては、モンテカルロシミュレーションと最適設計の計算は、別々のソフトウェアを用いて行われていた。このため、従来は、モンテカルロシミュレーションの計算時間の調節は、最適設計の計算において得られる装置性能の値を参照することなく行われていた。
本発明は、最適設計の計算の高速化を可能とし、また、利用者の熟練度によらずに最適設計を行うことを可能とすることにより、計算機資源を有効に活用することのできる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、コンピュータを、モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出する装置性能値算出手段、前記装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値がi−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i−1番目までの設計例の最良の装置性能値とi番目の設計例についての真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する確率値計算手段、前記確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する判定手段、として機能させる最適設計計算プログラムが提供される。
ある設計例に対してi番目にモンテカルロシミュレーションを行って計算した装置性能値が、i−1番目までに計算した装置性能値のうち最良の装置性能値よりも良い値をとる確率値を求める。求めた確率値が所定のしきい値未満のときは、その設計例についてのモンテカルロシミュレーションを中断する。モンテカルロシミュレーションの結果を最適設計の計算に用いることで、最適設計計算の高速化を図ることができる。また、ある設計例について求めた確率値について、予め見込まれるしきい値未満の確率値が得られた場合にはその設計例についてのモンテカルロシミュレーションを中断することで、利用者の熟練度によらずに最適設計を行うことが可能となり、更には、計算機資源を有効に活用することが可能となる。
上記の確率値は、i番目にモンテカルロシミュレーションを行った設計例以外の設計例についての真試行数及び偽試行数をも用いて計算する構成としてもよい。例えば、回帰木解析を用いて同じ領域に含まれる設計例を取り出して確率値の計算に利用してもよい。クラスタ解析により同じグループに含まれる設計例を取り出して確率値の計算に利用してもよい。記憶に基づく推論解析により類似する設計例を取り出して確率値の計算に利用してもよい。
更には、前記コンピュータを、ある設計例に対して所定の試行数のモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値に基づいて、所定の値以下の装置性能値に対応する設計パラメータ範囲をデータマイニングにより算出する設計パラメータ範囲計算手段、前記設計パラメータ範囲計算手段により算出された設計パラメータ範囲に対応する装置性能値の変化幅を求め、該求めた変化幅から、他の設計例に対して行うモンテカルロシミュレーションの試行数を設定する試行数設定手段、予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行ったか否かを判定し、該予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行っている場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを終了する第2の判定手段、として更に機能させる構成としてもよい。
良好な装置性能値が得られる設計パラメータ範囲を求め、求めた設計パラメータ範囲についてモンテカルロシミュレーションを行った場合に、装置性能値の計算を高精度に行えるように試行数を設定する。計算の初期段階においては、設計パラメータ範囲は広く設定されている分、試行数は少なく設定されているため、計算処理の高速化を図ることができる。計算の終わりの段階においては、設計パラメータ範囲は狭められているが、試行数は大きい値が設定されているため、高精度の装置性能値を求めることができる。これにより、全体として計算処理を高速化し、求める装置性能値の信頼性を向上させることができる。
上記の開示の最適設計計算プログラムによれば、モンテカルロシミュレーションと最適設計とを一体化させて行い、最適設計の計算を高速化することができる。更には、利用者の熟練度によらずに最適設計を行うことが可能となり、これにより、計算機資源を有効活用することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る最適設計計算システムの構成図である。図1に示す最適設計計算システム1は、管理用コンピュータ2と計算用コンピュータ3から構成され、各コンピュータはネットワークを介して互いに接続されている。管理用コンピュータ及び計算用コンピュータは、本実施形態においてはパーソナルコンピュータ(PC)から構成されている。
計算用パーソナルコンピュータ(以下計算用PCと表記)3は、本実施形態においては複数台備えられ、各計算用PC3(図1においては計算用PC3A、3B、3C)は、メモリからモンテカルロシミュレーションプログラムを読み出して、モンテカルロシミュレーションを実行する。モンテカルロシミュレーションによる最適設計については後述する。
管理用パーソナルコンピュータ(以下管理用PCと表記)2は、メモリから最適化・統計解析計算プログラムを読み出して、計算用PC3から受け取ったシミュレーションの結果から装置性能値を計算し、計算した装置性能値を用いて最適化を行う。
図2は、本実施形態に係る最適設計計算システム1のブロック図である。上記のとおり、最適設計計算システム1においては、計算用PC3は複数台備えられるが、各計算用PC3の構成はいずれも同様であるため、図2においては1台の計算用PC3のみを記載している。以下に、本実施形態に係る最適設計計算システム1における最適設計処理の概要を説明する。
まず、管理用PC2は、利用者から入力された情報にしたがって、計算用PC3に対してモンテカルロシミュレーションを開始するよう実行開始指示を出すとともに、最適化プログラムにより求めた設計パラメータを計算用PC3に与える。設計パラメータの詳細については、図4を参照して説明する。
計算用PC3は、管理用PC2から入力されたシミュレーション実行開始指示にしたがって、与えられた設計パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションプログラムを実行する。具体的には、シミュレーションの実行により得られた真試行数及び偽試行数から装置性能値を計算する。真試行数、偽試行数及び装置性能値は、計算用PC3から管理用PC2に渡される。
管理用PC2は、統計解析プログラムにより解析を行い、十分に良好な装置性能値が得られていると判定した場合には、計算用PC3にモンテカルロシミュレーションの実行を中断するよう指示する。ここでの装置性能値の判定については、後述する。所定の値以下の装置性能値が得られていないと判定した場合には、与えられた設計パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションを続行するが、シミュレーションの試行回数が所定の回数になると、その設計パラメータについてのシミュレーションを終了する。シミュレーションが中断あるいは終了すると、管理用PC2は、シミュレーション結果をデータファイルに出力する。
上記の処理を設計パラメータの値を変えて繰り返す。管理用PC2は、設計パラメータごとの真試行数、偽試行数及び装置性能値を、データファイルに記録していく。データファイルについては、図5を参照して説明する。
図3は、モンテカルロシミュレーションによる最適設計について説明する図である。
モンテカルロシミュレーションによる最適設計によれば、例えばある装置について最適設計を行って様々な動作条件における装置の動作を検証する場合に、乱数を用いて生成した動作条件に対して正常に動作するか否かをシミュレーションする。異常動作率を最小化できるような動作条件を探索し、装置の信頼性を向上させる。
図3に例示するように、乱数値が生成されると、モンテカルロシミュレーションを行って、乱数値に対応するデータ量やノイズ等の動作条件の下での装置の動作の正常/異常を判定する。そして、異常動作率を装置性能値として求める。図3の例では、モンテカルロシミュレーションを4回行った結果、正常動作が3回であり、異常動作が1回である。この場合、異常動作率すなわち装置性能値は1/4=25%と求められる。
図4(a)は、設計パラメータの探索範囲の例を示す図であり、図4(b)は、図4(a)の探索範囲にしたがって設定された設計パラメータの例を示す図である。ここでは、3つの設計パラメータX、Y及びZから設計例が構成される場合を例に挙げている。
図4(a)に示すように、設計パラメータの探索範囲は、設定パラメータごとに下限値及び上限値が設定される。実施例では、設計パラメータXについては下限値「10」及び上限値「40」が設定されている。設計パラメータYについては下限値「20」及び上限
値「50」が、設計パラメータZについては下限値「30」及び上限値「60」が設定されている。
管理用PCは、図4(a)に示す設計パラメータ探索範囲を参照して、かかる範囲に含まれる設計パラメータを計算し、求めた値を計算用PCに渡す。計算用PCは、図4(b)に示すような設計パラメータの組合せを受け取ると、その設計パラメータの組合せ、すなわち設計例についてのシミュレーションを実行する。
図5は、データファイルの例を示す図である。設計例ごと、すなわち設計パラメータの組合せごとに、装置性能値、真試行数及び偽試行数が記録されている。
データファイルに記録されているデータのうち、真試行数は、シミュレーションを行った結果、装置の動作が正常であると判定された試行数であり、偽試行数は、装置の動作が異常であると判定された試行数である。装置性能値は、真試行数と偽試行数とから算出される値であり、以下の式で定義される。
(装置性能値)=(偽試行数)/(真試行数+偽試行数) (1)
ある設計例についてi番目(iは自然数)にモンテカルロシミュレーションを行って得られた結果を上記の(1)式に代入することにより計算する。そして、i番目に計算された装置性能値が、その設計例についてi−1番目までに計算された装置性能値のうち最良の値よりも良い値をとる確率を、二項分布を用いて計算する。具体的には、以下の(2)式から求める。
Figure 2009146072
(2)式中のNTは真試行数、NFは偽試行数、Pbestはi−1番目までに計算した装置性能値の中で最良、すなわち最小の装置性能値を表す。
本実施形態においては、上記(2)式により求められる確率値と、予め設定しておいた確率についてのしきい値とを比較して、上記(2)式から計算した確率値がしきい値未満である場合は、モンテカルロシミュレーションを中断する。上記(2)式から計算した確率値がしきい値以上である場合は、モンテカルロシミュレーションを続行するが、シミュレーションを行っている設計例についての試行数が予め設定された上限値となった場合には、処理を終了する。
1つの設計例についてモンテカルロシミュレーションを中断あるいは終了すると、結果をデータファイルに記録する。データファイルに記録されたデータを元に最適化プログラムを実行して、次にシミュレーションを行うべき設計例を求める。以降は、所定の設計例数分上記の処理を繰り返す。
図6は、第1の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。
まず、ステップS1で、利用者により繰り返し計算回数の上限値、設計パラメータの探索範囲、試行数の上限値及び中断の確率のしきい値が最適設計計算システム1に入力されると、ステップS2で、管理用PC2においてデータファイルを新規に作成し、ある設計例に対するシミュレーションの試行数i(iは自然数)についてのカウンタと、シミュレーションを行う設計例数を示す繰り返し計算回数jについてのカウンタとを初期化する。そして、ステップS3で、管理用PC2において、最適化プログラムを実行し、入力された設計パラメータの探索範囲とデータファイルとに基づいて、最適と推定される設計パラ
メータ値を計算し、出力する。
なお、繰り返し計算回数の上限値としては、計算すべき設計例の数が設定される。試行数の上限値としては、ある設計例についてモンテカルロシミュレーションを行う回数の上限値が設定される。中断の確率のしきい値としては、最適設計の対象とされている装置の装置性能値として十分に良好と見込まれる値が得られる場合における、(2)式で表される確率値が設定される。
ステップS4で、計算用PC3において、真試行数と偽試行数の値として「0」を設定して初期化する。ステップS5で、計算用PC3は、乱数を用いて装置の動作条件を設定し、装置の動作についてモンテカルロシミュレーションを行う。そして、動作が正常であるか異常であるかを判定する。ステップS6で、動作が正常と判定された場合は真試行数に1を加算し、動作が異常と判定された場合は偽試行数に1を加算する。
ステップS7で、計算用PC3において、今回シミュレーションを行った設計例についての装置性能値が、前回までにシミュレーションにより求めた装置性能値のうち、最良の値をとる装置性能値よりも良くなる確率値を、真試行数及び偽試行数に基づいて計算する。確率値は、上記の(2)式により求める。そして、求めた確率値及びシミュレーションの試行数が所定の条件を充足するか否かを判定する。
すなわち、(i)確率値が上記の中断の確率のしきい値未満の場合、あるいは(ii)真試行数と偽試行数の合計が上記の試行数の上限値と等しくなっている場合には、モンテカルロシミュレーションを終了して、ステップS8に進む。上記の(i)及び(ii)のいずれの条件も充足しない場合には、試行数iのカウンタを1加算してステップS5に戻り、同じ設計例について、ステップS5からステップS7までのモンテカルロシミュレーションを行って真試行数/偽試行数を計算し、確率値を求める処理を繰り返す。
ステップS8で、計算用PC3において、装置性能値を上述の(1)式より計算し、ステップS9で、管理用PC2において、今回モンテカルロシミュレーションを行った設計例について計算用PC3から受け取ったデータ、すなわち、設計パラメータ、装置性能値、真試行数及び偽試行数をデータファイルに追加出力する。ステップS10で、管理用PC2において、繰り返し計算回数について、上記の繰り返し計算回数の上限値と等しいか否かを判定し、繰り返し計算回数が上限値未満の場合は、繰り返し計算回数jのカウンタを1加算してステップS3に戻る。そして、データファイルを参照して、最適化プログラムにより最適と推定される設計パラメータを設定し、設定された設計例について同様の処理を実行していく。ステップS10で、繰り返し計算回数が上限値と等しくなった場合は、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、予め設定される中断の確率のしきい値を設定しておき、ある設計例についてi番目に計算した装置性能値がi−1番目までに計算した装置性能値のうち最良の値よりも良くなる確率値を、二項分布を用いて計算し、中断の確率のしきい値と比較する。得られた確率値が中断の確率のしきい値よりも小さい場合は、i番目にモンテカルロシミュレーションを行った設計例で十分に良好な装置性能値が得られるとして、最適設計計算処理を中断する。
得られた確率値が中断の確率のしきい値以上の値をとるときは、確率値が中断の確率のしきい値未満になるまで、モンテカルロシミュレーションを続行する。ただし、ある設計例についてのモンテカルロシミュレーションを行う回数については、予め上限値が設定されており、シミュレーションの試行回数が上限値に到達した場合は、その設計例については処理を終了する。
このように、求めた確率値と中断の確率のしきい値との比較によりモンテカルロシミュレーションを中断し、試行数が上限値に到達した場合にシミュレーションを終了する構成とすることにより、モンテカルロシミュレーションの計算精度を高精度に保ちつつ、装置性能値の算出処理に要する時間が長期化することを防ぐ。これにより、非熟練の利用者であっても、容易にかつ高速に最適設計を行うことが可能となる。また、利用者の熟練度によらずに最適設計を行えるようになることで、計算機資源の有効活用を図ることも可能となる。
更には、ある設計例についてのモンテカルロシミュレーションによる装置性能値の計算が中断あるいは終了すると、シミュレーション結果を記録したデータファイルを参照して最適化を行い、次にシミュレーションすべき設計パラメータ(設計例)を計算する。モンテカルロシミュレーションにより得られた装置性能値を最適化に利用する構成とすることで、従来は装置性能値の計算と最適化とを別個に行っていたのに対し、処理を高速化することが可能となる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る最適設計計算システム1について説明する。上記の第1の実施形態においては設計例ごとに確率値を求めるのに対し、第2の実施形態に係る最適設計計算システムにおいては、回帰木解析によりモンテカルロシミュレーションを行った設計例と同じ領域に属する設計例を抜粋し、同一の領域内の設計例についての真試行数及び偽試行数も用いて上記確率値を計算する点で異なる。
なお、本実施形態に係る最適設計計算システム1の構成図及びブロック図については、第1の実施形態に係るそれと同様であるため、ここでは説明を省略する。
図7は、回帰木解析を説明する図である。回帰木解析によれば、入力値(入力パラメータ)と出力値(出力評価指標)との対応関係について解析を行い、出力評価指標の代表値に応じて入力パラメータが区分されるよう、しきい値となる入力パラメータ値が計算される。なお、回帰木解析については、例えば上記の非特許文献1、2に記載されている公知の技術を用いている。
領域を分割した場合の入力パラメータと出力評価指標の代表値との関係をグラフ40に示す。グラフ40では、変数Aの値「10」をしきい値として出力評価指標が2つの領域に分割され、更に2つに分割された領域のそれぞれについて、変数Bの値「5」及び「10」をしきい値として2つの領域に分割されている。グラフ40に示す入力パラメータ(変数A(VarA)及び変数B(VarB))と出力評価指標の代表値との関係は、ルール50で表される。
すなわち、出力評価指標の代表値と、変数A及び変数Bとの関係については、変数Aが10未満且つ変数Bが5未満の領域については、出力評価指標の代表値が0.2であり、変数Aが10未満且つ変数Bが5以上の領域については、出力評価指標の代表値が0.5であり、変数Aが10以上且つ変数Bが15未満の領域については、出力評価指標の代表値が0.7であり、変数Aが10以上且つ変数Bが15以上については、出力評価指標の代表値が0.9である。
ルール50にしたがって木を生成すると、図7に示す回帰木30が得られる。回帰木30においては、まず変数Aの値が10未満であるか否かにより分岐させている。変数Aが10未満の場合は更に変数Bの値が5未満であるかにより分岐させ、変数Aが10以上の場合は変数Bが15未満であるかによりそれぞれ分岐させている。
このように、入力パラメータのしきい値に応じて分岐させた回帰木30を生成することと、ルール50を求めて入力パラメータの値に応じて領域を分割することとは同義である。本実施形態においては、回帰木解析により、入力パラメータに相当する設計パラメータと出力評価指標に相当する装置性能値との関係を表すルールを求めている。
図8は、回帰木解析により求めた設計パラメータと装置性能値との関係を示す図である。図8(a)のグラフに示す点のそれぞれが設計例を表しており、設計例を示す点の座標は、それぞれ2つの設計パラメータX、Yの値を表す。
図8(a)に示す例では、設計例と装置性能値との関係から、装置性能値として良好な値が得られる領域、中程度の装置性能値が得られる領域及び低い装置性能値が得られる領域に分割するためのしきい値を探索した結果、4つの領域すなわち領域A、B、C及びCに分割されている。4つの領域のうち、領域Aが、良好な装置性能値が得られる設計例を含む領域(最適領域)である。
図8(b)は、回帰木解析の結果得られる回帰木解析ルールの一例を示す図である。設計パラメータXについてのしきい値「20」により、領域は、領域A、Bと領域C、Dとに分割される。領域AとBとは、設計パラメータYについてのしきい値「30」により2つに分割され、領域CとDとは、設計パラメータYについてのしきい値「40」により2つに分割される。
本実施形態においては、上記のとおり回帰木解析により設計例を領域ごとに区分して、モンテカルロシミュレーションを行った設計例の属する領域についての真試行数及び偽試行数を、シミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数にそれぞれ加算し、得られた真試行数及び偽試行数の合計を元に上記の確率値を計算する。
図9は、第2の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。図6に示す第1の実施形態に係る最適設計計算処理と比較して異なる点を中心に説明する。
ステップS21からステップS26については、それぞれ図6のステップS1からステップS6に対応する。ステップS26で、モンテカルロシミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数を求めると、ステップS27に進む。
ステップS27で、データファイルに記録されている設計例データが1件以上存在する場合は、データファイルを対象として回帰木解析を行う。回帰木解析については、図8を参照して説明したとおりである。そして、今回ステップS25においてシミュレーションを行った設計例と同じ領域に属する他の設計例をデータファイルから抜粋し、抜粋した設計例について、真試行数及び偽試行数を求める。ステップS27における真試行数及び偽試行数を求める式は、以下の(3)式及び(4)式に示すとおりである。
(真試行数)=(ステップS26で求めた真試行数)+(抜粋した設計例についての真試行数の合計) (3)
(偽試行数)=(ステップS26で求めた偽試行数)+(抜粋した設計例についての偽試行数の合計) (4)
ステップS28以降の処理については、図6のステップ7以降の処理と同様である。
以上説明したように、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、回帰木解析を用いてi番目に装置性能値を計算した設計例と同じ領域に属する設計例を抜粋する。抜粋した設計例についての真試行数及び偽試行数と、シミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数とを用いて、i番目に計算した装置性能値が、i―1番目までに計算した装置性能値のうち最良の値よりも良い値が得られる確率を計算する。回帰木解析により同じ領域に属する設計例についての真試行数及び偽試行数を含めて確率値を求め
ることで、最適設計処理を高速化させることができるだけでなく、確率値の精度を向上させてより適切に装置性能値を計算することが可能となる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る最適設計計算システム1について説明する。第2の実施形態においては、回帰木解析により領域を分割したのに対し、本実施形態においては、クラスタ解析により設計例をグループ化する点で異なる。
なお、本実施形態に係る最適設計計算システム1の構成図及びブロック図については、第1の実施形態に係るそれと同様であるため、ここでは説明を省略する。
図10は、クラスタ解析について説明する図である。図8(a)と同様に、図10のグラフに示す点のそれぞれは設計例を表し、設計例を示す点の座標は、設計パラメータX及びYの値を表す。なお、クラスタ解析については、例えば非特許文献2に記載されている公知の技術を用いている。
本実施形態においては、クラスタ解析を用いて、互いに類似する関係、すなわち設計パラメータの値が互いに近い関係にある設計例(設計パラメータ)を1つのグループに分類する。図10に示す例では、グループA、B、C及びDの4つのグループに分類している。
本実施形態では、クラスタ解析により設計例をグループ化して、モンテカルロシミュレーションを行った設計例と同じグループに含まれる設計例についての真試行数及び偽試行数を、シミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数にそれぞれ加算し、得られた真試行数及び偽試行数の合計を元に上記の確率値を計算する。
図11は、第3の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。回帰木解析を用いる最適設計計算処理、すなわち図9に示す第2の実施形態に係る最適設計計算処理と比較して異なる点を中心に説明する。
ステップS41からステップS46については、それぞれ図9のステップS21からステップS26に対応する。ステップS46で、モンテカルロシミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数を求めると、ステップS47に進む。
ステップS47で、データファイルに記録されている設計例データが1件以上存在する場合は、データファイルを対象としてクラスタ解析を行う。クラスタ解析については、図10を参照して説明したとおりである。そして、今回ステップS45においてシミュレーションを行った設計例と同じグループに属する他の設計例データをデータファイルから抜粋し、抜粋した設計例について、真試行数及び偽試行数を求める。真試行数及び偽試行数は、上記の(3)式及び(4)式から求める。
ステップS48以降の処理については、図9のステップS28以降の処理と同様である。
以上説明したように、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、クラスタ解析を用いてi番目に装置性能値を計算した設計例と同じグループ内の設計例を抜粋する。抜粋した設計例についての真試行数及び偽試行数と、シミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数とを用いて、i番目に計算した装置性能値が、i−1番目までに計算した装置性能値のうち最良の値よりも良い値が得られる確率を計算する。クラスタ解析により同じグループの設計例についての真試行数及び偽試行数を含めて確率値を計算することで、最適設計処理を高速化させることができるだけでなく、更に、確率値の精度を向上させてより適切に装置性能値を計算することが可能となる。
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る最適設計計算システム1について説明する。上記の第2及び第3の実施形態においては、それぞれ回帰木解析及びクラスタ解析を用いて設計例を抜粋しているのに対し、本実施形態においては、記憶に基づく推論解析により、シミュレーションを行った設計例と類似する設計例を検索し、検索により得られた設計例を用いる点で異なっている。
なお、本実施形態に係る最適設計計算システムの構成図及びブロック図については、第1の実施形態に係るそれと同様であるため、ここでは説明を省略する。
図12は、記憶に基づく推論解析について説明する図である。図8(a)や図10と同様に、図中のグラフ上の点のそれぞれは設計例を表し、設計例を示す点の座標は、設計パラメータX及びYの値を表す。なお、記憶に基づく推論解析については、例えば上記の非特許文献2に記載されている公知の技術を用いている。
i番目に装置性能値を計算した設計例と類似する設計例を検索して抽出する。抽出した設計例についての真試行数及び偽試行数を、シミュレーションを行ってi番目に装置性能値を計算した設計例についての真試行数及び偽試行数にそれぞれ加算し、得られた真試行数及び偽試行数の合計を元に上記の確率値を求める。
図13は、第4の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。上記の回帰木解析及びクラスタ解析を用いる最適設計計算処理、すなわち図9及び図11に示す第2及び第3に係る最適設計計算処理と比較して異なる点を中心に説明する。
ステップS61からステップS66については、それぞれ図9のステップS21からステップS26及び図11のステップS41からステップS46に対応する。ステップS66で、モンテカルロシミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数を求めると、ステップS67に進む。
ステップS67で、データファイルに記録されている設計例データが1件以上存在する場合は、データファイルを対象として記憶に基づく推論解析を行う。記憶に基づく推論解析については、図12を参照して説明したとおりである。そして、今回ステップS65においてシミュレーションを行った設計例と類似する設計例データをデータファイルから抜粋し、抜粋した設計例について、真試行数及び偽試行数を求める。真試行数及び偽試行数は、第2及び第3の実施形態と同様に、上記の(3)式及び(4)式から求める。
ステップS68以降の処理については、それぞれ図9のステップS28及び図11のステップS48以降の処理と同様である。
以上説明したように、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、記憶に基づく推論解析を用いてi番目に装置性能値を計算した設計例と類似する設計例を取り出す。取り出した設計例についての真試行数及び偽試行数と、シミュレーションを行った設計例についての真試行数及び偽試行数とを用いて、i番目に計算した装置性能値が、i−1番目までに計算した装置性能値のうち最良の値よりも良い値が得られる確率を計算する。記憶に基づく推論解析により類似する設計例についての真試行数及び偽試行数を含めて確率値を計算することで、最適設計処理を高速化させることができるだけでなく、確率値の精度を向上させてより適切に装置性能値を計算することが可能となる。
<第5の実施形態>
図14は、本実施形態に係る最適設計計算システム10のブロック図である。システム構成については、図1に示す第1の実施形態に係る構成と同様であるので、ここでは説明
を省略し、図14を参照して、本実施形態に係る最適設計計算システム10における最適設計処理の概要を説明する。
管理用PC2は、利用者から入力された情報にしたがって、計算用PC3に対してモンテカルロシミュレーションを開始するよう実行開始指示を出すとともに、最適化プログラムにより求めた設計パラメータを計算用PC3に与える。
計算用PC3は、管理用PC2から入力されたシミュレーション実行開始指示にしたがって、与えられた設計パラメータを用いてモンテカルロシミュレーションプログラムを実行し、上記の実施形態と同様に、真試行数及び偽試行数から装置性能値を計算する。真試行数、偽試行数及び装置性能値は、計算用PC3から管理用PC2に渡される。
管理用PC2は、統計解析プログラムにより解析を行い、設計パラメータと装置性能値との関係から、設計パラメータの範囲を変更して良好な装置性能値が得られる範囲に限定する。そして、次の設計例(設計パラメータ)に対してモンテカルロシミュレーションを行うときの試行数を設定する。そして、シミュレーション結果をデータファイルに出力する。
このように、上記の第1から第4の実施形態とは異なり、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、ある設計例について所定の試行数のモンテカルロシミュレーションを行い、良好な装置性能値を得ることのできる設計パラメータ範囲を計算する。そして、計算して求めた設計パラメータ範囲に基づいて、これに対応する試行数を計算し、次の設計例については、計算により得られた試行数分の回数だけシミュレーションを行う。以降同様の処理を繰り返すにしたがって、設定パラメータの範囲は狭められてゆき、試行数は増加してゆく。
最適化処理の初期の段階では、試行数を小さく抑えて低精度の装置性能値の計算を行うことにより計算時間の短縮化を図り、最適化処理の終わりの段階では、試行数を増加させる代わりに設計パラメータの範囲を限定することにより計算の高速化を図るとともに高精度の装置性能値を確保している。
図15は、第5の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。
まず、ステップS81で、利用者により繰り返し計算回数の上限値、設計パラメータの最大探索範囲、試行数の最小値及び最大値が最適設計計算システム10に入力される。ここで、繰り返し計算回数の上限値とは、上記の実施形態と同様に、計算すべき設計例の数が設定される。設計パラメータの最大探索範囲は、例えば図4に示す範囲のうち、最も広い探索範囲からなる。試行数の最小値及び最大値は、それぞれある設計例についてモンテカルロシミュレーションを実行する回数の最小値及び最大値である。
ステップS82で、管理用PC2において、探索範囲として、利用者により入力された最大探索範囲を設定し、ステップS83で、試行数として、利用者により入力された最小値を設定する。そして、ステップS84で、管理用PC2は、データファイルを新規に作成するとともに、繰り返し計算回数のカウンタを初期化する。そして、ステップS85で、管理用PC2は、最適化プログラムを実行して、シミュレーションすべき設計パラメータ値を計算し、出力する。
ステップS86で、計算用PC3において、管理用PC2から与えられた設計パラメータ値を用いて、モンテカルロシミュレーションを実行し、装置の正常/異常を判定する。装置の正常/異常の判定結果に基づいて、真試行数、偽試行数及び装置性能値を計算する。ステップS86におけるシミュレーションの実行、装置の正常/異常の判定及び装置性
能値等の計算は、先のステップにおいて設定した試行数が示す回数だけ繰り返される。
ステップS87で、管理用PC2において、モンテカルロシミュレーションを行った設計例について計算用PC3から受け取ったデータ、すなわち、設計パラメータ、装置性能値、真試行数及び偽試行数をデータファイルに追加出力する。ステップS88で、管理用PC2において、データファイルを元に回帰木解析を行い、最適領域と、最適領域における装置性能値の変化幅を計算する。
なお、ステップS88の解析処理については、実施例においては回帰木解析を行っているが、これには限らず、他の各種のデータマイニング手法を用いる構成としてもよい。
ステップS89で、管理用PC2において、探索範囲を最適領域に対応するように変更し、ステップS90で、最適領域における装置性能値の変化幅に基づいて、十分によい計算精度を得られる試行数を、上記の試行数の最大値以下の範囲で設定する。ステップS91で、繰り返し計算回数について、上記の繰り返し計算回数の上限値と等しいか否かを判定し、繰り返し計算回数が上限値未満の場合は、繰り返し計算回数のカウンタを1加算してステップS85に戻る。そして、データファイルを参照して、ステップS89において変更された設計パラメータの範囲の中から最適化プログラムにより最適と推定される設計パラメータを設定し、設定された設計例について同様の処理を実行していく。ステップS91で、繰り返し計算回数が上限値と等しくなった場合は、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る最適設計計算システムによれば、ある設計例についてモンテカルロシミュレーションを行って装置性能値を求め、回帰木解析等を行って設計パラメータと装置性能値の関係を求める。そして、良好な装置性能値が得られる設計パラメータの範囲で、次のシミュレーションを行う。次にシミュレーションを行うときには、設計パラメータの範囲を狭める一方で、計算精度を確保することができるよう、試行数を増加させる。これにより、最適化の初期段階においては、設計パラメータの範囲を広くとる代わりに試行数を小さく抑えることで、計算処理の高速化を図ることができる。最適化の終わりの段階においては、設計パラメータの範囲は狭められているが、試行数として大きい値が設定されているので、装置性能値の計算精度を確保することができ、これにより、装置性能値の信頼性を向上させることが可能となる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータを、
モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出する装置性能値算出手段、
前記装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値が、i−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i番目の真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する確率値計算手段、
前記確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する判定手段、
として機能させる最適設計計算プログラム。
(付記2)
前記確率値計算手段は、回帰木解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例についての設計パラメータの属する領域内の設計例を取り出し、取り出した設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
ことを特徴とする付記1記載の最適設計計算プログラム。
(付記3)
前記確率値計算手段は、クラスタ解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例についての設計パラメータの属するグループ内の設計例を取り出し、取り出した設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
ことを特徴とする付記1記載の最適設計計算プログラム。
(付記4)
前記確率値計算手段は、記憶に基づく推論解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例と類似する設計例を取り出し、取り出した設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
ことを特徴とする付記1記載の最適設計計算プログラム。
(付記5)
前記コンピュータを、
ある設計例に対して所定の試行数のモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値に基づいて、所定の値以下の装置性能値に対応する設計パラメータ範囲をデータマイニングにより算出する設計パラメータ範囲計算手段、
前記設計パラメータ範囲計算手段により算出された設計パラメータ範囲に対応する装置性能値の変化幅を求め、該求めた変化幅に基づいて、次にモンテカルロシミュレーションを行う設計例についての試行数を設定する試行数設定手段、
予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行ったか否かを判定し、該予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行っている場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを終了する第2の判定手段、
として更に機能させることを特徴とする付記1記載の最適設計計算プログラム。
(付記6)
前記判定手段は、前記設計例に対するモンテカルロシミュレーションの試行数が予め定められた上限値に到達した場合は、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断する
ことを特徴とする付記1記載の最適設計計算プログラム。
(付記7)
モンテカルロシミュレーションにより最適設計計算を行う最適設計計算方法であって、
モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出し、
前記i番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値が、i−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i番目の真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算し、
前記計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記モンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記モンテカルロシミュレーションを続行する、
処理を含むことを特徴とする最適設計計算方法。
(付記8)
モンテカルロシミュレーションにより最適設計計算を行う最適設計計算装置であって、
モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出する装置性能値算出手段、
前記装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値が、i−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i番目の真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する確率値計算手段、
前記確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記装置性能値
算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する判定手段、
を備えたことを特徴とする最適設計計算装置。
第1の実施形態に係る最適設計計算システムの構成図である。 第1の実施形態に係る最適設計計算システムのブロック図である。 モンテカルロシミュレーションによる最適設計について説明する図である。 設計パラメータについて説明する図である。 データファイルの例を示す図である。 第1の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。 回帰木解析を説明する図である。 回帰木解析により求めた設計パラメータと装置性能値との関係を示す図である。 第2の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。 クラスタ解析について説明する図である。 第3の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。 記憶に基づく推論解析について説明する図である。 第4の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。 第5の実施形態に係る最適設計計算システムのブロック図である。 第5の実施形態に係る最適設計計算処理を示したフローチャートである。
符号の説明
1 最適設計計算プログラム
2 管理用コンピュータ(管理用PC)
3 計算用コンピュータ(計算用PC)

Claims (7)

  1. コンピュータを、
    モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出する装置性能値算出手段、
    前記装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値がi−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i−1番目までの設計例の最良の装置性能値とi番目の設計例についての真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する確率値計算手段、
    前記確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する判定手段、
    として機能させる最適設計計算プログラム。
  2. 前記確率値計算手段は、回帰木解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例についての設計パラメータの属する領域内の設計例を取り出し、取り出した設計例とi番目の設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
    ことを特徴とする請求項1記載の最適設計計算プログラム。
  3. 前記確率値計算手段は、クラスタ解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例についての設計パラメータの属するグループ内の設計例を取り出し、取り出した設計例とi番目の設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
    ことを特徴とする請求項1記載の最適設計計算プログラム。
  4. 前記確率値計算手段は、記憶に基づく推論解析により、i−1番目までの設計例のうちi番目の設計例と類似する設計例を取り出し、取り出した設計例とi番目の設計例についての前記真試行数及び偽試行数をそれぞれ合計した値をもとに前記確率値を計算する
    ことを特徴とする請求項1記載の最適設計計算プログラム。
  5. 前記コンピュータを、
    ある設計例に対して所定の試行数のモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値に基づいて、所定の値以下の装置性能値に対応する設計パラメータ範囲をデータマイニングにより算出する設計パラメータ範囲計算手段、
    前記設計パラメータ範囲計算手段により算出された設計パラメータ範囲に対応する装置性能値の変化幅を求め、該求めた変化幅に基づいて、次にモンテカルロシミュレーションを行う設計例についての試行数を設定する試行数設定手段、
    予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行ったか否かを判定し、該予め定められた設計例数に対してモンテカルロシミュレーションを行っている場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを終了する第2の判定手段、
    として更に機能させることを特徴とする請求項1記載の最適設計計算プログラム。
  6. モンテカルロシミュレーションにより最適設計計算を行う最適設計計算方法であって、
    モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出し、
    前記i番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値が
    、i−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i−1番目までの設計例の最良の装置性能値とi番目の設計例についての真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算し、
    前記計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記モンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記モンテカルロシミュレーションを続行する、
    処理を含むことを特徴とする最適設計計算方法。
  7. モンテカルロシミュレーションにより最適設計計算を行う最適設計計算装置であって、
    モンテカルロシミュレーションを行って真試行数と偽試行数を得て、該真試行数と該偽試行数から装置性能値を算出する装置性能値算出手段、
    前記装置性能算出手段によりi番目の設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た装置性能値が、i−1番目までの設計例に対してモンテカルロシミュレーションを行って得た最良の装置性能値より良くなる確率値を、i−1番目までの設計例の最良の装置性能値とi番目の設計例についての真試行数と偽試行数をもとに二項分布を用いて計算する確率値計算手段、
    前記確率値計算手段で計算された確率値が所定のしきい値未満の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを中断し、該確率値が所定のしきい値以上の場合、前記装置性能値算出手段によるモンテカルロシミュレーションを続行する判定手段、
    を備えたことを特徴とする最適設計計算装置。
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