JP2009091270A - 金属錯体化合物および金属錯体固定化基板 - Google Patents

金属錯体化合物および金属錯体固定化基板 Download PDF

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Abstract

【課題】金属錯体化合物の金属中心と基板間の電子移動速度を向上させることができる金属錯体化合およびそれを用いた金属錯体固定化基板を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示される金属錯体化合物及びその金属錯体化合物を、基板に結合させてなる金属錯体固定化基板。
Figure 2009091270

(式中、L1は分子内に、多くの金属基板に結合可能なチオール基と、多くの金属元素に結合可能なターピリジル基を有した配位子である。L2はターピリジン、またはターピリジン誘導体である。MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体化合物および金属錯体固定化基板に関する。
近年の半導体加工技術の急速な進歩により、フォトリソグラフィーに代表されるトップダウン方式の微細加工技術の限界が近づいてきたとも言われている。これに対しボトムアップ方式により回路形成を行う分子エレクトロニクスの研究が活発に行われてきている。この回路を形成する分子の部品については、さまざまなものが報告されている。
それらの中で、π共役金属錯体化合物は、高い電荷輸送能を持つために分子電線としての利用が考えられている。例えば、非特許文献1には、金基板上に錯体配位子、中心金属が順次積層されたπ共役金属錯体化合物が開示されている。
Nishimori et al., Chem. Asian J. 2007,2,367から376頁
分子電線としてのπ共役金属錯体の利用を考えると、π共役錯体分子と基板との間の電子移動速度が重要となる。例えば非特許文献1では、π共役分子と基板との間の電子移動速度として、110s−1の値が記載されている。このπ共役錯体分子と基板との間の電子移動速度が、他の過程と比較して低い場合には、このπ共役錯体分子と基板との間の電子移動過程によって電線の流しうる電流が制限される。このため、π共役錯体分子と基板との間の電子移動速度のさらなる向上が望まれている。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、金属錯体化合物の金属中心と基板間の電子移動速度を向上させることができる金属錯体化合物を提供するものである。
また、本発明は、上記の金属錯体化合物を用いた金属錯体固定化基板を提供するものである。
上記課題を解決する金属錯体化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
Figure 2009091270
(式中、L1は下記式(2)で、L2は下記一般式(3)で表される。
Figure 2009091270
Figure 2009091270
乃至R11は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換あるいは無置換のアミノ基、ハロゲン原子または置換あるいは無置換の複素環基に金属元素が配位結合したものを表わす。R乃至R11は、同じであっても異なっていてもよい。
MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
上記課題を解決する金属錯体固定化基板は、上記の金属錯体化合物を、基板に結合させてなることを特徴とする。
上記課題を解決する金属錯体固定化基板の製造方法は、上記の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
本発明によれば、金属錯体化合物の金属中心と基板間の電子移動速度を向上させることができる金属錯体化合物を提供できる。
また、本発明は、上記の金属錯体化合物を用いた金属錯体固定化基板を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る金属錯体化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
Figure 2009091270
(式中、L1は下記式(2)で、L2は下記一般式(3)で表される。
Figure 2009091270
Figure 2009091270
乃至R11は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換あるいは無置換のアミノ基、ハロゲン原子または置換あるいは無置換の複素環基に金属元素が配位結合したものを表わす。R乃至R11は、同じであっても異なっていてもよい。
MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
前記R乃至R、R乃至R11が水素原子であることが好ましい。
前記Rが下記式(4)で表されることが好ましい。
Figure 2009091270
前記MがCoであることが好ましい。
本発明に係る金属錯体固定化基板は、上記の金属錯体化合物を、基板に結合させてなることを特徴とする。またこの場合の「金属錯体化合物を基板に結合させる」とは、金属錯体化合物のチオール基の硫黄原子と基板との間で結合が生成し、同チオール基の水素が脱離した状態となることを意味する。
本発明に係金属錯体固定化基板の製造方法は、上記の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
(金属錯体化合物)
本発明に係る金属錯体化合物は一般式(1)で表される。
一般式(1)のMはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。
L1は、式(2)に示される化合物である。L1は分子内に、多くの金属基板に結合可能なチオール基と、多くの金属元素に結合可能なターピリジル基を有した配位子である。本発明にかかる金属錯体化合物は、この配位子を有することで、基板上に金属元素を固定化し、基板に固定化された金属錯体を構成することを可能とする。
金属錯体を基板表面上に固定化することにより、基板表面に機能を付与することが可能となる。具体的には、酸化還元、光電変換、発光などが挙げられる。なかでも、基板に酸化還元機能を付与することで、基板上、あるいは基板近傍に存在するその他の酸化還元物質と基板との間での電子移動を可能とすることができる。金属錯体をメディエータ(媒介物質)として使用するこの効果によって、この基板を例えば、センサや、エネルギーデバイスの電極として使用することが可能となる。
金属錯体をメディエータとして使用することを考えると、上述したその他の酸化還元物質と金属錯体との間の電子移動に加えて、金属錯体と基板との間の電子移動が重要となる。この系において、その他の酸化還元物質と金属錯体との間の電子移動と比較して、金属錯体と基板間の電子移動速度が低い場合には、金属錯体と基板との間の電子移動過程によって電線の流しうる電流が制限されることになる。また、この金属錯体を分子電線として使用することを考えると、電線内の電子移動に加えて電線と導電性材料とのコンタクトの電子移動が重要となる。例えば非特許文献1では、錯体分子間の電子移動速度と、錯体分子と基板との間の電子移動速度の値が報告されている。この系において、錯体分子基板への結合密度を勘案すると、錯体分子間の電子移動速度よりも、錯体分子と基板との間の電子移動速度が低い。このため、この系においては、錯体分子間の電子移動過程よりも、錯体分子と基板との間の電子移動過程によって電線の流しうる電流が制限されることになる。
このため、金属錯体化合物と基板との間の電子移動速度のさらなる向上が求められる。
ここで、電子移動速度は、電子移動距離の短縮と共に対数的に増大することが知られている。そこで、本発明は、錯体の金属中心と基板間の距離を短くすることを目的とする。本発明にかかる金属錯体化合物を用いることで、錯体の中心金属の距離を1.1nm(分子モデリングソフトによる推定、非特許文献1の距離は同1.7nm)と短くすることができる。そのことによって、錯体の中心金属から基板への電子移動速度を向上させることができる。
L2は一般式(3)であらわされるターピリジン、またはターピリジン誘導体である。このL2は、例えば式(2)で示されるL1のように金属元素に配位し、錯体を形成する部位(この場合はターピリジル基)を1つ有していても良いし、複数有していても良い。金属元素に配位し、錯体を形成する部位を複数持っている場合には、その複数の錯体形成部位にそれぞれ金属元素を配位し、多核錯体を形成しても良い。複数の錯体形成部位を持つ場合としては、例えば、錯体形成部位を2つ持つ場合、3つ持つ場合などが挙げられる。分子電線としては、錯体形成部位を2つ持ち、それぞれの錯体形成部位に金属元素を配位して直線状に伸びていくものが用いられる。
次に、本発明に係る金属錯体化合物の合成について説明する。
本発明に係る金属錯体化合物の合成方法は、特に制限されるものでなく、例えば、従来公知となっている方法を用いることができる。一般的には、配位子を別途合成の上、必要なモル当量の金属原子と配位子を溶媒中で混合して合成する。この合成のさい、必要であれば、通常加熱、マイクロ波照射による反応の促進を利用することができる。
次に、金属錯体固定化基板、その製造方法、結合量の評価について説明する。
本発明に係る金属錯体化合物(金属錯体分子)は分子内にチオール基を有しているために、多くの金属元素を含有する基板と結合を形成することが可能となる。基板への結合方法は、特に制限されるものでなく、例えば、従来公知となっている方法を用いることができる。その一例としては、以下の手法で調製することができる。
1.金属錯体化合物を適当な濃度で、それらが溶解可能な溶媒に溶解させる。
2.基板とその溶液を接触させることで結合させる。このときの結合条件、例えば、溶液の濃度、溶媒の種類、反応時間、反応温度等は、溶解度、結合能、コスト等を勘案して決定される。金属錯体が基板に固定化されているかどうかは、電気化学測定において錯体の酸化還元に起因する電流が観測できることや、水晶振動子マイクロ天秤測定における重量の増大、原子間力顕微鏡等の微細観察、赤外スペクトルのシグナル等で確認できる。
金属錯体を基板に結合させる場合においては、錯体分子を先に合成した後に基板に結合させる手法と、錯体配位子を基板に結合させた後、基板上で錯体を合成する手法が挙げられる。これらのうち、後の手法は、はじめに基板上に配位子が固定化された時点では、錯体の金属中心、および、その先に配位する錯体配位子の空間が確保されているとは限らず、条件によっては、基板上での錯体の合成が困難となるときがある。一方で、先の手法は、錯体分子を先に合成してから基板上に結合させることで、錯体分子の結合に必要な空間が確実に確保されている点で後の手法より優位である。この効果は、配位子分子が平面性の高い分子である場合により顕著に表れることが予想される。
この錯体の基板への結合密度は、サイクリックボルタメトリー、クロノアンペロメトリー等の電気化学測定をおこなった際の錯体由来の電荷量によって見積もることができる。それ以外にも、塩基性水溶液等の条件下で、負電位側へのリニアスイープボルタメトリー、水晶振動子マイクロ天秤法、エリプソメメトリー等の手法で見積もることができる。
結合量評価方法の具体例として、サイクリックボルタメトリーを利用した、錯体金属の酸化還元電荷量の測定方法を以下に記述する。
調製した錯体固定化基板を作用電極とし、参照電極、対電極を用いて、サイクリックボルタンモグラム測定を行う。錯体の中心金属が酸化還元する電位領域を含む電位範囲で測定を行い、観測されたボルタンモグラムのピークの電荷量を算出する。その反応電子数をn、電荷量をQ(C),ファラデー定数をF(C mol−1)、電極面積A(cm)として、結合密度G(mol cm−2)は、以下の式で表される。
Figure 2009091270
次に、基板について説明する。
基板は、金属錯体化合物を固定化し、金属錯体化合物との間の電子移動反応で受け取った電荷を外部回路に取り出す働きを担う。この基板の形状は、特に限定されるものではなく平面、曲面、球状等、どのような形状であってもよい。この基板の構成材料としては、導電性が高く、電極が使用される条件において充分な電気化学安定性を有する材料が好適に使用できる。また、本発明に係る金属錯体化合物は分子内にチオール基を有しているために、多くの金属元素を含有する基板と結合を形成することが可能となる。このような基板の構成材料の例としては、単体、合金を含む金属材料を挙げることができる。
この基板を構成する金属元素の例としては、Ag,Ni,Cu,Cd,Fe,Pt,Ga,Ge,Hg,In,Ir,Ni,Pb,Pd,Ru,Cr,Zn,Auが挙げられる。特にAuは、チオール基と強固な結合を形成すること、電気化学的安定性が高いことから、最も多くの研究、報告がなされており、本発明に係る金属錯体化合物の固定化基板としても典型的に用いられる。
次に。電気化学測定について説明する。
(測定装置の構成)
図1は、金属錯体固定化基板の電気化学特性を測定する装置の一例を示す模式図である。同図1において、10は金属錯体を固定化した基板、11は参照電極、12は対電極であり、これらの電極は13の電解液に浸漬されている。これらの電極は、14のポテンショスタットに接続される。このポテンショスタットには、電気信号を発生させるファンクションジェネレータ15と短時間の電流応答を観測するオシロスコープ16が接続されている。
(電極)
電気化学特性を測定する装置の電極としては、作用電極として、金属錯体を固定化した基板を用いる他は、一般的な電極の組合せを用いることができる。一般的な電極の組合せとしては、例えば、参照電極としてAg/Ag電極、対電極としてPt電極の組合せが挙げられる。
(電解液)
電気化学特性を測定する装置で使用される電解液の溶媒は、特に限定されるものではないが、電極が使用される条件において充分な電気化学安定性を有し、支持電解質を溶解、電離可能な溶媒が好適に使用できる。また、支持電解質は、電解液に必要な伝導度を与え、電気化学反応を進行させるために用いられる。この支持塩は、電解質に十分な伝導度を与えると共に、錯体の電子移動時の電荷補償という機能を担うために、溶媒への十分な溶解度を持つ必要がある。この溶媒と支持電解質の組合せの例としては、アセトニトリルとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの組合せが挙げられる。
(装置構成)
電気化学特性を測定する装置で使用されるポテンショスタット、ファンクションジェネレータ、オシロスコープの性能としては、目的とする測定の電位、電流、時間範囲で充分な測定が可能なものであれば使用できる。一般的な装置で間に合うことが多いと考えるが、ポテンショスタットの応答速度には、注意が必要となる場合がある。
(電子移動速度の測定方法)
基板に固定化された酸化還元物質と基板との間の電子移動速度を測定する方法としては、いくつかの手法が報告されており、例としては、サイクリックボルタンモグラム、クロノアンペロメトリー、交流ボルタンメトリー等が挙げられる。ここでは、具体例として、ポテンシャルステップクロノアンペロメトリーを用いた電子移動速度の測定方法について記述する。
ポテンシャルステップクロノアンペロメトリーは、電極電位をステップさせたときに得られる電流−時間応答を調べる手法である。図2には、この手法を基板上に固定された酸化還元物質と基板との間の電子移動速度を測定する手法として用いる場合の時間−電位プロファイルと時間−電流プロファイルの例を模式図として示す。図2Aに示すように、初期電位を基板に酸化還元物質を固定化した電極の式量電位に保持し、その後、電位をより負または正の電位(E)にステップさせる。そのときの電流の変化は、図2Bに示すように、初期に電気二重層の充電による短い時間領域の過渡電流が観測され、その後に電子移動による電流の減衰が観測される。この電流は、以下の式に示すように、時間に対して指数関数的に減衰することが知られており、時間−電流値の対数のグラフを作成し、その直線部位の傾きを算出することで、電子移動速度を算出する。
Figure 2009091270
ここで、i:電流、k:電子移動速度、Q:酸化還元物質の酸化または還元による電荷量である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
図3は、実施例1で形成される酵素電極を示す概念図である。
同図3において、30は金属錯体を固定化した基板、31は参照電極、32は対電極であり、これらの電極は33の電解液に浸漬されている。これらの電極は、34のポテンショスタットに接続される。このポテンショスタットには、電気信号を発生させるファンクションジェネレータ35と短時間の電流応答を観測するオシロスコープ36が接続されている。33の電解液中には、不活性ガスを導入するチューブ37の噴出し口が配置されている。
実施例1では、この酵素電極の調製および電気化学測定の例を以下の各項目に分けて記述する。
1.配位子の合成、2.金属錯体の合成、3.電極上への錯体の固定化、4.電子移動速度の測定である。
1.配位子の合成
前記式(2)に示す化合物の合成法を記述する。
等モルの 2−アセチルピリジン、4−メチルチオベンズアルデヒドのエタノール溶液に NaOH水溶液を加え、室温で攪拌、生成物をろ取、メタノールで洗浄、乾燥し白色固体を得た。窒素気流下、2−アセチルピリジン、カリウム−tert−ブトキシドをTHF溶媒中室温で攪拌し、そこに先に調製した白色固体を加え、室温で攪拌を続けた後、過剰量の酢酸アンモニウムとエタノールを加え、還流させた。反応溶液を空冷後、溶媒を減圧溜去、残留物を水洗、メタノール洗浄することで、淡黄色の固体を得た。
窒素雰囲気下、DMF 溶媒にこの淡黄色の固体と10モル当量のナトリウムエタンチオレートを加え還流、溶媒を減圧溜去後、水、過剰量の塩化アンモニウムを添加、加熱攪拌し、冷却後、沈殿を回収、クロロホルム/メタノールで再結晶させることで前記式(2)に示す錯体配位子を得た。同定は、CDClを溶媒としたHNMRで行った。
2.金属錯体の合成
下記の式(5)に示す金属錯体の合成法を記述する。
Figure 2009091270
クロロホルム/エタノール溶媒中、窒素雰囲気下、ホウフッ化コバルト(II)と式(2)に示す化合物を1:2のモル比で反応させ、沈殿生成物をクロロホルム、エタノールで洗浄、乾燥することにより、式(5)に示す金属錯体を得た。同定は、ESI−MASS測定によって行った。
3.電極上への錯体の固定化
スパッタリング装置でスライドガラスにチタン、金を順次製膜することで基板を調製した。この基板を硫酸/過酸化水素溶液で洗浄した。この基板を窒素雰囲気下、式(5)に示す金属錯体のアセトニトリル溶液に浸漬することで錯体固定化基板を調製した。
4.電子移動速度の測定
調製した錯体固定化基板を作用電極、白金線を対電極、Ag/Agを参照電極、1Mテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのアセトニトリル溶液を電解液としたセルを構成し、ポテンショスタットに接続した。ポテンショスタットには、ファンクションジェネレータ、オシロスコープを接続した。
まず、サイクリックボルタンモグラム測定により式量電位を推定した。推定された式量電位は、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート濃度が 1Mのときに−5mV vs Ag/Agであった。
次に、ポテンシャルステップクロノアンペロメトリー測定を行った。式量電位から電位をステップさせたときの電流の経時変化を測定し、時間−電流値の対数のグラフを作成、直線部位の傾きを算出することで、電子移動速度を算出した。図4Aには、この電流の経時変化、図4Bには、この電流軸を対数表示にしたグラフの一例を示す。
この電子移動速度をいくつかの電位において測定した結果を図5に示す。観測された反応速度は、一定の電位範囲において、印加された電位に対し、指数関数的に増大していることがわかる。この電位範囲において、このプロット中の正電位側、負電位側、2本の直線の交点から求められる電子移動速度kは、8.2×10sであり、既報値と比較して約7.5倍の値であった。
本実施例に記載の金属錯体を使用した基板においては、金属錯体の式(2)に示す配位子によって、錯体の金属中心をAu基板から1.1nm(分子モデリングソフトによる推定)と近い位置に固定化する。その結果、錯体の金属中心からAu基板への電子移動速度が高速化した。
以上の様に、本発明に係る金属錯体化合物を使用した基板を用いることによって、錯体の金属中心と基板との間の電子移動が律速過程となっているような系において、その律速過程を解消することができる。この特徴は以下のように利用することが可能となる。
1.この錯体を電線または、メディエータとして使用したデバイスにおいて、錯体の金属中心と基板との間の電子移動が律速過程となっているような系の場合には、この錯体の一定時間に流しうる電荷量、すなわち、電流を向上させることができる。その結果、このデバイスの性能を向上させることができる。例えば、このデバイスが、センサであれば、測定濃度範囲の上限の高いセンサを提供することができる。また、エネルギーデバイスであれば、電流の大きな、また、それに比例して出力の大きなエネルギーデバイスを提供することができる。
2.この錯体を電線または、メディエータとして使用したデバイスにおいて、錯体の金属中心と基板との間の電子移動が律速過程となっているような系の場合には、この一定電流を流すために必要な分子の数を減少させることができる。その結果、このデバイスの性能を小型化することができる。また、必要とされる物質量を削減することにより、そのコストを低減することができる。
本発明の金属錯体化合物は、金属錯体化合物の金属中心と基板間の電子移動速度を向上させることができるので、センサ、エネルギーデバイスなどのデバイスに利用することができる。
金属錯体固定化基板の電気化学特性を測定する装置の一例を示す模式図である。 基板上に固定された酸化還元物質と基板との間の電子移動速度を測定する手法として用いる場合の時間−電位プロファイルと時間−電流プロファイルの例を示す模式図である。 実施例1で形成される酵素電極を示す概念図である。 実施例1における電子移動速度を算出した結果を示す図である。 実施例1における電子移動速度を算出した結果を示す図である。 実施例1における電子移動速度を電位において測定した結果を示す図である。
符号の説明
10 金属錯体を固定化した基板
11 参照電極
12 対電極
13 電極
14 ポテンショスタット
15 ファンクションジェネレータ
30 金属錯体を固定化した基板
31 参照電極
32 対電極
33 電解液
34 ポテンショスタット
35 ファンクションジェネレータ
36 オシロスコープ
37 チューブ

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される金属錯体化合物。
    Figure 2009091270
    (式中、L1は下記式(2)で、L2は下記一般式(3)で表される。
    Figure 2009091270
    Figure 2009091270
    乃至R11は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基、置換あるいは無置換の縮合多環複素環基、置換あるいは無置換のアミノ基、ハロゲン原子または置換あるいは無置換の複素環基に金属元素が配位結合したものを表わす。R乃至R11は、同じであっても異なっていてもよい。
    MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
  2. 前記R乃至R、R乃至R11が水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の金属錯体化合物。
  3. 前記Rが下記式(4)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属錯体化合物。
    Figure 2009091270
  4. 前記MがCoであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属錯体化合物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属錯体化合物を、基板に結合させてなることを特徴とする金属錯体固定化基板。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする金属錯体固定化基板の製造方法。
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