JP2009113406A - ダイの設計方法、多層フィルムの成形シミュレーション方法、多層フィルムの成形シミュレーションシステム - Google Patents

ダイの設計方法、多層フィルムの成形シミュレーション方法、多層フィルムの成形シミュレーションシステム Download PDF

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健晴 伊▲崎▼
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Abstract

【課題】複数の層の幅方向における厚み比の分布が均一な多層フィルムを製造できるダイの設計方法、成形シミュレーション方法、成形シミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】ダイの設計方法は、成形すべき多層フィルムの層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程、ダイの形状を設定する工程、各層の粘度と剪断速度との関係を示す構成方程式を用いて、合流部直前における各層の流動速度分布を算出する工程、ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程、算出したダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布と、設計上の厚み比とのずれ量を検出し、ずれ量が所定値以上である場合に、設定したダイの流路の形状を補正し、ずれ量が所定値未満である場合に、設定したダイの形状を設計したダイの形状とする工程を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、ダイの設計方法、多層フィルムの成形シミュレーション方法、多層フィルムの成形シミュレーションシステムに関する。
従来、複数のフィルムを積層した多層フィルムの製造方法としては、マルチマニホールド法が使用されている。
この方法は、複数のマニホールドを備えたダイを使用する。各マニホールドで各層を構成する樹脂を拡幅した後、各マニホールドから排出される樹脂を積層して、多層フィルムを形成する。
このような方法で多層フィルムを製造する際に、多層フィルムの幅方向に沿った、各層の厚み比にばらつきが生じ、所定の厚み比にならないという問題がある。
そこで、特許文献1に記載された製造装置が提案されている。
この製造装置は、マニホールドに供給される樹脂の流量を調整する流量調整手段と、マニホールドから合流点までの間に、各層のダイ幅方向の厚みを調整する厚み調整手段(具体的にはマニホールドからの樹脂に熱を加える電気ヒータ)とが設けられたものである。
厚み調整手段で各層の厚み分布を目的の分布に調整すべく、マニホールドで各層ごとに流量分布を調整する。また、流量調整手段で流量を調整することで、厚み比率を調整する。
これにより、特許文献1では、各層を所望の厚さに調整できるとされている。
特開2000−127227号公報
しかしながら、特許文献1に記載された製造装置を使用した場合であっても、多層フィルムの幅方向に沿った、各層の厚み比にばらつきが生じてしまう。
本発明の目的は、ダイから排出される多層フィルムの厚み比を正確に算出することができる多層フィルムの成形シミュレーション方法、多層フィルムの成形シミュレーションシステム、さらには、各層の厚み比のばらつきを抑制できるダイの設計方法を提供することである。
本発明者が検討した結果、特許文献1に記載された製造装置を使用した場合でも、各層の厚み比にばらつきが生じる理由として、以下の事項を知見した。
従来、各マニホールドから積層のための合流点に至る前に、それぞれの層の幅方向の厚みを均一にしておくことで、合流点、さらには、ダイの排出口においても、各層の幅方向の厚みは均一となり、複数層の厚み比のばらつきを抑えることができると考えられていた。
従って、特許文献1においても、各マニホールドから積層のための合流点に至る前に厚み調整手段により、厚み分布を調整している。
しかしながら、本発明者が検討したところ、各マニホールドから積層のための合流点に至る前に、それぞれの層の幅方向の厚みを均一にしても、ダイの排出口では、層の幅方向の厚み比に変動が生じてしまうことがわかった。
合流点においては、合流点の厚さ、各層の粘弾性等による層間の力の釣り合いにより、層間の界面の位置が流動する。さらには、合流点から排出口に至るまでの間において、多層フィルムの各層は流動的な状態となっていると考えられる。そして、層間の力の釣り合いの影響により、各層が流動し、合流点からダイの排出口で排出されるまでに、多層フィルムの層の厚み比が変動すると推測される。
本発明は以上の様な知見、推測に基づいて発案されたものである。
本発明によれば、溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイの設計方法であって、成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程と、ダイの形状を設定する工程と、設定した前記ダイの形状と前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する工程と、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程と、算出した前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布と、前記設計上の厚み比とのずれ量を検出し、前記ずれ量が所定値以上であるかどうかを判別する工程と、前記ずれ量が所定値以上であると判別した場合に、前記設定したダイの流路の形状を補正し、前記ずれ量が所定値未満であると判別した場合に、前記設定したダイの形状を設計したダイの形状として確定する工程とを含むダイの設計方法が提供される。
本発明によれば、合流部直前における各層の流動速度分布と、設定したダイの形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、合流部からダイの排出口に至るまでの各層の流動速度分布の変動を求め、ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出している。
これにより、合流部からダイの排出口に至るまでの流路中での層の流動速度分布(厚み比分布)の変動を考慮して、ダイの排出口から排出される多層フィルムの層の幅方向における厚み比の分布を取得することができる。この取得した厚み比の分布と、設計上の厚み比とを比較し、ずれ量が所定値以上である場合に、ダイの形状を補正することで、多層フィルムの層の幅方向における厚み比の分布が均一である多層フィルムを製造できるダイを設計することができる。また、ずれ量が所定値未満である場合には、設定したダイの形状により、多層フィルムの層の幅方向における厚み比の分布が均一であるダイとすることができる。
ここで、前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する前記工程では、各層が準粘性流体であると仮定し、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象である前記合流部から前記排出口に至るまでの多層フィルムをメッシュ状に分割し、各メッシュ領域における力の釣り合いを算出することで、前記各層の流動速度分布の変動を算出することが好ましい。
各層を準粘性流体であると仮定することで、各メッシュ領域における力の釣り合いが算出しやすくなり、各層の流動速度分布の変動を求めることができる。
さらには、前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する前記工程では、Elasticity-Based法における力の釣り合いの式である以下の式を保存方程式として使用することが好ましい。
Figure 2009113406
・・・(式1)
ここで、Eは弾性率、δ11からδ33は変位テンソルの各成分を示す。
さらには、前記排出口における多層フィルムの複数の層の幅方向における厚み比の分布と、設計上の複数の層の厚み比とのずれ量が所定値以上である場合には、前記設定したダイの前記マニホールドの径を補正することが好ましい。
このようにすることで、所望の厚み比分布を有するダイを確実に設計することができる。
また、前記排出口における多層フィルムの複数の層の幅方向における厚み比の分布と、設計上の複数の層の厚み比とのずれ量が所定値以上である場合には、ダイの流路に接続されたチョークバーの位置を調整することで、ダイの流路の形状を補正してもよい。
さらには、当該ダイは、前記マニホールドが3つ形成された3層の多層フィルムを形成するものであるダイであることが好ましい。
また、本発明によれば、溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイを使用した多層フィルムの成形シミュレーション方法であって、成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程と、ダイの形状を設定する工程と、設定した前記ダイの形状と前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する工程と、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程とを含む多層フィルムの成形シミュレーション方法も提供することができる。
この発明によれば、合流部直前における各層の流動速度分布と、設定したダイの形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、合流部からダイの排出口に至るまでの各層の流動速度分布の変動を求め、ダイの排出口での前記各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出している。これにより、排出口での、複数の層の幅方向の厚み比分布を正確に算出することができる。
さらには、本発明によれば、溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、
前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイを使用した多層フィルムの成形シミュレーションシステムであって、成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する取得部と、ダイの形状を設定する形状設定部と、前記形状設定部で設定した前記ダイの形状と、前記取得部で取得した前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する第一算出部と、前記第一算出部で算出した前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、前記形状設定部で設定した前記ダイの形状と、前記取得部で取得した前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での前記各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する第二算出部とを含む多層フィルムの成形シミュレーションシステムも提供することができる。
本発明によれば、排出口から排出される多層フィルムの厚み比分布を正確に算出することにより、複数の層の幅方向における厚み比の分布が均一である多層フィルムを製造できるダイの設計方法、さらには、排出口から排出される多層フィルムの厚み比分布を正確に算出することができる多層フィルムの成形シミュレーション方法、多層フィルムの成形シミュレーションシステムが提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、本実施形態のダイの設計方法の概要について説明する。
図1〜図3を参照して、ダイの設計方法の概要について説明する。
本実施形態のダイの設計方法は、溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールド11と、各マニホールド11から排出された原料を合流させて積層する合流部12と、合流部12で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口13と、合流部12および前記排出口13を接続する接続部14とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイ1の設計方法である。
このダイの設計方法は、成形すべき多層フィルムの層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程(処理S1)と、ダイの形状を設定する工程(処理S2)と、設定したダイの形状と各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、合流部12直前における各層の流動速度分布を算出する工程(処理S3)と、合流部12直前における各層の流動速度分布と、設定したダイの形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、合流部12から前記ダイの排出口13に至るまでの各層の流動速度分布の変動を求め、ダイの排出口13での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向(図1奥行き方向)における厚み比の分布を算出する工程(処理S4)と、算出したダイの排出口13での複数の層の幅方向における厚み比の分布と、設計上の厚み比とのずれ量を検出し、ずれ量が所定値以上であるかどうかを判別する工程(処理S5)と、ずれ量が所定値以上であると判別した場合に、設定したダイの流路の形状を補正し(処理S6)、ずれ量が所定値未満であると判別した場合に、設定したダイの形状を設計したダイの形状として確定する工程とを含む。
次に、図1〜図17を参照して、ダイの設計方法について詳細に説明する。
設計対象となるダイは、図1、2に示すように、マルチマニホールド法に使用されるダイ1であり、複数(たとえば3つ)のマニホールド11と、マニホールド11から排出された原料を合流させて積層する合流部12と、前記合流部12および排出口13を接続する接続部14とを含む原料の流路を有する。
マニホールド11は、供給された溶融樹脂を含む原料をダイ幅に拡幅するものである。
マニホールド11から排出された原料は、デルタ15、ランド16の各領域を通り、合流部12に導入される。
合流部12では、各マニホールド11から排出された原料を合流させ、積層する。
合流部12と、排出口13とは接続部14、テーパ17、リップ18で接続されており、積層された原料は、接続部14、テーパ17、リップ18を通りダイの排出口13から排出される。
なお、図2は、図1のA−A方向の断面であり、マニホールド11、デルタ15、ランド16を内面側から見た図である。
次に、図3を参照して、ダイ1の設計方法について説明する。
<1.多層フィルムの成形条件を取得する(処理S1)>
成形条件は、多層フィルムの層の設計上の厚み比、成形温度、各層の原料の単位時間あたりの供給量、各層の原料の物性値、ダイの幅、多層フィルム全体の厚みを含む。
本実施形態では、ダイ1は、3層の積層フィルムを形成するためのものであるため、多層フィルムの3層の設計上の厚み比等を把握する。
たとえば、外層:内層:外層=3:2:3を設計上の厚み比とし、多層フィルムの厚みを120μmとする。さらに、各層の原料の単位時間あたりの供給量は、たとえば、外層で300kg/hとし、内層で100kg/hとする。
さらに、多層フィルムの成形温度は260℃とする。
また、各層の原料の物性値としては、各層の材料のn値(power law index)、η(第二ニュートン粘度)、τ(特定剪断応力)、λ(時間の次元を持つパラメータで、λ=η/τで示される)、α(樹脂の分子量分布に関するパラメータ)、E(活性化エネルギー)があげられる。たとえば、外層の材料をポリメチルペンテン、内層の材料をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンの混合物とし、外層のn値を0.262、内層のn値を0.388とする。
ここで、n値は、power law indexで、非ニュートン粘性の程度を示すパラメータである。Power law indexは以下のような式で示される。
原料を、Power Law流体と仮定した場合、Power law indexであるn値は、以下の式2で示される。
Figure 2009113406
<2.ダイ1の形状を設定する(処理S2)>
ここでは、処理S1で取得した製造すべき多層フィルムの各層の原料の物性値等の多層フィルムの成形条件に基づいて、ダイ1の形状(初期形状)を設定する。
具体的には、Pearsonのモデル(式3)を使用し、マニホールド11の流路の径を設定する。
Figure 2009113406
ここで、sは1/nであり、R(x)は位置xにおけるマニホールド11の半径を示す。
たとえば、図2では位置x1におけるマニホールド11の半径はR(x)である。なお、図2においてx軸方向はダイ1の幅方向であり、y軸方向は、マニホールド11の厚み方向を示す。さらに、z軸は、ダイ1の幅の中央を通る軸である。また、dL/dlは、マニホールド11の傾斜量(=sinα)を示す。Wはダイ1の幅方向の長さの1/2を示す。本実施形態では、ダイ1の幅を2300mmとする。さらに、Hは、ランド16の厚みを示す。
この工程では、マニホールド11の径をnの値により決定しているといえる。
<3.合流部12直前における各層の流動速度分布を算出する(処理S3)>
ここでは、処理S2で設定したダイ1の形状、および処理S1で取得した各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、合流部12直前における各層の流動速度分布を算出する。そして、この流動速度分布から、ダイ1の合流部12直前における層の幅方向(図2のx方向)の厚み比分布を算出する。
ダイ1の形状は、以下のように、流動速度分布に対し影響を及ぼす。たとえば、マニホールド11の径が大きい場合には、原料はマニホールド11の端部に流れやすくなる。一方で、マニホールド11の流路の径が小さい場合には、原料はマニホールド11の中央からデルタ15等に流れやすくなる。
次に、合流部12直前における各層の幅方向の厚み比の分布の算出方法について具体的に説明する。
まず、式4に示すモデルを使用する。
Figure 2009113406
この式4は、式5で示される一般化Cross-Crreauモデルと、式6で示されるアレニウス型のモデルとを組み合わせたものである。
Figure 2009113406
Figure 2009113406
式6において、Eは活性化エネルギー、Rはガス定数である。
本実施形態では、内層において、E=7.34×104J/mol、α=0.612、n=0.388、λ=0.183、η=1975Pasとした。また、外層において、E=9.97×104J/mol、α=0.738、n=0.262、λ=0.09、η=2719Pasとした。Eの値を式6に代入してαT、を算出するとともに、α、n、λ、ηの数値を式4に代入し、構成方程式を求めた。求めた構成方程式をグラフとして、図4に示す。図4(A)には、異なる温度における内層の剪断速度と粘度との関係、図4(B)には、異なる温度における外層の剪断速度と、粘度との関係が示されている。
次に、処理S2で設定したダイ1の形状、および処理S1で取得した各層の原料の単位時間あたりの供給量で規定される解析対象に対し、式4に、αT、α、n、λ、ηのパラメータを代入した式を構成方程式として使用し、前記構成方程式と、連続体力学に基づく支配方程式(連続の式、運動量保存の式、エネルギー保存の式)とから、有限要素法により、流動速度分布を算出した。
ここでは、ダイ1の幅方向、ダイ1の厚み方向の流動速度分布(m/s)が3次元的に算出される。
図5には、算出された前記流動速度分布から求められたダイ1の幅方向における体積流量の分布を示す。図5において、左側がダイ1の中央であり、右側がダイ1の端に該当する。ダイ1の全幅が2300mmであるので、図5の横軸の0はダイの中央の1150mmの位置、1はダイの端の2300mmの位置を表す。縦軸の流量(m/s)は、ダイ幅方向(x軸方向)の微小幅dwあたりの流量で、以下のようにして求められる。
流動速度分布は、u(x,y,z)という関数で示される。図16に示すように、ダイの幅方向がx軸、ダイの厚み方向(フィルムの厚み方向)がy軸、y軸およびx軸に直交する軸であり、層の流れ方向がz軸である。なお、図16では、原料(たとえば、内層21)がマニホールド11から排出され合流部12直前に至るまでの様子が模式的に示されている。
流動速度分布u(x,y,z)よりxとzの位置を固定した速度分布u(y)を抽出する。そして、図17に示すように、ランド16の厚み方向と直交する一方の壁面の位置をy=0、他方の壁面をy=hとして、u(y)を0からhまで積分する。さらに、この積分値に対し、微小幅dwをかけることで、微小幅dwあたりの流量Qが以下の式で算出される。なお、図17の矢印は流動速度の大きさを模式的に示すものである。
Figure 2009113406
外層の供給量は、300kg/hを密度870Kg/mで体積流量m/sに換算して与え、260℃の等温解析とした。また、内層の供給量は100kg/hとし密度870Kg/mで体積流量m/sに換算して与え、260℃の等温解析とした。
この流動速度分布に基づいて、図6に示すようなダイの幅方向における厚み比(層比)分布を算出する。図6において、左側がダイの中央であり、右側がダイの端に該当する。図6の横軸の単位は図5と同じである。
厚み比(層比、R)は、(内層の単位幅あたりの流量(dQ1))/(内層の単位幅あたりの流量(dQ1)+外層の単位幅あたりの流量(dQ2))で算出される。
<4.ダイの排出口での各層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程(処理S4)>
この工程では、合流部12直前における各層の流動速度分布と、設定したダイ1の形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、合流部12からダイ1の排出口13に至るまでの複数層の流動速度分布の変動を算出し、ダイ1の排出口13での複数層の幅方向における厚み比の分布を算出する。
特許文献1に記載されたような従来技術では、各マニホールドから積層のための合流点に至る間に、それぞれの層の幅方向の厚みを均一にしておくことで、合流点、さらには、ダイの排出口においても、各層の幅方向の厚みは均一となり、複数層の厚み比のばらつきを抑えることができると考えられていた。すなわち、従来は、合流点直前と、ダイの排出口とで層の厚み比が変動することに対する認識がなかった。
しかしながら、本発明者が検討した結果、多層フィルムでは、合流部12から接続部14を通り排出口13に至るまでにおいて、層の厚み比分布、すなわち、各層の流動速度分布が変動することがわかった。これは以下のような理由によるものと考えられる。
各マニホールド11から排出された原料は、デルタ15、ランド16の各領域を通り、合流部12にて積層され接続部14、テーパ17、リップ18を通り排出されるが、合流部12の厚さ、各層の粘弾性等による層間の力の釣り合いにより、層間の界面の位置が流動する。従って、合流部12における層の流動速度分布と、合流部12直前における層の流動速度分布とは異なるものとなる。
さらには、合流部12、接続部14、テーパ17、リップ18においては、多層フィルムの各層は熱的に不安定な状態であり、各層は流動的であると考えられる。そして、3層のうち、一対の外層に挟まれた内層の厚さにばらつきがある場合には、この厚さのばらつきを解消しようと、一対の外層中で物質移動が生じる(図7の矢印参照)。
そして、多層フィルムの全ての領域で力の釣り合いがとれるようになるまで、物質移動が生じると考えられる。
以上により、多層フィルムでは、合流部12から接続部14、テーパ17、リップ18を通り排出口13に至るまでにおいて、層の厚み比が変動してしまうのであると推測される。
本工程では、このような点を考慮し、合流部12からダイの排出口13に至るまでの各層の流動速度分布の変動(すなわち、厚み比の変動)を算出する。
なお、図7においては、符号2は多層フィルムであり、符号21は内層、符号22は外層を示す。
以上のように、多層フィルムでは、合流部12から接続部14を通り排出口13に至るまでにおいて、層の厚み比が変動してしまうことがわかったが、各層は、流体であるため、合流部12、接続部14、テーパ17、リップ18中での各層の幅方向の厚み比分布の変動を定量的にシミュレーションすることは非常に困難である。
そこで、本発明者は、各層を準粘性流体であると仮定し、合流部12から排出口13にいたるまでにおいて、解析対象をメッシュ状に分割し、各メッシュ領域における力の釣り合いの変動をシミュレーションすることで、排出口13における層間の界面の位置を把握し、排出口13における多層フィルムの各層の流動速度分布を算出することとした。
界面の位置を求める方法として、Elasticity-Based法を使用し、力の釣り合いを考えることとした。Elasticity-Based法における力の釣り合いの式は、以下の式で示される。
Figure 2009113406
ここで、Eは弾性率、δ11からδ33は変位テンソルの各成分を示す。
合流部12から排出口13間において、式8を保存方程式とし、有限要素法により、合流部12直前における前記各層の流動速度分布と、設定したダイ1の形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象(多層フィルム)をメッシュ状に分割して合流部12から排出口13に至るまでに、力の釣り合いの変動をシミュレーションする。
ここで、合流部12から排出口13に至るまでのシミュレーションの概略を説明する。
図8、9に示すように、合流部12においては、分離していた各層が合流し、合体した不安定な状態となっているため、多層フィルム内で圧力分布が生じる。特に、層方向には大きな圧力分布が生じ、圧力が不均一となっている。そして、排出口13に向かって力の不均一を解消するように各層が流動するため、排出口13付近では、多層フィルム中の圧力の不均一性が低くなるが、必ずしも、圧力が均一になった状態で排出されるとは限らない。圧力が不均一な状態で多層フィルムが排出される場合には、多層フィルムの幅方向に、厚み比分布が生じることとなる。
図9は、合流部12から排出口13に至るまでの多層フィルムのメッシュ状に分割した状態を示している。領域A1は、合流部12で合流した直後の領域であり、この領域A1においては、圧力のバランスがとれていない(力F1,F2)。領域A1における圧力のバランスは、処理S3で算出した流動速度分布、合流部12の形状、各層の原料の供給速度等により求められる。領域A1に続く領域A2では、領域A1に比べれば、圧力の釣り合いがとれているものの、前述した式8に拘束されるため、力のバランスはとれていない状態となる。排出口13に向かって、徐々に圧力の不均一性は解消されていくこととなる。これにより、合流部12から排出口13に至るまでの流動速度分布の変動が算出され、ダイの排出口13での流動速度分布が算出されることとなる。
ここで、ダイの排出口13での流動速度分布から求められたダイの幅方向における体積流量(m/s)の分布は、図10に示すようになり、厚み比(層比)の分布は図11に示すようになる。ダイの排出口13での流動速度分布から求められたダイの幅方向における体積流量(m/s)の分布の算出方法は、処理S3と同様であり、式7を使用して算出される。
図10において(単独)としているのは、合流部12直前における各層の流量分布である。また、図10において(全体)としているのは、合流した状態における排出口13での流量分布である。また、図10、11の左側がダイの中央であり、右側がダイの端に該当し、図10,11の横軸の単位は図5と同じである。
<5.ずれ量が所定値以上であるかどうか判別する工程(処理S5)>
この工程では、処理S4で算出したダイの排出口13での厚み比の分布と、処理S1で取得した設計上の厚み比の分布とを比較し、ずれ量が所定値以上であるかどうかを判別する。
たとえば、多層フィルムの幅方向におけるずれ量が5%以上であるかどうかを判定する。(処理S4で求めた厚み比分布)−(設計上の厚み比)でずれ量の分布が算出される。
多層フィルムの幅方向におけるずれ量の分布がたとえば、0.2%未満である場合には、所望の多層フィルムが得られるダイであるため、ダイの設計を終了する。
一方、ずれ量が0.2%以上となる部分がある場合には、所望の厚み比分布の多層フィルムを得ることができないため、ダイの設計を再度行う。
具体的には、ずれ量に基づいてマニホールド11の流路の径を補正する(処理S6)。たとえば、ずれ量に基づいてマニホールド11の径を1.1倍する。
そして、補正したダイの形状に基づいて、ずれ量が0.2%未満となるまで、処理S3〜S5を繰り返す。
図12には、マニホールド11の径を補正した際の合流部12直前における各層の厚み比の分布を示す。
また、図13には、マニホールド11の径を補正した際の排出口13における体積流量(m/s)の分布を示す。図13において(単独)としているのは、合流部12直前における各層の体積流量分布である。また、図13において(全体)としているのは、合流した状態における排出口13での体積流量分布である。また、図12,13の左側がダイの中央であり、右側がダイの端に該当し、横軸の単位は図5と同じである。
さらに、図14に補正後における設計上の層比とのずれ量の分布を示す。また、図14には、ダイの初期形状(補正前)におけるずれ量の分布も示す。図14の左側がダイの中央であり、右側がダイの端に該当し、横軸の単位は図5と同じである。
以上のような工程は、図15に示すシステム3において、算出することができる。
このシステム3は、成形すべき多層フィルムの層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する取得部31と、ダイ1の形状を設定する形状設定部32と、形状設定部32で設定したダイ1の形状と各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、合流部12直前における前記各層の流動速度分布を算出する第一算出部33と、合流部12直前における前記各層の流動速度分布と、形状設定部32で設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とから、前記合流部12から前記ダイ1の排出口13に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイ1の排出口13での前記各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する第二算出部34と、この第二算出部34で算出した前記厚み比分布と、前記設計上の厚み比とのずれ量を検出し、前記ずれ量が所定値以上であるかどうか判別する判別部35と、前記判別部35でずれ量が所定値以上であると判別した場合に、前記ずれ量に基づいて、前記ダイ1の流路の形状を補正する補正部322と、判別部35でずれ量が所定値以上であると判別した場合に、形状設定部32で設定したダイ1の形状を確定形状として出力する出力部38とを備える。
具体的には、取得部31では、処理S1で前述した多層フィルムの成形条件を取得し、取得したデータを記憶部37に記憶する。
形状設定部32は、取得部31で取得した多層フィルムの成形条件と、記憶部37に記憶された式3とに基づいて、前述した処理S2を行う初期形状設定部321を有する。初期形状設定部321で設定されたダイ1の形状は記憶部37に記憶される。また、形状設定部32は補正部322を有する。
第一算出部33では、記憶部37に記憶されたダイ1の形状(形状設定部32で設定したダイの形状あるいは、補正部322にて補正したダイの形状)および成形条件に基づいて前述した処理S3を行う。記憶部37には式4、式4のパラメータ(αT、α、n、λ、η)、連続体力学に基づく支配方程式(連続の式、運動量保存の式、エネルギー保存の式)が記憶されており、第一算出部33では、連続体力学に基づく支配方程式(連続の式、運動量保存の式、エネルギー保存の式)と式4から求められる構成方程式より有限要素法を使用し処理S3を行う。第一算出部33で算出した流動速度分布は、記憶部37に記憶される。また、第一算出部33では、流動速度分布から、記憶部37にあらかじめ記憶されている式7を使用し、図5に示した流量分布も算出する。この流量分布も記憶部37に記憶される。さらに、第一算出部33において、処理S3で行ったように厚み比分布も算出し、厚み比分布は、記憶部37に記憶される。
第二算出部34では、第一算出部33での算出結果(流動速度分布)を初期値として、前述した処理S4を行う。第二算出部34は、記憶部37に記憶された処理S3の計算結果(流動速度分布)を読み出して、前述した処理S4を行う。具体的には、記憶部37に記憶された処理S3の計算結果を読み出して、記憶部37にあらかじめ記憶されている式8の保存方程式を満たすように繰り返し計算を行い、合流部12から前記ダイの排出口13に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、ダイの排出口13での前記各層の流動速度分布を算出する。また、流動速度分布から、図10に示したダイの幅方向における体積流量の分布および図11に示したダイの幅方向における厚み比分布を算出する。
第二算出部34で算出した流動速度分布、ダイの幅方向における体積流量の分布、厚み比分布は、記憶部37に記憶される。
なお、第二算出部34にて、記憶部37に記憶された処理S3の計算結果を読み出すとしたが、これに限らず、第一算出部33での算出結果を記憶部37に記憶させずに、第二算出部34にて直接取得し、第一算出部33での算出と、第二算出部34での算出とを連続的に行ってもよい。
判別部35では記憶部37に記憶された設計上の厚み比を読み出すとともに、この設計上の厚み比を前記第二算出部34で算出した厚み比分布とを比較し、前述した処理S5を行う。判別部35で第二算出部34で算出した厚み比分布と、前記設計上の厚み比とのずれ量を検出し、前記ずれ量が所定値以上であると判別した場合には、補正部322により、記憶部37に記憶されたダイの形状を読み出し、前述した処理S6を行う。補正部36で読み出すダイの形状は、直前に第一算出部33での算出、第二算出部34での算出に使用したダイの形状である。そして、補正部322により補正されたダイの形状は、記憶部37に記憶される。
一方、判別部35で第二算出部34で算出した厚み比分布と、前記設計上の厚み比とのずれ量を検出し、前記ずれ量が所定値未満であると判別した場合には、ダイの形状を確定形状として記憶部37に記憶するとともに、出力部38から出力する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
合流部12直前における各層の流動速度分布と、設定したダイ1の形状と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、合流部12からダイの排出口13に至るまでの各層の流動速度分布の変動を求め、ダイの排出口13での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出している。
これにより、合流部12からダイの排出口13に至るまでの流路中での層の流動速度分布(厚み比分布)の変動を考慮して、ダイの排出口13から排出される多層フィルムの層の幅方向における厚み比の分布を取得することができる。この取得した排出口13での多層フィルムの厚み比分布は正確なものとなるので、この取得した厚み比の分布に基づいて、ダイの流路の形状を補正することで、多層フィルムの層の幅方向における厚み比の分布が均一である多層フィルムを製造できるダイを設計することができる。
さらに、本実施形態では、合流部12から排出口13にいたるまでにおいて、有限要素法により、解析対象をメッシュ状に分割し、式8を保存方程式として合流部12から排出口13に至るまでに、力の不均衡がどのように解消されるかをシミュレーションしている。このようにシミュレーションすることで、排出口13での多層フィルムの厚み比分布は正確なものとすることができる。
また、本実施形態では、排出口13で排出された多層フィルムの厚み比分布と、設計上の厚み比分布とのずれ量が所定値以上である場合には、マニホールド11の径を補正している。マニホールド11の径を補正することで、確実に均一フィルムを得ることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、排出口13における多層フィルムの複数の層の幅方向における厚み比の分布と、設計上の複数の層の厚み比とのずれ量が所定値以上である場合には、マニホールドの径を調整したが、これに限らず、たとえば、ダイの流路に接続されたチョークバーの位置を調整してもよい。
さらに、前記実施形態では、ダイの形状を、Pearsonのモデル(式3)を使用して設定したが、これに限らず、たとえば、原料の物性値等に基づいて、既存のダイから最適なものを選択することでダイの形状を設定してもよい。
また、前記実施形態では、合流部12直前における各層の幅方向の厚み比の分布を算出する工程において、式4に所定のパラメータを代入した式を構成方程式として使用したが、これに限られるものではない。粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式であればよい。
本発明の一実施形態にかかるダイの断面図である。 図1のA−A方向の図である。 本発明の一実施形態にかかるダイの設計方法を示す図である。 内層、外層の粘度と剪断速度との関係を示す図である。 合流部直前の流量分布を示す図である。 合流部直前の複数の層の厚み比(層比)分布を示す図である。 多層フィルムにおける物質移動を模式的に示す図である。 合流部から排出口に至るまでにおける多層フィルムの圧力の不均一性の分布を示す図である。 合流部から排出口に至るまでにおける多層フィルムの圧力の不均一性の緩和を模式的に示す図である。 ダイの排出口での流量分布を示す図である。 ダイの排出口での厚み比(層比)分布を示す図である。 補正後の合流部直前における各層の厚み比の分布を示す図である。 補正後の排出口における流量分布を示す図である。 補正後における設計上の層比とのずれ量の分布を示す図である。 多層フィルムの設計システムを示す図である。 一つの層がマニホールドからランドにまで達する状態を模式的に示した図である。 合流部直前でのy軸方向(ランドの厚み方向)の流動速度分布を模式的に示した図である。
符号の説明
1 多層フィルム用ダイ
2 多層フィルム
3 システム
11 マニホールド
12 合流部
13 排出口
14 接続部
15 デルタ
16 ランド
17 テーパ
18 リップ
21 内層
22 外層
31 取得部
32 形状設定部
33 第一算出部
34 第二算出部
35 判別部
37 記憶部
38 出力部
321 初期形状設定部
322 補正部

Claims (8)

  1. 溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、
    前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、
    前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイの設計方法であって、
    成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程と、
    ダイの形状を設定する工程と、
    設定した前記ダイの形状と前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する工程と、
    前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程と、
    算出した前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布と、前記設計上の厚み比とのずれ量を検出し、前記ずれ量が所定値以上であるかどうかを判別する工程と、
    前記ずれ量が所定値以上であると判別した場合に、前記設定したダイの流路の形状を補正し、前記ずれ量が所定値未満であると判別した場合に、前記設定したダイの形状を設計したダイの形状として確定する工程とを含むダイの設計方法。
  2. 請求項1に記載のダイの設計方法において、
    前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する前記工程では、
    前記各層が準粘性流体であると仮定し、
    前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象である、前記合流部から前記排出口に至るまでの多層フィルムを、メッシュ状に分割し、各メッシュ領域における力の釣り合いを算出することで、前記各層の流動速度分布の変動を算出するダイの設計方法。
  3. 請求項2に記載のダイの設計方法において、
    前記ダイの排出口での複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する前記工程では、Elasticity-Based法における力の釣り合いの式である以下の式を保存方程式として使用するダイの設計方法。
    Figure 2009113406
    ここで、Eは弾性率、δ11からδ33は変位テンソルの各成分を示す。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のダイの設計方法において、
    前記排出口における多層フィルムの複数の層の幅方向における厚み比の分布と、前記設計上の複数の層の厚み比とのずれ量が所定値以上である場合には、設定した前記ダイの前記マニホールドの径を補正するダイの設計方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載のダイの設計方法において、
    前記排出口における多層フィルムの複数の層の幅方向における厚み比の分布と、前記設計上の複数の層の厚み比とのずれ量が所定値以上である場合には、ダイの流路に接続されたチョークバーの位置を調整することで、ダイの流路の形状を補正するダイの設計方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のダイの設計方法において、
    当該ダイは、前記マニホールドが3つ形成された3層の多層フィルムを形成するものであるダイの設計方法。
  7. 溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、
    前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、
    前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイを使用した多層フィルムの成形シミュレーション方法であって、
    成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する工程と、
    ダイの形状を設定する工程と、
    設定した前記ダイの形状と前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する工程と、
    前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、設定した前記ダイの形状と、前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する工程とを含む多層フィルムの成形シミュレーション方法。
  8. 溶融樹脂を含む原料が導入される複数のマニホールドと、
    前記各マニホールドから排出された原料を合流させて積層する合流部と、
    前記合流部で合流し、積層した原料を多層フィルムとして排出する排出口とを含む前記原料の流路が形成された多層フィルム用ダイを使用した多層フィルムの成形シミュレーションシステムであって、
    成形すべき前記多層フィルムの複数の層の設計上の厚み比と、各層の原料の単位時間あたりの供給量とを含む多層フィルムの成形条件を取得する取得部と、
    ダイの形状を設定する形状設定部と、
    前記形状設定部で設定した前記ダイの形状と、前記取得部で取得した前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象に対し、各層の粘度と剪断速度と温度との関係を示す構成方程式を用いて、前記合流部直前における前記各層の流動速度分布を算出する第一算出部と、
    前記第一算出部で算出した前記合流部直前における前記各層の流動速度分布と、前記形状設定部で設定した前記ダイの形状と、前記取得部で取得した前記各層の原料の単位時間あたりの供給量とで規定される解析対象から、前記合流部から前記ダイの排出口に至るまでの前記各層の流動速度分布の変動を求め、前記ダイの排出口での前記各層の流動速度分布を算出し、複数の層の幅方向における厚み比の分布を算出する第二算出部とを含む多層フィルムの成形シミュレーションシステム。
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