JP2008295425A - IgG又はそのFcフラグメント結合剤及びペプチド - Google Patents

IgG又はそのFcフラグメント結合剤及びペプチド Download PDF

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Abstract

【課題】優れたFcフラグメント結合活性を有するペプチド、及びそれを含有するIgG又はそのFcフラグメント結合剤を提供する。
【解決手段】前記ペプチドは、配列:GTXXX XXXXX XX[3位のXはY,V,I、4位のXはT,H,K、5位のXはS,R、6位のXはS,Q、7位のXはL,I、8位のXはS,R,T、9位のXはF,H,I,Y、10位のXはH,E,N,M、11位のXはT,M,S、12位のXはA,P,L,D]で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を示すペプチドである。前記IgG又はそのFcフラグメント結合剤は、有効成分として、前記ペプチド又はその誘導体を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、IgG又はそのFcフラグメント結合剤、及び、その有効成分として用いることのできる新規ペプチドに関する。
免疫反応の中心的な役割を担うタンパク質である抗体は、従来から医療や臨床診断をはじめとする幅広い分野で利用されており、近年では、抗体を利用した医薬品(抗体医薬品)の開発も盛んに行なわれている。また、抗体は、微量物質を特異的に検出・測定する手段としても利用されており、酵素免疫測定法や蛍光免疫測定法等に用いられている。これらの測定方法は、検査薬に応用されているほか、医学・薬学・生化学分野等の研究に欠くことのできないものとなっている。
一般的な抗体の作製方法としては、マウス、ウサギ、ヒツジ等の動物に抗原を接種して免疫することによって抗血清を調製し、その抗血清からポリクローナル抗体を精製する方法、ハイブリドーマをマウス等の腹腔にて増殖させ、モノクローナル抗体を含む腹水を調製し、その腹水から抗体を精製する方法、ハイブリドーマを血清培地や無血清培地中で培養してモノクローナル抗体を含む培養液を調製し、その培養液から抗体を精製する方法等がある。
そして、上記のようにして得られた抗血清や腹水、培養液から抗体を精製する方法としては、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等の精製方法が知られている。例えば、アフィニティクロマトグラフィーには、IgGのFcフラグメントに対して結合性を有するプロテインAやプロテインGをリガンドとして固定化したゲルが広く用いられている。
これらのプロテインAやプロテインGと同じように、各種動物由来のIgGのFcフラグメントに結合性を有する多数のペプチドが、特許文献1に開示されている。特許文献1の実施例には、各種動物由来IgGのFcフラグメントを固定化したELISA用プレートを用いたスクリーニングにより、ヒトIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(特許文献1の配列表における配列番号165〜207)、ウマIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号208〜212)、ヒツジIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号213〜216)、ウサギIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号217〜220)、モルモットIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号221〜227)、ヤギIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号228〜232)、ネコIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号233〜248)、イヌIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号249〜261)、ウシIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号262〜267)、ブタIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号268〜277)、マウスIgGのFcフラグメントに結合性を示すペプチド(同配列番号278〜280)を取得することができたこと、そして、その内の2種類のペプチド(同配列番号166及び173)について、それぞれ、ペプチド固定化カラムを作成し、ヒトIgGのFcフラグメントを精製できたことが開示されている。
特開2004−189657号公報
しかしながら、特許文献1で実際に作成したペプチド固定化カラムでは、100μg/mLのFcフラグメント溶液100μLをカラム(固定化ペプチド量=1.5mg)に通したところ、約60〜95%のFcフラグメントが吸着されずに素通りしてしまい、結合活性の点で更なる改良が必要であった。
従って、本発明の課題は、従来公知の前記欠点を解消し、更に優れたFcフラグメント結合活性を有するペプチドを提供することにある。
前記課題は、本発明による、配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を示すペプチド、あるいは、その誘導体を有効成分として含む、IgG又はそのFcフラグメント結合剤により解決することができる。
本発明の結合剤の好ましい態様によれば、配列番号7で表されるアミノ酸配列が、配列番号1〜6のいずれか1つで表されるアミノ酸配列である。
また、本発明の結合剤の別の好ましい態様によれば、IgGが哺乳動物由来のIgGであり、更に好ましくはヒトIgGである。
本発明の結合剤の更に別の好ましい態様によれば、IgGがIgG1である。
また、本発明は、
配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、そのアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を示すペプチド、又はその誘導体;
前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド;
前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクター
に関する。
本発明によれば、新規のIgG又はそのFcフラグメント結合剤を提供することができる。本発明の結合剤において有効成分として用いることのできるペプチド又はその誘導体それ自体も新規化合物であり、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を有する。本発明の結合剤は、例えば、抗体(例えば、抗体医薬)の精製、微量物質の分析(検出、測定)等に用いることができるだけでなく、更には、結合剤自体を医薬用途[例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性の増強]に用いることができる。
本発明の結合剤は、有効成分として、配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性(Fcフラグメント結合活性)を示すペプチド、あるいはその誘導体を含む。
以下、本発明において有効成分として用いることのできる前記ペプチド及びそれらの誘導体を総称して「Fcフラグメント結合ペプチド」と称する。なお、本明細書における用語「ペプチド」には、オリゴペプチド及びポリペプチドの両方が含まれる。
本明細書において「Fcフラグメント結合活性」とは、IgGのFcフラグメントに特異的に結合することのできる活性を意味する。前記IgGには、各種哺乳動物、例えば、ヒト、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ヤギ、ネコ、イヌ、ウシ、ブタ、マウス等由来のIgGが含まれ、特に好ましくはヒトIgGである。また、前記IgGには、IgGの各種サブクラス、すなわち、IgG1〜IgG4が含まれ、特に好ましくはIgG1である。
或るペプチドがFcフラグメント結合活性を有するか否かは、公知方法により容易に判定することができる。例えば、Fcフラグメント(又はIgG)を適当な担体(例えば、ELISAプレート又はビーズ担体)に固定化し、前記Fcフラグメントへの結合の有無を分析する方法(例えば、後述の実施例1又は実施例3参照)、あるいは、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance;SPR)に基づく方法[例えば、ビアコア(BIACORE)システム(例えば、BIACORE 2000; BIACORE社)を用いる方法;後述の実施例2参照]により、或るペプチドがFcフラグメント結合活性を有するか否かを容易に判定することができる。
本発明において、Fcフラグメント結合ペプチドを構成するアミノ酸残基数は、Fcフラグメント結合活性を示す限り、特に限定されるものではないが、例えば、5〜100個、好ましくは5〜61個、より好ましくは5〜37個、より好ましくは5〜25個、特に好ましくは5〜13個である。前記アミノ酸配列は、それ単独でFcフラグメント結合活性を示すアミノ酸配列(基本配列)のみからなることもできるし、その繰り返し配列からなることもできる。繰り返し配列からなる場合には、1種類の基本配列のみの繰り返し配列であることもできるし、2種類以上の基本配列の組合せであることもできる。基本配列を繰り返すことにより、結合力を増大させることができる。また、結合力が弱い場合でも、ポリリジンのような反応性の高い側鎖を高密度且つ近接して持つ支持体を用いて本ペプチドを固定化し、マルチ化することで結合力を高める事ができると考えられる。このマルチ化についてはFassina, GらのIgG精製カラムを作成した方法[Fassina G et al, Protein A mimetic peptide ligand for affinity purification of antibodies. J. Mol. Recognit 1996, 9(5-6), 564-569]などを参考として挙げることができる。
「配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、Fcフラグメント結合活性を示すペプチド」には、例えば、
配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるペプチド;
配列番号7で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つFcフラグメント結合活性を示すペプチド;又は
配列番号7で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、Fcフラグメント結合活性を示すペプチド
が含まれる。
配列番号7で表されるアミノ酸配列は、
GTXXX XXXXX XX(配列番号7)
[配列中、3番目のアミノ酸XはY,V,Iであり、4番目のアミノ酸XはT,H,Kであり、5番目のアミノ酸XはS,Rであり、6番目のアミノ酸XはS,Qであり、7番目のアミノ酸XはL,Iであり、8番目のアミノ酸XはS,R,Tであり、9番目のアミノ酸XはF,H,I,Yであり、10番目のアミノ酸XはH,E,N,Mであり、11番目のアミノ酸XはT,M,Sであり、12番目のアミノ酸XはA,P,L,Dである]
である。
配列番号7で表されるアミノ酸配列としては、例えば、
GTYTS SLSFH TA(配列番号1)
GTYTR SLSHH TA(配列番号2)
GTYHS SIRIE MP(配列番号3)
GTVTS SITYN SL(配列番号4)
GTIKS SLSFH TD(配列番号5)
GTYTS QISFM TA(配列番号6)
を挙げることができる。
「配列番号7で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端(好ましくはC末端)に、適当なアミノ酸配列が付加されたアミノ酸配列からなり、且つFcフラグメント結合活性を示すペプチド」において、N末端及び/又はC末端に付加することができる前記アミノ酸配列としては、例えば、リンカー配列、マーカー配列、ポリペプチド配列、又は別のFcフラグメント結合ペプチド配列を挙げることができる。
前記リンカー配列としては、例えば、ペプチドを担体に担持させるための配列、例えば、チオール基を有するアミノ酸[例えば、システイン(L体システイン又はD体システイン)又はホモシステイン)又はアミノ基と反応しない官能基(例えば、マレイミド基)を側鎖に有するアミノ酸1個からなるリンカー配列、あるいは、少なくとも一方の末端が、チオール基を有するアミノ酸又はアミノ基と反応しない官能基を有するアミノ酸であるリンカー配列を挙げることができる。
前記マーカー配列としては、例えば、ペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGタグ、ヘキサ−ヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。
前記ポリペプチド配列としては、例えば、精製用ポリペプチド[例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)の全部又は一部]、検出用ポリペプチド[例えば、ヘムアグルチニン又はβ−ガラクトシダーゼαペプチド(LacZ α)の全部又は一部]、又は発現用ポリペプチド(例えば、シグナル配列)などを挙げることができる。
「配列番号7で表されるアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、Fcフラグメント結合活性を示すペプチド」において、欠失、置換、及び/又は付加することのできるアミノ酸の個数は、好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜6個、更に好ましくは1〜4個、更に好ましくは1〜3個、更に好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個である。
本明細書において、ペプチドの機能を維持するために置換されるアミノ酸は、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、以下に示すような各グループに属するアミノ酸は、そのグループ内で互いに似た性質を有するアミノ酸である。これらのアミノ酸をグループ内の他のアミノ酸に置換しても、タンパク質の本質的な機能は損なわれないことが多い。このようなアミノ酸の置換は、保存的置換と呼ばれ、ポリペプチドの機能を保持しつつアミノ酸配列を変換するための手法として公知である。
非極性アミノ酸:Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、及びTrp
中性アミノ酸:Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、及びGln
酸性アミノ酸:Asp及びGlu
塩基性アミノ酸:Lys、Arg、及びHis
本発明において有効成分として用いることのできる「配列番号7(好ましくは、配列番号1〜6)で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、Fcフラグメント結合活性を示すペプチドの誘導体」は、前記ペプチドの誘導体であって、且つ、Fcフラグメント結合活性を示す限り、特に限定されるものではない。このような誘導体としては、例えば、ペプチドの安定性を向上させる各種修飾を施したペプチド誘導体を挙げることができる。前記修飾としては、例えば、L体アミノ酸のD体化(例えば、N末端アミノ酸のD体化、C末端アミノ酸のD体化、N末端及びC末端以外のアミノ酸のD体化)、N末アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然型アミノ酸の(性質の類似した)非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組合せを挙げることができる。
本発明による結合剤の有効成分であるFcフラグメント結合ペプチドは、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を有するため、本発明の結合剤は、例えば、IgG(例えば、抗体医薬)の精製、分析対象物質に対するIgGとの併用による微量物質の分析、医薬[例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の活性増強剤]の用途に使用することができる。
本発明の結合剤を用いてIgGの精製を行う場合には、Fcフラグメント結合ペプチドそれ自体を単独で、好ましくは、適当な担体に結合した状態で使用することができる。前記担体としては、例えば、シリカビーズ、アガロースビーズ、セルロースビーズ、磁気ビーズ、又はガラスファイバー等を用いることができる。Fcフラグメント結合ペプチドと担体との結合は、例えば、ジスルフィド結合による結合、あるいは、担体のマレイミド基を利用したマレイミド法などにより実施することができる。
本発明の結合剤を用いて微量物質の分析を行う場合には、例えば、Fcフラグメント結合ペプチドに適当な標識物質(例えば、色素、蛍光化合物、発光化合物、酵素)を付加しておき、分析対象物質を含む可能性のある被検試料と、前記分析対象物質に対する抗体と、標識化Fcフラグメント結合ペプチドとを接触させ、分析対象物質/抗体/標識化Fcフラグメント結合ペプチドの複合体を分析することにより、被検試料中の微量物質の分析を行うことができる。
本発明の結合剤を医薬として使用する場合には、例えば、ペプチドそれ自体を単独で、あるいは、所望により薬剤学的若しくは獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、動物、好ましくは哺乳動物(特にはヒト)に投与することができる。また、この場合、ペプチドに代えて、ペプチドをコードするポリヌクレオチド(好ましくは、前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクター)を用いることもできる[例えば、Gene Ther., Development of safe and efficient novel nonviral gene transfer using ultrasound: enhancement of transfection efficiency of naked plasmid DNA in skeletal muscle., 2002 Mar;9(6):372-80]。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1:ファージディスプレイ法によるIgG及びFcフラグメント結合ペプチドのスクリーニング》
本実施例では、ファージディスプレイ法により、ヒトIgG及びヒトFcフラグメントの両方に結合性を有するペプチドのスクリーニングを行った。
ファージディスプレイ法で用いるライブラリーとして、M13ファージの表面のマイナータンパク質pIIIのN末端にペプチドがランダムに呈示されるライブラリー(呈示されるランダムアミノ酸数が12個のペプチドライブラリー)を、Smith, G. P., Science, 288, 1315-1317(1985)、J. K. Scott and G. P. Smith, Science, 249, 386-390(1990)、及び米国特許第5,223,409号明細書(Ladnerら)の記載に基づいて作製した。また、ファージライブラリーのターゲット(IgG、IgG1、Fcフラグメント)に対する結合性は、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により判定した。具体的な操作は、特開2004−189657号公報の記載に準じて実施した。
各種スクリーニングの結果を表1〜表4に示す。表1〜表4に示す数値は、吸光度比(サンプル吸光度/ブランク吸光度)である。
表1は、IgGを含まないウシ血清アルブミン(IgG-free BSA)でブロッキングを行ったこと以外は、特開2004−189657号公報に準じて実施したスクリーニングにおける結果である。
表2は、CHO(Chinese hamster ovary)細胞用培地中で行ったこと以外は、特開2004−189657号公報に準じて実施したスクリーニングにおける結果である。
表3は、特開2004−189657号公報に準じたスクリーニングにおける結果である。
表4は、ヒトIgGのFcフラグメントとして、製造方法の異なる各社のFcフラグメント[ATHENS RESERCH & TECHNOLOGY (ART) 社製、CHEMICON International (CMN) 社製、PROTOS IMMUNORESERCH (PIR) 社製]を使用したこと以外は、特開2004−189657号公報に準じて実施したスクリーニングにおける結果である。
これらのスクリーニングの結果、ヒトIgG及びヒトFcフラグメントの両方に結合性を有するペプチドとして、配列番号3〜6の4種類のアミノ酸配列が得られた。
《表1》
配列番号 3 4 5
IgG 3.67 1.66 2.63
IgG1 3.33 1.33 1.72
Fc 5.14 6.02 9.68
《表2》
配列番号
ロットNo. 1 2 3 4 5 1 2 3
IgG 1.29 1.12 1.26 1.30 1.33 1.45 1.36 1.71
Fc 9.78 8.84 12.23 5.46 9.67 5.53 6.03 4.81
《表3》
配列番号
ロットNo. 1 2 3 1 2 3
IgG 1.49 7.62 7.32 9.70 7.04 1.57
Fc 5.02 11.04 7.91 49.00 46.27 17.41
《表4》
配列番号
ロットNo. 1 2
Fc(ART製) 19.22 15.84
Fc(CMN製) 34.00 24.05
Fc(PIR製) 28.94 30.61
《実施例2:IgG及びIgG1に対する結合能の確認》
実施例1で得られた配列番号3〜6のアミノ酸配列に基づいて、配列番号1及び2の2種類のアミノ酸配列を設計した。
本実施例では、配列番号1〜3で表されるアミノ酸配列を含むペプチドのヒトIgG又はヒトIgG1に対する結合能を、ビアコア(BIACORE)システム(BIACORE 2000; BIACORE社)を用いて確認した。なお、センサーチップへのペプチドの固定には、配列番号1〜3のアミノ酸配列のC末端にシステインを付加したペプチドを合成し、そのシステインのチオール基を介して固定した。
ヒトIgGに対しては、配列番号1で表されるアミノ酸配列の解離定数(KD)値は10−9であり、配列番号2又は3で表されるアミノ酸配列のKD値は10−8であった。ヒトIgG1に対しては、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列のKD値は10−8であり、配列番号3で表されるアミノ酸配列のKD値は10−10であった。いずれのペプチドも高いKD値を示し、ヒトIgG及びヒトIgG1に強く結合することが確認された。
《実施例3:ペプチド固定化カラムによるIgG1の回収》
抗体医薬として使用されるIgGサブタイプは、主にIgG1である。実施例2においてヒトIgG1に対して最も優れた結合活性を示した配列番号3で表されるアミノ酸配列からなるペプチドに関して、ペプチド固定化カラムを調製し、IgG1の回収能を評価した。
(1)ペプチド固定化カラムの調製
セルロースビーズ(セルファイン;チッソ)100μLをカラムに量りとり、カップリングバッファー(50mmol/L Tris-HCl, 5mmol/L EDTA・2Na, pH 8.5)で平衡化した。配列番号3のアミノ酸配列のC末端にシステインを付加したペプチド3.1mgをジメチルスルホキシド(DMSO)100μLに溶解し、カップリングバッファーで6mLに調整した後、カラムに全量を移した。密閉した後、撹拌しながら室温で一晩反応させた。カップリングバッファー5mLを通流した後、システイン3mgをカップリングバッファー3mLに溶解して、カラムに移した。密閉した後、撹拌しながら室温で3時間反応させた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)10mLを通流した後、パスツールカラムに全量を移した。ベット高は100mmであった。
(2)IgG1溶液の回収
得られたカラムをPBS2mLで平衡化した後、PBSをビーズ上面まで排出し、IgG1溶液100μLをビーズ上面に流し込んだ。前記IgG1溶液としては、500μg/mL濃度になるように、IgG1(CALBIOCHEM社; 400120)をPBSに溶解したものを使用した。自然流下(1ドロップ=20μL/90秒=13mm/分)にて通流後の溶液を96ウェルプレートに回収(1ドロップ/ウェル)した。IgG1溶液がビーズ上面まで流れたら、PBS500μLをビーズ上面に流し込み、同じく自然流下にて通流した溶液を回収した。PBSがビーズ上面まで流れたら、溶出液(0.2mol/L グリシン-HCl, pH 2.2)500μLをビーズ上面に流し込み、同じく自然流下にて通流した溶液を回収した。中性になるまでPBSを通流させ、通流液を回収した96ウェルプレートにブラッドフォード(Bradford)溶液100μL/ウェルを添加し、吸光度(450nm)を測定した。なお、ブラッドフォード溶液は、クーマシーブリリアントブルー(CBB)5mgをエタノール2.5mLに溶解させ、リン酸5mLを加えて、CBBが完全に溶解したことを確認後、脱イオン水(Milli-Q)で50mLに調整することにより調製した。
結果を図1に示す。図1において、矢印Aは、IgG1溶液の添加を示し、矢印Bは、PBSの添加(洗浄)を示し、矢印Cは、溶出液の添加を示す。
図1に示すように、ペプチド3.1mgを固定化したカラムにおいて、添加したIgG1 50μgの全てがカラムに吸着された。特開2004−189657号公報(特許文献1)に記載の実施例では、ペプチド1mgを固定化したカラムにおいて、Fcフラグメント10μgを添加したところ、約60〜95%のFcフラグメントが吸着されずに素通りしており、本発明のペプチドの結合活性が極めて優れていることが確認された。
本発明の結合剤は、例えば、抗体(例えば、抗体医薬)の精製、微量物質の分析(検出、測定)、医薬用途(例えば、ADCC活性の増強)等の用途に適用することができる。
配列表の配列番号1〜7の配列で表される各アミノ酸配列は、Fcフラグメント結合ペプチドである。
配列表の配列番号7の配列で表されるアミノ酸配列において、3番目のアミノ酸「Xaa」はY,V,Iであり、4番目のアミノ酸「Xaa」はT,H,Kであり、5番目のアミノ酸「Xaa」はS,Rであり、6番目のアミノ酸「Xaa」はS,Qであり、7番目のアミノ酸「Xaa」はL,Iであり、8番目のアミノ酸「Xaa」はS,R,Tであり、9番目のアミノ酸「Xaa」はF,H,I,Yであり、10番目のアミノ酸「Xaa」はH,E,N,Mであり、11番目のアミノ酸「Xaa」はT,M,Sであり、12番目のアミノ酸「Xaa」はA,P,L,Dである。
ペプチド固定化カラムによるIgG1の吸着及び溶出パターンを示すクロマトグラムである。

Claims (8)

  1. 配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、前記アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を示すペプチド、あるいは、その誘導体を有効成分として含む、IgG又はそのFcフラグメント結合剤。
  2. 配列番号7で表されるアミノ酸配列が、配列番号1〜6のいずれか1つで表されるアミノ酸配列である、請求項1に記載の結合剤。
  3. IgGが哺乳動物由来のIgGである、請求項1又は2に記載の結合剤。
  4. IgGがヒトIgGである、請求項3に記載の結合剤。
  5. IgGがIgG1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の結合剤。
  6. 配列番号7で表されるアミノ酸配列、あるいは、そのアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、IgGのFcフラグメントに対する結合活性を示すペプチド、又はその誘導体。
  7. 請求項6に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  8. 請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
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