JP2008524074A - 航空機キャビンの吸音ブランケット取付システム - Google Patents

Abstract

吸音ブランケット取付システムは、機体部材に取付けられたファスナ片に接着されるブランケット取付片（ＢＭＳ）を含む。ＢＭＳは、概ね「＞＜」形の形状で、対向する対のウィングの間に防音ブランケットを取り外し可能に捕まえる。対のウィングのうち少なくとも１つのウィングが、ＢＭＳベース材料層に縫い付けられた音響的ガスケット片を含む。互いに反対面にあるブランケットフックループ片が、ウィングフックループ片に対応してウィングの間に防音ブランケットを保持し、音響的ガスケット片が、従来の防音ブランケット装着にみられた音漏れを最少にする。

Description

本発明は、航空機キャビンの騒音を低減する処置に関し、詳しくは、航空機内部の騒音レベルを低減し、保守を容易にする防音ブランケット取付システムに関する。

騒音は、さまざまな騒音源から航空機キャビンに広がる。最も一般的な騒音源は、機内または機外に取付けられた、トランスミッション、エンジン、または回転翼システム等の、動的構成要素である。キャビンの他の騒音源は、航空機の様々な胴体構成要素を通る空気流である。これらの構成要素は、航空機内で振動を発生させ、この振動は、機体を通って伝搬し、キャビン内に広がる。

回転翼機のキャビンにおいて騒音が特に問題となる理由は、回転翼システムおよびトランスミッションシステムが、かなりの量の振動を機体構造に直接的に生み出すからである。この問題は、回転翼機においては、回転翼機の動的構成要素がキャビンの上に直接取付けられているので、固定翼機においてよりも顕著である。

ヘリコプタキャビンの主な騒音問題は、メイントランスミッションからくるギアの高周波の甲高い騒音に囲まれていることである。この結果、一般に約３５０Ｈｚから約４０００Ｈｚまでのキャビンの騒音振動が生じる。対比的に、主回転翼と尾部回転翼との騒音源からの騒音振動は、２０Ｈｚから１２５Ｈｚまでの範囲であり、人間の耳の感度によって、最大４０＋ｄＢまで減衰される。

航空機キャビンの内部は、航空機の内部騒音を、市場の競争原理によって予め決められた一定のレベルより低く維持するように通常は設計される。例えば、エグゼクティブ輸送用回転翼機は、一般に、環境制御システム（ファン、換気、冷房／暖房システム）を止めた状態で、約７５ｄＢ ＳＩＬ４の設計平均騒音レベル制限を提供する。ＳＩＬ４（会話妨害レベル４）の騒音測定基準は、５００Ｈｚ，１０００Ｈｚ，２０００Ｈｚ，４０００Ｈｚの各オクターブバンド音圧レベルの算術平均である。この騒音測定基準は、２人の間の会話を妨害する程度により、定常騒音を格付けする。

キャビン内の騒音レベルを所望のＳＩＬ４値未満に低減するために、様々な従来型吸音システムが提供されている。現在のシステムの１つは、防音ブランケットの設置である。ブランケットがなければ大量の騒音がキャビン内部に放射される航空機キャビン部分の機体フレーム部材に、直接、ブランケットが取り外し可能に接着される。詳しくは、防音ブランケットは、重ね合わせて配置され、フックループファスナ片を用いてフレーム部材に接着される。すなわち、第１ブランケットは、フレーム部材に接着され、隣のブランケットは、第１ブランケットに接着される。これは、比較的有効であるが、防音ブランケットの接着交差部を通して音漏れが残る。機体と内装トリムパネルとの隙間が不十分なことが原因で、ブランケット交差部で、振動の接地も生じる。この騒音の接地点と音漏れとが組み合わさり、望ましくないキャビン騒音レベルとなる。

また、ブランケットが重なり合っているので、防音ブランケットの裏側にある機体とアビオニクスシステムとにアクセスするために、通常は防音ブランケットの隣の部分も含めて防音ブランケットのかなりの部分を取り外さなければならない。例えば、図６に示す左の内側のブランケットＢＬを取り外すためには、両方の内装トリムパネルＩを最初に取り外し、骨格フレーム部材Ｓを取り外し、次に、左のブランケットＢＬにアクセスするために右の内側ブランケットＢＲを引き戻さなければならない。

従って、交差部からの音漏れを最少化し、かつ、保守アクセスのために効率的なブランケット除去ができ、軽量で、音を吸収する防音ブランケット接着システムが望まれている。

本発明による吸音システムは、機体部材に取付けられたファスナ片に接着されたブランケット取付片（ＢＭＳ）を含む。ＢＭＳは、ほぼ「＞＜」形の形状で、対向する対のウィングの間に防音ブランケットを取り外し可能に捕まえる。

内部骨格構造部は、内部骨格取付け部にほぼ重なるように取付けられ、ＢＭＳをさらに保持する。内部骨格構造部は、多数の吸音トリムパネルの支持および接着に使われる。

対のウィングのうち第１ウィングは、ＢＭＳベース材料層に縫い付けられたウィングフックループ片を含む。対のウィングのうち第１ウィングに対向する第２ウィングは、ＢＭＳベース材料層に縫い付けられたウィングフックループ片および音響的ガスケット片を含む。互いに反対面にあるブランケットフックループ片がウィングフックループ片に対応して、ウィングの間にブランケットを保持し、音響的ガスケット片が音漏れを最少にする。

ＢＭＳウィングの各対は、隣の内部骨格構造部部材の端より外側へ延びるので、骨格構造部を取り外すことなく、また、隣のブランケットの吸音の完全性を阻害することなく、各対向するブランケットを個別に取り外すことができる。

従って、本発明は、交差部からの音漏れを最小化し、かつ、保守アクセスのために効率的にブランケットを除去でき、軽量で、音を吸収する防音ブランケット取付システムを提供する。

図１は、主回転翼アセンブリ１２を有する回転翼機１０を概略を示す。航空機１０は機体１４を含み、機体１４には、反トルク回転翼１８の取付け部となる尾部１６が延在する。主回転翼アセンブリ１２は、１つまたは複数のエンジン２２によって（符号２０で概略を示す）トランスミッションを介して駆動される。開示した実施形態では、特定のヘリコプタの構成を示すが、ターボプロップ、ティルトロータ、ティルトウィング形式の航空機など、他の航空機も、本発明から恩恵を受ける。

図２Ａを参照すると、機体部２４は、外板２８を支持する多数のフレーム部材２６を含む。機体部２４は、航空機１０の外側構造であり、１つまたは複数の窓部分３０を含むことができる。窓部分３０は、一般的に、外板２８を貫いて多数のフレーム部材２６の間に配置される。多数のフレーム部材２６は、一般に直線的なパターンに配置されるが、本発明と共に種々の配置が用いられ得る。

多数のフレーム部材２６は、内部骨格構造部３４を支持する多数の内部骨格取付け部３２を含む（図２Ｃ）。内部骨格取付け部３２は、内部骨格構造部３４が定位置に必ず「かちっとはまる」ように、内部骨格構造部３４に配置された対応する受け部３８を受けるポスト３６を含むことが好ましい。内部骨格構造部３４は、複合材料で製造されていることが好ましい。

多数のフレーム部材２６は、フレーム部材２６に取付けられたフックループファスナ片４０を含む。本明細書では、「フックループ」は１つのファスナシステムとして記述され、このシステムでは、１片の「フック」材が１つの部材に接着され、１片の「ループ」材が別の部材に接着されて、２つの部材の間に取り外し可能な接着を提供する、ということを理解されたい。どちらの部材に「フック」材が接着され、どちらの部材に「ループ」材が接着されるかは、それらの間に取り外し可能な接着が提供される限り、問題とする必要はない。ファスナ片４０は、内部骨格取付け部３２の間でフレーム部材２６に直接に結合される。ファスナ片４０は、各垂直フレーム部材２６_Vに沿って平行な配置で、航空機キャビンの床Ｆに対して垂直に配置されて、これらのファスナ片に防音ブランケット４２（図２Ｃ）が設置されることが好ましい。

図２Ｂを参照すると、ファスナ片４０にブランケット取付片（ＢＭＳ）４４が接着される。ＢＭＳ４４は、フックループ片を介してファスナ片４０に接着されて、ファスナ片４０に取り外し可能に接着される。ＢＭＳ４４は、概ね「＞＜」形の形状で、ＢＭＳ４４の対向する１対のウィング４６Ｌ，４６Ｒの間に、防音ブランケット４２を取り外し可能に捕まえる（図２Ｃにも図示）。

ブランケット４２は、下層発泡体層と、ビニル質量バリア層と、上層発泡体層と、を含むサンドイッチ構造を一般に含む。Ｅ．Ｉ．ｄｕ Ｐｏｎｔ Ｄｅ Ｎｅｍｏｕｒｓ社が商標名ＴＥＤＬＡＲの名で販売しているフッ化ポリビニル材料から作られた防湿材が、サンドイッチ構造を取り囲んで、取扱いによる発泡体層の損傷を防止し、発泡体層による流体（水、オイル、油圧流体等）の吸収を防止する。他のブランケットの構成も本発明によって使用可能であることを理解されたい。実際には、「ブランケット」としてよく知られている構造以外の防音材料の装着も、本発明から恩恵を受ける。

図２Ｃを参照すると、内部骨格構造部３４は、内部骨格取付け部３２に概ね重なるように取付けられて、ＢＭＳ４４がファスナ片４０に保持されることを補助する。内部骨格構造部３４は、直角掛けファスナ等のファスナを介して、多数の吸音トリムパネル４８（図２Ｄ）の支持および装着に使われる。

図３Ａを参照すると、ＢＭＳ４４は、互いに反対側にある２対のウィング４６Ｒ，４６Ｌを含み、これらは、中央交差部５０に沿って接合されて、「＞＜」形の形状を形成する。

図３Ｂを参照して、１対のウィング４６Ｒを記述するが、反対側にある対のウィング４６Ｌも、同様に構成されることを理解されたい。対のウィング４６Ｒの第１ウィング４６Ｒａは、ＢＭＳベース材料層５４に縫い付けられたウィングフックループ片５２を含むことが好ましい。ベース材料層５４は、概ね「＞＜」形の形状で、防音ブランケット４２などの材料で製造される。対のウィング４６Ｒで第１ウィング４６Ｒａに対向する第２ウィング４６Ｒｂは、ウィングのフックループ片５６と、ＢＭＳベース材料層５４に縫い付けられた発泡体であることが好ましい音響的ガスケット片５８と、を含む。フックループ片５６は、中央の交差部５０に近接して配置された音響的ガスケット片５８と、ほぼ平行である。

図３Ｃを参照すると、ブランケット４２は、両面にブランケットのフックループ片６０（一面を示す）を含む。両面にあるブランケットのフックループ片６０は、ウィングフックループ片５２，５６に対応し、ウィング４６Ｒａと４６Ｒｂとの間にブランケットが保持される（図３Ｄ）。音響的ガスケット片５８は、防音ブランケット装着の際に従来見られた音漏れを最小化する。

図４を参照すると、本発明による吸音ブランケット取付システム６２が、垂直フレーム部材２６ｖにほぼ垂直な断面で示されている。垂直フレーム部材２６ｖにＢＭＳ４４を取付けると、スタックの積み重ねによる機体への干渉を緩和し、保守のためのアクセスができるようになった。さらに本発明は、質量荷重を内部支持構造から機体へ移動させることにより、耐衝撃性の便益を提供する。

ＢＭＳウィング４６Ｒ，４６Ｌの各対は、隣接する内部骨格構造部部材３４Ｍ（図３Ｅにも図示）の端より外側に位置しているので、骨格構造部を取り外さずに、また、隣接するブランケットの吸音の完全性を損なうことなく、対向するブランケット４２を個別に取り外すことができる。例えば、右のブランケット４２Ｒを取り外す必要がある場合、ブランケット４２Ｒの直接前にある吸音トリムパネル４８Ｒのみを取り外せば、裏側にある構成要素Ｃにアクセスすることができる。現在の防音ブランケットの装着とは異なり、本発明による吸音ブランケット取付システム６２は、左の吸音トリムパネル４８Ｌも、内部骨格構造部部材３４Ｍも、４２Ｒと共に内部骨格構造部部材３４Ｍに取付けられている隣接する防音ブランケット４２Ｌも、取り外す必要はない。

図５は、本発明による吸音ブランケット取付システム６２の音響試験で、少なくとも８．４ｄＢの低減、ＳＩＬ−４が達成されたことを示す。

特定のステップの流れが示され、記述され、権利の請求がなされるが、特に示されていない限り、ステップは任意の順序で行われても、分割されても、組み合わされてもよいことを理解されたい。また、その場合でも、本発明から恩恵を受ける。

これまでの記述は、例示的なものであり、制限による範囲の画定のためではない。上述の教示を考慮して本発明の多くの修正および変更が可能である。本発明の好ましい実施形態を記述したが、本発明の範囲内で一定の修正が生じることを当業者は理解するであろう。従って、本発明は、請求の範囲内で別の方法により実践することができる。このため、本発明の特許請求の範囲および内容を決定するために請求項を検討されたい。

本発明と共に用いる例示的な回転翼機の実施形態の概略斜視図。 機体部の斜視図。 ブランケット取付片を指定の機体部材に接着した図２Ａの機体部の斜視図。 防音ブランケットをブランケット取付片に取付け、内部骨格部材を指定の機体部材に接着した図２Ｂの機体部の斜視図。 内装トリムパネルを内部骨格部材に取付けた図２Ｃの機体部の斜視図。 本発明によるブランケット取付片の斜視図。 対になったウィングが離れた状態のブランケット取付片の斜視図。 対のウィングの１つにブランケットを取付けたブランケット取付片の斜視図。 本発明によるブランケット取付片の対のウィング間に取付けられたブランケットの斜視図。 内部骨格構造部の後ろに取付けられたブランケット取付片の斜視図 図３Ｄの線４−４に関する、本発明による吸音ブランケット取付システムの断面図。 本発明による吸音ブランケット取付システムを従来のブランケット装着と比較したグラフ。 先行技術によるブランケット装着配置。

Claims (14)

1. 防音ブランケット取付片であって、
   第１ウィングおよび第２ウィングを含むベース層と、
   前記第１ウィングに接着された第１ウィングファスナ片と、
   前記第２ウィングに接着された第２ウィングファスナ片および音響的ガスケットと、
   を備えることを特徴とする防音ブランケット取付片。
2. 第４ウィングに隣接する第３ウィングをさらに備え、前記第１ウィングおよび前記第２ウィングが、前記第３ウィングおよび前記第４ウィングに隣り合うことを特徴とする請求項１に記載の防音ブランケット取付片。
3. 前記第１ウィング、前記第２ウィング、前記第３ウィング、および前記第４ウィングが、ほぼ「＞＜」形の形状を規定することを特徴とする請求項２に記載の防音ブランケット取付片。
4. 前記第１ウィング、前記第２ウィング、前記第３ウィング、および前記第４ウィングが、中央交差部で合わさっていることを特徴とする請求項２に記載の防音ブランケット取付片。
5. 前記中央交差部に沿って取付けられたファスナ片をさらに備えることを特徴とする請求項４に記載の防音ブランケット取付片。
6. 前記第１ウィングファスナ片および前記第２ウィングファスナ片が、フックループファスナを含むことを特徴とする請求項１に記載の防音ブランケット取付片。
7. 吸音ブランケット取付システムであって、
   第１ウィングと第２ウィングとを含むベース層であって、前記第１ウィングが前記第２ウィングと対向するベース層と、
   前記第１ウィングに接着された第１ウィングファスナ片と、
   前記第２ウィングに接着された第２ウィングファスナ片および音響的ガスケットと、
   前記第１ファスナ片と係合可能なブランケットファスナ片を有する防音ブランケットであって、前記音響的ガスケットと係合可能な防音ブランケットと、
   を備えることを特徴とする、吸音ブランケット取付システム。
8. 第３ウィングおよび第４ウィングをさらに備え、前記第３ウィングが前記第４ウィングと対向し、前記第１ウィングおよび前記第２ウィングが、前記第３ウィングおよび
   前記第４ウィングと反対側にあって、前記第１ウィング、前記第２ウィング、前記第３ウィング、および前記第４ウィングが、中央の交差部で合わさっていることを特徴とする請求項７に記載の吸音ブランケット取付システム。
9. 前記中央交差部に沿って取付けられたファスナ片をさらに備えることを特徴とする請求項８に記載の吸音ブランケット取付システム。
10. 前記中央交差部に隣接する内部骨格構造部をさらに備えることを特徴とする請求項９に記載の吸音ブランケット取付システム。
11. 前記ブランケットファスナ片が、前記第１ファスナ片と前記第２ファスナ片とに係合可能で互いに反対面にあるブランケットファスナ片であることを特徴とする請求項７に記載の吸音ブランケット取付システム。
12. 機体フレーム部材に装着するための吸音ブランケット取付システムであって、
    機体フレーム部材に取付けられたフレームファスナ片と、
    交差部に接着された第１ウィングおよび第２ウィングを含むベース層であって、前記第１ウィングが前記第２ウィングと対向するベース層と、
    前記中央交差部に取付けられて、前記ベース層を前記フレームファスナ片に取付ける中央ファスナ片と、
    前記第１ウィングに接着された第１ウィングファスナ片と、
    前記第２ウィングに接着された第２ウィングファスナ片および音響的ガスケットと、
    前記第１ファスナ片と係合可能なブランケットファスナ片を有する防音ブランケットであって、前記音響的ガスケットと係合可能な防音ブランケットと、
    を備えることを特徴とする、機体フレーム部材に装着するための吸音ブランケット取付システム。
13. 前記機体フレーム部材に接着された内部骨格取付け部と、
    前記内部骨格取付け部に取付け可能な内部骨格部材であって、前記ベース層の少なくとも一部を覆って取付け可能な内部骨格部材と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項１２に記載の吸音ブランケット取付システム。
14. 前記内部骨格部材に装着可能な内装トリムパネルをさらに備えることを特徴とする請求項１３に記載の吸音ブランケット取付システム。

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