JP2008539709A - 合成性であり標準化されたプリオン感染性物質、及び感染接種物としてのその使用。 - Google Patents

合成性であり標準化されたプリオン感染性物質、及び感染接種物としてのその使用。 Download PDF

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Abstract

本発明は、プリオンタンパク質PrPを発現する安定した遺伝子導入細胞からの細胞溶解物又は培養上清から成り、当該Prpの病原形態PrPscの複製を支持する、プリオン型の新規の、合成性であり、標準化され、可溶性であり、再現可能であり、取り扱いが容易な感染性物質に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成性であり標準化されたプリオン型物質及び感染接種物としてのその使用に関する。
発明の分野
用語、伝染性海綿状脳症(TSE)は、中枢神経系(SNC)変性によって特徴づけられる遺伝的又は後天的疾患群を示し、ヒトではとりわけクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)として知られているが、羊(スクレイピー)及び牛(ウシ海綿状脳症)のような他の哺乳類にも影響を及ぼす。この特性のため、これらの疾患の病原因子は「非通常型伝染性因子」(NCTA)として知られるグループ中に分類される。原因因子は知られていないが、この疾患はプリオンタンパク質(PrP)として知られる細胞外タンパク質の存在によって象徴される。PrPは、プロテイナーゼKのようなプロテアーゼに対して少なくとも部分的に耐性があり、細胞中に蓄積して細胞死をもたらす不溶性型へ疾患の過程で変化する。PrPscとして知られるPrPのこの異常な病原形態は、プリオンタンパク質PrPのコンフォメーションの変化の結果として起こる。PrPをコードする遺伝子の発現変化又はその翻訳における修飾は証明されていない(P. Brown, Transfusion, 41, 4333-436, 2001及びD. Volkel et al, Transfusion, 41, 441-448, 2001)。
in vitro又はin vivoにおける形質転換は、TSEについての我々の理解に大いに寄与する。したがって、PrPscをコードする遺伝子が不活性化されたマウスは、実験的に誘導された疾患に対する耐性が高くなる。反対に、家族性TSEを有する被験者のPrP遺伝子又は異種遺伝子からクローニングされた、病原性の導入遺伝子を発現する(又は過剰発現する)マウス及び細胞培養物は、対応する疾患を模倣するか、又は導入遺伝子と同一種に属する感染した被験者から得られた接種物に感受性がある。PrPのPrPscへのコンフォメーション変換(trans-conformation)に相互作用する分子について調べるために、遺伝子導入細胞系もビトロのモデルとして用いられる。
現在利用可能なデータに基づいて、TSEを引き起こす伝染性因子が、血液及び血液製剤において感染形態で存在することを実証することは不可能である(上記のP. Brownを参照)。しかしながら、一方では血液中のレベルが非常に低い可能性、及び他方では被験者に感染した後の疾患の非常に長い潜伏期がないと明言することも不可能である。
特定の医薬品源は、例えば、NCTAで潜在的に汚染されたヒト又は動物由来の生物学的出発物質(血液、器官、骨、皮膚、血漿、胎盤又は細胞培養物)を含むこと、又は出発物質(培養培地、成長因子)が汚染される可能性を有するプロセスを通して得られたことを考慮して、現在、医薬品産業は、生物学的医薬品を得るか又は処理するために用いられるプロセス、NCTAを排除するために用いられる装置の汚染除去手順、及び最後に制限手順の有効性を評価している。
すべてのNCTAに共通の唯一既知の感染因子(すなわちこの疾患を伝播するもの)が、病原形態のプリオンタンパク質PrPscであるので、これらの方法の有効性は、PrPscの除去又は制限に関して評価される。
事実PrPscの驚くべき耐性は、寒冷沈降性(cryoprecipitable)血漿タンパク質(第VIII因子、フォン・ヴィレブランド因子など)のような血液製剤のウイルス負荷を軽減するとして知られている、古典的な不活性化プロセス(例えばTWEEN−TNBP溶媒/界面活性剤による処理)の使用を妨げる。
先行技術
生物学的医薬品を得るか又は処理する手順、PrPscを除去する装置の汚染除去、 並びに制限手順の有効性を評価及び/又は制御するために用いられるような方法は、以下を含まなくてはいけない:
− 生物学的物質を得る前、間及び後の、又は処理する前、間及び後の、又は汚染除去する前、間及び後の、生物学的物質中のPrPscの力価測定方法、
−及び既知の感染性PrPsc力価の感染接種物(すなわち生物学的産物又は汚染除去する装置の汚染を可能にする感染性物質)であり、その変化はモニターすることができる。
PrPscの力価測定方法として、以下の方法が知られている。
一般的に言えば、プリオン感染性の力価測定は、PrPscを添加した検査される産物の異なる希釈物による実験動物の脳内接種によって行なわれ、それらの実験動物は、例えば他の動物からのTSE株の感染への適応を既に可能にしたげっ歯類、特にゴールデンハムスター、又は感染源のPrPscと同一種のPrPを発現するトランスジェニックマウスである。実行した希釈に対応する、異なるグループで感染した動物の数によって、感染力価を算出することができる。しかしながらこの方法は、時間がかかり、高価であり、工業的な規模で開発するのは困難である。脳内注入後のゴールデンハムスターにおけるヒツジスクレイピーに対する潜伏期間は、75日である。
さらに、既知の力価測定方法は、TSE感染因子のin vitroの力価測定に利用可能である。それらは、ウェスタンブロット(Ironside J.W. et al, J. of Thrombosis and Haemostasis, 1, 1479-1486, 2003)、又はELISAによって、PrPscを検出することから成る。これらの方法は、プロテイナーゼKを用いて分析されるサンプルの予備消化又は正常タンパク質(PrP)から病原性タンパク質(PrPsc)を同定するためのカオトロピック剤を用いた変性のいずれかを含んでいる。実際に、抗体は、PrPresと呼ばれるプロテイナーゼK耐性のプリオンタンパク質断片を検出する。他の力価測定方法は、PrPを認識しない特異的なPrPsc抗体の使用に基いて最近開発された。
同様に、特許出願番号WO04/02179において、出願人は、NCTAに対応するPrPscの複製を支持し、試験される生物学的物質中にあるPrPscの量の増幅をもたらすような、安定した遺伝子導入細胞系を用いて、上述のNCTAのin vitroの力価測定方法、並びにNCTAで潜在的に汚染された生物学的産物を得るか又は処理するために用いられるプロセスのin vitroの評価及び/又は制御方法の一部として、又は装置を汚染除去するために用いられるプロセスのin vitroの評価及び/又は制御方法の一部として、このような力価測定方法の使用を記載する。この力価測定方法は、NCTAで汚染される可能性がある生物学的産物のPrPscの感染力価を算出することを可能にする。
この出願の実施例A及び実施例Bは、特許出願WO04/02179で記載されていた力価測定方法について、及びPrPsc除去に関してナノ濾過工程の有効性を評価するためのその方法の使用についての利用可能性を提供する参照例である。
このような方法に適している感染接種物の選択については、この選択は非常に制限されている。
現在までは、単一の感染源が用いられている。感染接種物は、感染脳ホモジネートから成る。
ほとんどの場合、これらのホモジネートは実験動物、特にげっ歯類の脳から得られ、これらは感染物質による脳内接種によって感染した。
Miekka et al.は、ヒトアルブミンの完全性を維持する間にハムスターのPrPscの不活性化に関するガンマ線照射の有効性を評価するための、25%アルブミン溶液の感染接種物として、ハムスターの263Kスクレイピータンパク質によって感染したハムスターから得られた脳ホモジネートの使用を開示する。新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病(vCJD)に感染した被験者から得られ、且つ国立生物学的製剤研究所(National Institute for Biological Standard and Controls)(NIBSC)から利用可能な標準脳及び脾臓調製品を用いることも可能である。それらは10%の組織ホモジネートであり、分割して保存される。それらには、感染性物質がヒト起源であるという利点がある。
Stenland et al.(「ヒトの血漿からの治療タンパク質の精製の間、病原性プリオンタンパク質のヒト及び羊の形態への分離(Partitioning of human and sheep forms of the pathogenic prion protein during the purification of therapeutic proteins from human plasma)」, TRANSFUSION, Vol 42, November 2002)は、いくつかの種から得られ、且つ異なる疾患に感染した様々な脳ホモジネートを、これらの疾患の除去に関して、ヒトの血漿タンパク質の様々な精製工程によって比較した。感染接種物として、彼らは以下の脳ホモジネートを用いた:
―新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病に感染したヒト(国立CJD調査部会(National CJD Surveillance Unit)、 Edinburgh, Scotland)
―散発性クロイツフェルト−ヤコブ病に感染したヒト(CNS研究のNIH研究所(NIH Laboratory of CNS Studies)、Bethesda, MD)
―ゲルストマン−ストロイスラー−シャインカー症候群に感染したヒト(発育障害の基礎調査のためのニューヨーク州立機関(New York State Institute for Basic Research in Developmental Disabilities)、Staten Island, NY)
―スクレイピーに感染した羊(ケイン獣医教育センター(Caine Veterinary Teaching Center)、University of Idaho, Moscow, ID)
―ハムスターに適応した263Kスクレイピー株に感染したハムスター。
1gの組織を冷TBS(トリス緩衝生理食塩水)9容量中で分散させ、その後の均質化によって、ホモジネートを調製した。
彼らは、ハムスターに適応した263Kスクレイピーに感染したハムスターの脳ホモジネートが、上で言及された異なるNCTAに感染したヒトの脳ホモジネートの適切な代用であると結論づけた。
Vey et al.(「添加薬剤の純度が血漿タンパク質の精製におけるプリオンの分離に影響を与える(Purity of Spiking Agent Affects Partitioning of Prions in Plasma Protein Purification)」、Biologicals, 2002, 30, 187-196)は、様々な純度の感染接種物の異なる形態、すなわち脳ホモジネート、ミクロゾーム膜画分、「カベオラ様」ドメイン(特殊化した膜コンパートメント)、精製されたPrPsc(Bolton et al.,「無傷のスクレイピー薬剤タンパク質の単離及び構造研究(Isolation and structural studies of the intact scrapie agent protein)」、Arch Biochem Biophys. 1987 Nov 1; 258(2): 579-90)を、様々な血漿タンパク質精製プロセスによって、PrPsc力価で測定されたそれらの除去に関して比較した。脳ホモジネートは冷TBS中で10%の分散液として調製され、次にUltra Turraxで均質化された。彼らは、異なる特性を有する異なる感染性接種物の使用が、血液からの理論的なプリオン汚染物の最も良好な除去を模倣するのに好ましいと結論づけた。
米国特許第6,020,537号は、プリオン検出の参照サンプルを製造するために、感染源と同一種のPrPを発現するトランスジェニックマウスの使用を開示する。
Haemosan LSS GmbH社(Herwig Reichl教授)は、NCTAで汚染しやすい生物学的産物が得られる手順、及びNCTAを除去するそれらの能力を評価するための実験的な添加として、スクレイピー株139Aを添加したSMBリンパ球細胞系を用いる。この細胞系は遺伝子導入ではなく、非常に低レベルの感染性で発生し、それは生物学的起原の産物を得る製造プロセス工程の評価に対する主要な障害となる。
技術的問題
感染性接種物としての脳ホモジネートの使用は、検査される産物との、又は除去/不活性化方法との不適合性について技術的問題を引き起こす。
実際、脳抽出物における高い脂質含量は、脳凝集体への生物学的産物の吸収を誘導することができる。同様に、結果として生じた不溶性は、感染物質としてPrPscの減少因子を人為的に増大させる場合があり、その後可溶性物質とは異なって作用し、例えば、それはフィルターを詰まらせるか、又は汚染除去される装置の表面上で乾燥する可能性がある。
当然ながら、希釈された脳ホモジネートを用いてもよい。しかし、特にホモジネートが希釈剤の脳重量/体積が10%に既に希釈されているので、高い感染力価とは両立しない。
感染性接種物としての脳ホモジネートを用いることは、さらに以下についての問題を引き起こす:
―PrPsc複製に必要なインキュベーション時間、
―実験動物のコスト、
―実験動物取り扱い資格のあるスタッフの必要性、
―産業上のスケールアップ、
―サンプル間の再現性、
―及び同時に、動物の使用及び計画的な感染に関連した明らかな倫理の問題。
さらに、感染性脳材料の標準化は困難である。実際は、感染性物質による脳内接種に由来する動物の脳における感染性用量を再現するのは困難である。これは、特に用いられる感染性物質が、それ自体未知の感染性充填(load)による脳ホモジネートである場合である。
最終的に、脳ホモジネートモデルは、それ自体では血液中の潜在的な感染型に対する適合性が低く、完全に異なる環境で存在するとされる。
したがって、感染した脳ホモジネートによって示されたものと同等又はそれよりも高いPrPsc感染力価を有する新規の感染源の同定が必要に思われる。この新規の感染源は、脳ホモジネートの使用と関連する上で述べられた問題(溶解度、標準化、保存、再現性、単純化された培養条件)を省くこと、及び生物学的産物を得るか又は処理する手順、及び装置汚染除去手順に適用された評価及び/又は制御方法のために、感染性接種物として用いることを可能にすることの両方の利点が提示される必要がある。
本出願人は独特の様式で、まさにこのような、合成性であり、標準化され、可溶性であり、再現可能であり、取り扱いが容易な新規の感染源を同定し、これはプリオンタンパク質PrPを発現する安定した遺伝子導入細胞に由来した細胞溶解物又は培養上清から成り、且つ当該PrPの病原形態PrPscの複製を支持し、PrPscの感染力価は、PrPscに感染した動物の脳ホモジネートの感染力価の50%より大きく、特に75%、及び好ましい実施形態では100%である。
本発明において記載される細胞溶解物又は培養上清は、当業者に既知の方法によって標準化及び安定化させることができる。
この細胞溶解物又は培養上清は感染性接種物として
―NCTAに汚染されやすい生物学的産物を得るか又は処理するために使用された手順、特に血漿製剤派生物を精製するために使用された手順のための評価及び/又は制御方法、及び特にクロマトグラフ法又はナノ濾過の一部として、
―NCTAに汚染されやすい装置の汚染除去プロセスを評価及び/又は制御するために使用される方法に、
―NCTAの感染性を阻害する化合物を評価するために使用される方法として、
使用することができる。
使用される細胞系において感染性物質をin vitroで増幅することが可能であるので、NCTAに感染した種に関係なく、特にヒトで、無限量の高い感染力価を有するこのような感染性接種物を得ることは可能であるだろう。本出願人は、患者の脳材料の使用に頼らずに、感染性ヒト物質を得る唯一の方法を同定した。
同様に、本発明に記載の感染性物質は、スクレイピー又はウシ海綿状脳症に感染したヒツジ又はウシの脳組織採取物を使用する必要性を省く。
発明の詳細な説明
したがって、本発明は、プリオンタンパク質PrPを発現し、且つ当該PrPの病原形態であるPrPscの複製を支持する安定した遺伝子導入細胞から得られた細胞溶解物又は培養上清に関し、PrPscの感染力価は、当該PrPscに感染した10%の動物の脳ホモジネートの感染力価の50%より大きく、特に75%、及び好ましくは100%である。
本発明に記載される、このような安定した遺伝子導入細胞の使用は、特に、物質が培養上清において分泌されるために、物質の無制限の産生及び迅速な利用可能性の実現という多くの利点を提示する。
Vilette et al.(PNAS, Mars 2001, 98(7), 4055-4059)は、ヒツジのPrP(遺伝子導入)を発現する安定したウサギの遺伝子導入上皮細胞が、ヒツジのPrPscを含む抽出物による感染後に、ヒツジのPrPscを複製できることを実証した。彼らが考案した細胞モデルのRov9系は外来性のPrPを誘導的に発現し、感染性物質に暴露された細胞でのPrPscの蓄積に必要なインキュベーション期間中に、外来性のPrPが維持されることを保証する。PrPsc複製を支持するような安定した遺伝子導入細胞は、本発明に記載の感染性物質の産生において使用するのに適切である。
Archer et al.(Journal of Virology, Jan. 2004, p. 482-490)は、PrPscの複製を支持する他の型の安定した細胞系を作成した。彼らのモデルは、ヒツジのPrPを発現し、且つヒツジのPrPscの複製の支持するマウスのグリア細胞、MovS細胞から構成されていた。これらの細胞が、本発明に記載される感染性物質の産生に特に適合していることが示された。
PrPscに感染した動物の10%脳ホモジネート(本発明に記載される細胞溶解物又は培養上清の同一のPrPscにおける感染力価の参照として、その感染力価を取り扱う)を、例えば等張緩衝液中、例えばTBS又はPBS中で10%に希釈する。その後、これを、例えばUltra turraxを使用して、この希釈剤中で均質化する。
組織病理学の分析によって及び/又は免疫組織化学的染色によるPrPresの検出後に、この感染が確認される場合、並びに動物がPrPscに対応するNCTAの症状を発症した場合、動物の脳は「PrPscに感染した」と表現する。特に、PrPscによる脳の感染が組織病理学及び/又は免疫化学染色によって確認されている場合、「PrPscに感染した動物の脳」は、NCTA関連の疾患で死んだ動物及び安楽死させられた瀕死の動物から得ることができる。
感染力価は、本出願人によって出願された国際特許出願WO04/02179において記載される力価測定方法によって測定することができる。
感染力価は、当業者に周知の方法を使用して測定してもよい。例えば、力価測定される物質の段階希釈を、力価測定されるPrPscによる感染が可能である動物の脳内に、この事例においては1グループの動物当たり1つの希釈率で注入する。各動物グループ中の疾患の潜伏期間及び罹患した動物数に依存して、感染力価をスピアマン−カルバー法のような当業者に既知である統計的方法を使用して推定してもよい。
有利には、本発明に記載の細胞溶解物又は培養上清は、1用量当たりの感染単位において標準化することができる。さらに、それは、当業者に既知である物質の存在下で潜在的に、凍結、乾燥、凍結乾燥及び微粒化によって安定させることができ、それは使用する安定化方法に関連して感染力価の損失を防ぐように意図される。
本発明の範囲内で、用語「NCTA」は、家族性及び散発性両方のCJD、クールー病、若年の被験者において証明されたCJD変異型に関与するもの、及び動物にヒツジのスクレイピー又はウシもしくはネコの海綿状の脳炎も引き起こすものを含むすべてのNCTAを指す。
用語「プリオンタンパク質」は、問題になっているNCTAによって感染されやすい規定の種の個体で、標準型PrPに発現された、及びNCTAに既に感染しているこの同一種の個体で、病原型PrPscとして発現されたNCTAの特徴的なタンパク質を示す。このタンパク質は、特に脳中に、NCTA感染のすべての症例中に存在する感染媒介成分であり、すなわち、健康な被験者における脳内接種後にNCTAの症状を誘導することができる。
本発明に記載される細胞溶解物又は培養上清は4以上、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、及び特に好ましい実施形態では7以上のlogTCID50/mlの感染力価を有する。特に、本発明に記載の細胞溶解物又は培養上清中に存在する感染性PrPscは、ヒツジ、ウシ又はヒト起源である。好ましくは、それは、羊スクレイピーのヒツジプリオンタンパク質又は新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病のヒトプリオンタンパク質を示す。
本発明の1つの特定の実施形態は、規定の種から得られ、同一種のPrPscに感染した動物の脳ホモジネート(例えば、スクレイピーのヒツジのPrPscに感染した動物からの羊の脳ホモジネート、ハムスター適応株263KのPrPscに感染した動物からのハムスター脳ホモジネート、ウシ海綿状脳症(BSE)のウシのPrPscに感染した動物からのウシの脳ホモジネート、又は新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病(vCJD)のヒトのPrPscに感染した患者から得られたヒトの脳ホモジネート)との、本発明に記載の細胞溶解物又は培養上清の感染力価の比較から成る。
本発明の他の実施形態に従って、本発明に記載される細胞溶解物又は培養上清の感染力価は、規定の種からの導入遺伝子としてPrPを発現し、同一種からのPrPscに感染したトランスジェニック動物(例えばヒツジのPrPを発現し、ヒツジのPrPscに感染したトランスジェニックマウスの脳ホモジネート)から得られた脳ホモジネートと比較される。これらのトランスジェニック動物は、自身の種のPrP遺伝子に対する「ノックアウト」(両対立遺伝子を欠損した)であり得る。
有利な様式で、本発明に記載される細胞溶解物又は培養上清は、ウサギの上皮細胞、特に細胞株Rov9(Vilette et al.)からのウサギの上皮細胞、又はマウスのグリア細胞、特に細胞株MovS6(Archer et al.)からのマウスのグリア細胞から得られる。本発明は、さらに本発明に記載される感染性物質を感染接種物として、非従来型伝達性因子(NCTA)に感染されやすい生物学的産物を得るか又は処理するin vitroの手順を評価及び/又は制御するための方法において使用することに関する。この評価及び/又は制御方法は、以下によって特徴づけられる。
―本発明に記載される感染性物質は感染を模倣するために生物学的産物に接種される;
―本発明に記載される感染性物質に人為的に感染させた生物学的産物は、上記手順の前後の両方で力価測定される;
―及び、得られた2つのPrPsc感染力価が比較される。
2つの測定の比較によって、PrPscの除去程度又は減少因子を得る。このように、一旦生物学的産物が得られたならば、本発明の方法は、生物学的産物を得るために使用される手順の間に、又はNCTAの除去プロセスの範囲内で行なわれてもよい。
生物学的産物を得るか又は処理するために使用される手順は、特に血漿製剤のような血液産物が、例えばクロマトグラフ法又はナノ濾過、及び特に、欧州特許第0359593号及び特許出願WO02092632に記載されたクロマトグラフ法を使用して得られるか、又は精製されるプロセスである。
本発明は、さらに装置の汚染除去手順の評価及び/又は制御のためのin vitroの方法における、感染性接種物として本発明に記載される感染性物質の使用に関する。この場合、試験される汚染除去方法によって汚染除去される装置は、人為的に感染される。この目的を達成するために、本発明に記載される感染性物質(その感染力価は既知である)を、汚染除去される装置と接触させ、その後汚染除去手順を行なう。最終的に、汚染除去サイクル後に、汚染除去された装置から採取されたサンプルの力価を測定する。汚染除去手順の有効性を評価するために、この力価を、本発明に記載される感染性物質の初期感染力価と比較する。
装置は、例えば精製システム、より具体的にはクロマトグラフィーカラムから成っていてもよい。
汚染除去手順は、例えば水酸化ナトリウムを使用したクロマトカラムの洗浄であってもよい。
本発明は、さらにNCTAの感染性を阻害する化合物を評価する方法のための感染接種物としての、本発明に記載される感染性物質の使用に関する。この場合、本発明に記載の感染性物質のNCTA感染性能力は、当該NCTAの感染性を阻害しやすい化合物がある状態、及びその化合物がない状態で試験される。
本発明は、さらに感染性物質の制限手順、特にP3型の手順及び装置の評価及び/又は制御方法のための感染接種物としての、本発明に記載される感染性物質の使用に関する。
参照例A:MovS6細胞に対するin vitroの力価測定によるPrPsc PG127感染性の力価測定
NCTA関連感染性の力価測定を意図するin vitroのシステムの利用可能性を研究するために、MovS6細胞(Archer F. et al. 2004)をNCTA複製を支持する細胞として選択し、Tg301トランスジェニックマウスに適応したPG127スクレイピー株を感染源として使用した(Vilotte JL et al., Journal of Virology, Vol. 75, n°13, p.5977-5984, 2001)。接種物は、100mg/mlの比率でPG127スクレイピー株、すなわち、10%(重量/体積)のPG127/98の羊の脳ホモジネート(Veterinary Laboratory Agency, Addelstone, UK)に感染した10%(重量/体積)のマウスの脳ホモジネートから成っていた(cf. Vilotte JL et al., Journal of Virology, Vol. 75, n°13, p.5977-5984, 2001, Material and Methods)。MovS6細胞を、グルタミン及びウシ胎仔血清を追加したDMEM+HamF−12培地で培養した。力価測定プレートを、接種24時間前に調製した。細胞は、96ウェルプレートにおいては1ウェル当たり40,000個の細胞(試験番号1)の比率で、及び24ウェルプレートについては1ウェル当たり100,000細胞(試験2及び試験3)の比率で播種した。マウスの脳ホモジネートの10倍(試験1及び試験2)及び5倍(試験番号3)の段階希釈物を、培養培地で調製した。培養プレート当たり5個のウェルを、各々の接種希釈物に感染させた。細胞を、12時間から4日にわたる期間、規定容量の接種物(50〜150μl)に暴露した。表1は、各々の試験に特異的な実験的接種及び細胞増殖条件を要約する。接種物を廃棄し、新しい培養培地と取り替え、その後、細胞を最初の継代までの72時間培養物で維持し、その継代の間に培養プレートの構成を、半分(試験番号1)又はすべての感染細胞(試験番号2及び試験番号3)を維持するように変更された。培養培地は続いて試験中に週に1度交換し、10対1の比で細胞を再度播種したので、各々の継代で細胞の90%の分析が可能になった。各々の継代で採取された細胞を細胞ペレットとして凍結し、PrPscを検出するためにウエスタンブロット法を使用してそれらを分析するまで−80℃で保存した。細胞ペレットの各々を、37℃で2時間、容量50μl中でベンゾナーゼ(250単位)で処理した。その後細胞溶解物をプロテイナーゼKで処理し、変性し、その後変性条件下でポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)を用いて分析した。その後ゲル中で移動したタンパク質を、ニトロセルロース膜上にエレクトロトランスファー(electro-transfer)により転写した。膜に存在するPrPscを、6H4抗体(Prionics)、その後標識された二次抗体(マウス抗体に対するヤギ抗体)でインキュベーション後に検出した。標識された膜は、化学発光により検出した。糖化したPrPscの3つの型の電気泳動像がオートラジオグラムで可視化された場合、サンプルは陽性であると考えられた。各々のウエスタンブロット解析については、陰性対照(感染していないMovS6細胞)を、サンプルと並行して処理した。各々の細胞継代では、培養プレートのウェルをすべて試験した。規定の接種物の希釈物で接種された細胞培養物の複製のすべてが、2つの連続した継代の間にPrPsc陽性であると見出された場合、これらの培養物は、続く継代の間ではもはや試験しなかった。サンプル力価を細胞培養の終了時にスピアマン−カルバー法を用いて計算した(Schmidt NJ及びEmmons RW,「ウイルス性のリケッチア感染及びクラミジア感染の診断手順(Diagnostic Procedures for Viral, Rickettsial and Chlamydial Infection)」、1989, 6th Edition)。
Figure 2008539709
結果
試験番号1
PG127スクレイピー株に感染したマウスの脳ホモジネートの10−1〜10−6の希釈物を調べた。3回の継代では、細胞ウェルのいずれもPrPscを示さなかった。4回の継代では、接種物の10−1〜10−3の希釈物で接種されたウェルの100%がPrPscに対して陽性であり、10−4の希釈物で感染した培養物の75%は陽性だった。5回の継代では、10−5の希釈物で接種されたウェルの25%が陽性であり、スピアマン−カルバー法によって、1ml当たり6.05logの50%感染性用量(TCID50)の力価を与えた。ストックの力価は後の細胞継代の間に増加しなかった。
試験番号2
表2は、試験番号2の間に得られた結果を要約し、もう一度、試験した各々の接種希釈物により感染した各々の培養の複製における、陽性結果のパーセンテージの変化を示す(10−3〜10−7)。培養におけるPrPscの開始までの時間は、培養物が接種された感染用量に反比例していることを観察することができる。したがって、10−3の希釈の接種物を接種される培養物は2回の継代でPrPscを示すが、10−4で接種された培養物の100%が陽性となるには、追加継代が必要であった。この実験に対して産生された接種物の力価は、5.5TCID50/mlであった。
Figure 2008539709
試験番号3
表3は、試験番号3の間に得られた結果を要約する。この試験のために、接種物の希釈率を1/5に減らし、試験した希釈を10−4から10−6.8とした。最大力価は6回の継代で得られ、計算された力価は6.43TCID50/mlであった。
Figure 2008539709
行なわれた3つの試験の結果は、NCTA関連感染性のTCID50におけるin vitroの力価測定の利用可能性を実証する。
参照例B:NCTAによって潜在的に感染した生物学的医薬品のための精製工程に関連した減少因子の計算
この試験については、ナノ濾過工程が、生物学的産物が得られる製造プロセスにおける工程のうちの1つの例として選択された。孔径15nm及び表面積0.01mのPLANOVA 15N(旭化成株式会社)フィルターを選択した。濾過される物質は、490〜510mosmol/kgの浸透圧及び6.90〜7.10のpHの0.01Mのクエン酸三ナトリウム二水和物緩衝液、0.12Mのグリシン、0.016MのL−リシン(一塩化物)、0.001Mの塩化カルシウム二水和物、0.17Mの塩化ナトリウム中の0.2g/lのヒトアルブミンであった。ナノ濾過は、500±100mbarの圧力下で25℃で行なわれた。フィルターは、産物のナノ濾過の前にヒトアルブミンを希釈するために用いられる40mlの緩衝液で平衡化した。PG127スクレイピー株に感染した10%のマウスの脳ホモジネート(重量/体積)が4%で加えられた濾過されるべき30mlの産物を濾過し、その後フィルターを平衡化するために用いた10mlの緩衝液を、フィルターを通して産物を濾過し洗い流した。この工程が再現可能なことを保証するために、2つのナノ濾過試験を行なった。濾過される実験的に加えられた産物は、ナノ濾過の前に産物内に存在する感染性を定量するための分割画分を採取するのに十分な量で調製された。40mlの濾液の全容量をナノ濾過後に回収し、ナノ濾過後に産物における感染量を決定するために力価測定した。加えられた出発物質及びろ過された産物を、力価測定のために−80℃で保存する前に、培養培地で1/3に希釈した。サンプルは、最初の例に記載されていた試験番号3の実験条件に従って力価測定された。残存感染力価が皆無か又は非常に低いと予想されたろ過されたサンプルについては、上述されたように、非細胞毒性のサンプルの最低の希釈を10個の複製へ、及び次の希釈は5個の複製へ接種した。
表4は、このナノ濾過試験によって生じた4つのサンプルの力価測定の結果を要約する。
加えられた出発物質の力価は、試験1及び試験2で4.67 logTCID50/mlであった。残存感染性は濾液サンプル中に検出されなかった。ポアソン則を用いて、これらのサンプルの感染負荷は接種されたサンプルの最低希釈容量から、0.28 logTCID50/mlであると計算された。サンプル中に存在する総負荷は、それらの負荷にそれぞれの容量を掛けることによって計算され、減少因子は、濾過の前の出発物質又は初期サンプルで測定された負荷を、濾液で測定された負荷で割ることによって算出された。クリアランス因子は、実験的添加物に加えられた感染性の計算量から算出された。クリアランス因子と減少因子との間の差は、それが1 logを越える場合、この産物における感染性を検出するための、出発産物と力価測定システムの能力との間の潜在的干渉の同定を可能にする。表5はこれらの計算を要約する。出発物質を加えるために用いられる脳ホモジネート中にある感染性の除去に関連した減少因子は、試験1及び2に対して、それぞれ4.24以上及び4.22以上のlogであった。クリアランス因子の計算は、出発物質の干渉を全く示さなかった。
Figure 2008539709
Figure 2008539709
実施例1
実施例1中に記載された力価測定方法を用いた、PG127株に感染したMovS6細胞溶解物の力価測定
試験3の実験条件で、実施例1中に記載された力価測定方法を用いた(唯一の違いは感染接種物)。用いられる感染接種物は、PG127スクレイピー株に100mg/mlの比率で感染した10%のマウスの脳ホモジネート(重量/体積)で、実施例1に記載されるようなMovS6感染細胞の溶解物であった。10−4〜10−8にわたる段階的な10倍希釈を、1つの培養プレート当たり及び1つの希釈当たり5つのウェルを感染するのに用いた。結果を表6に示す。
Figure 2008539709
実施例2
実施例1に記載されるような力価測定方法を用いた、PG127株に感染したMovS6細胞の培養上清の力価測定
試験3の実験条件で、実施例1中に記載された力価測定方法を用いた(唯一の違いは感染接種物)。用いられる感染接種物は、PG127スクレイピー株に100mg/mlの比率で感染した10%のマウスの脳ホモジネート(重量/体積)で、実施例1に記載されるような感染MovS6細胞の培養上清であった。1/3〜1/2187の段階的な3倍希釈を、1つの培養プレート及び1つの希釈当たり5つのウェルを感染するのに用いた。結果を表7に示す。
Figure 2008539709
実施例3
PrPsc及び感染性力価の比較
感染性力価を、表3、表6及び表7から表8中に要約する。さらに、実施例1のように、ウエスタンブロット法を出発接種物(100mg/mlのPG127スクレイピー株に感染した10%(重量/体積)のマウスの脳ホモジネート、100mg/mlのPG127スクレイピー株に感染した10%(重量/体積)のマウス脳ホモジネートで実施例1中に記載されているように感染したMovS6細胞の細胞溶解物、及び100mg/mlのPG127スクレイピー株に感染した10%(重量/体積)のマウスの脳ホモジネートで実施例1中に記載されているように感染したMovS6細胞の細胞培養上清。後者については、検出する前に超遠心分離によってPrPscを濃縮することが必要であった。)におけるPrPscを定量するのに用いた。
接種物の各々を、SDS−PAGEローディングバッファーで段階希釈した。PrPscに特異的なシグナルをもはや示さない接種物の最初の希釈は、1ウェスタンブロット単位を含むと考えられた。PrPscにおける接種物力価は、ゲルに充填した各希釈の各サンプル量を考慮に入れて、限界希釈の逆数と計算される。
Figure 2008539709

Claims (27)

  1. プリオンタンパク質PrPを発現し、該PrPの病原形態(PrPsc)の複製を支持する安定した遺伝子導入細胞から得られる細胞溶解物又は培養上清であって、PrPscの感染力価が該PrPscに感染した動物の脳の10%ホモジネートの感染力価の50%より高い、細胞溶解物又は培養上清。
  2. プリオンタンパク質PrPを発現し、該PrPの病原形態(PrPsc)の複製を支持する安定した遺伝子導入細胞から得られる細胞溶解物又は培養上清であって、PrPscの感染力価が該PrPscに感染した動物の脳の10%ホモジネートの感染力価の75%より高い、細胞溶解物又は培養上清。
  3. プリオンタンパク質PrPを発現し、該PrPの病原形態(PrPsc)の複製を支持する安定した遺伝子導入細胞から得られる細胞溶解物又は培養上清であって、PrPscの感染力価が該PrPscに感染した動物の脳の10%ホモジネートの感染力価より高い、細胞溶解物又は培養上清。
  4. 4logTCID50/ml以上の感染力価を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  5. 5logTCID50/ml以上の感染力価を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  6. 6logTCID50/ml以上の感染力価を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  7. 7logTCID50/ml以上の感染力価を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  8. 前記病原形態のPrPscの複製を支持する、前記安定した遺伝子導入細胞によって発現された前記プリオンタンパク質PrPが、ヒツジ、ウシ又はヒト起源であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  9. 前記プリオンタンパク質PrPが羊スクレイピーのヒツジのプリオンタンパク質であることを特徴とする、請求項8に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  10. 前記プリオンタンパク質PrPが新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病のヒトのプリオンタンパク質であることを特徴とする、請求項8に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  11. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、同一種のPrPscに感染した規定種の動物の脳から得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  12. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、羊スクレイピーのヒツジPrPscに感染した羊の脳から得られることを特徴とする、請求項11に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  13. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、ハムスターに適応したPrPsc株263Kに感染したハムスターの脳から得られることを特徴とする、請求項11に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  14. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、ウシ海綿状脳症(BSE)のウシPrPscに感染した牛の脳から得られることを特徴とする、請求項11に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  15. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、新規変異型クロイツフェルト−ヤコブ病(vCJD)のヒトPrPscに感染したヒト患者の脳から得られることを特徴とする、請求項11に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  16. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、導入遺伝子としての規定種のPrPを発現し、同一種のPrPscに感染したトランスジェニック動物の脳から得られることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  17. 前記感染した動物の脳ホモジネートが、ヒツジPrPを発現し、ヒツジPrPscに感染したトランスジェニックマウスの脳から得られることを特徴とする、請求項16に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  18. 安定した遺伝子導入ウサギ上皮細胞から得られる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  19. 安定した遺伝子導入ウサギ上皮細胞株Rov9から得られる、請求項18に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  20. 安定した遺伝子導入マウスグリア細胞から得られる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  21. 安定した遺伝子導入マウスグリア細胞株MovS6から得られる、請求項20に記載の細胞溶解物又は培養上清。
  22. NCTAによって汚染される可能性を有する生物学的産物を得るか又は処理するために用いられる手順に適用される評価及び/又は制御方法のための感染接種物としての、請求項1〜21のいずれか一項に記載の溶解物又は培養上清の使用。
  23. 血漿分画製剤を精製するために用いられる手順に適用される評価及び/又は制御方法のための感染接種物としての、請求項22に記載の溶解物又は培養上清の使用。
  24. 前記精製プロセスがクロマトグラフィー又はナノ濾過を意味することを特徴とする、請求項23に記載の溶解物又は培養上清の使用。
  25. NCTAで潜在的に汚染された装置を汚染除去するために用いられる手順に適用された評価及び/又は制御方法のための感染接種物としての、請求項1〜21のいずれか一項に記載の溶解物又は培養上清の使用。
  26. NCTAの感染性を阻害する化合物を評価する方法のための感染接種物としての、請求項1〜21のいずれか一項に記載の溶解物又は培養上清の使用。
  27. 感染性物質の制限手順の評価及び/又は制御方法のための感染接種物としての、請求項1から21のうちのいずれかに記載の溶解物又は培養上清の使用。
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