JP2008259758A - 刺激応答計測装置及び刺激応答計測方法 - Google Patents

刺激応答計測装置及び刺激応答計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】動物の鬱状態の定量的な評価を実現できるようにする。
【解決手段】被計測対象動物200に対して刺激棒13で刺激を与え、被計測対象動物200が刺激棒13に対して起こした行動に基づく振動を加速度センサー14で検出し、この加速度センサー14で検出した振動に基づいて、被計測対象動物200の刺激棒13による刺激に対する応答量を計測・指令装置30で計測するようにする。これにより、被計測対象動物200の鬱状態を定量的に評価することが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、被計測対象動物に対して刺激を与え、その応答を計測する刺激応答計測装置及び刺激応答計測方法に関するものである。
従来より、動物の行動を解析する方法として、様々な解析システムが提案されている。例えば、下記の特許文献1及び特許文献2には、モデルとなる動物の撮影を行い、撮影した時系列の映像データを用いて、動物の行動を解析する方法が提案されている。
特開2006−75138号公報 特開2004−89027号公報
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2は、単に動物の行動を観察し、解析するものであったため、動物の刺激に対する行動を観察することができなかった。
また、一般に、動物の刺激に対する皮膚感覚には、温痛覚、識別性触圧覚及び粗大触圧覚(機械的接触等に対する触覚)がある。これらの感覚は、皮膚においてそれぞれ異なる終末受容器によって受容され、異なる神経細胞により中継され、そして異なる神経伝導路によって大脳皮質感覚野へ伝えられる。したがって、これらの3つの触覚は異なる感覚として明確に区別されている。
現在、上述した温痛覚に対する実験動物の応答を解析する計測装置としては、すでに多くのものが市販されており、それらを用いた計測手法が確立され、様々な研究が行われている。これに対して、粗大触圧覚に対する応答行動を対象にした行動学的研究は、あまり行われていない。これは、粗大触圧覚は、温痛覚や識別性触圧覚と比較して臨床的に重要視されることが少なかったことが背景にあると考えられる。
この粗大触圧覚刺激は、放置していても傷害を受けることがない非侵害性の刺激であると考えられ、粗大触圧覚刺激に対する応答の有無は辺縁系の状態、即ち、動物の精神状態に強く影響を受けると考えられる。例えば、人間は、些細なストレス刺激に対し、心の落ち着きがあれば冷静に判断し対応するが、心の状態が不安定であると時に過剰な応答を起こすことがある。このことは、他の動物でも同じであると考えられ、脳内環境が安定していない動物、即ち、精神的に苛立ちのある鬱状態の動物では、些細な刺激に対して過敏な応答行動を起こすことが多い。
即ち、従来の技術では、この動物の鬱状態を定量的に評価することが困難であるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、動物の鬱状態の定量的な評価を実現する刺激応答計測装置及び刺激応答計測方法を提供することを目的とする。
本発明の刺激応答計測装置は、被計測対象動物に対して刺激を与える刺激棒と、前記被計測対象動物に前記刺激棒による刺激を与えた際に、前記被計測対象動物が前記刺激棒に対して起こした行動に基づく振動を検出する検出手段と、前記検出手段で検出した振動に基づいて、前記被計測対象動物の前記刺激に対する応答量を計測する計測手段とを有する
本発明の刺激応答計測方法は、被計測対象動物に対して刺激棒を用いて刺激を与える刺激ステップと、前記被計測対象動物に前記刺激棒による刺激を与えた際に、前記被計測対象動物が前記刺激棒に対して起こした行動に基づく振動を検出する検出ステップと、前記検出ステップで検出した振動に基づいて、前記被計測対象動物の前記刺激に対する応答量を計測する計測ステップとを有する。
本発明によれば、被計測対象動物の鬱状態を定量的に評価することができる。
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置の外観を示す写真である。
図1に示すように、本実施形態の刺激応答計測装置100は、刺激・検出装置10と、制御装置20と、A/Dコンバータを内蔵した計測・指令装置30と、表示装置40と、操作入力装置50を有して構成されている。
刺激・検出装置10は、被計測対象動物を収容し、当該被計測対象動物に対して刺激を与えると共に、当該刺激に対して被計測対象動物が起こした行動に基づく振動を検出する。この刺激・検出装置10の詳細については、後述する。
制御装置20は、計測・指令装置30からの指令に従って、刺激・検出装置10による被計測対象動物に対する刺激の速度や、その間隔、その回数等を直接制御する。また、制御装置20は、その内部にアンプを具備しており、刺激・検出装置10から送られてくるアナログ信号(検出信号)を当該アンプで増幅し、増幅したアナログ信号を計測・指令装置30へ伝えるものである。
計測・指令装置30は、制御装置20から送られてくるアナログ信号を、内蔵するA/Dコンバータでデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に基づいて被計測対象動物の刺激に対する応答(反応)を定量的に計測すると共に、刺激応答計測装置100の駆動を統括的に制御する。
表示装置40は、計測・指令装置30による制御に基づいて、計測結果を表示したり、
各種の情報を表示したりする。
操作入力装置50は、図1に示す例では、マウス50a及びキーボード50bを具備して構成されており、計測・指令装置30に対して計測者からの指示を入力信号として入力する。
図2は、本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置の概略構成を示す模式図である。ここで、図1に示す構成と同様の構成については、同じ符号を付している。この図2には、図1に示す刺激・検出装置10の内部の詳細な構成が示されている。
図2に示すように、刺激・検出装置10は、動物用ケージ10a、刺激発生・検出機構部10b、及び、振動吸収マット10cにより構成されている。
動物用ケージ10aには、被計測対象動物200を収容する動物用チャンバー11と、動物用チャンバー11内で被計測対象動物200を収容する領域を画定する可動式シャッター12が配設されている。ここで、図2には、被計測対象動物200の一例としてマウスが示されている。また、動物用ケージ10aと刺激発生・検出機構部10bに跨って、動物用チャンバー11内に収容された被計測対象動物200に対して接触刺激等を与える刺激棒13が設けられている。
刺激発生・検出機構部10bには、刺激棒13により被計測対象動物200に刺激を与えた際に、被計測対象動物200が刺激棒13に対して起こした行動に基づく振動を検出する検出手段である加速度センサー14と、刺激棒13及び加速度センサー14が固定され、これらを支持する支持体15と、刺激棒13及び加速度センサー14を支持する支持体15を左右の水平方向に移動させるためのスライドレール16と、スライドレール16を用いて支持体15を水平移動させて刺激棒13を左右に水平移動させると共に、支持体15を垂直移動させて刺激棒13を上下に垂直移動させる刺激棒駆動装置17が構成されている。ここで、加速度センサー14は、図2に示すように、刺激棒13に取り付けられて構成されている。
振動吸収マット10cは、刺激発生・検出機構部10bの直下に設けられ、例えば、刺激棒駆動装置17による振動等のノイズを低減させるために備えられている。具体的に、振動吸収マット10cは、刺激棒駆動装置17を載せるものと、コの字型に形成され刺激・検出装置10の筐体を載せるものとの2枚で構成されており、これらは互いにわずかな隙間を隔てて独立して配置されている。即ち、刺激棒駆動装置17は、動物用ケージ10aとは独立していて接触しておらず、被計測対象動物200は、刺激棒13にだけに接触するように構成されており、余分な振動を拾わないように設計されている。
刺激・検出装置10では、被計測対象動物200の身繕いや体位変換などの自発行動を検出しないように、動物用チャンバー11と刺激発生・検出機構部10bは直接接触しない構造となっている。動物用チャンバー11に刺激棒13が上昇して被計測対象動物200に触れる等することにより、被計測対象動物200が刺激棒13に対して応答行動を起こす時、即ち被計測対象動物200が刺激棒13を払い除けたり噛みついたりした時に、その振動が加速度センサー14で検出される仕組みとなっている。このような観点から、本実施形態では、以下に示す刺激・検出装置10を構成するようにした。
(動物用チャンバー11)
図3及び図4は、本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置に用いる動物用チャンバーの外観の一例を示す写真である。具体的に、図3は、動物用チャンバー11を底面側から撮影した写真であり、図4(a)は、動物用チャンバー11を前面側から撮影した写真、図4(b)は、動物用チャンバー11を側面側から撮影した写真である。
動物用チャンバー11は、図3及び図4に示すように、被計測対象動物200を収容するための収容部と、当該動物用チャンバー11を刺激・検出装置10の筐体に固定するための天板から構成される。この際、収容部は、被計測対象動物200が常に中央に位置するように円筒形にして構成する。また、収容部の底面には、刺激棒13を通過させるための2本の縦孔(例えば、幅5mm程度、長さ50mm程度)が形成されている。また、収容部には、可動式シャッター12を挿入するための横孔が、その両端にそれぞれ3つずつ形成され、被計測対象動物200の大きさ等に合わせて収容部の広さが調節できるようになっている。図3には、例えば、被計測対象動物200としてマウスを用いる際の収容部として、Aに直径40mm程度のadult用と、Bに直径30mm程度のyoung adult用の2サイズのものが示されている。また、例えば、被計測対象動物200としてラットを用いる際の収容部としては、子供のラットの場合には直径60mm程度のものが用いられ、大人のラットの場合には直径80mm〜90mm程度のものが用いられる。いずれにしても、動物用チャンバー11の収容部は、被計測対象動物200の大きさに応じて適宜変更可能である。ここで、収容部は、被計測対象動物200が収容部内でかろうじて向きを変えることができる広さのものを用いるようにする。また、動物用チャンバー11及び可動式シャッター12は、被計測対象動物200の様子が外から分かるように、例えば、アクリル製のものを用いる。
(刺激棒駆動装置17及び刺激棒13)
刺激棒駆動装置17は、刺激棒13を等速直線運動で駆動させる装置である。被計測対象動物200に接触させる刺激棒13は、例えば、動物用チャンバー11の長軸に対して垂直に2本設けられ、それぞれ2つの縦孔を1本ずつ通過するように、上向きに、約15mm間隔で取り付けられている。
刺激棒13としては、例えば、直径3mm程度、長さ50mm程度の金属棒で形成し、また、被計測対象動物200に痛覚を与えることがないように、先端を球状に削ったものを使用する。刺激棒駆動装置17による刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、例えば、40mm/s、55mm/s、70mm/s、85mm/s、100mm/s及び115mm/sの6段階の可変式とし、この制御は、例えば、計測者により操作入力装置50を介して入力された入力信号に基づいて、計測・指令装置30により制御される。そして、刺激棒駆動装置17では、例えば、刺激棒13を自動的に、動物用チャンバー11の底面の縦孔から、動物用チャンバー11内に等速直線運動で上昇させるように設定されている。
そして、刺激棒駆動装置17は、刺激棒13が、被計測対象動物200の腹側からゆっくりと上昇し、被計測対象動物200の腹側面(後肢、腹部、前肢、頸部、下顎のいずれか)に接触するように駆動する。また、刺激棒駆動装置17では、被計測対象動物200に過度の圧迫を与えないように、刺激棒13が動物用チャンバー11の底面から10mm以内の位置で停止するように設定する。また、刺激棒駆動装置17による刺激棒13の上昇時間、上昇(刺激)間隔、上昇回数は、例えば、計測者により操作入力装置50を介して入力された入力信号に基づいて、計測・指令装置30により自動制御され設定される。
また、上述した説明では、刺激棒駆動装置17は、支持体15をスライドレール16上に水平移動させて刺激棒13を左右に水平移動させるようにしたが、例えば、刺激棒駆動装置17は、刺激棒13を上下の垂直方向にのみ駆動させ、刺激棒13の左右の水平方向への移動は、手動で行えるようにした形態であってもよい。いずれにせよ、被計測対象動物200が動物用チャンバー11内で体位を変えるため、被計測対象動物200の位置に合わせて刺激棒13を水平方向に移動できるように構成することは必須である。なお、後述する実験では、被計測対象動物200の温冷覚を刺激しないように、実験室内の室温を24±2℃に維持するようにし、また、刺激・検出装置10は、実験開始の1時間以上前に実験室内に設置し、刺激棒13の温度を管理するようにした。
(加速度センサー14)
刺激棒13を動物用チャンバー11の底面からゆっくり上昇させて被計測対象動物200の腹部又は後肢に接触させることにより、被計測対象動物200はその接触刺激を嫌がって、刺激棒13を後肢で払いのけようとする行動(払い除け行動)を起こすことがある。また、被計測対象動物200の顔の近くに刺激棒13を上昇させると、刺激棒13に攻撃を加える行動(攻撃行動あるいは噛みつき行動)を起こすことがある。
正常な動物では、このような刺激に対して、あまり顕著な応答を示さないことが多いが、鬱状態の鬱モデル動物では、激しく「払い除け行動」や「攻撃行動」を起こすことが多い。本実施形態の刺激応答計測装置100では、被計測対象動物200が、刺激棒13を蹴ることや、あるいは、刺激棒13に噛みついた際の振動を検出するための加速度センサー14を、刺激棒13に直接取り付けて構成している。
加速度センサー14で検出された、刺激棒13の振動に係る検出信号(加速度センサー14に生じる誘導電流)は、制御装置20を介して計測・指令装置30に入力され、内蔵するA/Dコンバータでアナログ/デジタル変換される。そして、計測・指令装置30では、加速度センサー14で検出された振動に基づいて、被計測対象動物200の刺激に対する応答(反応)を定量的に計測する。具体的に、計測・指令装置30では、加速度センサー14で検出された振動の大きさに係る物理量(ここでは、加速度センサー14に生じる誘導電流の電位差)と、その継続時間の積(電位差×時間:V・ms)を計算することにより、被計測対象動物200の刺激に対する応答(反応)を定量的に計測するようにしている。そして、本実施形態の刺激応答計測装置100では、計測結果を、表示装置40に表示して、被計測対象動物200の接触刺激等に対する応答行動を定量的に評価するようにし、更には被計測対象動物200の鬱状態を定量的に評価できるようにしている。例えば、表示装置40には、縦軸に誘導電位差(V)、横軸に時間(ms)をパラメータとする波形が表示され、刺激から応答までの時間(潜時)、応答時間、応答強度、払い除け行動又は攻撃行動の回数の解析を行えるようになっている。また、例えば、表示装置40には、縦軸に応答量(反応量)(V・ms)、横軸に時間や刺激棒13の駆動速度(上昇速度)をパラメータとする波形が表示され、被計測対象動物200の接触刺激等に対する応答行動を定量的に評価できるようになっている。
刺激棒13に取り付けた加速度センサー14は、被計測対象動物200の「払い除け行動」や「攻撃行動」の強さを検出するのに優れる長所を有するが、その一方で、例えば、刺激棒駆動装置17による振動を検出するという欠点も有する。そこで、加速度センサー14の効果的な設置場所を調べることを目的として、動物用チャンバー11の天板にも加速度センサー14を設置し、動物用チャンバー11の全体の振動量を計測する試みを行った。
その結果、動物用チャンバー11の天板の固定部に設置した加速度センサー14は、刺激棒駆動装置17による振動は除外することができたが、逆に、身繕いや体位変換などの被計測対象動物200の自発行動に伴うエネルギーによる振動も敏感に検出してしまい、被計測対象動物200の「払い除け行動」や「攻撃行動」を正確に検出できないことが分かった。そこで、本実施形態では、この両者を総合的に比較した結果、被計測対象動物200の「払い除け行動」や「攻撃行動」の検出精度が高い、刺激棒13に加速度センサー14を直接取り付ける方法を適用する形態とした。以下では、刺激棒13に加速度センサー14を取り付けた刺激応答計測装置100による実験結果及び実験の評価である。
以下に、刺激応答計測装置100の動作試験による適切な刺激条件について説明する。
[加速度センサー14の感度]
加速度センサー14の感度は、例えば、計測者により操作入力装置50を介して入力された入力信号に基づいて、計測・指令装置30により、制御装置20内部のアンプの増幅幅を切り替えることで変更することが可能である。この際、制御装置20内部のアンプによる増幅幅を大きくして加速度センサー14の感度を敏感にすれば、加速度センサー14は、被計測対象動物200の応答だけではなく刺激棒駆動装置17などから発せられる振動も敏感に検出することになる。そこで、加速度センサー14の感度を10段階に切り替えて、刺激棒13の上昇の際に発生する振動(ノイズ)の大きさを測定し、実際に被計測対象動物200が刺激棒13に対して起こした行動に基づく振動の計測を行う際に用いる適切な感度を決める試みを行った。
刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、後述の実験データを参考にして、40mm/sと85mm/sの2段階で行った。その測定は、各感度ごとに10回行い、それぞれの平均値及び標準偏差を算出した。
図5は、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を40mm/sと85mm/sとした際の加速度センサー14の各感度1〜10におけるノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図5では、横軸に10段階の加速度センサー14の各感度1〜10を示し、縦軸にノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図5には、そのノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
図5に示す測定結果から、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が40mm/sと85mm/sのいずれの場合においても、加速度センサー14で検出されるノイズ量の大きさは、感度8まではほぼ一定に推移したが、感度9でやや増加し、感度10で著しく増加する結果となった。また、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が40mm/sと85mm/sにおけるノイズ量は、感度9まではほぼ同じレベルで推移し、感度10において、上昇駆動速度(上昇速度)が85mm/sの場合のノイズ量が駆動速度(上昇速度)が40mm/sの場合のノイズ量に比べて増加する結果となった。以上の測定結果から、加速度センサー14の感度は、本例の場合、感度8以下に設定することが適切であると評価できる。
[刺激棒13の駆動速度(上昇速度)]
次に、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)とノイズ量の関係を調べるための測定を行った。上述した加速度センサー14の感度についての測定結果を参考にして、加速度センサー14には、感度7を設定し、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)とノイズ量の関係を測定した。また、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、40mm/s、55mm/s、70mm/s、85mm/s、100mm/s及び115mm/sの6段階とし、各駆動速度(上昇速度)ごとに50回の刺激棒50を上昇駆動を行い、ノイズ量の平均値及び標準偏差を算出した。
図6は、刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)におけるノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図6では、横軸に6段階の刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を示し、縦軸にノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図6には、そのノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
図6に示す測定結果から、ノイズ量の大きさは、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が85mm/sまではほぼ一定に推移したが、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が100mm/s及び115mm/sにおいて2倍以上に増加する結果となった。刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が100mm/s以上では、刺激棒駆動装置17による振動が刺激棒13に共鳴し、ノイズ量が急激に増加したものと考えられる。以上の結果から、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、85mm/sに設定することが適切であると評価できる。
(被計測対象動物200として使用したマウス)
次に、被計測対象動物200としてマウスを用いた実際の実験について説明する。
実験に際しては、2種類の鬱モデルマウスを作製した。そして、これらの鬱モデルマウスと正常マウスについて、本実施形態の刺激応答計測装置100を用いて接触刺激等と計測を行い、マウスの刺激に対する応答の行動の定量化の試みを行った。
−第1の鬱モデルマウス−
第1の鬱モデルマウスとしては、ダイオキシン投与による鬱モデルマウスを作製した。この際、マウスとしてはddY系マウスを使用した。雌雄各5匹の正常なマウスを標準的なプロピレン製の飼育ケージに入れ、自由環境で飼育した。マウスの飼育ケージは常に室温23±2℃、相対湿度約60%に維持し、午前7時から午後7時までの12時間照明し、また、餌と水は自由に摂取させた。
上述した環境下で1ヶ月間以上飼育した雌雄のマウスを交配し、妊娠・出産させて産仔を得た。出産後直ちに雄マウスを飼育ケージから分離し、母マウスと産仔だけを飼育ケージに残した。産後0日から4日の母マウス(n=5)に、局方オリーブオイルに溶解したダイオキシン(Accu Standard, Inc., D-404N, 2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin:TCDD)を毎日1回(午前10時〜12時の時間帯)、100μg/kg(合計500μg/kg)を経口投与した。この母マウスに産仔を母乳飼育させ、母乳を介してダイオキシンを産仔に摂取させた。ダイオキシンの投与量は、投与前に母マウスのその日の体重を測定して決定した。産仔は、上述した標準飼育環境で飼育を継続し、誕生日を生後0日として数えて生後28日目まで母マウスと同じ飼育ケージで飼育した。その後、雌雄を分離して飼育(4匹から7匹のグループ飼育)を行った。
一般に、胎盤・母乳を介してダイオキシンを摂取したマウス産仔の多くに触覚過敏や攻撃性を主症状とする行動異常(鬱症状)が出現することが分かっている。症状の発現は、生後2週から3週の頃で、一時期症状が軽減するマウスも存在したが、生後6週以後に症状が強まる個体が多かった。この過敏症状は少なくともしばらくの間(少なくとも数週間から十数週間)継続した。鬱症状の大きさには個体差が認められたが、本実験では払い除け行動、攻撃行動、潜隠行動、回避行動が強く現れたマウスを第1の鬱モデルマウスとして認定し、実験に使用した。
−第2の鬱モデルマウス−
第2の鬱モデルマウスとしては、隔離飼育による鬱モデルマウスを作製した。正常なマウスを個室に長期間(1ヶ月以上)隔離飼育したところ、ほとんどのマウス(24例中22例:91.7%)に精神不安定な状態(鬱症状)が現れた。その症状は、潜隠行動の頻度が低いことを除けば、ほぼダイオキシンを摂取した第1の鬱モデルマウスと同じである。即ち、身体に触れる軽い接触刺激に対して後肢で激しい払い除け行動を起こすか、あるいは回避行動をとる。身動きができない狭い場所では、顔面付近に提示された物体に対し攻撃行動を起こす。この隔離ストレスマウスは、一般に、脳内の神経伝達物質や血液の生化学的変化から、鬱モデルマウスと考えられている。
次に、これらの鬱モデルマウスと正常マウスを用いた実験結果について説明する。
実際にマウスを動物用チャンバー11内に入れ、刺激棒13で刺激して、以下の実験を行った。実験には、ダイオキシン投与により作製された第1の鬱モデルマウス、隔離飼育により作製された第2の鬱モデルマウス、及び、正常マウスを用いた。これらのマウスを過剰に刺激しないように配慮しつつ、マウスを動物用チャンバー11内に導き、刺激・検出装置10に収容した。
図7は、被計測対象動物200のマウスが刺激・検出装置10の動物用チャンバー11に収容された様子を示す写真である。この図7には、2つの刺激棒13の上方に配置された動物用チャンバー11に被計測対象動物200のマウスが収容されている様子が示されている。また、動物用チャンバー11の両端に設置された可動式シャッター12により、動物用チャンバー11内で被計測対象動物200のマウスを収容する領域を画定している。
本実験では、上述した図5及び図6の測定結果を参考にして、加速度センサー14の感度は7に設定し、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、40mm/s、55mm/s、70mm/s及び85mm/sの4段階で実験を行った。実験は、マウスが動物用チャンバー11内で落ち着いた状態になるまで待って開始した。
図8は、被計測対象動物200のマウスに対して刺激棒13を接触させる位置を示す模式図である。
本実験では、図8に示すように、マウスの後肢レベル1、前肢レベル2、頭部レベル3に刺激棒13を上昇させ、マウスの刺激棒13に対する応答の様子を観察し、その応答量(反応量)を計測した。
図8に示す後肢レベル1の刺激では、上昇した刺激棒13は、マウスの後肢又は腹部に触れた後、後肢又は腹部を軽く押し上げて停止する。正常マウスでは、刺激棒13の接触を無視することが多かったが、時に足を持ち上げて刺激棒13から離れる行動を取ることもあった。第1及び第2の鬱モデルマウス(ダイオキシン投与群及び隔離飼育群)では、刺激棒13の接触を極端に嫌がり、ほとんどの刺激において後肢で刺激棒13を払い除けようとする動作を起こした。この払い除け行動とは、身体に接触する物体を連続して数回、後肢で激しく後方に蹴る動作である。払い除け行動を起こしたマウスは、多くの場合、刺激棒13を直接蹴ったが、刺激棒13の後方で空振りする場合もあり、その場合は、計測値は低値を示した。そこで、後述する「刺激に対する慣れ」の問題も併せて検討した結果、本実験では、連続12回、1分間の刺激による計測法を採用した。後肢レベル1の払い除け行動は、正常マウスにはほとんど見られない鬱動物にほぼ特有の行動である。したがって、後肢レベル1の刺激は、鬱動物のスクリーニング及び鬱症状の定量化に有用であると判断できる。
図8に示す前肢レベル2の刺激では、上昇した刺激棒13は、前肢又は胸部下方からマウスに触れ、前肢又は胸部を軽く押し上げて停止する。正常マウスは、この前肢レベル2の刺激に対して、強く応答することはなく、刺激棒13に対してまったく無関心でいるか、時に前肢を刺激棒13から離す行動を取った。これに対して、第1及び第2の鬱モデルマウスでは、刺激棒13の接触を激しく嫌い、逃避しようとして全身で暴れたり、刺激棒13を避けて動物用チャンバー11内で向きを変えたり、また刺激棒13に噛みつくなど、多様な積極的行動を取った。各鬱モデルマウスの刺激に対する応答量(反応量)は、行動の取り方により大きな差が認められた。計測された応答量(反応量)は、正常マウスに比較して、非常に大きな数値を示したので、前肢レベル2の刺激は、鬱動物をスクリーニングするのには優れていると考えられるが、動物の応答態様により応答量(反応量)にばらつきがあることから、定量化には向かない刺激であることが示唆された。
図8に示す頭部レベル3の刺激では、上昇した刺激棒13は、マウスの下顎に触れ下から頭部を軽く押し上げるか、顔の横又は前を上昇し、停止する。正常マウスでは、このように顔付近に刺激棒13を上昇させた時、最初の数回は、刺激棒13に興味を示して軽く噛みついたり、臭いを嗅いだり、刺激棒13を嫌って顔の位置を変えたり、身体の向きを変えることもあった。しかし、まもなく刺激に興味を示さなくなり、刺激棒13を無視することが多くなった。これに対して、第1及び第2の鬱モデルマウスでは、実験の開始から実験終了まで終始上昇してくる刺激棒13に対して噛みつく攻撃行動を取った。刺激棒13に対する無関心は実験時間中(最長8分間48回)には観察されなかった。このような攻撃行動は、鬱モデルマウスに特徴的な行動であると考えられ、鬱動物のスクリーニング及び鬱症状の定量化に有用であると判断できる。
以上の測定結果により、鬱動物のスクリーニング及び鬱症状の定量化には、図8の後肢レベル1の刺激と頭部レベル3の刺激が有用であることが判明した。次に、この各レベルの鬱モデルマウスと正常マウスにおける行動の比較検証を行った結果を以下に示す。
まず、後肢レベル1の刺激に対する鬱モデルマウスと正常マウスにおける払い除け行動の比較について説明する。
この場合、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が極端に速いと、正常マウスであっても、驚愕反応による応答を起こす可能性がある。そこで、まず、正常マウスで驚愕反応による応答を生じさせない刺激条件を調べるために、正常マウスを用いて、後肢レベル1の刺激における刺激棒13の駆動速度(上昇速度)と応答量(反応量)の関係を調査した。
体重25gから50gの雌雄の正常マウス8匹を用いて、以下の実験を行った。
正常マウスを過剰に刺激しないように配慮しながら、動物用チャンバー11内に正常マウスを導き、刺激・検出装置10に収容した。この際、前述又は後述の実験結果等を参考にして、加速度センサー14の感度は7に設定し、刺激間隔は10秒、刺激棒13の上昇時間(各回の計測時間)は1秒間に設定した。また、1匹の動物につき、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が40mm/s、55mm/s、70mm/s及び85mm/sの4段階のそれぞれで、連続12回の刺激を行い、各駆動速度(上昇速度)ごとの刺激に対する応答量(反応量)を調べた。また、動物の刺激に対する慣れを回避するため、実験は動物1匹につき1日に2回以内とし、各実験の間隔は3時間以上あけた。また、図6に示す測定結果により、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が100mm/s及び115mm/sでは、ノイズ量が大きくなることが明らかになっているので、これらの駆動速度(上昇速度)における実験は行わなかった。
図9は、刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)における後肢レベル1の刺激に対する正常マウス及び鬱モデルマウスの応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図9では、横軸に上述した4段階の刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を示し、縦軸に正常マウス及び鬱モデルマウスの後肢レベル1の刺激に対する応答量(V・ms)の大きさ、並びにノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図9には、その応答量(反応量)並びにノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
図9には、正常マウスの特性としては、8匹の正常マウスの刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)ごとの応答量(反応量)の平均値及びその標準偏差値が示されている。8匹の正常マウスとも刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を上げるのに従ってわずかな応答量(反応量)の増加が見られたが、その値は極めて小さいものであった。刺激棒13が動物の身体に接することで振動が抑えられることもあり、このような場合には、正常マウスの応答量(反応量)は、動物用チャンバー11を空の状態で計測したときの図9に示すノイズ量と比較してむしろ低下した。
また、この正常マウスには、接触した刺激棒13を嫌って足を引っ込めたり、腹部を持ち上げて逃避したりする行動も観察された。加速度センサー14は、刺激棒13に設置してあるので、このような動物の動きは、加速度センサー14で検出されず、低い計測値が示された。また、正常マウスでは、明瞭な雌雄差は観察されなかった。以上から、正常マウスでは、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が40mm/sから85mm/sの範囲では、驚愕反応による応答は出現しないと結論できた。
同様の実験を鬱モデルマウスでも行い、刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)と応答量(反応量)の関係を計測し、正常マウスと比較した。実験には、鬱モデルマウスとして、鬱症状が強い体重25gから50gの雌雄のマウス10匹を使用した。
図9に示すように、鬱モデルマウスにおける応答量(反応量)の測定結果では、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が低速(40mm/s及び55mm/s)の刺激でも、正常マウスと比較して、明らかに大きな応答(反応)を示したが、さらに、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)が高速(70mm/sと85mm/s)の刺激では、正常マウスの平均値の2倍から2.5倍の応答量(ノイズを含む反応量を比較)が観察された。これは、鬱モデルマウスが刺激棒13に対して後肢で払い除け行動を起こしたことが数値化された結果である。
以上のことから、鬱モデルマウスは、正常マウスとは異なり、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)がより高速の刺激に対して過敏に応答行動を起こすことが明らかとなった。また、鬱モデルマウスでは、刺激に対する個体差が大きいことも明らかとなった。以上から、後肢レベル1の刺激による払い除け行動を計測することにより、鬱症状を持つ動物のスクリーニング及びその鬱状態を定量化することが可能であると考えられる。
続いて、図8の頭部レベル3の刺激に対する鬱モデルマウスと正常マウスにおける攻撃行動の比較について説明する。
この場合の攻撃行動は、顔面付近に近づいてきた物体に激しく噛みつく行動であり、回避行動がとれない状態で刺激物体が顔面付近に接近した時に頻繁に現れる。この行動は、正常なddYマウスにはほとんど観察されない行動の1つであるので、触覚過敏モデル動物や鬱モデル動物の検出及びその症状の定量化に使用できると考えられる。本実験では、正常マウスと鬱モデルマウスを用いて、攻撃行動の定量化の可能性について調査を行った。
まず、体重25gから50gの雌雄の正常マウス7匹を用いて、以下の実験を行った。
正常マウスを過剰に刺激しないように配慮しながら、動物用チャンバー11内に正常マウスを導き、刺激・検出装置10に収容した。この際、前述又は後述の実験結果等を参考にして、加速度センサー14の感度は7に設定し、刺激間隔は10秒、刺激棒13の上昇時間は毎回1秒間に設定した。また、1匹の動物につき、連続12回、顔付近に刺激棒13の提示を行い、攻撃行動を記録した。刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、40mm/s、55mm/s、70mm/s及び85mm/sの4段階で、各駆動速度(上昇速度)ごとに当該刺激に対する応答量(反応量)を調べた。また、動物の刺激に対する慣れを回避するため、実験は動物1匹につき1日に1回、1つの駆動速度(上昇速度)のみとした。また、図6に示す測定結果により、刺激棒13の上昇速度が100mm/s及び115mm/sでは、ノイズ量が大きくなることが明らかになっているので、これらの駆動速度(上昇速度)における実験は行わなかった。
図10は、刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)における頭部レベル3の刺激に対する正常マウス及び鬱モデルマウスの応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図10では、横軸に上述した4段階の刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を示し、縦軸に正常マウス及び鬱モデルマウスの頭部レベル3の刺激に対する応答量(V・ms)の大きさ、並びにノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図10には、その応答量(反応量)並びにノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
前述したように、正常マウスでは、ほとんど攻撃行動を起こさないが、最初の数回の試行では、刺激棒13に興味を示し、臭いを嗅いだり、軽く噛んだりする等の行動を示す例も見られた。そのため、刺激棒13の上昇に伴う図10に示すノイズ量及び図9に示す後肢レベル1の刺激における応答量(反応量)と比較して、わずかに大きな値が記録されたが、その数値は小さかった。この場合の噛む行動は、探索行動の1つと考えられ、攻撃的な噛みつき行動とは明らかに異なるものと考えられる。
同様の実験を鬱モデルマウスでも行い、刺激棒13の各駆動速度(上昇速度)と応答量(反応量)の関係を計測し、正常マウスと比較した。実験には、鬱モデルマウスとして、鬱症状が強い体重25gから50gの雌雄のマウス7匹を使用した。
前述したように、頭部レベル(顔面付近)3に刺激棒13を上昇させると、鬱モデルマウスは、激しく刺激棒13に噛みつく攻撃行動を取った。また、鬱モデルマウスは、刺激棒13に噛みつくと共に、時に激しく刺激棒13を前後左右に揺さぶることもあった。図10に示す測定結果から、鬱モデルマウスは、正常マウスと比較して、攻撃行動の応答量(反応量)が大きいことが明瞭である。したがって、頭部レベル3の刺激による応答行動量を計測することにより、鬱動物のスクリーニングが可能であり、鬱の症状を定量化することが可能であると考えられる。
次に、刺激に対する慣れについて検証を行った。
触覚刺激に対して過敏に応答する動物も、刺激が長時間に及んだ場合は、刺激に対して慣れが生じ、その応答量(反応量)が変化する可能性が考えられる。そこで、鬱モデルマウスを用い、長時間の刺激に対する応答量(反応量)の変化を計測して、動物の刺激に対する順応性を調べた。実験には、体重25gから50gの雌雄の鬱モデルマウス10匹を用いた。刺激棒13による刺激としては後肢レベル1とし、払い除け行動に対する順応性を調査した。
上述の実験と同様に、当該鬱モデルマウスを過剰に刺激しないように配慮しながら、動物用チャンバー11内に導き、刺激・検出装置10に収容した。この際、前述又は後述の実験結果等を参考にして、加速度センサー14の感度は7に設定し、刺激間隔は10秒、刺激棒13の上昇時間は毎回1秒間、48回連続して8分間刺激(1分間に6回の刺激)を与えて、測定を行った。刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は、前述の実験結果に従って、85mm/sとした。
図11は、図8に示す後肢レベル1の刺激の刺激時間と鬱モデルマウスにおける応答量(反応量)の測定結果を示す特性図である。図11では、横軸に刺激棒13による刺激時間を示し、縦軸に鬱モデルマウスの後肢レベル1の刺激に対する応答量(V・ms)の大きさを示している。また、図11には、その応答量(反応量)の平均値及び標準偏差が示されている。
図11に示すように、鬱モデルマウスの応答量(反応量)は、最初の2分間の計12回の刺激でもっとも顕著に表れたが、刺激が繰り返されるにつれ、また、刺激時間が長くなるにつれ、応答量(反応量)が小さくなる傾向が認められた。しかしながら、応答量(反応量)の減少は刺激開始から5分程度の間であり、その後の応答量(反応量)の減少は、認められなかったか、むしろ増大することもあった。このことは、刺激時間が長くなると動物が刺激に対して順応して応答(反応)を弱める傾向があることを示しているが、ある程度以下には低下しないことを示している。また、最初の2分間では、もっとも鬱動物と正常動物の差が現れやすい時間帯であること及び実験効率を勘案して、計測時間は、刺激開始から2分間、刺激回数12回以内で行うのが適切であることが分かった。
次に、計測時のストレスによる新たな鬱発症又は鬱重症化の有無及び応答行動による応答量(反応量)の再現性について検証を行った。
現在、鬱のスクリーニング法として一般に行われているポルソーの強制水泳試験では、動物に強いストレスを強要する必要があるため、また動物が試験内容を学習して不動化を早めてしまうため、同一動物を繰り返し用いて正しい成績を得ることは難しい。
これに対して、本実施形態の刺激棒13による触覚刺激を用いる計測では、ストレスが軽微であるので、同一動物を使用した反復試験が可能であると考えられる。本実験では、このことを証明するために、繰り返し行われる計測によって、動物に新たな鬱が発症したり、あるいは、すでに発症している鬱症状が悪化したりすることがないか否かを、同一の動物を用いた長期間の反復実験を行って検証した。
本実験には、隔離飼育により作製した第2の鬱モデルマウス18匹と、正常マウス9匹を使用し、後肢レベル1の刺激による払い除け行動による応答量(反応量)の大きさと、頭部レベル3の刺激による攻撃行動による応答量(反応量)の大きさの両方について計測を行った。また、ダイオキシン投与による第1の鬱モデルマウスは、長期間の飼育期間中に症状が回復する可能性があるので、本実験には使用しなかった。
また、本実験では、他の実験と同様に、加速度センサー14の感度は7に設定し、刺激間隔は10秒、刺激棒13の上昇時間は毎回1秒間、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)は85mm/s、刺激回数は12回、刺激時間は2分に設定した。
計測は1日に1回、原則として毎日行い、14日間連続して、ほぼ同一の時刻に計測を行った。14日を経過した後も、数日間隔で計測を実施し、延べ1ヶ月以上、応答量(反応量)の値の推移を追跡した。
図12は、刺激開始からの日数における正常マウス及び鬱モデルマウスの後肢レベル1の刺激による応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図12では、横軸に刺激開始からの日数(1日から14日)を示し、縦軸に正常マウス及び鬱モデルマウスの後肢レベル1の刺激に対する応答量(V・ms)の大きさ、並びにノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図12には、その応答量(反応量)並びにノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
正常マウス及び鬱モデルマウスのいずれにおいても、14日間継続の計測において、払い除け行動の応答量(反応量)に顕著な一方向性の増減は認められなかった。さらに、14日以後の1ヶ月以上に渡る断続的な計測においても、両動物群の応答量(反応量)に有意な変化が認められなかった。このことは、本実験で用いた後肢レベル1の刺激条件では、鬱モデル動物の鬱症状を悪化させることはなく、また、正常動物に新たな鬱症状を発症させることがないことを示唆している。
図13は、刺激開始からの日数における正常マウス及び鬱モデルマウスの頭部レベル3の刺激による応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。ここで、図13では、横軸に刺激開始からの日数(1日から14日)を示し、縦軸に正常マウス及び鬱モデルマウスの頭部レベル3の刺激に対する応答量(V・ms)の大きさ、並びにノイズ量(V・ms)の大きさを示している。また、図13には、その応答量(反応量)並びにノイズ量の平均値及び標準偏差が示されている。
この頭部レベル3の刺激による噛みつき行動を計測する実験においても、正常マウス及び鬱モデルマウスの両動物群において、実験開始から14日間、その応答量(反応量)の平均値は一方向性に顕著な増大も減少もせず、ほぼ一定の数値が継続する結果となった。また、後肢レベル1の刺激による実験と同様に、14日以後の1ヶ月以上に渡る断続的な計測においても両動物群の応答量(反応量)に有意な変化は認められなかった。このことから、本実施形態の刺激応答計測装置100による頭部レベル3の刺激による長期間の計測では、動物に新たな鬱が発症したり、すでに存在する鬱症状が悪化したりすることはないと考えられる。
以上のことは、同一動物の鬱症状を長期間に渡り追跡することに、本実施形態の刺激応答計測装置100を用いた計測が適していることを示している。また、抗鬱薬の動物試験では、投薬後の動物の鬱症状の推移を同一動物で追跡することが必要であるが、本実施形態の刺激応答計測装置100を使用した方法では、従来とは比較にならないほど正確な計測が可能である。また、異なる動物で比較せざるを得なかったこれまでの方法と比較すると、本実施形態の刺激応答計測装置100を使用した方法による同一動物の反復試験では、格段に信憑性の高いデータを得ることができると考えられる。
また、動物の行動が正しく定量化されているかどうかは、同一動物に与えた同一の刺激に対して、毎回ほぼ一定の応答量(反応量)が得られるかどうか、即ち、同一条件で同一状態の動物を計測した場合に再現性の高い応答量(反応量)の計測値が得られるかどうかを調査することにより判断できると考えられる。図12及び図13に示す実験では、実験開始から2週間以上に渡る長期の連続計測において、大きな変化が現れないことが示された。このことは、ほぼ正確に動物の応答量(反応量)を検出していることを示唆している。実験データの再現性が高いことは、動物の応答行動に対する応答量(反応量)を定量化する上で極めて重要なことであり、本実施形態の刺激応答計測装置100を用いた計測は、刺激に対する応答量(反応量)を定量化するのに信頼性があることを示している。
また、本発明者らは、接触刺激の応答試験における動物(マウス)の雌雄の差についても検証を行った。
雌マウスは、性周期に応じて行動に差が現れることがあるので、一般的に、雌動物を行動学的研究に使用するには注意が必要である。本実験における雌雄の比較では、応答行動量にはまったく差が見られなかった。また、雌動物に周期的行動量変化が存在するかどうかについては、その存在を示す明瞭なデータは得られなかった。このことから、接触刺激に対する応答行動は、性差や性周期に影響を受けないと考えられる。
これまで説明してきた実験結果等により、本実施形態の刺激・検出装置10では、ノイズ量の軽減等の観点から、加速度センサー14の感度を7以下、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を85mm/s以下とするようにした。
また、本実施形態の刺激・検出装置10では、動物に対する刺激の際に、決して、温痛覚を刺激しない構造となるようにしている。動物は強い温痛覚刺激が与えられると、逃避反射(屈曲反射)を起こし、刺激から逃れようとする。この逃避反射は脊髄が関係する反射であるので、温痛覚を刺激してしまうと、脊髄に起始する反射的応答が現れる可能性がある。これに対して、軽い接触刺激等は、大脳新皮質の意志に基づく判断に依存する行動である。軽い触覚刺激は、大脳に伝えられて分析され、刺激に対して何らかの行動を取るか否かが判断されるのであり、反射による行動とは異なる。即ち、触覚刺激に対する応答行動は、大脳皮質の精神活動を反映する行動である。
動物は、与えられた刺激を「嫌だ」と感じれば刺激から回避する行動(払い除け行動、攻撃行動、回避行動、潜隠行動など)を起こすし、「どうでもよい」と感じれば、特に行動を起こさずにじっとしている。本実験で用いた正常マウスのように精神的苛立ちを持たない動物は、軽い接触刺激に対しては無関心であることが多い。これに対して、鬱モデルマウスのように情動中枢(辺縁系)に精神的不安定要素を持つ動物では、軽い接触刺激等に対して過敏に応答行動を起こす。正常動物にとっては「無視できる程度の些細な刺激」であっても、鬱モデルマウスには「我慢できない嫌な刺激」に感じられるということになる。
「我慢できない」という衝動は、辺縁系が支配する精神活動である。触覚過敏モデル動物では、軽い接触刺激に対して低い閾値で辺縁系が賦活される。それが大脳新皮質の判断に影響を与え、刺激から回避する行動を起こすか、あるいは刺激に対して攻撃行動を起こすかが判断されるものと考えられる。したがって、軽い接触刺激等を用いることにより、触覚に過敏に応答する動物、ひいては精神的に苛立ちをもつ動物を検出することが可能となる。
鬱モデル動物の脳は、隔離ストレス動物(ラット又はマウス)においてよく調べられており、一般に以下のように考えられている。
(1)前頭前野、側坐核、海馬では、in vitorでセロトニンの自発放出が減少する。
(2)前頭前野、側坐核、海馬では、in vivoで塩化カリウム誘導性セロトニン(5−HT)放出が増加する。
(3)縫線核では、ストレスによって誘発される5−HT1A受容体の活性が低下する。(4)中脳では、トリプトファン水酸化酵素活性の低下が観察される。
(5)海馬と視床下部では、5−HT1受容体が減少する。
(6)海馬背側部におけるTH1AmRNAレベルが低下し、CA1における5−TH1A受容体量が減少する。
(7)海馬、前頭前野、中脳では、セロトニン合成とドパミン合成の共通の補酵素であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)のレベルが上昇する。
これらのことから、隔離飼育により少なくとも脳内セロトニン系及びドパミン系に病変が現れることは明らかであり、これが鬱の病理学的機序の1つであると考えられる。
ヒトでは、鬱病の自殺者において、一般に、前頭前野腹外側部におけるセロトニンシステムの異常や、青斑核におけるα2受容体の異常、縫線核における5−TH1A受容体の異常が報告されている。また、鬱病患者では、前頭眼窩野前部の皮質の厚さの減少や、細胞密度の低下、細胞の小型化が観察されている。したがって、ヒトでも同様の病理学的発症機序が存在するものと考えられる。
このことは、本実施形態の刺激応答計測装置100が、被計測対象動物200として、上述したマウスに限らず、他の動物においても適用可能であることを示している。
また、本実施形態の刺激・検出装置10では、刺激棒13を用いた計測において、計測時間は、図11に示す実験結果等から、刺激開始から2分間、刺激回数12回以内で行うのが適切であるとしている。これにより、非常に短時間で再現性の高いデータを得ることができる大きな利点がある。
また、鬱動物の接触刺激に対する過敏な「払い除け行動」については、隔離ストレスによる第2の鬱モデルマウスと薬物(ダイオキシン)による第1の鬱モデルマウスの両者にまったく同じ行動が観察されたことから、払い除け行動は、鬱症状の1つであると考えることができる。この払い除け行動は、後肢による非常に素早い運動であり、肉眼的に刺激棒13を蹴った回数を数えることは不可能である。そこで、本実施形態では、加速度センサー14を用いて被計測対象動物200の払い除け行動を捉え、応答量(反応量)(V・ms)として計測し、表示装置40にその計測結果を表示するようにしている。したがって、本実施形態では、表示装置40に表示されたグラフ等の波形を読み取ることにより、蹴った回数をカウントすることも容易であり、また、その蹴りの強さも同時に計測でき、鬱の行動指標の1つとして実用化することができる。即ち、本実施形態の刺激応答計測装置100は、被計測対象動物の払い除け行動を正しく定量化できる機能を持っていると言える。
また、本実施形態の刺激応答計測装置100で用いる軽い接触刺激は、動物の辺縁系に働きかけて情動行動を引き出し、その行動量を物理的に計測する試みである。この方法は、鬱動物の鬱状態の定量的な評価をする上で非常に簡便であり、かつ正確な方法であると考えられる。
本実施形態の刺激棒13による刺激自体には全く侵害性はなく、何度でも同一動物に対して計測を行うことが可能である。上述した実験では、同一動物を連続して14日間刺激を行い、さらに1ヶ月以上の追跡調査を行ったが、その間に症状の悪化や新たな鬱発症の兆候は観察されず、毎日ほぼ一定の測定値が計測された。このことは、本実験で用いた刺激方法が動物の鬱症状に影響を与えることがないことを示しており、しかも、刺激・検出装置10を用いて得られた応答量(反応量)の数値はかなり再現性が高いことを示している。このことは、抗鬱薬の動物実験などでは非常に重要な利点である。鬱症状を定量化することにより、鬱症状の改善状態を時間経過と共に示すことが可能となるからである。
最後に、本実施形態の実施例について、図2を参照しながら説明する。ここで、以下の説明においては、被計測対象動物200としてマウスを用いた例で説明する。
まず、正常マウス(正常マウス群)、及び、鬱状態の重症度に応じた鬱モデルマウス(鬱モデルマウス群)のそれぞれを各1匹ずつ動物用チャンバー11に収容して、刺激棒13による刺激を行い、当該刺激に対する応答量(反応量)を、鬱状態の重症度と関連付けて、計測・指令装置30の内部メモリに記憶させておく。
続いて、被計測対象動物200のマウスが動物用チャンバー11に収容されて、計測者から操作入力装置50を介して計測開始の指示がなされると、計測・指令装置30は、刺激棒駆動装置17を駆動させて、マウスに対して刺激棒13による刺激を行う(刺激ステップ)。この際、上述した実験結果等を反映して、加速度センサー14の感度を7以下、刺激棒13の駆動速度(上昇速度)を85mm/s以下に設定し、また、例えば、刺激棒13による刺激を刺激開始から2分間程度、刺激回数12回以内で行うようにする。
続いて、加速度センサー14は、計測・指令装置30による制御に基づいて、マウスに刺激棒13による刺激を与えた際に、マウスが刺激棒13に対して起こした行動に基づく振動を検出する(検出ステップ)。その後、加速度センサー14で検出された検出信号は、制御装置20を介して計測・指令装置30に内蔵のA/Dコンバータでアナログ/デジタル変換される。
続いて、計測・指令装置30は、加速度センサー14で検出した振動に基づいて、マウスの刺激棒13に対する応答量(反応量)を計測する(計測ステップ)。
続いて、計測・指令装置30は、計測したマウスの応答量(反応量)に基づいて、予め実験により算出され内部メモリに記憶されている各マウスの応答量(反応量)を参照することにより、当該被計測対象動物のマウス200の鬱状態の重症度を算出する(算出ステップ)。
続いて、計測・指令装置30は、計測されたマウスの応答量(反応量)の情報及び算出された当該マウスの鬱状態の重症度の情報を表示装置40に表示する(表示ステップ)。
本実施形態の刺激応答計測装置100によれば、被計測対象動物200に対して刺激棒13で刺激を与え、被計測対象動物200が刺激棒13に対して起こした行動に基づく振動を加速度センサー14で検出し、当該検出した振動に基づいて、被計測対象動物200の刺激棒13による刺激に対する応答量を計測・指令装置30で計測するようにしたので、被計測対象動物の鬱状態を定量的に評価することができる。
そして、刺激棒13による刺激に対する応答量の定量化によって、被計測対象動物の鬱症状における重症度を算出することができる。
また、本実施形態の刺激応答計測装置100では、被計測対象動物に対して刺激棒13による刺激を与えるのみであるため、極めて簡便かつ正確に計測を行うことが可能であり、また、被計測対象動物に強いストレスを与えることなく反復して計測を行うことができる。これにより、例えば、抗鬱薬の効果を時間経過とともに計測する場合などに極めて有用である。また、鬱動物に限らず、触覚に対する過敏症状を持つ動物を定量的に計測することにも使用できる。
前述した本実施形態に係る刺激応答計測装置100による刺激応答計測方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記憶媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記憶媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体を用いることができる。また、この際の通信媒体としては、光ファイバ等の有線回線や無線回線などが挙げられる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより本実施形態に係る刺激応答計測装置100の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施形態に係る刺激応答計測装置100の機能が実現される場合や、供給されたプログラムの処理の全て、或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施形態に係る刺激応答計測装置100の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
また、前述した本実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置の外観を示す写真である。 本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置に用いる動物用チャンバーの外観の一例を示す写真である。 本発明の実施形態に係る刺激応答計測装置に用いる動物用チャンバーの外観の一例を示す写真である。 本発明の実施形態を示し、刺激棒の駆動速度(上昇速度)を40mm/sと85mm/sとした際の加速度センサーの各感度1〜10におけるノイズ量の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、刺激棒の各駆動速度(上昇速度)におけるノイズ量の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、被計測対象動物のマウスが刺激・検出装置の動物用チャンバーに収容された様子を示す写真である。 本発明の実施形態を示し、被計測対象動物のマウスに対して刺激棒を接触させる位置を示す模式図である。 本発明の実施形態を示し、刺激棒の各駆動速度(上昇速度)における後肢レベルの刺激に対する正常マウス及び鬱モデルマウスの応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、刺激棒の各駆動速度(上昇速度)における頭部レベルの刺激に対する正常マウス及び鬱モデルマウスの応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、図8に示す後肢レベルの刺激の刺激時間と鬱モデルマウスにおける応答量(反応量)の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、刺激開始からの日数における正常マウス及び鬱モデルマウスの後肢レベルの刺激による応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。 本発明の実施形態を示し、刺激開始からの日数における正常マウス及び鬱モデルマウスの頭部レベルの刺激による応答量(反応量)、並びに、ノイズ量の測定結果を示す特性図である。
符号の説明
10 刺激・検出装置
10a 動物用ケージ
10b 刺激発生・検出機構部
10c 振動吸収マット
11 動物用チャンバー
12 可動式シャッター
13 刺激棒
14 加速度センサー
15 支持体
16 スライドレール
17 刺激棒駆動装置
20 制御装置
30 計測・指令装置
40 表示装置
50 操作入力装置
50a マウス
50b キーボード
100 刺激応答計測装置
200 被計測対象動物

Claims (7)

  1. 被計測対象動物に対して刺激を与える刺激棒と、
    前記被計測対象動物に前記刺激棒による刺激を与えた際に、前記被計測対象動物が前記刺激棒に対して起こした行動に基づく振動を検出する検出手段と、
    前記検出手段で検出した振動に基づいて、前記被計測対象動物の前記刺激に対する応答量を計測する計測手段と
    を有することを特徴とする刺激応答計測装置。
  2. 前記検出手段は、前記被計測対象動物が、前記刺激棒を払い除け又は前記刺激棒に噛み付いた際に、当該刺激棒に生じた振動を検出することを特徴とする請求項1に記載の刺激応答計測装置。
  3. 前記検出手段は、前記被計測対象動物が前記刺激棒に対して起こした行動に基づく振動を誘導電流として検出する加速度センサーから構成されており、
    前記加速度センサーは、前記刺激棒に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刺激応答計測装置。
  4. 前記被計測対象動物を収容する動物用ケージと、
    前記動物用ケージ内の前記被計測対象動物に対して前記刺激棒を駆動させる刺激棒駆動手段と、
    前記計測手段により計測された前記応答量を表示する表示手段と
    を更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刺激応答計測装置。
  5. 前記刺激棒駆動手段による前記刺激棒の駆動速度を85mm/s以下とすることを特徴とする請求項4に記載の刺激応答計測装置。
  6. 前記刺激棒駆動手段による前記刺激棒の前記被計測対象動物に対する刺激の刺激時間を2分以内とし、当該刺激の刺激回数を12回以内とすることを特徴とする請求項4に記載の刺激応答計測装置。
  7. 被計測対象動物に対して刺激棒を用いて刺激を与える刺激ステップと、
    前記被計測対象動物に前記刺激棒による刺激を与えた際に、前記被計測対象動物が前記刺激棒に対して起こした行動に基づく振動を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップで検出した振動に基づいて、前記被計測対象動物の前記刺激に対する応答量を計測する計測ステップと
    を有することを特徴とする刺激応答計測方法。
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