JP2009127476A - Stirling engine - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、起動時のトルクを低減できるスターリングエンジンに関する。 The present invention relates to a Stirling engine that can reduce torque at startup.
熱機関を排熱回収機関として用いることにより、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱を回収する技術が提案されている。このような用途には外燃機関が適しており、例えば、理論熱効率に優れるスターリングエンジンが排熱回収機関として用いられる。例えば、特許文献1には、電動機を用いてスターリングエンジンを起動する技術が開示されている。
There has been proposed a technique for recovering exhaust heat from an internal combustion engine mounted on a vehicle such as a passenger car, a bus, or a truck by using the heat engine as an exhaust heat recovery engine. An external combustion engine is suitable for such an application. For example, a Stirling engine having excellent theoretical thermal efficiency is used as the exhaust heat recovery engine. For example,
スターリングエンジンは、スターリングエンジンが運転中に発生するトルクよりも大きな起動トルクを入力しなければ起動しない。このため、大きな起動トルクを発生できる起動手段を用意する必要があり、無駄が多い。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スターリングエンジンの起動トルクを低減することを目的とする。 The Stirling engine does not start unless a starting torque larger than the torque generated during operation of the Stirling engine is input. For this reason, it is necessary to prepare starting means capable of generating a large starting torque, which is wasteful. The present invention has been made in view of the above, and an object thereof is to reduce the starting torque of a Stirling engine.
上述の目的を達成するために、本発明に係るスターリングエンジンは、作動流体を加熱するヒータと、前記ヒータと接続されるとともに前記作動流体が通過する再生器と、前記再生器に接続されるとともに前記作動流体を冷却するクーラーとを含んで構成される熱交換器と、前記熱交換器を通過した作動流体が流入し、流出するシリンダと、前記シリンダ内を往復運動するピストンと、を有するスターリングエンジンであり、前記スターリングエンジンを起動するときには、前記作動流体が存在する空間から前記スターリングエンジンの外部へ前記作動流体を排出する作動流体圧力調整手段を備えることを特徴とする。 In order to achieve the above-described object, a Stirling engine according to the present invention includes a heater that heats a working fluid, a regenerator that is connected to the heater and through which the working fluid passes, and is connected to the regenerator. A Stirling having a heat exchanger that includes a cooler that cools the working fluid, a cylinder into which the working fluid that has passed through the heat exchanger flows in and out, and a piston that reciprocates within the cylinder. When starting the Stirling engine, the engine includes a working fluid pressure adjusting means for discharging the working fluid from a space where the working fluid exists to the outside of the Stirling engine.
本発明の好ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記シリンダは、前記ヒータに接続される第1シリンダと前記クーラーに接続される第2シリンダとで構成され、前記作動流体圧力調整手段は、前記再生器の内部と前記クーラーの内部と前記第2シリンダの内部との少なくとも一箇所から、前記作動流体を排出することが望ましい。 As a preferred aspect of the present invention, in the Stirling engine, the cylinder is composed of a first cylinder connected to the heater and a second cylinder connected to the cooler, and the working fluid pressure adjusting means includes The working fluid is preferably discharged from at least one of the inside of the regenerator, the inside of the cooler, and the inside of the second cylinder.
本発明の好ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記シリンダは、前記ヒータに接続される第1シリンダと前記クーラーに接続される第2シリンダとで構成され、前記作動流体圧力調整手段は、前記第2シリンダの内部と前記クーラーの内部との少なくとも一方から前記作動流体を排出することが望ましい。 As a preferred aspect of the present invention, in the Stirling engine, the cylinder is composed of a first cylinder connected to the heater and a second cylinder connected to the cooler, and the working fluid pressure adjusting means includes It is desirable to discharge the working fluid from at least one of the inside of the second cylinder and the inside of the cooler.
本発明の好ましい態様としては、前記スターリングエンジンにおいて、前記作動流体が存在する空間から前記スターリングエンジンの外部へ前記作動流体が排出された後に、前記ピストンが往復運動することが望ましい。 As a preferred aspect of the present invention, in the Stirling engine, it is desirable that the piston reciprocates after the working fluid is discharged from the space where the working fluid exists to the outside of the Stirling engine.
本発明によれば、スターリングエンジンの起動トルクを低減できる。 According to the present invention, the starting torque of the Stirling engine can be reduced.
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、スターリングエンジンを用い、内燃機関の排ガスから熱エネルギーを回収する場合を例として説明する。 Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to the drawings. The present invention is not limited by the best mode for carrying out the invention (hereinafter referred to as an embodiment). In addition, constituent elements in the following embodiments include those that can be easily assumed by those skilled in the art, those that are substantially the same, and those in a so-called equivalent range. In the following, a case where a Stirling engine is used and thermal energy is recovered from exhaust gas of an internal combustion engine will be described as an example.
本実施形態は、スターリングエンジンを起動する際には、作動流体が存在する空間の作動流体を前記空間の外に排出して、前記空間内に存在する作動流体の圧力を排出前(例えばスターリングエンジンの通常運転時)よりも低減させる点に特徴がある。まず、本実施形態に係るスターリングエンジンの構成を説明する。 In this embodiment, when the Stirling engine is started, the working fluid in the space where the working fluid exists is discharged out of the space, and the pressure of the working fluid existing in the space is discharged (for example, the Stirling engine). (During normal operation), the feature is that it is reduced. First, the configuration of the Stirling engine according to the present embodiment will be described.
図1は、本実施形態に係るスターリングエンジンを示す断面図である。図2は、本実施形態に係るスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持に用いる近似直線機構の構成例を示す断面図である。本実施形態に係るスターリングエンジン100は、いわゆる外燃機関であり、排ガス等の熱エネルギーを運動エネルギーに変換し、クランクシャフト110の回転運動として取り出すものである。すなわち、クランクシャフト110は、スターリングエンジン100の出力軸となる。なお、クランクシャフト110は、回転軸Zrを中心として回転する。
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a Stirling engine according to the present embodiment. FIG. 2 is a cross-sectional view illustrating a configuration example of a gas bearing provided in the Stirling engine according to the present embodiment and a configuration example of an approximate linear mechanism used for supporting a piston. The Stirling
スターリングエンジン100は、α型の直列2気筒スターリングエンジンである。そして、第1シリンダである高温側シリンダ101の内部に収められた第1ピストンである高温側ピストン103と、第2シリンダである低温側シリンダ102の内部に収められた第2ピストンである低温側ピストン104とが直列に配置されている。
The Stirling
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とは、基準体である基板111に、直接、又は間接的に支持されるとともに固定されている。本実施形態に係るスターリングエンジン100においては、この基板111が、スターリングエンジン100の各構成要素の位置基準となる。このように構成することで、前記各構成要素の相対的な位置精度を確保できる。
The high
後述するように、本実施形態に係るスターリングエンジン100は、高温側シリンダ101と高温側ピストン103との間、及び低温側シリンダ102と低温側ピストン104との間に気体軸受GBを介在させる。基準体である基板111に、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを直接又は間接的に取り付けることにより、ピストンとシリンダとのクリアランスを精度よく保持できるので、気体軸受GBの機能を十分に発揮させることができる。さらに、スターリングエンジン100の組み立ても容易になる。
As will be described later, in the Stirling
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102との間には、略U字形状のヒータ(加熱器)105と再生器106とクーラー107とで構成される熱交換器108が配置される。このように、ヒータ105を略U字形状にすることによって、内燃機関の排ガス通路内のような比較的狭い空間にも、ヒータ105を容易に配置することができる。また、このスターリングエンジン100のように、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを直列に配置することにより、内燃機関の排ガス通路5のような筒状の空間にもヒータ105を比較的容易に配置することができる。
Between the high
ヒータ105の一方の端部は高温側シリンダ101側に配置され、他方の端部は再生器106側に配置される。再生器106は、一方の端部がヒータ105側に配置され他方の端部はクーラー107側に配置される。クーラー107の一方の端部は再生器106側に配置され、他方の端部は低温側シリンダ102側に配置される。
One end of the
高温側シリンダ101、低温側シリンダ102及び熱交換器108内には作動流体(本実施形態では空気)が封入されており、ヒータ105から供給される熱及びクーラー107で排出する熱によってスターリングサイクルが構成される。これによって、スターリングエンジン100が出力を発生する。スターリングエンジン100が発生した出力は、クランクシャフト110から取り出される。ここで、高温側シリンダ101の内部であって作動流体が存在する空間を高温側作動空間MSH、低温側シリンダ102の内部であって作動流体が存在する空間を低温側作動空間MSLという。両者を区別しない場合には、単に作動空間MSという。作動空間MSは、内部の作動流体が膨張し又は圧縮される空間である。
A working fluid (air in this embodiment) is sealed in the high
ここで、例えば、ヒータ105、クーラー107は、熱伝導率が高く耐熱性に優れた材料のチューブを複数束ねた構成とすることができる。また、再生器106は、多孔質の蓄熱体で構成することができる。なお、ヒータ105、クーラー107及び再生器106の構成は、この例に限られるものではなく、熱源の熱条件やスターリングエンジン100の仕様等によって、好適な構成を選択することができる。
Here, for example, the
高温側ピストン103と低温側ピストン104とは、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102内に気体軸受GBを介して支持されている。すなわち、潤滑油を用いないで、ピストンをシリンダ内で往復運動させる構造である。これによって、ピストンとシリンダとの摩擦を低減して、スターリングエンジン100の熱効率を向上させることができる。また、ピストンとシリンダとの摩擦を低減することにより、例えば、内燃機関の排熱回収のような低熱源、低温度差の運転条件下においても、スターリングエンジン100を運転して熱エネルギーを回収できる。
The high
気体軸受GBを構成するため、図2に示す、高温側ピストン103と高温側シリンダ101とのクリアランスtcは、高温側ピストン103及びの高温側シリンダ101の全周にわたって数十μmとする。なお、低温側ピストン104及び低温側シリンダ102も同様の構成である。高温側シリンダ101と高温側ピストン103と低温側シリンダ102と低温側ピストン104とは、例えば、加工の容易な金属材料を用いて構成することができる。
In order to constitute the gas bearing GB, the clearance tc between the high
本実施形態においては、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の側壁に設けた給気口HEから気体(本実施形態では作動流体と同じ空気)aを吹き出して、気体軸受GBを形成する。図1、図2に示すように、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の内部には、それぞれ高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRが形成される。
In the present embodiment, gas (in the present embodiment, the same air as the working fluid) a is blown out from an air supply port HE provided on the side walls of the high
高温側ピストン103には、高温側ピストン内空間103IRへ気体aを供給するための気体導入口HIが設けられており、低温側ピストン104には、低温側ピストン内空間104IRへ気体aを供給するための気体導入口HIが設けられている。それぞれの気体導入口HIには、気体供給管118が接続されている。気体供給管118の一端は、気体軸受用ポンプ117に接続されており、気体軸受用ポンプ117から吐出される気体aを高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ導く。
The high
高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ導入された気体aは、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の側壁に設けた給気口HEから流出して、気体軸受GBを形成する。なお、この気体軸受GBは、静圧気体軸受である。また、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の頂部に気体取り込み孔を設けて、この気体取り込み孔から高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ作動流体である気体aを取り込み、給気口HEから流出させて気体軸受GBを構成してもよい。なお、本実施形態の気体軸受GBは静圧気体軸受であるが、動圧気体軸受を用いてもよい。
The gas a introduced into the high temperature side piston internal space 103IR and the low temperature side piston internal space 104IR flows out from the air supply port HE provided on the side walls of the high
高温側ピストン103、低温側ピストン104の往復運動は、コネクティングロッド109によって出力軸であるクランクシャフト110に伝達され、ここで回転運動に変換される。なお、コネクティングロッド109は、図2に示す近似直線機構(例えばグラスホッパ機構)119によって支持してもよい。このようにすれば、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を略直線状に往復運動させることができる。
The reciprocating motion of the high
このように、コネクティングロッド109を近似直線機構119によって支持すれば、高温側ピストン103のサイドフォースFS(ピストンの径方向に向かう力)がほとんど0になるので、負荷能力の小さい気体軸受GBによっても十分に高温側ピストン103、低温側ピストン104を支持することができる。本実施形態では、近似直線機構119によってサイドフォースFSの大部分を支持し、低温側ピストン104等の往復運動が近似直線運動から外れる際に発生する分のサイドフォースFSを気体軸受GBによって支持する。
In this way, if the connecting
図1に示すように、スターリングエンジン100を構成する高温側シリンダ101、高温側ピストン103、コネクティングロッド109、クランクシャフト110等の各構成要素は、筐体100Cに格納される。ここで、スターリングエンジン100の筐体100Cは、クランクケース114Aと、シリンダブロック114Bとを含んで構成されている。筐体100C内は、筐体内加圧手段である加圧用ポンプ115により加圧される。
As shown in FIG. 1, the constituent elements such as the high
本実施形態では、加圧用ポンプ115と筐体100Cとの間に切替弁116を設ける。そして、筐体100C内を加圧するときには、加圧用ポンプ115と筐体100C内とを連通させるように切替弁116を操作した後、加圧用ポンプ115で筐体100C内を加圧する。筐体100C内が規定の圧力になるまで加圧されたら、加圧用ポンプ115と筐体100C内との連通を遮断するように切替弁116を操作する。また、スターリングエンジン100の起動時に筐体100C内の圧力が十分に低くなっていない場合には、筐体100C内と大気とを連通させるように切替弁116を操作して、筐体100C内の圧力を低下させる。
In the present embodiment, the switching
加圧用ポンプ115で筐体100C内を加圧して、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL、及び熱交換器108内の作動流体を加圧することにより、作動流体が熱エネルギーを取り込むときにおける作動流体の容量を大きくする。これによって、スターリングエンジン100の出力軸であるクランクシャフト110から、より多くの出力を取り出すことができる。
When the working fluid takes in heat energy by pressurizing the inside of the
スターリングエンジン100が規定の出力を発生する場合、筐体100Cの内部は、例えば規定の圧力(例えば1MPa程度)に加圧されている。このため、クランクシャフト110と筐体100Cとの間の気密を保持するように構成して、クランクシャフト110の回転運動を筐体100Cの外部へ取り出す必要がある。このため、本実施形態では、図1に示すように、クランクシャフト110の回転を非接触で従動軸(磁気カップリング従動軸)2へ伝達する磁気カップリング10を介して、クランクシャフト110の出力を筐体100Cの外部へ取り出す。すなわち、スターリングエンジン100の出力は、磁気カップリング10が備える磁気カップリング従動軸2から取り出される。
When the
なお、図1に示すように、クランクシャフト110のトルクを変化させて出力する変換手段である増速装置20を設け、クランクシャフト110の回転速度を増速してから磁気カップリング10へ入力してもよい。これによって、クランクシャフト110のトルクを低下させることができるので、磁気カップリング10のトルク伝達容量を抑えることができる。また、スターリングエンジン100を起動する際には、電動機のような起動手段の出力を磁気カップリング従動軸2へ入力してクランクシャフト110を回転させるが、この場合には増速装置20が減速装置として機能する。これによって、磁気カップリング従動軸2への入力トルク(すなわち起動トルク)を小さくできるので、磁気カップリング10のトルク伝達容量を抑えることができる。
As shown in FIG. 1, a
図3は、スターリングエンジンの起動トルクの変化を示す概念図である。図1に示すスターリングエンジン100を起動する際には、クランクシャフト110を外部から駆動する。作動空間MS内に存在する作動流体の圧力は、周期的に変化するため、クランクシャフト110へ与える起動トルクTsも図3の点線に示すように周期的に変化する。スターリングエンジン100の起動時にクランクシャフト110へ与える起動トルクTsは、作動空間MS内に存在する作動流体の最高圧力を乗り越えて高温側ピストン103及び低温側ピストン104を駆動するだけの大きさが必要である。図3に示す例では、最大でTs_mの起動トルクが必要である。
FIG. 3 is a conceptual diagram showing changes in the starting torque of the Stirling engine. When starting the
さらに、スターリングエンジン100の筐体100Cの内部を加圧すると、クランクシャフト110を外部から駆動するためには、より大きな起動トルクTsが必要になる。本実施形態では、磁気カップリング10を介してスターリングエンジン100の出力を筐体100Cの外部へ取り出すため、加圧した状態でスターリングエンジン100を起動しようとすると、磁気カップリング10が伝達可能なトルク容量が増加する。また、電動機(電動機/発電機)によってスターリングエンジン100を起動する場合には、トルクの大きい電動機/発電機を用いる必要がある。
Further, when the inside of the
一方、スターリングエンジン100の筐体100C内を加圧して出力を取り出す場合、スターリングエンジン100の起動時には大きなトルクが必要であるが、いったんスターリングエンジン100が起動した後におけるスターリングエンジン100の出力トルクTeは、起動トルクTsよりも小さい。このため、スターリングエンジン100を起動するためにのみ、トルクの伝達容量の大きい磁気カップリング10を用意したり、トルクの大きい電動機/発電機を用意したりするのは無駄が多い。
On the other hand, when the output is taken out by pressurizing the inside of the
そこで、本実施形態では、スターリングエンジン100を起動するときには、例えば、作動空間MSからスターリングエンジン100の外部へ作動流体を排出することにより、作動空間MS内における作動流体の圧力を低下させる。これによって、図3の実線に示すように、起動トルクTsは、作動空間MS内における作動流体の圧力を低下させない場合と比較して、Ts_mからTs_dに低下する。その結果、トルクの伝達容量の大きい磁気カップリング10を用意する必要や、トルクの大きい電動機/発電機を用意する必要がなくなる。
Therefore, in the present embodiment, when starting the
作動流体は、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL、熱交換器108のクーラー107のいずれかから、スターリングエンジン100の外部へ排出される。図1に示すスターリングエンジン100では、低温側作動空間MSLとスターリングエンジン100の筐体100Cの外部とを連通する作動流体排出通路31を低温側シリンダ102に設け、低温側作動空間MSLから作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出する。作動流体排出通路31には、作動流体排出通路31を開閉する作動流体通路開閉弁30が設けられる。
The working fluid is discharged to the outside of the
作動流体通路開閉弁30は、作動流体圧力調整手段であって、作動流体通路開閉弁30を開くことによって、低温側作動空間MSLと筐体100Cの外部とが連通し、低温側作動空間MSLから作動流体がスターリングエンジン100の外部へ排出される。これによって、高温側作動空間MSH及び低温側作動空間MSL及び熱交換器108の内部に充填される作動流体の圧力が、作動流体通路開閉弁30を開く前よりも低下する。その結果、作動流体通路開閉弁30を開く前よりもスターリングエンジン100の起動トルクTsを低下させることができる。
The working fluid passage opening / closing
本実施形態では、作動空間MS内における作動流体の圧力を低下させればよいので、高温側作動空間MSH、ヒータ105、再生器106、クーラー107、低温側作動空間MSLの少なくとも一つから、作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出すればよい。しかし、高温側作動空間MSHやヒータ105の作動流体は、内燃機関の排ガスExによって昇温しているので、高温の作動流体を排出すると、周辺の機器に影響を与えるおそれがある。また、排ガスExにより昇温した作動流体を排出することになり、排熱回収効率の低下を招く。
In the present embodiment, since the pressure of the working fluid in the working space MS may be reduced, the operation is performed from at least one of the high temperature side working space MSH, the
そこで、本実施形態では、少なくとも再生器106よりも作動流体の温度が低くなる箇所から、作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出することが好ましい。すなわち、再生器106とクーラー107と低温側作動空間MSLとのうち少なくとも一箇所から作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出することが好ましい。より好ましくは、再生器106よりも作動流体の温度が低くなる箇所、すなわちクーラー107と低温側作動空間MSLとの少なくとも一方から作動流体を排出することが好ましく、さらには低温側作動空間MSLから作動流体を排出することが好ましい。これによって、比較的低温の作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出するので、周辺機器への影響を低減できるとともに、排熱の回収効率低下も抑制できる。
Therefore, in this embodiment, it is preferable to discharge the working fluid to the outside of the
本実施形態では、クーラー107の内部と低温側作動空間MSL(すなわち低温側シリンダ102の内部)との少なくとも一方から、作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出するが、両者のうちいずれか一方から作動流体を排出する方がより好ましい。このようにすれば、作動空間MSや熱交換器108の内部から作動流体を取り出す開口部を少なくすることができるので、開口部に起因する作動流体の漏れ等のおそれが低減されて、スターリングエンジン100の信頼性が向上する。
In the present embodiment, the working fluid is discharged to the outside of the
クーラー107から作動流体を排出する場合、クーラー107内に設けられる作動流体通路に、スターリングエンジン100の外部と連通する作動流体排出通路31aを接続する。そして、作動流体排出通路31aに作動流体通路開閉弁30を設ける。そして、スターリングエンジン100の起動時に作動流体通路開閉弁30を開いて、クーラー107内の作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出する。
When discharging the working fluid from the cooler 107, the working
低温側作動空間MSL内から作動流体を排出する場合、低温側シリンダ102の側部に設けた開口部に作動流体排出通路31を接続する。このとき、上死点での低温側ピストン104の頂面とクーラー107との間における低温側シリンダ102の側部に前記開口部を設け、作動流体排出通路31を接続することが好ましい。このようにすれば、低温側ピストン104の位置に関わらず、低温側作動空間MSL内の作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出して、作動流体の圧力を確実に低下させることができる。
When the working fluid is discharged from the low temperature side working space MSL, the working
図1に示すように、作動流体通路開閉弁30の出口30e側(作動流体の流れ方向下流側)に、作動流体通路開閉弁30を通過した作動流体の圧力が、予め設定した圧力よりも大きくならないと開かない圧力保持手段として、圧力保持弁32を設けてもよい。例えば、圧力保持弁32の開弁圧力をP1とする。ここで、P1は、後述するスターリングエンジン100の通常運転時における圧力よりも低い値であり、例えば、磁気カップリング10が伝達可能な最大トルクよりも小さいトルクでクランクシャフト110を回転させたときに、高温側ピストン103及び低温側ピストン104が往復運動できる程度の圧力に設定される。
As shown in FIG. 1, the pressure of the working fluid that has passed through the working fluid passage opening / closing
圧力保持弁32の開弁圧力をP1とした場合、作動流体通路開閉弁30を通過した作動流体の圧力がP1よりも大きい場合には、低温側作動空間MSL内の作動流体がスターリングエンジン100の外部へ排出される。これによって、スターリングエンジン100の起動時における作動流体の圧力がP1よりも大きい場合には、作動流体通路開閉弁30を通過した作動流体がスターリングエンジン100の外部へ排出される。その結果、例えば、磁気カップリング10が伝達可能なトルクの範囲でスターリングエンジン100を起動できる。
When the valve opening pressure of the
一方、作動流体通路開閉弁30を通過した作動流体の圧力がP1以下である場合には、低温側作動空間MSL内の作動流体がスターリングエンジン100の外部へ排出されない。このため、作動流体の最大圧力がP1を下回ることはないので、作動流体の圧力が過度に低下することを回避して、スターリングエンジン100の排熱回収効率の低下を抑制できる。また、作動流体を再加圧する場合でも、加圧量を抑制できるので、加圧に要する時間やエネルギーを抑えることもできる。このように、予め設定した圧力よりも大きくならないと開かない圧力保持手段を設けることで、スターリングエンジン100の起動時に必要な圧力まで作動流体の圧力を低下させて起動トルクを低減できるとともに、作動流体の圧力が過度に低下することを抑制できる。
On the other hand, when the pressure of the working fluid that has passed through the working fluid passage opening / closing
図4、図5、図6は、本実施形態に係るスターリングエンジンを用いた排熱回収システムの構成例を示す模式図である。これらの排熱回収システム80、81、82において、スターリングエンジン100は、車両の動力発生源である内燃機関1の排ガスExから熱エネルギーを回収して出力を発生する。すなわち、スターリングエンジン100は、内燃機関1の排熱を回収して出力に変換する排熱回収装置として機能する。
4, 5, and 6 are schematic diagrams illustrating a configuration example of an exhaust heat recovery system using the Stirling engine according to the present embodiment. In these exhaust
図4に示す排熱回収システム80において、スターリングエンジン100の出力は、内燃機関1の出力と合成されて、内燃機関1の出力軸(熱機関出力軸)1seから取り出される。熱機関出力軸1seは、車両のデファレンシャルギヤ装置9に連結されており、スターリングエンジン100及び内燃機関1の出力は、熱機関出力軸1se及びデファレンシャルギヤ装置9を介して車両の駆動輪7へ伝達されて、これを駆動する。
In the exhaust
スターリングエンジン100は排熱回収対象の熱機関である内燃機関1の近傍に配置される。このとき、スターリングエンジン100が備える磁気カップリング10の磁気カップリング従動軸2(スターリングエンジン100の出力軸に相当する)と、熱機関出力軸1seとが略平行になるようにスターリングエンジン100と内燃機関1とが配置される。これによって、スターリングエンジン100が発生した出力を、ベルトやチェーン、あるいは歯車列等を用いて熱機関出力軸1seに伝達できる。また、既存の内燃機関1に大きな設計変更を加えることなく、スターリングエンジン100を内燃機関1の排熱回収に用いることができる。
The
スターリングエンジン100のヒータ105は、内燃機関1の排ガス通路5内に配置される。そして、スターリングエンジン100は、ヒータ105から内燃機関1が排出した排ガスExの熱エネルギーを回収して出力を発生する。この出力は、スターリングエンジン100が備える磁気カップリング10の磁気カップリング従動軸2から取り出される。
The
磁気カップリング従動軸2には、スターリングエンジン用プーリ3Sが取り付けられる。また、熱機関出力軸1seには、内燃機関用プーリ3Eが取り付けられる。スターリングエンジン用プーリ3Sと内燃機関用プーリ3Eとには、動力伝達手段である無端のベルト4が掛けられている。このような構成によって、スターリングエンジン100が発生した出力は熱機関出力軸1seに伝達される。そして、スターリングエンジン100が発生した出力は、内燃機関1が発生する出力とともに熱機関出力軸1seから取り出される。なお、スターリングエンジン100の出力を熱機関出力軸1seに伝達する機構はこのような機構に限られず、例えば無端のチェーンとスプロケットとを用いたり、歯車列を用いたりすることができる。
A
内燃機関1及びスターリングエンジン100は、例えば、乗用車やトラック等の車両に搭載されて、前記車両の動力発生源となる。内燃機関1は、前記車両の走行中においては主たる動力発生源として常に出力を発生する。一方、スターリングエンジン100は、排ガスExの温度がある程度の温度にならないと、必要最低限の出力を発生することができない。したがって、スターリングエンジン100は、排ガスExの温度が所定の温度を超えた場合に、内燃機関1の排ガスExから回収した熱エネルギーによって出力を発生し、内燃機関1とともに前記車両を駆動する。このように、スターリングエンジン100は、前記車両の従たる動力発生源となる。
The
熱機関である内燃機関1と排熱回収機関であるスターリングエンジン100との間には、動力断続手段であるクラッチ6が設けられる。本実施形態では、熱機関出力軸1seに、クラッチ6が取り付けられている。クラッチ6を係合すると、スターリングエンジン100のクランクシャフト110と熱機関出力軸1seとが機械的に接続する。これによって、スターリングエンジン100が発生した出力はクラッチ6を介して熱機関出力軸1seに伝達される。また、クラッチ6を開放すると、内燃機関1とスターリングエンジン100との接続が解除されるので、内燃機関用プーリ3Eから熱機関出力軸1seにスターリングエンジン100の出力は伝達されない。クラッチ6の動作は、起動制御装置50によって制御される。
Between the
本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御を実行する起動制御装置50は、スターリングエンジン100を起動する起動制御部51と、スターリングエンジン100の筐体100C内を加圧する筐体内加圧制御部52とを備える。起動制御装置50は、例えば、マイクロコンピュータやRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリを組み合わせて構成される。起動制御部51及び筐体内加圧制御部52の機能は、例えば、起動制御装置50を構成するマイクロコンピュータのコンピュータプログラムにより実現される。これによって、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御が実現される。なお、起動制御装置50は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、起動制御部51及び筐体内加圧制御部52の機能を実現するものであってもよい。
An
起動制御装置50には、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御を実行する際の情報を取得するためのセンサ類が接続される。このセンサ類は、内燃機関1が排出する排ガスExの温度(排ガス温度)を検出する排ガス温度検出手段である排ガス温度センサ60、スターリングエンジン100の筐体100C内の圧力を検出する筐体内圧力検出手段である筐体内圧力センサ61、スターリングエンジン100の回転数を検出するスターリングエンジン回転数センサ62である。スターリングエンジン回転数センサ62は、スターリングエンジン100の単位時間あたりの回転数を検出するものであり、具体的には磁気カップリング従動軸2の回転数を検出する。
Sensors for acquiring information when executing the start control of the Stirling engine according to the present embodiment are connected to the
また、起動制御装置50には、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御を実行する際の制御対象が接続される。この制御対象は、クラッチ6、例えばスターリングエンジン100の低温側作動空間MSLに接続される作動流体排出通路31を開閉する作動流体通路開閉弁30、及び加圧用ポンプ115である。このような構成により、起動制御装置50は、排ガス温度センサ60や筐体内圧力センサ61から取得した排ガスExの温度(排ガス温度)や筐体100C内の圧力に基づいて、クラッチ6や加圧用ポンプ115の動作を制御する。
In addition, the
スターリングエンジン100を起動する際には、起動制御装置50の起動制御部51が内燃機関1の運転中にクラッチ6を係合する。これによって内燃機関1の出力が、内燃機関用プーリ3E、ベルト4、スターリングエンジン用プーリ3S、磁気カップリング従動軸2及び磁気カップリング10を介してスターリングエンジン100へ伝達される。そして、内燃機関1の発生する出力の一部によってスターリングエンジン100が起動される。このように、図4に示す排熱回収システム80では、内燃機関1がスターリングエンジン100の起動手段として機能する。
When starting the
図5に示す排熱回収システム81は、図4に示す排熱回収システム80と略同様の構成であるが、スターリングエンジン100の出力で補機11を駆動するか、スターリングエンジン100の出力を内燃機関1が発生する出力とともに熱機関出力軸1seから取り出すかを選択できる点が異なる。排熱回収システム81において、スターリングエンジン100が備える磁気カップリング10の磁気カップリング従動軸2は、スターリングエンジン用プーリ3Sを介して補機用クラッチ6sに連結されている。また、補機用クラッチ6sは、補機11にも連結されている。
The exhaust
補機11は、例えば、車両の発電機や車両用空調装置の圧縮機等である。スターリングエンジン100が起動した後、所定の出力を発生できるようになったら補機用クラッチ6sを係合して、スターリングエンジン100の発生する出力によって補機11を駆動する。スターリングエンジン100を起動する場合、起動制御装置50の起動制御部51が内燃機関1の運転中にクラッチ6を係合する。これによって、上述した排熱回収システム80と同様に、内燃機関1がスターリングエンジン100の起動手段として機能させて、スターリングエンジン100を起動する。
The
スターリングエンジン100が起動して内燃機関1の排ガスExから回収した熱エネルギーによって出力を発生するようになったら、クラッチ6を開放し、補機用クラッチ6sを係合する。これによって、スターリングエンジン100の出力で補機11を駆動する。補機11の駆動要求がない場合にはクラッチ6を係合し、補機用クラッチ6sを開放する。これによって、スターリングエンジン100の出力は、内燃機関1の出力と合成された後、内燃機関1の出力軸(熱機関出力軸)1sから取り出され、デファレンシャルギヤ装置9を介して車両の駆動輪7へ伝達される。図5に示す排熱回収システム81の他の構成は、図4に示す排熱回収システム80と同様なので、説明を省略する。
When the
図6に示す排熱回収システム82は、スターリングエンジン100が備える磁気カップリング10の磁気カップリング従動軸2が電動機/発電機8に連結されている。そして、スターリングエンジン100の発生する出力によって電動機/発電機8を駆動する。これによって、スターリングエンジン100の発生する出力は電気に変換されて取り出される。
In the exhaust
スターリングエンジン100を起動する場合、電動機/発電機8を電動機として用いる。この場合、電動機/発電機8の発生する出力によってスターリングエンジン100を駆動する。このように、図6に示す排熱回収システムでは、電動機/発電機8がスターリングエンジン100の起動手段として機能する。スターリングエンジン100が起動して内燃機関1の排ガスExから回収した熱エネルギーによって出力を発生するようになったら、電動機/発電機8を発電機として用いる。これによって、スターリングエンジン100の発生する出力を電気に変換する。
When starting the
電動機/発電機8は、起動制御装置50に接続されており、電動機/発電機8の動作は、起動制御装置50によって制御される。図6に示す排熱回収システム82の他の構成は、図4に示す排熱回収システム80と同様なので、説明を省略する。次に、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御の手順を説明する。
The motor /
図7は、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動時におけるタイミングチャートである。図8は、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御の手順を示すフローチャートである。図1や図4〜図6に示すスターリングエンジン100を起動するにあたっては、図4〜図6に示す内燃機関1が起動して、所定の温度の排ガスExがスターリングエンジン100のヒータ105へ供給される必要がある。したがって、本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御を実行するにあたっては、内燃機関1が起動していることが前提である。
FIG. 7 is a timing chart when the Stirling engine according to this embodiment is started. FIG. 8 is a flowchart showing a procedure for starting control of the Stirling engine according to the present embodiment. In starting the
図7に示す例では、時間t=0のときに内燃機関1が起動して、内燃機関の単位時間あたりの回転数である機関回転数Neが時間の経過とともに上昇している。そして、排ガス温度θeは、時間tの経過とともに上昇する。スターリングエンジン100が自立運転できるときの排ガス温度θeをスターリングエンジン起動時排ガス温度θesとする。スターリングエンジン100が自立運転できるとは、スターリングエンジン100が最低限の運転機能を発揮することである。最低限の運転機能を発揮するとは、スターリングエンジン100が内部摩擦や駆動系の慣性質量に打ち勝って出力を発生することをいう。
In the example shown in FIG. 7, the
排ガス温度θeがスターリングエンジン起動時排ガス温度θesに達したら、スターリングエンジン100は自立運転可能になるので、スターリングエンジン100を起動できる。排ガス温度θeがスターリングエンジン起動時排ガス温度θesに達するまでの期間、すなわち、t=tssになるまでの期間は、スターリングエンジン100の暖機期間となる。スターリングエンジン100の暖機が終了したか否かを判定するということは、スターリングエンジン100が自立運転可能であるか否かを判定することである。すなわち、スターリングエンジン100の暖機が終了したか否かによって、スターリングエンジン100を起動可能であるか否かを判定する。
When the exhaust gas temperature θe reaches the exhaust gas temperature θes at the start of the Stirling engine, the
なお、図4〜図6に示すスターリングエンジン100のヒータ105の温度に基づいて、スターリングエンジン100が起動可能か否かを判定してもよい。この場合、実際のヒータ105の温度が、スターリングエンジン100が自立運転可能である場合のヒータ105の温度を超えた場合に、スターリングエンジン100が起動可能であると判定する。なお、スターリングエンジン100が自立運転可能である場合のヒータ105の温度は、解析や実験により予め求めておく。
Note that it may be determined whether or not the
本実施形態に係るスターリングエンジンの起動制御を実行するにあたり、ステップS101において、図4〜図6に示す起動制御装置50の起動制御部51は、スターリングエンジン100の暖機が終了したか否かを判定する。これは、例えば、図4〜図6に示す排ガス温度センサ60によって検出された排ガス温度θeが、スターリングエンジン起動時排ガス温度θesを超えているか否かで判定される。ステップS101でNoと判定された場合、すなわち、起動制御部51が、スターリングエンジン100の暖機は終了していないと判定した場合(θe≦θesである場合)、スターリングエンジン100は自立運転が不可能であり、起動することはできないので、スターリングエンジンの起動制御は終了する。
In executing the start control of the Stirling engine according to the present embodiment, in step S101, the
ステップS101でYesと判定された場合、すなわち、起動制御部51が、スターリングエンジン100の暖機は終了したと判定した場合(θe>θesである場合)、スターリングエンジン100は自立運転が可能であり、起動できる。この場合、スターリングエンジン100の暖機が終了したとき以降、すなわち、図7のt=tss以降であれば、スターリングエンジン100を起動できる。
When it is determined Yes in step S101, that is, when the
ステップS101でYesと判定された場合、ステップS102に進み、起動制御部51は、スターリングエンジン100の出力が必要か否かを判定する。スターリングエンジン100が起動可能であっても、図5に示す補機11の駆動を要さない場合や図6に示す電動機/発電機8による発電が不要である場合等は、スターリングエンジン100の出力は必要でないと判定する。ステップS102でNoと判定された場合、すなわち、起動制御部51が、スターリングエンジン100の出力は不要であると判定した場合、スターリングエンジンの起動制御は終了する。
When it determines with Yes by step S101, it progresses to step S102 and the starting
ステップS102でYesと判定された場合、すなわち、起動制御部51が、スターリングエンジン100の出力が必要であると判定した場合、スターリングエンジン100を起動する。スターリングエンジン100を起動する場合、起動制御部51は、ステップS103で、スターリングエンジン100の作動流体の圧力を減圧、すなわち、前記作動流体の圧力をスターリングエンジン100の通常運転時よりも低下させる。具体的には、図4〜6に示す作動流体通路開閉弁30を開き、図1に示す低温側作動空間MSLの内部又はクーラー107の内部から作動流体をスターリングエンジン100の外部へ排出する。
When it determines with Yes in step S102, ie, when the starting
スターリングエンジン100の作動流体の圧力を低下させたら、ステップS104において、起動制御部51はスターリングエンジン100を起動する。スターリングエンジン100を起動するにあたっては、例えば、図4、図5に示す排熱回収システム80、81では、起動制御部51がクラッチ6を係合し、内燃機関1の出力の一部を用いてスターリングエンジン100のクランクシャフト110を回転させる。これによって、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を往復運動させて、スターリングエンジン100を起動する。また、図6に示す排熱回収システム82では、起動制御部51が電動機/発電機8を電動機として駆動することにより、スターリングエンジン100のクランクシャフト110を回転させる。これによって、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を往復運動させて、スターリングエンジン100を起動する。
When the pressure of the working fluid of the
このように、本実施形態では、スターリングエンジン100を起動する際には、スターリングエンジン100の作動流体の圧力を通常運転時よりも低下させた状態で、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を往復運動させる。これによって、スターリングエンジン100の起動トルクを低減できる。スターリングエンジン100の通常運転時における作動流体の圧力は、例えば、スターリングエンジン100を定格出力で運転しているときにおける作動流体の圧力(定格圧力)とする。ここで、定格出力は、スターリングエンジン100に対して保証される使用限度であり、スターリングエンジン100が一定の時間(例えば1時間)連続して発生できる出力である。そして、定格圧力は、スターリングエンジン100が定格出力で運転しているときに必要な圧力である。
Thus, in this embodiment, when starting the
また、スターリングエンジン100の通常運転時における作動流体の圧力は、例えば、内燃機関1がある運転条件(例えば時速60kmで定速走行している場合)で運転されたときの排ガス温度において、スターリングエンジン100がある大きさの出力(例えば2kW)を発生するために必要な圧力(例えば10MPa)としてもよい。
The pressure of the working fluid during normal operation of the
本実施形態では、上述した制御によってスターリングエンジン100の起動トルクTsが小さくて済むので、図4、図5に示す排熱回収システム80、81では、クラッチ6を係合したときにおける内燃機関1のトルク変動が小さくなる。その結果、内燃機関1及びスターリングエンジン100が搭載される車両のドライバビリティ低下を抑制できるという利点がある。また、図6に示す排熱回収システム82では、電動機/発電機8を小型化できる。さらに、図4〜図6に示す排熱回収システム80〜82では、磁気カップリング10の伝達可能なトルクを小さくできるので、磁気カップリング10を小型化できる。
In the present embodiment, the startup torque Ts of the
スターリングエンジン100が起動すると、スターリングエンジン回転数Nseは時間の経過とともに上昇する。スターリングエンジン100が起動したら、ステップS105へ進み、起動制御部51は、現時点におけるスターリングエンジン回転数Nseと、予め設定した減圧終了回転数Nsefとを比較する。減圧終了回転数Nsefは、スターリングエンジン100が自立運転を開始したか否かを判定するためのパラメータであり、例えば、スターリングエンジン100が自立運転するときの最低回転数に設定される。
When the
ステップS105でNoと判定された場合、すなわち、起動制御部51がNse≦Nsefであると判定した場合、ステップS106に進み、スターリングエンジン100の起動を継続する。具体的には、スターリングエンジン100の作動流体の圧力を通常運転時よりも低下させた状態で、スターリングエンジン100のクランクシャフト110を回転させ、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を往復運動させる。
When it determines with No by step S105, ie, when the starting
ステップS105でYesと判定された場合、すなわち、起動制御部51がNse>Nsefであると判定した場合、スターリングエンジン100は起動し、自立運転していると判断できる。この場合、ステップS107に進み、起動制御部51は、図4〜6に示す作動流体通路開閉弁30を閉じて、スターリングエンジン100の外部へ作動流体を排出することを停止する。これによって、起動制御部51は、作動流体の減圧を停止する(時間t=tdf)。
When it is determined Yes in step S105, that is, when the
スターリングエンジン100が起動して自立運転すると、スターリングエンジン回転数Nseは上昇し、時間t=tcで定格出力時における回転数(定格回転数)Nsecに達する。この状態で、スターリングエンジン100は、内燃機関1の排ガスから排熱を回収し、車両の駆動輪7や補機11を駆動したり、電動機/発電機8を発電機として用いて電力を発生させたりする。
When the
減圧終了回転数Nsefは定格回転数Nsecよりも低いので、減圧終了回転数Nsefに基づいてスターリングエンジン100の自立運転を判定することで、作動流体の圧力の無用な低下を回避できる。これによって、作動流体の圧力の低下を必要最小限に留めてスターリングエンジン100を起動できるので、作動流体の過度の圧力低下に起因する排熱効率の低下を抑制できる。また、後述するように、筐体100C内部を加圧して作動空間MS及び熱交換器108内の作動流体を昇圧させる場合でも、最小限の加圧で済む。これによって、筐体100C内を加圧するためのエネルギー消費を抑制できる。
Since the decompression end rotational speed Nsef is lower than the rated rotational speed Nsec, it is possible to avoid an unnecessary decrease in the pressure of the working fluid by determining the self-sustained operation of the
本実施形態では、ステップS103でスターリングエンジン100の作動流体を外部に排出して作動流体の圧力を低下させているので、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL及び熱交換器108内の作動流体の圧力は、通常運転時よりも低下する。その結果、スターリングエンジン100から、予定した出力を得られなくなるおそれがある。このため、スターリングエンジン100が排熱を回収する際には、排出された分の作動流体を補い、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL及び熱交換器108内の作動流体を通常運転時における圧力まで加圧することが好ましい。
In this embodiment, since the working fluid of the
この場合、スターリングエンジン100によって排熱を回収する際には、図4〜図6に示す起動制御装置50の筐体内加圧制御部52は、加圧用ポンプ115を起動するとともに、加圧用ポンプ115と筐体100C内とを連通させるように切替弁116を操作して、筐体100Cを加圧する。そして、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL及び熱交換器108内の作動流体の圧力が、通常運転時における作動流体の圧力(例えば上述した定格圧力)になるまで加圧する。これによって、スターリングエンジン100から、予定した出力を確実に得ることができる。
In this case, when the exhaust heat is recovered by the
高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL及び熱交換器108内の作動流体の圧力が、通常運転時における作動流体の圧力になったか否かは、図4〜図6に示す筐体内圧力センサ61から取得した筐体100C内の圧力に基づいて判定することができる。また、筐体100C内の圧力と、予め設定した筐体100C内の圧力との偏差が0になるように、筐体内加圧制御部52が加圧用ポンプ115をフィードバック制御してもよい。
Whether the pressure of the working fluid in the high temperature side working space MSH, the low temperature side working space MSL, and the
以上、本実施形態では、スターリングエンジンの作動流体の圧力を、通常運転時よりも低下させた状態でスターリングエンジンを起動する。これによって、スターリングエンジンを起動する際に必要なトルクを低減できる。 As described above, in this embodiment, the Stirling engine is started in a state where the pressure of the working fluid of the Stirling engine is lower than that during normal operation. Thereby, the torque required when starting the Stirling engine can be reduced.
以上のように、本発明に係る排熱回収機関及び起動制御装置は、排熱回収機関の起動に有用であり、特に、起動トルクを抑制することに適している。 As described above, the exhaust heat recovery engine and the start control device according to the present invention are useful for starting the exhaust heat recovery engine, and are particularly suitable for suppressing the start torque.
1 内燃機関
5 排ガス通路
6 クラッチ
6s 補機用クラッチ
8 電動機/発電機
10 磁気カップリング
11 補機
30 作動流体通路開閉弁
30e 出口
31、31a 作動流体排出通路
32 圧力保持弁
50 起動制御装置
51 起動制御部
52 筐体内加圧制御部
60 排ガス温度センサ
61 筐体内圧力センサ
62 スターリングエンジン回転数センサ
80、81、82 排熱回収システム
100 スターリングエンジン
100C 筐体
101 高温側シリンダ
102 低温側シリンダ
103 高温側ピストン
104 低温側ピストン
105 ヒータ
106 再生器
107 クーラー
108 熱交換器
115 加圧用ポンプ
117 気体軸受用ポンプ
119 近似直線機構
MSH 高温側作動空間
MSL 低温側作動空間
DESCRIPTION OF
Claims (4)
前記熱交換器を通過した作動流体が流入し、流出するシリンダと、
前記シリンダ内を往復運動するピストンと、を有するスターリングエンジンであり、
前記スターリングエンジンを起動するときには、前記作動流体が存在する空間から前記スターリングエンジンの外部へ前記作動流体を排出する作動流体圧力調整手段を備えることを特徴とするスターリングエンジン。 A heat exchanger comprising: a heater that heats the working fluid; a regenerator that is connected to the heater and through which the working fluid passes; and a cooler that is connected to the regenerator and cools the working fluid. When,
A cylinder into which the working fluid that has passed through the heat exchanger flows in and out;
A Stirling engine having a piston that reciprocates in the cylinder,
When starting the Stirling engine, the Stirling engine is provided with a working fluid pressure adjusting means for discharging the working fluid from the space where the working fluid exists to the outside of the Stirling engine.
前記作動流体圧力調整手段は、前記再生器の内部と前記クーラーの内部と前記第2シリンダの内部との少なくとも一箇所から、前記作動流体を排出することを特徴とする請求項1に記載のスターリングエンジン。 The cylinder includes a first cylinder connected to the heater and a second cylinder connected to the cooler,
The Stirling according to claim 1, wherein the working fluid pressure adjusting means discharges the working fluid from at least one of the inside of the regenerator, the inside of the cooler, and the inside of the second cylinder. engine.
前記作動流体圧力調整手段は、前記第2シリンダの内部と前記クーラーの内部との少なくとも一方から前記作動流体を排出することを特徴とする請求項1に記載のスターリングエンジン。 The cylinder includes a first cylinder connected to the heater and a second cylinder connected to the cooler,
The Stirling engine according to claim 1, wherein the working fluid pressure adjusting means discharges the working fluid from at least one of the inside of the second cylinder and the inside of the cooler.
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