JP2008214942A - アオコ発生予測と発生防止法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アオコの発生予測と発生防止法を提供する。
【解決手段】 貯水池に発生する水の華あるいは水の華の一種アオコ(青粉)の増殖要因をコンピュータ多変量解析ソフトウェアにより抽出してしぼり込み、しぼり込んだ要因を基に実証を行った結果高い確率で予測を行うことできた。アオコの一種かび臭産生藍藻類の発生要因は10日前前後2日間に3m/秒の風が吹くことで76%の確立で発生予測を行うことができた。要因が風である場合の防止対策は貯水池に防風対策を行うことである。
【選択図】なし
【解決手段】 貯水池に発生する水の華あるいは水の華の一種アオコ(青粉)の増殖要因をコンピュータ多変量解析ソフトウェアにより抽出してしぼり込み、しぼり込んだ要因を基に実証を行った結果高い確率で予測を行うことできた。アオコの一種かび臭産生藍藻類の発生要因は10日前前後2日間に3m/秒の風が吹くことで76%の確立で発生予測を行うことができた。要因が風である場合の防止対策は貯水池に防風対策を行うことである。
【選択図】なし
Description
本発明は貯水池で発生する水の華や水の華の一種アオコの増殖予測法や増殖防止法に属する。
湖沼やダムなどの貯水池では、流入する生活排水などによって、有機体のチッ素やリンが蓄積し栄養塩の多い富栄養化した状態が生じている。このような富栄養化した水質条件を好む微生物が大量発生した状態は水の華と呼ばれている。水の華のうち特に藍色の藍藻類(シアノバクテリア)の一種が粉のように水面を覆った状態はアオコ(青粉)と呼ばれている。このようなアオコの一種は異臭味水の原因になるかび臭物質を産生したり、毒素を産生したり、死滅して分解される際に酸素が消費されて、無酸素状態となり魚類が窒息死する問題を引き起こさせる。
本課題では特に湖沼で発生する藍藻類のうちかび臭物質を産生して、水道水に異臭味味被害をもたらす、Phormidium tenue (P. tenue)の釜房湖における増殖を調べた。P. tenueはユレモ目ユレモ科に属する藍藻類である。P. tenueは湖やダムなどの水道貯水池で発生し、代表的かび臭物質である2-メチルイソボルネオール(2-MIB)を2次代謝産物として産生する。かび臭物質が水道水に数十ng/L混入すると人々に不快感をもたらすため、かび臭対策が実施されている。しかし現状は、都市部においてオゾンと活性炭による高度処理によってかび臭原因物質の除去が可能になっているが、高度処理設備を持たない地方においては未だ完全な処理が行われているとはいえない状況である。このため、日本全国の平成15年度かび臭被害人口は300万人以上にのぼっている。
かび臭問題の根本的解決のためには、かび臭原因藻類のできるだけ早い時期での増殖特定、かび臭発生状況の把握、および原因藻類に対応した適切な処理対策が必要である。このため、迅速で正確なかび臭原因藍藻類の増殖を予測する方法の開発が求められている。また、かび臭処理に用いられる活性炭は高価であるため、もし予めかび臭発生が予測可能であれば、かび臭が発生した時のみに活性炭を使用するなど、安価でより効果的な水処理法が可能になると考えられる。
アオコ発生は、不栄養化した状態であってもアオコ発生が見られない場合や、理由が分からず突発的にアオコ発生が生じたりしている。日本水道協会(非特許文献1)によれば、かび臭の発生し易い条件は総窒素濃度0.4mg/l、総リン濃度0.02g/ml、BOD
1mg/l、COD 2mg/l、クロロフィルa濃度0.01mg/l、濁度5度、色度10度、pH値7、過マンガン酸カリウム消費量4mg/lとしている。本条件は藍藻類が増殖した後にかび臭が発生した場合の条件であり、藍藻類が増殖する前に予測のために示された条件ではない。
1mg/l、COD 2mg/l、クロロフィルa濃度0.01mg/l、濁度5度、色度10度、pH値7、過マンガン酸カリウム消費量4mg/lとしている。本条件は藍藻類が増殖した後にかび臭が発生した場合の条件であり、藍藻類が増殖する前に予測のために示された条件ではない。
水道貯水池の水質項目は70以上あり、気象項目や地形項目を入れると100項目以上に達するために、これまでこれら多変量の複合的関係を一度に解析する手段は知られておらず解析した例も知られていない。
長森ら(非特許文献2)は人工知能にあいまいな評価法を加えたファジーニュロラルネットワーク(FNN)ソフトを用いて、海洋の赤潮原因藻類に対して24項目の発生要因を解析した結果、「一週間前に海水中の塩分濃度が高く、水中の撹拌があまり起こっていない状態の時に、強い南風が吹くと赤潮原因藻類が優先的に増殖する。」とした結果が得られた。次に本結果が正しいか、前記条件のもと実証を行ったところ80%以上の確率で赤潮原因藻類の増殖が確認された。この結果は海水の赤潮原因藻類の増殖を調べた研究であり、淡水のアオコに対する研究でない上に発生に関連する項目も異なることから、アオコ発生予測に用いることはできない。
日本水道協会:生物起因の異臭味対策の指針, pp.1, pp.20-22, 1999
Nagamori E, Honda H, Hanai T, Nakanishi K, Hata N. Masuda T, andKobayashi T.; Prediction of Occurrence of Heterocapsa circularisquama RedTide by Means of Fuzzy Neural Network, J. Chamical Engineerring of Japan,Vol.34, No.8, pp.998-1005(2001).
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的はかび臭原因藍藻類等アオコの簡便な発生を予測する手段並びに発生防止する方法を提供することである。
釜房湖の100項目以上の水象項目および気象項目とP. tenueの増殖の関連をFNNソフトウェア(非特許文献2)を譲与頂き解析した。この結果、硝酸性窒素濃度、マンガン濃度、カリウム濃度、鉄濃度、色度、濁度、回転率、塩素イオン濃度、水温、増殖10日前前後2日間の平均風速などが選択された。次に選択された項目が正しいか、項目ごとに藍藻類増殖度(藻体数)との関連を解析に使用した週や月ごとのデータや未解析の同様データで確認した。この結果、平成8年から平成13年のかび臭発生が検出された33カ月中25カ月で増殖10日前前後2日間の平均風速が3m/秒である時に76%の確立でP.
tenue藻体数100個/ml以上の増殖が検出され、また、FNN解析に用いなかった平成16年のデータにおいても発生した5カ月中すべての5カ月で、増殖10日前前後2日間の平均風速が3m/秒である時に100%増殖が確認された。この結果、FNN解析により得られた項目を基に、かび臭産生藍藻類の増殖を実証することができ、本発明は完成した。
tenue藻体数100個/ml以上の増殖が検出され、また、FNN解析に用いなかった平成16年のデータにおいても発生した5カ月中すべての5カ月で、増殖10日前前後2日間の平均風速が3m/秒である時に100%増殖が確認された。この結果、FNN解析により得られた項目を基に、かび臭産生藍藻類の増殖を実証することができ、本発明は完成した。
したがって本発明は、FNNソフトを用いて、多数の水象項目や気象項目からアオコ発生に関連する項目を抽出し、次に抽出された項目とアオコの藻体数の関連を調べることによってアオコの発生に係わる要因を決定する方法である。また、決定された要因に応じてこの要因が生じないような対策を取ることによってアオコの発生を未然に防ぐ方法である。
本発明により、これまで発生予測が困難であった水道貯水池で発生する藍藻類を一週間以上前に風速から予測することが可能となる。この結果、発生した時のみ活性炭処理を行うことができるようになり、上水処理のコスト低減を行うことができる。また、貯水池に風が吹き込みにくいように防風林を作るなど防風対策を行うことで、アオコ発生を未然に防ぐことができる。さらに、貯水池建設場所選定の際に風の吹き込みにくい場所を選ぶことによって、アオコ発生の起きにくい貯水池建設に役立つ。
本発明はアオコ発生に係わると考えられる要因すべてを含み、この中から多変量解析ソフトウェアを用いて要因を抽出して絞り込み、更に絞りこんだ個々の要因とアオコ藻体数の関連の実証データを調べることによって要因を明らかにする方法を提供する。
本発明においてアオコとは水の華の一種藍藻類のことであり、淡水で多変量解析によって発生要因を明らかにすることができれる藍藻類であれば良く、特に藍藻類の属種を限定するものでない。
前記多変量解析ソフトウェアはニューロラルネットワーク(人工知能)、ファジーニューロラルネットワーク(ファジー推論を導入した人工知能)などでり、アオコの発生や藍藻類の発生に関連する要因を解析できるソフトウェアであれば良く、多変量を解析できるソフトウェアであれば特に限定されることはない。
既設の貯水池において、かび臭産生藍藻類の発生やかび臭を防止する方法は、防風林や防風構造物を設置したりあるいはシートで覆ったりするなどの防風対策を行うことが考えられるが、防風を行うことができる方法であれば特に限定されることはない。
計画中の貯水池において、かび臭産生藍藻類の発生やかび臭を防止する方法は、風の吹き込みにくい場所や地形を選んで建設したり、地形自体を風の影響がないように改変したりすることによって建設する方法が考えられるが、風を貯水池に吹き込みにくくすることができれば特に限定されることはない。。
以下本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも本発明は下記実施例以外に限定されるものでない。
[実施例1]FNNおよび2項検定による解析結果例
仙台市の主要な水道貯水池である釜房湖を対象とした水象データと気象データ(平成9年〜平成14年度仙台市水道局)68項目〜100項目程度(項目は、5日前の風速、7日前の風速というふうに分けた場合は分けた数だけ項目とした)を基にファジーニューロラルネットワーク(FNN)ソフトを用いてコンピュータ解析を行った。対象としたアオコはかび臭物質(2-メチルイソボルネオール)を産生することが知られているPhormidium
tenue(P. tenue)である。解析結果のアウトプットはP. tenue藻体数の増減に関与する項目を抽出することにした。水象データと気象データは予め、ソフト解析がし易いように例えば藻体数を0〜100個/ml未満を0とし、100個/ml以上を1とするなどして簡略的にした上でソフトに入力した。FNNで抽出された(選択回数が多い)項目は、さらに二項検定によりP.
tenue藻体数変化に関与している項目として絞り込みを行った。二項検定では0.005以下を有意とした。この結果例を下表1に示す。表1より硝酸性窒素、亜硝酸性窒素や総窒素、カリウム、ナトリウム、鉄などP.tenueの直接増殖に係わる因子が上位に抽出された。また、色度、濁度、塩素イオンさらに、回転率が上位に抽出されたことから、P.tenueの増殖には貯水池の水の動きも影響していることも示された。これは、適度な撹拌が起こり底泥の巻上げや流入水があることで窒素などの栄養素が補充されるためではないかと推測される。
[実施例1]FNNおよび2項検定による解析結果例
仙台市の主要な水道貯水池である釜房湖を対象とした水象データと気象データ(平成9年〜平成14年度仙台市水道局)68項目〜100項目程度(項目は、5日前の風速、7日前の風速というふうに分けた場合は分けた数だけ項目とした)を基にファジーニューロラルネットワーク(FNN)ソフトを用いてコンピュータ解析を行った。対象としたアオコはかび臭物質(2-メチルイソボルネオール)を産生することが知られているPhormidium
tenue(P. tenue)である。解析結果のアウトプットはP. tenue藻体数の増減に関与する項目を抽出することにした。水象データと気象データは予め、ソフト解析がし易いように例えば藻体数を0〜100個/ml未満を0とし、100個/ml以上を1とするなどして簡略的にした上でソフトに入力した。FNNで抽出された(選択回数が多い)項目は、さらに二項検定によりP.
tenue藻体数変化に関与している項目として絞り込みを行った。二項検定では0.005以下を有意とした。この結果例を下表1に示す。表1より硝酸性窒素、亜硝酸性窒素や総窒素、カリウム、ナトリウム、鉄などP.tenueの直接増殖に係わる因子が上位に抽出された。また、色度、濁度、塩素イオンさらに、回転率が上位に抽出されたことから、P.tenueの増殖には貯水池の水の動きも影響していることも示された。これは、適度な撹拌が起こり底泥の巻上げや流入水があることで窒素などの栄養素が補充されるためではないかと推測される。
[実施例2]FNNによる抽出されたデータの検証例1
解析結果を基に、解析した水象や気象データの検証を行い、以下のようにP.tenueの増殖に関連すると考えられる各項目のP.tenue増殖に影響する濃度等の範囲をも積もることができた。
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の濃度が0.35〜0.45 mg/Lの範囲であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図1)。マンガンの濃度が0.02 mg/L〜0.03
mg/Lの場合P.tenueが増殖する傾向があること(図2)。カリウムの濃度が0.5 〜0.6
mg/Lの範囲であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図3)。鉄濃度が0.06〜0.1 mg/L以下であるとP.tenueが増殖する傾向があること(図4)。鉄と増殖との関連性を断定するに至らないが、鉄はP.tenueの繁殖に必須な物質である。色度が5度〜9度、濁度は1.6度〜3.6度の範囲であるとP.tenueは増殖傾向にあること(図5)。これは、色度や濁度は直接湖表面の照度に影響すると考えられ、この結果P.tenueが増殖し易くなったためと考えられる。10日前2日間の平均風速が3
m/s以上であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図5)。10日前前後2日間の平均風速が3
m/s以上でありさらに色度が3度以下であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図7)。ナトリウムと塩素イオンは挙動がほぼ同じであり、それぞれ5.5
mg/L以上になるとP.tenueが増殖していることを確認したが、直接的な関係の把握には至っていない(図8)。3日前前後2日間の平均水温の変動項目が抽出され、これは水温の変動がP.tenueの増殖に影響しているためと考えられる。
解析結果を基に、解析した水象や気象データの検証を行い、以下のようにP.tenueの増殖に関連すると考えられる各項目のP.tenue増殖に影響する濃度等の範囲をも積もることができた。
硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の濃度が0.35〜0.45 mg/Lの範囲であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図1)。マンガンの濃度が0.02 mg/L〜0.03
mg/Lの場合P.tenueが増殖する傾向があること(図2)。カリウムの濃度が0.5 〜0.6
mg/Lの範囲であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図3)。鉄濃度が0.06〜0.1 mg/L以下であるとP.tenueが増殖する傾向があること(図4)。鉄と増殖との関連性を断定するに至らないが、鉄はP.tenueの繁殖に必須な物質である。色度が5度〜9度、濁度は1.6度〜3.6度の範囲であるとP.tenueは増殖傾向にあること(図5)。これは、色度や濁度は直接湖表面の照度に影響すると考えられ、この結果P.tenueが増殖し易くなったためと考えられる。10日前2日間の平均風速が3
m/s以上であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図5)。10日前前後2日間の平均風速が3
m/s以上でありさらに色度が3度以下であるとP.tenueが増殖しやすい傾向があること(図7)。ナトリウムと塩素イオンは挙動がほぼ同じであり、それぞれ5.5
mg/L以上になるとP.tenueが増殖していることを確認したが、直接的な関係の把握には至っていない(図8)。3日前前後2日間の平均水温の変動項目が抽出され、これは水温の変動がP.tenueの増殖に影響しているためと考えられる。
[実施例2]FNNによる抽出されたデータの検証例2
解析結果を基に、解析に用いた平成11年〜平成13年までのP.tenue藻体数と10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/sありなしを検証した(表2〜4)ただし条件は以下の通りである。
P.tenue (藻体数) が100 個/mL 未満:×, 100 個/mL 以上:○
10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/s 未満:×,
3 m/s 以上:○
この結果33カ月中の25カ月で10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/sあった場合にP.tenue藻体数が100個/ml以上であることが示された。この確立は76%である。10 日前 2 日間の平均風速が
3 m/sあればP.tenueの発生が76%の確立で予測できることになる。
解析結果を基に、解析に用いた平成11年〜平成13年までのP.tenue藻体数と10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/sありなしを検証した(表2〜4)ただし条件は以下の通りである。
P.tenue (藻体数) が100 個/mL 未満:×, 100 個/mL 以上:○
10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/s 未満:×,
3 m/s 以上:○
この結果33カ月中の25カ月で10 日前 2 日間の平均風速が 3 m/sあった場合にP.tenue藻体数が100個/ml以上であることが示された。この確立は76%である。10 日前 2 日間の平均風速が
3 m/sあればP.tenueの発生が76%の確立で予測できることになる。
[実施例3]FNNによる抽出されたデータの検証例3
解析結果を基に、解析に用いていない平成15年度のデータを検証した。この結果、FNNで解析した結果関連性があることが示された、平均風速が3 m/s以上であると約10日後にP.tenueが増殖していることが確認できた(図9)。またこの際の溶存酸素(DO)は100%前後の飽和状態にあり、平均風速が3
m/s以上の強い風が吹くことで、生存するために必要な酸素や二酸化炭素が表層水に供給されることが示唆される。釜房湖には冬季にかび臭産生藍藻類が増殖し、かび臭発生を引き起こしていることが知られている。冬季には、釜房湖の西部に位置する蔵王山から蔵王おろしと呼ばれる強風が吹きつける。強風が吹くことでP.tenueが増殖しやすい条件となることが推測される。
解析結果を基に、解析に用いていない平成15年度のデータを検証した。この結果、FNNで解析した結果関連性があることが示された、平均風速が3 m/s以上であると約10日後にP.tenueが増殖していることが確認できた(図9)。またこの際の溶存酸素(DO)は100%前後の飽和状態にあり、平均風速が3
m/s以上の強い風が吹くことで、生存するために必要な酸素や二酸化炭素が表層水に供給されることが示唆される。釜房湖には冬季にかび臭産生藍藻類が増殖し、かび臭発生を引き起こしていることが知られている。冬季には、釜房湖の西部に位置する蔵王山から蔵王おろしと呼ばれる強風が吹きつける。強風が吹くことでP.tenueが増殖しやすい条件となることが推測される。
[実施例3]P. tenueの培養実験
解析結果を基に、実験室レベルでP. tenueの培養実験を試みて検証した。培養条件は、室温 (25 ℃前後)、照度は16,000〜21,000 fc、供試菌株はP.tenue NIES-512株である。培養は昼間 5 時間程度150 rpmで培養液の表面を撹拌した試料(撹拌を風と見立てた)と、撹拌しない試料に分けて行った。培養器は1
LのCT培地を入れた円柱カラムを用いた。両サンプルは毎日1回静かに転倒撹拌しP.tenueの付着を防ぎ、増殖度を示す吸光度OD660を測定した。藻体数は予め求めたおいた吸光度と藻体数の関係から算出した。
培養実験の結果、両サンプルともに培養開始後10日目頃までは増殖が穏やかであるが、10日目頃を境に水面を撹拌したサンプルが増殖の速度が加速している様子が確認できた
(図10)。この結果より、10日前に吹いた風により水面が断続的に撹拌されP.tenueが増殖しやすいことを確認した。
解析結果を基に、実験室レベルでP. tenueの培養実験を試みて検証した。培養条件は、室温 (25 ℃前後)、照度は16,000〜21,000 fc、供試菌株はP.tenue NIES-512株である。培養は昼間 5 時間程度150 rpmで培養液の表面を撹拌した試料(撹拌を風と見立てた)と、撹拌しない試料に分けて行った。培養器は1
LのCT培地を入れた円柱カラムを用いた。両サンプルは毎日1回静かに転倒撹拌しP.tenueの付着を防ぎ、増殖度を示す吸光度OD660を測定した。藻体数は予め求めたおいた吸光度と藻体数の関係から算出した。
培養実験の結果、両サンプルともに培養開始後10日目頃までは増殖が穏やかであるが、10日目頃を境に水面を撹拌したサンプルが増殖の速度が加速している様子が確認できた
(図10)。この結果より、10日前に吹いた風により水面が断続的に撹拌されP.tenueが増殖しやすいことを確認した。
Claims (4)
- 貯水池に発生する水の華あるいは水の華の一種アオコ(青粉)の増殖要因をコンピュータ多変量解析ソフトウェアにより抽出してしぼり込み、しぼり込んだ要因を基に実証を行った上で、予測および予防対策に応用する方法。
- 多変量解析結果および実証データから得られた、かび産生藍藻類の発生要因が増殖度が高く検出された日の10日前の前後2日間の平均風速が3m/秒であることを応用した、かび産生藍藻類の増殖予測やかび臭産生予測を行う方法。
- 既設の貯水池において、防風林や防風構造物を設置したりあるいはシートで覆ったりするなどの防風対策を行うことによって、かび臭産生藍藻類の発生やかび臭発生を防止する方法。
- 計画中の貯水池において、風の吹き込みにくい場所や地形を選んで建設したり、地形自体を風の影響がないように改変したりすることによって建設することによって、かび臭産生藍藻類の発生やかび臭発生を防止する方法。
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