JP2009092447A - 温度計 - Google Patents

温度計 Download PDF

Info

Publication number
JP2009092447A
JP2009092447A JP2007261608A JP2007261608A JP2009092447A JP 2009092447 A JP2009092447 A JP 2009092447A JP 2007261608 A JP2007261608 A JP 2007261608A JP 2007261608 A JP2007261608 A JP 2007261608A JP 2009092447 A JP2009092447 A JP 2009092447A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resistor
temperature
current
phase difference
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007261608A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Katsura
誠 桂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2007261608A priority Critical patent/JP2009092447A/ja
Publication of JP2009092447A publication Critical patent/JP2009092447A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arrangements For Transmission Of Measured Signals (AREA)

Abstract

【課題】抵抗体の電圧と電流の位相差を高精度で計算することにより、高精度な温度測定が可能な温度計を提供する。
【解決手段】まず、金属製の抵抗体と、一定周波数の正弦波信号を表すデジタル信号Aに基づいて上記抵抗体に交流電圧信号を印加するDA変換器と、上記抵抗体に発生した電流を電圧値に変換する電流センサとを設ける。次に、上記電流センサの電圧値をデジタル信号Bに変換するための、上記DA変換器とサンプリングクロックを共有するAD変換器を設ける。次に、上記デジタル信号Aとデジタル信号Bの位相差をフーリエ解析により計算し、この位相差に基づいて上記抵抗体の温度を算出する温度算出手段を設ける。これにより、抵抗体の電圧と電流の位相差を高精度で計算することができ、結果として高精度な温度測定が可能な温度計を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属製の抵抗体の抵抗値が温度依存性を持つ事を利用した温度計に関する。
従来から、金属製の抵抗体を測温体として用いた温度計が高精度温度計として広く用いられている。この温度計の原理は以下の通りである。
まず、温度を測定する対象物にこの抵抗体を接触させ、熱平衡状態にしておく。そして、金属の抵抗が温度に依存することから、金属製の抵抗体に一定電流を流し、これに発生した電圧を測定し、この電圧と電流との大きさの比を求めれば、この抵抗体の抵抗値を知ることができる。すると、上述した抵抗の温度への依存性に基づいて、この抵抗体の温度を知ることができるのである。
この依存性は勿論金属の種類によって異なるが、特に白金はこの依存性がほぼ線形になるので、測温体として用いられることが多い。
ところで、白金の抵抗の温度係数(温度変化についての比率)は3.9×10-3/℃である。このため、例えば0.01℃の精度で温度を測定しようとすると、0.01×3.9×10-3=3.9×10-5の精度で、測温体の抵抗値を測定してやる必要がある。
電流値と電圧値から直接この精度で抵抗値を測定するのは困難なので、通常は高精度に抵抗値が既知な基準抵抗器を用い、様々な回路構成によって、基準抵抗器の抵抗値との比として測温体の抵抗値を求めている。しかし、基準抵抗器の抵抗値も温度依存性を持つため、環境変動によって計測値に誤差が生じてしまう。
そこで、上記とは別の原理によって温度による抵抗値の変化を測定する温度計が、下記の特許文献1に開示されている。これは、サーミスタと呼ばれる半導体製の抵抗体に印加した電圧と、この抵抗体に発生した電流の位相差に基づいて、この抵抗体の温度を測定するという原理に立つ温度計である。上記位相差も温度依存性を持つため、位相差を知ることができれば温度を測定することができるのである。
特開平3−77036号公報
ところが、サーミスタは金属と比較すると抵抗の温度係数が10倍程度大きいが、その変化は非線形なので、実用的に温度測定できる温度範囲が狭い。また、サーミスタは抵抗値が大きいため、発熱量も多くなり、測定対象の温度を変えてしまう。このような事情のため、上記特許文献1の温度計は高精度温度計として使用することが困難であって、抵抗体としてはサーミスタでなくやはり金属を用いるのが好ましいといえる。
しかし、上記特許文献1の技術を、金属製測温体を用いた温度計に応用するには、次のような問題点がある。
まず、この技術では、電流と電圧の位相差を作るためにサーミスタを挟んだ導体間の静電容量によるリアクタンスを利用している。しかし、金属製測温体の場合には抵抗率が低いために同じ方法で有効なリアクタンスを得る事ができない。
さらに、電圧と電流とを、ゼロポイントを検出してその時間差から位相を計算しているが、このような方法では雑音電圧の影響を受けやすいいために位相の精度が悪く、金属製測温抵抗体を用いた温度計に要求されている精度に応えることができない。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、表皮効果に伴うリアクタンスに起因する抵抗体の電圧と電流の位相差をフーリエ解析によって測定することにより、高精度な温度測定ができる安価な温度計を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明では次のような手段を採用している。
まず、金属製の抵抗体と、一定周波数の正弦波信号を表すデジタル信号Aに基づいて上記抵抗体に交流電圧信号を印加するDA変換器と、この抵抗体に発生した電流を電圧値に変換する電流センサとを設ける。このとき正弦波の周波数fと金属の抵抗率ρ、及び上記抵抗体の表皮効果による表皮厚さδには、後述の数式9の関係がある。
次に、上記電流センサの電圧値をデジタル信号Bに変換するための、上記DA変換器とサンプリングクロックを共有するAD変換器を設ける。
次に、上記デジタル信号Aとデジタル信号Bの位相差φを、フーリエ解析により計算し、この位相差φに基づいて上記抵抗体の温度Tを算出する温度算出手段を設ける。
即ち、フーリエ解析により得られた上記位相差φから抵抗体の電圧と電流の位相差θを高精度で計算することができ、このとき、この位相差θと上記表皮厚さδには、後述の数式10及び数式11の関係がある。従って、位相差θを高精度に求めることにより表皮厚さδを知ることができ、この表皮厚さδと上記周波数fとからこの抵抗体の抵抗率ρを求めることができる。そして、抵抗体(金属)の抵抗率ρと温度Tとの間には上述の依存関係があるので、結果として高精度な温度測定が可能な温度計を提供することができるのである。
以上のように、本発明によれば、基準抵抗器を用いることなく抵抗体の電圧と電流の位相差として抵抗率の温度変化を計測することができる。一般的に基準抵抗器よりもサンプリングクロックの方が容易に高精度なものが入手でき、このサンプリングクロックによってフーリエ解析することで、上記位相差を正確に求めることができる。また内部電流を計測する事により計測すべき位相の温度依存性を大きくすることができる。このため、簡便な装置で高精度な温度測定が可能な温度計を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の温度計の全体構成図である。
まず、コンピュータ10のプログラムにより、一定周波数fの正弦波信号を表す数値データファイルを作成し、これを元にデジタル電圧信号Aを発生させ、DA変換器11に発信する。DA変換器11は、この正弦波信号をアナログの電圧信号Vaに変換する。増幅器12は、この電圧信号Vaを元に電流Iaを発生して、センサ20へ印加する。
この電流Iaがセンサ20内のトランス21(以下に説明するように、励磁コイルと磁性体と抵抗体で構成されるトランス)を通ることによって金属製の抵抗体(測温体)22に電圧を生じる。その結果、金属製の抵抗体22に電流が発生する。この電流の全部または一部が電流センサ23によりアナログの電圧信号Vbに変換され、AD 変換器15に入力されて、デジタル信号Bに変換される。
本発明の温度計は、上記デジタル信号A(電圧の信号)とデジタル信号B(電流の信号)との位相差φをフーリエ解析により計算し、この位相差φに基づいて上記抵抗体の温度Tを算出する温度算出手段16を、コンピュータ10に内蔵されたプログラムとして備えている。
本発明の本質は、上記トランス作用によって抵抗体22に発生する電圧と、それに基づく電流との位相差θを求めることにより、当該抵抗体22の温度を知ることにある。しかし、上記位相差φは増幅器12による位相変化とトランス21による位相変化(励磁コイルに印加される電圧と抵抗体22に誘起される電圧との位相差)と電流センサ23による位相変化(抵抗体22に流れる電流と電流センサ23に誘起される電圧との位相差)を含んでいる。
そこで、上記増幅器12による位相変化とトランス21による位相変化と電流センサ23による位相変化は温度に大きく依存しないものを選び、あらかじめ計測しておく。デジタル信号Aとデジタル信号Bとの位相差φから上記の計測された位相変化分の値を引く補正を行うことにより、抵抗体22に発生した電流と電圧との位相差θを高精度に求めることができる。これによって、さらにこの電流の表皮厚さδを知ることが可能となり、この表皮厚さδと上記周波数fとからこの抵抗体の抵抗率ρを高精度に求めることができる。その結果、高精度な温度測定が可能な温度計を提供することができるのである。また、あらかじめ上記位相差φの温度依存性を計測しておけば、トランス21や電流センサ23による位相変化の値を計測しなくても、温度を算出することができる。
以上が、本発明の温度計の原理であるが、図1に示したセンサ20は、概念的にその構成を示したのであって、センサ20の具体的構成としては、以下の実施形態1あるいは実施形態2のような構成を採用することができる。
(実施形態1)
まず、図2(a)に示すように、中空円柱形の磁性体に上記電流Iaを流す導線13をトロイダル状に巻着して、励磁コイル31aを作成する。これが上記トランス21の一次コイル(ちなみに2次コイルは下記抵抗体22a)を構成している。同様に、中空円柱形の磁性体に上記電圧信号Vbを出力する導線14をトロイダル状に巻着して、受信コイル32aを作成する。これが上記電流センサ23を構成している。
そして、これら励磁コイル31a及び受信コイル32aを絶縁皮膜で被覆し、図2(b)に示すように中空部が連通するよう並列し、線状の金属製抵抗体(測温体)22aをトロイダル状に巻着する。即ち、この中空部において、上記電流センサ23を上記抵抗体22を囲むように設置したのが本実施形態である。
すると、上記電流Iaに基づいてこの中空部に起電力が生じ、線状の抵抗体22aに交流電流が発生する。この交流電流に基づいて、受信コイル32aの導線14に上記電圧信号Vbが発生する。
(実施形態2)
あるいは、センサ20を図3に示すように構成することもできる。図3(a)はセンサ20の外観図であり、図3(b)はセンサ20の内部構造の説明図である。
この図3(a)に示すように、円筒形の金属筐体30の側面などに2つの細孔H1,H2が穿設されている。そして、細孔H1からは下記励磁コイル31bの導線13が導出され、細孔H2からは下記受信コイル32bの導線14が導出されている。
図3(b)に示すように、金属製円柱形の抵抗体22bの両底面からは金属製中心軸33が張出し、金属筐体30と接続されることで、この金属筐体33と抵抗体22bが電気的に導通している。一方、抵抗体22bの外部には中空円柱形の励磁コイル31bが、抵抗体22bの内部には中空円柱形の受信コイル32bが設けられ、これら励磁コイル31bと受信コイル32bとの中空部を、上記中心軸33が貫通している。なお、図3(b)は、受信コイル32bが視認できるように、抵抗体22bの一部を切除して示しており、実際には、円柱形の抵抗体22bの内部に上記受信コイル32bが埋設されている(図3(c)参照)。
また、受信コイル32bの中空部には、単に抵抗体22bの一部があるだけであり、この中空部の径を中心軸33の径より小さくしてもかまわない。なお、この図2(b)では、金属筐体30の厚みは省略して記載している。また、抵抗体22bと金属筐体30との間隙Sには、絶縁体を充填する。
励磁コイル31bは、上記実施形態1と同様に、中空円柱形の磁性体に上記導線13をトロイダル状に巻着して作成され、これと中心軸33が上記トランス21を構成している。そして、上記電圧信号Iaに基づいてこの中空部に起電力が生じ、上記中心軸33を通じて抵抗体22に交流電流が発生する。
同様に、受信コイル32bは、中空円柱形の磁性体に上記導線14をトロイダル状に巻着して作成され、これが上記電流センサ23を構成している。そして、その中空部を通過する上記交流電流に基づいて、導線14に上記電圧信号Vbが発生する。
図3(c)は、図3(b)の矢印Kによる断面図である。上記交流電流は図面左方の中心軸33において発生し、抵抗体22bを通過し、反対側の中心軸33から金属筐体30を通過して、再び中心軸33へ至る経路で上記周波数fの振動をする。この抵抗体22bを通過する際に、この交流電流の一部は受信コイル32の中空部を通過し(電流I2,I3)、一部は受信コイル32bの外側を通過する(電流I1,I4)。受信コイル32bはこの電流I2,I3を観測して上記電圧信号Vbを出力するのである。
ここで、受信コイル32bは、外側を通過する上記電流I1,I4の影響をほとんど受けない。このことはマクスウェル方程式を解けば確認できるが、直感的には、受信コイル32bにおいて磁性体外部の電流が作る磁場は磁性体を周回しないので、起電力を生じないと理解される。
なお、図3(b),(c)に示すような、この実施形態2におけるセンサ20を具体的に作成するには、例えば次のようにする。
まず、図4に示すように、上記中心軸33を軸として上記受信コイル32bを抵抗体22bで包み込むための筒状体PCを、この中心軸33に対して一体として形成するか、あるいは中心軸33に嵌合することによって部品P1を形成する。なお、この図4及び後述する図5は、上記図3(c)に対応する断面図として記載しており、部品P1などの実際の形状は上記図3(b)に示すような、各断面を中心軸Lに関して回転させた回転体である。
次に、この抵抗体22bの一部と中心軸33からなる上記部品P1の図面左方の上記中心軸33の突出した部分に上記励磁コイル31bを嵌合するとともに、図面右方の上記筒状体PCの余裕部分に上記受信コイル32bを嵌合する(図4矢印1)。
次に、上記部品P1に、抵抗体22bの残りの部分を構成する蓋体の部品P2を嵌合し、受信コイル32bを抵抗体22bで包み込むようにする(図4矢印2)。次に、この状態で、上記金属筐体30を構成する、開口端に底を持つ筒を半分に切った状態の部品P3とP4とを、部品P1に嵌合し、上記中心軸33の両端で時期的な接続性を保つようにして、上記筒状体PC及び励磁コイル31b、受信コイル32bを覆う構成とする(図4矢印3)。そして、この際に、抵抗体22bと金属筐体30との上記間隙Sには、上記絶縁体としてエポキシ接着剤を充填して上記部品P1,P2,P3,P4を一体に固定する。
ここで、本実施形態では後述する数式11に基づいて表皮効果を観測するため、部品P1と部品P2とは同じ材質の抵抗体を用いる。一方、部品P3,P4は、表皮効果に影響を与えないので、これらと異なる材質の抵抗体を用いてもよい。
このようにして、図5に示すようなセンサ20が作成できる。なお、上記各部品のサイズの微差により、上述した嵌合が適切に行えない場合には、各部品を半田付けで固定することもできるが、半田付けの箇所では抵抗体22bの抵抗率が変化して温度測定に影響を与えるため、このような半田付けはなるべく少ないほうがよい。
以上の実施形態1と実施形態2を比較すると、以下のことが言える。
実施形態1において、受信コイル31aは抵抗体22aに流れる全電流を観測しており、位相差θについてもその合計値(積分値)を観測している。この場合、位相差θについて後述の数式10の関係式が成り立つ。
一方、実施形態2では、受信コイル32bは抵抗体22bの中心部に流れる電流I2,I3を観測しており、位相差θについても電流I2,I3に関する合計値を観測している。この場合、位相差θについて後述の数式11の関係式が成り立つ。
表皮効果では、一般に、抵抗体の中心部に近づくにつれて上記位相差θが大きくなり、温度変化に対する位相差θの変化も大きくなるので、実施形態2のほうが温度に対する位相変化(位相の温度に対する感度)が大きいということになる。
しかし、上記の通り、実施形態1では全電流を観測しているため、電圧信号Vbを介した電流の位相計測の精度としては実施形態1のほうがよい。
一連の計測の過程では、上記電圧信号Vb以外にも、様々な原因による雑音電圧が計測される。このため、十分に雑音電圧が低い場合、言い換えれば電流センサの性能に余裕がある場合には実施形態2が有利であり、一方、温度計全体を小型化するなどして電流値を大きくできない場合には実施形態1が有利になると言える。
さて、これらの実施形態1,2において、上記電圧信号VbがAD 変換器15に入力され、デジタル信号Bに変換され、コンピュータ10に入力される。
コンピュータ10には、プログラムとして、上記デジタル信号Aとデジタル信号Bの位相差φをフーリエ解析により計算し、上述のようにこの位相差φから抵抗体22に発生した電流と電圧との位相差θを求め、この位相差θに基づいて抵抗体22の温度を算出する温度算出手段16が設けられている。
以下、温度算出手段16による位相差φの計算方法ついて説明する。
まず、DA変換器11にデジタル信号を送信しアナログ電圧信号を発生する過程は、コンピュータ10から正弦波を表す数値配列CをDA変換器11に備えたバッファ入力することで実現する。他方、AD変換器15に入力されたアナログ電圧信号はAD変換器15内の別のバッファに蓄えられており、一定量の信号が溜まるたびにコンピュータ10内に数値配列Dとして取り込まれる。DA変換器11とAD変換器15のサンプリングクロック17(図1参照)は共有されて、このようにサンプリング周波数を共通にした場合、AD変換器15から取り込まれた数値配列DはDA変換器に送られた配列Cと同じ時間間隔のデータになっている。これらの数値配列C,Dを次の数式1で表す。
Figure 2009092447
但し、nは0, 1, 2, 3,…,m-1という整数である。mはDA変換器11からデータが取り込まれる時間間隔をサンプリング間隔で割った整数値である。また、tsはサンプリングクロック17のサンプリング間隔である。tdはDA変換器11の出力をAD変換器15に直接入力した場合(φ=0のとき)の、コンピュータ10による数値配列Cの送信から数値配列Dの受信までの時間差である。fは上記の周波数であり、fmtsが整数になるように予め設定しておく。こうすることで、データ配列長が周期(1/f)の整数倍になるので、フーリエ解析が簡単になる。
次に、数値配列Cと同じ周波数を持つ正弦関数値の配列Csと余弦関数値の配列Ccを、下記の数式2に従ってコンピュータ10内にあらかじめ作成しておく。
Figure 2009092447
計測開始の初期設定として、DA変換器11からのアナログ電圧信号を直接AD変換器15に入力する。この場合の計測データの配列Eは位相差φを生じないので、下記の数式3のようになる。
Figure 2009092447
配列Eと配列Csの積を作り、nについて0からm-1までの和を計算すると、上の第二項が消えて
Figure 2009092447
配列Eと配列Ccの積を作り、nについて0からm-1までの和を計算すると、上の第一項が消えて
Figure 2009092447
となり、これらの値から
Figure 2009092447
というように、受信の時間差tdが求められる。このtdは回路固有の時間差であるので、実際の測定で、AD変換器15へ電流センサ23から信号Vbを入力する場合にも、このtdの値は変わらない。
さらに、本計測では、上記と同様に配列Dと配列Cs、Ccとの積とを計算し、下記の数式7により位相差φを計算する。
Figure 2009092447
ここで、tdは既知なので結局、次の計算をすればφを得ることができる。
Figure 2009092447
このような計算は、AD変換器15へ一定長のデータを取り込んですぐに実行できる。そこで、AD変換器15のバッファに、この一定長のデータ以降のデータを蓄積している間に、先に述べたように、電流センサ23やトランス21による位相の補正を行って、電圧と電流との位相差θを求めることができる。あるいは、上記の通り、あらかじめコンピュータ内に記録しておいたφと温度の関係式に代入する事によって温度を求めることができる。
以上のようにして抵抗体22内の電流と電圧の位相差θを求めれば、次のようにして抵抗体22の温度を知ることができる。
正弦波の周波数fに対し、抵抗体22の金属の透磁率をμ、金属の抵抗率をρとしたときに表皮厚さδは数式9によって計算される。
Figure 2009092447
このとき、電流センサ23を、実施形態1のように、抵抗体22全体に流れる電流が計測できるように設置し、0℃における表皮厚さ(抵抗体22の表面から測った電流が1/eになる侵入の深さ。eは自然対数の底。)が抵抗体の半径dと同程度になるように、周波数を設定すると、抵抗体22内の電流と電圧の位相差θは数式10のように求められる。
Figure 2009092447
ここで、Argは複素数の位相を求める関数であり、J0,J1はベッセル関数である。
図6(a)は、0℃における表皮厚さが抵抗体の半径の0.6倍(d/δ=1.7)になるように周波数を設定した場合の、温度Tと位相θの理論計算値を表したグラフである。抵抗率の温度依存性を線形とし、0℃における温度係数を3.9×10?3とした。
また、実施形態2のように、電流センサ32bを抵抗体22bの中心からsdまでの範囲(但し、0<s<1)を流れる電流を計測できるように設置し(即ち電流センサ32bの中空部の半径をsdとし)、0℃における表皮厚さがtd(但し、tは0.1程度の数)になるように、周波数を設定すると、印加電圧と計測される電流との間には数式11のような位相差が生じる。
Figure 2009092447
図6(b)は、0℃においてd/δ=1/t=10となるように周波数を設定し、s=0.1となる位置に電流センサを設置した場合の、温度Tと位相θの理論計算値を表したグラフである。抵抗率ρの温度Tに対する依存性を線形とし、0℃における温度係数を白金の3.9×10?3とした。
一般的にサンプリングクロック17は、上記背景技術の基準抵抗器よりも、容易に高精度なものが入手でき、このサンプリングクロック17によってフーリエ解析することで、高精度に決まった周波数において上記位相差を正確に求めることができる。従って、数式9の関係式により、温度算出手段16は抵抗体22の電圧と電流の位相差θから高精度に温度を計算することが可能になるのである。
以上、本発明の温度計の構成について説明したが、以下ではこの温度計の使用例について、いくつか説明する。
本発明の温度計は、多連式温度計測システムに用いることができる。多連式温度計測システムとは、多くの位置での温度を計測するためのシステムである。
一般に、並列に配置された多数のセンサから直列的に信号を読み出す方法として、順次スキャン方法が良く知られている。図7(a)は、この順次スキャン方法の説明図であり、センサ列51はn個のセンサS1,S2,…,Snから構成されており、それぞれn個のアナログスイッチW1,W2,…,Wn及びn個のD型フリップフロップR1,R2,…,Rnで構成されたシフトレジスタFと接続されている。
センサ列51のn個のセンサS1,S2,…,Snは、検出した信号を電圧出力ai(i=1,2,…,n)として出力する。コンピュータ52はクロック信号D1を生成し、D型フリップフロップR1,R2,…,Rnのクロック入力端子Cに、このクロック信号D1を供給する。
さらに、コンピュータ52は、上記クロック信号D1のn分周パルスD2をスタートパルスとして生成し、D型フリップフロップR1のデータ入力端子Dに供給する。D型フリップフロップR1,R2,…,Rnの各出力端子Qは、アナログスイッチW1,W2,…,Wnの制御端子に接続される。アナログスイッチW1,W2,…,Wnは、D型フリップフロップR1,R2,…,Rnの出力端子Qより供給された電圧によって、センサ列51の各出力端子を、端子α側に接続するかしないかを制御している。
図7(b)は、図7(a)に示すセンサ列51からの信号の読み出し動作を示すタイミングチャートである。図7(b)において、スタートパルスがD型フリップフロップR1のデータ入力端子Dに供給され、クロックパルスD1がR1,R2,…,RnからなるシフトレジスタFのクロック入力端子Cに1クロックだけ供給されると、シフトレジスタの出力は1,0,0,・・・・,0となり、アナログスイッチW1の制御端子に“1"が印加され、その他のアナログスイッチW2〜Wnの制御端子には、0が印加されている状態になる。その結果、センサS1が端子αに接続される。
続いて、パルスD1に基づいてシフトレジスタにクロックが供給されると、センサS2,…,Sn、と順次端子αに接続される。従って、クロックと同期してn個の検出信号(上記電圧出力ai)が得られる。このようにして、並列に配置されたセンサS1,S2,…,Snから、直列的に信号を読み出すことができる。
この順次スキャン方法を本発明の温度計に適用すると、次のような多連式温度計測システムを実現できる。
まず、図8に示すように、本発明の温度計のセンサ20にアナログスイッチWi1,Wi2とシフトレジスタRiを接続して、センサユニットUiを作成する(ただしi=1,2,…,n)。ここで、センサ、アナログスイッチ、シフトレジスタの動作は、図7に示した例と同様であるが、本発明では、センサ20に電圧を印加し、センサ20から電圧信号A1と電流信号A2との2つの信号を得るために、1つのセンサユニットにつきアナログスイッチが2つ設けられている。
このように構成したセンサユニットを図9に示すように配線する。Vccは駆動電圧であり、GNDは接地であり、A1は電圧信号、A2は電流信号、D1はクロック信号、D2はスタートパルスおよび各ユニットの制御パルスである。この図8からも明らかなように、パルスD2の配線のみが直列であり、その他の配線は並列である。このため、各センサユニットUiを任意に分岐して配置することが容易であり、平面的、立体的な温度測定が可能となる。
図10に、これらのセンサユニットUiを図1におけるコンピュータ10と接続した様子を示す。図1と異なる点は、コンピュータ10からクロック信号D1とスタートパルスが出力されることと、駆動電源Vccが接続され、接地GNDが明示されていることのみである。これにより、センサユニットUiを配置した多くの位置に電圧信号A1を送信し、電流信号A2とを測定することにより、温度を計測することが可能になる。
上記の通り、パルスD2以外の配線は並列なので、これらの配線は任意に分岐させる事が可能であり、面的、立体的な温度計配置が容易である。一般に、接触や分岐の多い回路は様々な直流オフセット電圧やノイズを発生させやすいが、本発明の温度計は交流の位相差検出を行うので、これらの影響を受けにくいという特徴がある。
なお、多数の位置における温度分布を得るシステムとして、放射温度計を応用したサーモグラフィが存在しているが、本発明の温度計はセンサ20を測定対象物に接触させる接触式であるので、温度分解能と空間分解能の高い多連式温度計測システムが安価に実現できる。また、このように接触式であるので、ベッド内部やボアホール内部などサーモグラフィが適用できない場面にも適用できる。
さらに、光ファイバー式温度分布計測システムも知られているが、これは光ファイバーの形状のために一次元の連続的な温度分布を得るのに向いているが、多地点の温度を計測する用途には向いておらず、温度精度の制約も大きい。これに対し、本発明の温度計では、上記の通り、面的、立体的な温度測定に適している。
なお、本発明の温度計を適用した多連式温度計測システムの用途を2,3述べれば、例えば、人が就寝中のベッド内の温度分布を調べ、人の様子やベッド内環境をモニターし、異常を検出する。また、地下に掘削された孔内の温度分布を連続観測して地熱流量をモニターし、その変化から地震、火山などの地殻活動を監視する。あるいは、室内の温度分布を調べ、効率的で快適な空調を実現する、等が挙げられる。
本発明に係る温度計は、基準抵抗器を用いることなく抵抗体の電圧と電流の位相差として抵抗率の温度変化を計測することができる。そして、一般的に基準抵抗器よりもサンプリングクロックの方が容易に高精度なものが入手でき、また内部電流を計測する事により計測すべき位相の温度依存性を大きくすることができる。このため、簡便な装置で高精度な温度測定が可能であり、多連式温度計測システム等として有用である。
本発明の温度計の全体構成図。 本発明の温度計におけるセンサの構成図。 本発明の温度計におけるセンサの構成図。 本発明の抵抗体の作成工程図。 本発明の抵抗体の作成工程図。 温度と位相の関係を示すグラフ。 順次スキャン方法の説明図。 本発明の温度計を用いたセンサユニットの構成図。 本発明の温度計を用いた多連式温度計測システムの配線図。 本発明の温度計を用いた多連式温度計測システムの全体構成図。
符号の説明
10 コンピュータ
11 DA変換器
12 増幅器
13,14 導線
15 AD変換器
16 温度算出手段
17 サンプリングクロック
20 センサ
21 トランス
22,22a,22b 抵抗体(測温体)
23 電流センサ
30 金属筐体
31a,31b 励磁コイル
32a,32b 受信コイル
33 中心軸

Claims (3)

  1. 金属製の抵抗体と、
    正弦波信号を表すデジタル信号Aに基づいて上記抵抗体に交流電圧信号を印加するDA変換器と、
    上記抵抗体に発生した電流を電圧値に変換する電流センサと、
    上記電流センサの電圧値をデジタル信号Bに変換するための、上記DA変換器とサンプリングクロックを共有するAD変換器と、
    上記デジタル信号Aとデジタル信号Bの位相差をフーリエ解析により計算し、該位相差に基づいて上記抵抗体の温度を算出する温度算出手段と、
    を備えることを特徴とする、温度計。
  2. 上記正弦波信号の周波数を、表皮厚さが抵抗体の径と同程度になるような値とし、上記電流センサを上記抵抗体を囲むように設置した、請求項1に記載の温度計。
  3. 上記正弦波信号の周波数を、表皮厚さが抵抗体の径の10分の1程度になるような値とし、上記電流センサを上記抵抗体の内部に埋め込んだ、請求項1に記載の温度計。
JP2007261608A 2007-10-05 2007-10-05 温度計 Pending JP2009092447A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007261608A JP2009092447A (ja) 2007-10-05 2007-10-05 温度計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007261608A JP2009092447A (ja) 2007-10-05 2007-10-05 温度計

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009092447A true JP2009092447A (ja) 2009-04-30

Family

ID=40664581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007261608A Pending JP2009092447A (ja) 2007-10-05 2007-10-05 温度計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009092447A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011038802A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Advantest Corp 温度検出装置、ハンドラ装置、試験装置、温度検出方法
JP2012251932A (ja) * 2011-06-06 2012-12-20 Yasuda Engineering Kk 掘進機の障害物探査装置及び掘進機の障害物探査方法
JP2013092531A (ja) * 2012-12-28 2013-05-16 Yasuda Engineering Kk 掘進機の障害物探査装置及び掘進機の障害物探査方法
JP2015509620A (ja) * 2012-12-26 2015-03-30 ローズマウント インコーポレイテッド プロセス計装用のプラグアンドプレイ式のセンサ周辺コンポーネント
US9191015B2 (en) 2013-01-21 2015-11-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Temperature controlled oscillator and temperature sensor including the same
US10241031B2 (en) 2014-07-08 2019-03-26 Osaka University Measuring device and measuring method
WO2024090902A1 (en) * 2022-06-22 2024-05-02 Kt & G Corporation Method and device for measuring temperature of vibrator in non-contact manner

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011038802A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Advantest Corp 温度検出装置、ハンドラ装置、試験装置、温度検出方法
JP2012251932A (ja) * 2011-06-06 2012-12-20 Yasuda Engineering Kk 掘進機の障害物探査装置及び掘進機の障害物探査方法
JP2015509620A (ja) * 2012-12-26 2015-03-30 ローズマウント インコーポレイテッド プロセス計装用のプラグアンドプレイ式のセンサ周辺コンポーネント
JP2013092531A (ja) * 2012-12-28 2013-05-16 Yasuda Engineering Kk 掘進機の障害物探査装置及び掘進機の障害物探査方法
US9191015B2 (en) 2013-01-21 2015-11-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Temperature controlled oscillator and temperature sensor including the same
US10241031B2 (en) 2014-07-08 2019-03-26 Osaka University Measuring device and measuring method
WO2024090902A1 (en) * 2022-06-22 2024-05-02 Kt & G Corporation Method and device for measuring temperature of vibrator in non-contact manner

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009092447A (ja) 温度計
AU2017334594B2 (en) Heat flux sensor
JP5979876B2 (ja) 温度補償された温度測定の方法及びシステム
US8840301B2 (en) Diverse and redundant resistance temperature detector
US20180106684A1 (en) Temperature Probe
Recktenwald Conversion of thermocouple voltage to temperature
CN109282911A (zh) 高精度测温探头及高精度测温仪
CN109725183B (zh) 一种便携式热电势检测仪器用探头
KR100845343B1 (ko) 동심원 구조 이중전극을 이용한 초소형 전기전도도 센서
CN108204865A (zh) 工业仪表、工控系统以及rtd 测温方法
RU2389984C2 (ru) Термометрическая коса и способ ее калибровки
Li et al. A smart and accurate interface for resistive sensors
Liu et al. High spatial resolution Hall sensor array for edge plasma magnetic field measurements
Wang et al. Design of PT100 high-precision temperature measurement systems based on third-order model
Clow USGS polar temperature logging system, description and measurement uncertainties
CN206583553U (zh) 工业仪表和工控系统
Yang et al. Design of a high-precision, high environmental adaptability temperature measurement system for environments with large temperature variations
CN104457797A (zh) 确定物理的和/或化学的、随温度变化的过程变量的方法
Mazzini et al. Metrological Characterization of a new textile sensor for temperature measurements and a comparison with a Pt100 sensor
US1652917A (en) Electric measuring apparatus
KR100462386B1 (ko) 자기장 변화에 따른 비자성체의 열팽창계수 측정장치
Smorgon et al. Low-cost ratiometric front-end for industrial PRT applications
Petrucha et al. Measurement of the temperature dependence of the sensitivity and orthogonality of a triaxial vector magnetometer
Anaraki Temperature effect on capacitance measurements of the different chemical liquids using a cylindrical capacitive sensor
Srikant et al. Transducers