JP2009063113A - ボールジョイント及びそのベアリングシート - Google Patents

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Abstract

【課題】軸方向の耐荷重を向上できるボールシートを提供する。
【解決手段】ボールスタッドのボール部を回動可能に保持するボールシート本体45から突出したリブ部47をクッションシートの軸方向の一端側に接触させてクッションシートを軸方向に支持する。クッションシートの可撓変形で吸収しきれない軸方向荷重は、リブ部47の可撓変形により吸収できるとともに、リブ部47を介してボールシート本体45によって受けることができるので、軸方向の耐荷重を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボールスタッドのボール部を回動可能に保持する筒状のベアリングシート本体を有するベアリングシート及びこれを備えたボールジョイントに関する。
従来、例えば車両用の懸架装置などに用いられるボールジョイントは、金属製などの略円筒状のハウジングであるソケットと、このソケットに挿通された鋼鉄製などのボールスタッドと、このボールスタッドのボール部を回動可能に保持してソケット内に取り付けられる合成樹脂製などの可撓性を有するベアリングシートであるボールシートと、これらボールスタッド及びボールシートをソケットに対して抜け止めする円筒状のプラグとを備えている。ボールシートは、略円筒状のベアリングシート本体であるボールシート本体の両端面に、周方向に沿って環状の溝部が形成され、この溝部の内側と外側とがそれぞれリブとなっている。外側のリブは、プラグをソケットに組み付ける際に軸方向で潰れる状態で加圧されることにより、ボールスタッドのボール部の表面にボールシート本体の内面が圧着されて、ボールスタッドのボール部の摩擦トルクが略一定となるように設定されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−168233号公報(第4−5頁、図1)
しかしながら、上述のボールジョイントでは、例えばボールスタッドに対して軸方向に所定の荷重が加わると、この荷重によりボールシート本体が軸方向にわずかに可撓変形して荷重を吸収するものの、充分な耐荷重を得ることが容易でないという問題点を有している。
そこで、軸方向の荷重に対して大きく可撓変形することで荷重を吸収するクッションシートをソケットに取り付けて耐荷重を向上することも考えられるものの、このボールジョイントでは、クッションシートの特性のみに依存して耐荷重が設定されるので、やはり充分な耐荷重を得ることが容易でないという問題点を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、軸方向の耐荷重を向上できるベアリングシート及びこれを備えたボールジョイントを提供することを目的とする。
請求項1記載のベアリングシートは、ボールスタッドからの軸方向荷重の少なくとも一部を軸方向への可撓変形により吸収する筒状のクッションシートに対して軸方向に隣接して配置され、前記ボールスタッドのボール部を回動可能に保持する筒状のベアリングシート本体と、このベアリングシート本体から突出し、前記クッションシートの軸方向の一端側に接触してこのクッションシートを軸方向に支持する可撓変形可能な突出部とを具備したものである。
請求項2記載のベアリングシートは、請求項1記載のベアリングシートにおいて、突出部は、ベアリングシート本体の周方向に略等間隔に複数設けられているものである。
請求項3記載のボールジョイントは、内室及びこの内室に連通する開口部を有するハウジングと、このハウジングの内室にベアリングシート本体が取り付けられた請求項1または2記載のベアリングシートと、前記ベアリングシート本体に回動可能に保持されたボール部を備えたボールスタッドと、前記ハウジングの開口部に少なくとも一端側が取り付けられてこの一端側が前記ベアリングシートの突出部と接触し、前記ボールスタッドからの軸方向荷重の少なくとも一部を、軸方向への可撓変形により吸収する筒状のクッションシートとを具備したものである。
請求項1記載のベアリングシートによれば、ベアリングシート本体から突出した突出部をクッションシートの軸方向の一端側に接触させてこのクッションシートを軸方向に支持することにより、クッションシートの可撓変形で吸収しきれない軸方向荷重は、突出部の可撓変形により吸収できるとともに、この突出部を介してベアリングシート本体によって受けることができるので、軸方向の耐荷重を向上できる。
請求項2記載のベアリングシートによれば、請求項1記載のベアリングシートの効果に加えて、突出部をベアリングシート本体の周方向に略等間隔に複数設けることで、各突出部によって軸方向荷重をベアリングシート本体で略均等に受けることができ、軸方向の耐荷重性を、より向上できる。
請求項3記載のボールジョイントによれば、請求項1または2記載のベアリングシートを備えることで、軸方向の耐荷重を向上できる。
以下、本発明の一実施の形態のベアリングシートの構成を図1ないし図3を参照して説明する。
図3において、11はボールジョイントを示し、このボールジョイント11は、ボールブッシュとも呼ばれるもので、金属製などの略円筒状のハウジングであるソケット12と、このソケット12に挿通された鋼鉄製などのボールスタッド13と、ソケット12に取り付けられたクッションシート14及びベアリングシートであるボールシート15と、ゴムあるいは軟質合成樹脂などにて略円筒状に形成された第1ダストカバー16と第2ダストカバー17とを備えている。
ソケット12は、例えばアルミニウムなどの部材を鋳造、あるいは鍛造して成形後、切削成形されて、内室としての断面円形状の空間であるシート嵌着部21が内部に設けられている。また、図3の1点鎖線に示すソケット12の中心軸Oに沿った方向、すなわち軸方向の一端部、換言すれば図3中の上側には、シート嵌着部21に連通しクッションシート14が取り付けられる開口部としての第1開口部22が開口形成され、軸方向の他端部、換言すれば図3中の下側には、シート嵌着部21に連通する第2開口部23が開口形成されている。
なお、以下、便宜的に、上下方向は図1ないし図3中の上下方向に対応するものとして説明する。
第1開口部22は、開口方向がソケット12の軸方向に沿って設けられている。また、第1開口部22は、シート嵌着部21に連通した内縁部に、クッションシート14の下端側を保持するための保持部である保持段部24を備えている。この保持段部24は、ソケット12の径方向に沿って、かつ、ソケット12の全周に亘って円形状に設けられている。また、第1開口部22の周縁部であるソケット12の上端部には、ソケット12と同軸状の円筒状のかしめ変形部27が形成される。このかしめ変形部27は、内方(中心軸方向)に向けてかしめ加工されることによりクッションシート14を保持段部24との間で挟持して係止固定する。
第2開口部23は、ソケット12の軸方向のシート嵌着部21と反対側に向けて徐々に拡径されている。また、第2開口部23の周縁部である下側の外周面には、第2ダストカバー17の上端側が嵌着される円筒面状のカバーセット部28が段差状に切り欠き形成されている。
また、ボールスタッド13は、球頭部であるボール部31と、このボール部31から互いに反対方向である上下方向に突出した軸部である略円柱状の第1スタッド部33及び第2スタッド部34がそれぞれ突設されている。
ボール部31は、各スタッド部33,34よりも径大に形成され、ボールシート15内に摺動(回動)可能に保持された状態でボールシート15とともにソケット12のシート嵌着部21内に保持されている。さらに、各スタッド部33,34は、中心軸がボール部31の中心を通る一直線上に位置するように形成されている。
第1スタッド部33は、クッションシート14に挿通されてソケット12の上方に突出している。また、この第1スタッド部33の先端側、すなわちボール部31と反対側である上端側の外周面には、第1ダストカバー16の上端側が嵌着される第1ダストカバー溝部35が外周面に設けられている。
一方、第2スタッド部34は、第1スタッド部33と略等しい形状に形成され、ソケット12の第2開口部23からソケット12の下方に突出している。すなわち、第2スタッド部34は、第1スタッド部33と略等しい外径寸法を有し、先端側、すなわちボール部31と反対側である下端側の外周面に、第2ダストカバー17の下端側が嵌着される第2ダストカバー溝部41が設けられている。
クッションシート14は、弾性を有するポリウレタン、ポリエステル、あるいはゴムなどの合成樹脂により略円筒状に形成され、ボールスタッド13に外部から加わる軸方向荷重の少なくとも一部を受け、軸方向に可撓変形することで、この荷重を吸収するものである。また、クッションシート14は、第1ダストカバー16の下端側が嵌着される円筒面状のカバーセット部42が上端側の外周面に段差状に切り欠き形成されている。このカバーセット部42は、カバーセット部28と対応するもので、このカバーセット部28と略等しい径寸法に形成されている。さらに、クッションシート14の下端部には、径方向に向けて突出した突出保持部43が形成され、この突出保持部43の下端側は、軸方向に対して交差(直交)する方向に沿う平面状の当接部である当接面部44となっている。この当接面部44は、外周縁部がソケット12の保持段部24に支持されるとともに、内周側がシート嵌着部21の内壁から内方に突出し、第1スタッド部33の基端部(下端部)近傍まで延設されている。
突出保持部43は、かしめ変形部27により保持段部24との間に保持される部分であり、径方向に向けて厚みが小さくなるように、上側面が内方から外方へと徐々に下方に傾斜されている。
ボールシート15は、剛性及び弾性を有する例えばポリアセタールなどの合成樹脂にて形成され、クッションシート14と軸方向に隣接してソケット12のシート嵌着部21内に保持されている。また、このボールシート15は、略円筒状の本体部であるベアリングシート本体としてのボールシート本体45と、このボールシート本体45の上端側の外周面に形成された離間部である切欠溝部46と、ボールシート本体45の上端部から上方、すなわちクッションシート14側へと突出した可撓変形可能な凸部としての突出部であるリブ部47とを備えている。
ボールシート本体45は、ソケット12の第1開口部22に連通されボールスタッド13の第1スタッド部33が挿通される第1開口48が上端に開口形成されているとともに、ソケット12の第2開口部23に連通されボールスタッド13の第2スタッド部34が挿通され第2開口49が下端に開口形成されている。さらに、このボールシート本体45内には、ボール部31の外周面を摺動(回動)可能に保持する保持面51が形成されている。そして、この保持面51とボールスタッド13のボール部31の外周面との間には、潤滑剤としての図示しないグリースが保持されている。
切欠溝部46は、ボールシート本体45の上端部の外周面全体に亘って全周に形成され、シート嵌着部21の上端側である保持段部24の下部の内周面から離間されてこの内周面に対向している。したがって、この切欠溝部46とシート嵌着部21の内周面との間には、空間部53が形成されている。
リブ部47は、ボールシート本体45の周方向に互いに略等間隔に離間されて複数、例えば8つ設けられている。すなわち、リブ部47は、ボールシート本体45の中心軸に対して、平面視で互いに略等角度をなす位置、すなわち正八角形の各頂点に対応する位置にそれぞれ設けられ、これらリブ部47の間が、それぞれボールシート本体45の上端面である凹部55となっている。また、これらリブ部47は、ボールシート本体45の周方向に沿って長手状に形成されている。さらに、これらリブ部47の先端側(上端側)は、クッションシート14の当接面部44に対して、内周側の縁部で、略垂直、すなわちボールシート本体45の径方向に沿って接触し、クッションシート14を軸方向に支持している。
また、ダストカバー16,17は、ダストシールあるいはブーツなどとも呼ばれるものである。第1ダストカバー16は、上端側が第1スタッド部33の第1ダストカバー溝部35に嵌着されているとともに、下端側がクッションシート14のカバーセット部42に嵌着され、この下端側が環状の第1クリップ54にてカバーセット部42に係止される。また、第2ダストカバー17は、第1ダストカバー16と略等しい形状に設けられている。すなわち、第2ダストカバー17は、下端側が第2スタッド部34の第2ダストカバー溝部41に嵌着されているとともに、上端側がソケット12のカバーセット部28に嵌着され、この上端側が環状の第2クリップ57にてカバーセット部28に係止される。
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
まず、ボールシート15のボールシート本体45の保持面51にてボールスタッド13のボール部31を回動可能に保持し、これらボールスタッド13及びボールシート15をソケット12のシート嵌着部21に挿入する。
次いで、クッションシート14の当接面部44の外周縁部をソケット12の保持段部24に載置した状態で、所定のかしめ加工器などによりかしめ変形部27を中心軸方向へとかしめ変形することで、クッションシート14がソケット12の第1開口部22に保持され、このクッションシート14の当接面部44にリブ部47が当接することで、ボールシート15が上側から押さえつけられてシート嵌着部21に抜け止め固定される。
この後、各ダストカバー16,17をそれぞれ取り付けて開口部22,23をそれぞれ覆い、ボールジョイント11を組立形成する。
ボールジョイント11の第1スタッド部33に対して、軸方向に垂直に荷重が加わると、まず、クッションシート14が軸方向に可撓変形し、この変形によって軸方向荷重の少なくとも一部を吸収する。
また、クッションシート14の軸方向変形によって吸収しきれない軸方向荷重は、クッションシート14の下端側の当接面部44に接触するリブ部47の可撓変形によって吸収するとともに、リブ部47により分散されながらボールシート15によってさらに受けることで、吸収する。
このように、上記一実施の形態によれば、ボールシート本体45から突出したリブ部47をクッションシート14の軸方向の一端側に接触させてこのクッションシート14を軸方向に支持することにより、クッションシート14の可撓変形で吸収しきれない軸方向荷重は、リブ部47の可撓変形により吸収できるとともに、リブ部47を介してボールシート本体45によって受けることができるので、例えばボールシート15すなわちボールジョイント11を必要以上に大型化したり、クッションシート14の材質を変更したりすることなく、軸方向の耐荷重を向上できる。
すなわち、クッションシート14とボールシート15とを有する、いわゆる2ピース型のボールジョイント11とする場合には、クッションシート14の可撓性(弾性)により軸方向荷重を吸収することで、ボールシートのみを有する、いわゆる1ピース型のボールジョイントよりも軸方向の耐荷重を向上できるものの、このような2ピース型のボールジョイントであっても、軸方向荷重が過大である場合には、クッションシート14の可撓変形のみでは、軸方向荷重の一部を吸収できないこともある。したがって、上述のように、ボールシート15にリブ部47を設けてクッションシート14を軸方向に支持することで、2ピース型のボールジョイント11の構成を利用しつつ、軸方向の耐荷重を、より向上することが可能になる。
また、リブ部47をボールシート本体45の周方向に略等間隔に複数設けることで、各リブ部47によって軸方向荷重をボールシート本体45で略均等に受けることができ、軸方向の耐荷重を、より向上できる。
さらに、クッションシート14を軸方向に支持する突出部をリブ状のリブ部47とすることにより、軸方向荷重が加わった場合でも、これらリブ部47がクッションシート14の当接面部44に確実に接触して軸方向荷重を複数点に分散して確実に支持できる。
そして、保持段部24によりクッションシート14の当接面部44の外周側の縁部を支持するとともに、リブ部47によりクッションシート14の当接面部44の内周側の縁部を支持することにより、クッションシート14のボールシート15側を、保持段部24とリブ部47とによってバランスよく確実に支持できる。
なお、上記一実施の形態において、ボールスタッド13は、スタッド部33,34をいずれか一方のみ有するもの、あるいはスタッド部33,34をいずれも有さないものなどでもよい。
また、リブ部47は、クッションシート14の軸方向荷重を支持できれば、任意の個数設けることが可能である。
本発明の一実施の形態のベアリングシートを示す縦断面図である。 同上ベアリングシートを示す平面図である。 同上ベアリングシートを備えたボールジョイントを示す縦断面図である。
符号の説明
11 ボールジョイント
12 ハウジングであるソケット
13 ボールスタッド
14 クッションシート
15 ベアリングシートであるボールシート
21 内室としてのシート嵌着部
22 開口部としての第1開口部
31 ボール部
45 ベアリングシート本体であるボールシート本体
47 突出部であるリブ部

Claims (3)

  1. ボールスタッドからの軸方向荷重の少なくとも一部を軸方向への可撓変形により吸収する筒状のクッションシートに対して軸方向に隣接して配置され、前記ボールスタッドのボール部を回動可能に保持する筒状のベアリングシート本体と、
    このベアリングシート本体から突出し、前記クッションシートの軸方向の一端側に接触してこのクッションシートを軸方向に支持する可撓変形可能な突出部と
    を具備したことを特徴とするベアリングシート。
  2. 突出部は、ベアリングシート本体の周方向に略等間隔に複数設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載のベアリングシート。
  3. 内室及びこの内室に連通する開口部を有するハウジングと、
    このハウジングの内室にベアリングシート本体が取り付けられた請求項1または2記載のベアリングシートと、
    前記ベアリングシート本体に回動可能に保持されたボール部を備えたボールスタッドと、
    前記ハウジングの開口部に少なくとも一端側が取り付けられてこの一端側が前記ベアリングシートの突出部と接触し、前記ボールスタッドからの軸方向荷重の少なくとも一部を、軸方向への可撓変形により吸収する筒状のクッションシートと
    を具備したことを特徴とするボールジョイント。
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