JP2008512777A - リスク管理システムにおいて非対称相殺を行うシステムおよび方法 - Google Patents

リスク管理システムにおいて非対称相殺を行うシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

リスク管理分析システムにおいて商品の非対称相殺を用いるシステムおよび方法について、開示する。従来のシステムでは、商品に対称的な相殺を割り当てている。2つの商品の相関が80%ならば、互いに、それぞれ80%の相殺が割り当てられる。しかしながら、非対称相殺ができることが望ましい。開示したシステムおよび方法では、2つの商品の相関が80%の場合は、一方には75%の相殺が割り当てられ、もう一方には80%の相殺が割り当てられる。商品間の相殺が異なる理由が多くある。非流動的市場で取引を行ったり、あまり望ましくない立場で取引を行ったりというように、変動する相殺により、一方の商品のリスクの非対称を反映させることもできる。変動する相殺により、イントラスプレッディングからの特別な割増額による、割引額のアンバランスを補正することもできる。
【選択図】 図2

Description

関連出願について
本出願は、米国特許法第119(e)に基づいて、2004年9月10日出願の米国仮出願第60/608,736号の出願日の恩典を主張し、引用することによりこの一部となる。
以下の共通に譲渡されている同時継続米国特許出願は、本出願と同日に出願されたものである。この出願は、本出願に開示されている実施の形態の他の側面に関連して、さらに説明するものであり、引用することによりこの一部となる。
米国特許出願第11/030,815号、“アクティビティベースのマージニングシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR ACTIVITY BASED MARGINING)”、(代理人参照番号4672/10)、同時出願。
米国特許出願第11/030,796号、“リスク相殺に担保を用いる効率的なシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR EFFICIENTLY USING COLLATERAL FOR RISK OFFSET)”、(代理人参照番号4672/417)、同時出願。
米国特許出願第11/030,814号、“F取引とリスク管理とを組み合わせたGUIディスプレイ表示システムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR DISPLAYING A COMBINED TRADING AND RISK MANAGEMENT GUI DISPLAY)”、(代理人参照番号4672/419)、同時出願。
米国特許出願第11/031、182号、“フレキシブルスプレッドパーティシペーションシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR FLEXIBLE SPREAD PARTICIPATION)”、(代理人参照番号4672/420)、同時出願。
米国特許出願第11/030,869号、“リスク管理のためのハイブリッドスプレッディングシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR HYBRID SPREADING FOR RISK MANAGEMENT)”、(代理人参照番号4672/421)、同時出願。
米国特許出願第11,030,849号、“固定返済商品マージニングシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD OF MARGINING FIXED PAYOFF PRODUCTS)”、(代理人参照番号4672/507)、同時出願。
著作権について
この特許文献の開示部分には、著作権保護を受ける題材が含まれている。著作権所有者は、特許商標局特許ファイルまたは記録に記載されたままである限りは、特許文献または特許開示のいずれについてもファックス再生について異存はない。そうでない限り、いかなる場合でもすべての著作権は留保される。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の様な、ここでは「取引所」とも呼ぶ先物取引所は、先物及び先物に対するオプションが取引される市場を提供している。先物とは、商品先物取引で先渡しされる金融商品又は現物商品の売買をカバーする全ての契約を規定するのに使用される用語である。先物契約は、事前に指定された将来の或る時期に特定の価格で商品を売買するための法律的拘束力のある契約である。各先物契約は、標準化されており、商品、品質、量、引渡期日、及び、決済、を特定する。オプションとは、特定の期限内に特定の価格で原資産(この場合には先物契約)を売買する権利であり、義務ではない。特に、プットオプションは、行使期限満了期日前に表示価格で先物契約を売る、義務ではなくて権利を供与するオプションである。対照的に、コールオプションは、特定の先物契約を、取引所により契約仕様書に指定された特定期間内に、固定価格(ストライク価格)で購入する、義務ではなく権利を買手に与えるオプション契約である。買手には、商品(原先物契約)を買う権利、即ち、ロングポジション、言い換えれば、トレーダーが、先物契約を買ったポジションであって、それまでに設定されたショートポジションを相殺しないポジション、を入力する権利がある。コールライター(売手)には、清算機関がそうするように指定すると、或る固定期間中に固定価格(ストライク価格)で商品を売る(又は、ショートポジション、即ちロングポジションの逆を入力する)義務がある。「ショート」という用語は、先物契約を売って市況を設定した人であって、且つ、相殺手続きを介してこのポジションを打ち切っていない人であり、即ち、ロングの逆をいう。一般に、相殺とは、初期又は開始時のポジションとは逆の先物ポジションで第2の先物又はオプションを取ることをいい、例えば、一旦買ったものを売ること、又は一旦売ったものを買うことをいう。
通常、取引所は「清算機関」を設けており、これは、毎日、相殺されるか引き渡されるまで、ここを通して全ての取引を確認し、照合し、決済せねばならない取引所内の部門である。清算機関は、取引所に所属し、取引口座の決済、取引の清算、パフォーマンス・ボンド基金の徴収と維持、引渡しの調整、及び取引データの報告を担当している。清算とは、清算機関が、先物契約の各売手に対しては買手、各買手に対しては売手となって、各契約の履行を保証することにより、各買手及び各売手を金融損失から保護するための責任を負う手続きである。これは、清算手続きによって成立し、これにより取引処理が照合される。清算参加者は、清算機関を通して取引を清算する資格を与えられた企業である。CMEの清算機関の場合は、具体的にBクラスと指定されていない全ての清算参加者は、Aクラスの清算参加者であると見なされる。CMEでは、清算参加者には、1)CME清算参加者、即ち、全ての商品の取引を清算する資格を与えられているメンバー、2)IMM清算参加者、即ち、IMM及びIOM商品だけについて、取引を清算する資格を与えられているメンバー、及び3)IMM
Bクラス清算参加者、即ち、単一の為替認可銀行とIMMの間での外貨の独占裁定取引の実施だけに限定され、且つ1つ又はそれ以上の銀行以外のCME又はIMMのAクラス清算メンバーを保証人とせねばならないメンバー、という3つの分類がある。なお、「参加者」とは、取引所に登録されている仲買人/トレーダーである。
開示された実施形態では、CMEに関連付けて説明するが、当然のことながら、それら実施形態は、株式や他の証券を取引するいかなる取引所にも適用可能である。CME清算機関は、そこの諸機関を通じて起こったCME契約の全ての照合済み取引を、清算し、決済し、保証する。更に、CME清算機関は、清算参加者の財務上の要件を設定し監視すると共に、関連する取引市場と協力して或る種の清算特権を譲渡する。
清算機関は、全てのCME製品の清算レベルでのパフォーマンス・ボンド(証拠金)を設定すると共に、CME製品の顧客に対する最低のパフォーマンス・ボンド額を設定する。パフォーマンス・ボンドは、証拠金とも呼ばれ、先物又はオプション契約で仲買人又は清算機関が損失を出さないことを保証する目的で、顧客によりその仲買人に、又は仲買人により清算参加者に、又は清算参加者により清算機関に、預け入れられるべき基金である。これは、買入の一部払いではない。パフォーマンス・ボンドは、仲買人と清算参加者と取引所を一体としてその金融完全性が確保されることを助けている。清算機関にとってのパフォーマンス・ボンドとは、清算機関が、清算参加者にそれぞれのポジションに基づいて要求する、最小ドル預託金をいう。維持費、即ち維持証拠金とは、どの様なポジションであろうと常に顧客の口座に預託金として保持しておかねばならない合計額をいうが、この額は大抵は当初パフォーマンス・ボンドよりも小額である。当初証拠金は、先物ポジションを開くときに、仲買人が要求する契約当たりの証拠金の総額である。基金がこのレベルよりも下に落ち込むと、積立金を当初証拠金レベルに戻すように要求され、即ちパフォーマンス・ボンド請求が行われる。どの様な先物ポジションであっても、不利な価格行動によって、顧客の株式が維持レベル以下に下がれば、仲買人は、パフォーマンス・ボンドあるいは証拠金請求を発行して顧客の自己資本を回復させねばならない。パフォーマンス・ボンド請求は、証拠金請求とも呼ばれ、不利な価格行動によって顧客の口座が維持レベル以下に落ち込んだ場合は何時でも、その顧客口座を当初パフォーマンス・ボンドレベルまで引き戻すために、追加的な基金を要求することである。
個人メンバー、清算を行う企業メンバー、並びにメンバーではないがCMEを通じてビジネスを行っている顧客の各口座は、清算参加者により運用され、清算参加者により清算機関に対する保証が与えられねばならない。上記のように、取引所の機関を通して実行されるあらゆる照合取引処理において、清算機関は、売手に対する買手側、買手に対する売手側として代理人となり、清算参加者が各取引処理のその相手方を引き受ける。清算機関は、取引所の業務部門であり、
清算機関の全ての権利、義務、及び/又は責任は、CMEの権利、義務、及び/又は責任である。清算参加者は、彼らを通して実行される全取引処理及び彼らが運用している全ポジションに対する全面的な財務上及び履行上の責任を負う。排他的に清算参加者とだけ取引を行っている清算機関は、個人メンバーの口座、非メンバーの顧客の口座、又は清算参加者自身の口座、に関して支援しているポジションの如何に関わらず、清算メンバーに、この清算参加者が支援するあらゆるポジションに対する責任があるとみなす。これとは逆に、あらゆるポジションの反対側では、清算機関には、規則に条件付けられているように、清算機関が代理を務めた全ての取引処理から派生したネット決済に関して、清算参加者に対する責任がある。
清算機関は、非メンバー顧客については、履行を当てにすることも、彼らの信用度又は市場資格を査定しようとすることもない。清算機関は、清算参加者が適切に顧客の信用を監視しリスクを管理していることについて、正に清算参加者を監視しているのである。また、取引所は、個人メンバーに関しては性格と財務上の標準を設定しているが、清算機関は、口座を運用し且つその口座の全ての支払い及びパフォーマンス・ボンド義務を請け負うことを保証している清算参加者だけに注意を向ける。また、個人メンバーが清算参加者への注文を実行した場合、その個人メンバーの保証人となっている清算参加者には、仲買された取引処理が、その活動した個人メンバーを抱える清算参加者の取引処理として清算機関によって照合され記録されるまで、当該仲買取引処理の本人としての責任がある。
CMEが採用しているリスク管理及び財務査察は:
・損失の累積を防止すること、
・将来の債務を補填するのに利用できる十分な資金を確保すること、
・結果的に財務上及び運営上の弱点を適時に探知すること、
・財務上の問題が発生した場合にはこれを是正し清算システムを保護するための迅速且つ適切な対策が講じられるようにすること、
ができるように設計されている。上記手法は、権威ある組織により推奨されているリスク管理と整合している。
CMEは、その金融安定性を、大部分は、市場参加者の債務契約が生じたらこれを消去することにより得ている。これは、毎日の市場終了時に各契約ごとの清算価格を判断し、全てのオープンポジションに当該価格を付けることによって達成されるが、この行為は「値洗い」とも呼ばれている。全ての契約は、立ち会いが利益か損失かに基づいて貸方記帳されるか借方記帳される。価格がポジションにとって有利に動くかあるいは不利に動くと、基金は取引口座に流入したり流出したりする。オプションの購入者は、購入時にプレミアム(オプション費用)を全額払わねばならないので、オプション契約による債務も直ちに消去される。オプションの売手は、上で論じたように、売られたオプションの一般に行き渡っているリスク特性に基づきCMEにより判断されたパフォーマンス・ボンドを元帳に記入する。CMEの場合、各営業日のシカゴ時間で午前6時40分までに、全てのオープンポジションを前日の取引日の清算価格に値洗いすることによって、清算機関は各清算参加者に対して現金を支払うか各清算参加者から現金を徴収する。この現金の流れは、差金決済として知られており、清算機関が発行した指示に基づきCMEの決済銀行によって行われる。清算参加者に対する全ての支払い又は清算参加者からの徴収は、「同日」基金内で行われる。午前6時40分の決済の他に、CMEの電子商取引システムである夜間のGLOBEXによる立ち会い中に実行された取引及び午前11時15分前に照合された同日取引を含めて、全てのオープンポジションの日中値洗いが時価を使って行われる。その結果生じた現金支払いは、日中に同日価格で行われる。価格変動率が極端な場合、清算機関には、オープンポジションの日中値洗い計算を追加的に行って、決済変動の即時支払いを請求する権限が有る。清算機関を通した決済変動支払いは、一日当たり平均で14億ドル、最高64億ドルに達したこともある。CMEの値洗い決済システムは、銀行間、財務省証券、店頭市場外国為替及び債権、オプション、及び株式市場を含めて、参加者が恒常的に互いに信用脅威を負う他の多くの金融市場が実施している決済システムとは正に対照を成す。それらの市場では、一参加者の失敗が、その他の参加者の支払能力に波及効果を持つこともある。反対に、CMEの値洗いシステムは、損失を時間経過とともに累積させることもなければ、市場参加者に市場ポジションに連動した損失を繰り延べる機会を与えることもない。
清算参加者が、清算機関に預け入れる十分な履行保証担保を持っていない場合には、清算参加者は、シカゴ時間で午前6時40分及び/又は午後2時までに、現金履行保証預け入れの請求に応じなければならず、結果としてCME清算銀行の1つの清算参加者口座から直接引き落とされることになる。清算メンバーの履行保証預託金は、以下の、
・現金(米国ドル、日本円、ユーロ通貨、スイスフラン、英国ポンド、カナダドル、オーストラリアドル、ノルウェークローネ、及びスウェーデンクローナなど);
・米国財務省証券;
・認可銀行により取引所名で発行された信用状;
・スタンダード&プアーズ総合500種株価指数の証券の内の約半数から選択された証券、並びに、スタンダード&プアーズ総合500種株価指数に基づく預託信託株;
・カナダ、フランス、ドイツ、及び英国の選択された公的債務;
・満期日まで残り6ヶ月未満であることを条件として、連邦農業信用銀行、連邦住宅クレジット抵当金融会社、連邦住宅ローン銀行制度、又はファニーメイが発行した割引手形;
・連邦農業信用銀行、連邦住宅ローン抵当金融会社、連邦住宅ローン銀行制度、ファニーメイ、又はジニーメイが発行した固定金利手形及び保証証券;
・利子所得機関(IEF)、CMEが管理する資金プログラム;
・IEF2:CFTC規約1.25に基づき許される金融市場相互保証;及び
・IEF3及びIEF4:CFTC規約1.25に基づき許された担保商品を正当とする、清算企業自律管理プログラム、
だけである。
証券は、価格が毎日再評価され、慎重なヘアカットを受ける。また、外国通貨も、選択された状況ではヘアカットを受ける。各種形態の担保にも制限が設けられている。
CMEの清算機関は、清算企業の潜在的市場脅威が、それら脅威を支えるために利用できる資金より大きくなった場合に、清算機関が追加的なパフォーマンス・ボンド所要額を課することを許す、集中証拠金調整プログラムも保守している。
CMEは、取引所で取引される証券派生商品について市場内でのリンクが拡大していること、並びに効率的な清算手続きを促進すると共に清算参加者の現実の市場間リスクの公開に焦点を当てる必要があることを認識した上で、オプション清算会社(OCC)及びニューヨーク清算会社(NYCC)と協同で、市場専門家と所有主勘定に関連して証拠金統合システムを開発した。或る特定の包括的な株式指数先物及びオプションにおける、共同又は提携清算参加者のポジションを組み合わせて単一のポートフォリオにし、各清算組織の精巧なリスクベース型システムを利用することにより、両方の市場を跨ぐ単一のパフォーマンス・ボンド所要額が決定される。清算機関は、共同で、証拠金統合口座のポジションに対する第1順位の先取特権と担保利権を保有する。それら口座に関係した全てのパフォーマンス・ボンド預託金は共同で保有される。証拠金統合システムは、同一口座に保持されている全てのポジションを取り扱うことにより、先物又はオプションのポジションに生じつつある利益を、基金を損失ポジションから救うための要求額を満たすために即座に利用できるようにすることで、清算システムの効率と金融完全性の両方を著しく高める。清算組織が、証拠金統合メンバーを保留する事態が起こると、証拠金統合口座内のポジションは清算されて、全ての履行保証担保は現金に換金されて、各清算組織の証拠金統合口座の清算費用に充てられる。CME、OCC、及びNYCCはそれぞれに、清算参加者の他の義務に充当させるための何らかの剰余金の比例割当分を得る権利があり、即ち、一方の清算組織が自身の剰余金の割当分全体を必要としなかったら、余りは、他方の清算組織が利用できるようになっている。
CMEは、ロンドン清算機関(London Clearing House)並びに固定所得清算会社(Fixed Income Clearing Corporation)との証拠金統合協定を結んでいる。それらのプログラムには、選択された金利商品の証拠金統合が関与している。それら2つの証拠金統合プログラムの設計は、パフォーマンス・ボンド担保が各清算組織ごとに別々に保有される点で、上記OCC及びNYCCプログラムとは異なる。清算組織が、CME及びLCH証拠金統合参加者を保留する事態が起これば、証拠金統合対象ポジションは清算されて、パフォーマンス・ボンド担保は、各清算組織ごとに現金に換金されることになる。証拠金統合対象ポジションとパフォーマンス・ボンドが清算された結果として、証拠金統合損失が出る場合には、その損失を分け合うために一方の清算組織から他方への証拠金統合支払保証の支払いが行われる。同じように構成された証拠金統合プログラムが、CMEとNYMEXの間に、NYMEXエネルギー製品対CMEの商品複合指数について設定されている。
清算機関部門は、立ち会い全体を通して日中値動きを監視する。それら価格変化の清算参加者への影響を評価するために、日中値洗い計算が清算参加者の先物及びオプションのポジションに対して実施され、清算機関部門とリスク管理部門とによって、一日に数回、価格の変動が激しい場合には更に頻繁に、検討される。市場の損失派生側の大きな又は集中的なポジションが、特に注目される。それらのポジションについて正しいパフォーマンス・ボンドが徴収されたか否かを判定すると共に、清算参加者の資金ポジションと流動性を判定するために、会計監査部が清算企業に接触するか訪問することもある。
CMEは、清算参加者のポジションのストレステストも日毎に実施する。予想される市場事象の多様性を反映するために、膨大な数のストレスシナリオがモデル化されている。ストレス結果は、預託金のパフォーマンス・ボンドに対して、そして清算参加者が調整した純資本で評価される。ストレステストの結果によっては、清算機関が、清算参加者に、他の市場に非CME相殺ポジションが在るか否かというような、清算参加者の顧客口座についての追加的な情報を、提供することを要求することになる。場合によっては、ストレステストの結果、清算機関が清算参加者のパフォーマンス・ボンド所要額を増額するか、ポジションを縮小又は振り替える事態を招くこともある。
CMEの市場規則部門であり且つCBOTの調査及び会計監査局(OIA)とも協働している市場規則部門を通して、CMEのリスク管理チームは、どれも原則的に極秘にされている、個人メンバー、非メンバー顧客、並びに清算参加者に関する特定の口座ポジション情報に毎日アクセスする。この様な決定的な情報を使えば、ポジションの集中が発生すると同時にそれらを識別し、また数人の異なる清算参加者を通して共通の本人に所有させてもよいポジションの集合体を識別することができる。集中しているか又は高リスクのポジションが分かれば、これを、現金及び/又は関連派生市場に関して日常的に収集される情報と結びつけることで、CMEは、清算参加者及び/又は清算参加者の金融安定性に不利に作用するかもしれない市況に素早く対応することが可能になる。
取引所は、定期的に清算参加者企業を訪問して、彼らの財務上、運用上、及びリスク管理上の手続き及び能力を検討する。清算機関の上級職員は、各企業の手続きと能力が、その企業の取扱商品にどれほどうまく対応しているかを評価する。清算参加者企業のリスク管理手続きと能力に欠陥が見い出された場合には、会計監査、清算機関、リスク管理、及び市場規則からの上級職員が、清算参加者の上級管理層を徹底調査する。
リスク管理と財務査察は、CMEの金融防護対策システムの2大機能である。このシステムは、最高レベルの安全性と、いかなる清算参加者側の不健全な財務上の行為の早期発見と、を提供するように設計されている。その目的は、全ての清算参加者と彼らの顧客を、清算処理の或る参加者による債務不履行という結末から保護することである。このシステムは、最も進歩したリスク管理並びに財務査察手法を反映するように常に更新されている。
取引所のリスクを最小限にすると同時に、メンバーの負担を最小限にするためには、必須のパフォーマンス・ボンド又は証拠金所要額を、何時の所与の時点にも、口座の実際のポジションにできる限り近づけて見積もることが望ましい。従って、パフォーマンス・ボンド所要額を推定する機構の精密度と柔軟性を改善することが必要とされている。
CMEは、自身の機関を通して取引される全商品について最小限の当初及び維持パフォーマンス・ボンドレベルを設定する。CMEは、それらの所要額を、過去の価格ボラティリティ、現在及び予測される市況、及び他の関連情報に基づいて設定する。パフォーマンス・ボンドレベルは、商品毎に変動し、価格ボラティリティ及び他の要因の変化を反映するように調整される。当初パフォーマンス・ボンドと維持パフォーマンス・ボンドは、共に、先物及びオプション契約に対する履行を保証するための信頼の預託金である。維持パフォーマンス・ボンドレベルは、取引所が、清算参加者が或るポジション又はポートフォリオを運用することを許容する基準となる、潜在的な損失からの保護の最小額である。顧客レベルの預託金のパフォーマンス・ボンドが維持レベル以下に落ち込んだ場合は、取引所の規則により、その口座に対して証拠金の再調整が実施され、更に高額の当初パフォーマンス・ボンドレベルが求められることになる。清算参加者は、取引所により設定された最小額よりも更に厳しいパフォーマンス・ボンド所要額を課すこともできる。清算機関レベルでは、清算参加者は、運用している合計ポジションの少なくとも維持パフォーマンス・ボンドを、元帳に記帳せねばならない。この要件は、個人メンバー、非メンバー顧客、並びに清算メンバー自身のポジションにも適用される。
パフォーマンス・ボンドレベルの設定に当たっては、清算機関は、統計学的分析及びパラメータ又は非パラメータ分析を使用して、短期、中期、長期データを対象とした現在及び過去の値動きを監視する。ここで、清算機関及びCME取締役会は、少なくとも、上記各期間中の日数の95%における最大同日値動きを保証できるように、先物維持パフォーマンス・ボンドレベルを設定するのが一般的である。実際のパフォーマンス・ボンド所要額は、しばしばこのレベルを上回る。オプションのパフォーマンス・ボンド所要額は、原先物価格の値動き、ボラティリティ、行使期間満了期日までの時間、他のリスク要因を反映しており、各一連のオプションに固有で変化するリスク特性を反映するために、毎日、自動的に調整される。また、ロングオプションは全額が支払われなければならないので、CMEはショートオプションのポジションに対して厳しいパフォーマンス・ボンド最小額を義務付けている。一例としてのパフォーマンス・ボンド所要額を図4A並びに図4Bに示している。
CMEは、CMEが開発し実行している、リスクの標準ポートフォリオ分析(Standard Portfolio Annalysis of Risk)(SPAN(登録商標))と呼ばれるシステムを使用して、パーフォーマンス・ボンドを計算する。SPANは、CMEの取締役会が決めたパラメータを使用して、ポートフォリオの全体のリスクに基づいてパフォーマンス・ボンド所要額を設定するので、而して、「戦略に基づく」又は「デルタに基づく」方式が主流である他のパフォーマンス・ボンドシステムに比べて、著しく改善されたものとなっている。デルタとは、オプションと原先物価格の間の価格変化関係の尺度であり、プレミアムの変化を先物価格の変化で割った値に等しい。SPANは、変化する市況の効果をシミュレートし、ポートフォリオの全体リスクを求めるのに標準的なオプション値付けモデルを使用している。SPANは、各オプション独自の特性を認識しながら、各先物及びオプションを均一に取り扱う。標準的なオプション値付けモデルでは、3つの要因、即ち、原先物価格、ボラティリティ(先物価格の変動率)、及び行使期間満了期日までの時間、が価格に最も強力に影響する。それらの要素が変化すると、先物及びオプションは、価値が上がるか下がることになる。SPANは、先物価格とボラティリティ変化のシナリオを作成して、ポートフォリオ全体が一営業日内に合理的に失うかもしれないものをシミュレートする。求められたSPAN所要額は、この潜在的な損失をカバーするものである。
SPANは、ポートフォリオが特定の期間中に合理的に被るかもしれない最悪の予想損失を計算することにより、ポートフォリオのリスク全体を評価する。SPANは、ポートフォリオがそれぞれ異なる市況で受けることになる仮想の利益及び損失を比較することにより、この数字をはじき出す。SPANは、通常、様々な条件下で特定のポートフォリオに予想されうる16のシナリオの「リスクアレイ」分析を提供する。とはいえ、SPANの方法論は、ユーザーが彼らの具体的な必要性に見合うように、シナリオを幾つも要求できるようにしており、
−各シナリオは、「what-if」状況から成り、ここで、SPANは価格変動、ボラティリティ、及び行使期間満了期日までの時間、の効果を評価し、及び
−各計算は、商品の価格変化XとボラティリティYによる予想利益又は損失に基づく利益又は損失を表す。
SPANが認可されている清算機関及び取引所は、特定の市場で要求されるリスク保証を反映するために、自分達用に、以下のSPANパラメータ、即ち
−価格スキャンレンジ:潜在的価格変化の設定範囲;
−ボラティリティスキャンレンジ:潜在的黙示ボラティリティ変化の設定範囲;
−商品内スプレッド割増額:完全には相関していない、同一商品のカレンダースプレッド又は異なる行使期間満了期日のリスク(ベーシスリスク)を計上した額;
−ショートオプション最小額:ショートオプションのポジションに対する最小証拠金額;
−スポット割増額:行使期間満了間際の引渡し可能商品のポジションのリスク増加を保証するチャージ;
−商品間スプレッド割引額:相関付けられた商品の間のポジションを相殺するための証拠金クレジット、
を決める。
SPANは、分析のために同一の原資産内で金融商品を組み合わせ、このグループ構成を組み合わせ商品グループと呼んでいる。例えば、同一株に関する先物、先物オプション、及びエクイティオプションは、全部を、単一の商品グループの下でグループに構成することができる。
ポートフォリオの各商品グループについて、パフォーマンス・ボンド所要額を計算する場合、SPANは、
−スキャンリスクチャージと、該当する場合には商品間スプレッド割増額と、スポット割増額と、を合計し;
−ポートフォリオ内の全ての商品間スプレッド割引額に相殺を適用し;
−上記合計を、既存のショートオプション最低要求額と比較し、
−比較した2つの内で大きい方を、商品グループのリスクとして査定する。
ポートフォリオの合計証拠金要求額は、全ての商品グループのリスクの合計から、異なる商品グループの間のリスク相殺の全てのクレジットを差し引いたものとなる。
ここに、CMEユーロFX先物及びオプションのポジションのポートフォリオの一例を示す:
−ユーロFX先物:1ロング、6月4日
−ユーロFX先物オプション:1ショート、6月/6月4日、コール1.150ストライク
−ユーロFX先物決済、1.1960
−ユーロFX先物価格スキャンレンジ=$2400=192ポイント
−ユーロFXボラティリティスキャンレンジ=1%
Figure 2008512777
Figure 2008512777
上の実例ポートフォリオでは、シナリオ8では、1ロング6月4日EC先物ポジションの利益で、1ショート6月/6月4日1.150コールオプションポジションの損失が相殺され、$360の利益が生じる。シナリオ16では、ポートフォリオは、次の取引日にかけて$838の損失を被ることになり、この結果、原先物価格が価格スキャンレンジの3倍下落すると、32%の損失となる。SPANは、基礎市場価格とボラティリティ変化の異なるシナリオをスキャンした後、それら観察結果の中で最大損失を選択する。この「最大合理的損失」がスキャンリスクチャージである。この例では、16のシナリオ全ての中で最大損失は、シナリオ16の結果、$838の損失である。
多くの共通特性がSPANソフトウェアファミリーに統合されている。全てのSPANソフトウェア製品は:
− ウィンドウズ(登録商標)を基本とし、今日最も普及しているデスクトップソフトウェア製品の馴染みのある外観と感じを有しており;
− 世界中の様々な取引所及び清算機関から、日々のSPANアレイに自由にアクセスできることを特徴とし;
− ポートフォリオ及びリスクパラメータに関する、広範で詳細且つ文書で十分に裏付けされた報告を特徴とし;
− アクセス又はエクセルに対する単純なデータインポートとエクスポートを提供するXMLを基本とする報告モジュールを含んでおり;
− CME清算機関のリスク管理の専門家により、専用のSPAN hot/me及びEメールアドレスを介して、サポートされており;
− バッチ又はGUI対話モードで作動し、単純なスクリプト言語で自動化ができ;及び
− 複数の通貨、並びに、証券、債券、OTCデリバティブ、現金、先物、及びオプションを含め、できる限り広範な種々の商品をサポートしている。
PC−SPANは、ユーザーが、手動でポジションを入力するか、スクリプト言語を使用してポジション入力処理を自動化することを可能にした単一ユーザー用デスクトップソフトウェアである。マウスをクリックすれば、SPANの所要額が分かる。何千人ものユーザーが証言できるように、PC−SPANは、極めて迅速、安価、且つ単純な方法で、複数の取引所に跨る証拠金所要額を計算することができるようにしている。
SPANリスクマネジャーは、リスク管理特性に最新の処理技法を組み込んで、完全なポートフォリオのリスク管理のための極めて柔軟性のある直感的に理解し易いシステムを実現した、単一ユーザー用デスクトップソフトウェアである。SPANリスクマネジャーの強力な特性と直感的に理解し易い設計は、多岐にわたるストレステスト及びオプション脅威を通して、真のポートフォリオ分析を可能にしている。
具体的に説明すると、SPANリスクマネジャーは:
− ユーザーが、ポートフォリオ全体又は個別オプションに対する、
+ 価格の変化
+ インプライドボラティリティ
+ 行使期間満了期日までの時間
+ 配当利回り
+ 金利
の効果を測定できるようにし、
− 仮説に基づくP&L、オプション値格、及びGreeksを計算し、
− 黙示平均コール/プット及び連続ボラティリティを計算し、
− 複数の商品のストレステストを行えるようにし、
− ユザーが、ストレステストの「What-if」シナリオを、定義し、比較し、保存し、及び再搭載できるようにし、
− ユーザーが、ボラティリティ傾斜をシフトできるようにし、
− 幾つかの異なる取引商品に関する同時分析を提供し、
−以下のオプション値付けモデル、即ち
+ ブラック−ショールズ
+ マートン
+ Adesi-Whaley
+ コックス・ロス・ルビンシュタイン
をサポートする。
SPANソフトウェア階層の一番上にSPANリスク管理清算がある。このプログラムは、PC−SPANの機能性の全て並びにSPANリスク管理マネジャーに、取引所、清算機関、及び営業所の様なエンティティに適用可能な更に幾つかの追加的特性を加えたものを採用している。上記特性としては:
−「What-if」証拠金調整―機関が、多岐に異なる「What-if」シナリオの下で仮説に基づいた証拠金を見分し比較できるようにすること;
−リアルタイム・コンポーネントインターフェース―リアルタイムでのSPAN証拠金調整と、実行前及び実行後のクレジットコントロールを可能にすること;
−SPANリスクアレイファイルの自動作成と公表―日々のSPANリスクアレイファイルを作成して世界に向けて公表する業務を担うこと;
−複合インプライドボラティリティ平均算出、
を挙げることができる。
上で説明したように、SPANは、取引所により活用されると共に、清算参加者又は他の企業主体が自分達の予想パフォーマンス・ボンド要求額を算定するのに使用できるツールでもある。これにより、清算参加者又は他の企業主体は、清算機関のパフォーマンス・ボンド要求額を予想することができ、財務上の計画が立て易くなると共に確信を持ち易くなる。SPANは、他の取引所の清算機関が使用できる商品として利用することもできる。当然のことながら、開示している実施形態は、取引所によって使用されるSPANのバージョンと、市場参加者によって使用されるバージョンの両方に等しく適用することができ、ここでのSPANに関する説明は両方の用途に当てはまるものである。
ポートフォリオのリスクを評価するための別のシステムに、イリノイ州シカゴに在るOption Clearing Corporationにより製造されている「理論的マーケット間証拠金調整システム(the Theoretical Intermarket Margin System)」(「TIMS」)がある。TIMSは、清算団体が、自分達のメンバーのポートフォリオにリスク脅威の大きさを測定し、監視し、及び管理することができるようにしている。TIMSは、リスク脅威を、異なる口座レベルで、異なる口座タイプで、計算することができる。また、TIMSは、同一の原商品に関係する全てのポジションの証拠金を調整し、密接に関係している商品のリスクを組み合わせて統合されたポートフォリオにするために、ポートフォリオ理論を使用している。TIMSのポートフォリオ態様は、相互の関連を深めていく市場の市場参加者により使用されるヘッジを認知できるようにしている。TIMSの方法論は、オプション、先物、及び先物ポジションのオプションを保有しているポートフォリオに固有の金銭的リスクを測定できるようにしている。
具体的に、TIMSは、各原商品の価格に変化があった場合の各ポートフォリオの清算価格を推定するために、値付けモデルを使用している。それらモデルは、現在価格、過去の価格、及び市場ボラティリティを含む様々な要因に基づく一連の理論値を生成する。清算機関により設定された柔軟な評価基準に基づいて、統計学的に有意なヘッジは適切な証拠金相殺を受け取る。TIMSは、市場の動向に関する一連の様々な仮説の下でのメンバーの潜在的な日中リスクを予測するためにも使用される。
TIMSは、同一の原資産に関連する全てのクラスのオプションと先物をクラスグループに編成し、それらの原資産が近接した価格相関を示す全てのクラスグループを商品グループに編成する。清算参加者に対する日々の証拠金要求額は、クラスグループ及び各種商品グループ内でのその全体のポジションに基づいて計算される。証拠金所要額は、2つの成分、即ち値洗い成分と加算証拠金成分から成っている。
値洗い成分は、ネットショートポジションの場合には証拠金債務又は要求を与え、ネットロングポジションの場合には証拠金クレジットを与える、プレミアム証拠金計算の形態を取る。証拠金債務及びクレジットを差額計算して、各クラスグループの合計プレミアム証拠金要求又はクレジットを求める。プレミアム証拠金成分は、ネットロングポジションを売ること及びネットショートポジションを買い戻すことにより、現在の価格でポートフォリオを清算する場合の費用を表している。
加算証拠金成分、即ち市場リスクをカバーする証拠金所要額部分は、価格理論をクラスグループの証拠金区間に結びつけて使用して計算される。TIMSは、原資産の価格に想定される最悪の事態の変化が起きた場合に、ポジションのポートフォリオを清算する理論上の清算費用を推定する。理論値は、原資産価格が変化した場合に、どのポジションが価値のあるポジションかを判定するのに使用される。入力パラメータのセット(即ち、オプション契約詳細、金利、配当、及びボラティリティ)が与えられると、値付けモデルは、原商品にとって或る特定の価格では、どのポジションが理論上価値があるかを予想することになる。
クラスグループ証拠金区間は、過去のボラティリティの結果として予期される原資産の価値の最大同日上昇(上方)と原資産の価値の最大同日下落(下方)を決める。クラスグループ証拠金区間と商品グループを求めるために使用される方法論は、各清算団体により特定される。OCCの、クラスグループ証拠金区間を求める方法論は、継続的統計学的分析に基づいている。クラスグループ毎に、標準偏差を算出し、清算機関により規定された所定の割合をカバーする証拠金区間を計算する。この方式は、普通でない価格分布パターンの場合のボラティリティ及び口座に関して信頼レベルと過去の展望の両方を提供する。TIMSは、2つの端点(上方と下方)の間の等区間での理論値と、現在の市場価値での理論値を計算して、上記2つの端点の間に最大損失を出す或る種の取引戦略から保護する。
どのクラスグループが商品グループを構成するかということと、クラスグループ間の完全な相関が無い場合の口座に対する適切な割合の控除とを求めるための方法論も、継続的統計学的分析に基づいている。クラスグループの各対ごとに、TIMSは決定係数を算出する。TIMSは、クラスグループ間の係数の値が、清算機関の設定した規定制限内にある場合には、それらクラスグループを商品グループに指定する。商品グループのパーセンテージ又は相殺は、商品グループに含まれているクラスグループ全ての中で最も小さい決定係数に基づいて設定される。口座の合計証拠金所要額を計算する際、クラスグループレベルでの証拠金クレジットのこの特定されたパーセンテージは、同一商品のグループ内の他のクラスグループにより作り出される証拠金所要額を相殺するのに使用される。
更に別のリスク管理システムに、OMSIIシステムがあり、これは「ウインドウ方式」又は「ベクトル方式」とも呼ばれている。OMSIIは、証拠金所要額を計算するためのOMリスク計算方法である。これは、リスク評価又はOMSECUR内のRIVAシステムに含まれている。これは、非線形商品を、SPANやTIMSよりも更にうまく取り扱うために構築された。OMSIIは、最悪の事態の損失シナリオを計算し、それらをベクトルで記憶し、スプレディングを調整し、相関を勘定に入れるやり方でベクトルを加算する。
OMSIIでは、評価区間はn個(普通はn=31)の考えられる上昇又は下降変動に分割され、更に各上昇又は下降変動について、ボラティリティは上昇、停滞、又は下降の何れかの動きをする。この結果、ポートフォリオが生み出す利益又は損失を計算するのに(n=31として)93通りの異なる市場シナリオが出来上がる。
値動きが全く無い場合のシナリオが、真中のシナリオであり、これを挟んで上に15と下に15のシナリオ(又は上に(n−1)/2個と下に(n−1)/2個のシナリオ)がある。
Figure 2008512777
SPANとTIMSの両方に言えることだが、93通りの確率尺度それぞれの下で予測される最大損失を算出するものとして、数学的にOMSIIを見ることができる。全93通りのシナリオで、確率尺度は、証券価格とボラティリティの空間Ω内の93個の点それぞれにおける点質量である。
各評価額点は、31×3の行列で保存され、即ち、各行には1つの値動きとその3つのボラティリティの変動が含まれている。買い契約と売り契約の両方を行列で表す場合、行列は、31×6行列に拡大されるが、これは、OMSIIでは更なる微調整が利用可能であるという理由による。行列は、ポートフォリオの証拠金額を計算する際に使用するために保存される。
2つ以上のタイプの契約のポジションを保有している口座の場合、ポジションのリスクは、その口座に登録されている異なる契約のリスク特性を組み合わせたものである。商品の相殺特性を考慮に入れる場合、人は証拠金の統合を口にする。デフォルト証拠金統合は、それらポジションを基礎当たり1つずつのグループに分割する。同一基礎内の商品に対するポジションは、全体的に相関付けられているといえる。デフォルト証拠金統合は、同一の基礎を持つ商品は全体的に相関付けられ、異なる基礎を持つ商品は相関付けられない、と説明することができる。デフォルト証拠金統合の実行中、商品が同一基礎のものであるポートフォリオは、SPANの場合と同じように評価ファイルのポイントが加算され、その後、最大の負の値が、そのポートフォリオの証拠金所要額として取られる。ポートフォリオが、異なる基礎の商品から構成されている場合には、各評価ファイルの最大の負の値が加算される。
しかしながら、デフォルト証拠金統合の様な方法は、異なる基礎同士又は異なる満了月同士の相関を考慮に入れていない。従って、OMSIIでは、異なる原商品又は異なる満了月を有する契約を保有しているポートフォリオの証拠金調整を行う際には、いわゆる「ウインドウ方式」が使用される。
ウインドウ方式では、異なる商品は、ウインドウクラスと呼ばれる複数のグループに分類される。ウインドウクラスは、ウインドウサイズがパーセントで定義されている。パーセンテージが下がると相関が上がり、その逆もあり、例えば、ウインドウサイズが0%であるのは、そのウインドウクラスの商品が全体的に相関付けられていることを意味し、ウインドウサイズが100%であるのは、そのウインドウクラスの商品が相関付けられていないことを意味する。或るウインドウクラスが別のウインドウクラスのメンバーになる可能性もあり、その様な場合には、更に複雑な相関のツリー構造が作成される。ポートフォリオの証拠金を計算する場合、ツリーの一番下のものから開始して、全てのウインドウクラスについて、評価額区間全域に亘ってウインドウを左から右に動かす。ウインドウは各評価額点に中心合わせされる。証拠金所要額は、ウインドウ内に示された各オプションポジション又は先物ポジションの最低値を加算することによりウインドウが位置決めされる各評価点で計算される。合計証拠金所要額は、全ての証拠金所要額の内で一番大きい負の値となる。負の値が全く存在しなければ、これはクレジットであることを表し、証拠金は要求されない。
OMSのリスク計算分率は、微調整を使用しなくとも、首尾一貫したリスク尺度を表すが、これは、計算では、使用されたシナリオの金額が異なるだけだからである。OMSは、SPANとTIMSの両者よりも遥かに多くのシナリオを使用する。
SPAN、TIMS、及びOMSIIの比較は、Bylund、 Mattiasによる「為替取引契約の保証金計算の比較」(2002年2月21日)に見い出すことができる。英国技術学会、数学的統計部門、Master
Thesis No.2002-3、http://ssrn.com/abstract=300499を参考文献として援用する。開示されている実施形態は、SPAN(登録商標)リスク分析ソフトウェアに関連付けて論じるが、それらはTIMリスク分析ソフトウェア並びにパフォーマンス・ボンド要求額を求めること及び/又はデリバティブのポートフォリオのリスクを評価することに着眼した他の商品にも適用できるものと理解頂きたい。
CME清算機関は、CME商品の顧客ポジションには、「グロス」パフォーマンス・ボンドを要求する。清算参加者は、毎日の取引の終了時に保有している各オープンポジション(ロングあるいはショート)のパフォーマンス・ボンドを、スプレッドに適当な余裕を持たせて、預託しなければならない。スプレッドは、2つの契約の価格の差であり、例えば、変化する価格関係から利益を得る目的で、又は同日営業日に同一口座の同一又は関連商品にロングポジションとショートポジションがあると仮定して、2つの関連する先物又は先物契約のオプションに、ロングポジションとショートポジションを保有している場合である。ロングとは、先物又は先物契約のオプションを買って市場ポジションを確立した人であり、且つ相殺手続きを介してこのポジションをまだ打ち切っていない人のことをいい、例えば、先物又はオプション契約を買って市場ポジション、即ち保有者に引渡しの義務を負わせる市場ポジション、を確立した人、又は商品の在庫を所有している人である。ロングはショートの逆である。
スプレッド注文−オープン・アウトクライは、先物契約の買いと売りを同時に行うことを示す注文である。スプレッド取引は、異なる月に引き渡されるか又は異なるが但し関連している市場で引き渡される同一商品又は金融商品の先物契約の買いと売りを同時に行うことである。スプレッド取引を行う人は、市場動向の行方には頓着せず、専ら各契約の価格間の差に関心がある。
スプレッドには、ベアスプレッド、ブルスプレッド、バタフライスプレッド、カレンダースプレッド、及びユーザーが定義したスプレッドが含まれる。ベアスプレッドは、ベアコールスプレッドと呼ばれる、低いストライクコールの売りと高いストライクコールの買いが関与した垂直方向のスプレッドである。また、ベアプットスプレッドと呼ばれる、低いストライクプットの売りと高いストライクプットの買いが関与した垂直方向のスプレッドでもある。ブルスプレッドは、ブルコールスプレッドと呼ばれる、低いストライクコールの買いと高いストライクコールの売りが関与した垂直方向のスプレッドである。また、ブルプットスプレッドと呼ばれる、低いストライクプットの買いと高いストライクプットの売りが関与した垂直方向のスプレッドでもある。バタフライスプレッドは、先物又はオプションスプレッドである。オプションスプレッドとしては、バタフライスプレッドは、ブルスプレッドとベアスプレッドを組み合わせた戦略であり、3つの行使価格を使用する。行使価格は、オプションの買手が権利行使に際し原先物契約を買うか又は売る価格である。低い2つの行使価格がブルスプレッドで使用され、高い行使価格はベアスプレッドから出される。プットとコールの両方が使用される。カレンダースプレッドは、先物カレンダースプレッド又は先物イントラデリバリースプレッドとしても知られており、同一の但し契約月が異なる先物契約の買いと売りを同時に行うことであり、例えば、9月S&P500A(登録商標)先物契約を買うことと12月S&P500先物契約を売ることを同時に行うことである。オプションカレンダースプレッドは、ストライクは同じであるが但し行使期間満了期日が異なるオプションの売りと買いを同時に行うことである。ユーザーが定義したスプレッドは、スプレッドが取引所によって既に識別されていない場合に、スプレッドのレグを選択する能力に関係する。
一般に、先物契約の買い又は売りは、アウトライトロング又はショートポジションであると見なされる。しかしながら、スプレッド取引として知られている別の戦略も、ヘッジャーや投機家にとっては利用可能である。スプレッド取引には、或る商品の契約を、別の関連契約の売りに対抗して同時に買うことが関わる。エネルギー市場では、同一商品契約の異なる月同士の間、並びに異なる商品と等級同士の間で、自然なスプレッドの機会が得られる。プレーヤーの中には、アウトライト先物及びオプション契約を取引することだけに没頭して、未開発のスプレッド市場の計り知れない潜在性を顧みないプレーヤーもいる。これは、スプレッドが生来的に、アウトライトポジションよりも複雑であるとする誤解に因るところが大きい。異なる商品契約のロングポジションとショートポジションの両方を保有することはリスクを加算する恐れがあるが、別の商品契約の等しいが但し逆のポジションによるポジション相殺を行うことはリスクを軽減する、ということは一般的に受け入れられる。これは、スプレッドポジションが、アウトライトポジションよりも証拠金調整に対する費用が安いという事実に反映されている。ヘッジャーは、スプレッド市場からも利益を得る。スプレッド値を厳密に監視すれば、それらはヘッジが何時どこに起きるかについての貴重な情報を提供してくれるはずである。
スプレッドには4つの基本的な型がある。最も一般的に取引されているのは市場内スプレッドであるが、それらは全て一貫してオイル市場で行われている。
1.市場内スプレッド:このスプレッドは、同一商品の或る契約月のロングポジション対別の契約月のショートポジションから成る。例えば、NYMEXでの、4月原油の買い対5月原油の売り、である。
2.市場間スプレッド:これらのスプレッドは、異なる取引所での同様又は関連商品を特徴とする。例えば、4月IPE軽油の買い対4月NYMEX暖房用オイルの売り、又は、4月IPEブレントの買い対4月NYMEX原油の売り、である。厳密に解釈すると、この定義は、オイル市場に当てはめた場合、同一取引所での異なる商品間のスプレッドは市場間スプレッドと考えられる場合もあることから、分かりにくい。
3.商品間スプレッド:これらのスプレッドは、或る商品のロングポジションと、異なるが但し経済的に関連している商品のショートポジション、とから成る。例えば、4月ガソリンの買い対4月暖房用オイルの売り、である。
4.商品対製品スプレッド:これは、或る商品の買い対その商品から派生した製品の等価の売りと定義される。オイル市場では、これを「クラックスプレッド」と呼んでいる。例えば、9月3日原油の買い対9月2日ガソリンの売り+9月1日暖房用オイルの売り、である。
理論上、スプレッド取引処理は、契約間の差が拡大するか狭まるかを予想して確立される。スプレッドの各側は「レグ」と呼ばれる。トレーダーが、スプレッドのより高値のより価値のあるレグを買った場合、このトレーダーは、差が拡大すると予想している。反対に、トレーダーが、より高価のレグを売った場合、このトレーダーは、差が狭まると確信している。トレーダーがロングであってもショートであっても、スプレッドは、トレーダーがより価値のある(プレミアム)レグに対して何を行ったかによって決まる。これは、市場が保有しているか値引きしているかには一切関わりなく当てはまる。
例えば、11月原油が14ドルで取引され、12月原油が14ドル25セントで取引されていると仮定しよう。トレーダーは、25セントのスプレッドが拡大するはずであるとの確信から、プレミアムレグ−12月を買う(一方で、同時に11月を売る)。
市場が強さを得るにつれ、11月は14ドル75セントに動き、12月は15ドル50セントに動く。利益あるいは損失を計算するには、各レグの利益あるいは損失を単純に調べて、差額を出せばよい。この事例では、トレーダーはショートレグで75セント失ったが、ロングレグで$1.25を生み出した。残額は、50セントの純利益である。別の言い方をすれば、スプレッドは、25セントから75セントの差に拡大したわけである。スプレッド値の動きが個別のレグの動きに依存している点に注目することが肝心である。
実際のスプレッディング−スプレッド注文は、普通は、各契約の価格レベルではなく、2つのスプレッド契約の間の差額、を特定することにより注文される。この自由度が無ければ、両方の契約が同じ瞬間に正にその価格になる可能性が低いことから、スプレッド注文は記入するのが不可能である。スプレッド注文の最も一般的な2つの型は、「成行き」と「指値」である。成行き注文は、スプレッド値が動揺していない場合には理にかなった選択となり、速やかな実行が望ましい。スプレッド値が変動する場合は、差に対する特定の限界額を表明すべきである。スプレッド注文を実行する最も単純な型式は、同一商品の2つの月の間の注文である。この場合、価値は、同一の取引ピット内で見積もられるので判断が簡単であり、アウトライト契約によく似ている。異なる商品間又は異なる取引所間のスプレッドは、大抵、実行が更に難しい。一度に一方の側にスプレッドを入れるか又は清算するのは全く賢明ではないことに注意して頂きたい。この「レギング」スプレッドを行うと、利益を得ることができる取引を即座に損失に変えてしまうことになりかねない。また、実質的な流動性が残っていない限り、行使期間満了期日が迫っている契約が関与しているスプレッドを扱うのは避けるべきである。流動性が無いということは、スプレッドの差が軽減されるか悪化することになるので、損失の可能性が高くなる。契約の流動性を判定するには、未決済契約残高をその他の契約のものと比較するだけでよい。
基本的スプレッド戦略−トレーダーは、アウトライトポジションを取る際に、スプレッドの潜在性を判断するのに同じ技量を使用する。スプレッドを買う場合も売る場合も、技術的要因と基本的要因の両方がトレーダーの決定に影響を与える。そのため、可能性のある契約間の技術的な関係は、供給と需要の効果と共に重み付けされる。スプレッドはアウトライトポジションよりも大きな利益を生む可能性を提供するとも、スプレッドは常にリスクが少ないとも、言えるだけの一般則は存在しない。しかしながら、スプレッド技法を慎重に展開すれば、しばしば大きな利益に変貌する。
維持費戦略−オイルは腐敗しない商品であるので、長期の間では、近い月に売るのに比較して、遠い月に売り上げる最大プレミアムは、維持費に限定される。全額維持費が明らかな場合には、金利の変化により発生する以外、自分の会社がスプレッドを売る場合に殆どリスクが絡むことはない(上昇市場では、近くなればロング、差が出ればショート)。損失を生じさせるスプレッドの拡大は制限されるが、一方で、近い方が後の方を超過する額には制限が無い。維持費市場では、近い月を売って、遠い月を買うことは、大抵はあまり望ましくない。この場合、利益は全額維持費に限られ、損失は際限ないという事態になりかねない。
逆市場戦略−オイル市場は、しばしば逆転し(遠い月より近い月の方にプレミアム)、スプレッドトレーダーの意欲を掻き立てる。差の変化が予想される場合にも、なお利益を得ることは可能である。値引き又は逆市場では、値引きが小さくなると予想されたときには、トレーダーは近い方の契約を売り、遠い契約を買わねばならない。利益を得るには、遠くの月の値引きが増大すると予想されるときには、前を買って後を売らねばならない。
SPAN所要額を計算する−即ち、開示された実施形態を活用しながら、リスクの標準的ポートフォリオ分析システム(the Standard Portfolio Analysis of Risk)又はSPAN計算アルゴリズムを使用して得られるリスクパフォーマンス・ボンド(証拠金)所要額について、以下に詳しく説明する。
SPANアルゴリズムは、制限の無い商品型の範囲に適用可能であるものと常々見られているが、これを実施するに当たっての元々の焦点は、標準化された先物、先物オプション、及び現物オプションにあった。しかしながら、今日のポートフォリオは、最も広範な範囲のデリバティブ及び非デリバティブ商品を含んでいる。SPAN4は、進歩したオフジェクト指向モデルを使用して、製品の柔軟性の究極をサポートする。具体的には、SPAN4は、エクイティ証券及び債務証券(株券、債券など)及びそれらのオプションへのサポートを追加する。
それら強化策にもかかわらず、SPAN計算の基本、及びその裏にある原理は、変わっていない。SPANの基礎である単純さは維持されたままである。SPAN4に導入された多くの新しい能力は、基本的な方法論への変更ではなくて、SPANの使用法における柔軟性と制御性の度合いを大幅に高めたものであると、考えて頂きたい。
口座タイプ:SPANを使用して証拠金調整が行われるポジションのポートフォリオは、パフォーマンス・ボンド口座又は証拠金口座に保持されている。口座内の各ポジションが単一のポートフォリオを構成する。
これが清算機関の清算参加者企業の特定のパフォーマンス・ボンド口座である場合には、この口座に関してこの清算機関によって行われるSPAN計算を、清算レベルの計算であると言う。
他方、SPAN計算は、1つ又はそれ以上の清算機関の、直接間接を問わず、清算参加者である企業の特定の顧客又はその企業の他の口座に関しても行われる。それらは、企業レベルの計算であり、顧客レベルの計算とも呼ばれる。
何れのパフォーマンス・ボンド口座でも、口座タイプは、
・それが清算レベル口座であるのか、企業レベル口座であるのか、及び
・特定の口座タイプコード−例えば、メンバー、ヘッジャー、又はスペキュレーター、
により定義される。
ビジネス機能と取引所複合体
ビジネス機能は、SPANを使用している取引所又は清算機関が、清算レベルか顧客レベルの何れかで、SPAN計算を行いたいか又は計算を実行させたい特定の目的を表している。例えば:
・通常の清算レベル口座タイプに適用される、特定の清算機関のための通常の清算レベル計算、
・メンバー清算口座タイプのための特別のメンバー清算計算、
・特定の取引所又は清算機関で取引され又は清算されるポートフォリオの部分のための通常の顧客レベル計算、
・清算機関間の特定の証拠金統合協定のための清算レベル計算、
・特定の証拠金統合協定のための、顧客ポートフォリオ用の顧客レベル計算、がある。
定義により、ポートフォリオの清算レベルSPAN計算は、常に、特定のビジネス機能を対象とする。言い換えれば、ポートフォリオは、特定のビジネス機能と同一であると見なされ、そのビジネス機能にとって適格な商品しか含んでいない。
対照的に、顧客レベルポートフォリオは、ポートフォリオ内に幾つのビジネス機能が含まれていてもよい。
ビジネス機能は、SPAN内では取引所複合体とも呼ばれ、ビジネス機能用の取引所複合体頭文字による識別子である。例えば、CMEは、CME清算機関の通常の処理を表している取引所複合体頭文字である。
要求額レベル:ポートフォリオ内にあるどの特定のビジネス機能の場合も、SPANを使用している取引所又は清算機関は、2つ以上のSPAN要求額数字の計算を命じることができる。そのような数字それぞれは、所要額レベルと呼ばれ、
・要求額レベルのパフォーマンス・ボンドクラス、及び
・要求額レベルの当初又は維持指定、
に特有である。
パフォーマンス・ボンドクラスは、異なるレベルのSPAN要求額を指定するために総称的に使用されている。第1クラス(最低所要額レベル)は、コアクラスとして特別に指定されており、第2クラス(次に高い所要額レベル)はリザーブクラスとして指定されている。
パフォーマンス・ボンドクラスは幾つも定義してよく、また、その目的はどんな目的でもよい。最も一般的な目的は、担保資産の異なるクラスに見合う異なる所要額レベルを認知することである。通常、コア所要額は、最高品質資産に見合うものでなくてはならない。コア所要額と上位リザーブ所要額の差、いわゆるリザーブ追加所要額は、或る種の下級品質資産に見合っている。
特定のパフォーマンス・ボンドクラス内では、SPANを使用している取引所又は清算機関は、当初所要額レベルと維持所要額レベルの区別を命じることができる。当初所要額の方が通常は高額であり、これが新たに作成されるポートフォリオに適用される。低額の維持所要額は、以前より存在しているポートフォリオに適用される。通常は、この区別は、顧客レベルでしか行われず、投機的な顧客のポートフォリオに対してしか行われない。
商品グループ:取引所又は清算機関がSPANを使用する対象の各ビジネス機能毎に、このビジネス機能にとって適格な一組の製品がグループ化されて商品グループになる。
SPAN計算が行われている対象のポートフォリオ内の各ビジネス機能ごとに、そのビジネス機能内にある各商品グループごとに、SPANは、1つ又はそれ以上のリスク所要額を算出する。このような所要額それぞれは、特定のSPAN所要額レベル、即ち特定のパフォーマンス・ボンドクラス及び当初又は維持指定、に対応している。
次いで、ポートフォリオ内に表されている個々の商品グループについて計算されたSPAN所要額を集計して、ポートフォリオ内に表されている異なるビジネス機能のSPAN所要額を算出し、ポートフォリオ全体のSPAN所要額を算出する。
商品グループは、SPAN計算の原子レベルと考えてもよい。これは、パフォーマンス・ボンド所要額が得られるポートフォリオ内の商品の最下位分類である。
通常、同じ最終的な現物の全ての商品は1つのグループにまとめられて商品グループにされ、例えば、CMEでは、S&P500株価指数に関連する全商品がこれに当たる。
パフォーマンス・ボンド通貨:各商品グループごとに、その商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨として単一の通貨が指定されている。
これは、ポートフォリオ内に表されている商品グループのパフォーマンス・ボンド所要額が建てられる通貨である。
ポートフォリオ内には、幾つものパフォーマンス・ボンド通貨が表されていてもよい。従って、ポートフォリオ内に表されている異なる商品グループのSPAN所要額を集計する場合、それらは先ず、パフォーマンス・ボンド通貨で集計されるのが一般的である。
次に、それら通貨レベル要求額を共通通貨に換算して更に集計する。この共通通貨は、一般に、ポートフォリオの自国通貨と呼ばれている。
(「自国通貨」という用語は、望ましい共通通貨は、様々なポートフォリオごとに異なり、一般的には、ポートフォリオ所有者の国籍によるということを反映して使用されている。)
SPANリスクパラメータファイル:SPANを使用している清算機関及び/又は取引所は、少なくとも1日1回は、1つ又は複数のSPANリスクパラメータファイルを公表する。分かり易くするために、それらを代表的にSPANファイルと呼ぶことにする。
SPANリスクパラメータは、一般的には、所要額が計算されることになっている実際のポートフォリオ以外の、SPAN所要額を計算するのに必要なデータセットとして定義される。SPANリスクパラメータは、(a)商品データと、(b)パフォーマンス・ボンドレートデータとから成っている。実際には、SPANリスクパラメータファイルは、機械読取可能形式のSPANリスクパラメータデータを保有している。
通常、SPANリスクパラメータファイルは、正確に或る時点のデータを保有している。実際には、それは、その時点に存在しているポートフォリオのパフォーマンス・ボンド計算に使用されるデータを保有している。
各時点内では、SPANファイルは、ファイルを公開している取引所又は清算機関の1つ又はそれ以上のビジネス機能のためのデータを保有している。各ビジネス機能内では、ファイルは、そのビジネス機能に対して定義された各商品グループごとにデータを保有することになる。
最終的には、ファイルは多種多様なSPANレート、例えば、リスクアレイ、商品内スプレッド割増額レート、商品間スプレッド割引額レートなど、を保有することになる。その様な各レートは、口座タイプとそれに関連する所要額レベルにより資格が与えられる。
例えば、代表的な顧客レベルSPANファイルで保有されている特定の契約のリスクアレイは、ヘッジ顧客口座向け、コアパフォーマンス・ボンドクラス、維持所要額向けに指定されている。
これまで使用されているSPANファイルフォーマットは、正確に或る一時点のデータ、ビジネス機能、及びレートを保有すること、即ち、口座タイプ、パフォーマンス・ボンドクラス、及び当初又は維持の指定、しかサポートしていなかった。
新しいXMLベースのSPANファイルフォーマットにはこの制限は無い。
時点:リスクパラメータとポートフォリオが特定の時点で定義される。
時点は、それが、
・当日終了時決済であるか、又は
・日中時点であるか、
について分類される。
清算機関の中には、或る種のビジネス機能については、当日終了時決済向けに2つ以上のSPANファイルを公開している機関もある。それらは、
・最終決済、又は
・早期(又は仮)決済、又は
・完全決済、
向けとして区別されている。
早期決済SPANファイルでは、通常、最終的な当日終了時決済価格は、商品の内の幾つかについてしか利用できず、他の商品は日中価格が提示される。最終決済ファイルは、通常、活発に取引されている全ての契約について当日の最終決済価格を保有している。完全ファイルは、活発に取引されているか活発でないかを問わず、全ての契約の最終決済価格を保有することになる。
日中時点は、その営業時間により更に特徴づけられており、価格とリスクアレイが属する実際の時間が表示される。時点は、日中であろうと当日終了時であろうと、その実行回数、例えば、第1回日中実行、第2回日中実行など、によっても特徴付けられる。
リスクアレイ、リスクシナリオ、コンポジット・デルタ、スキャンポイント、及びデルタポイント
リスクアレイ:リスクアレイは、数字のセットであり、
・特定の契約について、
・特定の時点で、
・特定のビジネス機能の証拠金調整を目的に、
・特定の口座タイプについて、及び
・当該口座タイプの特定の要求額レベル−パフォーマンス・ボンドクラス及び当初又は維持指定−について、
定義されている。
各リスクアレイ値は、対応するリスクシナリオが特定の見通し時間中に起きた場合に、どの様に1つのロング又はショートポジションが価値を失うか又は得るかを特定する。慣例により、ロングポジションの損失は正の数字で表され、利得は負の数字で表される。
ルック・アヘッド・タイム:ルック・アヘッド・タイムは、現時点から将来への時間の量を反映しており、この期間を対象に、ポートフォリオ価値の下落から保護することを、SPAN所要額レベルは意図している。ルック・アヘッド・タイムは、SPANのパラメータであり、どの様な所望の値にでも設定することができる。とはいえ、2つの方式があり、それらは代表的に次のような仕様で使用される。
・次の営業日までの実際の時間:この方式では、現在営業日から次の営業日までの暦上の日数が求められ、それを365日で割って、年間の見通し時間を得る。
・営業日当たり平均時間:この方式では、見通し時間は、通常、年間250営業日と仮定した営業年内の1営業日、即ち0.004年、に設定されている。
次の営業日までの実際の時間をより綿密に使用することで、週末及び祭日にかけてのポートフォリオ価値の大きな変化のリスクから保護することができ、週末前、特に祭日と重なる週末前の、営業日のポートフォリオパフォーマンス・ボンド所要額が増額される結果となる。とはいえ、週末及び祭日だけが原因でパフォーマンス・ボンド所要額を変動させることを避けることが望ましい場合には、営業日当たり平均時間を使用する方が適切である。
リスクシナリオ:各リスクシナリオは次の用語、即ち:
・(原)値動き、
・(原)ボラティリティの動き、及び
・重み、保証分率とも呼ばれるもの、
で定義されている。
先物、現物、及び他の非オプション商品タイプでは、これらはその商品自身の値動きとボラティリティの動きである。オプションでは、これらは、原商品の値動きとボラティリティの動きである。
値動き、ボラティリティの動き、及び保証分率、の値は、スキャンポイントの定義と2つのスキャンレンジ、即ち価格スキャンレンジとボラティリティスキャンレンジ、によって求められる。それら値が、SPANに対するキー入力である。
スキャンポイント定義:各スキャンポイント定義は、
・例えば、0.3333は価格スキャンレンジが3分の1上昇したことを意味し、又は−2.000は価格スキャンレンジが2倍下がったことを意味する様に、価格スキャンレンジの上昇又は下降を数字で表した価格スキャン度数と、
・例えば、1.000は全ボラティリティスキャンレンジの上昇を意味し、−1.000は全ボラティリティスキャンレンジの下落を意味する様に、ボラティリティの上昇又は下降を数字で表したボラティリティスキャン度数と、
・重みと、
から構成されている。
価格スキャン度数は、それ自体は、価格スキャン被除数、価格スキャン分母、及び価格スキャン方向、の項で表される。例えば、価格スキャン度数−0.3333は、分子が1、分母が3、方向は下、として表される。同様に、ボラティリティスキャン度数は、ボラティリティスキャン被除数、ボラティリティスキャン分母、及びボラティリティスキャン方向、の項で表される。
SPAN4は、要求されるだけの個数のスキャン点のセットの商品グループごとに、異なる口座タイプと所要額レベルに対してそれぞれ1つずつの定義を可能にしている。とはいえ、定義は、それらの間に商品間スプレッドが定義されている商品グループのセットについては同一でなければならない。
リスクアレイ値の計算:総称的に、各リスクアレイ値は、
・契約の現在の価値から、
・ルック・アヘッド・タイムが経過し、リスクシナリオに関係付けられた(原)値動きとボラティリティの動きが起きた後の、契約の仮想将来価値を差し引き、
・重みを掛けた、
ものとして計算される。
先物、現物、及び或る種の組み合わせでは、この値の変化は、価格変化のみによって求められる。
オプションの仮想将来価値を求める場合、原価格変化、原ボラティリティ変化、行使期間満了期日までの時間の減少、及び関係付けられた金利も勘定に入れねばならず、理論上の価格はオプション値付けモデルを使用して計算される。
オプション値付けモデルの偏りが結果に影響することのないようにするために、現在値は、同一のオプション値付けモデルを使用して、行使期間満了時期までの現時点での時間、現在の基礎価格、及び現在の基礎ボラティリティを前提として、計算される。言い換えれば、オプションのリスクアレイ値は、オプションの仮想将来理論値を、オプションの現在の理論値から差し引くことにより求められる。
選択された実際のモデル、そのモデルのパラメータ、金利、及びルック・アヘッド・タイムが、SPANの全パラメータである。
コンポジット・デルタ及びデルタポイント定義:コンポジット・デルタ値は、契約毎に定義された各リスクアレイに関係付けられている。コンポジット・デルタは、(a)ルック・アヘッド・タイムの経過後、(b)デルタポイントの定義により定義されたシナリオに従って、契約について計算されるデルタのセットの確率加重平均である。
デルタポイントは、価格スキャン度数、ボラティリティスキャン度数、及び重みを用いて、スキャンポイントと全く同じように定義される。例えば、7つのデルタポイントが定義されているとしよう。7つのデルタ値は、各デルタポイントに関係付けられた価格スキャン度数とボラティリティスキャン度数を使用し、見通し時間が経過したことを前提として、契約に対して計算される。次に、デルタ点定義に指定された重みを使用して、それらデルタの加重平均を取る。
実際に、コンポジット・デルタ値は、契約のデルタが、ルック・アヘッド・タイム経過後にどうなるかの推定を表している。
SPAN全体過程:特定の取引所又は清算機関用の特定のビジネス機能が表されている、特定の時点に定義された特定のポートフォリオについて、SPAN所要額を計算するには:
・当てはまるSPANリスクパラメータファイル(類)を入手し、
・ポートフォリオ内のポジションとSPANファイル内に保有されているデータを使用して、SPANアルゴリズムを適用する。
これにより、
・特定の口座タイプについての、
・ポートフォリオ内に表されている各ビジネス機能の各商品グループについての、
・及び、各商品グループ毎の、各適用可能な要求額レベル(パフォーマンス・ボンドクラス、当初あるいは維持指定)についての、
SPAN要求額が算出される。
ポートフォリオについて計算される要求額レベルのセットの求め方;直接及び間接計算:特定の口座タイプのポートフォリオ内の商品グループについては、SPAN所要額が直接又は間接的に計算される対象であるパフォーマンス・ボンド額レベルのセット、即ち、パフォーマンス・ボンドクラスと当初又は維持指定の独自の組み合わせ、を選択する必要がある。
直接計算されたSPAN所要額は、全SPAN計算、即ち、スキャニング、スプレディングなどが行われる対象の、特定のパフォーマンス・ボンド所要額レベルでの所要額である。
間接的に計算された所要額は、単純な乗法倍率を掛けることにより、別の所要額から異なる所要額レベルで導き出される所要額である。間接的に計算された所要額は、誘導的所要額としても知られている。
ポートフォリオ内の特定の商品グループに対する直接計算された所要額レベルのセットの選択は、その商品グループ内の製品のリスクアレイに表されている所要額レベルのセットにより導かれる。具体的には、これは、どの口座タイプにどの所要額レベルセットが提示されているかにより導かれる。
ポートフォリオの特定の口座タイプについて、この商品グループのリスクアレイがある場合には、それらは直接計算される所要額レベルを求めるリスクアレイである。
例えば、ポートフォリオがヘッジ顧客のものだとすると、そのポートフォリオ内の特定の商品グループ用のSPANファイルでは、一組のリスクアレイがヘッジ顧客に、具体的には、コア維持所要額レベルに、提供される。この場合、1つのSPANの所要額レベル−ヘッジ顧客コア維持レベル−は直接計算されねばならない。
他方、この口座タイプに2つの所要額レベル、即ちコア維持とコア当初、のリスクアレイがあるとする。この場合には、これら2つのレベルに対して別々のSPAN所要額を直接計算することになる。
他方、このポートフォリオの口座タイプ用のリスクアレイが無い場合には、リスクアレイが提示されているその他の口座タイプの1つが選択され、この選択された口座タイプについて定義されているレベルに対してSPAN所要額が計算される。
リスク調整係数と派生した所要額:各商品グループについては、SPANリスクパラメータファイル内にリスク調整係数を幾つ設けてもよい。
リスク調整係数は、直接計算されたリスクレベルの所要額を調整するか、他のリスクレベルを導き出す(間接計算)かの何れかに使用される。
各リスク調整係数では、以下のこと、即ち:
・属している口座タイプ、
・基礎所要額レベル、即ち、別の所要額レベルを導き出すのに使用されることになる所要額レベル−パフォーマンス・ボンドクラスと当初又は維持指定−、
・目標所要額レベル−調整され又は導き出される所要額レベル−、
・係数の値、
が定義されている。
リスク調整係数を適用するには、単純に、基礎レベルの所要額に要素の値を掛ければよい。
特定のパフォーマンス・ボンドクラスの当初所要額を、そのクラスの維持所要額から導き出すのに使用される調整係数は、当初又は維持比としても知られている。
SPAN計算を要約すると:
ポートフォリオ内の商品グループの特定所要額レベルでの直接計算されたSPAN所要額は、
・スキャンリスクと商品間スプレッドディスクと引渡(スポット)リスクを合計し、
・商品間スプレッドクレジットを差し引き、
・その結果とショートオプション最低額の内の大きい方を取る、
という具合に計算される。
スキャンリスクは、時間経過に伴う原商品の値動きとボラティリティの動きの完全相関を前提とした、ポートフォリオ内の商品グループに対するリスクである。
商品間スプレッドリスクは、時間経過に伴う値動きとボラティリティの動きに不完全な相関が存在する商品グループに関する商品グループ内のスプレディング、いわゆるカレンダースプレッド、に付帯するリスクの認知を可能にし、且つ、それら所要額の特定の商品間戦略に対する正確な目標設定を可能にする。
引渡し又はスポットリスクは、物理的に引き渡し可能な製品及び引渡し期間が迫っているか又は引渡し処理が実行されるような物理的に引き渡し可能な製品に基づくデリバティブの、固有のリスク特性を認知する
商品間スプレッド割引額は、ポートフォリオ内に表されている異なる商品グループにおけるポジション同士のリスク相殺を認知している適切な割引額を与える。
ショートオプション最低額は、ショートオプションポジションの独特な特性を認知し、アウトオブザマネー・ショートオプションの最小リスク値の認知を可能にする。
スキャンリスクと商品内スプレッドリスクと引渡しリスクの合計は、しばしば、商品リスクと呼ばれ、即ち、商品間スプレディングに対するクレジットが全く無い状態での商品グループのリスクである。
商品リスクから商品間スプレッドクレジットを差し引くことにより得られた結果は、しばしば、プレSPANリスクと呼ばれる。この値は、ショートオプション最低所要額が更に低いことを前提とした場合の、直接計算されたSPAN所要額である。
SPANにおいてサポートされる製品:SPANは、デリバティブ及び非デリバティブ製品タイプのできる限り広い範囲をサポートする。SPANを使用して証拠金調整ができない製品タイプは皆無である。
商品用語論:契約及び商品という用語は、ここでは、特定の取引できる商品、即ち物理的なものもそうでないものも、派生的なものそうでないものも、証拠金調整されるポジションが保持されている商品を言う場合に、互いに交換可能に使用されている。
清算機関、取引所グループ、及び商品ファミリー
最高レベルでは、商品は、清算機関により清算される。
各清算機関には、このために定義された1つ又はそれ以上の取引所グループがある。
各取引所グループ内では、商品は商品ファミリーにグループ化される。
一般に、商品ファミリーは、取引所グループ内で、例えば、CMEではS&P500株式指数に関連する商品ならSPという具合に、英数字値の商品コードと、例えば、先物、先物オプションなど、製品タイプと、により識別される。
各商品ファミリーには、清算機関内で固有であり且つ取引所グループ内で固有である商品ファミリーID番号が割り当てられている。
商品ファミリーは、必要に応じた特定の様式で定義付けることができる。例えば、CMEでは、商品ファミリーを固有なものとするのに使用される他のパラメータには、決済方法(現金決済又は物理的に引き渡し可能な決済方法)、査定方法(先物式又はエクイティ式)、決済通貨、及びオプションの場合には権利行使形式(アメリカン又はヨーロピアン)が含まれる。契約サイズも要素に使用することができ、これは、別々の商品ファミリーを定義するが、SPANは、同じ商品ファミリーの異なるサイズの契約を保有することもサポートする。
契約:SPANでは、取引できる商品は、デリバティブであるなしに関わらず、総称的に契約又は商品と呼ばれる。上で説明したように、契約は、グループ化して商品ファミリーにまとめられており、商品タイプは、常に商品ファミリーを固有にするものの1つである。
商品タイプと原商品タイプ:SPAN4は、任意の数の商品タイプの作成を許容している。商品タイプは、現物でも又はデリバティブでもよく、後者の場合には、組み合わせ商品でも非組み合わせ商品でもよい。
或るタイプの又は別のタイプの現物ではない各契約(商品)は、デリバティブと分類されており、1つ又はそれ以上の原契約を有している。
厳密に1つの原契約を有するデリバティブ商品は、非組み合わせデリバティブとして知られている。
例えば、先物契約は、原現物と呼ばれる単一の原契約を有している。先物のオプションは、単一の原契約、即ち、原先物を有している。現物のオプションは、単一の原契約、即ち、原現物を有している。
2つ又はそれ以上の原契約を有しているデリバティブ契約は、総称的には、グループとして知られている。そのような各原契約は、グループのレグと呼ばれている。
例えば、先物カレンダースプレッドである組み合わせは、2つの原契約、即ちスプレッドの前契約である先物契約と、スプレッドの後契約である先物契約、を有することになる。
この時点で、SPANは、総称的な現物タイプの3つのサブタイプ、即ち、株券、債券、等価ベーシスで証拠金調整された債券、を認知する。
スワップ、レポ、及び逆レポは、グループタイプのサブタイプとして認知される。
契約構造と契約基礎比:デリバティブ商品の原契約のセットは、その契約構造として知られている。セットの各要素は、
・特定の原契約、
・この特定の原契約の基礎比
を指定している。
基礎比は次のように定義され:
・現物ではない契約Xの場合:
・その原契約Yiそれぞれについて:
・基礎比は、契約Xの1ロングポジション当たり買われた(又は売られた)原契約Yiの単位数であり、買いの場合は正の数、売りの場合は負の数で表される。
言い換えると、基礎比から分かることは:
・デリバティブを買うことが、この特定の原契約を買うことを意味するのか又は売ることを意味するのかということ、及び
・1デリバティブ契約の買い当たり、この特定の原契約のどれほどの個数が、買われるか又は売られるか、
ということである。
例えば、先物バタフライスプレッドの契約構造は、1スプレッドの買いは、第1先物の1つを買うこと、第2先物の2つを売ること、そして第3先物の1つを買うことを意味する、ということを特定する。
例えば、100株式のコールオプションの場合を考えてみよう。あなたがこのコールにおける1ロングポジションを保有しており、それを実行すれば、あなたは100株式を受領する(買う)。従って、基礎比は+100となる。一方、あなたが100株式のプットオプションを所有しており、それを実行すれば、あなたは100株式を引き渡す(売る)。従って、このプットオプションの場合の基礎比は−100となる。
契約価格と契約価値の計算:あらゆる契約には、全ての時点に、これに関係付けられた契約価格がある。
交換取引商品の場合、パフォーマンス・ボンド(証拠金)所要額の計算用の当日終了時ツールとして使用されているSPANにとって、これは、当日終了時決済価格ということになる。
他の時点、例えば、取引日当日中では、これは日中理論価格ということになる。
SPANは、契約の価格を使用して、当該契約の或る1つのポジションの金銭的価値、即ち、契約価値を判断する。この金銭的価値は、価格見積もり通貨とも呼ばれる、契約の決済通貨で表される。
契約価値を計算するには、契約価格にその契約に関する契約価値係数を掛ける。契約価値係数は、その契約に関する見積もり価格をその契約の決済通貨の金銭的価値に変換する乗数である。
(因みに、契約価値係数は、契約サイズの仕様と価格見積もりに使用される慣例から導き出される。例えば、CMEの家畜の先物契約の場合、契約サイズは40,000ポンドであり、この価格を100ポンド当たりドル値で見積もる。その結果、契約価値係数は、40,000/100=400となる。)
契約期間:契約期間の概念は、SPANでは、異なる行使期間満了期日又は満期日を有する製品を示すのに使用されている。契約期間は、契約月概念の一般化であると考えることができる。
全ての契約(等価ベーシスで保証金調整されたものを除く)は、契約期間コードが定義されている。契約期間コードは、6、7、又は8バイト長である。最初の6バイト分は数字桁から構成されている。7番目と8番目のバイトが定義されている場合、それらは、任意の英数字から構成される。契約期間コードは、以下の構造、即ち:
・4桁の年数字、例えば1999、
・2桁の月数字、例えば5月なら05、
・必要に応じて、契約期間に更に資格を与えるために使用される2桁のストリング、
を有している。
オプションシリーズ:SPAN4におけるオプションシリーズは、満期日が同じで原契約が同じオプションから構成されている。
ここで、シリーズ内の標準オプションは、ストライク価格とオプション権、即ちプットかコールか、という点だけが互いに異なる。
バリヤオプションの様な更にエキゾチックオプションの場合、それらは1つ又はそれ以上のバリヤ価格によって区別される。
ビジネス機能の商品ファミリーの参加:商品ファミリーは、それが特定のビジネス機能に対して定義されている商品グループの1つに指定された場合には、その特定のビジネス機能に参加していると言われる。
全ての商品ファミリーは、常に、その清算機関の通常の清算ビジネス機能に参加している。更に別のビジネス機能にも参加できるが、これは要件ではない。
商品グループとデルタ期間:或る商品グループに指定された商品は、その商品グループに対して定義されているデルタ期間のアレイを定める。各契約は、特定のデルタ期間にマップされ、このデルタ期間はティアにマップされている。
ティア及びティア処理:SPANにおけるティアは、商品グループ内のデルタ期間の連続した範囲である。
最大の柔軟性を提供するために、SPAN4では:
・スキャンレートティア、−価格スキャンレンジとボラティリティスキャンレンジを定義するためのティアの仕様、
・スキャンティア、
・商品内スプレッドティア、
・商品間スプレッドティア、
・ショートオプション最小レートティア、
にティア処理がサポートされている。
商品グループの特定のタイプの特定のティアは、常に、1から始まるティア番号により識別され、開始期間コードと終了期間コードにより更に資格を与えられる。終了期間コードは、開始期間コードよりも大きいか、これと等しくなければならず、異なるティアのデルタ期間が互いに重なることは決してない。
商品内又は商品間スプレディングでは、2つ以上のティアが定義される場合が時々あるが、スプレッドの特定のレグにおいては、全てのティアに亘って、全ての商品グループを参照することが望ましい。これをサポートするために、SPANは、各商品グループごとに、商品内スプレッドティアゼロと商品間スプレッドティアゼロを認知し、それらは、個々の段に跨る全商品グループの期間コードの範囲と定義されている。これは、全体ティアとも呼ぶことができる。
SPAN4の柔軟性の1つの重要な態様は、スキャニングティアと商品間スプレディングティアを独立して定義する能力である。これまでは、この能力には限界があった。
各デルタ期間をそのティアへマッピングする
商品グループに対する所与のティアタイプについて、デルタ期間がマップされるティアを求めるには:
・デルタ期間コードを開始期間及び終了期間と比較する。
・デルタ期間コードが、開始期間よりも大きいか等く、且つ終了期間よりも小さいか等しければ、それをティアにマップする。
証拠金調整されるポートフォリオ:上で説明したように、口座には、SPANを使用して証拠金調整が行われるポジションのポートフォリオが保持されている。そのような各口座は、特定の口座タイプを有している。
ポートフォリオは、清算レベル又は顧客レベルの何れかで定義される。言い換えると、それらは、証拠金計算が清算組織により行われる、清算機関の清算参加者企業の特定のパフォーマンス・ボンド口座用、或いは、保証金計算が企業により行われる、メンバー企業又は他の取引を行う企業の特定の顧客レベル口座用、の何れかである。
清算レベルポートフォリオは、常に、その清算機関の単一のビジネス機能のためのポジションを保持しており、一方、顧客レベルのポートフォリオ用のポジションには、任意の数のビジネス機能と清算機関とが表されている。
ポジション定義:特定の時点で証拠金調整されるポートフォリオ内のポジションは、
・ポートフォリオが存在している時点、
・企業識別子、口座識別子、口座タイプ(それが清算レベル口座か企業レベル口座かを含めて)、分別タイプが特定された、ポジションが保有されているポートフォリオ、
・ポジションが保持されている契約、並びに、その契約が証拠金調整される対象のビジネス機能、
・ポジション数量、
により定義される。
例えば、特定のポジションは、
・1999年12月1日の当日終了時決済、
・企業322、口座XYZ、口座タイプ−ヘッジ顧客、分別タイプ−CUST(顧客用)、
・正常なビジネス機能について証拠金調整を受けるCME1999年12月S&P先物契約、
・ネットポジション+17、
と定義される。
グロスポジションとネットポジション維持:グロスポジションは、同時にロングにもなりショートにもなりうるものである。ネットポジションは、同時にロングにもショートにもなることは決してないものである。
言い換えると、ネットポジションは、当日の開始ポジションを、その日の全ての買いと売りで一括相殺決定して求められたものである。ネットポジションに関しては、すべての取引が可能な限りの程度で決済している。
グロスポジションは、その日の開始ポジションにより、且つ開始(新規)取引処理か終了(清算)取引処理かを問わずその日に行われた各取引ごとに、求められる。
企業レベルでは、2つの例外、即ち(1)後で述べるオムニバス口座と(2)或るタイプのヘッジトレーダーの口座を除いて、口座は一般にネットポジションで維持されている。
清算レベルでは、真の未決済契約残高を反映するために、ポジションは、企業レベルの2つ以上の口座を集計したものである諸口座に対してグロスポジションで維持されているのが一般的である。
ネット証拠金調整:企業レベルで、並びにしばしば清算レベルでも、ポートフォリオは「ネット証拠金調整される」のが一般的である。これは、一般に「ネットの所要額を計算する」とも呼ばれる。これは、2つのこと、即ち:
・ポジションがグロスポジションで維持されている場合、即ち、ポジションが同時にロングにもショートにもなる場合には、SPANで処理される前に先ず差し引き計算される。ネットポジションのポートフォリオだけが証拠金調整される。
・ポートフォリオの異なる部分の間では、リスク相殺の認知には制限が課されない。
ことを意味する。
SPANは、全ての許諾可能なリスク相殺を、SPANパラメータファイルに定義されているものとして、そして、ポートフォリオに存在しているものとして、実際に認知するので、「ネット証拠金調整する」は、SPANを介してネットポジションのポートフォリオを処理すること、と解釈することができる。
グロス及びネットポジション維持とグロス及びネット証拠金調整との間には区別があることに注目して頂きたい。証拠金調整はネットポジションで行いながらも、同時にポジションはグロスポジションに維持されることがある。これは、或る特定のタイプのヘッジ顧客口座の場合にときどきある。
オムニバス口座と開示レベル;企業レベルのグロス証拠金調整:オムニバス口座は、別の企業の会計簿上の或る企業の口座であり、この口座自体は、第1企業の会計簿上の複数の個々の口座で構成されている。オムニバス口座を有する企業は、その会計簿上にオムニバス口座を保持しているということができ、しばしば「運用企業」と呼ばれることもある。第1企業の会計簿上の個々の口座は、オムニバス口座の「サブアカウント」と言うことができる。
オムニバス口座は、任意の数のサブアカウントで構成されるので、オムニバス口座ポジションはグロスポジションに維持されねばならない。オムニバス口座の所与のポジションは、それ自体は、そのうちの幾つかはロングであり、幾つかはショートである、複数のサブポジションの合計である。
オムニバス口座が、これに対する証拠金所要額を計算せねばならない運用企業に「全面開示」されている場合、このこと、運用企業に個々のサブアカウントとどのポジションであるかということが通知されていることを意味する。ビジネス手法にもよるが、このことは、各サブアカウントの所有者が識別されることを意味しているのではなく、ポジションのどのセットが単一の所有者に属しているかを特定しているだけのことである。
この場合、運用企業は、各サブアカウントのネットの所要額を計算するのが一般的であり、合計オムニバス口座所要額は、単純に、サブアカウント所要額を合計したものである。
一方、オムニバス口座ポートフォリオは、「一部開示」のみ又は「非開示」にされる。
一部開示の場合には、オムニバス口座は、運用企業にサブアカウントの、全てではないが幾つかのセットについての情報を提供している。非開示の場合には、サブアカウント及びどのポジションを保持しているかということについての情報は一切提供されない。
各グロスオムニバス口座ポジションの内で、開示されているサブアカウントに保持されていない部分は、通常、「ネイキッド」であると言われる。言い換えると、各ポジション、即ちグロスロング及びグロスショートポジション毎に、ネイキッド部分、即ちネイキッドロング及びネイキッドショートが存在するということである。
それらネイキッドポジションは、通常は、「グロスで証拠金調整される」。これは以下のことを意味する。即ち、
・各ネイキッドロングポジション量と各ネイキッドショートポジション量に対して別々のSPAN所要額が計算される。その様な各ポジション量は、単一契約内に在り、市場の一方の側にのみ存在するので、そのような所要額にはリスク相殺は認知されない。
・口座ポートフォリオのネイキッド部分の合計要求額は、これら個々のネイキッドロング及びネイキッドショート所要額の全てを合計したものである。
オムニバス口座が部分的に開示されている場合には、その合計所要額は、サブアカウントのネットの所要額の全てを合計したものに、ネイキッドポジションの個々のネイキッドロング及びネイキッドショート所要額の合計を加算したものである。
清算レベルでのグロス証拠金調整:清算レベルでは、以下の様なビジネス手法をいう場合に総称的用語「グロス証拠金調整」を使用する。即ち、
・ポジションがグロスポジションで維持されている、即ち、ポジションが同時にロングにもなりショートにもなる。
・ポジションごとの合計ロングと合計ショートの内の一部は取り出されて、ネットで証拠金調整される。この部分には、全面的に商品間でスプレッド可能なロング及びショートという呼び名が付けられ、しばしば、「商品間スプレッド可能な」又は「相互スプレッド可能な」ロング及びショートと呼ばれることもあれば、単に「インターポジション」と呼ばれることもある。
・それぞれの合計ポジションの別の部分は分解されて、ポートフォリオ内の異なる商品グループ間にリスク相殺が一切認知されていない場合、即ち、商品間スプレディングが一切行われていない場合、を除いてネットで証拠金調整される。この部分は、「商品内スプレッド可能な」、「自己スプレッド可能な」、或いは、単に「イントラポジション」と呼ばれる。
・各合計ポジションの残りの部分は、ネイキッドと見なされ、グロスで証拠金調整される。
合計ポジションの一部は、商品内及び商品間の両方でスプレッド可能であると判断され、別の部分は商品内でだけスプレッド可能で商品間ではスプレッド不可能と判断され、残りの部分は全くスプレッドできないと判断される、といえる。次に、これら異なるポジションタイプについて計算されたSPAN所要額の様々な成分から、清算レベルポートフォリオの各商品グループの合計SPAN所要額が求められる。
よって、清算レベルで、「グロスで証拠金調整する」とは、ポジションが全面的にグロスで証拠金調整されるという意味ではなく、ポジション全体の一部がグロスで証拠金調整されるという意味である。
清算レベルのグロス証拠金調整は、清算レベルポジションが、多くの個人顧客口座に跨るポジションを集計することにより定められる、顧客指向パフォーマンス・ボンド口座に使用されるのが一般的である。通常は、各顧客口座内のポジションは、商品内と商品間の両方に、又は商品内だけに、リスク相殺が存在するか、又は全く存在しないか、を判定するために調べられる。この調査に基づき、顧客のポジションは、相互スプレッド可能、自己スプレッド可能、又はネイキッドとクラス分けされる。次いで、全清算レベル相互スプレッド可能ロング及びショートポジションが、相互スプレッド可能とクラス分けされた顧客ポジションの合計として計算され、自己スプレッド可能ポジションについても同様に計算される。
ポジション口座、パフォーマンス・ボンド口座、証拠金処分、及び証拠金調整対象ポジション
清算レベルでは、ポジションが維持されているポジション口座と、証拠金が調整されるパフォーマンス・ボンド口座とを、区別することが可能である。
この場合、ポジション口座からパフォーマンス・ボンド口座にポジションをロールアップするやり方にはかなりの柔軟性がある。
例えば、特定の証拠金統合協定の参加者に適格な商品のポジションは、その証拠金統合ビジネス機能に特定されるパフォーマンス・ボンド口座に経路が決められ、一方、証拠金統合協定に適格でない他の商品のポジションは、通常のビジネス機能用として特定されているパフォーマンス・ボンド口座に経路が決められる。
特定のポジション内でも、そのポジションが2つ以上のビジネス機能にとって適格である場合には、ポジション自体が、任意数の「証拠金調整対象ポジション」即ち「ディスポジション」に分解され、ポジションはそれぞれが特定のパフォーマンス・ボンド口座に対して指定され、その結果特定のビジネス機能のSPANパラメータを介して証拠金調整が行われる。
例えば、特定の証拠金統合協定に対して適格である製品の全グロスポジション100ロングと200ショートは、証拠金統合ビジネス機能用としての50ロングと75ショートのディスポジションと、通常のビジネス機能用としての50ロングと125ショートのディスポジションと、を有することになる。
各ディスポジション内では、証拠金調整対象ポジションは、「グロス」又はネットの何れかで証拠金調整される。「グロス」の場合、それぞれの全証拠金調整対象ポジションは、相互スプレッド可能ロング及びショート、自己スプレッド可能ロング及びショート、及びネイキッドロング及びショートに、更に分解される。「グロス」の場合、上記のように、相互スプレッド可能ポジションはネットで証拠金調整され、自己スプレッド可能ポジションはネットで証拠金調整されるが但し商品間スプレディングを許容することなく調整され、ネイキッドポジションは実際にグロスで証拠金調整される。
ネットポートフォリオのSPAN計算:この章は、ネットベースで証拠金調整されるポートフォリオ、いわゆる「ネットポートフォリオ」内に表されている各商品グループのSPANリスク所要額を計算するための詳細なアルゴリズムの説明を含んでいる。これは、顧客レベルポートフォリオ又は清算レベルポートフォリオの何れかである。
ポジション処理:SPANにおけるポジション処理は、次の目的のために、ポートフォリオ内に表されている各商品グループ内の各ポジションを処理することから成り、それらの目的は、
・スキャニング:契約のリスクアレイをポジション量だけ増し、全リスクアレイをそれら増したリスクアレイ分だけ増分すること。
・デルタ計算:契約のSPANコンポジット・デルタをポジション量だけ増し、関係付けられているデルタ期間の全体ポジションデルタを、それら増したコンポジット・デルタ分だけ増分すること。
・ショートオプション最低金額計算:ショートオプション最低チャージ(最低商品チャージとも呼ばれる)を求めるために、ポジションの量に対する効果を判定すること。
・ポジション価値計算:各ポジションの現在の金銭的価値を評価し、ポジションがロングかショートかにより、並びに契約の価値付けが先物形式かプレミアム形式かにより分解された、商品グループ全体の現在の金銭的価値を増分する。
ポジション価値計算のためのポジションタイプ:商品は、それらの査定方法が先物形式かプレミアム形式かによって次のように分類され:
・先物形式商品の場合、オープンポジションでは日ごとの値洗いがあり、その結果の決済変動額が日ごとで支払われ又は徴収される。
・プレミアム形式商品の場合、ポジションを開くときに全額取引価格(プレミアム)が支払われ又は徴収される。
先物契約は、無論、価値が評価された先物形式であり、日ごとの値洗い、及び日ごとの決済変動(「変動証拠金調整」と呼ばれることもある)の支払い又は徴収が、それらと先渡契約とを区別する。
オプションポジションは、通常、価値評価されたプレミアム形式であるが、幾つかの交換取引オプションは、価値評価された先物形式である。
ポジションが価値評価されたプレミアム形式か否かということの意義は、以下の通りである。即ち、ポジションが価値評価されたプレミアム形式である場合、並びに、そのプレミアムの全価値が支払われた(又は徴収された)ものと見なされた場合、ポジションの現在価値は、担保資産(ロングの場合)又は負債(ショートの場合)として勘定される。
ポートフォリオ内に表されている各商品グループにおけるポジションにとっては、以下のように、
・ポジションが価値評価された先物形式かプレミアム形式かにより、
・ポジションの量がロングかショートかにより、
・ポジションがオプションのものかオプションのものでないかにより、
分解されたそれらポジションの価値を求める必要がある。
言い換えると、ポートフォリオ内の各商品グループにとって、求めることになるのは:
・商品価値評価先物形式のロング非オプションポジションの値、
・商品価値評価先物形式のショート非オプションポジションの値、
・商品価値評価先物形式のロングオプションポジションの値、
・商品価値評価先物形式のショートオプションポジションの値、
・商品価値評価プレミアム形式のロング非オプションポジションの値、
・商品価値評価プレミアム形式のショート非オプションポジションの値、
・商品価値評価プレミアム形式のロングオプションポジションの値、
・商品価値評価プレミアム形式のショートオプションポジションの値、
である。
場合によっては、SPANを使用している取引所又は清算機関は、プレミアム形式商品の価値を認知するタイミングに関するビジネス規則を設定してもよいことに注目されたい。例えば、現在の営業日につき行われた株式の未決済取引が、証拠金調整対象のポートフォリオに含まれており、この取引が3日後に決済されるとしよう。この場合、清算機関は、この取引が決済されて、全額プレミアムが支払われるか徴収されるまでは、この取引のプレミアム価値に対する全額クレジット又は一部クレジットさえも、与えないと決めてもよい。その様な場合には、証拠金余剰又は赤字が存在するか否かを判定する目的に使用される合計プレミアム価値は、クレジットが与えられていないこのプレミアム価値の額だけ調整されることになる。
特別ポジション処理特性:通常のポジション処理の他に、SPANは付加的なパワーと柔軟性を提供する幾つかの特別なポジション処理特性をサポートしている。
・スプリット・アロケーション(Split Allocation)は、通常、原商品グループが異なる現物商品である組み合わせ及び/又は組み合わせのオプション、のポジションを対象に使用される。
この特性を用いれば、組み合わせ又は組み合わせのオプションのポジションは、その原商品グループのポジションに分割される(割り付けられる)。
・デルタ・スプリット・アロケーション(Delta-Split Allocation)は、通常、原商品グループが同一の現物商品内で異なる行使期間満了期日にある組み合わせ及び/又は組み合わせのオプション、のポジションを対象に使用される。
これは、通常のスプリット・アロケーションと同じであるが、組み合わせ及び/又は組み合わせのオプションのポジションからのデルタだけを分割して、原レグのデルタ期間に割り付ける点が異なる。
・或る商品のポジションを、他の商品の1つ又はそれ以上の等価ポジションとして、証拠金調整することが望ましい場合には、等価ポジションが使用される。
ネットポジション数字の表示:ネットポートフォリオのポジションでは、ポジション量は、ネットロングポジションの場合は正、ネットショートポジションの場合は負、の符合付き数字で表される。
ポートフォリオの商品のタイプ並びにそれらのポジションを表すのに使用される慣例にもよるが、ポジション量を、端数で表すこと、即ち整数で表さないこともできる。
等価ベーシスで債券の証拠金調整を行うための事前処理:等価ベーシスで証拠金調整されている現物債券のポジションでは、債券ポジションを等価物に変換する前でも、ポジション量を正しく表すために特別の事前処理を行う必要がある。この章では、その事前処理について説明する。
政府の債券を等価ベーシスで証拠金調整しようとする場合、ポジションは、額面金額の通貨の価値貨幣単位当たりの千の位の単位で表されることになる。例えば、額面価格が$1,000,000の米国財務省証券は、1,000と表示されることになる。
このような現物債券において証拠金調整されるポジションは、まだ決済されていない取引から生じたものである。そのような証券の実際のポジションは、次のものの合計として分解されることもある。即ち:
・オープンアウトライト取引によるネットポジション、及び
・オンレグは決済されているがオフレグはまだ決済されていないオープンレポ(又は逆レポ)によるネットポジションであり、ネットレポポジションは正の数、ネット逆レポポジションは負の数で表される。この様なレポは、入力され(及び証拠金調整され)ると、その日にオンレグ決済に入力され、未決済のオフレグだけが証拠金調整対象として残ることから、同日レポと呼ばれる。
どちらのレグも決済されていないレポ及び逆レポポジションは、翌日レポと見なされる。別の言い方をすれば、レポは本日入力され、オンレグは明日開始される。オンレグとオフレグは、共にまだ決済されていないので、それらの義務は互いを打ち消し合う。それ故、それら翌日レポ又は逆レポポジションは、証拠金計算には含まれない。
スプリット・アロケーションポジションの処理:等価ベーシスで処理されるポジションが等価物に変換された後、ポジション処理の次の段階は、スプリット・アロケーション方法を使用して取り扱われるあらゆるポジションを処理する段階である。
上で説明したように、スプリット・アロケーションは、通常、先物商品間スプレッドのオプションのポジションに対して使用される。しかしながら、この方法は、どの様な組み合わせ商品又は組み合わせ商品のオプションにも適用することができる。
スプリット・アロケーションを行うか否かの特定は、商品グループにリンクされている商品ファミリーに対して行われる。商品グループにリンクされている全ての商品ファミリーが、スプリット・アロケーションを使って処理される必要があるわけではない。とはいえ、一般に、アルゴリズムが所望の結果を算出するには、スプリット・アロケーションは組み合わせのオプションと組み合わせ自身の両方に対して特定されるのがよい。通常、それら商品ファミリーは、共に、同じ商品グループに組み入れられる。
更なる処理のためにポジション量の決定:等価ベーシスで処理されるべきポジションがそれらの等価物に変換され、スプリット・アロケーションを介して処理されるべきポジションがそれらの基礎に割り付けられたら、ここで、SPAN内で繰り越されるべきポジション量を求める用意ができたことになる。
等価ベーシスで処理されるポジション以外の全てのポジション型式に以下の事柄が当てはまる。(上で説明したように、この様なポジションは、一旦それらの等価物に変換されたら、計算上他の役目を果たすことはない。)
アルゴリズムは、各ポジションごとに次の5つの異なる値、即ち:
・合計ポジション
・証拠金調整可能なポジション
・査定用ポジション
・スキャニング用ポジション
・ショートオプション最低額計算用のポジション−ショートコールの数とショートプットの数、
を評価する。
ポートフォリオ内の各ポジションについて:
・全ポジションは、契約自体のポジション、等価ポジション、及びスプリット・アロケーションから得られたポジション、の合計に等しい。
・証拠金調整可能なポジションは、合計ポジションに契約倍率を掛けたものに等しい。
・査定用のポジションは、契約自体のポジションと等価物から得られたものの端数を切捨てたポジションの合計である。
・スキャニング用のポジションは次のように求められる。
・このポジションの商品ファミリーが、通常のやり方か又はデルタ・スプリット・アロケーションを介してかの何れかのやり方で処理される場合には、証拠金調整可能なポジションを取る。
・このポジションの商品ファミリーが、スプリット・アロケーションを介して処理される場合には、ゼロを取る。
・最小商品チャージ用のポジションは以下のように求められる。
・このポジションがオプションのものでない場合には、ショートコールの数とショートプットの数は、共にゼロとなる。
・但し、このポジションがオプションのものである場合には:
・証拠金調整可能ポジションがゼロ又は正であれば、ショートコールの数とショートプットの数は、共にゼロになる。
・但し、証拠金調整可能ポジションが負であれば:
・オプションがコールの場合は、ショートコールの数は、証拠金調整可能ポジションとデルタ倍数の積の絶対値に等しい。ショートプットの数はゼロである。
・オプションがプットの場合は、ショートプットの数は、証拠金調整可能ポジションとデルタ倍数の積の絶対値に等しい。ショートコールの数はゼロである。
ポジション値の決定:ポートフォリオにおける各商品グループについて:
・ポートフォリオにおける各ポジションについて:
・上で決定されたものを査定用のポジションとして取る。
・この結果に単一の契約の値を掛ると、その契約の決済通貨におけるポジションの値が算出される。
・この商品が含まれている商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨が、この商品の決済通貨と異なる場合には、値を決済通貨からパフォーマンス・ボンド通貨に換算するが、パフォーマンス・ボンド通貨の一般的な精度まで端数の切捨てが必要になるであろう。これにより、商品グループに関するパフォーマンス・ボンド通貨でのポジションの値が算出される。
清算リスクポジション値の決定:清算リスク計算は、パリ証券取引所(SBF)のSPANに導入されている、スキャンリスクを求める方法である。この計算には、清算リスクポジション値と呼ばれる特別なポジション値を求める必要がある。理解頂けるように、これは(a)スプリット・アロケーションから得られたあらゆるポジション量を含んでいることと、(b)債券のポジションについては、証券の期間に関して調整されること、が通常のポジション値との相違点である。
「清算リスク」がスキャンリスクを求める方法として特定されたポートフォリオの各商品グループについて:
・この商品グループにリンクされている商品の各ポジションについて:
・上で求められたスキャニング用のポジションを取る。
・このポジションが債券である場合は、この値に当債券の年で表される期間を掛ける。
・この結果に単一契約の値を掛ける。
・この商品が含まれている商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨がその商品の決済通貨と異なる場合には、この値を決済通貨からパフォーマンス・ボンド通貨に換算する。
・指定されているように、この値の端数切捨てを行う。(清算リスクポジション値を求める場合にSBFが使用する端数切捨ての慣例は、ゼロに向けて少数第5位までで切り捨てるやり方である。)この結果が清算リスクポジション値である。
スキャンリスク計算の通貨間リスクスキャニング特性の通貨換算レートの決定:通貨間リスクスキャニングは、商品の決済通貨が、それらがリンクされている商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨と異なる、その様な商品がある場合に適用される、スキャンリスク計算の随意的特性である。
商品ファミリーを商品グループへとリンクする場合、通貨間リスクスキャンが適用可能であることが指定される。
通貨間リスクスキャンが指定されている場合、その商品グループへとリンクされている商品ファミリーのリスクアレイ値は、その商品ファミリーの決済通貨で呼ばれる。
そのような決済通貨とパフォーマンス・ボンド通貨の各対については、交換レート上昇か交換レート下落を求める必要がある。
・所与の決済通貨とパフォーマンス・ボンド通貨対について、通貨間スキャン率上昇と通貨間スキャン率下落を読み出す。(それらは、ロンドンフォーマットSPANファイル内のこの通貨対の通貨換算レート記録に掲載されている。)それらの値を小数で表す。決済通貨が、パフォーマンス・ボンド通貨に等しければ、それらの値としてゼロを取る。
・決済通貨の値をパフォーマンス・ボンド通貨の値に換算する交換レート乗数を取る。決済通貨がパフォーマンス・ボンド通貨に等しい場合には、この値として1を取る。
・交換レートに、1に通貨間スキャン率上昇を足した値を掛けると、交換レート上昇が算出される。
・交換レートに、1から通貨間スキャン率下落を引いた値を掛けると、交換レート下落が算出される。
ポジションの増倍リスクアレイとデルタの決定:スキャンが標準的に(「清算リスク」スキャン方法を使用しないで)行われているポートフォリオ内の各商品グループについて:
・この商品グループ内の各商品ファミリーごとに:
・この商品ファミリーの各ポジションごとに:
・上で求めたスキャン用ポジションを取る。
・このポートフォリオタイプと商品グループの各直接計算所要額レベルごとに:
・この商品グループへとリンクされているこの商品並びにこの所要額レベルに対するリスクアレイを取る。
・リスクアレイ内の各要素にスキャン用のポジションを掛けると、このポジションの増倍されたリスクアレイが算出される。
・通貨間リスクスキャン特性がこの商品ファミリーについて有効である場合は、
・増倍されたリスクアレイ内の各要素に、この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨の対の交換レート上昇を掛けると、倍増された上昇換算リスクアレイが算出される。
・増倍されたリスクアレイ内の各要素に、この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨の対の交換レート下落を掛けると、倍増された下落換算リスクアレイが算出される。
・ポジションデルタを求めるには:
・この商品グループへとリンクされているこの商品とこの所要額レベルのコンポジット・デルタを取る。
・スキャン用のポジションにこのコンポジット・デルタを掛けて、次にデルタスキャン係数を掛ける。
商品グループに対するポジション値の集計:ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・この商品グループ内の各ポジションごとに:
・上で計算したポジション値を取る。
・このポジション値を使用して、次の事柄、即ち、
・ポジション値がロング(正)かショート(負)か、
・ポジションはオプションのものか非オプションのものか、
・ポジションは価値評価された先物形式かプレミアム形式か、
に基づいて求められた組み合わせ商品の8個の値のバケットの1つを増分する。
ショートオプションポジションの集計:ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・この商品グループ内の各ポジションごとに:
・この商品グループの各ショートオプション最小レートティアごとに、
・全ティアのショートコールの数を、上で計算したポジションのショートコールの数だけ増分する。
・全ティアのショートプットの数を、上で計算したポジションのショートプットの数だけ増分する。
ティアのショートオプションポジションの数の決定:この商品グループのショートオプション最小チャージ方式がグロスである場合には:
・このティアのショートコールの数とこのティアのショートプットの数の合計を取る。
この商品グループのショートオプション最小チャージ方式が最大である場合には:
・このティアのショートコールの数とこのティアのショートプットの数の内の大きい方の数を取る。
ショートオプション最小チャージの決定:ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・各直接計算所要額レベルごとに:
・各ショートオプション最小レートティアごとに:
・ティアのショートオプションポジションの数を求める。
・ショートオプション最小チャージレートを掛けて、ティアのチャージを算出する。
・特定のティアのチャージの合計を取ると、商品グループの全体チャージが算出される。
スキャンティアと商品間スプレッドティアに対して増倍されたリスクアレイを集計する:スキャンが標準的に(「清算リスク」スキャン方法を使用しないで)行われているポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・商品グループ内の各ポジションごとに:
・ポートフォリオの各直接計算所要額レベルごとに:
・通貨間リスクスキャンが、この商品グループ内のこのポジションの商品ファミリーにとって有効でない場合は、
・全体スキャンティアリスクアレイ内の各要素を、ポジションの増倍されたリスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・商品グループに対する特定のスキャンティアがある場合は、この商品が含まれている特定のスキャンティアを選択し、その特定のティアに関するリスクアレイ内の各要素を、ポジションの増倍されたリスクアレイ内の対応する要素だけ増分する。
・全体商品間スプレッドティアリスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍されたリスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・商品グループについての特定の商品間スプレッドティアがある場合は、この商品が含まれている特定の商品間スプレッドティアを選択し、この特定のティアに関するリスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍されたリスクアレイ内の対応する要素だけ増分する。
・但し、この商品グループ内のこのポジションの商品ファミリーにとって、通貨間リスクスキャンが有効でない場合は:
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に関する全体スキャンティア交換レート上昇リスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート上昇リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に関する全体スキャンティア交換レート下落リスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート下落リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・商品グループに対する特定のスキャンティアがある場合は、この商品が含まれている特定のスキャンティアを選択し、そして、
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に対する特定ティアに関する交換レート上昇リスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート上昇リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に対する特定ティアに関する交換レート下落リスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート下落リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に関する全体商品間スプレッドティア交換レート上昇リスクアレイ内の各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート上昇リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に関する全体商品間スプレッドティア交換レート下落リスクアレイ内の各要素を、ポジションの増倍された交換レート下落リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・商品グループについての特定の商品間スプレッドティアがある場合は、この製品が含まれている特定の商品間スプレッドティアを選択し、そして、
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に対する特定段に関する交換レート上昇リスクアレイの各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート上昇リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
・この決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨対に対する特定ティアに関する交換レート下落リスクアレイの各要素を、ポジションに関する増倍された交換レート上昇リスクアレイ内の対応する要素だけ、増分する。
デルタ期間に対するポジションデルタの集計:スキャンが標準的に(「清算リスク」スキャン方法を使用しないで)行われているポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・商品グループ内の各ポジションごとに:
・商品グループに関する各直接計算所要額レベルごとに:
・ポジションデルタを取る。(ポジションがスプリット・アロケーションを介して処理されている場合は、ポジションデルタはゼロになり、継続する必要はない。)
・製品が標準的に処理されている場合には、この所要額レベル並びにこの契約を保有しているデルタ期間の期間デルタを、このポジションデルタだけ増分する。
デルタスプリット・アロケーションを使用して製品が処理される場合、ポジションデルタを取り出して段デルタの基礎初期化に割り付ける。
商品内スプレッドティアについて:
・ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・各直接計算所要額レベルごとに:
・各商品内スプレッドティアごとに:
・ティア内に保有されている、正である(即ち、ネットロングである)全ての期間デルタの合計を取ることにより、特定の段に関する合計ロングデルタを初期化する。
・ティア内に保有されている、負である(即ち、ネットショートである)全ての期間デルタの合計を取り、次いで、その結果の絶対値を取ることにより、特定のティアに関する合計ショートデルタを初期化する。
・全体ティアについて:
・特定のティアに関する合計ロングデルタの合計を取ることにより、全体ティアに関する合計ロングデルタを初期化する。
・特定のティアに関する合計ショートデルタの合計を取ることにより、全体ティアに関する合計ショートデルタを初期化する。
商品間スプレッドティアについて:
・ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・各直接計算所要額レベルごとに:
・各商品間スプレッドティアごとに:
・ティア内に保有されている、正である(即ち、ネットロングである)全ての期間デルタの合計を取ることにより、特定のティアに関する合計ロングデルタを初期化する。
・ティア内に保有されている、負である(即ち、ネットショートである)全ての期間デルタの合計を取り、次いで、その結果の絶対値を取ることにより、特定の段に関する合計ショートデルタを初期化する。
・それら2つの結果を差し引きしてネットを算出する:即ち、合計ショートデルタを合計ロングデルタから引く。結果が正なら、それを合計ロングデルタとして記憶し、合計ショートデルタをゼロに設定する。結果が負なら、その絶対値を取り、それを合計ショートデルタとして記憶し、合計ロングデルタをゼロに設定する。
・全ティアについて:
・特定のティアに関する合計ロングデルタの合計を取ることにより、全体ティアに関する合計ロングデルタを初期化する。
・特定のティアに関する合計ショートデルタの合計を取ることにより、全体ティアに関する合計ショートデルタを初期化する。
・それら2つの結果を差し引きしてネットを算出する:即ち、合計ショートデルタを合計ロングデルタから引く。結果が正なら、それを合計ロングデルタとして記憶し、合計ショートデルタをゼロに設定する。結果が負なら、その絶対値を取り、それを合計ショートデルタとして記憶し、合計ロングデルタをゼロに設定する。
スキャン及び商品間スプレディングティア用のスキャンリスク及び関連値の決定:スキャンが標準的に(「清算リスク」スキャン方法を使用しないで)行われるポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・全体的スキャンティアについて、全体的商品間スプレディングティアについて、該当する場合には各特定のスキャンティアごとに、及び該当する場合には各特定の商品間スプレディングティアごとに:
・各直接計算所要額レベルごとに:
・この商品グループ内の商品ファミリーについて、通貨間リスクスキャンが可能とされる場合は:
・通貨間リスクスキャンが可能とされる商品ファミリーのセットの中に表されているこの商品グループに関する各決済通貨/パフォーマンス・ボンド通貨の対ごとに:
・交換レート上昇アレイ内の各要素を交換レート下落アレイ内の対応する要素と比較する。各要素ごとに、大きい方の数(正の大きい数又は負の小さい数)を選択して、このティアと通貨の対に関する全体リスクアレイを算出する。
・ティアに対する各種通貨の対に関する全体リスクアレイと、通貨間リスクスキャンが可能でなかった(該当する場合のみ)商品に対するティアに関するアレイとを合計して、ティアに関する全体リスクアレイを算出する。
・リスクアレイ内の最大(正の最大)値を選択する。これは、ティアに対する最大損失であり、対応するリスクシナリオはアクティブシナリオと呼ばれる。スキャンティアについてのみ、この値はティアに対するスキャンリスクとも呼ばれる。
・商品間スプレッドティアのみについて:
・値動きの場合は同じ定義を有する、但しボラティリティの動きの場合は逆の定義を有する、リスクアレイ値を、アクティブシナリオとして選択する。これを点対と呼ぶ。
・アクティブシナリオのリスクアレイ値と点対の平均を取る。この結果に対して、この取引所複合体の時間及びボラティリティリスクの端数処理慣例に規定されている通りに端数処理を行い、ティアに関するボラティリティリスクの推定値を算出する。
・(a)価格変化無しと(b)逆のボラティリティ変化というシナリオ定義を有する2つのリスクアレイ値を取る。これら2つの値の平均を取り、ティアに関する時間リスクの推定値を算出する。
・ボラティリティリスクと時間リスクの推定値をスキャンリスクから差し引き、価格リスクの推定値を算出する。
・3つの加重価格リスク計算法の1つにより、ティアの加重価格リスクを計算する。
商品間スプレッドティアの加重価格リスクの決定:商品間スプレッドティアの加重価格リスクの計算には3つの方法がある:即ち、標準、キャッピング式標準、及びスキャンレンジである。
方法が標準の場合:
・ティアのショートデルタの値をティアのロングデルタの値から差し引き、ティアのネットデルタを算出する。
・ティアの価格リスクをネットデルタで割る。
・この結果の絶対値を取る。
方法がスキャンレンジの場合:
・その価格スキャンレンジに対して非ゼロ値を有するティア内の第1非オプション契約を選択する。
・その価格スキャンレンジを取る。
・その値を契約の契約倍率とデルタ倍率の積で割る。(これは、相対的契約サイズ差を勘定に入れており、その値を、「標準」サイズの契約に適用できるものに変換する。)
方法がキャッピング式標準の場合:
・最初に標準方法により、そして再度、スキャンレンジ方法により、加重価格リスクを計算する。
・これら2つの値の内の小さい方を取る。(実際には、これは標準方式で計算されるが、その値はスキャンレンジでキャップされる。)
商品グループのスキャンリスクの決定:スキャンが標準的に(「清算リスク」スキャン方法を使用しないで)行われているポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・その商品グループに対する各直接計算所要額レベルごとに:
・商品グループに対して定義された特定のスキャンティアがある場合には:
・商品グループに対するスキャンリスクは、各特定のスキャンティアに関するティアスキャンリスクの合計である。
・但し、商品グループに全体スキャンティアしかない場合には:
・商品グループに対するスキャンリスクは、その全体スキャンティアに対するスキャンリスクである。
清算リスク方法を使用して、商品グループの他の値を設定してスキャンリスクを決定:スキャンの処理方法として清算リスクが特定されている各商品グループは、(a)同一証券ファミリー内にあり、且つ(b)同一リスクレベルを有する、と見なされている現物エクイティ又は債券しか保有していないはずである。
その様な各商品グループは、スキャンについて、商品間スプレディングに対して、及び商品内スプレディングについては、全体ティアしか定義されていないはずである。
この様な各商品グループでは、それに対して正確に1つの商品内スプレッドしか定義されておらず、即ち、デルタベースの、1対1の、全ティア1対全ティア1スプレッドである。このスプレッドのチャージレートは、小数として特定されている。この商品グループを参照している商品間スプレッドは、同様に全体商品間スプレッドティアを参照し、クレジットレートは小数として特定されている。
清算リスクが、スキャンリスクを求めるための方法として特定されている各商品グループごとに:
・全てのポジションに対する、値が正である清算リスクポジション値の合計を取る。これにより、ロング清算値が算出される。
・全てのポジションに対する、値が負である清算リスクポジション値の合計を取る。この合計の絶対値を取る。これにより、ショート清算値が算出される。
・この商品グループに関する各直接計算所要額レベルごとに:
・この所要額レベルと商品グループに関する清算リスクレートを読み出す。特定レートと一般レートの2つの値がある。(パリ証券取引所の文書では、それらは、それぞれ、Xパラメータ及びYパラメータとも呼ばれている。)
・ロング清算値とショート清算値の合計を取り、この結果に特定のレートを掛ける。これにより特定リスクが算出される。
・ロング清算値とショート清算値の差の絶対値を取り、この結果に一般レートを掛ける。これにより、一般リスクが算出される。
・特定リスクと一般リスクの合計を取る。
・ロング清算値を、全体商品内スプレッドティアに対するロングデルタとして記憶する。
・ショート清算値を、全体商品内スプレッドティアに対するショートデルタとして記憶する。
・ショート清算値をロング清算値から差し引く。この結果がゼロ又は正であれば、それを全体商品間スプレッドティアに対するロングデルタとして記憶する。この結果が負であれば、その絶対値を取って、それを全体商品間スプレッドティアに対するショートデルタとして記憶する。
・全体商品間スプレッドティアに対する加重価格リスクを1に設定する。
スプレディング:ポートフォリオ内の各商品グループに対するスキャンリスクと最小商品チャージを求めた後、次の段階はスプレディングを行うことである。下に説明するように、開示された実施形態は次のスプレディングとハイブリッドスプレディング方法論を使用している。
スプレッドグループ:SPANアルゴリズムは、次のスプレッドのグループ、即ち:
・超商品間スプレッド
・商品内スプレッド
・証拠金統合前スプレッド
・証拠金統合スプレッド
・商品間スプレッド
・清算機関間(「取引所間」)スプレッド
の定義をサポートする。
商品内スプレッドと商品間スプレッドは最も馴染みのあるタイプである。
商品内スプレッドは、通常、商品グループ内に形成されたスプレッドに付帯するリスクを認知するためのチャージを計算するのに使用される。それらは、スキャン処理が、商品グループ内でグループにまとめられている各種商品の間での値動きの完全な相関を前提としているために、必要となる。
商品間スプレッドは、関連付けられた商品グループ内のポジションの間のリスク相殺を認知し適当なクレジットを与えるために使用される。
清算機関間スプレッドは、しばしば取引所間スプレッドとも呼ばれ、異なる清算機関の商品グループ内のポジション間の、又はそれら清算機関のビジネス機能間の、リスク相殺を認知して適切なクレジットを提供するのに使用される。それらは、特定のスプレッドに関与している各清算機関が、そのスプレッドを認知するのも認知しないのも自由であり、且つ自身の商品に適用可能な特定のクレジットレートを特定するのも自由である点で、標準的な商品間スプレッドとは区別される。これは、清算機関の間に正式な保証金統合協定が存在するか否かに関わらず、且つ通常はその様な協定が存在しない場合に、清算機関が、別の清算機関のポジションを相殺することにより自身の製品のリスクが下がったときに、自身の商品に関するパフォーマンス・ボンド所要額に対する減額を受けることを希望した場合に使用される
超商品間スプレッドは、商品内スプレディングが実行される前であっても、商品グループを跨ぐ特定のデルタパターンを認知できるようにするために、作成された新しいスプレッドグループである。例えば、このタイプのスプレッドは、2つの商品グループ間の「タンデム」関係を認知するのに使用できる(第1の商品グループ:或る月はロング、別の月はショート;そして、第2の商品グループ:或る月はショート、別の月はロング。)
証拠金統合スプレッドは、証拠金統合協定に参加している2つ又はそれ以上の清算機関が、標準的な商品内及び商品間スプレディングが行われる前に評価されるスプレッドを定義することができるようにするために、作成された新しいグループである。この新しい証拠金統合前グループは、前記の清算機関に、証拠金統合が行われる前に、最初に評価されるスプレッドを定義する機会を与えている。
スプレッドタイプ:スプレッドが保有されているスプレッドグループに加えて、スプレッドは、それらがデルタベースであるか、スキャンベースであるか、又はデルタベースとスキャンベースのハイブリッドであるか、により分類される。
スキャンベーススプレッドとハイブリッドスプレッドは、商品間スプレッドグループ、即ち、証拠金統合前スプレッド、超商品間スプレッド、及び標準的な商品間スプレッド、についてのみ使用される。
清算機関及び/又はビジネス機能の境界線を跨ぐグループ内のスプレッド、即ち、証拠金統合スプレッド及び清算機関間スプレッドは、デルタベースにしかならない。
デルタベーススプレディング:デルタベーススプレッドは、デルタベースで、即ち、スプレッドの各レグごとの残留デルタ値の相対度数と関係に従って、形成されるスプレッドである。
デルタベーススプレッドは、スプレッドレグを幾つ保有していてもよい。スプレッドは、通常は2レグであるが、3、4、5、又はそれ以上のレグを有するスプレッドが起こってもよい。
各レグは、特定の商品グループを参照し、その商品グループについて、次の、即ち:
・商品間スプレッドティア
・商品内スプレッドティア、又は
・デルタ期間
の内の1つを参照する。
更に、各レグごとに、スプレッド当たりデルタ比と相対マーケット側インジケータが特定される。
スプレッド当たりデルタ比は正の値であり、これは、1つのスプレッドの形成を介してそのレグに費やされたデルタの量を表している。
相対市場側インジケータはA又はBであり、スプレッドが形成されるためには普及していなければならないレグの残留デルタの相対関係を示している。例えば、代表的な2レグ式A対Bスプレッドでは、第1レグの残留デルタは正で、第2レグの残留デルタは負でなくてはならないか、又は、第1レグの残留デルタは負で、第2レグの残留デルタは正でなくてはならないか、の何れかである。
デルタベースのスプレッドは、自身の、チャージ又はクレジット方法、即ち、定額レート又は加重価格リスクの何れか、も定義している:
・定額レートは、通常、商品内スプレッドに使用される。このスプレッド用のチャージは、形成されたスプレッドの数を取って、これにチャージレートを掛けることにより計算される。
・加重価格リスクは、通常、商品間スプレッドに使用される。各参加レグごとに、スプレッドにより費やされたデルタの合計数、掛ける加重価格リスク(デルタ当たり価格リスクと考えることができる)、掛けるクレジットレートパーセンテージ、を求めることにより計算される。
従って、デルタベースのスプレッドは、幾つの所要額レベルが直接計算されるかによって、自身に対する1つ又はそれ以上のレートを定義している。
定額レート方式を使用した商品間スプレッドでは、レートはチャージレートと見なされ、普通の正のチャージレートは商品内スプレッドチャージを生む。負のチャージレートは許容されており、負のチャージ、即ちクレジット、を生む。
同様に、加重価格リスク方式を使用している商品間スプレッドでは、普通の正のクレジットレートパーセンテージは、正のクレジット額を生む。そのスプレッドについて負のクレジットレートが特定された場合、これは負のクレジット、即ちチャージ、となる。
定額レート方式を使用しているデルタベーススプレッドは、レグの中に2つ以上の商品グループを有していることもある。もしそうなら、得られるチャージは、そのスプレッド当たりデルタ比の絶対値の相対的比率に従って各レグに割り当てられる。この様なスプレッドに参加している全てのこの様な商品グループは、同じパフォーマンス・ボンド通貨をしかるべく分担せねばならない。
スプレッド内スプレッド:或るデルタベースのスプレッドを使用して、個別のセットのデルタベースのスプレッドを介して形成されたスプレッドの合計数に制限を設定するのが望ましいことがある。
それら状況を一般的に取り扱うため、デルタベースのスプレッドは、SPAN内で再帰的にされねばならない。
即ち、デルタベーススプレッドは、デルタベーススプレッドのセット(1つ又はそれ以上)を保有しており、各セットはデルタベーススプレッドのセット(1つ又はそれ以上)を保有している。このような再帰のレベルの数に対する制限はない。
そのような階層の最上位のスプレッドは、最上位スプレッドと呼ばれ、これはスプレッドのレートを保有しているものである。下位のスプレッドはレートが定義されていない。
ここでの基本的概念は、各スプレッドは、内部に保有されているスプレッドにより形成されうるスプレッドの個数に対する上限を設定しているというものである。代表的な事例では、1レベルの再帰しかなく、最上位スプレッドは子スプレッドのセットを保有しており、子スプレッドには子が無い。この場合、最上位スプレッドは、その子スプレッドにより形成可能なスプレッドの数に全体的な上限を設定している。
清算機関間スプレッドと証拠金統合スプレッドの組み合わせプールを作成する。
証拠金統合グループと清算機関間グループにおけるスプレッドを除き、各グループにおけるスプレッドは、取引所複合体で評価された取引所複合体であり、取引所複合体が処理される順序は問題ではない。
しかしながら、証拠金統合グループと清算機関間グループについては、処理は取引所複合体により行われない。代わりに、ポートフォリオ内に表されている取引所複合体に提供される全てのスプレッドを含んでいる単一のスプレッドのプールが作成される。この処理は、いくつかの重要な特徴を有している。
・重複スプレッドは認知される:例えば、清算機関Xは、自身の商品の1つである清算機関Yの関連商品として、1対1、A対Bスプレッドを認知するとしよう。更に、清算機関Yは、同じスプレッドを清算機関Xに対して認知するとしよう。
この場合、アルゴリズムは、それらが同じスプレッドであることを認知しなければならない。
・各清算機関は、自身の商品のクレジットしか提供できない。この例では、清算機関Xがスプレッドを特定すると、特定されたクレジットレートは、自身の商品にしか適用されない。また、清算機関Yについても同じである。
清算機関Xはスプレッドを認知するが、清算機関Yは認知しない場合でも、Xにより特定されたクレジットレートはXの商品にしか適用されない。Yの商品は、クレジットレートがゼロになる。
両方の機関がスプレッドを認知している場合でも、それらが同じクレジットレートを有しているという保証は無い。Xはその商品に適用可能な或るレートを特定し、Yはその商品に適用可能な異なるレートを特定する。
・スプレッドは、最大合計貯蓄により優先順位が決まる。組み合わせプールにおけるスプレッドは、全てのレグに亘る最大合計貯蓄に従って優先順位が決められねばならない。
グループによるスプレッドグループの評価:ポートフォリオにおける各取引所複合体ごとに:
・超商品間スプレッドグループにおけるスプレッドについて:
・グループ内の各スプレッドを、今度は、スプレッド優先順位に従って評価する。
ポートフォリオにおける各取引所複合体ごとに:
・商品内スプレッドグループ内のスプレッドについて:
・グループ内の各スプレッドを、今度は、スプレッド優先順位に従って評価する。
適用される全てのデルタ期間について、スポットチャージを最終決定する。
ポートフォリオにおける各取引所複合体ごとに:
・証拠金統合前スプレッドグループ内のスプレッドについて:
・グループ内の各スプレッドを、今度は、スプレッド優先順位に従って評価する。
証拠金統合スプレッドの組み合わせプールについて:
・上記のように合計貯蓄額で降順に並べられたプール内の各スプレッドを評価する。
ポートフォリオにおける各取引所複合体ごとに:
・証拠金統合スプレッドグループ内のスプレッドについて:
・グループ内の各スプレッドを、今度は、スプレッド優先順位に従って評価する。
清算機関間スプレッドの組み合わせプールについて:
・上記のように合計貯蓄額で降順に並べられたプール内の各スプレッドを評価する。
デルタベーススプレッドの評価−概論:子スプレッドを持たないデルタベーススプレッドを評価するための処理全体は、次のように要約できる。
最初に、スプレッドレグのそれぞれはポートフォリオ内に在ることを調べて確認する。
マーケット側の2通りの可能な仮定のそれぞれの下でスプレッドの形成を試みる。言い換えると、「A」レグがロングで「B」レグがショートであると仮定して、最初のスプレッド形成を試みる。次いで、仮定を逆転させ、「A」レグがショートで「B」レグがロングであると仮定して、スプレッドの形成を試みる。
何れの仮定に基づいてもよいが、何らかのスプレッドが形成されれば、各レグごとに、スプレッドに費やされるデルタを求める。当該スプレッドレグについて、費やされるデルタを残留デルタから消去する。次に、残留期間デルタ、商品内スプレッドティアデルタ、及び商品間スプレッドティアデルタが、同期化状態に維持されるように、必要に応じてデルタ値を再評価する。
最後に、形成されたスプレッドに関係付けられたチャージ又はクレジットを求める。
マーケット側の特定の仮定の下でデルタベーススプレッドの特定のレグに費やされたデルタを求める:
・形成されたスプレッドの数を取る。
・レグに関するスプレッド当たりデルタ比を掛ける。
・現在の仮定が、A側がロングであり、これはBレグであるという場合には、又は、現在の仮定が、A側がショートであり、これはレグであるという場合には、上記の結果に−1を掛けて、それを負にする。(言い換えると、この場合には、ショートデルタを費やしたといえる。)
市場側の特定の仮定の下でデルタベースのスプレッドの特定レグに費やされたデルタを消去する:
・消去される残留デルタを費やされるデルタとして初期化する。
・レグが、スプレッドティアを、即ち、商品内又は商品間スプレッドティアの何れか、又は特定のティアか全体のティアの何れかを、参照する場合には:
・ティア内の第1デルタ期間から開始して、ティア内のそれ以降の各デルタ期間を継続して、消去される残留デルタがゼロになるまで、そのような各期間から順にデルタを消去する。
・但し、レグが特定のデルタ期間を参照する場合には、その特定の期間からデルタを消去する。
・幾つかのデルタが消去された期間を保有している各商品内又は商品間スプレッドティアについては、その期間から消去されたデルタの量だけ、残留ロング又はショートデルタを減少させる。
加重価格リスク方式を使用しているデルタベーススプレッドの特定のレグのクレジットを計算し、適当なティアのクレジット量を増分する:これは、加重価格リスク方式を使用しているデルタベーススプレッドについて行われる。この様なスプレッドの各レグは、商品間スプレッドティア又は商品グループのデルタ期間の何れかを参照する。レグがティアを参照する場合には、それは全体商品間スプレッドティアであるか、又は特定のティアが定義されている場合には、特定の商品間スプレッドティアである。
・このレグのスプレッドに費やされるデルタの絶対値を取る。
・加重価格リスクを読み出すために使用するティアを求める:
・レグが商品間スプレッドティアを参照する場合には、当該ティアを選択する。
・レグがデルタ期間を参照する場合には:
・特定の商品間スプレッドティアが定義されている場合には、この期間を保有しているその特定のティアを選択する。
・特定のティアが定義されていない場合には、全体商品間スプレッドティアを選択する。
・このレグとこの所要額レベルのスプレッドに費やされるデルタの絶対値を取る。
・この結果に、選択されたティアとこの所要額レベルに関する加重価格リスクを掛ける。
・この結果に、このレグとこの所要額レベルのスプレッドに関するクレジットレートを掛ける。
・このクレジットを上昇させるスプレッドが、証拠金統合スプレッドグループ又は清算機関間スプレッドグループ以外のスプレッドグループ内に在る場合には:
・選択されたティアに関する商品間スプレッドクレジットを、このスプレッドのこのレグに関するクレジット分だけ増分する。
・但し、このクレジットを上昇させるスプレッドが、証拠金統合スプレッドグループ内又は清算機関間スプレッドグループ内の何れかに在る場合には、
・選択されたティアに関する清算機関間スプレッドクレジットを、このスプレッドのこのレグに関するクレジット分だけ増分する。
(上で説明したように、クレジットレートが負であれば、これは負のクレジット、即ち、チャージが算出されることになる。)
定額レート方式を使用しているデルタベーススプレッドに対するチャージの計算:これは、証拠金統合前スプレッド、超商品間スプレッド、商品内スプレッド、又は商品間スプレッドに適用される。
・形成されたスプレッドの数を取る。
・この所要額レベルのスプレッドに関するチャージレートを掛ける。
スキャンベーススプレッド:スキャンベーススプレッドは、生来的に商品間スプレッドであり、(a)レグの間で2つ以上の商品グループを含んでおり、(b)取引所複合体に跨らない、3つのスプレッドグループ内に存在し得るのみである。それらグループは:証拠金統合前スプレッド、超商品間スプレッド、及び標準的な商品間スプレッドである。
スキャンベーススプレッドは、レグの集合体を保有している点が、デルタベーススプレッドと同じである。とはいえ、各レグは特定の商品グループしか参照しない。
相対的市場側インジケータは、スキャンベーススプレッドのレグには適用することができない。スプレッド当たりデルタ比は適用可能であるが、後で説明するように、その適用法については、スキャンベーススプレッドの場合は、デルタベーススプレッドの場合とは幾分異なる。
スキャンベーススプレッドのレグの1つが目標レグとして指定され、目標レグ要求フラグと呼ばれる、目標レグの関係付けられたパラメータがある。
・目標レグ要求フラグが真である場合には、目標レグとして指定された商品グループは、スプレッドが形成されるために、ポートフォリオ内に存在しなければならず、そうでない場合には、そのスプレッドはスキップされる。
・目標レグ要求フラグが偽である場合には、目標レグとして指定された商品グループは、スプレッドが形成されるために、ポートフォリオ内に存在する必要はない。
同様に、目標でない各レグ(「非目標レグ」)については、レグ要求フラグと呼ばれるパラメータがある。要求レグとして特定された非目標レグがポートフォリオ内に存在しない場合には、そのスプレッドはスキップされる。言い換えれば、全ての要求される非目標レグは、スプレッドが形成されるために、ポートフォリオ内に存在しなければならない。
デルタベーススプレッドの場合と同じように、スキャンベーススプレッドには、異なる口座タイプとそれら口座タイプへの所要額レベルに対して1つ又はそれ以上のクレジットレートが特定されている。
スキャンベーススプレッドに対する全てのレグは、同一のスキャン点定義を有していなければならない。
スキャンベーススプレッドの評価:要求レグの全てがポートフォリオ内に表されていることを確認する。表されていなければ、そのスプレッドをスキップする。
・目標レグについて:
・目標レグと各非目標レグから集計して、目標レグ用の新しい値を算出し、8通りのポジション値のそれぞれは、目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨の必要に応じて換算される。
・各直接計算所要額レベルごとに:
・目標レグに対する各スキャンティアごとに:
・目標レグと各非目標レグに対して:
・リスクアレイスキャン及び通貨換算アルゴリズムを実施する:
・ティアに関するリスクアレイを取る。
・リスクアレイ内の各値ごとに:
・この値が負(即ち、利得)である場合には、これに、小数で表されているクレジットレートを掛ける。
・このレグが目標でない場合、そしてこのレグに関するパフォーマンス・ボンド通貨が目標レグに関するパフォーマンス・ボンド通貨と異なる場合は、この値を目標のパフォーマンス・ボンド通貨に換算する。
・それら適切に増倍され換算されたリスクアレイ全ての合計を取る。これにより、目標レグに対する全体スキャンティアに関する新しいリスクアレイが算出される。
・正確に全てのスキャンティアについて、最大損失を選択してスキャンリスクとアクティブシナリオを求める。
・各非目標レグごとに:
・ティアに対するリスクアレイ内の各値をゼロに設定する。
・次いで、最大損失の選択とスキャンリスクの決定の処理を繰り返して、それらの値をゼロに設定する。
・目標レグに対する各デルタ期間ごとに:
・存在する各非目標レグに関する対応するデルタ期間について:
・目標レグに対するスプレッド当たりデルタ比を、この目標レグに対するスプレッド当たりデルタ比で割ると、集計比が算出される:
・集計される残留デルタを求める:
・このデルタ期間に対する残留デルタに集計比を掛ける。
・集計される元のデルタを求める:
・このデルタ期間に対する元のデルタに集計比を掛ける。
・残留デルタの合計を取り、存在する非目標レグに対する対応するデルタ期間からの集計値とし、この結果を目標レグのこのデルタ期間に対する残留デルタに加算すると、目標レグに対する残留デルタの新しい値が算出される。
・元のデルタの合計を取り、存在する非目標レグに対する対応するデルタ期間からの集計値とし、この結果を目標レグのこのデルタ期間に対する元のデルタに加算すると、目標レグに対する元のデルタに関する新しい値が算出される。
・存在する各非目標レグに対する対応するデルタ期間からのスプレッドに費やされるデルタの引渡し(スポット)チャージの合計を取り(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算し)、この結果を目標レグの同じ値に加算すると、目標レグのこのデルタ期間に対するスプレッドに費やされるデルタの引渡し(スポット)チャージに関する新しい値が算出される。
・存在する各非目標レグに対する対応するデルタ期間からのアウトライトに残留するデルタに関する引渡し(スポット)チャージの合計を取り(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算し)、この結果を目標レグの同じ値に加算すると、目標レグのこのデルタ期間対するアウトライトに残留するデルタに関する引渡し(スポット)チャージの新しい値が算出される。
・各非目標レグの対応するデルタ期間についてゼロに設定する:
・元のデルタと残留デルタ
・スプレッドに費やされる引渡しチャージと、アウトライトに残留するデルタの引渡しチャージ
・目標レグに関する各商品間スプレッドティアごとに:
・目標レグと各非目標レグについて:
・スキャンティアについて上に述べたように同じリスクアレイ増倍及びパフォーマンス・ボンド通貨換算アルゴリズムを実施する。
・それら適切に増倍され換算されたリスクアレイ全ての合計を取る。これにより、目標レグに対する商品間スプレッドティアに関する新しいリスクアレイが算出される。
・目標ティアと各非目標ティアから集計して、目標レグに関する新しい値、即ち以下の要素:
・商品間スプレッドクレジット(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算)、
・清算機関間スプレッドクレジット(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算)、
のそれぞれが算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、正である、元のデルタの合計を取ると、ティアの元ロングデルタに関する新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間の、正である、残留デルタの合計を取ると、ティアの残留ロングデルタの新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、負である、元のデルタの合計を取ると、ティアの元のショートデルタに関する新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、負である、残留デルタの合計を取ると、ティアの残留ショートデルタに関する新しい値が算出される。
・正確に全ての商品間スプレディングティアについて、最大損失を選択し、時間リスク、ボラティリティリスク、価格リスク、及び加重価格リスクを求める。
・各非目標レグに対する各商品間スプレッドティアごとに:
・ティアに対するリスクアレイ内の各値をゼロに設定する。
・元のデルタと残留デルタの値をゼロに設定する。
・商品間スプレッドクレジットと清算機関間スプレッドクレジットをゼロに設定する。
・最大損失を求めて、ボラティリティリスク、時間リスク、価格リスク、及び加重価格リスクを求める処理を繰り返して、それら値の全てをゼロに設定する。
・目標ティアに対する各商品内スプレッドティアごとに:
・このティア内の各デルタ期間に対する、正である、元のデルタの合計を取ると、ティアの元のロングデルタに関する新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、正である、残留デルタの合計を取ると、ティアの残留ロングデルタに関する新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、負である、元のデルタの合計を取ると、ティアの元のショートデルタに関する新しい値が算出される。
・このティア内の各デルタ期間に対する、負である、残留デルタの合計を取ると、ティアの残留ショートデルタに関する新しい値が算出される。
・各非目標レグに対する各商品内スプレッドティアごとに:
・元のデルタと残留デルタの値をゼロに設定する。
・目標レグに対する各ショートオプション最小ティアごとに:
・目標レグと各非目標レグの等価物から集計すると、目標レグに関する新しい値、即ち、以下の要素:
・ショートプットの数、
・ショートコールの数、
・ショートオプション最小チャージ(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算)、
のそれぞれが算出される。
・各非目標レグごとに:
・ショートプットの数、ショートコールの数、及びショートオプション最小チャージ、をゼロに設定する。
・この所要額レベルに対する目標レグ商品グループについて:
・目標レグ及び各非目標レグから集計すると、目標レグに関する新しい値が算出される:
・商品内スプレッドチャージ(必要に応じて目標レグのパフォーマンス・ボンド通貨に換算)。
ハイブリッドデルタベース/スキャニングベーススプレッド:ハイブリッドデルタベース/スキャニンングベースの商品間スプレッドは、デルタベースのスプレディングとスキャンベースのスプレディングの要素を組み合わせている。
ハイブリッドスプレッドは、標準的な商品間スプレッドグループ又は証拠金統合前スプレッドグループ内に存在する。
通常のデルタベーススプレッドと同じように、ハイブリッドスプレッド定義のデルタベーススプレッド部分は、デルタベーススプレッドレグの集合を保有していることになる。しかしながら、スプレッドとそのスプレッドレグの仕様には幾つかの制約がある。
・スプレッドは再帰的ではない、即ち、デルタベーススプレッドの補助集合を保有していない。
・各スプレッドレグは、特定の商品グループの全体商品間スプレッドティアしか参照しない。特定の商品間スプレッドティア又はデルタ期間を参照することは許されていない。
・デルタベーススプレッドのレグとして参照される商品グループの全ては、同一のパフォーマンス・ボンド通貨を有していなければならない。
・チャージレートは、デルタベーススプレッドに対して特定されなければならず、このレートは同一のパフォーマンス・ボンド通貨で決められている。
スキャニンングベーススプレッドと同じように、ハイブリッドスプレッドも、特定の商品グループを参照する目標レグを特定することになる。この目標商品グループは、どの様な商品もリンクされることのないものである。それは、ハイブリッドスプレッドにそれが目標として特定されるまでは、どのスプレッドにも参照されない。このスプレッドの後に続いて、それは商品間スプレディングに参加するが、但し、通常のデルタベーススプレッドのレグとしてのみである。
ここに、ハイブリッドスプレッドを評価するための詳細なアルゴリズムを提示する:
・各直接計算所要額レベルごとに:
・上記のように最上位レベルのデルタベーススプレッドを評価するためのアルゴリズムを実行するが、ここで例外が1つ特定されている:
・これは、相対的市場側の各仮定の下に、形成可能なデルタベーススプレッドの数を求める効果と、関係するチャージを計算する効果と、スプレッドに費やされるデルタに従って各レグごとに一連の及びティアのデルタを減少させるという効果と、を有している。
・例外は、相対的市場側の各仮定の下で計算されるチャージは、スプレッドのレグに配分して戻されることはないということである。代わりに、各仮定の下に計算されたチャージは合計されてベーシスリスクが算出される。
・スプレッドに参加している非目標レグ内の全体商品間スプレッドティアのそれぞれのスキャンリスク値の合計を取ると、合計スキャンリスクが算出される。
・ここで、100%クレジットレートを使用して、上記のようにスキャンベーススプレッドを評価するためのアルゴリズムを実行するが、以下の例外がある。
・各非目標レグについて、全体スキャンティアについて、あらゆる特定のスキャンティアについて、全体商品間スプレディングティアについて、そしてあらゆる特定の商品間スプレディングティアについて、ティアに対するリスクアレイ内の各値をゼロに設定せず、且つ、従って、ティアに対して、スキャンリスク、及び(商品間スプレッドティアについて)時間リスク、ボラティリティリスク、価格リスク、及び加重価格リスクを最評価しない。
・同様に、非目標レグから目標レグまで集計せず、従って、非目標レグ上では:商品内スプレッドチャージ、
・全体商品間スプレッドティアについて、及びあらゆる特定の商品間スプレッドティアについては、商品間スプレッドクレジットと清算機関間スプレッドクレジット、
・各デルタ期間については、スプレッドに費やされるデルタのチャージとアウトライトに残留しているデルタのチャージ、
・全体ショートオプション最小レートについて、及びあらゆる特定のショートオプション最小レートティアについては、ショートオプション最小チャージと、ショートプットの数とショートコールの数、
をゼロに設定する。
・目標レグについて、加重価格リスクを求めた後:
・目標レグ上のスキャンリスクに対する値を一括スキャンリスクとして保存する。
・全体商品間スプレッドティア、全体スキャンティア、及びあらゆる特定の商品間スプレッドティアと特定のスキャンティアについて:
・スキャンリスク値をゼロに設定する。
・商品間スプレッドティアについて、時間リスク、ボラティリティリスク、及び価格リスクをゼロに設定し、加重価格リスクの値だけをそのまま残す。
・処理のネット結果は即ち:
・残留デルタは、商品内スプレッドティア、商品間スプレッドティア、及びデルタ期間については、非目標レグから目標レグまで集計された。
・加重価格リスクは、目標側の全体商品間スプレッドティアについて定められた。
・SPANリスク計算のその他全ての要素は、非目標レグで残されている:即ち、スキャンリスク、商品内スプレッドチャージ、ショートオプション最小額、スポットチャージ、商品間スプレッドクレジット、清算機関間スプレッドクレジットである。
・標準的なスキャンベーススプレッドにおけるの目標レグに対するスキャンリスクとなったはずの値は、一括スキャンリスクとして保存された。
・ベーシスリスクと一括スキャンリスクの合計を取る。この合計を合計スキャンリスクから差し引く。この結果を合計スキャンリスクで割る。この結果とゼロの大きい方を取れば、セービングパーセンテージが算出される。
・各非目標レグに関する全体商品間スプレッドティアについて:
・ティアの最大損失を取る。
・セービングパーセンテージを掛けると、スプレッドのこのレグに関するクレジットが算出される。
・この結果を、この通貨で決められた値の標準的な精度まで端数処理する。
・ティアに対する商品間スプレッドクレジットをこの量だけ増分する。
・再度、ティアの最大損失を取る。この値を一括スキャンリスクで割る。この結果を、その後の使用に備えて、スキャンリスクパーセンテージとして保存する。
実行はここで、スプレッドグループ内の次のスプレッド定義と、評価されるべき残留スプレッドグループに進む。
そこで、元のハイブリッドスプレッドの目標であった商品グループの全体商品間スプレッドティアは、クレジットを求める加重価格リスク方式を使用して、他のデルタベース商品間スプレッドのレグとして参加する。
これが起こると、デルタベーススプレッドの結果として計算された元の目標レグに対する商品間スプレッドクレジットは、合計スキャンリスクに対する当該レグのスキャンリスクに比例して、元のハイブリッドスプレッドの元の非目標レグに分配して戻される。方法は:
・元のハイブリッドスプレッド目標レグに対する各直接計算所要額レベルごとに:
・計算されたばかりの商品間スプレッドクレジット値を取る。
・元のハイブリッドスプレッドに対する各元の非目標レグごとに:
・上記値に、当該非目標レグに対するスキャンリスクパーセンテージを掛ける。
・この結果を、当該非目標レグに対するパフォーマンス・ボンド通貨に関する標準的な精度にまで端数処理する。
・商品間スプレッドクレジット(又は、処理中のスプレッドが清算機関間スプレッドグループ内又は証拠金統合スプレッドグループ内にある場合には、清算機関間スプレッドクレジット)を、この結果分だけ増分する。
・元のハイブリッドスプレッド目標レグに対する商品間スプレッド値の設定をゼロに戻す。
スポットチャージの最終決定:この計算は、商品内スプレッドグループ内の全てのスプレッドが評価された後で、且つ以降のスプレッドグループの何れかが処理されてしまう前に、各商品グループについて実施される。
・ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・この商品グループに対する各直接計算所要額レベルごとに:
・スポットチャージが適用されるこの商品グループに対する各デルタ期間ごとに:
・このデルタ期間について、スポットチャージがロング又はショート何れかのデルタに適用されることが特定されている場合、或いは、それらがロングデルタだけに適用され、この期間に対する残留デルタは正であることが特定されている場合、或いは、それらがショートデルタだけに適用され、この期間に対する残留デルタは負であることが特定されている場合には:
・この期間と所要額レベルに対する残留デルタを、当該期間とこの所要額レベルに対するデルタの元の値から差し引く。この量の絶対値を取る。これにより、スプレッドに費やされるデルタが算出される。
・この期間に対する残留デルタの絶対値を取る。これにより、アウトライトに残っているデルタが算出される。
・スプレッドに費やされるデルタに、スプレッドに費やされるデルタに対するチャージを掛けると、この期間と所要額レベルに対するスプレッドに費やされるデルタのスポットチャージが算出される。
・アウトライトに残っているデルタに、アウトライトに残っているデルタに対するチャージを掛けると、この期間と所要額レベルに対するアウトライトに残っているデルタのスポットチャージが算出される。
・そうでない場合には、それら2つのチャージの値はゼロになる。
・各期間ごとのスプレッドに費やされるデルタに対するスポットチャージを合計すると、この所要額レベルに対するこの商品グループに関するスプレッドに費やされるデルタに対する合計スポットチャージが算出される。
・各期間ごとのアウトライト内に残っているデルタに対するスポットチャージを合計すると、この所要額レベルに対するこの商品グループに関するアウトライトに残っているデルタに対する合計スポットチャージが算出される。
・スプレッドに費やされるデルタに対するスポットチャージと、アウトライトに残っているデルタに対するスポットチャージを合計すると、商品グループとこの所要額レベルに対する合計スポットチャージが算出される。
商品間スプレッドクレジットと取引所間スプレッドクレジットを最終決定する:ポートフォリオにおける各商品グループごとに:
・商品グループに対する各直接計算所要額レベルごとに:
・全体商品間スプレッドティアに対する商品間スプレッドクレジットと、該当する場合には、各特定の商品間スプレッドティアに対する商品間スプレッドクレジットとの合計を取る。これにより、商品グループに対する合計商品間スプレッドクレジットが算出される。
・全体商品間スプレッドティアに対する清算機関間スプレッドクレジットと、該当する場合には、各特定の商品間スプレッドティアに対する清算機関間スプレッドクレジットとの合計を取る。これにより、商品グループに対する合計清算機関間スプレッドクレジットが算出される。
直接計算所要額レベルに対するSPAN所要額の最終決定:ポートフォリオにおける各商品グループごとに:
・商品グループに対する各直接計算所要額レベルごとに:
・スキャンリスクと商品内割増額とスポット割増額の合計を取る。(この値は、商品リスクと呼ばれることもある。)
・この値から、商品間スプレッド割引額と清算機関間スプレッド割引額の合計を差し引く。(この値は、プロトタイプSPANリスク、又は予SPANリスクと呼ばれることもある。)
・この値とショートオプション最低額の内の大きい方を取る。
・この直接計算所要額レベルに対してリスク調整係数が定義されている場合は、上記結果にこのリスク調整係数を掛ける。
・この商品グループにおけるポジションが、オプション商品内のロングポジションのみで構成されている場合は、それらオプションの全ては自身の価格に対しては非ゼロ値を有し、ここで、この結果とそれらオプションのパフォーマンス・ボンド通貨での現在値の内の小さい方を取る。
・その結果が、この所要額レベルに対するSPANリスク所要額となる。
最後の段階から3番目は、ロングオプションのみで構成されているポートフォリオではロングオプション値でのリスクのキャッピングと呼ばれている。なお、リスクがキャップされる値は、先物形式オプションとプレミアム形式オプションの両方を含んでいる点に注目されたい。ここで鍵となる要素は、どの様にオプションが価値評価されるかということではなく、それらが、リスクの現在値がポジション自身の現在値に限定される商品のロングポジションであるか否かということである。
誘導的SPANリスク所要額の決定:ポートフォリオに表されている各商品グループごとに:
・この商品グループに関する各直接計算所要額レベルごとに:
・当該所要額レベル又はその所要額レベルから導き出されるあらゆる所要額レベルに対して適用可能な各リスク調整係数ごとに:
・その様な各リスク調整係数を順に処理する。
・基本的な所要額レベルに対するSPANリスク所要額を取る。
・リスク調整係数を掛け、所要額を特定の基本的所要額レベルから特定の派生的所要額レベルに換算する。
・この商品グループにおけるポジションが、オプション商品内のロングポジションのみで構成されている場合には、それらオプションの全ては自身の価格に対しては非ゼロ値を有し、ここで、この結果とそれらオプションのパフォーマンス・ボンド通貨での現在値の内の小さい方を取る。
・その結果が、この派生的所要額レベルに対するSPANリスク所要額となる。
通常は、派生的所要額を求めるのに使用されるリスク調整係数は、維持所要額レベルから当初所要額レベルを求めるのに使用される。
利用可能なネットオプション値の決定:ポートフォリオにおける各商品グループごとに:
・プレミアム形式で価値評価される、この商品グループに関するポートフォリオ内の全てのポジションのパフォーマンス・ボンド通貨での合計ネット値を以下のように求める:
・パフォーマンス・ボンド通貨で決められている以下の4つの値:
・プレミアム形式で価値評価された商品内のロングオプションポジションの値、
・プレミアム形式で価値評価された商品内のショートオプションポジションの値、
・プレミアム形式で価値評価された商品内のロング非オプショポジションの値、
・プレミアム形式で価値評価された商品内のショート非オプションポジションの値、を取る。
・これらポジション値の内で、プレミアムがまだ支払われていないか徴収されていないために全額クレジットが与えられていない部分がある場合には、それらの値をしかるべく調整して当該部分を消去する。
・プレミアム形式で価値評価されたロングオプションポジションの調整値から、プレミアム形式で価値評価されたショートオプションポジションの調整値を差し引くと、プレミアム形式で価値評価されたオプションポジションのネット値が算出される。
・プレミアム形式で価値評価されたロング非オプションポジションの調整値から、プレミアム形式で価値評価されたショート非オプションポジションの調整値を差し引くと、プレミアム形式で価値評価された非オプションポジションのネット値が算出される。
・2つのネット値の合計を取ると、プレミアム形式で価値評価されたネット調整値が算出される。
・この商品グループに対する各所要額レベルごとに(直接計算か誘導的かを問わず):
・この商品グループについて、リスクでの利用可能なネットオプション値のキャッピングオフが有効とされている場合には、プレミアム形式で価値評価されたポジションのネット調整値とSPANリスク所要額の内の小さい方を取ると、この所要額レベルに対する利用可能なネットオプション値が算出される。
・但し、この様なキャッピングが有効でない場合には、この所要額レベルに対する利用可能なネットオプション値は、プレミアム形式で価値評価されたポジションのネット調整値に等しくなる。
オムニバス口座と他のグロス証拠金調整企業レベル口座に対するSPAN計算:先に序章の証拠金調整されるポートフォリオで説明したように、オムニバス口座は:
・企業レベル口座タイプであり、
・それについて、合計ポジションはグロスベーシスで維持されており、即ち、ポジションは同時にロングにもなりショートにもなり、
・それについて、サブアカウントが定義され、
・それについて、前記定義されたサブアカウントに保有されていない合計ロング及び合計ショートポジションの部分は、ネイキッドロング及びネイキッドショートポジションであると見なされ、
・それについて、ネイキッドロング及びネイキッドショートポジションは、グロスベーシスで証拠金調整され、−言い換えると、ポジション相殺に起因するリスク減少無しに、その様な各ネイキッドロングポジションとその様な各ネイキッドショートポジションが単独でポートフォリオ内に在るかのように扱われる。
一般に、グロス証拠金調整企業レベル口座は、ネイキッドロング及びネイキッドショートポジションがこのやり方で証拠金調整される、その様なあらゆる口座である。オムニバス口座は、定義されたサブアカウントにポジションが存在する、その様な口座の一例と見なすことができる。
この章では、グロス証拠金調整企業レベル口座について、ポートフォリオに表されている商品グループに対するSPANリスク所要額と利用可能ネットオプション値を求めるための全体過程について説明する。この過程は、:
・ネイキッドロング及びネイキッドショートポジションを求めること、
・該当する場合には、サブアカウントに対するSPAN所要額を計算すること、
・ネイキッドポジションに対するSPAN所要額を計算すること。
・商品グループに関する合計SPAN所要額値を求めるために、サブアカウントに対するSPAN所要額と、ネイキッドポジションに対するSPAN所要額を集計すること、
から構成されている。
ネイキッドポジションの決定:オムニバス口座内の各ポジションごとに:
・この商品内の、ネットロングである全てのサブアカウントポジションの合計を取る。
・この結果を、オムニバス口座に対する合計ロングポジション量から差し引くと、ネイキッドロングポジションが算出される。
・この商品内の、ネットショートである全てのサブアカウントポジションの合計の絶対値を取る。
・この結果を、オムニバス口座に対する合計ショートポジション量から差し引くと、ネイキッドショートポジションが算出される。
なお、オムニバス口座ポートフォリオに表されている各商品について、合計ロングポジションは、少なくとも、ネットロングであるサブアカウントポジションの合計と同じぐらい大きくなければならず、合計ショートポジションは、少なくとも、ネットショートであるサブアカウントポジションの合計の絶対値と同じぐらい大きくなければならない。ネイキッドポジション量はゼロとなるが、定義により、決して負にはならない。
サブアカウントに対するSPAN所要額の計算:SPAN計算がオムニバス口座について行われる場合は何時も、ネイキッドポジションを求めた後、定義されている場合には、当該オムニバス口座の各サブアカウントについて、ネットポートフォリオに関する標準的なSPAN計算が行われる。
その様な各サブアカウントについて、サブアカウントに対するポートフォリオに表されている各商品グループについて、結果は、当該商品グループに対する各直接計算及び間接計算所要額レベルに対するSPANリスク所要額及び利用可能ネットオプション値となる。
サブアカウントに関するSPAN所要額を評価することは、第1に、必要に応じて、サブアカウント所要額がオムニバス口座への集計に確実に利用できるようになる点で、オムニバス口座に関するSPAN計算を単純化する。
ネイキッドポジションに関するSPAN所要額の計算:ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・この商品グループの各ポジションごとに:
・ネイキッドロングポジション量について、ネイキッドポジションSPAN評価アルゴリズムを実行して、この商品グループに対する各直接及び間接計算所要額レベルごとに:
・SPANリスク所要額、
・利用可能ネットオプション値、
を求める。
・ネイキッドショートポジション量について、ネイキッドポジションSPAN評価アルゴリズムを実行して、この商品グループに対する各直接及び間接計算所要額レベルごとに:
・SPANリスク所要額、
・利用可能ネットオプション値、
を求める。
・この商品グループに対する直接及び間接計算所要額レベルごとに:
・この所要額レベルに対するネイキッドロングに関するSPAN所要額とこの所要額レベルに対するネイキッドショートに関するSPAN所要額を合計すると、このポジションとこの所要額レベルに対するネイキッドに関する合計SPAN所要額が算出される。
・この所要額レベルに対するネイキッドロングに関する利用可能ネットオプション値とこの所要額レベルに対するネイキッドショートに関する利用可能ネットオプション値を合計すると、このポジションとこの所要額レベルに対するネイキッドに関する合計利用可能ネットオプション値が算出される。
・各直接及び間接計算所要額レベルごとに:
・商品グループに関する全てのポジションに亘る、ネイキッドに関するSPAN所要額の合計を取ると、この所要額レベルに対する商品グループのネイキッドポジションに関するSPAN所要額が算出される。
・商品グループに関する全てのポジションに亘る、ネイキッドに関する利用可能ネットオプション値の合計を取ると、この所要額レベルに対する商品グループのネイキッドポジションに関する利用可能ネットオプション値が算出される。
ネイキッドポジションSPAN評価アルゴリズム:上で説明したように、このアルゴリズムは、企業レベル又は清算レベルの何れかでの、グロス証拠金調整口座に保持されているネイキッドロング量又はネイキッドショート量の何れかに対して、記述される。
・この計算のために、このネイキッドロング(又はネイキッドショート)ポジションだけで構成されているネットポートフォリオを作成する。
・SPANアルゴリズムをこのネットポートフォリオに適用する。
・直接計算される各所要額レベルごとに:
・この所要額レベルについての、且つネットポジションを保有している商品グループについての、SPAN所要額と利用可能ネットオプション値を求める。
・スプリット・アロケーション又は等価でのポジション証拠金調整が、他の商品グループがポートフォリオ内に表されるようにした場合には:
・その様な各他の商品グループごとに、ポジションを保有している元の商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨で、当該他の商品グループに対するSPAN所要額の値と利用可能ネットオプション値の額を求める:
・この他の商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨が、ポジションを保有している商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨と同じである場合は、単純に、当該他の商品グループに対するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値を取る。
・但し、それら2つの通貨が同じでない場合には:
・他の商品グループに関するSPAN所要額に適切なレートを掛けて、それを元の商品グループのパフォーマンス・ボンド通貨に換算し、この結果を、元のパフォーマンス・ボンド通貨にとって標準的な精度まで端数処理する。
・他の商品グループに関する利用可能ネットオプション値に同じレートを掛けて、この結果を、元のパフォーマンス・ボンド通貨にとって標準的な精度まで端数処理する。
・この様な他の商品グループ全てに亘る、SPAN所要額に関するそれら等価値の合計を取る。
・ネットポジションを保有している元の商品グループに対するSPAN所要額を、この合計分だけ増分する。
・この様な他の商品グループに亘る、利用可能ネットオプション値に対する等価値の合計を取る。
・ネットポジションを保有している元の商品グループに対するSPAN所要額を、この合計分だけ増分する。
・ここまでの結果は、この直接計算所要額レベルに対するネイキッドロング(又はネイキッドショート)ポジションに関するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値である。
・この直接計算所要額レベルから何らかの所要額レベルが導き出された場合、今度はリスク調整係数(単数又は複数係数)を適用して、ネイキッドロング(又はネイキッドショート)ポジションに対する誘導的SPANリスク所要額と利用可能ネットオプション値をそのような各誘導的所要額について求める。
ネイキッドポジションに対するSPAN所要額とサブアカウントに対するSPAN所要額を集計する:オムニバス口座ポートフォリオ内に表されている各商品グループごとに:
・このポートフォリオについて所要額が求められている各所要額レベルについて、直接計算か間接計算かを問わず:
・この商品グループが表されている全てのサブアカウントポートフォリオに亘るこの所要額レベルに対するSPANリスク所要額の合計を取る。これにより、この所要額レベルに対するサブアカウントに関する合計SPANリスク所要額が算出される。
・同様に、この商品グループが表されている全てのサブアカウントポートフォリオに亘るこの要求額レベルに対する利用可能ネットオプション値の合計を取る。これにより、この所要額レベルに対するサブアカウントに関する合計利用可能ネットオプション値が算出される。
・サブアカウントに関する合計SPANリスク所要額と、ネイキッドポジションに対する合計SPANリスク所要額との合計を取ると、商品グループとこの所要額レベルに対する全体SPANリスク所要額が算出される。
・同様に、サブアカウントに関する合計利用可能ネットオプション値と、ネイキッドポジションに対する合計利用可能ネットオプション値との合計を取ると、商品グループとこの所要額レベルに対する全体利用可能ネットオプション値が算出される。
グロス証拠金調整清算レベル口座に関するSPAN計算:グロス清算レベルポジションの仕様
序章の、証拠金調整されるポートフォリオ、で説明したように、清算レベル口座がグロス証拠金調整されるように言われたときに、ポートフォリオは証拠金調整されるが、これは、以下のことを意味する。
第1に、ポジションはグロスベーシスで維持される。ポートフォリオ内の特定のポジションについて、合計ロングポジションと合計ショートポジションが定義される。
第2に、合計ロングと合計ショートのポジション量の内の、一部は商品間スプレッド可能であると特定され、また、一部は商品内スプレッド可能であると言われる。商品間と商品内の何れについてもスプレッド可能でないポジションはネイキッドである。
グロス証拠金調整清算レベルポートフォリオ内の各ポジションについて、6つのポジション量の値、即ち:
・合計ロング
・合計ショート
・商品内スプレッド可能ロング
・商品内スプレッド可能ショート
・商品間スプレッド可能ロング
・商品間スプレッド可能ショート
・ネイキッドロング
・ネイキッドショート
が特定されることになる。
なお、グロス証拠金調整企業レベル口座の場合と同じ慣例に従い、ロング及びショートのポジション量は共に正の数で表す。
CMEでは、清算メンバー企業が、処理サイクルに対する彼らのポジションを報告するとき、彼らは、各ポジションごとに、合計ロング及び合計ショートの量と、商品内スプレッド可能ロングとショートの量と、商品間スプレッド可能ロングとショートの量とを特定する。
次いで、商品内スプレッド可能ロングの量と商品間スプレッド可能ロングの量を、合計ロング量から差し引くことによりネイキッドロング量を求め、ネイキッドショートの量についても同じようにして求める。
定義により、合計ロング量は、常に、商品内スプレッド可能ロングと、商品間スプレッド可能ロングと、ネイキッドロングの合計でなくてはならない。合計ショートは、常に、商品内スプレッド可能ショートと、商品間スプレッド可能ショートと、ネイキッドショートの合計でなくてはならない。
グロス証拠金調整清算レベルポートフォリオに関する全体SPAN処理:ポートフォリオ内の各ポジションごとに:
・商品内スプレッド可能ショート量を、商品内スプレッド可能ロング量から差し引くことにより、商品内スプレッド可能ネットポジション量を求める。
・商品間スプレッド可能ショート量を、商品間スプレッド可能ロング量から差し引くことにより、商品間スプレッド可能ネットポジション量を求める。
・ネットポートフォリオについて上で説明したSPANアルゴリズムを通して、商品間スプレッド可能ネットポジションのポートフォリオを処理する。これにより、ポートフォリオ内の各商品グループについて、当該商品グループに対する各直接及び間接計算所要額レベルについて、商品間スプレッド可能ポジションに関するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値が算出される。
・ネットポートフォリオについて上で説明したSPANアルゴリズムを通して、商品内スプレッド可能ネットポジションのポートフォリオを処理するが、但し、商品内スプレッドグループを除きスプレッドグループの全ての処理を省略する。この結果は、ポートフォリオ内の各商品グループについて、当該商品グループの各直接及び間接計算所要額レベルについて、商品内スプレッド可能ポジションに関するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値である。
・ネイキッドポジションに関するSPANアルゴリズムを通して、各ネイキッドロングとネイキッドショートのポジションを処理し、商品グループレベルに対して得られたネイキッドリスク所要額と利用可能ネットオプション値を、上でオムニバス口座について説明したのと正確に同じややり方で、集計する。この結果は、ポートフォリオ内の各商品グループについて、当該商品グループに対する各直接及び間接計算所要額レベルについて、ネイキッドポジションに関するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値である。
・ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・商品グループに関する各直接及び間接計算所要額レベルごとに:
・商品間スプレッド可能ポジションに関するSPANリスク所要額と、商品内スプレッド可能ポジションに関するSPANリスク所要額と、ネイキッドポジションに関するSPANリスク所要額と、の合計を取る。結果は、この所要額レベルに対する商品グループに関する合計SPANリスク所要額である。
・商品間スプレッド可能ポジションに関する利用可能ネットオプション値と、商品内スプレッド可能ポジションに関する利用可能ネットオプション値と、ネイキッドポジションに関する利用可能ネットオプション値と、の合計を取る。結果は、この所要額レベルに対する商品グループに関する合計利用可能ネットオプション値である。
商品グループからの値の集計:各商品グループの集計に使用される値の決定
・ポートフォリオ内に表されている全ての商品グループの中で、所要額レベルが計算されている最高パフォーマンス・ボンドクラスを求める。
・ポートフォリオ内の各商品グループごとに:
・所要額が計算されている、その様な各パフォーマンス・ボンドクラスについて、コアクラスから開始して、優先順位の昇順で、ポートフォリオ内に表されている最高クラスまで:
・このクラスについて所要額が計算された場合には:
・以下の4つの値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
に当てはまる計算された値を、集計に使用する値として使用する。
・但し、所要額が、この商品グループに対するこのクラスについて計算されていなかった場合には:
・直前のクラスの集計用の、上記4つの値を、このクラスの集計用の値として使用する。
報告グループ、取引所複合体、及び全体ポートフォリオレベルに対する、商品グループからの通貨レベル所要額の集計。
・ポートフォリオ内に表されている各取引所複合体ごとに:
・この取引所複合体に関する各商品グループ報告グループごとに:
・この取引所複合体内のこの報告グループに関する商品グループの中に表されているパフォーマンス・ボンド通貨のセットを求める。
・グループ内に表されているこの様な各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・ポートフォリオ内の、要求額が計算されている各パフォーマンス・ボンドクラスごとに:
・このパフォーマンス・ボンド通貨での、グループ内のあらゆる商品グループについてのこのクラスの、集計用の以下の値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の合計を取る。
・結果は、特定の取引所複合体での、特定の報告グループについて、特定のパフォーマンス・ボンド通貨について、特定のクラスについての特定の値である。
・ポートフォリオ内に表されている各取引所複合体ごとに:
・この取引所複合体内の商品グループの間に表されているパフォーマンス・ボンド通貨のセットを求める。
・取引所複合体内に表されているこの様な各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・ポートフォリオ内の、パフォーマンス・ボンドが計算されている各パフォーマンス・ボンドクラスごとに:
・このパフォーマンス・ボンド通貨での、取引所複合体内のあらゆる商品グループに関する、このクラスの、集計用の以下の値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の合計を取る。
・結果は、特定の取引所複合体について、特定のパフォーマンス・ボンド通貨について、特定のクラスについての特定の値である。
・合計ポートフォリオについて:
・合計ポートフォリオ内の商品グループの間に表されているパフォーマンス・ボンド通貨のセットを求める。
・表されているその様な各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・ポートフォリオ内の、所要額が計算されている各パフォーマンス・ボンドクラスごとに:
・ポートフォリオ内のあらゆる商品グループについてのこのクラスの、集計用の以下の値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の合計を取る。
・結果は、合計ポートフォリオについて、特定のパフォーマンス・ボンド通貨について、特定のクラスについての特定の値である。
ポートフォリオ−通貨等価所要額値を求める:ポートフォリオ内の各取引所複合体について:
・取引所複合体内の各報告グループごとに:
・ポートフォリオ内の、所要額が計算されている各パフォーマンス・ボンドクラスごとに:
・当該報告グループ内に表されている各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・以下の4つの値:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の、ポートフォリオ−通貨等価値を、以下に特定するように求める。
・ポートフォリオ通貨がこのパフォーマンス・ボンド通貨に等しい場合には、ポートフォリオ通貨値が特定値となる。
・但し、ポートフォリオ通貨がこのパフォーマンス・ボンド通貨と異なる場合には、パフォーマンス・ボンド通貨等価値を求める:
・パフォーマンス・ボンド通貨の値に、適切な換算レートを掛ける。ついで、このポートフォリオ通貨に関する標準的な精度まで端数処理を行う。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、維持SPAN所要額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの報告グループに対する保守SPAN所要額に関する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、当初SPAN所要額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの報告グループに対する初期SPAN所要額に関する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、維持利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの報告グループに対する保守利用可能ネットオプション値に関するポートフォリオ−通貨等価値の合計が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、当初利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの報告グループに対する初期利用可能ネットオプション値に関するポートフォリオ−通貨等価値の合計が算出される。
・ポートフォリオ内の各取引所複合体ごとに:
・ポートフォリオ内のこの取引所複合体について、所要額が計算されている各パフォーマンス・ボンドクラスごとに:
・当該取引所複合体内に表されている各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・以下の4つの値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の、ポートフォリオ−通貨等価値を、上で行ったのと全く同じやり方で求める。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、保守SPAN所要額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの取引所複合体の維持SPAN所要額に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、当初SPAN所要額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの取引所複合体の当初SPAN所要額に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、維持利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの取引所複合体に対する保守利用可能ネットオプション値の合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なる履行パフォーマンス・ボンドに対するこのクラスについて、当初利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスとこの取引所複合体に対する当初利用可能ネットオプション値の合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・合計ポートフォリオについて:
・ポートフォリオ内の、所要額が計算されている各パフォーマンス・ボンドクラス毎に:
・合計ポートフォリオ内に表されている各パフォーマンス・ボンド通貨ごとに:
・以下の4つの値、即ち:
・SPAN所要額−維持−特定クラス
・SPAN所要額−当初―特定クラス
・利用可能ネットオプション値−維持−特定クラス
・利用可能ネットオプション値−当初−特定クラス
の、ポートフォリオ−通貨等価値を、上でおこなったのと全く同じやり方で求める。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、維持SPAN所要額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスと合計ポートフォリオの維持SPAN所要額に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、当初SPAN要求額についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスと合計ポートフォリオの当初SPAN所要額に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、維持利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスと合計ポートフォリオの維持利用可能ネットオプション値に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
・異なるパフォーマンス・ボンド通貨に対するこのクラスについて、当初利用可能ネットオプション値についてのポートフォリオ−通貨等価値の合計を取ると、このクラスと合計ポートフォリオの当初利用可能ネットオプション値に対する合計ポートフォリオ−通貨等価値が算出される。
担保対所要額の比較と、超過又は不足が存在するか否かの判定:SPANアルゴリズムは、ポートフォリオ内の各商品グループについて、異なる所要額レベルに対するSPAN所要額と利用可能ネットオプション値を求め、表されているパフォーマンス・ボンド通貨により、そしてポートフォリオ通貨での等価値として、報告グループ、取引所複合体、及び合計ポートフォリオレベルに対して、それらの値を集計する。
所要額に見合うように預け入れられた担保の評価、担保対所要額の比較、及び超過又は不足額の判定は、厳密に言うと、SPANの範囲外である。清算レベルでは、特に、所要額が2つ以上のパフォーマンス・ボンドクラスについて計算される場合、及び多種多様なタイプの担保が受け入れられる場合には、この処理は複雑になる恐れがある。
パフォーマンス・ボンド所要額のクラスが1つしか計算されない企業レベルの一般的な顧客口座については、処理は、通常、かなり単純であり、それをここで説明する。
・非現金担保資産の証拠金調整(「パフォーマンス・ボンド」値)に使用されるポートフォリオ通貨での全体値を求める。この値は、一般に、預け入れ証券と呼ばれている。
・先物形式で価値評価される商品内のオープンポジションの利得(又は損失)に起因する、口座内の現金のポートフォリオ通貨でのネット値を求める。
・口座内の他の全ての現金のポートフォリオ通貨でのネット値を求める。この値は、通常は、元帳残高と呼ばれている。
・上記3つの値の合計に、コアパフォーマンス・ボンドクラスに対する維持所要額に関する利用可能ネットオプション値を足した合計を取る。これにより、コア維持所要額に対する証拠金に利用可能な基金が算出される。
・上記3つの値の合計に、コアクラスに対する当初所要額に関する利用可能ネットオプション値を足した合計を取る。これにより、コア当初所要額に対する証拠金に利用可能な基金が算出される。
・ポートフォリオが「新規」と見なされるか又は「既存」と見なされるかを判定する:
・ポートフォリオが、前日の営業日の営業終了時に、何であれポジションを保有していない場合には、ポートフォリオは新規と見なされる。
・そうではない場合には、ポートフォリオは、既存と見なされる。
・ポートフォリオが「既存」と見なされ、且つ、コアクラスに対する維持所要額の証拠金に利用可能な基金がコア維持SPAN所要額より大きいか等しい場合には:
・維持所要額が適用可能と考えられる。適用可能SPANリスク所要額は、コアクラスに対する維持に関するSPAN所要額であり、証拠金に利用可能な適用可能基金は、コアクラスに対する維持に関する証拠金に利用可能な基金である。
・但し、ポートフォリオが「新規」と見なされた場合、又は、既存と見なされたが、コアクラスに対する維持所要額に関する証拠金に利用可能な基金が、コアクラスに対する維持のためのSPAN所要額よりも小さい場合には:
・当初所要額が適用可能と考えられる。適用可能SPANリスク所要額は、コアクラスに対する当初のSPAN所要額であり、証拠金に利用可能な適用可能基金は、コアクラスに対する当初の証拠金に利用可能な基金に等しい。
・適用可能SPAN所要額を、証拠金に利用可能な適用可能基金から差し引くと、超過(この値が正の場合)又は不足(この値が負の場合)額が算出される。
なお、投機家以外の顧客口座タイプについては殆どの場合、また、投機家については或る場合は、当初所要額は維持所要額に等しく、従って、証拠金に利用可能な当初基金は、証拠金に利用可能な維持基金に等しくなるということに注目頂きたい。上で説明した論理はこの場合には実質的に単純化する。
当初所要額が維持所要額と異なる場合でも、当初の証拠金に利用可能な基金は、通常、維持用の証拠金に利用可能な基金に等しい。それら2つの値は、商品グループが、利用可能なネットオプション値がリスクでキャップされているポートフォリオ内に表されている場合にのみ異なる。
開示した実施の形態は、リスク管理分析において、商品に非対称な相殺を割り当てることに関する。従来のシステムでは、商品に対称的な相殺を割り当てている、すなわち、2つの商品の相関が80%ならば、互いに、それぞれ80%の相殺が割り当てられる。しかしながら、非対称相殺ができることが望ましい。開示した実施の形態では、2つの商品の相関が80%の場合は、一方には75%の相殺が割り当てられ、もう一方には80%の相殺が割り当てられる。商品間の相殺が異なる理由が多くある。非流動的市場で取引を行ったり、あまり望ましくない立場で取引を行ったりというように、変動する相殺により、一方の商品のリスクの非対称を反映させることもできる。変動する相殺により、イントラスプレッディングからの特別な割増額による、割引額のアンバランスを補正することもできる。
開示した実施の形態は、カレンダー・スプレッド、バタフライ・スプレッドおよびユーザ定義のスプレッド等の様々なスプレッドのオプションの証拠金を設定する際に、特に価値がある。
図1は、或る実施形態による代表的なリスク管理システム100を示している。ここでは、「と連結された」という句は、直接的に接続されている、又は1つ又はそれ以上の媒介構成要素を介して間接的に接続されている意味と定義されている。この様な、介在的構成要素は、ハードウェアをベースとする構成要素とソフトウェアをベースとする構成要素の両方を含んでいる。更に、係属出願中の特許請求の範囲での使用法を明確にするため、及びこれにより公に通告するため、「<A>、<B>、・・・及び<N>の内の少なくとも1つ」又は「<A>、<B>、・・・及び<N>の内の少なくとも1つ、又はその組み合わせ」という句は、出願人により最も広義の意味で定義されており、出願人により別に明示的に断言されていない限り、これまで又はこれ以後、A、B、・・・及びNから構成されているグループから選択された1つ又はそれ以上の要素、即ち、或る要素単独、又は掲載されていない追加的な要素を組み合わせて含んでいる他の要素の内の1つ又はそれ以上との組み合わせを含めて、A、B、・・・又はNの内の1つ又はそれ以上の要素のあらゆる組み合わせを意味する、他の黙示的定義と入れ替えることができる。
代表的なリスク管理システム100は、リスク分析エンジン102を含んでいる。リスク管理システム102は、分析されるポートフォリオ104と、分析を制御するパラメータのセット108を受け取る。エンジン102は、次いで、ポートフォリオ104内のリスク110の査定を生成する。或る実施形態では、エンジン102は、リアルタイムか履歴かを問わず、リスク分析に組み込まれる実際の市場データ106も受け取る。或る実施形態では、リスク分析エンジン102は、上で説明したように、イリノイ州シカゴに在するシカゴ・マーカンタイル取引所により公開されているSPAN(登録商標)ソフトウェアである。ポートフォリオ104は、上で説明したように、所与のエンティティが、関心対象の所与のエンティティについて、所与の取引期間中に入力したが但し閉じてはいない、契約、オプションなどのポジション、即ちオープンポジション、を含んでいる。ポートフォリオが適用されるエンティティは、トレーダー、仲買店(トレーダーの全てが提携している)、又は清算参加者などである。
上で説明したように、パラメータセット108は、どの様な特定の市場でも所望されるリスク保証範囲を反映するために分析を行っているエンティティにより決められるパラメータを含んでいる。それらパラメータ108としては、限定するわけではないが:
−価格スキャンレンジ:潜在的価格変化の設定範囲、
−ボラティリティスキャンレンジ:潜在的黙示ボラティリティ変化の設定範囲;
−商品内スプレッドチャージ:完全には相関していない、同一商品のカレンダースプレッド又は異なる行使期間満了期日のリスク(ベーシスリスク)を考慮した額;
−ショートオプション最小額:ショートオプションのポジションに対する最小証拠金要求額;
−スポットチャージ:行使期間満了間際の引き渡し可能商品のポジションのリスク増加をカバーするチャージ;
−商品間スプレッドクレジット:相関付けられた商品間のポジションを相殺するための証拠金クレジット、
が挙げられる。
作動時、上で説明したように、ポートフォリオ104とパラメータセット108、及び恐らくは市場データ106が、エンジン102に入力される。エンジン102は、データを処理し、査定110を生成する。エンジン102は、バッチ式に動作し、同一又は異なるパラメータセット108/市場データ106を使用して、複数のポートフォリオを処理してもよいし、又は一度に1つのポートフォリオを処理してもよい。上で説明したように、エンジン102は、実際に要求されるパフォーマンス・ボンド又はそれに対するチャージを査定するために、取引所の清算機関により操作される。エンジン102は、その様なパフォーマンス・ボンドの対称になるエンティティが、清算機関の所要額を予想するために操作してもよい。更に、エンジン102は、上で説明したように、清算機関が適切に保護され、並びにパフォーマンス・ボンドの対象となるものが不必要な所要額で不当に苦しまないようにするのを保証するために、ポートフォリオ104内のリスクについて正確な判断を提供する。
或る実施形態では、エンジン102は、ペンティアム(登録商標)クラスのプロセッサ又は適した等価物と、ハードディスクドライブ、例えば、10ギガバイトの容量を有するハードディスクドライブと、メモリ、例えば、1ギガバイトの容量を有するメモリと、フラットパネルLCD表示装置の様な適した出力装置と、を有するコンピュータ上で稼動する。また、コンピュータは、ワシントン州レドモンドにあるマイクロソフト社により公開されているマイクロソフト・ウィンドウズ(登録商標)XPの様な適切なオペレーティングシステムを実行する。コンピュータシステム102は、更に、システムをネットワークに繋ぐためのネットワークインターフェース並びに付帯するソフトウェアを含んでおり、インターフェースは、イーサネット(登録商標)又は光ベースネットワークの様な適したタイプのネットワークである。ネットワークは、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、又は他のTCP/IP又は非TCP/IPベースのネットワークの様な、既知の公共又は私的ネットワークである。また、通信が妨害されたり改変されたりしないように、且つ、一般的にはユーザーを認証し安全な作動を保証するために、HTTP又は暗号化のようなセキュアプロトコルも含まれている。当然の事ながら、メインフレームコンピュータ、ミニコンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、又は、携帯情報端末の様な、適した処理、記憶、及び通信能力を有するあらゆる適したコンピュータシステムが、この開示している実施形態と共に使用することができる。更に当然の事ながら、開示した実施形態は、単一のコンピュータシステム上で実行することもできるし、構成要素の残りを実行している1つ又はそれ以上のコンピュータシステムとは別体であるがネットワークなどを介して適切に相互接続されているコンピュータシステム上で、1つ又はそれ以上の構成要素を実行してもよい。
開示した実施形態は、コンピュータのメモリに記憶され、コンピュータのプロセッサによって実行され、開示した機能を実行する、コンピュータソフトウェアプログラムに関するが、当然のことながら、開示した構成要素の1つ又はそれ以上をハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組合せで実施してもよく、実装に依存する。
図2に示すように、一つの実施形態では、エンジン102は、相関プロセッサ206と、相関プロセッサ206と接続している相殺ジェネレータ208と、相殺ジェネレータ208と接続している補償装置210と、リスク評価プロセッサ212とを含む。相関プロセッサ206は、ポートフォリオ104を入力として受信し、それに含まれる商品/ポジション204相関を求める。これらの相関を、相関商品の相殺を算出する相殺ジェネレータに供給する。この相殺を補償装置210に供給し、これが、相関する商品の任意の商品204について、相殺を調整する必要があるかどうか、すなわち、残りの相関商品に適用した相殺に対して、非対称にするかどうか、判定する。調整するかしないか判定した後、次に、相殺をリスク評価プロセッサ212に送って、ポートフォリオ104の全体的なリスク評価の補償に用いる。
図3は、開示した非対称相殺を用いて、ポートフォリオに対応付けられたリスクのマージンを行う方法を示すフローチャートを示す。上述のように、一般にポートフォリオ104は、多数のポジション204を含む。ポジション204はそれぞれ、取引所で取引された少なくとも1つの商品に対応付けられている。方法は、少なくとも2つの商品のうちの第1の商品および第2の商品の間の相関を求めるステップと、相関に基づいて第1のリスク相殺を算出するステップと、第1のリスク相殺を第1の商品に割り当てるステップと、相関および補正係数に基づいて、第1のリスク相殺とは異なる第2のリスク相殺を算出するステップと、第2のリスク相殺に第2の商品を割り当てるステップとを含む。一つの実施形態では、補正係数は、第2の商品と比較して、第1の商品のリスクの非対称を含み、別の実施形態では、補正係数は補正を含んでいる。
一実施形態では、第1の商品および第2の商品は、カレンダー・スプレッドを構成する。あるいは、第1の商品および第2の商品が、バタフライ・スプレッドを構成する場合もある。
上記で詳細に説明したSPAN(登録商標)ソフトウェアを用いる開示した実施の形態の一例の実施例は、カレンダー・スプレッドのマージンオプションに関する。一例として、ポートフォリオは、6月限綿先物および9月限綿先物の、2つの商品の間のスプレッドの6月限オプションを含んでいるとする。SPAN(登録商標)では、このようなスプレッドは、組み合わせ商品として定義され、このスプレッドのオプションは、組み合わせ商品のオプションとして定義されている。拡張アンパックファイルでは、レコードタイプX、YおよびZを用いて、これらの商品が定義されている。このオプションでサンプルポートフォリオを作成するとすれば、マネーコールで買い2、6月限先物の売り1、および9月限先物の買い1となると仮定する。
SPANアルゴリズムの第1のパートは、スキャンである。スキャン処理の間、同じ商品グループからの商品のポジションについては一緒にスキャンを行い、同じ商品グループのショートおよびロング・ポジションの間で100%のリスク相殺になる。これは自動的に、同じ商品グループ内の商品間の相関が非常に高いことを意味する。
一般に、スプレッドの価格は、個々のスプレッドのレッグの価格とあまり高い相関はないので、誤ったリスク相殺を避けるために、スプレッドおよびスプレッドのオプションを別々の商品グループに配置することが推奨される。これにより、基礎となる先物をある商品グループに入れて、組み合わせのオプションとともに、組み合わせを別のものに入れるようにする。この場合は、スキャンの間、基礎となるレッグのスプレッドとポジションとの間で、リスク相殺はない。
従って、このサンプルのポートフォリオには、2つの商品グループがある。1つは先物で、もう一つは組み合わせおよびそのオプションである。スキャンにより、先物商品グループのリスクはゼロで、商品グループの組み合わせにリスクがあると計算する(実際の額は、スプレッドのオプションに対して、どのような価格および変動率スキャンレンジを設定するかに依存する)。
スキャンを行った後、SPANは、通常、商品内スプレッド割増額の評価を行う。これらの割増額は、個々の商品グループそれぞれに検出されるカレンダー・スプレッドのものである。異なるカレンダー限月の間の不完全な相関を説明するように設計されている(スキャンの間、それらのカレンダー・スプレッドは100%のクレジットが与えられるので、それのある部分を配分し直す必要がある)。
しかしながら、これは、スプレッドのオプションの動きとして所望のものではない。サンプルを見てみると、これはほとんどリスクのないポートフォリオで、6月限および9月限先物の間で、スプレッドの割増額の評価を行う必要はない。実際問題として、先物ポジションによる相殺なので、スプレッドのオプションに計算したスキャンリスクに対してクレジットをいくらか戻す必要がある。
都合がいいことに、SPANには、まさにこれを行う機構が備えられている ― 即ち、これにより、商品間スプレッドの前に評価を行う商品間スプレッドを指定することができるので、商品間スプレッドを作成して、ユーザに余分なクレジットをつけてしまうことを防止する。それらのスプレッドを、スーパー商品間スプレッドと呼ぶ。拡張アンパックファイルフォーマットでは、対応するフラグをタイプ6レコードに設定することにより、それらのスプレッドを指定する。
スプレッド(またはスプレッドのオプション)と基礎となる先物との間のリスク相殺が正しいものになっているので、スーパー商品間スプレッドを適切なクレジットレートで指定する。当然、これらのスプレッドを、正しく設定する必要がある。このサンプルポートフォリオの場合では、組み合わせの各レッグの先物1と、相殺組み合わせ(またはオプション)のポジション1とを使用するスプレッドを作成する必要がある。このことは、3つのレッグのスプレッドを意味する、即ち、1つのレッグはそれぞれ先物の基礎であり、1つが組み合わせ用である。
このようなスプレッドを使用するためには、各商品限月が別々の商品間ティアを有するように、2つの商品グループに対して商品間ティア構造を設定する必要がある。これにより、商品間スプレッディングに対して各限月を別々に対象とすることが可能になる。拡張アンパックファイルでは、メソッドコード20のタイプSレコードを用いて、これらのティアを設定する。それらのティアをスーパー商品間スプレッディングに設定することにより、後で、通常の商品間スプレッディング(全体として、デルタを商品グループに用いる)を行わないようにする。
従って、この例では:
・先物商品グループでは、ティアを6月限先物に設定する(ティア#1)
・先物商品グループでは、ティアを9月限先物に設定する(ティア#2)
・組み合わせ商品グループでは、ティアを6月限組み合わせに設定する(ティア#1)。
・次のレッグで、以下のスーパー商品間スプレッドを定義する:
・1つのロングティア#1の組み合わせ
・1つのショートティア#1の先物
・1つのロングティア#2の先物
このスプレッドを評価する際に、先物および組み合わせ商品グループの両方でクレジットを受ける。しかしながら、商品間スプレッドのクレジットの評価を行う現在の方法では、先物およびオプション商品グループの両方で、パーセンテージクレジットが等しくなる。組み合わせ側だけにクレジットを与える必要があるので、これは、所望の動きではない。
組み合わせ側だけにクレジットを与えるために、スプレッドの異なるレッグに異なるパーセンテージクレジットを与える、新規の汎用機構を提案する。この異なるクレジットレートを、タイプ6レコードの新規のフィールドに指定する(添付の新規のレイアウトを参照のこと)。
この例では、0%のクレジットレートをレッグ番号2および3に指定し、所望のクレジットレート(例えば65%)をレッグ番号1に指定する。
別の重要な点として、異なるスプレッドのレッグに与えられる異なるパーセントのパーセンテージクレジットのためのアルゴリズムは、全く新しいもので、このようなものは、現在のところ、誰も実施していない。この新規の機能を実行するために、ある動作はこちら側で行い、ある動作は信用調査所から行う必要がある。
SPAN(登録商標)リスクパラメータファイル拡張フォーマット
タイプ“6”レコード
商品間スプレッド
Figure 2008512777
Figure 2008512777
備考:
1.このレコードを用いて、各レコードタイプの許容しうる商品間スプレッドのリストを作成して、このようなスプレッドそれぞれのパラメータを構成する。
2.任意の商品スプレッドグループについて、スプレッド優先順位により“6”のレコードを記憶する。
3.“6”のレコードはそれぞれ、4つのスプレッドのレッグ4つまでのデータを含むことが可能である。スプレッドのレッグ数に上限はない。特定のスプレッドに必要なだけ多くの“6”のレコードをとることが可能である。特定のスプレッドに5つ以上のレッグがある場合は、最初のレコードの後すぐに、“6”のレコードをさらに続ける。
4.拡張ファイルでは、スプレッド優先順位フィールドは4バイト幅で、スプレッド優先順位“00”になった回数を常に把握する必要はない。
5.現在サポートしている商品間スプレッドメソッドコードの値は、“01”、“02”、“03”、“04”、または“20”である。このフィールドが空白であるか、存在しないか、これらの4つの値以外を有している場合は、“01”と見なされる。
・メソッド“01”は、レッグそれぞれの商品グループのすべての限月からのデルタを用いて、デルタ基準に基づいてスプレッドを作成する、オリジナル方法である。
・メソッド“02”は、シカゴ商品取引所災害保険商品間スプレッディングである。これは、対応する限月の間で必ず行われるティア商品間スプレッディングである。
・メソッド“03”は、シカゴ/中部アメリカ商品取引所“クラッシュ“商品間スプレッドである。これは、大豆スプレッド対対応する限月の大豆製品および大豆油のティア商品間スプレッディングである。
・メソッド“04”は、“利益許容係数”で限定した利益とともにスプレッドのレッグのスキャンを行った、“スキャンベーススプレッディング”方法である。
・メソッド“20”は、一般的なデルタベースティア商品間スプレッディングである。
6.方法4以外の任意の方法については、各商品間スプレッドには少なくとも2つのレッグが必要である。方法4は、対象商品グループがレッグとして機能するので、スプレッドレッグは1つしか必要ない。
7.レッグそれぞれに対して、スプレッド側は、そのレッグの市場の相対側を示す。予想される価値は、“A”または“B”である。スプレッドを作成するために、“A”レッグはすべて市場の一方の側にあり、“B”レッグはすべてもう一方の側になければならない。例えば、“A”レッグに正の残りのデルタがあれば、次に、“A”レッグすべてには正の残りのデルタがあり、“B”レッグすべてには負の残りのデルタがなければならない。“A”レッグに負の残りのデルタがある場合は、次に、“A”レッグすべてには負の残りのデルタがあり、“B”レッグすべてには正残りのデルタがなければならない。スプレッドには、市場のそれぞれの側に少なくとも1つのレッグがなくてもよい。同じ側のスプレッドも可能である。
8.拡張フォーマットファイルでは、割引額レートは、パーセンテージとして、4つの小数位のパーセントの有効桁数に定義されている。このフィールドを再定義して、整数パーセンテージでない割引額レートを得る必要はない。同様に、方法“4”のスプレッドに別の“利益許容係数“はない。このフィールドを、このようなスプレッドの利益許容係数に用いる。
9.これで、スプレッド比率毎のデルタを、正確に4つの10進数の桁数にすることが可能である。
10.スプレッドのレッグのいずれかがこのSPANファイルの取引所グループ(清算機関またはクロスマージン協定)に含まれていない取引所のものである場合は、次に、このスプレッドは取引所間スプレッドとなる。取引所間スプレッディングは、PC−SPANバージョン3.12で初めてサポートしたSPANの新規の特徴である。取引所間スプレッドに対しては、メソッド“1”のスプレッドだけがサポートされている。取引所間スプレッドの割引額レートは、SPANファイルを提供する取引所グループに含まれているスプレッドレッグだけに関連する。
11.スプレッドメソッドコードが、一般デルタベースティア商品間スプレッディングについて20の場合には、レッグそれぞれの特定の商品間スプレッドティア番号は、102〜109バイト目に規定されている。ティア番号ゼロは、スプレッドが、この商品グループのすべての限月からのデルタを用いて作成されていることを意味し、特定の正のティア番号は、そのティアからのデルタだけを用いてスプレッドが作成されていることを意味している。
12.方法“04”のスキャンベーススプレッドには、レッグそれぞれに対して、特定のレッグスプレッドを作成するためのポートフォリオ内に存在していなければならないかどうかを指定するフィールドセットがある。“N”の値は、レッグがなくてもよいことを意味し、他の任意の値は、レッグが存在する必要があることを意味している。スキャンベーススプレッドのこの動きは、デルタベーススプレッドのものと異なっている。スプレッドを作成するには、すべてのレッグが存在している必要がある。
対象レッグは、(a)対象レッグ要求フラグが‘Y’に設定されている場合、または(b)対象レッグが1つの普通のレッグとして指定されている場合は、作成するスプレッドに存在していなければならない。
対象レッグの新規のスプレッド当たりのデルタ比率フィールドが、レイアウトに加えられていることに留意されたい。対象レッグが普通のレッグとして指定されている場合は、そのスプレッド当たりのデルタ比率を、そのレッグの通常のスプレッド当たりのデルタ比率フィールドから、または対象レッグの特別なスプレッド当たりのデルタ比率フィールドから読み込んでもよい。
従って、以上の詳細な説明は、限定ではなく説明と見なされるべきこと、及び、本発明の精神と範囲を定義するものは特許請求の範囲及びその等価物であると理解されること、を意図している。
一実施の形態による一例のリスク管理システムを示す。 図1のシステムで用いられるリスク管理エンジンのブロック図を示す。 一実施の形態による、図1のリスク管理システムの一例の動作を示すフローチャートである。 一例のパフォーマンス・ボンド所要額を示す。 一例のパフォーマンス・ボンド所要額を示す。

Claims (11)

  1. 取引所で取引された複数の商品のうちの少なくとも2つを含むポートフォリオのリスクの分析を行う方法であって:
    前記少なくとも2つの商品のうちの第1の商品と第2の商品との間の相関を求めるステップと、
    前記相関に基づいて、第1のリスク相殺を算出するステップと、
    前記第1のリスク相殺を前記第1の商品に割り当てるステップと、
    前記相関および補正係数に基づいて、前記第1のリスク相殺と異なっている第2のリスク相殺を算出するステップと、
    前記第2のリスク相殺を前記第2の商品に割り当てるステップと
    を含む方法。
  2. 前記第2の商品と比較して、前記補正係数が、前記第1の商品のリスクの非対称性を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記補正係数が補正を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1の商品および第2の商品がカレンダー・スプレッドを構成する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1の商品および第2の商品がバタフライ・スプレッドを構成する、請求項1に記載の方法。
  6. 取引所で取引された複数の商品のうちの少なくとも2つを含む、ポートフォリオのリスクの分析を行うシステムであって:
    前記少なくとも2つの商品のうちの第1の商品および第2の商品の間の相関を求めるように作動する相関プロセッサと、
    前記相関プロセッサに接続し、前記相関に基づいて、第1のリスク相殺を算出し、前記第1のリスク相殺を前記第1の商品に割り当てるように作動し、さらに、前記相関および補正係数に基づいて、前記第1のリスク相殺と異なっている第2のリスク相殺を算出し、前記第2のリスク相殺を前記第2の商品に割り当てるように作動する、相殺ジェネレータと、
    前記相殺ジェネレータに接続し、少なくとも前記第1のリスク相殺および第2のリスク相殺に基づいて、前記ポートフォリオのリスク評価を算出するように作動する、リスクプロセッサと
    を備えるシステム。
  7. 前記補正係数が、前記第2の商品と比較すると、前記第1の商品のリスクの非対称を含む、請求項6に記載のシステム。
  8. 前記補正係数が補正を含む、請求項6に記載のシステム。
  9. 前記第1の商品および第2の商品がカレンダー・スプレッドを構成する、請求項6に記載のシステム。
  10. 前記第1の商品および第2の商品がバタフライ・スプレッドを構成する、請求項6に記載のシステム。
  11. 取引所で取引された複数の商品のうちの少なくとも2つを含む、ポートフォリオのリスクの分析を行うシステムであって:
    前記少なくとも2つの商品のうちの第1の商品および第2の商品の間の相関を求める手段と、
    前記相関に基づいて、第1のリスク相殺を算出する手段と、
    前記第1のリスク相殺を前記第1の商品に割り当てる手段と、
    前記相関および補正係数に基づいて、前記第1のリスク相殺と異なっている第2のリスク相殺を算出する手段と、
    前記第2のリスク相殺を前記第2の商品に割り当てる手段とを備えるシステム。
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