JP2008528623A - 抗MUC1のα/β抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明により、インタクトなMUC1タンパク質のα−サブユニットおよびβ−サブユニットに同時に結合する抗体、ならびにそのような抗体を作製し使用するための方法が提供される。一つの実施形態において、本発明は、αサブユニットまたはβサブユニットのいずれに対しても他方が存在しない場合には実質的には結合しないとの条件で、インタクトなMUC1タンパク質に特異的に結合する、MUC1特異的抗体を提供する。本発明はまた、診断用途および免疫療法への適用においてこれらの抗体を使用するための方法を提供する。

Description

関連出願についての相互参照
本出願は、2005年2月28日に出願した米国仮特許出願第60/647,870号に対する利益を主張する。この仮出願の内容は、全て目的のために、その全体が参考として本明細書中に援用される。
連邦政府支援の研究開発下で行われた本発明の権利に関する状況
該当なし
(技術分野)
本発明は、MUC1のα−サブユニットおよびβ−サブユニットの両方に特異的かつ同時に結合する抗体に関する。
(発明の背景)
MUC1は、多数のヒト上皮性悪性腫瘍(乳ガン、前立腺ガン、結腸ガン、卵巣ガン、および膵臓ガンを含む)において、ならびに多発性骨髄腫の悪性形質細胞上で高度に発現されている糖タンパク質である。オルタナティブスプライシングによって様々なMUC1イソ型が生じ得るが、最も集中的に研究されているMUC1タンパク質は、タンデムリピートアレイを含む重いグリコシル化された細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインから構成されているI型膜貫通タンパク質(MUC1/TM)である。MUC1/TMは、その合成の後に直ちにタンパク質分解によって切断されて、特異的に認識し、そして強力な共有結合ではない相互作用で結合する2つのサブユニット(αとβ)を生じる(図1、MUC1/TMを参照のこと)。MUC1の2つのサブユニットへの切断は、多数の、細胞につながれているムチン様タンパク質において見られる高度に保存されているドメインであるSEAモジュールの中で起こる(非特許文献1:Levitin,et al.,J.Biol.Chem.(2005)280:33374−86)。細胞膜からのα−サブユニットの分割によっては、末梢循環中に可溶性のタンデムリピートアレイを含むMUC1が生じる。この分子は、MUC1陽性悪性腫瘍の患者において血清MUC1レベルを決定するために使用される分子である。
循環中の可溶性α−サブユニットMUC1タンパク質の存在は、MUC1を発現する悪性腫瘍細胞を直接標的化するための適切な量の抗MUC1抗体の送達における唯一の問題を呈する。これは、MUC1の最も免疫原性である部分が、タンデムリピートアレイであり、今日までに作製された抗MUC1抗体のほとんど全てがその免疫原性領域中のエピトープを排他的に認識することがその理由である。可溶性の循環しているMUC1 α−サブユニットによるタンデムリピート部分に対する抗体の分離は、細胞表面上のMUC1にうまく結合することができる抗体の量を厳しく制限する。さらに、タンデムリピート部分に対する抗体とその可溶性の循環しているMUC1標的の免疫複合体の蓄積によっては、有意な標的器官の損傷が導かれる可能性がある。
近年、免疫原として全長のMUC1/TM分子を使用して有効な抗MUC1抗体を作製するための多くの努力が行われている。これらの試みを妨げる主要な障害は、MUC1/TM分子全体での免疫化によっては、必ず、高度に免疫原性であるタンデムリピートアレイ上のエピトープを認識する抗体のほぼ全体からなる抗体反応が生じることである。MUC1を発現する腫瘍細胞のインビボでの標的化における最終的な用途については、このような抗体は、上記に詳細に記載したように、反復部分に対する抗体に固有の欠点の全てを有している。
細胞表面につながれているMUC1エピトープを認識する抗体は、これらの問題点を未然に防げる可能性がある。概念上は簡単であるが、細胞表面に安定につながれているMUC1に対するモノクローナル抗体の作製には、最初に、細胞に結合した、分割されていない落ちないエピトープの特性決定が必要である。MUC1 α−サブユニットが結合している膜に繋がれているβ−サブユニットによって形成される接点によって、このようなエピトープが提供される。
Levitin,et al.,J.Biol.Chem.(2005)280:33374−86
(発明の簡単な説明)
本発明により、インタクトなMUC1タンパク質のα−サブユニットおよびβ−サブユニットの両方に同時に結合する抗体(「抗MUC1 α/β抗体」、これは、MUC1 α/βサブユニットの接点に結合するが、一方が存在していない場合にはMUC1 α−サブユニットまたはMUC1 β−サブユニットのいずれにも実質的には結合しない)が提供される。本発明者らによって、さらに、このような抗体を生産するための方法、ならびに、例えば、診断用途および免疫療法への適用においてこれらの抗体を使用するための方法が提供される。
したがって、第1の態様においては、本発明によって、抗体が、一方が存在しない場合にはα−サブユニットまたはβ−サブユニットのいずれにも結合しないという条件で、インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体が提供される。
抗体の実施形態に関して、いくつかの実施形態においては、抗体は、例えば、ELISAにおいて、または1つのMUC1イソ型を発現する細胞を使用するフローサイトメトリーによって測定した場合に、イソ型MUC1/Xには結合するが、イソ型MUC1/Yには結合しない。いくつかの実施形態においては、抗体はMUC1/Xイソ型に結合し、これは、短縮型のα−サブユニットとβ−サブユニットに切断される。
抗体はポリクローナルでも、またモノクローナルでもあり得る。抗体は、約10−7Mから約10−12Mの範囲、例えば、約10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、の解離定数(Kd)を有し得る。抗体は、約10−1から約1010−1の範囲、例えば、約10−1、10−1、10−1、10−1、または1010−1の結合定数(Ka)を有し得る。抗体は、MUC1/TMまたはMUC1/Xを抗原として使用してELISAアッセイによって測定すると、約1:100または1:300から約1:30,000または1:50,000まで、例えば、約1:300、1:1000、1:5000、1:10,000、1:20,000、1:30,000、1:50,000の力価を有し得る。
抗体には、任意の自然界に存在している定常領域、または任意のそれらのサブクラスが含まれ得る。これには、例えば、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、ならびにIgMが含まれる。抗体は、哺乳類または鳥類を含む、抗体を生産することができる任意の動物に由来する定常領域を有し得る。抗体は、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物(イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、および齧歯類(ウサギ、ラット、ハムスター、マウスを含む)を含む)の中で生産させることができる。抗体はニワトリの中で生産させることもできる。
いくつかの実施形態においては、抗体はヒト化抗体であるか、またはヒト抗体である。いくつかの実施形態においては、抗体は定常領域を欠いている。例えば、抗体は、Fab断片である場合も、また一本鎖の可変領域である場合もある。抗体は組み換えによって生産することができる。
抗体にはさらに、細胞傷害性部分(例えば、リシン分子、緑膿菌(pseudomonas)毒素、放射性同位元素)を含めることができる。抗体にはさらに、標識部分(例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光色素分子)を含めることができる。
いくつかの実施形態においては、抗体は、MUC1 α−サブユニットのβ−サブユニットからの解離を妨げる。いくつかの実施形態においては、抗体によって、MUC1 β−サブユニットを介する細胞内シグナル伝達が減少するかまたは阻害される。
いくつかの実施形態においては、抗体は、DMC209またはDMC111である。
本発明により、さらに、抗MUC1 α/β抗体を含む細胞が提供される。例えば、細胞は、抗体を生産するハイブリドーマであり得る。細胞はまた、インタクトなMUC1タンパク質をその表面上に有している細胞であり得、この場合、MUC1タンパク質は、抗MUC1 α/β抗体に結合させられる(すなわち、付着させられる)。細胞はまた、本発明の抗体を発現するように組み換えによって修飾することができる。
別の態様においては、本発明により、治療上十分な量の本発明の抗MUC1 α/β抗体を投与することによる、MUC1を過剰発現しているガン細胞に対して免疫毒素を標的化させる方法、およびMUC1を過剰発現しているガン細胞の増殖を阻害または妨げる方法が提供される。
さらなる態様においては、本発明により、インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体を生産する方法が提供される。この方法には、以下の工程が含まれる:
i)インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体を得るために十分な量のαサブユニットのタンデムリピートを含むMUC1/TM抗原で、1回以上、抗体を生産する能力を有している被験体を免疫化する工程;および
ii)MUC1/X抗原に結合する抗体を選択する工程。
この場合、抗体は、一方が存在しない場合にはMUC1 α−サブユニットまたはMUC1 βサブユニットのいずれにも結合しない。
この方法のさらなる実施形態においては、被験体を、MUC1/TM抗原での免疫化に続いて、イソ型MUC1/X抗原で1回以上免疫化することができる。MUC1抗原での免疫化には、状況に応じてアジュバントを含めることができる。
MUC1/TMおよびMUC/X抗原は別々に、核酸またはポリペプチドの形態で被験体に投与することができる。1つの実施形態においては、被験体は、最初に、MUC1/TM抗原をコードする核酸(例えば、cDNA)で1回以上免疫化され、その後に続いて、MUC1/X抗原をコードする核酸で1回以上免疫化される。
別の態様においては、本発明により、抗体が、一方が存在しない場合にはα−サブユニットまたはβ−サブユニットのいずれにも結合しないという条件で、インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体をスクリーニングする方法が提供される。この方法には、以下の工程が含まれる:
i)切断されたMUC1/X抗原およびMUC1/Y抗原に対する、作製された複数の抗MUC1抗体の結合を決定する工程;ならびに
ii)MUC1/X抗原には特異的に結合するが、MUC1/Y抗原には特異的には結合しない抗体を選択する工程。
これらの方法において生産されるか、または使用される抗体の実施形態は、上記に記載されたものと同じである。
関連する態様においては、本発明により、目的の抗原に対する抗体を生産する方法が提供される。この方法には、以下の工程が含まれる:
i)αサブユニットのタンデムリピートと目的の抗原を含むMUC1/TM抗原で1回以上被験体を免疫化する工程;および
ii)目的の抗原で1回以上被験体を免疫化する工程。
これによって、目的の抗原に対する抗体が生産される。
MUC1/TM抗原と目的の抗原は、別々に、核酸またはポリペプチドの形態で被験体に投与することができる。
いくつかの実施形態においては、MUC1/TM抗原と目的の抗原は一緒に投与される。いくつかの実施形態においては、MUC1/TM抗原と目的の抗原は、化学的リンカーによって結合させられる。いくつかの実施形態においては、MUC1/TM抗原と目的の抗原は融合タンパク質として投与される。
目的の抗原は、任意の抗原性ポリペプチド配列である場合も、また抗原性ポリペプチド配列をコードする任意の核酸である場合もある。目的の抗原は、ヒト、哺乳動物、動物、植物、細菌、ウイルス、または合成のものであり得るが、これらに限定はされない。目的の抗原は、腫瘍関連抗原(例えば、ガン胎児性抗原(CEA)、糖鎖抗原(CA−125)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、メラノーマ抗原(MAGE、MART))であり得る。目的の抗原は、感染性疾患に関係している抗原であり得る。
定義
本明細書中で別段の定義がなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei−Show,第2版,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,第3版,1999,Academic Press;およびOxford Dictionary of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressによって、本発明で使用される多くの用語についての一般的な辞書が当業者に提供されている。
アミノ酸は、それらの一般的に知られている3文字記号によって、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨されている1文字記号によってのいずれかで、本明細書中で記載され得る。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に受け入れられている1文字コードによって記載され得る。本発明の目的については、以下の用語は以下のように定義される。
用語「特異的に結合する(bind(s) specifically)」もしくは「特異的に結合する(specifically bind(s))」、あるいは、「結合する(attached)」もしくは「結合している(attaching)」は、その標的エピトープが欠失している細胞もしくは組織と比較した、特定の標的エピトープを有している細胞もしくは組織との、抗MUC1 α/β抗体の全体または一部における優先的な会合を意味する。もちろん、一定の程度の非特異的相互作用が、抗体と標的ではないエピトープの間で起こり得ることが認識される。それにもかかわらず、特異的結合は、標的エピトープの特異的認識によって媒介されるので区別することができる。通常、特異的結合は、送達された分子と標的エピトープを有しているもの(例えば、アッセイ用ウェルまたは細胞)との間で、結合した抗体と標的エピトープを有していないもの(例えば、アッセイ用ウェルまたは細胞)との間よりも、はるかに強い会合を生じる。特異的結合によっては、通常、標的エピトープを有していない細胞または組織と比較すると、標的エピトープを有している細胞または組織に対しては、結合した抗MUC1 α/β抗体の量(単位時間あたり)において約10倍を超える量、そして最も好ましくは100倍を超える量の増加が生じる。2つのものの間での特異的結合は、一般的には、少なくとも10−1の親和性を意味する。10−1より大きい親和性が好ましい。特異的結合は、ウェスタンブロット、ELISA、フローサイトメトリー、免疫組織化学を含む、当該分野で公知の抗体結合についての任意のアッセイを使用して決定することができる。
表現「実質的には結合しない」は、標的エピトープに特異的に結合する抗MUC1 α/β抗体のわずか約10〜15%しか、特定の標的ではないエピトープに結合しないことを意味する。標的エピトープを含まないものに対する抗体の「実質的ではない結合」は、標的エピトープを有している同じものに対する抗体の特異的結合よりも、約10倍少なく、そして好ましくは、約100倍少ない。
用語「MUC1」または「ムチン1」は、多形変異体、対立遺伝子、突然変異体、および種間ホモログを意味する。これは、(1)約25個のアミノ酸、状況によっては、50、100、150、200、250個のアミノ酸のウィンドウ全体にわたって、自然界に存在しているMUC1タンパク質(例えば、GenBank登録番号NP_002447(MUC1ムチンイソ型1)、NP_001018016(MUC1ムチンイソ型2)、NP_001018017(MUC1ムチンイソ型3)、もしくはNP_001018021(MUC1ムチンイソ型4)、イソ型MUC1/TM、イソ型MUC1/X、イソ型MUC1/Yを含む)に対して約85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%のアミノ酸配列同一性を有しているものであるか;(2)自然界に存在しているMUC1タンパク質のアミノ酸配列(グリコシル化されたアミノ酸配列を含む)およびその保存的に修飾された変異体を含む免疫原に対して惹起させられた抗体に特異的に結合するものであるか、あるいは(3)約25個のアミノ酸、状況によっては、50、100、150、200、250、500個の核酸のウィンドウ全体にわたって、自然界に存在しているMUC1核酸配列(例えば、GenBank登録番号NM_002456(MUC1転写変異体1)、NM_001018016(MUC1転写変異体2)、NM_001018017(MUC1転写変異体3)、もしくはNM_001018021(MUC1転写変異体4)、変異体MUC1/TM、変異体MUC1/X、変異体MUC1/Yを含む)に対して約85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の核酸配列同一性を有しているものである。
MUC1は、反復ドメインと密集したO−グリコシル化を特徴とする、細胞表面および/または血清腫瘍マーカーである糖タンパク質である(Baldus,et al.,Crit Rev Clin Lab Sci(2004)41:189;Karsten,et al.,(2005)26:217)。MUC1は、最も単純な上皮細胞の内腔表面で発現され、そして多数の上皮性悪性腫瘍(乳ガン、前立腺ガン、卵巣ガン、および膵臓ガンを含む)のガン腫細胞、ならびに悪性形質細胞(例えば、多発性骨髄腫)上では過剰に発現されている(Taylor−Papadimitriou,et al.,J.Mammary Gland Biol Neoplasia(2002)7:209;Denda−Nagai and Irimura,Glycoconj J(2000)17:649を参照のこと)。MUC1は、可溶性のα−サブユニットと細胞につながれているβ−サブユニットから構成されている。MUC1は、細胞−細胞接着を媒介する細胞内接着分子−1(ICAM−1)に結合し(Baldus et al.,(前出)およびRahn,et al.,J.Biol.Chem.(2004)279:29386)、そしてシグナル伝達分子についてのドッキングタンパク質としての役割を果たす。MUC1は、高度に保存されている細胞質テールを有しており、これは、MUC1のリン酸化によって厳しく調節されるプロセスにおいて転写調節因子β−カテニンに結合する(Carraway,et al.,Bioessays(2003)25:66を参照のこと)。
用語「インタクトなMUC1タンパク質」は、本明細書中で使用される場合は、α−サブユニットとβ−サブユニットに切断されており、それぞれのサブユニットが自然な三次元折り畳みを有し、そしてこれらのサブユニットが互いに相互作用しているMUC1タンパク質を意味する。MUC1イソ型であるMUC1/TMとMUC1/Xは、インタクトなMUC1タンパク質であり得る。
「MUC1/X」イソ型には、α−サブユニットの抗原性であるタンデムリピートアレイは含まれておらず、SEAモジュール内で短縮型α−サブユニットとβ−サブユニットに切断される(Levitin,et al.,前出)。
「MUC1/Y」イソ型には、α−サブユニットの抗原性であるタンデムリピートアレイは含まれておらず、SEAモジュール内で切断されない(Levitin,et al.,前出)。
用語「生理学的条件」は、目的の細胞の維持または増殖を可能にする条件(例えば、温度、pH、および浸透圧)を有している細胞外環境を意味する。
用語「抗体」は、体液性応答がインビトロまたはインビボで生じることによって得られる免疫グロブリン分子を意味し、これには、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体が含まれる。この用語にはまた、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロ結合体抗体(例えば、二重特異的抗体)、および組み換え体単鎖Fv断片(scFv)のような、遺伝子操作された形態も含まれる。用語「抗体」にはまた、抗体断片の抗原結合形態(例えば、Fab、F(ab)、V−VFab断片)も含まれる。
用語「ヒト化抗体」は、ヒト以外のアミノ酸配列を含むが、その定常領域は、ヒトにおいて免疫原性が低下するように変更されている抗体を意味する。
用語「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリン遺伝子によって生産される抗体を意味する。ヒト抗体は、例えば、ヒトの中で、機能性のヒト免疫グロブリン遺伝子を有しているヒト以外の動物(例えば、マウス、ハムスター、ウサギ、ウシ)によって、インビボで生産させることができる。このようなトランスジェニック動物は当該分野で公知である。例えば、Lonberg,Nat Biotech(2005)23:1117;Robl,et al.,Theriogenology,(2003)59:107;およびIshida,et al.,Cloning Stem Cells(2002)4:91を参照のこと。トランスジェニックマウスから完全なヒト抗体を生産している会社としては、Medarex,Milpitas,CAと、Abgenix(現在は、Amgen)、Fremont,CAが挙げられる。ヒト抗体は、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子の組み合わせライブラリーからインビトロで生産することができる。
用語「細胞外」は、脂質二重層を含む細胞の外側に広がる領域を意味する。
用語「抗原」は、抗体に特異的に結合することができる任意の分子を意味する。抗体生産を誘導することができる抗原は、「免疫原」と呼ばれる。Janeway,et al.,Immunobiology,第5版,2001、Garland Publishingを参照のこと。本発明の目的については、抗原は、抗原性ポリペプチドをコードするポリペプチドまたは核酸(例えば、cDNA)であり得る。
用語「エピトープ」または「抗原決定基」は、それに対してB細胞および/またはT細胞が応答する抗原上の部位を意味する。B細胞エピトープは、連続するアミノ酸によって形成される場合も、また、タンパク質の三次折り畳みによって近接して並べられる不連続なアミノ酸の両方によって形成される場合もある。連続するアミノ酸によって形成されるエピトープは、通常、変性溶媒に対する暴露の際にも維持されるが、三次折り畳みによって形成される(すなわち、立体構造によって決定される)エピトープは、通常、変性溶媒で処理されると消滅する。エピトープには、通常、少なくとも3個、より通常は、少なくとも5個または8〜10個のアミノ酸が特有の空間的立体配置で含まれる。エピトープの空間的立体配置を決定する方法としては、例えば、x線結晶解析と二次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,第66巻,Glenn E.Morris,編,(1996)を参照のこと。同じエピトープを認識する抗体は、標的抗原に対する別の抗体の結合をブロックする1つの抗体の能力を示す簡単な免疫アッセイ(例えば、競合ELISAまたは固相放射性免疫分析(SPRIA))において同定することができる。T細胞は、CD8細胞については約9個のアミノ酸の連続するエピトープを、また、CD4細胞については約13〜15個のアミノ酸の連続するエピトープを認識する。エピトープを認識する細胞は、エピトープに反応して感作させられたT細胞によるH−チミジンの取り込みによって決定される、抗原依存性の増殖を測定するインビトロアッセイによって(Burke et al.,J.Inf.Dis.,170,1110−19(1994))、抗原依存性の死滅によって(細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、Tigges et al.,J.Immunol.(1996)156:3901−3910)、またはサイトカインの分泌によって同定することができる。
(詳細な説明)
序論
本発明者らは、MUC1 α−サブユニットとβ−サブユニットからなる切断された接点がそれによって形成される機構を研究した。これらの研究の過程で、本発明者らは、MUC1/TM、MUC1/Y、およびMUC1/Xタンパク質の「切断可能性」を分析した(図1、および全ての目的についてその全体が引用により本明細書中に組み入れられるLevitin,et al.,J.Biol.Chem.(2005)280:33374)。MUC1/YおよびMUC1/Xイソ型は、タンデムリピートアレイの上流と下流に存在しているドナー部位とアクセプター部位を利用する2つの異なる部位でスプライシングされたmRNAから生じ、結果として、いずれも、タンデムリピートアレイと隣接配列がスプライシングされた両方のイソ型である(図1およびLevitin,et al.)。したがって、MUC1/XとMUC1/Yの両方の細胞外ドメインは、大きなタンデムリピートアレイを含むMUC1/TMタンパク質よりも相当に単純な構造である。実際、MUC1/Xタンパク質には、その細胞外ドメインの中に、MUC1の30個のN末端アミノ酸に融合させられたわずかに120個のアミノ酸のSEAモジュールしか含まれていない。MUC1/Yは、SEAモジュールのN末端にある18個のアミノ酸の欠失を除くと、MUC1/Xと同じである。明らかに、MUC1/Xイソ型は、全長のMUC1/TMタンパク質と同じ部位で切断され、それによって、α−サブユニットとβ−サブユニットの同じ共有結合ではない相互作用を生じる。対照的に、MUC1/Yイソ型の中に存在しているSEAモジュールのN末端短縮は、切断されないタンパク質を生じる。
ガン細胞を直接標的化する抗体を作製するために、本発明者らは、MUC1 α/β接点に特異的な抗体(「抗MUC1 α/β抗体(Abs)」)を膜結合MUC1だけを標的化すると推測した。タンデムリピート部分アレイに対する抗体の作製を回避するために、本発明者らは、免疫原として、かつスクリーニング試薬として、切断されたMUC1/Xタンパク質を使用した。本発明者らは、本明細書において、マウスを最初にMUC1/TM(例えば、DNA)で感作させて抗MUC1/TM応答を誘発させる新規の手順を報告する。得られる免疫応答には、MUC1/Xイソ型と反応する抗体が含まれる。抗MUC1/X力価をさらに上昇させるために、マウスをMUC1/X(例えば、可溶性タンパク質)でブーストした。これによっては、桁外れに高い抗MUC1/X力価が生じた。このプロトコールを使用することにより、本発明者らは、細胞表面上の切断されたMUC1 α/β接点を認識するだけではなく、全長のMUC1/TMを発現する悪性細胞にも結合するモノクローナル抗体を作製することに成功した。
したがって、本発明により、「抗MUC1 α/β Abs」と本明細書中で呼ばれる、細胞上のインタクトなMUC1タンパク質のMUC1 α/β接点に結合する抗体が提供される。抗体は、インタクトなMUC1タンパク質のα−サブユニットとβ−サブユニットの両方から構成される、立体構造によって決定されるエピトープに同時に結合する。本発明は、MUC1イソ型であるMUC1/X(これは、免疫原性であるタンデムリピート領域を有していない)が免疫原性であり、全長のMUC1イソ型であるMUC1/TMと同様に切断され得るという驚くべき発見に一部基づく(Levitin,et al.,(前出)を参照のこと)。
抗体
抗原と免疫化
本発明の抗MUC1 α/β抗体は、インタクトなMUC1タンパク質のα/β接点に対して指向させられる。これらは、最初に、免疫原性であるタンデムリピート配列(「VNTR」)を含むMUC1 α/β−サブユニット配列(例えば、核酸または可溶性タンパク質)(図1、およびGendler,et al.,J.Biol.Chem.(1990)265:15286;Ligtenberg,et al.,J.Biol.Chem.(1990)265:5573;およびWreschner,et al.,Eur J Biochem(1990)189:463を参照のこと)、例えば、MUC1/TMで1回以上、抗体を生産することができる被験体を免疫化することによって生産される。状況に応じて、被験体を、免疫原性であるタンデムリピート配列が欠失しているが、α−サブユニットとβ−サブユニットへの切断のための切断配列セグメントは生きたままである、短縮型MUC1 α/β−サブユニット配列(例えば、核酸または可溶性タンパク質)、例えば、イソ型MUC1/Xに対する、その後の、1回以上の免疫化によってブーストすることができる。図1、および全ての目的についてその全体が引用により本明細書中に組み入れられるLevitin,et al.,J.Biol.Chem.(2005)280:33374を参照のこと。
抗原は、通常、可溶性MUC1ポリペプチド(すなわち、膜貫通配列が欠失している)、またはMUC1ポリペプチド配列をコードする核酸(膜貫通配列を含むまたは含まない)として調製される。抗原、DNA、またはタンパク質は、MUC1を発現しているかまたは過剰発現している細胞から、あるいは、MUC1抗原を組み換えによって発現するように修飾された細胞(例えば、当該分野で周知の細菌、酵母、または哺乳動物細胞発現系)から単離または精製することができる。組み換えによって発現させられたMUC1抗原には、通常、状況に応じて除去することが可能な精製および/または検出タグが含まれ得、これには、FLAG(DYKDDDDK)、連続するヒスチジン、免疫グロブリン定常領域(Fc)などが含まれるがこれらに限定はされない。Levitin,et al.(前出)を参照のこと。
1つの実施形態においては、抗MUC1 α/β抗体は、MUC1/TM cDNAでの1回以上の一次免疫、およびMUC1/X cDNAでの1回以上の二次免疫またはブースター免疫によって生産させることができる。1つの実施形態においては、抗MUC1 α/β抗体は、MUC1/TM cDNAでの1回以上の一次免疫、および可溶性MUC1/Xタンパク質での1回以上の二次免疫またはブースター免疫によって生産させることができる。
繰り返しの免疫化が、通常は、適切に、少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、または3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間の間隔で被験体に対して行われる。繰り返しの免疫化は、一定の間隔で投与することができるが、必ずしもそうである必要はない。繰り返しの免疫化を受ける被験体には、必要に応じて、一次抗原(例えば、MUC1/TM)および/または二次抗原(例えば、MUC1/X)を、1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上投与することができる。
抗MUC1 α/β抗体は、MUC1/Xイソ型(好ましくは、切断されたMUC1/Xイソ型)のMUC1 α−サブユニットおよびβ−サブユニットに同時に結合するものを選択することによって同定される。好ましい抗体は、切断することができないMUC1/Yイソ型に、またはα−サブユニットもしくはβ−サブユニットのいずれかだけに結合することはない。
抗体の生産
抗MUC1 α/β抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fab断片(定常Fc領域が欠失している)、または組み換え体単鎖Fv抗体であり得る。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生産するための方法は、当業者に公知である。例えば、Coligan,et al.,Current Protocols in Immunology,1991−2006,John Wiley & Sons;およびHarlow and Lane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,N.Y.;Harlow and Lane(1998)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,N.Y.;Stites et al.,(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange Medical Publications,Los Altos,Calif.,およびその中で引用されている参考文献;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版)Academic Press,New York,N.Y.;ならびに、Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495−497を参照のこと;Huse et al.,(1989)Science 246:1275−1281;およびWard,et al.,(1989)Nature 341:544−546.Birch and Lennox,Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Wiley−Liss,New York,N.Y.(1995)を参照のこと。抗MUC1 α/β抗体と、抗MUC1 α/β抗体を生産するB細胞は、抗体を生産することができる任意の便利な動物(例えば、哺乳動物または鳥類)において誘発することができる。例えば、抗MUC1 α/β抗体は、通常、ヒツジまたはヤギ(ヒツジ)、あるいは齧歯類(ウサギ、ラット、ハムスター、マウス)、あるいはニワトリ(野鶏属)において生産させることができる。
抗体の調製のための他の適切な技術としては、ファージベクターおよび他のベクター(ウイルスベクター、細菌ベクター、および酵母ベクターを含む)の中にヒト免疫グロブリン遺伝子が含まれている、組み換え体免疫グロブリン遺伝子のライブラリーの選択が挙げられる。MUC1 α/β接点に対する高親和性抗体は、例えば、ベクターの表面上に組み換え体単鎖Fv(scFv)断片もしくはV−VFab断片を発現させるためのベクターディスプレイ(例えば、ファージ)方法を使用することによって迅速に単離することができる。簡単に説明すると、ベクターの表面タンパク質をコードする遺伝子は、その遺伝子を有しているベクターの表面上に融合タンパク質として発現される抗体遺伝子の挿入が可能となるように変更される。所望される抗体を発現するベクターは、MUC1 α/βサブユニットの接点に対するその親和性/親和力によって選択的に富化させ、そして単離することができる。抗体をコードするDNAが同じベクターにパッケージされ、これによって、抗体をコードする遺伝子を単離することが可能となる。様々なこのような方法が文献において十分に議論されており、当業者に周知である。例えば、Winter et al.,Annu.Rev.Immunol.12:433−455(1994);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581−597(1991);Vaughan et al.,Nature Biotechnology 14:309−314(1996)、Hallborn and Carlsson,Biotechniques,(2002)Suppl:30−7、米国特許第4,642,334号;同第4,816,397号;同第4,816,567号;同第4,704,692号;WO86/01533;WO88/09344;WO89/00999;WO90/02809;WO90/04036;EP 0 324 162;およびEP 0 239 400を参照のこと。
好ましくは、抗体は、例えば、抗体の中に存在する自系(自己)配列の数を最大にすることによって、宿主中での免疫原性を最小にするように構築されるであろう。したがって、異種可変領域を有していないキメラ抗体が好ましい。異種部分が排除されている抗体の使用が特に好ましく、また、相補性決定領域に本質的に限定されること(すなわち、「ヒト化抗体」)が特に好ましい。
抗体結合アッセイ
インタクトなMUC1タンパク質に対する抗体の結合は、当該分野で周知の技術、例えば、ELISAアッセイ、フローサイトメトリーアッセイ、または免疫組織化学アッセイを使用して決定することができる。結合アッセイの実施において、試験アッセイは、陽性対照および/または陰性対照と比較することができる。
ELISA
ELISAアッセイに関して、ELISAプレートは、免疫原性であるタンデムリピート領域を含まない可溶性のMUC1 α/βサブユニットタンパク質抗原(例えば、膜貫通領域を含まないイソ型MUC1/XまたはMUC1/Y)でコーティングすることができる。好ましくは、短縮型のMUC1 α/βサブユニットタンパク質抗原は、短縮型のα−サブユニットとβ−サブユニットの細胞外領域とに切り離され得る(例えば、イソ型MUC1/X)。コーティングタンパク質抗原は、コーティングの前にα−サブユニットとβ−サブユニットに切り離され得るが、必ずしもコーティングの前に切り離される必要はない。タンパク質抗原は、ELISAプレート上に直接コーティングすることができ、また、プレート上に直接コーティングされた免疫グロブリンの層に結合させることもできる。例えば、免疫グロブリン定常領域(Fc)を含む可溶性のイソ型MUC1/Xおよび/またはMUC1/Y融合体は、ELISAプレート上に直接コーティングされた抗Fc抗体に結合させることができる。結合したタンパク質抗原を、その後、試験抗体に暴露することができる。
目的の抗体は、イソ型MUC1/Xおよび/またはMUC1/Yに特異的に結合するが、α−サブユニットの免疫原性であるタンデムリピート領域、α−サブユニットだけ、またはβ−サブユニットだけには結合しない。好ましくは、抗体は、イソ型MUC1/Xに特異的に結合するがMUC1/Yには結合しない。抗体は、切断されたイソ型MUC1/Xと切断されたイソ型MUC1/TMに特異的に結合することが好ましい。
ELISAアッセイ技術は当該分野で周知である。ELISAアッセイの実施を教示しているテキストとしては、例えば、The Elisa Guidebook,J.R.Crowther(編)、Humana Pr(2000年8月);Delves,Antibody Applications:Essential Techniques,John Wiley & Sons(1995);Crowther,Elisa:Theory and Practice,Human Pr(1995);Harlow and Lane,Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1998);およびColigan,et al.,Current Protocols in Immuology,1991−2006,John Wiley & Sons.が挙げられる。
ELISA技術は、試験抗体が直接標識されるかまたは二次抗体が標識されるかにはかかわらず、ハイスループット方法に極めて適している。標識された抗体は、酵素部分、化学発光部分、蛍光部分、または当該分野で公知の任意の他の便利な検出標識で標識することができる。ハイスループットELISAを行うための製品は、例えば、Panomics,Redwood City,CA;Sigma−Aldrich,St.Louis,MO;およびBioMedTech Laboratories,Tampa,FLから市販されている。自動ハイスループットシステムもまた、例えば、Caliper Life Sciences,Hopkinton,MA;およびBMG Labtech,Durham,NCから市販されている。
フローサイトメトリー
インタクトなMUC1タンパク質に結合する抗体はまた、フローサイトメトリーを使用して検出することもできる。MUC1イソ型(例えば、MUC1/TM、MUC1/X、MUC1/Y)(自然界に存在しているもの、または組み換えによって修飾されたもののいずれか)をそれらの細胞外表面上に発現しているインタクトな細胞が、抗MUC1 α/β抗体に曝され得る。細胞は、生存しているものであっても、また固定されたものであってもよい。結合は、試験抗体または二次抗体を、例えば、蛍光色素分子で直接標識することによって決定することができる。フローサイトメトリーを使用する利点は、細胞の表面上で発現させられたMUC1抗原がインビボで遭遇するMUC1細胞表面抗原の典型である三次元立体構造で存在していることである。目的の抗体は、イソ型MUC1/TMおよびMUC1/Xのα−サブユニットおよびβ−サブユニットに特異的に結合し、そしてイソ型MUC1/Yには結合しないことが好ましい。フローサイトメトリー分析はまた、ハイスループット方法に十分に適している。ハイスループットフローサイトメトリー分析のための製品およびシステムは、例えば、BD Biosciences,San Jose CA and San Diego,CA;Beckman Coulter,Fullerton,CA;Partec,Munster、Germany;およびAmnis Corp.,Seattle,WAから市販されている。
フローサイトメトリー技術は当該分野で周知である。フローサイトメトリーの実施を教示しているテキストとしては、例えば、Ormerod,Flow Cytometry,Taylor & Francis(1999);Flow Cytometry Protocols,Hawley and Hawley(編)Humana Press(2004);およびFlow Cytometry in Clinical Diagnosis,Keren,et al.,(編),ASCP Press(2001)が挙げられる。
免疫組織化学
インタクトなMUC1タンパク質に結合する抗体はまた、当該分野で周知の免疫組織化学技術を使用して検出することもできる。例えば、Hayat,Handbook Of Immunohistochemistry And In Situ Hybridization Of Human Carcinomas:Molecular Pathology,Colorectal Carcinoma,And Prostate Carcinoma,Academic Pr(2004);Hayat,Immunohistochemistry and in Situ Hybridization of Human Carcinomas:Molecular Genetics Lung and Brest Carcinomas,Academic Pr(2004);およびDabbs,Diagnostic Immunohistochemistry,Elsevier Science Health Science(2001)を参照のこと。MUC1抗原を発現するかまたは過剰発現することが公知である組織(例えば、乳房、卵巣、前立腺、膵臓、結腸組織)に由来する上皮切片を、抗MUC1 α/β抗体に暴露することができる。抗体は、例えば、酵素部分、化学発光部分、蛍光部分で直接標識することができる。結合した抗体は、顕微鏡技術を使用して検出することができる。
抗MUC1 α/β抗体を同定するための試験
本発明の抗MUC1 α/β抗体は、MUC1 αサブユニットとβサブユニットの接点に結合するが、αサブユニットのみ、またはβサブユニットのみのいずれにも結合しない。これは、例えば、上記のような競合ELISAアッセイを行うことによって測定することができる。ELISAプレートのウェルは、αサブユニットとβサブユニットの両方を有している可溶性のMUC1タンパク質抗原(例えば、MUC1/TM、MUC1/X、またはMUC1/Y)で、そしてMUC1 α−サブユニットだけ、および可溶性(すなわち、膜貫通配列を含まない)MUC1 βサブユニットだけでコーティングすることができ、その後、抗MUC1 α/β抗体に曝すことができる。目的の抗体は、α−サブユニットとβ−サブユニットの両方を有しているMUC1タンパク質抗原に特異的に結合するが、MUC1 α−サブユニットだけ、またはMUC1 β−サブユニットだけには実質的には結合しない。あるいは、これはウェスタンブロットを使用して測定することもでき、ウェスタンブロットの方法論は当該分野では周知である。Coligan,et al.(前出);およびHarlow and Lane,1989および1998(前出)を参照のこと。
好ましくは、本発明の抗MUC1 α/β抗体はイソ型MUC1/TMとMUC1/Xに結合するが、イソ型MUC1/Yには実質的には結合しない。いかなる試論にも束縛はされないが、切断されたMUC1/Xは、細胞表面上のMUC1タンパク質のMUC1 α−サブユニットとβ−サブユニットの三次元接点を反映していると考えられる。これは、例えば、上記のような競合ELISAアッセイまたは競合フローサイトメトリーアッセイを行うことによって測定することができる。例示的なELISAアッセイにおいては、抗Fc抗体でコーティングされたELISAプレートがMUC1/TM−Fc(すなわち、全長のα−サブユニットを有している可溶性MUC1)、またはMUC1/X−Fc、およびMUC1/Y−Fc融合タンパク質に結合させられ、その後、抗MUC1 α/β抗体に曝される。目的の抗体は、MUC1/X−Fc融合タンパク質が結合させられているか、またはMUC1/TM−Fc融合タンパク質が結合させられているウェルに特異的に結合するが、MUC1/Y−Fc融合タンパク質が結合させられているウェルには実質的には結合しない。以下の実施例1を参照のこと。あるいは、これは、競合フローサイトメトリーアッセイにおいては、1つのMUC1イソ型を、自然界においてまたは組み換えによって細胞外表面上に発現する細胞を使用して、測定することができる。目的の抗体は、MUC1/TMまたはMUC1/Xを発現する細胞に特異的に結合するが、MUC1/Yを発現する細胞には実質的には結合しない。
抗MUC1 α/β抗体を使用する方法
診断および予後診断の方法
抗MUC1 α/β抗体は、MUC1を過剰発現する組織のガンを診断する方法、またはその予後診断を提供する方法における使用が見出される。通常、組織は上皮組織であるが、これは血液に由来する場合もあり、例えば、形質細胞である(すなわち、Bリンパ球系統の血漿細胞、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,第16版,2005,McGraw−Hillの第98章を参照のこと)。診断および予後診断の方法については、乳房、卵巣、前立腺、膵臓、結腸、形質細胞、および他の組織に由来するMUC1を過剰発現しているガンを同定することにおける特定の使用が見出されている。MUC1を過剰発現する組織または細胞は、正常であると確認された(すなわち、形質転換されていない、ガン性ではない)組織に由来する同じタイプの組織または細胞と比較して、少なくとも約20%、50%、80%、1倍、2倍、3倍、4倍、またはそれ以上の検出可能なMUC1を有する。診断および予後診断の方法は、通常は、上記のフローサイトメトリーおよび/または免疫組織化学的方法を使用して行うことができる。
ガンの免疫療法の方法
MUC1タンパク質は多くのガン(上皮および形質細胞骨髄腫(乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、膵臓ガン、結腸ガン、および多発性骨髄腫の形質細胞を含む)を含むがこれらに限定はされない)において発現されているかまたは過剰発現されているので、これはガンの免疫療法の標的である。
したがって、本発明により、ガン(乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、膵臓ガン、結腸ガン、および形質細胞骨髄腫を含む)を処置するために全身的に使用することができる抗MUC1 α/β抗体が提供される。抗MUC1 α/β抗体はまた、種々の他の良性腫瘍および悪性腫瘍の処置にも有用であり得る。したがって、本発明により、MUC1抗原を発現しているかまたは過剰発現しているガンに罹患しやすいか、またはそのようなガンを有している患者を処置する方法が提供される。この方法には、治療有効量のMUC1 α/βサブユニットの接点に特異的に結合する抗体を上記患者に投与する工程が含まれる。別のアプローチにおいては、本発明により、MUC1抗原を発現しているかまたは過剰発現している腫瘍細胞の増殖を阻害する方法が提供される。この方法には、MUC1 α/βサブユニットの接点に特異的に結合する抗体を、腫瘍細胞の増殖を阻害するために有効な量で患者に投与する工程が含まれる。抗MUC1 α/β抗体は、MUC1抗原を発現しているかまたは過剰発現している細胞の増殖を選択的に阻害するか、またはそのような細胞を選択的に死滅させるための方法においても使用することができる。この方法には、抗MUC1 α/β抗体免疫結合体または免疫毒素を、細胞の増殖を阻害するかまたは細胞を死滅させるために十分な量で、細胞と反応させる工程が含まれる。
例えば、結合していない抗MUC1 α/β抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、およびそれらの断片(例えば、組み換え体タンパク質)を含む)を、抗体がガン細胞上のインタクトなMUC1タンパク質に結合し、そしてそのような細胞および腫瘍の増殖の阻害(その崩壊を含む)を、複数の機構(これには、補体媒介性細胞溶解、抗体依存性細胞傷害性、MUC1の生理学的機能の変更、および/またはリガンドの結合もしくはシグナル伝達経路の阻害が含まれ得る)によって媒介するように、患者に導入することができる。結合していない抗MUC1 α/β抗体、その断片、および本発明の組み換え体タンパク質に加えて、放射性同位元素、リシン、および/または緑膿菌(pseudomonas)毒素を含む毒性の物質に結合させられた抗MUC1 α/β抗体もまた、MUC1を有している腫瘍細胞に直接毒性の物質を送達し、それによって腫瘍を崩壊させるために治療的に使用することもできる。
抗MUC1 α/β抗体を使用するガンの免疫療法は、様々なアプローチによって生じる技術にしたがうことができる。これらは、以下を含むがこれらに限定はされないいくつかのタイプのガンに関してうまく使用されている:結腸ガン(Arlen et al.,1998,Crit Rev Immunol 18:133−138)、多発性骨髄腫(Ozaki et al.,1997,Blood 90:3179−3186;Tsunenari et al.,1997,Blood 90:2437−2444)、胃ガン(Kasprzyk et al.,1992,Cancer Res 52:2771−2776)、B細胞リンパ腫(Funakishi et al.,1996,J Immunther Emphasis Tumor Immunol 19:93−101)、白血病(Zhong et al.,1996,Leuk Res 20:581−589)、結腸直腸ガン(Moun et al.,1994,Cancer Res 54:6160−6166);Velders et al.,1995,Cancer Res 55:4398−4403)、および乳ガン(Shepard et al.,1991,J.Clin Immunol 11:117−127)。ガンについての免疫毒素療法のさらなる例は、例えば、Wong,et al.,Semin Oncol(2005)32:591;Chen,et al.,Expert Opin Drug Deliv(2005)2:873;およびLi,et al.,Cell Mol Immunol(2005)2:106にまとめられている。
例えば、抗MUC1 α/β抗体を臨床的に投与するための1つの方法は、抗腫瘍活性(例えば、ADCC活性およびCDC活性)を示し、そしてまたはインビトロおよび/もしくは動物モデルにおいてインターナライズ能力を示す、モノクローナル抗MUC1 α/β抗体を使用して、それらを修飾されていない形態で投与することである(例えば、Hellstrom et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1499−1502(1985)を参照のこと)。ADCC活性およびCDC活性を検出するためには、モノクローナル抗体を、4時間のインキュベーション時間の間中、培養された51Cr標識腫瘍標的細胞の溶解について試験することができる。標的細胞は、51Crで標識され、その後、エフェクター細胞(リンパ球−分離媒体の使用によって精製されたヒトリンパ球の形態)と抗体(これは、例えば、0.1μg/mlから10μg/mlの間で変化する濃度で添加される)の組み合わせに対して4時間暴露させることができる。標的細胞からの51Crの放出が、腫瘍細胞の溶解(細胞傷害性)の証拠として測定される。対照には、標的細胞の単独での、あるいは、リンパ球またはモノクローナル抗体のいずれかとの別々でのインキュベーションが含まれる。放出させられ得る51Crの全量が測定され、そしてADCCが、単独でインキュベートされた標的細胞と比較された、モノクローナル抗体とエフェクター細胞を用いて観察された標的細胞の死滅の割合として計算される。CDCについての手順は、補体の供給源としてヒト血清(1:3から1:6に稀釈された)がエフェクター細胞の代わりに添加されることを除いて、ADCCを検出するために使用される手順と同じである。
本発明の方法の実施においては、細胞表面上にMUC1を発現しているかまたは過剰発現しているガン細胞の増殖を阻害することができる抗MUC1 α/β抗体が、その腫瘍がMUC1を発現しているかまたは過剰発現しているガン患者に対して、治療有効量で投与される。本発明の抗体療法の方法は、化学療法、放射線治療、および/または他の治療レジュメと併用される場合もある。
ガンの処置に有用な抗MUC1 α/β抗体としては、腫瘍に対する強力な免疫応答を開始することができるもの、および細胞傷害性を指示することができるものが挙げられる。これに関して、抗MUC1 α/β抗体は、補体媒介性の細胞傷害性機構または抗体依存性の細胞傷害性機構(ADCC)(いずれにも、エフェクター細胞Fc受容体部位または補体タンパク質との相互作用のために免疫グロブリン分子のインタクトなFc部分が必要である)のいずれかによって、腫瘍細胞の溶解を誘発することができる。加えて、腫瘍の増殖に対して直接的な生物学的作用を発揮する抗MUC1 α/β抗体は、本発明の実施において有用である。このような抗体は、その作用を発揮するためには、完全な免疫グロブリンを必要としない場合がある。このような直接的な細胞傷害性抗体がそれによって作用するであろうと考えられる機構としては、細胞増殖の阻害、細胞の分化の調節、腫瘍血管形成因子のプロフィールの調節、およびアポトーシスの誘導が挙げられる。特定の抗MUC1 α/β抗体がそれによって抗腫瘍作用を発揮する機構は、ADCC、ADMMC、補体媒介性細胞溶解を決定するために設計された、当該分野で公知のあらゆるインビトロアッセイを使用して評価することができる。例えば、Current Protocols in Immunology(前出)を参照のこと。
特定の抗MUC1 α/β抗体、または複数の抗MUC1 α/β抗体の組み合わせの抗腫瘍活性は、好ましくは、適切な動物モデルを使用してインビボで評価される。異種ガンモデル(この場合、ヒトのガンの移植片または継代された異種移植片組織が免疫機能が低下している動物(例えば、ヌードマウスまたはSCIDマウス)に導入される)が具体的には適切であり、知られている。例えば、ヒト前立腺ガンの異種移植片モデル(原発性腫瘍、微小転移巣の発生、および後期疾患の特徴である骨芽細胞への転移の形成を繰り返すことができる)が、Klein et al.,1997、Nature Medicine 3:402−408、およびPCT特許出願番号WO98/16628、1998年4月23日に公開されたSawyers et al.,に記載されている。本明細書中の例によって、インビボでの抗MUC1 α/β抗体調製物の抗腫瘍能力を評価するための詳細な実験プロトコールが提供される。例えば、確立された腫瘍の退行、転移の発生の妨害などを測定する、他のインビボでのアッセイが意図される。
マウスまたは他のヒト以外の動物と、キメラ(モノクローナル)抗体の使用によって、一部の患者においては中程度から強い免疫応答を誘導することができる場合があることに注目すべきである。最も重篤な場合には、そのような免疫応答によって、潜在的には腎不全を引き起こす可能性がある免疫複合体の大量の形成が導かれる可能性がある。したがって、本発明の治療方法の実施において使用される好ましい(モノクローナル)抗体は、完全なヒト抗体またはヒト化抗体のいずれかであり、そして高い親和性で標的であるインタクトなMUC1抗原に特異的に結合するが、患者においては低い抗原性しか示さないかもしくは抗原性を示さないものである。
本発明の方法は、1つの抗MUC1 α/β抗体、ならびに、種々の個々の(モノクローナル)抗体(例えば、異なるエピトープを認識するもの)の組み合わせまたは「混合物」の投与をもくろむ。このような抗体混合物には、それらに異なるエピトープに結合する抗体が含まれること、および/または、様々なエフェクター機構を生かすか、もしくは、免疫エフェクター機能性による抗体と直接的に細胞傷害性である抗体を組み合わせるというような、特定の利点がある場合がある。組み合わせられたこのような抗体は相乗的な治療効果を示す場合がある。加えて、抗MUC1 α/β抗体の投与は、他の治療薬(種々の化学療法薬、アンドロゲン阻害薬、免疫変調成分(例えば、IL−2、GM−CSF)、他の治療用抗体(例えば、MUC1上の他のエピトープに対する抗体、MUC1以外の腫瘍関連抗原に対する抗体、他の治療上有用なエピトープに対する抗体)、ならびに感染性疾患および他の疾患に対する薬剤を含むが、これらに限定はされない)と組み合わせることができる。抗MUC1 α/β抗体は、それらの「裸の」形態または結合させられていない形態で投与することができ、また、それらに結合させられた治療薬を有している場合もある。
本発明の方法の実施において使用される抗MUC1 α/β抗体は、所望される送達方法に適している生理学的に適合性の担体を含む薬学的組成物に処方することができる。適切な担体としては、抗MUC1 α/β抗体と組み合わせられた場合にも、抗体の抗腫瘍機能を維持でき、そして被験体の免疫系とは反応しない任意の物質が挙げられる。例としては、滅菌のリン酸緩衝化生理食塩溶液、静菌水などのような任意の多数の標準的な薬学的担体が挙げられるが、これらに限定はされない(一般的には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Gennaro(編)Lippincott Williams & Wilkins(2003)を参照のこと)。
抗MUC1 α/β抗体処方物は、腫瘍部位に抗体を送達することができる任意の経路から投与することができる。有効であると考えられる投与経路としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、腫瘍内、皮内などが挙げられるが、これらに限定はされない。好ましい投与経路は、静脈内注射による。静脈内注射に好ましい処方物には、保存された静菌水、滅菌の保存されていない水の溶液の中に抗MUC1 α/β抗体が含まれており、そして/または、注射用の0.9%の滅菌の塩化ナトリウム(USP)を含むポリ塩化ビニルまたはポリエチレンバッグの中で稀釈される。抗MUC1 α/β抗体調製物は凍結乾燥させることができ、そして滅菌粉末として、好ましくは減圧下で保存することができ、これはその後、例えば、ベンジルアルコール防腐剤を含む静菌水の中で、または注射の直前に滅菌水の中で再構成することができる。
処置には、一般的には、静脈内注射(IV)のような許容される投与経路による、有効用量の抗MUC1 α/β抗体調製物の反復投与が含まれる。投与量は、当業者に一般的に十分に理解されている様々な要因(ガンのタイプおよび重篤度、悪性度、またはガンの進行度、使用される抗体(単数または複数)の結合親和性および半減期、患者の中でのMUC1の発現の程度、循環している分割されたMUC1 α−サブユニット抗原の程度、所望される定常状態の抗体濃度のレベル、処置の頻度、ならびに、本発明の処置方法と組み合わせて使用される化学療法薬の影響を含むがこれらに限定はされない)に応じて様々である。典型的な一日量は、約0.1から100mg/kgの範囲であり得る。1週間あたり10〜500mgの抗体の範囲の用量が有効であり得、そして十分な耐量であるが、さらに多量の1週間の用量が適切であり、そして/または耐量である場合もある。適切な用量を定義することにおける重要な決定要因は、特定の状況において治療上有効であるために必要な特定の抗体の量である。反復投与が、腫瘍の阻害または退行を達成するために必要とされ得る。最初の負荷量はより多量であり得る。最初の負荷量は、注入として投与することができる。定期的な維持用量は、初回量が十分な耐量である限りにおいて、同様に投与することができる。
抗MUC1 α/β抗体の直接の投与もまた可能であり、特定の状況においては利点を有する場合がある。例えば、卵巣ガンの処置については、抗MUC1 α/β抗体は、腹腔内空間に直接注射することができる。
抗体に対する生物学的活性のある組成物の結合
抗体に対して生物学的活性のある成分(例えば、細胞傷害性部分)を結合させるための手順は、その成分の化学構造にしたがってさまざまである。一般的には、抗体には、それに対して薬剤を結合させるための生物学的活性のある分子上の適切な官能基との反応に利用することができる様々な官能基が含まれる。あるいは、抗体および/または生物学的活性のある成分は、別の反応性官能基に曝されるかまたは別の反応性官能基を結合させるために誘導される場合がある。誘導には、Pierce Chemical Company,Rockford I11から入手することができるもののような、任意の多数のリンカー分子の結合が含まれ得る。「リンカー」は、本明細書中で使用される場合は、抗体と生物学的活性のある成分を共有結合によって、または共有結合ではない結合によって結合させるために使用される分子を意味する。適切なリンカーは当業者に周知であり、これには、直鎖または分岐鎖である炭素リンカー、複素環炭素リンカー、またはペプチドリンカーが含まれるが、これらに限定はされない。例えば、Birch and Lennox,Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,第4章,Wiley−Liss,New York,N.Y.(1995);米国特許第5,218,112号、同第5,090,914号;Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,Calif.(1996)を参照のこと。
両方の分子がポリペプチドである場合には、リンカーは、それらの側鎖を介して(例えば、システインに対するジスルフィド結合を介して)構成アミノ酸に結合させることができる。特定の生物学的活性のある成分上の基と反応する1つの官能基と抗体と反応する別の基を有している二官能性リンカーを、所望される結合体を形成させるための使用することができる。いくつかの実施形態においては、二官能性リンカーを2つの抗体(例えば、抗MUC1 α/β抗体と別の抗体)を結合させるために使用することができる。あるいは、誘導には、成分の化学的な処理(例えば、遊離のアルデヒド基を生じさせるための過ヨウ素酸塩での糖タンパク質抗体の糖部分のグリコール切断)が含まれる場合もある。抗体上の遊離のアルデヒド基は、それに対して物質を結合させるために、物質上の遊離のアミン基またはヒドラジン基と反応させることができる(米国特許第4,671,958号を参照のこと)。抗体または抗体断片上に遊離のスルフヒドリル基を作製するための手順もまた公知である(米国特許第4,659,839号を参照のこと)。放射性核種金属錯体、毒素、および薬剤を含む様々な化合物の、抗体のようなタンパク質への結合のための多くの手順とリンカー分子は公知である。例えば、欧州特許出願番号188,256;米国特許第4,671,958号、同第4,659,839号、同第4,414,148号、同第4,699,784号;同第4,680,338号;同第4,569,789号;および同第4,589,071号;ならびに、Borlinghaus et al.,Cancer Res.47:4071−4075(1987)を参照のこと。化学的リンカーは、例えば、Pierce Biotechnology,Rockfold,ILから市販されている。
それが標的部位に到達した時点で結合している分子を放出することが所望されることがしばしばある。したがって、標的部位の近くで切断することができる連結を含む結合体を使用することができる。生物学的活性のある成分を抗体から放出するための連結の切断は、結合体が標的細胞の中、または標的部位の近くのいずれかで供される酵素活性または条件によって促進され得る。標的部位が腫瘍である場合には、腫瘍部位に存在している条件下で(例えば、腫瘍関連酵素または酸性pHに曝されると)切断され得るリンカーを使用することができる。シス−アコニット酸スペーサーの使用が、エンドソームの中で生物学的活性のある成分を放出させるために有用である。同様に、ジスルフィド結合は、エンドソームの還元性の環境下で切断することができる。
多数の種々の切断可能なリンカーは当業者に公知である。米国特許第4,618,492号;同第4,542,225号、および同第4,625,014号を参照のこと。これらのリンカー基からの物質の放出のための機構としては、例えば、光解離性結合の照射、および酸触媒加水分解が挙げられる。米国特許第5,141,648号には、特異的な化学構造のリンカーを含む免疫結合体が開示されている。この場合、連結はインビボで切断され、それによって、結合している化合物が放出される(放射線治療薬、薬剤、毒素など)。リンカーは弱酸性のpHで切断されやすく、そして、標的細胞の細胞質への輸送の間に切断され、それによって、標的細胞の中で生物学的活性のある化合物を放出すると考えられている。米国特許第4,671,958号には、患者の補体システムのタンパク質分解酵素によってインビボで標的部位で切断されるリンカーを含む免疫結合体の記載が含まれている。種々の放射線診断用の化合物、放射線治療用化合物、薬剤、毒素、および他の成分を抗体に結合させることについて報告されている多数の方法を考慮して、当業者は本発明の抗体に対して所定の成分を結合させるための適切な方法を決定することができるであろう。
目的の抗原に対する免疫応答を刺激する方法
本発明によってはまた、任意の目的の抗原に対する免疫応答を誘発する、またはそのような抗原に対する免疫応答を改善する、またはそのような抗原に対する抗体を惹起させるための方法も提供される。この方法は、(i)最初に、免疫原性であるタンデムリピート配列と目的の抗原を含むMUC1抗原で1回以上、抗体を生産することができる被験体を免疫化する工程;および(ii)次に、目的の抗原で1回以上ブーストする工程による。MUC1抗原と目的の抗原は、別々に、ポリペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸として投与することができる、MUC1抗原と目的の抗原は、結合していない分子として、リンカーによって結合された分子として(上記)、または融合タンパク質として、同時に投与することができる。
目的の抗原は、任意の抗原性配列であり得、これには、ヒト、哺乳動物、動物、植物、細菌、ウイルス、または合成起源の抗原性配列が含まれるが、これらに限定はされない。
目的の抗原としては、任意の腫瘍関連抗原が挙げられ、これには、腫瘍胎児抗原、腫瘍遺伝子産物、組織系統抗原、ウイルス抗原が含まれる。例示的な腫瘍関連抗原としては、癌胎児性抗原(CEA)、糖鎖抗原(CA−125)、MUC1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異抗原(PSA)、メラニン形成細胞抗原(例えば、MART−1/Melan A、チロシナーゼ、gp100、およびTRP−1(gp75))、腫瘍胎児抗原(OFA)、Her2/neuが挙げられる。
目的の抗原は、感染性疾患に関係している抗原であり得、例えば、寄生虫、細菌、ウイルスに由来し得る。例えば、マラリアに対する免疫応答を増大させることに有用な抗原は、例えば、The Intolerable Burden of Malaria:II.What’s New,What’s Needed,Breman,et al.,(編)、The American Society of Tropical Medicine and Hygiene(2004)に記載されている。HIVに対する抗体応答を誘発することにおいて有用な抗原は、例えば、Burton,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(2005)102:14943に記載されている。
以下の実施例は、請求される発明を説明するために提供され、発明を限定するためのものではない。
(実施例1)
抗MUC1 α/β抗体の生産
以下の実施例は、最初に、MUC1/TM cDNA抗原で免疫化し、その後、MUC1/Xタンパク質抗原の細胞外ドメインでブーストすることによる、抗MUC1 α/β抗体の生産を示す。抗体は、ELISAアッセイにおいてMUC1/X−免疫グロブリン定常領域融合タンパク質に結合したものをスクリーニングすることによって選択した。
実験手順
材料および方法。試薬と化合物は、別段の記載がない限りは、Sigma(St Louis,MO)から入手した。MUC1のタンデムリピート部分に対する抗体(抗EMA、上皮膜抗原、Mc5)は、Chemicon International(Temeluca,CA)から入手した。
細胞の培養。細胞を、10%の熱不活化ウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、100IU/mlのペニシリン、および25μg/mlのストレプトマイシンを補充した培養培地中で、37℃で5%のCOで増殖させた。DA3マウス乳腺腫瘍細胞、およびHK293ヒト胚腎臓細胞を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)の中で増殖させた。発現構築物を、リン酸カルシウム手順を使用して細胞にトランスフェクトした。
MUC1/TMを発現する安定なDA3マウス乳腺腫瘍細胞トランスフェクタントの作製。DA3細胞を、真核生物発現プラスミドpCL−MUC1/TM(または細胞質PvuII部位で短縮したpCL−MUC/TM)とpSV2neo(ネオマイシン耐性をコードする)で同時トランスフェクトした。安定なトランスフェクタントをネオマイシンを用いて選択した。MUC1タンパク質を発現するトランスフェクタントを、MUC1細胞質ドメインに対して指向させられた、親和性によって精製したポリクローナル抗体を使用して、細胞溶解物の免疫ブロット分析によって同定した。
MUC1/XおよびMUC1/Y真核生物発現構築物と融合タンパク質の作製。この実験で使用したMUC1抗原ポリペプチドには、MUC1/X−免疫グロブリン定常鎖融合タンパク質(「Flag−Yex−hFc」)とMUC1/Y−免疫グロブリン定常鎖融合タンパク質(「Flag−Xex−hFc」)が含まれている(図1およびLevitin,et al.,(前出)に示され、記載されている)。標準的な分子生物学的方法を使用して、以前に記載されたように(Levitin,et al.,(前出))全ての構築物を作製した。
Flag−MUC1/Xex−hFc融合タンパク質およびFlag−MUC1/Yex−hFc融合タンパク質を発現するHK293トランスフェクタントの作製と、hFc−タグ化融合タンパク質の精製。HK293(ヒト腎臓)細胞を、FLAG−Xex−hFc、Flag−Yex−hFc、または変異体MUC1/Xタンパク質をコードする真核生物pCMV3発現ベクター(6μgのDNA/25cmのフラスコ)で、リン酸カルシウムを使用して一時的にトランスフェクトした。安定なトランスフェクタントを得るために、ネオマイシン耐性クローンを、培養培地へのネオマイシンの添加後に単離した。分泌されたMUC1融合タンパク質を含む馴化培地(CM)を、15,000rpmで20分間回転させ、上清を0.45μmのフィルターを通して濾過し、そして−75℃で保存した。Protein A−Sepharose 4 Fast Flow(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を使用して、C末端にhFcタグが付けられたFlag−Xex(Yex)−hFcタンパク質を精製した。
抗MUC1抗体のMUC1/X(MUC1/Y)タンパク質に対する結合(ハイブリドーマ上清)およびMUC1 α/β接点に対する結合を決定するためのELISAアッセイ。ElisaImmunoAssayプレート(Coster,Corning,NY)を、ポリクローナルヤギ抗ヒトFc(Gα−hFc,4μg/ml)でコーティングし、その後、PBS−Tween20(0.05%)で洗浄し、そしてPBS−Tween+5%の脱脂粉乳(Blotto)でブロックした。その後、Flag−Xex(またはYex)−hFcタンパク質(変異体および野生型)を含む使用済みの培養培地をウェルに載せて、Flag−Xex(Yex)−hFcタンパク質を結合させた。インキュベーション後、試料を取り出し、そしてウェルをPBS/Tweenで洗浄した。その後、ウェルをマウスモノクローナル抗体(またはハイブリドーマ上清)とともに、続いて、HRP結合抗マウス抗体とともにインキュベートした。
マウスの免疫化とハイブリドーマの生産。マウスを、21日の間隔を明けた連続する皮内DNA免疫化によって免疫化した。注射したDNAはpCL−MUC1/TMまたはpCL−MUC1/X発現ベクタープラスミドのいずれかであった。最後に、マウスにフロイトの不完全なアジュバントと共にMUC1/Xタンパク質の細胞外ドメインを注射してブーストした。ハイブリドーマを免疫脾臓細胞との骨髄細胞体の融合によって調製し、ELISAアッセイによってスクリーニングした(上記を参照のこと)。
結果
MUC1/X cDNAでの免疫化ではなくMUC1/TM cDNAでの免疫化によって抗MUC1 α/β接点抗体が誘導された。マウスを、α鎖のタンデムリピートアレイを含むMUC1/TMタンパク質をコードするcDNA、またはタンデムリピートを欠失させたMUC1/Xイソ型をコードするcDNAのいずれかを含む発現ベクターで免疫化した(図1)。4回の連続するDNA免疫化の後、血清を、MUC1/Xに対して指向させられた抗体についてアッセイした。全長のMUC1/TM分子と同じ部位で切断されるMUC1/Xイソ型を、抗MUC1 α/β接点抗体を同定するためのスクリーニングタンパク質とした。これによっていくつかの利点がもたらされた。MUC1/X細胞外ドメインは中心にあるタンデムリピートアレイを含まないので、高度に免疫原性であるタンデムリピートアレイエピトープに対して指向させられた抗体は検出されないであろう。より重要なことは、MUC1/Xが、自然界に存在しているα/β接点を形成する2つの小さい相互作用しているMUC1/X αサブユニットとβサブユニットだけから構成されているので、MUC1/XとMUC1/TMの両方に共通しているエピトープに対して指向させられた抗体だけが検出されであろうということである。自然界に存在しているMUC1 α/β接点は1つのそのような主要なエピトープであり、これにより、このスクリーニング手順が目的のこの重要な領域に結合する抗体についての簡単な検出システムとなる。
予想外に、MUC1/X cDNAで免疫化した全てのマウス(5匹のうちの5匹)は、有意な抗MUC1/X抗体力価を惹起することができなかった(図2AおよびB)。対照的に、MUC1/TM cDNAで免疫化した5匹のマウスのうちの5匹が、高度に再現性はあるが、少量の抗MUC1/X抗体力価を生じた(図2AおよびB)。これらの結果は、MUC1/TM cDNAでの免疫化によっては、MUC1/Xタンパク質およびMUC1/TMタンパク質の両方に共通しているエピトープを認識する抗体を誘導することができたが、MUC1/X cDNAでの免疫化によっては、わずかな力価の抗MUC1/X抗体しか誘発できなかったことを示している。
本発明者らの主要な目的はα/β接点を認識するモノクローナル抗体を作製することであったので、はるかに高い抗MUC1/X力価を有しているマウスが必要であった。高力価の抗MUC1/Xを作製するために、本発明者らは、MUC1/TM cDNAで感作したマウスをMUC1/Xタンパク質でブーストした。1回のMUC1/Xタンパク質でのブーストの後、全ての免疫化されたマウスは、1:300(MUC1/TM cDNAでの免疫化だけの後)から、MUC1/Xタンパク質でのブースト後には少なくとも1:30,000に、抗MUC1/X力価の100倍の増加を示した(図3A〜D)。高い力価は、MUC1/Xタンパク質でのブーストの18日後に観察され、32日目にもまだなお高かった(図3A〜D)。ハイブリドーマの形成に使用するために屠殺しなかった残りのマウスは、最初の1回のMUC1/Xタンパク質でのブーストの6ヵ月後にもなお、高い抗MUC1/Xタンパク質力価を維持していた。抗α/β接点特異的抗体を作製するために最良であるために、本発明者らは、最も高い抗MUC1/X抗体力価を示すマウスに由来する脾臓細胞を使用して、ハイブリドーマの形成を開始した。
切断されたα/β接点を認識するDMC209モノクローナル抗体の作製。融合させられた脾臓−骨髄腫細胞を含む10個の96ウェルプレートからの使用済みの培地を、切断されたα/β接点を認識する抗体についてアッセイした。このような抗体を同定するために、ハイブリドーマ上清を、切断されたMUC/Xタンパク質と、構造上は類似しているが切断されていないMUC1/Yイソ型に対して、同時にスクリーニングした(図1)。MUC1/Xは、全長のMUC1/TMタンパク質と同じ部位で切断され、αサブユニットとβサブユニットの相互作用を生じるが、切断されないMUC1/YはMUC1 α/β接点エピトープを含まない。本発明者らは、MUC1/X陽性であり、MUC1/Y陰性であるハイブリドーマを選択した。
950個のハイブリドーマ上清をスクリーニングすることにより、MUC1/Xタンパク質と高度に反応性であるが、MUC1/Yとは反応しない2つのハイブリドーマが得られた。限界細胞稀釈によって、DMC209、IgM抗体、およびDMC111、Igγ2a抗体と命名した純粋なクローンを得た。
DMC209反応性とDMC111反応性の詳細なエピトープ分析。クローニングしたDMC209とDMC111によって作製したモノクローナル抗体の特異性の分析によって、いずれも、MUC1/X陽性であり、そしてMUC1/Y(=Δ1ー18、図4B)陰性であることを確認した。さらに、DMC209およびDMC111はまた、切断されないΔ1−11タンパク質とも反応しなかったが(図4F)、切断されるΔ1−7MUC1/Xタンパク質とは反応した(図4E)。さらなる分析は、DMC209およびDMC111が野生型MUC1/Xタンパク質と、切断されるS63→CおよびS63→T変異体タンパク質に同等に十分に結合したが(図4C)、他の全てのS63変異体である切断されないMUC1/Xタンパク質(図4D)はDMC209と完全に非反応性であったことを示していた。対照的に、DMC111は、切断されるMUC1/Xタンパク質(野生型と切断されたS63→CおよびS63→T変異体タンパク質、図4D)、ならびに、切断されないS63変異体タンパク質(図4D)のいずれとも等しく十分に反応した。これらの結果によって、2つのモノクローナル抗体によって認識されるエピトープが異なることが確認された。より重要なことは、DMC209はその反応性については完全にMUC1の切断に依存していることである。明らかに、DMC209は、MUC1 α−サブユニットとβ−サブユニットのいずれとも、それぞれを単離物として試験した場合には反応しなかった。DMC209は、相互作用しているものとして提示された場合にしか2つのサブユニットとは反応しない。これらの分析によって、DMC209が(i)切断に依存しており、そして(ii)α−サブユニットおよびβ−サブユニットが相互作用している接点を認識することの強力な証拠が提供された。さらなる分析(以下に記載する)によっては、主要なMUC1イソ型であるMUC1/TMを発現している細胞に対するDMC209の強固な結合、および切断に依存しないDMC111抗体との結合は明らかに少ないことが明らかにされた。これ以降、本発明者らが報告する分析は、切断依存性抗体DMC209に限定する。
インタクトな細胞上でのMUC1/TMに対するDMC209の結合。MUC1/TMは、全てのMUC1イソ型のうちの主要なMUC1タンパク質であり、膜に繋がれたα−サブユニットに対して共有結合以外によって結合させられた大きなタンデムリピートアレイを含むα−サブユニットから構成されている。これは、広い範囲の腺ガンにおいて、細胞表面ヘテロ二量体として細胞によって高レベルで発現されている(図1)。DMC209は、MUC1/Xタンパク質中に存在している切断されたα/β接点を認識し、そしてこの切断部位は全長のMUC1/TMタンパク質の中に見られる切断部位と同じであることが示されているので、DMC209がインタクトな細胞上に提示されるMUC1/TMタンパク質に結合するかどうかを決定することが極めて重要であった。本発明者らは、最初に、ヒトMUC1/TMを発現していないマウスの細胞が、ヒトMUC1/TMでのトランスフェクションの後にDMC209と反応するようになるかどうかを試験することによって、この問題に着手した。トランスフェクトされていないもとのマウスの乳腺腫瘍細胞はDMC209とは完全に非反応性であったが(図5A)、DMC209は、全長のMUC1/TMタンパク質(図5B)またはMUC1/TMの細胞質ドメインが欠失しているイソ型(図5C)のいずれかを発現する同じ細胞に対しては明らかに結合した。MUC1/TMがこれらの細胞上で発現されていることを確認するために、α−鎖のタンデムリピートアレイに対する抗体を用いて行った対照は、予想したとおり、トランスフェクトされた細胞上でMUC1の発現を示した(図5II)。
DMC209 mAbがトランスフェクトされた細胞中のMUC1/TMに結合することを確立すると、本発明者らは、これらの抗体が、MUC1/TMを発現することが公知である腫瘍細胞株にも結合するかどうかを調べ始めた。HEY(卵巣ガン細胞株)と乳ガン細胞株T47DおよびMDA231はすべて、有意なDMC209結合を示した(それぞれ、図5C、D、およびE)。
DMC209は新しい骨髄吸引物の中のMUC1を発現する多発性骨髄腫細胞に結合する。最終的な臨床的な適用のためには、MUC1 α/β接点に対する抗体は、MUC1を発現している悪性腫瘍細胞を標的化することができなければならない。DMC209抗体がインビボ様の設定において腫瘍細胞に選択的に結合できるかどうかを調べるために、多発性骨髄腫の患者から新しく得た骨髄吸引物中の悪性形質細胞を使用した。吸引物の中の異種細胞の集団によって、DMC209結合特異性の直接の評価ができる。DMC209は、MUC1を高度に発現することが知られているが、同じ吸引物試料中に存在しているMUC1を発現していない細胞には結合しないかまたは最少にしか結合しない、多発性骨髄腫細胞に結合するはずである。さらに、吸引物材料の中でのDMC209細胞の結合は、よく知られている骨髄腫マーカーである抗シンデカン(CD138)での同時染色によって容易に比較することができる。
プロットした、CD45陽性細胞に対する側方散乱(細胞の粒度を反映する)によって、骨髄吸引物中に存在している混合された細胞集団の組成を評価した(図6A)。これによって、骨髄吸引材料が顆粒球、好酸球、リンパ球、単球、有核赤血球、および悪性形質(骨髄腫)細胞を含む予想された異種細胞集団から構成されていることを確認した(図6A)。赤色の蛍光で標識されたDMC209抗体を用いた同時分析によって、有意なDMC209反応性を示した細胞の別の集団が明らかになった。R1(図6B)と命名したこの選択した集団は、シンデカン−CD138に対する抗体と完全な一致を示した(図6C)。同様の結果が、多発性骨髄腫の患者に由来する、別の、3つの新しく得た骨髄吸引物のうちの3個を用いて得られた。同じ新しい操作していない吸引物試料の中での、MUC1を発現している悪性形質細胞の認識と、MUC1を発現していない細胞系統に対しては結合しないことは、MUC1を発現している腫瘍細胞を識別することにおけるDMC209抗α/β接点抗体の優れた特異性を強調する。
DMC209抗α/β接点抗体での乳ガン組織の免疫組織化学的染色。乳ガン組織中に存在しているMUC1を発現している腫瘍細胞とのDMC209免疫反応性を視覚化するために、免疫組織化学的分析を、いずれも同じ外科的に切除した試料から得た悪性乳房組織と正常な乳房組織について行った。平衡して、切片を、MUC1のタンデムリピートを認識する抗体で免疫組織化学的に分析した(α−EMA−抗上皮膜抗原、実験手順を参照のこと)。α−EMAとDMA209抗α/β接点抗体のいずれもが、悪性乳ガン細胞と強く反応した。明らかに少ない染色が、悪性ではない正常な乳房組織においては観察された。
本発明者らは、次に、DMC209とタンデムリピート部分に対する抗体で、それぞれ、赤および緑の蛍光標識で同時に二重染色を行った。MUC1免疫反応性は、悪性乳房組織の凍結切片の中で、赤色に標識されたDMC209を使用して容易に検出できた。強い抗MUC1免疫反応性は、悪性乳房上皮細胞上で見られ、原則として、全ての免疫反応性は、未標識のDMC209抗体を添加することによって競合され、したがって、免疫反応性の特異性が立証された。染色は、結合組織の中に包埋されていた線維芽細胞においても、また、結合組織自体においても見られなかった。予想されたとおり、タンデムリピート部分に対する抗体との免疫反応性を示す緑色の標識は、赤色に標識されたDMC209について見られた標識と一緒に局在化していた。
本明細書中で記載した実施例と実施形態は、説明の目的のためのものであり、その観点での様々な改良または変更が当業者に示唆され、本出願および添付の特許請求の範囲の精神および範囲に含まれることが理解される。本明細書中で引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的についてそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
(配列表)
Figure 2008528623
Figure 2008528623
図1は、MUC1タンパク質イソ型とMUC1融合タンパク質を示す。タンデムリピートアレイを含む切断された膜貫通MUC1タンパク質(MUC1/TM)を左に示す。別のスプライシングでは、S.D.→によって示されるスプライシングドナーが利用され、これによって、2つの別のスプライシングアクセプター(S.A.Y→とS.A.X→が生じ、これによって、MUC1/YとMUC1/Xイソ型が形成される。テキストに記載されているように、抗体DMC209は、MUC1/XとMUC1/TMタンパク質の両方に存在している切断されたα/β接点を認識するが、切断されていないMUC1/Yタンパク質とは反応しない。 図2Aは、MUC1/TM、MUC1/X、およびMUC1/Yイソ型の配列を示す。MUC1/TMヌクレオチド(配列番号1)およびアミノ酸(配列番号2)の番号付けは、それぞれ、配列の左と右に示す。シグナルペプチドの切断は、23位のグリシンと24位のセリンの間で起こり、そして上向きの赤色の矢印によって示されている。N30配列はSGHASからEKNAまでにまたがる。明確性のために、タンデムリピートアレイとその隣接配列を含むスプライシングされた中心領域を欠失させ、これは点線で示されている。MUC1/TMの切断は、357位のグリシンと358位のセリンの間(MUC1/Xアミノ酸の62位と63位の間)で起こり、これは、上向きの赤色の矢印で示されている。MUC1/XとMUC1/Yを生じるスプライシングドナー部位は、217位のヌクレオチド(gtgat)に示され、そしてMUC1/XとMUC1/Yを生じるスプライシングアクセプター部位は、それぞれ、924位のヌクレオチド(ccccag)と996位のヌクレオチド(ctccag)にある。MUC1/Xスプライシングアクセプター部位に対してすぐC末端側にあるMUC1/Xアミノ酸は、斜体文字で1から(LSTGで始まる)から、膜貫通ドメインのすぐN末端側にある120(SGAG)まで番号付けされている。MUC1/X核酸配列とアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3および4に示されている。MUC1/Y核酸配列とアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号5および6に示されている。Levitin,et al.(前出)を参照のこと。 図2Bは、MUC1/TM、MUC1/X、およびMUC1/Yイソ型の配列を示す。MUC1/TMヌクレオチド(配列番号1)およびアミノ酸(配列番号2)の番号付けは、それぞれ、配列の左と右に示す。シグナルペプチドの切断は、23位のグリシンと24位のセリンの間で起こり、そして上向きの赤色の矢印によって示されている。N30配列はSGHASからEKNAまでにまたがる。明確性のために、タンデムリピートアレイとその隣接配列を含むスプライシングされた中心領域を欠失させ、これは点線で示されている。MUC1/TMの切断は、357位のグリシンと358位のセリンの間(MUC1/Xアミノ酸の62位と63位の間)で起こり、これは、上向きの赤色の矢印で示されている。MUC1/XとMUC1/Yを生じるスプライシングドナー部位は、217位のヌクレオチド(gtgat)に示され、そしてMUC1/XとMUC1/Yを生じるスプライシングアクセプター部位は、それぞれ、924位のヌクレオチド(ccccag)と996位のヌクレオチド(ctccag)にある。MUC1/Xスプライシングアクセプター部位に対してすぐC末端側にあるMUC1/Xアミノ酸は、斜体文字で1から(LSTGで始まる)から、膜貫通ドメインのすぐN末端側にある120(SGAG)まで番号付けされている。MUC1/X核酸配列とアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3および4に示されている。MUC1/Y核酸配列とアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号5および6に示されている。Levitin,et al.(前出)を参照のこと。 図3は、MUC1/TMまたはMUC1/XのいずれかをコードするDNAで免疫化したマウスにおいて作製させた抗MUC1/X抗体を示す。マウスを、MUC1/TMタンパク質(グループII)をコードするcDNA,またはタンデムリピートが欠失させられたMUC1/Xタンパク質をコードするcDNA(グループI、図1を参照のこと)のいずれかを含む発現ベクターで免疫化した。血清を、実施例に記載するように、切断されたMUC1/Xタンパク質に対して指向させられた抗体力価についてアッセイした。グループIIのマウスの全てが、有意な抗MUC1/X抗体力価を示したが、グループIのマウスにおいては抗MUC1/X抗体は検出されなかった(AおよびB)。 図4は、MUC1/TM cDNAで感作させ、1回のMUC1/Xタンパク質でのブーストを続いて行ったマウスにおける抗MUC1/X力価を示す。MUC1/TM cDNAでの免疫化によって予め感作させたグループIIのマウス(図2を参照のこと)を、1回のMUC1/Xタンパク質での免疫化によってブーストした。血清を、タンパク質でのブーストの18日後または32日後に(それぞれ、ピンク色および緑色の線)、実施例に記載するように、抗MUC1/X反応性についてアッセイした。個々のマウスについての力価が示される。 図5は、DMC209およびDMC111モノクローナル抗体によって認識されるエピトープの詳細な分析を示す。野生型MUC1/XおよびMUC1/Yタンパク質(AおよびB)、ならびに、点変異したMUC1/X(CおよびD)および内部欠失させられたMUC1/X(EおよびF)を、DMC209およびDMC111抗体とのそれらの反応性について、実施例に記載するようにアッセイした。 図6は、MUC1/TMを発現する細胞のDMC209フローサイトメトリー分析を説明する。親であるトランスフェクトされていないマウス乳腺腫瘍細胞、または全長のMUC1/TMもしくはその細胞質テールが短縮されているMUC1/TM(それぞれ、DA3/PAR、DA3/TM、およびDA3/TMマイナスCYT)をコードするcDNAでトランスフェクトされた細胞をDMC209と反応させ、実施例に記載するようにフローサイトメトリーによって分析した。同様に、卵巣ガン細胞株HEYと乳ガン細胞である細胞株T47DおよびMDA231を、DMC209とのインキュベーションの後に分析した。赤色と緑色の軌跡は、それぞれ、蛍光標識された二次抗体だけと、または一次DMC209抗体、続いて二次抗体との細胞の反応を示す。 図7は、多発性骨髄腫の患者から新しく得た骨髄細胞とのDMC209反応性のフローサイトメトリーによる分析を示す。骨髄の吸引物を、DMC209と、CD45、CD138、およびCD38に対する抗体を用いて、同時に分析した。抗体を蛍光色素(それぞれの蛍光色素は異なる放射波長を有している)で別々に標識した。側方散乱分析を、CD45(A1)およびDMC209(A2)に対して行った。DMC209陽性細胞をR1と命名し、CD138陽性細胞(A3)に対するCD38陽性細胞のプロットは、DMC209陽性集団(赤色で標識された細胞)がCD138陽性細胞と一致することを示している。

Claims (37)

  1. αサブユニットまたはβサブユニットのいずれに対しても他方が存在しない場合には実質的には結合しないとの条件で、インタクトなMUC1タンパク質に特異的に結合する、MUC1特異的抗体。
  2. イソ型MUC1/Xに結合するが、イソ型MUC1/Yには実質的には結合しない、請求項1に記載の抗体。
  3. 前記イソ型MUC1/Xが短縮型αサブユニットとβサブユニットに切断される、請求項2に記載の抗体。
  4. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体。
  5. 前記抗体が約1:300から約1:30,000までの力価を有している、請求項1に記載の抗体。
  6. 前記抗体がIgMである、請求項1に記載の抗体。
  7. 前記抗体がDMC209である、請求項1に記載の抗体。
  8. 前記抗体がIgGである、請求項1に記載の抗体。
  9. 前記抗体がDMC111である、請求項1に記載の抗体。
  10. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項1に記載の抗体。
  11. 前記抗体がヒト抗体である、請求項1に記載の抗体。
  12. 前記抗体が抗体の組み換え体単鎖可変領域断片である、請求項1に記載の抗体。
  13. 細胞傷害性部分がさらに含まれている、請求項1に記載の抗体。
  14. 標識部分がさらに含まれている、請求項1に記載の抗体。
  15. 前記抗体によって、βサブユニットからのαサブユニットの解離が妨げられる、請求項1に記載の抗体。
  16. 請求項1に記載の抗体を含む細胞。
  17. 前記細胞がハイブリドーマ細胞である、請求項16に記載の細胞。
  18. 前記細胞が、請求項1に記載の抗体に結合したインタクトなMUC1タンパク質をその表面上に含む、請求項16に記載の細胞。
  19. MUC1を過剰発現しているガン細胞に対して免疫毒素を標的化させる方法であって、請求項1に記載の抗体を投与する工程を含む、方法。
  20. インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体を生産する方法であって、以下の工程:
    i)インタクトなMUC1タンパク質に特異的に結合するMUC1特異的抗体を得るために十分な量の、αサブユニットのタンデムリピートを含むMUC1/TM抗原で、抗体を生産する能力を有する被験体を免疫化する工程;および
    ii)MUC1/X抗原に結合する抗体を選択する工程;
    が含まれ、ここでは、前記抗体は,MUC1 αサブユニットまたはMUC1 βサブユニットのいずれに対しても他方が存在しない場合には実質的には結合しない、方法。
  21. 前記抗体が、イソ型MUC1/Xに結合し、イソ型MUC1/Yには実質的には結合しない、請求項20に記載の方法。
  22. 前記イソ型MUC1/Xが、短縮型αサブユニットとβサブユニットに切断される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記MUC1/TM抗原がMUC1/TMポリペプチドである、請求項20に記載の方法。
  24. 前記MUC1/TM抗原がMUC1/TMポリペプチドをコードする核酸である、請求項20に記載の方法。
  25. 前記工程i)の後に、MUC1/X抗原で被験体を免疫化する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
  26. 前記MUC1/X抗原がMUC1/Xポリペプチドである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記MUC1/X抗原がMUC1/Xポリペプチドをコードする核酸である、請求項25に記載の方法。
  28. αサブユニットまたはβサブユニットのいずれに対しても他方が存在しない場合には結合しないとの条件で、インタクトなMUC1タンパク質に結合するMUC1特異的抗体をスクリーニングする方法であって、以下の工程:
    i)切断されたMUC1/X抗原とMUC1/Y抗原に対する、生じた複数の抗MUC1抗体の結合を決定する工程;および
    ii)MUC1/X抗原に特異的に結合するが、MUC1/Y抗原に対しては有意には結合しない抗体を選択する工程
    を含む、方法。
  29. 目的の抗原に対する抗体を生産する方法であって、以下の工程:
    i)αサブユニットのタンデムリピートと目的の抗原を含むMUC1/TM抗原で被験体を免疫化する工程、および
    ii)目的の抗原で被験体を免疫化する工程
    を含み、それによって目的の抗原に対する抗体が生産される、方法。
  30. 前記MUC1/TM抗原がMUC1/TMポリペプチドである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記MUC1/TM抗原がMUC1/TMポリペプチドをコードする核酸である、請求項29に記載の方法。
  32. 前記目的の抗原がポリペプチドである、請求項29に記載の方法。
  33. 前記目的の抗原が目的の抗原をコードする核酸である、請求項29に記載の方法。
  34. i)MUC1/TMと目的の抗原を含む融合抗原で被験体を免疫化する工程をさらに含む、請求項29に記載の方法。
  35. 前記目的の抗原が、ヒト抗原、動物抗原、植物抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、または合成の抗原からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
  36. 前記目的の抗原が腫瘍関連抗原である、請求項29に記載の方法。
  37. 前記目的の抗原が感染性疾患関連抗原である、請求項29に記載の方法。
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