JP2009019235A - 銀ナノ粒子の水性分散液およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゼラチンまたはゼラチンの誘導体を含み、生理食塩水中に滴下しても沈降・凝集しにくい、生体分野あるいは環境分野に適した、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液とその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】酸化銀とゼラチンまたはゼラチンの誘導体と還元性のある単糖類あるいは二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、ゼラチンまたはゼラチンの誘導体を含み、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液を得る。
【選択図】なし
【解決手段】酸化銀とゼラチンまたはゼラチンの誘導体と還元性のある単糖類あるいは二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、ゼラチンまたはゼラチンの誘導体を含み、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、水溶媒中において酸化銀とゼラチンまたはゼラチンの誘導体と、還元性のある単糖類または二糖類を混合し、加熱するだけで容易に作製することが可能な銀ナノ粒子の水性分散液およびその製造法に関する。
粒子径がナノメートルサイズの金属粒子は粒子径がミクロンメートルサイズの金属粒子とは異なる特性を示し、電子材料、触媒材料、医薬品材料などへの応用が期待されている。中でも銀ナノ粒子はナノメートルサイズにすることによる融点降下を利用した導電性ペースト、プラズモン吸収を利用した色材、微粒子による高機能触媒などの分野で開発が進められている。最近では銀ナノ粒子の抗菌性を利用した抗菌剤や、医薬や検査薬などへの使用も検討されている。この場合、通常、銀ナノ粒子が溶媒へ分散した銀ナノ粒子の分散液として調製され、銀ナノ粒子の分散安定性を保つために分散剤を含有している。生体分野や環境分野で使用するためには、溶媒はもとより分散剤などの含有物も生体分野や環境分野で適用できるものでなくてはならない。
前記のように各方面での応用が期待されている銀ナノ粒子であるが、その製造方法は大別すると大きな粒子を小さく砕いていく方法すなわち「ブレークダウン法」と原子、分子、クラスターなどを成長させていく方法すなわち「ビルドアップ法」の2方向で検討されてきた。先の「ブレークダウン法」は例えばアトマイズ法などがあげられるが、あまり小さな銀粒子が得られないという問題がある。そのためより小さな粒子を得るために「ビルドアップ法」の方向で検討が進められており、中でも「ガス中蒸発法」、「液相還元法」、「熱分解法」などが挙げられる。
「ガス中蒸発法」はバルクの銀を低圧雰囲気下で蒸発させ、気化したクラスターを凝集させることにより銀ナノ粒子を得る手法である。高純度で粒子径の小さな銀ナノ粒子を得ることは出来るが、特別な真空装置が必要であり手軽な調製方法とは言い難い。
「熱分解法」では原料を窒素雰囲気下で加熱するのみで銀ナノ粒子を得ることが出来るが、あらかじめ銀の原料である銀錯体を合成する必要があり、やはり手軽な手法とは言い難い。
「液相還元法」は古くからもっともよく検討されてきた手法であり、一般的には銀イオンと分散剤を含む均一な水溶液に還元剤を添加し、銀ナノ粒子の分散液を得る方法である。原料の銀塩、分散剤、還元剤を溶媒中に加え、攪拌、必要に応じて加熱するだけで手軽に銀ナノ粒子の分散液を得ることが出来る。しかしながら、得られた銀ナノ粒子の分散液を生体分野や環境分野で使用する場合には、合成界面活性剤などに代表される分散安定剤、還元剤や未反応の原料は、生体分野や環境分野で適用できない場合があり、得られた銀ナノ粒子の分散液から分散剤や還元剤、未反応原料を取り除く処理や新たに分散剤を置換する処理が必要になる。
「液相還元法」として天然高分子化合物である1,4−グルコシド結合を有する化合物と金属化合物の溶液を加熱あるいは還元剤を用いて還元し、金属ナノ粒子を得る方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。分散剤が天然高分子化合物であり、環境に適合した分散剤であると言える。しかしながら、発明者らが、該特許文献において提案されている手法を用いて銀ナノ粒子の調製を試みたところ、銀原料として該特許文献に提案されている酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、金属錯化合物を1,4−グルコシド結合を有する化合物と単に混合・加熱するのみでは銀原料の還元はまったくかあるいは十分に進行せず、効率的に銀ナノ粒子を得ることは非常に困難であった。銀ナノ粒子を得るためには別に該特許文献に記載の水素化ホウ素塩、ホルマリン、ヒドロキノン、ヒドラジンなどの環境的に使用が推奨されるとは言い難い還元剤の添加が必要であった。
発明者らは先の課題を解決するために、分散剤と還元剤の両方の役割を有する1,4−グルコシド結合を有する化合物であるでんぷん類と酸化銀を加熱混合する簡便な銀ナノ粒子の製造法を提案している(特許文献3)。
特開昭59−145037号公報
特開2003−213311号公報
特願2006−268685
しかし、より汎用性の高い銀ナノ粒子の水性分散液を考えた場合、先の1,4−グルコシド結合を有する化合物を含む銀ナノ粒子の水性分散液では、生理食塩水中などのイオン強度の高い環境では、銀ナノ粒子の分散安定性が悪化するという問題があった。
前記技術的課題は、次の通りの発明によって達成できる。
酸化銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体と還元性を有する単糖類または二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、銀ナノ粒子の水性分散液を得ることを特徴とする本発明の製造法により達成することが出来る。
本発明の銀ナノ粒子の水性分散液は、用いている分散剤、還元剤が食品添加物類であるため、生体分野や環境分野での使用時に、特に除去・精製する必要がない利便性がある。
通常、生体分野の場合、生理的食塩水程度の塩素イオンを含む環境下で用いられることが多く、そのためこの程度の塩素イオン共存下においても銀ナノ粒子の分散性が安定している必要があるが、前記1,4−グルコシド結合を有する化合物を含む銀ナノ粒子では生理的食塩水中で分散性が悪化してしまう。ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
本発明の銀ナノ粒子の製造方法によれば、酸化銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体と還元性を有する単糖類または二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液を簡便に調製する事ができる。また、本発明の製造方法では、用いる原料の純度をよく制御することにより、反応後の反応溶液中には、「銀ナノ粒子」、「ゼラチンまたはゼラチン誘導体」、「糖」、「水」のみが含まれることになり、生体材料や環境に対して悪影響を及ぼす恐れのある還元剤や未反応原料、硝酸イオンが含まれていないので、例えば生体材料、環境機能材などにも煩雑な精製工程を経ずに直接適用することが出来る銀ナノ粒子の水性分散液が得られる。さらに、本発明の銀ナノ粒子の水性分散液は、生理的食塩水程度、あるいはそれ以上の塩素イオンを含む環境下で用いても分散安定性を損なわないため、より汎用性のある抗菌剤などに用いることが可能である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次のとおりである。
本発明の銀ナノ粒子の水性分散液およびその製造方法の実施形態について説明する。
本発明の銀ナノ粒子の水性分散液の製造方法は、酸化銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体と還元性を有する単糖類または二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液を簡便に調製することができる。
酸化銀は溶媒である水に不溶であるため投入直後は酸化銀の粒子が水中に浮遊・懸濁した状態であるが、加熱・攪拌していくにしたがい酸化銀が還元され、ゼラチンまたはゼラチン誘導体が凝集防止の役目をし、粒子径が1〜30nmの銀ナノ粒子へとしだいに変換されていく。
通常、酸化銀粒子は水に不溶であり、銀ナノ粒子の原料としてはむしろ水溶性の硝酸銀が用いられるが、本発明の銀原料である酸化銀の代わりに硝酸銀を用い、ゼラチンまたはゼラチン誘導体と、還元性を有する単糖類または二糖類とを用い銀ナノ粒子の水性分散液の調製を試みたところ、まったく反応が進行しなかった。このことから、本手法における還元反応では、酸化銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体との間で何らかの化合物が徐々に生じ、これが還元性を有する単糖類または二糖類等により随時還元されていくと発明者らは考えている。また、該化合物は硝酸銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体との間で生じていないか、または生じていても反応性が酸化銀との場合に比べて劣っていると発明者らは推測している。
続いて、還元反応後の銀ナノ粒子はゼラチンまたはゼラチン誘導体により凝集防止と分散安定性が保たれている。
ゼラチンまたはゼラチン誘導体は特に制限される物ではないが、牛、豚由来のゼラチンあるいはゼラチン誘導体が好ましい。これらは天然高分子化合物であり、自然界に豊富に存在し、しかも安全な物質である。
酸化銀に対するゼラチンあるいはゼラチン誘導体の添加割合は重量比で1:1〜1:100が好ましい。より好ましくは1:5〜1:50、さらにより好ましくは1:5〜1:20である。
ゼラチンまたはゼラチン誘導体の添加割合が酸化銀に対して重量比で1未満である場合、酸化銀の還元性が進みにくくなる傾向があり好ましくない。ゼラチンまたはゼラチン誘導体の添加割合が酸化銀に対して重量比で100を越える場合、銀ナノ粒子の分散に寄与しないゼラチンまたはゼラチン誘導体が増え経済的ではない。また、反応溶液の粘度が上昇してしまい、酸化銀の還元反応性の低下を招いてしまうので好ましくない。
還元性を有する糖はグルコースやフルクトースの単糖類、マルトース、ラクトースなどの二糖類が好ましい。水への溶解性の点から単糖類のグルコースやフルクトースがより好ましい。
酸化銀に対する還元性を有する単糖類または二糖類の添加割合は重量比で1:2〜1:100が好ましい。より好ましくは1:5〜1:50である。さらに好ましくは1:5〜1:20である。
還元性を有する単糖類または二糖類の添加割合が重量比で2未満の場合には、酸化銀の還元性が不十分であり好ましくない。還元性を有する単糖類または二糖類の添加割合が重量比で100を越える場合には、酸化銀の還元に寄与しない還元性を有する単糖類または二糖類を加えることになり経済的ではない。
銀原料としては銀の酸化物である酸化銀を用いることが本発明の特徴であると共に必須条件である。酸化銀は市販の試薬を用いても、硝酸銀を含む水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加し酸化銀として析出させ、よく洗浄したものを用いても良い。
用いる酸化銀の粒子径や形状は特に限定されないが、反応性を考慮すると平均粒子径が0.05〜0.2μmの微細な粒子のほうが好ましい。市販品や調製品を用意し、酸化銀の反応性を見ながら必要に応じて破砕などして粒子径を小さくすることが出来る。
また、その他の工業的に入手しやすい塩化銀、硫酸銀、炭酸銀、酢酸銀、クエン酸銀などの有機酸塩では、硝酸銀と同様に反応性が極端に乏しく、銀ナノ粒子の生産的な手法とはいえない。
反応水溶液の加熱温度はゼラチンまたはゼラチン誘導体が分解しない程度の温度で加熱することが望ましく、また過剰に高い温度はエネルギーの浪費であることから、55〜80℃以下が好ましく、より好ましくは60℃から75℃であり、さらに好ましくは65℃から70℃である。
加熱時の温度が55℃より低い場合、反応の進行が遅く工業的ではない。加熱時の温度が80℃より高い場合にはゼラチンまたはゼラチン誘導体が分解を初め、銀ナノ粒子の分散安定性を損なうので好ましくない。
このようにして調製される銀ナノ粒子の水性分散液の銀の濃度は、好ましくは0.01〜0.1wt%である。0.1wt%を越える濃度で調製することも可能であるが、室温で静置しておくと銀ナノ粒子同士が凝集してしまい好ましくない。0.01wt%未満の調製では生産性が悪く好ましくない。
得られた銀ナノ粒子の水性分散液は、銀ナノ粒子として5ppmの濃度になるように添加すると、河川水および海水中の一般細菌と大腸菌に対して抗菌作用を有していた(実施例1)。
このように本発明の銀ナノ粒子の水性分散液は、河川水だけでなく海水中においても抗菌特性を有し、分散液中に含有する原料が生体分野や環境分野に適用可能である。
本発明の代表的な実施の形態は次のとおりである。
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、ゼラチン(和光純薬工業社製)1.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
反応溶液を室温まで冷却後、溶液の一部を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径2〜30nmの銀ナノ粒子が得られていることが分かった(図1)。
また、生理的食塩水を用意し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
また、5wt%の食塩水を調製し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
続いて、抗菌性の評価を次のように行った。
瀬野川(広島県広島市)の河川水を採取し、上記の調製方法で得られた銀ナノ粒子の水性分散液を、銀の濃度が5ppmになるように添加した。添加後と添加して24時間経過後の各々に含まれる一般細菌と大腸菌の数を数えた(表1)。試験温度は25℃±1℃で行った。
小方港(広島県大竹市)の海水を採取し、上記の調製方法で得られた銀ナノ粒子の水性分散液を、銀の濃度が5ppmになるように添加した。添加後と添加して24時間経過後の各々に含まれる一般細菌と大腸菌の数を数えた(表1)。試験温度は25℃±1℃で行った。
銀ナノ粒子の水性分散液を加えた河川水と海水の一般細菌と大腸菌は、表1のように対照サンプルに比べて劇的に減少し、24時間経過後もほとんど増殖せず、抗菌性があることが分かった。
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、ゼラチン(和光純薬工業社製)1.0g、フルクトース(D(−)−フルクトース、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
反応溶液を室温まで冷却後、溶液の一部を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径5〜30nmの銀ナノ粒子が得られていることが分かった。
また、生理的食塩水を用意し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
また、5wt%の食塩水を調製し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、ゼラチン(和光純薬工業社製)4.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)2.0gを純水194g中に投入し、70℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
反応溶液を室温まで冷却後、溶液の一部を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径5〜30nmの銀ナノ粒子が得られていることが分かった。
また、生理的食塩水を用意し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
また、5wt%の食塩水を調製し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、ゼラチン(和光純薬工業社製)10.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)4.0gを純水186g中に投入し、70℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
反応溶液を室温まで冷却後、溶液の一部を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径5〜30nmの銀ナノ粒子が得られていることが分かった。
また、生理的食塩水を用意し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
また、5wt%の食塩水を調製し、この中に反応溶液を滴下したところ淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子が安定分散し銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示していることがわかった。
そのまま室温で10日間静置したが、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子は安定に分散していた。
[比較例1]
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、溶性でんぷん(米山薬品工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
酸化銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.2g、溶性でんぷん(米山薬品工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は初め酸化銀の粒子が浮遊・懸濁した状態であるが、次第に黄色を帯び、最終的に褐色の水溶液に変化した。
反応溶液を室温まで冷却後、溶液の一部を用いて電子顕微鏡観察を行ったところ、粒子径10〜30nmの銀ナノ粒子が得られていることが分かった。
生理的食塩水を用意し、この中に反応溶液を滴下したところ一瞬にして灰色の凝集物が見られて沈降した。銀ナノ粒子が生理的食塩水中で安定分散しないことがわかった。
ここで生理的食塩水とは体液とほぼ等張の塩化ナトリウム液(食塩水)のことであり、日本薬局方・処方せん医薬品にある塩化ナトリウムを0.9wt%含有する食塩水である。
[比較例2]
硝酸銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.35g、ゼラチン(和光純薬工業社製)1.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は無色透明なままで反応の進行が見られなかった。
硝酸銀(平均粒子径0.1μm、和光純薬工業社製)0.35g、ゼラチン(和光純薬工業社製)1.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。反応溶液は無色透明なままで反応の進行が見られなかった。
[比較例3]
酸化銀(平均粒子径0.1μm)0.2g、ポリビニルアルコールK30(和光純薬工業社製)1.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。加熱していくと次第に反応溶液は灰色の凝集沈降物が見られ、銀ナノ粒子が安定に分散した状態ではなかった。
酸化銀(平均粒子径0.1μm)0.2g、ポリビニルアルコールK30(和光純薬工業社製)1.0g、グルコース(ブドウ糖「製造専用」、和光純薬工業社製)1.0gを純水198g中に投入し、65℃で2時間加熱攪拌した。加熱していくと次第に反応溶液は灰色の凝集沈降物が見られ、銀ナノ粒子が安定に分散した状態ではなかった。
本発明の銀ナノ粒子の水性分散液の製造方法によれば、酸化銀とゼラチンまたはゼラチン誘導体と還元性を有する単糖類または二糖類を水溶媒中、80℃以下で加熱することにより、分散安定性に優れた銀ナノ粒子の水性分散液を簡便に調製する事ができる。また、本発明の銀ナノ粒子の水性分散液は、用いる原料の純度をよく制御することにより、反応後の反応溶液中には、「銀ナノ粒子」、「ゼラチンまたはゼラチン誘導体」、「糖」、「水」のみが含まれることになり、生体材料や環境に対して悪影響を及ぼす恐れのある還元剤や未反応原料、硝酸イオンが含まれていないので、例えば生体材料、環境機能材などにも煩雑な精製工程を経ずに直接適用することが出来る。さらに、生理的食塩水程度の塩素イオンを含む環境下で用いても分散安定性を損なわないため、より汎用性のある抗菌剤などに用いることが可能である。
Claims (2)
- ゼラチンまたはゼラチンの誘導体を含有する銀ナノ粒子の水性分散液であって、生理的食塩水に滴下すると、淡い黄色を呈し、銀ナノ粒子特有のプラズモン吸収を示し、かつ、そのまま室温で10日間静置しても、凝集・沈降物が見られず、銀ナノ粒子が安定に分散することを特徴とする銀ナノ粒子の水性分散液。
- 酸化銀とゼラチンまたはゼラチンの誘導体と、還元性のある単糖類または二糖類を混合し、水溶媒中、55〜80℃で加熱することにより、銀ナノ粒子の水性分散液を得ることを特徴とする請求項1記載の銀ナノ粒子の水性分散液の製造方法。
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JP2007182498A JP2009019235A (ja) | 2007-07-11 | 2007-07-11 | 銀ナノ粒子の水性分散液およびその製造方法 |
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WO2012123924A3 (en) * | 2011-03-16 | 2013-06-06 | OOSTERLAAK, Neil | Antimicrobial composition including at least one or more aggregation(s) silver particles |
KR101415148B1 (ko) * | 2012-09-25 | 2014-08-06 | 한국항공대학교산학협력단 | 항균성 생체복합재 및 그 제조장치와 제조방법 |
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2007
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