JP2008501645A - 血管新生を治療し、癌の進行および転移を予防するための方法、ならびにそのための前立腺分泌タンパク質(psp94)ファミリーメンバーを含む組成物 - Google Patents

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Abstract

新血管の形成である血管新生は、正常な生理的および発生的なプロセスとともに、腫瘍増殖および転移から炎症および眼の疾患に及ぶいくつかの病理の不可欠な部分である。前立腺分泌タンパク質(PSP)ファミリーメンバーの使用による、正常な血管新生を制御するため、および血管新生に関連するかまたはそれが媒介する疾患を治療するため、ならびに癌の進行および転移を予防するための方法および組成物が提供される。

Description

本発明は、癌の進行および転移を予防するために、ヒトまたは動物における不要な血管新生を治療または予防するための方法および組成物に関する。
本発明は、血管新生を効果的に阻害し、癌(腫瘍)の進行および/または転移を予防するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は、PSP94ファミリーメンバーを含む組成物、ならびに血管新生の阻害および血管新生関連疾患の治療における使用、ならびに腫瘍の進行および/または転移を予防するためのそれらの使用に関する。
血管新生とは、組織または器官への血管の形成のことをいう。正常な生理学的条件下では、ヒトまたは動物は、非常に特定の限定された状況においてのみ血管新生を受ける。例えば、血管新生は、通常、創傷治癒、胎児および胚の発達、ならびに黄体、子宮内膜および胎盤の形成において観察される。血管新生の制御は、血管新生刺激物質および阻害物質の非常に調節された系である。血管新生の制御は、ある疾患の状態において変更されていることが見出されており、多くの場合において、疾患に関連する病理学的損傷は、制御されていない血管新生に関係する。
制御された血管新生と制御されていない血管新生とはともに、同様の様式で進行すると考えられている。基底膜で囲まれている内皮細胞および周皮細胞は、毛細血管を形成する。血管新生は、内皮細胞および白血球により放出された酵素による基底膜の侵食により開始される。血管の内腔に沿って並ぶ内皮細胞は、次いで、基底膜を貫通して突出する。血管新生刺激剤は、侵食された基底膜を通して内皮細胞が遊走することを誘導する。遊走細胞は親の血管から「出芽」し、ここで内皮細胞は有糸分裂して増殖する。内皮の出芽は互いに一緒になって毛細血管ループを形成し、新しい血管を創出する。疾患状態においては、血管新生の予防により、新しい微小血管系の侵入により引き起こされる損傷を避けることができる。
新しく形成された血管の成熟および安定化は、周皮細胞の補充を介して起こり、唯一ではないが主に、血小板由来成長因子(PDGF)、繊維芽細胞成長因子-2(FGF-2)、トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)、血管内皮成長因子(VEGF)およびアンジオポエチン(Darland,D.C.およびP.A.D'Amore(1999)Journal of Clinical Investigation,103:157〜58)を伴う。in vivoでの新しい血管の発生を促進する能力に基づいて、いくつかの血管新生因子が同定されている。
血管新生は、正および負の調節活性を有する分子同士の間の正味のバランスにより制御される。ヒトの腫瘍の増殖および転移の発生は、血管の新規な形成に依存する。新血管形成は、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を標的とする特定の成長因子により厳密に調節される。血管内皮成長因子(VEGF)は、血管新生の中心的な刺激物質である。なぜなら、VEGF受容体(RTK)へのその結合は、in vivoでの新しい血管の発生に必要な2つの鍵となる特徴である内皮細胞の遊走および増殖を促進することが示されているからである。VEGFチロシンキナーゼシグナル伝達経路の阻害は、増殖している腫瘍の新血管形成をブロックし、腫瘍増殖の停止または後退に導く。
よって、VEGFは、内皮細胞(EC)の増殖、運動性および血管透過性に影響する最も強力な血管新生因子の1つである。VEGFは、ECにより発現されるチロシンキナーゼ受容体であるFlt-1(VEGFR-1)およびFlk-1/KDR(VEGFR-2)に高い親和性で結合する(Ferrara N.,Am.J.Physiol.Cell Physiol 2001;280:C1358〜66)。前立腺癌標本(Jackson MWら,J Urol 1997;157:2323〜8)ならびにLNCaP、PC 3およびDU 145前立腺癌細胞系統(Harper MEら,Br J Cancer 1996;74:910〜6;Ferrer FAら,J Urol 1997;157:2329〜33;Levine ACら,Endocrinology 1998;139:4672〜8)によるVEGFの発現は、正常な前立腺の間質細胞よりもはるかに大きい。これらの知見は、VEGFが傍分泌作用に加えて腫瘍細胞活性化(自己分泌調節)に対して役割を演じ、それによりECの機能およびその後の新血管発生を調節することを示唆する。VEGF媒介活性化の際に、VEGFR-2は二量体化およびリガンド依存性リン酸化を受け、続いて、Src、P13KおよびRaf/MEK/ERKを含むいくつかの細胞内経路のリン酸化媒介活性化を誘発する(Matsumoto Tら,Sci STKE 2001;2001:RE21)。VEGFR-2は、VEGFの有糸分裂促進的効果、血管新生効果および透過性促進効果の主要なメディエータであると考えられ、よって抗血管新生療法の主要な標的である。さらに、VEGF受容体のレベルは、前立腺癌における腫瘍の分化のより乏しい程度および予後に関連する(Huss WJら,Cancer Res 2001;61:2736〜43)。全体として、これらの知見により、VEGFシグナル伝達経路の阻害のためのいくつかの治療薬、例えばヒト化抗VEGF-Aモノクローナル抗体であるベバシズマブ(アバスチン、rhuMAb-VEGF;Genentech,South San Francisco,CA)およびエンドスタチンが開発されている。
腫瘍増殖に加えて、永続的な調節されない血管新生が、疾患状態の重複において起こる。調節されない血管新生により創出される普遍的な病理の状態は、血管新生依存性または血管新生関連疾患とともに分類されている。血管新生プロセスの制御に指向された療法は、これらの疾患の抑止または緩和に導き得る。
血管新生により媒介される疾患の1つの例は、眼の新生血管疾患である。この疾患は、眼の構造、例えば網膜または角膜への新血管の侵入を特徴とする。これは、失明の最も一般的な原因であり、約20の眼の疾患に関与する。加齢黄斑変性症においては、関連する視覚の問題は、網膜色素上皮の下の繊維血管性組織の増殖を伴うブルッフ膜における欠陥を通しての脈絡毛細血管の内殖により引き起こされる。血管新生による損傷は、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、新生血管性緑内障および水晶体後線維増殖症とも関連する。角膜の新血管新生と関連するその他の疾患は、限定されないが、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装用、アトピー性角膜炎、上肢角膜炎、翼状片乾性角膜炎(pterygium keratitis sicca)、シェーグレン、酒さ性ざ瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、マイコバクテリア感染症、脂質変性症(lipid degeneration)、化学薬品火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性症、辺縁性角質溶解、関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、外傷、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス-ジョンソン疾患、類天疱瘡、放射状角膜切開および角膜移植拒絶反応を含む。
網膜/脈絡叢新血管新生と関連する疾患は、限定されないが、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、鎌状赤血球性貧血、サルコイド、梅毒、弾力線維症仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム疾患、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ疾患、ベーチェット病、網膜炎または脈絡叢炎を引き起こす感染症、推定の眼のヒストプラズマ病、ベスト病、近視、乳頭小窩(optic pits)、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠性症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザ後合併症を含む。その他の疾患は、限定されないが、虹彩炎に関連する疾患(隅角の血管新生)および増殖性硝子網膜症の全ての形を含む線維血管性または線維組織の異常増殖を原因とする疾患を含む。
血管新生が関与していると考えられる別の疾患は、関節リウマチである。関節の滑膜表層中の血管が、血管新生を経る。新血管の網目の形成に加えて、内皮細胞が因子および活性酸素種を放出し、これがパンヌス増殖と軟骨破壊とを導く。血管新生に関与する因子は、関節リウマチの慢性的な炎症性の状態に能動的に寄与し、かつこれを維持する助けになるのであろう。
血管新生に関連する因子は、骨関節炎においても役割を有しているとみられる。血管新生関連因子による軟骨細胞の活性化は、関節の破壊に寄与する。後期の段階では、血管新生因子は新しい骨の形成を促進するであろう。骨の破壊を予防する治療処置は、疾患の進行を停止させ、関節炎に罹患した人に軽減を与えることができる。
慢性の炎症も、病理学的血管新生を伴うとみられる。潰瘍性大腸炎およびクローン病のようなこのような疾患状態は、炎症性組織への新血管の内殖とともに組織学的変化を示す。南アメリカで発見された細菌感染症であるバルトネラ症は、血管内皮細胞の増殖を特徴とする慢性状態をもたらし得る。血管新生と関連する別の病理学的な役割は、アテローム性動脈硬化症において見いだされる。血管の内腔内で形成されたプラークは、血管新生刺激活性を有することが示されている。
血管新生は、遺伝性疾患、例えばオスラー-ウェバー-レンデュ病、または遺伝性出血性毛細血管拡張において見出される損傷の原因でもある。これは、多数の小さい血管腫、血管またはリンパ管の腫瘍を特徴とする遺伝性疾患である。血管腫は、皮膚および粘膜で見いだされ、しばしば鼻血(鼻出血)または胃腸の出血、および時に肺または肝臓の動静脈瘻を伴う。
血管新生は、固形腫瘍の形成および転移において顕著である。血管新生因子は、いくつかの固形腫瘍、例えば横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫および骨肉腫と関連することが見出されている。腫瘍は、栄養分を提供しかつ細胞性廃棄物を除去する血液の供給なしに拡大することができない。血管新生が重要な腫瘍は、固形腫瘍、および良性腫瘍、例えば聴神経腫瘍、神経線維腫、トラコーマおよび化膿性肉芽腫を含む。血管新生の予防は、これらの腫瘍の増殖および腫瘍の存在による動物への結果としての損傷を停止することができる。
血管新生は、貧血、障害性血液凝固ならびにリンパ節、肝臓および脾臓の肥大を通常は伴う血液由来の腫瘍、例えば白血病、白血球の無制限の増殖が発生するいずれの種々の急性または慢性の骨髄の腫瘍形成性疾患と関連していることに注目すべきである。血管新生は、白血病様の腫瘍を増大させる骨髄における異常において役割を演じると考えられる。
血管新生は、腫瘍転移の2つの段階において重要である。血管新生刺激が重要である第1段階は、腫瘍細胞が血流中に入り、体中に循環することを可能にする腫瘍の血管化である。腫瘍細胞が原発部位を離れ、続発の転移部位に安定した後に、新たな腫瘍が増殖しかつ拡大できる前に、血管新生が起こらなければならない。よって、血管新生の予防は、腫瘍の転移の予防を導き、おそらく原発部位での腫瘍形成性増殖を含み得る。
腫瘍の維持および転移における血管新生の役割についての知識は、乳癌のための予後の指標をもたらしている。原発腫瘍において見出される新血管新生の量は、浸潤乳癌の最も新血管新生が多い領域での微小血管の密度を計数することにより決定された。高いレベルの微小血管密度は、腫瘍再発と関連することが見出された。治療的手段による血管新生の制御は、腫瘍の再発の停止を導き得るかもしれない。
血管新生は、正常な生理的プロセス、例えば生殖および創傷治癒にも関与する。血管新生は、排卵、および受精後の胞胚の着床においても重要な段階である。血管新生の予防は、無月経の誘導、排卵の停止または胞胚による着床の予防のために用いることができる。
創傷治癒において、過剰の修復または線維増殖は、外科的過程の有害な副作用となり得、血管新生により引き起こされるかまたは悪化させられるだろう。癒着は手術における頻度の高い合併症であり、小腸閉塞のような問題を導く。
マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、形態形成、血管新生、創傷治癒ならびにある特定の疾患、例えば関節リウマチ、腫瘍浸潤および転移において重要な役割を演じる(Birkedal-Hansen,1995,Curr.Opin.Cell Biol.7:728〜735)。MMPは、例えば、基底膜の再構成が起こる生理的機能に関与する。MMP-2はTIMP-2に特異的に結合するが、MMP-9はTIMP-1に結合する。
癌細胞においてMMPが過剰発現されることが証明されている。しかし、in situハイブリダイゼーションの結果は、癌細胞だけでなく、癌細胞の近傍ならびに血管細胞、炎症細胞、例えばマクロファージおよび好中球で見出される間質性繊維芽細胞が、いくつかのMMPファミリーメンバーを発現することを示した。よって、癌の進行への貢献において、MMPを発現するその他の細胞の重要な役割がある。
MMPの5つのサブファミリーが認識されている:コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメライシン、マトリライシン、膜型MMP(MT-MMP)。これらの酵素のほとんどは、プロペプチドドメイン、触媒ドメインおよびヘモペキシンドメインを含有し、コラーゲン、プロテオグリカンおよび種々の糖タンパク質の分解に関与する。MMPは、不活性な酵素前駆体(プロ-MMP)として分泌され、それらの活性化は、それらの機能にとって不可欠なようである。プロ-MMPのin vivo活性化は、セリンプロテアーゼ(例えばトリプシン、プラスミンなど)によるプロペプチドの除去を伴う。ほとんどのプロ-MMP合成の促進または抑圧は、成長因子およびサイトカインにより、転写レベルで調節される。
一方、MMP活性の翻訳後の調節は、MMPの組織阻害剤(「TIMP」)により制御される。MMPの組織阻害剤のうちの4つの特性決定がされており、TIMP-1、TIMP-2、TIMP-3およびTIMP-4とよばれる(Gomezら,1997,Eur.J.Cell.Biol.74:111〜122)。TIMP-1はMMP-9の活性化に関与するが、TIMP-2はMMP-2の活性化に関与する。
MMP-2(ゼラチナーゼA)およびMMP-9(ゼラチナーゼB)は、基底膜(細胞外マトリクス(ECM)タンパク質および非-ECMタンパク質(コラーゲンを含む))を加水分解するので、腫瘍浸潤および転移の機構における原因とみなされている。MMP-9は、炎症、動脈硬化性プラーク破裂、組織修復、創傷治癒、マトリクス結合性成長因子の可動化、サイトカインのプロセシング、肺線維症、骨関節炎(Fujisawaら,J.Biochem.125:966,1999)、喘息(Oshita,Y.Thorax 2003;58:757〜760)、多発性硬化症(Opdenakker,Gら,The Lancet Neurology,2:747〜756,2000)にも関与する。その発現は、例えば膵臓癌を伴う線維形成(異常なコラーゲン沈着)、ヒト乳癌細胞によるリンパ節への転移、および骨の巨細胞腫における局所血管の浸潤と関係する。MMP-9の発現は、多発性硬化症および自己免疫性炎症(例えば自己免疫性脳脊髄炎)を伴う。MMP-9は、歯肉および歯周の疾患を有する患者の歯肉溝滲出液および唾液において上昇し得る。MMP-9の活性および/またはレベルの決定は、乳癌および肺癌の患者の予後のフォローアップおよび評価に有用であることが見出されており(Ranunculo,Int.J.Cancer;Iizasa,Clinical Cancer Research)、腫瘍の負荷を伴うMMP-9と臨床状態との良好な関連性を示唆する。
MMP-2の血漿でのレベルおよび活性は、急性心筋梗塞(MI)の患者において上昇し、MI後合併症にも関与しているようである。冠動脈インターベンション(PCI)の間の血管壁の損傷は、MMP-2を増加させることが示されている。MMP-2の発現は、多発性硬化症の個体の脳においても増加する。
MT1-MMP(MMP-14)は、細胞内で活性化できる。MT1-MMPは、触媒ドメインの上流に、トランスゴルジネットワークを介してフューリンに対してエンド型タンパク質溶解プロセシングシグナルとして作用すると考えられる塩基性アミノ酸のモチーフを含有する。MT1-MMPは、翻訳後エンド型タンパク質溶解を含むプロセスを通して活性プロテイナーゼにプロセシングされ、さらに、トランスゴルジネットワークを介してフューリンによりプロセシングされ、次いで活性型で分泌される。プロ-MMP-2活性化の主な機構は、細胞表面でMT1-MMPおよびTIMP-2と複合体を形成する酵素前駆体を含む。プロ-MMP-2の切断は、インテグリンの結合を伴うとも考えられる。MMP-2はMMP-9も活性化する。
剖検または外殖で調べられたヒトの不全心臓は、細胞外マトリクスの変化(例えばコラーゲンの変化による)を示す。マトリクスの合成と分解とのバランスの調節は、心室修復のプロセスおよび心不全の病態生理において重要である。慢性心不全の発生におけるECMおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ活性の重要性についての支持は、心臓疾患の動物モデルおよびヒトの両方において証明されている。
MMPの発現を阻害する化合物の薬学的適用は、癌治療、ならびに神経治癒、変性軟骨疾患、褥瘡、関節炎、アルツハイマー病、創傷治癒、増殖性網膜症、増殖性腎臓疾患、多発性硬化症、角膜潰瘍、未制御組織修復および受胎能の問題の治療に対する新たなアプローチを提供する。
卵胞刺激ホルモンは、少なくともセルトリ細胞において一部のMMPおよびTIMPの調節に関与するとみられる(例えば、Mol.Cell.Endocrinol.118:37〜46,1996;Biol.Reprod.62:1040〜1046,2000;Mol.Cell.Endocrinol.189:25〜35,2002を参照されたい)。精巣において、卵巣刺激ホルモン(FSH)は、in vitroにてセルトリ細胞からのMMP-2、MMP-9、TIMP-1およびTIMP-2の発現ならびに分泌を誘導することが示されている。正常な精巣および卵巣の機能におけるその役割に加えて、FSHは、卵巣、子宮内膜および前立腺の腫瘍細胞増殖の刺激にも関与し、よって、腫瘍の進行に関係する。
細胞接着は、それにより細胞が互いに結びつき、特定の標的に向かって遊走し、または細胞外マトリクス内に局在化するプロセスである。それ自体で、細胞接着は、多数の生物学的現象に存在する基本的な機構の1つを構成する。例えば、細胞接着は、造血細胞の内皮細胞への接着ならびにその後のこれらの造血細胞の血管外および損傷部位への遊走の原因である。それ自体で、細胞接着は、哺乳動物における病理、例えば炎症および免疫反応において役割を演じる。
細胞接着についての分子的基礎の探索により、細胞-細胞および細胞-マトリクスの相互作用を媒介する、細胞接着分子または受容体として集合的に知られる多様な細胞表面巨大分子が明らかになっている。例えば、「インテグリン」とよばれるスーパーファミリーのタンパク質は、造血細胞とそれらの微小環境との間の接着相互作用における鍵となるメディエータである(M.E.Hemler,Ann.Rev.Immunol.,8,365頁(1990))。
Rho GTPアーゼ(例えばRhoA)は、それが調節する下流の標的を活性化することにより、いくつかの細胞プロセス;細胞分極、細胞-細胞接着、細胞-マトリクス接着、細胞形態、細胞運動性、膜輸送、細胞骨格微小繊維再編成、接着斑形成、遊走、分化、アポトーシス、平滑筋収縮および細胞増殖において役割を演じている。これらの標的のいくつかは、例えば、血清応答因子の活性化に導く。
Rho GTPアーゼは、ニューロン遊走および分極、軸索誘導および樹状突起形成、ならびにシナプス組織化および可塑化を含むいくつかの神経のプロセスと連結している(Luo L.,Nat.Rev.Neuroseci.1,173〜180,2000)。Rho GTPアーゼは、よって、神経変性疾患(例えば精神遅滞のX染色体連鎖型、筋萎縮性側索硬化症)およびその他の疾患、例えば顔面異形成(faciogenital dysplasia)、ウィスコット-オールドリッチ症候群、ダイアファノス(diaphanous)(非症候性難聴)、タンジール病などを伴うことが見出されている。
前立腺分泌タンパク質(PSP94)は、前立腺特異抗原(PSA)および前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)とともに、ヒトの精液において見出される3つの主要タンパク質の1つを構成する。PSP94は、10.7kDaの分子量を有し、10個のシステイン残基を含む。PSP94をコードするcDNAおよび遺伝子はクローニングされ、特性決定されている。
PSP94が腫瘍細胞の増殖を阻害することが示された(その全体の内容が参照として本明細書に組込まれるSethらの米国特許第5428011号を参照されたい)。PSP94フラグメントによる腫瘍増殖阻害も、動物モデルにおいて観察されている(その全体の内容が参照として本明細書に組込まれる、WO02/33090で公開されたGarde,S.らの国際出願PCT/CA01/01463を参照されたい)。PSP94は、骨転移の発生も低減する(その全体の内容が参照として本明細書に組込まれる、WO03/039576で公開されたRabbani,S.らの国際出願PCT/CA02/01737を参照されたい)。この後者の特徴は、前立腺癌の動物モデルにPSP94を投与した後のカルシウムレベルの低下により観察された。PSP94は、FSHレベルを低下させること(Thakurら,1981,Ind.J.Exp.Biol.Vol.19:303〜313)、および精巣膜調製物を用いてFSHのその受容体への結合を妨げることも示されている(Vijayalakshmiら,Int.J.Androl.(1981)691〜702)。
Darland,D.C.およびP.A.D'Amore(1999)Journal of Clinical Investigation,103:157〜58 Ferrara N.,Am.J.Physiol.Cell Physiol 2001;280:C1358〜66 Jackson MWら,J Urol 1997;157:2323〜8 Harper MEら,Br J Cancer 1996;74:910〜6 Ferrer FAら,J Urol 1997;157:2329〜33 Levine ACら,Endocrinology 1998;139:4672〜8 Matsumoto Tら,Sci STKE 2001;2001:RE21 Huss WJら,Cancer Res 2001;61:2736〜43 Birkedal-Hansen,1995,Curr.Opin.Cell Biol.7:728〜735 Gomezら,1997,Eur.J.Cell.Biol.74:111〜122 Fujisawaら,J.Biochem.125:966,1999 Oshita,Y.Thorax 2003;58:757〜760 Opdenakker,Gら,The Lancet Neurology,2:747〜756,2000 Ranunculo,Int.J.Cancer;Iizasa,Clinical Cancer Research Mol.Cell.Endocrinol.118:37〜46,1996 Biol.Reprod.62:1040〜1046,2000 Mol.Cell.Endocrinol.189:25〜35,2002 M.E.Hemler,Ann.Rev.Immunol.,8,365頁(1990) Luo L.,Nat.Rev.Neuroseci.1,173〜180,2000 米国特許第5428011号 WO02/33090 WO03/039576 Thakurら,1981,Ind.J.Exp.Biol.Vol.19:303〜313 Vijayalakshmiら,Int.J.Androl.(1981)691〜702 Ozaki,H.ら,Am.J.Pathol.,156(2):697〜707,2000 Bubley,J.G.ら,J.of Clinic.Oncol.17:3461〜3467,1999 Durocher,Yら,Nucleic Acids Res 2002;30:E9 米国特許第5001116号 Staton,C.A.ら(Int.J.Exp.Path.(2004),85,233〜248)
本発明は、PSP94ファミリーメンバーによる血管新生の低減または阻害に関する。
本発明によると、PSP94ファミリーメンバーは、血管新生性疾患、血管新生関連疾患の治療、または正常な血管新生の阻害のために用いられる。
本発明によると、例えば不要なまたは望ましくない血管新生の阻害に効果的な組成物および方法が提供される。本発明は、抗血管新生化合物(PSP94ファミリーメンバー)を含む組成物を、血管新生を阻害するのに十分な投与量で投与することにより、例えば望ましくないまたは制御されない血管新生により媒介される疾患を(例えば必要とする哺乳動物において)治療または予防する方法を提供する。
本発明によると、本発明により包含される血管新生性疾患または血管新生関連疾患は、例えば、眼の新血管新生(例えば角膜、網膜)、黄斑変性症、癌関連血管新生、転移関連血管新生、水晶体後線維増殖症、乾癬、糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症、クローン病、または血管新生の阻害が所望されるいずれの疾患または状態を含む。
よって、PSP94、PSP94誘導体、PCK3145、PCK3145の誘導体、それらのフラグメント、アナログおよびホモログは、癌の治療または創傷治癒において、抗血管新生のため、抗炎症のため、抗骨関節炎のため、発毛阻害のため、一部のサイトカイン(例えばIFN-β)の変性の低減において、および皮膚処置のため(例えば、水疱、光老化、乾癬の予防)、組織修復、肺線維症などのためにも利用してよい。
本発明によると、PSP94ファミリーメンバーは、正常な血管新生、例えば女性の月経周期と関連する血管新生(子宮内膜の血管新生)を阻害または低減するために用いてもよい。
本発明の態様は、PSP94ファミリーメンバーの、(単離細胞、細胞溶解物、組織、個体(哺乳動物)などにおける)1)血管新生の阻害または低減、2)VEGF受容体リン酸化もしくは活性化の阻害または低減(例えば、チロシンキナーゼシグナル伝達活性の低減)、3)PDGF受容体のリン酸化もしくは活性化の阻害または低減(例えば、チロシンキナーゼシグナル伝達活性の低減)、4)VEGF受容体が基質をリン酸化する能力の阻害または低減、5)PDGF受容体が基質をリン酸化する能力の阻害または低減、6)VEGF媒介および/またはVEGFR媒介のERKリン酸化の阻害あるいは低減、7)PDGF媒介および/またはPDGFR媒介のERKリン酸化の阻害あるいは低減、8)構成的分泌の阻害または低減、9)少なくとも1つの血清応答エレメント(SRE)を有する遺伝子からのタンパク質(RNA)発現の増大または促進、10)少なくとも1つのNF-KBエレメントを有する遺伝子からのタンパク質(RNA)発現の増大または促進、11)ERKリン酸化の増大または促進、12)MAPK/JNK経路の増大または促進、13)アポトーシスの増大または促進、14)VEGF-誘発VEGFRリン酸化の阻害または低減(例えばin vitroアッセイにおいて)、15)PDGF-誘発PDGFRリン酸化の阻害または低減(例えばin vitroアッセイにおいて)、ならびにこれらのいずれの組合せのための使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、1)血管新生、2)VEGF受容体リン酸化、3)PDGF受容体リン酸化、4)VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、5)PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化、6)VEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化、7)PDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化、8)少なくとも1つの血清応答エレメント(SRE)を有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、9)少なくとも1つのNF-KBエレメントを有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、10)ERKリン酸化の不十分または乏しい促進、11)MAPK/JNK経路の不十分または乏しい促進ならびにこれらのいずれの組合せに関連する状態または疾患を治療するためのPSP94ファミリーメンバーの使用に関する。
PSP94ファミリーメンバーを、細胞におけるアポトーシスを促進することにより、不要な細胞増殖に関連する状態または疾患を治療するために用いることも有用であると考えられる。
より具体的には、本発明は、配列番号5、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できる配列番号5の誘導体、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できる配列番号5のフラグメント、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できる配列番号5のアナログ、およびこれらの組合せからなる群より選択できる化合物の、必要とする個体における血管新生の治療における使用に関する。
また、より具体的には、本発明は、配列番号5、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5の誘導体、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のフラグメント、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のアナログ、ならびにそれらの組合せからなる群より選択される化合物の、VEGF受容体のリン酸化、PDGF受容体のリン酸化、VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化および/またはそれらの組合せに関連する疾患の治療における使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、1)血管新生、2)VEGF受容体リン酸化、3)PDGF受容体リン酸化、4)VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、5)PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化、6)VEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化、7)PDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化、8)少なくとも1つの血清応答エレメント(SRE)を有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、9)少なくとも1つのNF-KBエレメントを有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、10)ERKリン酸化の不十分または乏しい促進、11)MAPK/JNK経路の不十分または乏しい促進ならびにこれらのいずれの組合せに関連する(またはこれらにより媒介される)疾患から選択される疾患の治療のための配列番号5、配列番号5の誘導体、配列番号5のフラグメント、配列番号5のアナログおよびそれらの組合せから選択される化合物、ならびにいずれのPSP94ファミリーメンバーに関し、該方法は、PSP94ファミリーメンバー(例えばPSP94ファミリーメンバーを含む薬剤または医薬組成物)を、それを必要とする患者に投与することを含んでよい。
さらなる態様において、本発明は、1)血管新生、2)VEGF受容体リン酸化、3)PDGF受容体リン酸化、4)VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、5)PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化、6)VEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化、7)PDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化、8)少なくとも1つの血清応答エレメント(SRE)を有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、9)少なくとも1つのNF-KBエレメントを有する遺伝子からのタンパク質(またはRNA)の不十分または乏しい発現、10)ERKリン酸化の不十分または乏しい促進、11)MAPK/JNK経路の不十分または乏しい促進ならびにこれらのいずれの組合せに関連する(またはこれらにより媒介される)疾患から選択される疾患の治療のための(治療)方法および医薬組成物に関し、該方法は、PSP94ファミリーメンバー(例えばPSP94ファミリーメンバーを含む薬剤または医薬組成物)を、それを必要とする患者に投与することを含んでよい。
より具体的には、本発明は、血管新生の阻害を必要とする個体において血管新生を阻害する方法を提供し、該方法は、例えば、
a)配列番号5、
b)血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
c)血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
d)血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、ならびに
e)a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択できる化合物を上記の個体に投与することを含んでよい。
本発明によると、上記の化合物は、化合物の安定性を増大させるための基をさらに含んでよい。さらに、本発明によると、上記の基は、例えば、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分であってよい。上記の化合物は、例えば配列番号7であってよい。
また、本発明によると、該方法は、癌関連血管新生または転移関連血管新生の治療のために用いてよい。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載される状態または疾患の治療用医薬組成物を提供し、上記の医薬組成物は、
PSP94ファミリーメンバーと、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
より具体的には、本発明は、血管新生または眼の疾患の治療用医薬組成物に関し、上記の組成物は、例えば、
配列番号5、
血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、ならびに
これらの組合せ
からなる群より選択される化合物と、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
本発明は、PSP94ファミリーメンバーの、本明細書に記載される1つもしくは複数の疾患または状態の治療用の医薬組成物あるいは薬剤の製造における使用にも関する。
より具体的には、本発明は、例えば、配列番号5、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、血管新生アッセイにおいて細管の形成を低減できるか、あるいはVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減できるか、あるいはPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、ならびにこれらの組合せからなる群より選択できる化合物の、血管新生の治療用医薬組成物の製造における使用に関する。
また、より具体的には、本発明は、配列番号5、VEGF受容体による基質(ERK)リン酸化、PDGF受容体による基質(ERK)リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5の誘導体、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のフラグメント、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質リン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のアナログ、ならびにそれらの組合せからなる群より選択できる化合物(または医薬組成物)の、VEGF受容体のリン酸化、PDGF受容体のリン酸化、VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化、ならびにそれらの組合せに関連する疾患の治療用医薬組成物の製造における使用に関する。
VEGFおよびPDGF受容体によるリン酸化の低減(ブロック)により治療できる疾患の例は、眼の新血管新生(網膜)である(Ozaki,H.ら,Am.J.Pathol.,156(2):697〜707,2000;その内容の全ては本明細書に参照により組み込まれる)。
本発明は、そのさらなる態様において、VEGF受容体による基質リン酸化、PDGF受容体による基質リン酸化、またはVEGFおよびPDGF受容体の両方による基質リン酸化に関連する疾患の治療方法に関し、該方法は、PSP94ファミリーメンバーである化合物を(治療的に有効量で)必要とする個体に投与することを含んでよい。
本発明によると、上記の基質はキナーゼ、例えば細胞外シグナル調節プロテインキナーゼ(ERK)であってよい。
よって、本発明は、VEGF受容体チロシンキナーゼシグナル伝達、PDGF受容体チロシンキナーゼシグナル伝達またはVEGF受容体チロシンキナーゼシグナル伝達およびPDGF受容体チロシンキナーゼシグナル伝達の両方の阻害による網膜血管新生の治療方法にも関し、この方法は、そのような治療を必要とする個体に、PSP94ファミリーメンバーの治療的に有効量を投与することを含む。
より具体的には、本発明は、VEGF受容体のリン酸化、b)PDGF受容体のリン酸化、c)VEGF受容体により媒介される基質のリン酸化、d)PDGF受容体により媒介される基質のリン酸化、およびa)〜d)のいずれかの組合せに関連する疾患の治療方法を提供し、該方法は、該疾患の治療を必要とする個体に、配列番号5、VEGF受容体による基質のリン酸化、PDGF受容体による基質のリン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質のリン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5の誘導体、VEGF受容体による基質のリン酸化、PDGF受容体による基質のリン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質のリン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のフラグメント、ならびにVEGF受容体による基質のリン酸化、PDGF受容体による基質のリン酸化、ならびにVEGF受容体およびPDGF受容体による基質のリン酸化の少なくとも1つを低減できる配列番号5のアナログからなる群より選択できる化合物を投与することを含んでよい。
本発明によると、上記の疾患は、眼の疾患、例えば眼の新血管新生であってよい。
本発明は、さらなる態様において、細胞において(組織培養(ex vivo)において、組織において、ヒト(体)において、など)、例えばVEGF受容体、PDGF受容体、VEGF受容体により活性化される下流のエフェクター、およびPDGF受容体により活性化される下流のエフェクターからなる分子(ポリペプチド)の群から選択される分子の異常活性化を調節する方法をさらに提供し、該方法は、PSP94ファミリーメンバーを細胞と接触させることを含む。
本発明によると、VEGF受容体の異常な活性化は、例えば、VEGF受容体のチロシンキナーゼシグナル伝達活性における増加であってよい。さらに、本発明によると、VEGF受容体またはVEGF受容体により活性化される下流のエフェクターの異常活性化は、例えばVEGFにより促進されてよい。
本発明によると、PDGF受容体の異常な活性化は、例えば、PDGF受容体のチロシンキナーゼシグナル伝達活性における増加であってよい。さらに本発明によると、PDGF受容体またはPDGF受容体により活性化される下流のエフェクターの異常活性化は、例えばPDGFにより促進されてよい。
PSP94ファミリーのメンバー(またはPSP94ファミリーメンバー)は、例えば、PSP94(配列番号1)、PSP94フラグメント、PSP94誘導体、PSP94アナログ、PCK3145(配列番号5)、PCK3145フラグメント、PCK3145の誘導体およびPCK3145アナログを含む。PCK3145の誘導体は、例えば、配列番号7において規定されるとおりであってよい。PSP94ファミリーメンバーは、よって、例えば配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6および配列番号9〜98も含む。
本発明によると、PSP94ファミリーのメンバー(PSP94ファミリーメンバー)は、例えば、a)配列番号1、b)配列番号1の誘導体、c)配列番号1のフラグメント、d)配列番号1のアナログ、e)配列番号5、f)配列番号5の誘導体、g)配列番号5のフラグメント、h)配列番号5のアナログ、i)配列番号7、およびj)a)〜i)のいずれか1つの組合せからなる群より選択してよい。
本明細書においては、本発明のペプチド誘導体、フラグメントおよびアナログは、所望の生物活性を有するものの中から選択してよいと理解される。本発明により包含される誘導体、フラグメントおよびアナログは、次の生物活性、例えば、1)血管新生を阻害または低減する、2)細管形成を阻害または低減する、3)VEGF受容体のリン酸化を阻害または低減する、4)PDGF受容体のリン酸化を阻害または低減する、5)VEGF受容体により媒介される基質(例えばERK)のリン酸化を阻害または低減する(例えばVEGF媒介および/またはVEGFR媒介ERKリン酸化を低減する)、6)PDGF受容体により媒介される基質(例えばERK)のリン酸化を阻害または低減する(例えばPDGF媒介および/またはPDGFR媒介ERKリン酸化を低減する)、7)VEGF媒介ERKリン酸化を阻害または低減する、8)PDGF媒介ERKリン酸化を阻害または低減する、9)少なくとも1つの血清応答エレメント(SRE)を有する遺伝子からの発現を増大または刺激する、10)少なくとも1つのNF-KBエレメントを有する遺伝子からの発現を増大または刺激する、11)MAPK/JNK経路を増大または刺激する、あるいは12)アポトーシスを増大または刺激するものの1つまたは複数を有するものである。
本発明は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)(例えばMMP-9、MMP-2、MT1-MMP)のPSP94ファミリーメンバーによる調節(直接的または間接的のいずれか)にも関する。より具体的には、本発明は、PSP94ファミリーメンバーの、MMPまたはプロ-MMPの活性または発現に関する状態の治療のための使用に関する。
別の態様において、本発明は、PSP94ファミリーのメンバーである化合物、ならびに該化合物の、例えばマトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択できるポリペプチドの活性または発現に関する状態の治療における使用を提供する。
別の態様において、本発明は、配列番号5に同定されるアミノ酸配列を含むかまたは本質的にそれからなっていてよく、かつ(配列番号5)配列のアミノ酸に共有結合した安定化基(例えば化合物またはポリペプチドの生物活性に悪影響を与えることなく該化合物またはポリペプチドのin vivo安定性を増大する基)をさらに含んでいてよい、PCK3145(配列番号5)の生物活性を有する化合物を提供する。
本発明は、PSP94ファミリーメンバーによる、癌の進行(例えば増殖)および/または転移の予防にも関する。癌の進行および/または転移の予防は、PSP94により、例えば細胞の接着および/または遊走を調節することにより作用してよい。
本発明は、さらに、PSP94ファミリーメンバーによる細胞からのタンパク質分泌の調節に関する。本発明は、さらに、細胞をPSP94ファミリーメンバーと接触させることにより、細胞のRho GTPアーゼのレベル(例えばRhoA)および活性を制御する手段を提供する。本発明によると、PSP94ファミリーメンバーは、さらに、Rho GTPアーゼの下流のエフェクターの活性化を制御するのに用いてもよい。
本発明は、そのある態様において、哺乳動物における細胞接着の予防、阻害または抑制方法を提供し、これは、a)配列番号5、b)細胞接着を低減できる(すなわち低減する)か、または細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる(すなわち誘発する)配列番号5の誘導体、c)細胞接着を低減できるか、または細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる配列番号5のフラグメント、d)細胞接着を低減できるか、または細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれか1つの組合せからなる群より選択される化合物(もしくは化合物を含む医薬組成物)またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーを哺乳動物に投与するステップを含んでよい。
本発明によると、該方法は、例えば細胞接着関連炎症、細胞接着関連免疫または自己免疫性応答などを予防、阻害または抑制するために用いてよい。さらに、本発明によると、該方法は、転移、癌(腫瘍)の進行、関節炎、乾癬、移植拒絶反応、多発性硬化症、糖尿病、炎症性腸疾患あるいは細胞接着の予防、阻害もしくは抑制が所望されるかまたは必要とされる疾患からなる群より選択される疾患の治療または予防のために用いてよい。
本発明は、さらなる態様において、a)配列番号5、b)細胞接着(in vitro)を低減できる(すなわち低減する)かまたは細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる(すなわち誘発する)配列番号5の誘導体、c)細胞接着(in vitro)を低減できるかまたは細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる配列番号5のフラグメント、d)細胞接着(in vitro)を低減できるかまたは細胞表面からのインテグリンの分断を誘発できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物、あるいはPSP94ファミリーメンバーの、哺乳動物における細胞接着の予防、阻害または抑制における使用をさらに提供する。
本発明によると、接着は、インテグリンにより(の助けにより)媒介される接着であってよい。さらに、本発明によると、インテグリンは、例えばCD44であってよい。
本発明は、そのさらなる態様において、a)配列番号5、b)細胞遊走(in vitro)を低減できる配列番号5の誘導体、c)細胞遊走(in vitro)を低減できる配列番号5のフラグメント、d)細胞遊走(in vitro)を低減できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物(または化合物を含む医薬組成物)あるいはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーを哺乳動物に投与するステップを含んでよい、哺乳動物における細胞遊走を予防、阻害または抑制する方法を提供する。
本発明は、さらに、a)配列番号5、b)細胞遊走(in vitroアッセイにおいて)を低減できる(すなわち低減する)配列番号5の誘導体、c)細胞遊走を低減できる(例えば本明細書に記載される遊走アッセイにおいて(すなわちin vitroにおいて))配列番号5のフラグメント、d)細胞遊走を低減できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物、あるいはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーの、哺乳動物における細胞遊走の予防、阻害または抑制における使用に関する。
本発明は、よって、細胞遊走の予防、阻害もしくは抑制が所望されるかまたは必要とされる疾患の治療を提供する。
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるタンパク質分泌を阻害または低下する方法に関し、これは、a)配列番号5、b)タンパク質の分泌(例えば本明細書において記載される細胞ベースのアッセイにおいて)を低減できる(すなわち低減する)配列番号5の誘導体、c)タンパク質の分泌を低減できる配列番号5のフラグメント、d)タンパク質の分泌を低減できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択できる化合物(または化合物を含む医薬組成物)、あるいはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーを哺乳動物に投与するステップを含んでいてよい。
「タンパク質の分泌」または「タンパク質分泌」は、本明細書において、タンパク質が細胞内の空間の中から細胞外環境へ移動するプロセスと理解される。
本発明によると、タンパク質の分泌は、例えば、構成的分泌、または誘発された分泌などであってよい。さらに、本発明によると、タンパク質は、例えばゼラチナーゼの群、またはマトリクスメタロプロテイナーゼとプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼとからなる群から選択してよい。マトリクスメタロプロテイナーゼは、MMP-2であってよい。プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼは、プロ-MMP-2であってよい。マトリクスメタロプロテイナーゼはMMP-9であってもよく、プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼはプロ-MMP-9であってよい。
さらなる態様において、本発明は、例えば、a)配列番号5、b)タンパク質の分泌を低減できる配列番号5の誘導体、c)タンパク質の分泌を低減できる配列番号5のフラグメント、d)タンパク質の分泌を低減できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーの、哺乳動物におけるタンパク質分泌の阻害または低下における使用に関する。
よって、本発明は、タンパク質分泌の阻害もしくは低下が所望されるかまたは必要とされる疾患の治療を提供する。
さらなる態様において、本発明は、a)配列番号5、b)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5の誘導体、c)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5のフラグメント、d)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択できる化合物またはその他のいずれのPSP94ファミリーメンバーを哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物においてRhoGTPアーゼ発現を誘発する方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、例えば、a)配列番号5、b)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5の誘導体、c)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5のフラグメント、d)RhoAタンパク質、遺伝子もしくはmRNAの発現を細胞ベースのアッセイにおいて誘発できる配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはその他のいずれのPSP94ファミリーメンバーの、哺乳動物におけるRhoGTPアーゼ発現の誘発における使用に関する。
本発明によると、RhoGTPアーゼは、例えばRhoAであってよい。
別の態様において、本発明は、例えば、a)配列番号5、b)配列番号5の誘導体、c)配列番号5のフラグメント、d)配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーの、哺乳動物におけるRhoGTPアーゼ発現を誘発するため、哺乳動物における細胞接着の予防、阻害もしくは抑制のため、哺乳動物における細胞遊走の予防、阻害もしくは抑制のため、または哺乳動物におけるタンパク質分泌の阻害もしくは低下のための医薬組成物の製造における使用に関する。
よって、本発明は、RhoGTPアーゼの誘発が所望されるかまたは必要とされる疾患の治療を提供する。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体と、例えばa)配列番号5、b)配列番号5の誘導体、c)配列番号5のフラグメント、d)配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーとを含む、哺乳動物におけるRhoGTPアーゼ発現を誘発するため、哺乳動物における細胞接着の予防、阻害もしくは抑制のため、哺乳動物における細胞遊走の予防、阻害もしくは抑制のため、または哺乳動物におけるタンパク質分泌の阻害もしくは低下のための医薬組成物に関する。
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物におけるRhoGTPアーゼ発現を誘導するため、哺乳動物における細胞接着の予防、阻害もしくは抑制のため、哺乳動物における細胞遊走の予防、阻害もしくは抑制のため、または哺乳動物におけるタンパク質分泌の阻害もしくは低下のための、例えばa)配列番号5、b)配列番号5の誘導体、c)配列番号5のフラグメント、d)配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーに関する。
さらなる態様において、本発明は、プロテアーゼ(例えばセリンプロテアーゼ)の活性または発現に関する状態の治療用のPSP94ファミリーのメンバー化合物に関する。該状態は、プロテアーゼ自体の活性もしくは発現によるかまたは該状態の原因となり得る別の因子(例えばプロテアーゼにより活性化される事象のカスケードの一部分であり得る因子)に対して起こるものであってよい。
別の態様において、本発明は、例えば、マトリクスメタロプロテイナーゼとプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼとからなる群より選択できるポリペプチドの活性または発現に関する状態(容態、疾患)の治療用のPSP94ファミリーのメンバー化合物を提供する。
よって、本発明は、マトリクスメタロプロテイナーゼもしくはプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼのレベルまたは活性における低減が所望されるかあるいは必要とされる疾患の治療を提供する。より具体的には、本発明により、マトリクスメタロプロテイナーゼまたはプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼの循環(血液中またはその他の体液中)レベルを低減する必要がある疾患が包含される。
よって、本発明は、PSP94ファミリーメンバーによる、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)(例えばMMP-9、MMP-2、MT1-MMPなど)の調節(直接的または間接的のいずれか)にも関する。より具体的には、本発明は、PSP94ファミリーメンバーの、MMPもしくはプロ-MMPの活性または発現に関する状態を治療するため、および/またはMMPもしくはプロ-MMP媒介細胞事象(例えば細胞内伝達機構)を拮抗するための使用に関する。
よって、PSP94、PSP94誘導体、PCK3145、PCK3145の誘導体、それらのフラグメント、アナログおよびホモログは、癌の治療、創傷治癒、抗血管新生、抗炎症、抗骨関節炎、発毛の阻害、一部のサイトカイン(例えばIFN-β)の分解の低減、および皮膚治療(例えば水疱、光老化、乾癬の予防)、創傷治癒、組織修復、肺線維症などにおいて利用してよい。
より具体的には、PSP94ファミリーのメンバー(PSP94ファミリーメンバー)は、例えば、
a)配列番号1、
b)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを(組織、細胞または細胞環境(例えば細胞外環境)において)低減できる配列番号1の誘導体、
c)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを低減できる配列番号1のフラグメント、
d)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを低減できる配列番号1のアナログ、
e)配列番号5、
f)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
g)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
h)プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼおよびマトリクスメタロプロテイナーゼ(例えばMMP-2および/またはプロ-MMP-2、MMP-9および/またはプロ-MMP-9など)からなる群より選択されるポリペプチドの活性または発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、
i)配列番号7、ならびに
j)a)〜i)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択してよい。
さらなる態様において、本発明は、例えばマトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択できるポリペプチドの発現または(例えば生物学的、酵素的)活性に関する状態の治療のためのPSP94ファミリーメンバーの使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、例えばマトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択できるポリペプチドの発現または活性に関する状態の治療のための医薬品(または医薬組成物)の製造のためのPSP94ファミリーメンバーの使用に関する。
本発明によると、上記の状態は、血管新生、炎症、アテローム斑破裂、皮膚疾患、制御されない組織修復および肺線維症または本明細書に記載されるいずれのその他の状態もしくは用途からなる群より選択してよい。
別の態様において、本発明は、骨転移以外の転移または転移性癌の発生または拡散(すなわち、他の(続発)部位への癌の進行または他の部位への腫瘍細胞の拡散)を低減または制御するためのPSP94ファミリーメンバーの使用に関する。
別の態様において、本発明は、創傷治癒の促進、血管新生の低減(阻害)、炎症の低減(予防)、アテローム斑破裂の予防、皮膚の処置、骨関節炎の治療、肺線維症の治療、または(不要な)発毛の阻害のためのPSP94ファミリーメンバーの使用に関する。
別の態様において、本発明は、例えばマトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択できるポリペプチドの活性および/または発現(レベル)に関し得る状態の治療用の医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、
本明細書で規定されるPSP94ファミリーメンバーと、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
さらなる態様において、本発明は、マトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択されるポリペプチドの活性および/または発現に関する状態を有する患者の治療方法を提供し、該方法は、PSP94ファミリーのメンバーである化合物を該患者に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、骨転移以外の転移性癌または転移を有する患者の治療方法に関し、該方法は、PSP94ファミリーメンバーを該患者に投与することを含む。
さらなる態様において、本発明は、PSP94ファミリーメンバーを含むマトリクスメタロプロテイナーゼ調節薬剤および/またはプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼ調節薬剤に関する。
別の態様において、本発明は、マトリクスメタロプロテイナーゼおよびプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼからなる群より選択されるポリペプチドの発現または活性を低減できる化合物を提供し、該化合物は、配列番号5において同定されるアミノ酸配列を含むかまたは本質的にそれからなってよく、かつ(配列番号5)配列のアミノ酸に共有結合した安定化基(例えば、化合物またはポリペプチドの生物活性への悪影響なしに化合物またはポリペプチドのin vivo安定性を増大する基)をさらに含んでいてよい。
本発明によると、上記の基は、例えば、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル基、または配列の少なくとも1つのアミノ酸に結合したポリエチレングリコール(PEG)基、あるいは化合物/ポリペプチドの所望の特性(例えば安定性)を改善するいずれのその他の改変であってよい。
別の態様において、本発明は、タンパク質分泌の制御(低減)のため、またはマトリクスメタロプロテイナーゼもしくはプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼのレベルの低減を必要とする哺乳動物におけるマトリクスメタロプロテイナーゼもしくはプロ-マトリクスメタロプロテイナーゼのレベルの低減のための、例えばa)配列番号5、b)配列番号5の誘導体、c)配列番号5のフラグメント、d)配列番号5のアナログ、およびe)a)〜d)のいずれの1つの組合せからなる群より選択される化合物またはいずれのその他のPSP94ファミリーメンバーに関する。
さらなる態様において、本発明は、転移性癌または転移を有する患者におけるPSP94ファミリーメンバーを用いる治療の有効性を評価する方法を提供し、該方法は、例えば
a)PSP94ファミリーメンバーを用いて患者を治療した後に患者から血清サンプルを回収するステップと、
b)ステップa)で得られたサンプル中のMMP-9およびプロ-MMP-9からなる群より選択できるポリペプチドの(血清)レベルを測定するステップと、
c)ステップb)で測定したレベルを、正常な個体から測定したレベル、標準レベルまたは個体の治療前に測定したレベルからなる群より選択される、別のMMP-9および/またはプロ-MMP-9レベルと比較するステップと
を含んでよい。
該方法は、測定されたレベルの比較に基づいて、患者の臨床的結果を確立するステップも含んでよい。
本発明によると、PSP94治療の有効性を評価する方法は、ポリペプチド(MMP-9および/またはプロ-MMP-9、MMP-2および/またはプロ-MMP-2)の発現のレベルに関係すると考えられるいずれのその他のパラメータ、例えばRNAレベルも測定してよい。
本発明によると、マトリクスメタロプロテイナーゼは、例えばMMP-2であってよいか、またはMMP-9もしくはいずれのその他のMMPであってよい。また、本発明によると、プロ-マトリクスメタロプロテイナーゼは、例えばプロ-MMP-2であってよいか、またはプロ-MMP-9もしくはいずれのその他のプロ-MMPであってよい。
より具体的には、本発明は、必要とする個体において血管新生を阻害する方法に関し、該方法は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物を上記の個体に投与することを含む。
本発明によると、上記の化合物は、化合物の安定性を増大させる基をさらに含んでよい。上記の基は、例えばシステインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分であってよい。
本発明は、眼の新血管新生または炎症を有する哺乳動物を治療する方法にも関し、該方法は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物を上記の哺乳動物に投与することを含んでよい。
さらに、本発明は、血管新生、眼の新血管新生または炎症を治療するための医薬組成物に関し、該組成物は、
配列番号5、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、およびこれらの組合せからなる群より選択される化合物と、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
さらに、本発明は、癌の進行の予防を必要とする哺乳動物において癌の進行を予防する方法に関し、該方法は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物を上記の哺乳動物に投与することを含んでよい。
本発明は、さらなる態様において、転移の予防を必要とする哺乳動物において転移を予防する方法にも関し、該方法は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物を上記の哺乳動物に投与することを含んでよい。
本発明は、さらに、骨転移以外の転移性癌または転移を有する患者を治療する方法に関し、該方法は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物を上記の患者に投与することを含んでよい。
本発明は、さらに、転移の予防を必要とする哺乳動物において転移を予防するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物と、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
本発明は、癌の進行の予防を必要とする哺乳動物において癌の進行を予防するための医薬組成物にも関し、該医薬組成物は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物と、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
さらに、本発明は、骨転移以外の転移性癌または転移の治療を必要とする哺乳動物において骨転移以外の転移性癌または転移を治療するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は、
配列番号5、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
a)〜d)のいずれの1つの組合せ
からなる群より選択される化合物と、
薬学的に許容される担体と
を含んでよい。
本発明は、血管新生を阻害できる化合物も提供し、該化合物は、配列番号5に同定されるアミノ酸配列から本質的になっていてよく、かつ例えば該配列のアミノ酸に共有結合した安定化基をさらに含んでよい。
上記の安定化基は、例えば、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分であってよい。上記の化合物は、例えば配列番号7で規定される組成を有してよい。
本明細書において用いられるように、「VEGF」とは、血管内皮成長因子を意味し、VEGFRまたはVEGF-Rは、血管内皮成長因子受容体を意味し、かつ血管内皮成長因子受容体タイプ2を意味するVEGFR-2を含む。
本明細書において用いられるように、「PDGF」は、血小板由来成長因子を意味し、PDGFRまたはPDGF-Rは、血小板由来成長因子受容体を意味する。
本明細書において、「PSP94ファミリーメンバー」または「PSP94ファミリーのメンバー」は、PSP94を起源とするいずれのポリペプチドと理解される。例えば、「PSP94ファミリーメンバー」は、野生型PSP94(配列番号1)、PSP94のフラグメント、PSP94の誘導体、PSP94のアナログ、PCK3145(配列番号5)、PCK3145のフラグメント、PCK3145の誘導体(配列番号7)、PCK3145のアナログなどを含んでよい。よって、PSP94ファミリーメンバーは、例えば配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号6、および配列番号9〜98も含む。
本明細書において、「フラグメント」とは、元来のまたは親の配列の一部分を起源とするポリペプチドと理解されるべきである。フラグメントは、1つまたは複数のアミノ酸の切断を有するポリペプチドを含み、該切断はアミノ末端(N-末端)、カルボキシ末端(C-末端)またはタンパク質の内部を起点としてよい。フラグメントは、元来の配列の対応する部分と同じ配列を含んでいてよい。例えば、配列番号4、配列番号5および配列番号6は、PSP94(配列番号1)を元来の配列と考えると、「PSP94フラグメント」の定義に入る。
「誘導体」は、元来の配列または元来の配列の一部分を起源とし、かつ1つまたは複数の改変;例えば、アミノ酸配列における1つまたは複数の改変(例えばアミノ酸の付加、欠失、挿入、置換など)、1つまたは複数のアミノ酸の主鎖もしくは側鎖における1つまたは複数の改変、あるいは1つまたは複数のアミノ酸(側鎖または主鎖)への基もしくは別の分子の付加を含んでよいポリペプチドと理解されるべきである。例えば、配列番号2、配列番号3および配列番号7は、PSP94(配列番号1)を元来の配列と考えると、「PSP94誘導体」の定義に入る。
本明細書において、PCK3145(配列番号5)を元来の配列と考えると、配列番号7は「PCK3145の誘導体」または「配列番号5の誘導体」の定義に入り得ることが理解されるべきである。PCK3145(配列番号5または配列番号7)へのポリエチレングリコール基の付加(すなわちPEG化)も、「PCK3145の誘導体」の定義に入る。
本発明によると、配列番号1のフラグメントは、例えば配列番号4および配列番号6からなる群より選択してよい。
また、本発明によると、配列番号1の誘導体は、例えば配列番号2および配列番号3からなる群より選択してよい。
本明細書において、「アナログ」は、本明細書に記載されるポリペプチドのものと同様の生物活性および化学構造を有する分子と理解されるべきである。「アナログ」は、元来の配列または元来の配列の一部分と配列類似性を有してよく、かつ本明細書において記載されるようにその構造に改変を有してもよい。例えば、「アナログ」は、元来の配列または元来の配列の一部分と少なくとも90%の配列類似性を有してよい。「アナログ」は、また、例えば、元来の配列または元来の配列の一部分と少なくとも70%または50%(またはそれより低い、すなわち少なくとも40%)の配列類似性を有してもよい。また、「アナログ」は、アミノ酸の主鎖もしくは側鎖に1つまたは複数の改変の組合せ、あるいは基または別の分子の付加などを有して、元来の配列と例えば50%の配列類似性を有してもよい。
つまり、PSP94およびPCK3145の元来のポリペプチド、フラグメント(改変されているかまたはされていない)、アナログ(改変されているかまたはされていない)、誘導体(改変されているかまたはされていない)、ホモログ(改変されているかまたはされていない)の形の生物活性ポリペプチドは、本発明に包含される。
よって、所望の生物活性を著しくは破壊せずに、元来のポリペプチド(例えばPSP94、PCK3145)に比較して改変を有するいずれのポリペプチドは、本発明において包含される。当該技術において、生物活性に悪影響を及ぼすことなく本発明のポリペプチドにいくつかの改変を行うことができることが公知である。一方、これらの改変は、元来のポリペプチドの生物活性を維持または増大してもよいか、またはある場合に所望される本発明のポリペプチドの1つまたは複数の特性(例えば安定性、バイオアベイラビリティーなど)を最適化してもよい。本発明のポリペプチドは、例えば、天然のプロセス、例えば翻訳後プロセシングまたは当該技術において知られる化学的改変技術のいずれかにより改変されたアミノ酸配列を有するものを含む。改変は、ポリペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端もしくはカルボキシ末端を含む、ポリペプチドのいずれの位置で起こってもよい。同じ種類の改変が、ある特定のポリペプチドの複数の部位にて、同じまたは異なる程度で存在してよいことが認識される。また、ある特定のポリペプチドは、多種の改変を有してよい。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐してもよく、分岐を有するかまたは有さない環状であってもよい。環状、分岐および分岐した環状のポリペプチドは、天然の翻訳後プロセスに起因してもよく、合成方法により作製されてもよい。改変は、例えば、限定することなく、PEG化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンへの共有結合、ヘム部分への共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、薬剤の共有結合、マーカー(例えば蛍光、放射活性物質など)の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、閉環、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有的架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、トランスファー-RNA媒介のタンパク質へのアミノ酸付加、例えばアルギニル化およびユビキチン化などを含む。本明細書において、本明細書に記載されるポリペプチドへの複数の改変は、生物活性が元来の(親の)ポリペプチドと同様であるという範囲で本発明に包含されることが理解されるべきである。
上記のように、ポリペプチドの改変は、例えば、アミノ酸の挿入(すなわち付加)、欠失およびポリペプチド配列における保存的または非保存的(例えばD-アミノ酸、デスアミノ酸)のいずれかの置換(すなわち置き換え)を含んでよいが、このような変更は、ポリペプチドの全体の生物活性を実質的に変更しない。
置換の例は、保存的(すなわち、残基が同じ総括的な種類または群の別のものに置き換えられる)、または所望により、非保存的(すなわち、残基が別の種類のアミノ酸に置き換えられる)なものであってよい。さらに、非天然アミノ酸が、天然アミノ酸を置換してよい(すなわち、非天然アミノ酸の保存的置換または非天然アミノ酸の非保存的置換)。
理解されるように、天然アミノ酸は、酸性、塩基性、中性で極性または中性で非極性に小分類できる。さらに、コードされるアミノ酸の3つは芳香族である。本発明の所定のポリペプチドとは異なるコードされたポリペプチドは、置き換えられるアミノ酸のものと同じ種類または群からのアミノ酸の置換コドンを含有することは、有用であると考えられる。つまり、塩基性アミノ酸Lys、ArgおよびHisは互換性であってよく;酸性アミノ酸AspおよびGluは互換性であってよく;中性で極性のアミノ酸Ser、Thr、Cys、GlnおよびAsnは互換性であってよく;GlyとAlaのサイズはより近接に関係し、Val、IleとLeuは互いにより近接に関係しているので非極性の脂肪族アミノ酸Gly、Ala、Val、IleおよびLeuは互換性であってよく;芳香族アミノ酸Phe、TrpおよびTyrは互換性であってよい場合がある。
ポリペプチドが合成される場合、DNAにより天然ではコードされないアミノ酸(非天然または人工アミノ酸)による置換を作製してもよいことがさらに認識されるべきである。
本明細書において、非天然アミノ酸とは、哺乳動物において天然には産生されないかまたは見出されないアミノ酸と理解されるべきである。非天然アミノ酸は、D-アミノ酸、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸、PEG化アミノ酸などを含む。よって、規定されるポリペプチド配列が非天然アミノ酸を含有することは、元来のポリペプチドの誘導体を作製することになる。非天然アミノ酸(残基)は、式NH2(CH2)nCOOH(式中、nは2〜6である)のオメガアミノ酸、中性で非極性のアミノ酸、例えばサルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、ノルロイシンなども含む。フェニルグリシンはTrp、TyrまたはPheを置換してよく;シトルリンおよびメチオニンスルホキシドは中性で非極性であり、システイン酸は酸性であり、オルニチンは塩基性である。プロリンは、ヒドロキシプロリンで置換されてよく、特性を付与するコンホメーションを維持する。
アナログは、置換突然変異誘発により作製でき、本発明のポリペプチドの生物活性を維持できることが、当該技術において知られている。これらのアナログは、タンパク質分子内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除かれ、その位置に異なる残基が挿入されている。例えば、置換突然変異誘発の1つの対象部位は、限定されないが、活性部位または免疫学的部位として同定される部位を含んでよい。その他の対象部位は、例えば、多様な種から得られる特定の残基が同一であるものであってもよい。これらの位置は、生物活性に重要であってもよい。「保存的置換」として同定される置換の例を、表1に示す。これらの置換が望ましくない変化をもたらす場合、表1において「典型的置換」と称するか、またはアミノ酸の分類に関して本明細書にさらに記載するようなその他の種類の置換を導入して、生成物をスクリーニングする。
ポリペプチドの生物活性を、アミノ酸の置換、挿入または欠失により改変することが対象となる場合がある。例えば、ポリペプチドの改変は、ポリペプチドの生物活性の増大をもたらしてもよく、その毒性を変更してもよく、バイオアベイラビリティーまたは安定性を変更してもよく、あるいはその免疫学的活性または免疫学的特徴を変更してもよい。機能または免疫学的特徴における実質的な変更は、(a)置換領域でのポリペプチド主鎖の構造、例えばシートまたはヘリックスのコンホメーション、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、あるいは(c)側鎖の嵩の維持に対するそれらの影響が著しく異なる置換を選択することにより達成される。天然の残基は、一般的な側鎖の特性に基づいて、次の群に分類される:
(1)疎水性:ノルロイシン、メチオニン(Met)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)
(2)中性で親水性:システイン(Cys)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)
(3)酸性:アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)
(4)塩基性:アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)
(5)鎖の配向性に影響する残基:グリシン(Gly)、プロリン(Pro)、および
芳香族:トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のものに交換することを伴う。
Figure 2008501645
アミノ酸置換の例示となるPCK3145(配列番号5)の生物活性アナログの例を、以下に示す。
Figure 2008501645
例えば、X1はグルタミン酸(すなわちグルタメート)(Glu)、アスパラギン酸(アスパルテート)(Asp)またはアスパラギン(Asn)であってよく、X2はスレオニン(Thr)またはセリン(Ser)であってよく、X3はチロシン(Tyr)またはフェニルアラニン(Phe)であってよい。配列番号5中の元来の残基の保存されたアミノ酸でのいずれの置き換え(すなわち保存的置換)も、本発明に包含される。
PCK3145(配列番号5)のアナログの別の例は、例えば、配列番号88に例示されるポリペプチドまたは表1で規定される少なくとも1つの保存的アミノ酸置換(以下に太字で示す)を有するいずれのその他のポリペプチドを含んでよく、例えば
Glu Tyr Gln Thr Asp Asn Cys Glu Thr Cys Thr Cys Tyr Glu Thr (配列番号92)
Glu Trp Asn Thr Asp Asn Cys Glu Thr Cys Thr Cys Tyr Glu Thr (配列番号93)
Glu Trp Gln Thr Asp Gln Ser Glu Thr Cys Thr Cys Tyr Asp Thr (配列番号94)
である。
PCK3145(配列番号5)の誘導体の例は、例えば、配列番号9〜87に示すように、一方または両方の末端領域(アミノ末端またはカルボキシ末端)における付加を有するポリペプチド、あるいは配列番号7で例示するような安定化基を有するペプチド、あるいは1つまたは複数の配列番号5の反復を有するペプチド、例えば配列番号89〜91に例示するもの、少なくとも1つのD-アミノ酸を有するポリペプチド、例えば配列番号98に例示するものおよびこれらの組合せを含んでよい。
PCK3145(配列番号5)のフラグメントの例は、例えば、以下に示すように、アミノ酸末端領域の一方または両方に切断を有するポリペプチドを含んでよい。
Trp Gln Thr Asp Asn Cys Glu Thr Cys Thr Cys Tyr Glu Thr (配列番号95)
Gln Thr Asp Asn Cys Glu Thr Cys Thr Cys Tyr Glu Thr (配列番号96)
Glu Trp Gln Thr Asp Asn Cys Glu Thr Cys Thr Cys (配列番号97)
ポリペプチドは、天然(つまり、天然の起源から実質的に精製されたかまたは単離された)または合成(例えばコードDNAに部位特異的突然変異誘発を行うことによるか、またはその他の合成法、例えば化学合成により作製した)のいずれかであってよい。よって、本発明のポリペプチドは、天然もしくは組換え(つまり、組換えDNA技術により作製した)であるか、または化学合成(例えば有機合成)により作製されるかのいずれかであり得ることが明らかである。
本明細書において用いられるように、「医薬組成物」とは、薬学的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバントおよび/または担体と一緒になった治療上有効量の作用剤を意味する。本明細書において用いられる「治療上有効量」は、ある特定の状態および投与計画について治療効果を提供する量のことをいう。このような組成物は、液剤または凍結乾燥製剤または乾燥製剤であり、種々の緩衝能(例えばTris-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防ぐための添加剤、例えばアルブミンまたはゼラチン、界面活性剤(例えばTween 20、Tween 80、Pluronic F68、胆汁酸塩)を含む。可溶化剤(例えばグリセロール、ポリエチレングリコール)、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えばチメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、充填剤または張性変更剤(例えばラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリマー、例えばポリエチレングリコールの共有結合、金属イオンとの錯化、あるいは高分子化合物、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの微粒子調製物の中またはそれへの物質の組込み、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層もしくは多層の小胞、赤血球ゴーストまたはスフェロプラストへの物質の組込み。このような組成物は、物理的状態、溶解性、安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランスの速度に影響する。放出制御または徐放の組成物は、親油性デポー(例えば脂肪酸、ワックス、油)での製剤を含む。高分子(例えばポロキサマーまたはポロキサミン)で被覆された微粒子組成物も本発明に包含される。本発明の組成物のその他の実施形態は、非経口、肺、鼻、経口、膣、直腸経路を含む種々の投与経路のための微粒子の形、保護被覆、プロテアーゼ阻害剤、または浸透促進剤を組み込む。ある実施形態において、医薬組成物は、非経口、側癌、経粘膜、経皮、粘膜内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内および腫瘍内で投与される。
製剤は、経口、直腸、眼(硝子体内または角膜内皮内を含む)、鼻、局所(頬側および舌下を含む)、膣、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、気管内、および硬膜外を含む)での投与に適するものを含む。製剤は、単位剤形であるのが簡便であり、通常の薬学技術により製造してよい。このような技術は、有効成分と薬学的担体または賦形剤とを一緒にするステップを含む。一般的に、製剤は、有効成分を液状担体もしくは微粉砕固体担体または両方と均質にかつ十分に一緒にし、所望により生成物を成形することにより製造される。
経口投与に適する本発明の製剤は、個別の単位、例えば有効成分の所定量をそれぞれ含有するカプセル剤、カシェ剤、または錠剤;粉剤または顆粒剤;水性液もしくは非水性液中の液剤または懸濁剤;あるいは水中油型液体エマルジョンまたは油中水型エマルジョンおよびボーラスなどであってよい。
錠剤は、任意に1種または複数の副次成分とともに、圧縮または成形により得てよい。圧縮錠剤は、適切な機械の中で、流動性の形、例えば粉末または顆粒の活性成分を、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性または分散剤と混合して圧縮することにより製造してよい。成形錠剤は、適切な機械の中で、不活性液状希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより得てよい。錠剤は、任意に被覆するかまたは刻み目を入れてよく、その中の活性成分の遅延または制御放出を与えるように処方してもよい。
口内の局所投与に適切な製剤は、矯味矯臭基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントの中に成分を含むロゼンジ;不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアの中に活性成分を含む香錠;ならびに適切な液体担体中に、投与されるべき成分を含む口内洗浄剤を含む。
皮膚への局所投与に適切な製剤は、薬学的に許容される担体中に投与されるべき成分を含む軟膏、クリーム、ゲルおよびパスタ剤であってよい。局所送達系の例は、投与されるべき成分を含有する経皮パッチである。
直腸投与用の製剤は、例えばカカオ脂またはサリチル酸塩を含む適切な基剤を用いた坐剤であってよい。
鼻投与用に適する製剤は、担体が固体の場合は、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗粉末を含み、これは吹入剤が投与される様式で、すなわち鼻の近くに置かれた粉末の容器から鼻気道を通しての迅速な吸入により投与される。例えば鼻噴霧器または点鼻剤としての投与のための適切な製剤は、担体が液体の場合は、活性成分の水性または油性の溶液を含む。
膣投与に適する製剤は、有効成分に加えて適切な当該技術において知られる担体を含有する膣坐剤、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ、フォームまたは噴霧製剤であってよい。
非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含んでよい水性および非水性の滅菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含んでよい水性および非水性の滅菌懸濁液を含む。製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば密閉されたアンプルおよびバイアルに入っていてよく、使用の直前に滅菌液体担体、例えば注射用の水の添加のみを必要とする凍結乾燥された状態で貯蔵してよい。即時調合注射溶液および懸濁液は、以前に記載されたような種類の滅菌された粉末、顆粒および錠剤から製造してよい。
さらに、本明細書において用いられるように、「薬学的に許容される担体」または「薬学的担体」は、当該技術において知られており、限定されないが、0.01〜0.1Mもしくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.8%生理食塩水を含む。さらに、このような薬学的に許容される担体は、水性または非水性の溶液、懸濁液およびエマルジョンであってよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油および注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性の担体は、水、生理食塩水および緩衝媒体を含むアルコール性/水性の溶液、エマルジョンまたは懸濁液を含む。非経口のビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルオルフィックス油(lactated Ringer's orfixed oil)を含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養補充剤、電解質補充剤、例えばリンゲルデキストロースをベースとするものなどを含む。例えば抗菌剤、抗酸化剤、コレート剤(collating agents)、不活性ガスなどの防腐剤およびその他の添加物も存在してよい。
本明細書において、物質(例えばアミノ酸)の「範囲」または「群」、「置換」などに言及するか、またはその他の種類の特定の特徴(例えば温度、圧力、化学構造、時間など)に言及する場合、本発明は、本明細書中のそれぞれおよび全ての要素ならびにその中のいかなる副次範囲または副次群の組合せに関し、かつそれを明示的に組み込む。つまり、いずれの特定の範囲または群は、範囲または群のそれぞれおよび全ての要素に個別に、ならびにその中に包含されるそれぞれおよび全ての可能な副次範囲または副次群についての簡潔な言い方であると理解されるべきであり、その中のいずれの副次範囲または副次群についても同様である。よって、例えば、
100℃より高い温度について、本明細書においてはそれぞれおよび全ての個別の温度状態、ならびに副次範囲として100℃より上、例えば101℃、105℃およびそれより上、110℃およびそれより上、115℃およびそれより上、110〜135℃、115〜135℃、102℃〜150℃、210℃までなどを具体的に組込むと理解されるべきであり、
その他のパラメータ、例えば濃度、成分などについても同様である。
本明細書において、本発明のポリペプチドは、それぞれ、それにより記載されるそれぞれおよび全ての個別のポリペプチド、ならびにそれぞれおよび全ての可能な変異体、変異形、ホモログ、アナログなどを含み、このような変異体、変異形、ホモログ、アナログなどは、特定のポリペプチドを明確に含み、特定のポリペプチドを除外するか、またはそれらの組合せとして規定されると特に理解されるべきである。例えば、ポリペプチドアナログ(例えばX1WQX2DX1CX1X2CX2CX3X1X2(配列番号88))についての除く規定は、次のように読み取られる:「但し、X1の1つがグルタミン酸であり、X2がスレオニンであるときに、X3はフェニルアラニンではない」。
本明細書においては、「g」または「gm」は、グラム重量単位のことをいい、「C」はセ氏温度単位のことをいうとも理解されるべきである。
図面において、本発明の例示的実施形態を示す。
PSP94ファミリーのメンバーであるポリペプチドは、配列番号1で規定される野生型PSP94、配列番号2で規定される組換えPSP94および例えば配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号7で規定されるアミノ酸配列で規定されるようなPSP94の誘導体、フラグメントならびにアナログを含む。
PCK3145(配列番号5)は、動物において観察された腫瘍増殖阻害についての以前の好ましい結果に基づいて、PSP94ファミリーの代表として選択した。
試験化合物。PCK3145の野生型アミノ酸配列は、例えば国際出願PCT/CA01/01463に開示され、本明細書においては配列番号5で規定される。PCK3145の誘導体は、アセチルアミノメチル基をPCK3145の3つのシステインのそれぞれの硫黄原子に結合させることにより作製している。これらの基は、システインのスルフヒドリル基をブロックすることにより、ペプチド二量体または高分子の形成を妨げることにより化合物を安定化する。このPCK3145の誘導体は、配列番号7で規定される。薬剤は、Multiple Peptide Systems(3550)(General Atomics Court,San Diego,Calif.)により、標準的な固相ペプチド化学を用いて製造し、凍結乾燥して粉末にした。しかし、本発明のペプチドまたはポリペプチドを製造するために、その他の種類の合成または製造方法を行ってもよい。その他のPCK3145の誘導体、アナログおよびフラグメント(例えば配列番号88、98など)も同様にして作製できる。
本実施例において用いた水を加えて戻した薬剤は、20mg/mLのPCK3145の誘導体(配列番号5の誘導体);配列番号7をpH7.4のリン酸緩衝液中に含有する溶液から、静脈内投与前に滅菌生理食塩水(0.9%NaCl,BP)で希釈して作製する。溶液をタイプ1ガラスバイアルに充填し、テフロン(登録商標)表面のブチルゴム栓で栓をして、フリップオフシールで密閉する。
臨床試験
試験計画
臨床試験は、転移性ホルモン抵抗性前立腺癌(HRPC)の患者に静脈内投与したPCK3145の誘導体;配列番号7の安全性および耐用性を評価する、複数漸増用量で非盲検の第IIa相試験である。この試験は、無作為抽出ではない。患者は経時的および年代順に登録されている。
参加基準
患者は、試験薬剤の最初の投与を受ける前に以下の基準を満たしていた。
インフォームドコンセントに署名する。
組織学的に確認された前立腺の転移性腺癌を有する。
第IV段階の前立腺癌と分類される。
転移性ホルモン抵抗性前立腺癌を有する。抵抗性は、少なくとも1つのホルモン療法(睾丸摘出術、エストロゲン、LHRH療法)の後に進行性疾患として規定される。進行性疾患は、前立腺特異的抗原調査委員会(Prostate Specific Antigen Working Group)(Bubley,J.G.ら,J.of Clinic.Oncol.17:3461〜3467,1999)の推奨に従って規定され、これは進行性疾患を:
新しく測定可能な疾患の増加もしくは発生、または
骨スキャンにおいて5ng/mL以上のPSAレベルの新しい骨病変の存在、または
PSAの2回の連続した増加
と規定している。最初の増加は参照値から最短で1週間で発生するべきであり、PSAレベルは5ng/mL以上であるべきである。
慢性オピオイド鎮痛薬を必要とする患者として規定される最小限の症候性であるかもしくは無症候性であるが、少なくとも4週間の安定な疼痛処理計画を受けている。
18歳以上の男性である。
以下に特定するベースライン実験値を有する。
アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(ASAT)(S.I.単位の値=通常の上限42u/Lまたは<0.7kat/L)が通常の上限の2倍以下であり、かつアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)(S.I.単位の値=通常の上限<48u/Lまたは≦0.8μkat/L)が通常の上限の2倍以下である。
ビリルビンが1.8mg/dL未満である(S.I.単位の値=≦25.4μmoL/L)。
クレアチニンが1.8mg/dL未満である(S.I.単位の値=≦159μmoL/L)。
血小板>100,000/mm3(S.I.単位の値=>100×109/L)。
少なくとも6カ月の余命がある。
70%以上のカルノフスキー活動指数を有する。
試験の要件を理解する能力があり、記載されたインフォームドコンセントを提供し、試験の制限を遵守し、必要な評価のために戻ることに同意している。
試験の間、信頼できる避妊が行われなければならない。
試験の編成
薬剤は、前立腺の転移性の腺癌で、第IV段階の前立腺癌を有しかつ転移性のホルモン抵抗性前立腺癌を有すると分類された患者に投与した。コホート当たり4人の患者で4種の漸増用量を評価した。漸増用量は、5、20、40および80mg/m2であった。用量増加の決定は、用量規定毒性(DLT)に基づいている。
33日サイクルの処置は、1週間当たり3回(第1、3および5日)のPCK3145の誘導体;配列番号7の投与を26日間、続いて7日間の処置後観察期間からなっていた。最大耐用量(MTD)は、最小4人の患者のコホートからの2人の患者においてグレード3または4の薬剤関連毒性(DLT)を誘発するレベルよりも低い用量レベルである。最初のサイクルの間に観察されたDLTのみを、用量増加の決定に用いた。
各患者の参加は、次の試験期間からなった:スクリーニング期間(-14日〜-1日)、ベースライン訪問(第1日)および薬剤の投与前、処置期間(第1日〜第26日)、7日間の処置後観察期間(第27日〜第33日)、生存状況、疾患の状態および第2の原発腫瘍の発生に関する情報を評価する6カ月のフォローアップ期間、ならびに生存状況を評価する長期のフォローアップ期間。
処置期間は、26日間連続する、PCK3145の誘導体(配列番号5の誘導体)、すなわち配列番号7の1週当たり3回(第1、3および5日)の静脈内投与からなり、この間に患者は綿密にモニターされ、一定の試験を受けた。1週間の処置の中断の後に、毒性および疾患の進行が見られない場合、患者は、任意にさらなる治療サイクルを受けた。
安全性のモニタリングの目的のために、試験の異なる時点で生体試料を採取し、MMP-9レベルについてアッセイした。血漿サンプルをドライアイス上に置き、凍結貯蔵(約-70℃)し、その後、全MMP-9レベルについて分析した。
MMP-9アッセイ方法。全MMP-9、すなわちヒト活性およびプロ-MMP-9を測定するELISAアッセイ(Quantikine(登録商標),Cat.No.:DMP900,R&D Systems Inc.)を血漿-ヘパリンサンプルについて行った。血漿サンプルは、各処置サイクルの第1日(処置前)および第27日に個体から採取した。
Quantikine(登録商標)MMP-9イムノアッセイは、血清、血漿、唾液、尿および細胞培養上清中の全MMP-9(92kDaプロ-および82kDa活性型)を測定するように設計された固相ELISAである。これは、CHO細胞が発現した組換えヒトプロ-MMP-9を用いて校正され、抗体は組換え因子に対して作製された。両方の抗体とも組換えヒト活性MMP-9を認識する。天然のヒトMMP-9は、組換えQuantikine(登録商標)キットのスタンダードを用いて得られた標準曲線と平行な用量応答曲線を示し、このことはQuantikine(登録商標)キットが天然のヒトMMP-9の相対的な量の値を決定するのに用い得ることを示唆する。
このアッセイは、定量サンドイッチ酵素免疫測定法を用いている。MMP-9に特異的なモノクローナル抗体で、マイクロプレートを予め被覆する。スタンダードおよびサンプルをウェルに加えることにより、MMP-9は固定化された抗体によって結合する。結合しなかった物質を洗浄除去した後に、MMP-9に特異的な酵素結合ポリクローナル抗体をウェルに加える。結合しなかった抗体-酵素試薬を洗浄除去した後に、基質溶液をウェルに加え、最初の段階で結合した全MMP-9(プロおよび/または活性)の量に比例して発色する。発色を停止し、色の強度を測定する。
ザイモグラフィ。ザイモグラフィは、通常、生体試料中のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)の活性を分析するのに用いられる方法である。これは、非還元であるが変性(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))条件下で、ゼラチンを含むポリアクリルアミドゲル(例えばMMP-9およびMMP-2アッセイ用に1mg/mlのゼラチンを含有する10%ゲル)によるタンパク質の電気泳動的分離を伴う。分離されたタンパク質は、SDSを非イオン界面活性剤、例えばTriton X-100に交換することにより再生され、ゲルをMMP-2およびMMP-9の活性化用のインキュベーションバッファー中でインキュベートする(例えば37℃で18時間)。ゲルをクーマシーブルーで染色し、MMP-2およびMMP-9のバンドは、青のバックグラウンドに対して透明なバンドとして可視化してよい(すなわち、MMPはゼラチンを分解し、透明バンドとして可視化される。プロMMP-2は68kDaであり、プロ-MMP-9は92kDaである)。これらのバンドは、デンシトメトリを用いて定量できる。例えば、刺激の前に、静止状態のHUVECを、PCK3145またはPD98059の存否において16時間血清不足にし、次いでVEGFで刺激する。馴化培地を刺激の24時間後に回収し、遠心分離により清澄化した。馴化培地の同じ容量を非還元のLaemmliサンプルバッファーと混合し、1mg/mlゼラチン含有7.5%SDS-ポリアクリルアミドゲル(Sigma)に供した。次いで、ゲルを2.5%(v/v)Triton X-100中で室温にて30分間で2回、インキュベートし、二倍の蒸留水で5回リンスした。ゲルを、200mM NaCl/5mM CaCl2/0.02%(v/v)Brij-35/50mM Tris/HClバッファー(pH7.6)中に37℃にてさらに18時間インキュベートし、次いで、0.1%クーマシーブリリアントブルーR-250で染色し、その後、水中の10%(v/v)酢酸/30%(v/v)のメタノール中で脱染した。ゼラチン分解活性を、青のバックグラウンド上の染色されないバンドとして検出した。
材料。細胞培養培地は、Life Technologies(Burlington,Ontario,Canada)から得て、血清はHyclone Laboratories(Logan,UT)から購入した。電気泳動試薬は、Bio-Rad(Mississauga,Ontario,Canada)から購入した。それぞれVEGFR-2および抗PDGFR pAb(958)の沈降および検出用のポリクローナル抗体(C-1158)およびモノクローナル抗体(A3)は、Santa Cruz Biotechnologies(Santa Cruz,CA)から得た。抗ホスホチロシンmAb PY99もSanta Cruz Biotechnologiesから購入した。抗-ホスホ-ERKポリクローナル抗体は、Cell Signaling Technology(Beverly,MA)からであった。抗-マウスおよび抗-ウサギセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体は、Jackson ImmunoResearch Laboratories(West Grove,PA)から購入し、高感度化学発光(ECL)試薬は、Amersham Pharmacia Biotech(Baie d'Urfe,Quebec,Canada)から購入した。ヒト組換えPDGFは、R&D Systems(Minneapolis,MN)から得た。マイクロビシンコニン酸プロテインアッセイ試薬は、Pierce(Rockford,IL)からであった。マトリゲル基底膜マトリクスは、Becton Dickinson Labware(Bedford,MA)からであった。PTK787は、Novartis Pharmaceuticalsから得た。MEKキナーゼ阻害剤PD98059は、Calbiochem(La Jolla,CA)からであった。全てのその他の試薬は、Sigma-Aldrich Canadaからであった。
VEGF産生。血管内皮成長因子(アイソフォーム165)を、pBlast/VEGFプラスミド(Invivogen,San Diego,CA)からPCR増幅し、pTTベクター(Durocher,Yら,Nucleic Acids Res 2002;30:E9)にクローニングした。VEGFを、次の無血清培地でのヒト293SFE細胞の大規模な一過性のトランスフェクションで産生した。組換えタンパク質は、一過性トランスフェクションされた細胞により発現され、培地中に分泌された。培養物をトランスフェクションの5日後に回収し、培地を3,500gで10分間の遠心分離により清澄化し、0.22μmのメンブレンを通してろ過した。清澄化した培養培地を、ヘパリン-セファロースカラムにロードし、結合したVEGFを、PBS中のNaClグラジエントを用いて溶出した。PBSへのバッファー交換はゲルろ過によって行い、最終の精製された物質を滅菌ろ過し、一定量にて-80℃で貯蔵した。
細胞培養。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および肺大動脈平滑筋細胞(PASMC)をCloneticsから得て、内皮細胞基本培地-2(EBM-2;Clonetics)および平滑筋培地-2(SmGM-2;Clonetics)でそれぞれ維持した。細胞を、5%CO2を含む加湿雰囲気下で37℃にて培養した。実験目的で、細胞を5,000細胞/cm2で8枚の100-mmプラスチックディッシュに蒔き、集密まで増殖させ、その後、一晩、血清不足にした。細胞を、ビヒクルまたは0.1N NaOHで希釈したPCK3145の誘導体で処理し、50〜100ng/mlのVEGFもしくはPDGF、10ng/mlのbFGF(塩基性繊維芽細胞成長因子)または1μMのS1P(スフィンゴシン-1-ホスフェート)で刺激した。
免疫沈降およびイムノブロッティング方法。処理の後に、細胞を1mMオルトバナジン酸ナトリウム含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回洗浄し、同じ培地中に4℃にて1時間インキュベートした。細胞を、1mMオルトバナジン酸ナトリウム含有溶解バッファー(150mM NaCl、10mM Tris-HCl、pH7.4、1mM EDTA、1mM EGTA、0.5%Nonidet P-40、1%Triton X-100)中に氷上で可溶化した。次いで、細胞を培養ディッシュからはがし、得られた溶解物を10,000gで10分間の遠心分離により清澄化した。タンパク質濃度を、マイクロビシンコニン酸法(Pierce)を用いて決定した。免疫沈降試験のために、溶解物を、プロテインA/プロテインGセファロースビーズの混合物と4℃にて1時間インキュベートすることにより清澄化した。低速遠心分離によりセファロースビーズを除去した後に、各サンプルからの等量のタンパク質(200μg)を新しいチューブに移し、溶解バッファー中に、2μg/mlの特異抗体の存在下に4℃にて一晩インキュベートした。免疫複合体は、混合物を25μl(50%懸濁物)のプロテインA-(ウサギ一次抗体)またはプロテインG-(マウス一次抗体)セファロースビーズと2時間インキュベートすることにより回収した。非特異的結合物質は、ビーズを1mlの1mMオルトバナジン酸ナトリウム含有溶解バッファー中で3回洗浄することにより除去し、結合した物質を、25μlの2倍濃度のLaemmliサンプルバッファー(125mM Tris-HCl(pH6.8)、20%グリセロール、4%SDS、10%β-メルカプトエタノール、および0.00125%ブロモフェノールブルー)中で可溶化し、5分間煮沸し、SDS-PAGEにより分離した。タンパク質をポリビニリデンジフルオリド(PVDF)メンブレンに移し、2%ウシ血清アルブミン含有Tris緩衝生理食塩水/Tween 20(147mM NaCl、20mM Tris/HCl、pH7.5および0.1%Tween 20)と室温にて1時間ブロックし、一次抗体と4℃にて一晩インキュベートした。免疫反応性のバンドは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗-マウスまたは抗-ウサギ抗体との1時間のインキュベーションの後に明らかになり、シグナルを高感度化学発光(Amersham Biosciences,Baied'Urfee,QC)により可視化した。免疫反応性のバンドを、走査型デンシトメトリ(Molecular Dynamics)により定量した。
細胞培養。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)および肺大動脈平滑筋細胞(PASMC)をCloneticsから得て、内皮細胞基本培地-2(EBM-2;Clonetics)および平滑筋培地-2(SmGM-2;Clonetics)でそれぞれ維持した。細胞を、5%CO2を含む加湿雰囲気下で37℃にて培養した。実験目的で、細胞を5,000細胞/cm2で8枚の100-mmプラスチックディッシュに蒔き、集密まで増殖させ、その後、一晩、血清不足にした。細胞を、ビヒクルまたは0.1N NaOHで希釈したPCK3145で処理し、50ng/mlのVEGF、PDGFまたは1μMのS1Pで刺激した。
血管新生アッセイ
ラット大動脈輪アッセイ。単離したラットの大動脈をセグメントに切断し、マトリゲルのようなマトリクス含有環境中での培養に付す。その後7〜14日間にわたって、内皮細胞(およびその他の)細胞の増生について、外植片をモニターする。なぜならこれは試験物質の添加により影響されるからである。外植片からの血管様伸展の長さおよび発生量の測定により、定量を行う。内皮選択性試薬、例えばフルオレセイン標識BSL-Iの使用により、画素カウントによる定量が可能になる。
ヒヨコ大動脈弓アッセイ。大動脈弓を、12〜14日のニワトリ胚から解剖し、ラット大動脈のものと同様の輪状に切断する。輪をマトリゲル上に置くと、細胞の実質的な増生が48時間以内に起こり、血管様構造の形成がすぐに明らかになる。試験物質を培地に加え、内皮細胞増生の定量を、フルオレセイン標識レクチン、例えばBSL-IおよびBSL-B4の使用によるか、またはCD31に対する標識抗体を用いる培養物の染色により達成する。内皮細胞の計数および全増生領域の図形化のために、標準的な撮像法を用いる。
角膜血管新生アッセイ:ウサギの眼またはマウスの眼の角膜に嚢を作製し、血管新生を、この嚢に導入した血管新生誘発剤(例えばVEGF)により刺激する。誘発剤は、周辺性角膜縁脈管構造からの新しい血管の内植を誘発する。徐放性物質、例えばELVAX(エチレンビニルコポリマー)、Hydronまたはスポンジを用いて、角膜の嚢の中に試験物質を導入してもよい。
血管新生の阻害は、角膜において局所的に誘発された(例えばスポンジ移植)血管新生反応への阻害剤(例えばVEGF)の効果によりモニターする。試験阻害剤は、経口、全身を含むいくつかの投与形態により投与してよく、後者はボーラス注射、または例えば遅延放出法の使用、例えば試験阻害剤をロードした浸透ポンプの移植のいずれかによる。
血管応答は、実験期間中にわたる直接観察によりモニターする。このことは、ウサギについて細隙灯を用いて行ってよいが、マウスについては単純な実体顕微鏡のみを単に必要とする。マウス角膜脈管構造の可視化は、墨または蛍光色素標識高分子量デキストランの注入により達成してよい。定量方法は、血管侵入領域、時間経過による血管新生刺激への血管の進行、または蛍光の場合は、特定の(バックグラウンド)閾値を超えるヒストグラム分析または画素カウントの測定を含む。
Camアッセイ。7〜9日のニワトリ胚のCAMを、卵殻に窓を作製することにより露出し、組織または器官の移植片をCAM上に直接置く。窓を密封し、卵を再びインキュベートし、移植片を適切な長さのインキュベーション時間の後に回収する。次いで、移植片を増殖および血管化について評点する。血管新生反応は、0〜4のベースで血管化を分類することにより、また撮像法、例えば試験物質の周囲の指定領域内の分岐点の測定を用いることにより評価してよい。あるいは、全卵内容物を用いてもよい。試験物質は、それらをメンブレン上に置くかまたはカバーグラスの下方に置くことにより投与し、所望の領域に適用する。試験化合物は、CAM脈管構造自体の正常な発生または誘導された血管新生のいずれかへのそれらの影響により評価する。
あるいは、受精したニワトリ胚を殻から第3または4日に取り出し、試験化合物を含むメチルセルロースディスクを漿尿膜上に移植する。胚を48時間後に、メチルセルロースディスクの周囲に透明な無血管領域が出現しているかについて検査し、その領域の直径を測定する。このような無血管領域は、化合物が抗血管新生活性を有することを示す(米国特許第5001116号(第7欄、本明細書に参照として組み込まれる))。
マトリゲル内皮細胞細管形成アッセイ。マトリゲル(12.5mg/ml)を4℃で融解し、50μlを96ウェルプレートの各ウェルに素早く加え、37℃で10分間固化させた。次いで、ウェルをHUVEC(25,000細胞/ウェル)と37℃にて18時間インキュベートした。毛細血管様構造の形成を顕微鏡で調べ、Retiga 1300カメラおよびZeiss Axiovert S100顕微鏡を用いて写真(50×)を撮影した。ゲル中に形成された毛細血管様構造の程度を、市販で入手可能な像分析プログラム(Northern Eclipse)を用いて、毛細血管様ネットワークの筋の長さを決定するためにデジタル化した像の分析により定量化した。
マトリゲル栓子アッセイ。試験細胞または物質を含むマトリゲルを、皮下注入し、ここでこれは固化して栓子を形成する。この栓子を、動物内で7〜21日後に回収し、組織学的に調べて血管が侵入した程度を決定した。血漿量の蛍光測定は、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)-標識デキストラン150を用いて達成する。定量は、あるいは、栓子中に含まれるヘモグロビンの量を測定することにより達成してもよい。
別の代替のアッセイ(スポンジ/マトリゲルアッセイ)において、マトリゲルのみをまず、マウスに導入する。スポンジまたは組織フラグメントを、次いで、栓子に挿入する。新血管を、FITCの注入により測定する。
その他の血管新生アッセイは、例えば、その全ての内容が本明細書に参照として組み込まれるStaton,C.A.ら(Int.J.Exp.Path.(2004),85,233〜248)に記載される。
遊走アッセイ。トランスウェルフィルタ(8-μm孔径;Costar,Cambridge,MA)を、0.5%ゼラチン/PBSで4℃にて24時間、予め被覆した。次いで、トランスウェルをPBSで洗浄し、24ウェルプレートに組み立てた。各トランスウェルの上方のチャンバに100μlのHUVEC(1×106細胞/ml)を充填し、細胞を1時間接着させた。次いで、細胞を、無血清培地中の100μlの2倍濃度の薬剤溶液を上方のチャンバに加え、600μlの薬剤溶液を下方のチャンバに加えることにより2時間処理した。遊走は、VEGF(10ng/ml)またはS1P(1μM)を下方のチャンバに加えることにより開始した。プレートを37℃にて、5%CO2/95%空気中に4時間置いた。フィルタの下方の表面に遊走した細胞を、10%リン酸ホルマリンで固定し、0.1%クリスタルバイオレット/20%(v/v)メタノールで染色した。遊走は、コンピュータイメージングを用いて定量し、データを4視野(倍率×50)当たりの遊走細胞の平均密度として表す。
マトリゲル内皮細胞細管形成アッセイ。マトリゲル(12.5mg/ml)を4℃で融解し、50μlを96ウェルプレートの各ウェルに素早く加え、37℃で10分間固化させる。次いで、ウェルを100μlの1%胎児ウシ血清含有HUVEC(20,000細胞/ウェル)と5%CO2/95%空気で37℃にて30分間インキュベートして、マトリゲルに適切に接着させた。次いで、細胞を、各ウェルに無血清培地中に調製した2倍濃度のPCK3145を100μl加えることにより、18時間処理した。毛細血管様構造の形成を顕微鏡で調べ、Zeiss Axiovert S100顕微鏡につないだRetiga 1300カメラを用いて写真(50×)を撮影した。ゲル中に形成された毛細血管様構造の程度を、市販で入手可能な像分析ソフトウェア(Northern Eclipse)(25)を用いて、デジタル化した像の分析により定量化した。
データの統計分析。データは、3つ以上の独立した実験の代表であり、平均±SEMとして表される。群の間の統計比較は、スチューデントの独立t検定に従う一元配置の分散分析を用いて評価した。
生物活性PSP94ファミリーメンバー;フラグメント、誘導体およびアナログは、当該技術において知られる方法により作製してよい(組換え技術、固相合成など)。誘導体、フラグメントおよびアナログの生物活性は、本明細書に記載されるか、または上記のいずれの生物活性に適切な分野で知られるいずれの技術により決定してよい。
例えば、血清不足静止内皮細胞(HUVEC)を、異なる用量の推定されるPCK3145の誘導体、アナログまたはフラグメント(例えば配列番号9〜98のいずれか、組合せ)と24時間インキュベートし、次いでVEGFで刺激してよい。細胞をNaF/Na3VO4含有PBSで洗浄し、同じ媒体バッファー中に4℃にて1時間インキュベートしてよい。細胞を培養ディッシュからはがし、得られた溶解物を遠心分離により清澄化してよい。SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行って、タンパク質を分離してよい。ウェスタンブロッティングおよび免疫検出を、抗-ホスホERK抗体および抗-ERK抗体を用いることにより行ってよい。バンドを定量して、推定されるPCK3145の誘導体によるERKリン酸化の阻害のレベルを決定してよい。推定されるPCK3145の誘導体、アナログまたはフラグメントによるVEGF誘発ERKリン酸化(またはVEGFR誘発ERKリン酸化)の阻害効果は、誘導体、アナログまたはフラグメントが生物学的に活性であることを意味する。
別の例において、推定されるPCK3145の誘導体、フラグメントまたはアナログを含有するマトリゲルを血管新生誘導剤とともに、動物に皮下注射する。7〜21日後に栓子を動物から回収し、組織学的に調べて血管が侵入した範囲を決定する。定量は、上記のようにして行う。生物活性PCK3145の誘導体、フラグメントまたはアナログは、マトリゲル栓子に侵入した血管の数または血管が侵入した範囲の減少により同定する。
本明細書に記載する血管新生アッセイにおいて血管(細管、毛細血管様構造)の形成もしくは増殖における減退を引き起こす誘導体、フラグメントまたはアナログは、生物学的に活性な誘導体、フラグメントまたはアナログと考えられる。
生物学的に活性な推定されるPCK3145の誘導体、アナログまたはフラグメントは、推定されるPCK3145の誘導体、アナログまたはフラグメントによるPDGF誘発ERKリン酸化(またはPDGFR誘発ERKリン酸化)への阻害効果が観察されるかまたは測定される本明細書に記載されるアッセイの1つにおいて同定することもできる。
所望のポリペプチドの生物活性は、例えば、メタロプロテイナーゼ(例えばMMP-9、MMP-2)および/またはプロメタロプロテイナーゼ(例えばプロ-MMP-9、プロ-MMP-2)を発現する細胞を、本発明のポリペプチド(PSS94ファミリーメンバー(例えば:元来のペプチド、フラグメント、誘導体、アナログおよび/または元来のポリペプチド、フラグメント、誘導体もしくはアナログのいずれの改変形)と接触させ、ポリペプチドと細胞とのインキュベーションの後に、本明細書に記載されるようにしてウェスタンブロッティングまたはザイモグラフィによるメタロプロテイナーゼの酵素活性により、あるいはメタロプロテイナーゼ活性または発現の代表となる、当該技術において知られるいずれのその他の技術(例えばノーザンブロット、PCR、免疫化学法など)によるメタロプロテイナーゼの発現のレベル(細胞内部または細胞外環境において(上清または血液(血漿または血清)))を評価することによって決定してもよい。メタロプロテイナーゼ(および/またはプロ-メタロプロテイナーゼ)の発現レベルまたは酵素活性の変更(例えば低減、またはある場合において増大)は、生物活性ポリペプチドを同定する。
所望のポリペプチドの生物活性は、遊走アッセイを用いてさらに決定してよい。U-87細胞を、本発明のポリペプチド(例えば、いずれのPCK3145の誘導体、フラグメント、アナログ、例えば配列番号9〜98のいずれか1つまたは組合せ)を用いて処理する。処理細胞をトリプシン処理し、計数し、本明細書または当該技術において記載されるようにして、改変ボイデンチャンバに挿入されたHA-被覆フィルタ上に播種する。細胞遊走を、37℃にて2時間進行させる。次いで、フィルタを、フィルタを貫通して遊走した細胞について染色する。本発明のポリペプチドで処理した細胞で観察される基本のU-87細胞遊走の減少は、生物活性ポリペプチドを示唆する(すなわち、生物活性PCK3145の誘導体、フラグメント、アナログ)。
各々の推定される誘導体、フラグメントまたはアナログは、この技術または本明細書に記載されるかもしくは当該技術において知られるいずれのその他の技術を用いて試験してよい。
(実施例1)
MMPのin vivo測定
MMP-9アッセイの結果
PCK3145の誘導体;配列番号7での1回または複数回の処置サイクルの前および後の患者の血漿中のMMP-9レベルの結果を、表2に示す。
健康なボランティアの正常値は、この試験では測定しなかったが、Iizasaらは、血漿MMP-9濃度の正常範囲が約11.4〜59.4ng/mlと決定している。これらの値に基づいて、患者をさらに2つのカテゴリに分類した;MMP-9の正常値(100μg/L未満)を有するもの、およびベースラインで増加したレベルのMMP-9(100μg/Lより高い)を有するもの(表2のD1C1と記載された列を参照されたい)。
正常値MMP-9カテゴリにおいて(E、F、G、HおよびIとして同定される患者)、1サイクルの処置の後に、ベースラインレベルに比べてMMP-9レベルの顕著な減少はなかった(D27C1で同定される列)。患者EおよびGについては、2サイクルの処置の後であっても、ベースライン値に比べてMMP-9レベルの減少は観察されなかった(D27C2で同定される列)。患者Eにおいては、3サイクルの処置の後であってもMMP-9減少はなかった(D27C3)。
上昇したMMP-9カテゴリ(A、B、CおよびDとして同定される患者)において、1サイクルのみの処置の後に各患者に著しい減少が観察された(D27C1として同定される列を参照されたい)。例えば、MMP-9レベルにおいて89%までの減少が、ベースラインに比較して患者Aについて観察された。患者Bについて、MMP-9の減少は、サイクル1の後に41%であった。患者CおよびDについて、サイクル1での減少は、それぞれ90%および34%である。
この減少は、さらなる処置サイクルを受けた患者BおよびCについて維持された(D27C2、D27C3およびD27C4として同定される列を参照)。例えば、サイクル2の処置において、患者Bは、MMP-9のそのベースラインレベルの64%の減少を示した。同様の減少、すなわちサイクル3の処置で65%の減少、およびサイクル4の処置で75%の減少が、患者Bについても測定された。患者Cの場合は、サイクル2において、MMP-9レベルの76%の減少が測定された。
Figure 2008501645
(実施例2)
MMP-9分泌への影響
実施例1で記載されるin vivoでの結果を支持するために、ザイモグラフィアッセイおよびウェスタンブロットを、PCK3145の誘導体(配列番号7)とインキュベートした細胞系について行った。
図1に示す実験において、2.5×105 MatLyLu腫瘍細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション番号:JHU-5)を、10%胎児ウシ血清(FBS)含有RPMIを含むT-25フラスコに播種した。一晩のインキュベーションの後に、細胞を無血清培地で1回洗浄し、無血清RPMI中で、50ug/ml I型コラーゲン存在下に種々の濃度のPCK3145の誘導体(500ug/mlおよび1mg/ml)で72時間処理した。コントロール細胞には、50ug/mlコラーゲンまたは無血清培地のみを与えた。
PCK3145の誘導体への72時間の曝露の後に培地を回収し、ゼラチンザイモグラフィに付した。MMP-2およびMMP-9についてのザイモグラフィを、0.1%ゼラチン(Invitrogen)含有SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)(10%)において行った。24μlの培養培地を、非還元サンプルバッファーと混合し、煮沸せずに電気泳動に供した。電気泳動の後に、ゲルを、2〜3回の洗浄段階とともに2.5%Triton X-100溶液に30分間浸漬した。次いで、ゲルを、50mM Tris/HCl、pH7.6、50mM NaCl、10mM CaCl2および0.05%Brij-35を含有するバッファー中で37℃にて18時間インキュベートした。インキュベーションの後に、ゲルを0.2%クーマシーブルーで染色し、透明なタンパク質分解バンドが現れるまで脱染した。ゲルを、Microtek平台スキャナ(Scanmaker 5ソフトウェア;Microtek lab,Redondo Beach,CA)でスキャンした。バンドの強度を、molecular Dynamics社からのImage Quantソフトウェア(バージョン5.0)を用いて決定した。
MMP-9およびMMP-2ゼラチナーゼザイモグラフィのスタンダードは、Chemicon(カタログ番号CC073)から購入した。1ngの精製ヒトプロ-MMP-2およびプロ-MMP-9スタンダードを、毎回、ゲルに用いた。
この実験の結果は図1に示し、これは、MatLyLu細胞のPCK3145の誘導体での処理が、ザイモグラフィにより検出されるように、細胞培養培地へ分泌されるMMP-9の用量依存的減少をもたらすことを示唆する。
ウェスタンブロット
別のウェスタンブロット実験を行い、ここでは、MatLyLu細胞を、100ug/ml、500ug/mlおよび1mg/mlのPCK3145の誘導体で72時間処理した。実験の最後に、培地を回収し、Amicon遠心ろ過装置(3500分子量カットオフ)を用いて5回濃縮した。
25μlのサンプルを、4〜12%Bis-Trisプレキャストゲル(Invitrogen)を用いて還元条件下にて、SDS-PAGEゲルで分離した。電気泳動の後に、タンパク質をニトロセルロースメンブレンに移した。非特異的結合部位を、0.05%Tween-20含有10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の5%スキムミルクを用いて、室温にて1時間ブロックした。その後、メンブレンを一次抗体(モノクローナル、RDI-MMP-9abm-2A5)と、1ug/mlの濃度(0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%Tween-20含有10mM PBS中)で、室温にて3時間インキュベートした。
メンブレンを、PBS中で3回(各洗浄に5分)洗浄して、非特異的結合を除去し、これを二次抗体(ウサギ抗マウスIgGセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合(Dako番号0260))と、1:5000の濃度で1時間インキュベートした。特異的MMP-9タンパク質の検出は、メンブレンをECL(商標)試薬(エレクトロケモルミネッセンス、Roche)中にインキュベートし、X線フィルムに露光することにより行った。
この実験の結果を図2に示し、これも、PCK3145の誘導体でのMatLyLu細胞の処置が、MMP-9レベルの用量依存的減少をもたらしたことを示す。
(実施例3)
VEGF誘発MMP-2分泌への影響
ECにより分泌されるマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、血管新生の間のマトリクス修復およびEC発芽において鍵となる役割を演じていると考えられる。プロ-MMP-9分泌が基本条件下で見られないかまたは低レベルであるのに対して、プロ-MMP-2分泌はHUVECにおいてVEGFにより増加できる。
MMP細胞外レベルへのPCK3145の誘導体(配列番号7)の影響は、よって、血清不足HUVECの馴化培地でのゼラチン-ザイモグラフィにより評価した。16時間の不足の後に、PCK3145の誘導体の存否の下でVEGFを用いてHUVECを刺激した。さらなる24時間の処理により、PCK3145の誘導体が、細胞外媒体においてプロMMP-2の基本レベルを約35%効果的にダウンレギュレーションしたことが示されている(図3A、図3B)。最も重要なことに、阻害は約50%であったので、PCK3145の誘導体(300μg/ml)の効果は、VEGF誘導プロMMP-2分泌に対しても観察された。これらの実験を無血清培地中で、しかしMAPK阻害剤PD98059の存在下で行ったときに、VEGF誘発プロMMP-2細胞外レベルも著しく減少した。これらの結果は、MMP分泌に対するPCK3145の誘導体の効果が、実際に、内皮細胞のMAPK経路により調節されることを示唆する。
MMP-9分泌へのPCK3145の影響は、HUVECでは観察できなかった。なぜなら、非常に低いレベルから検出不可能なレベルまでのMMP-9しか分泌されないからである。
(実施例4)
内皮細胞におけるERK-1/-2経路のリン酸化
VEGFは、VEGF受容体2を介してのERK(細胞外シグナル調節プロテインキナーゼ)1および2の強いアクチベーターである。PCK3145の誘導体がVEGF媒介ERKリン酸化を潜在的に拮抗する能力を試験するために、血清不足静止内皮細胞(HUVEC)を、ビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4)またはPCK3145の誘導体(300μg/ml)と24時間インキュベートし、次いで、VEGF、bFGF(塩基性繊維芽細胞成長因子)またはS1P(スフィンゴシン-1-ホスフェート)で刺激した。細胞をNaF/Na3VO4含有PBSで洗浄し、同じ媒体バッファーで4℃にて1時間インキュベートした。細胞を培養ディッシュからはがし、得られた溶解物を遠心分離により清澄化した。次いで、抗ホスホERK抗体および抗ERK抗体を用いるウェスタンブロットおよび免疫検出を行った。
結果は、VEGFにより誘導される(図4A、図4B)が、bFGFまたはS1Pによっては誘導されない(図4A、図4B)ERKリン酸化へのPCK3145の誘導体の特異的阻害効果を示す。この阻害効果は、2つの内皮細胞、HUVECおよびBAECについて確認された(示さず)。細胞の各サンプルにおけるERKの全量は、PCK3145の誘導体により影響されなかった(図4A、図4B)。PCK3145の誘導体も、S1Pにより誘導されるERKリン酸化をHUVECにおいて刺激すると考えられていたが(図4A、図4B)、この結果は統計的に有意ではないことが見出された。さらに、PCK3145の誘導体に対する用量応答は、VEGFによるERKリン酸化の程度を徐々に阻害することが見出された(図4C、図4D)。PCK3145の誘導体の効果は、ERKリン酸化の文書化された薬理学的阻害剤であるPD98059の効果に匹敵することが見出された。スクランブルペプチド(配列番号99)の効果の欠如は、ネガティブコントロールとして示される(図4E、図4F)。最後に、PCK3145の誘導体効果の時間経過は、3および24時間で示され、PCK3145の誘導体の長期の作用の必要性を示す(図4G、図4H)。
(実施例5)
HUVECによる毛細血管様構造形成への影響
この三次元ECMモデルアッセイは、例えば腫瘍成長因子または低酸素培養条件により調節できる細胞形態、生化学的機能および内皮細胞(EC)での遺伝子発現の研究のための生理的に適切な環境を提供する。さらに、タンパク質発現のレベルをモニターするためのプロテオミクスに基づくアプローチも達成できる。マトリゲルに蒔いたときに、ECは毛細血管様構造を形成する能力を有する。毛細血管様構造形成の程度(構造の密度およびサイズ)は、イメージ分析ソフトウェア(Un-Scan-it,Empix Imaging)を用いて、デジタル化した像を分析して、細管様ネットワークにより被覆された相対的サイズおよび面積を決定することにより定量できる。HUVECをトリプシン処理し、計数し、マトリゲル上に播種した。マトリゲルへの接着を30分間放置して進行させた。次いで、PCK3145の誘導体の漸増濃度(0〜300μg/ml)との処理を、無血清培地中で24時間行った。次いで、毛細血管様構造形成の程度は、その後で評価した。結果は、PCK3145の誘導体が細管形成に負の影響を与えることを示す(図5A、図5B)。
細胞を、改変ボイデン細胞遊走チャンバに挿入されたゼラチン被覆フィルタ上に蒔いた。基本の細胞遊走およびVEGF誘発遊走へのPCK3145の影響を、未処理のコントロール細胞に比較して、遊走した細胞の数によりモニターした。HUVECをフラスコからトリプシン処理により取り外し、洗浄し、無血清培地中に再懸濁した。細胞をチャンバに挿入したゼラチン被覆フィルタ上に置き、37℃、5%CO2にて30分間インキュベートして、フィルタへの適切な固定を可能にした。次いで、単層を、チャンバの上方および下方の区画内に加えたPCK3145含有(300μg/ml)無血清培地に曝露した。2時間後に、VEGF(50ng/ml)を、化学遊走物質として下方のチャンバに加えた。細胞遊走を、さらに3時間進行させた。次いで、フィルタを固定し、染色し、遊走した細胞を、方法の部分で記載するようにして顕微鏡使用法により定量した。結果は、PCK3145での処理が、この特定のアッセイにおいて、基本の細胞遊走またはVEGF誘発細胞遊走(示さず)に対して重要な影響を有さないことを示す。S1P誘発HUVEC遊走に対するPCKの影響も測定したが、この特定のアッセイにおいて、阻害は観察されなかった(示さず)。
(実施例6)
内皮細胞におけるVEGF受容体のリン酸化
細胞レベルでのVEGFの多機能性は、その主要な受容体であるVEGFR-2を介しての多様で複雑でかつ統合されたシグナル伝達経路のネットワークを開始するその能力に起因する。つまり、VEGFにより誘発されるERKリン酸化へのPCK3145の誘導体の阻害効果を調べて、VEGFR-2のリン酸化の阻害の結果であるかを確かめた。HUVECを増殖させ、血清不足にし、PCK3145の誘導体で前処理し(300μg/ml;24時間)、Gingrasら[Biochem J 348:273〜280,(2000)]に記載されるようにしてVEGFで刺激した。各処理の後に、等量のタンパク質を、抗VEGFR-2ポリクローナル抗体を用いて免疫沈降し、ウェスタンブロッティングにより分析した。この実験の結果は、PCK3145の誘導体が、HUVECにおいてVEGFにより誘発されるVEGFR-2のリン酸化を阻害したことを示す(図6A、図6B)。PCK3145の誘導体のこの阻害効果は、用量依存的であることも示され(図6C、図6D)、VEGFR-2に関連するチロシンキナーゼ活性の既知の薬理学的阻害剤であるPTK787の作用とある程度比較できる。最後に、スクランブルペプチドの効果の欠如が示され(図6E、図6F)、PCK3145の誘導体の作用の特異性を示唆する。
(実施例7)
平滑筋細胞におけるPDGF受容体のリン酸化
VEGFR-2に関連するチロシンキナーゼ活性に対するPCK3145の誘導体の潜在的阻害作用を、PASMC(肺大動脈平滑筋細胞)における別の受容体であるPDGF受容体(PDGFR)に関連するキナーゼ活性についても試験した。HUVECと同様のPCK3145の誘導体の処理を行った。興味深いことに、PCK3145の誘導体は、PDGF誘発ERKリン酸化と同様に(図7C、図7D)、PDGFにより誘導されるPDGFRリン酸化の阻害を導く(図7A、図7B)。
(実施例8)
ERKリン酸化への固有の影響
PCK3145の誘導体により誘発される潜在的な細胞内経路を調べるために、SEAP(分泌アルカリホスファターゼ)Mercury Profiling Kit(CLONTECH)を用いる遺伝子レポーターアッセイを、神経膠腫細胞(U-87)において行った。このアッセイは、細胞外媒体におけるアルカリホスファターゼ活性をアッセイすることにより、特定の実験条件により誘発される転写因子のモニターを可能にする。PCK3145の誘導体は、2つの経路:MAPK/JNK経路(SRE)およびNFkB経路を著しく誘発する(図8A)。MAPK経路誘発は、NFkB経路のものに比べて非常に強い。しかし、後者は、PCK3145の誘導体により誘発されるであろうプロアポトーシス経路の関与を潜在的に示唆する。興味深いことに、構成的に発現されるSEAPの分泌は阻害されることが見出され、より一般的な構成的分泌経路へのPCK3145の誘導体の潜在的な影響を示唆する。
PCK3145の誘導体によるMAPK経路の誘発は、5〜10分の間の迅速でかつ一過性のERKリン酸化の誘導によりさらに確かめられ(図8B)、用量依存性であることが示されている(図8C)。最後に、PCK3145の誘導体の影響を、スクランブルペプチドのものとも比較した。これらの結果は、スクランブルペプチドが、PCK3145の誘導体のものと同様にERKリン酸化を誘発できなかったことを示す(図8D)。最後に、これらの結果は、MAPK阻害剤PD98059が、PCK3145の誘導体によるERKリン酸化の誘発を拮抗することも示す。
(実施例9)
血管新生への影響
PCK3145またはその誘導体(配列番号5または配列番号7)を含有するマトリゲルを、ラットに皮下注射する。この固化された栓子を動物において7〜21日後に回収し、組織学的に調べて、どの程度の血管が栓子に侵入したかを決定する。
別のアッセイにおいて、受精したニワトリ胚を第3または4日にその殻から回収し、PCK3145(配列番号5または配列番号7)を含有するメチルセルロースディスクを漿尿膜に移植する。胚を48時間後に調べ、無血管領域の直径を測定する。
プロ血管新生因子VEGFは、多くの腫瘍により高濃度で分泌され、VEGF-VEGFRシグナル伝達経路の抑制は、血管新生の阻害を通しての腫瘍増殖の抑制のために熱心に調べられている手段である。正常、良性および悪性の表現型の前立腺細胞はVEGFを発現することが示されているが、同種の受容体VEGFR-2の発現は、ECに限定されると一般的に考えられている。
本明細書に示す結果に鑑みると、2つの主な証拠の傾向は、ECにおけるPCK3145の多形質発現性分子的な効果を示唆し、かつ支持する(よって、PCK3145は多形質発現性因子である)。PCK3145は、VEGFR-2チロシンキナーゼ関連活性、およびMAPK経路を介するその後の細胞内伝達を拮抗する。さらに、PCK3145は、血管新生が発生するために不可欠な2つの細胞性のものである、ECによる毛細血管様構造形成およびMMP分泌を阻害した。一般に、腫瘍進行の段階とMMP発現レベルとの間に関連が観察されているので、MMPに対する阻害効果は興味深い。集合的に、これらの特性は、ECに対するPCK3145の抗血管新生作用を反映する。
確立されたヒト腫瘍の治療は、さらなる血管新生の予防だけでなく、既に存在する腫瘍物質を減少させるための腫瘍血管の破壊も必要とする。VEGF媒介シグナル事象を用いる妨害は、新生血管の早期の増殖の防止において効果的であるが(早期血管新生をブロックする)、より確立された腫瘍からの成熟血管は、VEGFまたはその受容体であるVEGFR-2のいずれかに指向された阻害剤に対してほぼ耐性である。これらの成熟血管は、内皮周囲細胞、例えば周皮細胞および平滑筋細胞(SMC)により囲まれ、これらの細胞同士の接触が、新血管を安定化し、内皮の生存を促進し、EC増殖を阻害する。PDGF-B/PDGFR-β系は、血管安定化に関わり、このシグナル伝達系を用いる妨害は、既に確立された内皮/内皮周囲の連結の破壊および血管不安定化をもたらす。さらに、受容体特異的受容体チロシンキナーゼ阻害剤への同時の曝露によるか、または広いキナーゼ特異性を有する阻害剤(SU6668)によるVEGFおよびPDGF受容体の両方の阻害は、最終段階のよく血管化された腫瘍のさらなる増殖をブロックし、周皮細胞の剥離および腫瘍の血管化の破壊を誘発する(後期血管新生をブロックする)(例えば後期血管新生をブロックする)。それ自体で、PCK3145は、高度に血管化された腫瘍において血管新生を阻害すると考えられる。
PCK3145は、VEGFRおよびPDGFRシグナル伝達の両方を妨害することが見出されているので、PCK3145は、腫瘍新血管新生のプロセスに関与する1または複数の病原段階を中断するかまたは阻害するか、あるいは腫瘍血管構造を直接標的および破壊し、早期および後期の血管新生をブロックするかのいずれかを構想するストラテジにおける治療剤として用いてよい。PCK3145による両方の受容体機能の阻害は、このペプチドを血管新生の阻害に用いることに対して、固有の利点を付与するだろう。
(実施例10)
ヒアルロン酸へのU-87細胞遊走に対する影響
癌細胞の遊走/浸潤は、腫瘍の転移における鍵となる事象である。In vitroでは、このプロセスは、改変ボイデン細胞遊走チャンバに挿入されたECM被覆フィルタ上へ細胞を蒔くことにより再構築できる。PCK3145の誘導体の影響は、未処理のコントロール細胞に比べて遊走した細胞の数によりモニターできる。以前の知見に鑑みると、ヒアルロン酸(HA)マトリクスへの遊走が減少することが確認された。U-87細胞をPCK3145の誘導体(300ug/ml、48時間)で処理し、トリプシン処理し、計数し、改変ボイデンチャンバに挿入されたHA-被覆フィルタに播種した。細胞遊走を37℃にて2時間進行させた。次いで、フィルタを、フィルタを貫通して遊走した細胞について染色した。結果は、PCK3145の誘導体での前処理は、基本のU-87細胞遊走を約3分の1に減少させたことを示す(図9A)。この結果は、新しい細胞の調製物を用いてさらに3回行われた。
(実施例11)
ヒアルロン酸(HA)へのU-87細胞接着に対する影響
ECM認識は、腫瘍の進行に関与する細胞接着プロセスにおいて必須の事象である。このプロセスは、特別な細胞表面受容体またはインテグリンを通して媒介されかつ調節される。最近の証拠は、可溶性MMPと細胞表面インテグリンとの間のクロストークが、細胞のECM環境を認識しかつそれに接着する細胞の能力を調節するであろうことを示唆するが、PCK3145の誘導体を、HAへのU-87細胞接着をダウンレギュレートするその能力について試験した。U-87細胞をPCK3145の誘導体(300ug/ml、48時間)で処理し、トリプシン処理し、計数し、10ug/ml BSA(ウシ血清アルブミン)またはHAで被覆したウェルに播種した。細胞を3時間接着させた。3つの独立した実験を行った。これらの実験結果は、PCK3145の誘導体で処理した細胞の接着は、HA上で45〜76%著しく減少された(図9B)ことを示す。まとめると、ECM認識および細胞接着プロセスへのPCK3145の誘導体の阻害作用は、特異的インテグリンまたはHA細胞表面受容体、例えばCD44ファミリーからのものの発現が標的となりうることを示唆する。あるいは、このような結果は、細胞表面インテグリンの活性化状態を調節する細胞シグナリングがPCK3145の誘導体により誘発されると考えられることも示唆する。このような潜在的細胞内タンパク質の1つは、GTPアーゼRhoAであり、これは細胞骨格形態形成を調節する機構を媒介すると見られる。
(実施例12)
CD44細胞表面分断への影響
HA上での細胞遊走および接着の減少は、U-87細胞をPCK3145の誘導体で前処理したときに観察された。このことは、細胞表面におけるCD44発現の潜在的なダウンレギュレーションまたは潜在的な細胞表面分断のいずれかと考えることができる。後者の仮定は、血清不足U-87細胞を、MMP分泌を拮抗することが知られている濃度のPCK3145の誘導体(300ug/ml)と24時間インキュベートすることにより試験した。次いで、馴化培地をTCA沈殿し、抗CD44抗体を用いて75kDaの免疫反応性タンパク質についてのウェスタンブロッティングの免疫検出を行った。PCK3145の誘導体で前処理した細胞において観察される強い免疫反応性バンドにより、CD44細胞表面分断の増加が証明された(図10)。この効果は、並行して、MT1-MMPでトランスフェクションされた細胞を用いても示される。このような効果は、多くのグループにより既に報告されており、ECM接着の調節におけるMT1-MMP媒介機能の1つとして確立されている。興味深いことに、PCK3145の誘導体で処理した細胞でのMT1-MMP発現のわずかな増加が観察され、このことは、PCKがどのようにしてCD44分断を導くのかを一部説明すると考えられる。この誘導は、その後、以下のようにして再現されている。これらの知見は、HA上での細胞遊走/接着の減少について合理的である。さらに、このことがMMP-9のCD44への細胞表面ドッキングの減少のPCK3145の誘導体による二次調節でもあり得ることをさらに示唆させる。
(実施例13)
MT1-MMPおよびRhoA発現への影響
GTPアーゼRho活性の特異的操作を用いて、内皮細胞の組織的な行動を抑制または増強することができるとともに、癌細胞増殖を制限することもできる。特に、RhoAは、結果として細胞遊走を調節するアクチンフィラメントを組織することにより細胞収縮性を媒介する。さらに、最近の証拠は、RhoA/CD44/MMP-9が共通の細胞表面マイクロドメインにて同時局在化することを示唆した。PCK3145の誘導体がRhoA遺伝子およびタンパク質発現に影響を与えたかを決定するために、試験を行った。U-87細胞は、PCK3145の誘導体(300ug/ml、48時間)で処理した。この実験の結果により、ウェスタンブロッティングにより評価されるように(図11A、図11C)、PCK3145の誘導体が内因性RhoAタンパク質発現をU-87細胞において誘発したことを確かめた。最後に、結果は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)により評価されるように(図11D)、PCK3145の誘導体により誘発されたRhoAタンパク質発現が、その遺伝子発現のものと平行であったことを示す。まとめて、これらの結果は、PCK3145の誘導体のその後の阻害活性における細胞内メディエータとしてのRhoAの潜在的な役割を強調する。
本明細書に記載されるPSP94ファミリーメンバーの全ての効果により、これらは、以前に開示した使用(腫瘍細胞増殖および骨転移の阻害)に加えて、いくつかの疾患の治療のために有用である。
例えば、MMP-9およびMMP-2へのPSP94ファミリーメンバーの影響により、これらは、国際出願PCT/CA02/01737に開示され請求される骨転移の減少のためのみならず、癌の拡散およびいずれの種類の癌の浸潤の減少について有用である。それ自体で、PSP94ファミリーメンバーは癌(腫瘍)の進行および転移の予防ならびに血管新生の阻害が可能である。
本出願において言及する各出版物、特許および特許出願は、本明細書に参照として組み込まれる。
本発明は、本明細書において詳細に記載され、添付の図面において説明されるが、本発明は本明細書に記載される実施形態に限定されず、本発明の範囲または意図するところを逸脱することなく、種々の変化および変更を行うことができることが理解されるべきである。
本明細書において用いられ(これらの特定の化合物に限定されない)、本明細書において言及される化合物の例は次のとおりである。
(配列表)
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PCK3145の誘導体(配列番号7)のMMP-9のレベルへの影響および1型コラーゲン処理したMatLyLu細胞への活性を示すザイモグラフィのゲルの写真である(第1レーン:マーカー;第2レーン:細胞;第3レーン:細胞およびコラーゲン;第4レーン:細胞、コラーゲンおよび500μg/mlの配列番号7;第5レーン:細胞、コラーゲンおよび1mg/mlの配列番号7)。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のMMP-9発現レベルへの影響を示すウェスタンブロットのメンブレンの写真である(第1レーン:MMP9スタンダード;第2レーン:細胞;第3レーン:細胞およびコラーゲン;第4レーン:細胞、コラーゲンおよび100μg/mlの配列番号7;第5レーン:細胞、コラーゲンおよび500μg/mlの配列番号7;第6レーン:細胞、コラーゲンおよび1mg/mlの配列番号7)。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のMMP-2レベルおよびVEGF誘発MMP-2レベルへの影響を示すザイモグラフィのゲルの写真である(PD=PD98059、PCK=PCK3145の誘導体)。 図3Aの結果を定量的に表すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)の誘発されたERKリン酸化への影響を示すウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 図4Aの結果を定量的に表すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のVEGF誘発ERKリン酸化への用量依存的な影響を示すウェスタンブロットの写真である(PD=PD98059、PCK=PCK3145の誘導体)。 図4Cの結果を定量的に表すヒストグラムである。 スクランブルポリペプチド(配列番号99)によるVEGF誘発ERKリン酸化の阻害がないことを示すウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール)。 図4Eの結果を定量的に表すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)によるVEGF誘発ERKリン酸化の低減を示す、時間経過のウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 図4Gの結果を定量的に表すヒストグラムである。 毛細血管様構造形成へのPCK3145の誘導体の影響を示す写真である。 図5Aの結果を定量的に示すヒストグラムである(PCK=PCK3145の誘導体)。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のVEGF誘発VEGFR-2リン酸化への影響を示すウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 図6Aの結果を定量的に示すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のVEGF誘発VEGFR-2リン酸化への用量依存的な影響を示すウェスタンブロットの写真である(PD=PD98059、PCK=PCK3145の誘導体、PTK=PTK787)。 図6Cの結果を定量的に表すヒストグラムである。 スクランブルポリペプチド(配列番号99)による、VEGF誘発VEGFR-2リン酸化の阻害がないことを示すウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール)。 図6Eの結果を定量的に示すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のPDGF誘発PDGFRリン酸化への影響を示すウェスタンブロットの写真である(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 図7Aの結果を定量的に示すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のPDGF誘発ERKリン酸化への用量依存的影響を示すウェスタンブロットの写真である(PD=PD98059、PCK=PCK3145の誘導体)。 図7Cの結果を定量的に示すヒストグラムである。 特定の応答エレメントにより駆動される(作動可能に連結した)SEAP遺伝子を発現するベクターを含む細胞からの、PCK3145の誘導体(配列番号7)の存否による、アルカリホスファターゼ分泌の結果を示すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のERKリン酸化への影響を示す時間経過アッセイのウェスタンブロットの写真である(PCK=PCK3145の誘導体)。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のERKリン酸化への影響を示す用量応答アッセイのウェスタンブロットの写真である(PCK=PCK3145の誘導体)。 PCK3145の誘導体(配列番号7)のERKリン酸化への影響を示すウェスタンブロットの写真である(PCK=PCK3145の誘導体)。 PCK3145の誘導体の存否におけるヒアルロン酸(HA)へのU-87細胞遊走を定量化したヒストグラムである(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 PCK3145の誘導体の存否におけるヒアルロン酸(HA)へのU-87細胞接着を定量化したヒストグラムである(Ctl=コントロール、PCK=PCK3145の誘導体)。 MT1-MMP細胞発現および細胞表面からのCD44分断へのPCK3145の誘導体の影響を示すウェスタンブロットの写真である。 トランスフェクションされた細胞でのMT1-MMP発現および細胞におけるRhoA発現へのPCK3145の誘導体の影響を示すウェスタンブロットの写真である。 図11Aで得られた、PCK3145の存否におけるMMT1-MMP発現を定量的に示すヒストグラムである。 図11Aで得られた、PCK3145の存否におけるRhoA発現を定量的に示すヒストグラムである。 PCK3145の誘導体のRho RNAレベルへの影響を示すゲルの写真である。

Claims (25)

  1. 血管新生の阻害を必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物を前記個体に投与することを含む方法。
  2. 前記化合物が、前記化合物の安定性を増大させるための基をさらに含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記基が、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分である請求項2に記載の方法。
  4. 前記化合物が、配列番号7である請求項1に記載の方法。
  5. 血管新生が、癌関連血管新生である請求項1に記載の方法。
  6. 血管新生が、転移関連血管新生である請求項1に記載の方法。
  7. 眼の新血管新生または炎症を有する哺乳動物を治療する方法であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
  8. 前記化合物が、前記化合物の安定性を増大させるための基をさらに含む請求項7に記載の方法。
  9. 前記基が、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分である請求項8に記載の方法。
  10. 前記化合物が、配列番号7である請求項7に記載の方法。
  11. 血管新生、眼の新血管新生または炎症を治療するための医薬組成物であって、
    a)配列番号5、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5の誘導体、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のフラグメント、in vitroアッセイにおいてVEGF誘発VEGFRリン酸化を低減できる配列番号5のアナログ、およびそれらの組合せからなる群より選択される化合物と、
    b)薬学的に許容される担体と
    を含む組成物。
  12. 前記化合物が、前記化合物の安定性を増大させるための基をさらに含む請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記基が、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分である請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記化合物が、配列番号7である請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 癌の進行の予防を必要とする哺乳動物において癌の進行を予防する方法であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
  16. 転移の予防を必要とする哺乳動物において転移を予防する方法であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
  17. 転移性癌または骨転移以外の転移を有する患者を治療する方法であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物を前記患者に投与することを含む方法。
  18. 前記化合物が、配列番号5で規定されるアミノ酸配列を含む請求項17に記載の方法。
  19. 前記化合物が、配列番号7で規定されるアミノ酸配列を含む請求項26に記載の方法。
  20. 哺乳動物において転移を予防するための医薬組成物であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む医薬組成物。
  21. 哺乳動物において癌の進行を予防するための医薬組成物であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む医薬組成物。
  22. 哺乳動物において転移性癌または骨転移以外の転移を治療するための医薬組成物であって、
    a)配列番号5、
    b)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5の誘導体、
    c)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のフラグメント、
    d)in vitroアッセイにおいて細胞遊走を低減できるかまたはin vitroアッセイにおいてMMP-9の発現レベルを低減できる配列番号5のアナログ、および
    e)a)〜d)のいずれか1つの組合せ
    からなる群より選択される化合物と、
    薬学的に許容される担体と
    を含む医薬組成物。
  23. 血管新生を阻害できる化合物であって、配列番号5で規定されるアミノ酸配列から本質的になり、前記配列のアミノ酸に共有結合した安定化基をさらに含む化合物。
  24. 前記安定化基が、システインの硫黄原子に結合したアセチルアミノメチル部分である請求項23に記載の化合物。
  25. 前記化合物が、配列番号7で規定される組成を有する請求項23に記載の化合物。
JP2007513628A 2004-06-01 2005-03-21 血管新生を治療し、癌の進行および転移を予防するための方法、ならびにそのための前立腺分泌タンパク質(psp94)ファミリーメンバーを含む組成物 Withdrawn JP2008501645A (ja)

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