JP2009091270A - 金属錯体化合物および金属錯体固定化基板 - Google Patents
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Abstract
Description
Nishimori et al., Chem. Asian J. 2007,2,367から376頁
また、本発明は、上記の金属錯体化合物を用いた金属錯体固定化基板を提供するものである。
MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
上記課題を解決する金属錯体固定化基板の製造方法は、上記の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
また、本発明は、上記の金属錯体化合物を用いた金属錯体固定化基板を提供できる。
本発明に係る金属錯体化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
MはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。)
前記R6が下記式(4)で表されることが好ましい。
本発明に係る金属錯体固定化基板は、上記の金属錯体化合物を、基板に結合させてなることを特徴とする。またこの場合の「金属錯体化合物を基板に結合させる」とは、金属錯体化合物のチオール基の硫黄原子と基板との間で結合が生成し、同チオール基の水素が脱離した状態となることを意味する。
本発明に係金属錯体固定化基板の製造方法は、上記の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする。
本発明に係る金属錯体化合物は一般式(1)で表される。
一般式(1)のMはCo,Cr,Cu,V,Fe,Ru,OsまたはNiから選ばれる金属元素である。
ここで、電子移動速度は、電子移動距離の短縮と共に対数的に増大することが知られている。そこで、本発明は、錯体の金属中心と基板間の距離を短くすることを目的とする。本発明にかかる金属錯体化合物を用いることで、錯体の中心金属の距離を1.1nm(分子モデリングソフトによる推定、非特許文献1の距離は同1.7nm)と短くすることができる。そのことによって、錯体の中心金属から基板への電子移動速度を向上させることができる。
本発明に係る金属錯体化合物の合成方法は、特に制限されるものでなく、例えば、従来公知となっている方法を用いることができる。一般的には、配位子を別途合成の上、必要なモル当量の金属原子と配位子を溶媒中で混合して合成する。この合成のさい、必要であれば、通常加熱、マイクロ波照射による反応の促進を利用することができる。
本発明に係る金属錯体化合物(金属錯体分子)は分子内にチオール基を有しているために、多くの金属元素を含有する基板と結合を形成することが可能となる。基板への結合方法は、特に制限されるものでなく、例えば、従来公知となっている方法を用いることができる。その一例としては、以下の手法で調製することができる。
2.基板とその溶液を接触させることで結合させる。このときの結合条件、例えば、溶液の濃度、溶媒の種類、反応時間、反応温度等は、溶解度、結合能、コスト等を勘案して決定される。金属錯体が基板に固定化されているかどうかは、電気化学測定において錯体の酸化還元に起因する電流が観測できることや、水晶振動子マイクロ天秤測定における重量の増大、原子間力顕微鏡等の微細観察、赤外スペクトルのシグナル等で確認できる。
調製した錯体固定化基板を作用電極とし、参照電極、対電極を用いて、サイクリックボルタンモグラム測定を行う。錯体の中心金属が酸化還元する電位領域を含む電位範囲で測定を行い、観測されたボルタンモグラムのピークの電荷量を算出する。その反応電子数をn、電荷量をQ1(C),ファラデー定数をF(C mol−1)、電極面積A(cm2)として、結合密度G(mol cm−2)は、以下の式で表される。
基板は、金属錯体化合物を固定化し、金属錯体化合物との間の電子移動反応で受け取った電荷を外部回路に取り出す働きを担う。この基板の形状は、特に限定されるものではなく平面、曲面、球状等、どのような形状であってもよい。この基板の構成材料としては、導電性が高く、電極が使用される条件において充分な電気化学安定性を有する材料が好適に使用できる。また、本発明に係る金属錯体化合物は分子内にチオール基を有しているために、多くの金属元素を含有する基板と結合を形成することが可能となる。このような基板の構成材料の例としては、単体、合金を含む金属材料を挙げることができる。
(測定装置の構成)
図1は、金属錯体固定化基板の電気化学特性を測定する装置の一例を示す模式図である。同図1において、10は金属錯体を固定化した基板、11は参照電極、12は対電極であり、これらの電極は13の電解液に浸漬されている。これらの電極は、14のポテンショスタットに接続される。このポテンショスタットには、電気信号を発生させるファンクションジェネレータ15と短時間の電流応答を観測するオシロスコープ16が接続されている。
電気化学特性を測定する装置の電極としては、作用電極として、金属錯体を固定化した基板を用いる他は、一般的な電極の組合せを用いることができる。一般的な電極の組合せとしては、例えば、参照電極としてAg/Ag+電極、対電極としてPt電極の組合せが挙げられる。
電気化学特性を測定する装置で使用される電解液の溶媒は、特に限定されるものではないが、電極が使用される条件において充分な電気化学安定性を有し、支持電解質を溶解、電離可能な溶媒が好適に使用できる。また、支持電解質は、電解液に必要な伝導度を与え、電気化学反応を進行させるために用いられる。この支持塩は、電解質に十分な伝導度を与えると共に、錯体の電子移動時の電荷補償という機能を担うために、溶媒への十分な溶解度を持つ必要がある。この溶媒と支持電解質の組合せの例としては、アセトニトリルとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの組合せが挙げられる。
電気化学特性を測定する装置で使用されるポテンショスタット、ファンクションジェネレータ、オシロスコープの性能としては、目的とする測定の電位、電流、時間範囲で充分な測定が可能なものであれば使用できる。一般的な装置で間に合うことが多いと考えるが、ポテンショスタットの応答速度には、注意が必要となる場合がある。
基板に固定化された酸化還元物質と基板との間の電子移動速度を測定する方法としては、いくつかの手法が報告されており、例としては、サイクリックボルタンモグラム、クロノアンペロメトリー、交流ボルタンメトリー等が挙げられる。ここでは、具体例として、ポテンシャルステップクロノアンペロメトリーを用いた電子移動速度の測定方法について記述する。
実施例1
図3は、実施例1で形成される酵素電極を示す概念図である。
1.配位子の合成、2.金属錯体の合成、3.電極上への錯体の固定化、4.電子移動速度の測定である。
前記式(2)に示す化合物の合成法を記述する。
等モルの 2−アセチルピリジン、4−メチルチオベンズアルデヒドのエタノール溶液に NaOH水溶液を加え、室温で攪拌、生成物をろ取、メタノールで洗浄、乾燥し白色固体を得た。窒素気流下、2−アセチルピリジン、カリウム−tert−ブトキシドをTHF溶媒中室温で攪拌し、そこに先に調製した白色固体を加え、室温で攪拌を続けた後、過剰量の酢酸アンモニウムとエタノールを加え、還流させた。反応溶液を空冷後、溶媒を減圧溜去、残留物を水洗、メタノール洗浄することで、淡黄色の固体を得た。
下記の式(5)に示す金属錯体の合成法を記述する。
スパッタリング装置でスライドガラスにチタン、金を順次製膜することで基板を調製した。この基板を硫酸/過酸化水素溶液で洗浄した。この基板を窒素雰囲気下、式(5)に示す金属錯体のアセトニトリル溶液に浸漬することで錯体固定化基板を調製した。
調製した錯体固定化基板を作用電極、白金線を対電極、Ag/Ag+を参照電極、1Mテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのアセトニトリル溶液を電解液としたセルを構成し、ポテンショスタットに接続した。ポテンショスタットには、ファンクションジェネレータ、オシロスコープを接続した。
11 参照電極
12 対電極
13 電極
14 ポテンショスタット
15 ファンクションジェネレータ
30 金属錯体を固定化した基板
31 参照電極
32 対電極
33 電解液
34 ポテンショスタット
35 ファンクションジェネレータ
36 オシロスコープ
37 チューブ
Claims (6)
- 前記R1乃至R5、R7乃至R11が水素原子であることを特徴とする請求項1に記載の金属錯体化合物。
- 前記MがCoであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属錯体化合物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属錯体化合物を、基板に結合させてなることを特徴とする金属錯体固定化基板。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の金属錯体化合物を合成する工程と、該金属錯体化合物を基板に結合させる工程と、を少なくとも有することを特徴とする金属錯体固定化基板の製造方法。
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JP2009025230A (ja) * | 2007-07-23 | 2009-02-05 | Canon Inc | π共役金属錯体固定化基板を水系電解質で用いる装置 |
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JPN6012062604; Science 311, 2006, 356-359 * |
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