JP2009020809A - 渇水対策施設の運転管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】渇水対策の一つとして方策として有効な岩盤地下水の利用を対象に、水道事業を中心とした複合事業による渇水対策施設の運転管理システムを提供する。
【解決手段】岩盤地下水を取水する岩盤取水装置と、岩盤取水装置によって取水した岩盤地下水を一旦蓄える受水槽と、受水槽に蓄えられている岩盤地下水を必要とする水道事業施設を含む複数の水利用事業施設から送水要求量情報を受信する受信手段と、送水要求量情報に基づいて、複数の水利用事業施設に対して受水槽に蓄えられている岩盤地下水の送水量を制御する制御手段とを備えた渇水対策施設の運転管理システムであって、制御手段は、渇水時には水道事業施設に対する送水量を増加させるように岩盤地下水の送水量を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】岩盤地下水を取水する岩盤取水装置と、岩盤取水装置によって取水した岩盤地下水を一旦蓄える受水槽と、受水槽に蓄えられている岩盤地下水を必要とする水道事業施設を含む複数の水利用事業施設から送水要求量情報を受信する受信手段と、送水要求量情報に基づいて、複数の水利用事業施設に対して受水槽に蓄えられている岩盤地下水の送水量を制御する制御手段とを備えた渇水対策施設の運転管理システムであって、制御手段は、渇水時には水道事業施設に対する送水量を増加させるように岩盤地下水の送水量を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、渇水対策施設の運転管理システムに関する。
生活用水、工業用水および農業用水の水資源は主に河川水で賄われ、次いで地下水(主に浅層地下水)が利用されている。これらの河川水や浅層地下水などは偏在する資源であり、半島や離島など、これらの水資置に比較的恵まれない地域は多数あるが、国・自治体などの施策により、平年時の水資源は概ね整備された状況にある。しかし、異常気象に起因した水不足は水資源に恵まれない地域ばかりでなく、全国各地で水不足を引き起こす可能性がある。昭和53年の福岡渇水、平成6年の列島渇水などの異常渇水は社会生活や各種経済活動に多大な支障を与えたことは周知の事実であり、渇水対策は極めて重要な社会資本の整備に係わる課題である。
なお、水道事業体の負担を軽減しつつ、水道事業における浄水場の管理業務を円滑に効率良く実行ために、浄水場の管理に関して水道事業体との間で締結した契約条件及び浄水場からのプロセスデータに基づいて、浄水場の運転管理及び維持管理の少なくとも一方に関する作業指示を決定し、作業指示情報を、浄水場の管理作業を直接実施する作業者に提供する水道管理方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−259504号公報
ところで、渇水の頻度や発生程度は十分な予測が困難であるため、渇水対策施設を作っても、その原価償却費や運転管理費等を水道料金に合理的に加算することが難しい。このため、受益者負担の企業会計で整備される水道事業では、渇水対策施設の整備が制度上難しいのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、渇水対策の一つとして方策として有効な岩盤地下水の利用を対象に、水道事業を中心とした複合事業による渇水対策施設の運転管理システムを提供することを目的とする。
本発明は、岩盤地下水を取水する岩盤取水装置と、前記岩盤取水装置によって取水した岩盤地下水を一旦蓄える受水槽と、前記受水槽に蓄えられている前記岩盤地下水を必要とする水道事業施設を含む複数の水利用事業施設から送水要求量情報を受信する受信手段と、前記送水要求量情報に基づいて、前記複数の水利用事業施設に対して前記受水槽に蓄えられている前記岩盤地下水の送水量を制御する制御手段とを備えた渇水対策施設の運転管理システムであって、前記制御手段は、渇水時には前記水道事業施設に対する送水量を増加させるように前記岩盤地下水の送水量を制御することを特徴とする。
本発明によれば、通常時は複数の水利用事業施設からの送水要求量に応じて、取水した岩盤地下水を各水利用事業施設に対して送水するように制御し、渇水時は水道事業施設に対する送水量を増加させるように取水した岩盤地下水の送水量を制御するようにしたため、渇水時において水道として用いる水の確保を容易に行うことができるという効果が得られる。
以下、本発明の一実施形態による渇水対策施設の運転管理システムを図面を参照して説明する。岩盤地下水は、ほとんど利用されていない未利用な水資源であり、異常気象にも強く渇水時にも安定利用が期待できる水資源である。また、岩盤地下水は水質が極めて良好で、ミネラル分に富むなど付加価値の高い水資源であり、使用水の水質が製品価値に影響するアルコール類(日本酒、焼酎、ビール)や醸造業およびミネラルウォーター事業に利用されている事例もある。そこで、岩盤地下水開発を、生活用水等の水道事業と良好水質を利用した各種事業で行う複合事業を可能にする運転管理システムについて説明する。図1は同実施形態における渇水対策施設の運転管理システムの構成を示すブロック図である。図1は、良好な水質の渇水対策施設を用いた水道事業を中心とした複合事業を実現するシステムの構成を示している。渇水対策施設には、岩盤取水システムを用いている。
この図において、符号1は、渇水対策施設の運転管理を行う中央監視・制御装置である。符号2は、地下の岩盤から集水するための集水孔を備える集水トンネルである。符号3は、立坑であり、水中ポンプ4を備えている。符号5は、集水した地下水一旦蓄える受水槽である。符号6は、集水した地下水を水道水として供給するために必要な浄水処理施設を備える浄水場である。符号7は、集水した地下水をミネラルウォーターに加工する施設を備えるミネラルウォーター工場である。符号8は、集水した地下水を使用して酒を製造する施設を備える酒造工場である。符号9は、浄水場6を管理する自治体の水道局である。符号10は、地下水から製造したミネラルウォーターや酒を販売する複合事業の事業者である。
符号61は、受水槽5に蓄えられた地下水を浄水場6へ送水する配管であり、流量を制御することができる制御弁62が備えられている。符号63は、浄水場6から送水要求量Q1を中央監視・制御装置1へ送信する伝送路である。符号71は、受水槽5に蓄えられた地下水をミネラルウォーター工場7へ送水する配管であり、流量を制御することができる制御弁72が備えられている。符号73は、ミネラルウォーター工場7から送水要求量Q2を中央監視・制御装置1へ送信する伝送路である。符号81は、受水槽5に蓄えられた地下水を酒造工場8へ送水する配管であり、流量を制御することができる制御弁82が備えられている。符号83は、酒造工場8から送水要求量Q3を中央監視・制御装置1へ送信する伝送路である。
図1に示す岩盤取水システムは、立坑3の最深部に設置された水中ポンプ4の運転制御を行うことで、立坑3の水位を調節すれば、湧水量を変化させることができるものである。岩盤地下水は地上に揚水されて一旦受水槽5に貯水し、複数の事業所(浄水場6、ミネラルウォーター工場7、酒造工場8)にそれぞれの送水要求量(受水希望量)に応じて送水することになる。ここでは、水道事業(送水先:浄水場)との複合事業者としては、良好な水質が高付加価値化につながる事業として「ミネラルウォーター工場」と「酒造工場」を例示したが、これらに限るものではなく、岩盤地下水を利用できる事業であれば何でもよい。
浄水場6、ミネラルウォーター工場7及び酒造工場8のそれぞれの送水要求量(受水希望量)Q1、Q2、Q3は、平年時はQ1を少量利用、Q2、Q3を大量利用とし、渇水時はQ1を大量利用とし、Q2、Q3を少量利用とすることにより、施設の稼働率を維持することができる。このため、渇水対策用の水資源開発施設の減価償却なども容易になる。もし、水道局9が水道事業とミネラルウォーター事業を運営する場合は、ミネラルウォーターの価格は水道水の数百倍程度であるため、水資源開発施設の減価償却などに極めて有利になる。このような複合事業は新たな事業モデルとして有効となる。
岩盤取水システムの揚水装置としては水中ポンプ4が設置されており、立坑水位hと排水量のデータが計測される。また地表部には受水槽5を設置し、受水槽水位と浄水場6等への送水量(Q=Q1+Q2+Q3)が計測される。これらの施設の運転管理に係わる計測データは中央監視・制御装置1に伝送される。また、周辺および岩盤等の気象状況、地表水・地下水状況のモニタリングデータを取得し、気象情報として降水量等、河川流量として堰水位や堰流量、地下水位環境として観測孔水位Hを計測し、計測データを中央監視・制御装置1に伝送する。なお、測定器はデジタル自動記録機を基本に想定しており、データは専用回線を用いた伝送方法等を用いる。
中央監視・計測装置1はパソコンをベースに、ディスプレイ、プリンタ、ハードディスク等からなり、ソフトウェアとしては岩盤取水システムの運転データや各モニタリング地点での計測値は管理用のデータベースソフトウェアに取り込まれる。また、データベースおよび分析予測ソフトウェアにより、管理室での計測データ・運転データの出力・表示を行うと共に、取水量・送水量制御用の運転条件に対する分析機能を持つ。このため、管理室(中央監視・計測装置)以外の水道局や複合事業の事業者は事務所で計測データや運転管理データの処理結果を表示することができる。また、分析予測された運転条件により、水中ポンプ4や制御弁62、72、82の運転制御を行う機能を有する。
次に、図2を参照して、図1に示す中央監視・制御装置1の構成を説明する。中央監視・制御装置1は、時系列の運転管理データ、環境モニタリングデータ等がリレーショナル型のデータベースに保存・保管され、編集・表示が行われる。また、データの出力・表示機能により、保存データを処理して、運転状況(履歴)表示、全計測値一括表示、各計測データの経時変化表示などが、管理室ならびに水道局等の外部事務所で行われる。また、水中ポンプ4や制御弁62、72、82の運転制御が行い、浄水場6、ミネラルウォーター工場7、酒造工場8のそれぞれが送信する送水量要求量Q1、Q2、Q3に応じたを送水量を制御する。
次に、図3を参照して、中央監視・制御装置1が、送水量要求量Q1、Q2、Q3に基づいて、送水量の制御動作について説明する。図3に示すように、それぞれが送水量要求量Q1、Q2、Q3から取水量(=湧水量)Qが決定されるが、取水量Qに対応する立坑水位hを次のa〜cのように、予測設定する。
a.水頭差(観測孔水位−立坑水位)と湧水量の関係を利用した予測
観測孔水位(複数ある場合は平均値など使用)と立坑水位の「水頭差」と「湧水量」はほぼ比例関係になる。送水量要求量Qがわかれば、図3に示す湧水量と水頭差(観測孔水位H−立坑水位h)の関係から水頭差(H−h)が得られ、Hに計測値を用いれば、立坑水位hを設定することができる。
観測孔水位(複数ある場合は平均値など使用)と立坑水位の「水頭差」と「湧水量」はほぼ比例関係になる。送水量要求量Qがわかれば、図3に示す湧水量と水頭差(観測孔水位H−立坑水位h)の関係から水頭差(H−h)が得られ、Hに計測値を用いれば、立坑水位hを設定することができる。
b.類似条件下の計測値検索
降水量、観測孔水位、取水量および季節等が類似する過去の運転条件を検出し、立坑水位条件を設定する。
降水量、観測孔水位、取水量および季節等が類似する過去の運転条件を検出し、立坑水位条件を設定する。
c.統計解析
観測孔水位の変動には多くの要因が関係するため、時系列のモニタリングデータと運転管理データを用いて、時系列の多変量自己回帰モデルを構築すれば、各要因の影響を定量評価することができる。また、立坑水位を変化させた予測解析も可能であるため、所要のQに対する立坑水位hを設定することができる。
観測孔水位の変動には多くの要因が関係するため、時系列のモニタリングデータと運転管理データを用いて、時系列の多変量自己回帰モデルを構築すれば、各要因の影響を定量評価することができる。また、立坑水位を変化させた予測解析も可能であるため、所要のQに対する立坑水位hを設定することができる。
立坑水位の設定方法は、上記のa〜cに限定する必要はないが、これらの分析予測結果に基づいて、所要のQに対する運転条件が予測され、揚水時間による制御や揚水量そのものの制御など水中ポンプ4の運転制御が具体的に行える。また、各ユーザの受水量も制御弁62、72、82の制御により行える。
また、水資源開発においては開発ばかりでなく、地下水位の大幅な低下防止等の環境に配慮した取水運転が必要である。このため、観測孔水位等に管理基準(許容範囲)が設定されていれば、経時変化表示を行うことにより環境監視が行えることになる。また、観測孔水位等が管理基準を超えた場合の立坑水位の設定条件も上記のa〜cの分析予測機能を用いて将来予測を行うことができ、その条件下での送水量を調整することになる。
なお、良好な水質をもつ岩盤地下水に限定して、水道事業を中心とした複合事業の運転管理システムについて説明したが、本発明は他の水資源の場合にも応用できる。例えば、浅層地下水等でも水質が極めて良好な場合も多く、複数井戸による比較的大規模な水資源開発の場合は、本発明が適用可能である。また、水道事業は企業会計であること、2002(平成14年)4月には水道法が改正され、水道事業への民間企業の参入が可能になったことなどの理由により、自治体水道局または民間の複合事業者による複合事業の実施は可能である。
以上説明したように、良好な水質をもつ岩盤地下水等の水資源開発を対象に、水道事業を中心とした複合事業を実現する渇水対策施設の運転管理システムによって、以下に示す効果を得ることができる。
(1)水道事業と水の良好水質を活かした高付加価値化事業(例えばミネラルウォーター事業など)を複合化することにより、水資源開発施設の初期コスト等の減価償却が大幅に容易になる。このため、従来は水道料金へのコスト付加が難しく、施設整備が難しい渇水対策用の施設整備も可能になる。
(2)中央監視・制御装置1に「データの出力・表示機能」と「データ分析・予測機能」および「運転制御機能」を備えることにより、複数事業の場合も、集中管理が可能で、施設の維持管理や運転管理の省力化と低コスト化が行える。
(3)運転管理と環境モニタリングシステムにおける計測項目、計測方法、伝送方法等を具体的に示しため、複合事業の運転管理ばかりでなく、地表水・地下水環境等も集中的のモニタリングできる。このため、環境に配慮した取水運転も中央監視・制御装置1の有する機能で対応できる。
(4)異常気象等の渇水が発生した場合、生活用水への重点送水するなど、状況に応じた取水運転・送水量の配分でき、有効な渇水対策が可能になる。
(1)水道事業と水の良好水質を活かした高付加価値化事業(例えばミネラルウォーター事業など)を複合化することにより、水資源開発施設の初期コスト等の減価償却が大幅に容易になる。このため、従来は水道料金へのコスト付加が難しく、施設整備が難しい渇水対策用の施設整備も可能になる。
(2)中央監視・制御装置1に「データの出力・表示機能」と「データ分析・予測機能」および「運転制御機能」を備えることにより、複数事業の場合も、集中管理が可能で、施設の維持管理や運転管理の省力化と低コスト化が行える。
(3)運転管理と環境モニタリングシステムにおける計測項目、計測方法、伝送方法等を具体的に示しため、複合事業の運転管理ばかりでなく、地表水・地下水環境等も集中的のモニタリングできる。このため、環境に配慮した取水運転も中央監視・制御装置1の有する機能で対応できる。
(4)異常気象等の渇水が発生した場合、生活用水への重点送水するなど、状況に応じた取水運転・送水量の配分でき、有効な渇水対策が可能になる。
1・・・中央監視・制御装置、2・・・集水トンネル、3・・・立坑、4・・・水中ポンプ、5・・・受水槽、6・・・浄水場、7・・・ミネラルウォーター工場、8・・・酒造工場、62、72、82・・・制御弁
Claims (1)
- 岩盤地下水を取水する岩盤取水装置と、
前記岩盤取水装置によって取水した岩盤地下水を一旦蓄える受水槽と、
前記受水槽に蓄えられている前記岩盤地下水を必要とする水道事業施設を含む複数の水利用事業施設から送水要求量情報を受信する受信手段と、
前記送水要求量情報に基づいて、前記複数の水利用事業施設に対して前記受水槽に蓄えられている前記岩盤地下水の送水量を制御する制御手段と
を備えた渇水対策施設の運転管理システムであって、
前記制御手段は、渇水時には前記水道事業施設に対する送水量を増加させるように前記岩盤地下水の送水量を制御することを特徴とする渇水対策施設の運転管理システム。
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JP2007184462A JP2009020809A (ja) | 2007-07-13 | 2007-07-13 | 渇水対策施設の運転管理システム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108305186A (zh) * | 2018-01-11 | 2018-07-20 | 宁波灏钻科技有限公司 | 一种基于物联网的园区净化水监管运营系统 |
CN115578232A (zh) * | 2022-11-11 | 2023-01-06 | 北京华科仪科技股份有限公司 | 一种基于水质分析的水污染治理方法及系统 |
-
2007
- 2007-07-13 JP JP2007184462A patent/JP2009020809A/ja not_active Withdrawn
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