JP2009046533A - 透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 - Google Patents
透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009046533A JP2009046533A JP2007211536A JP2007211536A JP2009046533A JP 2009046533 A JP2009046533 A JP 2009046533A JP 2007211536 A JP2007211536 A JP 2007211536A JP 2007211536 A JP2007211536 A JP 2007211536A JP 2009046533 A JP2009046533 A JP 2009046533A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- transparent crosslinked
- crosslinked film
- composition
- retardation
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Polarising Elements (AREA)
- Liquid Crystal (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
Abstract
【課題】本発明は、表面硬度に優れ、単独で自己支持性を有し、干渉縞がなく、さらには寸法安定性に優れ、光学的にも等方である透明架橋フィルムを提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の透明架橋フィルムは、ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を架橋させた透明架橋フィルムであって、フィルムの厚みが10〜150μmであり、全光線透過率が88%以上であり、面内リターデーションが5nm以下であり、厚み方向のリターデーションが5nm以下であることを特徴とする。本発明の透明架橋フィルムは、上記の液状硬化性組成物をフィルム状にして、そのガラス転位点温度に対して±30℃の温度で30秒以上の熱処理を行うことで得る。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の透明架橋フィルムは、ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を架橋させた透明架橋フィルムであって、フィルムの厚みが10〜150μmであり、全光線透過率が88%以上であり、面内リターデーションが5nm以下であり、厚み方向のリターデーションが5nm以下であることを特徴とする。本発明の透明架橋フィルムは、上記の液状硬化性組成物をフィルム状にして、そのガラス転位点温度に対して±30℃の温度で30秒以上の熱処理を行うことで得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明架橋フィルムに関し、更に詳しくは本発明のフィルムは自己支持性を有し、光学用フィルムとして好適な透明性、光学的等方性があり、かつ表面硬度、寸法安定性にも優れた透明架橋フィルムに関するものである。また、簡単な工程により製造できる透明架橋フィルムの製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイに使用される偏光子保護フィルムは、高度に光学的な等方性が要求され、一般的には、セルロース系樹脂、中でもトリアセチルセルロース樹脂からなるフィルム(TACフィルム)が多く用いられてきた。このTACフィルムは、表面硬度が不足するために適用場所によってハードコート層を積層させて偏光子保護フィルムとして使用されている。すなわち液晶ディスプレイ用途では、偏光子の上面(画像表示側)と下面(バックライト側)に1枚ずつ偏光子保護フィルムが使用されており、上面に使用される場合には、画面の耐久性の点から上記の様なハードコート層が積層されている。
従来、上面側に用いられる偏光子保護フィルムの基材フィルムとしては、透明性、ヘイズ値、機械特性の点からポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等が用いられている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムでは、その表面硬度を補うためにハードコート層が積層されるが、基材フィルムと、その上に設けたハードコート層との屈折率差により、界面で反射する光の干渉による干渉縞が生じたり、ある角度から見た時にぎらつきや部分的に虹彩状反射が発生したり、ディスプレイ用途に用いる場合には視認性の悪いものとなる。
またTACフィルムは透明性に優れ、ガラス転移点が高く、吸湿性に優れることから偏光子保護フィルムの主流をなしてきたが、上記したようにフィルムの表面鉛筆硬度が2B程度と極めて傷がつきやすいことから補完的にハードコート層を設ける必要があった。また、一方では面内や厚み方向でのリターデーションが完全に抑えきれないために高画質化においては改善が必要となってきた。特に、このような干渉縞、低リターデーション化の二つが大きな課題となっている。
前者の干渉縞の問題については、基材とハードコート層との間に、両者の中間の屈折率層をもつプライマー層を設ける方法が提案されているが(特許文献1)、干渉縞レスという点では不十分なものであった。また中間層を設けるため工程増によるコスト高や塵埃の付着などの問題があった。
その他の改善方法として、基材フィルムを溶解する溶剤を用いてハードコート層を塗布し、基材を溶解または膨潤させることで反射界面レスとして干渉縞を低減する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法では特殊な溶剤に限定され、作業環境が極めて悪い。さらにヘイズが高くなり視認性が低下する問題がある。
一方、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムの基材を用い、ハードコート層との屈折率差をほとんどなくすことで干渉縞をなくすことが提案されている(特許文献3)。
また、後者の低リターデーション化については、リターデーションを低減する添加剤を含有する方法(特許文献4)、溶液流延法で製造する工程においてフィルムに磁界、あるいは磁界と温度をかける方法(特許文献5)などが提案されている。
しかしながら、TACフィルムは機械的強度が弱くフィルムの薄膜化が困難であるという問題や、その製造過程で溶媒として塩化メチレンを用いるため環境の保全上も、TACフィルムに代替するものが求められてきた。
このように、高度な画質が求められる中で従来のTACフィルムの欠点を改善した透明フィルムが求められている。
特開2000−111706号公報
特開2003−205563号公報
特開2005−96095号公報
特開2007−65184号公報
特開2003−075634号公報
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、表面硬度に優れ、単独で自己支持性を有し、干渉縞がなく、さらには、光学的にも等方で、寸法安定性にも優れた透明架橋フィルム、および透明架橋フィルムの製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のようなフィルムを提供するものである。即ち、
本発明の透明架橋フィルムは、ビニルエステル組成物100重量部に対し、多官能アクリレート5〜50重量部を混合した組成物を硬化、架橋させてなる透明架橋フィルムであって、下記(1)〜(3)の態様を有するものである。
(1)該フィルムの厚みが10〜150μmである。
(2)該フィルムの全光線透過率が88%以上である。
(3)該フィルムの面内リターデーションが5nm以下であり、かつ厚み方向のリターデーションが5nm以下である。
本発明の透明架橋フィルムは、ビニルエステル組成物100重量部に対し、多官能アクリレート5〜50重量部を混合した組成物を硬化、架橋させてなる透明架橋フィルムであって、下記(1)〜(3)の態様を有するものである。
(1)該フィルムの厚みが10〜150μmである。
(2)該フィルムの全光線透過率が88%以上である。
(3)該フィルムの面内リターデーションが5nm以下であり、かつ厚み方向のリターデーションが5nm以下である。
また、上記のフィルムを得るために以下の工程を提供するものであるのが好ましい。即ち、
ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を調製する工程と、
前記液状硬化性組成物を基材上に塗布する工程と、
塗布された前記液状硬化性組成物を架橋硬化し厚さ10〜150μmにフィルム化する工程と、
前記フィルムのガラス転移点温度をTgとして、前記フィルムを(Tg−30)℃以上であり、かつ(Tg+30)℃以下の温度にて30秒以上熱処理する工程を有する透明架橋フィルムの製造方法であるのが好ましい。
ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を調製する工程と、
前記液状硬化性組成物を基材上に塗布する工程と、
塗布された前記液状硬化性組成物を架橋硬化し厚さ10〜150μmにフィルム化する工程と、
前記フィルムのガラス転移点温度をTgとして、前記フィルムを(Tg−30)℃以上であり、かつ(Tg+30)℃以下の温度にて30秒以上熱処理する工程を有する透明架橋フィルムの製造方法であるのが好ましい。
特に上記ビニルエステル組成物が、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸とをエステル化反応させて得られる組成物である透明架橋フィルムの製造方法であるのがより好ましい。
本発明の透明架橋フィルムによれば、単独フィルムとして自己支持性を有し、かつ十分な表面硬度を有するため、表面硬度化層を積層する必要がなく、干渉縞レスであり、更には、光学的にも透明で等方性があり、寸法安定性もあるため、反射防止フィルム、偏光板保護フィルム、電磁波シールドフィルム、拡散フィルム、プリズムフィルムなどの光学用フィルム部材、銘板、化粧板などの基材フィルムや、各種ディスプレイの基材フィルムを提供することができるという効果を奏する。
本発明は、前記課題、つまり表面硬度に優れ、単独で自己支持性を有し、干渉縞がなく、さらには寸法安定性に優れ、光学的にも等方である透明架橋フィルム、および製造方法について、鋭意検討し、主体となるビニルエステル組成物100重量部に、多官能アクリレート5〜50重量部を混合してなる組成物を厚さ10〜150μmにフィルム化し、硬化、架橋させたフィルムを、当該フィルムのガラス転位点温度をTgとして(Tg−30)℃以上であり、かつ(Tg+30)℃以下の温度にて30秒以上熱処理することで、かかる課題を一挙に解決する透明架橋フィルムを得ることができることを究明したものである。
以下、本発明について実施の形態について具体的に述べる。
以下、本発明について実施の形態について具体的に述べる。
本発明の透明架橋フィルムは、主成分のビニルエステル組成物に、多官能アクリレートを混合してなる液状硬化性組成物を用いて構成されてなるフィルムである。
ここで、ビニルエステル組成物とは、エポキシ基の開環反応により生成した2級水酸基と、(メタ)アクリロイル基とを同一分子中に共有する一連のオリゴアクリレートと定義する。かかるアクリレートは、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸とをエステル化反応させて得られるものであることが好ましい。
かかるビスフェノール型または脂環式エポキシ化合物としては、以下の様なものを例示することができる。すなわち、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応物、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、シクロヘキサンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、ノルボルナンジアルコールとエピクロルヒドリンとの反応物、テトラブロモビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応物、トリシクロデカンジメタノールとエピクロルヒドリンとの反応物、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカーボネート、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシカルボキシレートなどである。
次に液状硬化性組成物の第2の成分である多官能アクリレートとは一分子中に、3(より好ましくは4または5)個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であって具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサンメチレンジイソシアネートウレタンポリマーなどを用いることができる。
これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、市販されている多官能アクリル系化合物としては、三菱レーヨン株式会社;(商品名”ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名”デナコール”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名”NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名”UNIDIC”など)、東亜合成化学工業株式会社;(”アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(”ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名”KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名”ライトエステル”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
これらの多官能アクリレートはフィルムの表面硬度を向上させるのに有効である。多官能アクリレートの配合量は、上記のビニルエステル組成物100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部、更に好ましくは15〜25重量部である。この多官能アクリレートの配合量が、5重量部未満では表面硬度が不足し、逆に50重量部を超える場合にはフィルムの伸度が低下して、もろさが発現し、自己支持性に問題が生じる。
なお、本発明の透明架橋フィルムの表面硬度は、好ましくは耐擦傷性の点から鉛筆硬度でH以上、より好ましくは2H以上である。かかる表面硬度も勘案して多官能アクリレートの配合量は決定される。
なお、本発明の透明架橋フィルムの表面硬度は、好ましくは耐擦傷性の点から鉛筆硬度でH以上、より好ましくは2H以上である。かかる表面硬度も勘案して多官能アクリレートの配合量は決定される。
また、上記のビニルエステル組成物、多官能アクリレートの混合物以外に、アリルエステルモノマ−やアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーのような化合物を本発明の効果を阻害しない範囲内で、低粘度化などの目的で使用しても良い。
すなわち、かかるアリルエステルモノマ−としては、オルソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、コハク酸ジアリルなどを使用することができる。
また、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーとしては、メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、モルホリンアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2,6−ジブロム−4−tert−ブチルフェニルアクリレート、各種のウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどを使用することができる。
また、液状硬化性組成物には、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートを含めてもよい。かかるフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートは、透明架橋フィルムの特性(表面硬度、透明性、光学的等方性)を損なわない範囲で選択して使用される。
本発明の透明架橋フィルムは、上記組成物を架橋させるために硬化方法に応じて重合開始剤を添加することができる。架橋させる方法としては、加熱架橋または電離放射線架橋、例えば紫外線、電子線などによる架橋の、いずれかの方法または両者を併用して用いることができる。
まず、加熱架橋する場合は、重合開始剤として有機過酸化物を用いるのが有効である。かかる有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを使用することができ、具体的には以下に示すようなものが例示しうる。
すなわち、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5−ジブチルパーオキシヘキサンなどを使用することができる。また、紫外線架橋する場合は、重合開始剤として、以下に例示するような公知の光重合開始剤を使用することができる。
すなわち、2,2−ジメトキシ−1,2−ジゲニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モンフォリノプロパノン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイドなどを使用することができる。また必要に応じて架橋促進剤を添加することもできる。
かかる重合開始剤の添加量は、上記ビニルステル組成物と多官能アクリレートの混合物100重量部に対し、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部の範囲とするのがよい。
なお、電子線架橋の場合は特に開始剤を用い無くても良い。また紫外線によって架橋させる場合には、紫外線照射を窒素雰囲気下で行うのが効率的であるため好ましく採用される。
本発明においては、電離放射線により架橋する方法が好ましく採用される。以下に具体的な製膜方法を例示する。すなわち、上記液状硬化性組成物を、フィルム、金属板、回転するドラム上、あるいは無端の駆動ベルトといった基材上に流延し、乾燥後、紫外線もしくは電子線を照射して架橋し、得られたフィルムをドラム、もしくは該ベルトから連続的に剥離し巻き取る方法が好ましく用いられる。
この方法を用いる場合、基材表面は架橋後のフィルムの剥離応力を軽減し、フィルムの等方性を維持するためにシリコーン、フッ素化合物などにより表面処理されたものを用いるのが好ましい。
本発明の透明架橋フィルムの厚みは、機械的強度やハンドリング性などの点から、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μmであるのがよい。
また、液状硬化組成物中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などを含有してもよい。例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒子(例えば例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属微粉末、架橋高分子粒子など)、顔料、染料、界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩のようなイオン性導電剤、ポリチオフェンドープ体、ポリアニリンドープ体のような電子伝導性物質などの帯電防止剤、核剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを含有してもよい。
本発明の透明架橋フィルムは、リターデーションが好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下、特に好ましくは1.5nm以下であるのがよい。このようなリターデーションに制御することにより、光学的にも等方である特性を有することができる。本発明においては、光学的等方性の指標としてリターデーションを用いた。
ここでいうリターデーションとは、フィルム面内のリターデーション(Re)、およびフィルム厚み方向のリターデーション(Rth)の両方を表し、フィルムの主屈折率をnx(面内幅方向)、ny(面内長手方向)、nz(厚み方向)とし、フィルムの厚さをd(nm)とすると、Re=|nx−ny|×d、Rth=|(nx+ny)/2−nz|×dで求めたものである。
かかるRe、Rthは、市販の自動複屈折計(例えば王子計測社製、「KOBRA−21ADH」)を用いて測定することができる。
このようなフィルムを得るためには、上述した液状硬化性組成物を、回転するドラム上、あるいは無端の駆動ベルトといった基材上に流延して紫外線もしくは電子線を照射して硬化させ、得られたフィルムをドラム、もしくは該ベルトから連続的に剥離し巻き取り、熱処理装置に通すことで得られる。この熱処理工程を行うことにより、透明架橋フィルムのリターデーション値を所望の値まで小さくすることができる。
熱処理温度は、得られる透明架橋フィルムのガラス転移温度をTgとするとき、(Tg−30)℃以上(Tg+30)℃以下の範囲とすることが好ましく、(Tg−15)℃以上(Tg+15)℃以下の範囲とすることがより好ましい。また、その際フィルムにかかる張力(搬送張力)は低いほど好ましい。そして、この熱処理前のリターデーションが高い場合にはより高い熱処理温度とより低い搬送張力の条件を選択する。より詳細には、熱処理時のフィルム断面積あたりの張力は0.5〜3kg/cm2、好ましくは0.5〜2.5kg/cm2、さらに好ましくは0.5〜1.8kg/cm2である。
また熱処理時間は、処理するフィルムの全断面の温度が加熱する熱風の温度とほぼ同じになるまで加熱できる時間であれば十分である。厚み100μmのポリエステルフィルムを熱風で加熱するときの概算によれば、熱風とその熱風中に導入されたフィルムとがほぼ同じ温度になる加熱時間が、約30秒である。従って、少なくとも30秒以上の時間フィルムが滞留することができるような熱風オーブンの大きさとすることが必要である。より好ましくは1分以上、さらに好ましくは2分以上であり、また、処理時間は1時間以内で十分である。
また、剥離などの際にフィルムに過剰な応力が作用するとフィルム面内に分子配向を生じ、リターデーションが大きくなるため、ドラムやベルトの表面に低応力で剥離可能な処理を施すのが有効である。かかる表面処理はシリコーンやフッ素化合物による処理が好ましい。
本発明の透明架橋フィルムの透明性は、可視光域での全光線透過率が好ましくは88%以上、より好ましくは89%以上、特に好ましくは90%以上である。また、ヘイズが好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下、特に好ましくは0.8%以下である。
上記組成物を製膜するときの塗布手段としては、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
本発明の透明架橋フィルムは、表面硬度、透明性、寸法安定性、光学的等方性に優れた自己支持性を有する単独フィルムであり、反射防止フィルム、偏光板保護フィルム、電磁波シールドフィルム、拡散フィルム、プリズムフィルムなどの光学用フィルム部材、銘板、化粧板などの基材フィルムとして好適に使用することができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。特に断りのない場合を除き、測定は各実施例・比較例を通じて、1つのサンプルについて場所を変えて5回測定を行い、その平均値を用いる。
(1)光学的等方性(Re、Rth)
王子計測機器(株)製の自動複屈折計KOBRA−21ADH若しくはこれの同等品を用い、低位相差モードでサンプル中央部を測定する。測定波長は590nmとし、遅相軸を固定して、入射角を0°から50°まで10°ごとに変更して位相差の入射角依存性を測定する。入射角0°の値を面内位相差(Re)とし、厚み方向位相差(Rth)の算出には、入射角0°および40°の測定値を用いる。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。特に断りのない場合を除き、測定は各実施例・比較例を通じて、1つのサンプルについて場所を変えて5回測定を行い、その平均値を用いる。
(1)光学的等方性(Re、Rth)
王子計測機器(株)製の自動複屈折計KOBRA−21ADH若しくはこれの同等品を用い、低位相差モードでサンプル中央部を測定する。測定波長は590nmとし、遅相軸を固定して、入射角を0°から50°まで10°ごとに変更して位相差の入射角依存性を測定する。入射角0°の値を面内位相差(Re)とし、厚み方向位相差(Rth)の算出には、入射角0°および40°の測定値を用いる。
(2)鉛筆硬度
HEIDON(新東科学株式会社製)若しくはこれの同等品を用いてJIS K−5400(1990)に従って測定荷重500gで測定し、2H以上を合格とする。
HEIDON(新東科学株式会社製)若しくはこれの同等品を用いてJIS K−5400(1990)に従って測定荷重500gで測定し、2H以上を合格とする。
(3)耐熱性
パーキンエルマー社製DSC(Differential Scanning Calorimeter)若しくはこれの同等品によって、試料10mg、昇温速度20℃/分で行い、ガラス転移温度を測定する。このガラス転移温度を耐熱性の指標とする。
115℃以上を合格とする。
パーキンエルマー社製DSC(Differential Scanning Calorimeter)若しくはこれの同等品によって、試料10mg、昇温速度20℃/分で行い、ガラス転移温度を測定する。このガラス転移温度を耐熱性の指標とする。
115℃以上を合格とする。
(4)干渉縞の有無
干渉縞の評価は、以下に方法に従いサンプルにハードコート層を積層した状態で評価を行う。まず、サンプルの片面に、厚みが約5μmとなるようにハードコート層を設ける。ハードコート層は、ハードコート塗料(JSR社製 Z7528 濃度50%)若しくはこれの同等品を#10のメタリングバーを用いて、薄膜に形成し、90℃にしたオーブンに入れ1分間熱処理を行った後、高圧水銀灯一灯(120W)を備えた、コンベアー式UV照射装置若しくはこれの同等品に、5m/minの速度で一度通し紫外線照射を行う。
干渉縞の評価は、以下に方法に従いサンプルにハードコート層を積層した状態で評価を行う。まず、サンプルの片面に、厚みが約5μmとなるようにハードコート層を設ける。ハードコート層は、ハードコート塗料(JSR社製 Z7528 濃度50%)若しくはこれの同等品を#10のメタリングバーを用いて、薄膜に形成し、90℃にしたオーブンに入れ1分間熱処理を行った後、高圧水銀灯一灯(120W)を備えた、コンベアー式UV照射装置若しくはこれの同等品に、5m/minの速度で一度通し紫外線照射を行う。
このようにしてハードコート層が積層されたサンプルを得る。さらに、裏面の反射の影響をなくすために、裏面(ハードコート層面の反対面)を240番のサンドペーパーで粗面化した後、黒色マジックインキ(登録商標)にて着色して調整したサンプルを、暗室にて、3波長蛍光灯(ナショナル パルック 3波長形昼白色(F.L 15EX−N 15W))若しくはこれの同等品の直下30cmに置き、視点を変えながらサンプルを目視したときに、虹彩模様が視認できるか否かで評価する。なお、1つのサンプルについて場所を変えた5箇所について評価したうち、最も多い評価結果を採用する。
・虹彩模様がみえない : Aランク
・非常に弱い虹彩模様が見える : Bランク
・弱い虹色模様が見える : Cランク
・強い虹色模様がはっきり見える: Dランク。
・虹彩模様がみえない : Aランク
・非常に弱い虹彩模様が見える : Bランク
・弱い虹色模様が見える : Cランク
・強い虹色模様がはっきり見える: Dランク。
(5)自己支持性
得られたフィルムを180度に折り曲げた時にフィルムが破断するかどうかで判断する。フィルムが破断しない場合は自己支持性ありとする。なお、1つのサンプルについて場所を変えた5箇所について評価したうち、最も多い評価結果を採用する。
得られたフィルムを180度に折り曲げた時にフィルムが破断するかどうかで判断する。フィルムが破断しない場合は自己支持性ありとする。なお、1つのサンプルについて場所を変えた5箇所について評価したうち、最も多い評価結果を採用する。
(6)全光線透過率
全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)若しくはこれの同等品を用いて可視光域におけるフィルム厚み方向の全光線透過率の平均値を求める。測定は10点の平均値とする。
全自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(スガ試験機(株)製)若しくはこれの同等品を用いて可視光域におけるフィルム厚み方向の全光線透過率の平均値を求める。測定は10点の平均値とする。
(7)フィルム厚み
ダイヤルシックネスゲージG−6C(尾崎製作所(株)製)若しくはこれの同等品を用いてフィルム厚みを測定する。
ダイヤルシックネスゲージG−6C(尾崎製作所(株)製)若しくはこれの同等品を用いてフィルム厚みを測定する。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(塗剤の調整)
(塗剤1:ビニルエステル組成物)
温度計、撹拌装置、分留コンデンサー、ガス導入管を取り付けた1Lのフラスコに、ビスフェノールAジエポキシ化合物 374.4g(1.20モル)、メタクリル酸 206.4g(2.4モル)、オクチル酸クロム 1.5g、亜リン酸0.15g、ハイドロキノン0.2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら120〜125℃で2時間反応を行った。酸価11.0となった段階で、フラスコ内組成物を金属製バットに注入し、冷却したところ無色透明なビニルエステル組成物が得られた。(固形分100%)とした。
(塗剤1:ビニルエステル組成物)
温度計、撹拌装置、分留コンデンサー、ガス導入管を取り付けた1Lのフラスコに、ビスフェノールAジエポキシ化合物 374.4g(1.20モル)、メタクリル酸 206.4g(2.4モル)、オクチル酸クロム 1.5g、亜リン酸0.15g、ハイドロキノン0.2gを加え、窒素ガスを吹き込みながら120〜125℃で2時間反応を行った。酸価11.0となった段階で、フラスコ内組成物を金属製バットに注入し、冷却したところ無色透明なビニルエステル組成物が得られた。(固形分100%)とした。
(塗剤2:多官能アクリレート)
多官能アクリレートとしてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製:固形分100%)を用いた。
多官能アクリレートとしてDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製:固形分100%)を用いた。
(塗剤3:その他のアクリレート)
反応希釈剤としてモルホリンアクリレート(興人(株)製:固形分100%)を用いた。
反応希釈剤としてモルホリンアクリレート(興人(株)製:固形分100%)を用いた。
(光開始剤)
1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトン(“イルガキュア184”:長瀬産業(株)製)を用いた。
上記の材料を表1に示す混合比率(固形分重量比)で混合して塗布液とした。
1−ヒドロキシーシクロヘキシルーフェニルケトン(“イルガキュア184”:長瀬産業(株)製)を用いた。
上記の材料を表1に示す混合比率(固形分重量比)で混合して塗布液とした。
(製膜方法)
調合塗液をフッ素処理金属板上へアプリケーターを用いて塗工後、照射強度が800mJ/cm2となる紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、金属板から剥離してフィルムを得た。なおフィルム厚みは80μmとした。
調合塗液をフッ素処理金属板上へアプリケーターを用いて塗工後、照射強度が800mJ/cm2となる紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、金属板から剥離してフィルムを得た。なおフィルム厚みは80μmとした。
(実施例1)
表1の塗剤Aをフッ素処理金属板上へアプリケーターを用いて塗工後、照射強度が800mJ/cm2となる紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、金属板から剥離してフィルムを得た。その後熱風オーブン中で表2に記載の加熱処理温度、加熱処理時間をかけて処理した。
表1の塗剤Aをフッ素処理金属板上へアプリケーターを用いて塗工後、照射強度が800mJ/cm2となる紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、金属板から剥離してフィルムを得た。その後熱風オーブン中で表2に記載の加熱処理温度、加熱処理時間をかけて処理した。
上記の方法によって作成したフィルムの評価結果を表2に示す。
得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、また自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーションが5nm以下と良好であった。
得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、また自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーションが5nm以下と良好であった。
(実施例2〜4)
実施例1において、熱処理時間が異なる(15分:実施例2、30分:実施例3、60分:実施例4)を用いた以外は実施例1と同様に表2に記載の条件でフィルムを作成した。
得られたフィルムは、いずれも虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好な結果を示した。
実施例1において、熱処理時間が異なる(15分:実施例2、30分:実施例3、60分:実施例4)を用いた以外は実施例1と同様に表2に記載の条件でフィルムを作成した。
得られたフィルムは、いずれも虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好な結果を示した。
(実施例5〜7)
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤B(実施例5)、塗剤C(実施例6)、塗剤D(実施例7)を用いた以外は実施例1と同様に表2に記載の条件でフィルムを作成した。
得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤B(実施例5)、塗剤C(実施例6)、塗剤D(実施例7)を用いた以外は実施例1と同様に表2に記載の条件でフィルムを作成した。
得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
(実施例8)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
(実施例9)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーション5nm以下と良好であった。
(比較例1)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ6nm、15nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ6nm、15nmと光学的等方性に劣るものであった。
(比較例2)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ5nm、13nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ5nm、13nmと光学的等方性に劣るものであった。
(比較例3)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ4nm、12nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ4nm、12nmと光学的等方性に劣るものであった。
(比較例4、5)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ8nm、19nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ8nm、19nmと光学的等方性に劣るものであった。
(比較例6、7)
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ4nm、15nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、表2に記載の熱処理条件以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は2Hと良好であり、自己支持性があり良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ4nm、15nmと光学的等方性に劣るものであった。
(比較例8)
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤Eを用いた以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーションが5nm以下であり良好であったが、表面硬度はHと劣るものであった。
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤Eを用いた以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、自己支持性があり、面内、厚み方向のリターデーションが5nm以下であり良好であったが、表面硬度はHと劣るものであった。
(比較例9)
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤Fを用いた以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3H、自己支持性があり、良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ9nm、19nmと光学的等方性に劣るものであった。
実施例1において、塗剤Aの代わりに塗剤Fを用いた以外は実施例1と同様にフィルムを作成した。得られたフィルムは、虹彩模様がなく、表面硬度は3H、自己支持性があり、良好であったが、面内、厚み方向のリターデーションがそれぞれ9nm、19nmと光学的等方性に劣るものであった。
以上をまとめて簡単に説明を加える。まず多官能アクリレートの含有量に関しては、実施例1、5、6、7、比較例8、9を参照する。これらのサンプルは熱処理温度および熱処理時間が同じで、多官能アクリレートの含有量だけが異なる。
まず、実施例1および実施例5、6、7を比較すると表面硬度は2H以上でありかつ、光学的等方性も確保できた。一方、多官能アクリレートが含有されていない比較例8では、硬度がHまで低下してしまった。また、多官能アクリレートが60重量部含有されている比較例9は、表面硬度は高いものの、硬すぎて割れてしまい自己支持性が喪失してしまった。従って、多官能アクリレートの含有量は5から50重量部の範囲で好適な特性を得ることができた。
次に実施例1、2、3、4、8、9および比較例1乃至7までを参照する。これらのサンプルは組成比がすべて同じで、熱処理温度と熱処理時間が異なる。組成比が同じであるので、Tgはすべて130℃であった。また、これらのサンプルは全て表面硬度が2H以上あり、また虹彩模様の評価、また自己支持性に関しても問題のないレベルであった。しかし、処理の温度と時間によって光学的等方性が異なった。
上記説明のように実施例および比較例はすべて同じ組成であり、そのTgは130℃であった。従って、Tgとほぼ同じ温度での熱処理は5分以上なら60分まで処理しても同じ特性が得られた(実施例1乃至4)。また、処理温度を160℃にすると30秒でも光学的等方性は確保できた(実施例9)。
一方、処理温度を100℃とTgより30℃低い温度にした場合は30分の熱処理で光学的等方性は確保できた(実施例8)。しかし、処理時間を0.2分と短くすると、160℃まで温度をかけても光学的等方性は良好ではなかった(比較例1乃至3)。さらに、処理時間5分であっても、処理温度が80℃以下である場合(比較例4および5)や、200℃以上である場合(比較例6および7)は光学的等方性は良好とはいえなかった。
ここで、処理温度が160℃はTgに対して30℃高い温度での熱処理である。また、処理温度100℃は、Tgに対して30℃低い温度での熱処理である。以上の結果より、実施例の透明架橋フィルムはTgの上下30℃の温度範囲で、0.5秒以上熱処理をかけることで、好適な光学的等方性を得ることができる。
本発明の透明架橋フィルムは、光学用フィルムとして満足しうる透明性、寸法安定性、光学的等方性があり、虹彩模様が抑制され、かつ表面硬度にも優れる自己支持性の単独フィルムであり、各種ディスプレイの基材フィルムとして好適に用いることができる。
Claims (4)
- ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を架橋させた透明架橋フィルムであって、該フィルムの厚みが10〜150μmであり、全光線透過率が88%以上であり、面内リターデーションが5nm以下であり、厚み方向のリターデーションが5nm以下である透明架橋フィルム。
- 前記ビニルエステル組成物は、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸とをエステル化反応させて得られる組成物である請求項1に記載の透明架橋フィルム。
- ビニルエステル組成物100重量部と多官能アクリレート5〜50重量部を含む液状硬化性組成物を調製する工程と、
前記液状硬化性組成物を基材上に塗布する工程と、
塗布された前記液状硬化性組成物を架橋硬化し厚さ10〜150μmにフィルム化する工程と、
前記フィルムのガラス転移点温度をTgとして、前記フィルムを(Tg−30)℃以上であり、かつ(Tg+30)℃以下の温度にて30秒以上熱処理する工程を有する透明架橋フィルムの製造方法。 - 前記ビニルエステル組成物は、ビスフェノール型または脂環式のエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸とをエステル化反応させて得られる組成物である請求項3に記載の透明架橋フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007211536A JP2009046533A (ja) | 2007-08-14 | 2007-08-14 | 透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007211536A JP2009046533A (ja) | 2007-08-14 | 2007-08-14 | 透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009046533A true JP2009046533A (ja) | 2009-03-05 |
Family
ID=40499058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007211536A Pending JP2009046533A (ja) | 2007-08-14 | 2007-08-14 | 透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009046533A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012193220A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Toagosei Co Ltd | 光学フィルム又はシート形成用電子線硬化型組成物、光学フィルム又はシート、偏光子保護フィルム及び偏光板 |
-
2007
- 2007-08-14 JP JP2007211536A patent/JP2009046533A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012193220A (ja) * | 2011-03-15 | 2012-10-11 | Toagosei Co Ltd | 光学フィルム又はシート形成用電子線硬化型組成物、光学フィルム又はシート、偏光子保護フィルム及び偏光板 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI488747B (zh) | Optical laminates and optical laminates | |
JP4746863B2 (ja) | 防眩性ハードコート層形成用材料及び防眩性ハードコートフィルム | |
JP5078520B2 (ja) | 防眩性ハードコートフィルム及びその製造方法 | |
KR101720333B1 (ko) | 방현성 코팅 조성물, 방현 필름 및 그 제조방법 | |
KR101649015B1 (ko) | 광학 적층체, 편광판 및 화상 표시 장치 | |
JP5764451B2 (ja) | 帯電防止性ハードコート層形成用組成物、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 | |
WO2016147767A1 (ja) | 光学用ポリエステルフィルム及びそれを用いた偏光板 | |
KR20090004733A (ko) | 하드코팅필름 및 그 제조방법 | |
JP2009202456A (ja) | 積層シート | |
JP2006231845A (ja) | ハードコートフィルム | |
JP2010061044A (ja) | 反射防止フィルム、偏光板および画像表示装置 | |
JP2008231163A (ja) | ハードコート層形成用組成物、及びこれを用いたハードコートフィルムとその製造方法 | |
JP5266827B2 (ja) | ハードコートフィルムおよび反射防止フィルム | |
JP2008239673A (ja) | 透明架橋フィルム | |
JP2011175081A (ja) | 防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板 | |
JP5306635B2 (ja) | ハードコート積層体の製造方法 | |
JP2009173816A (ja) | 透明架橋フィルム | |
JP2011084048A (ja) | 光学積層体 | |
JP2014128978A (ja) | 光学積層体 | |
KR20070094519A (ko) | 표면에 미세 요철을 형성하는 코팅 조성물 및 그의 응용 | |
JP2008058348A (ja) | 偏光子保護フィルム | |
JP6446564B2 (ja) | ハードコートフィルム、画像表示素子の前面板、抵抗膜式タッチパネル、静電容量式タッチパネル及び画像表示装置 | |
JP2009046533A (ja) | 透明架橋フィルムおよび透明架橋フィルムの製造方法 | |
JP2009040881A (ja) | 透明架橋フィルム | |
JPH08113616A (ja) | 活性エネルギー線硬化性組成物およびレンズシート |