JP2009029839A - アスファルト用添加物、アスファルト混合物の製造方法 - Google Patents

アスファルト用添加物、アスファルト混合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 取り扱いを容易にすると共に、アスファルト中での繊維の均一分散を図り、耐流動性、耐磨耗性などの必要特性のバランスがとりやすいアスファルト用添加物と、該アスファルト添加物を使用したアスファルト混合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 疎水化処理された綿状の繊維物3aにおける短繊維3に、ストレートアスファルトに対して親和性を有する添加材を含浸させて含浸混合物4となし、含浸混合物4を合成樹脂製の包装袋5内に収容することにより、取り扱いが容易で、かつ作業環境を良好にでき、含浸混合物4を収容した包装袋5を加熱下のストレートアスファルトに投入して、短繊維3を均一分散させ、耐流動性、耐摩耗性及び耐クラック性の向上を図る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、補強繊維を含むアスファルト用添加物、該アスファルト添加物を使用したアスファルト混合物の製造方法に関する。
道路の舗装に使用されるアスファルトは、砕石、砂及び石粉などの骨材と混合され、加熱下の柔らかい状態で路上に敷き詰められてアスファルト道路を形成する。
アスファルト道路は、車両走行によって、磨耗等の劣化が早期に生じるため、アスファルト中に補強材又は改質剤を混合して、アスファルトの機械的強度及び耐久性の向上を図っている。例えば特許文献1には、ポリオレフィン系の強化繊維をアスファルトに混合して、耐久性、可撓性及び剪断耐性を向上させる舗装用組成物が開示されている。
特開平5−98165号公報
上記特許文献1の技術では、アスファルト中で強化繊維が均一に分散せず、舗装されたアスファルトの機械的強度が均一にならない。これはポリオレフィン系繊維が静電気等により帯電して繊維間で互いに引きつけ合うため、アスファルト中で分散せずにポリオレフィン系繊維に塊ができた状態で固化するため、舗装されたアスファルト中で強化繊維の濃度が不均一となり、交通量の多い道路や高温等の悪条件下では、アスファルトの流動化、磨耗及びクラックが発生する。
本発明の課題は、取り扱いが容易で作業環境を良好にし、かつアスファルト中での繊維の均一分散を可能にして、耐流動性、耐磨耗性などの必要特性のバランスがとりやすいアスファルト用添加物と、該アスファルト添加物を使用したアスファルト混合物の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記課題を解決するために、本発明のアスファルト用添加物は、ストレートアスファルトに対して親和性を有する添加材と、疎水化処理された短繊維からなる綿状の繊維物とを含み、繊維物に添加材を含浸させて含浸混合物となし、該含浸混合物を合成樹脂製の包装袋内に収容し、該包装袋を加熱下のストレートアスファルトに投入して用いるようしたことを特徴とする。
上記構成とすることで、アスファルト混合物の製造時における材料投入時には、包装袋から含浸混合物を取出す必要がないため取り扱いが容易、かつ含浸混合物が投入作業中に飛散しないため作業環境が良好であり、保管時には吸湿が抑えられるため保存期間を長くでき、繊維物に含浸した添加材の外部への漏れを防止できる。また、含浸混合物は繊維間での滑りがよく塊になり難く分散性が良好であるため、繊維物の濃度が均一となり、耐流動性、耐摩耗性及び耐クラック性の向上を図ることができる。
包装袋の厚みを、0.03〜0.06mmとなしたので、この厚みによって内容物の品質低下が防止され、かつアスファルト混合物の製造時、包装袋の溶けが良好であるため、繊維物の分散性が損なわれない。包装袋の厚みが0.03mm未満では、含浸した添加材が包装袋から滲み出てしまい、0.06mmを越えると包装袋が混合時に溶け難くなり、アスファルトへの繊維状物の分散性が悪化するので、上記範囲が望ましいと言える。
短繊維は、植物繊維からなるので、植物繊維はセルロースを含み、該セルロースは水酸基を多く含み、分子間で互いに水素結合して凝集することが多いも、疎水化と添加材の含浸によって繊維間の滑りがさらによくなり、塊になり難く分散性が良好であるため、短繊維の濃度が均一となり、耐流動性、耐摩耗性及び耐クラック性の向上を図ることができる。
添加材は、該添加材の全重量に対してナフテン系オイルが40〜70重量部、スチレン系熱可塑性エラストマーが20〜45重量部、ポリプロピレンが2〜30重量部含有するので、添加材のナフテン系オイルの含有率によって、ストレートアスファルトとの相溶性または親和性が向上し、含有率が40重量部未満では、ストレートアスファルトとの親和性が必ずしも十分に向上せず、70重量部を超えると他の成分(スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン)の含有率が少なくなり、全体の特性のバランスがとりにくくなる。また、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率によって、耐低温性の向上ができ、含有率が20重量部未満では、低温において硬くなりやすくなり、45重量部を超えると他の成分の含有率が少なくなる問題が生じる。一方、ポリプロピレンの含有率によって、耐磨耗性の向上ができ、含有率が2重量部未満では耐磨耗性が必ずしも十分に向上しない。30重量部を超えると、他の成分の含有率が少なくなりやすい。
骨材と、ストレートアスファルトとが混合されたアスファルト混合物の製造方法において、骨材と、ストレートアスファルトとを150〜180℃で混合した後に、アスファルト用添加物を添加し、さらに5〜60秒混合するが、180℃を超えると添加材と、ストレートアスファルトとが混ざりすぎ、必ずしも2層構造とならないため、加熱温度は180℃以下が望ましい。また、150℃未満では必ずしも十分に混合しないので150℃以上が望ましい。一方、アスファルト添加物を添加した後の混合時間が5〜60秒であるのは、60秒を超えると2層構造となりにくく、5秒未満では必ずしも十分に混合しないため、上記範囲が好ましいと言える。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係るアスファルト用添加物の概要断面図、図2はアスファルト用添加物の製造工程図である。図1及び図2において、アスファルト用添加物1は、ストレートアスファルトに対して親和性を有する添加材2と、疎水化処理された短繊維3からなる綿状の繊維物3aとを含み、繊維物3aを浸漬用容器A内の添加材2中に浸漬して、繊維物3aの短繊維3に添加材2を含浸させて含浸混合物4となしている。その後、含浸混合物4を浸漬用容器Aから取出し、含浸混合物4を包装袋5内に収容し、包装袋5を密閉状態とすることによって、アスファルト用添加物1を製造している。
アスファルト混合物を製造するには、図3に示すように、骨材6と、ストレートアスファルト7とをミキサーMに投入して150〜180℃で混合した後に、アスファルト用添加物1を投入し、さらに5〜60秒混合する。その後、図5に示すように、アスファルト混合物を舗装してアスファルト道路Dを形成する。この骨材6の全重量に対してストレートアスファルト7が例えば6.5〜8.5重量部、アスファルト用添加物1が例えば0.2〜0.6重量部の配合で添加される。このアスファルト混合物は、図4に示すように、骨材6の表面がストレートアスファルト7に覆われ、さらに短繊維3が均一分散された添加材2の被膜で覆われる形態となる。
この結果、ストレートアスファルト7の表面を、短繊維3が分散した添加材2の薄膜が保護し、かつ短繊維3が骨材6とストレートアスファルト7との境界個所や、ストレートアスファルト7と添加材2との境界個所に介在して機械的補強材として機能するため、耐磨耗性や耐久性などの諸特性をバランスよく向上させることができる。また、骨材6の粒度分布が後述(表2参照)のようにされているので、強度、空隙率、表面粗さが優れている。骨材6の全重量に対してストレートアスファルト7が6.5重量部未満では接着強度が低く、8.5重量部を超えるとコストアップになりやすい。また、アスファルト用添加物1が0.2重量部未満では耐低温性や耐劣化性などの諸特性を必ずしも十分に向上できず、0.6重量部を超えるとコストアップになりやすい。一方、上記ストレートアスファルト7の針入れ度は60/80または80/100であることが好ましい。
骨材6は砕石、スクリーニングス、粗砂、石粉からなる。骨材6の全重量に対して、砕石が22〜42重量部、スクリーニングスが18〜38重量部、粗砂が24〜44重量部、石粉が2〜10重量部の組成とされている。
添加材2は、該添加材2の全重量に対してナフテン系オイルが40〜70重量部、スチレン系熱可塑性エラストマーが20〜45重量部、ポリプロピレンが2〜30重量部の組成とされている。スチレン系熱可塑性エラストマーはスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体であり、特に、スチレンとブタジエンの重量比が、スチレン1重量部に対してブタジエンが1.6〜3.0重量部とされている。
また、ポリプロピレンの平均分子量は、ストレートアスファルト7との相溶性または親和性の向上の点から、1000〜10000であることが好ましい。より好ましくは1000〜8000であり、さらに好ましくは2000〜5000である。また、添加材2はストレートアスファルト7の全重量部に対して0.05〜5.0重量部混合する。好ましくは0.1〜1.0重量部である。0.05重量部未満であると、舗装されたアスファルトの耐流動性、耐摩耗性の効果が得られない。5.0重量部を超えても前記効果は変わらない。
繊維物3aにおける短繊維3は、主成分がセルロースによって構成される樹木、作物などから得られる繊維や、古紙、食品廃棄物から得られる再生繊維が挙げられる。短繊維3の一般性状は、一例としてαセルロース含有量が約80%、灰分量が10%以下、水分量が7%以下、酸性度(pH)が6〜8、かさ密度が32g/Lであり、最長繊維長が約5mm、平均繊維長が約1.1mmのものが挙げられる。また、ストレートアスファルト7の全重量部に対して繊維物3aを0.05〜5.0重量部混合する。好ましくは0.1〜1.0重量部である。0.05重量部未満であると、セルロースの含有量が少なすぎて、舗装されたアスファルトの耐流動性、耐摩耗性の効果が得られない。5.0重量部を超えても前記効果は変わらない。また、繊維物3aの疎水化は、シリコン樹脂、フッソ樹脂系の撥水剤などを用いて処理している。
包装袋5は合成樹脂製であり、一例として塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられ、その厚みを0.03〜0.06mmとなしている。この厚みによって内容物の品質低下が防止され、かつアスファルト混合物の製造時、包装袋5の溶けが良好であるため、繊維物3aにおける短繊維3の分散性が損なわれない。包装袋5の厚みが0.03mm未満では、含浸させた添加材2が包装袋5から滲み出てしまい、0.06mmを越えると包装袋5が混合時に溶け難くなり、アスファルトへの短繊維3の分散性が悪化する。
アスファルト混合物の製造方法では、例えば150〜180℃程度の高温で混合するが、その理由は、180℃を超えるとアスファルト用添加物1と、ストレートアスファルト7とが混ざりすぎ、必ずしも2層構造とならないためである。また、150℃未満では必ずしも十分に混合しない。一方、アスファルト用添加物材1を添加した後の混合時間が5〜60秒であるのは、60秒を超えると2層構造となりにくく、5秒未満では必ずしも十分に混合しないためである。より望ましい混合時間は5〜50秒であり、さらに望ましくは10〜30秒である。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。
まず、アスファルト用添加物1に使用するための添加材2を得るために、ナフテン系オイル、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレンを下記表1のように配合した。
Figure 2009029839
表1中の成分は、以下のものを用いた。
SBS:スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、旭化成株式会社製、アサプレンT437、スチレン/ブタジエン比 30/70。
ポリプロピレン:三洋化成工業株式会社製、ビスコール660。
アスファルト用添加物1を得るために、添加材2を繊維物3aの短繊維3に含浸させた含浸混合物2を、厚みを0.05mmで塩化ビニル製の包装袋5内に収容した。添加材2は、「商品名:ミノコート、三野道路株式会社製」を使用し、繊維物3aは、「商品名:トップセル、株式会社エムアイテック製」を使用した。また、アスファルト用添加物1の全重量に対して、添加材2が75重量部、繊維物3aが25重量部、包装袋5が0.001重量部とされる配合にした。
7号砕石、スクリーニングス、粗砂からなる骨材6を150℃において混合した後、針入れ度が60/80のストレートアスファルト7を添加して、骨材6の表面がストレートアスファルト7の薄膜で覆われている混合物を得た。その混合物にアスファルト用添加物1を投入して添加した後、20秒攪拌した。このようにして、本発明に属するアスファルト混合物のサンプルを作成した。
また、各成分の配合割合として、7号砕石(岐阜県多治見市 日章産業製)が32重量部、スクリーニングス(岐阜県多治見市 日章産業製)が25重量部、粗砂(岐阜県中津川市恵那峡サンド製)が34重量部、石粉(岐阜県武儀郡 尾花屋産業製)が6重量部、ストレートアスファルト60/80(昭和シェル石油製)が7.5重量部、アスファルト用添加物1が0.4重量部とされる配合にした。なお、骨材6の粒度および加算通過百分率は表2の通りであった。
Figure 2009029839
アスファルト混合物の物性として表3に示す。このように、アスファルトに求められる諸特性が優れ、高度にバランスがとれていることが確認できた。これらの物性の中でも特に曲げ強度及び破断ひずみが大きいことが分かる。
Figure 2009029839
本発明に係るアスファルト用添加物の概要断面図。 アスファルト添加物の製造工程を示す図。 アスファルト混合物の製造工程を示す図。 アスファルト混合物の概要図。 アスファルト道路を示す図。
符号の説明
1 ストレートアスファルト用添加物
2 添加材
3 短繊維
3a 繊維物
4 含浸混合物
5 包装袋
6 骨材
7 ストレートアスファルト

Claims (5)

  1. ストレートアスファルトに対して親和性を有する添加材と、
    疎水化処理された短繊維からなる綿状の繊維物とを含み、
    前記繊維物に前記添加材を含浸させて含浸混合物となし、該含浸混合物を合成樹脂製の包装袋内に収容し、該包装袋を加熱下の前記ストレートアスファルトに投入して用いることを特徴とするアスファルト用添加物。
  2. 前記包装袋の厚みを、0.03〜0.06mmとなしたことを特徴とする請求項1に記載のアスファルト用添加物。
  3. 前記短繊維は、植物繊維からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアスファルト用添加物。
  4. 前記添加材は、該添加材の全重量に対してナフテン系オイルを40〜70重量部、スチレン系熱可塑性エラストマーを20〜45重量部、ポリプロピレンを2〜30重量部含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアスファルト用添加物。
  5. 骨材と、ストレートアスファルトとが混合されたアスファルト混合物の製造方法において、前記骨材と、前記ストレートアスファルトとを150〜180℃で混合した後に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアスファルト用添加物を添加し、さらに5〜60秒混合することを特徴とするアスファルト混合物の製造方法。
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