JP2008233612A - 帯電粒子の製造方法、帯電粒子及び電気泳動表示パネル - Google Patents

帯電粒子の製造方法、帯電粒子及び電気泳動表示パネル Download PDF

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Abstract

【課題】粒径の異なる2種の粒子で構成される互いに剥がれにくい帯電粒子の製造方法、帯電粒子及び電気泳動表示パネルを提供すること。
【解決手段】電気泳動表示パネルに用いられ、母粒子と、当該母粒子の表面に複数配置された子粒子とを備えた帯電粒子の製造方法において、まず子粒子埋込工程において、樹脂材料を含む母粒子の表面に、子粒子の少なくとも一部を埋め込む(S10)。このとき、母粒子に埋め込まれた子粒子の周囲には凹部が形成される場合がある。続く加熱工程において、子粒子埋込工程を経た母粒子を、母粒子に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱する(S20)。加熱により母粒子の樹脂材料が軟化し、表面張力により、子粒子の周囲に形成された凹部が変形し、母粒子と子粒子との接触面積が増える。
【選択図】図4

Description

本発明は、電気泳動現象を利用して画像を表示する電気泳動表示パネルに用いられる帯電粒子の製造方法、帯電粒子及び電気泳動表示パネルに関するものである。
従来、電気泳動現象を利用して画像を表示する電気泳動表示パネルが知られている。この電気泳動表示パネルでは、一方が透明な表示基板と、それに対向配置される背面基板とにより、周囲のギャップスペーサーを介在して所定間隔を設けた密閉空間が形成される。そして、帯電特性と色が異なる複数の帯電粒子が分散された液体又は気体からなる分散媒が密閉空間に充填されて表示部が形成される。
このような構成のもと、表示部に電界を発生させることで、分散媒中の帯電粒子を移動させて、所望の画像が得る。このような電気泳動表示パネルとしては、様々なタイプのものが提案されている。例えば、帯電粒子を表示面と垂直な方向に移動させることにより色を切り替えるものや、表示面と平行な方向に移動させることにより色を切り替えるものが提案されている。また、異なる色の2種類の帯電粒子を備え、それらの帯電粒子の色の違いで色を切り替えるものや、分散媒の色と帯電粒子との色の違いで色を切り替えるもの等が提案されている。
このような従来の電気泳動表示パネルでは、電圧を切り替えて電界の方向を反転させても、分子間力や鏡像力等により、いずれかの基板に帯電粒子が付着して残留したり、帯電粒子同士が凝集したりするために、コントラストが低下するという問題点があった。そこで、高いコントラストを得るために、帯電粒子を粒径及び帯電性が異なる2種類の粒子の組み合わせにより構成することが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2002−72256号公報
しかし、上記従来の電気泳動表示パネルでは、電気泳動表示パネルを繰り返し使用した場合には、帯電粒子を構成する一部の粒子が剥がれ落ちるという問題があった。そして、この帯電粒子を構成する粒子が剥がれ落ちた場合には、帯電粒子が凝集したり、帯電粒子が基板に付着したりするために、電気泳動表示パネルのコントラストを低下させるという問題が生じる。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、粒径の異なる2種の粒子で構成される互いに剥がれにくい帯電粒子の製造方法、帯電粒子及び電気泳動表示パネルを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の帯電粒子の製造方法は、母粒子と、当該母粒子の表面に複数配置された子粒子とを備えた帯電粒子の製造方法において、樹脂材料を含む母粒子の表面に、前記子粒子の少なくとも一部を埋め込む子粒子埋込工程と、前記子粒子埋込工程後、前記子粒子の少なくとも一部が埋め込まれた母粒子を、前記樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱する加熱工程とを備えている。
また、請求項2に係る発明の帯電粒子の製造方法は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記加熱工程では、前記子粒子の少なくとも一部が埋め込まれた母粒子を、気相中又は液体中で攪拌しながら前記樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱することを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の帯電粒子の製造方法は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記加熱工程後に、前記母粒子の表面を親水性にする親水化工程を備えている。
また、請求項4に係る発明の帯電粒子の製造方法は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記子粒子埋込工程では、樹脂材料を含む母粒子の表面に、表面処理された前記子粒子の少なくとも一部を埋め込み、前記親水化工程では、シラン化合物を用いて、前記母粒子の表面を親水性にすることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明の帯電粒子の製造方法は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記加熱工程後に、前記子粒子の表面を疎水性にする疎水化工程を備えることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明の帯電粒子の製造方法は、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記子粒子埋込工程では、樹脂材料を含み、表面処理された母粒子の表面に、前記子粒子の少なくとも一部を埋め込み、前記疎水化工程では、シラン化合物を用いて、前記子粒子の表面を疎水性にすることを特徴とする。
また、請求項7に係る発明の帯電粒子は、請求項1乃至6のいずれかに記載の帯電粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする。
また、請求項8に係る発明の電気泳動表示パネルは、請求項7に記載の帯電粒子を備えている。
請求項1に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、子粒子埋込工程において、母粒子の表面に子粒子を埋め込む。このとき、子粒子の周囲には凹部が形成されることがある。このため、子粒子埋込工程に続いて、加熱工程を行い、母粒子を構成する樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に母粒子を加熱して帯電粒子を製造する。この加熱工程では、母粒子を形成する樹脂材料が軟化され、表面張力により、粒子埋込工程において子粒子の周囲に形成された凹部が変形して子粒子と母粒子との接触面積が増える。このため、子粒子と母粒子との間の密着性が向上するので、子粒子が母粒子から剥がれにくくなる。
また、請求項2に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、加熱工程において、子粒子の少なくとも一部が埋め込まれた子粒子を、気相中又は液体中で攪拌しながら、母粒子に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上に加熱する。このため、ガラス転移温度以上に加熱された樹脂材料が、他の母粒子の樹脂材料と接触して凝集することを回避しつつ、子粒子と母粒子との接触面積を増加させることができる。
また、請求項3に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、子粒子を母粒子の表面に埋め込んだ後、母粒子に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度となるように母粒子を加熱する。その後、母粒子の表面を親水性にする親水化工程を行う。このため、加熱工程において、表面の極性の違いにより母粒子と子粒子との間の接触面の熱力学的なエネルギーが不安定になることに起因して、子粒子が母粒子の表面から剥がれ落ちることを回避しつつ、母粒子の表面を親水化工程前に比べ親水性にした帯電粒子を確実に製造することができる。
また、請求項4に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、子粒子埋込工程では、樹脂材料を含む母粒子の表面に、表面処理された子粒子の少なくとも一部を埋め込み、親水化工程では、シラン化合物を用いて、母粒子の表面を親水性にしている。このため、シラン化合物は表面処理された子粒子と反応することなく、母粒子の表面のみを親水性にすることができる。
また、請求項5に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、子粒子を、親水性の母粒子の表面に埋め込んだ後、母粒子に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度となるように母粒子を加熱する。その後、子粒子の表面を疎水性にする疎水化工程を行う。このため、加熱工程において、表面の極性の違いにより母粒子と子粒子との間の接触面の熱力学的なエネルギーが不安定になることに起因して、子粒子が母粒子の表面から剥がれ落ちることを回避しつつ、子粒子の表面を疎水化工程前に比べ疎水性にした帯電粒子を確実に製造することができる。
また、請求項6に係る発明の帯電粒子の製造方法によれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、子粒子埋込工程では、樹脂材料を含み、表面処理された母粒子の表面に、子粒子の少なくとも一部を埋め込み、疎水化工程では、シラン化合物を用いて、子粒子の表面を疎水性にしている。このため、シラン化合物は表面処理された母粒子と反応することなく、子粒子の表面のみを疎水性にすることができる。
また、請求項7に係る発明の帯電粒子によれば、従来の製造方法で製造した帯電粒子と比べ、子粒子と母粒子との接触面積が増えており、子粒子と母粒子との間の密着性が向上するので、子粒子が母粒子から剥がれにくくなる。
また、請求項8に係る発明の電気泳動表示パネルによれば、子粒子が母粒子から剥がれ落ちることに起因して、電気泳動表示パネルのコントラストが低下することを回避することができる。
以下、本発明を具体化した第1及び第2の実施形態を、図面を参照して順に説明する。まず、第1及び第2の実施形態に共通する電気泳動表示パネル2及び電気泳動表示パネル2が備える帯電粒子50,60の構成について、図面を参照して説明する。図1は、電気泳動表示パネル2の概略構成を示す部分断面図である。尚、図1に示す電気泳動表示パネル2において、紙面上で上側の面を電気泳動表示パネル2の上面とし、下側の面を電気泳動表示パネル2の下面とする。
本実施形態の電気泳動表示パネル2は、例えば、携帯用の電子機器に搭載されるものであり、制御装置(図示外)に駆動制御されることによって種々の画像を表示できるものである。尚、図1に示す電気泳動表示パネル2が、本発明の「電気泳動表示パネル」に相当する。
まず、電気泳動表示パネル2の構成について説明する。図1に示すように、電気泳動表示パネル2は、上側に設けられる表示基板10と、該表示基板10の下側に、スペーサ31を介して対向配置された背面基板20とを備えている。そして、表示基板10と背面基板20とに挟まれる隙間には、隔壁32によって区分けされた領域である複数の表示部30が平面視格子状に形成されている。
次に、表示基板10の構造について説明する。図1に示すように、表示基板10は、透明部材により形成され、表示面を備えた透明層11と、当該透明層11の下面(背面)側に設けられ、表示部30に電界を発生させる透明な透明電極層12とから構成されている。そして、透明層11は、高い透明性と高い絶縁性を有する材料によって形成され、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ガラス等が使用される。一方、透明電極層12は、高い透明性を有し、電極として利用できる材料によって形成され、例えば、金属酸化物である酸化インジウムスズ、フッ素がドープされた酸化スズ、インジウムや酸化アルミニウムがドープされた酸化亜鉛等が使用される。尚、本実施形態では、透明層11は透明なガラス基板であり、透明電極層12は酸化インジウムスズ(ITO)により形成された透明電極である。このような構造を備えることにより、利用者は、透明な表示基板10を介して表示部30を視認することができる。
次に、背面基板20の構造について説明する。図1に示すように、背面基板20は、電気泳動表示パネル2を支持する筐体支持層21と、該筐体支持層21の上面に表示部30毎に設けられ、それぞれの表示部30に電界を発生させる背面電極層22とから構成されている。そして、筐体支持層21は、高い絶縁性を有する材料が使用され、例えば、ガラスや絶縁処理された金属フィルム等の無機材料や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の有機材料が使用される。尚、背面基板20を形成する各層は、表示基板10とは異なり、透明でも有色でもよい。本実施形態では、筐体支持層21はガラス基板であり、背面電極層22は酸化インジウムスズ(ITO)により形成された電極である。
そして、各背面電極層22にはチャネルCH1が、透明電極層12にはチャネルCH2が接続されている。そして、図示外の制御装置によってこれらのチャネルCH1,チャネルCH2が各々制御され、背面電極層22,透明電極層12に電圧が印加されると、表示部30に電界が発生するようになっている。尚、透明電極層12の表面及び前記背面電極層22の表面に絶縁性のフッ素樹脂等を施してもよい。この場合、各帯電粒子と各電極層の表面との親和性をさらに低下させることができる。また、第1及び第2の実施形態の透明電極層12の表面(下面)及び背面電極層22の表面(上面)に保護層を設けてもよい。
次に、表示部30の構造について説明する。図1に示すように、表示基板10と背面基板20との間にはスペーサ31が設けられ、該スペーサ31は、電気泳動表示パネル2の外周に沿って配設されている。さらに、表示基板10と背面基板20とスペーサ31との間には、密閉空間が形成されている。そして、その密閉空間は、所定の厚みと所定の高さを有し、平面視格子状の隔壁32によって複数の表示部30に均等に分割されている。よって、電気泳動表示パネル2は、複数の表示部30が格子状に並んで形成されたパネルとして構成されている。尚、スペーサ31及び隔壁32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムが使用されている。また、各表示部30の密閉空間内には、表示液40が封入されている。
次に、表示液40について説明する。この表示液40は、黒色の複数の黒色帯電粒子50と、白色の複数の白色帯電粒子60とをそれぞれ分散させる分散媒である。ここで、分散媒とは、粒子(分散質)が分散する液体物質をいい、電気抵抗が高く、透明性の高い液体が用いられる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、ポリシロキサン、高純度石油等の絶縁性有機溶媒が用いられる。尚、電気泳動表示パネル2は、上記のような各分散媒を単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。さらに、表示液40には、必要に応じて他の成分を含有させることができる。他の成分としては、例えば、帯電粒子50,60の分散を補助するために用いられる界面活性剤等の分散剤、分散媒中における帯電粒子の電気泳動性を調整するために用いられるアルコール等の電荷制御剤、分散媒中における帯電粒子の沈降を防止するために用いられる高分子樹脂等の粘度調整剤等が挙げられる。尚、本実施形態では分散媒が液体であるものを説明するが、本発明は分散媒が気体である電気泳動表示パネルに適用されても問題ない。
次に、本発明の特徴である黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60について説明する。図1に示すように、表示液40の帯電粒子は、プラスに帯電している黒色帯電粒子50と、マイナスに帯電している白色帯電粒子60とから構成される。よって、表示基板10側をマイナス、背面基板20側をプラスにして表示部30に電界を発生させた場合、黒色帯電粒子50は表示基板10側に移動し、白色帯電粒子60は背面基板20側に移動する。このとき、表示基板10の表示部30には黒色が表示される。また、表示基板10側をプラス、背面基板20側をマイナスにして表示部30に逆向きの電界を発生させた場合、黒色帯電粒子50は背面基板20側に移動し、白色帯電粒子60は表示基板10側に移動する。このとき、表示部30に表示されていた黒色が白色に切り替わる。
次に、黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60の粒子構造について、図2及び図3を参照して説明する。尚、黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60は、帯電粒子の色(着色剤)と極性以外は同じ構成であるので、ここでは、一例として黒色帯電粒子50を説明する。図2は、黒色帯電粒子50の構造を模式的に示した模式図であり、図3は、図2のX−X線における矢視方向断面図のうち波線500で示す付近を模式的に示した模式図である。図2に示すように、黒色帯電粒子50は、黒色帯電粒子50の中心部分を構成する球状の母粒子51と、母粒子51の表面に複数配置された球状の子粒子52とを備えている。
まず、黒色帯電粒子50が備える母粒子51について図2及び図3を参照して説明する。母粒子51は、帯電粒子の中心部分を構成する粒子であり、少なくとも樹脂材料を備え、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤及びその他添加剤を備える。母粒子51は、樹脂材料として架橋ポリメタクリル酸メチル(架橋PMMA)を含む。母粒子が備える樹脂材料としては、この架橋PMMAの他、例えば、ポリカーボネイト(PC)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール(POM)等を用いる。このうち、架橋PMMAは、汎用性が高い点で好ましい。上記のような樹脂材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、母粒子51は、着色剤として、カーボンブラックを含んでおり、母粒子51は黒色である。母粒子が備える着色剤は、帯電粒子の色や帯電粒子に付与する帯電性及び流動性等を考慮して適宜選択可能であり、カーボンブラック等の黒色着色剤の他、例えば、酸化チタン等の白色着色剤、有機又は無機の各種顔料、染料が用いられる。上記のような着色剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、帯電制御剤としては、負帯電制御剤と正帯電制御剤があり、正帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩系化合物等が用いられる。また、負帯電制御剤としては、例えば、含金属アゾ染料等が用いられる。上記のような帯電制御剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、母粒子51の形状は、図2及び図3に示すように球状である場合の他、楕円、円筒形、三角錐形等種々の形状を採用可能である。
上記のような構成要素を含む母粒子51の表面のうち、少なくとも表示液40と接触する部分(図3において波線71で図示)については、母粒子51の表面が親水性になっていることが好ましい。母粒子51の帯電性、流動性が改善されるからである。母粒子51の表面を親水性にする方法としては、例えば、一般的に親水性(極性を有する)とされる官能基を備えたシラン化合物を用いた表面処理を母粒子51に施す方法が挙げられる。この表面処理により、表示液40と接触する部分の母粒子51の表面が表面処理前に比べ親水性になり、母粒子51の帯電性、流動性が改善される。親水性官能基を備えたシラン化合物としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ポリエーテル基等の親水性官能基を備えたシランカップリング剤が用いられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、X−12−641(信越シリコーン社製)が挙げられる。シラン化合物を用いた表面処理以外の方法により、母粒子51の表面を親水性にする方法としては、例えば、アクリル樹脂等の親水的(極性を有する)な樹脂材料を用いて母粒子51を形成する方法や、母粒子51の表面に、親水的(極性を有する)な着色剤や帯電制御剤等を配置する方法が挙げられる。
次に、黒色帯電粒子50が備える子粒子52について図2及び図3を参照して説明する。第1及び第2の実施形態の子粒子52は、黒色帯電粒子50が、表示基板10及び背面基板20へ付着したり、黒色帯電粒子50同士や、黒色帯電粒子50と白色帯電粒子60とが凝集したりすることを防ぐ役割を担う部材である。この子粒子52は、母粒子51の表面に自身の一部が埋没した状態で母粒子51と接触している。子粒子52の径は、例えば、50nmであり、母粒子51の径の1/100程度である。よって、黒色帯電粒子50の形状、重量等を大きく変えてしまうことがないので、黒色帯電粒子50の移動性に与える影響を低く抑えることができる。子粒子52の大きさは、母粒子51の平均粒子径よりも小さければよく、帯電粒子の流動性、帯電性、表面特性を考慮して適宜定められる。尚、前述の平均粒子径は、体積平均粒子径を言い、例えば、レーザー回折散乱法を利用したマイクロトラック3100(マイクロトラック社製)により計測される。
子粒子52の材料としては、例えば、シリカ微粒子(二酸化ケイ素:SiO)等の無機系粒子の他、樹脂系粒子が使用される。また、子粒子52の形状は、球状である場合の他、楕円、円筒形、三角錐形等種々の形状を採用可能である。尚、子粒子52が球状である場合には、体積の半分以上が母粒子51に埋没した状態であることが好ましい。この場合には、子粒子52が母粒子51により堅固に固定され、母粒子51から剥がれ落ちにくくなるからである。また、子粒子52と母粒子51との接触面積は多いほど、接触面積が少ない場合に比べ、母粒子51と子粒子52との間の密着性が向上するため好ましい。また、子粒子52の表面の内少なくとも表示液40に露出している部分(図3において波線72で図示)は母粒子51の内表示液40に露出している部分(図3において波線71で図示)よりも疎水性である。尚、母粒子51と子粒子52との接触面積を増加させるための処理は、第1及び第2の実施形態の帯電粒子の製造方法として後述する。
子粒子52として、シリカ粒子等の表面が親水的な粒子を用いる場合、子粒子52の表面の内少なくとも表示液40に露出している部分(図3において波線72で図示)は母粒子51の内表示液40に露出している部分(図3において波線71で図示)よりも疎水性となるように表面処理されている粒子を用いる。この表面処理としては、例えば、一般的に疎水性(極性を有しない又は、極性が乏しい)とされる官能基を備えたシランカップリング剤等のシラン化合物を用いた表面処理が用いられる。表面処理に用いられる疎水性官能基を備えたシラン化合物としては、例えば、HMDSが用いられる。このHMDSは、汎用性が高い点で好ましい。
尚、図示しないが、白色帯電粒子60の構成は、黒色帯電粒子50の構成と同様に、母粒子と、母粒子の表面に結合された複数の子粒子とから構成され、その母粒子は、黒色帯電粒子50の母粒子51と同様の材料(例えば、アクリル樹脂等)が使用される。さらに、この母粒子には、着色剤として二酸化チタン(TiO)が含有されているので、母粒子全体が白色となる。
次に、黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60の表示基板10及び背面基板20への付着防止効果について説明する。上記説明したように本実施形態では、黒色帯電粒子50をプラスに帯電させ、白色帯電粒子60をマイナスに帯電させている。そこで、例えば、表示基板10側をプラス、背面基板20側をマイナスにして表示部30に電界を発生させた場合、白色帯電粒子60は表示基板10側に移動し、黒色帯電粒子50は背面基板20側に移動する。このとき、白色帯電粒子60は、表示基板10の透明電極層12に接触するが、透明電極層12の親水性(極性を有する)の表面に対し、白色帯電粒子60が備える粒子のうち、母粒子の表面よりも疎水的な表面を有する子粒子が作用して反発する。これにより、透明電極層12の表面に白色帯電粒子60が付着するのを防止できる。
一方、黒色帯電粒子50も同様に、背面基板20の背面電極層22に接触する。このとき、背面電極層22の親水性(極性を有する)の表面に対し、黒色帯電粒子50が備える粒子のうち、母粒子51の表面よりも疎水的な表面を有する子粒子52が作用して反発する。これにより、背面電極層22の表面に黒色帯電粒子50が付着するのを防止できる。次に、電界の向きが切り替わり、表示基板10側がマイナス、背面基板20側がプラスになった場合、白色帯電粒子60は背面基板20側に移動し、黒色帯電粒子50は表示基板10側に移動する(図1参照)。この場合も、上述した付着防止効果と同様の効果が得られる。このように、表示部30の電界が繰り返し切り替わっても、表示基板10及び背面基板20に黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60が付着しないので、表示基板10に表示される画像のコントラストが低下するのを防止することができる。
次に、第1の実施形態の帯電粒子50,60の製造方法について図4〜図8を参照して説明する。一例として、黒色帯電粒子50の場合について説明するが、白色帯電粒子60も同様な製造方法により製造される。図4は、第1の実施形態の黒色帯電粒子50の製造フローであり、図5は、子粒子埋込工程において、母粒子51の表面に子粒子52が埋め込まれた状態を模式的に示す模式図である。また、図6は、図5のY−Y線における矢視方向断面図のうち波線501で示す付近を模式的に示した模式図である。図7は、加熱工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。図8は、親水化工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。尚、図6は、図5のY−Y線における矢視方向断面図のうち波線501で示す付近を模式的に示しているため、図5と図6との子粒子52及び子粒子52の周囲に形成された凹部の形状や大きさは厳密に一致させて図示していない。
黒色帯電粒子50の第1の実施形態の製造方法は、図4の製造フローに示すように、樹脂材料を含む母粒子51の表面に、子粒子52を埋め込む子粒子埋込工程(S10)と、子粒子埋込工程において子粒子52が埋め込まれた母粒子51を、母粒子51に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱する加熱工程(S20)とを備えている。さらに黒色帯電粒子50の製造方法は、母粒子51の表面のうち、表示液40に露出する部分を親水化工程前のよりも親水性にする親水化工程を備えている(S30)。以下、各製造工程の詳細を順に説明する。
図4の製造フローに示すように、まず子粒子埋込工程を行う(S10)。第1の実施形態の子粒子埋込工程では、奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(NHS)を使用したハイブリダイゼーション法により、母粒子51の表面に、子粒子52を衝突させて埋め込む。この母粒子51としては、シラン化合物を用いて表面処理されていない粒子が用いられる。一方、子粒子52としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、シランカップリング剤等のシラン化合物や、その他各種疎水化処理剤により表面処理が施された、シリカ微粒子(二酸化ケイ素:SiO)等の無機系粒子及び樹脂系粒子等が用いられる。シラン化合物を用いた表面処理方法としては、シランカップリング剤の希薄溶液でスラリー化したり、直接浸漬したりする湿式法や、攪拌機によって高速攪拌している無機材料に、シランカップリング剤の原液あるいは溶液を均一に分散させて処理する乾式法が挙げられる。湿式法を用いた場合には、子粒子52の表面に均一に処理できることから、高精度に表面処理することができ、乾式法では、大量のフィラー等を短時間に処理できる。尚、図6の波線172は、子粒子52の表面が表面処理され、母粒子51よりも疎水性になっている状態を模式的に示している。
ハイブリダイゼーション法による処理方法は以下の通りである。処理装置として用いる奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(NHS)は、粉体同士の混合物を形成する混合機と、乾式で微粉体同士を接合するハイブリダイザーと、捕集器と、各装置を制御する制御盤と、装置を操作するための操作盤とから構成されている。子粒子埋込工程では、このNHSを用いて、母粒子51及び子粒子52を気相中に分散させながら衝撃力を主体とする力学的エネルギーを粒子に与えることにより、母粒子51の表面に子粒子52を埋め込む。この子粒子埋込工程により、図5及び図6に示すように、子粒子52は、母粒子51の表面にその一部が埋没した状態で結合される。図6に模式的に示すように、ハイブリダイゼーション法を用いた子粒子埋込工程を経た子粒子52の周囲には、凹部が形成されている。この凹部は、子粒子52が母粒子51に衝突したときに、母粒子51の一部が圧縮されたり、子粒子52が埋め込まれた後の攪拌により、母粒子51の一部が押し出されたりして形成される。
続いて、加熱工程を行う(S20)。加熱工程では、子粒子埋込工程を経た母粒子51を、母粒子51を構成する樹脂材料のガラス転移温度以上の温度となるように加熱する。この加熱処理により、母粒子51に含まれる樹脂材料が軟化し、樹脂材料の表面張力により母粒子51の表面積が小さくなるように樹脂材料が変形する、このため、子粒子52の周りに形成された凹部が変形し、これにより図7に模式的に示すように、母粒子51と子粒子52との接触面積が図6に模式的に示す子粒子埋込工程後に比べて増加する。
この加熱工程(S20)では、子粒子埋込工程を経た母粒子51を、気相中や液体中で攪拌しながら、母粒子51に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱することが好ましい。攪拌しながら母粒子51を加熱することで、ガラス転移温度以上に加熱され軟化した母粒子51同士が付着したり、樹脂材料が不均一な形状に変形したりすることを回避できるからである。攪拌しながら母粒子51を加熱場合には、例えば次のように加熱工程を行う。まず、加熱オイル、温水、蒸気等を通す管やヒーターを具備した攪拌器を用意する。そして、母粒子51を構成する樹脂材料のガラス転移温度以上に前記管や前記ヒーターで攪拌器を加熱する。この加熱された攪拌器内において、上記温度に加熱された気相又は液体に分散された子粒子埋込工程を経た母粒子51を攪拌する。母粒子51の攪拌速度は、新たな凹部が形成されない程度の攪拌速度、即ち、子粒子埋込工程における攪拌速度よりは小さい速度であることが好ましく、加熱温度や軟化した樹脂の粘度、子粒子52の硬度等に応じて適宜定められる。また、子粒子埋込工程を経た母粒子51を液体溶媒に分散させて加熱する場合では、使用する液体は、母粒子51が備える樹脂材料のガラス転移温度に応じて適宜選択され、例えば、常圧、ガラス転移温度が100度未満の条件では、液体として水が採用される。上記のように、子粒子埋込工程を経た母粒子51攪拌器で攪拌する操作に替えて、上記温度に加熱された管に、気相又は液体に分散された子粒子埋込工程を経た母粒子51を所定の流束で投入してもよい。
続いて、親水化工程を行う(S30)。親水化工程では、一般的に親水性とされる官能基を備えたシランカップリング剤等のシラン化合物により、母粒子51の表面のうち表示液40に露出する部分を、親水化工程を行う前よりも親水性にする処理を行う。親水化工程に用いるシランカップリング剤としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、ポリエーテル基等の親水性(極性を有する)官能基を備えたシランカップリング剤が用いられる。また、シランカップリング剤を用いる場合の処理方法としては、シランカップリング剤を希釈した水やアルコールを、加熱工程を経た母粒子51に塗布したり、浸漬させたりする湿式法が用いられる。シランカップリング剤を希釈した水やアルコールに加熱工程を経た母粒子51を浸漬させる場合には、生成したシノラール基が自己縮合することを回避するために、攪拌しながら浸漬させることが好ましい。
親水化工程(S30)により、図8に示すように、母粒子51の表面のうち、表示液40に露出する部分(波線171で図示)は親水化工程を行う前に比べ親水性になる。一方、母粒子51の表面のうち、表示液40に露出しない部分、即ち、子粒子52と接触している部分の親水性(表面の極性)は変化しない。また、子粒子52の表面は、既にシラン化合物等の疎水化処理剤を用いて表面処理されているため、親水化工程においてはシラン化合物と反応せず、親水化されない。母粒子51の表面のうち表示液40に露出する部分のみを親水化工程前に比べ親水性にすることができる。
尚、この親水化工程(S30)を、加熱工程後に行うことにより、次のような効果が得られる。まず、親水化工程を加熱工程前に行った場合、加熱工程において、表面の極性の違いにより母粒子51と子粒子52との間の接触面の熱力学的なエネルギーが不安定になることに起因して、子粒子52が母粒子51の表面から剥がれ落ちる虞がある。これに対し、加熱工程後に親水化工程(S30)を行った場合には、加熱工程時に母粒子51と子粒子52との間の表面の極性の違いの度合いは、加熱工程前に親水化工程を行う場合に比べ小さい。このため、表面の極性の違いに起因して子粒子52が母粒子51の表面から剥がれ落ちることを回避しつつ、母粒子51の表面のうち表示液40に露出する部分のみを親水化工程前に比べ親水性にすることができる。
以上説明したように、第1の実施形態の製造方法により黒色帯電粒子50が製造される。白色帯電粒子60についても、同様な製造方法により製造することができる。次に、第2の実施形態の帯電粒子50,60の製造方法について図9〜図12を参照して説明する。一例として、黒色帯電粒子50の場合について説明するが、白色帯電粒子60も同様な製造方法により製造される。図9は、第2の実施形態の黒色帯電粒子50の製造フローであり、図10は、第2の実施形態の子粒子埋込工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する模式図である。図11は、第2の実施形態の加熱工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。図12は、第2の実施形態の疎水化工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。
黒色帯電粒子50の第2の実施形態の製造方法は、図9の製造フローに示すように、樹脂材料を含む母粒子51の表面に、子粒子52を埋め込む子粒子埋込工程(S15)と、子粒子埋込工程において子粒子52が埋め込まれた母粒子51を、母粒子51に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱する加熱工程(S25)とを備えている。さらに黒色帯電粒子50の第2の実施形態の製造方法は、子粒子52の表面のうち、表示液40に露出する部分を母粒子51の表面よりも疎水性にする疎水化工程を備えている(S35)。以下、第2の実施形態の各製造工程の詳細を順に説明する。
図9の製造フローに示すように、まず子粒子埋込工程を行う(S15)。この子粒子埋込工程では、第1の実施形態における子粒子埋込工程(S10)と同様に奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム(NHS)を使用したハイブリダイゼーション法により、母粒子51の表面に、子粒子52を衝突させて埋め込む。第2の実施形態では、母粒子51として、シラン化合物等の親水化処理剤を用いて表面処理されている粒子を用いる。ただし、母粒子51の表面に存在する官能基は、後述する疎水化工程で用いるシラン化合物と反応しない官能基とする。例えば、疎水化工程において、シラン化合物としてHMDSを用いる場合には、HMDSと反応する虞がないシラン化合物を用いて母粒子51の表面を表面処理前に比べ親水性にする。一方、子粒子52としては、表面処理されていないシリカ粒子等の無機系粒子及び樹脂系粒子が用いられる。尚、ハイブリダイゼーション法により、母粒子51に子粒子52を埋め込む処理方法は、第1の実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。図10に示すように、子粒子52は、ハイブリダイゼーション法によって母粒子51の表面にその一部が埋没した状態で結合される。尚、図10に示す波線271は、母粒子51の表面が子粒子埋込工程前において表面処理され、表面処理される前よりも親水性になっていることを模式的に示している。
続いて、加熱工程を行う(S25)。加熱工程では、第1の実施形態と同様な処理を行う。図11に示すように、この加熱工程により、子粒子52の周りに形成された凹部が変形し、これにより、母粒子51と子粒子52との接触面積が増加する。
続いて、疎水化工程を行う(S35)。疎水化工程では、疎水性(極性を有しない又は、極性が乏しい)官能基を備えたシランカップリング剤等のシラン化合物により、子粒子52の表面のうち表示液40に露出する部分を、疎水化工程を行う前よりも疎水性にする処理を行う。シランカップリング剤等のシラン化合物を用いた処理の方法としては、シラン化合物の希釈溶媒に、加熱工程を経た子粒子52を浸漬する湿式法及び、攪拌機で攪拌しながら、加熱工程を経た子粒子52を、シラン化合物を気化させた蒸気を曝露する乾式法が用いられる。この処理により、図12に示すように、子粒子52の表面のうち、表示液40に露出する部分(波線272で図示)は疎水化工程を行う前に比べ疎水性になる。また、この波線272で図示する部分は、母粒子51の表面よりも疎水性となる。一方、子粒子52の表面のうち、表示液40に露出しない部分、即ち、母粒子51と接触している部分の疎水性(表面の極性)は変化しない。また、母粒子51の表面は、既にシラン化合物等の親水化処理剤を用いて表面処理されているため、疎水化工程においてはシラン化合物と反応せず、疎水化されない。このため、子粒子52の表面のうち表示液40に露出する部分のみを母粒子51の表面に比べ疎水性にすることができる。
尚、この疎水化工程(S35)を、加熱工程後に行うことにより、次のような効果が得られる。疎水化工程を加熱工程前に行った場合、加熱工程において、表面の極性の違いにより母粒子51と子粒子52との間の接触面の熱力学的なエネルギーが不安定になることに起因して、子粒子52が母粒子51の表面から剥がれ落ちる虞がある。これに対し、加熱工程後に疎水化工程(S35)を行った場合には、加熱工程時に母粒子51と子粒子52との間の表面の極性の違いの度合いは、加熱工程前に疎水化工程を行う場合に比べて小さい。このため、表面の極性の違いに起因して子粒子52が母粒子51の表面から剥がれ落ちることを回避しつつ、子粒子52の表面のうち表示液40に露出する部分のみを母粒子51の表面に比べ疎水性にすることができる。
以上説明したように、第2の実施形態の製造方法により黒色帯電粒子50が製造される。白色帯電粒子60についても、同様な製造方法により製造することができる。以上詳述した、第1及び第2の実施形態の帯電粒子の製造方法によれば、子粒子埋込工程(S10,S15)において、母粒子51の表面に子粒子52を埋め込む。このとき、子粒子52の周囲には凹部が形成されることがある。子粒子埋込工程(S10,S15)に続いて、加熱工程(S20,S25)を行い、子粒子埋込工程を経た母粒子51を、気相中や液体中で攪拌しながら、母粒子51に含まれる樹脂材料のガラス転移温度以上に加熱する。この加熱工程(S20,S25)では、母粒子51を形成する樹脂材料が軟化され、表面張力により、子粒子埋込工程(S10,S15)において子粒子52の周囲に形成された凹部が変形して、母粒子51と子粒子52との接触面積が増える。このため、母粒子51と子粒子52との間の密着性が向上する。このとき、気相中や液体中で攪拌しながら、母粒子51を加熱しているので、ガラス転移温度以上に加熱された樹脂材料が、他の母粒子51の樹脂材料と接触して凝集することを回避することができる。
また、第1の実施形態の帯電粒子の製造方法によれば、子粒子埋込工程(S10)では、樹脂材料を含む母粒子51の表面に、表面処理された子粒子52を埋め込み、加熱工程後(S20)、母粒子51の表面のうち、表示液40に露出する部分を親水化工程前よりも親水性にする親水化工程(S30)を行う。親水化工程では、シランカップリング剤等のシラン化合物を用いて、母粒子51の表面のうち表示液40に露出する部分を親水化工程前よりも親水性にしている。このため、シランカップリング剤等のシラン化合物は表面処理された子粒子52と反応することなく、母粒子51の表面の内表示液40に露出する部分のみを親水化工程前よりも親水性にすることができる。このように加熱工程後に親水化工程を行うことで、加熱工程においては、母粒子51と子粒子52との間の熱力学的なエネルギーが不安定になることを回避することができる。そして、親水化工程(S30)において、表面が親水性な母粒子51と、表面が母粒子51よりも疎水性の子粒子52とを備える黒色帯電粒子50を確実に製造することができる。
また、第2の実施形態の帯電粒子の製造方法によれば、子粒子埋込工程(S15)では、樹脂材料を含む母粒子51の表面に、表面処理された子粒子52を埋め込み、加熱工程後(S25)、子粒子52の表面を母粒子51の表面よりも疎水性にする疎水化工程(S35)を行う。疎水化工程(S35)では、シランカップリング剤等のシラン化合物を用いて、子粒子52の表面の内表示液40に露出する部分を母粒子51の表面よりも疎水性にしている。このため、シランカップリング剤等のシラン化合物は表面処理された母粒子51と反応することなく、子粒子52の表面のうち表示液40に露出する部分のみを疎水化工程前よりも疎水性にすることができる。このように加熱工程後に疎水化工程を行うことで、加熱工程においては、母粒子51と子粒子52との間の熱力学的なエネルギーが不安定になることを回避することができる。そして、疎水化工程(S35)において、表面が親水性な母粒子51と、表面が母粒子51よりも疎水性の子粒子52とを備える黒色帯電粒子50を確実に製造することができる。
このように、第1及び第2の実施形態の帯電粒子の製造方法により製造した帯電粒子50,60は、従来の製造方法で製造した帯電粒子と比べ、母粒子51と子粒子52との接触面積が増えており、母粒子51と子粒子52との間の密着性が向上するので、子粒子52が母粒子51から剥がれにくくなる。したがって、第1及び第2の実施形態の帯電粒子50,60を用いた電気泳動表示パネル2では、子粒子52が母粒子51から剥がれ落ちることに起因して、電気泳動表示パネル2のコントラストが低下することを回避することができる。
尚、本発明は、以上詳述した第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、第1及び第2の実施形態の電気泳動表示パネル2では、隔壁32によって分割された表示部30の1つに対して1つの背面電極層22を設けているが、1つの表示部30内に複数の背面電極層22を設けてもよい。
また、第1及び第2の実施形態の電気泳動表示パネルでは、透明電極層12を全ての表示部30に対する共通電極とし、背面電極層22を表示部30毎に区分けして設けているが、背面電極層22を全ての表示部30に対する共通電極とし、透明電極層12を表示部30毎に区分けして設けてもよい。
また、上述の実施形態では、アクティブマトリクスの電気泳動表示パネルで説明したが、単純マトリクスの電気泳動表示パネルに適用しても良いことは言うまでもない。
さらに、第1及び第2の実施形態の電気泳動表示パネル2は、2種類の帯電粒子を備えていたが、これに限定されず、1種又は2種以上の帯電粒子を備えるようにしてもよい。また、帯電粒子の色は黒色及び白色に限らず、互いに異なる2色の帯電粒子を用いてもよいし、2種以上の帯電粒子を用いてもよい。
また第1及び第2の実施形態の帯電粒子50,60は、黒色帯電粒子50及び白色帯電粒子60のいずれも母粒子の表面に多数の子粒子が結合した外添構造となっているが、いずれか一方が外添構造であってもよい。外添構造を有する帯電粒子が複数種類ある場合、一部の帯電粒子のみ上述のような製造方法で製造してもよいが、電気泳動表示パネルの表示特性の低下を回避する観点から、全ての帯電粒子について上述のような製造方法により製造されることが好ましい。
また、第1及び第2の実施形態の子粒子52は、黒色帯電粒子50が、表示基板10及び背面基板20へ付着したり、黒色帯電粒子50と白色帯電粒子60とが凝集したりすることを防ぐ役割を担う部材であったが、これに限定されない。例えば、子粒子52は、帯電粒子の帯電量を調整したり、帯電粒子の流動性を調整したりするために母粒子51の表面に配置される部材であってもよい。
また、第1及び第2の実施形態の帯電粒子50,60は、子粒子52の表面の内、少なくとも表示液40に露出している部分は、母粒子51の表面の内表示液40に露出している部分よりも疎水性である場合について説明したがこれに限定されない。露出している部分が母粒子51の表面の内表示液40に露出している部分よりも疎水性でなくとも、基板と帯電粒子とが接触する際の接触面積が減るので基板からは剥がれ易い。
また、第1及び第2の実施形態の帯電粒子の製造方法では、子粒子埋込工程において(S10,S15)、ハイブリダイゼーション法により、母粒子51の表面に子粒子52を埋め込んでいたが、この方法に限定されない。
また、第1の実施形態の帯電粒子の製造方法では、加熱工程(S10)後、親水化工程を行っていたが、母粒子51の表面をより親水性にする必要がない場合等には、この工程を省略するようにしてもよい。同様に、第2の実施形態の帯電粒子の製造方法では、加熱工程(S15)後、疎水化工程を行っていたが、子粒子52の表面をより疎水性にする必要がない場合等には、この工程を省略するようにしてもよい。
また、第1の実施形態の帯電粒子の製造方法では、シランカップリング剤等のシラン化合物を用いて、母粒子51の表面の内、表示液40に露出する部分を親水化工程前よりも親水性にしていたが、他の方法により親水化工程を行ってもよい。同様に、第2の実施形態の帯電粒子の製造方法では、シランカップリング剤等のシラン化合物を用いて、子粒子52の表面の内、表示液40に露出する部分を母粒子51の表面よりも疎水性にしていたが、他の方法により疎水化工程を行ってもよい。
また、親水化工程を行った後の母粒子の表面と同等な親水性を有する母粒子を用いて子粒子埋込工程を行うようにしてもよい。このような母粒子としては例えば、アミノ基やポリエーテル基等の親水性官能基を備えた樹脂材料を母粒子材料に混合した母粒子を用いる。
電気泳動表示パネル2の概略構成を示す部分断面図である。 黒色帯電粒子50の構造を模式的に示した模式図である。 図2のX−X線における矢視方向断面図のうち波線500で示す付近を模式的に示した模式図である。 第1の実施形態の黒色帯電粒子50の製造フローである。 子粒子埋込工程において、母粒子51の表面に子粒子52が埋め込まれた状態を模式的に示す模式図である。 図5のY−Y線における矢視方向断面図のうち波線501で示す付近を模式的に示した模式図である。 加熱工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。 親水化工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。 第2の実施形態の黒色帯電粒子50の製造フローである。 第2の実施形態の子粒子埋込工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する模式図である。 第2の実施形態の加熱工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。 第2の実施形態の疎水化工程を経た母粒子51及び子粒子52の図6に対応する部分断面を模式的に示す模式図である。
符号の説明
2 電気泳動表示パネル
10 表示基板
20 背面基板
30 表示部
50 黒色帯電粒子
60 白色帯電粒子
51 母粒子
52 子粒子

Claims (8)

  1. 母粒子と、当該母粒子の表面に複数配置された子粒子とを備えた帯電粒子の製造方法において、
    樹脂材料を含む母粒子の表面に、前記子粒子の少なくとも一部を埋め込む子粒子埋込工程と、
    前記子粒子埋込工程後、前記子粒子の少なくとも一部が埋め込まれた母粒子を、前記樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱する加熱工程と
    を備えることを特徴とする帯電粒子の製造方法。
  2. 前記加熱工程では、前記子粒子の少なくとも一部が埋め込まれた母粒子を、気相中又は液体中で攪拌しながら前記樹脂材料のガラス転移温度以上の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の帯電粒子の製造方法。
  3. 前記加熱工程後に、前記母粒子の表面を親水性にする親水化工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電粒子の製造方法。
  4. 前記子粒子埋込工程では、樹脂材料を含む母粒子の表面に、表面処理された前記子粒子の少なくとも一部を埋め込み、
    前記親水化工程では、シラン化合物を用いて、前記母粒子の表面を親水性にすることを特徴とする請求項3に記載の帯電粒子の製造方法。
  5. 前記加熱工程後に、前記子粒子の表面を疎水性にする疎水化工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電粒子の製造方法。
  6. 前記子粒子埋込工程では、樹脂材料を含み、表面処理された母粒子の表面に、前記子粒子の少なくとも一部を埋め込み、
    前記疎水化工程では、シラン化合物を用いて、前記子粒子の表面を疎水性にすることを特徴とする請求項5に記載の帯電粒子の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の帯電粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする帯電粒子。
  8. 請求項7に記載の帯電粒子を備えたことを特徴とする電気泳動表示パネル。
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