(詳細な説明)
本出願の発明者は、特に、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮頸癌、乳癌、およびリンパ腫を含むいくつかの癌で過剰発現し、正常な組織では限られた発現を有することを検出した。意外なことに、DKKL−1スプライス産物の抑制は、癌細胞の活動を抑制するが、「正常な」細胞の活動は抑制しない。本発明のこれらの態様およびその他の態様は、本出願で提供される。したがって、本発明は、特に、癌を治療、診断、および検出するための組成物(たとえば、DKKL−1スプライス産物調節因子)、およびこのような調節因子を使用する方法を提供する。
定義
本明細書で使用する場合、「DKKL−1」、「新規なイソ型」、および「DKKL−1スプライス産物」という用語は、以下に記載するDKKL−1イソ型2およびDKKL−1イソ型3を意味する。
本明細書で使用する場合、「野生型DKKL−1」および「DKKL−1イソ型1」という用語は、配列番号1のヌクレオチド配列、および配列番号2のアミノ酸配列を有するDKKL−1イソ型1を意味する。
「新規なイソ型2を含むポリヌクレオチド」は、新規なスプライス部位であって、図3A〜3Eに示すクローン379−R8および379−RS3のヌクレオチド配列の位置329および330をスパンする少なくとも4、6、10、15、20、25または30の連続ヌクレオチドを含む新規なスプライス部位を含み、DKKL−1ポリヌクレオチド配列、またはその相補体にハイブリダイズする。図3A〜3Eに示すクローン379−R8および379−RS3の配列は、DKKL−1ポリヌクレオチド配列、またはその相補体にハイブリダイズする。イソ型2のヌクレオチド配列は、配列番号3と記載される。
「新規なイソ型3を含むポリヌクレオチド」は、新規なスプライス部位であって、図3A〜3Eに示すクローン379−R4、379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のDKKL−1ポリヌクレオチド配列の位置188および189をスパンする少なくとも4、6、10、15、20、25、または30の連続ヌクレオチドを含む新規なスプライス部位を含み、DKKL−1ポリヌクレオチド配列、またはその相補体にハイブリダイズする。イソ型3のヌクレオチド配列は、配列番号5と記載される。
「新規なイソ型2を含むポリペプチド」は、図4A〜4Bに示すクローン379−R8および379−RS3のポリペプチド配列の位置108および109をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15または20の連続残基を有する新規なスプライス部位を含み、DKKL−1ポリペプチド配列、またはその断片を含む。イソ型2のポリペプチド配列は、配列番号4と記載される。
「新規なイソ型3を含むポリペプチド」は、図4A〜4Bに示すクローン379−R4、379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のポリペプチド配列の位置61および62をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15または20の連続残基を有する新規なスプライス部位を含み、DKKL−1ポリペプチド配列またはその断片を含む。イソ型3のポリペプチド配列は、配列番号6と記載される。
本明細書で使用する場合、「調節因子」という用語は、癌に関連する1つまたは複数の生理学的または生化学的事象を調節する組成物を意味する。実施態様によっては、調節因子は、癌に関連する生物学的活動を抑制する。実施態様によっては、調節因子は、小分子、抗体、模倣剤、可溶性受容体、おとり受容体、またはオリゴヌクレオチドである。実施態様によっては、調節因子は、リガンド結合を阻止するか、またはリガンド結合部位を争うことによって作用する。実施態様によっては、調節因子は、リガンド結合とは関係なく作用する。実施態様によっては、調節因子は、癌に関連する遺伝子産物の発現をブロックする。実施態様によっては、調節因子は、癌に関連する2つ以上の生体分子の物理的相互作用を妨げる。実施態様によっては、本発明の調節因子は、DKKL−1スプライス産物の活動を妨げる。実施態様によっては、調節因子は、1つまたは複数のDKKL−1スプライス産物の発現を妨げる。
「DKKL−1スプライス産物の活動の調節」は、本明細書で使用する場合、DKKL−1スプライス産物の活動の増加または減少を意味し、これは、たとえば、薬剤とDKKL−1スプライス産物のポリヌクレオチドまたはポリペプチドとの相互作用、DKKL−1スプライス産物の転写および/または翻訳の抑制(たとえば、アンチセンスまたはsiRNAとDKKL−1スプライス産物との相互作用、DKKL−1スプライス産物の発現を容易にする転写係数の調節による)などから生じる可能性がある。DKKL−1スプライス産物の活動は、DKKL−1スプライス産物のポリペプチドレベルを評価するか、またはDKKL−1スプライス産物の転写レベルを評価するなどの手段によって評価することができるが、手段は、これらだけに限らない。DKKL−1スプライス産物の活動の比較は、DKKL−1スプライス産物の下流マーカーのレベルを測定し、DKKL−1スプライス産物のシグナル伝達の抑制を測定し、癌細胞の成長の抑制を測定し、腫瘍の形成の抑制を測定し、癌細胞の増殖の抑制を測定し、腫瘍の形成の抑制を測定することによって行うことも可能である。
本明細書で使用する場合、「抑制する」という用語は、活動または数量の縮小、減少、不活性化、または下方制御を意味する。たとえば、本発明に関連して、DKKL−1スプライス産物調節因子は、癌細胞の成長、腫瘍の形成、癌細胞の増殖、癌細胞の転移、細胞移動、血管形成、シグナル伝達、および発現のうちの1つまたは複数を抑制する。DKKL−1スプライス産物調節因子は、Wnt経路における1つまたは複数の遺伝子も。DKKL−1スプライス産物調節因子は、β−カテニンの活性化および/または安定化も抑制する。抑制は、対照と比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%である。
実施態様によっては、癌は、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌、子宮頸癌、乳癌またはリンパ腫から成る群から選択される。実施態様によっては、肺癌は、中皮腫または非小細胞肺癌(NSCLC)である。実施態様によっては、乳癌は、導管腺癌、小葉腺癌、および転移性腺癌から成る群から選択される。
「組換え型タンパク質」は、組換え技術を使用して、つまり上記の組換え型核酸の発現により製造されるタンパク質である。組換え型タンパク質は、少なくとも1つまたは複数の特性により、天然発生タンパク質とは異なる。たとえば、タンパク質は、その野生型宿主において一般に結合するいくつかまたはすべてのタンパク質および化合物から単離または精製されるため、実質的に純粋である。たとえば、単離タンパク質は、自然状態で通常結合する材料であって、特定のサンプル中の全体のタンパク質の少なくとも約0.5重量%、または少なくとも約5重量%を構成する材料の少なくともいくつかに伴われない。実質的に純粋なタンパク質は、全体のタンパク質の約50〜75重量%、約80重量%、または約90重量%を構成する。この記述は、異なる有機体または宿主細胞中の1つの有機体からの癌に関連するタンパク質の生成を含む。あるいは、タンパク質は、誘導プロモータまたは高度の発現プロモータの使用により、通常見られるより著しく高濃度で生成することができ、その結果、タンパク質は、増加した濃度レベルで生成される。あるいは、タンパク質は、以下で説明するとおり、エピトープタグ、またはアミノ酸置換、挿入および削除の場合のように、自然状態では通常見られない形態である。
本発明の核酸は、一般に、リン酸ジエステル結合を含むが、場合によっては、以下に概略を記載するとおり(たとえば、アンチセンスの用途の場合、または核酸が候補薬物である場合)、核酸類似体は、別のバックボーンを有する場合があり、これらのバックボーンとしては、たとえば、ホスホルアミダート(Beaucage等、Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびその参考文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzl等、Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsinger等、Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawai等、Chem.Lett.805(1984)、Letsinger等、J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);およびPauwels等、Chemica Scripta26:141 91986))、ホスホロチオエート(Mag等、Nucleic Acids Res.19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(Briu等、J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト連鎖(Eckstein、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、Oxford University Press参照)、およびペプチド核酸バックボーンおよび連鎖(Egholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992)参照;Meier等、Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlsson等、Nature 380:207(1996)、これらはすべて、引用することにより本明細書に包含する)が挙げられる。その他の類似核酸としては、正のバックボーン(Denpcy等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995);非イオンバックボーン(米国特許第5,386,023号、米国特許第5,637,684号、米国特許第5,602,240号、米国特許第5,216,141号および米国特許第4,469,863号;Kiedrowshi等、Angew.Chem.Intl.Ed.English 30:423(1991);Letsinger等、J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsinger等、Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);Chapters 2 and 3,ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”、Ed.Y.S.Sanghui and P. Dan Cook;Mesmaeker等、Bioorganic & Medicinal Chem. Lett.4:395(1994);Jeffs等、J.Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))および米国特許第5,235,033号および米国特許第5,034,506号、およびChapters 6 and 7、ASC Symposium Series 580,”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”、Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cookに記載されているものを含む非リボースバックボーンを含むものが挙げられる。1つまたは複数の炭素環糖も、核酸の1つの定義に含まれる(Jenkins等、Chem.Soc.Rev.(1995)ppl69−176参照)。いくつかの核酸類似体は、Rawls,C & E News June 2,1997の35ページに記載されている。これらの参考文献はすべて、本明細書により、引用することによって明確に包含される。リボースリン酸バックボーンのこうした修正は、様々な理由で、たとえば、アンチセンス用途に使用されるか、または生体素子に関するプローブとして使用される生理学的環境における分子の安定性および半減期を増加させるために行われる。
当業者には理解されるように、核酸類似体は、本発明に利用される。さらに、天然発生核酸と類似体との混合物を製造することが可能である;あるいは、様々な核酸類似体の混合物、および天然発生核酸と類似体との混合物を製造することが可能である。
核酸は、指定のとおり単鎖または二本鎖であるか、または二本鎖または単鎖配列の両方の部分を含む。当業者には理解されるように、単鎖「Watson」の記述は、他の鎖である「Crick」の配列も定義し、したがって、本明細書に記載する配列は、配列の相補体も含む。核酸はDNA、両方のゲノム、およびcDNA、RNA、またはハイブリッドであり、デオキシリボ−およびリボ−ヌクレオチドと、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ハイポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンなどを含む塩基の組合せとの何らかの組合せを含む。本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」という用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体、並びに変性ヌクレオシド、たとえばアミノ変性ヌクレオシドを含む。さらに、「ヌクレオシド」は、非天然発生的な類似体構造を含む。したがって、たとえば、各々が塩基を含むペプチド核酸の個々の単位は、本明細書ではヌクレオシドと呼ぶ。
本明細書で使用する場合、「タグ」、「配列タグ」または「プライマータグ配列」は、本明細書のタグなどを持つポリヌクレオチドのバッチを識別するために使用される特定の核酸配列を意味する。同じ生物源からのポリヌクレオチドは、特定の配列タグで共有結合的にタグを付けられ、その結果、後続の分析では、ポリヌクレオチドは、原発巣に従って識別することができる。配列タグは、核酸増幅反応のためのプライマーとしても役立つ。
「マイクロアレイ」は、各々が明確な区域を有する領域であって、固体支持体の表面上に形成される領域の線形または2次元アレイである。実施態様によっては、この領域は離散的な領域である。マイクロアレイ上の離散領域の密度は、単一固相支持体の表面上で検出されるターゲットポリヌクレオチドの総数によって決定され、実施態様によっては、少なくとも約50/cm2、少なくとも約100/cm2、少なくとも約500/cm2、および少なくとも約1,000/cm2である。本明細書で使用する場合、DNAマイクロアレイは、ターゲットポリヌクレオチドを増幅またはクローン化するために使用されるチップまたはその他の表面に配置されるオリゴヌクレオチドプライマーのアレイである。アレイ中の各々のプライマーの特定の群の位置は公知であるため、ターゲットポリヌクレオチドの同一性は、マイクロアレイ中における特定の位置との結合に基づいて判断される。
「リンカー」は、制限部位を含む合成オリゴデオキシリボヌクレオチドである。リンカーは、DNA断片の端部上にブラントエンドライゲーションが行われ、後に断片をベクター分子にクローン化する際に使用可能な制限部位を生成する。
「標識」という用語は、アッセイサンプル中のターゲットポリヌクレオチドの存在を示す、検出可能な信号を生成かのうな組成物を意味する。適切な標識としては、放射性同位体、ヌクレオチド発色団、酵素、担体、蛍光分子、化学発光部分、磁気粒子、生物発光部分などが挙げられる。したがって、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的または任意のその他の適切な手段により検出可能な任意の組成物である。「標識」という用語は、検出可能な物理特性を有する化学基もしくは部分、または検出可能な物理特性を示す化学基もしくは部分、または化学基もしくは部分が、検出可能な物理特性を呈することを可能にする化合物、たとえば、担体が検出可能な生成物に転換する際に触媒作用を及ぼす酵素を指示するために使用される。「標識」という用語は、特定の物理特性の発現を抑制する化合物も含む。「標識」は、結合対の構成要素である化合物でも良く、その他の構成要素は、検出可能な物理特性を示す。
「支持体」は、従来の支持体、たとえばビード、粒子、オイルゲージ、ファイバ、フィルタ、膜、およびシランまたはシリケート支持体、たとえばガラススライドを指示する。
「増幅」という用語は広義で使用されて、増幅産物の生成を意味し、増幅産物としては、たとえば、追加のターゲット分子、もしくはターゲット状分子、またはターゲット分子に対して相補的な分子であって、サンプル中にターゲット分子が存在するために生成される分子が挙げられる。ターゲットが核酸である場合、増幅産物は、DNAまたはRNAポリメラーゼまたは逆転写酵素を使って酵素的に製造することができる。
本明細書で使用する場合、「生物サンプル」は、個体から単離された組織または流体のサンプルを指示し、たとえば、血液、プラズマ、血清、髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器官、腸管および尿生殖路、涙、唾液、乳液、細胞(血液細胞を含むが、これだけに限らない)、腫瘍、器官、およびインビトロ細胞培養成分のサンプルも挙げられるが、これらだけに限らない。
「生物源」という用語は、本明細書で使用する場合、ターゲットポリヌクレオチドが抽出される源を意味する。この源は、上記の何らかの形態の「サンプル」で良く、細胞、組織、または流体を含むが、これらだけに限らない。「様々な生物源」は、同じ個体の異なる細胞/組織/器官、または同じ種の異なる個体の細胞/組織/器官、または異なる種の細胞/組織/器官を指示する可能性がある。
本発明のDKKL−1スプライス産物のタンパク質は、一般に、分泌タンパク質であり、その分泌は構成性または調節性である。これらのタンパク質は、分子を分泌経路に導く信号ペプチドまたは信号配列を有する。分泌タンパク質は、多くの生理学的事象に関わり、循環する性質によって、様々な他の細胞の種類に信号を伝達する。分泌タンパク質は、自己分泌的に(因子を分泌した細胞に作用する)、傍分泌的に(因子を分泌した細胞に近接する細胞に作用する)、または内分泌的に(ある距離の細胞に作用する)機能する。したがって、分泌された分子は、生理機能の多くの側面を調節または変更する際に使用される。実施態様によっては、分泌タンパク質は、たとえば血液検査において診断マーカーのターゲットとして使用される。
DKKL−1の新規なイソ型の核酸
実施態様によっては、本発明は、図3A〜3Eに示すDKKL−1スプライス産物(配列番号3および5)に対して少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドを提供する。実施態様によっては、本発明は、配列番号3および5の配列を有するポリヌクレオチドを提供する。自然源から単離された後、たとえば、組換え型核酸は、核外遺伝子もしくはその他の遺伝子内に含まれた後、または線形の核酸セグメントとしてそれらから切除された後、DKKL−1スプライス変異体の発現を識別するためのプローブとしてさらに使用することができる。DKKL−1スプライス産物は、米国特許出願第60/587,682号に記載されており、引用することにより全体を本明細書に援用する。
実施態様によっては、1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズ可能な核酸プローブは、スクリーニングおよび診断法、遺伝子療法、および/またはアンチセンス用途に使用するように製造され、生体素子に結合される。実施態様によっては、DKKL−1のコーディング領域を含むDKKL−1スプライス産物の1つまたは複数の新規なイソ型2および3を有するポリヌクレオチドは、やはりスクリーニングのため、または患者に対する投与のために、タンパク質を発現させるために発現ベクターに注入することができる。
DNAマイクロアレイ技術は、固相支持体上の複数のターゲット核酸分子に関して大規模なアッセイを行うことを可能にする。米国特許第5,837,832号(Chee等)および関連特許出願は、サンプル中の特定の核酸配列をハイブリダイズおよび検出するためのオリゴヌクレオチドプローブのアレイの不動態化について記述している。対象組織から単離された対象ターゲットポリヌクレオチドは、ターゲットポリヌクレオチドの存在、および個々のプローブ位置におけるハイブリダイゼーション程度に基づいて検出されるDNAチップおよび特定の配列にハイブリダイズされる。アレイの1つの最も重要な用途は、差次的な遺伝子発現の分析であり、異なる細胞、多くの場合、対象細胞および対照細胞における遺伝子発現プロファイルが比較され、それぞれの細胞間における遺伝子発現の何らかの相違が識別される。このような情報は、特定の細胞または組織タイプに発現する遺伝子タイプの識別、および発現プロファイルに基づく癌症状の診断に有用である。
一般に、対象サンプルからのRNAは、標識されたcDNAを取得するために逆転写が行われる。米国特許第6,410,229号(Lockhart等)参照。cDNAは、次に、チップまたはその他の表面上に公知の順序でアレイされた公知の配列のオリゴヌクレオチドまたはcDNAにハイブリダイズされる。標識されたcDNAがハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの位置は、cDNAに関する配列上方を提供し、標識されたハイブリダイズRNAまたはcDNAの量は、対象RNAまたはcDNAの相対発現の概算を提供する。Schena等、Science 270:467−470(1995)参照。たとえば、cDNAのマイクロアレイを使用したヒトの癌における遺伝子発現パターンの分析は、DeRisi等、(Nature Genetics 14:457−460(1996))に記載されている。
実施態様によっては、1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物(共に、図面に概略を示す核酸配列、および/またはその相補体)を含むポリヌクレオチドに対応する核酸プローブが製造される。一般に、これらのプローブは、本発明の開示された配列に基づいて合成される。生体素子に結合される核酸プローブは、ターゲット配列と、本発明のプローブとの特定のハイブリダイゼーションが生じるように、1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリヌクレオチド、つまりターゲット配列(サンプルのターゲット配列、またはたとえばサンドウィッチアッセイにおけるその他のプローブ配列)に実質的に相補的であるように設計される。以下に概略を記載するとおり、この相補性は、必ずしも完全である必要はなく、ターゲット配列と本発明の単鎖核酸とのハイブリダイゼーションを妨げる任意の数の塩基対ミスマッチが存在して良い。このヌクレオチドレベルにおける遺伝子の全体の相同性は、約40%以上または約60%以上、約80%以上、約90%以上、約95%、約97%以上、約98%以上、または99%以上であり、さらに、約8〜12以上のヌクレオチドの対応する隣接配列が存在することが考えられる。しかし、突然変異の数が非常に大きく、ハイブリダイゼーションが、最低限に厳格なハイブリダイゼーション条件でも生じない場合、配列は相補的なターゲット配列ではない。したがって、本明細書の「実質的に相補的」により、プローブが、ターゲット配列に対して十分に相補的であり、本明細書で概略を記載するとおり、通常の反応条件、特に高度の厳格条件でハイブリダイズすることを意味する。配列が、本発明による1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリヌクレオチドに特有であるかどうかは、当業者が周知している技術によって判断することができる。たとえば、配列は、GenBankなどのデータバンクにある配列と比較されて、感染していない宿主またはその有機体に存在するかどうかが判断される。配列は、癌を誘発することが知られているものを含む、その他のウィルス性因子の公知の配列と比較することも可能である。
核酸プローブは、一般に単鎖であるが、部分的に単鎖および部分的に二本鎖で良い。プローブの鎖の数は、ターゲット配列の構造、組成、および特性によって決まる。一般に、オリゴヌクレオチドプローブは、塩基の長さが約6、8、10、12、15、20、30〜約100の塩基、約10〜約80の塩基、または約30〜約50の塩基の範囲である。実施態様によっては、全体の遺伝子がロブとして使用される。実施態様によっては、何百もの塩基に及ぶ、より長い核酸を使用することができる。このプローブは、当業者が周知している条件下で、相補的なテンプレート配列とハイブリダイズするのに十分に特異的である。実施態様によっては、プローブ配列と、ハイブリダイズ時にハイブリダイズするその相補的なテンプレート(ターゲット)配列との間のミスマッチの数は、FASTA(初期設定)で決定して、一般に15%を超えず、通常10%を超えず、5%を超えない。
オリゴヌクレオチドプローブは、核酸に通常見られる複素環塩基(ウラシル、シトシン、チミン、アデニン、およびグアニン)、並びに改変塩基、および塩基類似体を含むことができる。プローブとターゲット配列とのハイブリダイゼーションに適合する改変塩基または塩基類似体は、本発明の実施に有用である。プローブの糖質または配糖体部分は、デオキシリボース、リボース、および/またはこれらの糖質の変形形態、たとえば2’−O−アルキルリボースを含むことができる。実施態様によっては、糖質部分は2’−デオキシリボースだが、ターゲット配列とハイブリダイズするプローブの能力に適合する任意の糖質部分を使用することができる。
実施態様によっては、プローブのヌクレオシド単位は、先行技術で十分に公知のとおり、リン酸ジエステルバックボーンによって結合する。その他の実施態様では、インターヌクレオチド連鎖は、当業者が周知しており、プローブの特定のハイブリダイゼーションに適合する何らかの連鎖を含み、プローブとしては、ホスホロチオエート、メチルホスホン酸ジメチル、スルファミン酸塩(たとえば、米国特許第5,470,967号)、およびポリアミド(つまり、ペプチド核酸)が挙げられるが、これらだけに限らない。ペプチド核酸は、Nielsen等、(1991)Science 254:1497−1500、米国特許第5,714,331号、およびNielsen(1999)Curr.Opin.Biotechnol.10:71−75に記載されている。
実施態様によっては、プローブは、キメラ分子であり、つまり、複数のタイプの塩基または糖質の細胞株ユニットを含むことができるか、および/または連鎖は、同じプライマー内の複数のタイプである可能性がある。プローブは、先行技術で公知のように、そのターゲット配列とのハイブリダイゼーションを促進する部分、たとえば挿入剤および/または副溝結合剤を含むことが可能である。塩基、糖質、およびインターヌクレオシドバックボーンの変形、並びにプローブの何らかの側基の存在は、プローブが配列に特有の方法で、そのターゲット配列と結合する能力に対応する。多数の構造的変化は、既知の変化であっても、開発される変化であっても、これらの範囲内で可能である。有利には、本発明によるプローブは、信号の増幅を可能にする構造特性を有し、こうした構造特性は、たとえば、Urdea等が記載しているか(Nucleic Acids Symp.Ser.,24:197−200(1991))、または欧州特許第0225,807号に記載されている分岐DNAプローブである。さらに、プローブを形成する様々な複素環塩基、糖質、ヌクレオシド、およびヌクレオチドを作成するための人口的な方法、特定の予め決められた配列のオリゴヌクレオチドの作成は、先行技術で十分に公知である。実施態様によっては、オリゴヌクレオチドを合成する方法は、米国特許第5,419,966号の示唆を含む。
プローブは、ウェル内、もしくはマイクロアレイの表面上などの溶液中に存在するか、または固体支持体に結合される。使用可能な固体支持体材料の例としては、プラスチック、セラミック、金属、樹脂、ゲルおよび膜が挙げられる。固体支持体の有用なタイプとしては、プレート、ビード、磁気材料、マイクロビード、ハイブリダイゼーションチップ、膜、クリスタル、セラミック、および自己集合単分子層が挙げられる。実施態様によっては、複数のプローブ結合部位を有するゲルまたはハイブリダイゼーションチップなどの2次元または3次元マトリックスを含む(Pevzner等、J.Biomol.Struc.& Dyn.9:399−410,1991;Maskos and Southern, Nuc. Acids Res.20:1679−84,1992)。ハイブリダイゼーションチップは、ターゲット核酸と実質的にハイブリダイズされる非常に大きいプローブアレイを構成するために使用することができる。チップのハイブリダイゼーションパターンの分析は、ターゲットヌクレオチド配列の識別を支援することが可能である。パターンは、手動またはコンピュータで分析されるが、ハイブリダイゼーションによる位置の配列がコンピュータによる分析および自動化に役立つことは明らかである。配列の再構成のために開発されたアルゴリズムおよびソフトウェアは、本明細書に記載する方法に適用される(R.Drmanac等、J.Biomol.Struc.& Dyn.5:1085−1102,1991;P.A.Pevzner,J.Biomol.Struc.& Dyn.7:63−73,1989)。
当業者には理解されるように、核酸は、様々な方法で固体支持体に結合または不動態化することが可能である。本明細書では、「不動態化」によって、核酸プローブと固体支持体との間の会合または結合は、以下に概略を記載するとおり、結合、洗浄、および除去条件に基づいて十分に安定する。結合は、共有または非共有で良い。本明細書の「非共有結合」および文法的に等価な語句は、1つまたは複数の静電気、親水性、および疎水性相互作用を意味する。支持体に対するストレプトアビジンなどの分子の共有結合、およびストレプトアビジンに対するビオチニル化プローブの非共有結合は、非共有結合に含まれる。本明細書の「共有結合」および文法的に等価な語句は、2つの部分、つまり固体支持体およびプローブが、σ結合、π結合、および従来の化学結合を含む少なくとも1つの結合によって化学結合によって結合することを意味する。共有結合は、直接プローブと固体支持体との間に形成されるか、架橋剤によって形成されるか、あるいは特定の反応基を固体支持体もしくはプローブ、または両方の分子に含むことによって形成することができる。不動態化は、共有および非共有の相互作用の組合せも含む。
核酸プローブは、たとえばカップリング剤との共役による共有結合により、静電相互作用、水素結合、もしくは抗体−抗原結合などの共有もしくは非共有結合により、またはこれらの組合せにより固体支持体に結合される。代表的なカップリング剤としては、ビオチン/アビジン、ビオチン/ストレプトアビジン、黄色ブドウ球菌のタンパク質A/IgG抗体のFc断片、およびストレプタビジン/タンパク質Aキメラ((T.SanoおよびC.R.Cantor、Bio/Technology 9:1378−81(1991))、またはこれらの作用物質の誘導体または組合せが挙げられる。核酸は、光解離可能な結合、静電結合、ジスルフィド結合、ペプチド結合、ジエステル結合、またはこれらの結合種類の組合せによって固体支持体に結合する。また、このアレイは、4,4’−ジメトキシトリチルまたはその誘導体など、選択的に解放可能な化学結合によって固体支持体結合される。有用であることが分かっている誘導体としては、3または4[bis−(4−メトキシフェニル]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−メチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4−メトキシフェニル)]−ヒドロキシメチル−安息香酸、N−スクシンイミジル−3または4[ビス−(4− メトキシフェニル)]−クロロメチル−安息香酸、またはこれらの酸の塩基が挙げられる。
一般に、プローブは、多様な方法で生体素子に結合される。本明細書で説明するように、核酸は、最初に合成した後、生体素子に結合するか、または生体素子に直接合成することができる。
生体素子は、適切な固体担体を含む。本明細書の「担体」、「固体支持体」、またはその他の文法的に等価な語句は、核酸プローブの結合または会合に適する離散した個々の部位を含むように変更可能であり、少なくとも1つの検出方法に適合する任意の材料を意味する。本発明の固相支持体は、ヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび合成を支持するのに適する任意の固体材料および構造で良い。実施態様によっては、固相支持体は、少なくとも1つの実質的に剛性の表面を備え、プライマーは、この表面上で不動態化され、逆転写酵素反応が行われる。ポリヌクレオチドのマイクロアレイ要素が安定して結合する担体は、多様な材料から製造され、こうした材料としては、プラスチック、セラミック、金属、アクリルアミド、セルロース、ニトロセルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリシリケート、ポリカーボネート、Teflon(登録商標)、フルオロカーボン、ナイロン、シリコンゴム、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリプロピルフメレート、コラーゲン、グリコサミノグリカン、およびポリアミノ酸が挙げられる。担体は、2次元または3次元の形態、たとえばゲル、膜、薄膜、ガラス、プレート、円筒、ビード、磁気ビード、光ファイバ、織布などで良い。実施態様によっては、アレイは3次元アレイである。実施態様によっては、3次元アレイは、タグ付きビードの集合である。各々のタグ付きビードは、様々なプライマーがビードに結合している。タグは、色(Lurninex、Illumina)などのシグナル伝達手段によって検出可能であり、タグ付きビード上の電磁場(Pharmaseq)および信号は、遠隔的に検出することも可能である(たとえば、光ファイバを使用する)。固体支持体のサイズは、任意の標準のマイクロアレイのサイズで、DNAマイクロアレイ技術に有用なサイズで良く、本発明の反応を行うために使用される特定の機械に応じて製造される。一般に、担体は、光学的検出を可能にし、感知できる程の蛍光を発しない。
実施態様によっては、生体素子およびプローブの表面は、化学官能基を使って誘導体化され、その後、この2つが結合される。したがって、たとえば、生体素子は、化学官能基を使って誘導体化され、化学官能基としては、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基が挙げられるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、生体素子は、アミノ基を使って誘導体化される。これらの官能基を使用すると、プローブは、官能基を使用してプローブ上に結合することができる。たとえば、アミノ基を含む核酸は、たとえば、先行技術で公知のようにホモまたはヘテロ二官能性リンカーを使用して、アミノ基を含む表面に結合させることができる(1994 Pierce Chemical Companyカタログ、架橋剤に関する技術部分155〜200ページ参照。これは、引用することにより本明細書に援用する。)。さらに、場合によっては、アルキル基(置換およびヘテロアルキル基を含む)などの追加のリンカーが使用される。
実施態様によっては、オリゴヌクレオチドは、先行技術で公知のように合成された後、固体支持体の表面に結合される。当業者には理解されるように、5’または3’末端は固体支持体に結合され、結合は、内部ヌクレオシドを介して行われる。実施態様によっては、固体支持体への不動態化は非常に強力であり、しかも非共有である。たとえば、ストレプトアビジンで共有被覆された表面に結合するビオチニル化オリゴヌクレオチドを製造して、結合を形成することができる。
アレイは、任意の従来の方法、たとえばポリヌクレオチドマイクロアレイ要素を予備成形した後、この要素を固体支持体の表面に安定結合させる方法で生成される。実施態様によっては、オリゴヌクレオチドは、先行技術で公知のように表面上で合成される。多くの異なるアレイ構成、およびアレイを生成する方法は、当業者には公知であり、国際公開第95/25116号および国際公開第95/35505号(フォトリソグラフィ技術)、米国特許第5,445,934号(フォトリソグラフィによるインサイチュ合成)、米国特許第5,384,261号(機械的に方向付けられた流路によるインサイチュ合成)、および米国特許第5,700,637号(配置、印刷または結合による合成)に開示されており、これらの開示事項は、引用することにより、全体を本明細書に援用する。DNAをビードに結合するもう1つの方法は、DNAの端部に結合された特定のリガンドを使用して、ビードに結合されたリガンド結合分子に連鎖させることである。可能なリガンド結合パートナーの対としては、ビオチン−アビジン/ストレプトアビジン、または様々な抗体/抗原の対、たとえばジゴキシゲニン−抗ジゴキシゲニン抗体が挙げられる(Smith等、”Direct Mechanical Measurements of the Elasticity of Single DNA Molecules by Using Magnetic Beads,”Science 258:1122−1126(1992))。支持体に対するDNAの共有化学結合は、標準のカップリング剤を使用し、リン酸アミド化学結合を通してDNA上の5’−リン酸アミドを被覆微小球に連鎖させることにより行うことができる。固体担体に対するオリゴヌクレオチドの不動態化方法も、十分に確立されている。Pease等、Proc. Natl. Acad. Sci.USA 91(11):5022−5026(1994)参照。実施態様によっては、オリゴヌクレオチドは、Guo等、Nucleic Acids Res.22:5456−5465(1994)に記載されているように、固体担体に結合される。不動態化は、ロボット配置技術と組み合わせて、インサイチュDNA合成(MaskosおよびSouthern,Nucleic Acids Research,20:1679−1684(1992)、または化学合成されたオリゴヌクレオチドの共有結合(上記のGuo等)により行うことができる。
生体素子アレイに代表される固相技術のほかに、遺伝子発現は、液相アレイを使用して定量化することも可能である。このような1つのシステムは、運動ポリメラーゼ鎖反応(PCR)である。運動PCRは、特定の核酸配列の同時増幅および定量化を可能にする。この特異性は、ターゲット部位をブラケットする単鎖核酸配列に優先的に結合するように設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーから得られる。このオリゴヌクレオチドプライマーの対は、特定の非共有結合複合体をターゲット配列の各々の鎖上に形成する。これらの複合体は、逆向きの二本鎖DNAのインビトロ転写を促進する。反応混合物の温度サイクルは、プライマーの結合、転写、および核酸の個々の鎖への再溶融の連続サイクルを形成する。その結果は、ターゲットdsDNA産物の急激な増加である。この産物は、挿入色素、または配列特有のプローブを使用して、実時間で定量化することが可能である。SYBR(登録商標)Greene Iは、dsDNAに優先的に結合し、同時に蛍光信号を増加させる挿入色素の一例である。TaqMan(登録商標)技術に使用されるものなど、配列特有のプローブは、オリゴヌクレオチドの対向端部に共有結合する蛍光色素およびクエンチング分子から成る。このプローブは、2つのプライマー間のターゲットDNA配列に選択的に結合するように設計される。DNA鎖がPCR反応時に合成される場合、蛍光色素は、信号デクエンチングを生じるポリメラーゼのエクソヌクレアーゼ活動によって、プローブから開裂される。このプローブシグナル伝達方法は、挿入色素法より具体的でだが、どちらの場合も、信号強度は、生成されるdsDNA産物に比例する。各々のタイプの定量化方法は、各々のウェルが、対象核酸配列に特有のプライマーおよび/またはプローブを発現するマルチウェル液相アレイに使用される。組織または細胞の伝令RNAの作成に使用する場合、プローブ/プライマー反応のアレイは、対象となる複数の遺伝子産物の発現を同時に定量化することが可能である。Germer,S.等、Genome Res.10:258−266(2000);Heid, C. A.等、Genome Res.6,986−994(1996)参照。
DKKL−1タンパク質の新規なイソ型の発現
実施態様によっては、本発明は、図4A〜4Bに示すDKKL−1スプライス産物配列番号4および6)に対して少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする核酸を提供する。実施態様によっては、本発明は、配列番号4または6の配列を有するポリペプチドをコードする核酸を提供する。図4A〜4Bに示す1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドをコードする核酸は、タンパク質を発現する様々な発現ベクターを製造するために使用され、この発現ベクターは、その後、以下で説明するスクリーニングアッセイに使用することができる。実施態様によっては、ポリペプチドは、図4A〜4Bに示すクローン379−R8および379−RS3のポリペプチド配列の位置108および109をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15または20の連続残基を有するスプライス部位を含むか、または図4A〜4Bに示すクローン379−R4、379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のポリペプチド配列の位置61および62をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15、または20の連続残基を有する新規なスプライス部位を含む。
発現ベクターは、自己発生染色体外ベクター、または宿主ゲノム中に組み込まれるベクターである。一般に、これらの発現ベクターは、タンパク質をコードする核酸に作動可能に連鎖された転写および翻訳調節核酸を含む。「制御配列」という用語は、作動可能に連鎖されたコード配列が、特定の宿主有機体中で発現するのに必要なDNA配列を意味する。原核生物に適する制御配列としては、たとえば、プロモータ、任意にオペレータ配列、およびリポソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモータ、ポリアデニル化信号、およびエンハンサを使用することが知られている。
核酸は、別の核酸配列と関数関係状に配置される場合、「作動可能に連鎖」される。たとえば、プレ配列または分泌リーダのDNAは、ポリペプチドの分泌に関わるプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連鎖される。プロモータまたはエンハンサは、配列の転写に影響する場合は、コード配列に作動可能に連鎖され、またはリポソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置される場合は、コード配列に作動可能に連鎖される。一般に、「作動可能に連鎖」という用語は、連鎖されるDNA配列が隣接し、分泌リーダの場合は、連続しており、リーディング相であることを意味する。しかし、エンハンサは、必ずしも隣接する必要はない。連鎖は、便宜的な制限部位において、ライゲーションにより行われる。このような部位が存在しない場合、従来の習慣に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプタまたはリンカーが使用される。転写および翻訳調節核酸は、一般に、タンパク質を発現するために使用される宿主細胞に適している。多くのタイプの適切な発現ベクター、および適切な調節配列は、多様な宿主細胞に関する先行技術で公知である。
一般に、転写および翻訳調節配列として、プロモータ配列、リポソーム結合部位、転写開始および停止配列、転換開始および停止配列、並びにエンハンサまたはアクティベータ配列が挙げられるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、調節配列は、プロモータ、並びに翻訳開始および停止配列を含む。
プロモータ配列は、構成性または誘導可能なプロモータをコードする。プロモータは、天然発生プロモータまたはハイブリッドプロモータである。複数のプロモータの要素を結合するハイブリッドプロモータは、先行技術で公知であり、本発明に有用である。
さらに、発現ベクターは、追加の要素を含む場合がある。たとえば、発現ベクターは、2つの複製系を有するため、2つの有機体、たとえば哺乳類または昆虫の細胞に保持されて発現し、原核生物生物宿主中に保持されて、クローン化および増幅が行われる。さらに、発現ベクターを組み込むため、発現ベクターは、宿主細胞ゲノムと同族の少なくとも1つの配列を含み、実施態様によっては、発現構成の側面に位置する2つの同族配列を含む。組込みベクターは、ベクターに含むのに適する同族配列を選択することによって、宿主細胞中の特定の遺伝子座に方向付けられる。組込みベクターの構成は、先行技術で十分に公知である。
さらに、実施態様によっては、発現ベクターは、転換される宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は、先行技術で十分に公知であり、使用する宿主細胞によって異なる。
実施態様によっては、本発明のタンパク質は、1つまたは複数の新規なDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドをコードする核酸を含有する発現ベクターを使って転換された宿主細胞を、ポリペプチドの発現を誘導または生じさせるのに適する条件下でインキュベートすることによって生成される。タンパク質の発現に適する条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって異なり、当業者は、所定の実験によって容易に確認するであろう。たとえば、発現ベクターにプ構成性のロモータを使用する場合、宿主細胞の成長および増殖を最適化する必要があり、誘導可能なプロモータを使用する場合は、誘導に適する成長条件が必要である。さらに、実施態様によっては、集菌のタイミングが重要である。たとえば、昆虫細胞の発現に使用されるバキュロウィルス系は分解ウィルスであり、集菌時期の選択は、産物の収量に重要である。
適切な宿主細胞としては、イースト、細菌、古細菌、菌類、昆虫、植物、およびたとえば哺乳類の細胞を含む動物の細胞が挙げられる。特に関係があるのは、キイロショウジョウバエの細胞、サッカロミセスセルヴィシエ、およびその他のイースト、E.coli、Bacillus subtilis、Sf9細胞、C129細胞、293細胞、Neurospora、BHK、CHO、COS、ヒーラ細胞、THPI細胞株(マクロファージ細胞株)、並びにヒト細胞および細胞株である。
実施態様によっては、1つまたは複数のDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドは、哺乳類細胞中で発現する。哺乳類発現系も先行技術で公知であり、レトロウィルス系を含む。実施態様によっては、発現ベクター系は、概して国際出願PCT/US97/01019号および国際出願PCT/US97/01048号に記載されているレトロウィルスベクター系であり、これらの出願は共に、これにより引用することにより明確に本明細書に援用する。哺乳類プロモータとしての特定の用途は、哺乳類のウィルス遺伝子からのプロモータであり、つまり、ウィルス遺伝子は高度に発現することが多く、広範な宿主範囲を有するからである。実施例としては、SV40早期プロモータ、マウスの乳房腫瘍ウィルスLTRプロモータ、アデノウィルス主遅発性プロモータ、およびCMVプロモータが挙げられる。一般に、哺乳類細胞によって存在が認められる転写終了およびポリアデニル化配列は、翻訳終止コドンに対して3’に位置する調節領域であり、したがって、プロモータ要素と共に、コード配列の側面に位置する。転写終了記号およびポリアデニル化信号の実施例は、SV40から誘導されたものを含む。
外因的核酸を哺乳類の宿主、およびその他の宿主に導入する方法は、先行技術で十分に公知であり、使用する宿主細胞によって異なる。技術としては、デクストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、原形質融合、電気穿孔法、ウィルス感染、リポソーム中における1つまたは複数のポリヌクレオチドのカプセル化、およびDNAの核への顕微注射が挙げられる。
実施態様によっては、タンパク質は、細菌系で発現される。最近の発現系は、先行技術で十分に公知である。バクテリオファージからのプロモータも使用され、先行技術で公知である。さらに、合成プロモータおよびハイブリッドプロモータも有用であり、たとえば、プロモータは、trpおよびlacプロモータ配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモータとしては、細菌RNAポリメラーゼを結合し、転写を開始する能力を有する非細菌起源の天然発生プロモータが挙げられる。機能プロモータ配列のほかに、有効リボソーム結合部位が望ましい。発現ベクターは、細菌中のタンパク質の分泌を可能にする信号ペプチド配列も含む。タンパク質は、培養基(グラム陽性菌)、または細胞(グラム陰性菌)の内側および外側膜間に位置する細胞周辺腔内に分泌される。細菌発現ベクターは、転換された菌種の選択を可能にする選択可能なマーカー遺伝子も含む。適切な選択遺伝子は、細菌をアンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、およびテトラサイクリンなどの薬剤に対して耐性にする遺伝子を含む。選択可能なマーカーとして、ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシン生合成経路に含まれるものなどの生合成遺伝子も挙げられる。これらの成分は、発現ベクターに組み込まれる。細菌用の発現ベクターは先行技術で公知であり、特に、Bacillus subtillis、E.coli、Streptococcus cremoris、およびストレプトコッカスリビダンスが挙げられる。細菌発現ベクターは、塩化カルシウム療法、電気穿孔法などの細菌宿主細胞に転換される。
実施態様によっては、タンパク質は、昆虫細胞中で生成される。昆虫細胞の転換用の発現ベクター、特にバキュロウィルスベースの発現ベクターは先行技術で十分に公知である。
実施態様によっては、タンパク質は、イースト細胞中で生成される。イースト発現系は先行技術で十分に公知であり、Saccliaromyces cerevisiae、Candida albicansおよびC.maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilisおよびK.lactis、Pichia guillerimondiiおよびP.pastoris、Schizosaccharomyces pombe、並びにYarrowia lipolyticaが挙げられる。
1つまたは複数の新規なDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドは、たとえば、モノクローナル抗体の生成など、先行技術で十分に公知な技術を使用して、溶融タンパク質としても製造される。所望のエピトープが小さい場合、タンパク質は、担体タンパク質に溶融されて免疫原を形成する。あるいは、タンパク質は、発現を増加させるか、またはその他の理由で溶融タンパク質として製造される。
実施態様によっては、本発明の核酸、タンパク質および抗体は標識される。本明細書の「標識される」という用語は、結合して化合物の検出を可能にする少なくとも1つの元素、同位元素、または化合物を有することを意味する。一般に、標識は、(a)放射性または重同位元素である同位元素標識、(b)抗体または抗原である免疫標識、(c)着色または蛍光色素の3つのクラスに分類される。標識は、核酸、タンパク質および抗体の任意の位置に組み込まれる。たとえば、標識は、直接的または間接的に検出可能な信号を生成することが可能でなければならない。検出可能な部分は、3H、14C、32P、35Sまたは125Iなどの放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ルシフェリンなどの蛍光または化学発光化合物、アルカリ性ホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、または西洋ワサビペロキシダーゼなどの酵素である。抗体を標識に結合体化させるために、先行技術で公知の方法が使用され、たとえば、Hunter等、Nature,144:945(1962);David等、Biochemistry,13:1014(1974);Pain等、J.Immunol.Meth.,40:219(1981);およびNygren,J.Histochem.and Cytochem.,30:407(1982)などに記載されている方法がある。
一般に、「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用する場合、列挙されたポリヌクレオチドによってコードされる全長ポリヌクレオチド、列挙されたポリヌクレオチドによって発現される遺伝子によってコードされるポリペプチドの両方、およびこれらの一部分または断片を意味する。
本発明は、突然変異、断片、および溶融したものを含むDKKL−1スプライス産物の変異体を含む。突然変異は、アミノ酸置換、追加または削除を含む可能性がある。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換、または非本質的なアミノ酸を削除する、たとえばグリコシル化部位、リン酸化部位またはアセチル化部位を変更するか、または官能基として不要な1つまたは複数のシステイン残基の置換または削除による誤った折り畳みを最小限にするための置換がある。保存的アミノ酸置換は、置換されるアミノ酸の一般的な電荷、疎水性/親水性、および/または立体バルクを保存するものである。変異体は、タンパク質の特定の領域(たとえば、機能ドメイン、および/またはポリペプチドが、タンパク質ファミリの構成要素である領域、コンセンサス配列と結合する領域)の生物活性を維持するか、または強化するように設計することができる。変異体の生成用のアミノ酸改変の選択は、以下に基づいて行われる:アミノ酸の入手可能性(内部対外部)(たとえば、Go等、Int.J.Peptide Protein Res.(1980)15:211参照)、変形ポリペプチドの熱安定性(たとえば、Querol等、Prot.Eng.(1996)9:265参照)、所望のグリコシル化部位(たとえば、OlsenおよびThomsen, J.GeR.Microbiol.(1991)137:579参照)、所望のジスルフィド架橋(たとえば、Clarke等、Biochemistry(1993)32:4322;およびWakarchuk等、Protein Eng.(1994)7:1379参照)、所望の金属結合部位(たとえば、Toma等、Biochemistry(1991)30:97、およびHaezerbrouck等、Protein Eng.(1993)6:643参照)、並びにプロリンループ内の所望の置換(たとえば、Masul等、Appl.Env.Microbiol.1994)60:3579参照)。システイン枯渇突然変異タンパク質は、米国特許第4,959,314号に開示されているように生成することができる。
変異体は、本明細書に開示するポリペプチドの断片、特に、生物学的に活性の断片、および/または機能ドメインに対応する断片も含む。対象となる断片は、一般に少なくとも約8アミノ酸(aa)10aa、15aa、20aa、25aa、30aa、35aa、40aaから少なくとも約45aa長、一般に、少なくとも約50aa長、少なくとも約75aa、少なくとも約100aa、少なくとも約125aa、少なくとも約150aa長、少なくとも約200aa、少なくとも約300aa、少なくとも約400aaであり、500aaを超える長さであっても良いが、断片が、本明細書に記載するポリヌクレオチド配列の何れか1つの配列を有するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、またはそのホモログと同じアミノ酸の伸張性を有する限り、通常は約1000aa長を超えない。本明細書に記載するタンパク質変異体は、本発明の範囲内のポリヌクレオチドによってコードされる。遺伝子コードは、適切なコドンを選択して、対応する変異体を構成するために使用することができる。
実施態様によっては、本発明のポリペプチドは、配列番号4もしくは6、またはその一部分に対して少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約少なくとも92%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%および約100%の相同性を有する。
1つまたは複数の新規なDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドの共有結合改変は、本発明の範囲内に含まれる。1つのタイプの共有結合改変として、ターゲットポリペプチドのアミノ酸残基と、ポリペプチドの選択された側鎖またはN−もしくはC−末端残基との反応が挙げられる。二官能性剤との誘導化は、たとえば、抗DKKL−1抗体の精製、または以下に詳細に記載するスクリーニングアッセイに使用される不水溶性支持体マトリックスまたは表面に対するポリペプチドの架橋連鎖に有用である。一般に使用される架橋連鎖剤としては、たとえば、l,l−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、たとえば4−アジドサリチル酸を含むエステル、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イジドエステル、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二官能性マレイミド、およびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートなどの薬剤が挙げられる。
その他の改変としては、それぞれ対応するグルタミニルおよびアスパルチル残基に対するグルタミニルおよびアスパラギニル残基のアミド分解、プロリンおよびリジンの水酸化、セリル、トリオニル、またはチロシル残基のヒドロキシル基のリン酸化反応、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のa−アミノ基のメチル化[T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.、サンフランシスコ、pp.79−86(1983)]、N−末端アミンのアセチル化、およびC−末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
もう1つのタイプの共有結合改変は、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号または第4,179,337号に記載されている方法で、ポリペプチドを多様な非タンパク性ポリマーの1つ、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシルアルキレンに連鎖させる方法がある。
1つまたは複数の新規なDKKX−1スプライス産物を含むポリペプチドは、互いに対して、異種ポリペプチド、またはアミノ酸配列に対して融合するポリペプチドを含むキメラ分子を形成するように改変される。実施態様によっては、このようなキメラ分子は、ポリペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合可能なエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合を含む。エピトープタグは、一般に、ポリペプチドのアミノ−またはカルボキシル−末端に配置されるが、場合によっては、内部融合も許容される。ポリペプチドのこのようなエピトープタグ付きの形態の存在は、タグポリペプチドに対して抗体を使用して検出することができる。また、エピトープタグを設けることにより、抗タグ抗体、またはエピトープタグに結合する別のタイプの親和性マトリックスを使用する親和性精製によって、ポリペプチドを容易に精製することを可能にする。別法による実施態様では、キメラ分子は、ポリペプチドと免疫グロブリン、または免疫グロブリンの特定の領域との融合を含む。二価形態のキメラ分子の場合、このような融合は、IgG分子のFc領域に対して行われる。
様々なタグポリペプチドおよびその個々の抗体は、先行技術で十分に公知である。実施例として、ポリ−ヒスチジン(ポリ−ヒス)またはポリ−ヒスチジン−グリシン(ポリ−ヒス−グリ)タグ;flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Field等、Mo1.Cell.Biol.,8:2159−2165(1988)];c−mycタグ、およびその8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evan等、Molecular and Cellular Biology,5:3610−3616(1985)];単純疱疹ウィルスグリコタンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborsky等、Protein Engineering,3(6):547−553(1990)]が挙げられる。その他のタグポリペプチドとしては、フラグ−ペプチドが挙げられる[Hopp等、BioTechnology, 6:1204−1210(1988)];KT3エピトープペプチド[Martin等、Science,255:192−194(1992)];チューブリンエピトープペプチド[Skinner等、J.Biol.Chem.,266:15163−15166(1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lutz−Freyermuth等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6393−6397(1990)]。
新規なDKKL−1抗原およびその抗体
実施態様によっては、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。実施態様によっては、この抗体は、配列番号4または配列番号6と同様に少なくとも95%の配列を有するポリペプチドに特異的に結合する。実施態様によっては、ポリペプチドは、DKKL−1イソ型2および/またはDKKL−1イソ型3である。実施態様によっては、抗体は、配列番号4または配列番号6の配列を有するポリペプチドに特異的に結合する。実施態様によっては、ポリペプチドは、図4A〜4Bに示すクローン379−R8および379−RS3のポリペプチド配列の位置108および109をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15または20の連続残基を有する新規なスプライス部位を含む少なくとも1つのエピトープまたは決定因子を有するか、または図4A〜4Bに示すクローン379−R4、379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のポリペプチド配列の位置61および62をスパンする少なくとも2、4、6、8、10、12、15、または20の連続残基を有する新規なスプライス部位を含む。本明細書の「エピトープ」または「決定因子」は、MHCに関連して抗体またはT−細胞受容体を生成および/または結合するタンパク質の一部分を意味する。
抗体は、1)抗体が、閾値レベルの結合活性を示すか、および/または2)抗体が、公知の関連ポリペプチド分子と著しく交差反応しない場合、「特異的に結合する」と定義される。抗体の結合親和性は、従来技術の1つによって、たとえば、Scatchard解析法(Scatchard,Ann. NY Acad. Sci. 51:660−672,1949)によって容易に判定することができる。実施態様によっては、本発明の抗体は、たとえば野生型DKKL−1を含むヒトのDickkopfファミリの公知の構成要素に比べて、少なくとも103、少なくとも104、少なくとも105、および少なくとも106倍の高さでターゲットエピトープまたは模倣デコイに結合する。
実施態様によっては、本発明の抗体は、たとえば、標準のWesternブロット解析法(Ausubel等)を使用して、DKKL−1スプライス産物に結合するが、関連するポリペプチドには結合しない場合、公知の関連ポリペプチド分子に結合しない。実施態様によっては、抗体は、DKKL−1イソ型2およびDKKL−1イソ型3に結合するが、DKKL−1イソ型1には特異的に結合しない。実施態様によっては、抗体は、DKKL−1イソ型2に結合するが、DKKL−1イソ型1またはDKKL−1イソ型3には特異的に結合しない。実施態様によっては、抗体は、DKKL−1イソ型3に結合するが、DKKL−1イソ型1またはDKKL−1イソ型2には特異的に結合しない。
実施態様によっては、10−4M以下、10−7M以下、10−9M以下の高親和性で、またはナノ分子以下で(0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1nMもしくはさらに低い)結合する。実施態様によっては、エピトープは固有であり、つまり、固有のエピトープに対して誘導される抗体は、交差反応性を殆どまたはまったく示さない。
実施態様によっては、本発明の抗体は、本発明のDKKL−1ポリペプチドのオーソログ、ホモログ、パラログ、もしくは変異体、またはこれらの組合せおよび下位の組合せに結合する。実施態様によっては、本発明の抗体は、DKKL−1ポリペプチドのオーソログに結合する。実施態様によっては、本発明の抗体は、DKKL−1ポリペプチドのホモログに結合する。実施態様によっては、本発明の抗体は、DKKL−1ポリペプチドのパラログに結合する。実施態様によっては、態様によっては、DKKL−1ポリペプチドの変異体に結合する。実施態様によっては、本発明の抗体は、DKKL−1ポリペプチドのオーソログ、ホモログ、パラログ、もしくは変異体、またはこれらの組合せおよび下位の組合せに結合しない。
図4A〜4Bに示す1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドは、ポリペプチドの特定の領域をさらに調査するために解析される。高抗原性の領域は、抗原の認識が、免疫反応の過程で生じる環境においてポリペプチドの表面に露出すると思われるポリペプチドの領域を表す値を選択することによって、DANSTAR解析によるデータから決定される。たとえば、ポリペプチドのアミノ酸配列は、DNASTARコンピュータアルゴリズム(DNASTAR,Inc.、ウィスコンシン州、マジソン;worldwide web site dnastar.com/)のデフォルトパラメータを使用して解析される。
DNASTARコンピュータアルゴリズムを使用して通常得られるポリペプチドの特徴として、Garnier−Robsonのα領域、β領域、turn領域、およびcoil領域(Gamier等、J. MoI. Biol,120:97(1978));Chou−Fasmanのα領域、β領域、およびturn領域{Adv. in Enzymol,47:45−148(1978));Kyte−Doolittleの親水領域および疎水領域(J. MoI. Biol, 157:105−132(1982));Eisenbergのαおよびβる領域;Karplus−Schulz可撓性領域;Emniの表面形成領域(J. Virol, 55(3):836−839(1985));および高抗原指標のJameson−Wolf領域(CABIOS,4(1):181−186(1988))が挙げられるが、これらだけに限らない。Kyte−Doolittleの親水性領域および疎水性領域、並びに高抗原指標の(つまり、Jameson−Wolfプログラムのデフォルトパラメータを使用して確認して、1.5以上の抗原指標を有する4個以上の隣接するアミノ酸を含む)Jameson−Wolf領域は、抗原性の高度の可能性を示すポリペプチド領域を判定するために普通に使用することができる。タンパク質に対する抗体を生成する1つの方法は、タンパク質のすべてまたは一部のアミノ酸配列を選択および生成し、配列を化学的に合成して、その配列を適切な動物、一般にラビット、ハムスター、またはマウスの中に注入することである。オリゴペプチドは、親水性領域に存在し、その結果、成熟タンパク質中に曝露されると思われるオリゴペプチドに基づいて、タンパク質に対する抗体を生成するための候補として選択することができる。追加のオリゴペプチドは、たとえば、抗原性指標、Welling,G. W.等、FEBS Lett.755:215−218(1985)を使用して判定することができ、これは、引用することにより本明細書に援用する。
実施態様によっては、「抗体」という用語は、先行技術で公知のとおり、抗体全体を改変して生成されるFab、Fab2、単鎖抗体(たとえばFv)、キメラ抗体など、または組換えDNA技術を使用して新たに合成される抗体などの抗体の断片を含む。
ポリクローナル抗体を生成する方法は、当業者には公知である。ポリクローナル抗体は、たとえば、免疫剤、および必要に応じてアジュバントを1回または複数回注入することによって、哺乳類中に生成することができる。一般に、免疫剤および/またはアジュバントは、複数の皮下または腹腔内注射によって、哺乳類中に注入される。免疫剤として、図の核酸もしくはその断片、またはその溶融タンパク質によってコードされたタンパク質が挙げられる。免疫化される哺乳類において、免疫原として公知のタンパク質に免疫剤を結合体化することは有用である。こうした免疫原タンパク質の実施例としては、きーホールリンペットヘモモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらだけに限らない。使用されるアジュバントの実施例としては、Freundの完全アジュバントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピッドA、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。免疫化プロトコルは、当業者であれば、実験を行わずに選択することができる。
抗体は、実施態様によっては、モノクローナル抗体で良い。モノクローナル抗体は、たとえばKohlerおよびMilstein, Nature,256:495(1975)に記載されている類のハイブリドーマ法を使用して生成することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター、またはその他の適切な宿主動物は、一般に、免疫剤に特異的に結合する抗体を生成するか、または生成可能なリンパ球を引き出すために、免疫剤を使って免疫化される。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化される。免疫剤は、一般に、新規なDKKL−1イソ型配列もしくはその断片、またはその溶融タンパク質の核酸によってコードされるポリペプチドを含む。一般に、抹消血リンパ球(「PBL」)は、ヒト起源の細胞が望ましい場合に使用され、非ヒト哺乳類ソースが望ましい場合、ノード細胞が使用される。次に、リンパ球は、ポリエチレングリコールなどの適切な融剤を使用して、不死化された細胞株と融合され、ハイブリドーマ細胞(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press,(1986)pp.59−103)が形成される。不死化細胞株は、一般に、転換された哺乳類細胞、特に齧歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が使用される。ハイブリドーマ細胞は、実施態様によっては、非融合不死化細胞の成長または生存を抑制する1つまたは複数の物質を含む適切な培養基中で培養される。たとえば、酵素ハイポキサンチングアニンホスホリボシル転移酵素(HGPRTまたはHPRT)が、親細胞中に存在しない場合、ハイブリドーマ用の培養基は、一般に、ハイポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(「HAT媒体」)を含み、これらの物質は、HGPRT不完全細胞の成長を抑制する。
モノクローナル抗体技術は、調査、診断、および治療を実施する際に使用される。モノクローナル抗体は、放射性免疫アッセイ、酵素連鎖免疫吸着アッセイ、免疫細胞病理学、およびインビトロ診断のための流動血球計算法、ヒトの疾病の診断および免疫療法のためのインビボに使用される。Waldmann, T.A.(1991)Science 252:1657−1662。特に、モノクローナル抗体は、癌の診断および治療に広く使用されてきたが、正常な組織は避けて、悪性病変をターゲットとすることが望ましい。たとえば、rankel等に付与された米国特許第4,753,894号、Ring等に付与された第4,938,948号、およびBjorn等に付与された第4,956,453号参照。
実施態様によっては、エフェクタ機能に関して、たとえば、中和剤の抗原依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)、および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を強化するように、エフェクタ機能に関してDKKL−1調節因子を修正することが望ましい。これは、たとえば、抗体中和剤のFc領域に1つまたは複数のアミノ酸置換を導入することによって行われる。あるいは、または付加的に、システイン残基がFc領域に導入され、それによって、この領域における鎖間のジスルフィド結合の形成を可能にする。こうして生成されたホモニ量体抗体は、内面化能力を改善し、および/または補体媒介細胞殺滅および抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を増加する。Caron等、J.Exp Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992)参照。また、ホモ抗腫瘍活性が強化された二量体抗体は、Wolff等、Cancer Research 53:2560−2565(1993)に記載されているヘテロ二官能性架橋剤を使用して作成される。あるいは、抗体は、二重Fc領域を有するように設計することができ、それによって、相補体の溶解およびADCC機能を強化した。Stevenson等、Anti−Cancer Drug Design 3:219−230(1989)参照。
実施態様によっては、抗体は二重特異性抗体である。二重特異性抗体はモノクローナルであり、実施態様によっては、少なくとも2つの異なる抗原の特異性を結合したヒトまたはヒト化抗体である。非ヒト免疫グロブリンから生成された抗原結合部位を含む多くの「人間化」抗体分子は、齧歯類V領域、ヒトの定常領域に融合される関連CDRを含む抗体分子が説明されてきた(Winter等、(1991)Nature 349:293−299;Lobuglio等、(1989)Proc.Nat.Acad.Sci USA 86:4220−4224;Shaw等、(1987)J Immunol.138:4534−4538;およびBrown等、(1987)Cancer Res.47:3577−3583),rodent CDRs grafted into a human supporting FR prior to fusion with an appropriate human antibody constant domainRiechmann等、(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyen等、(1988)Science 239:1534−1536;およびJones等、(1986)Nature 321:522−525)、およびrodent CDRs supported by recombinantly veneered rodent FRs(European Patent Publication No.519,596,published Dec.23,1992)。これらの「人間化」分子は、齧歯類の抗人抗体分子に対する望ましくない免疫反応を最小限にするように設計され、こうした分子は、ヒトの受容体における当該部分の治療応用に関する持続時間および効果を制限する。この場合、結合特異性の1つは、新規なDKKL−1イソ型配列の核酸によってコードされるタンパク質、またはその断片に関し、他の1つは、その他の何れかの抗原に関し、実施態様によっては、細胞表面のタンパク質、または受容体もしくは受容体の下位単位に関し、これは、実施態様によっては、腫瘍に特異的である。
実施態様によっては、図4A〜4Bに示す1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチドに対する抗体は、ポリペプチドの生物学的機能を減少させるか、またはなくすことができる。一般に、抗体によって、活性は少なくとも25%減少し、少なくとも30%減少し、少なくとも40%減少し、約50%減少し、約95〜100%減少する。
実施態様によっては、抗体は、癌細胞の増殖、癌細胞の成長、癌細胞の移動、癌細胞の転移、腫瘍原性、および癌細胞の生存から成る群から選択される癌細胞の活性を抑制する。実施態様によっては、抗体は、1つまたは複数のβ−カテニンシグナル伝達およびWntシグナル伝達を抑制する。実施態様によっては、抗体は、β−カテニンの安定化および/または活性化を調節する。実施態様によっては、抗体は、活性を対照と比較して少なくとも30%抑制する。
実施態様によっては、抗体は、ヒト化抗体である。「人間化」抗体とは、抗原結合部位を有する分子を意味し、この分子は、非ヒト種の免疫グロブリンから実質的に生成され、この分子の残りの免疫グロブリン構造は、ヒトの免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく。抗原結合部位は、定常ドメインに融合される完全可変ドメインを含むか、または可変ドメイン内の適切な枠組み領域上にグラフト結合される相補性決定領域のみを含む。抗原結合部位は野生型であるか、または1つまたは複数のアミノ酸置換によって修正されるか、またはヒトの免疫グロブリンにより厳密に似るように修正される。あるいは、ヒト化抗体は、親の非ヒト抗体の抗原結合特性を維持するか、または実質的に維持するキメラ抗体であって、ヒトに投与された場合、親抗体と比較して、免疫原性が減少しているキメラ抗体から生成される。「キメラ抗体」という語句は、本明細書で使用する場合、一般に異なる種を起源とする2種類の抗体(たとえば、米国特許第4,816,567号参照)から生成される配列を含む抗体を意味する。一般に、これらのキメラ抗体では、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、哺乳類の1つの種から誘導される抗体の可変領域を模倣し、定常部分は、別の抗体から誘導される抗体の配列と同族である。最も一般的には、キメラ抗体は、ヒトおよびラットの抗体の断片、一般にヒトの常数領域およびマウスの変数領域を含む。ヒト化抗体は、ヒトの免疫グロブリン(受容抗体)を含む。受容体の相補性決定領域(CDR)からの残基は、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはラビットなど、非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基と置換される。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFv枠組み残基は、対応する非ヒト残基と置換される。ヒト化抗体は、受容抗体にも、インポートCDRまたは枠組み配列にも見られない。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、一般に2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、このドメインでは、すべて、または実質的にすべてのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、すべて、または実質的にすべての枠組み残基(FR)領域は、ヒトの免疫グロブリンコンセンサス配列の領域に対応する。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリンの常数領域(Fc)の少なくとも一部分、一般にヒトの免疫グロブリンの一部分を含む(Jones等,Nature, 321:522−525(1986); Riechmannet al.,Nature, 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol,2:593−596(1992))。このようなキメラ形態の1つの明らかな利点は、たとえば、非ヒト宿主有機体から容易に入手可能なハイブリドーマまたはB細胞を、たとえばヒト細胞の組織標本から導入される定常領域と組み合わせて使用して、現在公知のソースから便宜的に導入できることである。この可変領域は、容易に準備できるという利点を有し、特異性はそのソースによって影響されないが、ヒトの常数領域は、抗体が注入される場合、非ヒトソースからの常数領域の場合と比較して、被験体から免疫反応をそれ程引き出さないと思われる。しかし、この定義は、この特定の実施例に限定される。
ヒト化抗体は、ヒトの免疫原性は、親のマウスモノクローナル抗体と比較して非常に少ないため、過敏症の危険性が非常に低いヒトの治療に使用することができる。したがって、実施態様によっては、ヒト化抗体は、ヒトに対するインビボ投与を伴う治療用途、たとえば、腫瘍性疾患の治療用の放射線増感剤としての用途、または癌治療などの副作用を減少させる方法における用途に使用される。非ヒト抗体を人間化するための方法は、先行技術で十分に公知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトソースから抗体に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、インポート残基と呼ばれ、一般にインポート可変ドメインから取得される。人間化は、本質的に、齧歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって、Winterおよび共働者(Jones等、Nature 321:522−525(1986);Riechmann等、Nature 332:323−327(1988); Verhoeyen等、Science 239:1534−1536(1988))の方法に従って行われる。したがって、このようなヒト化抗体は、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)であり、非ヒト種からの対応する配列に置換された無傷ヒト可変ドメインは実質的に少ない。実際、ヒト化抗体は、一般に、いくつかのCDR残基、およびおそらくいくつかのFR残基が、齧歯類抗体中の相似部位からの残基に置換されたヒト抗体である。
ヒト抗体も、ファージ提示ライブラリ[HoogenboomおよびWinter, J. MoI. Biol., 227:381(1991); Marks等、J. MoI. Biol., 222:581(1991)]など、先行技術で公知の様々な技術を使用して生成される。Cole等およびBoemer等の技術は、ヒトモノクローナル抗体の調製にも使用される[Cole等、Monoclonal and Cancer Therapy, Alan R. Liss,p.77(1985)およびBoerner等、J. Immunol.,147(l):86−95(1991)]。ヒト化抗体は、たとえば(1)非ヒト相補性決定領域(CDR)をヒト枠組みおよび定常領域にグラフト結合する(先行技術で「人間化」と呼ばれるプロセス)、あるいは別法により(2)全体の非ヒト可変ドメインを移植するが、表面残基の置換によってヒト状の表面で「覆う」(先行技術で「ベニア化」と呼ばれるプロセス)を含む多様な方法で得られる。本発明では、ヒト化抗体は、「人間化」および「ベニア化」抗体の両方を含む。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座を、内生的な免疫グロブリン遺伝子が、部分的または完全に不活性化された遺伝子組換え動物、たとえばマウス中に導入することによって製造することができる。チャレンジ後、ヒト抗体の生成が観察されたが、これは、遺伝子の再配列、組立て、および抗体のレパートリーを含むあらゆる点で、ヒトに見られる抗体と密接に類似している。この方法は、たとえば米国特許第5,545,807号、第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、並びに以下の科学出版物:Marks等、Bio/Technology 10, 779−783(1992); Lonberg等、Nature 368 856−859(1994); Morrison, Nature 368, 812−13(1994); Fishwild等、Nature Biotechnology 14, 845−51(1996); Neuberger, Nature Biotechnology 14, 826(1996); LonbergおよびHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13 65−93(1995); Jones等、Nature 321:522−525(1986); Morrison等、Proc. Natl. Acad. Sci, U.S.A., 81:6851−6855(1984); MorrisonおよびOi, Adv. Immunol., 44:65−92(1988); Verhoeyer等、Science 239:1534−1536(1988); Padlan, Molec. Immun. 28:489−498(1991);Padlan, Molec. Immunol. 31(3):169−217(1994);およびKettleborough, CA.等、タンパク質Eng.4(7):773−83(1991)に記載されており、これらの各々は、引用することにより本明細書に援用する。
「相補性決定領域」という語句は、天然免疫グロブリン結合部位の自然Fv領域の結合親和性および特異性を同時に定義するアミノ酸配列を意味する。たとえば、Chothia等、J. MoI. Biol. 196:901−917(1987); Kabat等、U.S. Dept. of Health and Human Services NIH Publication No.91−3242(1991)参照。「定常領域」という語句は、エフェクタ機能を与える抗体分子の部分を意味する。本発明では、マウスの定常領域は、ヒトの定常領域と置換した。対象のヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリンから生成する。重鎖定常領域は、5つのイソ型、つまりα、δ、ε、γまたはμの何れかから選択される。抗体を人間化する1つの方法は、非ヒト重鎖および軽鎖配列をヒトの重鎖および軽鎖配列と整列させるステップと、非ヒト枠組みを選択し、このような配列に基づいてヒト枠組みに置換するステップと、分子モデリングを行って、人間化配列の立体構造を予測するステップと、親抗体の立体構造と比較するステップとを含む。このプロセスは、次に、CDR構造を妨げるCDR領域内の残基の突然変異を繰り返し、人間化配列モデルの予測された立体構造は、親非ヒト抗体の非ヒトCDRの立体構造に厳密に近づく。このようなヒト化抗体は、たとえばAshwell受容体を介した摂取および排泄を促進するために、さらに誘導体化される。たとえば、米国特許第5,530,101号および第5,585,089号参照。これらの特許は、引用することにより本明細書に援用する。
ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように設計される遺伝子組換え動物を使用して製造することも可能である。たとえば、国際公開第98/24893号は、号物が、内生重鎖および軽鎖遺伝子座の不活性化によって、機能的な内生免疫グロブリンを生成しないヒトIg遺伝子座を有する遺伝子組換え動物を開示している。国際公開第91/10741号は、免疫原に対して免疫反応を与えることが可能な遺伝子組換え非霊長類哺乳類宿主も開示しており、この場合、抗体は、霊長類定常領域および/または可変領域を有し、内生免疫グロブリンコード遺伝子座は置換または不活性化される。国際公開第96/30498号は、Cre/Loxシステムを使用して、哺乳類内の免疫グロブリン遺伝子座を改変し、たとえば、定常領域または可変領域の全体または一部分を置換して、改変された抗体分子を形成する方法を開示している。国際公開第94/02602号は、不活性化内生Ig遺伝子座および機能的なヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳類宿主を開示している。米国特許第5,939,598号は、遺伝子組換えマウスを製造する方法であって、マウスが内生重さを持たず、1つまたは複数の異種定常領域を含む外生 免疫グロブリン遺伝子座を発現する方法を開示している。
上記の遺伝子組換え動物を使用すると、選択した抗原分子免疫反応を生成することができ、抗体生成細胞は、動物から除去して、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを生成するために使用することができる。免疫化プロトコル、アジュバントなどは先行技術で公知であり、たとえば、国際公開第96/33735号に記載されている遺伝子組換えマウスの免疫化に使用される。モノクローナル抗体に関して、対応するタンパク質の生物活性または生理学的効果を抑制または中和する能力をテストすることができる。
本発明では、本発明のポリペプチドおよびその変異体は、上記のとおり、遺伝子組換え動物を免疫化するために使用することができる。モノクローナル抗体は、先行技術で公知の方法を使用して製造され、抗体の特異性は、単離ポリペプチドを使用してテストされる。ヒトまたは霊長類のポリペプチドまたはそのエピトープを調製する方法として、化学合成、組換え型DNA技術、または生物学的サンプルからの分離が挙げられるが、これらだけに限らない。ペプチドの化学合成は、たとえば、固相ペプチド合成の従来のMerrifeld法(Merrifeld, J. Am. Chem. Soc. 85:2149,1963、引用することにより包含する)、または高速自動化複合ペプチド合成システムに冠するFMOC計画(E.I. du Pont de Nemours Company、デラウェア州、ウィルミントン)(CaprinoおよびHan, J. Org. Chem.37:3404,1972、引用することにより包含する)によって行うことができる。
ポリクローナル抗体は、抗原を注入した後、適切な間隔で後続のブーストを行うことによって、ラビットまたはその他の動物を免疫化して調製することができる。この動物に関して、通常、タンパク質の作用を妨げる能力に基づくELISAまたはバイオアッセイにより、精製されたタンパク質の血清アッセイを行った。鳥類種、たとえば鶏および七面鳥などを使用する場合、抗体は、卵黄から単離することができる。モノクローナル抗体は、骨髄腫またはリンパ腫細胞などの腫瘍細胞を継続的に再現して、免疫化されたマウスから脾細胞を融合することにより、MilsteinおよびKohlerの方法の後に調製することができる。(MilsteinおよびKohler, Nature 256:495−497, 1975; GulfreおよびMilstein, Methods in Enzymology: Immunochemical Techniques 73:1−46, Langone and Banatis eds., Academic Press, 1981、引用することにより援用する)。このように形成されたハイブリドーマ細胞は、限界希釈法によてクローン化され、ELISA、RIA、またはバイオアッセイによる抗体生成に関して浮遊物アッセイされる。
ターゲットタンパク質を認識し、特異的に結合する抗体特有の能力は、タンパク質の過剰発現を治療する方法を提供する。したがって、本発明のもう1つの態様は、タンパク質に対する特異的抗体を使って患者を治療することにより、ポリペプチドの過剰発現に関連する疾病を予防または治療するための方法を提供する。
タンパク質に対する特異的抗体、つまりポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、上記のとおり、先行技術で公知の任意の適切な方法で製造することができる。たとえば、ラットまたはヒトのモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術により製造するか、あるいは別法により、図4A〜4Bに示す1つまたは複数の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物を含むポリペプチド、またはその免疫学的に活性の断片、抗イディオタイプ抗体、またはその断片を動物に投与して、タンパク質を認識して結合することが可能な抗体の生成を誘発することができる。このような抗体は、任意のクラスの抗体で良く、抗体のクラスとして、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgE、または鳥類種の場合はIgY、並びに任意のサブクラスの抗体が挙げられるが、これらだけに限らない。
実施態様によっては、分泌された成長因子をコードする腫瘍遺伝子は、上記のとおり、本発明の分泌タンパク質に対して抗体を生成することにより抑制される。理論に制約される意図はないが、治療に使用される抗体は、分泌タンパク質に結合して、分泌タンパク質がその受容体に結合するのを防止し、それによって分泌タンパク質を不活性化する。
抗体は、治療部分に結合体化される。一態様では、治療部分は、タンパク質の活性を調節する小分子であり、別の態様では、治療部分は、タンパク質に関連するか、またはタンパク質に密接に近接する分子の活性を調節する。治療部分は、癌に関連するプロターゼまたはタンパク質キナーゼの活性などの酵素活性を抑制する。
本発明の調節因子は、細胞傷害性または治療用薬剤に任意に結合体化することが可能である。実施例として、化学療法薬が挙げられる。こうした化学療法は、特定の癌の治療において確立された効果を有する可能性がある。
調節因子と、1つまたは複数の小分子毒素、たとえばカリケアマイシン、メイタンシン米国特許第5,208,020号)、trichothene、およびCC1065との共役も、本明細書で意図されている。いくつかの実施態様によると、調節剤は、1つまたは複数のメイタンシン分子(たとえば、調節剤1分子当たり約1〜10メイタンシン分子)に結合体化する。メイタンシンは、たとえばMay−SS−Meに転換される。これは、May−SH3に還元され、改変された調節剤(Chari等、Cancer Research 52: 127−131(1992))と反応し、メイタンシノイド−調節剤の共役を生成する。
あるいは、調節剤は、1つまたは複数のカリケアマイシン分子に結合体化する。抗生物質のカリケアマイシンファミリは、サブピコモル濃度における二本鎖DNAの中断を生成することが可能である。カリケアマイシンの構造アナログも公知である(Hinman等、Cancer Research 53:3336−3342(1993)およびLode等、Cancer Research 58:2925−2928(1998))。
酵素的に活性の毒素、および使用可能なその断片として、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性の活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、ジアンチンタンパク質、フィトラカアメリカナタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、苦瓜インヒビター、クルシン、クロチン、サパオナリアオフィシナリスインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。たとえば、国際公開第93/21232号参照。
実施態様によっては、本発明の調節因子、特にポリペプチドは、ポリエチレングリコール(PEG)を使って誘導体化される。
本発明は、核酸分解活性を有する化合物(たとえば、リボヌクレアーゼ、またはデオキシリボヌクレアーゼなどのDNAエンドヌクレアーゼ;DNase)と結合体化する。放射性結合体化された調節剤の生成のために、様々な放射性同位元素が入手可能である。一例として、Y90、At211、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、およびLuの放射性同位元素が挙げられる。調節剤と細胞毒性との共役は、多様な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して行われ、こうしたカップリング剤としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、イミノチオレン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(たとえば、ジメチルアジピイミダートHCL)、活性エステル(たとえば、ジスクシンイミジルスベラート)、アルデヒド(たとえば、グルタルデヒド)、ビスアジド化合物(たとえば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(たとえば、ビス−(pジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(たとえば、トリエン2,6−ジイソシアネート)、およびビス−活性化フッ素化合物(たとえば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)が挙げられる。たとえば、リシン抗毒素は、Vitetta等、Science 238:1098(1987)に記載されているように調製することが可能である。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレンジエチレントリアミン五酢酸MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドを調節剤に結合体化させるための例示的なキレート剤である。(たとえば、国際公開第94/11026号参照)。リンカーは、細胞内において細胞傷害性薬剤の解放を促進する「開裂可能なリンカー」である。たとえば、酸に不安定なリンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari等、Cancer Research 52: 127−131(1992))が使用される。あるいは、調節剤および細胞傷害性薬物を含む溶融タンパク質は、たとえば、組換え技術またはペプチド合成によって製造される。
実施態様によっては、調節因子は、腫瘍を事前にターゲットにする際に使用される「受容体」(ストレプトアビジン)に結合体化し、この場合、調節剤−受容体の結合体が患者に投与され、次に、除去剤を使用して循環から未結合結合体を除去し、その後、細胞毒性(たとえば、放射性ヌクレオチド)に結合体化する「リガンド」(たとえば、アビジン)を投与する。本発明の調節剤は、プロドラッグ(たとえば、ペプチジル化学療法薬、国際公開第81/01145号参照)を抗癌剤に転換する生成−活性化酵素を使って結合体化することも可能である。たとえば、国際公開第88/07378号および米国特許第4,975,278号参照。
このような結合体の酵素成分は、酵素成分をより活性の細胞傷害性の形態に転換するような方法で、プロドラッグに作用可能な任意の酵素を含むことができる。本発明の方法に有用な酵素として、リン酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に転換するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に転換するのに有用なアリルスルファターゼ;非毒性5−フルオロシトシンを抗癌剤、5−フルオロウラシルに転換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に転換するのに有用なセラチアプロターゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチターゼ、およびカテプシン(たとえば、カテプシンBおよびL)などのプロターゼ;D−アミノ酸置換基を含むプロドラッグを転換するのに有用なD−アラニルカルボキシペプチターゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に転換するのに有用な[β]−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物開裂酵素、(3−ラクタムで誘導体化した薬剤を遊離薬物に転換するのに有用な(3−ラクタマーゼ;およびそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基でアミン窒素において誘導体化された薬剤を遊離薬物に転換するのに有用なペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらだけに限らない。あるいは、やはり「抗体酵素」として先行技術で公知の酵素活性を有する抗体を使用すると、本発明のプロドラッグを遊離活性剤に転換することが可能である(たとえば、Massey, Nature 328: 457−458(1987))参照。調節剤−抗体酵素結合体は、本明細書に記載するとおり、抗体酵素は、腫瘍細胞の集団に送達するように調製できる。
酵素は、上記のヘテロ二官能性架橋試薬を使用するなど、先行技術で十分に公知の技術によりDKKL−1調節因子に共有結合することができる。本発明の酵素の機能的に活性の少なくとも1つの部分に連鎖される本発明の調節剤の少なくとも1つの抗原結合領域を含む溶融タンパク質は、先行技術で十分に公知の組換え型DNA技術を使用して構成することが可能である[たとえば、Neuberger等、Nature,312:604−608(1984)参照]。
実施態様によっては、本発明のポリペプチドは、発現後に精製または単離される。タンパク質は、サンプル中に他の成分が存在するかどうかに応じて、当業者にとって公知の様々な方法で単離または精製することができる。標準の精製方法としては、電気泳動、分子、免疫学的、およびクロマトグラフ技術、たとえばイオン交換、疎水性、親和性、および逆相HPLCクロマトグラフィ、並びにクロマト分画が挙げられる。たとえば、タンパク質は、標準の抗体コラムを使用して精製される。タンパク質の濃度に関連して、限外濾過および膜分離も有用である。適切な精製技術の一般的な案内については、Scopes, R., Protein Purification, Springer− Verlag, NY(1982)参照。必要な精製程度は、タンパク質の用途によって異なり、場合によっては、精製は不要である。
本発明のタンパク質および核酸は、必要に応じて発現および精製された後、多くの用途に有用である。態様によっては、遺伝子の発現レベルは、癌の表現型における様々な細胞状態に応じて決まる;つまり、正常な組織および癌組織の発現レベル(および、場合により、以下に概略を記載するとおり、予後に関連するリンパ腫の様々な重大度)は、発現プロファイルを作成するために評価される。特定の細胞状態の発現プロファイル、または発達位置は、本質的に状態の「指紋」であり、2つの状態は、同様に発現する任意の特定の遺伝子を有し、多数の遺伝子を評価すると、同時に、細胞の状態に固有の遺伝子発現プロファイルを生成することが可能である。様々な状態における細胞の発現プロファイルを比較することによって、これらの状態においてどの遺伝子が重要であるかに関する情報(遺伝子の上方および下方制御の両方を含む)が得られる。次に、診断が行われ、特定の患者の組織が正常または癌組織の遺伝子発現プロファイルを有するかどうか確認される。
本明細書で使用する「差次的発現」または等価な表現は、細胞内および細胞間における遺伝子の一時的および/または細胞発現パターンにおける定性的および定量的差の両方を意味する。したがって、発現が異なる遺伝子は、たとえば癌組織と対比した正常細胞における活性化または不活性化など、その発現が定性的に変化している可能性がある。つまり、遺伝子は、別の状態と比較して、特定の状態においてオンになるか、またはオフになる。当業者にとっては明らかであるように、2つ以上の状態の任意の比較を行うことが可能である。このように定性的に調節された遺伝子は、ある状態または細胞タイプの範囲の発現パターンを示し、このパターンは、このような状態または細胞の1つにおいて、標準の技術により検出可能だが、両方の状態または細胞では検出可能ではない。あるいは、この決定は、発現が増加または減少するという点で定量的であり、つまり、遺伝子の発現は上方調節されると、転写産物の量が増加するか、または下方調節されると、転写産物の量は減少する。発現が異なる程度は、以下に概略を記載する標準の特性化技術を介して、たとえば、本明細書で引用することにより明確に本明細書に組み込まれるAffymetrix GeneChip(登録商標)発現アレイ、Lockhart,Nature Biotechnology,14:1675−1680(1996)を使用することにより定量化するのに十分な大きさであれば良い。その他の技術としては、その他の技術としては、定量的逆転写酵素PCR、Northern解析、およびRNase保護が挙げられるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、上記で概略を述べたとおり、発現の変化(つまり、上方制御または下方制御)は少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、および300〜少なくとも1000%である。実施態様によっては、発現の変化は、制御の少なくとも150%の下方制御である。
当業者には理解されるように、遺伝子の転写産物、またはタンパク質のレベルで評価することによって行われる;つまり、遺伝子発現の量は、遺伝子転写産物のDNAまたはRNA等価物に対する核酸プローブ、および遺伝子発現レベルの定量化を使用して監視されるか、または最終的な遺伝子産物自体(タンパク質)は、たとえば、タンパク質に対する抗体の使用、および標準の免疫アッセイ(ELISAなど)、2Dゲル電気泳動法などを介して監視することができる。
実施態様によっては、遺伝子発現の監視が実施され、DKKL−1イソ型2および3を含む発現プロファイルを形成する多数の遺伝子が同時に監視される。複数のタンパク質発現も監視することが可能である。実施態様によっては、核酸プローブは、本明細書に概略を記載する生体素子に結合され、特定の細胞内のDKKL−1配列の新規なイソ型2および3の検出および定量化が行われる。このアッセイは、先行技術で公知のように行われる。さらに、固相アッセイについて説明しているが、任意の数の溶液ベースのアッセイを行っても良い。
ターゲット薬剤のスクリーニング
実施態様によっては、本明細書に記載する配列は、薬剤スクリーニングアッセイに使用される。本発明のDKKL−1タンパク質、抗体、核酸、改変タンパク質、およびこのような配列を含む細胞は、薬剤スクリーニングアッセイに使用されるか、またはポリペプチドの「遺伝子発現プロファイル」または発現プロファイルに対する薬剤候補の影響を評価するために使用される。実施態様によっては、発現プロファイルが使用され、発現プロファイルは、実施態様によっては、高処理能力のスクリーニング技術と組み合わされ、候補薬剤を使って治療した後に、発現プロファイルの遺伝子を監視することを可能にするZlokarnik,等、Science 279, 84−8 1998),Heid,等、Genome Res.,6:986−994(1996)。
実施態様によっては、本発明は、癌インヒビターを識別する方法を提供する。この方法は、DKKL−1スプライス産物を発現する細胞を候補化合物に接触させ、DKKL−1スプライス産物の下流マーカーが抑制されているか否かを判断する。実施態様によっては、癌は、対照と比較したDKKL−1スプライス産物の過剰発現によって特徴付けられる。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物は、DKKL−1イソ型2またはDKKL−1イソ型3である。実施態様によっては、下流マーカーの抑制は癌インヒビターを表す。実施態様によっては、下流マーカーはWntまたはβ−カテニンである。
本発明は、DKKL−1スプライス産物調節因子をスクリーニングする方法であって、テスト化合物を使ってDKKL−1スプライス産物を発現する細胞に接触させるステップと、Wnt経路の構成要素の活性を測定するステップと含む方法も提供する。実施態様によっては、Wnt経路の構成要素の活性が対照と比較して調節される場合、テスト化合物はDKKL−1スプライス産物調節因子である。実施態様によっては、活性は、β−カテニンの活性化および/または安定化である。実施態様によっては、活性は、Wntおよび/またはβ−カテニンに関連する細胞シグナル伝達である。
候補の生物活性は、遺伝子を調節する能力の点でスクリーニングされる。したがって、「調節」は、遺伝子発現または活性の増加および減少の両方を含む。調節量は、腫瘍組織と対比した正常組織おける遺伝子発現の独自の変化によって決まり、この変化は、少なくとも10%、少なくとも50%、100〜300%、および300〜1000%以上である。したがって、たとえば、遺伝子の発現が、正常組織に比べて腫瘍組織において4倍増加する場合、約4倍の減少が望ましく、同様に、正常組織と比べて腫瘍素子における発現レベルが10倍減少すると、候補薬剤に関して、発現は所望の10倍の発現が生じる。
当業者には理解されるように、これは、遺伝子またはタンパク質レベルでの評価によって行われ、つまり、遺伝子の発現量は、核酸プローブ、および遺伝子発現レベルの定量化を使用して監視されるか、あるいはあるいは、遺伝子産物自体のレベルは、たとえばタンパク質に対する抗体の使用、および標準の免疫アッセイにより監視することができる。あるいは、タンパク質との結合および生物活性は、以下で概略を記載するように行われる。
「候補の生物活性」もしくは「薬剤候補」という用語、または文法的に等価な表現は、本明細書で使用する場合、癌の表現型を直接または関節的に変更し、タンパク質に結合し、および/またはタンパク質の生物活性、または核酸配列およびタンパク質配列の両方を含む配列の発現を調節することが可能な生物活性がテストされる任意の分子、たとえば、タンパク質、ペプチド、小有機または無機分子、多糖類、ポリヌクレオチドなどを意味する。実施態様によっては、候補薬剤は、表現型を正常な組織の指紋に抑制する。一般に、複数のアッセイの混合は、様々な濃度に対する差別的な反応を得るために、異なる薬剤濃度を使って同時に行われる。一般に、これらの濃度の1つは、負の制御として使用され、つまりゼロ濃度、または検出レベル未満で使用される。
候補薬剤は、多くの化学的クラスを含むが、一般に、有機または無機分子である。実施態様によっては、候補薬剤は、100ダルトンを超え、約2,500ダルトン未満の分子量を有する小有機化合物である。実施態様によっては、小分子は2000ダルトン未満、1500ダルトン未満、または100ダルトン未満、または500ダルトン未満である。候補薬剤は、タンパク質との構造的な相互作用、特に水素化学結合に必要な官能基を含み、一般に、少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含む。実施態様によっては、候補薬剤は、少なくとも2つの化学官能基を含む。候補薬剤は、多くの場合、1つまたは複数の上記の官能基と置換される循環炭素もしくは複素環構造、および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含む。候補薬剤は、ペプチド、単糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、またはこれらの組合せを含む生体分子にも見られる。実施態様によっては、候補薬剤はペプチドである。
候補薬剤は、合成または天然化合物のライブラリなどの多様なソースから得られる。たとえば、多くの手段は、ランダム化されたオリゴヌクレオチドの発現を含む多様な有機化合物および生体分子のランダム合成および指示された合成に利用可能である。あるいは、細菌、菌類、植物および動物の抽出物における天然化合物のライブラリが入手可能であるか、または容易に作成される。さらに、天然であるか、または合成的に作成されたライブラリおよび化合物は、従来の化学的、物理学的、および生化学的手段により容易に改変される。公知の薬理学的薬剤は、指示されたか、またはランダムな化学的改変、たとえばアシル化、アルキル化、エステル化、またはアミノ化が行われ、構造的類似体が生成される。
実施態様によっては、候補生物活性はタンパク質である。本明細書では「タンパク質」は、少なくとも2つの共有結合アミノ酸であって、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチドを含むアミノ酸を意味する。タンパク質は、天然発生アミノ酸およびペプチド化学結合、または合成ペプチド摸倣薬構造から構成される。したがって、本明細書における「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然発生および合成アミノ酸の両方を意味する。たとえば、ホモ−フェニルアラニン、シトルリン、およびノルロイシンは、本発明の目的上アミノ酸と考えられる。「アミノ酸」は、プロリンおよびヒドロキシプロリンなどのイミノ酸残基も含む。側鎖は、(R)または(S)構成である。実施態様によっては、アミノ酸は、(S)またはL−構成である。非天然発生側鎖を使用する場合、非アミノ酸置換基は、たとえば劣化をインビボで防止または遅延させるために使用される。
実施態様によっては、候補生物活性は、天然発生タンパク質、または天然発生タンパク質の断片である。したがって、たとえば、タンパク質を含む細胞抽出物、またはタンパク質状の細胞抽出物のランダムな消化物または指示された消化物が使用される。この方法で、本発明の方法でスクリーニングするために、原核生物および真核性タンパク質のライブラリが作成される。実施態様によっては、このライブラリは、細菌、菌類、ウィルス、および哺乳類タンパク質のライブラリである。
実施態様によっては、候補生物活性は、約5〜約30個のアミノ酸、約5〜20個のアミノ酸、または約7〜15個のアミノ酸のペプチドである。ペプチドは、上記で概略を記載した天然発生タンパク質、ランダムペプチド、または「バイアスされた」ランダムペプチドの消化物である。「ランダム化」または文法的に等価な表現は、各々の核酸およびペプチドが、それぞれ本質的にランダムヌクレオチドおよびアミノ酸から構成されることを意味する。一般に、これらのランダムペプチド(または、以下で説明する核酸)は、化学的合成されるため、任意のヌクレオチドまたはアミノ酸を任意の位置に組み込むことができる。合成プロセスは、ランダム化タンパク質または核酸を生成し、全部または殆どの可能な組合せを配列の長さ上に形成して、その結果、ランダム化候補生物活性タンパク質状の薬剤のライブラリを形成することが可能であるように設計することができる。
実施態様によっては、ライブラリは完全にランダム化され、任意の位置における配列の選択または定数は存在しない。実施態様によっては、ライブラリはバイアスされる。つまり、配列内のいくつかの位置は一定に保たれるか、または限られた数の可能性から選択される。たとえば、実施態様によっては、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基は、架橋に関して核酸結合ドメインの形成、システインの形成、SH−3ドメインに関してプロリン、リン酸化部位などに関してセリン、スレオニン、チロシンもしくはヒスチジン、またはプリンなどに対して、たとえば疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的にバイアスされた(小さいか、または大きい)残基の規定のクラス内でランダム化される。
実施態様によっては、候補の生物活性薬剤は核酸である。タンパク質に関して一般に説明するように、核酸の候補生物活性剤は、自然に発生する核酸、ランダム核酸、または「バイアスされた」ランダム核酸である。もう1つの実施態様では、候補の生物活性剤は有機化学的部分であり、文献には多様な生物活性剤が見られる。
本明細書に概略を記載する反応は、当業者には理解されるように、様々な方法で行うことができる。反応成分は、同時に、または連続的に任意の順序で追加される。さらに、この反応は、アッセイにおけるその他の多様な試薬を含む。これらは、塩、緩衝液、天然タンパク質、たとえばアルブミン、浄化剤などの試薬であって、最適なハイブリダイゼーションおよび検出を促進し、および/または非特異性または背景の相互作用を減少させるために使用される。また、さもなければアッセイの効率を改善する試薬、たとえばプロターゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗菌剤などは、サンプル調製方法、およびターゲットの純度に応じて使用することができる。さらに、固相または溶液ベースの(つまり、動的PCR)アッセイが使用される。
アッセイを行った後、データを分析して、発現レベル、および個々の遺伝子間の発現レベルの変化を判定し、遺伝子発現プロファイルを形成する。実施態様によっては、診断および予後の応用に関して、どの状態に置いても重要な差次的に発現した1つまたは複数の遺伝子または突然変異した1つまたは複数の遺伝子を識別した後、スクリーニングを行って、個々にDKKL−1ポリヌクレオチドの新規なイソ型の発現の変化をテストすることができる。つまり、単一遺伝子の発現を調節または調整するためのスクリーニングを行うことができる。したがって、たとえば、存在の有無が2つの状態間で独特のターゲット遺伝子の場合、スクリーニングは、ターゲット遺伝子発現の調節因子として行われる。
さらに、スクリーニングは、候補薬剤に応じて導入される新規な遺伝子に関して行われる。候補薬剤をDKKL−1の発現を抑制する能力に基づいて識別し、パターンをスプライスして、正常な発現パターンを生成した後、上記のスクリーニングを行うと、この薬剤に応じて特異的に調節する遺伝子を識別することができる。正常組織と、薬剤がターゲットとする組織との発現プロファイルを比較すると、正常な組織または疾患のある組織において発現しないが、治療組織において発現する遺伝子が明らかになる。
いくつかの細胞株は、本発明のスクリーニング方法に利用可能である。実施態様によっては、細胞株は、乳房腫瘍細胞株、肝臓腫瘍細胞株、肺腫瘍細胞株、リンパ液細胞株、卵巣腫瘍細胞株、頚部腫瘍細胞株、および結腸腫瘍細胞株から成る群から選択される腫瘍細胞株である。実施態様によっては、乳房腫瘍細胞株は、MDA MB−468、BT−20およびMCF−7から成る群から選択される。実施態様によっては、肺腫瘍細胞株は、NCI−H522、H596、H1229、H520、H2172、H838およびH23から成る群から選択される。実施態様によっては、リンパ液細胞株はK562である。実施態様によっては、卵巣腫瘍細胞株はA2780である。実施態様によっては、リンパ液細胞株はK562である。実施態様によっては、頚部腫瘍細胞株はC33Aである。実施態様によっては、リンパ液細胞株はK562である。実施態様によっては、結腸腫瘍細胞株は、HCT−8およびColo320DMから成る群から選択される。
本発明の応用
実施態様によっては、本発明は、様々な組織におけるDKKL−1遺伝子の新規なスプライス変異体の発癌の可能性を評価する方法を提供する。この評価は、複数の異なる生物学的アッセイで行うことができ、こうしたアッセイとしては、転換アッセイ、コロニー形成アッセイ、およびヌードマウス調査を無制限に含む。
スプライス変異体によってコードされたタンパク質は、組換え型システムから精製され、治療目的のモノクローナル抗体を生成する再に、免疫原として使用される。
DKKファミリの構成要素は、Wntシグナル伝達経路の作用薬または拮抗薬として作用する分泌成長因子として公知である。本発明は、DKKL−1の生理学的受容体を提供する。本発明はさらに、Wntシグナル伝達または新規な受容体のシグナル伝達において、異なるDKKL−1スプライス変異体の影響を調節するための方法を提供する。
DKKL−1イソ型の差次的発現によって誘発されるシグナル伝達経路、およびこれらのシグナル伝達事象に関連する発癌表現型も提供する。実施態様によっては、シグナル伝達経路は、Wnt経路およびβ−カテニン経路を含む。DKKL−1腫瘍遺伝子のシグナル伝達の可能性に影響する治療実体をスクリーニングするために、こうした経路を使用する方法を提供する。
初期腫瘍に関する発現プロファイリングによって、DKKL−1に対するヒト癌の指標を提供する。遺伝子座のDNA増幅、および様々な初期腫瘍に対するDKKL−1遺伝子座のスプライシング事象の異常調節など、その他の潜在的な発癌機序も、癌状態を検出する方法として提供する。
本発明は、患者におけるDKKL−1スプライス産物に関連する生物活性を調節する方法を提供する。実施態様によっては、この方法は、DKKL−1スプライス産物に関連する生物活性を調節するのに効果的な量のDKKL−1スプライス産物調節因子を患者に投与するステップを含む。実施態様によっては、患者は、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸癌、乳癌、またはリンパ腫の1つまたは複数を有するか、それらに罹りやすい。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物に関連する生物活性は、癌細胞の増殖、癌細胞の成長、腫瘍原性、癌細胞の移動、癌細胞の転移、または癌細胞の生存である。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物に関連する生物活性は、β−カテニンシグナル伝達およびWntシグナル伝達である。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物に関連する生物活性は、β−カテニン安定化および/または活性化である。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は抗体であり、インビボ治療抗体遺伝子導入を介して被験体に投与される。
本明細書で使用する場合、「癌細胞の成長を抑制する」という語句は、細胞が、差次的にDKKL−1スプライス産物を発現するDKKL−1スプライス産物調節因子の存在する状態で、癌細胞の成長を抑制または停止することを意味する。これに関連して、癌細胞の成長は、DKKL−1スプライス産物調節因子が存在しない状態で癌細胞の成長に対して少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、100%以下減少させることが可能である。癌細胞の成長の比較は、たとえば、MTTアッセイ(たとえば、Vybrant(登録商標)MTT細胞増殖アッセイキット(Invitrogen)); BrdU取込みアッセイ(たとえば、絶対−S SBIPアッセイ(Invitrogen));細胞内ATPレベルの測定(たとえば、ATPLite(商標)−M,1,000アッセイキット(PerkinElmer)またはATP細胞生存能力アッセイキット(BioVision));DiOcI 8アッセイ、膜透過性色素(Invitrogen);グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ活性アッセイ(たとえば、Vibrant細胞傷害性アッセイ(Invitrogen));または細胞LDH活性の測定を使用して行うことができる。
本明細書で使用する場合、「腫瘍の形成を抑制する」および「腫瘍原性を抑制する」という語句は、腫瘍が、DKKL−1スプライス産物を差次的に発現する細胞を含むDKKL−1スプライス産物調節因子が存在する状態で、腫瘍の形成を抑制または停止することを意味する。これに関連して、腫瘍の形成は、DKKL−1スプライス産物調節因子が存在しない状態での腫瘍の形成と比べて、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、および100%以下減少させることが可能である。腫瘍の形成の比較は、たとえば細胞ベースのアッセイ(たとえば、soft agar中のコロニーの形成);一般に、対象細胞を動物(たとえば、無胸腺マウスまたはラット、放射線を受けたマウスまたはラット)中に注入することに頼っている腫瘍形成のインビボモデル;免疫学的特権部位、たとえば脳、頬袋、または眼に対する植菌を使用して行うことができる。
本明細書で使用する場合、「シグナル伝達を抑制する」という語句は、DKKL−1を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流にある構成要素に対する1つまたは複数のDKKL−1スプライス産物の影響を減少させることを意味する。DKKL−1を含む細胞シグナル伝達カスケードは、特にWnt経路を含む。シグナル伝達の抑制は、細胞シグナル伝達経路の下流の構成要素のポリペプチドまたはポリヌクレオチドのレベルを測定することにより判断することができる。
本発明は、DKKL−1スプライス産物を発現する細胞の集団における癌細胞表現型を抑制する方法も提供する。実施態様によっては、この方法は、癌細胞の集団にDKKL−1スプライス産物調節因子を投与するステップを含む。実施態様によっては、癌細胞に投与されるDKKL−1スプライス産物調節因子の量は、癌細胞表現型の抑制に効果的な量である。実施態様によっては、癌細胞表現型は癌細胞の増殖、癌細胞の成長、癌細胞の転移、腫瘍の形成、癌細胞の移動、または癌細胞の生存である。
実施態様によっては、癌細胞は、卵巣癌細胞、肺癌細胞、肝臓癌細胞、子宮頸癌細胞、結腸癌細胞、乳癌細胞、またはリンパ球様細胞である。
本発明は、DKKL−1スプライス産物の経路またはWnt経路を調節するための方法も提供する。この方法は、DKKL−1スプライス産物を発現する細胞をテスト化合物に接触させて、DKKL−1スプライス産物の経路および/またはWnt経路の下流マーカーを測定するステップを含む。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物の経路および/またはWnt経路の下流マーカーの活性が、対照と比較して調節される場合、テスト化合物はDKKL−1スプライス産物調節因子である。
本発明は、癌細胞の増殖、腫瘍の成長、転移、癌細胞の生存腫瘍原性、および細胞移動を抑制する方法を提供する。この方法は、細胞の集団に対し、所望の活性および/または表現型を抑制するのに効果的な量のDKKL−1スプライス産物調節因子を投与するステップを含む。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子の投与は、活性および/または表現型を、対照と比較して少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%抑制する。
実施態様によっては、この方法は、DKKL−1スプライス産物調節因子を投与するステップを含む。実施態様によっては、調節因子はアンチセンス小分子、またはモノクローナル、ポリクローナルのキメラ抗体またはヒト化抗体である。特定の実施態様では、治療薬は抗体に結合され、抗体は、実施態様によってはモノクローナル抗体である。
細胞に細胞毒性薬剤または診断用薬を送達する方法
本発明は、DKKL−1スプライス産物を発現する1つまたは複数の細胞に細胞毒性薬剤または診断用薬を送達する方法も提供する。実施態様によっては、この方法は、細胞毒性薬剤または診断用薬に結合体化する本発明のDKKL−1スプライス産物調節因子を細胞に接触させるステップを含む。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、DKKL−1イソ型2および/またはDKKL−1イソ型3に特異的に結合するモノクローナル抗体である。実施態様によっては、細胞毒性は化学療法薬である。
癌の診断および/または癌細胞検出方法
実施態様によっては、個体の癌細胞の検出または診断方法を提供する。診断/検出用薬剤は、本発明によるDKKL−1イソ型に選択的に結合する小分子である。実施態様によっては、診断/検出薬剤は抗体であり、実施態様によっては、モノクローナル抗体である。実施態様によっては、モノクローナル抗体は、検出可能な薬剤に連鎖される。
本発明は、サンプル中の1つまたは複数の癌細胞を検出するための方法を提供する。実施態様によっては、癌細胞は、1つまたは複数のDKKL−1スプライス産物を差次的に発現する。実施態様によっては、この方法は、画像化剤に連鎖したDKKL−1スプライス産物調節因子を含む組成物にサンプルを接触させて、サンプル中の画像化剤の局在を検出するステップを含む。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子はモノクローナル抗体である。実施態様によっては、画像化剤は、18F、43K、52Fe、57Co、67Cu、67Ga、77Br、87MSr、86Y、90Y、99MTc、111In、123I、125I、127Cs、129Cs、131I、132I、197Hg、203Pb、または206Biである。
本発明は、DKKL−1スプライス産物調節因子による治療に対する患者の感受性を決定するための方法も提供する。実施態様によっては、この方法は、患者の癌サンプル中のDKKL−1スプライス産物の差次的発現の証拠を検出するステップを含む。実施態様によっては、サンプル中のDKKL−1スプライス産物の差次的発現の証拠は、患者が、DKKL−1スプライス産物調節因子による治療に対して感受性があることを示す。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物の差次的発現は、DKKL−1スプライス産物の上方制御である。
本発明は、癌患者の予後を決定する方法も提供する。この方法は、患者のサンプル中における野生型DKKL−1発現産物とDKKL−1スプライス産物発現産物との比率を決定するステップを含む。実施態様によっては、野生型DKKL−1発現産物とDKKL−1スプライス産物発現産物の比率は、癌患者の予後を決定するために使用される。実施態様によっては、野生型DKKL−1対DKKL−1スプライス産物発現産物の少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、および少なくとも10:1という比率は、患者が、本発明の組成物および/または従来の癌薬剤による生存および治療の成功関して、予後が良好であることを示す。実施態様によっては、野生型DKKL−1は、配列番号1の配列に対して少なくとも95%の同一性を持つ配列を有する核酸によってコードされる。実施態様によっては、野生型DKKL−1は、配列番号1の配列を有する核酸によってコードされる。実施態様によっては、野生型DKKL−1は、配列番号2の配列に対して95%の同一性を有するポリペプチド配列を有する。実施態様によっては、野生型DKKL−1は、配列番号2のポリペプチド配列を有する。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物はDKKL−1イソ型2またはDKKL−1イソ型3である。
実施態様によっては、癌の動物モデルを生成する際に用途がある動物モデルおよび遺伝子組換え動物が提供され、癌としては、卵巣癌、肺癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸癌、乳癌、およびリンパ腫が挙げられるが、これらだけに限らない。
(a)アンチセンス分子
実施態様によっては、癌インヒビターはアンチセンス分子である。アンチセンス分子は、本明細書で使用する場合、癌分子に関するターゲットmRNA(センス)またはDNA(アンチセンス)配列に結合可能な単鎖核酸配列(RNAまたはDNA)を有するアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを含む。本発明によるアンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、一般に少なくとも約14のヌクレオチド、または約14〜30のヌクレオチドの断片を含む。所定のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいて、アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドを誘導する能力は、たとえばSteinおよびCohen, Cancer Res. 48:2659,(1988)およびvan der Krol等、BioTechniques 6:958,(1988)に記載されている。
アンチセンス分子は、改変または非改変RNA、DNA、または混合ポリマーオリゴヌクレオチドで良い。これらの分子は、適合する配列に特異的に結合することによって機能し、その結果、RNase H酵素を立体的に妨げるか、または活性化することによりペプチド合成を抑制する(Wu−Pong, Nov 1994, BioPharm,20−33)。アンチセンス分子は、RNAの処理、または細胞核から細胞質への移動を妨げることによって、タンパク質の合成も変更することが可能である(Mukhopadhyay & Roth, 1996, Crit. Rev. in 腫瘍遺伝子sis 7, 151−190)。さらに、単鎖DNAがRNAに結合すると、ヌクレアーゼを媒介とするヘテロ二本鎖の劣化が生じる(Wu−Pong、上記参照)。DNAの化学的性質が改変され、これまでRNase Hの担体として機能することが証明されているバックボーンは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、三フッ化ホウ素、並びに2’−アラビノおよび2’−フルオロアラビノ含有オリゴヌクレオチドである。
アンチセンス分子は、国際公開第91/04753号に記載されているように、リガンド結合分子との共役を形成することによって、ターゲットヌクレオチド配列を含む細胞内に導入される。適切なリガンド結合分子としては、細胞表面の受容体、成長因子、その他のサイトカイン、または、細胞表面の受容体に結合するその他のリガンドが挙げられるが、これらだけに限らない。実施態様によっては、リガンド結合分子の共役にって、リガンド結合分子は、その対応する分子または受容体に結合する能力を実質的に妨げられないか、またはセンスもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチド、またはその結合体が細胞内に進入するのが妨げられない。あるいは、国際公開第90/10448号に記載されているように、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド−脂質複合体を形成することによって、ターゲット核酸配列を含む細胞内に導入することができる。上記のスクリーニングアッセイには、治療法のほかに、アンチセンス分子またはノックアウトおよびノックインモデルも使用できることが分かる。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、DKKL−1またはその相補体の領域、部分、ドメイン、またはセグメントに対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%一致するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。実施態様によっては、遺伝子の少なくとも15、20、25、30、35、40、または50の連続するヌクレオチドにおいて、実質的な配列の相同性が存在する。
(b)RNAの干渉
RNA干渉は、短干渉性RNA(siRNA)を媒介とした動物における配列固有のポスト転写遺伝子サイレンシングのプロセスを意味する(Fire等、Nature,391, 806(1998))。植物の対応するプロセスは、ポスト転写遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと呼ばれ、菌類ではクウェリングとも呼ばれる。細胞中にdsRNAが存在すると、未だ完全には特徴付けられていない機序を介して、RNAi反応をトリガーする。この機序は、dsRNAを媒介とするタンパク質キナーゼPKR、およびリボヌクレアーゼL.によってmRNAの非特異的な開裂を生じる2’,5’−オリゴデニレート合成酵素の活性化から生じるインターフェロン反応とは異なると思われる(Sharp, P.A.,RNA interference−2001, Genes & Development 15:485−490(2001)で調査)。
小干渉性RNA(siRNA)は、RNA干渉(RNAi)として公知のプロセスを介して培養された哺乳類の細胞における遺伝子の発現を抑制するように設計された強力な配列固有の試薬である。Elbashir, S.M.等、Nature 411:494−498(2001);Caplen, NJ.等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:9742−9747(2001); Harborth, J.等、J. Cell Sci. 114:4557−4565(2001)。「短干渉性RNA」または「siRNA」という用語は、RNA干渉(RNAi)が可能な二本鎖核酸分子を意味する(Kreutzer等、国際公開第00/44895号; Zernicka−Goetz等、国際公開第01/36646号; Fire、国際公開第99/32619号; MelloおよびFire、国際公開第01/29058号参照)。本明細書で使用する場合、siRNA分子はRNA分子に限られるが、化学的に改変されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに含む。siRNA遺伝子ターゲット実験は、siRNAを細胞内に一時的に移動させることによって実施した(リポソームを媒介とするトランスフェクション、電気穿孔法、または顕微注射など、従来の方法により実施した)。
実施態様によっては、siRNA分子(eolecules)は、21〜23ヌクレオチドRNAである。実施態様によっては、siRNAの分子(eolecules)は、18〜25ヌクレオチドRNAである。実施態様によっては、siRNAは、RNaseIIIに類似する2〜3ヌクレオチドの3’突出端部を有し、RNaseIIIは、通常RNAiを開始する長二本鎖RNA(dsRNA)の産物を処理する。siRNAは、細胞内に導入されると、エンドヌクレアーゼ複合体(RNA導入サイレンシング複合体)の未だ識別されていないタンパク質と集合し、次に、ターゲットmRNA開裂を導く。ターゲットmRNAの劣化の結果として、対応するタンパク質産物の抑制の特異的な表現型特性を有する細胞が得られる。従来のアンチセンス分子と比べてsiRNAの小さいサイズは、哺乳類の細胞に存在するRNA誘導可能インターフェロンの活性化を防止する。これは、体細胞における30の塩基対より大きいdsRNAによって通常生成される非特異的な表現型を防止する。
小RNA分子の細胞内転写は、siRNAテンプレートをRNAポリメラーゼIII(PolIII)転写ユニットにクローン化することによって行われ、この転写ユニットは、一般に、小核RNA(snRNA)U6、またはヒトのRNase P RNA H1をコードする。2つの方法は、siRNAを発現させるために開発された。第1に、siRNAの二本鎖を構成するセンスおよびアンチセンス鎖は、個々のプロモータによって転写され(Lee, N.S.等、Nat.Biotechnol.20,500−505(2002).Miyagishi, M. & Taira, K.Nat. Biotechnol.20,497−500(2002));第2に、siRNAは、細胞内転写処理後、siRNAを生じる折り畳みステムループ構造として発現される(Paul, CP.等、Nat. Biotechnol. 20:505−508(2002))。導入されたDNAテンプレートからのsiRNAの内生発現は、外生siRNAの送達のいくつかの制約、特に、表現型の一時的な損失を克服すると思われる。U6およびH1RNAプロモータは、タイプIIIクラスのPol IIIプロモータの構成要素である(Paule, M.R. & White, RJ. Nucleic Acids Res. 28,1283−1298(2000))。
センスおよびアンチセンスsiRNAの同時発現は、ターゲット遺伝子のサイレンシングの媒介となるが、センスまたはアンチセンスsiRNA単独の発現は、ターゲット遺伝子発現に大きく影響することはない。核外遺伝子のDNAのトランスフェクションは、RNaseの汚染の危険性、および化学合成siRNAまたはsiRNA転写キットのコストを考えると、合成siRNAよりも有利であると思われる。siRNAの安定した発現は、持続的なウィルス感染の治療など、新たな遺伝子療法に対する適用を可能にする。siRNAの高度の特異性を考慮すると、この方法は、残りの野生型対立遺伝子を変更せずに、RASまたはTP53など、点突然変異を伴う疾病由来の転写産物をターゲットとすることも可能にする。最後に、様々なゲノムの高処理能力の配列解析により、DNAベースの方法も、特に、小型化アレイベースの表現型スクリーニングと組み合わせた場合、自動化ゲノムレベル機能損失表現型解析の費用効果の高い代案になる。(Ziauddin, J.& Sabatini,D.M. Nature 411:107−110(2001))。
細胞内における長いdsRNAの存在は、ダイサーと呼ばれるヌクレアーゼIII酵素の活性をシミュレートする。ダイサーは、dsRNAを短い干渉RNA(siRNA)として公知のdsRNAの短い部分に処理する際に関連がある(Berstein等、2001, Nature, 409:363(2001))。ダイサーの活性から生じる短い干渉RNAは、一般に、約21〜23ヌクレオチド長であり、約19の塩基対二本鎖を含む。ダイサーは、21〜22ヌクレオチドの小さい一時的RNA(stRNA)を翻訳制御に関連する保存構造の前駆RNAから削除する際にも関連があった(Hutvagner等、Science, 293, 834(2001))。RNAi反応は、siRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体も特徴とし、これらは共に、RNAに誘発されるサイレンシング複合体(RISC)と呼ばれ、この複合体は、siRNAと一致する配列を有する単鎖RNAの開裂を生じる。ターゲットRNAの開裂は、siRNA二本鎖のガイド配列と相補的な領域の中間で生じる。
本発明は、新規なDKKL−1イソ型のポリヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズ可能な配列を含む単離核酸を含む発現系を提供する。実施態様によっては、核酸分子は、対応するタンパク質の発現を抑制することができる。短いRNAのベクターが誘発する発現により、細胞内における新規なDKKL−1イソ型の発現を抑制する方法であって、短いRNAが、それ自体で折り畳むことが可能であり、新規なDKKL−1イソ型mRNA配列同一性を有する二本鎖RNAを生成することが可能であり、細胞内におけるDKKL−1遺伝子の新規なイソ型のポスト転写遺伝子サイレンシング、またはRNA干渉(RNAi)をトリガーすることが可能な方法。実施態様によっては、新規なDKKL−1イソ型mRNA配列同一性を有する短い二本鎖RNAは、細胞内部に送達され、新規なDKKL−1イソ型のポスト転写遺伝子サイレンシングまたはRNAiをトリガーする。実施態様によっては、核酸分子は、少なくとも7mer、少なくとも10mer、または少なくとも20merである。実施態様によっては、配列は独特である。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は二本鎖RNA(dsRNA)分子であり、RNAi(RNA干渉)を介して作用する。実施態様によっては、dsRNAの一本鎖は、DKKL−1の領域、部分、ドメイン、またはセグメントに対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%一致する。実施態様によっては、遺伝子の少なくとも15、20、25、30、35、40、50、100、200、300、400、500、または1000の連続するヌクレオチドにおいて、実質的な配列の相同性が存在する。実施態様によっては、遺伝子の全長において実質的な配列の相同性が存在する。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子はsiRNAである。実施態様によっては、siRNAは、DKKL−1またはその相補体の領域、部分、ドメイン、またはセグメントに対して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%一致する。実施態様によっては、遺伝子の少なくとも15、20、25、30、35、40、または50の連続するヌクレオチドにおいて、実質的な配列の相同性が存在する。実施態様によっては、siRNAオリゴヌクレオチドは、AAAGAGGAGAACCAGGAGCAC(Si379−2;配列番号13); GGTGGCCTTCTGGATCATTAA(Si379−8;配列番号14);およびGACCCACAAGGACGTCCTAGA(Si379−10;配列番号15)から成る群から選択される配列を有する。
(c)薬学的組成物
本発明は、DKKL−1スプライス産物調節因子、および1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体を含む組成物を提供する。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、単離二本鎖RNAである(配列番号3または配列番号5のdsRNA)。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、配列番号3または配列番号5の配列の少なくとも10の連続するヌクレオチドを含む単離オリゴヌクレオチドである。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、配列番号3または配列番号5の配列の少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む単離オリゴヌクレオチドである。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、DKKL−1スプライス産物のエピトープを特異的に結合する抗体である。実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物は、DKKL−1イソ型2またはDKKL−1イソ型3である。実施態様によっては、抗体はモノクローナル抗体である。実施態様によっては、DKKL−1イソ型2は、配列番号4の配列に約95%一致するポリペプチドを有する。実施態様によっては、DKKL−1イソ型2は、配列番号4のポリペプチド配列を有する。実施態様によっては、DKKL−1イソ型3は、配列番号6の配列に少なくとも95%一致するポリペプチド配列を有する。実施態様によっては、DKKL−1イソ型3は、配列番号6のポリペプチド配列を有する。実施態様によっては、抗体はDKKL−1イソ型2に結合するが、DKKL−1イソ型1またはDKKL−1イソ型3には特異的に結合しない。実施態様によっては、抗体は、DKKL−1イソ型3に結合するが、DKKL−1イソ型1またはDKKL−1イソ型2は特異的に結合しない。実施態様によっては、抗体は、DKKL−1イソ型2およびDKKL−1イソ型3に特異的に結合するが、DKKL−1イソ型1には特異的に結合しない。
本発明に関連する薬学的組成物は、活性剤として、治療上効果的な量のポリペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または本明細書に開示する本発明の抗体を含む。「効果的な量」は、臨床結果を含む有利または所望の結果を得るのに十分な量である。効果的な量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的上、アデノウィルスベクターの効果的な量は、疾病状態を和らげるか、改善するか、安定させるか、退行させるか、疾病状態の進行を減速または遅延させるのに十分な量である。
本発明の組成物は、癌、および初期癌の転位を治療するために使用することができる。さらに、薬学的組成物は、従来の癌治療法と組み合わせて、たとえば放射線または従来の化学療法に対して腫瘍を感作するために使用することができる。「治療」、「治療すること」、および「治療する」などは、所望の薬学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。こうした効果は、疾病またはその症状を完全または部分的に予防するという点で予防的であり、および/または疾病および/またはその疾病に起因する悪影響を部分的または完全に安定化または治癒させるという点で治療的である。「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、哺乳類、特にヒトにおける疾病の任意の治療を含み、(a)疾病または症状に対する素因を有する可能性があるが、疾病または症状を有すると未だ診断されていない被験体において、この疾病または症状を発症するのを防止する;(b)疾病の症状を抑制する、つまり、症状の発達を阻止する;または(c)疾病の症状を緩和する、つまり疾病または症状を退行させることを含む。
薬学的組成物が、差次的に発現するポリヌクレオチドによってコードされた遺伝子産物に特異的に結合する抗体を含む場合、この抗体は、治療部位に送達するための薬剤に結合するか、または前立腺癌細胞などの癌細胞を含む部位の画像形成を容易にするための検出可能な標識に結合することができる。抗体を薬剤、および検出可能標識に結合する方法は、検出可能な標識を使用して画像形成する方法と同様、先行技術で十分に公知である。
本発明の目的上、「患者」は、ヒトまたはその他の動物、特に哺乳類の両方、および有機体を含む。したがって、この方法は、ヒトの治療および獣医学的用途の両方に適用可能である。実施態様によっては、患者は哺乳類であり、実施態様によっては、患者はヒトである。
「治療上効果的な量」という用語は、本明細書で使用する場合、所望の疾病または病状を治療するか、改善するか、もしくは防止し、または検出可能な治療効果もしくは予防効果を示す治療薬の量を意味する。この効果は、たとえば、化学的マーカーまたは抗原レベルによって検出することができる。治療効果は、体温の低下のような身体症状の低下も含む。被験体に対する正確にこ効果的な量は、被験体のサイズおよび健康状態、病状の性質および程度、並びに投与のために選択される治療薬または治療薬の組合せによって決まる。所定の状況に関して効果的な量は、所定の実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内である。本発明の目的上、効果的な用量は、一般に、治療薬が投与される個体において、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、または約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kgの本発明の組成物である。
薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体を含むことが可能である。「薬学的に許容可能な担体」という用語は、治療薬、たとえば抗体またはポリペプチド、遺伝子、および他の治療薬を投与するための担体を意味する。この用語は、それ自体では、組成物を受領する個体に有害な抗体の生成を誘導せず、過度な毒性を伴わずに投与できる任意の薬学的担体を意味する。適切な担体は、徐々に代謝される大きい巨大分子、たとえばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性ウィルス粒子で良い。このような担体は、当業者には十分に公知である。治療用組成物中の薬学的に許容可能な担体として、水分、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体が挙げられる。補助物質、たとえば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質なども、このような媒体中に存在して良い。一般に、治療用組成物は、液体溶液または懸濁液の注入物質として調製され;注入前の液体溶媒中の溶液または懸濁液に適する固体形態も調製することが可能である。リポソームは、薬学的に許容可能な担体の定義に含まれる。薬学的に許容可能な塩も、薬学的組成物中に存在することが可能であり、たとえば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;およびアセテート、プロピオネート、マロネート、安臭香酸エステルなどの有機酸の塩が挙げられる。薬学的に許容可能な賦形剤の完全な考察は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(1995)Alfonso Gennaro, Lippincott, Williams, & Wilkinsに記載されている。
薬学的組成物は、顆粒、錠剤、丸薬、座薬、カプセル、懸濁液、軟膏、水薬など、様々な形態で調製することが可能である。経口用途および局所用途に適する薬学的グレードの有機または無機担体および/または賦形剤は、治療上活性の化合物を含む組成物を構成するために使用することができる。先行技術で公知の賦形剤としては、水性媒体、植物油および動物油、並びに脂肪が挙げられる。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変更するための塩、または適切なpH値を確保するための緩衝液、並びに皮膚浸透エンハンサは、補助剤として使用することが可能である。
実施態様によっては、本発明の薬学的組成物は、水溶性の形態で、たとえば薬学的に許容可能な塩として存在し、酸および塩基の両方の付加塩を含むことを意味する。「薬学的に許容可能な酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的効果を維持し、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸で生物学的に形成されたのではないか、さもなければ望ましくない塩を意味する。「薬学的に許容可能な塩基付加塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩などから誘導される塩が挙げられる。実施態様によっては、塩は、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩である。薬学的に許容可能な有機非毒性塩基から誘導された塩としては、一次アミン、二次アミンおよび三次アミン、天然発生置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基イオン交換樹脂、たとえばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンの塩が挙げられる。
薬学的組成物は、以下の1つまたは複数を含んでも良い:血清アルブミン;緩衝液;微結晶性セルロース、ラクトース、トウモロコシおよびその他の澱粉などの充填剤;結合剤;甘味料およびその他の香料添加剤;並びにポリエチレングリコールなどの担体タンパク質。添加剤は先行技術で十分に公知であり、様々な製剤に使用される。
所望の薬学的活性を有する化合物は、上記のとおり、生理学的に許容可能な担体において宿主に投与することができる。薬剤は、皮下、腹腔内、経脈管などの経口、非経口など、様々な方法で投与される。化合物は、導入方法に応じて、様々な方法で調合することができる。調合物中の治療上活性の化合物の濃度は約0.1〜100重量%/容量である。本発明が意図する組成物は、調合された後、(1)被験体に直接投与するか、(たとえば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、小分子作用薬または拮抗薬などとして)、または(2)被験体から誘導される細胞に、エクスビボで送達される(たとえば、エクスビボ遺伝子療法の場合のように)。組成物の直接送達は、一般に、皮下、腹腔内、静脈、もしくは筋肉、腫瘍内など、または組織の間質腔への非経口注射によって行われる。その他の投与方法としては、経口および肺投与、座薬、経皮投与、針、および遺伝子銃または皮下注射器が挙げられる。投与療法は、1回投与計画または複数回投与計画で良い。
エクスビボ送達方法、および転換細胞を被験体に再移植する方法は、先行技術で公知であり、たとえば国際公開第93/14778号に記載されている。エクスビボ用途に有用な細胞の例としては、幹細胞、特に造血細胞、リンパ液細胞、マクロファージ、樹枝状細胞、または腫瘍細胞が挙げられる。一般に、エクスビボおよびインビトロの両方の用途のための核酸の送達は、たとえば、ポリブレンを媒介とするトランスフェクション、原形質融合、電気穿孔法、リポソームにおけるポリヌクレオチドのカプセル化、および核内へのDNAの直接的な顕微注射によって行うことができ、これらはすべて、先行技術で十分に公知である。
本発明の薬学的組成物の用量、および投与手段は、治療用組成物の特異的な特質、患者の病状、年齢、および体重、疾病の進行状態、およびその他の関連因子に基づいて決定される。たとえば、ポリヌクレオチド治療用組成物薬剤の投与としては、局所的投与または全身投与、たとえば注射、経口投与、粒子銃またはカテーテルによる投与、および局所性投与が挙げられる。実施態様によっては、治療用ポリヌクレオチド組成物は、本明細書に開示するポリヌクレオチドの少なくとも12、22、25、30または35の連続するntのポリヌクレオチドに作動可能に連鎖するプロモータを含む発現構築物を含む。体内の特定の部位に直接治療用組成物を投与するため、様々な方法を使用することができる。たとえば、小さい転移病巣が確認されると、治療用組成物は、腫瘍本体内のいくつかの異なる位置に数回にわたって注入される。あるいは、腫瘍に養分を供給する動脈が確認されると、治療用組成物をこの動脈中に注入し、組成物を腫瘍に直接送達する。壊死中心を有する腫瘍は吸引され、組成物は、腫瘍の空になった中心に直接注入される。アンチセンス組成物は、たとえば、組成物を局所的に適用することによって、腫瘍の表面に直接投与される。X線画像形成は、上記の特定の送達方法を補助するために使用される。
アンチセンスポリヌクレオチド、サブゲノムポリヌクレオチド、または抗体を含む治療用組成物を特定の組織に対し、ターゲットを定めて送達する方法も使用することができる。受容体を媒介とするDNA送達技術は、たとえば、
Findeis等、Trends Biotechnol.(1993)11:202; Chiou等、Gene 治療(ちり)s: Methods And Applications Of Direct Gene Transfer(J. A. Wolff, ed.)(1994); Wu等、J.Biol.Chem.(1988)263:621; Wu等、J.Biol. Chem.(1994)269:542; Zenke等、Proc. Natl. Acad.Sci.(USA)(1990)87:3655;Wu等、J.Biol.Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む治療用組成物は、遺伝子治療プロトコルの局所的投与に関して、約100ng〜約200mgの範囲で投与される。法殿範囲が約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μgのDNAも、遺伝子治療プロトコルの際に使用することができる。作用の方法(たとえば、コード遺伝子産物の強化または抑制レベルに関する)、および転換および発現の効力などの因子は、アンチセンスサブゲノムポリヌクレオチドの最終的な効力に必要な用量に影響する問題である。組織の比較的広い区域における比較的大きい発現が望ましい場合、明確な治療結果に作用するように、たとえば腫瘍部位の隣接または近接する様々な組織に対し、連続投与プロトコルまたは数回の投与プロトコルにおいて、比較的多量のアンチセンスサブゲノムポリヌクレオチド、または同量の再投与が必要である。あらゆる場合に、臨床試験で一般的な実験が、最適な治療効果のための特定の範囲を決定する。
本発明の治療用ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して送達することができる。遺伝子送達ビヒクルは、ウィルス起源または非ウィルス起源で良い(一般に、Jolly, Cancer Gene Therapy(1994)1:51; Kimura, Human Gene Therapy 1994)5:845; Connelly, Human Gene Therapy(1995)1:185;およびKaplitt, Nature Genetics(1994)6:148)を参照)。このようなコード配列の発現は、内生哺乳類または異種プロモータを使用して誘発することが可能である。コード配列の発現は構成性であるか、または調節される。
所望のポリヌクレオチドの送達、および所望の細胞における発現のウィルスベースのベクターは、先行技術で十分に公知である。例示的なウィルスベースのビヒクルとしては、組換え型レトロウィルス(たとえば、国際公開第90/07936号;国際公開第94/03622号;国際公開第93/25698号;国際公開第93/25234号;米国特許第5,219,740号;国際公開第93/11230号;国際公開第93/10218号;米国特許第4,777,127号;英国特許第2,200,651号;欧州特許第0 345 242号;および国際公開第91/02805号参照)、αウィルスベースのベクター(たとえば、シンドビスウィルスベクター、セムリキ森林熱ウィルス(ATCC VR− 67;ATCC VR−1247)、ロス川ウィルス(ATCC VR−373;ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウィルス(ATCC VR−923; ATCC VR−1250; ATCC VR 1249;ATCC VR−532))、並びにアデノ随伴ウィルス(AAV)ベクター(たとえば、国際公開第94/12649号、国際公開第93/03769号;国際公開第93/19191号;国際公開第94/28938号;国際公開第95/11984号、および国際公開第95/00655号参照)が挙げられるが、これらだけに限らない。Curiel, Hum. Gene Ther.(1992)3:147に記載されているように、不活化アデノウィルスに結合するDNAの投与も使用することができる。
非ウィルス性送達ビヒクルおよび方法も使用することができ、たとえば、不活化アデノウィルスのみに結合するか、または結合しないポリカチオン性濃縮DNA(たとえば、Curiel, Hum. Gene Ther.(1992)3:147参照);リガンド結合DNA(たとえば、Wu,J. Biol. Chem.(1989)264:16985参照);真核細胞送達ビヒクル細胞(たとえば、米国特許第5,814,482号;国際公開第95/07994号;国際公開第96/17072号;国際公開第95/30763号;および国際公開第97/42338号参照)、並びに核電荷中和、または細胞膜との融合が挙げられるが、これらだけに限らない。裸のDNAも、使用可能である。例示的な裸のDNA導入方法は、国際公開第90/11092号および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達ビヒクルとして作用可能なリポソームは、米国特許第5,422,120号;国際公開第95/13796号;国際公開第94/23697号;国際公開第91/14445号;および欧州特許第0524968号に記載されている。その他の方法は、Philip, Mol.Cell Biol.(1994)14:2411,およびWoffendin, Proc. Natl. Acad. Sci.(1994)91:1581に記載されている。
使用に適するその他の非ウィルス性送達としては、Woffendin等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91(24):11581に記載されている方法などの機械的送達系が挙げられる。さらに、このような発現のコード配列および産物は、光重合ヒドロゲル材料の付着、または電離放射線を通して送達することができる(たとえば、米国特許第5,206,152号および国際公開第92/11033号参照)。コード配列の送達のために使用可能な遺伝子送達のための従来のその他の方法としては、たとえば、ハンドヘルド遺伝子導入粒子銃の使用(たとえば、米国特許第5,149,655号参照);導入される遺伝子を活性化するための電離放射線の使用(たとえば、米国特許第5,206,152号および国際公開第92/11033号)が挙げられる。
(d)抗体
実施態様によっては、癌インヒビターは、上記のような抗体である。実施態様によっては、本発明のDKKL−1イソ型タンパク質は、タンパク質に対するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成するために使用され、これは、本明細書に記載するように有用である。同様に、タンパク質は、標準技術を使用して、親和性クロマトグラフィカラムに結合することが可能である。次に、これらのカラムは、新規なDKKL−1イソ型のポリペプチドに対する抗体を精製するために使用される。実施態様によっては、抗体は、タンパク質に特有のエピトープに対して精製される;つまり、抗体は、他のタンパク質に対して殆ど、またはまったく交差反応を示さない。これらの抗体は、多くの応用例に用途がある。たとえば、抗体は、標準の親和性クロマトグラフィカラムに結合され、新規なDKKL−1イソ型タンパク質を精製するために使用される。抗体は、タンパク質に特異的に結合するため、上記のとおり、ブロックポリペプチドとして治療上使用しても良い。
コードされる癌関連ポリペプチドに特異的抗体の特異的な結合の検出は、適切な対照と比較した場合、コードされたポリペプチドがサンプル中に存在するという指標である。適切な対照としては、コードされる新規なDKKL−1イソ型ポリペプチドを含まないことが既知であるか、または高レベルのポリペプチドを含まないことが既知であるサンプル、たとえば正常な組織、およびコードされるポリペプチドに得意的ではない抗体と接触するサンプル、たとえば抗イディオタイプ抗体が挙げられる。特異的抗体−抗原の相互作用を検出するための様々な方法は、先行技術で公知であり、標準の免疫組織学的方法、免疫沈降、酵素免疫アッセイ、および放射性免疫アッセイなどの方法に使用することができるが、これらだけに限らない。一般に、特異的抗体は、直接または間接的に、検出可能に標識される。直接的な標識としては、放射性同位体;産物が検出可能な酵素(たとえば、発光酵素、β−ガラクトシダーゼなど);蛍光標識(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリンなど);EDTAなどの金属キレート基を介して抗体に結合される蛍光発光金属、たとえば、152Eu、またはその他のランタニド系列;化学発光化合物、たとえばルミノール、イソルミノール、アクリジウム塩など;生物発光化合物、たとえばルシフェリン、エクオリン(緑色蛍光タンパク質)などが挙げられる。抗体は、ポリスチレンプレートまたはビードなどの不溶性支持体に付着(結合)される。間接的な標識としては、コードされるポリペプチドに得意的な抗体(「第1の特異的抗体」)に特異的な第2の抗体であって、上記のように標識される第2の抗体、および特異的な結合対、たとえばビオチン−アビジンの構成要素が挙げられる。生物学的サンプルは、細胞、細胞粒子、または可溶性タンパク質を不動態化することが可能なニトロセルロースなどの固体支持体または担体と接触し、これらの上に不動態化される。次に、この支持体は、適切な緩衝液で洗浄された後、検出可能に標識された第1特異的抗体と接触される。検出方法は先行技術で公知であり、検出可能な標識によって出される信号に適するように選択される。検出は、一般に、適切な対照および適切な標準と比較して行われる。
(e)癌の検出および診断
実施態様によっては、本発明は、癌細胞が存在する部位を確認または特定するための方法を提供する。実施態様によっては、検出可能に標識された部分、たとえば、癌に関連するポリペプチドに特異的な抗体は、個体に投与され(たとえば、注射により)、標識された細胞は、標準の画像形成技術を使用して確認され、こうした技術としては、磁気共鳴画像形成法、X線断層撮影法などが挙げられるが、これらだけに限らない。このようにして、癌細胞は、差別的に標識される。
本発明は、新規なDKKL−1ポリヌクレオチドを含む癌細胞を特定するための方法を提供する。実施態様によっては、新規なDKKL−1イソ型配列をプローブとして使用して、ゲノム中のDKKL−1遺伝子のコピー数が判断される。たとえば、癌によっては、染色体の欠失または挿入を示し、遺伝子のコピー数の変化が生じる。
本発明は、本明細書にきさいされているポリヌクレオチドを使用して、癌細胞を検出し、被験体における癌および癌の重症度(たとえば、腫瘍のグレード、腫瘍の負荷量など)の診断を促進し、被験体の予後の判断を促進し、治療に対する被験体の反応性を評価する(たとえば、化学療法の投薬計画時またはその後の腫瘍の負荷量を評価するなどにより、治療効果の基準を提供する)ための方法を提供する。検出は、癌細胞に差次的に発現するポリヌクレオチドの検出、および/または癌細胞に差次的に発現するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの検出に基づくことが可能である。本発明の検出方法は、単離細胞に関して、または組織全体、もしくは血液、プラズマ、血清、尿などの体液においてインビトロもしくはインビボで行うことが可能である。
実施態様によっては、癌細胞中で差次的に発現する転写産物の細胞における発現を検出することによって、癌細胞を検出するための方法を提供する。公知の様々な方法はどれも、前立腺癌細胞において差次的に発現するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによる転写産物の検出;特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用したポリメラーゼ鎖反応による転写産物の検出;前立腺癌細胞中で差次的に発現する遺伝子にハイブリダイズするポリヌクレオチドをプローブとして使用する、細胞のインサイチュハイブリダイゼーションなどの検出に使用することができ、検出は、これらだけに限らない。これらの方法は、癌細胞において差次的に発現する遺伝子のmRNAレベルを検出および/または測定するために使用することができる。実施態様によっては、この方法は、a)ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、本明細書に記載する差次的に発現する遺伝子に対応するポリヌクレオチドとサンプルとを接触させる、およびb)該当する場合、ハイブリダイゼーションを検出することを含む。
差次的ハイブリダイゼーションの検出は、適切な対照と比較した場合、癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチドのサンプル中における存在の指標である。適切な対照としては、たとえば、癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチドを含まないことが既知であるサンプル、および癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチドと同じ「センス」の標識されたポリヌクレオチドの使用が挙げられる。ハイブリダイゼーションを可能にする条件は先行技術で公知であり、上記に詳細に説明されている。また、検出は、任意の公知の方法で行うことができ、適切に標識されたポリヌクレオチドを使用するインサイチュハイブリダイゼーション、PCR(ポリメラーゼ鎖反応)、RT−PCR(逆転写−PCR)、TMA、bDNA、およびNasbauおよび「ノーザン」もしくはRNAブロッティング、またはこれらの技術の組合せが挙げられるが、これらだけに限らない。ポリヌクレオチドの様々な標識、および標識方法は先行技術で公知であり、本発明のアッセイ方法に使用することができる。ハイブリダイゼーションの特異性は、適切な対照と比較することにより判断される。
本明細書に記載するポリヌクレオチドの少なくとも10nt、少なくとも12nt、または少なくとも15の隣接するヌクレオチドは、様々な目的に使用するされ、たとえば、前立腺癌細胞において差次的に発現するポリヌクレオチドの転写レベルの検出および/または測定のためのプローブとして使用される。当業者であれば容易に理解するように、プローブは、検出可能に標識して、たとえば、テストサンプル(たとえば、mRNA)から得られた不動態化ポリヌクレオチドを含むアレイと接触させることができる。あるいは、プローブはアレイ上に不動態化し、テストサンプルは、検出可能標識することができる。本発明の方法の上記およびその他の変形は、当該技術の範囲内であり、本発明の範囲内である。
ヌクレオチドプローブは、提供されたポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現を検出するために使用することもできる。ノーザンブロットでは、mRNAは、電気泳動的に分離され、プローブと接触させる。プローブは、特定のサイズのmRNA種にハイブリダイズする際に検出される。ハイブリダイゼーションの量を定量すると、たとえば特定の条件下における発現の相対量を判断することができる。プローブは、発現を検出するために、細胞に対するインサイチュハイブリダイゼーションに使用される。プローブは、ハイブリダイズ配列の診断上の検出のためにインビボで使用することもできる。プローブは、一般に、放射性同位元素により標識される。その他のタイプの検出可能な標識としては、発色団、フルオロフォア、および酵素などを使用することができる。ヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイのその他の実施例は、国際公開第92/02526号および米国特許第5,124,246号に記載されている。
PCRは、少量のターゲット核酸を検出するためのもう1つの手段である(たとえば、Mullis等、Meth. Enzymol.(1987)155:335;米国特許第4,683,195号;および米国特許第4,683,202号)参照。ターゲット核酸とハイブリダイズする2つのプライマーオリゴヌクレオチドは、反応をプライムするために使用される。プライマーは、本明細書に開示するポリヌクレオチドに対して、3’〜5’の範囲内の配列から構成することができる。あるいは、プライマーは、これらのポリヌクレオチドに対して3’および5’である場合、これらのポリヌクレオチドまたはその相補体ハイブリダイズする必要はない。熱安定しえポリメラーゼによりターゲットを増幅した後、増幅されたターゲット核酸は、先行技術で公知の方法、たとえばサザンブロットにより検出することができる。mRNAまたはcDNAは、Sambrook等、”Molecular Cloning:A Laboratory Manual”(New York, Cold Spring Harbor Laboratory,1989)に記載されている従来のブロッティング技術(たとえば、サザンブロット、ノーザンブロットなど)(たとえば、PCR増幅を行わない)により検出することも可能である。一般に、ポリメラーゼ酵素を使用してmRNAから生成されたmRNAまたはcDNAは、ゲル電気泳動法を使用して精製および分離するか、またはニトロセルロースなどの固体支持体に転写することができる。固体支持体は、標識されたプローブに曝露され、ハイブリダイズされていない任意のプローブを除去するために洗浄され、標識されたプローブを含む二本鎖が検出される。
PCR増幅を使用する方法は、単一細胞のDNAに関して実施することができるが、少なくとも105個の細胞を使用すると好都合である。ポリメラーゼ鎖反応の使用は、Saiki等、(1985)Science 239:487に記載されており、現在の技術の概説は、Sambrook,等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, CSH Press 1989,pp.14.2−14.33に見られる。検出可能な標識は、増幅反応に含まれる場合がある。適切な検出可能な標識としては、蛍光色素(たとえばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA))、放射性標識(たとえば、32P、35S、3Hなど)などが挙げられる。これらの標識は、ポリヌクレオチドが、高親和性の結合パートナー、たとえばアビジン、特異的抗体などを有するビオチン、ヘプタンなどに結合体化し、結合パートナーが、検出可能な標識に結合体化する2段階システムで良い。標識は、プライマーの一方または両方に結合体化する。あるいは、増幅に使用されるヌクレオチドのプールが標識され、標識が増幅産物中に組み込まれる。
検出方法は、キットの一部として提供することができる。したがって、本発明は、癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチド、および/またはそれによって生物学的サンプル中においてコードされるポリペプチドの存在および/またはレベルを検出する(たとえば、対象となる差次的に発現する遺伝子によってコードされるmRNAの検出により)ためのキットをさらに提供する。これらのキットを使用する手順は、臨床検査室、実験室、医師、または個人が実施することができる。癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを検出するための本発明のキットは、ポリペプチドに特異的に結合する部分を含み、このポリペプチドは、ポリペプチドまたはその断片に結合する抗体で良い。前立腺癌細胞中で差次的に発現するポリヌクレオチドを検出するために使用される本発明のキットは、このようなポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする部分を含む。このキットは、手順に有用な追加の構成要素を任意に提供し、これらの構成要素としては、緩衝液、現像試薬、反応表面、検出手段、対照サンプル、基準、説明書、および解説情報が挙げられるが、これらだけに限らない。
本発明は、哺乳類(たとえば、ヒト)の新生物発生または新生物発生前の状態を検出/診断する方法にさらに関する。「診断」は、本明細書で使用する場合、一般に、疾病または疾患に対する被験体の感受性の判断、疾病または疾患により影響される被験体の予後(たとえば、前転移または転移癌症状、癌の段階、または治療に対する癌の反応性)、および治療測定(たとえば、被験体の病状を監視して、治療の効果または有効性に関する情報を提供する)を含む。
「治療」、「治療すること」、「治療する」んどは、本明細書では、一般に、所望の薬学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。こうした効果は、疾病またはその症状を完全または部分的に予防するという点で予防的であり、および/または疾病および/またはその疾病に起因する悪影響を部分的または完全に安定化または治癒させるという点で治療的である。「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、哺乳類、特にヒトにおける疾病の任意の治療を含み、(a)疾病または症状に対する素因を有する可能性があるが、疾病または症状を有すると未だ診断されていない被験体において、この疾病または症状を発症するのを防止する;(b)疾病の症状を抑制する、つまり、症状の発達を阻止する;または(c)疾病の症状を緩和する、つまり疾病または症状を退行させることを含む。
「効果的な量」は、臨床結果を含む有利または所望の結果を得るのに十分な量である。効果的な量は、1回または複数回の投与で投与することができる。
「細胞サンプル」は、個体から得られる様々なサンプルタイプを含み、診断または監視アッセイに使用することができる。この定義は、血液または生物学的起源のその他の液体サンプル、生体検査標本などの固体組織サンプル、組織培養物またはそれに由来する細胞、およびこれらの子孫を含む。この定義は、調達後に何らかの方法、たとえば試薬により処理、可溶化、またはタンパク質またはポリヌクレオチドなどの特定成分の濃縮により操作されたサンプルも含む。「細胞サンプル」という用語は臨床サンプルを含み、培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、プラズマ、生物学的液体、および組織サンプルを含む。
本明細書で使用する場合、「新生細胞」、「新生組織形成」、「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「癌」、および「癌細胞」(互換可能に使用される)は、比較的自律的成長を示す細胞を意味し、したがって、これらの細胞は、細胞増殖の著しい制御不能(つまり、無秩序な細胞部分)によって特徴付けられる異常な成長表現型を示す。新生細胞は、悪性または良性の可能性がある。
「個体」、「被験体」、「宿主」および「患者」という用語は、本明細書で互換可能に使用され、診断、処置、または治療が望ましい哺乳類、特にヒトを意味する。その他の被験体としては、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマなどが挙げられる。これらの方法により検出/診断可能な病状の例としては、癌が挙げられる。適切な発現パターンを示す遺伝子に対応するポリヌクレオチドは、被験体における癌を検出するために使用することができる。癌のマーカーの概説は、たとえばHanahan等、Cell 100:57−70(2000)参照。
本明細書で使用する場合、「感受性」という用途は、DKKL−1スプライス産物調節因子が、許容可能な治療方法である患者、つまり、確実に反応すると思われる患者を意味する。DKKL−1スプライス産物調節因子による治療に感受性を示す患者は、DKKL−1スプライス産物調節因子による治療に感受性を示さない患者に対して、高レベルのDKKL−1スプライス産物を発現する。DKKL−1スプライス産物調節因子による治療の良好な候補ではない癌患者としては、患者サンプル中にDKKL−1スプライス産物が存在しないか、または比較的低レベルである腫瘍サンプルの癌患者が挙げられる。
この方法に使用するのに適する生物学的サンプルとしては、生物学的流体、たとえば血清、プラズマ、胸膜浸出液、尿、および脳脊髄液、CSFが挙げられ、組織サンプル(たとえば、乳房の腫瘍または前立腺組織スライス)も、生体検査に由来するサンプルを含み、本発明の方法に使用することができる。たとえば、組織生体検査に由来する細胞培養物または細胞抽出物を使用しても良い。
実施態様によっては、化合物は結合タンパク質、たとえば、抗体、ポリクローナルもしくはモノクローナル、またはその抗原結合断片であり、これらは、検出可能なマーカー(たとえば、フルオロフォア、発色団、または同位元素など)により標識することができる。適切な場合、化合物は、ビード、プレート、フィルタ、樹脂などの固体支持体に結合することができる。複合体の形成の判断は、第1の化合物(または複合体)に特異的に結合する他の化合物(たとえば、抗体)に複合体を接触させることにより行うことができる。第1の化合物と同様、他の化合物は固体支持体に結合することが可能であり、および/または検出可能なマーカーにより標識することが可能である。
本発明により高レベルの新規なDKKL−1イソ型ポリペプチドを確認すると、アジュバント療法により利益が得られる被験体(患者)を確認することが可能である。たとえば、一次療法後の被験体(たとえば、外科手術を受けた被験体)の生物学的サンプルは、循環タンパク質の存在に関してスクリーニングすることができ、正規集団の調査により判断して高レベルのタンパク質が存在する場合、残りの腫瘍組織を示す。同様に、外科的に腫瘍を除去した切断部位の組織を検査することができ(たとえば、免疫蛍光法により)、高レベルの産物の存在は、腫瘍の除去が不完全であることを示す。このような被験体を確認する能力により、特定の被験体の必要性に応じて治療を調整することができる。非外科的治療法、たとえば化学療法または放射線療法を受けている被験体も監視することが可能であり、こうした被験体のサンプル中に、高レベルのタンパク質が存在する場合、治療を継続する必要があることを示す。疾病のステージング(治療計画を最適化するため)も、たとえば生体検査が影響する可能性がある。
(f)併用療法
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、従来の癌治療用物質と併用して個体に投与される。実施態様によっては、従来の癌治療用物質は、DKKL−1スプライス産物調節因子の効果を妨げたり、低下させたりすることはない。従来の癌治療のいくつかの例としては、外科手術(たとえば、凍結外科手術、区域切除外科手術、前立腺全摘手術、腫瘍摘出手術、乳腺切除術など)、化学療法、放射線療法(たとえば、内部放射線療法、外照射放射線療法)、小線源照射療法(たとえば、原発性腫瘍部位に対して放射線を直接投与し、単一カテーテルを使用して放射時間を短縮し、乳癌治療を行う)、ホルモンアブレーション治療(ホルモンレベルの減少)などが挙げられる。
実施態様によっては、DKKL−1スプライス産物調節因子は、従来の癌治療用物質と併用して個体に投与される。本明細書で使用する場合、「従来の癌治療用物質」という語句は、癌を治療するために使用されるその他の治療用物質(たとえば、薬学的組成物)を意味する。従来の癌治療用物質の例としては、アルキル化剤(たとえば、シクロホスファミド、イホスファミド)、核酸に作用する抗生物質(たとえば、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、プラチナ化合物(たとえば、シスプラチン)、分裂インヒビター(たとえば、ビンクリスチン)、代謝拮抗物質(たとえば、5−フルオロウラシル)、カンプトテシン誘導体(たとえば、トポカテン)、生物学的反応改変剤(たとえば、インターフェロン)、およびホルモン治療薬(たとえば、タモキシフェン)が挙げられるが、これらだけに限らない。その他の癌治療用物質としては、特定の経路をターゲットする特定のインヒビターが挙げられる。特定のインヒビターの例として、プロテオソームインヒビター(たとえば、ボルテゾミブ(bortozemib)、Velcade)、タンパク質チロシンキナーゼインヒビター(たとえば、Gleevec)、血管形成インヒビター(たとえば、AvastinおよびTarveca)、EGF受容体インヒビター(たとえば、Iressa)などが挙げられるが、これらだけに限らない。投与可能なその他の癌治療用物質としては、crisantaspase、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イポソームドキソルビシン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキシド、ストレプトゾシン、テガフールウラシル、テモゾロマイド、チオテバ、チオグアニン(tioguanine/thioguanine)、トポテカン、トレオサルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ゾメタなどが挙げられるが、これらだけに限らない。
本発明の特定の態様について、以下の非制限的な実施例で詳細に説明する。
以下の実施例は、本発明を製造および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために記載するものであり、発明者が自己の発明と考えている範囲を制限したり、以下の実験が、実施された実験のすべてであることを表明したりする意図はない。使用した数字(たとえば、量、温度など)に関して正確であるように努力したが、ある程度の実験の誤差および偏差は、考慮するべきである。特記しない限り、部分は重量部であり、分子量は、平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
(実施例1:新規なスプライス形式のDKKL−1の検出)
ヒトのDKKL−1遺伝子の発現産物は、Origene「Multiple−choice first−strand cDNA CH−1011− testis」、つまり公的に入手可能なDKKL−1配列:NMJ_14419およびAF177398に対して設計された遺伝子特異的なプライマーを使用したヒトの睾丸の遺伝子発現ライブラリから増幅およびクローン化した。公知のイソ型1のほかに、ヒトのDKKL−1遺伝子の2つのスプライス変異体を異常なサイズにより特定し、配列した。
アラインメントは、図1に示すDKKL−1のCelerah(CG16206およびhCT_7238)配列を使用して行った。複雑性に関するアラインメントのダイヤグラムは、Celera hCT_7238のコード配列を使用して、図2に示す。
(実施例2:新規なスプライス形式のDKKL−1の特徴付け)
新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物と、Celera hCT_7238のコード配列とのヌクレオチド配列アラインメントは、図3A〜3Eに示す。Sagresクローン379−stop、379−R6、379−R7、379−R3および379−RS2は、イソ型1の公知の正常なスプライスパターンを表す。このコード配列は、Sagresクローンの配列とアラインメンさせ、開始コドンの前の位置−4で開始し、DKKL−1の終止コドンで終了した。新規なイソ型2は、図3A〜3Eに示すクローン79−R8および379−RS3のヌクレオチド配列を含み、エクソン4は含まない。新規なスプライス部位のイソ型2は、DKKL−1コード配列のヌクレオチド329〜330をスパンする。新規なイソ型3は、図3A〜3Eに示すクローン379−R4, 379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のヌクレオチド配列を含み、エクソン3および4は含まない。新規なスプライス部位のイソ型3は、DKKL−1コード配列の位置188および189をスパンする。
正常なイソ型1の新規なイソ型2および3のDKKL−1スプライス産物と、Celera hCT_7238とのポリペプチド配列アラインメントを図4A〜4Bに示す。イソ型2は、図4A〜4Bに示すクローン379−R8および379−RS3のポリペプチド配列の位置108および109をスパンする新規なスプライス部位を有する。新規なイソ型3は、図4A〜4Bに示すクローン379−R4、379−R5、379−R2、379−RS7および379−RS4のポリペプチド配列の位置61および62をスパンする新規なスプライス部位を含む。
3つのスプライス変異体(イソ型1、2および3)は、テストされたいくつかの癌治療用物質のプラズマ膜および分泌細胞小器官中で過剰に発現し、局在化される時に分泌される。この挙動は、公知のヒトDickkopf(dkk)タンパク質に類似している。
(実施例3:アレイを使用した、癌に関連する高レベルのcDNAの検出)
癌における差次的発現をスクリーニングされる新規なDKKL−1イソ型を表すcDNA配列は、ポリヌクレオチドアレイ上におけるハイブリダイゼーションによってアッセイされる。cDNA配列は、細胞株または対象組織から単離されるcDNAクローンを含む。cDNAは、約200ng/μLのcDNA溶液の約0.8μLで、二重にスポットされた4,068配列(対照を含む)を表すスライド当たり、9,216スポットの密度で、先行技術で十分に公知の方法により反射スライド(Amersham)上にスポットされる。
対象遺伝子産物に対応する選択されたcDNAクローンのPCR産物は、50%DMSO溶液中で調製される。これらのPCR産物は、Amershamアルミニウムマイクロアレイスライド上に、アレイ当たり9216クローンの密度で、Molecular Dynamics Generation IIIスポッティングロボットを使用してスポットされる。クローンは繰り返しスポットされ、チップ当たり合計4608の異なる配列について繰り返しスポットされる。
cDNAプローブは、患者から単離された腫瘍組織サンプルおよび正常組織サンプルのレーザキャプチャーマイクロダイセクション(LCM、Arcturus Enginering Inc.Mountain View,CA)により得られる合計RNAから調製される。
合計RNAは、第1にT7 RNAポリメラーゼプロモータを含むプライマーを使用してcDNAに逆転写され、次に、第2の鎖DNA合成が行われる。cDNAは、次に、T7プロモータ媒介発現を使用して(たとえば、Luo等、(1999)Nature Med 5:117−122参照)、インビトロで転写されてアンチセンスRNAを生成し、アンチセンスRNAは、次に、cDNAに転換される。cDNAの第2集合は、T7プロモータを使用して、再度インビトロで転写され、アンチセンスRNAを生成する。このアンチセンスRNAは、次に、蛍光標識されるか、またはRNAは再度cDNAに転換され、第3回目のT7媒介増幅を可能にし、より多くのアンチセンスRNAを生成する。したがって、この手順は、2回または3回のインビトロ転写を行って、蛍光標識に使用される最終的なRNAを精製する。プローブは、RNA出発物質から、蛍光標識されたcDNAを製造することにより標識される。腫瘍RNAサンプルから作成された蛍光標識cDNAは、正常細胞のRNAサンプルから作成された標識cDNAと比較される。たとえば、正常細胞からのcDNAプローブは、Cy3蛍光色素(緑色)で標識され、疑わしい癌細胞から作成されたcDNAプローブは、Cy5蛍光色素(赤色)で標識される。
差次的発現アッセイは、同一患者の腫瘍細胞および正常細胞からの等量のプローブを混合して行われる。このアレイは、5XSSC、0.2%SDS、1mM EDTA中において、60℃で約2時間インキュベートすることによりハイブリダイズされ、次に、水中で数回、イソプロパノール中で2回洗浄する。アレイのプレハイブリダイゼーション後、プローブ混合物は、次に、高度に厳格な条件下で(50%ホルムアルデヒド、5XSSC、および0.2%SDS中において、42℃で一晩)アレイにハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーション後、このアレイは、以下のとおり55℃で3回洗浄する:1)1X SSC/0.2%SCDで1回目の洗浄;2)0.1X SSC/0.2%SDSで2回目の洗浄;および3)0.1X SSCで3回目の洗浄。
このアレイは、次に、Molecular Dynamics Generation III二重レーザ−スキャナ/検出器を使用して緑色および赤色蛍光に関して走査する。この画像は、BioDiscovery Autogeneソフトウェアを使用して処理し、各々の走査セットからのデータを標準化する。実験を繰り返し、この時点では、両方の「色指示」でアッセイを行うために、2つのプローブを反対色で標識する。各々の実験は、場合により、2つ以上のスライドを使って繰り返す(各々の色指示で1つ)。各々の走査によるデータは標準化され、アレイ上の各々の配列の蛍光レベルは、4つのアレイの遺伝子当たり8つの複製スポット、または2つのアレイもしくはいくつかの置換の遺伝子当たり4つの複製スポットの幾何平均の比率として表現される。
標準化:標準化の目的は、ある特定の細胞タイプまたは組織において発現したすべての転写産物が同様に表されるcDNAライブラリを作成することであり(S.M. Weissman, MoI Biol. Med. 4(3):133−143(1987);Patanjali,等、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88(5):1943−1947(1991))、したがって、最適に標準化されたライブラリの中でわずか30,000の組換え型クローンの単離で、1つの細胞の遺伝子発現レパートリー全体を表現することができ、このレパートリーは、細胞1つ当たりの数が10,000と概算される。
合計RNAは、RNeasy(商標)保護キット(Qiagen、カリフォルニア州、バレンシア)を使用して、収穫された細胞からメーカーが推奨する手順に従って抽出する。RNAは、RiboGreen(商標)RNA定量化キット(Molecular Probes,Inc.、オレゴン州、ユージン)を使用して定量化される。1μgの合計RNAは、SMART(登録商標)PCR cDNA合成キット(Clone Tech、カリフォルニア州、パロアルト)を使用して逆転写し、PCRを増幅する。cDNA産物は、標準の手順(Sambrook、J.T.,等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY)を使用して、アガロースゲル電気泳動法によってサイズを選択する。cDNAは、Bio 101 Geneclean(登録商標)IIキット(Qbiogene、カリフォルニア州、カールズバッド)を使用して抽出する。cDNAの標準化は、ハイブリダイゼーション原理の反応速度論を用いて行われる:1.0μgのcDNAは、100℃で10分間にわたって熱を加えることにより変性され、次に、120 mM NaCl、10 mMの塩酸トリス(pH=8.0)、5 mM EDTA.Na+および50%ホルムアミドの存在下で、42℃で42時間にわたってインキュベートする。単鎖cDNA(「標準化」)は、メーカーが推奨する手順に従ってヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ(#130−0520,BioRad、カリフォルニア州、ヘラクレス)により精製され、3つのサイクルのPCR増幅により増幅して、二本鎖cDNAに転換し、標準の手順(Sambrook,J.T.,等、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY)を用いて、核外遺伝子ベクターにクローン化される。標準化およびクローン化プロセスに使用されるすべてのプライマー/アダプタは、SMART(商標)PCR cDNA合成キット(ClonTech、カリフォルニア州、パロアルト)でメーカーが提供する。スーパーコンピテントセル(XL−2青色ウルトラコンピテントセル、Stratagene、カリフォルニア州)は、標準化cDNAライブラリを使ってトランスフェクトし、固体培養基上にプレートして36℃で一晩成長させる。
標準化ライブラリ当たり10,000の組換え型配列は、ABI PRISM 3700 DNA分析器(Applied Biosystems、カリフォルニア州)を使用して、毛細血管配列により分析する。ライブラリ中の転写産物の提示を決定するため、クローン配列に関してBLAST分析を実施し、転写産物の同一性を各々の単離クローンに割り当てる。つまり、XBLASTマスキングプログラムを使用して、単離ポリヌクレオチドの配列を最初にマスキングして、複雑性が低い配列を除去する(Claverie”Effective Large−Scale Sequence Similarity Searches,” Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis, Doolittle, ed., Meth. Enzymol. 266:212−227 Academic Press, NY, NY1996);特に、Claverie、”Automated DNA Sequencing and Analysis Techniques”Adams等、eds.,Chap.36,p.267 Academic Press, San Diego,1994およびClaverie等、Comput. Chem.(1993)17:191)参照。一般に、マスキングは、マスキングは、最終的な探索結果に影響を与えないが、複雑性が低いために、相対的に関心が少ない配列は除外され、複数の配列に共通の繰返し配列、たとえばAlu繰返しとの類似性に基づく複数の「ヒット」は除外する。次に、残りの配列をBLASTN対GenBank探索に使用する。この配列は、BLASTX対NRP(非冗長タンパク質)データベースの探索において、問合せ配列としても使用される。
自動化配列決定反応は、メーカーの指示に従って、AmpliTaq DNA Polymerase, FSを含むPerkin−Elmer PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kitを使用して実施する。この反応は、20℃または30℃で1分間にわたってアニールする以外、メーカーの指示に従って、GeneAmp PCR System 9600で繰り返す。配列決定反応物は、エタノール沈殿させ、ペレットは、8μLのローディングバッファ中に再度懸濁させ、ABI PRISM 3700 DNA Sequencer(Applied Biosystems、カリフォルニア州、フォスターシティ)によりデータを収集する。
配列がライブラリ中に提示される回数は、クローン化cDNA配列に関して配列同一性分析を実施し、転写産物の同一性を各々単離クローンに割り当てることにより決定される。第1に、各々の配列は、細菌汚染物質か、リボソーム汚染物質か、またはミトコンドリア汚染物質かを決定するために検査される。このような配列は、その後の分析から除外される。第2に、ベクターなどの配列アーティファクトはマスキングし、および/または各々の配列から除去する。
残りの配列は、BLASTAltschul等、J. MoI. Biol.,215:40,1990)を介して、GenBankおよびESTデータベースと比較されて遺伝子が確認され、FastA(Pearson & Lipman, PNAS, 85:2444,1988)を介して互いに比較され、標準化cDNAライブラリ中にcDNAが現れる頻度が計算される。配列は、BLASTNプログラム(BLASTN 1.3MP:Altschul等、J. MoI. Bio.215:403,1990)を使用して、GenBankおよびGeneSeqヌクレオチドデータベースと対照してさらに探索される。第4に、この配列は、BLASTXプログラム(上記のBLASTX 1.3MP: Altschul等)を使って、非冗長タンパク質(NRP)データベースと対照して分析される。このタンパク質データベースは、Swiss−Prot、PIR、およびNCBI GenPeptタンパク質データベースの組合せである。BLASTXプログラムは、フィルタパラメータ:「xnu+seg」と共にデフォルトのBLOSUM−62置換マトリックスを使用して実行される。使用するスコアのカットオフは75である。重複クローンをコンティグにアセンブルするのは、プログラムSequencher(Gene Codes Corp.;ミシガン州、アナーバー)を使用して行われる。アセンブルされたコンティグは、GCGパッケージ(Genetic Computer Group, University Research Park, 575 Science Drive、53711ウィスコンシン州、マジソン)Suite Version 10.1のプログラムを使用して分析される。
(実施例4:ヒトの癌細胞および組織における新規なDKKL−1イソ型の検出)
ヒトの癌組織、ヒトの結腸、正常なヒト組織、およびその他のヒトの細胞株からのDNAは、Delli Bovi等、(1986, Cancer Res. 46:6333−6338)の以下の手順に従って抽出される。DNAは、このDNAは、0.05Mの塩酸トリス緩衝液、pH7.8および0.1mM EDTAを含む溶液中に再度懸濁させ、Hoechst33258色素を使用する微量蛍光定量法により、回収されるDNAの量を決定する。Cesarone, C.等、Anal Biochem 100:188−197(1979)。
ポリメラーゼ鎖反応(PCR)は、Taqポリメラーゼを使用して、緩衝液、Mg2+、およびヌクレオチドの濃度に関して、メーカー(Perkin Elmer Cetus)が推奨する条件に従って行われる。熱サイクルは、DNAサイクラー中において94℃で3分間変性させ、次に、94℃で1.5分間、50℃で2分間、および72℃で3分間にわたって35サイクルまたは50サイクル行われる。PCRが、遺伝子の選択領域を増幅する能力は、クローン化されたポリヌクレオチドを陽性テンプレートとして使用してテストされる。異なるサイクリング温度に最適なMg2+、プライマー濃度および要件は、これらのテンプレートにより決定される。メーカーが推奨するマスターミックスを使用する。マスターミックスの構成要素の汚染の可能性を検出するため、テンプレートを使用しない反応を提起的にテストする。
(実施例5:宿主細胞中におけるクローン化ポリヌクレオチドの発現)
新規なDKKL−1イソ型のタンパク質産物を検査するため、イソ型2またはイソ型3のcDNAからの制限断片は、発現ベクターpMT2(Sambrook,等、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press pp 16.17−16.22(1989))にクローン化し、10%FCSを補充されたDMEM中で成長するCOS細胞にトランスフェクトする。トランスフェクションは、リン酸カルシウム技術(上記のSambrook,等、(1989)pp.16.32−16.40)を使用して行われ、細胞溶解物は、トランスフェクションの48時間後に、トランスフェクトされたCOS細胞およびトランスフェクトされないCOS細胞の両方から調製する。溶解物は、抗チド抗体を使用する免疫ブロットにより分析される。
免疫ブロット実験では、細胞溶解物の調製、および電気泳動法は、標準の手順に従って実施する。タンパク質濃度は、BioRadタンパク質アッセイ溶液を使用して決定される。半乾燥電気泳動でニトロセルロースに移動した後、膜は、500mMのNaCl、20mMのトリス、pH7.5、0.05%のTween−20(TTBS)、および5%のドライミルク中でブロックする。TTBS中で洗浄し、二次抗体(Amersham)でインキュベートした後、強化された化学発光(ECL)プロトコル(Amersham)は、検出を容易にするため、メーカーが説明するように実施する。
(実施例6:ポリペプチドに対する抗体の生成)
新規なイソ型によりコードされるポリペプチドは、細菌またはその他の(たとえば、イースト、バキュロウィルス)発現系から合成または単離し、m−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)により、ラビット血清アルブミン(RSA)に結合体化させる(Pierce,Rockford,111.)。これらのペプチドによるメーカープロトコルは、標準の方法に従って実施される。先ず、免疫化を行う前に、ラビットの予備放血を行う。最初の免疫化は、Freundの完全アジュバント、500μgの共役ペプチド、および100μgの精製ペプチドを含む。後続のすべての免疫化は、前回の注入から4週間後に行われ、同量のタンパク質を使用するFreundの不完全アジュバントを含む。放血は、免疫化から7日から10日後に行われる。
抗体の親和性精製に関して、対応するポリペプチドは、MBSによりRSAに結合体化され、CNBr−活性セファロース(Pharmacia、ウプサラ、スウェーデン)に結合される。抗血清は、10mMの塩酸トリス、pH7.5中で10倍に希釈し、親和性マトリックスで一晩インキュベートする。洗浄後、結合抗体は、100mMのグリシン、pH2.5で樹脂から溶出させる。
(実施例7:新規なDKKL−1イソ型ポリペプチドに対するモノクローナル抗体の精製)
非変性アジュバント(Ribi, R730, Corixa、モンタナ州、ハミルトン)は、リン酸塩緩衝生理食塩水中で4mlまで再水和させる。次に、この再水和アジュバント100μLは、400μLのHankの平衡塩類溶液で希釈し、次に、免疫化に使用される細胞ペレットと静かに混合する。約500μgの共役ペプチド、または100μgの精製ペプチド、およびFreundの完全は、ふっとパッドを介して毎週1回Balb/cマウスに注入する。6週間にわたって毎週注入した後、免疫化された各々動物の尾部から一滴の血液を取り出し、FACS分析を使用して、ポリペプチドに対する滴定量の抗体をテストする。滴定量が1:2000に達したら、CO2チャンバ内でマウスを犠牲にして、頚椎脱臼させる。リンパ液ノードを収穫して、ハイブリドーマを調製する。最高度の滴定量を含むマウスのリンパ球は、35%のポリエチレングリコール4000を使用して、マウスの骨髄腫細胞株X63−Ag8.653と融合させる。融合後10日目、ハイブリドーマの浮遊物をスクリーニングし、蛍光活性化細胞分類(FACS)により特異的なモノクローナル抗体の有無を確認する。各々のハイブリドーマからの順化培地は、PC3、Colo−205、LnCap、またはPanc−1を組み合わせた一定分量でインキュベートする。インキュベート後、この細胞サンプルを洗浄し、0.1mlの賦形剤中に再懸濁させて、1μg/mlのヤギ抗−マウスIgGのFITC共役F(ab’)2断片と共に、40℃で30分間インキュベートする。この細胞を洗浄し、0.5mlのFACS賦形剤中に再懸濁させて、FACScan細胞分析器(Becton Dickinson;カリフォルニア州、サンノゼ)を使用して分析する。ハイブリドーマクローンを選択し、FACSで評価したポリペプチドを発現する1つまたは複数の細胞株の表面に対する結合に基づいて、さらに拡大、クローン化、および特徴付けを行う。
(実施例8:DKKL−1イソ型抗原を検出するためのELISAアッセイ)
組換え的に製造され、DKKL−1の新規なスプライス形式によりコードされた抗体の血液サンプルをテストするため、以下の手順を使用する。組換え型タンパク質は、精製した後、PBS中で5μg/ml(500ng/100μL)の濃度に希釈する。100μLの希釈抗原溶液は、96−well Immulon 1プレート(Dynatech Laboratories、バージニア州、シャンティリ)の各々のウェルに添加し、次に、このプレートを室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートし、PBS中で0.05%のTween 20を使って3回洗浄する。抗体の非特異的結合を減少させるためのブロッキングは、PBS/Tween20中の血清アルブミンの1%溶液200μLを各々のウェルに添加し、1時間インキュベートして行う。ブロッキング溶液の吸引後、100μLの一次抗体溶液(凝固を阻止された全血、プラズマ、または血清をブロッキング溶液中で1/16〜1/2048の範囲で希釈して添加し、室温で1時間、または4℃で一晩インキュベートする。すべてのDKKL−1イソ型は、DKKL−1(379−3)に対してラビットのポリクローナル抗体を使用して検出する。DKKL−1イソ型2は、A8.7(イソ型2特異的抗体)を使用して検出することができる。DKKL−1イソ型1は、抗ヒトSoggy−1(R & D Systemsのイソ型1特異的抗体)を使用して検出することができる。結合抗体は、西洋ワサビペロキシダーゼOrganon Teknika、ノースキャロライナ州、ダラム)に結合体化した標準の二次抗体であって、PBS/Tween20中で1/500または1/1000に希釈した二次抗体を使用して検出し、100μLのo−フェニレンジアミンジヒドロクロリド(OPD,Sigma)溶液を各々のウェルに添加して、5〜15分間インキュベートする。OPD溶液は、5mgのOPD錠剤をH2O中で1%メタノール50mlにおいて溶解させ、50μLの30%H2O2を使用直前に添加して調製する。この反応は、25lの4MH2SO4を添加することにより停止する。マイクロプレートリーダ(Bio−Rad)で490nmにおいて、吸光度を読み取る。Zhang H等が記載している類のより感度の良いELISA形式(Nature Medicine、血清中で存在量が少ないタンパク質を検出するための高感度で高処理能力のアッセイ、2006年3月12日(オンラインで公表)を使用することも可能である。
(実施例9:治療用物質をテストする手段としてポリペプチドを発現する遺伝子組換え動物の生成)
新規なDKKL−1イソ型核酸は、遺伝子組換え非ヒト動物、または細胞株におけるその部位に特異的な遺伝子改変を生成し、前立腺腫瘍関連の遺伝子の機能または規則を研究するか、または前立腺癌を含む疾病の動物モデルを形成するために使用される。「遺伝子組換え」という用語は、宿主細胞に安定的に送達される外生遺伝子を有する遺伝子組換え動物であって、遺伝子が、改変タンパク質を生成するか、またはリポータ遺伝子に作動可能に連鎖する外生LTRプロモータを有するように配列が変更された動物を含むことを意図している。遺伝子組換え動物は、ゲノム中にランダムに組み込まれた核酸構築物を通して製造される。安定して組み込むためのベクターとして、核外遺伝子、レトロウィルス、およびその他の動物ウィルス、YACなどが挙げられる。対象となるのは、遺伝子組換え哺乳類、たとえばウシ、ブタ、ヤギ、ウマなど、および特に齧歯類、たとえばラット、マウスなどである。
改変細胞または動物は、遺伝子の機能および規則の研究に有用である。対象となる特異的な構築物には、遺伝子発現、ドミナントネガティブ型遺伝子の突然変異の発現、および遺伝子の過剰発現をブロックするためのアンチセンス構築物が含まれるが、これらだけに限られない。発現が正常でない、または発現が異常な回数で起こる細胞または組織中で、遺伝子またはその変異体が発現される。さらに、DKKL−1ポリヌクレオチドから得られるタンパク質の発現を、さもなければ正常に生成されない細胞中で発現させることによって、細胞の挙動の変化を誘発させることができる。
ランダムな組み込みのためのDNA構築物は、組換えを媒介するための相同領域を含む必要はない。有利には、陽性または陰性の選択のためのマーカーを含む。哺乳類の細胞をトランスフェクトするための様々な技術については、Keown等、Methods in Enzymology 185:527−537(1990)を参照。
胚性幹(ES)細胞に関しては、ES細胞株を使用するか、または宿主、たとえばマウス、ラット、モルモットなどから新たに胚細胞を取得する。このような細胞は、適切な線維芽細胞支持層上で成長するか、または適切な成長因子、たとえば白血病抑制因子(LIF)などの存在下で成長する。ES細胞は、転換されると、遺伝子組換え動物を製造するために使用される。転換後、細胞は、適切な媒体内の支持細胞層上に配置される。構築物を含む細胞は、選択培養基を使用することにより検出される。コロニーの成長に十分な時間が経過した後、これらの細胞を採取して、構築物の組込みが行われたかどうか分析される。次に、陽性であるこれらのコロニーは、胚操作および胚盤胞に使用される。胚盤胞は、4〜6週間経過した過剰排卵のメスから得られる。ES細胞はトリプシン処理され、改変細胞は胚盤胞の卵割腔中に注入される。注入後、胚盤胞は、偽妊娠したメスの各々の子宮角に戻される。これで、メスは出産に進み、構築物を支持する細胞がスクリーニングされたキメラ動物が生じる。胚盤胞およびES細胞の様々な表現型を提供することにより、キメラの子孫を容易に検出することができる。
キメラ動物は、改変遺伝子の有無に関してスクリーニングされ、組換えを有するオスおよびメスは、同型の子孫を生成するために交配される。遺伝子の改変によって、発達のある時点で死に至る場合、組織または器官は、変質遺伝子型または類似遺伝子型グラフトまたはトランスプラントとして、またはインビトロ培養で維持される。遺伝子組換え動物は、実験動物、家畜などの非ヒト哺乳類で良い。遺伝子組換え動物は、機能の研究、薬剤スクリーニングなどに使用され、たとえば、前立腺癌に対する候補薬剤の効果を判断し、可能性のある治療または治療計画をテストするためなどに使用される。
(実施例10:Taqmanプライマーおよびプローブを使用する一次ヒト腫瘍のRT−PCR分析)
一次腫瘍サンプルのRT−PCR分析は、4つの主なステップに分類した:1)一次正常および腫瘍組織からRNAを精製する;2)精製組織のRNAから第1鎖cDNAを生成し、実時間定量PCRを行う;3)ABI PRISM 7900HT配列を使用して、遺伝子発現のRT−PCRを設定する;4)統計的方法によりRT−PCRデータを分析し、癌において差次的に発現する(上方制御される)遺伝子を特定する。
Qiagen RNeasy mini Kit CAT#74106を使用し、組織サンプルは、一般に約30μgのRNAを生成し、一般に、150μLの溶出緩衝液を使用した場合、約200ng/μLの最終濃度が得られた。RNAが抽出された後、Molecular ProbesのRibogreen軽量試薬を使用し、メーカーのプロトコルに従って、RNAの収量および濃度を判定した。抽出されたRNAの完全性は、EtBr着色アガロースゲル上で評価し、28Sおよび18Sバンドが等しい強度を有するかどうか判定した。抽出RNAの完全性はさらに、Agilent 2100を使用して、メーカーのプロトコルに従って評価した。Agilentバイオアナライザ/「Lab−On−A−Chipは、RNAサンプルの電気泳動図を生成する微小流体システムである。18Sおよび28Sバンドの比率、およびベースラインの平滑さを観察することにより、RNAの劣化レベルを判定することができる。28S:18S比が1未満のサンプルは廃棄した。
RNAサンプルは、さらにRT−PCRで検査し、抽出時のゲノムDNAのレベルを判定した。一般に、RNAサンプルは、有効なTaqmanプライマーおよびプローブを使用して、逆転写酵素の存在および不存在下でDKKL−1を直接アッセイした。384ウェル形式においてウェル当たり5ulの量で4回の反応の各々に、12.5ngのRNAを使用した。2ulのRNA+3ulのRT+またはRT−のマスターミックス)。以下の熱サイクルパラメータを使用した(2段階PCR):
RNAは、cDNA合成に関してアレイした。一般に、各々の腫瘍タイプごとに、少なくとも10の正常サンプルおよび20の腫瘍サンプルが必要だった。パネル端部に、4つの対照サンプル、hFB、hrRNA、hgDNA、および水を(この順に)配置した。追加のNTC対照(水)は、ウェルA2に配置した。RNAサンプルは、ヌクレアーゼを含まない水中で100 ng/μLに標準化した。パネルごとに11μgのRNAを使用し、合計110μLを使用した。標準化が完了した後、ブロックは、剥離しやすいフォイルと共にヒートシーラを使用して、175℃で2秒間シールした。ブロックは、cDNAが合成するまで、−80℃で保存した。
表2に記載する反応混合物は、分析の前に用意した:
分析:
96ウェルブロック(11μg)中にアレイされたRNAは、Hydraを使用してドータープレートに分配し、96ウェルプレート当たり1ugのcDNA合成を形成した。これらのドータープレートの各々は、表3に記載する熱サイクルを使用してRT反応を設定するために使用した:
熱サイクルの完了後、プレートをサイクラーから取り外し、Hydraピペットを使用して、0.016M EDTA溶液60μLをcDNAプレートのウェルごとに添加した。
94μLのAmbion水は、141μLのFRT(順方向および逆方向プライマーおよびターゲットプローブ)と混合した。使用したプライマーは、以下のとおりだった:SGPl 113(順方向配列;GCCTCCAGAGCCTACTCCAA;(配列番号7);逆方向配列;GGGCAGAGAATAAGCTGTCTATGC(配列番号8); プローブ配列AGCCGACTTTTCCTG;(配列番号9))を使用して、イソ型1および2を検出し、SGPl 129(順方向配列GCCTCCAGAGCCTACTCCAA(配列番号10);逆方向配列GGTACCAGGGCCTCCTTCTC;(配列番号 11); およびプローブ配列TGAAAGTACCCAGGATGG;(配列番号 12))を使用して、イソ型3を検出した。
カクテルは、実施の用意が整うまで、4℃で保存した。(1日より長い場合は−20℃)。マスターミックスは、カクテルを実施する際に、カクテルに添加した。
アレイされた96ウェルプレートからの2μLのcDNAは、3μLのTaqmanマスターミックスに添加し、5μLのQPCR反応を構成した。
ターゲット遺伝子の発現レベルは、正常サンプルおよび腫瘍サンプル共に、定量的RT−PCRを使用し、ABI PRISM 7900HT配列検出システム(Applied Biosystems、カリフォルニア州)を使用して判定した。この方法は、最基準(標準化)ハウスキーパー遺伝子(Pre−Developed TaqMan(登録商標)アッセイ試薬遺伝子発現定量化プロトコル、Applied Biosystems,2001)の定量と比較した最初のコピー番号のターゲットテンプレートの定量に基づく。各々のPCRサイクルによるDNA産物の蓄積は、アンプリコンの王立および最初のテンプレート濃度に関連する。したがって、ターゲットと標準化の両方の増幅効率は類似していなければならない。開始テンプレートのコピー数、およびDNAの増幅効率に依存する閾値サイクル(CT)は、PCR産物が指数関数的に成長するPCRサイクルである。各々のアッセイは4回行われるため、ある特定のサンプル中のターゲット遺伝子に関して、4つのCT値が得られる。
同時に、ハウスキーパー遺伝子群の発現レベルも同様に測定した。各4回のアッセイの異常値を検出し、他の各々の3回アッセイの標準偏差が、元の各4回のアッセイの標準偏差に比べて30%以下である場合、その異常値は除去する。各々の腫瘍型に関してテストしたイソ型の有病率も判定した。
最も高い発症率は、肝臓の55%であり、HiFC値は7.3だった。一次腫瘍に関するQPCRデータ(少なくとも10の正常サンプルおよび20の腫瘍サンプルのパネル)は、イソ型1および2は肺癌、卵巣癌、リンパ球様細胞および肝臓癌で過剰発現することを示した。QPCRデータは、DKKL−1イソ型3は肺癌、乳癌および肝臓癌で過剰発現することを示した(図5A〜G参照)。図13および14は、ヒトの癌細胞株におけるDKKL−1イソ型3の相対的な発現を示す。
(実施例11:イソ型の特異的抗体)
マウスは、DKKL−1イソ型2またはDKKL−1イソ型3組換え型精製タンパク質であって、バキュロウィルス発現系で生成されたタンパク質で免疫化した。免疫化は、腹腔内注入により、3回注射して実施した。抗原は、アジュバントと混合し、腹腔内に注入した。
25日目、血清サンプルは、眼窩球後放血により収集した。わずか200μLの全血を一度に収集した。血清サンプルは、抗体の滴定量を判断するために使用した。免疫化の完了後(最初の免疫化から14週目)、脾臓融合に関して最善の反応を選択した。
詳細な免疫化手順:
0日目:100μLの注入量/マウスを注入。PBS中で10μg/100μL(マウス当たり)=100μg/mLに希釈した抗原を含む50%完全Freundアジュバント(容量/容量)。このアジュバントおよび抗原混合物は、注入前に十分に乳化させた。
14日目、28日目、および42日目:100μL注入容量/マウス。PBS中で5μg/100μL(マウス当たり)=50μg/mLに帰着した抗原を含む50%不完全Freundアジュバント(容量/容量)。このアジュバントおよび抗原の混合物は、注入前に十分に乳化させた。
56日目:100uL注入量/マウスで最終ブースト。アジュバントなし、5μg/マウスの抗原。最終ブーストは、50%のIPおよび50%の点滴を注入した。
60日目:脾臓の融合採取。少なくとも2つのマウスの脾臓を収穫して、融合させた。マウスからのリンパ球の電子融合手順により、ハイブリドーマを形成する。
脾臓は、免疫化されたマウスから取得した。細胞は、15mLのガラス組織研磨機を使用して組織から分離した。細胞は、15mLの低温DMEM媒体を含む50mLの円錐管中で収集した。細胞懸濁液は、70μmの細胞濾過器に通した。細胞濾過器は、50mL以下の容量にするのに十分なDMEMで洗浄した。細胞は、1200rpm(500xg)で8分間遠心分離して、ペレットを形成した。
浮遊物は廃棄した。脾臓から分離した細胞は赤血球を含んでおり、溶解させる必要がある。脾臓の細胞ペレットは、5mLのWFI品質の水中に懸濁させた。細胞は、<30秒間という非常に短時間だけ純水中に放置した。45mLのDMEMを細胞懸濁液上に添加した。細胞懸濁液は、70μmの細胞濾過器に通し、1200rpm(500xg)で8分間遠心分離して、細胞をペレット化した。細胞は、DMEM中に再度懸濁させ、一定分量を取得して計算した。
細胞は、予め決められた細胞数を使用して、DMEM中に細胞1×108個/mLで再度懸濁させた。100μLの抗CD90thy1.2抗体共役マイクロビード(Myltenyi, MACS 120−000−295)は、IxIO8個の細胞ごとに添加した。ビードおよび細胞は、十分に混合し、4℃で15分間インキュベートした。
融合プロトコルに必要になる直前に、融合パートナー細胞を収集した。スピナーフラスコまたはTフラスコから細胞懸濁液を収集し、1000rpmで8分間遠心分離した。約40mLのDMEMを使用して、細胞を再度懸濁させ、少量の一定分量を取得して計算した。
抗CD90インキュベートステップの際、MACS LSコラムおよび前置フィルタを構成した。各々のコラムは、細胞が1.3×108個という最大能力を有していた。このコラムおよび前置フィルタは、約8mLのDMEMで洗浄した。
細胞は、約5mLに希釈した。500mLの増分の細胞懸濁液を前置フィルタおよびコラムに添加した。すべての細胞を添加した後、コラムを約9mLのDMEMで洗浄した。すべての流量は、殺菌した50mLの円錐管内に集合させた。この流量を約25mLにして、細胞を計算した。骨髄腫細胞(融合パートナー)は、1:1の比率でリンパ球に添加した。骨髄腫の懸濁液の量=(リンパ球の総数)/[骨髄腫/mL]。
混合細胞懸濁液は、1200rpm(500xg)で8分間遠心分離して、細胞をペレット化した。浮遊物は廃棄し、細胞は、5mLのプロナーゼ酵素中に0.7mg/mL再度懸濁させた。細胞は、正確に90秒間にわたってプロナーゼ酵素と接触させた。この時点で、7mLの殺菌FBSを添加して酵素を中和し、エレクトロセル融合緩衝液を添加し、約30mL以下の容量にした。
細胞は、40μmの細胞濾過器を通してペレット化した。濾過器は、融合緩衝液で洗浄して容量を50mLにし、混合物は、1200rpm(500xg)で8分間にわたって遠心分離し、細胞をペレット化した。浮遊物は廃棄し、細胞は、45mLの融合緩衝液中に再度懸濁させた。細胞を計算し、細胞が2×106個/mLの融合緩衝液中に再度懸濁させた。融合緩衝液の量=(細胞の総数)/細胞(2×106個/mL)。融合スライドチャンバは、アルコール中で少なくとも15分間に渡って殺菌してから使用した。エレクトロセル融合チャンバは、2mLの融合緩衝液を使って3回洗浄した。電極を皿に取り付けて、テープで固定した。電子融合は、2mLで1度に実施した。融合した細胞は、融合媒体で予め加熱した管に移送した。BTX E/CM2001の設定:50V ACの事前の融合は、50秒間持続した。300Vの単一パルスを30μ秒間持続した。事後の融合持続時間は5秒間だった。
細胞は、37℃のインキュベータ内で30〜60分間に渡って回収し、1000rpmで8分間遠心分離した。浮遊物は廃棄し、細胞は、HA媒体中に再度懸濁させて、約200μL/ウェルで96ウェルプレート中にプレートアウトした。プレーティング濃度は、細胞2×106個/プレートだった。ハイブリドーマ際おぶは、融合するまで成長可能だった。
ELISAを実施して、ハイブリドーマの細胞浮遊物をテストし、どのウェル/クローンが所望の抗体を生成したかを判断した。数個の96ウェルプレートは、コーティング緩衝液中で1〜2μg/mLに希釈したDKKL−1イソ型2またはイソ型3精製タンパク質100mL/ウェルをコーティングした。プレートは、4℃で一晩、または37℃で2時間に渡ってコーティングした。コーティングしたプレートは、洗浄緩衝液で3回洗浄し、250mL/ウェルのブロッキング緩衝液をウェルに添加した。プレートは、中から低に設定したプレートシェイカーセット上において、室温で1時間にわたってインキュベートした。抗原をコーティングしたプレートをブロックしながら、細胞浮遊物を1:1(50μL:50μL)に希釈した。プレートは、ブロッキング緩衝液によりインキュベート後洗浄した(洗浄3回)。希釈したハイブリドーマ浮遊物は、ブロックされたプレートに添加し、陽性コントロールおよび陰性コントロールを予め決められた希釈物を使用してプレートに添加した。プレートは、中から低に設定したプレートシェイカー上において、室温で1時間インキュベートした。インキュベートステップ後、プレートを3回洗浄し、アッセイ緩衝液中で希釈した(1:5000〜1:20,000)100mL/ウェルの適切な結合体を各々のウェルに添加した。プレートは、中から低に設定したプレートシェイカー上において、室温で1時間インキュベートした。二次抗体インキュベート後、プレートを3回洗浄し、100μL/ウェルの担体を各々のウェルに添加した。プレートは、反応速度に応じて室温で15〜45分間インキュベートし、参照基準が、最適な反応レベルに達した時点で、100mL/ウェルの停止液を各々のウェルに添加した。停止して反応を判断する前に、アルカリ性ホスファターゼアッセイを読み取った。AP反応プレートは、405nm〜490nmを指示した。
クローンを96ウェル培養プレートから、ELISAによってスクリーニングした後、陽性だったクローンは、別の96ウェル培養プレート内において、ウェル当たり細胞1個または5個の濃度にサブクローン化した。細胞は、70%の融合まで成長が可能だった。ELISAは、上記のように実施し、A8.1およびA8.7を含むサブクローンは、リッチメディアでで48または24ウェル組織培養プレートに拡張した。細胞は成長が可能であり、目視検査により、著しい細胞の成長が観察された。48ウェル培養における正常な健全成長期間は、2〜4日だった。この時点で、クローンは、10mLのリッチメディアにおいてT25フラスコに拡張した。細胞はほぼ密集程度まで成長が可能だったか、あるいは中断した場合は、媒体がオレンジ色を示し始めるまで成長した。細胞の3つのビンは、この時点で、フラスコの内容を1000rpmで7分間にわたって遠心分離することにより、T25フラスコからの標準の細胞凍結媒体を使用して凍結させた。この時点で、ハイブリドーマ浮遊物を収集し、DKKL−1イソ型1、イソ型2またはイソ型3を発現するRat1安定細胞株の状態調節媒体の免疫沈降により抗原の結合を評価し、イソ型結合の特異性を特徴付けた。
(実施例12:精製mABを使用したイソ型の免疫沈降)
DKKL−1イソ型1、イソ型2またはイソ型3を発現するRat1安定細胞株は、T225フラスコ内で、90%の融合まで成長させた。培養基(順化培地)を含むDKKL−1イソ型を収集し、4℃で2週間保存したが、著しい劣化は生じなかった。
A8.7などの1mLのハイブリドーマ浮遊物は、Eppendorf管中で、50μLのタンパク質Gスラリを使ってインキュベートした。混合物は、揺動プラットフォームまたは回転装置上において、4℃で2時間インキュベートした。ビードは、4℃において1000xgで30秒間沈降させた。浮遊物を完全に除去し、ビードは、500μLの洗浄緩衝液(1XPBSの0.1%NP40)で3〜5回洗浄した。抗体が結合したタンパク質Gビードは、DKKL−1イソ型1、イソ型2またはイソ型3を発現するRat1安定細胞株からの1mLの順化培地でインキュベートした。混合物は、揺動プラットフォームまたは回転装置上において、4℃で2時間インキュベートした。抗原が結合したビードは、4℃において1000xgで30秒間沈降させた。浮遊物を完全に除去し、ビードは、500mLの洗浄緩衝液で3〜5回洗浄した。最後の洗浄後、浮遊物を吸引し、50mLの1XLaemmliサンプル緩衝液をビードペレットに添加した。混合物に渦を生じさせて、90〜100℃で5分間加熱した。浮遊物を収集し、ゲル上に装填した。抗V5−HRP共役抗体を使用してウェスタンブロット手順を実施し、C末端にV5タグが付いた有界のDKKL−1イソ型を検出した。ハイブリドーマ浮遊物からの各々の抗体に関して、イソ型の特異性を判定した。たとえば、図10に記載するとおり、クローンA8.1およびA8.7は、DKKL−1イソ型2を免疫沈降させることが可能だったが、順化培地からのイソ型1およびイソ型3は免疫沈降せず、クローンA50.2は、3つのイソ型すべてを免疫沈降させた。
(実施例13:細胞の増殖)
DKKL−1イソ型1、イソ型2、イソ型3、またはpCMVベクターのみを安定して発現する各々のRat1細胞株は、800μg/mLのG418で選択して、10%のFBSを含むDMEM中で成長させた。これらの安定細胞株の各々について細胞1000個/100μLの培養基は、各々4つのサンプルの96ウェルプレート中に播種した。5つの同じ96ウェルプレートは、各々の時点(0日目−4日目)で同時に播種した。0日目のプレートを最初の時点で使用し、すべての安定細胞株間の相対増殖率を測定した。10μL/ウェルのWST−1細胞増殖試薬(Roche Cat# 1644807)を添加した。細胞は、37℃で2時間インキュベートした。インキュベート後、プレートは、プレートシェイカー上で1分間にわたって十分に揺動させた。マイクロプレート光度測定リーダを使用して、420〜480nMにおける吸光度を測定した。1日目、2日目、3日目および4日目のプレートは、同じWST−1試薬を使用して相応に測定した。これらの安定細胞株各々の相対増殖率は、図6に示すように、450nMにおける平均の生の吸光度を使用して計算し、時間(0日目〜4日目)に対する背景を差し引いた。標準偏差は、各4つのサンプル全体で計算した。
(実施例14:SKIDマウスにおける腫瘍の形成)
DKKL−1イソ型1、イソ型2またはイソ型3を発現するRat1安定細胞株は、T150フラスコ中で70〜80%の密集度まで成長させた。細胞は、1XPBSで2回洗浄し、細胞株当たり3つの殺菌1.5mL管に対して、細胞107個/mL、106個/mL、および105個/mLまでPBSと共に再度懸濁させた。年齢が3〜5週のメスNOD.CB17−Prkdc<scid>/Jマウスは、JAX WestのM−3施設(U.C.Davis)から入手し、JAX Westのウェストサクラメントにあるアイソレータユニット内にケージ当たり4匹を収容した。
細胞株当たり12匹のマウスを使用し、陽性の対照細胞(Harvey Ras突然変異を発現する細胞)、および陰性対象細胞(トランスフェクトされない親細胞株)を同時に注入するのに十分なマウスが含まれていた。マウスは、処置室で実施された腫瘍細胞の注入時を除いて、常時アイソレータユニット内に収容した。注入当日、マウスを処置室に移動させて、バイオセイフティキャビネット内に配置した。マウスの柔毛は、胸郭腹側で剃る。過剰な柔毛は、70%エタノール中に浸漬したガーゼを使用して除去し、このエタノールは、皮膚の消毒にも役立つ。25標準規格注射針は、胸郭領域(マウスごとに2箇所)の皮下に0.1mLの細胞懸濁液を注入するために使用した。マウスは、腫瘍細胞を注入した後、アイソレータユニットに戻した。動物は、アイソレータユニット内に収容し、腫瘍の発達を毎日観察し、腫瘍が発現した日付を記録した。腫瘍の形成が開始した後、腫瘍の成長は、キャリパーを使用して毎週測定した。マウスは、一般的な首筋手法で拘束し、腫瘍を頭部−尾部および中央部−側部の2方向で測定した。腫瘍が、両方向で1.5cmだった場合、腫瘍組織を採取した。注入から4週間後までに腫瘍を発現しなかった動物は、安楽死させた。測定結果は幅×長さとして記録し、容量は、変換公式(長さ×幅2)/2を使用して計算した。結果を図7に示す。
(実施例15:β−カテニンの安定化)
DKKL−1イソ型1、イソ型2、イソ型3、またはpCMVベクターのみを発現するRat1安定細胞株は、80%の密集度まで成長させて採取し、細胞分画手順を行った。
細胞を収集し、1XPBSで3回洗浄した。細胞ペレットは、0.2〜0.5mLの低張性溶解緩衝液中で30分間溶解させた。次に、細胞は、1mLのシリンジに結合した265/8Gニードルに15回通過させた。混合物は、1500rpmで10分間沈降させて、完全な細胞および核を除去した。沈降が完了した後、浮遊物(膜および細胞画分)を超遠心分離管に移動させて、4℃において、100,000g(50,000rpm)で30分間にわたって沈降させた。超遠心分離機内で浮遊物の回転が終了した後、細胞画分である浮遊物は、新しいEppendorf管に移送した。ペレットは、0.2〜0.3mLのRIPA緩衝液を使って氷上で30分間可溶性化し、15000rpmで30分間沈降させた。浮遊物は、膜の画分を表す。両方の画分のタンパク質濃度は、Bradfordアッセイを使用して判定した。適切な画分の10μgのタンパク質溶解物は、SDS−PAGEゲル上に装填した。ウェスタンブロットは、β−カテニンポリクローナル抗体を使用して実施し、β−カテニンの相対細胞質/膜レベルを判定した。β−カテニンは、細胞のプラズマ膜および細胞質の区分の両方に局在し、ブロッキングタンパク質の劣化作用の機序により、細胞質の区分内に蓄積すると活性になる。細胞質の区分内におけるβ−カテニンのレベルを測定することによって、上流のシグナル伝達により活性化するかどうかを判断することができる。
イソ型1またはイソ型2など、高レベルの細胞質β−カテニンを持たない細胞株の場合、Wnt3a順化培地を使って細胞を処理し、細胞質β−カテニンを誘発させることができる。Wnt3a順化培地は、ATCCのLMTK安定細胞株発現Wnt3aから採取した。細胞は、T225フラスコ内で90%の密集度まで成長させた。細胞の培養基を収集して、順化培地として使用した。DKKL−1イソ型1、イソ型2、またはイソ型3を発現するRat1細胞は、6ウェルの皿内で成長させた。細胞が80%の密集度に達したら、2mLのWnt3a順化培地を細胞上に3時間にわたって添加し、細胞を収集して細胞分画手順を実施した。細胞画分は、SDS−PAGEゲル上に装填して、β−カテニンポリクローナル抗体を使用して、ウェスタン分析を実施した。
β−カテニンシグナル伝達の活性化を図8に示す。β−カテニンの安定化を図9に示す。
(実施例16:Soft agarコロニーの形成)
Base agarは、減菌水中の1%アガロース(DNAグレード)溶液を使用して調製した。1%アガロース溶液は、電子レンジ内で加熱して、アガロースを融解させた。この溶液は、水槽内で40℃に冷却した。2XDMEM+20%FBSを調製し、水槽中で40℃に加熱した。両方の媒体およびアガロース溶液は、少なくとも1時間にわたってインキュベートし、温度を平衡させた。等量のこの2つの溶液を混合し、0.5%Agar+1XDMEM+10FBSを取得した。2mLの混合物を6ウェル皿のウェルごとに添加し、硬化させた。このプレートは、40℃で1週間以下保存した。Top agarは、0.7%アガロースを電子レンジ内で融解させて調製し、水槽中で40℃に冷却した。2XDMEM+20%FCSも、40℃に加熱した。DKKL−1イソ型1、イソ型2またはイソ型3を発現するRat1安定細胞株、およびRasV12またはpCMVベクターのみを発現するRat1安定細胞株をトリプシン処理し、計算した。60,000個の細胞を、2.25mLの2XDMEM+20%のFCS中で希釈した。25mLの0.7%Agarを60,000個の細胞に添加し、1.5mLを各3個のウェルに添加した。2mLのDMEM−10%FBSは、agarの上部に重畳して、3日ごとに交換し、14日目、コロニーが目視で観察された。agarプレートは、37℃において0.005%のクリスタルバイオレットで2時間着色し、1XPBSを使って5〜6回着色を除去して、コロニーを紫色に着色し、agarの色は退色させた。コロニーは、ライトボックス上で目視で勘定し、総数の平均を標準偏差で録した。
(実施例17:癌細胞株におけるDKKL−1イソ型の免疫組織化学)
NCI−H28、NCI−H522、NCI−H526、A549、NCI−H460肺癌細胞株、C33A子宮頸癌細胞株、PC3前立腺癌細胞株、HT−29、SW620結腸癌細胞株、およびMDA−MB−435乳癌細胞株、またはDKKL−1イソ型1、イソ型2、もしくはイソ型3を発現するトランスフェクト293T細胞は、T225フラスコ中で、約2×107/mLの密集度まで成長させ、各々の細胞ペレットを得た。細胞ペレットは、10%NBホルマリン中で12〜24時間にわたって凝固させ、ホルマリンは、その時点で70%エタノールと置換した。凝固した細胞ペレットは、組織処理装置上で処理し、パラフィン中に包理した。細胞ペレットを3mLのOCTで処理し、ドライアイスでスナップ凍結することにより、異なる凝固方法も使用した。ペレットを包理された凍結OCTは、適切に標識したクリオモールド中に再度包理し、凍結保存した。
細胞ペレットおよび組織の部分は、脱パラフィン処理し、水に水和させた。抗原の検索は、Decloaker(Biocare、カリフォルニア州、ウォルナットクリーク)中で5分間、201b圧で1:10に希釈したReveal(Biocare)を使用して実施した。免疫組織化学手順は、DAKO Autostainer Plus(DAKO、カリフォルニア州、カーペンテリア)上で実施した。内生ビオチンは、アビジンビオチンブロッキング溶液(Vector Labs、カリフォルニア州、バーリンゲーム)を使用してブロックし、DAKOペロキシダーゼブロック(DAKO)により、内生ペロキシダーゼクエンチングを実施した。内生免疫グロブリンは、抗体賦形剤(Ventana、アリゾナ州、トゥーソン)を使用して30分間ブロックし、その後、一次抗体中で30分間インキュベートした。マウスモノクローナル抗−DKKL−1イソ型1抗体(R & D systems)、マウスモノクローナル抗−DKKL−1イソ型2抗体(A8.7)、マウスモノクローナル抗−DKKL−1panイソ型抗体(A49.3)、ラビットポリクローナル抗−DKKL−1panイソ型抗体(379−3)、およびIgG予備放血コントロール(Chiron、カリフォルニア州、エメリービル)を2.5μg/mLで使用した。ビオチニル化AffiniPure F(ab’)2断片のヤギ抗ラビット、または抗マウスIgG F(ab’)2断片の特異的な二次抗体(Jackson immunoResearch、West Grove、カリフォルニア州)を2.5μg/mL、次にVectastain ABC Elite(Vector Labs)を使用して検出を行った。色素産性カラー化は、Stable DAB(Invitrogen、カリフォルニア州、カールズバッド)を使用して実施した。Mayerのヘマトキシリンを対比染色として使用し、選別されたアルコール中で脱水し、キシレンで除去して、合成実装媒体を使用してカバースリップを取り付けた。
DKKL−1イソ型1に関して、陽性コントロール293+DKKL−1トランスフェクト細胞ペレットは、抗−ヒトSoggy−1マウスIgG1で着色した場合、予想どおり陽性だったが、テストした他の細胞株は陰性だった。DKKL−1イソ型2に関しては、DKKL−1イソ型2に対するウェスタンブロットにより陽性だったモノクローナル抗体A8.7細胞株を使用して、IHCによりやはり免疫反応性だった。この2つの細胞株は、ウェスタンブロット(PC3およびSW620)により陰性であることが判明し、同様にIHCで陰性から微量の着色だった。以下の表5および6参照。
着色強度は、4> 3 >2 >1>0として記載し、0=「着色なし」または「−」である。記載されている割合は、1〜4の強度で着色された視野当たりの細胞の割合を表す。「散在」は、<50%を表す。(M)=膜の着色;Cy=細胞質の着色である。
(実施例18:増殖およびタンパク質レベルに対するsiRNAの影響)
C33A子宮頸癌細胞株、A2780卵巣癌細胞株、およびNCI− H522癌細胞株は、タンパク質レベルおよびmRNAレベルの両方でDKKL−1を発現する。OVC AR8卵巣癌細胞株は、DKKL−1を発現しない(タンパク質およびmRNA−CT:>35の両方)。
細胞(C33A子宮頸癌細胞株、A2780卵巣癌細胞株、NCI− H522癌細胞株、OVCAR8卵巣癌細胞株、およびRat1細胞株)は、トランスフェクションの前日、0.5mLの培地中の48ウェルペレットの中に、細胞10000個/ウェルで播種した。ペレットは、37℃O/Nでインキュベートした。翌日、この培地を除去し、0.5mLの完全培地を添加した。Eppendorf管内に、100μLのOptiMemを添加した。100nMにおける希釈siRNA(20μMストック)、および3.75μMにおける希釈脂質(0.5mMストック)を一緒に混合して複合体を形成し、滴状に細胞に添加した。siRNAを含むこの細胞は、37℃で4時間から一晩インキュベートし、完全培地と置換した。細胞は、24〜72時間で採取し、RNA/タンパク質レベルを監視した。増殖は、Promega Cell titre Glowアッセイを使用して、0時間、24時間、48時間、および72時間で測定した。使用したsiRNAは、Si379−2:
AAAGAGGAGAACCAGGAGCAC 配列番号13; Si379−8:
GGTGGCCTTCTGGATCATTAA 配列番号14; and Si379−10:
GACCCACAAGGACGTCCTAGA 配列番号15.Eg5 siRNA:
AACTGAAGACCTGAAGACAAT(配列番号16)を増殖のための陽性コントロール、およびEg5スクランブル配列)として使用した:
AATAACAGAAGTCCAGAAGTC(配列番号17)は、陰性コントロールとして使用した。
図11は、Rat1細胞におけるDKKL−1スプライス変異体タンパク質のノックダウンを示す。図12は、C33A子宮頸癌細胞株、A2780卵巣癌細胞株、およびNCI−H522癌細胞株に対するsiRNAの増殖防止の影響を示す。
(実施例19:配列)
DKKL−1イソ型1:ヌクレオチド配列(配列番号1)
DKKL−1イソ型1:タンパク質配列(配列番号2)
DKKL−1イソ型2:DKKL−1ポリヌクレオチド配列(配列番号3)
DKKL−1イソ型2:タンパク質配列(配列番号4)
DKKL−1イソ型3:ヌクレオチド配列(配列番号5)
DKKL−1イソ型3:タンパク質配列(配列番号6)
本明細書に引用するすべての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願を本明細書に援用すると明確かつ個々に指示されているのと同様に、引用することにより本願に援用する。
上記の発明について、明確に理解できるようにするために、具体的に一例としてある程度詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明の示唆を考慮することにより、添付の請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、本発明に一定の変更および修正を加えることができることを容易に理解するであろう。