JP2008531532A - ヒスタミンh3拮抗薬としての1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン - Google Patents

ヒスタミンh3拮抗薬としての1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I):
Figure 2008531532

で表される化合物とその塩およびその調製方法、それを含む組成物、ならびにアレルギー性鼻炎などの各種障害の治療におけるその使用、に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ある化合物、その調製方法、それを含む医薬組成物、および各種障害特に気道の炎症性障害および/またはアレルギー性障害の治療におけるその使用に関する。
アレルギー性鼻炎、肺炎および肺うっ血は、多くの場合、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎などの他の病態が関連する病状である。一般に、これらの病状には、各種の細胞、特にマスト細胞からのヒスタミンの放出が関連している炎症が、少なくとも一部介在している。
「花粉症」とも呼ばれるアレルギー性鼻炎は、世界の人口の大部分に影響を及ぼしている。アレルギー性鼻炎には二つのタイプ、季節性と通年性がある。季節性アレルギー性鼻炎の臨床症状としては、典型的には、鼻の痒みと刺激、クシャミ、および水様鼻汁が挙げられ、多くの場合鼻詰まりが伴う。通年性アレルギー性鼻炎の臨床症状は、鼻閉がよりひどい以外は似たようなものである。アレルギー性鼻炎のどちらのタイプも、喉および/または眼の痒み、流涙、眼の周りの浮腫などの他の症状を引き起こすことがある。アレルギー性鼻炎の症状の程度は、不快なレベルから衰弱レベルまで変化し得る。
アレルギー性鼻炎や他のアレルギー性病状には、さまざまな細胞タイプの中でも特にマスト細胞からのヒスタミンの放出が関連する。ヒスタミンの生理活性には、古典的には、H1、H2、およびH3と呼ばれる三つの受容体サブタイプが介在している。H1受容体は中枢神経系と末梢神経系に広く分布しており、覚醒状態および急性炎症に関与する。H2受容体は、ヒスタミンに応答して胃酸分泌に介在する。H3受容体は中枢神経系と末梢神経系のいずれの神経終末にも存在しており、神経伝達物質放出の抑制に介在する[非特許文献1]。最近、ヒスタミン受容体ファミリーの四番目のメンバーが明らかにされ、H4受容体と命名された[非特許文献2]。H4受容体の分布は免疫系と炎症系の細胞に限られているように見受けられるが、この受容体の生理的な役割はまだ明らかにされていない。
血管や神経終末のH1受容体の活性化は、痒み、クシャミ、水様鼻汁産出などのアレルギー性鼻炎症状の多くを引き起こす。抗ヒスタミン化合物すなわち選択的H1受容体拮抗薬である薬物例えばクロルフェニラミンやセチリジンは、アレルギー性鼻炎に伴う痒み、クシャミ、鼻汁を治療するのに有効であるが、鼻詰まり症状に対しては有効でない[非特許文献3]。
ヒスタミンH3受容体は中枢神経系終末と末梢神経終末のいずれにも広く発現しており、神経伝達物質放出の抑制に介在する。分離ヒト伏在静脈の末梢交感神経のインビトロ電気的刺激はノルアドレナリン放出の増大および平滑筋の収縮をもたらし、これはヒスタミンH3受容体作動薬によって抑制することができる[非特許文献4及び5]。H3受容体作動薬はまた、ブタ鼻粘膜の血管緊張に対する交感神経活性化の効果を阻害する[非特許文献6]。インビボでは、H3受容体作動薬は、交感神経活性化によってもたらされる鼻気道抵抗低下を抑制する[非特許文献7]。ヒト鼻粘膜のヒスタミンH3受容体の活性化は、交感神経性血管収縮を抑制する[非特許文献8]。さらに、H3受容体拮抗薬は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬との組み合せで、鼻気道抵抗および鼻腔容積(鼻詰まりの一つの指標)に対するマスト細胞活性化の作用を逆転させることがこれまでに示されており[非特許文献9]、また正常ヒト被検体で行われたヒスタミン鼻惹起検査・分析によってヒスタミン誘発鼻閉に対するH3受容体の寄与についてのさらなる証拠が提供されている[非特許文献10]。
Hill et al., Pharmacol. Rev., 49: 253-278,(1997) Hough, Mol. Pharmacol., 59: 415-419,(2001) Aaronson, Ann. Allergy, 67: 541-547,(1991) Molderings et al., Naunyn-Schmiedeberg’s Arch. Pharmacol., 346:46-50,(1992) Valentine et al., Eur. J. Pharmacol., 366: 73-78,(1999) Varty & Hey., Eur. J. Pharmacol., 452: 339-345,(2002) Hey et al., Arzneim-Forsch Drug Res., 48: 881-888,(1998) Varty et al., Eur. J. Pharmacol., 484: 83-89,(2004) Mcleod et al., Am. J. Rhinol., 13: 391-399,(1999) Taylor-Clark et al., British J. Pharmacol., 1-8,(2005)
本発明は、ヒスタミンH3受容体拮抗薬および/または逆作動薬である、ある化合物(またはその塩)に関するものである。この化合物は、マスト細胞のような細胞からのヒスタミン放出が関連する気道の炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患、例えばアレルギー性鼻炎のようなさまざまな病気、特に炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患の治療で有用であると思われる。さらに、本発明の化合物(またはその塩)が以下の特徴:
(i)pKiが約9.5よりも高い、強力なH3拮抗薬/逆作動薬活性;
(ii)H1受容体よりもH3受容体に対しておよそ10,000倍の選択性;
(iii)低CNS(中枢神経系)浸透;
(iv)向上したバイオアベイラビリティ;および
(v)血液中のより低いクリアランスおよび/またはより長い半減期;
の一つ以上をもち得るという点において、本発明の化合物は、公知のH3拮抗薬/逆作動薬よりも改善されたプロファイルを示し得る。
そのようなプロファイルを有している化合物は経口が効果的であり、および/または一日当たり一回の投与が可能となり得る。および/またはさらに他の既存治療薬に比較して改善された副作用プロファイルを有し得る。
つまり本発明は、第一の態様で、化合物1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン
Figure 2008531532
または(例えば医薬的に許容される塩などの)その塩を提供する。
本発明が式(I)の化合物をその遊離の塩基としておよびその塩(例えば医薬的に許容される塩)として保護していることは理解されるべきである。
さらに、以降における本発明の化合物または式(I)の化合物についての言及は、遊離の塩基としての式(I)の化合物、または塩としての式(I)の化合物を意味することは理解されるべきである。
本明細書で使用される用語「医薬的に許容される塩」とは、レシピエントへの投与に際して本発明の化合物またはその活性代謝産物もしくは残基を(直接的にまたは間接的に)供することができる本発明の化合物のあらゆる医薬的に許容される塩または溶媒和物を意味する。
有機化合物の多くは溶媒と複合体を形成することができ、それらが反応すること、または複合体から沈殿または結晶化することは理解されよう。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。例えば、水との複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲の中に入る。
本発明の化合物は、医薬的に許容される塩の形態にあっても良いし、および/または医薬的に許容される塩として投与しても良い。適切な塩に関する総説については、Berge et al., J. Pharm. Sci., 66: 1-19,(1977)を参照されたい。
典型的には、医薬的に許容される塩は、所望の酸を適宜用いることで容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿させて濾過によって回収することができるし、あるいは溶媒の蒸発によっても回収することができる。
医薬的に許容される酸付加塩は、任意付加的な有機溶媒などの適当な溶媒中で式(I)の化合物と適切な無機もしくは有機酸(例えば臭化水素酸、塩化水素酸、ギ酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、あるいはナフタレンスルホン酸)を反応させてその塩を生成させることで形成することができ、これは、通常、例えば結晶化や濾過により単離される。つまり、式(I)の化合物の医薬的に許容される酸付加塩は、例えば臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、あるいはナフタレンスルホン酸塩であり得る。
他の医薬的に許容されない塩、例えばシュウ酸塩やトリフルオロ酢酸塩は、例えば本発明の化合物の単離において用いることができ、本発明の範囲の中に含まれる。本発明においては、その範囲の中に、式(I)の化合物の塩の全ての考えられる化学量論的形態および非化学量論的形態が含まれる。
式(I)の化合物は、結晶質形態または非晶質形態にあって良い。さらに、式(I)の化合物の結晶質形態の一部は多形体として存在することができ、これは本発明の範囲の中に含まれる。式(I)の化合物の熱力学的に最も安定な多形形態は、特に興味のあるところである。
式(I)の化合物の多形形態は、例えば、限定するものではないが、粉末X線回折(XRPD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱量計(DSC)、熱重量分析(TGA)、固体核磁気共鳴(NMR)などの多数ある慣用の分析手法を用いてキャラクタリゼーションおよび識別をすることができる。
上記から、本発明の範囲には、本発明の化合物およびその塩の全ての溶媒和物、水和物、複合体、および多形体が含まれることは理解されよう。
本発明はまた、式(I)の化合物またはその塩の調製方法を提供する。
つまり式(I)の化合物は、ジクロロメタンのような適当な溶媒中で、任意付加的な適切な塩基例えばトリエチルアミンおよび適切なカップリング剤例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)の存在下に、式(II)
Figure 2008531532
で表される化合物またはその塩(例えば酸付加塩)と4−(メチルスルホニル)安息香酸とを反応させることによって調製することができる。
別の方法として、ジクロロメタンのような適当な溶媒中で、任意付加的な適切な塩基例えばトリエチルアミンの存在下に、4−(メチルスルホニル)ベンゾイルクロリドを用いてアシル化を行うこともできる。
式(II)の化合物は、以下の反応スキーム:
Figure 2008531532
[a)ジ−t−ブチルジカルボネート、ジメチルホルムアミド;b)ジ−t−ブチルアゾジカルボキシレート、トリフェニルホスフィン、ベンジル4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート、ジクロロメタン;c)H、炭素担持10%パラジウム、エタノール;d)ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、シクロブタノン、ジクロロメタン;e)4M HCl/ジオキサン、ジクロロメタン]
に従って調製することができる。
式(VII)の化合物[56621−48−8]はAcros社、Avocado社、Lancaster社から入手可能であり、4−(メチルスルホニル)−安息香酸[4052−30−6]はAldrich社、Acros社から入手可能である。
式(I)の化合物またはその塩は、国際公開第2004/035556号パンフレットに記載の方法によっても合成することができる(実施例292のステップ4を参照されたい。それが式(II)の化合物である)。
記載した合成経路で用いることができる保護基の例、およびその脱離手段は、T. W. Greene’Protective Groups in Organic Synthesis’(3rd edition, J. Wiley and Sons, 1999)に載っている。好適なアミン保護基としては、スルホニル(例えばトシル)、アシル(例えばアセチル、2’,2’,2’−トリクロロエトキシシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、あるいはt−ブトキシカルボニル)、およびアリールアルキル(例えばベンジル)が挙げられ、これらは適宜加水分解により(例えばジオキサン中塩化水素やジクロロメタン中トリフルオロ酢酸などの酸を用いて)あるいは還元的に(例えばベンジル基の水素化分解や酢酸中亜鉛を用いた2’,2’,2’−トリクロロエトキシシカルボニル基の還元的脱離)脱離させることができる。他の好適なアミン保護基としてはトリフルオロアセチル(−COCF)(これは塩基触媒加水分解により脱離できる)や固体相樹脂結合ベンジル基例えばMerrifield樹脂結合2,6−ジメトキシシベンジル基(Ellmanリンカー)(これは、例えばトリフルオロ酢酸による酸触媒加水分解により脱離できる)が挙げられる。
式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩が潜在的に有用な抗炎症性および/または抗アレルギー性作用を有し得る疾病状態の例としては、気管支炎(慢性気管支炎も含む)、喘息(アレルゲン誘発喘息反応も含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎(季節性および通年性)などの気道の病気が挙げられる。その他の疾病状態としては、炎症性腸疾患(例えばクローン病や潰瘍性大腸炎)や放射線曝露またはアレルゲン曝露腸炎症性二次疾患などの腸炎症性疾患のような胃腸管の病気が挙げられる。
さらに、本発明の化合物は、腎炎、乾癬・湿疹・アレルギー性皮膚炎などの皮膚疾患、および過敏反応症の治療で有用となり得る。
本発明の化合物はまた、鼻ポリープ症、結膜炎、あるいは掻痒症の治療で有用となり得る。
さらなる疾患としては、胃腸管の炎症性疾患(例えば炎症性大腸疾患)が挙げられる。
特に興味のある疾患は、アレルギー性鼻炎である。
H3受容体の拮抗薬および/または逆作動薬である化合物はまた、H3の活性化が関係している可能性のある他の疾患で有用となり得る。そのような疾患としては、非アレルギー性鼻炎が挙げられる。
当業者なら、本明細書における治療または療法の言及は、予防ならびに既往症状の治療に及ぶことは理解されよう。
上述したように、式(I)の化合物は治療薬として有用であり得る。つまり、本発明のさらなる態様として、治療で使用するための式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩が提供される。
本発明のもう一つの態様により、上記病気を治療するための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用が提供される。
さらなる、または別の態様で、治療を必要とするヒトまたは動物被験体での上記病気の治療方法が提供され、該方法は式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む。
式(I)の化合物は、治療で用いられる場合、通常適切な組成で製剤化される。そのような組成物は、標準的な方法により調製することができる。
つまり、本発明はさらに、任意付加的な1種以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物を提供する。
好適には大気温度および大気圧での混合により調製することができる本発明の組成物は、通常、経口、非経口、または直腸投与用に適合するが、特に経口投与用に適合し、それゆえ、タブレット剤、カプセル剤、経口液体調製剤、粉剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、再構成可能粉剤、注射用または輸液用溶液剤または懸濁液剤、または坐剤の形態にあって良い。
経口投与用のタブレット剤およびカプセル剤は単位投薬形態にあって良く、結合剤、増量剤、タブレット用滑剤、崩壊剤、許容されている湿潤剤などの慣用の賦形剤を含んでいて良い。タブレット剤は、正規の製薬プラクティスにおいて良く知られた方法に従ってコートすることができる。
経口液体調製剤は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、あるいはエリキリルの形態にあって良く、また使用前に水または他の適切なビヒクルで再構成される乾燥製品の形態にあっても良い。そのような液体調製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油も含まれ得る)、防腐剤ほか、所望なら慣用の矯味矯臭剤や着色剤を含んでいて良い。
非経口投与用には、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩、および滅菌ビヒクルを用いて液体単位投薬形態が調製される。用いるビヒクルおよび濃度に応じて、化合物をビヒクル中に懸濁させるかまたは溶解させることができる。溶液剤を調製するには、化合物を注入用に溶解させ、そして濾過滅菌したあと適当なバイアルまたはアンプルに充填・密封することができる。有利には、ビヒクルには局所麻酔剤、防腐剤、緩衝剤などの佐剤が溶解される。安定性を増すために、組成物をバイアルに充填したあと凍結させ、同時にその水を真空下で除去することもできる。非経口の懸濁液剤は、化合物がビヒクルに溶解される代わりに懸濁されること、および滅菌が濾過ではできないこと以外は、実質的に同じ方法で調製される。滅菌ビヒクルに懸濁させる前に、化合物はエチレンオキサイドに曝すことで滅菌することもできる。化合物の均一な分布を促進するために、組成物には界面活性剤や湿潤剤を加えておくこともできる。
本組成物は、投与の方法に応じて、活性材料を約0.1%〜99重量%、例えば約10〜60重量%含んでいて良い。上述した病気の治療で用いられる化合物の用量は、障害の深刻度、病人の体重、その他の類似の要因に伴って、通常の様式で変わるものである。しかしながら、一般的な指針としては、適切な単位用量は約0.05〜1000mg、より適切には約1.0〜200mgであって良く、そのような単位用量は、一日当たり1回よりも多く、例えば一日当たり2回または3回投与して良い。そのような治療は数週間あるいは数ヶ月に及び得る。一つの実施形態では、本発明の化合物および組成物は経口投与に適しており、および/または一日1回投与が可能である。
本発明による化合物および組成物は、例えば抗炎症薬、抗コリン薬(特にM/M/M受容体拮抗薬)、β−アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば抗生物質、抗ウイルス剤)、抗ヒスタミン剤などから選択される1種以上の他の治療薬との組み合せで用いても良いしあるいはそれを含んでいても良い。つまり本発明は、さらなる態様で、例えば抗炎症薬(例えば他のコルチコステロイドやNSAID)、抗コリン薬、β−アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば抗生物質や抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤から選択される1種以上の他の治療的に活性な薬剤と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。β−アドレナリン受容体作動薬、および/または抗コリン薬、および/またはPDE−4抑制薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せは本発明のなおもう一つの態様を形成する。本発明の組み合せは1種または2種の他の治療薬を含んでいても良く、また任意付加的に1種以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤を所望される通りに含んでいても良い。
適切であれば、上記他の治療成分を、塩(例えばアルカリ金属塩やアミン塩としてあるいは酸付加塩として)、またはプロドラッグ、またはエステル(例えば低級アルキルエステル)、または溶媒和物(例えば水和物)の形態で用いてその治療成分の活性および/または安定性および/または物理特性(例えば溶解度)を至適化できることは当業者には明らかであると思われる。また、適切であれば、上記治療成分は、光学的に純粋な形態で用いても良いことは明らかであると思われる。
β−アドレナリン受容体作動薬の例としては、サルメテロール(例えばラセミ化合物やR−エナンチオマーまたはS−エナンチオマーのような単体エナンチオマーとして)、サルブタモール(例えばラセミ化合物やR−エナンチオマーのような単体エナンチオマーとして)、ホルモテロール(例えばラセミ化合物やR−エナンチオマーのような単体エナンチオマーとして)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール[flerbuterol]、レプロテロール、バムブテロール、インダカテロール、テルブタリン、ならびにこれらの塩例えばサルメテロールのキシナホ酸(1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシレート)塩、サルブタモールの硫酸塩または遊離塩基、あるいはホルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。約12時間以上の有効な気管支拡張を与える長時間作用性β−アドレナリン受容体作動薬と一緒に本発明の化合物を含む組み合せは、特に興味深いものとなり得る。
その他のβ−アドレナリン受容体作動薬としては、国際公開第02/066422号パンフレット、国際公開第02/070490号パンフレット、国際公開第02/076933号パンフレット、国際公開第03/024439号パンフレット、国際公開第03/072539号パンフレット、国際公開第03/091204号パンフレット、国際公開第04/016578号パンフレット、国際公開第2004/022547号パンフレット、国際公開第2004/037807号パンフレット、国際公開第2004/037773号パンフレット、国際公開第2004/037768号パンフレット、国際公開第2004/039762号パンフレット、国際公開第2004/039766号パンフレット、国際公開第01/42193号パンフレットおよび国際公開第03/042160号パンフレットに記載のものが挙げられる。
例示的なβ−アドレナリン受容体作動薬としては:
3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノール;
4−{(1R)−2−[(6−{4−[3−(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシメチル)フェノール;
N−[2−ヒドロキシl−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[2−4−[[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N−2{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシシフェニル)アミノフェニル]エチル}−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミン;および
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチル−プロポキシ)−フェニルアミノ]−フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
が挙げられる。
抗炎症薬としてはコルチコステロイドが挙げられる。本発明の化合物との組み合せで用いることができるコルチコステロイドは、抗炎症活性を有している経口用、吸入用のコルチコステロイドおよびそのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、フルチカゾンプロピオネート、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17β−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17β−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンのエステル(例えばその17−プロピオン酸エステルまたはその17,21−ジプロピオン酸エステル)、ブデゾニド、フルニゾリド、モメタゾンのエステル(例えばそのフロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17−[[(R)−シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)、ブチキソコルトプロピオネート、RPR−106541、およびST−126が挙げられる。興味を引くと思われるコルチコステロイドとしては、フルチカゾンプロピオネート、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17β−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−シアノメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17β−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、特に6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステルが挙げられる。
転写促進よりも転写抑制に対して選択性を有し得る、また組み合せ治療で有用となり得るグルココルチコイド作動性を有する非ステロイド系化合物としては、次の特許:国際公開第03/082827号パンフレット、国際公開第01/10143号パンフレット、国際公開第98/54159号パンフレット、国際公開第04/005229号パンフレット、国際公開第04/009016号パンフレット、国際公開第04/009017号パンフレット、国際公開第04/018429号パンフレット、国際公開第03/104195号パンフレット、国際公開第03/082787号パンフレット、国際公開第03/082280号パンフレット、国際公開第03/059899号パンフレット、国際公開第03/101932号パンフレット、国際公開第02/02565号パンフレット、国際公開第01/16128号パンフレット、国際公開第00/66590号パンフレット、国際公開第03/086294号パンフレット、国際公開第04/026248号パンフレット、国際公開第03/061651号パンフレット、国際公開第03/08277号パンフレット、に記載のものが挙げられる。
抗炎症薬としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。NSAIDとしては、ナトリウムクロモグリケート、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えばテオフィリン、PDE4阻害薬、あるいは混合PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成の抑制物質(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害薬、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害薬、ベータ−2インテグリン拮抗薬およびアデノシン受容体作動薬または拮抗薬(例えばアデノシン2a作動薬)、サイトカイン拮抗薬(例えばCCR3拮抗薬のようなケモカイン拮抗薬)またはサイトカイン合成の抑制物質、あるいは5−リポキシゲナーゼ阻害薬が挙げられる。iNOS阻害薬としては、国際公開第93/13055号パンフレット、国際公開第98/30537号パンフレット、国際公開第02/50021号パンフレット、国際公開第95/34534号パンフレットおよび国際公開第99/62875号パンフレットに開示されているものが挙げられる。CCR3阻害薬としては、国際公開第02/26722号パンフレットに開示されているものが挙げられる。
本発明の組み合せで有用なPDE4特異的阻害薬としては、PDE4酵素を阻害することが知られている、またはPDE4阻害薬として作用することが発見された任意の化合物、さらにPDE4と同時にPDE3やPDE5などの他のPDEファミリーメンバーを阻害する化合物ではなく、PDE4阻害薬のみである任意の化合物を挙げることができる。
PDE4阻害薬としては、シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシシ−4−ジフルオロメトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−オンおよびシス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシシ−4−ジフルオロメトキシシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]が挙げられる。また、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸(シロミラストとも呼ばれる)ならびにその塩、エステル、プロドラッグもしくは物理的形態が、1996年9月3日発行の米国特許第5,552,438号明細書に記載されている。
その他のPDE4阻害薬としては、Elbion社が提供しているAWD−12−281(Hofgen, N.et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst P. 98; CAS reference No. 247584020-9);9−ベンジルアデニン誘導体指定NCS−613(INSERM社);Chiroscience and Schering−Plough社が提供しているD−4418;CI−1018(PD−168787)と識別されPfizer社製であるベンゾアゼピンPDE4阻害薬;Kyowa Hakko社が国際公開第99/16766号パンフレットで開示しているベンゾジオキソール誘導体;Kyowa Hakko社が提供しているK−34;Napp社が提供しているV−11294A(Landells, L. J. et al., Eur. Resp. J. [Ann. Cong. Eur. Resp. Soc. (Sept 19-23,Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393);Byk−Gulden社が提供しているロフルミラスト(CAS reference No.162401−32−3)およびフタラジノン(国際公開第99/47505号パンフレット);Byk−Gulden社(現在はAltana社)により調製・発表された混成PDE3/PDE4阻害薬であるプマフェントリン[Pumafentrine]、(−)−p−[(4aR,10bS)−9−エトキシシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−8−メトキシシ−2−メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル]−N,N−ジイソプロピルベンザミド;Almirall−Prodesfarma社が開発中のアロフィリン;Vernalis社が提供しているVM554/UM565;あるいはT−440(Tanabe Seiyaku; Fuji, K. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 284(1): 162, 1998)、およびT2585;が挙げられる。
興味のあるさらなる化合物が、公開された国際特許出願である国際公開第04/024728号パンフレット(Glaxo Group Ltd)、PCT/EP2003/014867(Glaxo Group Ltd)およびPCT/EP2004/005494(Glaxo Group Ltd)に開示されている。
抗コリン薬は、ムスカリン性受容体で拮抗薬として作用する化合物、特にMまたはM受容体の拮抗薬、M/MまたはM/M受容体のデュアル拮抗薬、またはM/M/M受容体のパン拮抗薬[pan-antagonists]である化合物である。吸入による投与用の例示的な化合物としては、イプラトロピウム(例えばその臭化物として、CAS22254−24−6、商品名「Atrovent」で販売されている)、オキシトロピウム(例えばその臭化物として、CAS30286−75−0)、およびチオトロピウム(例えばその臭化物として、CAS136310−93−5、商品名「Spiriva」で販売されている)が挙げられる。レバトロペート(例えばその臭化水素酸塩として、CAS262586−79−8)、および国際公開第01/04118号パンフレットに開示されているLAS−34273も興味あるところである。経口投与用の例示的な化合物としては、ピレンゼピン(CAS28797−61−7)、ダリフェナシン(CAS133099−04−4、または商品名「Enablex」で販売されているその臭化水素酸塩についてはCAS133099−07−7)、オキシブチニン(CAS5633−20−5、商品名「Ditropan」で販売されている)、テロジリン(CAS15793−40−5)、トルテロジン(CAS124937−51−5、またはその酒石酸塩についてはCAS124937−52−6、商品名「Detrol」で販売されている)、オチロニウム(例えばその臭化物として、CAS26095−59−0、商品名「Spasmomen」で販売されている)、塩化トロスピウム(CAS10405−02−4)、およびソリフェナシン(CAS242478−37−1、またはYM−905とも呼ばれ且つ商品名「Vesicare」で販売されているそのコハク酸塩についてはCAS242478−38−2)が挙げられる。
その他の抗コリン薬としては、米国特許出願第60/487981号明細書に開示されている式(XXI):
Figure 2008531532
[式中、
トロパン環に結合しているアルキル鎖の配向は、エンドであって良く;
31およびR32は、独立に、例えば1〜6個の炭素原子を有している直鎖または分枝鎖低級アルキル基、5〜6個の炭素原子を有しているシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有しているシクロアルキル−アルキル、2−チエニル、2−ピリジル、フェニル、4個以下の炭素原子を有しているアルキル基で置換されたフェニル、および4個以下の炭素原子を有しているアルコキシ基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
は、N原子の正電荷と会合しているアニオンを表し、Xは、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩で有り得る]
で表される化合物が挙げられ、例えば:
(3−エンド)−3−(2,2−ジ−2−チエニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ジフェニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−(2,2−ジフェニルエテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4−メチルベンゼンスルホネート;
(3−エンド)−8,8−ジメチル−3−[2−フェニル−2−(2−チエニル)エテニル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;および/または
(3−エンド)−8,8−ジメチル−3−[2−フェニル−2−(2−ピリジニル)エテニル]−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
さらなる抗コリン薬としては、米国特許出願第60/511009号明細書に開示されている式(XXII)または式(XXIII):
Figure 2008531532
[式中:
矢印で示したH原子はエキソ配置にあり;
41は、N原子の正電荷と会合しているアニオンを表し、R41は、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびトルエンスルホン酸塩で有り得;
42およびR43は、独立に、(例えば、1〜6個の炭素原子を有している)直鎖または分枝鎖低級アルキル基、(5〜6個の炭素原子を有している)シクロアルキル基、(6〜10個の炭素原子を有している)シクロアルキル−アルキル、(5〜6個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有している)ヘテロシクロアルキル、(6〜10個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有している)ヘテロシクロアルキル−アルキル、アリール、置換されていても良いアリール、ヘテロアリール、および置換されていても良いヘテロアリールからなる群から選択され;
44は、(C〜C)アルキル,(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)ヘテロシクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール,(C〜C)アルキル−アリール,(C〜C)アルキル−ヘテロアリール、−OR45、−CHOR45、−CHOH、−CN、−CF、−CHO(CO)R46、−CO47、−CHNH、−CHN(R47)SO45、−SON(R47)(R48)、−CON(R47)(R48)、−CHN(R48)CO(R46)、−CHN(R48)SO(R46)、−CHN(R48)CO(R45)、−CHN(R48)CONH(R47)からなる群から選択され;
45は、(C〜C)アルキル,(C〜C)アルキル(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C)ヘテロシクロアルキル,(C〜C)アルキル−アリール,(C〜C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され;
46は、(C〜C)アルキル,(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)ヘテロシクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール,(C〜C)アルキル−アリール,(C〜C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択され;
47およびR48は、独立に、H,(C〜C)アルキル,(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)ヘテロシクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C12)シクロアルキル,(C〜C)アルキル(C〜C)ヘテロシクロアルキル,(C〜C)アルキル−アリール、および(C〜C)アルキル−ヘテロアリールからなる群から選択される]
で表される化合物が挙げられ、例えば:
(エンド)−3−(2−メトキシシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオニトリル;
(エンド)−8−メチル−3−(2,2,2−トリフェニル−エチル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオン酸;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロパン−1−オール;
N−ベンジル−3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピオンアミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1−ベンジル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
1−エチル−3−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−アセトアミド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンズアミド;
3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−プロピオニトリル;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−ベンゼンスルホンアミド;
[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−尿素;
N−[3−((エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル)−2,2−ジフェニル−プロピル]−メタンスルホンアミド;および/または
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
本発明の組み合せで有用となり得る特に興味ある化合物としては:
(エンド)−3−(2−メトキシシ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)−3−(2−カルバモイル−2,2−ジフェニル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)−3−(2−シアノ−2,2−ジ−チオフェン−2−イル−エチル)−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;および/または
(エンド)−3−{2,2−ジフェニル−3−[(1−フェニル−メタノイル)−アミノ]−プロピル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
が挙げられる。
特に興味あるのは、H1拮抗薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せである。好適なH1拮抗薬としては、限定するものではないが、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デカルボエトキシルオラタジン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレンナミン、テメラスチン、トリメプラジン、およびトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジンおよびフェキソフェナジン、が挙げられる。単独で、またはH3受容体拮抗薬との組み合せで用いることができるその他のヒスタミン受容体拮抗薬としては、H4受容体の拮抗薬(および/または逆作動薬)、例えばJablonowski et al J. Med Chem. 46: 3957-3960(2003)に開示されている化合物が挙げられる。
つまり本発明は、さらなる態様で、PDE4阻害薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
つまり本発明は、さらなる態様で、β−アドレナリン受容体作動薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
つまり本発明は、さらなる態様で、抗コリン薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
つまり本発明は、さらなる態様で、H1受容体拮抗薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
つまり本発明は、さらなる態様で、コルチコステロイドと一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
つまり本発明は、さらなる態様で、A2a受容体作動薬と一緒に式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組み合せを提供する。
上記した組み合せは、都合良く、組成物の形態で用いられるために提供されても良く、つまり任意付加的な医薬的に許容される希釈剤または担体と一緒に上記で定義した組み合せを含む組成物は本発明のさらなる態様となる。
そのような組み合せの個々の化合物は、別々の組成物かまたは組み合せの組成物で順次的に投与することができるし、または同時的に投与することもできる。好適には、個々の化合物は、組み合せの組成物で同時に投与されるものである。当業者であれば、公知の治療薬の適切な用量は、容易に理解されよう。
本発明の化合物は、以下に説明する方法によってあるいは同じような方法によって調製することができる。つまり以下の詳細例および実施例は本発明の化合物の調製を説明するものであって、本発明の範囲を限定するものとは決してとるべきでない。
一般的実験事項
実施例をとおして、以下の略記号を用いる:
LCMS:液体クロマトグラフィー/質量分析;
RT:保持時間;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
min:分。
SCXカートリッジはIon Exchange SPEカラムであり、ここでは静止相は高分子ベンゼンスルホン酸である。これらは、アミンを単離するのに用いられる。
SCX2カートリッジはIon Exchange SPEカラムであり、ここでは静止相は高分子プロピルスルホン酸である。これらは、アミンを単離するのに用いられる。
有機溶液は、硫酸マグネシウムか硫酸ナトリウムで脱水した。
LCMSは、水中0.1%HCOHおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)とアセトニトリル中0.05%HCOHおよび5%水(溶媒B)で溶離するSupelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cm×4.6mm ID)で行い、流速3mL/minで以下の溶離勾配:0.0〜0.7min 0%B;0.7〜4.2min 100%B;4.2〜5.3min 0%B;5.3〜5.5min 0%B;を用いた。質量スペクトルは、エレクトロスプレーポジティブおよびネガティブモード(ES+veおよびES−ve)を用いるFisons VG Platform分光計で記録した。
説明例1:1,1−ジメチルエチル4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペラジンカルボキシレート(D1)
ジ−t−ブチルジカルボネート(257g、1.18モル)のN,N−ジメチルホルムアミド(400mL)溶液を5〜10℃にあるN,N−ジメチルホルムアミド(800mL)中N−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン(200g、1.12モル)の撹拌懸濁液に滴下で加えた。この混合物を冷浴中でさらに1時間撹拌し、続いて周囲温度まで昇温させ、その後に2日間撹拌した。この混合物を分液漏斗中でヘキサン(1200mL)で洗い、そしてそのDMF相を分離し、真空中で蒸発させた。この残留物をジエチルエーテルで摩砕し、得られた固形物をジエチルエーテルで洗って標題化合物(304g)を得た。LCMS RT=2.76min、ES+ve m/z 279[M+H]
説明例2:1,1−ジメチルエチル4−{4−[(1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−1−ピペラジンカルボキシレート(D2)
ジ−t−ブチルアゾジカルボキシレート(25g、108ミリモル)の脱水ジクロロメタン(150mL)溶液を脱水ジクロロメタン(300mL)中1,1−ジメチルエチル4−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ピペラジンカルボキシレート(D1)(25.16g、90.4ミリモル)、ベンジル4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート(Aldrich社)(25.56g、109ミリモル)、およびトリフェニルホスフィン(28.45g、108ミリモル)の撹拌混合物にその反応温度を25℃より下に保つために必要に応じ冷却しながら滴下で加えた。この混合物を続いて周囲温度で一晩、その後さらに24時間撹拌した。この溶媒を蒸発させ、得られた残留物を、ジクロロメタン・酢酸エチル(9:1)で溶離するシリカカラムで精製して、標題化合物(17.9g)を得た。LCMS RT=3.79min、ES+ve m/z 496[M+H]
説明例3:1,1−ジメチルエチル4−[4−(4−ピペリジニルオキシ)フェニル]−1−ピペラジンカルボキシレート(D3)
Figure 2008531532
1,1−ジメチルエチル4−{4−[(1−{[(フェニルメチル)オキシ]カルボニル}−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−1−ピペラジンカルボキシレート(D2)(5.1g)をエタノール(50mL)中炭素担持10%パラジウムにより大気圧で1時間かけて水素化した。触媒はCeliteカートリッジによる濾過により分離し、エタノールで洗った。合わせた炉液および洗浄液を濃縮して標題化合物(2.023g)を得た。LCMS RT=2.30min、ES+ve m/z 362(M+H)
説明例4:1,1−ジメチルエチル4−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−1−ピペラジンカルボキシレート(D4)
Figure 2008531532
1,1−ジメチルエチル4−[4−(4−ピペリジニルオキシ)フェニル]−1−ピペラジンカルボキシレート(D3)(2.023g、5.60ミリモル)のジクロロメタン(30mL)溶液に酢酸(0.32mL、5.60ミリモル)およびシクロブタノン(0.836mL、11.2ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で5分間撹拌した。その後この溶液にトリアセトキシボロ水素化ナトリウム(1.78g、8.40ミリモル)を加え、これを室温で一晩撹拌した。この反応混合物をこの後ジクロロメタンと水間に分配させた。この有機層をブラインで洗い、濃縮し、そしてメタノールで溶離するSCX−2カートリッジ(20g)その後メタノール中2Mアンモニア溶液により精製し、そのアンモニア分画を回収して標題化合物(1.136g)を得た。LCMS RT=2.42min、ES+ve m/z 416(M+H)
説明例5:1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}ピペラジントリヒドロクロリド(D5)
Figure 2008531532
1,1−ジメチルエチル4−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−1−ピペラジンカルボキシレート(D4)(1.136g、2.74ミリモル)のジクロロメタン(15mL)溶液にジオキサン(15mL)中4M塩化水素溶液を加え、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。この反応混合物をこの後濃縮して標題化合物(1.158g)を得た。LCMS RT=0.21minおよび0.28min、ES+ve m/z 316(M+H)
実施例1:1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン
Figure 2008531532
4−(メチルスルホニル)安息香酸(78mg、0.39ミリモル)とO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(125mg、0.39ミリモル)の混合物に1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}ピペラジントリヒドロクロリド(D5)(125mg、0.3ミリモル)のジクロロメタン(4mL)溶液およびトリエチルアミン(0.54mL、3.90ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。この反応混合物をこの後ジクロロメタンと飽和NaHCO水溶液間に分配させた。この有機層を濃縮し、エタノールで溶離するSCX−2カートリッジ(5g)その後メタノール中2Mアンモニア溶液で精製し、そのアンモニア分画を回収して標題化合物(118.7mg)を得た。LCMS RT=2.12min,ES+ve m/z 498(M+H)H NMR δ(CDOD;400MHz)8.06(2H,m),7.69(2H,m),6.95(2H,m),6.87(2H,m),4.32(1H,br m),3.92(2H,br m),3.53(2H,br m),3.15(5H,sおよびbr m),3.02(2H,br m),2.90(1H,br m),2.70(2H,br m),2.32(2H,br m),2.15−1.68(10H,m)。
生物学的データ
以下のアッセイもしくは類似のアッセイにより、本発明の化合物をインビトロ生物学的活性について試験することができる。
H1受容体細胞系発生およびFLIPRアッセイプロトコル
1.ヒスタミンH1細胞系の発生
文献[Biochem. Biophys. Res. Commun. 1994, 201(2), 894]に載っている公知の方法によりヒトH1受容体をクローニングした。文献[Br. J. Pharmacol. 1996, 117(6), 1071]に載っている公知の方法によりヒトH1受容体を安定に発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞を発生させた。
ヒスタミンH1官能拮抗薬アッセイ
このヒスタミンH1細胞系を、無コート黒壁透明底384ウェル組織培養プレート中の、透析子ウシ胎児血清(Gibco/Invitrogen社カタログ番号12480−021)10%およびL−グルタミン(Gibco/Invitrogen社カタログ番号25030−024)2mMが補充されたアルファミニマムエッセンシャルミディアム(Gibco/Invitrogen社、カタログ番号22561−021)に接種し、一晩5%CO、37℃に維持しておいた。
各ウェルから過剰培地を除去して10μLを残した。各ウェルにローディングダイ(タイロード緩衝液+プロベネシド(145mM NaCl、2.5mM KCl、10mM HEPES、10mM D−グルコース、1.2mM MgCl、1.5mM CaCl、2.5mMプロベネシド;NaOH 1.0MでpHを7.40に調整)に希釈された250μM Brilliant Black、2μM Fluo−4)30μLを加え、プレートを60分間5%CO、37℃でインキュベートした。
タイロード緩衝液+プロベネシドに必要とされる濃度に希釈された試験化合物10μL(またはコントロールとしてのタイロード緩衝液+プロベネシド10μL)を各ウェルに加え、プレートを30分間37℃、5%COでインキュベートした。この後、Sullivan et al., (In: Lambert DG (ed.), Calcium Signaling Protocols, New Jersey: Humana Press, 1999, 125-136)に記載されている方法で、ヒスタミンの最終アッセイ濃度がEC80となるような濃度のヒスタミン10μLを加える前および後に、プレートをFLIPR(商標)(Molecular Devices社、英国)に入れて細胞蛍光発光(λex=488nm、λEM=540nm)をモニタリングした。
FLIPR(商標)システム(Molecular Devices社)によって測定されるヒスタミン誘発蛍光発光増加抑制により官能拮抗は示される。濃度効果曲線から、官能結合性が、標準的な薬理数学解析により決定される。
2.H3受容体細胞系発生、膜調製、および官能GTPγSアッセイプロトコル
ヒスタミンH3細胞系の発生
酵素BamH1およびNot−1によるプラスミドDNAの制限消化により、ヒスタミンH3 cDNA保有ベクターpCDNA3.1 TOPO(InVitrogen社)からヒスタミンH3 cDNAを単離し、同じ酵素で消化された誘導発現ベクターpGene(InVitrogen社)にライゲーションした。GeneSwitch(商標)システム(インデューサーの不存在下ではトランスジーン発現のスイッチが切れ、インデューサーの存在下ではスイッチが入るシステム)を、米国特許第5,364,791号明細書;第5,874,534号明細書;および第5,935,934号明細書;に記載されているように執行した。ライゲーションDNAを非感染能力のあるDH5α大腸菌宿主細菌細胞に形質転換し、Zeocin(商標)(pGeneおよびpSwitch上に存在するsh ble遺伝子を発現している細胞のセレクションを可能にする抗生物質)を50μg/mLで含有しているLuria Broth(LB)カンテン上で平板培養した。再ライゲーションプラスミド含有コロニーを制限分析により識別した。このpGeneH3プラスミド含有宿主細菌の培養液250mLから、DNA調製キット(Qiagen Midi−Prep社)を製造者のガイドライン(Qiagen社)どおりに用いることで、哺乳動物細胞へのトランスフェクション用DNAを調製し、単離した。
使用の24時間前に、前もってpSwitch調節プラスミドがトランスフェクションされたCHO K1細胞(InVitrogen社)を、透析ウシ胎児血清10体積/体積%、L−グルタミン、およびハイグロマイシン(100μg/mL)が補充されたHams F12(GIBCOBRL、Life Technologies社)培地を含んでいるComplete Medium(完全培地)中のT75フラスコ当たり2x10e6細胞で接種した。リポフェクタミンプラス(Lipofectamine plus)を製造者ガイドライン(InVitrogen社)に沿って用いることでこの細胞にプラスミドDNAをトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後に、Zeocin(商標)500μg/mLが補充された完全培地に細胞を入れた。
セレクションの10〜14日後に、10nM Mifepristone(InVitrogen社)をこの培養培地に加えて受容体発現を誘発した。誘発の18時間後に、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA;1:5000;InVitrogen社)を用いてフラスコから細胞を取り離し、その後pH7.4のリン酸緩衝食塩水で数回洗い、そしてフェノールレッド無しの、Earles saltsおよびFoetal Clone II(Hyclone社)3%が補充されたミニマムエッセンシャルミディアム(MEM)含有Sorting Mediumに懸濁させた。ヒスタミンH3受容体のN末端ドメインに対して作製されたウサギポリクローナル抗体4aで染色することによっておよそ1x10e7細胞を受容体発現について検査し、氷上で60分間インキュベートし、その後に仕分け培地(sorting medium)中で2回洗った。細胞を60分間氷上で、Alexa 488蛍光発光マーカーが接合されたヤギ抗ウサギ抗体(Molecular Probes社)と共にインキュベートすることで受容体結合抗体を検出した。Sorting Mediumでさらに2回洗った後、細胞を50μm Filcon(商標)(BD Biosciences社)で濾過し、その後Automatic Cell Deposition Unit(自動細胞沈積装置)が装着されたFACS Vantage SE Flow Cytometerで分析した。同じような方法で処理した非誘発細胞をコントロール細胞とした。陽染色細胞を、Zeocin(商標)500μg/mL含有Complete Mediumが入っている96ウェルプレートに単一細胞として仕分けし、そして増殖させたあと抗体結合およびリガンド結合の詳細な検査・分析による受容体発現についての再分析を行った。クローン1種(3H3)を膜調製のために選択した。
培養細胞からの膜調製
プロトコルのステップは全て4℃で且つ予冷試薬で行った。細胞ペレットを10容量のホモジナイズ用緩衝液(50mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、1mMエチレンジアミンテトラ−酢酸(EDTA);KOHによりpH7.4;10e−6Mロイペプチン(アセチル−ロイシル−ロイシル−アルギナル;Sigma社のL2884)、25μg/mLバシトラシン(Sigma社のB0125)、1mMフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)および2x10e−6MペプスタチンA(Sigma社)が補充されている)に再懸濁させた。細胞をこの後1リットルガラス製Waringブレンダー中で2×15秒バーストだけホモジナイズし、そのあと500gで20分間遠心分離した。これの上澄み液をこの後48,000gで30分間遠心機にかけた。得られたペレットをホモジナイズ用緩衝液(元の細胞ペレット容量の4倍量)に5秒間渦流回転することで再懸濁させ、その後Dounceホモジナイザー中でホモジナイズした(10〜15ストローク)。この時点で、調製物をポリプロピレン試験管にアリコートし、−80℃で保管した。
ヒスタミンH3官能拮抗薬アッセイ
アッセイが行われる各化合物に対して、白一色の384ウェルプレートに:
(a)必要とされる濃度までDMSOに希釈されている試験化合物0.5μL(またはコントロールとしてのDMSO0.5μL);
(b)Wheat Germ Agglutinin Polystyrene LeadSeeker(登録商標)(WGA PS LS)シンチレーションプロキシミティアッセイ(SPA)ビーズと(上述した方法により調製された)膜とを混合し、アッセイ用緩衝液(20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)+100mM NaCl+10mMmgCl、pH7.4NaOH)に希釈して最終容量30μL(これはウェル当たり蛋白5μgおよびビーズ0.25mgを含んでいる)を得、室温で60分間ローラー上でインキュベートし、そしてプレートに加える直前に最終濃度10μMのグアノシン5’ジホスフェート(GDP)(Sigma社;アッセイ用緩衝液に希釈)を加えることで調製されたビーズ/膜/GDPのミックス30μL;
(c)0.38nM[35S]−GTPγS(Amersham社;放射能濃度=37MBq/mL;比放射能=1160Ci/ミリモル)15μL、ヒスタミン(ヒスタミンの最終アッセイ濃度がEC80となるような濃度のもの);
を加えた。
2〜6時間後、プレートを5分間1500rpmで遠心分離し、Viewluxカウンターで613/55フィルターを用いて5min/プレートかけてカウントした。データは、4パラメーター論理式を用いて解析した。基底放射能すなわちヒスタミンがウェルに加えられていないものを最小値として用いた。
CNS浸透
化合物をオスCD Sprague Dawleyラットに名目投薬濃度1mg/kgで静脈内的に投薬した。化合物は、5%DMSO/45%PEG200/50%水に調合した。血液サンプルは投薬の5分後におけるイソフルランによる終末麻酔の下に採取し、脳も脳浸透評価のために取り出した。血液サンプルは直接ヘパリン化試験管に採取した。血液サンプルは分析用には蛋白沈殿により下準備し、脳サンプルは、ホモジナイズ化およびその後の蛋白沈殿による脳からの薬物の抽出により下準備した。血液、脳抽出物中の親薬物の濃度は、化合物特異的質量転移を用いる定量LC−MS/MS分析によって決定した。
ラット薬物動態
化合物をオスCD Sprague Dawleyラットに名目投薬濃度1mg/kgまたは3mg/kgでそれぞれ1回の静脈内投与または経口投与により投薬した。化合物は、5%DMSO、45%PEG200、50%水に調合した。静脈内プロファイルは、投薬の0.083、0.25、0.5、1、2、4、および7時間後において順次または終末血液サンプルを採取することにより得た。経口プロファイルは、投薬の0.25、0.5、1、2、4、7および12時間後において順次または終末血液サンプルを採取することにより得た。血液サンプルは直接ヘパリン化試験管に採取した。血液サンプルは蛋白沈殿により下準備し、化合物特異的質量転移を用いるLC−MS/MSによる定量分析を行った。薬物濃度−時間プロファイルを作成し、非コンパートメント(区画)PK解析により半減期、クリアランス、分布容量、および経口バイオアベイラビリティの推算値を算出した。
イヌ薬物動態
化合物をオスBeagle犬に名目投薬濃度1mg/kgまたは2mg/kgでそれぞれ1回の静脈内投与または経口投与により投薬した。この検査・分析は、二つの投薬実験のうちのどちらにも同じイヌを用い且つ投薬実験を1週間離して行うように設定された交差方式により行った。化合物は、5%DMSO、45%Peg200、50%水に調合した。静脈内プロファイルは、投薬の0.083、0.25、0.5、0.75、1、2、4、6および12時間後において順次血液サンプルを採取することにより得た。経口プロファイルは、投薬の0.25、0.5、0.75、1、2、4、6、12および24時間後において順次血液サンプルを採取することにより得た。血液サンプルは直接ヘパリン化試験管に採取した。血液サンプルは蛋白沈殿により下準備し、化合物特異的質量転移を用いるLC−MS/MSによる定量分析を行った。薬物濃度−時間プロファイルを作成し、非コンパートメント(区画)PK解析により半減期、クリアランス、分布容量、および経口バイオアベイラビリティの推算値を算出した。
結果
上記の(または同じような)分析/方法で、式(I)の化合物は、
(i)およそ9.5のH3における平均pki(pKb)、
(ii)およそ5.6のH1における平均pki(pKb)、
(iii)低CNS浸透性(100ng化合物未満/g脳組織)、
(iv)約50%より高いラットでの経口バイオアベイラビリティ[これはイヌで確認された(90%より高い経口バイオアベイラビリティ)]、
(v)ラットでおよそ2時間(静脈内経路)、イヌでおよそ5時間(静脈内経路)の半減期、ならびにラットで約29mL/min/kg、イヌでは約10mL/min/kgのクリアランス、
を有していた。
本明細書で言及された引用文献などの全ての刊行物の内容は、その全部が本明細書に組み込まれることとする。

Claims (14)

  1. 1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン
    Figure 2008531532
    もしくはその塩。
  2. 請求項1に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩。
  3. 式(I)の化合物もしくはその塩の調製方法であって、式(II)
    Figure 2008531532
    で表される化合物もしくはその塩と4−(メチルスルホニル)−安息香酸とを反応させることを含む方法。
  4. 治療で用いるための式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩。
  5. 炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患の治療で用いるための請求項4に記載の化合物。
  6. 鼻炎、特にアレルギー性鼻炎の治療で用いるための請求項4に記載の化合物。
  7. 任意付加的な1種以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤と一緒に式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む組成物。
  8. さらにH1受容体拮抗薬を含む請求項7に記載の組成物。
  9. 式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩と1種以上の他の治療剤とを含む組み合せ。
  10. 前記他の治療剤がH1受容体拮抗薬である、請求項9に記載の組み合せ。
  11. 炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患の治療または予防のための医薬の製造における式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩の使用。
  12. 前記疾患がアレルギー性鼻炎である、請求項11に記載の使用。
  13. 治療を必要とする患者に式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩の有効量を投与することを含む炎症性疾患および/またはアレルギー性疾患の治療または予防方法。
  14. 前記疾患がアレルギー性鼻炎である請求項13に記載の方法。
JP2007556653A 2005-02-24 2006-02-22 ヒスタミンh3拮抗薬としての1−{4−[(1−シクロブチル−4−ピペリジニル)オキシ]フェニル}−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]カルボニル}ピペラジン Pending JP2008531532A (ja)

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