JP2009107609A - エアロゾル物質散布のための旅客用航空機、エアロゾル物質散布用システム、およびエアロゾル物質散布方法 - Google Patents

エアロゾル物質散布のための旅客用航空機、エアロゾル物質散布用システム、およびエアロゾル物質散布方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効果的に地球温暖化を防止するために対流圏界面または成層圏から大量のエアロゾル物質を低コストで散布する旅客用航空機、エアロゾル物質散布情報収集システム、エアロゾル物質搭載量算出システム、前記旅客用飛行機の製造方法、およびエアロゾル物質散布方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、旅客が搭乗する旅客室2、貨物が搭載される貨物庫3、前記貨物庫内に設けられ対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布される物質が搭載される体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間4、および、該エアロゾル物質搭載空間と連通し前記エアロゾル物質を散布する散布口6を有する散布管5を備えたものであることを特徴とする旅客用航空機。旅客用航空機1により、北半球または南半球の緯度0−25度さらには緯度10−15度における対流圏境界または成層圏から前記エアロゾル物質を前記散布口から散布することを特徴とするエアロゾル物質散布方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、地球温暖化防止のために対流圏界面または成層圏からエアロゾル物質を散布する航空機、エアロゾル物質散布情報収集システム、エアロゾル物質搭載量算出システム、エアロゾル物質散布のための旅客用飛行機の製造方法およびエアロゾル物質散布方法に関する。
火山灰または砂漠の土砂等のうち微細な灰・土砂等のエアロゾル物質を大気中に散布し、エアロゾル濃度を上げ気温を低下させて、高濃度エアロゾル気団を設けて気流を変え、気象を制御することができること、さらに、前記エアロゾル物質散布をジャンボ飛行機等の航空機で行うことができることが開示されている(特許文献1)。
しかし、前記エアロゾル物質散布専用の前記ジャンボ飛行機等の航空機を別途製造したり、既存の航空機の全部又は一部を改造して前記エアロゾル物質搭載専用の空間を設けたりして、前記エアロゾル物質の散布を行うことは非常に高コストである。
また、一般に、航空機は、航空機の機種ごとに定められたその機種が離陸することができる総重量の最大値である最大離陸重量未満の重量であって、その時々の飛行条件によって規定される運用上の最大重量である最大許容離陸重量以下の重量となるように人が搭乗し貨物等が搭載されて離陸する。
そして、旅客用航空機の多くが、定期便として対流圏界面または成層圏を飛行しており、その時々において搭乗する旅客および搭載される貨物の量が異なるため、その旅客室および貨物庫は、必ずしも1回の飛行において、コストパフォーマンスが最大となる最大許容離陸重量まで、旅客が搭乗し貨物が搭載されるわけではない。
また、近年では、亜熱帯高気圧帯下の陸地に存在する砂漠が広がり、温室効果ガスである二酸化炭素の大気中濃度の増大に拍車をかけ、地球の急速な温暖化に拍車をかけている。
さらにまた、熱帯低気圧(台風又はハリケーン)の異常な発達が人類にもたらす負担を増大させている。
特開平05−323042号公報
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、効果的に地球温暖化を防止するために対流圏界面または成層圏から大量のエアロゾル物質を低コストで散布する旅客用航空機、エアロゾル物質散布情報収集システム、エアロゾル物質搭載量算出システム、エアロゾル物質散布のための旅客用飛行機の製造方法、およびエアロゾル物質散布方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも、旅客が搭乗する旅客室、貨物が搭載される貨物庫、前記貨物庫内に設けられ対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布される物質が搭載される体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間、および、該エアロゾル物質搭載空間と連通し前記エアロゾル物質を散布する散布口を有する散布管を備えたものであることを特徴とする旅客用航空機が提供される(請求項1)。
このように、旅客用航空機の貨物庫内に体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間を設けることにより、エアロゾルとして散布する大量のエアロゾル物質を低コストで搭載し、対流圏界面または成層圏から散布することができ、効果的に地球温暖化を防止することができる。
このとき、前記エアロゾル物質搭載空間は、前記貨物庫内においてスライド可能な仕切り、および、前記貨物庫の外壁により囲繞されたものであることが好ましい(請求項2)。
これにより、前記仕切りをスライドすることによって前記エアロゾル物質搭載空間の体積を容易に制御することができ、前記貨物庫に搭載される貨物の量に応じて、前記エアロゾル物質の搭載量を容易に制御することができる。そのため、さらに低コストで大量のエアロゾル物質を搭載し散布することができる。
また、前記エアロゾル物質搭載空間は、密閉可能なものであることが好ましい(請求項3)。
これにより、前記エアロゾル物質搭載空間に搭載された前記エアロゾル物質の、前記貨物庫内の前記エアロゾル物質搭載空間以外の空間への拡散を防止することができる。さらに、前記エアロゾル物質の散布による前記貨物庫内の気圧変化の影響を、前記貨物庫内の前記エアロゾル物質搭載空間以外の空間から容易に遮断することができ、前記貨物庫内に搭載された前記エアロゾル物質以外の貨物を安全に運搬することができる。
さらに、前記旅客用航空機は、さらに、少なくとも内部が前記エアロゾル物質搭載空間である袋状または箱状の容器を備えたものであることが好ましい(請求項4)。
これにより、袋状または箱状の容器内に前記エアゾロル物質を詰め込み、前記貨物庫内に搭載して、前記エアロゾル物質を詰め込んだ容器内部を前記散布管と容易に連通させることができる。
また、前記旅客用飛行機は、さらに、前記エアロゾル物質搭載空間または前記貨物庫内の気圧調整手段を備えたものであることが好ましい(請求項5)。
これにより、気圧調整手段により前記エアロゾル物質搭載空間または前記貨物庫内の気圧を制御しつつ、エアロゾル物質を散布することができる。そのため、さらに低コストで大量のエアロゾル物質を搭載し安全に散布することができる。
また、本発明によれば、前記旅客用航空機による前記エアロゾル物質散布の記録情報を収集することを特徴とするエアロゾル物質散布情報収集システムが提供される(請求項6)。
これにより、収集されたエアロゾル物質散布情報を今後の低コストで効果的なエアロゾル物質散布に役立てることができる。
また、本発明によれば、前記旅客用航空機に搭載する前記エアロゾル物質の搭載量を、少なくとも、次の着陸地で降りる前記搭乗旅客および前記次の着陸地で搭降される前記搭載貨物の量、ならびに前記搭載する前記エアロゾル物質の散布予定時間により算出することを特徴とするエアロゾル物質搭載量算出システムが提供される(請求項7)。
このように、前記エアロゾル物質の搭載量をその時々の飛行において搭乗する旅客および搭載される貨物の量ならびに前記エアロゾル物質散布予定時間により算出することにより、容易に、コストパフォーマンスが最大となる最大許容離陸重量まで前記エアロゾル物質を搭載することができる。その結果、さらに低コストで大量のエアロゾル物質を散布することができる。
このとき、前記搭載する前記エアロゾル物質の搭載量の算出を、さらに、前記エアロゾル物質散布情報収集システムにより収集された前記記録情報に応じて行うことが好ましい(請求項8)。
これにより、所定期間における前記エアロゾル物質の総散布量を精密に制御することができる。
また、本発明によれば、前記旅客用飛行機を、既存の旅客用飛行機を改造することによって製造することを特徴とする旅客用飛行機の製造方法が提供される(請求項9)。
このように、既存の旅客用飛行機を改造することにより前記旅客用飛行機を製造することによって、低コストで本発明のエアロゾル物質散布のための旅客用航空機を製造することができる。
さらに、本発明によれば、前記旅客用航空機により、北半球または南半球の緯度0−25度さらには緯度10−15度における対流圏境界または成層圏から前記エアロゾル物質を前記散布口から散布することを特徴とするエアロゾル物質散布方法が提供される(請求項10)。
これにより、太陽光の直射による地球温暖化効果が大きい熱帯から亜熱帯地域において、高濃度エアロゾル気団を形成することができ、効果的な日照の抑制を通じて気温の低下を誘導し、より効果的に地球温暖化を防止することができる。さらに、ハドレー循環の中で高濃度エアロゾル気団を形成することができるので、亜熱帯高気圧帯の気圧を部分的に抑制して低気圧を誘導することができ、砂漠化の進行する地球に湿潤な気候をもたらすことができる。
このとき、前記エアロゾル物質散布を、さらに、海上の上空で行うことが好ましい(請求項11)。
これにより、海上は水蒸気量が多いのでエアロゾルによる雲(積乱雲)の誘導を通じてより効果的に日照を抑制して気温を低下させることができる。これによりさらに、前記亜熱帯高気圧帯の部分的抑制を効果的に行うこともできる。
このとき、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に南半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に北半球において行うことができる(請求項12)。
前記亜熱帯高気圧帯の気圧を部分的に抑制しつつ誘導された低気圧は、ロスビー波(またはプラネタリー波)の発生を通じてさらに高緯度側にブロッキング高気圧の発生を誘導して極渦の気流を抑制する。従って、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に南半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に北半球において行うことにより、極圏上空の冬季の気温低下より発達するオゾンホールを大幅に抑制することができ、オゾンホールの大幅な抑制を通じて地球全体として破壊されるオゾン層の総量を大幅に減少させることができる。
また、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に北半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に南半球において行うことができる(請求項13)。
これにより、熱帯から亜熱帯地域において太陽光の直射により上昇する海面温度を高濃度エアロゾル気団の日傘効果により抑制して、台風等の熱帯的気圧の発生を抑制することができ、地球に穏やかな気候をもたらすことができる。
さらに、前記エアロゾル物質として、硫黄を散布することが好ましい(請求項14)。
これにより、対流圏界面または成層圏に散布された硫黄はオゾンや太陽光により酸化されることにより、成層圏において高濃度に存在して高い日照抑制効果を発揮していることが知られている硫酸エアロゾルを増やすことができ、より効果的に地球温暖化を防止することが可能となる。
このように、本発明により、地球の砂漠化および異常な熱帯低気圧の発達による異常気象ならびにオゾン層の破壊を抑制しつつ、対流圏界面または成層圏から大量のエアロゾル物質を低コストで散布することができ、効果的に地球温暖化を防止することが可能となった。
最近、地球温暖化が大きな問題となっており、その防止策の一つとして大気中へのエアロゾルの大量散布方法が挙げられているが、地球の気候やオゾン層の破壊に与える影響が懸念されるとして、その具体的方法はほとんど研究されていない。
また、気象制御の研究は、その必要性や費用、科学的理解などの問題から、うまく進んでいない。
一方で、1991年のピナツボ山の噴火は、20世紀最大の噴火として知られ、地球の成層圏に大量のエアロゾルをもたらし、その日傘効果により地球全体の平均気温を数年にわたり0.5℃程度低下させ、噴火と同時に大量の温室効果ガスである二酸化炭素が噴出されたにも拘わらず、大気中の二酸化炭素量の増加が大幅に抑制されたことが知られている。
これは、エアロゾルの日傘効果によって海水面の温度が低下し、大気中の二酸化炭素が海水に溶解したためであることが、ヘンリーの法則から明らかである。
さらに、このピナツボ山の噴火から数年の間を除いて、地球温暖化により海水の温度が上昇することによって、海水に溶解している炭酸成分がヘンリーの法則により大気中へ放出されて、二酸化炭素の大気中での濃度の上昇に拍車がかかり、これによって地球温暖化がさらに急激なものになっている。
しかしながら、ピナツボ山の噴火および海水面におけるヘンリーの法則の知見から二酸化炭素濃度の大気温度に対する依存性の方が、大気温度の二酸化炭素濃度に対する依存性よりもはるかに大きいことが明らかであるにもかかわらず、最近の世間一般においては、人類の経済活動の発達に反して石油燃焼等を抑制しようとしたり、地球温暖化により発達する亜熱帯高気圧により進行する砂漠化に対抗すべく植林しようとしたりして、二酸化炭素の放出抑制や固定を試みるという、地球温暖化防止に対してあまり効果的ではないと思われる方法ばかりが多く進められている。
そこで、本発明者は、ピナツボ山の噴火の知見から、大気中へのエアロゾルの大量散布を行うことにより地球を強制冷却し、大気中の二酸化炭素を海水に溶解または森林への再固定へ導くのが最も効果的な地球温暖化防止策であると考えて、具体的な散布手段および散布方法を鋭意研究し、エアロゾルの大量散布と同時に、従来エアロゾルの大量散布で懸念されている気候変動を逆に良好な方向へ変動させ、また従来エアロゾルの大量散布で懸念されているオゾン層の破壊を逆に強力に防止することができる散布方法に想到した。
具体的には、本発明者は、少なくとも、旅客が搭乗する旅客室と貨物が搭載される貨物庫を有する旅客用航空機であって、前記貨物庫内には前記旅客用航空機が対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布される物質が搭載されるエアロゾル物質搭載空間が設けられ、該エアロゾル物質搭載空間と連通する前記エアロゾル物質を散布するための散布管および散布口を備える旅客用航空機によって、北半球または南半球の緯度0−25度さらには緯度10−15度における対流圏境界または成層圏から前記エアロゾル物質を前記散布口から散布することにより、地球の砂漠化および異常な熱帯低気圧の発達による異常気象ならびにオゾン層の破壊を抑制しつつ、対流圏界面または成層圏から大量のエアロゾル物質を低コストで散布することができ、効果的に地球温暖化を防止することができることに想到し、本発明を完成させた。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1−3は、本発明の旅客用航空機の概略断面図である。
本発明の旅客用航空機1は、少なくとも、旅客が搭乗する旅客室2、貨物が搭載される貨物庫3、前記貨物庫内に設けられ対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布される物質が搭載される体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間4、および、該エアロゾル物質搭載空間と連通し前記エアロゾル物質を散布する散布口6を有する散布管5を備えたものである。
このように、旅客用航空機1の貨物庫3内に体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間4を設けることにより、エアロゾルとして散布する大量のエアロゾル物質を低コストで搭載し、対流圏界面または成層圏から散布することができ、効果的に地球温暖化を防止することができる。
旅客用航空機1は、少なくとも、旅客室2、貨物庫3、散布管5、および散布口6に加えて、胴体、主翼、尾翼、エンジン、および降着装置等の離陸、飛行、および着陸に必要なものを備えていればよい。また、旅客室2は、旅客が搭乗して着席する通常の座席等を備えた一般的な旅客用航空機の客室であればよい。
貨物庫3は、その中に、貨物が搭載されるとともに、旅客用航空機1が対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布するエアロゾル物質を搭載できる体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間4を有する。
エアロゾル物質搭載空間4は、図1または図2のように、前記貨物庫内においてスライド可能な仕切り8、および、貨物庫3の外壁により囲繞されたものであることが好ましい。これにより、前記仕切り8をスライドすることによってエアロゾル物質搭載空間4の体積を容易に制御することができ、前記貨物庫に搭載される貨物の量に応じて、前記エアロゾル物質の搭載量を容易に制御することができる。
また、エアロゾル搭載空間4は、エアロゾル物質を搭載して散布するための機能を有する空間であり、その体積変更が可能なものである。従って、エアロゾル搭載空間4の体積変更は、上記のように仕切り8をスライドすることにより行うのみならず、図3のようにエアロゾル搭載空間4を袋状または箱状の容器7により囲繞されたものとして、袋状または箱状の容器7を脱着または伸縮させることによっても行うことができる。
また、エアロゾル物質搭載空間4は、密閉可能なものであることが好ましい。これにより、エアロゾル物質搭載空間4に搭載された前記エアロゾル物質の、貨物庫3内のエアロゾル物質搭載空間4以外の空間への拡散を防止することができる。さらに、エアロゾル物質の散布による貨物庫3内の気圧変化の影響を、貨物庫3内のエアロゾル物質搭載空間4以外の空間から容易に遮断することができ、貨物庫3内に搭載された前記エアロゾル物質以外の貨物を安全に運搬することができる。
さらに具体的には、例えば、仕切り8または袋状もしくは箱状の容器7を密閉可能なもので構成ことによって、容易に、前記エアロゾル物質搭載空間を密閉可能なものとすることができる。
さらに、旅客用航空機1は、さらに、少なくとも内部がエアロゾル物質搭載空間4である袋状または箱状の容器を備えたものであることが好ましい。
これにより、袋状または箱状の容器7内に前記エアゾロル物質を詰め込み、貨物庫3内に搭載して、前記エアロゾル物質を詰め込んだ容器内部を前記散布管5と容易に連通させることができる。そのため、さらに低コストで大量のエアロゾル物質を搭載し散布することができる。
袋状の容器として、例えば巨大な砂袋、箱状の容器として、例えば巨大なスプレー缶を使用することができる。
また、旅客用飛行機1は、さらに、エアロゾル物質搭載空間4または前記貨物庫3内の気圧調整手段を備えたものであることが好ましい。これにより、気圧調整手段によりエアロゾル物質搭載空間4または貨物庫3内の気圧を制御しつつ、エアロゾル物質を散布することができる。そのため、さらに低コストで大量のエアロゾル物質を搭載し安全に散布することができる。
気圧調整手段は、エアロゾル物質散布に伴うエアロゾル物質搭載空間4または貨物庫3内の気圧低下を調整し、貨物庫3内の搭載貨物や旅客用航空機1の他の機能への悪影響を抑えるものである。従って例えば、気圧調整手段には、あらかじめ用意した圧縮気体(圧縮空気等)により、エアロゾル物質搭載空間4または貨物庫3内の気圧低下を補う手段や、旅客用航空機1の外部とエアロゾル物質搭載空間4または貨物庫3を通気させることにより前記気圧低下を調整する手段が含まれる。
なお、エアロゾル物質散布中において、スライド可能な仕切り8または袋状あるいは箱状の容器7により、エアロゾル物質搭載空間4が固定されている場合は、エアロゾル物質搭載空間の気圧調整のみで足りるが、固定されていない場合は、エアロゾル物質搭載空間4以外の貨物庫3内の空間の気圧調整も必要となる。
散布管6は、エアロゾル物質搭載空間4と連通し、前記エアロゾル物質を散布する散布口5を有する。散布管6は、散布調整の必要に応じて、さらに、弁やノズル、弁やノズルの開閉を調整する散布調整手段を有する。
このようなエアロゾル物質散布のための旅客用航空機1は、新しい旅客用航空機を製造する際に、上記のようなエアロゾル物質散布が可能な構造を設けることにより製造することができるが、既存の旅客用飛行機を改造することによって低コストで製造することができる。
また、本発明によれば、上記のような旅客用航空機1による前記エアロゾル物質散布の記録情報を収集することを特徴とするエアロゾル物質散布情報収集システムが提供される。
これにより、収集されたエアロゾル物質散布情報を今後の低コストで効果的なエアロゾル物質散布に役立てることができる。
また、本発明によれば、旅客用航空機1に搭載する前記エアロゾル物質の搭載量を、少なくとも、次の着陸地で降りる前記搭乗旅客および前記次の着陸地で搭降される前記搭載貨物の量、ならびに前記搭載する前記エアロゾル物質の散布予定時間により算出するものであるエアロゾル物質搭載量算出システムが提供される。
このように、前記エアロゾル物質の搭載量をその時々の飛行において搭乗する旅客および搭載される貨物の量ならびに前記エアロゾル物質散布予定時間により算出することにより、容易に、コストパフォーマンスが最大となる最大許容離陸重量まで前記エアロゾル物質を搭載することができる。
このとき、前記搭載する前記エアロゾル物質の搭載量の算出を、さらに、前記エアロゾル物質散布情報収集システムにより収集された前記記録情報に応じて行うことが好ましい。これにより、所定期間における前記エアロゾル物質の総散布量を精密に制御することができる。
また、本発明者は、2002年の南極のオゾンホールの拡大が抑制された原因が、2002年8月のパプアニューギニア・西ニューブリテン州ホスキンスのパゴ山の噴火にあると考えた。
具体的には、パゴ山噴火によりオーストラリア北東のハドレー循環において局所的に多量のエアロゾルがもたらされ、2002年9月には、亜熱帯高気圧帯の気圧の部分的な抑制により積乱雲の異常発生に見られる低気圧が誘導され、さらに高緯度側にブロッキング高気圧が誘導され、極渦の気流が抑制されたことにより、南極では例年10月に最大となるオゾンホールの拡大が抑制されたと考えた。そこで、本発明者は、亜熱帯高気圧帯下で進行しつつある砂漠化も考慮しつつ、さらに以下のような本発明のエアロゾル物質散布方法に想到した。
本発明によれば、上記の旅客用航空機1により、北半球または南半球の緯度0−25度さらには緯度10−15度における対流圏境界または成層圏から前記エアロゾル物質を前記散布口から散布することを特徴とするエアロゾル物質散布方法が提供される。
これにより、太陽光の直射による地球温暖化効果が大きい熱帯から亜熱帯地域において、高濃度エアロゾル気団を形成することができ、効果的な日照の抑制を通じて気温の低下を誘導し、より効果的に地球温暖化を防止することができる。
さらに、ハドレー循環の中で高濃度エアロゾル気団を形成することができるので、亜熱帯高気圧帯の気圧を部分的に抑制して低気圧を誘導することができ、砂漠化の進行する地球に湿潤な気候をもたらすことができる。
このとき、前記エアロゾル物質散布を、さらに、海上の上空で行うことが好ましい。
これにより、海上は水蒸気量が多いのでエアロゾルによる雲(積乱雲)の誘導を通じてより効果的に日照を抑制して気温を低下させることができる。これによりさらに、前記亜熱帯高気圧帯の部分的抑制を効果的に行うこともできる。
このとき、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に南半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に北半球において行うことができる。
前記亜熱帯高気圧帯の気圧を部分的に抑制しつつ誘導された低気圧は、ロスビー波(またはプラネタリー波)の発生を通じてさらに高緯度側にブロッキング高気圧の発生を誘導して極渦の気流を抑制する。従って、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に南半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に北半球において行うことにより、極圏上空の冬季の気温低下より発達するオゾンホールを大幅に抑制することができ、オゾンホールの大幅な抑制を通じて地球全体として破壊されるオゾン層の総量を大幅に減少させることができる。
また、前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に北半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に南半球において行うことができる。
これにより、熱帯から亜熱帯地域において太陽光の直射により上昇する海面温度を高濃度エアロゾル気団の日傘効果により抑制して、台風等の熱帯的気圧の発生を抑制することができ、地球に穏やかな気候をもたらすことができる。
さらに、前記エアロゾル物質として、硫黄を散布することが好ましい。
これにより、対流圏界面または成層圏に散布された硫黄はオゾンや太陽光により酸化されることにより、成層圏において高濃度に存在して高い日照抑制効果を発揮していることが知られている硫酸エアロゾルを増やすことができ、より効果的に地球温暖化を防止することが可能となる。
以上に説明したように、本発明により、地球の砂漠化および異常な熱帯低気圧の発達による異常気象ならびにオゾン層の破壊を抑制しつつ、対流圏界面または成層圏から大量のエアロゾル物質を低コストで散布することができ、効果的に地球温暖化を防止することが可能となった。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ボーイング747等の大型の旅客用航空機を、本発明の旅客用航空機1に改造することにより、数十〜百数十mのエアロゾル物質搭載空間4を確保することができ、数十〜百数十トンのエアロゾル物質を搭載することができるものとなる。従って、1回のフライトによって、例えば1.5g/cmの砂または2.0g/cmの硫黄を数十〜百数十トン散布することが可能となる。
これにより、本発明の旅客用航空機1を1日当たり数十回フライトさせることにより、温暖化抑制に必要とされる1日当たり数千トンのエアロゾル物質散布を低コストで実現することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、本実施例において、上部に客室を備え、下部に貨物庫を備えた旅客用航空機について説明したが、これに限定されず、上部に貨物庫を備えたものであってもよい。
本発明の旅客用航空機の一例の概略断面図である。 本発明の旅客用航空機の他の例の概略断面図である。 本発明の旅客用航空機の他の例の概略断面図である。
符号の説明
1…旅客用航空機、 2…旅客室、 3…貨物庫、 4…エアロゾル物質搭載空間、 5…散布管、 6…散布口、 7…袋状または箱状の容器 8…仕切り。

Claims (14)

  1. 少なくとも、旅客が搭乗する旅客室、貨物が搭載される貨物庫、前記貨物庫内に設けられ対流圏界面または成層圏を飛行中にエアロゾルとして散布される物質が搭載される体積変更が可能な空間であるエアロゾル物質搭載空間、および、該エアロゾル物質搭載空間と連通し前記エアロゾル物質を散布する散布口を有する散布管を備えたものであることを特徴とする旅客用航空機。
  2. 前記エアロゾル物質搭載空間は、前記貨物庫内においてスライド可能な仕切り、および、前記貨物庫の外壁により囲繞されたものであることを特徴とする請求項1に記載の旅客用航空機。
  3. 前記エアロゾル物質搭載空間は、密閉可能なものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の旅客用飛行機。
  4. 前記旅客用航空機は、さらに、少なくとも内部が前記エアロゾル物質搭載空間である袋状または箱状の容器を備えたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の旅客用航空機。
  5. 前記旅客用飛行機は、さらに、前記エアロゾル物質搭載空間または前記貨物庫内の気圧調整手段を備えたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の旅客用航空機。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の旅客用航空機による前記エアロゾル物質散布の記録情報を収集するものであることを特徴とするエアロゾル物質散布情報収集システム。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の旅客用航空機に搭載される前記エアロゾル物質の搭載量を、少なくとも、次の着陸地で降りる前記搭乗旅客および前記次の着陸地で搭降される前記搭載貨物の量、ならびに前記搭載される前記エアロゾル物質の散布予定時間により算出するものであることを特徴とするエアロゾル物質搭載量算出システム。
  8. 前記搭載される前記エアロゾル物質の搭載量の算出を、さらに、請求項6に記載のエアロゾル物質散布情報収集システムにより収集された前記記録情報に応じて行うものであることを特徴とする請求項7に記載のエアロゾル物質搭載量算出システム。
  9. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の旅客用飛行機を、既存の旅客用飛行機を改造することによって製造することを特徴とする旅客用飛行機の製造方法。
  10. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の旅客用航空機により、北半球または南半球の緯度0−25度さらには緯度10−15度における対流圏境界または成層圏から前記エアロゾル物質を前記散布口から散布することを特徴とするエアロゾル物質散布方法。
  11. 前記エアロゾル物質散布を、さらに、海上の上空で行うことを特徴とする請求項10に記載のエアロゾル物質散布方法。
  12. 前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に南半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に北半球において行うことを特徴とする請求項9に記載のエアロゾル物質散布方法。
  13. 前記エアロゾル物質散布を、さらに、5月−10月さらには7月−9月に北半球において行い、および/または、11月―4月さらには1−3月に南半球において行うことを特徴とする請求項9に記載のエアロゾル物質散布方法。
  14. 前記エアロゾル物質として、硫黄を散布することを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル物質散布方法。
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