JP2009077931A - 生体検査装置及び生体検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】的確な超音波画像を短時間に効率的に採取することができ、使用する操作者の習熟度による検査結果のばらつき及び操作者の精神的負担を軽減することが可能な生体検査装置及び生体検査方法を提供すること。
【解決手段】生体検査装置における光照射部11は、生体内に特定周波数の光を照射する。そして、生体内で拡散反射された光の光強度を光検出部12で計測する。計測した光強度の変化に基づいて、光演算部30で異常部位の方向および接近状態を算出する。また、超音波振動子13は、生体に対し超音波を送受信することで、超音波画像を撮像する。生体検査装置の操作者は、異常部位の方向および接近状態を参照して、生体内部における異常部位の存在部位を特定し、その部位の超音波画像を取得するようにしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波を用いて生体内情報を非侵襲に検査する生体検査装置及び生体検査方法に関する。
近年、乳癌は女性の主な死亡原因のひとつとして挙げられる。したがって、乳癌のスクリーニングと早期診断は、死亡率を減少させ、健康管理の費用の抑制において非常に大きな価値を持つ。
従来では、乳房の組織の触診及びX線撮影により、疑わしい組織変形を探索し、X線写真に疑わしい箇所があると、超音波撮像さらには外科的組織検査を行う。これらの一連の検査は最終的な結論に達するまでにかなりの時間を要する。また、閉経前の若年層においては乳腺が多いため、X線撮影においては感度が得にくいということが知られている。したがって、若年層にとって超音波撮像によるスクリーニングは大変重要である。
一般に、超音波撮像においては、認定された操作者が超音波静止画像の採取を行う。そして、採取された画像を専門の読影者(複数の場合もある)が読み、画像上の形態情報から乳癌であるか否かを判定する。検診においては操作者の疲労と集中力低下による見落としの危険性を鑑み、一人の操作者によるスクリーニングは一日あたり最大でも50名が限度とされる。
超音波撮像において、形態的特徴を捉えた静止画像を採取するには操作者の知識と経験が非常に重要となる。また、的確かつ迅速なスクリーニングには、習熟度も要求される。例えば被験者一人あたりの検査時間は標準的に5分から10分であるが、操作者の技能によってはさらに時間がかかる場合もある。すなわち、現在の超音波撮像によるスクリーニングにおいては、操作者の熟練度によって画像採取の的確性がばらつく可能性がある。さらに、画像採取に際しては常時画像の注視が必要な上、操作者単独の判断にゆだねられるため、熟練した操作者であってもその精神的負担は大きい。操作者の負担を軽減するため、動画ですべての画像情報を採取する方式もあるが、その方式では読影者側の負担が大きくなる。
なお、光計測により乳癌のスクリーニングを行う方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、光計測単独では分解能が低く、解析にかなりの時間を要するという問題がある。
特開2005−331292号公報
以上のように、従来における乳癌等の超音波診断では、超音波静止画像を採取する操作者等の熟練度によって検査の精度に差があるのに加え、操作者及び読影者の負担が大きいという問題があった。
そこで、本発明の目的は、形態的特長を捉えた超音波画像を短時間に効率的に採取することができ、使用する操作者の習熟度による検査結果のばらつきを抑え、かつ、操作者及び読影者の負担を軽減することが可能な生体検査装置及び生体検査方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る生体検査装置は、生体の異常組織の吸収波長帯である特定波長成分を含む光を前記生体の表面から内部に向けて照射する光照射器と、前記光照射器の周囲の互いに異なる位置に配置され、それぞれ前記光照射器から照射され前記生体内で拡散反射された前記特定波長の光強度を検出する複数の光検出器と、前記複数の光検出器それぞれで検出される光強度の変化から、前記光照射器の光照射部位に対する前記生体内部の正常組織と異なる光吸収係数を示す異常部位の方向及び接近状態を算出する算出手段と、前記生体に対して超音波を送受信して前記生体内の超音波画像を取得する画像取得器とを具備し、前記算出手段で得られる異常部位の方向及び接近状態から求められる前記異常部位の直上に前記画像取得器を配置して、前記異常部位の超音波画像を取得するようにしている。
また、本発明に係る生体検査方法は、生体の異常組織の吸収波長帯である特定波長成分を含む光を前記生体の表面から内部に向けて照射し、前記生体内部に照射され当該生体内で拡散反射された前記特定波長の光強度を検出し、前記検出される光強度の変化から、前記光の照射部位に対する前記生体内部の正常組織と異なる光吸収係数を示す異常部位の方向及び接近状態を算出し、前記生体に対して超音波を送受信して前記生体内の超音波画像を取得すると共に、前記異常部位の方向及び接近状態から求められる前記異常部位の直に前記画像取得器を配置して、前記異常部位の超音波画像を取得するようにしている。
この発明によれば、的確な超音波画像を短時間に効率的に採取することができ、使用する操作者の習熟度による検査結果のばらつきを抑え、かつ、操作者及び読影者の負担を軽減することが可能な生体検査装置及び生体検査方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る生体検査装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示す生体検査装置は、光源20と、測定プローブ10と、光演算部30と、超音波演算部40と表示部50とを備える。
上記光源20は、異常組織の吸収波長帯である600nm〜1000nmの波長を含む光を生成するもので、この光源20には、半導体レーザ、発光ダイオード、固体レーザ、ガスレーザなどの発光素子が用いられる。
上記測定プローブ10は、光照射部11と、光検出部12と、超音波振動子13とを備え、生体に対して直接接触させるか、補助治具を用いて近接させて使用する。上記光照射部11は、光源20で発光される光を光ファイバまたは薄膜光導波路によって、あるいは直接空間伝播させて光出射端に導き、当該光を生体内に向けて照射する。上記光検出部12は、光照射部11によって照射された光が生体内で反射された光を光入射端から取り込んで光強度を検出するもので、その検出信号は光演算部30に送られる。上記超音波振動子13は、圧電変換素子を用いて、超音波振動させて生体内に超音波を当て、生体内で反射された超音波を受信するもので、その受信信号は超音波演算部40に送られる。
上記光演算部30は、光検出部12で検出される光強度の変化から、光照射部11の光照射部位に対する生体内部の正常組織と異なる光吸収係数を示す異常部位の方向及び、異常部位の接近状態を示す接近指数を算出する。上記超音波演算部40は、通常の超音波検査装置で用いられる演算部に準拠し、超音波振動子13で得られた受信信号から超音波画像を生成する。上記表示部50は、光演算部30で算出された異常部位の方向及び接近指数と、超音波演算部40で得られた超音波画像とを受け取り、これらを同一画面で同時に表示する。
図2は、上記測定プローブ10の具体的な構成を示す模式図である。
図2において、測定プローブ10は、略凸形状を成し、その長手方向に、例えば微小な複数の圧電変換素子を帯状に二次元状に配列した超音波振動子13が配置される。また、測定プローブ10の略中心には、上記超音波振動子13における長手方向の中心線との距離が7.5mmとなるように上記光照射部11の光出射端が配置される。
上記光検出部12は、上記測定プローブ10において、上記光照射部11の光出射端を中心とした半径15mmの円周上で8等分された位置のうちに配置される6個の光検出器12−1〜12−6と、超音波振動子13を挟んで延長された位置に配置される2個の光検出器12−7〜12−8とを備える。これら合計8個の光検出器12−1〜12−8は、それぞれ一方端が光入射端となる光ファイバと、この光ファイバで伝送される光を入射して受光するフォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子又は、光電子増倍管などを備える。そして、光照射部11の光出射端から照射されて生体内で拡散反射された光を、光ファイバの端部から受光し、受光した光の光強度を受光素子又は光電子増倍管などにより検出する。このとき、光検出器12−1〜12−8は、生体からの反射光を、光ファイバの端部を生体に直接接触させてもしくは間接的に検出する。
次に、上記構成における生体検査装置の光演算部30での異常部位の方向及び接近指数を求める演算方式について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る光演算部30での異常部位の方向及び接近指数を求める演算方式を説明する模式図である。図3(a)は光演算部30が基準値を採取する際の模式図を示し、図3(b)は光演算部30が測定値を採取する際の模式図を示し、図3(c)は光演算部30が異常部位の方向を算出する際の模式図を示す。尚、図3(b),(c)では、異常組織部分を球状の吸収体として示している。図4は、光演算部30における演算方式により算出される各パラメータを示す。尚、ここでは、説明を簡単にするため、光照射部11の光出射端を中心とする十字状に光検出器12ch1〜12ch4の光入射端を配置したときの例について説明する。
いま、光照射部11の光出射端と光検出器12ch1〜12ch4の光入射端で構成される光計測部を、光計測プローブと呼称する。本発明における光計測プローブにおいて、異常部位の方向及び接近指数の算出は、光照射部11の光出射端を原点とする光検出器12ch1〜12ch4の位置情報を利用する。以下に具体的演算方法を記す。箇条番号は図4に対応する。
(1)光照射部11の光出射端を原点として光検出器12ch1〜12ch4の光入射端の測定平面における座標を定める。
(2)正常組織を経由した光の光強度を基準値sn(nは光検出器12ch1〜12ch4のch番号)として設定する。図3の例では光検出器12ch1〜12ch4の光入射端は等距離に配置されているため、snは同値となる。なお、基準値snは実測してもよいが、正常組織の吸収係数は個人差が小さいため、光照射部11の光出射端と光検出器12ch1〜12ch4の光入射端との距離で決まる理論値を設定することも可能である。
(3)光検出器12ch1〜12ch4のうちのいずれかの光検出器の基準値により、他の基準値を正規化し、光照射部11の光出射端からの距離の違いを考慮した重み係数knを設定する。図3の例では光検出器12ch1〜12ch4の光入射端が等間隔配置のため、kn=1となる。
(4)光強度を実測する。光検出器12ch1〜12ch4の測定値anを採取する。
(5)測定値anと基準値snの差(=変化量)を求め、さらに基準値snで割ることで、出力変化率dnを算出する。
dn=(sn−an)/sn
(6)光検出器12ch1〜12ch4の光入射端のx,y座標に、それぞれの出力変化率dnと重み係数knとを乗じ、(Xn,Yn)とする。
(Xn,Yx)=(xn・dn・kn,yn・dn・kn)
(7)光検出器12ch1〜12ch4の(Xn,Yn)を合計し、(X,Y)とする(または平均値でもよい)。
Figure 2009077931
(8)(X,Y)から方向θを求める。
Figure 2009077931
この方向θが異常部位の存在する方向である。
(9)各光検出部12ch1〜12ch4の(Xn,Yn)の絶対値の合計値Mを求める。
Figure 2009077931
合計値Mの増減によって異常部位への接近状態がモニターされる。合計値Mを接近指数と定義する。光計測プローブを走査し、接近指数Mが増加傾向にあれば、光計測プローブの光照射部11の位置が異常部位へ近付いていることを表す。
なお、光検出器12ch1〜12ch4の光入射端の配置は等間隔である必要はないが、方向θの精度を向上させるには光照射部11の光出射端に対して放射状に配置されることが望ましい。また、接近指数Mによる接近状態のモニターについては、光計測プローブを走査して接近指数Mの変化が相対的に3倍以上増大すれば、理論計算上、異常組織が存在していると疑われる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る測定プローブ10が異常部位に近づいたときの一例を示す模式図である。この場合の異常部位は、生体の測定面上から見て光照射部11から半径20mmの円周上かつ、生体表面から深さ30mmの位置にあるものとする。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る生体検査装置の光演算部30で算出される方向θの数値解析の結果である。図6は、異常部位の大きさ:半径10mm、配置位置:生体の測定面上から見て光照射部11の光出射端から半径20mmの円周上、生体表面から深さ30mm、であるときの異常部位の実際の配置方向と算出された方向θとの関係を示す。図6における方向θの算出結果から、方向θは実際の方向とほぼ等しいことが分かる。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る生体検査装置の光演算部30で算出される接近指数Mの数値解析の結果である。図7は、異常部位の大きさ:半径10mm、配置位置:生体表面から深さ30mm、であるときの光照射部11の光出射端と異常部位との実際の距離と、算出される接近指数Mとの関係を示す。図7から、光照射部11の光出射端と異常部位とが近距離であるほど、接近指数Mが増加することがわかる。また結果は掲載していないが、この傾向は光照射部11の光出射端を中心とするどの放射方向においても同様に得られることがわかった。また、吸収体の光吸収係数や、吸収体の深さが変化しても同様の傾向が得られることがわかった。
従って、光によって異常部位の方向と接近状態をモニターすることができるため、超音波撮像においてプローブを適宜走査して疑わしい部分の画像を選択的に採取することが可能となる。
次に、上記構成における生体検査装置の模擬実験の結果を示す。
まず、測定対象として生体をモデル化したファントムを作製した。ファントムは寒天を母材とし、散乱体(脂肪球分散液:製品名イントラリピッド)を分散させてブロック状に形成したもので、乳房と同じ音響特性、吸収係数を持つよう調整した。ブロックには直径10mmの吸収体(寒天に墨汁を分散させて球状に硬化させたもの)を、深さ10mmの位置に1個内包させた。ブロックは白濁しているが、吸収体が黒いため、可視光下では目視で吸収体の位置がわかる。
図2に示す測定プローブ10を吸収体から離れた部分のブロック上に密着させて毎秒1cm程度の速度で適宜走査し、光計測と超音波画像観察を実行した。その際、ブロック表面は観察しないようにした。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る光演算部30による方向θ及び接近指数Mの実験結果を示すグラフである。なお、本実験では、操作者がプローブを毎秒1cm程度で走査するため、接近指数Mを示すグラフの横軸を時間としている。
ファントムにおける散乱体はやや不均一な部分もあるため、接近指数Mの値が小さい範囲では方向θは零度付近で細々と変動した。接近指数Mが大きくなるにつれて方向θは増加し、吸収体の方向を示す。そして、吸収体に接近すると接近指数Mが急激に増加し、方向θは零度に漸近した。
接近指数Mが極大となったところで方向θはほぼ零度となったため、一旦測定プローブ10を静止させた。このとき、吸収体は、光照射部11の光出射端の直下に存在するはずである。プローブ静止位置からプローブ10を超音波振動子13の中心線側に移動させると、超音波画像上に吸収体の形状が現れた。図9は、生体検査装置で得られた超音波画像を示す図である。図中の上部に見える球体が吸収体を示す。
図9に示す結果における吸収体の深さと位置は設計値どおりであった。また、一旦静止した位置からの測定プローブ10の移動量を測定したところ、光照射部11の光出射端と超音波振動子13の中心線との距離約7.5mmと一致した。さらに、測定プローブ10をブロックから離してみると、プローブ直下に吸収体の存在が確認された。すなわち、光計測によって超音波画像採取に適する部分、つまり吸収体の直上に超音波振動子13を誘導できることが証明された。
次に、生体検査装置を乳癌検査に用いる場合の使用方法について説明する。図10(a)〜(d)はそれぞれ超音波検査における超音波振動子13の乳房に対する走査方法の例を示すモデル図で、図中矢印の方向に測定プローブ10を走査する。なお、実際の乳癌の検査では、超音波振動子13は常にオンとなっており、光検出部12による光の検出と共に超音波画像を取得する。また、操作者は、乳房の全面を走査するため、上記のファントムにおける測定のように、光計測で反応する部位だけを追うことはない。方向及び接近指数である光計測データは、超音波画像の例えばインジケータとして表示させることで、超音波画像の形態情報の着目を促す用途に用いられる。図11は、表示部50の表示画面の一例を示した模式図である。表示部50は、超音波画像と光計測データとを受け取り、同一画面で同期させて表示する。
なお、適切な超音波画像を取得する際に注意すべきは、光計測と超音波計測の位置関係を考慮した測定プローブ10の走査方向である。進行方向の前方に光照射部11を位置させ、超音波画像の取得よりも先に光計測データを採取するように注意する。先に採取された光計測データを参照することで、操作者はプローブ移動中の超音波振動子13で撮像される超音波画像に着目することができる。
また、全面走査直後、疑わしい部位の超音波画像を再度取得する必要が生じた場合においては、出力された光計測データから疑わしい部位を検索することにより、その部位を迅速かつ適格に発見することができる。なお、光計測データの表示方法は、図7及び図10に示した例に限らず、レベルメータやタコメータ形状であってもよく、操作者、読影者にとって直感に訴えるいかなる表示をとることも可能である。
以上のように、上記第1の実施形態では、光計測により算出される方向及び接近状態を参照することで、異常部位の位置を特定する。そして、この位置から超音波を送受信することにより、異常部位の超音波画像を取得する。これにより、操作者は、光計測データを参照しながら超音波画像に着目することで異常部位を発見することが可能であるため、精神的緊張が緩和される。また、読影者は、光計測データを参照することで疑わしい部位を迅速かつ的確に発見することが可能となるため、検査時の負担が軽減される。
従って、本発明に係る生体検査装置及び生体検査方法によれば、的確な超音波画像を短時間に効率的に採取することができ、操作者の習熟度によるばらつきを抑え、かつ、操作者及び読影者の負担を軽減することができる。
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態に係る生体検査装置の機能構成を示すブロック図を示す。なお、図12において、図1と同一部分には同一符号を付して示し、ここでは重複する説明を省略する。
自走機構部14は、測定プローブ10の自動走査を可能にするための機構である。なお、自走の機構については、例えば上から吊り下げられたプローブで胸部の凹凸に応じて上下動および前後左右に自走する機構、あるいは、胸部をはめ込むようなベッドにうつぶせになり下側から自動スキャンする機構等が挙げられる(例えば、特開2002−336256。)。
制御部60には、図10の(a)〜(d)に示すような測定プローブ10の走査パターンが予め設定されている。制御部60は、設定されている走査パターンに基づいて自走機構部14による移動を制御する。また、測定プローブ10では、自走時に光検出部11から光計測データを取得し、合わせて超音波振動子13の超音波受信結果から超音波画像を作成する。そして、制御部60は、測定プロープ10の自走により順次取得された光計測データを参照し、得られた超音波画像から疑わしい部位の画像を自動的に抽出する。また、一旦全体をトレースした後、疑わしい部位の超音波画像を再度撮像したい場合は、トレースで取得された異常部位の方向及び接近指数から疑わしい部位を特定し、自走機構部14を制御して測定プローブ10をその部位まで移動させる。そして、超音波振動子13に疑わしい部位の直上から超音波を送受信させ、高精度な超音波画像を再度撮像させる。
自動測定においては、測定プローブ10の移動速度を一定にできるため、光演算部30は光計測データ表示に遅延をかけて表示部50に出力する。これにより、超音波画像と同位置における光計測データを合わせてモニタ表示させることが可能となる。
以上のように、上記第2の実施形態では、制御部60は、測定プローブ10を自動走査し、光計測データを参照して疑わしい部位の超音波画像を自動的に抽出する。これにより、読影者は光計測データをマーカーとして参照することで、異常部位を判定する負担が軽減され、判定時間の短縮をはかることが可能となる。
従って、本発明に係る生体検査装置及び生体検査方法によれば、操作者の手によらず、機械的にプローブを生体部位に対してスキャンして超音波画像を採取することができる。また、得られた超音波画像から適切な画像を抽出することができる。つまり、本発明に係る生体検査装置は、操作者の負担を格段に軽減することができる。また、本装置は、疑わしい部位の検出も行い得るため、読影者の負担を軽減することもできる。
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
本発明に係る生体検査装置の第1の実施形態の機能構成を示すブロック図。 上記第1の実施形態の測定プローブの構成を示す模式図。 上記第1の実施形態における異常部位の方向及び接近指数を求める演算方式を説明する模式図。 上記第1の実施形態における異常部位の方向及び接近指数を算出する際の各パラメータ。 上記第1の実施形態の測定プローブの周囲に異常部位が存在するときの模式図。 上記第1の実施形態における異常部位の方向の数値解析の結果。 上記第1の実施形態における異常部位の接近指数の数値解析の結果。 上記第1の実施形態における異常部位の方向及び接近指数の実験結果。 上記第1の実施形態の模擬実験における超音波画像。 上記第1の実施形態の生体検査装置の走査例。 上記第1の実施形態の表示部における表示画面の一例。 本発明に係る生体検査装置の第2の実施形態の機能構成を示すブロック図。
符号の説明
10…測定プローブ
11…光照射部
12…光検出部
12−1〜12−8,12ch1〜12ch4…光検出器
13…超音波振動子
14…自走機構部
20…光源
30…光演算部
40…超音波演算部
50…表示部
60…制御部

Claims (8)

  1. 生体の異常組織の吸収波長帯である特定波長成分を含む光を前記生体の表面から内部に向けて照射する光照射器と、
    前記光照射器の周囲の互いに異なる位置に配置され、それぞれ前記光照射器から照射され前記生体内で拡散反射された前記特定波長の光強度を検出する複数の光検出器と、
    前記複数の光検出器それぞれで検出される光強度の変化から、前記光照射器の光照射部位に対する前記生体内部の正常組織と異なる光吸収係数を示す異常部位の方向及び接近状態を算出する算出手段と、
    前記生体に対して超音波を送受信して前記生体内の超音波画像を取得する画像取得器と
    を具備し、
    前記算出手段で得られる異常部位の方向及び接近状態から求められる前記異常部位の直上に前記画像取得器を配置して、前記異常部位の超音波画像を取得することを特徴とする生体検査装置。
  2. 前記生体表面上で前記光照射器の照射部位を予め決められたルートで自動的に移動させる光照射部位移動制御手段と、
    前記算出手段で得られる前記異常部位の方向及び接近状態の情報から前記異常部位の直上位置をもとめ、この直上位置に前記画像取得器を移動させて前記生体内の超音波画像を取得させる画像取得器制御手段と
    をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の生体検査装置。
  3. 前記算出手段は、
    前記光照射器に対する前記複数の光検出器の相対位置情報に基づいて前記生体内の正常部位を経由した光の光強度を前記各光検出器の基準値として算出し、
    前記複数の光検出器のうちのいずれかの光検出器の基準値により他の光検出器の基準値を正規化して前記複数の光検出器における光信号強度の重み係数を算出し、
    前記複数の光検出器それぞれで実測される光強度と前記基準値との差を当該基準値で割ることで前記複数の光検出器の変化率を算出し、
    前記相対位置情報と前記基準値と前記重み係数と前記変化率とから前記異常部位の方向及び接近状態を算出することを特徴とする請求項1または2記載の生体検査装置。
  4. 前記異常部位の方向は、前記各光検出手段における前記相対位置情報のx,y座標と前記変化率と前記重み係数との積を合算もしくは平均して算出するX,Y方向成分の合成ベクトルのX方向成分に対する偏角であることを特徴とする請求項3記載の生体検査装置。
  5. 前記異常部位の接近状態は、前記各光検出手段における前記相対位置情報のx,y座標と前記変化率と前記重み係数との積の絶対値を合算して算出するX,Y成分を合計して得られた値であることを特徴とする請求項3記載の生体検査装置。
  6. 前記光照射器は、前記光を生体に照射する光照射部を備え、
    前記画像取得器は、前記超音波を送受信する超音波振動子を備え、
    前記光照射部と前記超音波振動子とは隣接配置されることを特徴とする請求項1または2記載の生体検査装置。
  7. 前記方向及び接近状態と前記超音波画像とを表示する表示装置をさらに備え、
    前記算出手段は、前記光照射部に対する前記超音波振動子の位置の差に基づいて前記方向及び接近状態を前記画像取得器で得られる超音波画像に同期させて前記表示装置に送ることを特徴とする請求項6記載の生体検査装置。
  8. 生体の異常組織の吸収波長帯である特定波長成分を含む光を前記生体の表面から内部に向けて照射し、
    前記生体内部に照射され当該生体内で拡散反射された前記特定波長の光強度を検出し、
    前記検出される光強度の変化から、前記光の照射部位に対する前記生体内部の正常組織と異なる光吸収係数を示す異常部位の方向及び接近状態を算出し、
    前記生体に対して超音波を送受信して前記生体内の超音波画像を取得すると共に、前記異常部位の方向及び接近状態から求められる前記異常部位の直に前記画像取得器を配置して、前記異常部位の超音波画像を取得することを特徴とする生体検査方法。
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